WO2013121559A1

WO2013121559A1 - バックル

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Publication number: WO2013121559A1
Application number: PCT/JP2012/053663
Authority: WO
Inventors: 金子　仁
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2012-02-16
Filing date: 2012-02-16
Publication date: 2013-08-22
Also published as: DE112012005879B4; CN104125786B; US9936771B2; TW201340902A; TWI504356B; DE112012005879T5; CN104125786A; US20150013121A1

Abstract

　本発明のバックル（１）は、プラグ（１０）と、このプラグ（１０）が差込係合されるソケット（２０）と、を備え、前記プラグ（１０）は、基部（１１）と、前記基部（１１）から突出形成され前記プラグ（１０）の差込方向に対して交差する方向へ弾性変形可能な脚部（１２）と、前記脚部（１２）に連続して設けられ、前記脚部（１２）よりも前記脚部（１２）の厚さ方向に突出する係合部（１０１）と、を有し、前記ソケット（２０）は、差込口（２２）を有する本体（２１）と、前記本体（２１）内に形成されて前記差込口（２２）から差し込まれた前記脚部（１２）を収容可能な収容空間と、前記係合部（１０１）が係合可能な被係合部（２９）と、前記収容空間に向けて突出し、前記差込口（２２）および前記被係合部（２９）の中間位置よりも前記差込口（２２）側の所定位置から前記被係合部（２９）まで連続して設けられて前記係合部（１０１）を該被係合部（２９）まで案内するガイド部（２８）と、を有し、前記脚部（１２）における前記係合部（１０１）と連続する部分の厚み寸法（Ｔ２）は前記脚部（１２）の基端側の厚み寸法（Ｔ１）よりも小さく、前記ガイド部（２８）における前記被係合部（２９）と連続する部分の厚み寸法（Ｔ５）は前記ガイド部（２８）の基端側の厚み寸法（Ｔ４）よりも大きい。

Description

バックル

　本発明は、ベルトどうしを連結するバックルであって、例えば両側一対のロックアームを有するバックルに関する。

　従来、衣服、鞄や靴、包装具など様々な用途でベルト等の紐状部材同士を連結するために、プラグとソケットとを着脱自在に係合させるバックルが用いられている。
　このようなバックルでは、着脱のための操作が簡単であり、一方で意図しないときに不用意に外れないことが要求され、係合構造には十分な配慮がなされている。

　このようなバックルとして、ソケットの両側を摘むようにして解除操作を行うサイドリリースバックルが知られており、なかでもバックルの厚み方向に係合する構造を用いたものがある。
　例えば、特許文献１および特許文献２に記載のサイドリリースバックルは、プラグと、このプラグが差込係合されるソケットとを備える。
　このうち、プラグは、基部と、基部から突出形成されプラグの差込方向に対して交差する方向へ弾性変形可能な一対の脚部とを有する。脚部の先端（プラグの差込方向側の端部）には、プラグの厚み方向（プラグの差込方向および脚部の変形方向とそれぞれ直交する方向）に突出した係合部が形成されている。
　一方、ソケットは、差込口を有する本体と、本体に孔または凹部として形成されて係合部が前述した厚み方向に係合可能な被係合部とを有する。
　このようなサイドリリースバックルは、ソケットの両側を摘むというバックル幅方向の操作で解除を行うものであるが、プラグの係合部とソケットの被係合部とはプラグの厚み方向に係合することで、係合状態が確実に保持される。

国際公開第２００９／０９３３１３号国際公開第２０１０／０３８３０８号

　近年、バックルの軽量化、薄型化が期待されている。
　しかし、特許文献１に記載のサイドリリースバックルでは、脚部から突出した係合部の突出高さと脚部の厚み寸法とを加えたプラグの厚み寸法が大きくなり、よって、プラグの厚み寸法とソケットの肉厚寸法とを加えたバックル全体の厚み寸法が大きくなってしまう。
　一方、全体の薄型化のために脚部の厚み方向寸法を小さくすると、脚部の強度が減少する可能性があり、係合部の突出高さを小さくすると、被係合部との係合のための領域が減少することになる。
　また、特許文献２に記載のサイドリリースバックルによれば、ソケットの被係合部にプラグの係合部を係合させる際には、係合部の先端が被係合部の手前側に設けられたガイド部と当接し、この当接によって脚部が一気に弾性変形することになるが、プラグの材質によっては脚部が変形して弾性が抑制され、係合部と被係合部との係合が不十分になることがある。

　そこで、本発明の目的は、厚み寸法を小さくでき、かつ確実な係合が得られるバックルを提供することにある。

　本発明のバックルでは、プラグと、このプラグが差込係合されるソケットと、を備え、前記プラグは、基部と、前記基部から突出形成され前記プラグの差込方向に対して交差する方向へ弾性変形可能な脚部と、前記脚部に連続して設けられ、前記脚部よりも前記プラグの厚さ方向に突出する係合部と、を有し、前記ソケットは、差込口を有する本体と、前記本体内に形成されて前記差込口から差し込まれた前記脚部を収容可能な収容空間と、前記係合部が係合可能な被係合部と、前記収容空間に向けて突出し、前記差込口と前記被係合部との中間位置よりも前記差込口側の所定位置から前記被係合部まで連続して設けられて前記係合部を該被係合部まで案内するガイド部と、を有し、前記脚部における前記係合部と連続する部分の厚み寸法は前記脚部の基端側の厚み寸法よりも小さく、前記ガイド部における前記被係合部と連続する部分の厚み寸法は前記ガイド部の基端側の厚み寸法よりも大きいことを特徴とする。

　このような発明では、脚部における係合部と連続する部分の厚み寸法が基端側の厚み寸法よりも小さく、脚部全体の厚み寸法が一様に小さい訳ではないので、脚部としての強度を確実に確保できる。また、係合部と連続する部分の厚み寸法が比較的小さいことで、相対的に係合部の突出高さを大きくでき、被係合部との係合を良好にできる。さらに、そのような突出部の絶対的な突出高さとしては、何ら従来とは変わらないことから、バックル全体の厚み寸法が大きくなることを防止できる。
　また、プラグの係合部を案内するソケット側のガイド部は、差込口と被係合部との中間位置よりも差込口側の所定位置を起点とし、この所定位置から被係合部まで連続して設けられているので、プラグの脚部を中間位置よりも差込口側から徐々に弾性変形させることができ、弾性を損ないやすい材質でプラグを形成することも可能であるうえ、特に係合部近傍の厚み寸法が小さい本発明でのプラグを用いた場合でも、そのような部位に大きな応力を生じさせずに脚部を良好に弾性変形させることができる。
　しかも、ガイド部の厚み寸法は、被係合部側でより大きくなっていることから、係合部の係合状態も良好である。

　本発明において、前記ガイド部は、基端側から、前記被係合部と連続する部分に向かうに従って厚み寸法が次第に大きくなる傾斜形状であり、前記脚部は前記ガイド部の傾斜形状に対応して前記係合部と連続する部分の厚み寸法が基端側よりも小さくなる段差を有することが望ましい。

　このような発明では、傾斜形状のガイド部により脚部の係合部がガイドされるとともに、脚部の係合部と連続する部分の厚み寸法を基端側の厚み寸法よりも小さいという脚部の形状を確保しつつ、この脚部の形状をガイド部の傾斜形状に対応しているため、互いの納まりを良好にできる。

　本発明において、前記脚部は、基端側から前記係合部と連続する部分に向かって厚み寸法が次第に小さくなる傾斜形状の段差を有することが望ましい。
　このような発明では、脚部の厚さ形状の変化が小さく、脚部への応力集中疲労を少なくできる。また、脚部の輪郭を滑らかなものとすることができ、意匠性においても好ましいものにできる。

本発明の第１実施形態にかかる全体構成を示す平面図。本発明の第１実施形態にかかる全体構成を示す分解斜視図。前記第１実施形態にかかる全体構成を分解して示す平面図。図１のＩＶ－ＩＶ線での断面図。前記第１実施形態のソケットの断面を示す斜視図。前記第１実施形態のプラグおよびソケットの結合途中の状態を示す図。前記第１実施形態のプラグとソケットとが結合された状態を示す図。本発明の第２実施形態にかかる全体構成を示す断面図。本発明の第３実施形態にかかるソケットの断面を示す斜視図。本発明の変形例にかかる脚部を示す断面図。本発明の変形例にかかる被係合部を示す断面図。

　以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第１実施形態〕
　図１ないし図７には本発明の第１実施形態が示されている。

　図１から図３の各図において、本実施形態のサイドリリースバックル１は、プラグ１０と、このプラグ１０が差込係合されるソケット２０とを備えている。
　本実施形態のサイドリリースバックル１は、紐状部材、例えば、ベルトなどの端部を連結・分離するためのものであり、プラグ１０およびソケット２０はそれぞれ合成樹脂の射出成形によって形成されている。
　なお、プラグ１０およびソケット２０の材質としては、合成樹脂に限らず金属など他の材質であってもよく、射出成形に限らず、鋳造など他の成形方法によるものであってもよい。
　なお、以下の説明において、ソケット２０に対してプラグ１０を差し込む方向が差込方向であり、本実施形態ではソケット２０の長手方向はプラグ１０の差込方向とされている。ソケット２０の厚み方向および幅方向は、それぞれ差込方向に交差するとともに、厚み方向と幅方向も互いに交差している。

　図１ないし図４に基づいてプラグの構成について説明する。
　プラグ１０は、全体が一体成形されたものであり、一対の脚部１２を有する基部１１と、各脚部１２の先端に連続して、脚部１２よりもプラグ１０の厚さ方向に向かって突出して設けられ、所定の突出高さＴ３を有する係合部１０１と、ベルトなどが挿通されるベルト装着部１３と、一対の脚部１２を連接するとともに各脚部１２の内側への弾性変形を許容する連結体１４と、この連結体１４のプラグ１０の幅方向における中間部と各脚部１２との間に基部１１から延出して一体形成されプラグ１０の差込方向に対して略平行な一対の突出部１５とを有する。

　基部１１は、略五角形状の枠フレーム１１０によって構成されている。枠フレーム１１０のうち脚部１２が設けられた枠状部１１１は、両端部よりも中央部が脚部１２の突出方向へ向かって突出したＶ字形状に形成されている。つまり、基部１１は、幅方向の両側から中央へ向かうに従って脚部１２の突出方向へ突出量が次第に大きくなったＶ字形状の基部側突部１１２を有する。

　脚部１２は、基部１１の幅方向の両側から長さ方向（ソケット２０に対するプラグ１０の差込方向、図３における上下方向）に向かって直線状に突出形成され互いに接近または離間する幅方向へ弾性変形可能な弾性片部１２１と、この弾性片部１２１の先端からプラグ１０の差込方向へ向かって延長された操作部１２２とを有する。
　操作部１２２は、プラグ１０の厚み方向に貫通する貫通孔を有し、その外側面（各脚部１２が対向する面とは反対側の面）が先端へ向けて内側（各脚部１２が対向する側）、すなわち、各脚部１２が接近する方向へ傾斜して形成されている。

　脚部１２は、外周の一部に、基端側（基部１１側）から、先端側（係合部１０１と連続する部分）に向かって傾斜した滑らかな段差１２４が形成され、基端側から先端側に向かって厚み寸法（図４における左右方向であるプラグ１０の厚み方向の寸法）が小さくなっている。すなわち、基端側の厚み寸法をＴ１、先端側であって係合部１０１と連続する部分の厚み寸法をＴ２とすると、Ｔ１＞Ｔ２である。ここで、係合部１０１と連続する部分とは、脚部１２の先端側の部分である。

　脚部１２の基端側の幅寸法（図３における左右方向の寸法）は、先端側の幅寸法よりも小さく、基端側の幅寸法をＷ１、先端側であって係合部１０１と連続する部分の幅寸法をＷ２とすると、Ｗ１＜Ｗ２である。
　この場合に、脚部１２の基端側の厚み寸法Ｔ１、係合部１０１と連続する部分の厚み寸法Ｔ２、基端側の幅寸法Ｗ１、および係合部１０１と連続する部分の幅寸法Ｗ２は、脚部１２の基端側の断面積Ｓ１（＝Ｔ１×Ｗ１）と、係合部１０１と連続する部分の断面積Ｓ２（＝Ｔ２×Ｗ２）とが等しく（Ｓ２＝Ｓ１）なるように設定される。
　なお、脚部１２の傾斜形状は、後述するガイド部２８の傾斜形状に対応したものとされている。

　ベルト装着部１３は、基部１１の幅方向における中間部分を利用して形成されている。このベルト装着部１３は、プラグ１０の内部中央にベルトの端部が挿入されるベルト取付孔１３Ａを有し、プラグ１０の端部でかつ基部１１の端部である位置に幅方向へ延びる第１バー１３Ｂが架設され、この第１バー１３Ｂよりもプラグ１０の差込方向側には第２バー１３Ｃが架設され、この第２バー１３Ｃによってベルト取付孔１３Ａは、プラグ１０の差込方向側（前端側）に位置する前端取付孔１３Ｄと、プラグ１０の差込方向とは反対側（後端側）に位置する後端取付孔１３Ｅとの２つに分割されている。
　これにより、図示しないベルトをプラグ１０の背面側（図２における紙面奥側）から正面側（図２における紙面手前側）に向けて前端取付孔１３Ｄに挿通し、次に、プラグ１０の正面側から背面側に向けて後端取付孔１３Ｅに挿通して第１バー１３Ｂの背面側にもってくる。そうすると、ベルトの先端が基端側と第１バー１３Ｂとの間に挟持される。これにより、ベルトを係合して固定可能でかつ長さ調節も可能な構造となっている。

　連結体１４は、弾性変形可能であり、一対の脚部１２が所定以上外側へ変形するのを阻止し、脚部１２に過度の力（外側方向への力）が加わった時に、脚部１２の破損を防止する役目を果たすもので、連結体１４のプラグ１０の幅方向における中間部が基部１１側へ最も接近するように湾曲状に形成されている。具体的には、一方の脚部１２の先端内側面（各脚部１２が対向する面）から他方の脚部１２の先端内側面における連結体１４の起立部へ向かって幅方向に沿って延出された延出部１４１と、この延出部１４１の内端から連続して形成され基部１１側へ向かって逆Ｕ字形状に湾曲する湾曲部１４２とを含み、これら延出部１４１および湾曲部１４２が連結体１４の幅方向中央の差込方向中央軸線を境に左右対称に形成されている。

　突出部１５は、連結体１４と各脚部１２とで囲まれた空間内において、基部１１からプラグ１０の差込方向に対して略平行に延出されている。つまり、連結体１４が弾性変形した際に、連結体１４の湾曲部１４２や延出部１４１と干渉しない位置で、しかも、幅方向の中央寄りに突出部１５が配置されている。
　また、各突出部１５は、ソケット２０の内壁（後述する表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂの内壁）に接する厚み寸法を有するとともに、この厚み寸法が幅方向の寸法より大きい断面矩形状に形成されている。また、各突出部１５の内外側面には、リブ１５１，１５２が一体的に形成されている。
　リブ１５１は、突出部１５の外側面（各突出部１５が対向する面とは反対側の面）と基部１１の基部側突部１１２の斜面とに沿って一体的にかつ略三角形状に形成されている。突出部１５の内側（各突出部１５が対向する側）のリブ１５２は、基部１１の基部側突部１１２の先端縁と突出部１５の内側面（各突出部１５が対向する面）との間の角部に一体的に形成され、このリブ１５２と突出部１５とで囲まれた部分が湾曲部１４２に対応した半円溝状になっている。

　図１ないし図５に基づいてソケットの構成について説明する。
　図１から図４の各図において、ソケット２０は、全体を一体成形されたものであり、一端にプラグ１０の一対の脚部１２が差し込まれる差込口２２を有した扁平筒形状の本体２１と、本体２１内に形成されて差込口２２から差し込まれた脚部１２を収容可能な収容空間２４と、本体２１の他端に形成されて図示しないベルトが挿通係止されるベルト装着部２５と、収容空間２４に向けて突出し、差込口２２から本体２１の内部に向かって形成されてプラグ１０の係合部１０１を案内しながら一対の脚部１２の先端部を互いに接近する方向へ弾性変形させるガイド部２８と、ガイド部２８よりもプラグ１０の差込方向側に設けられて各係合部１０１を互いに離間する方向へ変位させて係合させる被係合部としての凹部２９とを有する。

　図２，図４および図５に示すように、本体２１は、表裏面を構成する表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂと、これらを連結する一対の側壁２１Ｃを有する。
　表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂは、本体２１において差込方向および幅方向に沿った面状の部分であり、互いに厚み方向に対向して配置されている。
　本体２１の差込口２２側には、プラグ１０の基部側突部１１２と合致するＶ字形状に形成されて基部側突部１１２と突き合わされる突合部２３が形成される。

　側壁２１Ｃは、プラグ１０の差込方向の中間部分が本体２１の内部に向かって幅方向にくびれており、このくびれ部分には、収容空間２４に連通した開口部２６が形成されている。開口部２６からは、プラグ１０の脚部１２に設けられた操作部１２２が露出し、操作部１２２を互いに内側へ押圧操作できるようになっている。露出する操作部１２２を開口部２６の内側へ押圧することで一対の脚部１２が互いに近接するように弾性変形し、係合部１０１を凹部２９（後述）から外して互いの係合を解除し、プラグ１０をソケット２０から外すことができる。

　本体２１の表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂの内面には、差込口２２近傍から奥部に向かって互いに平行な一対の突条２７１が形成されている。これらの突状２７１により規制部２７が形成されており、プラグ１０がソケット２０内に差し込まれると、規制部２７の外側に突出部１５が位置するように案内され、突出部１５の幅方向の移動が規制されて、プラグ１０のがたつきが防止される。

　ガイド部２８は、本体２１の表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂの内面（表壁２１Ａと裏壁２１Ｂとの互いに対向する面）に形成されている。ガイド部２８は、プラグ１０の係合部１０１と当接して係合部１０１を案内するガイド面２８１（図５参照）と、凹部２９寄りの位置に形成された段差２８２（図４参照）とを有し、差込口２２側から凹部２９まで連続して設けられている。

　さらに、ガイド部２８は、その基端側（差込口２２側、図４における上側）から先端側（図４における下側）に向かって、その厚み寸法（図４における左右方向であるソケット２０の厚み方向の寸法）が大きくなっている。
　すなわち、ガイド部２８において、その基端側の厚み寸法をＴ４、その凹部２９（後述）と連続する部分の厚み寸法Ｔ５とすると、これらの寸法はＴ５＞Ｔ４である。なお、厚み寸法Ｔ５は凹部２９の高さ寸法（ソケット２０の厚み方向の寸法）でもある。ここで、凹部２９と連続する部分とは、ソケット２０の幅方向（図４における紙面垂直方向）に対向する一対のガイド部２８における互いの対向するガイド面２８１と、凹部２９の被係合面２９１（後述）とが交差する交差部分を含む領域である。
　ガイド部２８が前述のような厚み寸法（Ｔ５＞Ｔ４）とされていることで、表壁２１Ａの段差２８２と裏壁２１Ｂの段差２８２とは、ガイド部２８の基端側から厚みの大きい部分である先端側に向かって接近するように配置されている。

　図４および図５に示すように、凹部２９は、本体２１の表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂの内面において、ガイド部２８の奥側の位置からソケット２０の幅方向に側壁２１Ｃ側に向けて切り欠き形成されて窪んでおり、各係合部１０１が係合する被係合面２９１を有する。この被係合面２９１は、ソケット２０の幅方向に延び、ガイド面２８１と交差する。
　なお、この凹部２９は、射出成形の金型の関係で表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂを貫通した開口とされているが、機能的には貫通していなくともよい。凹部２９の高さ寸法でもある厚み寸法Ｔ５は、係合部１０１の突出高さＴ３と等しく（Ｔ５＝Ｔ３）なっている。

　図６および図７に基づいてプラグとソケットとが結合される様子を説明する。
　プラグ１０の一対の脚部１２をソケット２０の差込口２２から差し込むと、図６に示すように、各脚部１２の先端に設けられた係合部１０１がガイド部２８に案内されながらソケット２０の内部に差し込まれていくとともに、一対の脚部１２の先端側が互いに接近する方向へ徐々に弾性変形されていく。
　やがて、係合部１０１が凹部２９に達すると、図７に示すように、一対の脚部１２が元の形状に弾性復帰することによって、各係合部１０１が互いに離間する方向へ変位されて凹部２９内に進入し、被係合面２９１に当接して凹部２９に係合される。つまり、プラグ１０がソケット２０に結合される。

　プラグ１０がソケット２０に結合された状態では、図７に示すように、プラグ１０に設けられた一対の突出部１５の表裏面がソケット２０の内壁（表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂの内壁）に略接した状態となるため、プラグ１０は厚み方向への移動が規制される。同時に、一対の突出部１５の内側面がソケット２０の突条２７１の外側に位置するため、プラグ１０は幅方向への移動が規制される。

　また、プラグ１０とソケット２０とが結合した状態において、プラグ１０をソケット２０から外すには、ソケット２０の開口部２６から突出している脚部１２の操作部１２２の外側面を内側へ押圧する。すると、プラグ１０の脚部１２が内側に弾性変形され、係合部１０１が凹部２９から外れる。従って、この状態において、プラグ１０をソケット２０から引き抜くと、プラグ１０をソケット２０から外すことができる。

　このような本実施形態においては、以下のような効果が得られる。
　本実施形態のサイドリリースバックル１では、脚部１２における係合部１０１と連続する部分の厚み寸法Ｔ２に対して、基端側の厚み寸法Ｔ１を大きくできるため、例えば脚部１２全体の厚み寸法が寸法Ｔ２で一様である場合に比べ、脚部１２としての強度を確保することができる。また、係合部１０１と連続する厚み寸法Ｔ２が小さいことで、係合部１０１が係合するのに有効な係合部１０１の相対的な突出高さＴ３を大きくすることができる。
　これにより、被係合部である凹部２９と係合部１０１との係合が行われた際には、互いに密着して係合を保持する力を受ける領域面積を十分に確保することができ、後述する被係合面２９１の面積の確保と併せて、プラグ１０およびソケット２０の係合状態を良好に維持することができる。
　さらに、前述のように係合部１０１の相対的な突出高さＴ３を大きくしても、この相対的な突出高さＴ３は、脚部１２の形状を基端側の厚み寸法Ｔ１よりも係合部１０１と連続する部分の厚み寸法Ｔ２を小さくすることで得られているため、係合部１０１の絶対的な突出高さ自体は従来と何ら変わらないことから、サイドリリースバックル１全体の厚み寸法が大きくなることを防止できる。

　また、プラグ１０の係合部１０１を案内するソケット２０側のガイド部２８は、差込口２２から凹部２９まで連続して設けられているので、プラグ１０の脚部１２を徐々に弾性変形させることができ、弾性を損ないやすい材質でプラグ１０を形成することも可能であるうえ、特に係合部１０１近傍の厚み寸法が小さいプラグ１０を用いた場合でも、そのような部位に大きな応力を生じさせずに脚部１２を良好に弾性変形させることができる。
　しかも、ガイド部２８の厚み寸法は、凹部２９側でより大きくなっていることから、凹部２９によって形成される被係合面２９１、つまり係合部１０１が直接的に係合される領域の面積を確保することができ、前述した係合部１０１における相対的な突出高さＴ３の確保と併せて、プラグ１０およびソケット２０の係合状態を良好に維持することができる。

　本実施形態のサイドリリースバックル１では、脚部１２の傾斜形状がガイド部２８の傾斜形状に対応しているため、結合状態では脚部１２の外周とガイド部２８との間に隙間が生じず、互いの納まりを良好にできる。
　本実施形態のサイドリリースバックル１では、脚部１２は、基端側から係合部１０１と連続する部分に向かうに従って厚み寸法が次第に小さくなる傾斜形状であるため、脚部１２の厚さ形状の変化が小さく、脚部１２への応力集中疲労を少なくできる。また、脚部１２の外観が滑らかとなり、意匠性に富む。

〔第２実施形態〕
　図８には本発明の第２実施形態が示されている。
　図８において、本実施形態のサイドリリースバックル２では、ソケット２０Ａにおいて、ガイド部２８が、基端側つまり差込口２２から、先端側つまり凹部２９と連続する部分に向かうに従って、その厚み寸法が次第に厚くなる傾斜形状となっている。そして、プラグ１０においては、それぞれの脚部１２が、脚部１２のほぼ全長（図８における上下方向の長さ）にわたって、基端側から、先端側であって係合部１０１と連続する部分に向かって傾斜する段差１２４を有し、前述したガイド部２８の傾斜形状に対応して、基端側から先端側（係合部１０１と連続する部分）に向かうに従って厚み寸法が次第に小さくなる傾斜（テーパ）形状とされ、結合状態では脚部１２とガイド部２８とは互いに略一定の間隔が空くように形成されている。
　このような本実施形態では、前記第１実施形態と同様な効果が得られる。

〔第３実施形態〕
　図９には本発明の第３実施形態が示されている。
　図９は本発明の第３実施形態にかかるソケットの断面図を示す斜視図である。
　図９において、本実施形態のソケット２０Ｂは、前記第１実施形態および前記第２実施形態と同様の構成である。すなわち、ガイド部２８は、基端側から、先端側であって凹部２９と連続する部分に向かうに従って厚み寸法が次第に厚くなる傾斜形状となっている。
　ただし、本実施形態においては、ガイド部２８は、その基端が差込口２２よりも差込方向に奥まった位置、つまり差込口２２から凹部２９に向かって所定距離離れた位置とされ、この基端位置から凹部２９に向けて連続して形成されている。また、ガイド部２８の基端側は、裏壁２１Ｂの開口部２６に対応した曲線状の外形に沿っている。これらの点で、本実施形態は前記第１実施形態および前記第２実施形態と異なっている。

〔変形例〕
　なお、本発明は前記実施形態の構造に限らず、次のような変形をも含む。
　前記第１実施形態ないし第３実施形態では、サイドリリースバックル１，２について説明したが、本発明はフロンリリースバックルや他のリリース方式のバックルであってもよい。
　本発明では、前記第１実施形態ないし第３実施形態のように、脚部１２の外周に傾斜形状を有する段差１２４を形成し、脚部１２を基端側から先端側に向かって厚み寸法が小さくなるように形成したが、本発明の段差としては、前述した傾斜形状を有する段差１２４には限定されない。

　例えば、図１０に示すように、脚部１２の外周に形成された段差１２３が、脚部１２の外周から脚部１２の厚み方向（図１０中の左右方向）に延びる垂直な段差面を有し、脚部１２の厚み寸法が、段差１２３を境に、基端側の厚み寸法Ｔ１から係合部１０１と連続する部分の厚み寸法Ｔ２へ急減する形状であってもよい。
　すなわち、脚部１２の外形形状は、脚部１２の先端側であって係合部１０１と連続する部分の厚み寸法Ｔ２が基端側の厚み寸法Ｔ１よりも小さくなる形状であればよい。

　また、前記第１実施形態ないし第３実施形態のように、係合部１０１の突出高さＴ３と、凹部２９の高さ寸法Ｔ５とは等しくなくてもよく、突出高さＴ３および高さ寸法Ｔ５は、係合部１０１と被係合部２８Ａとが確実に係合できる関係であればよい。

　さらに、本発明の被係合部としては凹部２９に限らず、係合部１０１が係合可能な被係合面２９１が形成できる構造であれば適宜利用することができる。
　例えば、図１１に示すように、バックル２０Ｃは、本体２１のベルト装着部２５のベルトが挿通係止される孔から差込口２２に向けて被係合部として切欠き２９Ｃが形成され、この切欠き２９Ｃに臨むガイド部２８の段差面により被係合部２９１が形成されている。本発明においては、このような切欠き２９Ｃにより被係合部を構成することもできる。

　本発明は、ベルト同士を連結するバックルであって、例えば両側一対のロックアームを有するバックルとして利用できる。

１，２…サイドリリースバックル
１０…プラグ
１１…基部
１２…脚部
２０，２０Ａ，２０Ｂ，２０Ｃ…ソケット
２１…本体
２２…差込口
２４…収容空間
２８…ガイド部
２９…被係合部である凹部
１０１…係合部
１２４，１２３…段差

Claims

　プラグ（１０）と、このプラグ（１０）が差込係合されるソケット（２０，２０Ａ）と、を備え、
　前記プラグ（１０）は、基部（１１）と、前記基部（１１）から突出形成され前記プラグ（１０）の差込方向に対して交差する方向へ弾性変形可能な脚部（１２）と、前記脚部（１２）に連続して設けられ、前記脚部（１２）よりも前記プラグ（１０）の厚さ方向に突出する係合部（１０１）と、を有し、
　前記ソケット（２０～２０Ｃ）は、差込口（２２）を有する本体（２１）と、前記本体（２１）内に形成されて前記差込口（２２）から差し込まれた前記脚部（１２）を収容可能な収容空間（２４）と、前記係合部（１０１）が係合可能な被係合部（２９，２９Ｃ）と、前記収容空間（２４）に向けて突出し、前記差込口（２２）と前記被係合部（２９，２９Ｃ）との中間位置よりも前記差込口（２２）側の所定位置から前記被係合部（２９，２９Ｃ）まで連続して設けられて前記係合部（１０１）を該被係合部（２９，２９Ｃ）まで案内するガイド部（２８）と、を有し、
　前記脚部（１２）における前記係合部（１０１）と連続する部分の厚み寸法（Ｔ２）は前記脚部（１２）の基端側の厚み寸法（Ｔ１）よりも小さく、
　前記ガイド部（２８）における前記被係合部（２９，２９Ｃ）と連続する部分の厚み寸法（Ｔ５）は前記ガイド部（２８）の基端側の厚み寸法（Ｔ４）よりも大きいことを特徴とするバックル。
　請求項１に記載のバックルにおいて、
　前記ガイド部（２８）は、基端側から前記被係合部（２９，２９Ｃ）と連続する部分に向かうに従って厚み寸法が次第に厚くなる傾斜形状であり、
　前記脚部（１２）は、前記ガイド部（２８）の傾斜形状に対応して前記係合部（１０１）と連続する部分の厚み寸法が基端側よりも小さくなる段差（１２４，１２３）を有することを特徴とするバックル。
　請求項２に記載のバックルにおいて、
　前記脚部（１２）は、基端側から前記係合部（１０１）と連続する部分に向かって厚み寸法が次第に小さくなる傾斜形状の段差（１２４）を有することを特徴とするバックル。