WO2013145931A1

WO2013145931A1 - エアバッグ装置、締結構造及び締結部材

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Publication number: WO2013145931A1
Application number: PCT/JP2013/053899
Authority: WO
Inventors: 啓介小野原; 弘臼田
Original assignee: タカタ株式会社
Priority date: 2012-03-27
Filing date: 2013-02-18
Publication date: 2013-10-03
Also published as: CN104203656B; CN104203656A; US9168877B2; EP2832591A4; US20150069740A1; EP2832591B1; JP2013227001A; JP5921372B2; EP2832591A1

Abstract

　エアバッグ装置は、エアバッグと、前記エアバッグを覆うカバー部と、前記カバー部の表側に装着される装着部材と、前記装着部材を前記カバー部の裏側で締結する締結部材とを備える。前記締結部材は、前記装着部材に設けられた第１の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第１の係止部に側方より挿通する第１の締結部と、前記装着部材に設けられた第２の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第２の係止部に側方より挿通する第２の締結部と、前記第１の締結部の基端部と前記第２の締結部の基端部を結合する結合部とを有し、前記第１の締結部及び前記第２の締結部の外形は互いに異なる。

Description

エアバッグ装置、締結構造及び締結部材

　本発明は、エアバッグを覆うカバー部の表側に装着される装着部材をカバー部の裏側で締結する技術に関する。

　例えば、自動車のステアリング操作を行うためのステアリングホイールには、運転席用のエアバッグ装置が取り付けられ、エアバッグ装置のカバー部の表側には、自動車会社のエンブレム等の装着部材が装着されることがある。エンブレムをカバー部に締結することに関する先行技術として、例えば特許文献１が知られている。

特開平９－１１８３３号公報

　しかしながら、エンブレム等の装着部材をカバー部に締結するための締結部材の形状等によっては、締結部材の組み付けの誤りを防止することが難しい場合がある。

　そこで、本発明は、締結部材の組み付けの誤りを容易に防止できる、エアバッグ装置、締結構造及び締結部材の提供を目的とする。

　本発明の一観点によれば、
　エアバッグと、
　前記エアバッグを覆うカバー部と、
　前記カバー部の表側に装着される装着部材と、
　前記装着部材を前記カバー部の裏側で締結する締結部材とを備え、
　前記締結部材は、
　　前記装着部材に設けられた第１の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第１の係止部に側方より挿通する第１の締結部と、
　　前記装着部材に設けられた第２の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第２の係止部に側方より挿通する第２の締結部と、
　　前記第１の締結部の基端部と前記第２の締結部の基端部を結合する結合部とを有し、
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部の外形は互いに異なるエアバッグ装置が提供される。

　本発明の一観点によれば、
　エアバッグを覆うカバー部と、
　前記カバー部の表側に装着される装着部材に設けられた第１の係止部及び第２の係止部と、
　前記装着部材を前記カバー部の裏側で締結する締結部材とを備え、
　前記締結部材は、
　　前記第１の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第１の係止部に側方より挿通する第１の締結部と、
　　前記第２の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第２の係止部に側方より挿通する第２の締結部と、
　　前記第１の締結部の基端部と前記第２の締結部の基端部を結合する結合部とを有し、
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部の外形は互いに異なる締結構造が提供される。

　本発明の一観点によれば、
　エアバッグを覆うカバー部の表側に装着される装着部材を前記カバー部の裏側で締結するための締結部材であって、
　前記装着部材に設けられた第１の係止部に挿通可能に形成された第１の締結部と、
　前記装着部材に設けられた第２の係止部に挿通可能に形成された第２の締結部と、
　前記第１の締結部の基端部と前記第２の締結部の基端部を結合する結合部とを有し、
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部の外形は互いに異なる締結部材が提供される。

　開示のエアバッグ装置、締結構造及び締結部材によれば、締結部材の組み付けの誤りを容易に防止できる。

エアバッグ装置を示す図である。エアバッグ装置のカバー部に形成された、装着部材の取付部を拡大して示す図である。装着部材を裏側からみた斜視図である。装着部材を裏側からみた底面図である。図４に示す装着部材を右側方からみた側面図である。締結構造を示す図である。締結部材を斜め上方からみた斜視図である。一実施形態における締結部材の平面図である。図８の右側方からみた締結部材の側面図である。図８のＹ－Ｙ線に沿う締結部材の縦断面図である。他の実施形態における締結部材の平面図である。他の実施形態における締結構造を示す図である。締結部材の挿入方向と表裏関係がいずれも誤った場合の組み付け状態図である。締結部材の挿入方向が正しくて表裏関係が誤った場合の組み付け状態図である。締結部材の挿入方向が誤って表裏関係が正しい場合の組み付け状態図である。

　以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。

　〔エアバッグ装置１の構成〕
　図１は、本発明の一実施形態におけるエアバッグ装置１を示す図である。エアバッグ装置１は、エアバッグ１００と、カバー部２０と、装着部材３０と、後述する締結部材とを備える。エアバッグ１００は、エアバッグ装置１が有する不図示のインフレータから供給されるガスによって膨張し、膨張が所定量を超えるとカバー部２０の少なくとも一部を開裂させてカバー部２０の外部まで延出する。例えばエアバッグ装置１が車両に搭載されている場合、エアバッグ１００は車両と乗員との間で膨張する。カバー部２０は、膨張する前の、折り畳まれて収容されたエアバッグ１００を覆った状態で、エアバッグ装置１が有する不図示の支持部材に固定される。カバー部２０は、例えば熱可塑性エラストマー等の樹脂材により成形可能である。装着部材３０は、乗員が視認できるようにカバー部２０の表面２１側に装着される部品である。装着部材３０の一例として、自動車会社のエンブレム等の装飾部品が挙げられる。図１に示す装着部材３０の形状、大きさ及び模様は、あくまで一例であり、図１に示す形状、大きさ及び模様に限られない。カバー部２０の表面２１側の中央部分には、装着部材３０が装着される取付部４０が形成されている。

　図２は、装着部材３０が取り付けられる取付部４０を拡大して示す図である。カバー部２０の取付部４０には、装着部材３０に設けられたＵ字形状係止部３２－１～３２－４が挿入される長方形状の取付用穴４２－１～４２－４が、カバー部２０の表側から裏側に貫通して形成されている。この例では、カバー部２０の表側とは、表面２１側を言い、カバー部２０の裏側とは、表面２１とは反対側を言う。Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４については後述する。取付用穴４２－１～４２－４の周囲には、円形及び四角形状の取付用穴４４－１～４４－８が、カバー部２０の表側から裏側に貫通して形成されている。

　〔装着部材３０の構成〕
　図３は、装着部材３０を裏側からみた斜視図である。図４は、装着部材３０を裏側からみた底面図である。図５は、図４に示す装着部材３０を図４中右側方からみた側面図である。

　装着部材３０は、ヘアライン加工が施されたアルミニウム合金等の金属材により成形しても、ＡＢＳ樹脂（Acrylonitrile Butadiene Styrene Copolymer）等の樹脂材により成形しても、他の材質により成形しても良い。

　装着部材３０のベース３０ａの裏側から、４つのＵ字状に形成されたＵ字形状係止部３２－１～３２－４が突出している。図５では図示を省略するが、図４に示すように、ベース３０ａの裏面の周縁部には、位置決め用ボス３４－１，３４－２と、カバー部２０に係止（即ち、保持）される係止用鉤部３６－１～３６－６とが設けられている。装着部材３０は、位置決め用ボス３４－１，３４－２がカバー部２０の取付部４０の取付用穴４４－１，４４－２に挿入されることで、カバー部２０の取付部４０に対して位置決めされる。また、装着部材３０は、図３に示す６箇所の係止用鉤部３６－１～３６－６が図２に示す取付部４０の取付用穴４４－３～４４－８に係止（即ち、挿入されてロック）されることで、装着部材３０の裏側が取付部４０に密着した状態で保持される。

　Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４は、装着部材３０の裏側に対して門形に突出するように形成され、装着部材３０の裏側との間に後述の締結部材が挿入される締結用穴３２－１ａ～３２－４ａを形成している。

　また、図４に示すように、Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４は、装着部材３０の裏側からみると、装着部材３０の図４中縦方向の中心線Ｏに対して所定角度α傾斜した方向に延在するよう形成されている。図４に示す例の場合、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－２は、中心線Ｏに対して線対称に装着部材３０の裏側に配置され、Ｕ字形状係止部３２－３，３２－４は、中心線Ｏに対して線対称に装着部材３０の裏側に配置されている。

　〔装着部材３０の締結構造〕
　図６は、本発明の一実施形態における締結構造１０を示す図である。締結構造１０は、カバー部２０と、カバー部２０の裏面２２側に突出する装着部材３０のＵ字形状係止部３２－１～３２－４と、装着部材３０のＵ字形状係止部３２－１～３２－４をカバー部２０に裏面２２側で締結する締結部材５０とを有する。尚、本実施形態では、自動車会社のエンブレムである装着部材３０をカバー部２０の表側に装着する場合を一例として挙げるが、エンブレム以外の装着部材を締結する場合にも本発明が適用できることは言うまでもない。

　また、カバー部２０の表側に装着された装着部材３０を締結する際は、締結部材５０の第１及び第２の締結部６０，７０を装着部材３０のＵ字形状係止部３２－１～３２－４の締結用穴３２－１ａ～３２－４ａに挿通させる所謂かんぬき構造により、Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４がカバー部２０の裏面２２側に締結される。

　〔締結部材５０の構成〕
　図７は、締結部材５０を斜め上方からみた斜視図である。図８は、一実施形態における締結部材５０の平面図である。図９は、図８の右側方からみた締結部材５０の側面図である。図１０は、図８のＹ－Ｙ線に沿う締結部材５０の縦断面図である。

　締結部材５０は、例えば熱可塑性樹脂等により成型されており、例えば図７に示すように、Ｘａ方向及び／又はＸｂ方向（以下、「Ｘ方向」とも言う）と平行に延在する第１及び第２の締結部６０，７０と、第１及び第２の締結部６０，７０の基端部６４，７４間を結合する結合部８０と、第１及び第２の締結部６０，７０が上述のＵ字形状係止部３２－１～３２－４から抜け出ることを防止する抜け防止部９０とを有する。

　締結部材５０は、Ｘ方向に直線的に延在する２本の締結部６０，７０の基端部６４，７４間を結合部８０により結合する構成であるため、コ字形状（又は、Ｕ字形状）に形成されているが、結合部８０の形状に応じてコ字状以外の形状としても良い。また、第１及び第２の締結部６０，７０の先端部６２，７２は、Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４の締結用穴３２－１ａ～３２－４ａへ容易に挿入できるように頂点部側ほど薄くなるテーパ形状に形成しても良い。

　第１の締結部６０と第２の締結部７０は、それぞれＸ方向に延在するように棒状に形成されている。第１の締結部６０と第２の締結部７０は、第１の締結部６０と第２の締結部７０との間をＸ方向に仮想的に引いた直線に対して非対称な形状に形成され、第１の締結部６０と第２の締結部７０の外形は互いに異なる。第１の締結部６０と第２の締結部７０がこのように互いに異なる形状を有することで、例えば作業者又は組み付け装置が締結部材５０をカバー部２０の裏側に誤った組み付け方法で組み付けても、目視又は画像認識によって、その誤りを確認できるため、締結部材５０の組み付けの誤りを容易に防止できる。

　例えば図８において、第１の締結部６０及び第２の締結部７０の両締結部の長さと幅の少なくとも一方が、両締結部６０，７０間で異なる寸法としても良い。第１の締結部６０の長さとは、第１の締結部６０が延在するＸ方向上、第１の締結部６０の基端部６４から先端部６２までの長さを言う。第２の締結部７０の長さとは、第２の締結部７０が延在するＸ方向上、第２の締結部７０の基端部７４から先端部７２までの長さを言う。第１の締結部６０の幅とは、第１の締結部６０と第２の締結部７０とが離間するＹａ方向及び／又はＹｂ方向（以下、「Ｙ方向」とも言う）上、第１の締結部６０の側面６６，６８間の長さを言う。第２の締結部７０の幅とは、第１の締結部６０と第２の締結部７０とが離間するＹ方向上、第２の締結部７０の側面７６，７８間の長さを言う。

　例えば図８の実施形態の場合、第１の締結部６０の長さＬ１が第２の締結部７０の長さＬ２よりも長く形成されている（Ｌ１＞Ｌ２）。長さＬ１は、基端部６４と結合部８０との接続部８１から先端部６２の頂点部６１までのＸ方向上の長さであり、長さＬ２は、基端部７４と結合部８０との接続部８１から先端部７２の頂点部７１までのＸ方向上の長さである。

　第１の締結部６０の長さＬ１と第２の締結部７０の長さＬ２とを異なる寸法にすることで、図６に示すように、締結部材５０の組み付け時にカバー部２０の裏側に対して左手方向から右手方向（即ち、Ｘｂ方向）に挿入操作すべきところを誤って右手方向から左手方向（即ち、Ｘａ方向）に挿入しようとすることを防止できる。また、第１の締結部６０の長さＬ１と第２の締結部７０の長さＬ２とを異なる寸法にすることで、締結部材５０の組み付け時に締結部材５０の挿入方向が左手方向から右手方向（即ち、Ｘｂ方向）で合っていても締結部材５０を裏返して挿入することを防止できる。さらに、締結部材５０の挿入方向を間違えていることに気付かずに締結部材５０を右手方向から左手方向（即ち、Ｘａ方向）に挿入した場合、抜け防止部９０の各位置がＵ字形状係止部３２－１～３２－４の位置と一致しないため、締結部材５０の誤挿入を防止できる。

　また、例えば図１１に示す他の実施形態における締結部材１５０の場合、第１の締結部６０の幅Ｌ６が第２の締結部７０の幅Ｌ７よりも長く形成されている（Ｌ６＞Ｌ７）。このように第１の締結部６０の幅Ｌ６が第２の締結部７０の幅Ｌ７よりも長く形成されるのに伴い、第１の締結部６０が図３に示す締結用穴３２－１ａ，３２－２ａを挿通できるように、且つ、第２の締結部７０が締結用穴３２－３ａ，３２－４ａを挿通できるように、図５に示す締結用穴３２－１ａ，３２－２ａの開口寸法Ｌ４は、締結用穴３２－３ａ，３２－４ａの開口寸法Ｌ４よりも大きい寸法に形成しても良い。幅Ｌ６と幅Ｌ７とを異なる寸法にすることで、締結部材５０の組み付け時に締結部材５０の挿入方向が左手方向から右手方向（即ち、Ｘｂ方向）で合っていても締結部材５０を裏返して挿入することを防止できる。

　また、例えば図６において、第１の締結部６０及び第２の締結部７０のうち一方の締結部は、Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４のうち他方の締結部が挿通するＵ字形状係止部を挿通できないように形成しても良い。例えば、第１の締結部６０は、Ｕ字形状係止部３２－３，３２－４の少なくとも一方に挿通できない大きさに形成しても良い。又は、第２の締結部７０は、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－２の少なくとも一方に挿通できない大きさに形成しても良い。このように第１の締結部６０及び第２の締結部７０のうち一方を形成することにより、締結部材５０の組み付け時の締結部材５０の挿入方向が左手方向から右手方向（即ち、Ｘｂ方向）への正しい挿入方向で締結部材５０を裏返して挿入しようとしても挿入できないため、締結部材５０の誤挿入を容易に防止できる。例えば図１１において、第１の締結部６０がＵ字形状係止部３２－３，３２－４に挿通できないように、第１の締結部６０の幅Ｌ６は第２の締結部７０の幅Ｌ７よりも大きい寸法に形成しても良い。

　また、第１の締結部６０がＵ字形状係止部３２－３，３２－４に挿通できないように、第１の締結部６０の幅Ｌ６は、図５に示す締結用穴３２－３ａ，３２－４ａの少なくとも一方の開口寸法Ｌ４よりも大きな寸法であれば良い。これにより、締結部材１５０の挿入方向が例えば図６中Ｘｂ方向で正しくても、締結部材１５０の挿入時の表裏が間違っていれば（即ち、裏返しであれば）、第１の締結部６０の先端部６２が、Ｕ字形状係止部３２－３又はＵ字形状係止部３２－４の側面部と当接して止められる。また、締結部材１５０の挿入時の表裏が正しくても、締結部材１５０の挿入方向が例えば図６中Ｘａ方向で間違っていれば、同様にして、第１の締結部６０の先端部６２が、Ｕ字形状係止部３２－３又はＵ字形状係止部３２－４の側面部と当接して止められる。その結果、第１の締結部６０は締結用穴３２－３ａ又は３２－４ａを貫通することはできないため、締結部材１５０を誤った挿入方法で挿入しようとしても挿入できず、締結部材１５０の誤挿入を容易に防止できる。

　もちろん、第２の締結部７０がＵ字形状係止部３２－１，３２－２に挿通できないように、図１１に示す第２の締結部７０の幅Ｌ７は、図５に示す締結用穴３２－１ａ，３２－２ａの少なくとも一方の開口寸法Ｌ４よりも大きな寸法であっても、締結部材１５０の誤挿入を容易に防止するという上記と同様の効果が得られる。また、一方の締結部が他方の締結部が挿通する係止部を挿通できないように、一方の締結部の高さは、他方の締結部が挿通する締結用穴の高さよりも大きな寸法であっても、締結部材１５０の誤挿入を容易に防止するという上記と同様の効果が得られる。

　また、図１２は、他の実施形態における締結部材５０及び締結構造１１を示す。図１２の場合、第１の締結部６０は、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－２に正規の側方とは反対側の側方より挿通できないように形成された挿通不能部の一例として、拡幅部６３を有している。図１２の場合、正規の挿入方向は、Ｘａ方向である。先端部６２よりも幅広の拡幅部６３は、図１２に示す正規の締結状態で、Ｕ字形状係止部３２－１と３２－２との間に位置するように形成されている。Ｕ字形状係止部３２－１，３２－２は、第１の締結部６０の挿通方向に並んだ被挿通部の一例である。なお、図６と同様の構成についての説明は省略する。

　図１２の拡幅部６３は、Ｕ字形状係止部３２－１に正規の挿入方向Ｘａで側方より挿通できるように、締結用穴３２－１ａの開口幅以下の幅で形成され、Ｕ字形状係止部３２－２に誤った挿入方向Ｘｂで側方より挿通できないように、締結用穴３２－２ａの開口幅よりも大きな幅で形成されている。

　このような拡幅部６３により、図１３に示すように、締結部材５０を間違った挿入方向Ｘｂで裏返して挿入しようとしても、拡幅部６３はＵ字形状係止部３２－２の側面部３２－２ｂと当接して止められるので締結用穴３２－２ａを貫通することはできない。従って、締結部材５０をこのような誤った挿入方法で挿入しようとしても挿入できないため、締結部材５０の誤挿入を容易に防止できる。

　また、拡幅部６３は、Ｕ字形状係止部３２－３の締結用穴３２－３ａの開口幅よりも大きな幅で形成されている。これにより、図１４に示すように、締結部材５０の挿入方向がＸａで正しくても、締結部材２５０の挿入時の表裏が間違っていれば、拡幅部６３はＵ字形状係止部１３２－３の側面部３２－３ｂと当接して止められるので締結用穴３２－３ａを貫通することはできない。従って、締結部材５０をこのような誤った挿入方法で挿入しようとしても挿入できないため、締結部材５０の誤挿入を容易に防止できる。

　また、拡幅部６３は、Ｕ字形状係止部３２－４の締結用穴３２－４ａの開口幅よりも大きな幅で形成されている。これにより、図１５に示すように、締結部材５０の挿入時の表裏が正しくても、締結部材５０の挿入方向が間違っていれば、拡幅部６３はＵ字形状係止部３２－４の側面部３２－４ｂと当接して止められるので締結用穴３２－４ａを貫通することはできない。従って、締結部材５０をこのような誤った挿入方法で挿入しようとしても挿入できないため、締結部材５０の誤挿入を容易に防止できる。

　もちろん、拡幅部６３は、第１の締結部６０ではなく、第２の締結部７０に形成しても良い。また、締結部の一部の幅を大きくする例を示したが、締結部の一部の高さを高くしても良い。

　また、図１２において、第２の締結部７０がＵ字形状係止部３２－２に挿通できないように、第２の締結部７０の外形寸法（幅又は高さ）は、締結用穴３２－２ａの開口寸法（幅又は高さ）よりも大きな寸法であっても良い。これにより、締結部材５０の挿入方向が例えば図７中Ｘａ方向であり正しくても、締結部材５０の挿入時の表裏が間違っていれば（裏返しであれば）、第２の締結部７０の先端部７２が、Ｕ字形状係止部３２－１を通過したとしても、Ｕ字形状係止部３２－２の右側の側面部と当接して止められる。また、締結部材５０の挿入時の表裏が正しくても、締結部材５０の挿入方向が例えば図７中Ｘｂ方向であり間違っていれば、同様に、第２の締結部７０の先端部７２が、Ｕ字形状係止部３２－２の左側の側面部と当接して止められる。このように、第２の締結部７０は締結用穴３２－２ａを貫通することはできない。従って、締結部材５０をこのような誤った挿入方法で挿入しようとしても挿入できないため、締結部材５０の誤挿入を容易に防止できる。

　ところで、図６及び図７に示すように、抜け防止部９０は、第１の当接部９１，９３と、第２の当接部９２，９４とを有する。第１の当接部９１，９３は、第１及び第２の締結部６０，７０の先端部６２，７２付近に設けられ、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３の先端部６２，７２側の図６中右側に設けられた側面部３２－１ｂ，３２－３ｂに当接する。第２の当接部９２，９４は、第１及び第２の締結部６０，７０の基端部６４，７４付近に設けられ、Ｕ字形状係止部３２－２，３２－４の基端部６４，７４側の図６中左側に設けられた側面部３２－２ｂ，３２－４ｂに当接する。

　第１の当接部９１，９３は、第１及び第２の締結部６０，７０の上面に対して先端部６２，７２側より基端部６４，７４側の方が高くなるように第１及び第２の締結部６０，７０の上面側に切り起こされている。また、第１の当接部９１，９３は、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３の締結用穴３２－１ａ，３２－３ａに対して挿入方向（即ち、Ｘｂ方向）の移動を可能とし、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３の締結用穴３２－１ａ，３２－３ａに対して抜き取り方向（即ち、Ｘａ方向）の移動を規制するように所定角度β傾斜している。

　第１の当接部９１，９３の切り起こし高さは、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３の横架部分とほぼ同じ高さとなっている。そのため、図６において、第１及び第２の締結部６０，７０をＵ字形状係止部３２－１～３２－４の締結用穴３２－１ａ～３２－４ａに側方（即ち、Ｘｂ方向）から挿入する際は第１の当接部９１，９３が傾斜状態から水平側に撓んで挿入操作が可能になる。

　また、第１及び第２の締結部６０，７０をＵ字形状係止部３２－１～３２－４の締結用穴３２－１ａ～３２－４ａに挿通した後の引き抜く方向（即ち、Ｘａ方向）へのスライド操作は、切り起こされた第１の当接部９１，９３の端部がＵ字形状係止部３２－１，３２－３の側面部３２－１ｂ，３２－３ｂに当接するため、阻止される。よって、第１の当接部９１，９３により締結部材５０の脱落が防止される。

　第１の当接部９１と第１の当接部９３とは、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３が図４に示すように装着部材３０の中心線Ｏに対して所定角度α傾斜するように配置されているので、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３の傾斜方向に対応するように図８中Ｘ方向に距離Ｄ１だけずらした位置に設けられている。誤組み付けをしようとしても第１の当接部９１と第２の当接部９３のいずれか一方の当接部が、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３の側面部３２－１ｂ，３２－３ｂのうち当接すべき側面部に当接できないように距離Ｄ１を調整することによって、締結部材５０の誤組み付けを容易に防止できる。

　第２の当接部９２，９４は、図８中Ｙａ，Ｙｂ方向の横幅寸法Ｌ３が図５に示すＵ字形状係止部３２－１～３２－４の締結用穴３２－１ａ～３２－４ａの開口寸法Ｌ４より大きい寸法に形成されている（Ｌ３＞Ｌ４）。これにより、第２の当接部９２，９４は、第１及び第２の締結部６０，７０の基端部６４，７４側の側面６６，６８，７６，７８より幅広方向（即ち、Ｙａ，Ｙｂ方向）に突出しており、Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４の締結用穴３２－１ａ～３２－４ａより幅広に形成されている。

　第２の当接部９２，９４は、第１及び第２の締結部６０，７０の両側面６６，６８，７６，７８より三角形状に突出するように形成されている。また、第２の当接部９２，９４は、図４に示すようにＵ字形状係止部３２－２，３２－４が装着部材３０の中心線Ｏに対して所定角度α傾斜するように配置されているので、図８に示すようにＵ字形状係止部３２－２，３２－４の傾斜方向に対応するようにＸ方向に距離Ｄ２だけずらした位置に設けられている。誤組み付けをしようとしても第２の当接部９２と第２の当接部９４のいずれか一方の当接部が、Ｕ字形状係止部３２－２，３２－４の側面部３２－２ｂ，３２－４ｂのうち当接すべき側面部に当接できないように距離Ｄ２を調整することによって、締結部材５０の誤組み付けを容易に防止できる。

　また、４つの当接部９１，９２，９３，９４のうち少なくとも一つの当接部が、Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４の側面部３２－１ｂ～３２－４ｂのうち当接すべき側面部に当接できないように、図８に示す距離Ｄ３，Ｄ４を互いに異なる寸法にすることによって、締結部材５０の誤組み付けを容易に防止できる。距離Ｄ４は、第１の当接部９１と第２の当接部９２との間の距離であり、距離Ｄ３は、第１の当接部９３と第２の当接部９４との間の距離である。

　尚、第２の当接部９２，９４は、両側面より三角形状に突出するように形成されているが、例えば長方形、台形形状等の他の突出形状としても良い。

　ここで、上記のように構成された締結構造１０の締結部材５０を用いて装着部材３０をカバー部２０に締結させる際の操作手順について説明する。

　（手順１）図１～図５に示すように、カバー部２０の表側に形成された取付部４０に装着部材３０を取り付ける。その際、装着部材３０のＵ字形状係止部３２－１～３２－４を取付部４０の取付用穴４２－１～４２－４に表側から挿入して裏側に突出させる。また、装着部材３０の位置決め用ボス３４－１，３４－２及び係止用鉤部３６－１～３６－８が取付部４０の取付用穴４４－１～４４－８に挿入されてカバー部２０に係止される（第１の締結操作）。

　（手順２）図６に示すように、カバー部２０を裏面からみた状態において、締結部材５０を第１の当接部９１，９３が上面を向くようにすると共に、結合部８０が左側に位置する向きとする。この状態の締結部材５０をＸｂ方向にスライド操作することで、第１及び第２の締結部６０，７０の先端部６２，７２を左側方からカバー部２０の裏側に突出するＵ字形状係止部３２－２，３２－４の締結用穴３２－２ａ，３２－４ａに挿入する。

　（手順３）さらに、締結部材５０をＸｂ方向にスライドさせて第１及び第２の締結部６０，７０の先端部６２，７２を右側のＵ字形状係止部３２－１，３２－３の締結用穴３２－１ａ，３２－３ａに左側方から挿入する。この挿入過程で締結部材５０の第１の当接部９１，９３は、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３の締結用穴３２－１ａ，３２－３ａの内周面に摺接しながら水平方向に近づくように撓む。そして、第１の当接部９１，９３は、端部がＵ字形状係止部３２－１，３２－３の締結用穴３２－１ａ，３２－３ａを通過すると、端部が元の傾斜状態の高さに復帰してＵ字形状係止部３２－１，３２－３の右側の側面部３２－１ｂ，３２－３ｂに当接する。このとき、締結部材５０の第２の当接部９２，９４の端面が、図６の左側のＵ字形状係止部３２－２，３２－４の左側の側面部３２－２ｂ，３２－４ｂに当接する（第２の締結操作）。

　これにより、締結部材５０は、装着部材３０のＵ字形状係止部３２－１～３２－４がカバー部２０から脱落しないように４箇所のかんぬき構造によって強固に締結されると共に、装着部材３０の裏面をカバー部２０の取付部４０に対して密着させた安定状態に保持できる。

　さらに、締結部材５０は、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３に対して第１の当接部９１，９３のＸａ方向の移動が規制され、同時にＵ字形状係止部３２－２，３２－４に対して第２の当接部９２，９４のＸｂ方向の移動が規制される。よって、締結部材５０は、装着部材３０のＵ字形状係止部３２－１～３２－４をカバー２０に対して強固に締結されると共に、例え振動や衝撃が加えられてもＵ字形状係止部３２－１～３２－４から引き抜かれることを阻止できる。また、締結部材５０の締結操作としては、Ｘｂ方向にスライドさせるだけなので、組み立て工程における作業性が改善されて生産性を高めることも可能になる。

　また、締結部材５０を外す際は、第１の当接部９１，９３がＵ字形状係止部３２－１～３２－４をＸａ方向に通過できるように第１の当接部９１，９３を押し下げると共に、結合部８０をＸａ方向に引き抜けば良い。従って、装着部材３０をカバー部２０から分離させる際も特殊な工具等を使わずに比較的容易に締結部材５０を外してカバー部２０に対する装着部材３０の締結を解除することが可能である。

　以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上述した実施形態は、他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換等の種々の変形を加えても良い。

　例えば、上述の実施形態では、両締結部の幅又は長さを変えることで誤組み付けの防止を図っているが、幅と長さの両方を変えても良い。また、両締結部の高さ寸法を変えることで、誤組み付けの防止を図っても良い。

　また、例えば、上記実施形態では、カバー部２０にエンブレムを締結する場合を例に挙げて説明したが、エンブレム以外の部品を締結することも可能である。

　また、上述のエアバッグ装置１及びカバー部２０は、例えば車両のステアリングホイールの中央部に配置可能であるが、エアバッグ装置１及びカバー部２０の形状及び取付位置は、上述の実施形態における形状及び取付位置に限定されない。例えば、インストルメントパネルに内蔵される助手席用のエアバッグ装置、前席のシートバックに内蔵される後席用のエアバッグ装置、側面衝突に備えるため車体の側面に内蔵されるエアバッグ装置において、それらのエアバッグ装置のカバー部に装着部材が装着される場合にも、本発明は適用できる。

　また、上述の締結部材５０は、例えば車体に対して横方向に挿通するものであるが、締結部材は車体に対して縦方向や斜め方向等の任意の方向に挿通するものでも良い。

　また、例えば図８において、第１の当接部９１，９３は切り起こし形状以外の形状でも良い。例えば、第１の締結部６０の側面６６，６８からＹ方向に突出する突起部を設け、第２の締結部７０の側面７６，７８からＹ方向に突出する突起部を設けても良い。この場合、突起部は、Ｕ字形状係止部３２－１～３２－４の締結用穴３２－１ａ～３２－４ａの内周面に摺接しながらＹ方向に撓む。そして、突起部は、締結用穴３２－１ａ～３２－４ａを通過すると、その撓みが復帰して、Ｕ字形状係止部３２－１，３２－３の右側の側面部３２－１ｂ，３２－３ｂに当接する。

　また、例えば図８において、締結部材５０のＸｂ方向への移動は、第２の当接部９２，９４によって規制されるが、第２の当接部９２，９４は無くても良い。この場合、締結部材５０のＸｂ方向への移動は、結合部８０の接続部８１によって規制される。

　本出願は、２０１２年３月２７日に日本国特許庁に出願された特願２０１２－７２５９０及び２０１２年７月２３日に日本国特許庁に出願された特願２０１２－１６２７５９に基づくものであり、これらの出願を優先権主張するものであり、これらの出願の全ての内容を参照することにより包含するものである。

１　エアバッグ装置
１０，１１　締結構造
２０　カバー部
２１　表面
２２　裏面
３０　装着部材
３０ａ　ベース
３２－１～３２－４　Ｕ字形状係止部
３２－１ａ～３２－４ａ　締結用穴
３２－１ｂ～３２－４ｂ　側面部
３４－１，３４－２　位置決め用ボス
３６－１～３６－６　係止用鉤部
４０　取付部
４２－１～４２－４　取付用穴
４４－１～４４－８　取付用穴
５０，１５０　締結部材
６０　第１の締結部
６２，７２　先端部
６３　拡幅部
６６，６８，７６，７８　側面
６４，７４　基端部
７０　第２の締結部
８０　結合部
９０　抜け防止部
９１，９３　第１の当接部
９２，９４　第２の当接部
１００　エアバッグ

Claims

　エアバッグと、
　前記エアバッグを覆うカバー部と、
　前記カバー部の表側に装着される装着部材と、
　前記装着部材を前記カバー部の裏側で締結する締結部材とを備え、
　前記締結部材は、
　　前記装着部材に設けられた第１の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第１の係止部に側方より挿通する第１の締結部と、
　　前記装着部材に設けられた第２の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第２の係止部に側方より挿通する第２の締結部と、
　　前記第１の締結部の基端部と前記第２の締結部の基端部を結合する結合部とを有し、
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部の外形は互いに異なる、エアバッグ装置。
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部は、それぞれ、前記第１の締結部及び前記第２の締結部が延在する方向での長さと、前記第１の締結部及び前記第２の締結部が離間する方向での幅とを有し、
　前記長さと前記幅の少なくとも一方が、前記第１の締結部及び前記第２の締結部間で異なる寸法で形成された、請求項１に記載のエアバッグ装置。
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部のうち一方の締結部は、他方の締結部が挿通する係止部を挿通できないように形成された、請求項１又は２に記載のエアバッグ装置。
　前記第１の締結部は、前記第１の係止部に正規の側方とは反対側の側方より挿通できないように形成された挿通不能部を有する、請求項１から３のいずれか一項に記載されたエアバッグ装置。
　前記第１の係止部は、前記第１の締結部の挿通方向に並んだ第１の被挿通部と第２の被挿通部を有し、
　前記挿通不能部は、前記第１の被挿通部に前記正規の側方より挿通できるように形成され、且つ、前記第２の被挿通部に前記反対側の側方より挿通できないように形成された、請求項４に記載のエアバッグ装置。
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部の少なくとも一方の締結部は、該少なくとも一方の締結部が挿通する係止部から抜けることを防止する抜け防止部を有する、請求項１から５のいずれか一項に記載のエアバッグ装置。
　前記抜け防止部は、前記第１の締結部及び前記第２の締結部の少なくとも一方の締結部の先端部側に設けられた第１の当接部を有し、前記第１の当接部は、該少なくとも一方の締結部が挿通する係止部の前記先端部側に当接する、請求項６に記載のエアバッグ装置。
　前記第１の当接部は、
　前記第１の締結部の先端部側に設けられた第１の先端部側当接部と、
　前記第２の締結部の先端部側に設けられた第２の先端部側当接部とを有し、
　前記第１の先端部側当接部と前記第２の先端部側当接部は、前記第１の締結部及び前記第２の締結部が延在する方向に互いにずれて設けられた、請求項７に記載のエアバッグ装置。
　前記抜け防止部は、前記第１の締結部及び前記第２の締結部の少なくとも一方の締結部の基端部側に設けられた第２の当接部を有し、前記第２の当接部は、該少なくとも一方の締結部が挿通する係止部の前記基端部側に当接する、請求項７又は８に記載のエアバッグ装置。
　前記第２の当接部は、
　前記第１の締結部の基端部側に設けられた第１の基端部側当接部と、
　前記第２の締結部の基端部側に設けられた第２の基端部側当接部とを有し、
　前記第１の基端部側当接部と前記第２の基端部側当接部は、前記第１の締結部及び前記第２の締結部が延在する方向に互いにずれて設けられた、請求項９に記載のエアバッグ装置。
　前記第１の先端部側当接部と前記第１の基端部側当接部との間の距離が、前記第２の先端部側当接部と前記第２の基端部側当接部との間の距離と異なる、請求項１０に記載のエアバッグ装置。
　エアバッグを覆うカバー部と、
　前記カバー部の表側に装着される装着部材に設けられた第１の係止部及び第２の係止部と、
　前記装着部材を前記カバー部の裏側で締結する締結部材とを備え、
　前記締結部材は、
　　前記第１の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第１の係止部に側方より挿通する第１の締結部と、
　　前記第２の係止部が前記カバー部の裏側に貫通した状態で、前記第２の係止部に側方より挿通する第２の締結部と、
　　前記第１の締結部の基端部と前記第２の締結部の基端部を結合する結合部とを有し、
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部の外形は互いに異なる、締結構造。
　エアバッグを覆うカバー部の表側に装着される装着部材を前記カバー部の裏側で締結するための締結部材であって、
　前記装着部材に設けられた第１の係止部に挿通可能に形成された第１の締結部と、
　前記装着部材に設けられた第２の係止部に挿通可能に形成された第２の締結部と、
　前記第１の締結部の基端部と前記第２の締結部の基端部を結合する結合部とを有し、
　前記第１の締結部及び前記第２の締結部の外形は互いに異なる、締結部材。