JP4908276B2 - 連結具 - Google Patents

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Description

本発明は、雄体と雌体とを備える連結具に関する。
従来、様々な連結具が知られているが、例えば車体の荷台(ラゲッジルーム)を仕切るのに伸縮自在なネットが使用される場合があり、このネットを車体に固定するための連結具として、例えばフックが使用されていた(特許文献1)。すなわち、開口部に弾性片を有するフックがネットの端部に設けられており、このフックを車体側壁に固定されたリング部材に取り付ける。
また、ベルトとベルトとを連結するバックルも連結具に含まれる(例えば特許文献2)。特許文献2のバックルは、ベルトがそれぞれ取り付けられるA部材(バックル基台)とB部材(差込台)とを有しており、A部材は、ベルトが取り付けられる側と反対側に有底偏平筒を有し、B部材は、ベルトが取り付けられる側と反対側に挿入棒を有する。なお、A部材の有底偏平筒の側壁には深さ方向に沿って切除溝が形成されている。このバックルを留める際は、B部材の挿入棒をA部材の有底偏平筒に上方から差し込む。この際、挿入棒に形成された半球状突起が有底偏平筒の内周壁に形成された小穴に嵌合する。そして、バックルを外す際は、挿入棒を引っ張り上げて小穴から突起を外し、挿入棒を有底偏平筒から抜き取っていた。
特開2004−10018号公報 実公昭56−16087号公報
しかしながら、特許文献1のような連結具の場合、一方の手で車内側壁からリング部材を起こし、他方の手でフックの弾性片を押圧しながら、リング部材にフックを取り付けたり、リング部材からフックを取り外したりする必要があるため、取扱いが面倒である。特に、取外しの際は、弾性片を押圧してフックを開いた状態としつつ、フック内のリングをフック開口に移動させる必要があるので、取扱いが非常に面倒である。
一方、特許文献2のバックルの場合、着脱は容易であるものの、有底偏平筒から挿入棒を取り外す方向などに不用意な力が加わると簡単に外れてしまうおそれがあった。このようなバックルを特許文献1の連結具のようにネットの連結に使用した場合、ネットの張力によって外れる可能性がある。
そこで、本発明の目的は、着脱が容易にでき、かつ、不用意な力が加わっても外れ難い連結具を提供することにある。
本発明は、凹部が形成された雌体と、前記凹部に挿入される凸部と、この凸部が前記凹部に挿入された状態で前記凹部の外側に位置する基部とを有する雄体と、を備え、前記凸部には、当該凸部が前記凹部に挿入される挿入方向後方側の端部から前記凸部の前記挿入方向前方側の端部の手前まで延びるスリットが形成されているとともに、このスリットで前記基部側と隔てられた部分に前記基部側に弾性変形可能な弾性部が形成され、前記基部は、前記凸部とは反対側に他部材が取り付けられる被取付部を有し、前記雄体は、前記被取付部と前記弾性部との間の位置に、係止部を有し、前記雌体は、前記凸部が前記凹部に挿入された状態で前記係止部と係止される被係止部を有し、前記係止部は、前記凸部における前記挿入方向前方側の端部よりも、前記凸部における前記挿入方向後方側の端部の方に近い位置に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、雄体の凸部が弾性部を有し、雄体の係止部が雌体の被係止部に対向するまで弾性部を圧縮した状態で、凸部が雌体の凹部に挿入されるため、凸部が弾性部を有していなかったり、弾性部を有していても凸部の挿入時に弾性部を弾性変形させない場合と比べて、係止部と被係止部とが互いに接触する寸法を大きくすることが可能となる。なお、係止部および被係止部の位置が被取付部と弾性部との間の位置とされていることにより、弾性部材の弾性力が作用する方向における係止部と被係止部との掛かり代を大きくすることができる。このように係止部と被係止部とが係合し、かつ雌体から雄体を取り外す際には弾性部を弾性変形させる必要があるため、係止部と被係止部とが確実に係合し、弾性部を弾性変形させる方向や凸部の挿入方向前方側から後方側に向かって不用意な力が作用した場合でも凸部が凹部から抜け出ず、雄体と雌体とが外れることを防止できる。
また、雄体を雌体に取り付ける際は、基部を把持して凸部を凹部に押圧し、弾性部を弾性変形させれば凹部に凸部が挿入され、また、雄体を雌体から取り外す際は、基部を把持して凸部を凹部に押圧し、弾性部を弾性変形させれば係止部が被係止部から離れ、凸部が凹部から抜け出る。すなわち、着脱に複雑な手順が必要とならず、一連の操作で容易に着脱することが可能となる。
以上により、着脱の容易さと、不用意な力に対する外れ難さとを両立させることができる。
ここで、凸部の挿入時に弾性部が一旦圧縮された後、雄体の係止部と雌体の被係止部とが対向することにより、挿入時に弾性部材が圧縮されない場合と比べて雄体と雌体とを取り外す際に必要な遊びを極力小さくできる。これにより、雄体と雌体とのガタツキを防止できる。
またさらに、本発明では、雄体には、弾性部材を有する凸部、および係止部を具備させ、また、雌体には、凹部、および被係止部を具備させればよいので、これら雄体および雌体の構造を簡略にできる。特に、弾性部材が雄体に設けられていることで、雌体には弾性部材が必要とならず、雄体の構造と比べて雌体の構造を簡略にできる。雌体の構造が簡略であることは、雌体が例えば車体の荷台や側壁などに一体に植設される場合などに有利となる。
また、凸部には、凸部の前記挿入方向後方側の端部から前記凸部の前記挿入方向前方側の端部の手前まで延びるスリットが形成され、このスリットで基部側と隔てられた部分に弾性部が形成されているので、つまり、凸部が弾性部を兼ねているため、雄体の構造をより簡略にできる。
さらに、係止部は、凸部における前記挿入方向前方側の端部よりも、凸部における挿入方向後方側の端部の方に近い位置に形成されているから、弾性部の変形量が挿入方向前方側よりも挿入方向後方側の方で大きいため、凹部に挿入される凸部が被係止部に対向する際に凸部が被係止部に干渉せず、凸部の挿入が容易となる。また、この弾性部の変形量が大きい挿入方向後方側において、係止部をより大きな押圧力で被係止部に係止させることができる。
本発明では、前記係止部は、前記凸部側から前記基部側に向かって突出し、前記被係止部は、前記凸部が前記凹部に挿入された状態で前記係止部に少なくとも前記挿入方向後方側から対向することが好ましい。
この発明によれば、弾性変形可能な弾性部を有する雄体に係止部が突出形成され、雌体には、この突出する係止部が係止される被係止部を窪んだ形状に形成することが可能となるので、雄体の凸部を雌体の凹部に挿入する際に係止部と被係止部とが干渉しない。これにより、着脱操作が容易となる。
本発明では、前記被係止部は、前記挿入方向後方側からに加えて、前記挿入方向と交差しかつ前記被取付部材に設けられる他部材の張力が作用する方向における前記被取付部側からも、前記係止部に対向することが好ましい。
この発明によれば、被取付部に取り付けられる例えばネットやベルト、テープ、生地等の伸張によって基部が凸部側と反対側に引っ張られた際の力が大きくなるほど、係止部が被係止部から離れにくくなるため、雄体と雌体とをより外れにくくできる。
本発明では、前記凸部は、前記基部から膨出して形成され、前記凹部の側壁には、前記凸部の挿入方向に沿って延びるガイド溝が形成され、前記基部は、前記ガイド溝を介して前記凹部の外側に延出していることが好ましい。
この発明によれば、ガイド溝により、凸部が所定の挿入方向に沿って凹部に案内されるので、雄体と雌体との着脱操作がより容易となる。
本発明では、前記雄体の前記係止部は、前記凸部よりもさらに膨出して前記凸部と前記基端部との取り合い部分に形成され、前記雌体の前記被係止部は、前記ガイド溝の内壁部に前記弾性部の弾性力を受ける方向に凹設されていることが好ましい。
この発明によれば、被係止部の内部に係止部が収容されるため、被取付部に取り付けられた部材の張力によって基部が凸部の挿入方向とは交差する方向に引っ張られた際の力が大きくなるほど、雄体と雌体とをより一層外れにくくできる。
また、基部から膨出した凸部と基部との取り合い部分である括れた部分に係止部が形成されているとともに、ガイド溝の内壁部に被係止部が形成されているため、これら係止部と被係止部とを納まりよく、かつ容易に形成することが可能となる。
また、被係止部がガイド溝の内側にあり、係止部分が外部に露出しないので、外観意匠性を良好にできる。
本発明では、前記凸部は、当該凸部が前記凹部に挿入される方向をほぼ軸方向とする略円柱形状とされていることが好ましい。
この発明によれば、角部などが無い略円柱形状に凸部が形成されていることにより、凹部に凸部を挿入し易く、また、凹部に挿入された状態でも、凹部内における凸部の回転がある程度許容されるので、外力により、雌体と雄体とに作用する負荷を小さくできる。
本発明では、前記凸部における前記挿入方向前方側の端部は、前記基部の端部よりも前記挿入方向前方側に突出し、前記雌体は、前記凹部に前記凸部が挿入された状態で前記基部における前記挿入方向前方側の端部に当接される当接部を有することが好ましい。
この発明によれば、凸部の挿入方向前方側の端部が突出していることで、凸部を凹部に挿入し易い。また、この凸部の端部と段差を有する基部の端部には雌体の当接部が当接することにより、雌体の当接部と被係止部とによって雄体が挟持されるので、雄体の雌体に対する相対位置を規定できる。
本発明では、前記雄体における前記挿入方向前方側の端部には、前記凹部に前記凸部が挿入された状態で前記当接部材との間に形成される隙間の少なくとも一部に配置される隙間用凸部が形成されていることが好ましい。
この発明によれば、隙間用凸部により、雄体と雌体との間のガタツキをより確実に防止できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以降の説明では、既に説明した構成と略同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
図1は、本実施形態の連結具1によって車体内装の後部基台2にネット部材3が取り付けられている状態を示す。この車体の荷台には、デッキボード4が設置され、デッキボード4は水平な状態と、図1のように略垂直な状態とに起伏自在とされている。このデッキボード4が略垂直に保持された状態において、デッキボード4の裏面側と後部基台2との間にネット部材3が張設されることにより、車体フロアに設けられたトレイ5の収納空間が仕切られている。図1では、2つのネット部材3,3が使用されており、これらのネット部材3,3で仕切られた3つの収納部5A,5B,5Cのそれぞれに、各種物品を収納可能となっている。各収納部5A〜5Cにそれぞれ配置された物品の車体幅方向への移動は、ネット部材3,3によって規制される。
ネット部材3は、略三角形状の伸縮性のネット31と、ネット31の一辺側の端部に設けられてデッキボード4の裏面に取り付けられる帯状部材32とを有しており、帯状部材32とは反対側のネット31の頂角部に設けられる連結具1によって、ネット部材3は後部基台2に着脱可能に取り付けられている。
図2は、連結具1の分解斜視図である。また、図3は、連結具1の側面図である。
連結具1は、後部基台2に一体形成される雌体20と、雌体20に挿入される雄体10とを備えている。
雄体10は、板状の基部11と、基部11の一辺側の端部から膨出した凸部としての膨出部12と、基部11の膨出部12とは反対側の端部に位置し、かつネット部材3の端部が取り付けられる被取付部としての連結部13とを有し、合成樹脂製の一体成形品として構成されている。
基部11は、略矩形状に形成されており、その外周部が肉付けされている。
膨出部12は、基部11の一辺に沿う方向を軸方向とする略円柱状に形成されており、その軸方向にほぼ沿ってスリット120が形成されている。このスリット120は、膨出部12の長手方向における一方の端部12Bから他方の端部12Aの手前まで形成されており、このスリット120により、基部11の一辺に沿って形成された膨出部本体121と、膨出部本体121に端部12A側で連結されかつ膨出部本体121側に弾性変形可能な弾性片122とに隔てられている。
なお、膨出部12のスリット120が形成されていない側の端部12Aは、この端部12Aに隣接する基部11の端部よりも膨出部12の軸方向に沿って突出している。この膨出部12の端部12Aと基部11の端部との間の段差部には、基部11の厚さよりも薄い舌片状の隙間用凸部10Aが形成されており、この隙間用凸部10Aは、膨出部12の端部12Aと基部11の前記端部とに亘って延出している。
ここで、膨出部12の膨出部本体121と基部11との間に膨出部12の長手方向に沿って形成された取り合い部分には、雌体20に雄体10を係止する係止凸部101が形成されている。この係止凸部101は、断面略円形状の膨出部本体121よりも外側にさらに膨出し、かつスリット120の位置から基部11に向かって突出するように形成されている。なお、この係止凸部101における図2中、上側の面が雌体20に係止され、係止凸部101の側面は、上側の面から膨出部12の軸方向にほぼ沿って弾性片122側へテーパされている。
このような係止凸部101は、基部11の両面側における同じ位置にそれぞれ形成されている。また、これらの係止凸部101は、図2中、膨出部本体121に弾性片122が連結されている膨出部12の下側の端部12Aよりも、スリット120によって膨出部本体121と弾性片122とが隔てられている上側の端部12B側に近い位置に形成されている。
なお、前記係止凸部101は、後述する雌体20のスリーブ21内に挿入される弾性片122以外の部分に形成されていればよく、基部11においてスリーブ21内に収納される部分、または膨出部本体121のうち、少なくともいずれか一方に形成されていればよい。
連結部13は、基部11の一辺に沿って基部11と同じ長さに形成されており、この連結部13には、ネット部材3が取り付けられる矩形状の開口131が形成されている。なお、開口131の各短辺の周囲は肉付けされ、基部11よりも厚く形成されている。
次に、図4、および図2、3を参照して雌体20の構成を説明する。
図2に示すように、雌体20は、雄体10の膨出部12が挿入されるスリーブ21を有する後部基台2と、トレイ5とによって構成されている。
図4は、雌体20の内部を示す斜視図である。雌体20は、互いに一体化されて物品の収納部5A,5B,5C(図1)を構成する後部基台2およびトレイ5の一部として、各収納部開口部を形成する壁の近傍に形成されており、雄体10の膨出部12(図3)が挿入される凹部としての略筒状のスリーブ21と、雄体10の基部11を支持する当接部としての支持部22とを有している。なお、スリーブ21は後部基台2に形成され、支持部22はトレイ5に形成されている。
ここで、雌体20は、図2に示すように、断面略Z字状に形成されており、具体的に、スリーブ21の開口部が露出する後部基台2の上面部20Aと、スリーブ21の軸方向にほぼ沿って形成された後部基台2の側面部20Bと、この側面部20Bと交差するように形成されたトレイ5の底面部20Cとを有して構成されている。
スリーブ21の側壁の一部は、後部基台2の側面部20B側で開口しており、この開口部両側のスリーブ21側壁によって、スリーブ21に膨出部12が挿入される際に基部11をガイドするガイド溝211が形成されている。
ここで、ガイド溝211の両側の内壁部のそれぞれには、雄体10の弾性片122の弾性力を受ける方向に窪み、雄体10の係止凸部101を収容する被係止凹部201が凹設されている。これらの係止凸部101は、スリーブ21の図4中、上側の端部の近傍から下側の端部まで形成されている。
図5は、スリーブ21に雄体10の膨出部12が挿入された状態を示す。この図と図4とに示すように、被係止凹部201における上側の端縁部に、雄体10の係止凸部101が係止されている。なお、図5は、後述する図7のV−V線断面図である。
また、被係止凹部201の形状は雄体10の膨出部12の曲面にほぼ倣っており(図4参照)、図4中、被係止凹部201における左側の端縁部は、係止凸部101に対向する。
次に、図6および図7を参照し、連結具1の作用を説明する。雌体20に雄体10を取り付ける際は、図6に示すように、挿入方向後方側(Y−)から挿入方向前方側(Y+)に向かって雄体10の膨出部12をスリーブ21に挿入する。この際、基部11を把持して膨出部12をスリーブ21内に押し下げるようにして弾性片122をスリーブ21内でX+方向に弾性変形させ、弾性片122と膨出部本体211とを近接させた状態で、膨出部12をスリーブ21内に挿入する。図6のように弾性片122が弾性変形した状態で雄体10の係止凸部101がスリーブ21の内壁上部を通過し、係止凸部101が雌体20の被係止凹部201の位置にきたとき、弾性片122が弾発し、図7のように被係止凹部201に係止凸部101が係止する。この状態において、雌体20の支持部22に隙間用凸部10Aが当接する。このように隙間用凸部10Aが支持部22に当接することで、雄体10が雌体20に接触する面積が小さくなり、これによって雌体20と雄体10との着脱操作が容易となる。さらに、雌体20と雄体10とのガタつきも小さくすることができる。
ここで、ネット部材3の張力は例えば図7の矢印Fの方向に作用するが、スリーブ21の内壁から、ネット部材3が設けられる連結部13の側に窪むように被係止凹部201が凹設され、そしてこの被係止凹部201に係止凸部101が収容されていることと、弾性片122の弾性力とによって、係止凸部101が被係止凹部201から離れにくくなる。なお、トレイ5に収納された物品がネット部材3に接触するなどして張力Fの大きさが大きくなるほど、係止凸部101が被係止凹部201から離れにくくなる。
そして、被係止凹部201の内部に係止凸部101が収容されることにより、図7に示した張力Fの方向以外にも、X+方向、Y+方向、Y−方向、Z+方向、およびZ−方向など、ネット部材3により作用し得る殆どの方向への雄体10の移動が規制される。
また、図7に示すように、雄体10は、支持部22と被係止凹部201とによって略一直線上に挟まれているため、雄体10の雌体20に対する相対位置が確実に規定される。
なお、雌体20から雄体10を取り外す際は、基部11を把持して弾性片122を雌体20のスリーブ21内に押し上げるように弾性変形させれば、被係止凹部201から係止凸部101が離れ、弾性片122の復元とともに膨出部12がスリーブ21から押し出される。
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が許容される。
〔第1変形例〕
図8は、本発明の第1変形例の連結具の雄体15を示す斜視図であり、図9は、本変形例の連結具1Aの雄体15を雌体25に取り付けた状態を示す側面図である。
雄体15は、前記実施形態の雄体10と略同様に、基部11と、膨出部12と、連結部13とを備えているが、基部11と膨出部12との取り合い部分には前記実施形態のような係止凸部101(図2)は形成されていない。本変形例では、膨出部本体121が係止部として機能する。
図9に示すように、本変形例における雌体25のスリーブ250は、雄体15の膨出部12の長さよりも深く、このスリーブ250の内周壁には、膨出部本体121の外周面に倣って凹設された被係止凹部251が形成されている。すなわち、膨出部12がスリーブ21内に挿入されると、膨出部本体121が被係止凹部251に収容され、膨出部本体121の端部151が被係止凹部251に係止される。
また、弾性片122における膨出部本体121とは反対側の外周面には、略半球状の凸部152が形成されている。この凸部152は、前記実施形態の雄体10に形成されていてもよい。この凸部152により、スリーブ21内における弾性片122の弾性力を大きくすることが可能となり、また、雄体15と雌体25との接触面積が小さくなるのでこれら雄体15と雌体25との着脱操作が容易となる。但し、前記実施形態においても、本変形例においても、このような凸部152は形成されていなくてもよい。
〔第2変形例〕
次に、本発明の第2変形例を説明する。図10は、車体の荷台6にネット部材7が取り付けた状態を示す。本変形例の連結具1Bは、ネット部材7の端部に設けられたベルトが取り付けられる雄体30と、荷台6上に設置されるレール状の雌体40とを備えている。雌体40は、荷台6に2本並べられ、これらの雌体40のそれぞれに、雄体30が複数ずつ(図10では2個ずつ)設けられている。このような連結具1Bによって、ネット部材7が2本の雌体40間に張設されており、ネット部材7と荷台6との間に物品が収納される。
図11は、雄体30と雌体40との構成概略図である。また、図12は、雄体30が挿入されている雌体40の内部を示し、図13は、図12のXIII−XIII線断面図である。
雄体30は、前記実施形態の雄体10と略同様に形成されているが、係止凸部301の形状が前記実施形態の係止凸部101(図2)と相違する。本変形例の係止凸部301は、略直方体のブロック状に形成されている。
雌体40は、荷台6に取り付けられる断面L字状のフレーム41と、フレーム400に固定された断面略C字状のスリーブ42とを備えている。
スリーブ42には、雄体30の膨出部12が挿入され、スリーブ42の側方開口部は、膨出部12が挿入される際に基部11を案内するガイド溝421とされている。このガイド溝421の両側の側壁には、図12および図13に示すように、雄体30の係止凸部301を収容する被係止凹部401が形成されている。この被係止凹部401は、図13に示すように膨出部12の曲面にほぼ倣って形成され、また、図12に示すように、スリーブ42の長手方向に沿って所定間隔で複数形成されている。被係止凹部401に係止凸部301が係止した状態において、膨出部12の一端部12Bは、他の被係止部凹部401に当接する。
以上の構成により、スリーブ42の長手方向端部に雄体30の膨出部12を弾性片122を圧縮した状態で挿入すると、被係止凹部401に係止凸部301が嵌った状態で係止する。これにより、前記実施形態と略同様に、ネット部材7の張力が大きくなるほど係止凸部301が被係止凹部401に強固に係止されるので、雄体30が雌体40から外れにくい。
なお、雄体30の基部11を把持してスリーブ42の内壁に押圧し、弾性片122を弾性変形させた状態で、スリーブ42の長手方向に沿って雄体30をスライドさせることが可能であり、雌体40における雄体30の位置を調節できる。
また、雌体40から雄体30を取り外す際は、これと同様にして雄体30をスライドさせ、スリーブ42の端部から雄体30を抜き出せばよい。
〔第3変形例〕
図14は、本発明の第3変形例の連結具1Cを示し、本変形例の連結具1Cは、ベルト8の端部同士を連結する雄体50と雌体60とを備えている。また、図15は、雄体50および雌体60の平面図である。
雄体50は、ベルト8の端部が取り付けられる開口131が形成された連結部13と、連結部13よりも薄い板状に形成された基部51と、基部51の連結部13とは反対側の端部から膨出する膨出部12とを有している。この膨出部12にはスリット120が形成されており、前記実施形態と同様、膨出部12はスリット120を介して膨出部本体121と弾性片122とに分割されている。ここで、基部51と膨出部12との取り合い部分には、前記実施形態と同様の係止凸部101が形成されている。
一方、雌体60は、ベルト8の端部が取り付けられる開口631が形成された連結部63と、この連結部63よりも薄い板状に形成された基部61と、基部61の連結部63とは反対側の端部から膨出する有底筒状の凹部62とを有している。凹部62における基部61とは反対側の側壁の一部は、凹部62を構成する開口端部から、凹部62の底部62Aの手前まで、凹部62の軸方向に沿って切除されており、これによって雄体50の基部51を案内するガイド溝621が形成されている。
ここで、ガイド溝621の両側の側壁部の一部には、切欠によって被係止凹部601がそれぞれ形成されている。なお、雌体60の基部61については必ずしも連結部63よりも薄くする必要は無く、連結部63と同等の厚さであってもそれ以上の厚さであっても問題ない。
以上の構成により、雌体60の凹部62に雄体50の膨出部12を挿入すると、被係止凹部601に係止凸部501が係止される。このとき、他の実施例と同様、被係止凹部601が凹部62の内壁から雄体60の連結部63に向かって窪むように凹設されているため、ベルト8に掛かる引張り力が大きくなる程、雄体50と雌体60とが外れにくくなる。
なお、被係止凹部601に係止凸部501が係止された後も、弾性片122の弾性力によって係止凸部501が常に連結部13側に付勢された状態となるように、スリット120が形成された側の端部12Bも含んだ膨出部12全体の直径が、凹部62の直径よりも大きい寸法とされていることが好ましい。ここで、前述した他の実施例においても、これと同様に膨出部12の直径の方がスリーブ21等の直径よりも大きいことが好ましいが、とりわけ本変形例では、雄体50と雌体60との双方が支持部材などに固定されていないフリーの状態とされており、また、ベルト8が裏返ったりし易いことから、特に、膨出部12の直径を凹部62の直径よりも大きくすることが好ましい。
以上、本発明を実施するための最良の構成について具体的に説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形および改良を加えることができるものである。
上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、図2に示したように、上面部20Aと、側面部20Bと、底面部20Cとを有して雌体20が構成されていたが、雌体の構成はこれに限らず、雄体の凸部の挿入方向(水平方向なども含む)などに応じて構成が適宜変更される。すなわち、雄体の凸部が雌体の凹部に挿入される方向に応じて、凹部の開口が露出する第1部位と、雄体の凸部の凹部への挿入方向にほぼ沿って延びる第2部位とを具備するように、雌体を構成することが可能である。
本発明の連結具は、各種の部材を他の部材に連結するために利用でき、特に、テープ、ネット(網)、生地、ベルトなどを車体などに連結するのに好適に利用できる。
本発明の実施形態における連結具により、ネット部材が車体に取り付けられた状態を示す図。 前記連結具の分解斜視図。 前記連結具の側面図。 前記連結具を構成する雌体の斜視図。 前記連結具における雄体と雌体との組図であり、図7のV−V線断面図。 前記連結具の作用を示す図。 前記連結具の作用を示す図。 本発明の第1変形例の連結具における雄体を示す図。 前記連結具における雄体と雌体との組図。 本発明の第2変形例の連結具により、ネット部材が車体に取り付けられた状態を示す図。 前記連結具の分解斜視図。 前記連結具における雄体と雌体との組図。 図12のXIII−XIII線断面図。 本発明の第2変形例における連結具の分解斜視図。 前記連結具を構成する雄体と雌体との平面図。
符号の説明
1,1A,1B,1C・・・連結具、3,7・・・ネット部材(他部材)、8・・・ベルト(他部材)、10,15,30,50・・・雄体、10A・・・隙間用凸部、11,51・・・基部、12・・・膨出部(凸部)、13・・・連結部(被取付部)、20,25,40,60・・・雌体、21,42,250・・・スリーブ(凹部)、22・・・支持部(当接部)、62・・・凹部、101,301・・・係止凸部(係止部)、120・・・スリット、121・・・膨出部本体(凸部本体)、122・・・弾性片(弾性部)、151・・・開口端部(係止部)、201,251,401,601・・・被係止凹部(被係止部)、211,421,621・・・ガイド溝、F・・・張力。

Claims (8)

  1. 凹部(21,42,250)が形成された雌体(20,25,40,60)と、
    前記凹部(21,42,250)に挿入される凸部(12)と、この凸部(12)が前記凹部(21,42,250)に挿入された状態で前記凹部(21,42,250)の外側に位置する基部(11,51)とを有する雄体(10,15,30,50)と、を備え、
    前記凸部(12)には、当該凸部(12)が前記凹部(21,42,250)に挿入される挿入方向後方側の端部から前記凸部(12)の前記挿入方向前方側の端部の手前まで延びるスリット(120)が形成されているとともに、このスリット(120)で前記基部(11,51)側と隔てられた部分に前記基部(11,51)側に弾性変形可能な弾性部(122)が形成され、
    前記基部(11,51)は、前記凸部(12)とは反対側に他部材(3,7,8)が取り付けられる被取付部(13)を有し、
    前記雄体(10,15,30,50)は、前記被取付部(13)と前記弾性部(122)との間の位置に、係止部(101,301)を有し、
    前記雌体(20,25,40,60)は、前記凸部(12)が前記凹部(21,42,250)に挿入された状態で前記係止部(101,301)と係止される被係止部(201,251,401,601)を有し、
    前記係止部(101,301)は、前記凸部(12)における前記挿入方向前方側の端部(12A)よりも、前記凸部(12)における前記挿入方向後方側の端部(12B)の方に近い位置に形成されている
    ことを特徴とする連結具(1,1A,1B,1C)。
  2. 請求項1に記載の連結具において、
    前記係止部(101,301)は、前記凸部(12)側から前記基部(11,51)側に向かって突出し、
    前記被係止部(201,251,401,601)は、前記凸部(12)が前記凹部(21,42,250)に挿入された状態で前記係止部(101,301)に少なくとも前記挿入方向後方側から対向する
    ことを特徴とする連結具(1,1A,1B,1C)。
  3. 請求項1または2に記載の連結具において、
    前記被係止部(201,251,401,601)は、前記挿入方向後方側からに加えて、前記挿入方向と交差しかつ前記被取付部(13)材に設けられる他部材(3,7,8)の張力が作用する方向における前記被取付部(13)側からも、前記係止部(101,301)に対向する
    ことを特徴とする連結具(1,1A,1B,1C)。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の連結具において、
    前記凸部(12)は、前記基部(11,51)から膨出して形成され、
    前記凹部(21,42,250)の側壁には、前記凸部(12)の挿入方向に沿って延びるガイド溝(211,421,621)が形成され、
    前記基部(11,51)は、前記ガイド溝(211,421,621)を介して前記凹部(21,42,250)の外側に延出している
    ことを特徴とする連結具(1,1A,1B,1C)。
  5. 請求項4に記載の連結具において、
    前記雄体(10,15,30,50)の前記係止部(101,301)は、前記凸部(12)よりもさらに膨出して前記凸部(12)と前記基端部との取り合い部分に形成され、
    前記雌体(20,25,40,60)の前記被係止部(201,251,401,601)は、前記ガイド溝(211,421,621)の内壁部に前記弾性部(122)の弾性力を受ける方向に凹設されている
    ことを特徴とする連結具(1,1A,1B,1C)。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の連結具において、
    前記凸部(12)は、当該凸部(12)が前記凹部(21,42,250)に挿入される方向をほぼ軸方向とする略円柱形状とされている
    ことを特徴とする連結具(1,1A,1B,1C)。
  7. 請求項4からのいずれかに記載の連結具において、
    前記凸部(12)における前記挿入方向前方側の端部(12A)は、前記基部(11,51)の端部よりも前記挿入方向前方側に突出し、
    前記雌体(20,25)は、前記凹部(21,42,250)に前記凸部(12)が挿入された状態で前記基部(11,51)における前記挿入方向前方側の端部に当接される当接部(22)を有する
    ことを特徴とする連結具(1,1A,1B)。
  8. 請求項に記載の連結具(1,1A,1B,1C)において、
    前記雄体(10,15,30,50)における前記挿入方向前方側の端部(12A)には、前記凹部(21,42,250)に前記凸部(12)が挿入された状態で前記当接部(22)材との間に形成される隙間の少なくとも一部に配置される隙間用凸部(10A)が形成されている
    ことを特徴とする連結具(1,1A,1B)。
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