WO2013054570A1

WO2013054570A1 - モンキーレンチ

Info

Publication number: WO2013054570A1
Application number: PCT/JP2012/065813
Authority: WO
Inventors: 大野　泰嗣
Original assignee: Ohno Yasushi
Priority date: 2011-10-12
Filing date: 2012-06-21
Publication date: 2013-04-18
Also published as: US20130312574A1; US8806989B2; CN103492128B; CN103492128A

Abstract

　工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法に対しても、容易かつ確実に発揮可能なモンキーレンチを提供する。板ばね部（７）の突起部（７２）が、各嵌合凹部（８）に嵌合されることで、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法（Ｂ）のずれ止め機能とが発揮される。この場合、レンチ本体（３）には、複数の嵌合凹部（８）からなる列（９ａ～９ｃ）が複数並設され、各列（９ａ～９ｃ）における嵌合凹部（８）のピッチが、それぞれ異なる規格に準拠して設定される。よって、ナット等の被挟持物の規格に応じて、利用する嵌合凹部の列（９ａ～９ｃ）を選択することで、位置決め機能およびずれ止め機能を、異なる規格の二面幅寸法Ｂに対しても、容易かつ確実に発揮できる。

Description

モンキーレンチ

　本発明は、モンキーレンチに関し、特に、構造の簡素化を図りつつ、摺動面の変形や磨耗により可動顎のがたつきが発生した場合でも、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを確実に発揮可能なモンキーレンチ、及び、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法に対しても、容易かつ確実に発揮可能なモンキーレンチに関するものである。

　モンキーレンチは、被挟持物（ボルトやナット）の二面幅寸法に応じて、固定顎と可動顎との間の間隔を調整可能とされるため、利便性の高い工具として、広く使用されている。その反面、固定顎と可動顎との間の間隔（以下「工具の二面幅寸法」と称す）を調整する間隔調整機構がウォームギヤにより構成されるため、締め付けや緩め作業中に、工具の二面幅寸法が変動しやすい。そのため、ボルトやナットの六角形状の角部をつぶしてしまいやすい。また、同じ二面幅寸法のボルトやナットであっても、挟持できなくなりやすく、工具の二面幅寸法を再調整する必要が頻繁に生じる。

　そこで、例えば、特許文献１～４には、ウォームギヤの回転を任意の位置でロック（固定）する機構を設けることで、また、特許文献５，６には、ウォーギヤの緩み（ガタ）を抑制する機構を設けることで、締め付けや緩め作業中に、工具の二面幅寸法が変動することを抑制する技術が開示される。

　また、モンキーレンチでは、対象となるボルトやナットが変わると、そのボルトやナットに応じて、作業者が工具の二面幅寸法を調整することが必要であり、その調整作業が煩雑であった。この点については、特許文献７，８に開示されるように、対象となるボルト等の径を表示する指標目盛を工具に設け、その指標目盛を読み取ることで、工具の二面幅寸法の調整作業を容易とする技術が知られている。なお、これら特許文献７，８の技術では、特許文献１～６の技術のように、工具の二面幅寸法が変動することを抑制することはできない。

　そこで、工具の二面幅寸法が変動することの抑制と、工具の二面幅寸法の調整作業を容易とすることとの両者を両立可能な技術として、特許文献９～１１には、ボールプランジャを利用する技術が開示される。これらの技術によれば、例えば、可動顎に配設されたボールプランジャのボールを、レンチ本体の摺動面に複数凹設された各ノッチにそれぞれ嵌合させつつ、可動顎を移動させることで、工具の二面幅寸法の調整を容易にすると共に、その二面幅寸法の変動（ずれ）を抑制できる。

　特許文献１２には、可動顎の側面に基端側が固着されると共に先端側がレンチ本体の側面に対面配置され、レンチ本体の側面に対して離接する方向へ弾性変形可能な板ばねとして形成される板ばね部を、可動顎の一方の側面および他方の側面に設ける技術が開示される。

特開平５－１７７５５８号公報特開２００５－３４９５０１号公報特開２００６－３４６８４９号公報特開２００７－０３００４６号公報特開平１０－２１７１３９号公報特開２００１－０４７３７３号公報実開昭６３－１７９０６４号公報特開２０００－７１１７７号公報実公昭６０－１９４４６９号公報実開平５－００５３６０号公報特開２０１１－０９３０１６号公報米国特許３９４８１２０号明細書

　しかしながら、特許文献９，１０の技術では、可動顎やレンチ本体の摺動面などが変形や磨耗し、レンチ本体に対する可動顎のがたつきが発生した場合には、そのがたつきに伴い、ボールがノッチから脱落し易い。また、コイルばねの弾性力は、がたつきを助長する（可動顎を摺動面から離間させる）方向へ、即ち、ウォームを回転させる方向へ働く。そのため、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを確実に発揮させることが困難であるという問題点があった。

　また、特許文献１１の技術のように、ウォームの端面にノッチを設け、そのノッチに嵌合する際のボールプランジャの変位を利用してカウンタを作動させる構成では、部品点数が増加すると共にそれら各部品をレンチ本体の内部に配設する必要があり、構造の複雑化を招くという問題点があった。

　特許文献１２の技術によれば、板ばね部をレンチ本体の側面に押し当てる方向に対しては、レンチ本体に対する可動顎のがたつきを抑制できるが、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを発揮することはできないという問題点があった。

　ここで、上述したいずれのモンキーレンチであっても、被挟持物の二面幅寸法の規格が統一されていない状況下においては、その機能を十分に発揮することができない。即ち、ボルトやナットには、各種の規格（例えば、メートルねじ規格、ウィットねじ規格、ユニファイねじ規格など）が規定されているが、これらの規格間では、二面幅寸法に共通性がなく、種々の二面幅寸法が混在する。そのため、レンチ本体の側面に凹設する嵌合凹部のピッチ（間隔）を、例えば、メートルねじ規格に準拠して設定した場合には、ウィットねじ規格における二面幅寸法に対応する（即ち、その二面幅寸法に対する位置決め機能およびずれ止め機能を発揮する）ことができないという問題点があった。

　本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、構造の簡素化を図りつつ、摺動面の変形や磨耗により可動顎のがたつきが発生した場合でも、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを確実に発揮可能なモンキーレンチ、及び、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法に対しても、容易かつ確実に発揮可能なモンキーレンチを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段および発明の効果

　請求項１記載のモンキーレンチによれば、工具の二面幅寸法を調整する際には、可動顎に配設された板ばね部の突起部が、レンチ本体の側面に複数が凹設された各嵌合凹部に嵌合されることで、その位置決め機能を発揮することができる。また、嵌合凹部に突起部が嵌合された状態では、レンチ本体と可動顎とが板ばね部を介して連結された状態を形成できるので、調整された二面幅寸法のずれ止め機能を発揮することができる。

　この場合、レンチ本体には、複数の嵌合凹部からなる列が、可動顎の進退方向と直交する方向に間隔を隔てて複数並設されるので、各列における嵌合凹部のピッチ（間隔）を、それぞれ異なる規格に準拠して設定することができる。よって、被挟持物の規格に応じて、利用する嵌合凹部の列を選択する（即ち、選択した列の各嵌合凹部に突起部が嵌合可能な位置に板ばね部の位置を設定する）ことで、異なる規格の二面幅寸法にも確実に対応できる。また、板ばね部を位置決めする位置決め手段を備えるので、選択した列に突起部を嵌合可能な位置に板ばね部を容易に配設することができる。

　以上のように、請求項１によれば、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法に対しても、容易かつ確実に発揮することができる。

　請求項２記載のモンキーレンチによれば、請求項１記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、板ばね部が内装される嵌め合い溝部が可動顎に凹設され、その嵌め合い溝部の内壁面によって、板ばね部の移動方向を一方向のみへ規制することができるので、かかる板ばね部の位置（即ち、複数の列に対する突起部の位置）を調整する際に、その調整作業の作業性の向上を図ることができる。

　この場合、嵌め合い溝部の内壁面は、可動顎の進退方向と直交する方向へ延設され、その可動顎の進退方向への板ばね部の移動を規制するので、固定顎と可動顎との間で被挟持物を挟持して締め付けや緩め作業を行う際には、嵌め合い溝部の内壁面から板ばね部に作用する反力の内、板ばね部を嵌め合い溝部に沿って移動させる方向への分力を最小（ほぼ０）とすることができ、その結果、締め付けや緩め作業中に嵌め合い溝部の内壁面からの反力により板ばね部の位置がずれることを抑制することができる。

　請求項３記載のモンキーレンチによれば、請求項１又は２に記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、レンチ本体は、嵌合凹部が凹設されず平坦面状に形成される平坦面部を備え、位置決め手段は、突起部が平坦面部に配置される位置に、板ばね部を位置決め可能に構成されるので、嵌合凹部に突起部が嵌合しない状態で、可動顎を進退させる形態を形成することができる。即ち、作業者は、板ばね部の位置を調整することで、突起部と嵌合凹部との嵌合を利用して、二面幅寸法の位置決め機能およびずれ止め機能を発揮可能な形態と、突起部を嵌合凹部に嵌合させず（即ち、突起部を平坦面部に配置して）、二面幅寸法の位置決め機能およびずれ止め機能を発揮させない形態との両者を任意に選択することができる。

　請求項４記載のモンキーレンチによれば、請求項１から３のいずれかに記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、レンチ本体は、突起部が嵌合可能に形成されると共に可動顎の進退方向に沿って溝状に連続して延設される連続凹溝を備え、位置決め手段は、突起部が連続凹溝に嵌合される位置に板ばね部を位置決め可能に構成されるので、突起部と連続凹溝との嵌合が維持された状態で、可動顎を進退させる形態を形成することができる。即ち、工具の二面幅寸法がどのような二面幅寸法に調整された状態においても、レンチ本体と可動顎とが板ばね部を介して連結された状態を維持でき、その結果、レンチ本体に対する可動顎のがたつきを抑制することができる。

　請求項５記載のモンキーレンチによれば、請求項１から４のいずれかに記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、複数の列の内の少なくとも一の列は、複数の嵌合凹部が可動顎の進退方向に沿って等間隔に配置されるので、モンキーレンチの汎用性および利便性を高めることができる。例えば、被挟持物の二面幅寸法が、他の列における各嵌合凹部のピッチ（間隔）では対応できない規格のものである場合でも、複数の嵌合凹部が等間隔に配置される本列を選択することで、その本列の各嵌合凹部の内のいずれかが対応する可能性を高め、その汎用性を高めることができる。また、複数の嵌合凹部が等間隔に配置されることで、工具の二面幅寸法を定規として活用することができるので、その利便性を高めることができる。

　請求項６記載のモンキーレンチによれば、請求項１から５のいずれかに記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、レンチ本体は、そのレンチ本体の側面に溝状に凹設され、複数の列の内の少なくとも一の列において、複数の嵌合凹部の間を接続するガイド溝を備えるので、可動顎を進退させる際には、突起部が嵌合凹部に嵌合されない位置においても、突起部とガイド溝とが嵌合された状態を維持することができる。即ち、工具の二面幅寸法が、突起部と嵌合凹部とが嵌合しない二面幅寸法に調整された状態においても、レンチ本体と可動顎とが板ばね部を介して連結された状態を維持でき、その結果、レンチ本体に対する可動顎のがたつきを抑制することができる。

　また、ガイド溝は、突起部が嵌合された際の嵌合代が、嵌合凹部に突起部が嵌合された際の嵌合代よりも小さくされるので、可動顎を進退させる際には、突起部がガイド溝を介して移動することで、かかるガイド溝の案内効果を利用して、突起部を各嵌合凹部へ確実に嵌合させることができる。更に、可動顎を進退させる際には、ガイド溝を通過した突起部が嵌合凹部に到達したことを作業者に認識させることができるので、工具の二面幅寸法の調整を容易とできる。

　請求項７記載のモンキーレンチによれば、請求項１から６のいずれかに記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、可動顎およびレンチ本体の一方の側面およびその一方の側面の反対側となる他方の側面の両側面に、板ばね部および突起部と複数の列と位置決め手段とが、それぞれ配設されるので、レンチ本体の両側面において、突起部と嵌合凹部との嵌合による効果を得ることができるだけでなく、一対の板ばね部によりレンチ本体を両側から挟み込むことができ、板ばね部の弾性力を、がたつきを矯正する方向へ効果的に働かせることができる。

　請求項８記載のモンキーレンチによれば、請求項７記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、一方の側面における突起部と複数の列の内の一の列の各嵌合凹部との位置関係が、他方の側面における突起部と複数の列の内の一の列の各嵌合凹部との位置関係と同一の関係とされるので、工具の二面幅寸法を調整する際には、一方の側面および他方の側面の両側面において、突起部が嵌合凹部と嵌合した状態を形成することができる。

　これにより、工具の二面幅寸法のずれ止め機能を確実に発揮することができる。また、可動顎を進退させる際には、一方の側面および他方の側面の両側面において、突起部の嵌合凹部への嵌合およびその解除を同時に行うことででき、その状態（嵌合状態または非嵌合状態）の作業者による把握を確実化できるので、位置決め作業の作業性を向上させることができる。

　請求項９記載のモンキーレンチによれば、請求項７又は８に記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、一方の側面における突起部と複数の列の内の一の列の各嵌合凹部との位置関係が、他方の側面における突起部と複数の列の内の一の列の各嵌合凹部との位置関係と異なる関係とされるので、工具の二面幅寸法を調整する際に、一方の側面と他方の側面とにおいて、突起部と嵌合凹部との嵌合状態を異ならせることができる。即ち、限られた面積のレンチ本体の側面を有効に利用して、選択可能な嵌合位置の数（即ち、位置決め機能およびずれ止め機能を発揮可能な二面幅寸法の種類）を確保できる。

　請求項１０記載のモンキーレンチによれば、請求項７から９のいずれかに記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、一方の側面または他方の側面において、複数の列の各列は、複数の嵌合凹部が可動顎の進退方向に沿って等間隔に配置されると共に、その間隔が列ごとに異なるので、モンキーレンチの汎用性および利便性を高めることができる。例えば、被挟持物の二面幅寸法が、他の列における各嵌合凹部のピッチ（間隔）では対応できない規格のものである場合でも、複数の嵌合凹部が等間隔に配置される各列の内のいずれかの列を選択することで、その列の各嵌合凹部の内のいずれかが対応する可能性を高め、その汎用性を高めることができる。また、複数の嵌合凹部が等間隔に配置されることで、工具の二面幅寸法を定規として活用することができるので、その利便性を高めることができる。

　請求項１１記載のモンキーレンチによれば、請求項７から１０のいずれかに記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、レンチ本体は、一方の側面および他方の側面のそれぞれに、嵌合凹部が凹設されず平坦面状に形成される平坦面部を備え、位置決め手段は、一方の側面および他方の側面において、突起部が平坦面部に配置される位置に板ばね部を位置決め可能に構成されるので、嵌合凹部に突起部が嵌合しない状態で、可動顎を進退させる形態を形成することができる。即ち、作業者は、板ばね部の位置を調整することで、突起部と嵌合凹部との嵌合を利用して、二面幅寸法の位置決め機能およびずれ止め機能を発揮可能な形態と、突起部を嵌合凹部に嵌合させず（即ち、突起部を平坦面部に配置して）、二面幅寸法の位置決め機能およびずれ止め機能を発揮させない形態との両者を任意に選択することができる。

　請求項１２記載のモンキーレンチによれば、請求項７から１１のいずれかに記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、レンチ本体は、一方の側面および他方の側面のそれぞれに、突起部が嵌合可能に形成されると共に可動顎の進退方向に沿って溝状に連続して延設される連続凹溝を備え、位置決め手段は、一方の側面および他方の側面において、連続凹溝に突起部が嵌合される位置に板ばね部を位置決め可能に構成されるので、一方の側面および他方の側面の両側面において、突起部の連続凹溝への嵌合が維持された状態で、可動顎を進退させる形態を形成することができる。即ち、工具の二面幅寸法がどのような二面幅寸法に調整された状態においても、レンチ本体と可動顎とが板ばね部を介して連結された状態を維持でき、その結果、レンチ本体に対する可動顎のがたつきを抑制することができる。

　請求項１３記載のモンキーレンチによれば、請求項７から１２のいずれかに記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、一方の側面における突起部と複数の列の内の少なくとも一の列の各嵌合凹部との嵌合代が、他方の側面における突起部と複数の列の内の少なくとも一の列の各嵌合凹部との嵌合代と異なるので、工具の二面幅寸法を調整する際に、一方の側面において突起部が嵌合凹部に嵌合することで発生する操作感と、他方の側面において突起部が嵌合凹部に嵌合することで発生する操作感とを異ならせることができる。これにより、作業者に伝わる操作感を異ならせて、一方の側面における一の列と突起部との嵌合を利用して調整する工具の二面幅寸法の位置決め位置と、他方の側面における一の列と突起部との嵌合を利用して調整する工具の二面幅寸法の位置決め位置とを、操作感の違いにより、作業者に識別させることができる。

　請求項１４記載のモンキーレンチによれば、請求項１記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、可動顎およびレンチ本体の一方の側面に、板ばね部および突起部と複数の列と位置決め手段とが、それぞれ配設されるので、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法に対しても、容易かつ確実に発揮することができる。

　この場合、可動顎の一方の側面の反対側となる他方の側面にも、板ばね部が配設されるので、これら一方の側面および他方の側面の両側面の板ばね部により、レンチ本体を両側から挟みこむことができ、板ばね部の弾性力を、がたつきを矯正する方向へ効果的に働かせることができる。

　更に、板ばね部が固設され、レンチ本体の他方の側面が、嵌合凹部が凹設されず少なくとも板ばね部の移動軌跡に対面する領域が平坦面状に形成されるので、板ばね部を移動可能とする必要がなく、かつ、嵌合凹部を凹設する必要もない。よって、その分、加工コストを削減して、製品コストの削減を図ることができる。

　請求項１５記載のモンキーレンチによれば、請求項１記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、可動顎およびレンチ本体の一方の側面に、板ばね部および突起部と複数の列と位置決め手段とが、それぞれ配設されるので、工具の二面幅寸法を調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法のずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法に対しても、容易かつ確実に発揮することができる。

　この場合、可動顎の一方の側面の反対側となる他方の側面に、板ばね部および突起部が固設されると共に、レンチ本体は、他方の側面に、突起部が嵌合可能に形成されると共に可動顎の進退方向に沿って溝状に連続して延設される連続凹溝を備えるので、一方の側面における突起部と嵌合凹部との状態（嵌合状態および非嵌合状態）に関わらず、他方の側面においては、突起部の嵌合凹部への嵌合が維持された状態で、可動顎を進退させる形態を形成することができる。即ち、工具の二面幅寸法がどのような二面幅寸法に調整された状態においても、レンチ本体と可動顎とが、少なくとも他方の側面においては、板ばね部を介して連結された状態を維持でき、その結果、レンチ本体に対する可動顎のがたつきを抑制することができる。

　請求項１６記載のモンキーレンチによれば、請求項１４又は１５に記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、レンチ本体は、そのレンチ本体の一方の側面に溝状に凹設され、複数の列の内の少なくとも一の列において、複数の嵌合凹部の間を接続すると共に、突起部が嵌合された際の嵌合代が、嵌合凹部に突起部が嵌合された際の嵌合代よりも小さくされるガイド溝を備えるので、可動顎を進退させる際には、突起部がガイド溝を介して移動することで、かかるガイド溝の案内効果を利用して、突起部を各嵌合凹部へ確実に嵌合させることができる。

　また、可動顎を進退させる際には、突起部が嵌合凹部に嵌合されない位置においても、突起部とガイド溝とが嵌合された状態を維持することができる。即ち、工具の二面幅寸法が、突起部と嵌合凹部とが嵌合しない二面幅寸法に調整された状態においても、レンチ本体と可動顎とが板ばね部を介して連結された状態を維持でき、その結果、レンチ本体に対する可動顎のがたつきを抑制することができる。

　請求項１７記載のモンキーレンチによれば、嵌合凹部は、レンチ本体の一方の側面に凹設され、突起部は、可動顎の側面から延設され板ばねとして形成される板ばね部のレンチ本体の側面に対面する面から突設されるので、構造の簡素化を図りつつ、摺動面の変形や磨耗に起因して、レンチ本体に対する可動顎のがたつきが発生した場合でも、突起部と嵌合凹部との嵌合を維持することができる。板ばね部の弾性力は、がたつきを矯正する方向へ働く。よって、位置決め機能とずれ止め機能とを確実に発揮させることができる。

　この場合、嵌合凹部が一方の側面に、連続凹溝が他方の側面に、それぞれ設けられるので、ナット等の二面幅寸法に応じて、作業者が可動顎を移動させてモンキーレンチの二面幅寸法を調整する際には、他方の側面において突起部が連続凹溝に案内される効果により、一方の側面における突起部を嵌合凹部に確実に嵌合させることができると共に、一方の側面において突起部を断続的に嵌合凹部に嵌合させることで、所定の二面幅寸法に調整されたことを作業者に認識させることができる。

　嵌合凹部と連続凹溝とが一方の側面と他方の側面とに分離して配設されるので、突起部が嵌合凹部に嵌合される二面幅寸法（即ち、最も多用される二面幅寸法）にモンキーレンチの二面幅寸法が調整された状態では、一方の側面および他方の側面の両側面において、両突起部が、嵌合凹部または連続凹溝にそれぞれ嵌合した状態とすることができる。よって、一方の側面および他方の側面の両者において、板ばね部の剛性をそれぞれ利用でき、その結果、固定顎に対する可動顎の位置ずれ（例えば、可動顎がレンチ本体から離間する方向へ移動しウォームを回転させる方向へのがたつき等）を抑制するずれ止め機能を確実に発揮させることができる。

　請求項１８記載のモンキーレンチによれば、請求項１７記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、第１の側面に対し後退して位置する第２の側面が、可動顎およびレンチ本体の一方の側面のみに形成されるので、板ばね部がレンチ本体の側面から突出した板ばね部により作業性が阻害されることを回避しつつ、第２の側面の配設面積を最小として、その第２の側面の凹設加工に要する加工コストを抑制すると共に、可動顎およびレンチ本体の強度低下を抑制できる。

　即ち、一方の側面においては、可動顎の移動時に、突起部と嵌合凹部との嵌合が断続的に行われるので、突起部が嵌合凹部に嵌合しない二面幅寸法でモンキーレンチを使用する場合には、突起部がレンチ本体の側面に乗り上げることで、板ばね部がレンチ本体の側面から突出するため、作業性が阻害される。そのため、一方の側面に第２の側面を形成することで、板ばね部がレンチ本体の側面から突出することを回避して、作業性の向上を図ることができる。この場合、他方の側面においては、可動顎の移動時、突起部と連続凹溝との嵌合状態が維持されるため、板ばね部がレンチ本体の側面から突出することがない。よって、他方の側面には、第２の側面を形成する必要がなく、その分、第２の側面の凹設加工に要する加工コストの抑制およびレンチ本体の強度低下の抑制を図ることができる。

　請求項１９記載のモンキーレンチによれば、請求項１８記載のモンキーレンチの奏する効果に加え、第２の側面が第１の側面に対して後退する後退量が、突起部がレンチ本体の第２の側面に乗り上げた状態において、板ばね部が第１の側面から突出しない寸法値に設定されるので、突起部が嵌合凹部に嵌合しない二面幅寸法でモンキーレンチを使用する場合でも、作業性が阻害されることを確実に回避することができる。

本発明の第１実施の形態におけるモンキーレンチの正面図である。（ａ）は、モンキーレンチの部分拡大正面図であり、（ｂ）は、図２（ａ）のＩＩｂ－ＩＩｂ線におけるモンキーレンチの部分拡大断面図である。（ａ）は、板ばね部７の正面図であり、図３（ｂ）は、図３（ａ）のＩＩＩｂ－ＩＩＩｂ線における板ばね部７の断面図である。（ａ）及び（ｃ）は、図３（ａ）のＩＶａ－ＩＶａ線における板ばね部の断面図であり、（ｂ）は、図３（ａ）のＩＶｂ－ＩＶｂ線における板ばね部の断面図である。（ａ）及び（ｂ）は、図３（ａ）のＶ－Ｖ線における板ばね部の断面図である。第２実施の形態における板ばね部の正面図である。第３実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大正面図である。（ａ）は、図７のＶＩＩＩａ－ＶＩＩＩａ線におけるモンキーレンチの部分拡大断面図であり、（ｂ）は、図７のＶＩＩＩｂ－ＶＩＩＩｂ線におけるモンキーレンチの部分拡大断面図である。第４実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大正面図である。第５実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大正面図である。第６実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大正面図である。第７実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大背面図である。図１２のＸＩＩＩ－ＸＩＩＩ線におけるモンキーレンチの部分拡大断面図である。（ａ）は、第８実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大背面図であり、（ｂ）は、第９実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大背面図である。（ａ）は、第１０実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大背面図であり、（ｂ）は、図１５（ａ）のＸＶｂ－ＸＶｂ線における板ばね部の断面図である。（ａ）は、第１１実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大正面図であり、（ｂ）は、モンキーレンチの部分拡大背面図である。第１２実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大正面図である。（ａ）及び（ｂ）は、第１３実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大正面図および部分拡大背面図である。（ａ）は、第１４実施の形態におけるモンキーレンチの部分拡大正面図であり、（ｂ）及び（ｃ）は、図１９（ａ）の矢印ＸＩＸ方向視におけるモンキーレンチの側面図である。

　以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図１は、本発明の第１実施の形態におけるモンキーレンチ１の正面図である。図２（ａ）は、モンキーレンチ１の部分拡大正面図であり、図２（ｂ）は、図２（ａ）のＩＩｂ－ＩＩｂ線におけるモンキーレンチ１の部分拡大断面図である。

　図１及び図２に示すように、モンキーレンチ１は、固定顎２を有するレンチ本体３と、そのレンチ本体３に摺動可能に配設され固定顎２との間でナットなどの被挟持物を挟持する可動顎４と、その可動顎４を固定顎２に対して進退させ、工具の二面幅寸法Ｂを調整するための間隔調整機構と、可動顎４の側面４ａに移動可能に取着される板ばね部７とを主に備える。

　間隔調整機構は、可動顎４に形成されるラック５と、そのラック５に噛み合う位置で、レンチ本体３に回動可能に配設されるウォーム６とから構成される。このウォーム６が作業者により回転操作されることで、ラック５が直線移動し、可動顎４が固定顎２に対して近接離間する方向（図２（ａ）左右方向）へ進退される。

　レンチ本体３の側面３ａには、第２側面３ａ１が部分的に凹設される。第２側面３ａ１は、可動顎４の進退に伴い板ばね部７が移動する際の移動軌跡を少なくとも含む範囲に形成される平坦面であり、側面３ａに対して後退して（即ち、図２（ａ）紙面奥側に）位置する。

　第２側面３ａ１には、複数の嵌合凹部８が凹設される。これら複数の嵌合凹部８は、可動顎４の進退方向（図２（ａ）左右方向）に沿って直線状に配置され、複数（本実施の形態では３本）の列９ａ～９ｃを形成する。列９ａ～９ｃは、可動顎４の進退方向と直交する方向（図２（ａ）上下方向）に間隔を隔てつつ互いに平行に並設される。なお、列９ａ～９ｃの詳細構成については後述する。

　可動顎４の側面４ａには、嵌め合い溝部４ｂが凹設される。嵌め合い溝部４ｂは、板ばね部７が内装される断面コ字状の凹溝であり、板ばね部７の板厚寸法と略同一の深さ寸法を有すると共に可動顎４の進退方向と直交する方向（図２（ａ）上下方向）に沿って延設される。即ち、嵌め合い溝部４ｂは、対向する一対の内壁面（図２（ａ）左側および右側の内壁面）が、互いに平行に配設されると共に、可動顎４の進退方向に直交する平坦面として形成される。

　嵌め合い溝部４ｂの底面（図２（ａ）紙面奥側面）は、レンチ本体３の第２側面３ａ１に対し、平行かつ面一に形成される。即ち、レンチ本体３に対して可動顎４が正規の位置に配置された状態では、嵌め合い溝部４ｂの底面とレンチ本体３の第２側面３ａ１とが同一平面上に位置する（図２（ｂ）参照）。嵌め合い溝部４ｂの底面には、締結孔が凹設され、その締結孔には、締結ボルトＢ１が締結される。

　なお、可動顎４の側面４ａ及びレンチ本体３の側面３ａとは、モンキーレンチ１を正面視した際に（即ち、図１及び図２（ａ）に示す状態で）視認される部位が該当する。特許請求の範囲において記載した「可動顎の側面」及び「レンチ本体の側面」もこれと同様の趣旨である。また、以下に記載する各実施の形態においても同様であり、その説明は省略する。

　板ばね部７は、金属製の板状体から板ばねとして形成される部材であり、基端側（図２（ａ）上側）が可動顎４の側面４ａ（嵌め合い溝部４ｂの底面）に締結ボルトＢ１により締結固定されると共に、先端側（図２（ａ）下側）がレンチ本体３の側面３ａに対面配置され、その先端側がレンチ本体３の側面３ａに対して近接離間する方向（図２（ｂ）左右方向）に弾性変形（たわみ変形）可能とされる。ここで、図３から図５を参照して、板ばね部７の詳細構成について説明する。

　図３（ａ）は、板ばね部７の正面図であり、図３（ｂ）は、図３（ａ）のＩＩＩｂ－ＩＩＩｂ線における板ばね部７の断面図である。図４（ａ）及び図４（ｃ）は、図３（ａ）のＩＶａ－ＩＶａ線における板ばね部７の断面図であり、図４（ｂ）は、図３（ａ）のＩＶｂ－ＩＶｂ線における板ばね部７の断面図である。図５（ａ）及び図５（ｂ）は、図３（ａ）のＶ－Ｖ線における板ばね部７の断面図である。

　なお、図４（ａ）から図４（ｃ）では、可動顎４の嵌め合い溝部４ｂに板ばね部７が内装された状態における断面図が図示される。図４（ｃ）では、締結ボルトＢ１により板ばね部７が可動顎４に締結固定された状態における断面図が図示される。また、図５（ａ）では、板ばね部７の突起部７２がレンチ本体３の嵌合凹部８に嵌合した状態における断面図が図示され、図５（ｂ）では、板ばね部７の突起部７２がレンチ本体３の第２側面３ａ１に乗り上げた状態における断面図が図示される。

　板ばね部７は、可動顎４の側面４ａに凹設された嵌め合い溝部４ｂに内装される板状体であり、把持部７１と、突起部７２と、挿通孔７３と、面取り部７４ａ～７４ｃとを備える。なお、本実施の形態では、薄板状の素材にプレス成形を施すことで板ばね部７が形成される。

　板ばね部７は、左右の側面（図３（ａ）左側および右側の側面）が互いに平行に形成され、その左右の側面間の寸法である幅寸法（図３（ａ）左右方向寸法）は、可動顎４の嵌め合い溝部４ｂにおける内壁面の対向間隔（図２（ａ）左右方向寸法）と同一または若干小さくされる。

　把持部７１は、板ばね部７の位置を調整する際の作業者による把持作業を補助するための部位であり、板ばね部７を構成する板状体の一端側（図３（ａ）下側）となる縁部を、突起部７２の突設方向（図３（ｂ）右方向）とは反対側へ折り曲げて形成される。よって、製品状態では、レンチ本体３の第２側面３ａ１から把持部７１が突出されるので（図２（ｂ）参照)、板ばね部７の位置を作業者が調整する場合には、いずれの方向（図２（ａ）上下方向）へ調整させる場合でも、かかる把持部７１を利用して、板ばね部７に力を加え易くすることができる。

　突起部７２は、板ばね部７を構成する板状体の一面（レンチ本体３の第２側面３ａ１に対面する側の面、図３（ｂ）右側面）から略半球状に突設される部位である。本実施の形態では、板状体の他面からパンチを押し当て、板状体を部分的に一面から張り出させるプレス加工により、突起部７２が形成される。

　但し、別体の部品を溶接や接着により板状体に固着して、突起部７２を形成しても良い。なお、プレス加工を利用する方法によれば、突起部７２の寸法精度を確保して、固定顎２に対する可動顎４の位置精度の向上を図ることができる。一方、溶接や接着を利用する方法によれば、ボールプランジャタイプの従来品に対し、部品点数および組立工数を削減して製品コストの削減を図ることができる。

　突起部７２の半球状の外形は、レンチ本体３の第２側面３ａ１に凹設された嵌合凹部８に嵌合可能な大きさに形成される。よって、突起部７２が嵌合凹部８に嵌合された状態では、板ばね部７を構成する板状体の一面が、レンチ本体３の第２側面３ａ１に当接（又は、若干の隙間を有して平行に対面）される（図５（ａ）参照）。なお、突起部７２がレンチ本体３の第２側面３ａ１に乗り上げ、嵌合凹部８に嵌合されていない状態では、突起部７２の突設高さの分、板ばね部７を構成する板状体が弾性的にたわみ変形される（図５（ｂ）参照）。

　挿通孔７３は、正面視長円形状（２つの半円を直線で接続した形状）に貫通形成される長穴であり、板ばね部７の左右の側面（図３（ａ）左側および右側の側面）に対して直線部分が平行となる姿勢で一対が形成される。

　板ばね部７を構成する板状体の一面（可動顎４の嵌め合い溝部４ｂにおける底面に当接する側の面、図３（ａ）紙面奥側面）には、挿通孔７３の外形よりも大きな正面視長円形状の窪み部７３ａが、挿通孔７３の周囲に凹設される。

　この窪み部７３ａにより、嵌め合い溝部４ｂの底面との間に隙間（空間）が形成されると共に、挿通孔７３の周囲における板状体の厚み寸法（図４（ａ）上下方向寸法）が部分的に薄くされ、剛性が小さくされる。よって、挿通孔７３周辺の部位を弾性的に変形させ、板ばね部７を移動可能とすることができる。

　板ばね部７を構成する板状体の他面（窪み部７３ａが凹設される面と反対側の面、図３（ａ）紙面手前側面）には、面取り部７４ａ～７４ｃが形成される。面取り部７４ａ～７４ｃは、挿通孔７３の開口周縁部を面取り（ザグリ加工）して形成される部位であり、窪み部７３ａ側へ近接する側ほど内径が漸次小さくなる正面視円形の円錐穴として形成される。

　板ばね部７を可動顎４の嵌め合い溝部４ｂに内装し、締結ボルトＢ１により締結固定する場合には、締結ボルトＢ１の軸部に形成される円錐形の部分（座面に連なる円錐形の部分）を、面取り部７４ａ～７４ｃに係合させることで（図４（ｃ）参照）、板ばね部７の位置を所定位置に位置決めできると共に、それら位置決めされた各位置において、板ばね部７の位置ずれを防止できる。

　なお、本実施の形態では、面取り部７４ａ及び面取り部７４ｃは、挿通孔７３の正面視長円形状における半円と同心となる位置に形成されると共に、面取り部７４ｂは、挿通孔７３の正面視長円形状における長さ方向（図３（ａ）上下方向）中央および幅方向（図３（ａ）左右方向）中央となる位置を中心として形成され、これら面取り部７４ａ～７４ｃは、それぞれ同じ大きさの円錐穴として形成される。

　また、締結ボルトＢ１の軸部に形成される円錐形の部分が、面取り部７４ａに係合されると、板ばね部７が列９ｃに対応した位置（即ち、突起部７２が列９ｃにおける各嵌合凹部８に嵌合可能な位置）に位置決めされ、面取り部７４ｂに係合されると、板ばね部７が列９ｂに対応した位置（即ち、突起部７２が列９ｂにおける各嵌合凹部８に嵌合可能な位置）に位置決めされ、面取り部７４ｃに係合されると、板ばね部７が列９ａに対応した位置（即ち、突起部７２が列９ａにおける各嵌合凹部８に嵌合可能な位置）に位置決めされる（図２（ａ）参照）。

　図１及び図２に戻って、レンチ本体３の第２側面３ａ１に形成される列９ａ～９ｃについて説明する。モンキーレンチ１は、列９ａ～９ｃを構成する嵌合凹部８のいずれかに、板ばね部７の突起部７２が嵌合することで、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際の位置決め機能と二面幅寸法Ｂのずれ止め機能とが発揮される。列９ａ～９ｃは、それぞれ異なる規格に対応して形成される。

　即ち、本実施の形態では、各嵌合凹部８のピッチ（図２（ａ）左右方向の間隔）が、列９ａではメートルねじ規格に準拠したピッチに設定され、列９ｂではウィットねじ規格に準拠したピッチに設定され、列９ｃではユニファイねじ規格に準拠したピッチに設定される。

　具体的には、本実施の形態では、列９ａ及び列９ｂはそれぞれ５つの嵌合凹部８からなり、列９ａを構成する５つの嵌合凹部８は、呼び径Ｍ１０、Ｍ１２、Ｍ１４、Ｍ１６、Ｍ２０のねじの頭部に対応させて、工具の二面幅寸法Ｂを、１６ｍｍ、１８ｍｍ、２１ｍｍ、２４ｍｍ、３０ｍｍにそれぞれ調整するピッチで配置される。列９ｂ構成する５つの嵌合凹部８は、呼び径Ｗ３／８、Ｗ７／１６、Ｗ１／２、Ｗ５／８、Ｗ３／４のねじの頭部に対応させて、工具の二面幅寸法Ｂを、１７ｍｍ、１９ｍｍ、２１ｍｍ、２６ｍｍ、３２ｍｍにそれぞれ調整するピッチで配置される。一方、列９ｃは６つの嵌合凹部８からなり、これら６つの嵌合凹部８は、呼びＵＮＣ３／８、ＵＮＣ７／１６、ＵＮＣ１／２、ＵＮＣ９／１６、ＵＮＣ５／８、ＵＮＣ３／４のねじの頭部に対応させて、工具の二面幅寸法Ｂを、１４ｍｍ、１６ｍｍ、１９ｍｍ、２１ｍｍ、２４ｍｍ、２９ｍｍにそれぞれ調整するピッチで配置される。

　図１から図５を参照して、以上のように構成されたモンキーレンチ１の使用方法について説明する。モンキーレンチ１の使用に際しては、まず、作業対象となる被挟持物の規格に合わせて（即ち、列９ａ～９ｃのいずれを選択するかに応じて）、板ばね部７の位置を調整する。

　例えば、図２（ａ）に示す状態（即ち、列９ｂを選択した状態）から列９ａを選択した状態に切り替える場合には、板ばね部７を上方（図２（ａ）上側）へ押し上げる。これにより、締結ボルトＢ１の軸部に形成される円錐形の部分が、面取り部７４ｃに係合され、板ばね部７が列９ａに対応する位置に位置決めされるので（図４（ｃ）参照）、突起部７２を列９ａにおける各嵌合凹部８に嵌合させることができる。なお、板ばね部７の移動は、締結ボルトＢ１を緩めた上で行っても良い。

　この場合、板ばね部７が、可動顎４の嵌め合い溝部４ｂに内装されており、嵌め合い溝部４ｂの左右の内壁面により板ばね部７の移動を一方向へ案内することができるので、板ばね部７の位置調整作業の能率化を図ることができる。

　また、面取り部７４ａ～７４ｃは、互いに間隔を隔てて形成される（即ち、互いの隣接間に面取り加工が施されていない部分を残す）ので、板ばね部７を嵌め合い溝部４ｂに沿って移動させる際には、締結ボルトＢ１の軸部に形成された円錐形の部分と各面取り部７４ａ～７４ｃとの断続的な係合により、板ばね部７が所定位置に到達したことを作業者に認識させ易くできる。

　特に、面取り部７４ａ及び面取り部７４ｃは、挿通孔７３の端部（即ち、正面視長円形状における半円と同心）に形成されるので、挿通孔７３の端部が締結ボルトＢ１の軸部に当接するまで板ばね部７を移動させれば、面取り部７４ａ及び面取り部７４ｃを利用可能な位置に到達させることができ、途中で止める必要がない。よって、この点からも、位置調整作業の能率化を図ることができる。

　板ばね部７の位置を調整した後は、次いで、ウォーム６の回転操作により可動顎４を進退させ、工具の二面幅寸法Ｂを被挟持物に対応する寸法に調整する。即ち、作業者は、被挟持物の大きさを目視で確認の上、ウォーム６を回転させ、目的の二面幅寸法Ｂを形成可能な位置付近まで可動顎４を移動させる。可動顎４が目的の二面幅寸法Ｂを形成する位置に到達すれば、板ばね部７の突起部７２が、列９ａにおける所定の嵌合凹部８に嵌合されるので（図５参照）、位置決め機能が発揮され、二面幅寸法Ｂを迅速かつ正確に調整することができる。また、突起部７２が嵌合凹部８に嵌合した状態では、レンチ本体３と可動顎４とが板ばね部７を介して連結された状態が形成され、調整された二面幅寸法Ｂが変動することを防止するずれ止め機能が発揮される。

　以上のように、モンキーレンチ１によれば、レンチ本体３には、複数の嵌合凹部８からなる列９ａ～９ｃが、可動顎４の進退方向と直交する方向（図２（ａ）上下方向）に間隔を隔てて複数（本実施の形態では３列）並設され、これら各列９ａ～９ｃにおける嵌合凹部８のピッチが、それぞれ異なる規格に準拠して設定される。

　よって、被挟持物の規格に応じて、利用する列９ａ～９ｃを選択する（即ち、選択した列９ａ～９ｃの各嵌合凹部８に突起部７２が嵌合可能な位置に板ばね部７の位置を調整する）ことで、異なる規格の二面幅寸法Ｂにも確実に対応できる。更に、板ばね部７には、その板ばね部７を位置決めする位置決め手段（面取り部７４ａ～７４ｃ）が形成されるので、選択した列９ａ～９ｃに突起部７２を嵌合可能な位置に板ばね部７を容易かつ確実に配設することができる。

　即ち、モンキーレンチ１によれば、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法Ｂのずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法Ｂに対しても、容易かつ確実に発揮することができる。

　板ばね部７は、可動顎４に凹設された嵌め合い溝部４ｂに内装されるところ、嵌め合い溝部４ｂの左右の内壁面は、可動顎４の進退方向と直交する方向へ延設され、可動顎４の進退方向への板ばね部７の移動を規制するように構成される。よって、固定顎２と可動顎４との間で被挟持物を挟持して締め付けや緩め作業を行う際には、嵌め合い溝部４ｂの内壁面から板ばね部７に作用する反力の内、板ばね部７を嵌め合い溝部４ｂに沿って移動させる方向（図２（ａ）上下方向）への分力を最小（ほぼ０）とすることができ、その結果、締め付けや緩め作業中に嵌め合い溝部４ｂの内壁面からの反力により板ばね部７の位置がずれることを抑制することができる。

　次いで、図６を参照して、第２実施の形態について説明する。図６は、第２実施の形態における板ばね部２０７の正面図である。なお、第１実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第２実施の形態における板ばね部２０７は、第１実施の形態における板ばね部７に対し、面取り部７４ａ～７４ｃ（図３参照）が、面取り部２７４ａ，２７４ｂに変更されている点、及び、スリット部２７５が新たに設けられている点のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図６に示すように、面取り部２７４ａ，２７４ｂは、第１実施の形態における面取り部７４ａ～７４ｃ（図３参照）と同様に、挿通孔７３の開口周縁部を面取り（ザグリ加工）して形成される部位であり、窪み部７３ａ側へ近接する側ほど内径が漸次小さくなる正面視円形の円錐穴として形成される。但し、面取り部２７４ａ，２７４ｂは、挿通孔７３の正面視長円形状の一方（板ばね部２０７の左右の側面に近い側）の直線部分に対応する箇所が連続して形成される。本実施の形態では、説明の便宜上、この連続する部分を面取り部２７４ａとして説明する。

　即ち、面取り部２７４ａ，２７４ｂは、第１実施の形態における面取り部７４ａ～７４ｃに対し、挿通孔７３の正面視長円形状の一方の直線部分に対応する箇所のみにおいて、面取り部７４ａと面取り部７４ｂとの間、及び、面取り部７４ｂと面取り部７４ｃとの間を直線状に連続させた形状に形成される。

　挿通孔７３の正面視長円形状の他方（板ばね部２０７の左右の側面と反対側）の直線部分に対応する箇所には、複数（本実施の形態では各挿通孔７３に３個）のスリット部２７５が形成される。各スリット部２７５は、挿通孔７３の内縁から細幅のスリット状に延設される切り欠きであり、板ばね部２０７の幅方向（図６左右方向）に沿って直線状に延設され、面取り部２７４ａ，２７４ｂをそれぞれ分断しつつ、窪み部７３ａの外縁まで延設される。

　板ばね部２０７を可動顎４の嵌め合い溝部４ｂに内装し、締結ボルトＢ１により締結固定する場合には、締結ボルトＢ１の軸部に形成される円錐形の部分（図４（ｃ）参照）が、面取り部２７４ａ，２７４ｂ（特に、スリット部２７５が形成される側の部分）に係合されることで、板ばね部２０７の位置を所定位置に位置決めできると共に、それら位置決めされた各位置において、板ばね部２０７の位置ずれを防止できる。

　一方、板ばね部２０７を嵌め合い溝部４ｂ（図２参照）に沿って移動させる際には、締結ボルトＢ１の軸部に形成される円錐形の部分が、面取り部２７４ａ，２７４ｂの非形成部分を乗り越えて、隣接する面取り部２７４ａ，２７４ｂへ移動することで行われる。

　この場合、板ばね部２０７によれば、窪み部７３ａにより板状体の厚み寸法が薄くされる効果に加え、スリット部２７５が設けられる効果により、挿通孔７３周辺の部位が弾性的に変形し易くされる。また、スリット部２７５が設けられていない側は、面取り部２７４ａ，２７４ｂが直線状に連続して形成されるので、挿通孔７３周辺の部位が弾性的に変形しなくても、締結ボルトＢ１が移動可能とされる。よって、板ばね部２０７の移動（作業者による位置の調整）をスムーズに行うことができる。

　なお、第２実施の形態における板ばね部２０７は、板状の素材を切削加工して形成される。即ち、板ばね部２０７は、上述のように、挿通孔７３周辺の部位の一方側が変形し易い形状とされると共に、挿通孔７３周辺の部位の他方側が締結ボルトＢ１の移動時に変形を要求されない形状であるので、厚肉の板状の素材から高い剛性を有する部材として形成することができる。

　次いで、図７及び図８を参照して、第３実施の形態について説明する。図７は、第３実施の形態におけるモンキーレンチ３０１の部分拡大正面図である。図８（ａ）は、図７のＶＩＩＩａ－ＶＩＩＩａ線におけるモンキーレンチ３０１の部分拡大断面図であり、図８（ｂ）は、図７のＶＩＩＩｂ－ＶＩＩＩｂ線におけるモンキーレンチ３０１の部分拡大断面図である。なお、図８（ａ）及び図８（ｂ）では、板ばね部３０７の突起部７２が嵌合凹部８に嵌合した状態が図示される。

　第１実施の形態では、板ばね部７に設けた面取り部７４ａ～７４ｃと締結ボルトＢ１との係合を利用して板ばね部７の位置決め及びずれ止めを行う場合を説明したが、第３実施の形態における板ばね部３０７は、ボールプランジャＰを利用して位置決め及びずれ止めを行う。なお、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第３実施の形態における板ばね部３０７は、第１実施の形態における板ばね部７に対し、窪み部７３ａ及び面取り部７４ａ～７４ｃ（図３参照）の形成が省略される点、及び、位置決め凹部３７６が新たに設けられる点のみが異なり、その他の構成は同一である。また、締結ボルトＢ２は、第1実施の形態における締結ボルトＢ１に対し、軸部に形成される円錐形の部分（座面に連なる円錐形の部分）が省略される点のみが異なり（即ち、締結ボルトＢ２は、座面からおねじ部までの軸部の外径が一定とされる）、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図７及び図８に示すように、板ばね部３０７には、一対の挿通孔７３の間に複数（本実施の形態では３個）の位置決め凹部３７６が形成される。これら複数の位置決め凹部３７６は、ボールプランジャＰのボールが嵌合される凹部であり、可動顎４の進退方向に直交する方向（図７上下方向）に沿って直線状に配置されると共に、板ばね部３０７を構成する板状体の一面（可動顎４の嵌め合い溝部４ｂにおける底面に当接する側の面、図８（ｂ）左側面）に凹設される。本実施の形態では、板状体の一面からパンチを押し当て、板状体に部分的に凹部を凹設するプレス加工により、略半球状の空間を有する位置決め凹部３７６が形成される。

　ボールプランジャＰは、先端のボールを、板ばね部３０７の位置決め凹部３７６に嵌合可能に突出させる状態で、可動顎４に埋設される。なお、ボールプランジャＰ内には、コイルスプリングが弾性的に圧縮された状態で配設され、その弾性復元力により先端のボールが突出方向へ付勢される。また、ボールプランジャＰは、その外周面に螺刻されたおねじが、可動顎４の配設孔３０４ｃの内周面に螺刻されためねじに螺合されることで、可動顎４に固着される。

　このように構成されたモンキーレンチ３０１によれば、板ばね部３０７を嵌め合い溝部４ｂに沿って移動させる際には、ボールプランジャＰのボールが、板ばね部３０７の各位置決め凹部３７６にそれぞれ嵌合されることで、板ばね部３０７の位置を所定位置に位置決めできると共に、それら位置決めされた各位置において、板ばね部３０７の位置が変動する位置ずれを防止できる。

　ここで、ボールプランジャＰのボールが、複数の位置決め凹部３７６の内の上側（図７上側）の位置決め凹部３７６に嵌合されると、板ばね部３０７が列９ｃに対応した位置（即ち、突起部７２が列９ｃにおける各嵌合凹部８に嵌合可能な位置）に位置決めされ、中間の位置決め凹部３７６に嵌合されると、板ばね部３０７が列９ｂに対応した位置（即ち、突起部７２が列９ｂにおける各嵌合凹部８に嵌合可能な位置）に位置決めされ、下側（図７下側）の位置決め凹部３７６に係合されると、板ばね部３０７が列９ａに対応した位置（即ち、突起部７２が列９ａにおける各嵌合凹部８に嵌合可能な位置）に位置決めされる。

　この場合、板ばね部３０７は、ボールプランジャＰのボールが、上側の位置決め凹部３７６又は下側の位置決め凹部３７６に嵌合された状態では、挿通孔７３の長径方向（長手方向、図７上下方向）端部が締結ボルトＢ２の軸部に当接する。よって、板ばね部３０７を列９ｃ又は列９ａに対応する位置に位置決めする際には、かかる板ばね部３０７を移動可能範囲で最大限移動させれば良く（即ち、挿通孔７３の終端まで移動させれば良く）、途中で止める必要がないので、位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。

　このように、第３実施の形態におけるモンキーレンチ３０１によれば、板ばね部３０７の位置決め及びずれ止めを、位置決め凹部３７６とボールプランジャＰのボールとの嵌合を利用して行う。よって、板ばね部３０７を嵌め合い溝部４ｂに沿って移動させる際には、例えば、第1実施の形態の場合のように、板ばね部７自身（即ち、挿通孔７３周辺の部位）を弾性的に変形させる必要がないので、その分、板ばね部２０７の嵌め合い溝部４ｂに沿った移動をスムーズに行うことができる。

　次いで、図９を参照して、第４実施の形態について説明する。図９は、第４実施の形態におけるモンキーレンチ４０１の部分拡大正面図である。なお、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第４実施の形態におけるモンキーレンチ４０１は、第３実施の形態におけるモンキーレンチ３０１に対し、列９ｃ（図７参照）の形成が省略される点のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図９に示すように、第４実施の形態におけるモンキーレンチ４０１は、レンチ本体３の第２側面３ａ１に、列９ａ及び列９ｂのみが形成される。即ち、レンチ本体３の第２側面３ａ１には、列９ｂの下方（図９下側）に、嵌合凹部８が凹設されず平坦面状に形成される領域（以下「平坦面部４０３ｂ」と称す）が形成される。

　よって、ボールプランジャＰのボールが、複数の位置決め凹部３７６の内の上側（図９上側）の位置決め凹部３７６に係合されると、板ばね部３０７が平坦面部４０３ｂに対応した位置（即ち、突起部７２が平坦面部４０３ｂ上を摺動する位置）に位置決めされる。なお、図９では、平坦面部４０３ｂ上を摺動する突起部７２の軌跡が二点鎖線を用いて模式的に図示される。

　このように、第４実施の形態におけるモンキーレンチ４０１によれば、レンチ本体３の第２側面３ａ１には、平坦面部４０３ｂが形成されると共に、その平坦面部４０３ｂに突起部７２が配置される位置に、板ばね部３０７を位置決めすることができるので、嵌合凹部８に突起部７２が嵌合しない状態で、可動顎４を進退させる形態を形成することができる。

　即ち、作業者は、板ばね部３０７の位置を調整することで、突起部７２と嵌合凹部８（本実施の形態では列９ａ及び列９ｂ）との嵌合を利用して、二面幅寸法Ｂの位置決め機能およびずれ止め機能を発揮可能な形態と、突起部７２を嵌合凹部８に嵌合させず（即ち、突起部７２を平坦面部４０３ｂ上で摺動させ）、二面幅寸法Ｂの位置決め機能およびずれ止め機能を発揮させない形態との両者を任意に選択することができる。

　次いで、図１０を参照して、第５実施の形態について説明する。図１０は、第５実施の形態におけるモンキーレンチ５０１の部分拡大正面図である。なお、図１０では、板ばね部３０７の一部が部分的に省略された状態が図示される。また、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第５実施の形態におけるモンキーレンチ５０１は、第３実施の形態におけるモンキーレンチ３０１に対し、列９ｃ（図７参照）に代えて連続凹溝５０８が形成される点のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図１０に示すように、第５実施の形態におけるモンキーレンチ５０１は、レンチ本体３の第２側面３ａ１に、連続凹溝５０８が形成される。連続凹溝５０８は、嵌合凹部８と同じ断面形状を有し、可動顎４の進退方向（即ち、突起部７２の移動軌跡、図１０左右方向）に沿って溝状に連続して延設される凹溝であり、列９ｂの下方（図１０下側）に配設される。

　よって、ボールプランジャＰのボールが、複数の位置決め凹部３７６の内の上側（図９上側）の位置決め凹部３７６に係合されると、板ばね部３０７が連続凹溝５０８に対応した位置（即ち、突起部７２が連続凹溝５０８に嵌合する位置）に位置決めされ、可動顎４が進退される際には、突起部７２が連続凹溝５０８に嵌合された状態が維持される。なお、連続凹溝５０８の一端（図１０左側）は、工具の二面幅寸法Ｂが０とされた場合でも、突起部７２が嵌合可能な位置とされる。

　このように、第５実施の形態におけるモンキーレンチ５０１によれば、レンチ本体３の第２側面３ａ１には、連続凹溝５０８が形成されると共に、その連続凹溝５０８に突起部７２が嵌合される位置に板ばね部３０７を位置決め可能に構成されるので、突起部７２と連続凹溝５０８との嵌合が維持された状態で、可動顎４を進退させる形態を形成することができる。即ち、工具の二面幅寸法Ｂがどのような二面幅寸法Ｂに調整された状態においても、レンチ本体３と可動顎４とが板ばね部３０７を介して連結された状態を維持でき、その結果、レンチ本体３に対する可動顎４のがたつきを抑制することができる。

　次いで、図１１を参照して、第６実施の形態について説明する。図１１は、第６実施の形態におけるモンキーレンチ６０１の部分拡大正面図である。なお、図１１では、板ばね部３０７の一部が部分的に省略された状態が図示される。また、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第６実施の形態におけるモンキーレンチ６０１は、第３実施の形態におけるモンキーレンチ３０１に対し、ガイド溝６０８が新たに設けられている点のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図１１に示すように、第６実施の形態におけるモンキーレンチ６０１は、レンチ本体３の第２側面３ａ１に、ガイド溝６０８が形成される。ガイド溝６０８は、可動顎４の進退方向（即ち、突起部７２の移動軌跡、図１１左右方向）に沿って溝状に連続して延設される凹溝であり、複数の嵌合凹部８の間を接続すると共に、端部の嵌合凹部８を越えて延設される。

　また、ガイド溝６０８は、突起部７２が嵌合された際の嵌合代（図１１紙面垂直方向深さ）が、嵌合凹部８に突起部７２が嵌合された際の嵌合代よりも小さくされる。即ち、ガイド溝６０８は、嵌合凹部８よりも溝幅（図１１上下方向寸法）が小さい溝として、レンチ本体３の第２側面３ａ１に凹設され、突起部７２の先端側の途中までが嵌合可能な形状とされる。よって、突起部７２がガイド溝６０８に嵌合した状態では、板ばね部３０７が弾性的に変形した状態（第２側面３ａ１から離間する方向へ反った状態）となる。なお、ガイド溝６０８の一端（図１１左側）は、工具の二面幅寸法Ｂが０とされた場合でも、突起部７２が嵌合可能な位置とされる。

　このように、第６実施の形態におけるモンキーレンチ６０１によれば、レンチ本体３の第２側面３ａ１には、ガイド溝６０８が形成されるので、可動顎４を進退させる際には、突起部７２が嵌合凹部８に嵌合されない位置においても、突起部７２とガイド溝６０８とが嵌合された状態を維持することができる。即ち、工具の二面幅寸法Ｂを、突起部７２と嵌合凹部８とが嵌合しない二面幅寸法Ｂに調整する必要がある状態においても、レンチ本体３と可動顎４とが板ばね部３０７を介して連結された状態を維持でき、その結果、レンチ本体３に対する可動顎４のがたつきを抑制することができる。

　また、ガイド溝６０８は、突起部７２が嵌合された際の嵌合代が、嵌合凹部８に突起部７２が嵌合された際の嵌合代よりも小さくされるので、可動顎４を進退させる際には、突起部７２がガイド溝６０８を介して移動することで、かかるガイド溝６０８の案内効果を利用して、突起部７２を各嵌合凹部８へ確実に嵌合させることができる。

　なお、可動顎４を進退させる際には、嵌合凹部８及びガイド溝６０８の嵌合代が異なることで、嵌合時に異なる操作感を発生させ、作業者に伝わる操作感を異ならせることができる。これにより、ガイド溝６０８を通過した突起部７２が嵌合凹部８に到達したことを作業者に認識させることができるので、工具の二面幅寸法Ｂの調整を容易とできる。

　次いで、図１２及び図１３を参照して、第７実施の形態について説明する。図１２は、第７実施の形態におけるモンキーレンチ７０１の部分拡大背面図であり、図１３は、図１２のＸＩＩＩ－ＸＩＩＩ線におけるモンキーレンチ７０１の部分拡大断面図である。なお、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第７実施の形態におけるモンキーレンチ７０１は、第１実施の形態におけるモンキーレンチ１に対し、正面側（図１３右側）と同一の構成が背面側（図１３左側）にも設けられる点、及び、背面側の嵌合凹部７０８における嵌合代が正面側の嵌合凹部８における嵌合代よりも小さくされる点のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図１２及び図１３に示すように、第７実施の形態におけるモンキーレンチ７０１は、正面側（図１３右側）が、第１実施の形態におけるモンキーレンチ１（図２（ａ）参照）と同一に構成されると共に、背面側（図１２参照）は、嵌合凹部７０８の嵌合代を除き、正面側と同一に構成される。即ち、背面側には、レンチ本体３の側面３ａに第２側面３ａ１が凹設されると共に、可動顎４の側面４ａに嵌め合い溝部４ｂが凹設され、その嵌め合い溝部４ｂに板ばね部７が内装される。なお、正面側および背面側の板ばね部７は、互いに対称形状に形成されるので、以下の説明においては、便宜上、両者に同じ符号を付して説明する。

　背面側におけるレンチ本体３の第２側面３ａ１には、図１２に示すように、複数の嵌合凹部７０８が可動顎４の進退方向（図１２左右方向）に沿って直線状に配置され、列７０９ａ～７０９ｃを形成する。これら列７０９ａ～７０９ｃ（複数の嵌合凹部７０８）は、正面側（図１３右側）における列９ａ～９ｃ（複数の嵌合凹部８）と同一の位置（位相）に配置される。

　モンキーレンチ７０１によれば、正面側および背面側の両側面において、同じねじ規格に準拠する列（例えば、正面側：列９ａ（メートルねじ規格に準拠）、背面側：列７０９ａ（メートルねじ規格に準拠）など）が選択された場合には、正面側における突起部７２と各嵌合凹部８との位置関係が、背面側における突起部７２と各嵌合凹部７０８との位置関係と同一の関係とされる。

　この場合、可動顎４が進退される際に、正面側において突起部７２が嵌合凹部８と嵌合状態にある場合には、背面側において突起部７２が嵌合凹部７０８と嵌合状態にあり、正面側において突起部７２が嵌合凹部８と非嵌合状態にある場合には、背面側において突起部７２が嵌合凹部７０８と非嵌合状態にある。

　よって、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際には、正面側および背面側の両側面（第２側面３ａ１）において、突起部７２が嵌合凹部８，７０８と嵌合した状態を形成することができる。これにより、工具の二面幅寸法Ｂのずれ止め機能を確実に発揮することができる。また、可動顎４を進退させる際には、正面側および背面側の両側面において、突起部７２の嵌合凹部８，７０８への嵌合およびその解除を同時に行うことででき、その状態（嵌合状態または非嵌合状態）の作業者による把握を確実化できるので、位置決め作業の作業性を向上させることができる。

　一方、正面側および背面側の両側面において、異なるねじ規格に準拠する列（例えば、正面側：列９ａ（メートルねじ規格に準拠）、背面側：列７０９ｂ（ウィットねじ規格に準拠）など）が選択された場合には、正面側における突起部７２と各嵌合凹部８との位置関係が、背面側における突起部７２と各嵌合凹部７０８との位置関係と異なる関係とされる。

　この場合、可動顎４が進退される際に、正面側において突起部７２が嵌合凹部８と嵌合状態にある場合には、背面側において突起部７２が嵌合凹部７０８と非嵌合状態にあり、逆に、背面側において突起部７２が嵌合凹部７０８と嵌合状態にある場合には、正面側において突起部７２が嵌合凹部８と非嵌合状態にある。但し、設定する工具の二面幅寸法Ｂによっては、両側面において嵌合状態となる。

　モンキーレンチ７０１によれば、正面側における突起部７２と各嵌合凹部８との嵌合代が、背面側における突起部７２と各嵌合凹部７０８との嵌合代と異なるので、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際に、正面側において突起部７２が嵌合凹部８に嵌合することで発生する操作感と、背面側において突起部７２が嵌合凹部７０８に嵌合することで発生する操作感とを異ならせることができる。

　これにより、作業者に伝わる操作感を異ならせて、正面側における一の列（例えば、メートルねじ規格に準拠する列９ａ）と突起部７２との嵌合を利用して調整する工具の二面幅寸法Ｂの位置決め位置と、背面側における一の列（例えば、ウィットねじ規格に準拠する列７０９ｂ）と突起部７２との嵌合を利用して調整する工具の二面幅寸法Ｂの位置決め位置とを、操作感の違いにより、作業者に識別させることができる。

　ここで、モンキーレンチ７０１では、正面側および背面側の列であって、同じねじ規格に準拠する列同士は、嵌合凹部８，７０８のピッチが同一とされる。例えば、メートルねじ規格に準拠する正面側の列９ａ及び背面側の列７０９ａであれば、工具の二面幅寸法Ｂを、１６ｍｍ、１８ｍｍ、２１ｍｍ、２４ｍｍ、３０ｍｍにそれぞれ調整可能なピッチで、正面側の嵌合凹部８と背面側の嵌合凹部７０８とがそれぞれ配置される。

　これに代えて、同じねじ規格に準拠する列の嵌合凹部８，７０８のピッチを異なるピッチとしても良い。例えば、上記例示した列９ａ，７０９ａにおいて、列９ａの嵌合凹部８は、工具の二面幅寸法Ｂを、１６ｍｍ、１８ｍｍ、２１ｍｍ、２４ｍｍ、３０ｍｍにそれぞれ調整可能なピッチで配置する一方、列７０９ａの嵌合凹部７０８は、工具の二面幅寸法Ｂを、１７ｍｍ、１９ｍｍ、２３ｍｍ、２７ｍｍにそれぞれ調整可能なピッチで配置する形態が例示される。

　これにより、可動顎４を進退させ、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際に、正面側および背面側の両側面（第２側面３ａ１）において、突起部７２と嵌合凹部８、７０８との嵌合状態を異ならせることができる。即ち、限られた面積のレンチ本体３の第２側面３ａ１を有効に利用して、選択可能な嵌合位置の数（即ち、位置決め機能およびずれ止め機能を発揮可能な工具の二面幅寸法Ｂの種類）を確保できる。

　次いで、図１４（ａ）を参照して、第８実施の形態について説明する。図１４（ａ）は、第８実施の形態におけるモンキーレンチ８０１の部分拡大背面図である。なお、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第８実施の形態におけるモンキーレンチ８０１は、第７実施の形態におけるモンキーレンチ７０１に対し、背面側の嵌合凹部８０８のピッチのみが異なり（背面側の嵌合凹部８０８における嵌合代が、正面側の嵌合凹部８における嵌合代よりも小さくされる点は同一）、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図１４（ａ）に示すように、第８実施の形態におけるモンキーレンチ８０１は、背面側におけるレンチ本体３の第２側面３ａ１に、複数の嵌合凹部８０８が可動顎４の進退方向（図１４（ａ）左右方向）に沿って直線状に等間隔のピッチで配置される。即ち、本実施の形態では、列８０９ａを構成する嵌合凹部８０８のピッチが１ｍｍに、列８０９ｂを構成する嵌合凹部８０８のピッチが３ｍｍに、列８０９ｃを構成する嵌合凹部８０８のピッチが５ｍｍに、それぞれ設定される。

　モンキーレンチ８０１によれば、複数の嵌合凹部８０８が可動顎４の進退方向に沿って等間隔のピッチで配置されるので、その汎用性および利便性を高めることができる。例えば、被挟持物の二面幅寸法Ｂが、正面側の列９ａ～９ｃにおける各嵌合凹部８のピッチでは対応できない規格のものである場合でも、背面側の各嵌合凹部８０８の内のいずれかが対応する可能性を高め、その汎用性を高めることができる。また、複数の嵌合凹部８０８が等間隔に配置されることで、工具の二面幅寸法Ｂを定規として活用することができるので、その利便性を高めることができる。

　また、モンキーレンチ８０１によれば、第７実施の形態におけるモンキーレンチ７０１の場合と同様に、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際に、正面側において突起部７２が嵌合凹部８に嵌合することで発生する操作感と、背面側において突起部７２が嵌合凹部８０８に嵌合することで発生する操作感とを異ならせることができ、これにより、作業者に伝わる操作感を異ならせることができる。

　よって、正面側における一の列（例えば、メートルねじ規格に準拠する列９ａ）と突起部７２との嵌合を利用して調整する工具の二面幅寸法Ｂの位置決め位置と、背面側における一の列（即ち、等間隔のピッチで配置された嵌合凹部８０８）と突起部７２との嵌合を利用して調整する工具の二面幅寸法Ｂの位置決め位置とを、操作感の違いにより、作業者に識別させることができる。

　次いで、図１４（ｂ）を参照して、第９実施の形態について説明する。図１４（ｂ）は、第９実施の形態におけるモンキーレンチ９０１の部分拡大背面図である。なお、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第９実施の形態におけるモンキーレンチ９０１は、第１実施の形態におけるモンキーレンチ１に対し、背面側に板ばね部９０７を固設した点のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図１４（ｂ）に示すように、第９実施の形態におけるモンキーレンチ９０１は、板ばね部９０７を備える。板ばね部９０７は、金属製の板状体から板ばねとして形成される部材であり、基端側（図１４（ｂ）上側）が可動顎４の側面４ａに圧入ピンにより固設されると共に、先端側（図１４（ｂ）下側）がレンチ本体３の側面３ａに対面配置され、その先端側がレンチ本体３の側面３ａに対して近接離間する方向に弾性変形（たわみ変形）可能とされる。

　モンキーレンチ９０１によれば、正面側には、板ばね部７と複数の列９ａ～９ｃとが配設されるので（図２（ａ）参照）、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法Ｂのずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法Ｂに対して、容易かつ確実に発揮することができる。

　この場合、モンキーレンチ９０１には、その背面側にも、板ばね部９０７が配設されるので、これら正面側および背面側の両側面の板ばね部７，９０７により、レンチ本体３を両側から挟みこむことができ、板ばね部７，９０７の弾性力を、がたつきを矯正する方向へ効果的に働かせることができる。

　更に、板ばね部９０７を可動顎４に固設すれば良く、移動可能に構成する必要がない。また、背面側に、嵌合凹部８を形成する必要がない。よって、加工コストを削減して、その分、モンキーレンチ９０１全体としての製品コストの削減を図ることができる。

　次いで、図１５を参照して、第１０実施の形態について説明する。図１５（ａ）は、第１０実施の形態におけるモンキーレンチ１００１の部分拡大背面図であり、図１５（ｂ）は、板ばね部１００７の断面図である。なお、図１５（ｂ）は、図１５（ａ）のＸＶｂ－ＸＶｂ線における断面図に対応する。また、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第１０実施の形態におけるモンキーレンチ１００１は、第９実施の形態におけるモンキーレンチ９０１に対し、レンチ本体３の側面３ａに連続凹溝１００８を新たに設ける点、及び、板ばね部１００７に突起部７２を新たに設ける点のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図１５に示すように、第１０実施の形態におけるモンキーレンチ１００１は、レンチ本体３の側面３ａに、連続凹溝１００８が形成される。一方、板ばね部１００７には、連続凹溝１００８に嵌合される突起部７２が形成される。なお、連続凹溝１００８は第５実施の形態における連続凹溝５０８と同一の構成であるので、その説明は省略する。

　よって、モンキーレンチ１００１によれば、可動顎４が進退される際には、背面側（図１５（ａ）紙面手前側）において、突起部７２が連続凹溝１００８に嵌合された状態が維持される。なお、連続凹溝１００８の一端（図１５（ａ）右側）は、工具の二面幅寸法Ｂが０とされた場合でも、突起部７２が嵌合可能な位置とされる。

　このように、第１０実施の形態におけるモンキーレンチ１００１によれば、正面側には、板ばね部７と複数の列９ａ～９ｃとが配設されるので（図２（ａ）参照）、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際の位置決め機能と調整された二面幅寸法Ｂのずれ止め機能とを、異なる規格の二面幅寸法Ｂに対して、容易かつ確実に発揮することができる。

　この場合、背面側には、板ばね部１００７が固設されると共に、その板ばね部１００７の突起部７２が嵌合される連続凹溝１００８が凹設されるので、正面側における突起部７２と嵌合凹部８との状態（嵌合状態および非嵌合状態）に関わらず（図２（ａ）参照）、背面側においては、突起部７２の連続凹溝１００８への嵌合が維持された状態で、可動顎４を進退させる形態を形成することができる。

　即ち、工具の二面幅寸法Ｂがどのような二面幅寸法Ｂに調整された状態においても、レンチ本体３と可動顎４とが、少なくとも背面側においては、板ばね部１００７を介して連結された状態を維持でき、その結果、レンチ本体３に対する可動顎４のがたつきを抑制することができる。

　次いで、図１６を参照して、第１１実施の形態について説明する。図１６（ａ）は、第１１実施の形態におけるモンキーレンチ１１０１の部分拡大正面図であり、図１６（ｂ）は、モンキーレンチ１１０１の部分拡大背面図である。なお、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第１１実施の形態におけるモンキーレンチ１１０１は、第８実施の形態におけるモンキーレンチ８０１に対し、板ばね部１１０７ａ，１１０７ｂの構成およびその板ばね部１１０７ａ，１１０７ｂの位置決め構造のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図１６に示すように、第１１実施の形態におけるモンキーレンチ１１０１の板ばね部１１０７ａ，１１０７ｂは、第３実施の形態における板ばね部３０７と同様に、嵌め合い溝部４ｂに沿って移動可能に形成される。また、挿通孔７３に締結ボルトＢ２が挿通されると共に、ボールプランジャＰ（図８（ｂ）参照）のボールが位置決め凹部３７６に嵌合されることで、位置決め及びずれ止めが可能に形成される。

　具体的には、挿通孔７３は、正面側および背面側の双方の板ばね部１１０７ａ，１１０７ｂにおいて、幅方向（図１６（ａ）左右方向）中央に配設される一方、位置決め凹部３７６は、正面側の板ばね部１１０７ａでは、挿通孔７３よりも固定顎２に近接する位置（図１６（ａ）左側）に配設され、背面側の板ばね部１１０７ｂでは、挿通孔７３よりも固定顎２から離間する位置（図１６（ｂ）左側）に配設される。

　即ち、正面側用のボールプランジャＰ及び背面側用のボールプランジャＰをそれぞれ配設するための一対の配設孔３０４ｃ（図８（ｂ）参照）を、可動顎４の移動方向に沿って位置をずらして配置することで、これらを互いに干渉させることなく配置することができる。その結果、正面側および背面側の両側面において、板ばね部１１０７ａ，１１０７ｂの位置決め及びずれ止めを、ボールプランジャＰのボールを利用して行うことができるので、これら両側面において、板ばね部１１０７ａ，１１０７ｂの嵌め合い溝部４ｂに沿った移動をスムーズに行うことができる。

　次いで、図１７を参照して、第１２実施の形態について説明する。図１７は、第１２実施の形態におけるモンキーレンチ１２０１の部分拡大正面図である。なお、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　第１２実施の形態におけるモンキーレンチ１２０１は、第1実施の形態におけるモンキーレンチ１に対し、板ばね部１２０７の移動方向のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。

　図１７に示すように、第１２実施の形態における板ばね部１２０７は、第1実施の形態における板ばね部７と同様に、挿通孔７３の周囲に面取り部７４ａ～７４ｃが形成され（但し、図１７では、符号「７４ｂ」の図示を省略する）、それら面取り部７４ａ～７４ｃに締結ボルトＢ１の軸部に形成される円錐形の部分（座面に連なる円錐形の部分）が係合することで、位置決めとずれ止めとが行われる。

　この場合、板ばね部１２０７は、可動顎４の移動方向と直交する方向（図１７上下方向）に対し、正面視長円形状に形成される挿通孔７３の長径方向（長手方向）が傾斜する姿勢で、締結ボルトＢ１により締結固定される。そのため、本実施の形態では、板ばね部１２０７の移動方向が、可動顎４の移動方向と直交する方向（図１７上下方向）に対して傾斜する方向とされる。

　なお、突起部７２は、板ばね部１２０７の幅方向中央から一方側へ偏った位置に配置される。面取り部７４ａ～７４ｃと締結ボルトＢ１の円錐形の部分との係合により、板ばね部１２０７が列９ａ～９ｃのいずれかに対応する位置に位置決めされると、突起部７２が列９ａ～９ｃのいずれかにおける各嵌合凹部８に嵌合可能な位置に位置決めされる。

　ここで、第１２実施の形態では、第２側面３ａ１及び嵌め合い溝部４ｂを省略する場合を説明したが、第１実施の形態の場合と同様に、第２側面３ａ１及び嵌め合い溝部４ｂを設けても良い。この場合には、第２側面３ａ１に各嵌合凹溝８を凹設すると共に、嵌め合い溝部４ｂを板ばね部１２０７の移動方向（即ち、可動顎４の移動方向と直交する方向に対して傾斜する方向）に沿って延設する。

　次いで、図１８を参照して、第１３実施の形態について説明する。図１８（ａ）及び図１８（ｂ）は、第１３実施の形態におけるモンキーレンチ１３０１の部分拡大正面図および部分拡大背面図である。なお、図１８（ａ）及び図１８（ｂ）では、被挟持物の一例であるナットを固定顎２及び可動顎４の間に挟持した状態が図示される。

　第１実施の形態では、可動顎４の正面側のみに板ばね部７が配設されると共に、その板ばね部７が可動顎４の側面４ａに移動可能に取着される場合を説明したが、第１３実施の形態における板ばね部１３０７は、可動顎４の正面側および背面側のそれぞれに配設されると共に、それら正面側および背面側の板ばね部１３０７が可動顎４の側面４ａに固着（固設）される。なお、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　図１８（ａ）及び図１８（ｂ）に示すように、第１３実施の形態における板ばね部１３０７は、弾性材料からなる板状体から板ばねとして形成される部材であり、基端側が可動顎４の側面４ａに固着されると共に、先端側がレンチ本体３の側面３ａに対面配置される。よって、板ばね部１３０７は、その先端側をレンチ本体３の側面３ａに対して近接離間する方向に弾性変形（たわみ変形）可能とされる。

　本実施の形態では、板ばね部１３０７は、薄板状の素材にプレス成形を施すことで形成され、可動顎４の側面４ａにスポット溶接により固着される。よって、強固に固定することができる。但し、第９及び第１０実施の形態における板ばね部９０７，１００７のように圧入ピンにより固着（固設）しても良い。また、ボルトにより板ばね部７を可動顎４に着脱可能に締結固定しても良い。この場合には、板ばね部１３０７が損傷や磨耗した場合などに交換することができる。第９及び第１０実施の形態における板ばね部９０７，１００７についても同様にボルトにより着脱可能に締結固定しても良い。

　板ばね部１３０７には、その先端側からレンチ本体３の側面３ａへ向けて突起部７２が突設される。突起部７２は、レンチ本体３の側面３ａに凹設された複数の嵌合凹部８のそれぞれに嵌合可能に形成され、各嵌合凹部８は、可動顎４が進退される際に突起部７２の先端が描く移動軌跡に沿って配設される。即ち、第１３実施の形態における複数（第１３実施の形態では４個）の嵌合凹部８は、一の列のみを形成する。なお、第１３実施の形態では、突起部７２が各嵌合凹部８に嵌合されることで、４種類の二面幅寸法Ｂを形成でき、これら４種類の二面幅Ｂが、Ｍ１０、Ｍ１２、Ｍ１６及びＭ２０のナット（被挟持物）に対応する寸法に設定される。

　嵌合凹部８が凹設される一方側（正面側）と反対側となる他方側（背面側）は、連続凹溝１３０８が凹設される。連続凹溝１３０８は、嵌合凹部８と同じ断面形状を有し、突起部７２の移動軌跡に沿って延設される凹溝である。よって、可動顎４が進退される際には、常に突起部７２が嵌合された状態が維持される。

　よって、可動顎４の進退時、図１８（ａ）に示す一方側では、突起部７２と嵌合凹部８との嵌合が断続的に形成されるのに対し、図１８（ｂ）に示す他方側では、突起部７２と連続凹溝１３０８との嵌合が維持される。その結果、摺動面の変形や磨耗に起因して、レンチ本体３に対する可動顎４のがたつきが発生した場合でも、他方側における突起部７２が連続凹溝１３０８により案内される効果により、一方側において、突起部７２を各嵌合凹部８へ確実に嵌合させることができる。

　この場合、図１８（ｂ）に示す他方側において、連続凹溝１３０８が連続した形状であっても、工具の二面幅寸法Ｂを調整する際には、図１８（ａ）に示す一方側における突起部７２と嵌合凹部８との断続的な嵌合により、突起部７２が所定の嵌合凹部８に到達したことを作業者に認識させることができる。即ち、固定顎２に対して可動顎４を進退させて所定位置に位置決めする際の位置決め機能を発揮させることができるので、工具の二面幅寸法Ｂの調整を容易とできる。

　一方で、ナット等の被挟持物の二面幅寸法が、図１８（ａ）に示す一方側における複数の嵌合凹部８の内のいずれの嵌合凹部８に突起部７２を嵌合させても設定できない二面幅寸法であった場合でも、図１８（ｂ）に示す他方側において、突起部７２と連続凹溝１３０８との嵌合が維持される。よって、かかる嵌合により、がたつきを抑制できると共に、板ばね部１３０７の弾性力を、がたつきを矯正する方向へ働かせることができる。その結果、このような二面幅寸法のナット等の被挟持物に対しても、位置決め機能とずれ止め機能とを維持することができる。

　また、一対の板ばね部１３０７によりレンチ本体３を両側（図１８（ａ）及び図１８（ｂ）の紙面手前側および紙面奥側）から挟み込むことができ、板ばね部１３０７の弾性力を、可動顎４のがたつきを矯正する方向へ効果的に働かせることができる。よって、位置決め機能とずれ止め機能とを確実に発揮させることができる。

　次いで、図１９を参照して、第１４実施の形態におけるモンキーレンチ１４０１について説明する。なお、第１４実施の形態におけるモンキーレンチ１４０１は、第１３実施の形態におけるモンキーレンチ１３０１に対し、第２の側面３ａ２，４ａ２が凹設されている点のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、異なる点のみを説明する。また、上記各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。

　図１９（ａ）は、第１４実施の形態におけるモンキーレンチ１４０１の部分拡大正面図であり、図１９（ｂ）及び図１９（ｃ）は、図１９（ａ）の矢印ＸＩＸ方向視におけるモンキーレンチ１４０１の側面図である。

　なお、図１９（ｂ）及び図１９（ｃ）では、レンチ本体３及び可動顎４が断面視される。図１９（ｂ）は、突起部７２が嵌合凹部８に嵌合された状態に対応し、図１９（ｃ）は、突起部７２がレンチ本体３の第２の側面３ａ２に乗り上げた状態に対応する。

　図１９に示すように、第１４実施の形態におけるモンキーレンチ１４０１は、レンチ本体３及び可動顎４が、第１の側面３ａ１，４ａ１と、その第１の側面３ａ１，４ａ１に対し後退して（即ち、図１９（ａ）紙面奥側に）位置する第２の側面３ａ２，４ａ２とを備える。即ち、レンチ本体３及び可動顎４の側面は、第１の側面３ａ１，４ａ１と第２の側面３ａ２，４ａ２とからなり、第２の側面３ａ２，４ａ２は、第１の側面３ａ１，４ａ１の一部を部分的に凹設して形成される。嵌合凹部８は、レンチ本体３の第２の側面３ａ２に凹設され、板ばね部１３０７の基端側は、可動顎４の第２の側面４ａ２に固着される。

　これにより、レンチ本体３及び可動顎４の第１の側面３ａ１，４ａ１から板ばね部１３０７が突出することを抑制できる。よって、ナット等の被挟持物の締め付けや緩め作業時に、板ばね部１３０７が他部材に干渉することを抑制して、作業性の向上を図ることができる。また、板ばね部１３０７の損傷を抑制することができる。

　なお、第１４実施の形態では、第２の側面３ａ２，４ａ２が第１の側面３ａ１，４ａ１に対して後退する後退量（図１９（ｂ）及び図１９（ｃ）左右方向寸法）は、図１９（ｃ）に示すように、突起部７２がレンチ本体３の第２の側面３ａ２に乗り上げた状態において、板ばね部１３０７が第１の側面３ａ１，４ａ１から突出しない寸法値に設定される。これにより、突起部７２が第２の側面３ａ２に乗り上げた状態で、ナット等の被挟持物の締め付けや緩め作業を行う場合であっても、板ばね部１３０７が他部材に干渉することを抑制できる。その結果、作業性の向上と板ばね部１３０７の損傷の抑制とを図ることができる。

　以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。

　上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記各実施の形態で説明した嵌合凹部８等の凹設数や列９ａ～９ｃ等の列数、或いは、被挟持物の呼び径などは任意に設定することができる。

　上記各実施の形態における構成の一部を、他の実施の形態における構成の一部と置き換えても良い。例えば、第１実施の形態における板ばね部７を、第２実施の形態における板ばね部２０７又は第３実施の形態における板ばね部３０７に置き換えても良い。同様に、例えば、第７実施の形態では、正面側および他面側の両側面において、板ばね部７を採用したが、これら正面側または他面側のいずれか一方の板ばね部７を、第２実施の形態における板ばね部２０７又は第３実施の形態における板ばね部３０７に置き換えても良い。

　また、同様に、例えば、第７実施の形態における背面側の構成を、第１３又は第１４実施の形態における背面側に適用しても良い。具体的には、第１３又は第１４実施の形態において、連続凹溝１３０８に代えて、正面側の嵌合凹部８と異なる大きさの嵌合代（例えば、小さい嵌合代）とされた複数の嵌合凹部７０８（列７０９ａ～７０９ｃ）を設けても良い。この場合、正面側の嵌合凹部８と背面側の嵌合凹部７０８とは、同時に嵌合しない位置にずらして配置されることが好ましい。正面側における嵌合凹部８と突起部７２との嵌合による二面幅寸法Ｂと、背面側における嵌合凹部７０８と突起部７２との嵌合による二面幅寸法Ｂとを、操作感の違いにより、作業者に識別させることができる。

　また、同様に、例えば、第１１実施の形態における背面側の構成を、第１３又は第１４実施の形態における背面側に適用しても良い。具体的には、第１３又は第１４実施の形態において、連続凹溝１３０８に代えて、等間隔のピッチ（正面側の嵌合凹部８よりも小さいピッチであることが好ましい）で配置される複数の嵌合凹部８０８（列８０９ａ）を設けても良い。汎用性および利便性を高めることができる。

　また、同様に、第１３及び第１４実施の形態における背面側の構成を、第９実施の形態における背面側の構成に置き換えても良い。即ち、第１３及び第１４実施の形態において、背面側の側面３ａに設けた連続凹溝１３０８を省略し、側面３ａを平坦面状に形成すると共に、背面側の板ばね部１３０７に設けた突起部７２を省略し、板ばね部１３０７と側面３ａとが当接（或いは、若干の隙間を介して対面）されるように構成しても良い。

　上記各実施の形態における構成の一部または全部と、他の実施の形態における構成の一部または全部と組み合わせても良い。例えば、第１実施の形態における列９ａと、第４実施の形態における平坦面部４０３ｂと、第５実施の形態における連続凹部５０８とを組み合わせて、この組み合わせをレンチ本体３の第２側面３ａ１に設けても良い。この場合、列９ａには、第６実施の形態におけるガイド溝６０８を設けても良い。また、例えば、第７実施の形態から第１０実施の形態では、正面側の構成として第１実施の形態における構成（即ち、第２側面３ａ１に列９ａ～９ｃを設ける構成）を採用したが、この正面側の構成を、第３実施の形態から第６実施の形態における構成としても良い。

　また、同様に、例えば、第１４実施の形態における第２の側面３ａ２，４ａ２を、第１３実施の形態における背面側に適用しても良い。即ち、第１３実施の形態におけるレンチ本体３及び可動顎４の背面側にも第２の側面３ａ２，４ａ２を凹設し、板ばね部１３０７の基部を可動顎４の第２の側面４ａ２に固設すると共に、複数の嵌合凹部８をレンチ本体３の第２の側面３ａ２に凹設する形態としても良い。この場合、背面側における第２の側面３ａ２，４ａ２の凹設量（第２の側面３ａ２，４ａ２が第１の側面３ａ１，４ａ１に対して後退する後退量）は、板ばね部１３０７の板厚寸法（図１９（ｂ）左右方向寸法）よりも大きいことが好ましい。背面側においても、板ばね部１３０７が第１の側面３ａ１，４ａ１から突出せず、他部材に干渉することを抑制でき、その結果、作業性の向上と板ばね部１３０７の損傷の抑制とを図ることができるからである。

　また、同様に、第１３及び第１４実施の形態における嵌合凹部８に、第６実施の形態におけるガイド溝６０８を組み合わせても良い。即ち、複数の嵌合凹部８の間をガイド溝６０８で接続すると共に、かかるガイド溝６０８を端部の嵌合凹部８を越えて延設させても良い。

　上記各実施の形態では、板ばね部７、２０７、３０７，９０７，１００７，１１０７ａ，１１０７ｂ，１３０７が金属材料からなる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、樹脂材料から構成しても良い。

　上記第１から第１２実施の形態では、可動顎４に嵌め合い溝部４ｂを凹設する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、嵌め合い溝部４ｂの可動顎４への凹設を省略しても良い。この場合には、レンチ本体３の側面３ａへの第２側面３ａ１の凹設を省略する、或いは、第２側面３ａ１の凹設深さを調整する。即ち、突起部７２が嵌合可能な位置に嵌合凹部８等が位置するように設定する。

　上記各実施の形態では、突起部７２が嵌合凹部８に嵌合した状態では、板ばね部７，２０７，３０７，１１０７ａ，１２０７，１３０７が弾性的に変形した状態とはならない場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら突起部７等が嵌合凹部８に嵌合した状態で、板ばね部７等が弾性的に変形する（即ち、図１９（ｃ）に示すように、板ばね部１３０７が弾性的にたわんだ状態となる）ように、突起部７２の突設高さ或いは嵌合凹部８の凹設深さを設定しても良い。これにより、製造上の寸法公差、突起部７２や凹設凹部８の磨耗、或いは、板ばね部７等の変形やへたりなどに起因して、突起部７２と嵌合凹部８との間にがたつきが発生することを抑制できる。その結果、上記の位置決め機能とずれ止め機能とを確実に発揮させることができる。突起部７２と連続凹溝５０８，１００８，１３０８との関係においても同様である。

　上記第１４実施の形態では、第１の側面３ａ１，４ａ１に対する第２の側面３ａ２，４ａ２の後退量（凹設深さ）が、突起部７２がレンチ本体３の第２の側面３ａ２に乗り上げた状態で、板ばね部１３０７が第１の側面３ａ１，４ａ１から突出しない寸法値に設定されたが（図１９（ｃ）参照）、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、突起部７２が嵌合凹部９に嵌合された状態（即ち、図１９（ｂ）に示す状態）で、板ばね部１３０７が第１の側面３ａ１，４ａ１から突出しない寸法値（即ち、後退量が板ばね部１３０７の板厚に略等しい状態）に設定しても良い。これにより、板ばね部１３０７と他部材との干渉を抑制しつつ、第２の側面３ａ２，４ａ２の後退量が不必要に大きくなることを抑制して、レンチ本体３及び可動顎４の剛性を確保できる。

１，３０１，４０１，５０１，６０１，７０１，８０１，９０１，１００１，１１０１，１２０１，１３０１，１４０１　モンキーレンチ
２　　　　　　　　　　　固定顎
３　　　　　　　　　　　レンチ本体
３ａ　　　　　　　　　　レンチ本体の側面
３ａ１　　　　　　　　　第１の側面
３ａ２　　　　　　　　　第２の側面
４０３ｂ　　　　　　　　平坦面部
４　　　　　　　　　　　可動顎
４ａ　　　　　　　　　　可動顎の側面
４ａ１　　　　　　　　　第１の側面
４ａ２　　　　　　　　　第２の側面
４ｂ　　　　　　　　　　嵌め合い溝部
５　　　　　　　　　　　ラック
６　　　　　　　　　　　ウォーム
７，２０７，３０７，９０７，１００７，１１０７ａ，１１０７ｂ，１２０７，１３０７　板ばね部
７２　　　　　　　　　　突起部
７４ａ，７４ｂ，７４ｃ，２７４ａ，２７４ｂ　面取り部（位置決め手段の一部）
８，７０８，８０８　　　嵌合凹部
５０８，１００８，１３０８　連続凹溝
６０８　　　　　　　　　ガイド溝
９ａ，９ｂ，９ｃ，７０９ａ，７０９ｂ，７０９ｃ，８０９ａ，８０９ｂ，８０９ｃ　列
３７６　　　　　　　　　位置決め凹部（位置決め手段の一部）
Ｂ１　　　　　　　　　　締結ボルト（位置決め手段の一部）
Ｐ　　　　　　　　　　　ボールプランジャ（位置決め手段の一部）

Claims

　固定顎を有するレンチ本体と、そのレンチ本体に進退可能に配設され前記固定顎との間で被挟持物を挟持する可動顎と、その可動顎に形成されたラックに対し前記レンチ本体に回動可能に配設されたウォームが噛み合って構成される間隔調整機構と、を備えるモンキーレンチにおいて、
　前記レンチ本体は、そのレンチ本体の側面に凹設され前記可動顎の進退方向に沿って配置される複数の嵌合凹部を備えると共に、それら複数の嵌合凹部からなる列が、前記可動顎の進退方向と直交する方向に間隔を隔てて複数並設され、
　前記可動顎は、
　基端側が前記可動顎の側面に配設されると共に先端側が前記レンチ本体の側面に対面配置され、前記レンチ本体の側面に対して離接する方向へ弾性変形可能な板ばねとして形成される板ばね部と、
　その板ばね部の先端側に位置し前記レンチ本体の側面へ向けて突設されると共に前記嵌合凹部に嵌合可能に形成される突起部と、
　その突起部が前記複数の列の各列において前記嵌合凹部に嵌合される各位置に前記板ばね部を位置決め可能に構成される位置決め手段と、
　を備えることを特徴とするモンキーレンチ。
　前記可動顎は、そのレンチ本体の側面に溝状に凹設され対向する内壁面を有すると共に前記内壁面が前記可動顎の進退方向と直交する方向へ延設される嵌め合い溝部を備え、
　前記板ばね部は、前記嵌め合い溝部に内装された状態で、前記可動顎の側面に配設され、前記嵌め合い溝部の内壁面によって前記板ばね部の前記可動顎の進退方向への移動が規制されることを特徴とする請求項１記載のモンキーレンチ。
　前記レンチ本体は、前記嵌合凹部が凹設されず平坦面状に形成される平坦面部を備え、
　前記位置決め手段は、前記突起部が前記平坦面部に配置される位置に前記板ばね部を位置決め可能に構成されることを特徴とする請求項１又は２に記載のモンキーレンチ。
　前記レンチ本体は、前記突起部が嵌合可能に形成されると共に前記可動顎の進退方向に沿って溝状に連続して延設される連続凹溝を備え、
　前記位置決め手段は、前記突起部が前記連続凹溝に嵌合される位置に前記板ばね部を位置決め可能に構成されることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載のモンキーレンチ。
　前記複数の列の内の少なくとも一の列は、前記複数の嵌合凹部が前記可動顎の進退方向に沿って等間隔に配置されることを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載のモンキーレンチ。
　前記レンチ本体は、そのレンチ本体の側面に溝状に凹設され、前記複数の列の内の少なくとも一の列において、前記複数の嵌合凹部の間を接続すると共に、前記突起部が嵌合された際の嵌合代が、前記嵌合凹部に突起部が嵌合された際の嵌合代よりも小さくされるガイド溝を備えることを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載のモンキーレンチ。
　前記可動顎およびレンチ本体の一方の側面およびその一方の側面の反対側となる他方の側面の両側面に、前記板ばね部および突起部と前記複数の列と前記位置決め手段とが、それぞれ配設されることを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載のモンキーレンチ。
　前記一方の側面における前記突起部と前記複数の列の内の一の列の各嵌合凹部との位置関係が、前記他方の側面における前記突起部と前記複数の列の内の一の列の各嵌合凹部との位置関係と同一の関係とされ、
　前記可動顎が進退される際に、前記一方の側面において前記突起部が前記一の列の嵌合凹部と嵌合状態にある場合には、前記他方の側面において前記突起部が前記一の列の嵌合凹部と嵌合状態にあり、前記一方の側面において前記突起部が前記一の列の嵌合凹部と非嵌合状態にある場合には、前記他方の側面において前記突起部が前記一の列の嵌合凹部と非嵌合状態にあることを特徴とする請求項７記載のモンキーレンチ。
　前記一方の側面における前記突起部と前記複数の列の内の一の列の各嵌合凹部との位置関係が、前記他方の側面における前記突起部と前記複数の列の内の一の列の各嵌合凹部との位置関係と異なる関係とされ、
　前記可動顎が進退される際に、前記一方の側面において前記突起部が前記一の列の嵌合凹部と嵌合状態にある場合には、前記他方の側面において前記突起部が前記一の列の嵌合凹部と非嵌合状態にあり、前記他方の側面において前記突起部が前記一の列の嵌合凹部と嵌合状態にある場合には、前記一方の側面において前記突起部が前記一の列の嵌合凹部と非嵌合状態にあることを特徴とする請求項７又は８に記載のモンキーレンチ。
　前記一方の側面または他方の側面において、前記複数の列の各列は、前記複数の嵌合凹部が前記可動顎の進退方向に沿って等間隔に配置されると共に、その間隔が列ごとに異なることを特徴とする請求項７から９のいずれかに記載のモンキーレンチ。
　前記レンチ本体は、前記一方の側面および他方の側面のそれぞれに、前記嵌合凹部が凹設されず平坦面状に形成される平坦面部を備え、
　前記位置決め手段は、前記一方の側面および他方の側面において、前記突起部が前記平坦面部に配置される位置に前記板ばね部を位置決め可能に構成されることを特徴とする請求項７から１０のいずれかに記載のモンキーレンチ。
　前記レンチ本体は、前記一方の側面および他方の側面のそれぞれに、前記突起部が嵌合可能に形成されると共に前記可動顎の進退方向に沿って溝状に連続して延設される連続凹溝を備え、
　前記位置決め手段は、前記一方の側面および他方の側面において、前記連続凹溝に前記突起部が嵌合される位置に前記板ばね部を位置決め可能に構成されることを特徴とする請求項７から１１のいずれかに記載のモンキーレンチ。
　前記一方の側面における前記突起部と前記複数の列の内の少なくとも一の列の各嵌合凹部との嵌合代が、前記他方の側面における前記突起部と前記複数の列の内の少なくとも一の列の各嵌合凹部との嵌合代と異なることを特徴とする請求項７から１２のいずれかに記載のモンキーレンチ。
　前記可動顎およびレンチ本体の一方の側面に、前記板ばね部および突起部と前記複数の列と前記位置決め手段とが、それぞれ配設され、
　前記可動顎の前記一方の側面の反対側となる他方の側面に、前記板ばね部が固設されると共に、前記レンチ本体の前記他方の側面は、前記嵌合凹部が凹設されず少なくとも前記板ばね部の移動軌跡に対面する領域が平坦面状に形成されることを特徴とする請求項１記載のモンキーレンチ。
　前記可動顎およびレンチ本体の一方の側面に、前記板ばね部および突起部と前記複数の列と前記位置決め手段とが、それぞれ配設され、
　前記可動顎の前記一方の側面の反対側となる他方の側面に、前記板ばね部および突起部が固設されると共に、前記レンチ本体は、前記他方の側面に、前記突起部が嵌合可能に形成されると共に前記可動顎の進退方向に沿って溝状に連続して延設される連続凹溝を備えることを特徴とする請求項１記載のモンキーレンチ。
　前記レンチ本体は、そのレンチ本体の前記一方の側面に溝状に凹設され、前記複数の列の内の少なくとも一の列において、前記複数の嵌合凹部の間を接続すると共に、前記突起部が嵌合された際の嵌合代が、前記嵌合凹部に突起部が嵌合された際の嵌合代よりも小さくされるガイド溝を備えることを特徴とする請求項１４又は１５に記載のモンキーレンチ。
　固定顎を有するレンチ本体と、そのレンチ本体に摺動可能に配設され前記固定顎との間で被挟持物を挟持する可動顎と、その可動顎に形成されたラックに対し前記レンチ本体に回動可能に配設されたウォームが噛み合って構成される間隔調整機構と、を備えるモンキーレンチにおいて、
　前記可動顎は、基端側が前記可動顎の側面に固着されると共に先端側が前記レンチ本体の側面に対面配置され、前記レンチ本体の側面に対して離接する方向へ弾性変形可能な板ばねとして形成される板ばね部と、その板ばね部の先端側に位置し前記レンチ本体の側面へ向けて突設される突起部と、を備えると共に、前記板ばね部および突起部が前記可動顎の一方の側面およびその一方の側面の反対側となる他方の側面の両側面にそれぞれ配設され、
　前記レンチ本体は、そのレンチ本体の一方の側面に凹設され、前記可動顎の進退時に前記板ばね部の突起部が断続的に嵌合される複数の嵌合凹部と、前記レンチ本体の一方の側面の反対側となる他方の側面に凹設されると共に前記突起部の移動軌跡に沿って延設され、前記可動顎の進退時に前記突起部の嵌合が維持される連続凹溝と、を備えることを特徴とするモンキーレンチ。
　前記レンチ本体の両側面および可動顎の両側面の内の前記レンチ本体の一方の側面および可動顎の一方の側面は、第１の側面と、その第１の側面の一部を部分的に凹設して形成され前記第１の側面に対し後退して位置する第２の側面と、を備え、
　前記複数の嵌合凹部が前記レンチ本体の第２の側面に凹設されると共に、前記板ばね部の基端側が前記可動顎の第２の側面に固着されることを特徴とする請求項１７記載のモンキーレンチ。
　前記第２の側面が第１の側面に対して後退する後退量は、前記突起部が前記レンチ本体の第２の側面に乗り上げた状態において、前記板ばね部が前記第１の側面から突出しない寸法値に設定されることを特徴とする請求項１８記載のモンキーレンチ。