WO2013168608A1 - 再生白土の製造方法、再生白土、及び精製油脂の製造方法 - Google Patents
再生白土の製造方法、再生白土、及び精製油脂の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本願は、2012年5月10日に、日本に出願された特願2012-108353号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
上記油脂の精製に用いられた廃白土には、通常、廃白土の全質量に対して30~40質量%の油性成分が付着、残存しているとされている。廃白土は主に産業廃棄物として処分されるが、油性成分を多く含んだ状態では廃棄が困難であるため、何らかの方法により廃白土中の油性成分を除去する必要がある。
廃白土中の油性成分の抽出方法としては、従来、湿水煮取り法、加圧蒸気法、溶剤抽出法等が検討されているが(非特許文献1参照)、廃白土の細孔内に存在する油性成分を完全に除去することは困難であり、未だ有効な処理手段は見出されていない。そして、これらの処理後の廃白土は、依然として廃白土の全質量に対して数~数十質量%の油性成分が付着した状態であり、このため、主に燃焼等により廃棄される。
その他、特許文献2には、低級アルコールが超臨界状態となる条件で加圧加熱処理することにより、無機質材料から油分を分離し、この無機質材料の吸着能を回復させる方法が開示されており、無機質材料の例として活性白土が挙げられている。
(1) 廃白土が有する脱色能を再生させる方法であって、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールとを混合した状態で維持する前処理工程と、前記前処理工程後、前記廃白土と低級アルコールとの混合物に酸性触媒を混合し、前記廃白土からの油性成分の抽出と、この油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行う再生工程と、を有することを特徴とする、再生白土の製造方法。
(2) 前記前処理工程において、前記廃白土と低級アルコールとの混合物を維持する時間が、3分間以上である、前記(1)の再生白土の製造方法。
(3) 前記前処理工程の終了時点における前記廃白土と低級アルコールとの混合物の温度が、60~200℃である、前記(1)又は(2)の再生白土の製造方法。
(4) 前記再生工程において、前記前処理工程によって調製された混合物中の低級アルコールが還流している状態で前記酸性触媒を混合し、前記油性成分の抽出と前記エステル化反応とを前記低級アルコールが還流している状態で行う、前記(1)~(3)のいずれかの再生白土の製造方法。
(5) 前記再生工程において、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行う、前記(1)~(4)のいずれかの再生白土の製造方法。
(6) 前記再生工程後、得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により回収した再生白土を、低級アルコールと混合し、この再生白土からさらに油性成分を抽出する抽出工程、をさらに有する、前記(1)~(5)のいずれかの再生白土の製造方法。
(7) 前記前処理工程において、前記廃白土100質量部に対して、前記低級アルコール50~900質量部を混合する、前記(1)~(6)のいずれかの再生白土の製造方法。
(8) 廃白土の脱色能を再生させる方法であって、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合し、前記廃白土からの油性成分の抽出と、この油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行う再生工程、を有し、前記再生工程において、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行うことを特徴とする、再生白土の製造方法。
(9) 廃白土の脱色能を再生させる方法であって、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合し、前記廃白土からの油性成分の抽出と、この油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行う再生工程と、前記再生工程後、得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により回収した再生白土を、低級アルコールと混合し、この再生白土からさらに油性成分を抽出する抽出工程と、を有することを特徴とする、再生白土の製造方法。
(10) 前記再生工程において、前記廃白土100質量部に対して、前記低級アルコール50~900質量部を混合する、前記(8)又は(9)の再生白土の製造方法。
(11) 前記再生工程において、前記油性成分の抽出と、前記油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と低級アルコールとのエステル化反応とを、60~200℃の温度において行う、前記(1)~(10)のいずれかの再生白土の製造方法。
(12) 前記脱色能を再生された白土を用いて精製を行った油脂のCIElab法におけるL*値と、未使用の白土を用いて精製を行った油脂のCIElab法におけるL*値との差が、2以下である、前記(1)~(11)のいずれかの再生白土の製造方法。
(13) 前記脱色能を再生された白土を用いて精製を行った油脂のロビボンド比色計(セル長さ:5.25インチ)におけるY値と、未使用の白土を用いて精製を行った油脂の前記ロビボンド比色計におけるY値との差が、25以下である、前記(1)~(11)のいずれかの再生白土の製造方法。
(14) 前記油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と低級アルコールとのエステル化反応によって、酸価10以下のエステルが得られる、前記(1)~(13)のいずれかの再生白土の製造方法。
(15) 前記酸性触媒が、酸触媒である、前記(1)~(14)のいずれかの再生白土の製造方法。
(16) 前記酸触媒が、硫酸である、前記(15)の再生白土の製造方法。
(17) 前記低級アルコールが、炭素数8以下のアルコールである、前記(1)~(16)のいずれかの再生白土の製造方法。
(18) 前記再生工程又は前記抽出工程の後、脱色能が再生された再生白土を、溶解度パラメータ(SP値)が7~15の溶媒で洗浄することを特徴とする、前記(1)~(17)のいずれかの再生白土の製造方法。
(19) 前記再生工程又は前記抽出工程の後、脱色能が再生された再生白土のpHを3~8に調整した後、この再生白土を、溶解度パラメータ(SP値)が7~15であり、かつpH3~8の溶媒で洗浄することを特徴とする、前記(1)~(17)のいずれかの再生白土の製造方法。
(20) 前記再生白土の洗浄を、0~200℃で行うことを特徴とする、前記(18)又は(19)の再生白土の製造方法。
(21) SP値が7~15であり、かつpH3~8の溶媒による洗浄後の再生白土から、さらに塩を除去することを特徴とする、前記(19)の再生白土の製造方法。
(22) SP値が7~15であり、かつpH3~8の溶媒による洗浄後の再生白土をさらに水で洗浄することを特徴とする、前記(21)の再生白土の製造方法。
(23) 前記油脂が、植物油である、前記(1)~(22)のいずれかの再生白土の製造方法。
(24) 前記油脂が、菜種油である、前記(23)の再生白土の製造方法。
(25) 前記(1)~(24)のいずれかの再生白土の製造方法により、酸価10以下のエステルを製造する方法。
(26) 前記(1)~(24)のいずれかの再生白土の製造方法により製造された再生白土。
(27) 前記(26)の再生白土を用いて油脂を脱色する工程を含むことを特徴とする精製油脂の製造方法。
[1]廃白土の脱色能を再生させる再生白土の製造方法であって、
前記製造方法は、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールとを混合した状態で維持する前処理工程と、再生工程と、を有し、
前記再生工程は、前記前処理工程後の前記廃白土と低級アルコールとの混合物に酸性触媒を混合すること;及び
前記廃白土からの油性成分の抽出と、
前記抽出された油性成分中の油脂及び遊離脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分と前記低級アルコールとのエステル化反応と、を同時に行うことを含む、
再生白土の製造方法。
[2] 前記前処理工程において、前記廃白土と低級アルコールとの混合物を維持する時間が、3分間以上、24時間以内である、前記[1]に記載の再生白土の製造方法。
[3]前記前処理工程の終了時点における前記廃白土と低級アルコールとの混合物の温度が、60℃~200℃である、前記[1]又は[2]に記載の再生白土の製造方法。
[4] 前記再生工程において、前記前処理工程によって調製された混合物中の低級アルコールが還流している状態で、前記酸性触媒を混合し、さらに前記低級アルコールが還流している状態で前記油性成分の抽出と前記エステル化反応とを行うことを含む前記[1]~[3]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[5] 前記再生工程が、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する処理、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行うことを含む、前記[1]~[4]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[6] 前記製造方法が、前記再生工程後に得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により回収した再生白土を、低級アルコールと混合し、この混合物からさらに油性成分を抽出する抽出工程をさらに含む、前記[1]~[5]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[7] 前記前処理工程において、前記低級アルコールが、前記廃白土100質量部に対して、50~900質量部で混合される、前記[1]~[6]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[8] 廃白土が有する脱色能を再生させる再生白土の製造方法であって、
前記製造方法は、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合すること;及び
前記廃白土からの油性成分の抽出と、
前記抽出された油性成分中の油脂及び遊離脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行うこと、を含む再生工程を有し、
前記再生工程は、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する処理、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行うことを含む、
再生白土の製造方法。
[9] 廃白土が有する脱色能を再生させる再生白土の製造方法であって、
前記製造方法は、再生工程と抽出工程とを有し、
前記再生工程は、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合すること;及び
前記廃白土からの油性成分の抽出と、
前記抽出された油性成分中の油脂及び遊離脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行うこと、を含み、
前記抽出工程は、前記再生工程後に得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により再生白土を回収すること;及び
前記回収した再生白土と低級アルコールとを混合し、この混合物からさらに油性成分を抽出することを含む、
再生白土の製造方法。
[10] 前記再生工程において、前記低級アルコールが、前記廃白土100質量部に対して、50~900質量部で混合される、前記[8]又は[9]に記載の再生白土の製造方法。
[11] 前記再生工程において、前記油性成分の抽出と、エステル化反応とが、60℃~200℃の温度において行われる、前記[1]~[10]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[12]前記脱色能が再生された再生白土によって精製を行った油脂のCIElab法におけるL*値と、未使用の白土を用いて精製を行った油脂のCIElab法におけるL*値との差が、2以下である、前記[1]~[11]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[13]前記脱色能が再生された再生白土によって精製を行った油脂のセル長さが5.25インチであるロビボンド比色計におけるY値と、未使用の白土を用いて精製を行った油脂の前記ロビボンド比色計におけるY値との差が、25以下である、前記[1]~[11]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[14] 前記油性成分中の油脂及び遊離脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分と低級アルコールとのエステル化反応によって、酸価が0以上、10以下のエステルが得られる、前記[1]~[13]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[15]前記酸性触媒が、酸触媒である、前記[1]~[14]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[16]前記酸触媒が、硫酸である、前記[15]に記載の再生白土の製造方法。
[17]前記低級アルコールが、炭素数1以上、8以下のアルコールである、前記[1]~[16]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[18]前記再生工程又は前記抽出工程の後の脱色能が再生された再生白土を、溶解度パラメータであるSP値が7~15の溶媒で洗浄することをさらに含む前記[1]~[17]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[19] 前記再生工程又は前記抽出工程の後の脱色能が再生された再生白土のpHを3~8に調整した後、この再生白土を、溶解度パラメータであるSP値が7~15であり、かつpH3~8の溶媒で洗浄することをさらに含む前記[1]~[17]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[20] 前記再生白土の洗浄を、0℃~200℃で行う前記[18]又は[19]に記載の再生白土の製造方法。
[21]溶解度パラメータであるSP値が7~15であり、かつpH3~8の溶媒による洗浄後の再生白土から、さらに塩を除去することを含む前記[19]に記載の再生白土の製造方法。
[22] 溶解度パラメータであるSP値が7~15であり、かつpH3~8の溶媒による洗浄後の再生白土を、さらに水で洗浄することを含む前記[21]に記載の再生白土の製造方法。
[23] 前記油脂が、植物油である、前記[1]~[22]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法。
[24] 前記油脂が、菜種油である、前記[23]に記載の再生白土の製造方法。
[25] 前記[1]~[24]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法により、酸価が0以上、10以下のエステルを製造する方法。
[26] 前記[1]~[24]のいずれか一つに記載の再生白土の製造方法により製造された再生白土。
[27] 前記[26]に記載の再生白土を用いて油脂を脱色する工程を含む精製油脂の製造方法。
廃白土と、低級アルコールとを混合することにより、廃白土の細孔内に存在する油性成分や着色物質が抽出され、この廃白土が有する脱色能が再生される。そのため、この廃白土を油脂の精製等に再度使用することが可能となる。特に、廃白土と低級アルコールとを酸性触媒存在下で混合することにより、低級アルコールのみの場合よりも効率よく油性成分を抽出することができ、白土としての再利用を可能とする程度に廃白土が有する脱色能を回復させることができる。加えて、脱色工程と脱色能の再生とを繰り返すことにより、白土を繰り返し使用することが可能となる。
また、酸性触媒により、廃白土から抽出された油性成分に含有される油脂及び/又は遊離脂肪酸と、低級アルコールとのエステル化反応が、前記廃白土が有する脱色能再生と同時に起こる。このエステル化反応により、油脂及び/又は遊離脂肪酸から、脂肪酸と低級アルコールとのエステルが得られる。このエステル化により得られる低級脂肪酸エステルは、油脂に比して粘度が低い脂肪酸エステルとなるため、燃料等の用途に適する。
低級アルコールは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、1価であっても2価以上であってもよい。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール等の直鎖状の1価アルコール;2-プロパノール、2-ブタノール等の分岐鎖状の1価アルコールが挙げられる。
なかでも、本発明における低級アルコールは、1価のアルコールであることが好ましい。本発明における低級アルコールは、直鎖状であることが好ましく、その炭素数は、1以上、8以下であることが好ましく、1以上、6以下であることがより好ましく、1以上、3以下であることがさらに好ましい
このような低級アルコールとして具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、又はこれらの混合物であることが好ましく;メタノール、エタノール、又はメタノールとエタノールの混合物であることがより好ましく;再生された白土を用いて食用油脂の精製を行い得るため、食品に用いることができるエタノールであることがより好ましい。
例えば、本発明において用いられる低級アルコールの純度としては、50~100%が好ましく、90~100%がより好ましく、90~96%がさらに好ましい。純度が高いほうが、最終的な排液量をより抑えることができ、好ましい。一方で、純度100%の低級アルコールを用いた場合、廃白土から抽出される油分中に、遊離の脂肪酸が含まれ難く、純度90~96%の低級アルコールを用いた場合には、遊離の脂肪酸が、抽出される油分中の5%程度含まれる傾向にある。
ここで、本願明細書及び請求の範囲において、「酸触媒」とは、酸触媒反応を促進する触媒を意味する。酸触媒として具体的には、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸や、リン酸、スルホン酸等の有機酸が挙げられる。また、「酸性の固体触媒」とは、酸触媒反応を促進する固体触媒を意味する。酸性の固体触媒としては、具体的には、イオン交換樹脂、ゼオライト、二酸化ケイ素複合体等の固体酸触媒等が挙げられる。
本発明においては、1種類の酸性触媒のみを用いてもよく、2種類以上の酸性触媒を適宜組み合わせて用いてもよい。なかでも、本発明における酸性触媒は、酸触媒であることが好ましく、硫酸、スルホン酸、硫酸とスルホン酸の混合物、又はこれらとその他の酸性触媒との組み合わせが好ましく、経済性の観点から硫酸であることが好ましい。
これらの他の成分の添加量としては、反応速度が高まる量であれば良い。
本発明の再生白土の製造方法のうち、第1の態様は、廃白土が有する脱色能を再生させる方法であって、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールとを混合した状態で維持する前処理工程と、前記前処理工程後、前記廃白土と低級アルコールとの混合物に酸性触媒を混合し、前記廃白土からの油性成分の抽出と、この油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行う再生工程と、を有することを特徴とする。
即ち、本発明の第1の態様は、廃白土が有する脱色能を再生させる再生白土の製造方法であって、
油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールとを混合した状態で維持する前処置工程と、再生工程と、を有し、
前記再生工程は、前記前処理工程後の前記廃白土と低級アルコールとの混合物に酸性触媒を混合すること;及び
前記廃白土からの油性成分の抽出と、
前記抽出された油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級とのエステル化反応と、を同時に行うことを含む
再生白土の製造方法である。
本発明の第1の態様においては、酸性触媒と混合させる前に、廃白土と低級アルコールを予め混合した状態で維持しておく。この混合維持により、酸性触媒と低級アルコールを同時に廃白土と混合させた場合よりも、廃白土が有する脱色能をより充分に回復させることができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、廃白土中の油性成分のうち、酸性条件下で抽出除去され難い成分は、本発明の第1の態様に係る再生白土の製造方法における前処理工程を行うことにより、この工程を行わない場合よりも非常に効率よく抽出されるためであると推察される。また、酸性触媒による廃白土表面の変性が生じる前に、低級アルコールが廃白土内部に充分に浸透する結果、廃白土内部からの油性成分の抽出が容易になることも考えられる。その他、油脂中に含まれているクロロフィル等の油性成分以外の多種多様な成分も廃白土には吸着されている。そのため、本発明の第1の態様に係る再生白土の製造方法における前処理工程を行うことにより、これらの成分のうち酸性条件下では抽出除去され難い成分が効率よく廃白土から抽出されている可能性もある。また、後述の本発明の第3の態様に係る再生白土の製造方法は、再生工程と抽出工程との間に固液分離処理を要するため、一般的には複数の反応容器を必要とするが、本発明の第1の態様に係る再生白土の製造方法は、前処理工程又は再生工程中において固液分離処理を必要としないため、一の反応容器しか必要とせず、簡便である。
まず、前処理工程において、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールとを混合した状態で維持する。廃白土と低級アルコールの混合比率は特に限定されるものではないが、廃白土100質量部に対して、50~900質量部であることが好ましく、100~900質量部であることがより好ましく、200~900質量部であることがさらに好ましい。前処理工程において、後の再生工程で要する低級アルコールの全量を廃白土に混合させてもよく、再生工程で要する量よりも少ない量の低級アルコールを廃白土に混合し、前処理工程後に低級アルコールをさらに添加してもよい。また、前処理工程において、廃白土と低級アルコールを一度に全量混合させてもよく、廃白土に対して低級アルコールを複数回に分けて添加し、混合させてもよい。
例えば、廃白土と低級アルコールを室温で混合し、得られた混合物を還流状態になるまで加熱することにより、前処理工程を行うことができる。この場合、還流状態が確認された時点で直ちに前処理工程を終了し、廃白土と低級アルコールの混合物に酸性触媒を添加することによって再生工程に入ってもよく、ある程度の時間還流状態のまま維持していてもよい。
特に、前処理工程によって調製された混合物中の低級アルコールが還流している状態で酸性触媒を混合し、油性成分の抽出と前記エステル化反応とを低級アルコールが還流している状態で行うことが好ましい。
本発明の再生白土の製造方法のうち、第2の態様は、廃白土が有する脱色能を再生させる方法であって、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合し、前記廃白土からの油性成分の抽出と、この油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行う再生工程を有し、前記再生工程において、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行うことを特徴とする。
即ち、本発明の第2の態様は、廃白土が有する脱色能を再生させる再生白土の製造方法であって、
前記製造方法は、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合すること;及び
前記廃白土からの油性成分の抽出と、前記油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行うこと、とを含む再生工程を有し、
前記再生工程は、さらに、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する処理、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行うことを含む再生白土の製造方法である。
本発明の第2の態様では、再生工程において、反応系内に新鮮な低級アルコールを添加することにより、廃白土からの油性成分の抽出効率をより高めることができる。また、後述の本発明の第3の態様における再生白土の製造方法は、再生工程と抽出工程との間に固液分離処理を要するため、一般的には複数の反応容器を必要とするが、本発明の第2の態様における再生白土の製造方法は、再生工程中における固液分離処理を必要としないため、一の反応容器しか必要とせず、かつより簡便である。
ここでいう「液性成分」とは、廃白土と低級アルコールと酸性触媒との混合物中の液状の成分を意味する。
液性成分を低級アルコールで置換する、又は新たに炭素数1~11のアルコールを添加する回数としては、1~10回であり、好ましくは1~5回であり、より好ましくは1~3回である。
本発明の再生白土の製造方法のうち、第3の態様は、廃白土が有する脱色能を再生させる方法であって、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合し、前記廃白土からの油性成分の抽出と、この油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行う再生工程と、前記再生工程後、得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により回収した再生白土を、低級アルコールと混合し、この再生白土からさらに油性成分を抽出する抽出工程とを有することを特徴とする。
即ち、本発明の第3の態様は、廃白土が有する脱色能を再生させる方法であって、
前記製造方法は、再生工程と抽出工程とを有し、
前記再生工程は、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合すること;及び、
前記廃白土からの油性成分の抽出と、前記油性成分中の油脂及び/又は遊離脂肪酸と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行うことと、を含み、
前記抽出工程は、再生工程後に得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により再生白土を回収すること;及び
前記回収した再生白土を、低級アルコールと混合し、この混合物からさらに油性成分を抽出すること、を含む
再生白土の製造方法である。
本発明の第3の態様では、再生工程後、固液分離処理により酸性触媒を含有する液性成分から分離除去された廃白土に対して、この廃白土に吸着している各種成分(吸着成分)のさらなる抽出を、低級アルコールを用いて行う。これにより、廃白土からの吸着成分の抽出効率をより高めることができる。
本発明の第1、第2、及び第3の態様における再生白土の製造方法をそれぞれ組み合わせることにより、より脱色能に優れた再生白土を製造することができる。
具体的には、本発明の第1の態様に係る再生白土の製造方法の再生工程において、本発明の第2の態様における再生白土の製造方法と同様にして、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する処理、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行うことが好ましい。また、本発明の第1の態様に係る再生白土の製造方法の再生工程において、本発明の第3の態様における再生白土の製造方法と同様にして、再生工程後に、得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により回収した再生白土を、低級アルコールと混合し、この再生白土からさらに吸着成分を抽出することも好ましい。
本発明の第2の態様における再生白土の製造方法においては、再生工程後、本発明の第3の態様における再生白土の製造方法と同様にして、得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により回収した再生白土を、低級アルコールと混合し、この再生白土からさらに吸着成分を抽出することが好ましい。
本発明の第1、第2、及び第3の態様における再生白土の製造方法(以下、まとめて「本発明の再生白土の製造方法」ということがある。)においては、再生工程(抽出及びエステル化反応)、又は抽出工程(抽出反応)を行った後の反応液から、ろ過等の方法により、再生工程又は抽出工程後の白土と、酸性触媒及び低級アルコールとを固液分離することができる。その結果、固体である脱色能を再生された白土(再生白土)を分離することができる。さらに、得られた再生白土は、そのまま、再び油脂の脱色に用いることができる。又は、得られた再生白土は、乾燥等の処理を行った後、再び油脂の脱色に用いることができる。
即ち、本発明の第1、第2、及び第3の態様における再生白土の製造方法は、再生工程(抽出及びエステル化反応)、又は抽出工程(抽出反応)を行った後、さらに再生工程又は抽出工程後の反応液を固液分離する固液分離工程を含んでもよく、また、前記固液分離する工程により得られた再生白土をさらに乾燥する乾燥処理工程を含んでもよい。
なお、前記ろ過としては、公知の方法が適用でき、具体的には自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過する方法等が使用できる。
前記乾燥処理としては、公知の方法が適用でき、具体的には加熱器や熱交換器を用いて加熱乾燥する方法、自然に乾燥させる方法、温風を吹き付けて乾燥させる方法、減圧して乾燥させる方法、乾燥剤を用いる方法、等が使用できる。
この洗浄処理により、再生白土に付着している抽出された油分やエステル化反応の産物等を洗浄除去することができる。SP値が7~15の溶媒(以下、油分洗浄除去用溶媒)は、溶剤分別を鑑みると、抽出・エステル化反応に使用した低級アルコールであることが好ましい。一方で、再生処理後に残存する油分をより効率よく洗浄できるため、キシレン、トルエン、アセトン、ヘキサン等のSP値が7~10の溶剤、イソプロパノール、エタノール、メタノール等のSP値が11~15のアルコール、及びこれらの混合物を使用することもできる。
本発明の再生白土の製造方法により脱色能を再生された白土によって精製を行った油脂のCIElab法におけるL*値と、再生された白土を未使用の白土に替えた以外は同条件下にて精製を行った油脂のCIElab法におけるL*値との差は、0以上、2以下であることが好ましく、0以上、1.6以下であることがより好ましく、0以上、0.8以下であることがさらに好ましく、0以上、0.4以下であることが最も好ましい。
ここで、「CIElab法におけるL*値」とは、対象物の明度を示す値であって、その値が大きいほど明度が高いことを意味する。つまり、L*値の差が2以下であることは、再生された白土を用いた場合であっても、未使用白土と同等に油脂の脱色が達成されていることを意味する。
なお、上記CIElab法におけるL*値は全て、分光色彩計SD5000(商品名、日本電色工業社製;ガラスセル;光路長10mm)により測定を行った場合の値である。
「ロビボンド比色計のY値」とは、対象物の黄色の強度を示す値であって、その値が小さいほど無色に近いことを意味する。
本発明においては、再生後の白土を用いて精製を行った油脂と、再生された白土を未使用の白土に替えた以外は同条件下にて精製を行った油脂との前記ロビボンド比色計におけるY値の差は、0以上、25以下であることが好ましく、0以上、21以下であることがより好ましく、0以上、12以下であることがさらに好ましく、0以上、5以下であることが最も好ましい。
また、再生工程又は抽出工程後の反応液から固液分離により分離された液体部には、油脂及び/又は遊離脂肪酸と低級アルコールとのエステルと、反応副産物であるグリセロールと、酸性触媒と、場合によっては極微量の遊離脂肪酸やグリセリン脂肪酸エステルとが含まれる。得られた液体部から、中和、水洗、吸着等の公知の方法によって酸性触媒(例えば、硫酸)を除去することにより、この反応液を燃料として用いることができる。酸性触媒(例えば、硫酸)を除去された反応液は、低級アルコールのエステルを主成分とする液であるため、粘度が低く、燃料として好適に用いることができる。
本発明の再生白土は、本発明の再生白土の製造方法により製造された再生白土であって、この再生白土は、再度油脂を脱色する工程に用いることができる。また、油脂の脱色に用いられた再生白土は、再度本発明の再生白土の製造方法を用いて、脱色能を再生することができるため、脱色能の再生と、油脂脱色工程における使用とを連続的に行うことができる。
本発明の精製油脂の製造方法は、上記再生白土を用いて油脂を脱色する工程(以下、「脱色工程」という。)を含む。
脱色工程において用いる油脂は、上記した本発明における油脂と同じであって、予め脱酸工程により遊離酸や不純物を除去された油脂が好ましい。
脱色工程において油脂を脱色する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、油脂と白土とを接触させ、攪拌することにより油脂を脱色する方法が挙げられる。
脱色工程により脱色された油脂に対して、必要に応じてさらに、脱ロウ工程や脱臭工程を行うことにより、精製油脂を製造することができる。脱ロウ工程や脱臭工程の方法は特に限定されるものではなく、通常食用油を製造する方法を用いて行うことができる。
廃白土に対する低級アルコールの使用割合に対する、低級アルコールの脂肪酸エステル量、抽出油脂量、及び得られる再生白土の有する脱色能について検討した。
≪条件1≫
まず、四つ口フラスコに対してスターラー(パワースターラーAMGH(商品名)、アサヒ理科製作所社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を乳鉢で均一化した後、フラスコ内に廃白土75g、メタノール75g、硫酸1.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、水浴の設定温度を75℃として攪拌を行い、メタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スターラーの目盛りで3.5とし、反応時間は4時間とした。また、反応開始より1時間後から、1時間おきに計4回、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取した。
廃白土15g、メタノール135g、及び硫酸1.5gを用いた以外は、上記条件1と同様にして、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取しながら反応を行い、固体部及び液体部を得た。固体部及び液体部の重量を表1に示す。
反応中にサンプリングを行ったガスクロマトグラフィー用試料のうち、条件1では約30mg、条件2では約200gをそれぞれスクリューキャップ付試験管へ移した。各試料にそれぞれヘキサン1mL及び飽和食塩水2mLを加え、混合し、遠心分離を行って2層に分けた。ヘキサン層をサンプルバイアルへ移し、ガスクロマトグラフィー用のサンプルとした。前記サンプルを用いて、以下の条件でガスクロマトグラフィーを行い、得られたピークを脂肪酸メチルエステル(FAME)、遊離脂肪酸(FA)、モノグリセライド(MG)、ジグリセライド(DG)、トリグリセライド(TG)に分類し、それぞれの組成比を、総ピーク面積に対するピーク面積の割合から算出した。条件1の結果を表2及び図1に、条件2の結果を表3及び図2に示す。
キャリア:ヘリウム、水素。
ヘリウム流量:50mL/分間。
水素流量:50mL/分間。
空気流量:500mL/分間。
気化室温度:300℃。
検出器温度:350℃。
昇温条件:100℃(1分間)→10℃/分間で昇温→350℃(20分間)
導入量:1μL。
スプリット比:50。
また、条件1では、トリグリセリドの割合が時間経過と共に減少し、それに対応して脂肪酸メチルエステル(FAME)が増加した。条件2では、トリグリセリド(TG)、ジグリセリド(DG)、及びモノグリセリド(MG)がいずれも時間経過と共に分解されて減少し、脂肪酸メチルエステル(FAME)が増加した。
上記ガスクロマトグラフィー分析のチャートから得られたピーク総面積を、サンプリング量で割り、油脂の抽出量を算出した。結果を図3(条件1)及び図4(条件2)に示す。
図3~4の結果から、条件1では油脂抽出量は時間が経過しても変わらなかったが、一方、条件2では時間経過と共に油脂抽出量が増加した。条件2では、抽出時間をより長く設定することにより、油脂抽出量がさらに増加する可能性が示唆された。
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、再生白土が有する脱色能の検討を行った。
具体的には、四つ口フラスコに、攪拌棒、スターラー及び温度計ホルダーを設置し、100gの大豆脱酸油をフラスコ内に投入した。スターラーにより攪拌を行いながら、条件1若しくは条件2により得られた再生白土、未使用白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)のいずれかを1g投入し、減圧下、105℃で1時間脱色反応を行った。なお、未使用白土は白色、条件1により得られた再生白土は濃灰色、条件2により得られた再生白土は淡灰色であり、再生前の使用済白土は黒色であった。また、条件1の再生白土と条件2の再生白土とを比較すると、条件1の方が重い感触があった。これは条件1の再生白土の方が、油性成分が内部に残存しているためであると推察される。
その後、ろ過により油脂を抽出し、分光色彩計SD5000(商品名、日本電色工業社製;ガラスセル;光路長10mm)により得られた油脂の色彩測定を、CIElabを評価基準として行った。色彩測定の結果を図5(L*値)及び図6(a*値、b*値)に示す。
次に、CIElabのL*値の結果では、脱色前の油脂(大豆脱酸油)はL*値が90.34であるのに対し、未使用白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)による脱色後の油脂はL*値が98.8、条件1の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.03、条件2の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.77であり、条件1~2の再生白土を用いた場合、未使用白土を用いた場合と同等に、得られる脱色油脂の明度が上がることが確認できた。
さらに、CIElabのa*値、b*値の結果では、条件1~2の再生白土を用いた場合、未使用白土を用いた場合と同様の、色相と彩度を有することが確認できた。
廃白土に対する低級アルコールの使用割合に対する、低級アルコールの脂肪酸エステル量、について検討した。
条件2~4については表4に示す量の廃白土、エタノール(純度99.5%以上)及び硫酸を用いた以外は、上記条件1と同様にして、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取しながら反応を行い、固体部及び液体部の重量を測定した。結果を表4に併せて示す。
ガスクロマトグラフィーにより得られたピークを、脂肪酸エチルエステル(FAEE)、遊離脂肪酸(FA)、モノグリセライド(MG)、ジグリセライド(DG)、トリグリセライド(TG)に分類し、それぞれの組成比を、総ピーク面積に対するピーク面積の割合から算出した。条件1の結果を表5及び図7に、条件2の結果を表6及び図8に、条件3の結果を表7及び図9に、条件4の結果を表8及び図10にそれぞれ示す。
また、条件1~3では、トリグリセリドの割合が時間経過と共に減少し、それに対応して脂肪酸エチルエステル(FAEE)が増加した。条件4では、トリグリセリド(TG)、ジグリセリド(DG)、及びモノグリセリド(MG)がいずれも時間経過と共に分解されて減少し、脂肪酸エチルエステル(FAEE)が増加した。エタノールの仕込み割合が高い程得られる脂肪酸エチルエステルの割合が高くなる傾向が認められた。
低級アルコールとしてエタノールを用い、廃白土に対する低級アルコールの使用割合と反応時間について検討した。
まず、四つ口フラスコに対してスターラー(パワースターラーAMGH(商品名)、アサヒ理科製作所社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を乳鉢で均一化した。均一化した廃白土の水分率は6.8%、ソックスレー抽出法(エーテル)で得られた油分は28.3%であった。
上記フラスコ内に表9に示す量の廃白土、エタノール(純度99.5%以上)及び硫酸を投入した後、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、パワースターラー(アサヒ理化製作所製、製品名:AMG-H)の目盛りで2とし、反応時間は8時間とした。また、反応開始より2時間後から、2時間おきに計4回、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取した。
反応終了後、予め風袋を測定しておいたナス型フラスコ及びブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノールを用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄し、固体部から流出する液体部が透明となるまで洗浄を行った。その後、漏斗及び四つ口フラスコを100℃の恒温槽に1時間静置してエタノールを揮発させ、残存した固体部の重量を測定した。また、ナス型フラスコに対してエバポレートを行い、エタノールを除去したものを液体部とし、その重量を測定した。結果を表9に示す。
具体的には、四つ口フラスコに、攪拌棒、スターラー及び温度計ホルダーを設置し、100gの大豆脱酸油をフラスコ内に投入した。スターラーにより攪拌を行いながら、油浴で100℃まで加温し、100℃に達した時点で、条件1若しくは条件2により得られた再生白土、未使用白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)のいずれかを1g投入し(1%)、105℃まで加温した。105℃に達した後、30分間かけて減圧を行った。30分間経過後、常圧まで戻した後に攪拌しながら85℃まで空冷し、ろ過を行って白土を分離した。ろ過後の油脂については、外観観察及び色彩測定を、参考例1と同様にして行った。
次に、CIElabのL*値の結果では、脱色前の油脂(大豆脱酸油)はL*値が90.34であるのに対し、未使用白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)による脱色後の油脂はL*値が98.44、条件1の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.11、条件2の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.06であり、条件1~2の再生白土を用いた場合、未使用白土を用いた場合と同等に、得られる脱色油脂の明度が上がることが確認できた。
低級アルコールとしてエタノールを用い、廃白土に対する低級アルコール及び酸触媒の使用割合について検討した。
表10に示す量の廃白土、エタノール(純度99.5%以上)及び硫酸を用いた以外は、参考例3の条件1と同様にして、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取しながら反応を行い、固体部及び液体部の重量を測定した。
また、油脂の抽出量は、条件1では時間変化を示す曲線の形が若干歪であったものの、上昇傾向が見られた。また、条件2では、油脂の抽出量は還流反応の2時間後からほぼ横ばい状態になっていた。これらの結果から、条件1では還流反応の時間が8時間経過後にも油脂の抽出が続き、条件2では油脂の抽出は、反応開始4時間ほどで終了していることが示唆された。
この結果、外観観察によれば、条件1により得られた再生白土が有する脱色能は、参考例3において条件1により得られた再生白土よりも僅かに向上していたものの、未使用白土よりは劣っていた。一方で、条件2により得られた再生白土が有する脱色能は、未使用白土とほぼ同等の脱色性能が目視では確認できた。
次に、CIElabのL*値の結果では、脱色前の油脂(大豆脱酸油)はL*値が90.34であるのに対し、未使用白土による脱色後の油脂はL*値が99.05、条件1の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.67、条件2の再生白土による脱色後の油脂はL*値が99.28であり、条件1~2の再生白土を用いた場合、未使用白土を用いた場合と同等に、得られる脱色油脂の明度が上がることが確認できた。
廃白土の処理条件の差異により、得られる再生白土が有する脱色能がどのように変化するかについて検討した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、95%エタノール100g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土25g、99.5%エタノール125g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度はスリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は4時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土15g、95%エタノール135g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度はスリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は1時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約30mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄し、固体部から流出する液体部が透明となるまで洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土25g、95%エタノール125g、硫酸0.15gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度はスリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約30mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄した。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土25g、50%エタノール125g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度はスリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約50mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄した。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、95%エタノール100g、p-トルエンスルホン酸(PTS)12.0gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、95%エタノール100g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、ヘキサン100gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、ヘキサンの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、ヘキサン(約100mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してヘキサンを揮発させ、得られた固体部を回収した。
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、ヘキサン100g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、ヘキサンの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、ヘキサン(約100mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してヘキサンを揮発させ、得られた固体部を回収した。
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、再生白土が有する脱色能の検討を行った。
具体的には、四つ口フラスコに、攪拌棒、スターラー及び温度計ホルダーを設置し、100gの大豆脱酸油をフラスコ内に投入した。スターラーにより攪拌を行いながら、条件1~条件7、及び対照条件1により得られた再生白土のいずれかを1g投入し、減圧下、105℃で0.5時間脱色反応を行った。
その後、ろ過により油脂を抽出し、分光色彩計SD5000(商品名、日本電色工業社製;ガラスセル;光路長10mm)により得られた油脂のL*値を測定した。
同様に、得られた油脂の色度につき、LOVIBOND TINTOMETER MODEL E(商品名、THE TINTOMETER LTD.製;ガラスセル;光路長5.25インチ)にてY値を測定した。
各エステル化反応の反応条件にて得られた再生白土により脱色された脱色油の色度の測定結果、及び脱色工程を行っていない大豆脱酸油の色度測定結果を表11に示す。なお、表11のL*値中、「77+」は、使用した測定装置の計測限界値(77)以上の色味であったことを意味する。
廃白土に対するエタノールの純度及び反応時間による、油脂組成変化、洗浄の影響、及び得られる再生白土が有する脱色能について検討した。
表12に示す量の廃白土、エタノール及び硫酸を用い、かつ還流反応(エステル化反応)の反応時間で行った以外は、参考例5の条件1と同様にして、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取しながら反応を行い、固体部及び液体部の重量を測定した。
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、参考例5と同様にして再生白土が有する脱色能の検討を行った。各エステル化反応の反応条件にて得られた再生白土により脱色された脱色油の色度の測定結果、及び脱色工程を行っていない大豆脱酸油の色度測定結果を表12に示す。条件1~5にて処理された再生白土によって脱色された脱酸油は、いずれもL*値、Y値ともに、未使用白土によって脱色された脱酸油とほぼ同等の数値であった。
エステル化反応後の再生白土をさらに水で洗浄することの影響について検討した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、95%エタノール100g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応開始より1時間毎にガスクロマトグラフィー用の試料を採取した。反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。
その後、固体部を500mL容のステンレスジョッキにかき取り、水(100g)を加え、スターラーにて10分間攪拌洗浄を行った。この水洗浄操作につき、1回行ったものの他に、更なる比較のため、2回及び3回行った。
攪拌洗浄後、ブフナー漏斗にて固体部と液体部に分離し、漏斗を110℃の恒温槽に8時間静置して水を主成分とした液体部を揮発させ、得られた固体部を回収した。
エステル化反応後の再生白土を洗浄する前に、中和処理を行うことの影響について検討した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土125g、95%エタノール250g、硫酸11.25g(反応液全体の3%)を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応開始より1時間毎にガスクロマトグラフィー用の試料を採取した。反応時間は4時間とした。
反応終了後、反応液に水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムを、反応液全体に対するこのアルカリの添加量が表19に示す量(%モル)となるように添加し、混合した後、ブフナー漏斗を用いてこの混合液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。
得られた固体部に95%エタノールを添加して、洗浄した。洗浄に要したエタノール量は、水酸化ナトリウムによって中和した場合には400mL、炭酸ナトリウムによって中和した場合には700mLであった。ろ液には、エタノールに難溶の褐色滴が付着していた。
エタノール洗浄後の固体部を500mL容のステンレスジョッキにかき取り、水(100g)を加え、スターラーにて10分間攪拌洗浄を1回又は2回繰り返して行った。攪拌洗浄後、ブフナー漏斗にて固体部と液体部に分離し、漏斗を110℃の恒温槽に8時間静置して水を主成分とした液体部を揮発させ、得られた固体部を回収した。
連続再生による脱色能変化について検討した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100g、95%エタノール200g、硫酸3gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を80℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。
得られた固体部に95%エタノールを添加して攪拌した後、ろ過することによって洗浄した。エタノール洗浄後の固体部を500mL容のステンレスジョッキにかき取り、水(100g)を加え、スターラーにて10分間攪拌洗浄を行った。攪拌洗浄後、ブフナー漏斗にて固体部と液体部に分離し、漏斗を110℃の恒温槽に8時間静置して水を主成分とした液体部を揮発させ、得られた固体部(再生白土)を回収した。
参考例5と同様にして、回収された再生白土により大豆脱酸油を脱色し、脱色された脱色油の色度を測定した。
使用後の廃白土を、再び廃白土として新たに再生させた。この再生・脱色の工程を5回繰り返した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG-4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100g、95%エタノール200g、硫酸3gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を80℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、反応液に65%モルの水酸化ナトリウムを添加し、混合して中和した後、ブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。
得られた固体部に95%エタノールを添加して攪拌した後、ろ過することによって洗浄した。エタノール洗浄後の固体部を500mL容のステンレスジョッキにかき取り、水(100g)を加え、スターラーにて10分間攪拌洗浄を行った。攪拌洗浄後、ブフナー漏斗にて固体部と液体部とに分離し、漏斗を110℃の恒温槽に8時間静置して水を主成分とした液体部を揮発させ、得られた固体部(再生白土)を回収した。
参考例5と同様にして、回収された再生白土により大豆脱酸油を脱色し、脱色された脱色油の色度を測定した。
使用後の廃白土を、再び廃白土として新たに再生させた。この再生・脱色の工程を5回繰り返した。
本発明の再生白土の製造方法により、連続再生の難しい菜種油廃白土を再生し、連続再生による脱色能変化について検討した。
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100部、95%エタノール200部、硫酸9部を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(100部)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
廃白土100部に対する硫酸の使用量を15部とした以外は参考条件1と同様にして、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土を95%エタノールと硫酸と混合して還流状態で5時間反応させた後、固体部と液体部とに分離し、回収した固体部からエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
本発明の第1の態様における再生白土の製造方法により、菜種油廃白土を再生した。
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100部、95%エタノール200部を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、20分間かけてエタノールが還流する状態まで昇温した。その後、液性成分と固形成分の一部をそれぞれサンプリングした後、硫酸15部を投入し、反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、液性成分の一部をサンプリングした後、参考条件1と同様にして、反応液を固体部と液体部とに分離し、回収した固体部からエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
本発明の第1の態様における再生白土の製造方法と第3の態様における再生白土の製造方法とを組み合わせた方法により、菜種油廃白土を再生した。
具体的には、条件1と同様にして、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土と95%エタノールと硫酸の混合物を還流状態で5時間反応させた。反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール100部を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、得られた固体部を撹拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した四つ口フラスコに回収し、95%エタノール200部を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点から1時間撹拌処理した。
撹拌終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール100部を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
本発明の第1の態様における再生白土の製造方法と第2の態様における再生白土の製造方法とを組み合わせた方法により、菜種油廃白土を再生した。
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100部、95%エタノール200部を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、20分間かけてエタノールが還流する状態まで昇温した後、硫酸15部を投入し、反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応開始1時間後に撹拌及び加熱を一時停止し、白土が沈降したことを確認後、反応液を100部抜き取った。その後、95%エタノールを新たに投入し、エタノールの還流が確認された時点から更に4時間反応させた。
反応終了後、ブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール100部を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
ヘキサンのみを用いて、廃白土から油性成分の抽出を行った。
具体的には、フラスコ内に、廃白土100部、95%エタノール200部及び硫酸9部を投入することに替えて、廃白土100部及びヘキサン200部のみを投入した以外は、参考条件1と同様にして、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土を還流状態で5時間反応させた後、固体部と液体部とに分離し、回収した固体部からヘキサンを揮発させ、得られた固体部を回収した。
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、再生白土が有する脱色能の検討を行った。
具体的には、四つ口フラスコに、攪拌機及び温度計ホルダーを設置し、100部の菜種脱酸油をフラスコ内に投入した。攪拌機により攪拌を行いながら、参考条件1及び2、条件1~3、並びに対照条件1により得られた再生白土のいずれかを1.5部投入し、減圧下、105℃で0.5時間脱色反応を行った。
その後、ろ過により得られた油脂(脱色処理後の脱酸油)の色度につき、LOVIBOND TINTOMETER MODEL E(商品名、THE TINTOMETERLTD.製;ガラスセル;光路長5.25インチ)にてY値を測定した。
また、対照試験として、未使用白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製))、再生前の廃白土(未処理廃白土)のそれぞれにつき、同条件にて脱色反応を行った。
菜種油の脱色に使用した再生白土を廃白土として回収し、さらにそれぞれの再生条件による再生・脱色を繰返し、脱色処理後の脱酸油の色度測定を行った。
表22に、それぞれの条件、対照試験によって得られた脱色油の色度の測定結果、未使用白土を用いた脱色反応によって得られた脱色油の色度の測定結果、未処理廃白土を用いた脱色反応によって得られた脱色油の色度の測定結果、及び脱色工程を行っていない菜種脱酸油(表中、「脱色前脱酸油」)の色度測定結果を示す。
Claims (27)
- 廃白土の脱色能を再生させる再生白土の製造方法であって、
前記製造方法は、油脂の精製に用いられた廃白土と低級アルコールとを混合した状態で維持する前処理工程と、再生工程と、を有し、
前記再生工程は、前記前処理工程後の前記廃白土と低級アルコールとの混合物に酸性触媒を混合すること;及び
前記廃白土からの油性成分の抽出と、
前記抽出された油性成分中の油脂及び遊離脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分と前記低級アルコールとのエステル化反応と、を同時に行うことを含む、再生白土の製造方法。 - 前記前処理工程において、前記廃白土と低級アルコールとの混合物を維持する時間が、3分間以上、24時間以内である、請求項1に記載の再生白土の製造方法。
- 前記前処理工程の終了時点における前記廃白土と低級アルコールとの混合物の温度が、60℃~200℃である、請求項1又は2に記載の再生白土の製造方法。
- 前記再生工程において、前記前処理工程によって調製された混合物中の低級アルコールが還流している状態で、前記酸性触媒を混合し、さらに前記低級アルコールが還流している状態で前記油性成分の抽出と前記エステル化反応とを行うことを含む請求項1~3のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記再生工程が、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する処理、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行うことを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記製造方法が、前記再生工程後、得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により回収した再生白土を、低級アルコールと混合し、この混合物からさらに油性成分を抽出する抽出工程、をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記前処理工程において、前記低級アルコールが、前記廃白土100質量部に対して、50~900質量部で混合される、請求項1~6のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 廃白土の脱色能を再生させる再生白土の製造方法であって、
前記製造方法は、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合すること;及び
前記廃白土からの油性成分の抽出と、
前記抽出された油性成分中の油脂及び遊離脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行うこと、を含む再生工程を有し、
前記再生工程は、前記混合物の一部の液性成分を低級アルコールで置換する処理、又は前記混合物に新たに低級アルコールを添加する処理を、1又は複数回行うことを含む、
再生白土の製造方法。 - 廃白土の脱色能を再生させる再生白土の製造方法であって、
前記製造方法は、再生工程と抽出工程とを有し、
前記再生工程は、油脂の精製に用いられた廃白土と、低級アルコールと、酸性触媒とを混合すること;及び
前記廃白土からの油性成分の抽出と、
前記抽出された油性成分中の油脂及び遊離脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分と前記低級アルコールとのエステル化反応とを同時に行うこと、を含み、
前記抽出工程は、前記再生工程後に得られた再生白土を含む混合物から固液分離処理により再生白土を回収すること;及び
前記回収した再生白土と低級アルコールとを混合し、この混合物からさらに油性成分を抽出すること、とを含む、再生白土の製造方法。 - 前記再生工程において、前記低級アルコールが、前記廃白土100質量部に対して、50~900質量部で混合される、請求項8又は9に記載の再生白土の製造方法。
- 前記再生工程において、前記油性成分の抽出と、前記エステル化反応とが、60℃~200℃の温度において行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記脱色能が再生された再生白土によって精製を行った油脂のCIElab法におけるL*値と、未使用の白土を用いて精製を行った油脂のCIElab法におけるL*値との差が、2以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記脱色能が再生された再生白土によって精製を行った油脂のセル長さが5.25インチのロビボンド比色計におけるY値と、未使用の白土を用いて精製を行った油脂の前記ロビボンド比色計におけるY値との差が、25以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記油性成分中の油脂及び遊離脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの成分と低級アルコールとのエステル化反応によって、酸価が0以上、10以下のエステルが得られる、請求項1~13のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記酸性触媒が、酸触媒である、請求項1~14のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記酸触媒が、硫酸である、請求項15に記載の再生白土の製造方法。
- 前記低級アルコールが、炭素数1以上、8以下のアルコールである、請求項1~16のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記再生工程又は前記抽出工程の後の脱色能が再生された再生白土を、溶解度パラメータであるSP値が7~15の溶媒で洗浄することをさらに含む請求項1~17のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記再生工程又は前記抽出工程の後の脱色能が再生された再生白土のpHを3~8に調整した後、この再生白土を、溶解度パラメータであるSP値が7~15であり、かつpH3~8の溶媒で洗浄することをさらに含む請求項1~17のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記再生白土の洗浄を、0℃~200℃で行う請求項18又は19に記載の再生白土の製造方法。
- 溶解度パラメータであるSP値が7~15であり、かつpH3~8の溶媒による洗浄後の再生白土から、さらに塩を除去することを含む請求項19に記載の再生白土の製造方法。
- 溶解度パラメータであるSP値が7~15であり、かつpH3~8の溶媒による洗浄後の再生白土をさらに水で洗浄することを含む請求項21に記載の再生白土の製造方法。
- 前記油脂が、植物油である、請求項1~22のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法。
- 前記油脂が、菜種油である、請求項23に記載の再生白土の製造方法。
- 請求項1~24のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法により、酸価が0以上、10以下のエステルを製造する方法。
- 請求項1~24のいずれか一項に記載の再生白土の製造方法により製造された再生白土。
- 請求項26に記載の再生白土によって油脂を脱色する工程を含む精製油脂の製造方法。
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