WO2013121557A1 - バックル - Google Patents

Abstract

　本発明のバックルは、プラグと、このプラグが差込係合されるソケット（２０）と、を備え、前記プラグは、基部と、前記基部から突出形成され前記プラグの差込方向に対して交差する方向へ弾性変形可能な脚部と、を有するとともに、前記脚部には係合部が突出形成され、前記ソケット（２０）は、差込口を有するとともに、表壁及び裏壁（２１Ｂ）を備え、前記表壁及び前記裏壁（２１Ｂ）の少なくとも一方を前記差込口から前記差込方向へ切欠いて形成された切欠部（２１Ｆ）を有する本体と、前記本体内に形成されて前記差込口から差し込まれた前記脚部を収容可能な収容空間と、前記係合部が係合可能な被係合部（３２）と、を有し、前記収容空間には、前記表壁と前記裏壁（２１Ｂ）とを連結する連結部（３１Ａ，３１Ｂ）が設けられており、前記連結部（３１Ａ，３１Ｂ）と前記被係合部（３２）との前記ソケット（２０）の幅方向における距離は前記係合部の幅寸法よりも大きい。

Description

バックル

　本発明は、ベルトどうしを連結するバックルであって、例えば両側一対のロックアームを有するサイドリリースバックルに関する。

　従来、衣服、鞄や靴、包装具など様々な用途でベルト等の紐状部材同士を連結するために、プラグとソケットとを着脱自在に係合させるバックルが用いられている。
　このようなバックルでは、着脱のための操作が簡単であり、一方で意図しないときに不用意に外れないことが要求され、係合構造には十分な配慮がなされている。

　このようなバックルとして、ソケットの両側を摘むようにして解除操作を行うサイドリリースバックルが知られており、このようなサイドリリースバックルでは係合構造として両側一対の脚部（ロックアーム）を用いている。
　例えば、特許文献１に記載のサイドリリースバックルは、プラグとこのプラグが差込係合されるソケットとを備えている。
　このうち、プラグは、基部と、基部から突出形成されてプラグの差込方向に対して交差する方向へ弾性変形可能な一対の脚部と、脚部間に形成されたＹ字形状のガイドバーとを有する。脚部の先端には係合部が突出形成されている。
　一方、ソケットは、差込口が形成された本体を有している。本体を形成する表壁および裏壁には、差込口側から差込方向の先端側（差込口と反対側）に向かって大きく切り欠かれた切欠部が設けられ、本体の内部には、プラグの係合部と係合する被係合部が設けられている。
　このような特許文献１に記載のサイドリリースバックルでは、プラグがソケットに対して差込口から差し込まれると、プラグのガイドバーが切欠部に案内されながら脚部がソケットの本体内部に進入し、係合部と被係合部とが係合することにより、プラグとソケットとが係合状態で確実に保持される。

　特許文献２に記載のサイドリリースバックルは、特許文献１のバックルと同様に、プラグと、このプラグが差込係合されるソケットとを備えている。
　ただし、プラグには、Ｙ字形状のガイドバーではなく、略直線状のガイド杆が設けられ、ソケット側には、そのガイド杆を挟み込むようにして案内する２条のガイド突条がプラグの差込方向に沿って設けられている。
　これらのガイド突条は、ソケットの表壁および裏壁間を連結するように設けられていたのでは、ガイド杆と干渉してガイド杆が奥まで入り込めないため、表壁あるいは裏壁といった一方の壁から突設され、ガイド杆が及ばない奥側の僅かな部分で表裏壁を連結するように跨って設けられている。
　このような特許文献２に記載のサイドリリースバックルでは、プラグがソケットに対して差込口から差し込まれると、プラグのガイド杆が本体のガイド突条に案内されながら脚部がソケットの本体内部に進入し、係合部と被係合部とが係合することにより、プラグとソケットとが係合状態で確実に保持される。

特許第４２０３４６１号公報 特許第４１４８８３６号公報

　しかしながら、特許文献１に記載のサイドリリースバックルによれば、ソケットの本体の表壁および裏壁には、バックルの軽量化やプラグの抜き差しを容易にする目的で、大きく切り欠かれた切欠部が形成されているため、表裏壁の剛性を十分に確保することが難しく、プラグとソケットとが係合しているときに、プラグとソケットとを互いに離す方向に引張すると、ソケットがその厚み方向に膨れ、係合部が被係合部から外れる可能性があった。特に、バックルの材質によっては、ソケットが大きく膨れるように変形する可能性がある。

　そこで、特許文献２に記載のサイドリリースバックルのような突条を設け、この突条によってソケットの表裏を連結することにより、プラグとソケットとを互いに離す方向に引張したときに、ソケットがその厚み方向に膨れることを防止することが考えられる。
　しかし、突条の設置位置によっては、膨れを十分に防止できず、あるいは係合部の被係合部に対する係脱動作を阻害することになるため、その解決が望まれている。

　そこで、本発明の目的は、ソケットがその厚み方向には膨れることを防止でき、係合部と被係合部との係合が外れてプラグがソケットから抜けることを防止できるバックルを提供することとした。

　本発明のバックルでは、プラグと、このプラグが差込係合されるソケットと、を備え、前記プラグは、基部と、前記基部から突出形成され前記プラグの差込方向に対して交差する方向へ弾性変形可能な脚部と、を有するとともに、前記脚部には係合部が突出形成され、前記ソケットは、差込口を有するとともに、表壁及び裏壁を備え、前記表壁及び前記裏壁の少なくとも一方を前記差込口から前記差込方向へ切欠いて形成された切欠部を有する本体と、前記本体内に形成されて前記差込口から差し込まれた前記脚部を収容可能な収容空間と、前記係合部が係合可能な被係合部と、を有し、前記収容空間には、前記表壁と前記裏壁とを連結する連結部が設けられており、前記連結部と前記被係合部との前記ソケットの幅方向における距離は前記係合部の幅寸法よりも大きいことを特徴とする。

　このような発明では、収容空間には、表壁と裏壁とを連結する連結部が設けられており、連結部と被係合部とのソケットの幅方向における距離は係合部の幅寸法よりも大きく、連結部が係合部と被係合部との係脱を阻害しない範囲で可能な限り被係合部に近接しているので、プラグとソケットとが結合しているときに、プラグとソケットとを互いに離す方向に引張しても、ソケットがその厚み方向には膨れず、被係合部が係合部からソケットの厚み方向に離れて係合部と被係合部との係合が外れてプラグがソケットから抜けることを防止できる。また、被係合部と連結部との距離は係合部の幅寸法よりも大きいため、被係合部に対する係合部の係脱が連結部によって阻害されることも防止できる。

　本発明において、前記連結部は、前記プラグの差込方向に沿って延びており、前記連結部の前記差込口側端部は、前記被係合部よりも前記差込口に近い位置に配置されていることが望ましい。
　このような発明では、連結部が、引張力が加わる被係合部を超えた位置まで延びているので、ソケットの厚み方向における膨れを確実に防止でき、係合部と被係合部との係合が外れてプラグがソケットから抜けることをより確実に防止できる。

　本発明において、前記連結部は、前記プラグの差込方向に沿って延びており、前記連結部の前記差込口側端部は、前記切欠部における前記差込口とは反対側の縁よりも前記差込口に近い位置に配置されていることが望ましい。
　ソケットにおいて、本体の表壁および裏壁の何れかが切欠部を有する場合、切欠部が形成された表壁または裏壁の剛性が低下し、ソケットがその厚み方向に変形しやすくなる。これに対し、本発明の構成とすれば、連結部の差込口側端部が、切欠部における差込口とは反対側の縁よりも差込口に近い位置に配置されるため、切欠部周辺の表壁と裏壁とを連結する構造が更に強固となり、ソケットの厚み方向の膨らみをより確実に防止できる。

　本発明において、前記本体は、前記プラグの差込方向の前側である前記差込口に対して前記差込方向の後側に配置されて前記本体の幅方向に延びる後壁を有し、前記連結部は前記後壁と連結されていることが望ましい。
　このような発明では、差込方向に延びる連結部を、ソケットの幅方向つまり差込方向と交差する方向に延びる後壁とを連結することで、これらの連結部と後壁とが表壁および裏壁に沿った二方向に延びるＬ型断面の連結構造を形成する。これにより、表壁と裏壁とを連結する構造が更に強固となるため、ソケットの被係合部周りの剛性を一層向上させることができ、ソケットの厚み方向の膨らみをより確実に防止できる。

　本発明において、前記連結部は、前記ソケットの幅方向における中央を挟んで一対設けられることが望ましい。
　このような発明では、連結部は一対設けられ、連結部はそれぞれ、ソケットの幅方向における中央を挟んで設けられるため、プラグとソケットとを互いに離す方向に引張したときに、一対の連結部によってソケットの幅方向における中央を挟んで一様に補強することができ、ソケットの厚み方向の膨らみを確実に防止できる。

本発明の第１実施形態にかかる全体構成を示す分解斜視図。 前記第１実施形態にかかる全体構成を分解して示す平面図。 前記第１実施形態にかかるソケットを示す断面図。 図３におけるＩＶ－ＩＶ線での断面図。 前記第１実施形態のプラグとソケットとが結合された状態を示す断面図。 本発明の第２実施形態にかかるソケットを示す断面図。 本発明の第３実施形態にかかるソケットを示す断面図。 本発明の変形例にかかるソケットを示す断面図。 本発明の別の変形例にかかるソケットを示す断面図。

　以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第１実施形態〕
　図１ないし図５には本発明の第１実施形態が示されている。
　図１および図２に基づいてサイドリリースバックルの全体構成について説明する。
　図１は本発明の第１実施形態にかかる全体構成を示す斜視図である。図２は前記第１実施形態にかかる全体構成を示す平面図である。

　図１および図２において、本実施形態のサイドリリースバックル１は、紐状部材、たとえば、ベルトなどの端部を連結・分離するためのものであり、それぞれナイロン等の合成樹脂の射出成形によって形成されたプラグ１０と、このプラグ１０が差込係合されるソケット２０とを備えている。
　なお、プラグ１０およびソケット２０の材質としては、合成樹脂に限らず金属など他の材質であってもよく、射出成形に限らず、鋳造など他の成形方法によるものであってもよい。
　なお、以下の説明において、ソケット２０に対してプラグ１０を差し込む方向が差込方向であり、本実施形態ではソケット２０の長手方向はプラグ１０の差込方向とされている。ソケット２０の厚み方向および幅方向は、それぞれ差込方向に交差するとともに、厚み方向と幅方向も互いに交差している。

　図１および図２に基づいてプラグの構成について説明する。
　図１および図２において、プラグ１０は、全体が一体成形されたものであり、基部１１と、基部１１の幅方向（プラグ１０の幅方向に同じ）の両側からプラグ１０の差込方向へ直線状に突出形成された一対の脚部１２と、一対の脚部１２の間に形成されてプラグ１０の差込方向へ延びるガイドバー１３と、ベルトなどが挿通されるベルト装着部１４とを有する。

　脚部１２は、幅方向に沿って互いに接近または離間するように弾性変形可能な弾性片部１２１と、この弾性片部１２１の先端からプラグ１０の差込方向へ向かって延長された操作部１２２とを有する。
　操作部１２２は、プラグ１０の厚み方向に貫通する貫通孔を有し、その外側面（各脚部１２が対向する面とは反対側の面）が先端へ向けて内側（各脚部１２が対向する側）、すなわち、各脚部１２が接近する方向へ傾斜して形成されている。
　各脚部１２の先端には、プラグ１０の厚み方向に向かって突出した係合部１０１が形成され、係合部１０１は所定の幅寸法Ｗ１を有する。

　ガイドバー１３は、全体形状が略Ｙ字形状とされ、基部１１の幅方向両側から長さ方向に向けて突設されて、プラグ１０の差込方向に向かうに従って互いに近接していく一対のブリッジ１３１と、ブリッジ１３１の端部からさらにプラグ１０の差込方向へ向けて延設され所定長さを有するガイドヘッド部１３２とを備える。

　ベルト装着部１４は、基部１１の幅方向における中間部分を利用して形成されている。このベルト装着部１４は、プラグ１０の内部中央にベルトの端部が挿入されるベルト取付孔１４Ａを有し、プラグ１０の端部でかつ基部１１の端部である位置に幅方向へ延びる第１バー１４Ｂが架設され、第１バー１４Ｂよりもプラグ１０の差込方向側には第２バー１４Ｃが架設され、この第２バー１４Ｃによってベルト取付孔１４Ａは、プラグ１０の差込方向側（前端側）に位置する前端取付孔１４Ｄと、プラグ１０の差込方向とは反対側（後端側）に位置する後端取付孔１４Ｅとの２つに分割されている。
　これにより、図示しないベルトをプラグ１０の背面側（図１における紙面奥側）から正面側（図１における紙面手前側）に向けて前端取付孔１４Ｄに挿通し、次に、プラグ１０の正面側から背面側に向けて後端取付孔１４Ｅに挿通して第１バー１４Ｂの背面側にもってくる。そうすると、ベルトの先端が基端側と第１バー１４Ｂとの間に挟持される。これにより、ベルトを係合して固定可能でかつ長さ調節も可能な構造となっている。

　図１ないし図４に基づいてソケットの構成について説明する。
　図３は前記第１実施形態にかかるソケットを示す断面図である。図４は、図３におけるＩＶ－ＩＶ線での断面図である。
　図１から図４の各図において、ソケット２０は、全体が一体成形されたものであり、一端にプラグ１０の一対の脚部１２が差し込まれる差込口２２が形成された本体２１と、本体２１内に形成されて差込口２２から差し込まれた脚部１２を収容可能な収容空間２３と、本体２１の他端に形成されて図示しないベルトが挿通係止されるベルト装着部２６とを有する。
　また、ソケット２０は、差込口２２から本体２１の内部に向かって形成され、プラグ１０の係合部１０１を案内しながら一対の脚部１２の先端部を互いに接近する方向へ弾性変形させるガイド部２８と、本体２１の表裏を連結する一対の連結部３１Ａ，３１Ｂとを有する。

　本体２１は、表裏の表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂと、これらをソケット２０の側方において連結する一対の側壁２１Ｃと、プラグ１０の差込方向の前側である差込口２２に対して差込方向の後側に配置されてソケット２０の幅方向に延びる後壁２１Ｄとを有し、これらの表壁２１Ａ、裏壁２１Ｂ、側壁２１Ｃおよび後壁２１Ｄを連結することで、内部に収納空間２３を有する扁平筒形状に形成されている。

　表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂのそれぞれには、差込口２２側から差込方向に向かって切り欠かれた略Ｙ字形状の大きな切欠部２１Ｅ，２１Ｆが設けられている。この切欠部２１Ｅ，２１Ｆは、プラグ１０に設けられたガイドバー１３のブリッジ１３１に対応するように差込口２２に向けて拡開した案内路２４、およびヘッド部１３２に対応した軸線路２５によって形成されている。
　なお、切欠部２１Ｅ，２１Ｆは、表壁２１Ａまたは裏壁２１Ｂのどちらか一方にのみ設けられていてもよい。

　側壁２１Ｃは、本体２１の長さ方向（ソケット２０の長さ方向、プラグ１０の差込方向）の中間部分が、本体２１の内部に向かって凹状にくびれており、くびれ部分には収容空間２３に連通した開口部２７が形成されている。開口部２７からは、プラグ１０がソケット２０に差し込まれた状態で、プラグ１０の脚部１２に設けられた操作部１２２が露出し、操作部１２２を互いに内側へ押圧操作できるようになっている。露出する操作部１２２を開口部２７の内側へ押圧することで一対の脚部１２が互いに近接するように弾性変形し、係合部１０１を被係合部３２（後述）から外して互いの係合を解除し、プラグ１０をソケット２０から外すことができる。

　後壁２１Ｄは、その幅方向の中央に、収容空間２３とソケット２０の外部とを連通する穴部３０が形成され、収容空間２３に水分が溜まった際にこれを外部に排出できるようになっている。

　本体２１内部には、本体２１の両側位置に幅方向に対向する被係合部３２が設けられている。これらの被係合部３２は、幅方向の各端部において、表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂのそれぞれの内面（表壁２１Ａと裏壁２１Ｂとが対向する面）に所定の突出高さで形成されている。
　幅方向に対向する一対の被係合部３２において、互いの対向面は、プラグ１０の係合部１０１が当接することで脚部１２を弾性変形させるガイド部２８になっており、プラグ１０を差し込むに従って脚部１２が収容空間２３の中央側に変形するように傾斜している。

被係合部３２に隣接して、本体２１には凹部２９が形成されている。
　図３に示すように、凹部２９は、本体２１の表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂの内面において、被係合部３２の奥側の位置からソケット２０の幅方向に側壁２１Ｃ側に向けて切り欠き形成されて窪んでおり、この凹部２９が形成されることで、被係合部３２には係合部１０１が係合する被係合面３２１が形成されている。
　被係合面３２１は、本体２１の幅方向および本体２１の厚み方向に沿った面であり、差込方向とは交差する面である。また、被係合部３２は、ガイド部２８の先端と連続されており、ガイド部２８により収容空間２３の中央側に変形された脚部１２の係合部１０１がガイド部２８の先端に達してその案内から外れた際に、この係合部１０１がこの被係合面３２１に対して係合し、これによりプラグ１０およびソケット２０の係合状態が維持されるようになっている。

　さらに、本実施形態の本体２１では、被係合部３２近傍に連結部３１Ａ，３１Ｂが設けられている。
　図４および図１に示すように、連結部３１Ａ，３１Ｂは、それぞれ収容空間２３内に配置されて差込方向（図３の上下方向）およびソケット２０の厚み方向（図４の上下方向）に延びる板状の部分であり、表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂを連結するように設けられ、表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂが膨らむように変形するのを防止している。

　図５および図３に示すように、連結部３１Ａ，３１Ｂは、被係合部３２の内側の角部分（ガイド部２８と被係合面３２１とで成す角部分）からソケット２０の中心軸Ａ側に所定距離Ｗ２だけ離隔して設けられている。また、連結部３１Ａ，３１Ｂは、後壁２１Ｄに向けてプラグ１０の差込方向と平行な方向に延び、連結部３１Ａ，３１Ｂの一端（差込口（２２）とは反対側の端部）は後壁２１Ｄと連結されており、後壁２１Ｄと一体になって表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂに沿った二方向に延びるＬ型断面の連結構造を形成している。
　距離Ｗ２は、係合部１０１の幅寸法Ｗ１よりも僅かに大きい程度であり、従って、連結部３１Ａ，３１Ｂは、被係合部３２に対する係合部１０１の係脱が阻害されない範囲で、被係合部３２に最大限に近接していることになる。
　また、連結部３１Ａ，３１Ｂの差込口２２側の端部は、被係合部３２よりも差込口２２に近い位置に配置されており、さらに、切欠部２１Ｅ，２１Ｆにおける差込口２２とは反対側の縁２１１よりも差込口２２に近い位置に配置されている

　図５に基づいてプラグとソケットとが結合される様子を説明する。
　図５は、前記第１実施形態のプラグとソケットとが結合された状態を示す図である。
　プラグ１０の一対の脚部１２をソケット２０の差込口２２から差し込むとプラグ１０は、ガイドバー１３が切欠部２１Ｅ，２１Ｆに案内されながらソケット２０の内部に差し込まれていくとともに、一対の脚部１２先端の係合部１０１がソケット２０のガイド部２８に当接し、各脚部１２が互いに接近する方向へ弾性変形していく。
　続けてプラグ１０をソケット２０に差し込んでいくと、ガイドバー１３が切欠部２１Ｅ，２１Ｆに納まって差込口２２を閉塞する。
　このとき、係合部１０１は、被係合部３２を乗り越えようとして被係合部３２と連結部３１Ａ，３１Ｂとの間に進入し、乗り越えた後には、図５に示すように、脚部１２が復帰することよって互いに離間する方向へ変位し、被係合部３２の被係合面３２１に係合される。つまり、プラグ１０がソケット２０に結合される。

　また、プラグ１０とソケット２０とが結合した状態において、プラグ１０をソケット２０から外すには、ソケット２０の開口部２７から突出している脚部１２の操作部１２２の外側面を内側へ押圧する。すると、プラグ１０の脚部１２が内側に弾性変形され、係合部１０１が被係合部３２から外れて開口２９と連結部３１Ａ，３１Ｂとの間に位置する。この状態において、プラグ１０をソケット２０から引き抜くと、プラグ１０をソケット２０から外すことができる。

　このような本実施形態においては、以下のような効果が得られる。
　本実施形態のサイドリリースバックル１では、本体２１の表壁２１Ａと裏壁２１Ｂとを連結する連結部３１Ａ，３１Ｂが設けられ、この連結部３１Ａ，３１Ｂがプラグ１０の係合部１０１とソケット２０の被係合部３２との係脱を阻害しない範囲で可能な限り被係合部３２に近接しているので、プラグ１０とソケット２０とが結合しているときに、プラグ１０とソケット２０とを互いに離す方向に引張しても、ソケット２０の表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂが連結部３１Ａ，３１Ｂによって補強されてその厚み方向には膨れず、被係合部３２が係合部１０１からソケット２０の厚み方向に離れるのを防止でき、互いの係合が外れてプラグ１０がソケット２０から抜けるのを防止できる。

　本実施形態のサイドリリースバックル１では、連結部３１Ａ，３１Ｂの差込口２２側の端部は、引張力が加わる被係合部３２よりも差込口２２に近い位置に配置されているので、ソケット２０の厚み方向における膨れを確実に防止でき、係合部１０１と被係合部３２との係合が外れてプラグ１０がソケット２０から抜けることをより確実に防止できる。

　本実施形態のサイドリリースバックル１では、連結部３１Ａ，３１Ｂと後壁２１Ｄとが連結されているため、これらが一体となって表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂに沿った二方向に延びるＬ型断面の連結構造を形成している。表壁２１Ａおよび裏壁２１Ｂの被係合部３２周りの剛性を一層向上させることができ、ソケット２０の厚み方向の膨らみをより確実に防止できる。

　本実施形態のサイドリリースバックル１では、連結部３１Ａ，３１Ｂの差込口２２側の端部は、切欠部２１Ｅ，２１Ｆにおける差込口２２とは反対側の縁２５１よりも差込口２２に近い位置に配置されているため、切欠部２１Ｅ，２１Ｆ周辺の表壁２１Ａと裏壁２１Ｂとを連結する構造が更に強固となり、ソケット２０の厚み方向の膨らみをより確実に防止できる。

〔第２実施形態〕
　図６には本発明の第２実施形態が示されている。
　図６は本発明の第２実施形態にかかるソケットを示す断面図である。
　図６において、本実施形態のソケット２０Ａでは、切欠部の軸線路２５の長さが前記第１実施形態と比べて短く形成されるとともに、ベルト装着部２６側から表壁２１Ａ及び裏壁２１Ｂを切り欠いた別の切欠部２１Ｇが形成されている。この別の切欠部２１Ｇの辺縁に沿って、表壁２１Ａ及び裏壁２１Ｂを連結する連結部３１Ｃが形成されている。

　連結部３１Ｃは、第１実施形態の連結部３１Ａ，３１Ｂが差込口２２側において連結されたものであり、ソケット２０Ａの幅方向における連結部３１Ｃの両側の端部は本体２１の後壁２１Ｄと連接されている。そして、連結部３１Ｃの断面形状は、前述した別の切欠部２１Ｇに対応して、差込口２２に向けてプラグ１０の差込方向に凸となる１つの略半長円形状である。この連結部３１Ｃのうち、両側の端部の近傍であって所定の曲率を有する曲面部３１０が被係合部３２に最大に近接している。

　このような本実施形態では、連結部３１Ｃが表壁２１Ａ及び裏壁２１Ｂを連結するとともに、連結部３１Ｃのソケット２０幅方向両側は差込方向に延びかつ連結部３１Ｃが後壁２１Ｄと連結され、これにより前記第１実施形態と同様な効果が得られる。さらに、連結部３１Ｃが１つの略半長円形状とされているため、表壁２１Ａと裏壁２１Ｂの剛性をさらに大きくできるとともに、別の切欠部２１Ｇの周辺の剛性も確保することができ、ソケット２０の厚み方向の膨らみをより確実に防止できる。

〔第３実施形態〕
　図７には本発明の第３実施形態が示されている。
　図７は本発明の第３実施形態にかかるソケットを示す断面図である。
　図７において、本実施形態のソケット２０Ｂでは、連結部３１Ｄ，３１Ｅの後端は本体２１の後壁２１Ｄと連接されておらず、後壁２１Ｄから所定距離離れて設けられている。そして、連結部３１Ｄ，３１Ｅそれぞれの一方の側面に連接して支持部としてのリブ４０が設けられている。
　リブ４０の断面形状は、連結部３１Ｄ，３１Ｅを支持できる形状を有していればよく、四角形、三角形、あるいは半円形状など、任意の断面形状であってよい。

　このような本実施形態では、前記第１実施形態と同様な効果が得られるうえ、簡単な構造のリブ４０を連結部３１Ｄ，３１Ｅの側方に設けるだけで、リブ連結部３１Ｄ，３１Ｅ自身を確実に補強できる。
　ただし、そのようなリブ４０を連結部３１Ｄ，３１Ｅの両方の側面に設けてもよい。この際、被係合部３２側に臨むリブ４０は、係合部１０１および被係合部３２の係脱を阻害しない位置に設けられる。

〔変形例〕
　なお、本発明は前記実施形態の構造に限らず、次のような変形をも含む。
　前記第１～３実施形態では、サイドリリースバックル１について説明したが、フロンリリースバックルや他のリリース方式のバックルであってもよい。
　前記第１実施形態では、プラグ１０のガイドバー１３およびソケット２０の切欠部２１Ｅ，２１ＦがＹ字形状であったが、これに限らず、単に直線状であってもよく、要するに、係合部１０１や被係合部３２側に向かって大きく形成されていれば、その形状は任意である。

　また、前記第３実施形態のように、連結部の後端が本体２１の後壁２１Ｄと連接されていない場合においても、図８に示すバックル２０Ｃのように、連結部３１Ｄ，３１Ｅそれぞれの側方にリブ４０が設けられていなくてもよい。

　さらに、本発明の被係合部３２としては、凹部２９により被係合面３２１が形成されるものに限らず、他の構造により被係合面３２１を形成してもよい。
　例えば、図９に示すように、バックル２０Ｄは、本体２１のベルト装着部２５のベルトが挿通係止される孔から差込口２２に向けて切欠き２９Ｃが形成され、この切欠き２９Ｃに臨む被係合部３２の段差面により被係合面３２１が形成されている。本発明においては、このような切欠き２９Ｃにより被係合部３２に被係合面３２１を構成することもできる。

　本発明は、ベルト同士を連結するバックルであって、例えば、両側一対のロックアームを有するバックルとして利用できる。

１…サイドリリースバックル
１０…プラグ
１１…基部
１２…脚部
２０，２０Ａ，２０Ｂ，２０Ｃ，２０Ｄ…ソケット
２１…本体
２１Ａ…表壁
２１Ｂ…裏壁
２１Ｄ…後壁
２１Ｅ，２１Ｆ…切欠部
２２…差込口
２３…収容空間
３１Ａ，３１Ｂ，３１Ｃ，３１Ｄ，３１Ｅ…連結部
３２…被係合部
１０１…係合部
２１１…縁
 

Claims (5)

1. 　プラグ（１０）と、このプラグ（１０）が差込係合されるソケット（２０～２０Ｄ）と、を備え、
   　前記プラグ（１０）は、基部（１１）と、前記基部（１１）から突出形成され前記プラグ（１０）の差込方向に対して交差する方向へ弾性変形可能な脚部（１２）と、を有するとともに、前記脚部（１２）には係合部（１０１）が突出形成され、
   　前記ソケット（２０，２０Ｄ）は、差込口（２２）を有するとともに、表壁（２１Ａ）及び裏壁（２１Ｂ）を備え、前記表壁（２１Ａ）及び前記裏壁（２１Ｂ）の少なくとも一方を前記差込口（２２）から前記差込方向へ切欠いて形成された切欠部（２１Ｅ，２１Ｆ）を有する本体（２１）と、前記本体（２１）内に形成されて前記差込口（２２）から差し込まれた前記脚部（１２）を収容可能な収容空間（２３）と、前記係合部（１０１）が係合可能な被係合部（３２）と、を有し、
   　前記収容空間（２３）には、前記表壁（２１Ａ）と前記裏壁（２１Ｂ）とを連結する連結部（３１Ａ～３１Ｅ）が設けられており、
   　前記連結部（３１Ａ～３１Ｅ）と前記被係合部（３２）との前記ソケット（２０～２０Ｄ）の幅方向における距離は前記係合部（１０１）の幅寸法よりも大きい
   ことを特徴とするバックル。
2. 　請求項１に記載のバックルにおいて、
   　前記連結部（３１Ａ～３１Ｅ）は、前記プラグ（１０）の差込方向に沿って延びており、
   　前記連結部（３１Ａ～３１Ｅ）の前記差込口（２２）側端部は、前記被係合部（３２）よりも前記差込口（２２）に近い位置に配置されていることを特徴とするバックル。
3. 　請求項１または請求項２に記載のバックルにおいて、
   　前記連結部（３１Ａ，３１Ｂ，３１Ｄ，３１Ｅ）は、前記プラグ（１０）の差込方向に沿って延びており、
   　前記連結部（３１Ａ，３１Ｂ，３１Ｄ，３１Ｅ）の前記差込口（２２）側端部は、前記切欠部（２１Ｅ，２１Ｆ）における前記差込口（２２）とは反対側の縁（２１１）よりも前記差込口（２２）に近い位置に配置されていることを特徴とするバックル。
4. 　請求項２または請求項３に記載のバックルにおいて、
   　前記本体（２１）は、前記プラグ（１０）の差込方向の前側である前記差込口（２２）に対して前記差込方向の後側に配置されて前記本体（２１）の幅方向に延びる後壁（２１Ｄ）を有し、
   　前記連結部（３１Ａ，３１Ｂ，３１Ｃ）は前記後壁（２１Ｄ）に連結されていることを特徴とするバックル。
5. 　請求項１から請求項４までのいずれか一項に記載のバックルにおいて、
   　前記連結部（３１Ａ，３１Ｂ，３１Ｄ，３１Ｅ）は、前記ソケット（２０，２０Ｂ～２０Ｄ）の幅方向における中央を挟んで一対設けられることを特徴とするバックル。

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