WO2012118065A1 - 二酸化炭素の還元固定化システム、二酸化炭素の還元固定化方法、及び有用炭素資源の製造方法 - Google Patents

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Abstract

 二酸化炭素の還元固定化システム(1)は、電解質(13)を間に介して配置されたカソード(11)及びアノード(12)を有する反応部(1A)と、アノード(12)とカソード(11)との間に電圧を印加する外部電源(電源部)(17)と、を備え、アノード(12)では酸化反応により電子が生成され、カソード(11)では気相の二酸化炭素が還元反応により固定化され、上記酸化反応又は上記還元反応に伴う電極間の電荷の偏りを補償するように、電解質(13)を通じてカチオン又はアニオンが輸送されることを特徴とする。

Description

二酸化炭素の還元固定化システム、二酸化炭素の還元固定化方法、及び有用炭素資源の製造方法
 本発明は二酸化炭素の還元固定化システムに関し、特にガス態の二酸化炭素を還元固定化するシステムに関する。またそのシステムを用いた二酸化炭素の還元固定化方法、及び有用炭素資源の製造方法に関する。
 本願は、2011年2月28日に日本に出願された特願2011-042242号、2011年5月13日に日本に出願された特願2011-108756号、2011年8月8日に日本に出願された特願2011-173284号、2011年10月17日に日本に出願された特願2011-228135号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 二酸化炭素は、地球温暖化の原因と考えられており、二酸化炭素の大気中でのガス濃度を低減させる技術が広く注目を集めている。現在までに、多様な方法が提案されており、それの方法は、二酸化炭素を気体中より物理的に分離する方法と、二酸化炭素を生物を用いて、又は化学的に他の物質に転換させる方法とに大別される。
 二酸化炭素を物理的に分離する方法は、いくつか有効な技術が提案されているものの、分離後の二酸化炭素が気体の場合、保管するために広大なスペースを必要とするという問題がある。分離後の二酸化炭素が液体又は固体の場合、安定にこれらを保管するためには高圧に耐えられる容器が大量に必要である。高圧下で保管しない場合には、二酸化炭素の融点又は沸点以下に保つために大きなエネルギーが必要であるという問題がある。
 一方、二酸化炭素を化学的に他の物質に転換させる方法、すなわち化学的に固定化する方法では、二酸化炭素を一酸化炭素や蟻酸など、有用な炭素資源に変換することができる。そのため、炭素資源のリサイクルという観点から広く注目を集めている。またこの方法では、二酸化炭素そのものを消失させることから保管に関しての問題がない。
 化学的に固定化する方法の例としては、光電気化学的に還元を行う方法、生物の光合成を利用する方法、及び、水素などとの反応を利用する方法、などが考案されている(特許文献1~3参照)。
 生物を用いる方法、例えば生物の光合成を利用する方法の例としては、生物の持つ高い二酸化炭素固定能を利用して、樹木、植物プランクトンを生育させる方法が挙げられる。
 特許文献1では、酸化銅を表面に含む電極と、リチウムイオンを含む水溶液とを備えた酸化還元装置を用いて、前記水溶液中に浸漬している電極に光を照射することによって酸化還元反応を行い、二酸化炭素を固定化する方法が報告されている。
 特許文献2では、ガス態の二酸化炭素を約1000℃に昇温し、その二酸化炭素を水素雰囲気下にて一酸化炭素にシフト反応させた後、その一酸化炭素を600℃以下に冷却してから、酸化還元反応させて炭素を生成することで、二酸化炭素を固定化する方法が報告されている。
 特許文献3では、炭酸塩の溶融塩を電解質として用いて、電気化学的に二酸化炭素を還元固定化する方法が報告されている。
特開2003-88753号公報 特開2004-63361号公報 特開2010-53425号公報
 しかし、生物の光合成を利用する方法では、十分な量の二酸化炭素の固定を行うためには広大な面積が必要となること、また天候などに左右されて安定な固定化が行えない、という問題があった。
 一方、特許文献1の光電気化学的に二酸化炭素を還元固定化する方法には、現在のところ、実用化レベルに対してその効率は著しく低いという問題があった。また、還元する二酸化炭素は溶媒中に存在する必要があるが、溶媒中の二酸化炭素の溶存濃度を高めるのは困難であり、一度に処理できる二酸化炭素量は制限されるという問題があった。
 特許文献2の二酸化炭素の還元固定化方法では、その還元反応に500℃以上の高温が必要であり、二酸化炭素を固定化するために必要なエネルギーが大きいという問題があった。
 特許文献3の二酸化炭素の還元固定化方法では、炭酸塩を溶融させるために350℃~700℃程度の高温が必要であり、二酸化炭素を固定化するために必要なエネルギーが大きいという問題があった。
 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ガス態の二酸化炭素を固定化するためのシステムを提供することを目的の一つとする。また、前記システムを用いた二酸化炭素を還元固定化する方法を提供することを目的の一つとする。また、前記システムを用いた有用炭素資源を製造する方法を提供することを目的の一つとする。
 本発明者等は、固体高分子形燃料電池やリン酸形燃料電池と同じ構成を有するシステムにおいて、カソードに二酸化炭素を含有するガスを供給し、アノードに酸化反応により電子を生成できるガス態の物質を供給し、かつ外部電圧を印加することで、二酸化炭素を還元固定化できることを見出した。
 また、アノードを溶液に浸漬させ、外部電圧を印加することで、その溶液から電子をカソードに供給するシステムにより、二酸化炭素を還元固定化できることを見出した。
 すなわち、本発明は、以下の(1)~(10)に関する。
(1)電解質を間に介して配置されたカソード及びアノードを有する反応部と、前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電源部と、を備え、
 前記アノードでは酸化反応により電子が生成され、前記カソードでは気相の二酸化炭素が還元反応により固定化され、
 前記酸化反応又は前記還元反応に伴う電極間の電荷の偏りを補償するように、前記電解質を通じてカチオン又はアニオンが輸送されることを特徴とする、二酸化炭素の還元固定化システム。
(2)前記アノードでの酸化反応が、動作温度での標準水素電極電位(NHE)に対する酸化還元電位が0Vより大きい物質の酸化反応である、(1)記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
(3)前記アノードでの酸化反応が、動作温度での標準水素電極電位(NHE)に対する酸化還元電位が0Vより大きく1.5V以下である物質の酸化反応である、(1)記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
(4)前記電解質を介して輸送されるカチオン又はアニオンが、プロトン又は水酸化物イオンである、(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
(5)前記アノードにおいて、水、メタノール及びジメチルエーテルのうち少なくとも一種の酸化反応によりプロトン及び電子が生成され、
 前記電解質を介して、前記プロトンが前記アノードから前記カソードへ輸送され、
 前記カソードにおいて、二酸化炭素と前記プロトンとの反応により二酸化炭素が還元固定化される、(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
(6)前記アノードでの酸化反応が水酸化物イオンの酸化反応であり、
 前記カソードでの還元反応が二酸化炭素と水を反応させる還元反応であり、
 前記電解質を通じて前記アノードと前記カソードの間でプロトン又は水酸化物イオンが授受される、(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
(7)前記カソードに対して、濃縮された二酸化炭素を供給する二酸化炭素濃縮装置を備えたことを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
(8)(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の還元固定化システムを用いて二酸化炭素を還元する、二酸化炭素の還元固定化方法。
(9)(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の還元固定化システムを用いて一酸化炭素を製造する、有用炭素資源の製造方法。
(10)二酸化炭素の還元固定化が、二酸化炭素を還元により他の物質に転換させる事である、(1)記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
本発明の二酸化炭素の還元固定化方法は、電解質を間に介して配置されたカソード及びアノードを有する反応部と、前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電源部と、を備えた反応装置(二酸化炭素の還元固定化システム)を用い、前記アノードに、酸化反応により電子を生成するアノード反応材料を供給し、前記カソードに、気相の二酸化炭素を含むカソード反応材料を供給し、前記電源部により、前記アノードと前記カソードの間に電圧を印加する方法であることが好ましい。
 本発明の有用炭素資源の製造方法は、電解質を間に介して配置されたカソード及びアノードを有する反応部と、前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電源部と、を備えた反応装置(二酸化炭素の還元固定化システム)を用い、前記アノードに、酸化反応により電子を生成するアノード反応材料を供給し、前記カソードに、気相の二酸化炭素を含むカソード反応材料を供給し、前記電源部により、前記アノードと前記カソードの間に電圧を印加することで前記カソードに一酸化炭素又は炭素含有物質を生成する方法であることが好ましい。
 本発明によれば、電気化学反応を利用してガス態の二酸化炭素を還元固定化することができ、高濃度の二酸化炭素を処理することができる。また本発明では、二酸化炭素の還元固定化するのに必要なシステムは、固体高分子形燃料電池やリン酸形燃料電池のセルをそのまま応用できるので、新しい装置を製造する必要なく、低コストで二酸化炭素を還元固定化することができる。
 また、二酸化炭素の還元固定化により、有用な炭素資源の材料となる一酸化炭素を生成することができる。
二酸化炭素の還元固定化システムの一実施の形態を示す概略図である。 第1構成例に係る二酸化炭素の還元固定化システムを示す図である。 第2構成例に係る二酸化炭素の還元固定化システムを示す図である。 第3構成例に係る二酸化炭素の還元固定化システムを示す図である。 実施例で作製した還元固定化システムを示す図である。 実施例で作製した還元固定化システムの流路形成部材を示す図である。 実施例1、比較例1のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 参考例1のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例2、比較例2のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例1、3~8、及び比較例3、4の一酸化炭素の酸化に使用された電荷量及び一酸化炭素の生成効率を示す図である。 溶融炭酸塩形燃料電池を備えたカソード反応基質供給部を示す図である。 実施例9、比較例5のサイクリックボルタモグラムを示す図である。
 以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
 なお、以下の例は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、省略、置換などが可能であり、また量、比率、およびその他の変更も可能である。各実施形態間で、好ましい例等を交換しても良い。
 (二酸化炭素の還元固定化システム)
 図1は、二酸化炭素の還元固定化システムの一実施の形態を示す概略図である。
 本実施形態の二酸化炭素の還元固定化システム1は、反応部1Aと、反応部1Aに接続された外部電源(電源部)17とを備えている。反応部1Aは、電解質13を間に介して互いに対向するカソード11及びアノード12を備えており、カソード11にはカソード反応基質供給部18が接続され、アノード12にはアノード反応基質供給部19が接続されている。
 上記構成を備えた本実施形態の二酸化炭素の還元固定化システム1は、外部電源17によりカソード11とアノード12との間に電圧を印加し、この印加により、アノード12で酸化反応、カソード11で還元反応を進行させるシステムである。より詳しくは、アノード12での酸化反応により電子を生成させ、カソード11での還元反応により二酸化炭素を一酸化炭素などに還元固定化させる。このとき、上記アノード反応(酸化反応)とカソード反応(還元反応)によって生じる電荷の偏りを補償するように、アノード12又はカソード11で発生したカチオン又はアニオンが電解質13を通じて反対側の電極に輸送され、このことで、電気化学反応が進行する。
 [反応機構]
 次に、本発明での二酸化炭素の還元固定化の反応機構について説明する。
 ここで、本願明細書において、「カソード反応」とは二酸化炭素の還元反応であり、「アノード反応」とは、任意で選択できる酸化反応である。本実施形態では、「アノード反応」が、アノード12における水、水素、又は水酸化物イオンの酸化反応である場合を例にして説明する。
 また、「カソード反応系」とは、カソード11、及びカソード11が接する気相を含む系を意味する。「アノード反応系」とは、アノード12、及びアノード12が接する気相、液相又は固相を含む系を意味する。
 [カソード反応系]
 カソード11では、アノード12から供給される電子を利用し、下記式(1)又は式(2)の反応のうち少なくとも1つを含む、二酸化炭素の還元反応を起こさせる。
 CO + HO + 2e → CO + 2OH ……(1)
 CO + 2H + 2e → CO +  HO ……(2)
 [アノード反応系]
 アノード12では、カソード11に電子を供給するために、任意の酸化反応を起こさせる。下記では、任意の酸化反応として、水素、水、水酸化物イオンを用いた反応式を例示する。
 H → 2H + 2e         ……(3)
 2HO → 4H + O + 4e  ……(4)
 4OH → 2HO + O + 4e ……(5)
 なお、式(3)~式(5)は、水素、水、水酸化物イオンの酸化反応の例であるが、その他にも任意の酸化反応を選択することができる。この場合、二酸化炭素の還元反応と対にできる反応の幅が広がるという利点があり、酸化処理を行いたい物質を二酸化炭素の還元固定化と同時に行う場合など、用途に合わせて様々な反応が選択できる。
 このようなその他の反応の例として、水銀、鉄(II)イオン、クロムイオン、過マンガン酸イオン、ヨウ素イオン、塩化物イオン、アルコール類、キノン類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、などの酸化反応が挙げられる。
 カソード反応やアノード反応に使用できる上記物質は、液体又は気体の状態で、カソード11又はアノード12に供給することができる。例えば、上記イオンを含む溶液をアノードに供給する方法や、塩化ナトリウム水溶液をスプレーで噴霧してカソード11又はアノード12に供給する方法、あるいは、塩化水素ガスやアンモニア、ヨウ素、硫化水素などを気化させたガスをカソード11に供給する方法を採用することができる。
 カソード11とアノード12との間に設けられた電解質13は、上記(1)~(5)式のようなカソード反応(還元反応)とアノード反応(酸化反応)とにより生じた電荷の偏りを補償するように、アノード12からカソード11へカチオンを、カソード11からアノード12へアニオンを輸送する。
 このような電解質13としては、カチオンを輸送できる固体電解質膜(カチオン導電膜)、アニオンを輸送できる固体電解質膜(アニオン導電膜)、カチオン又はアニオンを輸送できる液体の電解質等が用いられる。
 カチオンを輸送できる固体電解質膜としては、例えばポリパーフルオロスルホン酸膜などのフッ素系高分子電解質膜、スチレングラフト重合膜、ポリアリレンエーテル系膜などの炭化水素系高分子膜や、その他タングストリン酸などの無機系膜、及び、有機修飾ケイ酸塩などの有機―無機系導電材料の膜等が挙げられる。液体の電解質としては、リン酸水溶液等が挙げられる。
 アニオンを輸送できる固体電解質膜の例としては、テトラアルキルアンモニウムカチオン基などのカチオン性基を有する炭化水素樹脂、及び芳香族炭化水素樹脂等が挙げられる。
 電解質13を移動するイオンに特に制限はなく、例えば、プロトン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、金イオンなどの無機カチオン、アルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、アニリニウムイオンなどの有機カチオン、塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ヨウ素イオンなどの無機アニオン、アルキル硫酸イオンなどの有機アニオン等が挙げられる。
 電解質13としてカチオン導電膜を用いる場合にはカチオンをアノード反応系に含有させるか、外部装置から随時供給する。アニオン導電膜を用いる場合にはアニオンをカソード反応系に含有させるか、外部装置から随時供給する。あるいは、アノード反応又はカソード反応で生成する物質(カチオン、アニオン)を電解質13で輸送されるイオンとして用いてもよい。
 カソード11での反応は(1)と(2)式に代表される2種となり、アノード12での反応は前記例として示した任意の酸化反応となり、よってこれらの組み合わせは無限の組み合わせとなる。
 アノード12での酸化反応に供する物質としては、還元固定化システム1の動作温度で、標準水素電極電位(NHE)に対する酸化還元電位が0Vより大きい物質(0V以下では酸化されない物質)を用いることが好ましい。0V以下で酸化される物質は、水に触れたときに腐食されやすく、還元固定化システム1の耐久性を低下させる場合があるからである。
 さらに、上記酸化反応に用いる物質としては、還元固定化システム1の動作温度で、標準水素電極電位(NHE)に対する酸化還元電位が1.5V以下である物質が好ましい。1.5Vを超えて酸化される物質は、酸化させるために外部エネルギーを大量に供給しなければならないからである。
 また、カソード11の反応生成物とアノード12の酸化反応の基質が等しく、なおかつ、それらと電解質13を移動する物質が等しい構成とすることが好ましい。あるいは、アノード12の反応生成物とカソード11の二酸化炭素の還元に用いられる物質が等しく、なおかつそれらと電解質13を移動する物質が等しい構成とすることが好ましい。これらの構成では、アノード反応とカソード反応に必要な物質のみを使用、及び供給すればよいため、系が単純になり好ましい。
 上述したように、還元固定化システム1のアノード反応には任意の酸化反応を選択できる。このため、アノード反応に用いる反応基質の形態に応じて、還元固定化システムの構成を適宜変更することが好ましい。すなわち、還元固定化システム1を使用する温度で容易にガス態として存在する物質をアノード反応基質に用いる場合には、アノード反応系を気相とし、ガス態として反応基質を供給する装置構成を採用することが好ましい。一方、還元固定化システム1を使用する温度で、例えば鉄イオンやクロムイオン、塩化物イオンやヨウ素イオンなど、ガス態を取りにくい物質をアノード反応基質に用いる場合には、アノード反応系を液相とし、これらの物質を液相に溶解させて用いる装置構成を採用することが好ましい。
 [カソード11における還元電位]
 カソード11に印加する電位は、二酸化炭素を還元できる電位であれば、特に限定はない。しかし、二酸化炭素の還元反応と同じ電位域で、二酸化炭素以外の反応基質の還元反応が起こる場合には、カソード11ではこれらの反応が競合する。また、二酸化炭素を反応基質とする還元反応についても、式(1)、式(2)以外の、一酸化炭素ではない生成物を生じる還元反応が起こる場合がある。そのため、二酸化炭素を還元できる電位を印加したとしても、二酸化炭素を還元させるためだけや、有用な炭素資源の生成のみに電子が消費されるとは限らない。
 このような複数のカソード反応の中から、二酸化炭素の還元反応を優先的に生じさせる場合や、二酸化炭素の還元反応の中でも一酸化炭素等の有用な炭素資源を優先的に生成させる効率を向上させたい場合には、カソード11の電位を、所望する反応が優先的に生じる電位に必要に応じて調整するとよい。カソード11の電位を適切に設定することにより、カソード反応で消費される電子を、二酸化炭素の還元反応を優先的に進行させたり、有用な炭素資源を生成させたりするのに、有効に利用することができる。
 [アノード12における酸化電位]
 アノード12に印加する電位は、アノード12に供給する反応基質を酸化できる電位であれば特に制限されない。アノード反応基質の種類等に応じて適宜設定すればよい。
 以下、アノード反応系を気相とする場合を第1構成例とし、液相とする場合を第2構成例、第3構成例として説明する。以下の説明では、説明を単純にするためにアノードでの酸化反応は、水素、水、又は水酸化物イオンの酸化に限定し、電解質13を固体カチオン導電膜、電解質13内を移動するイオンをプロトンのみを代表例として説明する。
 (第1構成例)
 アノード反応系が気相の場合の例を説明する。
 図2は、第1構成例に係る二酸化炭素の還元固定化システムを示す図である。
 図2に示す二酸化炭素の還元固定化システム10は、反応部10Aと、反応部10Aに接続された外部電源(電源部)17とを備えている。
 反応部10Aは、カソード11と、アノード12と、電解質13と、カソードガス拡散層14と、アノードガス拡散層15と、絶縁材16と、供給路及び排出路が形成された流路形成部材22、23と、エンドプレート24、25と、を備えている。
 反応部10Aにおいて、電解質13を挟んでカソード11とアノード12とが対向配置されている。
 カソード11の外面11a上にカソードガス拡散層14が設けられており、アノード12の外面12a上にはアノードガス拡散層15が設けられている。
 カソード側の流路形成部材22の内側にカソード11とカソードガス拡散層14とが収容され、アノード側の流路形成部材23の内側にアノード12とアノードガス拡散層15とが収容されている。流路形成部材22と流路形成部材23は、図に示すように、絶縁材16を間に介して突き合わされて配置されている。流路形成部材22、23を挟み込むようにして、2枚のエンドプレート24、25が配設されている。カソード側のエンドプレート24に外部電源17の負極が接続され、アノード側のエンドプレート25には正極が接続されている。
 カソード側の流路形成部材22には、カソード反応基質供給部18と排出部20とが接続されている。流路形成部材22内には、反応基質を流通させる、カソードガス拡散層14を通る流路が形成されている。すなわち、前記流路の一方の端部はカソード反応基質供給部18に接続され、流路の他方の端部は排出部20に接続されている。カソード反応基質供給部18から供給されるカソード反応基質は、流路形成部材22内に形成された流路を通じてカソードガス拡散層14に供給され、カソード11で発生するガス等は上記流路を通じて排出部20へ排出される。
 アノード側の流路形成部材23には、アノード反応基質供給部19と排出部21とが接続されている。流路形成部材23内には、反応基質を流通させる、アノードガス拡散層15を通る流路が形成されている。前記流路の一方の端部はアノード反応基質供給部19に接続され、他方の端部は排出部21に接続されている。アノード反応基質供給部19から供給されるアノード反応基質は、流路形成部材22内の流路を通じてアノードガス拡散層15に供給され、アノード12で発生するガス等は、上記流路を通じて排出部21へ排出される。
 <カソード>
 カソード11は、触媒材料により構成される。触媒材料としては、二酸化炭素、又は二酸化炭素の還元によって生じる一酸化炭素への親和性が高い材料を含有することが好ましい。このような触媒材料を用いることにより、カソード11における還元反応を効率的に進行させることができる。このような触媒は必要に応じて選択でき、例えば、白金、金、パラジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、ニッケル、銀、鉄、銅、コバルトからなる群より選ばれる、1種又は2種以上が挙げられる。
 カソード11には、触媒材料のほかに導電性を有する材料を含有させてもよい。導電性材料を含有させる場合は、還元固定化反応の効率が良くなるので好ましい。
 導電性を有する材料は特に限定されず、例えば白金、金、銀、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、スズ、鉄、クロム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、ジルコニウム、ステンレス、カーボン、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化インジウムからなる群より選択される少なくとも1種、又はこれらの混合物、もしくは金属同士であればこれらの合金を用いることができる。
 またカソード11には、カチオンを輸送できる固体電解質を含有させることが好ましい。固体電解質を含有させることで、電気化学反応の反応点と考えられている電解質と電極との界面(三相界面)を増加させることができるためである。
 カソード11の形状は特に限定されず、ワイヤー状、シート状、板状、棒状、及びメッシュ状等、通常のカソードに用いられる任意の形状を選択できる。これらの形状の中でも、二酸化炭素の還元反応が効率的に進む点で、表面積が大きい構造が好ましい。さらに、反応基質である二酸化炭素がカソード11の全体に容易に浸透できるように、カソード11が空隙を有していることが好ましい。また、電解質13と反応基質の授受を効率的に行うために、電解質13とカソード11の接合面積が大きい構造であることが好ましい。このような構造として、カソード11の形状はシート状の形状が好ましい。
 カソード11を触媒のみで構成する場合には、触媒材料の単結晶又は多結晶のいずれを用いてもよい。二酸化炭素の還元反応を効率的に進める点で、表面積が大きい構造であることが好ましい。このような構造としては、触媒材料のバルク上に触媒材料の微粒子が担持された構造や、触媒微粒子のみの集合体が好ましい。これらに含まれる触媒微粒子の粒子径は、1nm以上10μm以下が好ましい。1nm未満では触媒材料の結晶性が十分でないため十分な性能を発揮できない場合があり、10μmを超えると表面積が小さく、十分な性能が発揮できない場合がある。このような構造の触媒微粒子としては、例えば白金黒が挙げられる。
 カソード11が、触媒材料と、更に上記導電性材料及び上記固体電解質の少なくとも1種とを含む材料とで構成される場合には、これらの含まれる触媒粒子の粒子径は1nm以上1μm以下が好ましい。1nm未満では触媒材料の結晶性が十分でないため十分な性能を発揮できないためであり、1μmを超えると、導電性材料や固体電解質と均一に分散させるのが難しいからである。なお触媒微粒子の粒径は一般的な方法で測定した値でよい。例えば、X線回折パターンの回折ピークにシェラーの式を利用して求める方法、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡より実際に粒子を観察してその平均粒子径を算出する方法、動的光散乱法を利用して溶液中の分散粒子径を求める方法などで、平均粒子径を得ることができる。
 上記導電性材料の含有量は、上記触媒材料の質量(A)と、導電性を有する材料(導電性材料)の質量(B)の比(D=A/B)が、0.01以上かつ4.0以下の範囲であることが好ましく、0.01以上かつ2.0以下の範囲であることがより好ましく、0.01以上かつ1.0以下の範囲であることがさらに好ましく、0.01以上かつ0.8以下の範囲であることが最も好ましい。Dが0.01未満では触媒材料の量が十分ではないため二酸化炭素の還元固定化反応が十分に進行しない場合があり、Dが4.0を超える量の触媒材料を添加しても顕著な変化がないためである。
 上記固体電解質の含有量は、上記触媒材料の質量(A)と、上記固体電解質の重量(C)の比(E=A/C)が、0.1以上5.0以下の範囲であることが好ましく、0.1以上かつ3.0以下の範囲であることがより好ましく、0.2以上かつ2.0以下の範囲であることがさらに好ましい。固体電解質は上記プロトン又は水酸化物イオンを輸送できる。Eが0.1未満では触媒材料の量が十分ではないため十分な性能が発揮できないからである。一方、Eが5.0を超えると、カチオンを輸送できる固体電解質の添加効果が十分でなく二酸化炭素を還元固定化できる効率が悪いためである。
 <アノード>
 アノード12は、触媒材料により構成される。触媒材料としては、特に限定されない。しかしながら、アノード反応として選択した反応に対して活性が高い材料を選択すれば、反応効率を高めることができるため好ましい。アノード反応として、本実施形態の説明のように、水素、水、及び水酸化物イオンの酸化を反応として選択した場合を例にとれば、触媒材料としては、白金、金、パラジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、ニッケル、銀、鉄、銅、コバルトからなる群より選ばれる、少なくとも1種が好適に用いられる。上記の触媒材料は単結晶、多結晶のいずれを用いてもよい。
 アノード12には、カソード11と同様に、触媒材料のほかに導電性を有する材料を含有させてもよい。この場合にも還元固定化反応の効率を向上させる効果が得られる。導電性を有する材料としてはカソード11と同様のものを用いることができる。
 またアノード12に、カチオンを輸送できる固体電解質を含有させてもよい。このような固体電解質を含有させる場合は、電気化学反応の反応点と考えられている電解質と電極との界面(三相界面)を増加させることができるため好ましい。
 アノード12の形状は特に限定されず、カソード11と同様の構成を採用することができる。シート状とすることが特に好ましい。また、二酸化炭素の還元反応を効率的に進める点で、表面積が大きい構造であることが好ましく、カソード11と同様に、白金黒などの微粒子状の触媒材料を用いた構成とすることが好ましい。
 さらに、アノード12が、触媒材料と、上記導電性材料及び上記固体電解質の少なくとも1種を含む材料とで構成される場合の粒子径、導電性材料の含有量、固体電解質の含有量についても、カソード11と同様の構成を採用することができる。
 <電解質>
 電解質13は、第1構成例の場合、二酸化炭素の還元を行う温度で、カチオン導電性を有する材料で構成される。
 電解質13は、二酸化炭素の還元固定化反応を行う温度領域で、イオン導電性が高い材料が好ましい。また、電解質13は、アノード12において給気及び排気されるガスと、カソード11において給気及び排気されるガスとが混合されないようにするために、ガスバリア性に優れたものが好ましい。さらに、カソード11とアノード12との間に効率的に電圧を印加できるよう、電解質13の材質は電子伝導性が少ないものが好ましい。
 このような性質を有する電解質として挙げられるカチオン導電膜としては、例えば、ポリパーフルオロスルホン酸膜などのフッ素系高分子電解質膜、スチレングラフト重合膜、ポリアリレンエーテル系膜などの炭化水素系高分子膜やその他タングストリン酸などの無機系導電材料、有機修飾ケイ酸塩などの有機―無機系導電材料が挙げられる。
 <ガス拡散層>
 カソードガス拡散層14、アノードガス拡散層15は、導電性を有しており、かつ、カソード11及びアノード12のそれぞれに対してガスを供給できるものであれば、特に限定されない。反応効率を高める点で、カソード反応基質供給部18、アノード反応基質供給部19から供給される反応基質を、カソードガス拡散層14、アノードガス拡散層15を通じてカソード11、アノード12に均一に拡散させることができるものが好ましい。このようなものとしては例えば、カーボンペーパーやステンレスメッシュ等を用いることができる。
 カソードガス拡散層14、アノードガス拡散層15は、カソード11及びアノード12と別体でもよく、一体に形成してもよい。一体に形成する場合には、例えば、カソード11及びアノード12の構成材料を、カソードガス拡散層14、アノードガス拡散層15に塗布することで一体化することができる。
 <流路形成部材>
 流路形成部材22、23は、カソード反応基質供給部18、アノード反応基質供給部19を介して供給されるガス(反応基質)を、それぞれカソードガス拡散層14、アノードガス拡散層15に供給する機能とともに、カソード11、アノード12で発生するガス等を排出部20、21を介して外部に排出する機能を有する。
 また図2に示す構成では、流路形成部材22、23は集電材料により形成されており、カソードガス拡散層14、アノードガス拡散層15と外部電源17とを電気的に接続する機能を有している。集電材料の例としては、例えばステンレスやカーボンなどが挙げられる。
 流路形成部材22、23としては、少なくとも上記のガス輸送機能を具備していれば特に限定されない。しかしながら、二酸化炭素の還元固定化反応を促進させる点で、流路形成部材22、23が均一にカソード11及びアノード12にガスを行き渡らせることができる構造を有していることが好ましい。このような構造としては、例えば、サーペンタイン流路が挙げられる。
 また、流路形成部材22、23のガスバリア性は高いほうが好ましい。流路形成部材22、23のガスバリア性が高いと、カソード11及びアノード12における反応効率及び生成したガスの回収効率が向上するからである。
 電子伝導度及びイオン導電性を向上させガスの損失を低減させるためには、集電材料により形成される流路形成部材22、23の開口端22aと23aとを、直接又は他の部材を介して接着させ、系全体を密閉した構成とすることが好ましい。
 ただし、流路形成部材22、23の開口端22aと23aを直接密着させて密閉した場合、カソード11又はアノード12で生成されるイオンが、電解質13ではなく、流路形成部材22、23を通じて移動することがある。このようなイオンの移動が生じると、生成したイオンが電極反応に寄与せず、生成ガスの反応効率が悪くなるため好ましくない。
そこで、図2に示すように、流路形成部材22の開口端22aと流路形成部材23の開口端23aとを、絶縁材16を間に介して突き合わせ、密着させるのが好ましい。
 絶縁材16としては、流路形成部材22、23の間を絶縁させることができるものであれば特に限定されない。絶縁材16として接着機能を有するものを用いた場合、還元固定化システムを容易に密閉することが可能になる。このような接着機能を有するものとしては例えばテフロン(登録商標)製のシール等が挙げられる。
 なお、絶縁材16が接着剤を含有しない場合には、別途接着剤を用いて、流路形成部材22、23の開口端22a及び23aを接着させればよい。この場合の接着剤としても、系外へのイオンや電子の漏洩を防止するために絶縁性のものを用いることが好ましい。
 <外部電源>
 外部電源17は、二酸化炭素を還元するために必要な電圧を印加させることができる電源装置であれば特に限定されない。外部電源17は電子導電性を向上させる観点より、エンドプレート24、25に接続させるのが好ましい。
 <カソード反応基質供給部>
 カソード反応基質供給部18は、カソード11に対して二酸化炭素を含有するガスを供給する装置である。必要に応じて、カソード11に供給するガスには水蒸気を含ませてもよい。例えば、電解質13を湿潤状態に保持しなければならない場合や、式(1)に示したように水を用いて二酸化炭素を還元する場合などである。電解質13を湿潤状態に保持しなければならない場合とは、電解質13の含水量が、膜のイオン導電率やガス浸透速度、電解質13を固体状態で使用したときの膜強度等に、影響する場合である。
 また、水蒸気以外の窒素、ヘリウム、アルゴン等のガスを混合してもよい。これらのガスにより二酸化炭素の濃度を調整することで、カソード11での二酸化炭素の還元固定化の速度に応じて適切なガス流量に調整することができる。
 カソード11に供給する二酸化炭素の流量は特に限定されない。しかしながら、還元によって消費される二酸化炭素を速やかに供給できる、すなわち必要とされる二酸化炭素含有量を供給できる、流量以上であることが好ましい。カソード反応基質供給部18の装置構成としては、二酸化炭素及び必要に応じて水蒸気をカソード11に供給することができる構成であれば特に限定されない。例えば、水蒸気を大気(二酸化炭素を含むガス)に含有させるためのバブリング機構と、水蒸気を含有させた大気を送出するガス搬送機構とを備えた構成とすることができる。
 カソード反応基質供給部18は二酸化炭素を濃縮できる装置(二酸化炭素濃縮装置)を備えていることが好ましい。二酸化炭素濃縮装置によって濃縮した二酸化炭素をカソード11に供給することにより、カソード11における二酸化炭素の還元反応効率を高めることができ、還元固定化システム10を効率的に動作させることができる。
 ここで、二酸化炭素を「濃縮する」、とは、カソード11に供給するガスから、二酸化炭素の還元反応を阻害する反応を起こす物質を除去したり、二酸化炭素以外の物質を除去することにより、上記ガス中の二酸化炭素の濃度を増大させることを意味する。
 式(1)、(2)の二酸化炭素の還元反応を阻害する反応としては、例えば酸素の還元反応が挙げられる。したがって、カソード11に供給するガスから酸素を除去する操作は、上記の二酸化炭素を濃縮する操作に該当する。
 このような二酸化炭素濃縮装置としては任意で選択できるが、例えば溶融炭酸塩形燃料電池(以下、MCFCと略する場合がある)等が挙げられる。MCFCは二酸化炭素の濃縮を効率的に行うことが可能であり、しかも他の物理的、化学的に二酸化炭素の濃縮を行う装置のように外部エネルギーを必要としないので、好ましい。また、MCFCの発電電力を、直接又は間接的に、還元固定化システム10の二酸化炭素の還元固定化反応に利用してもよい。
 以下、図10を参照しつつ、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を備えたカソード反応基質供給部18の構成及び動作について説明する。
 MCFC50は、燃料ガスの酸化を行う燃料極52と、溶融された炭酸塩からなる電解質53と、ガスの還元を行う空気極54と、空気極54のガス供給側に設けられた流路形成部材55と、燃料極52のガス供給側に設けられた流路形成部材56と、負荷装置57とを有する。空気極54、燃料極52、電解質53、流路形成部材55、56には、一般的にMCFCで使用される部材を用いればよく、特定の部材には限定されない。負荷装置57についても特に限定はなく、適宜選択して用いればよい。
 本実施形態のMCFC50では、例えば、空気極54に酸素と二酸化炭素を含有するガスを供給し、燃料極52に水素を供給する。このときのMCFC50の電極反応は以下の通りである。
 [空気極54の反応]
  1/2O + CO + 2e → CO 2-
 [燃料極52の反応]
  H + CO 2- → HO + CO + 2e
 空気極54では、酸素と二酸化炭素が消費されて炭酸イオンが生成され、生成された炭酸イオンは電解質53に吸収される。燃料極52では、燃料ガスとして供給された水素と、電解質53から供給された炭酸イオンとの消費によって二酸化炭素及び水が生成される。水は自然冷却により飽和蒸気量まで水蒸気が除去されるので、燃料極52から濃縮された二酸化炭素が排出される。そして、この濃縮された二酸化炭素が、還元固定化システム10のカソード11に供給される。すなわち、MCFC50は、空気極54で酸素を消費することで二酸化炭素を濃縮し、さらに燃料極52で水蒸気を除去することにより、空気極54に供給されたガスの二酸化炭素を濃縮する。
 空気極54に供給されるガスは二酸化炭素と酸素を含有していれば特に限定されず、大気は勿論のこと、火力発電所、セメント工場、ディーゼル発電機等から排出されるガスでもよい。
 燃料極52に供給される燃料ガスは、炭酸イオンを酸化できる物質であれば特に限定されない。例えば、水素、アルコール、エーテル、ケトンや炭化水素等が挙げられる。また、これらのガスから改質装置により水素を取り出し、取り出した水素を反応に用いるようにしてもよい。
 また、窒素等のように、式(1)、(2)の還元反応を阻害しない物質が含有されていてもよい。
 MCFC50を備えたカソード反応基質供給部18に供給するガスの温度は特に限定されない。しかしながら、空気極54、燃料極52及び電解質53の劣化を抑制するために、800℃以下とすることが好ましい。また、MCFC50を備えたカソード反応基質供給部18からカソード11に供給されるガスの温度は特に限定されない。しかしながら、還元固定化システム10の劣化を防止するために、200℃以下に冷却することが好ましい。カソード11に供給するガスの温度を還元固定化システム10の動作温度まで冷却することで、冷却前のガスに含有されていた余分な水蒸気を、冷却後の温度での飽和水蒸気量にまで減少、すなわち除去することができる。これにより二酸化炭素が濃縮されるとともに、電解質13の湿潤を保てる程度の水分量が含有されたガスとなるため好ましい。
 MCFC50を備えたカソード反応基質供給部18から、カソード11に供給されるガスの二酸化炭素の濃度は20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、実用上可能な程度まで高い濃度まで濃縮することが好ましい。また、そのガスに含有される酸素濃度は5%以下であることが好ましく、1%以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、実用上可能な程度まで酸素濃度を低くすることが好ましい。
 MCFC50は空気極54で酸素を消費して動作するので、カソード11に供給されるガスの酸素濃度を減少させることができる。また、MCFC50は燃料極52で水蒸気を除去することで二酸化炭素濃度を増大させることができるので、二酸化炭素が濃縮されたガスをカソード11に供給させることができる。これらの作用によりMCFC50は、還元固定化システム10の還元効率を向上させることができる。また、MCFC50の電解質53を構成する溶融された炭酸塩は、還元固定化システム10の電解質13を劣化させる虞のある硫酸、亜硫酸、亜酸化窒素、硫化水素等を補足できるので、還元固定化システム10の劣化を抑制することができる。
 <アノード反応基質供給部>
 カソード11において、式(2)に示した反応を用いる場合には二酸化炭素の還元反応そのものにプロトンが必要であり、式(1)に示した反応を用いる場合には生成した水酸化物イオンの消費が必要である。これに対して、アノード12では、水又は水素が供給され、下記の式(3)、式(4)の酸化反応、及び式(5-1)を経由した式(5-2)の酸化反応によって、電子とプロトンを生成させる。そして、生成させたプロトンをカチオン導電膜を介してカソードへ供給し、式(2)又は式(1)式のカソード反応で生成した水酸化物イオンの中和を行うことにより、水酸化物イオンが消費される。
 H → 2H + 2e         ……(3)
 2HO → 4H + O + 4e  ……(4)
 HO → H + OH      ……(5-1)
 4OH → 2HO + O + 4e ……(5-2)
 上記物質の中で、水は豊富に存在し、取り扱いも容易であるので、アノード12への供給物質としては好適である。また、アノード12及び電解質13の湿潤状態が、電解質13へのイオン導電率や、ガス浸透速度、及び固体状態の膜を使用した場合の電解質膜の強度に影響する場合には、それらの性能を十分に維持できる程度の水を、アノード反応に必要な水の量に加えて、アノード12に供給するガスに含有させることが好ましい。
 アノード反応基質供給部19は、アノード酸化反応によってプロトン及び電子を発生できる物質を、ガス状(ミスト状、エアロゾル状等含む)、液状、固体状にして送出できる機構を備えていれば特に制限されない。
 アノード12で反応に関与する水や水素などの供給量は特に制限されない。しかしながら、カソード11へのプロトン供給が滞らないようにアノード12の酸化反応を進行させることができる量以上であることが好ましい。また、アノード反応基質供給部19からガスを供給する場合については、反応に関与する主成分である水や水素などを十分に供給できる範囲で、窒素、ヘリウム、アルゴン等を含有させ、供給ガスの濃度を調節してもよい。窒素、ヘリウム、アルゴン等は、反応により生成される気体等を排出部21に速やかに送出させるために、別途供給させてもよい。
 カソード11では、式(1)、式(2)に示した通り、一酸化炭素が生成される。この一酸化炭素を回収する機構を設けて生成された一酸化炭素を回収し、この一酸化炭素を、炭素、蟻酸、及びメタノール等の、有効な炭素資源を生成する原料として用いてもよい。本発明を用いれば、このような方法により、有用炭素資源の生成を効率よく行うことができる。
 また、反応に寄与することなく排出部20へ排出された二酸化炭素を回収し、再び流路形成部材22に送る機構を設けてもよい。
 さらに、カソード11及びアノード12で生成された水を、カソード反応基質供給部18又はアノード反応基質供給部19に送り、反応に再利用する機構を設けてもよい。
 二酸化炭素の還元固定化システム10には、カソード11及びアノード12の温度を制御する温度制御機構を設けてもよい。このような温度制御機構としては、還元固定化システム10の反応場を-70℃以上200℃以下の範囲に温度制御できるものであれば特に限定されず、従来公知の加熱冷却装置を用いることができる。上記の温度範囲は、還元固定化システム10において典型的に用いられる電解質13がイオン導電性を有する温度範囲であり、電解質13の種類に応じて制御範囲を適宜変更することが好ましい。
 二酸化炭素の還元固定化システム10は、0℃以上100℃以下で実施させるのが好ましく、5℃以上かつ80℃以下で実施させるのがより好ましい。
 (第2構成例)
 アノード反応系が液相の場合の例を説明する。
 図3は、第2構成例に係る二酸化炭素の還元固定化システムを示す図である。
 図3において、図1又は図2と共通の構成要素には同一の符号を付すこととし、それらの詳細な説明は省略する。
 図3に示す第2構成例の還元固定化システム30は、反応部30Aと、反応部30Aに接続された外部電源17とを備えている。
 反応部30Aは、カソード11と、アノード12と、電解質13と、カソードガス拡散層14と、アノードガス拡散層15と、絶縁材16と、流路形成部材22、23と、エンドプレート24、25と、溶液32と、を備えている。
 カソード側の流路形成部材22にはカソード反応基質供給部18と排出部20とが接続され、アノード側の流路形成部材23にはアノード反応基質供給部19と排出部21とが接続されている。
 第2構成例の還元固定化システム30では、流路形成部材23と電解質13と絶縁材16とにより囲まれたアノード室12A内に、アノード12と、アノードガス拡散層15と、溶液32とが封入されている。アノード室12A内において、アノード12はその内面12bを電解質13の膜面に接した状態で配置されるとともに、溶液32中に浸漬されている。
 なお、第1構成例と同様に、実際の運用に関してはアノード反応としては任意の酸化反応を選択でき、電解質13を移動するイオンも任意のものが選択できる。しかしながら、本願明細書のこの例では、発明を理解しやすくするために、アノード反応として水、水素、水酸化物イオンの酸化反応、電解質13として固体カチオン導電膜を選択し、アノードからカソードへプロトンが移動するケースに限って説明する。
 <溶液>
 溶液32は、アノードの酸化反応の基質となる水、水酸化物イオン、又は水素を含有する液体であればよい。このような溶液としては、水そのもの、水を含有する有機溶媒、水素を溶存させた水、水素を溶存させた有機溶媒等を挙げることができ、アノード反応の種類に応じて適宜選択すればよい。溶液32としては、水、水素、水酸化物イオンの酸化反応を阻害するような物質を含有していないものであることが好ましい。
 (第3構成例)
 アノード反応系が液相の場合の別の例を説明する。
 図4は、第3構成例に係る二酸化炭素の還元固定化システムを示す図である。
 図4において、図1から図3と共通の構成要素には同一の符号を付すこととし、それらの詳細な説明は省略する。
 図4に示す二酸化炭素の還元固定化システム40は、反応部40Aと、反応部40Aに接続された外部電源17とを備えている。
 反応部40Aは、カソード11と、アノード12と、電解質13と、カソードガス拡散層14と、アノードガス拡散層15と、絶縁材16と、流路形成部材22、23と、エンドプレート24、25と、アノード集電材33と、溶液34と、を備えている。
 カソード側の流路形成部材22にはカソード反応基質供給部18と排出部20とが接続され、アノード側の流路形成部材23にはアノード反応基質供給部19と排出部21とが接続されている。
 第3構成例の還元固定化システム40では、流路形成部材23と電解質13と絶縁材16とにより囲まれたアノード室12A内に、アノード12と、アノードガス拡散層15と、アノード集電材33と、溶液34とが封入されている。より詳しくは、流路形成部材23の内面23b上にアノードガス拡散層15が設けられており、アノードガス拡散層15の電解質13側の面とアノード12とが、アノード集電材33を介して接続されている。アノード12は、アノード集電材33によって、アノード室12A内に満たされた溶液34中に支持されている。すなわち、図4に示すように、アノード12は電解質13、アノードガス拡散層15、及び流路形成部材23とは直接接触しないように配置されている。
 なお、第1構成例及び第2構成例と同様に、実際の運用に関してはアノード反応としては任意の酸化反応を選択でき、電解質13を移動するイオンも任意のものが選択できる。しかしながら、発明を理解しやすくするために、アノード反応として水、水素、又は水酸化物イオンの酸化反応、電解質13としてカチオン導電膜を選択し、アノードからカソードへプロトンが移動するケースに限って説明する。
 第3構成例では、第2構成例と異なり、アノード12が電解質13と直接接触していないので、溶液34は導電性を有するものである必要がある。
 このような溶液34としては、第2構成例の溶液32に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、六フッ化リン酸リチウム、テトラアルキルアンモニウム過塩素酸塩などの電解質を溶解させた溶液が、例として挙げられる。
 第3構成例の反応機構は第2構成例と同様であるが、第3構成例の場合には、アノード12により生成する電子が、溶液34、アノード集電材33、エンドプレート24、25を通じて、カソード11に輸送される。
 図3及び4に示した還元固定化システム30、40の動作温度は、下限に関しては電解質13が導電性を示す温度以上で、かつ溶液32、34が凍結しない温度以上であれば特に制限はない。動作温度の上限に関しては、溶液32、34の沸点以下かつ用いた各部材の耐熱温度以下であれば特に制限はない。例えばエタノールを溶液32又は溶液34の溶媒として用いた場合では-70℃以上70℃以下の範囲、水を溶媒として用いた場合には0℃以上100℃以下の範囲、エチレングリコールを溶媒として用いた場合には-13℃以上197℃以下の範囲、クレオソート油を溶媒として用いた場合には25℃以上200℃以下の範囲が動作温度となる。
 二酸化炭素の還元固定化システム30、40は、0℃以上100℃以下で実施させるのが好ましく、5℃以上かつ80℃以下で実施させるのがより好ましい。
 また、図2から4において、カソード11、アノード12、電解質13、カソードガス拡散層14、アノードガス拡散層15、絶縁材16、流路形成部材22、23、エンドプレート24、25の形状やサイズは、図示したものに限定されない。使用条件でのカソード11及びアノード12へのガス等の供給、電解質13へのイオンの浸透のしやすさ、集電効率、電極反応抵抗などを鑑みて、最適なものを適宜選択すればよい。一般的には、固体高分子形燃料電池やリン酸形燃料電池で用いられるセルの形状であればそのまま用いることができる。
 以上、詳細に説明したように、本実施形態の二酸化炭素の還元固定化システムによれば、ガス態の二酸化炭素を還元固定化できるため、高濃度の二酸化炭素を処理することができる。また、-70℃から200℃程度という低温領域でも二酸化炭素を固定化できるので、固定化に必要なエネルギーを少なく抑えることができる。
 さらに、二酸化炭素の還元固定化に必要な装置は、固体高分子形燃料電池やリン酸形燃料電池のセルをそのまま応用できるので、低コストで二酸化炭素を還元固定化することができる。なお、固体高分子形燃料電池等のセルをそのまま応用する場合は、現在最も広く用いられるナフィオン膜を用いた場合、電解質の耐熱温度の制限上100℃程度、リン酸形燃料電池では電極及び電解質の耐久性の観点から200℃が使用の限界であるが、200℃以上に耐えられるセル部材に変更すれば、200℃以上の温度であっても本実施形態のシステムにより二酸化炭素を還元固定化することができる。
 また、カソード反応基質供給部にMCFCを備えさせた場合には、濃縮された二酸化炭素が本実施形態の還元固定化システムのカソードに供給されるので、二酸化炭素の還元固定化率をより高めることができる。そして、MCFCの電解質はカソードに供給されるガスから硫酸等を除去できるため、本実施形態のシステムの劣化を防止することができる。
 また、本実施形態の二酸化炭素の還元固定化方法を行うことにより、一酸化炭素を生成することができる。従って、生成した一酸化炭素を回収して炭素資源として利用したり、炭素、蟻酸、メタノール等の有効な炭素資源を生成する原料として用いることができる。
 また、本実施形態の二酸化炭素の還元固定化を行う際に、アノードに酸化反応させたい有機廃液等を使用することによって、二酸化炭素の還元固定を行いながら、有機廃液等の酸化処理を同時に行うことができる。
 以下実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
 本実施例では、二酸化炭素の還元固定化システムの試験装置を作製し、後述する実施例1~8、比較例1~4、及び参考例1の各条件で、サイクリックボルタンメトリーの測定を実施した。
 <測定方法>
 後述の実施例1、10、11、比較例1、3、4、6、7、及び参考例1の試験条件では、カソードを作用極、アノードを対極とした。また、アノードが設置された側の電解質膜に取り付けた白金ワイヤーを参照電極として用いた。このアノード側の電解質膜に取り付けられた白金ワイヤーの電極電位は、動的水素電極電位(DHE)と呼ばれ、標準水素電極の電極電位(NHE)と等しいとされる。
 実施例中に特に指定のない限り、作用極の電位をこの動的水素電極電位(DHE)に対して+0.06Vから+1.30Vの電位範囲で掃引して、サイクリックボルタンメトリーの測定(ポテンショスタット/ガルバノスタット:北斗電工HA-104、ファンクションジェネレーター:北斗電工HB-104)を行った。サイクリックボルタンメトリーの結果が一定になったサイクルの結果を図に示した。
 一方、後述の実施例2、実施例9、比較例2、及び比較例5の試験条件では、カソードを作用極、アノードを対極とした。そして硫酸銀で覆った銀線を参照電極(銀/硫酸銀電極)として用いた。すなわち、この硫酸銀で覆った銀線を飽和硫酸カリウム水溶液に浸漬し、この飽和硫酸カリウム水溶液を液絡を介してアノード側の電解質膜に接続した。この参照電極とカソードの間に電圧を印加して、サイクリックボルタンメトリーの測定(ポテンショスタット/ガルバノスタット:北斗電工HA-104、ファンクションジェネレーター:北斗電工HB-104)を行った。
 実施例2、実施例9、比較例2、比較例5の試験条件の場合には、銀/硫酸銀電極を参照電極として用いており、この銀/硫酸銀電極の平衡電位に対して、作用極の電位を-0.8V~+0.8Vの電位範囲で掃引してサイクリックボルタンメトリーの測定を行い、サイクリックボルタンメトリーの結果が一定になったサイクルの結果を図に示した。
 銀/硫酸銀電極ではAgSO+2e⇔2Ag+SO 2-の平衡反応が生じており、その平衡の電位(Ess)と標準水素電極電位(NHE)との関係は以下の式のように表される。
 下記式(I)において、Rは気体定数、Tは温度、aSO 2-は硫酸イオンの活量、Fはファラデー定数である。なお、本実施例使用の範囲では、EssはNHEに対して、ほぼ0.65V低い電位であるとみなしてよい。
 式(I)Ess=-0.65-R×T×ln(aSO 2-)÷2F+NHE
 [実施例1]
 <還元固定化システムの作製>
 白金担持カーボン(田中貴金属社製)0.4gを、5%Nafion分散液(登録商標,和光純薬工業製)1.34g、水2.55g、メタノール2.55g、2-プロパノール2.55gと混合し、ボールミルにかけ、白金担持カーボン-Nafion混合分散液を調製した。
 次いで、アノード拡散層及びカソード拡散層として用いる、東レ株式会社製カーボンペーパー(TGP-H-060H)を22mm角の正方形状に2枚切り出した(面積:5cm)。その切り出したカーボンペーパーの片面上に上記白金担持カーボン分散液を噴霧し、乾燥させ、カソード拡散層上にカソードを、及びアノード拡散層上にアノードをそれぞれ作製した。上記カソード及びアノードそれぞれに含まれる白金担持カーボンの量は0.0127g(単位電極面積あたり1.0mg/cm)であった。
 上記とは別に、デュポン製パーフルオロスルホン酸樹脂(Nafion117(登録商標))を50mm角の正方形状に切り出した。このナフィオン膜を沸騰した0.5MのHSO水溶液中での1時間の煮沸処理し、次いで沸騰した蒸留水中での1時間の煮沸処理するというプロセスを、2回繰り返した。これにより電解質膜(13)を作製した。
 上記カソード及びアノードを上記電解質膜を介して結合した。すなわちそれぞれ白金担持カーボンが付着している面と電解質膜が接するように取り付け、140℃、4.5kNで10分間ホットプレスを行い、図5Aの中央に示される、カソード及びアノードが電解質膜の両面に接合した膜電極接合体を作製した。
 図5Aは、実施例1で作製した還元固定化システムの分解図であり、図5Bは使用した流路形成部材を示す図である。
 実施例1では、図5Bに示すようなサーペンタイン流路を内蔵する集電材料を2つ(流路形成部材22、23)用意した。そして、図5Aに示すように、それぞれのサーペンタイン流路が、前記膜電極接合体のカソード拡散層(14)及びアノード拡散層(15)にそれぞれ接するように配置した。具体的には、集電材料により、上記膜電極接合体を、図に示すようにアノード及びカソードが入る形状の開口部を有するテフロン(登録商標)シール(絶縁材16)を間に介して、両側から挟むように取り付けた。また、アノード側及びカソード側の集電材料(流路形成部材22及び23)の外面には、ヒータ(温度制御機構51)をそれぞれ設置した。
 <サイクリックボルタンメトリーの測定>
 作製した還元固定化システムのコンディショニングを次の手順で行った。まず、カソードに純酸素を60℃の水中でバブリングして加湿したガスを50mL/minの流量で供給し、アノードに純水素を60℃の水中でバブリングして加湿したガスを50mL/minの流量で供給した。次いでセル温度をヒーターにより60℃にセットし、アノードとカソード間の電流-電圧測定(KIKUSUI,PLZ-164)を、得られる電流-電圧曲線が一定になるまで行った。次いで、カソード、アノードガスのバブリングに用いる水の温度、セル温度を80℃に上げ、同様に電流-電圧測定を、得られる電流-電圧曲線が一定になるまで行い、コンディショニングを行った。
 上記のようにコンディショニングしたセルを用い、次の実験を行った。カソードには純窒素を40℃の水中でバブリングして加湿したガスを50mL/minの流量で供給した。アノードには実験温度(40℃)で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。次いで、サイクリックボルタンメトリーの測定を60回行ない、サイクリックボルタンメトリーの結果が一定であることを確認した。
 次いで、カソードに供給するガスを純窒素から50mL/minの流量の二酸化炭素(濃度:99.9995%)に変更して10分供給した後に、サイクリックボルタンメトリーの測定を行った。1サイクル目の結果を図6に示した。
 [比較例1]
 実施例1と同様にコンディショニングしたセルを用い、次の実験を行った。カソードには純窒素を40℃の水中でバブリングして加湿したガスを50mL/minの流量で供給した。アノードには実験温度で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。次いで、サイクリックボルタンメトリーの測定を60サイクル行い、結果が一定となっていることを確認し、その60サイクル目の結果を図6に示した。
 [参考例1]
 実施例1と同様にコンディショニングしたセルを用い、次の実験を行った。カソードに、水蒸気含有量を飽和させた一酸化炭素を5mL/minの流量で5分間供給し、カソードに一酸化炭素を吸着させた。この後、供給するガスを水蒸気含有量を飽和させた窒素に変えて50mL/minの流量で1時間供給し、カソードに吸着していない一酸化炭素を除去した。窒素ガスの供給を行ったまま、測定開始電位を+0.06Vとして、測定開始時の掃引方向は正の電位方向とし、サイクリックボルタンメトリーの測定を行った。図7には、1サイクル目と2サイクル目のボルタモグラムを示した。
 実施例1、比較例1では、作用極を+1.3V~+0.06Vに掃引した際に、ともにDHEに対して+0.45Vよりも負の電位で還元ピークが得られた。しかし、実施例1では作用極を+0.6V~+1.3Vに掃引した際に、DHEに対して+0.6V~+0.8Vの範囲で正側の電流ピークが得られたが比較例1ではこのようなピークは得られなかった。DHEに対して+0.45Vよりも負の電位で還元ピークが得られたが、この電位領域はプロトンの電極への吸着域であり、比較例1のこの還元ピークはプロトンの吸着を示している。一方、実施例1ではDHEに対して+0.45Vよりも負の電位でプロトンの電極への吸着と二酸化炭素の還元が起こり、その還元反応により得られた生成物がDHEに対して+0.6V~0.8Vの範囲で酸化していることを示唆している。
 参考例1では、DHEに対して、作用極を+0.06V~+1.3Vに掃引した際に、+0.7V及び+0.8V付近に二つの酸化ピークが得られた。これらのピークはそれぞれ、一酸化炭素と白金の結合比が異なる2つの吸着形態(例えば白金と一酸化炭素が1:1及び3:1で結合している場合等)で白金電極に吸着した一酸化炭素の酸化を表していると考えられる。
 実施例1で得られた+0.6V~+0.8V生成物の酸化ピークと、参考例1で一酸化炭素の酸化反応で得られた0.7V付近のピークの範囲が一致しているので、実施例1の二酸化炭素の還元によって生じた生成物は一酸化炭素であると推定される。すなわち、実施例1のシステムで、二酸化炭素の還元及び一酸化炭素の生成が確認された。
 [実施例2、比較例2]
 実施例1、比較例1において、60回サイクリックボルタンメトリーの測定を行った後にアノードに供給するガスを実験温度での水蒸気含有量を飽和させた窒素ガスにし、更に上記測定方法で述べた方法を使用して、サイクリックボルタンメトリーの測定を行った。結果を図8に示す。
 実施例2、比較例2では、作用極を+0.8V~-0.8Vに掃引した際に、ともにEss(Ag/AgSO電極の電位)に対して-0.45Vよりも負の電位で還元ピークが得られた。しかし、実施例2では作用極を-0.8V~+0.8Vに掃引した際に、Essに対して-0.2V~+0.1V(DHEに換算すると+0.5V~+0.8V)の範囲で正側の電流ピークが得られた。比較例2ではこのようなピークは得られなかった。
 このことは、実施例1と同様に、Essに対して-0.45Vよりも負の電位で水素の吸着と二酸化炭素の還元が起こり、その還元反応により得られた生成物がEssに対して-0.2V~+0.1Vの範囲で酸化していることを示唆している。そして、この酸化されている物質のピーク電位は、実施例1で一酸化炭素が酸化されているピーク電位と同等であるので、二酸化炭素の還元反応により、一酸化炭素が生成されていることが推定される。すなわち実施例1のシステムで、二酸化炭素の還元及び一酸化炭素の生成が確認された。
 [実施例3]
 実施例1においての、作用極の電位をDHEに対して+0.10V~+1.30Vの電位範囲で掃引した以外は、実施例1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーの測定を行った。
 [実施例4]
 実施例1においての、作用極の電位をDHEに対して+0.15V~+1.30Vの電位範囲で掃引した以外は、実施例1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーの測定を行った。
 [実施例5]
 作用極の電位をDHEに対して+0.20V~+1.30Vの電位範囲で掃引した以外は、実施例1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーの測定を行った。
 [実施例6]
 作用極の電位をDHEに対して+0.25V~+1.30Vの電位範囲で掃引した以外は、実施例1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーの測定を行った。
 [実施例7]
 作用極の電位をDHEに対して+0.30V~+1.30Vの電位範囲で掃引した以外は、実施例1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーの測定を行った。
 [実施例8]
 作用極の電位をDHEに対して+0.35V~+1.30Vの電位範囲で掃引した以外は、実施例1と同様にしてサイクリックボルタンメトリーの測定を行った。
 [比較例3]
 実施例1において作用極の電位をDHEに対して+0.375V~+1.30Vの電位範囲で掃引した以外は同様にしてサイクリックボルタンメトリーの測定を行った。
 [比較例4]
 実施例1において作用極の電位をDHEに対して+0.40Vから+1.30Vの電位範囲で掃引した以外は同様にしてサイクリックボルタンメトリーの測定を行った。
 実施例1、3~8、及び比較例3、4のサイクリックボルタンメトリーの結果に基づいて、作用極の電位を負側から正側に掃引した際に、+0.6V~+0.8Vの電位範囲において一酸化炭素の酸化に使用された、電荷量を求めた。一酸化炭素の酸化に使用された電荷量は、作用極の電位を負側から正側に掃引した際に+0.6V~+0.8Vの範囲に現れるピークの面積Yを求めることで得られる(図6参照)。
 求めた電荷量を折り返し電位Z(正側から負側に掃引した後に、負側から正側に掃引する時の電位値)に対してプロットしたもの(○:白丸)を図9に示す。
 実施例1、3~8、及び比較例3、4のサイクリックボルタンメトリーの結果に基づいて、作用極を負側に掃引したときの+0.4V~折り返し電位Zの電位範囲において二酸化炭素の還元に使用された電荷量をそれぞれ求めた。二酸化炭素の還元に使用された電荷量は、作用極の電位を正側から負側に掃引したときに+0.4V~折り返し電位Zの電位範囲に現れるピークの面積Xを求めることで得られる(図6参照)。
 また、還元に使用された電荷量Xと酸化に使用された電荷量Yの比(Y÷X)を求めた。算出した比(Y÷X)を折り返し電位Zに対してプロットしたもの(●:黒丸)を図9に併記した。比(Y÷X)の値は、カソード反応に消費された電子のうち一酸化炭素の生成に使用された割合、すなわち一酸化炭素の生成効率を示している。
 図9に示す一酸化炭素の酸化に使用された電荷量のプロットから、サイクリックボルタンメトリーの折り返し電位Zがより負になるほど、酸化反応に使用される電荷量が多くなることがわかる。この結果はカソードに、より負の電位を印加したほうが一酸化炭素の生成量が増えることを意味する。
 一方、一酸化炭素の生成効率は、折り返し電位が+0.2V付近の時に極大値を示した。すなわち、カソードへDHEに対して+0.2V程度の電位を印加すると、カソードにおける一酸化炭素生成反応の選択性が最も高まることを意味している。
 以上の結果より、DHEに対するカソードの電位がより低い電位であるほど、一酸化炭素の生成量が多くなる。また、一定の電位印加条件では、カソードでの還元反応に使用される電子のうち、還元生成物である一酸化炭素の生成に使用される電子の割合が高まる。すなわちカソードでの還元反応生成物である一酸化炭素に対する一定の選択性を発現することがある。したがって、カソードへの印加電位を適切に設定することにより、例えば一酸化炭素やメタン、メタノールなどの還元反応生成物の生成効率を選択的に高めることが可能である。
 [実施例9]
 <還元固定化システムの作製>
 白金ルテニウム担持カーボン(白金とルテニウムの物質量比は1:1)(田中貴金属社製)0.4gを、5%Nafion分散液(登録商標,和光純薬工業製)1.34g、水2.55g、メタノール2.55g、及び2-プロパノール2.55gと混合し、ボールミルにかけ、白金ルテニウム担持カーボン-Nafion混合分散液を調製した。
 次いで、アノード拡散層及びカソード拡散層として使用される、東レ株式会社製カーボンペーパー(TGP-H-060H)を22mm角の正方形状に2枚切り出した(面積:5cm)。その切り出したカーボンペーパーの片面上に上記白金ルテニウム担持カーボン分散液を噴霧し、乾燥させ、カソード拡散層上にカソードを、及びアノード拡散層上にアノードをそれぞれ作製した。上記カソード及びアノードそれぞれに含まれる白金ルテニウム担持カーボンの量は0.0152g(単位電極面積あたり1.0mg/cm)であった。
 得られた白金ルテニウム担持カーボンを含有するカソード及びアノードを用いて、実施例1と同様にして、還元固定化システムを作製した。
 <サイクリックボルタンメトリーの測定>
 実施例1と同様の手順により、白金ルテニウム担持カーボンを用いて作製した本実施例の還元固定化システムのコンディショニングを行った。次いで実施例1と同様に、コンディショニングしたセルを用い、サイクリックボルタンメトリーの結果が一定であることを確認した。
 次いで、カソードに40℃の水中でバブンリングして加湿した50mL/minの流量の二酸化炭素を、アノードに実験温度で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。10分供給した後に、サイクリックボルタンメトリーの測定を行った。1サイクル目の結果を図11に示した。なお測定条件は上述したとおりである。
 [比較例5]
 実施例9と同様に白金ルテニウム担持カーボンを用いて作製した還元固定化システムのコンディショニングを行った。
 次いで、カソードには純窒素を40℃の水中でバブリングして加湿したガスを50mL/minの流量で供給し、アノードには実験温度で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。次いで、サイクリックボルタンメトリーの測定を60サイクル行い、結果が一定となっていることを確認し、その60サイクル目の結果を図11に示した。なお測定条件は上述したとおりである。
 実施例9および比較例5ではともに、Ess(Ag/AgSO電極の電位)に対して-0.6Vよりも負の電位で還元ピークが見られた。このピークはプロトンの電極への吸着によるものである。一方、実施例9では、比較例5と比較して、Essに対して-0.5Vから-0.6Vの領域で多くの還元電流が流れており、二酸化酸素の還元が生じていることを示している。
 さらに、実施例9では、比較例5と比較して、Essに対して-0.3Vよりも正の電位領域で酸化電流の増加が見られた。この酸化電流の増加は、二酸化炭素の還元によって生じた物質の酸化を示しており、その酸化される物質は実施例1同様に一酸化炭素であると考えられる。
 [実施例10]
 <還元固定化システムの作製>
 金担持カーボンを形成し、金担持カーボン0.4gを、5%Nafion分散液(登録商標,和光純薬工業製)1.34g、水2.55g、メタノール2.55g、2-プロパノール2.55gと混合し、ボールミルにかけ、金担持カーボン-Nafion混合分散液を調製した。
 次いで、カソード拡散層として使用される東レ株式会社製カーボンペーパー(TGP-H-060H)を22mm角の正方形状に切り出した(面積:5cm)。その切り出したカーボンペーパーの片面上に上記金担持カーボン分散液を噴霧し、乾燥させ、カソード拡散層上にカソードを作製した。前記カソードに含まれる金の量は、単位電極面積あたり1.0mg/cmであったであった。
 実施例1でアノードを作製した手順と全く同様にして、白金担持カーボン-Nafion混合分散液を調整し、この分散液を22mm角の正方形状のカーボンペーパーに噴霧し、乾燥させ、アノード拡散層上にアノードを作製した。
 得られた金担持カーボンを含有するカソードと、白金担持カーボンを含有するアノードを用いて、実施例1と同様にして、還元固定化システムを作製した。
 <サイクリックボルタンメトリーの測定>
 実施例1と同様の手順により、この還元固定化システムのコンディショニングを行った。
 次いで、実施例1と同様の手順により、作用極の電位をDHEに対して+0.06V~+1.3Vの電位範囲で、サイクリックボルタンメトリーの測定を行い、結果が一定となっていることを確認した。
 次いで、実施例1と同様に、カソードに40℃の水中でバブンリングして加湿した50mL/minの流量の二酸化炭素を、アノードに実験温度で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。10分供給した後に、作用極の電位をDHEに対して+0.06V~1.3Vの電位範囲で、サイクリックボルタンメトリーの測定を1サイクル行った結果を得た。
 [比較例6]
 実施例10と同様にして、金担持カーボンを含有するカソードと白金担持カーボンを含有するアノードを用いて作製した還元固定化システムのコンディショニングを行った。次いで、カソードには純窒素を40℃の水中でバブリングして加湿したガスを50mL/minの流量で供給し、アノードには実験温度で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。次いで、サイクリックボルタンメトリーの測定を60サイクル行い、結果が一定となっていることを確認し、その60サイクル目の結果を得た。なお測定条件は上述したとおりである。
 作用極の電位をDHEに対して+0.06V~+1.3Vの電位範囲で測定した実施例10、比較例6のサイクリックボルタモグラムから、実施例10では比較例6と比較して還元電流の増加が見られた。この結果は、二酸化酸素の還元が生じていることを示している。
 [実施例11]
 <還元固定化システムの作製>
 ロジウム担持カーボンを形成し、ロジウム担持カーボン0.4gを、5%Nafion分散液(登録商標,和光純薬工業製)1.34g、水2.55g、メタノール2.55g、及び2-プロパノール2.55gと混合し、ボールミルにかけ、ロジウム担持カーボン-Nafion混合分散液を調製した。
 次いで、カソード拡散層として使用される東レ株式会社製カーボンペーパー(TGP-H-060H)を22mm角の正方形状に切り出した(面積:5cm)。その切り出したカーボンペーパーの片面上に上記ロジウム担持カーボン分散液を噴霧し、乾燥させ、カソード拡散層上にカソードを作製した。カソードに含まれるロジウムの量は、単位電極面積あたり1.0mg/cmであった。
 実施例1でアノードを作製した手順と全く同様にして、白金担持カーボン-Nafion混合分散液を調整し、この分散液を22mm角の正方形状のカーボンペーパーに噴霧し、乾燥させ、アノード拡散層上にアノードを作製した。
 得られたロジウム担持カーボンを含有するカソードと、白金担持カーボンを含有するアノードを用いて、実施例1と同様にして、還元固定化システムを作製した。
 <サイクリックボルタンメトリーの測定>
 実施例1と同様の手順により、この還元固定化システムのコンディショニングを行った。
 次いで、実施例1と同様の手順により、作用極の電位をDHEに対して+0.1V~+0.7Vの電位範囲のサイクリックボルタンメトリーの測定を行い、結果が一定となっていることを確認した。
 次いで、実施例1同様に、カソードに40℃の水中でバブリングして加湿した50mL/minの流量の二酸化炭素を、アノードに実験温度で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。10分供給した後に、サイクリックボルタンメトリーの測定を1サイクル行った結果を得た。
 [比較例7]
 実施例11と同様にして、パラジウム担持カーボンを含有するカソードと白金担持カーボンを含有するアノードを用いて作製した還元固定化システムのコンディショニングを行った。次いで、カソードには純窒素を40℃の水中でバブンリングして加湿したガスを50mL/minの流量で供給し、アノードには実験温度で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。次いで、サイクリックボルタンメトリーの測定を60サイクル行い、結果が一定となっていることを確認し、その60サイクル目の結果を得た。なお測定条件は上述したとおりである。
 作用極の電位をDHEに対して+0.1V~+0.7Vの電位範囲で測定した実施例11、比較例7のサイクリックボルタモグラムから、実施例11では比較例7と比較して還元電流の増加が見られた。この結果は、二酸化酸素の還元が生じていることを示している。
 さらに、実施例11では、比較例7と比較して、酸化電流の増加が見られた。この酸化電流の増加は、二酸化炭素の還元によって生じた物質の酸化を示しており、その酸化される物質は実施例1同様に一酸化炭素であると考えられる。
 なお、上記同様に、カソードの触媒として、銀、パラジウム、ルテニウムのそれぞれを用いて、サイクリックボルタンメトリーの測定を行った。その結果、還元電流及び酸化電流の増加が確認され、上記同様に二酸化炭素が還元されて一酸化炭素が生成されていることが確認できた。
 <生成ガスの測定>
 二酸化炭素の還元により生成されるガスはサイクリックボルタンメトリーでは測定できないため、次の手順により測定を行った。
 実施例1、実施例9~11にて作製したそれぞれの二酸化炭素還元固定化システムに対して、実施例1と同様の手順により、各還元固定化システムのコンディショニングを行った。
 次いで、カソードに40℃の水中でバブリングして加湿した50mL/minの流量の二酸化炭素を、アノードに実験温度で水蒸気含有量を飽和させた水素を25mL/minの流量で供給した。セルの温度はヒータにより40℃に設定した。
 10分供給した後に、カソードの電位をDHEに対して実施例1では+0.07V、実施例9では+0.05V、実施例10では+0.1V、実施例11では+0.1Vにセットし、定電位電解により二酸化炭素の還元固定化を行った。定電位電解開始から10分後に、カソードより排出されるガスを四重極質量分析計 PMS200 Prisma(ファイファーバキューム社製)にて分析したところ、メタノールが生成されていることが確認された。
 これらの結果より、各二酸化炭素還元固定化システムでは、二酸化炭素の還元によって一酸化炭素、メタノールが生成されていることが確認された。
 ガス態の二酸化炭素を低温度領域で固定化することができる還元固定化システムを提供する。
 本発明によれば、ガス態の二酸化炭素を還元固定化できるため、高濃度の二酸化炭素を処理することができる。また、-70℃から200℃程度という低温領域でも二酸化炭素を固定化できるので、固定化に必要なエネルギーを少なく抑えることができる。
 さらに、二酸化炭素の還元固定化に必要な装置は、固体高分子形燃料電池やリン酸形燃料電池のセルをそのまま応用できるので、新しい装置を製造する必要なく、低コストで二酸化炭素を還元固定化することができる。 また、二酸化炭素の還元固定化により、有用な炭素資源の材料となる一酸化炭素やメタノール等を生成することができる。
 以上のことから、本発明は産業上極めて有用である。
 10    二酸化炭素の還元固定化システム
 10A   反応部
 11    カソード
 11a   カソードの外面
 12    アノード
 12a   アノードの外面
 12b   アノードの内面
 13    電解質
 14    カソードガス拡散層
 15    アノードガス拡散層
 16    絶縁材
 17    外部電源
 18    カソード反応基質供給部
 19    アノード反応基質供給部
 20    カソードの生成物を排出する排出部
 21    アノードの生成物を排出する排出部
 22、23 流路形成部材
 24、25 エンドプレート
 30    二酸化炭素の還元固定化システム
 30A   反応部
 32    溶液
 33    アノード集電材
 40    二酸化炭素の還元固定化システム
 40A   反応部
 X     二酸化炭素の還元に使用された電荷量
 Y     一酸化炭素の酸化に使用された電荷量
 Z     折り返し電位
 50    MCFC(溶融炭酸塩形燃料電池)
 52    燃料極
 53    電解質
 54    空気極
 55、56 流路形成部材
 57    負荷装置

Claims (10)

  1.  電解質を間に介して配置されたカソード及びアノードを有する反応部と、
     前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電源部と、を備え、
     前記アノードでは酸化反応により電子が生成され、
     前記カソードでは気相の二酸化炭素が還元反応により固定化され、
     前記酸化反応又は前記還元反応に伴う電極間の電荷の偏りを補償するように、前記電解質を通じてカチオン又はアニオンが輸送されることを特徴とする、二酸化炭素の還元固定化システム。
  2.  前記アノードでの酸化反応が、動作温度での標準水素電極電位に対する酸化還元電位が0Vより大きい物質の酸化反応である、請求項1記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
  3.  前記アノードでの酸化反応が、動作温度での標準水素電極電位に対する酸化還元電位が0Vより大きく1.5V以下である物質の酸化反応である、請求項1記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
  4.  前記電解質を介して輸送されるカチオン又はアニオンが、プロトン又は水酸化物イオンである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
  5.  前記アノードにおいて、水、メタノール及びジメチルエーテルのうち少なくとも一種の酸化反応によりプロトン及び電子が生成され、
     前記電解質を介して、前記プロトンが前記アノードから前記カソードへ輸送され、
     前記カソードにおいて、二酸化炭素と前記プロトンとの反応により二酸化炭素が還元固定化される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
  6.  前記アノードでの酸化反応が水酸化物イオンの酸化反応であり、
     前記カソードでの還元反応が二酸化炭素と水を反応させる還元反応であり、
     前記電解質を通じて前記アノードと前記カソードの間でプロトン又は水酸化物イオンが授受される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
  7.  前記カソードに対して、濃縮された二酸化炭素を供給する二酸化炭素濃縮装置を備えたことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項記載の二酸化炭素の還元固定化システム。
  8.  請求項1乃至7のいずれか1項に記載の還元固定化システムを用いて二酸化炭素を還元する、二酸化炭素の還元固定化方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の還元固定化システムを用いて一酸化炭素を製造する、有用炭素資源の製造方法。
  10.  二酸化炭素の還元固定化が、二酸化炭素を還元により他の物質に転換させる事である、請求項1記載の二酸化炭素の還元固定化システム。 
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