図1は、本発明のアース装置の一例としてのアース線を示す概略構成図である。図2は、図1に示すアース線の装着側クリップの拡大図である。図3は、図1に示すアース線のアース側クリップの拡大図である。
アース線1は、図1に示すように、揮発性の有機溶剤などを収容するための金属製の容器Cなどをアースするためのケーブルであり、一方側端部(一端部。以下同じ。)がアース対象物の一例としての容器Cに接続され、他方側端部(他端部。以下同じ。)が鉄柱などのアース電位部材Eに接続される。
アース線1は、装着部材の一例としての装着側クリップ2と、アース部材の一例としてのアース側クリップ3と、アース側配線4と、検知側配線5とを備えている。
装着側クリップ2は、アース線1の一端部に設けられている。
装着側クリップ2は、図2に示すように、第1通電部材としての第1挟持部材11と、第1挟持部材11に対して間隔を隔てて対向配置される第2通電部材としての第2挟持部材12と、絶縁部材の一例としての支持部材13とを備えている。
第1挟持部材11は、金属などの導電性材料から、長手方向(一方および他方に延びる方向。以下同じ)に延びる杆状(断面略U字形状)に形成されている。また、第1挟持部材11の長手方向一端部には、対向方向(第1挟持部材11と第2挟持部材12との対向方向。以下同じ。)内面において、鋸歯状の滑り止め部18が形成されている。
第2挟持部材12は、金属などの導電性材料から、長手方向に延び、第1挟持部材11よりも短い杆状(断面略U字形状)に形成されている。また、第2挟持部材12の長手方向一端部には、対向方向内面において、鋸歯状の滑り止め部18が形成されている。
支持部材13は、第1支持部材14および第2支持部材15を備えている。
第1支持部材14は、絶縁性の樹脂からなり、第1被覆部16と、第1連結部17とを一体的に備えている。
第1被覆部16は、長手方向に沿って延びる略筒形状に形成され、内部に第1挟持部材11の長手方向他端部が挿通されている。これにより、第1挟持部材11の長手方向他端部は、第1被覆部16によって被覆されている。
第1連結部17は、頂部が湾曲された略三角形の平板形状に形成され、第1被覆部16の対向方向内面から、対向方向内側に向かって突出している。また、第1連結部17には、幅方向(長手方向および対向方向の両方と直交する方向。以下同じ。)に沿って、貫通穴19が貫通形成されている。
第2支持部材15は、第1支持部材14と同様に、絶縁性の樹脂からなり、第2被覆部20と、第2連結部21とを一体的に備えている。
第2被覆部20は、長手方向に沿って延びる略筒形状に形成されている。また、第2被覆部20の長手方向一端部には、第2挟持部材12の長手方向他端部が挿入されている。これにより、第2挟持部材11の長手方向他端部は、第2被覆部20によって被覆されている。
第2連結部21は、第1連結部17と同様に、頂部が湾曲された略三角形の平板形状に形成され、第2被覆部20の対向方向内面から対向方向内側に向かって突出している。また、第2連結部21には、幅方向に沿って、貫通穴19が貫通形成されている。
また、第2被覆部20内には、スイッチ電極22、スイッチ24、および、表示灯の一例としてのLED25が設けられている。
スイッチ電極22は、第2挟持部材12と同様の材料から、第2挟持部材12よりも短い杆状に形成されている。また、スイッチ電極22は、その長手方向一端部が第2被覆部20の長手方向他端部に被覆されるとともに、その長手方向他端部が第2被覆部20の長手方向他端部から露出されるように、長手方向において第2挟持部材12と間隔を隔てて、第2被覆部20の長手方向他端部に挿入されている。
スイッチ24は、金属などの導電性部材からなり、対向方向に進退可能な略円筒形状の押しボタンスイッチであり、図示しないばねなどの付勢部材などにより付勢されて、常には、第2連結部21の反対側に向かって第2被覆部20から突出(進出)するように、設けられている。また、スイッチ24は、対向方向において、第2挟持部材12の長手方向他端部、および、スイッチ電極22の長手方向一端部と対向するように、第2被覆部20の長手方向他端部に配置されている。
スイッチ24は、図示しない付勢部材の付勢力に抗して第2被覆部20に向かって押圧されることにより、第2被覆部20内に退避される(ON状態)。すると、スイッチ24が、第2挟持部材12の長手方向他端部、および、スイッチ電極22の長手方向一端部と接触し、第2挟持部材12およびスイッチ電極22が、スイッチ24を介して互いに電気的に接続される。
また、スイッチ24は、第2被覆部20に向かう押圧を解除されると、図示しない付勢部材の付勢力により、第2被覆部20内から進出される(OFF状態)。すると、スイッチ24が、第2挟持部材12の長手方向他端部、および、スイッチ電極22の長手方向一端部から離間し、第2挟持部材12およびスイッチ電極22の電気的な接続が解除される。
LED25は、対向方向において、第2挟持部材12の長手方向他端部と対向するように配置され、第2挟持部材12の長手方向他端部と、電気的に接続されている。LED25は、スイッチ24とともに検知手段を構成する。
そして、第1被覆部16と第2被覆部20とは、幅方向に投影したときに第1連結部17および第2連結部21の各貫通穴19が重なるように、両第1連結部17および両第2連結部21を重ねて、組み合わされている。
そして、各貫通穴19には、回動軸23が、幅方向に沿って相対回転自在に挿通されている。これにより、第1挟持部材11および第2挟持部材12は、ともに、回動軸23を支点として、回転自在に支持されている。また、第1被覆部16および第2被覆部20は、図示しないばねなどの付勢部材により、第1挟持部材11および第2挟持部材12の一端部が互いに近接するように付勢されている。
なお、第1挟持部材11および第2挟持部材12は、図示しないストッパにより、それらの一端部が互いにわずかに間隔を隔てて対向するように、規制されている。これにより、第1挟持部材11の一端部と、第2挟持部材12の一端部との間は、常には絶縁されている。
また、第1挟持部材11の他端部と、第2挟持部材12の他端部との間は、支持部材13によって絶縁されている。
すなわち、第1挟持部材11と第2挟持部材12との間は、常には、支持部材13によって絶縁されている。そして、第1挟持部材11の一端部と、第2挟持部材12の一端部との間に、上記わずかな間隔より厚い導体が挟まれたときに、第1挟持部材11と第2挟持部材12とが導通される。
装着側クリップ2では、第1挟持部材11および第2挟持部材12の他端部を、図示しない付勢部材の付勢力に抗して対向方向内側に向かって押圧すると、第1挟持部材11および第2挟持部材12が回動軸23を支点に回動されて、第1挟持部材11および第2挟持部材12の一端部が互いに離間される。
また、第1挟持部材11および第2挟持部材12の他端部への押圧を解除すると、図示しない付勢部材の付勢力により、第1挟持部材11および第2挟持部材12が回動軸23を支点に回動されて、第1挟持部材11および第2挟持部材12の一端部が互いに近接される。
アース側クリップ3は、アース線1の他端部に設けられている(図1参照)。
アース側クリップ3は、図3に示すように、第1挟持部材31と、第1挟持部材31に対して間隔を隔てて対向配置される第2挟持部材32と、支持部材33とを備えている。
第1挟持部材31および第2挟持部材32は、第1挟持部材11と同様に、金属などの導電性材料から、長手方向に延びる杆状(断面視略U字形状)に形成されている。また、第1挟持部材31および第2挟持部材32の長手方向他端部には、それらの対向方向内面において、鋸歯状の滑り止め部38が形成されている。
支持部材33は、第1支持部材34および第2支持部材35を備えている。
第1支持部材34および第2支持部材35は、それぞれ、絶縁性の樹脂からなり、被覆部36と、連結部37とを一体的に備えている。
被覆部36は、長手方向に沿って延びる略筒形状に形成され、内部に第1挟持部材31または第2挟持部材32の一端部が挿通されている。これにより、第1挟持部材31または第2挟持部材32の一端部は、被覆部36によって被覆されている。
連結部37は、頂部が湾曲された略三角形の平板形状に形成され、被覆部36の対向方向内面から、対向方向内側に向かって突出している。また、連結部37には、幅方向に沿って、貫通穴39が貫通形成されている。
そして、第1支持部材34および第2支持部材35は、幅方向に投影したときに各貫通穴39が重なるように、各連結部37を重ねて組み合わされている。
そして、各貫通穴39には、回動軸40が、幅方向に沿って相対回転自在に挿通されている。これにより、第1挟持部材31および第2挟持部材32は、ともに、回動軸40を支点として、回転自在に支持されている。また、両被覆部36は、図示しないばねなどの付勢部材により、第1挟持部材31および第2挟持部材32の他端部が互いに近接するように付勢されている。
なお、第1挟持部材31および第2挟持部材32は、図示しないストッパにより、それらの他端部が互いにわずかに間隔を隔てて対向するように、規制されている。これにより、第1挟持部材31の他端部と、第2挟持部材32の他端部との間は、絶縁されている。
また、第1挟持部材31の一端部と、第2挟持部材32の一端部との間は、支持部材33によって絶縁されている。
すなわち、第1挟持部材31と第2挟持部材32との間は、常には、支持部材33によって絶縁されている。そして、第1挟持部材31の他端部と、第2挟持部材32の他端部との間に、上記わずかな間隔より厚い導体が挟まれたときに、第1挟持部材31と第2挟持部材32とが導通される。
アース側クリップ3では、第1挟持部材31および第2挟持部材32の一端部を、図示しない付勢部材の付勢力に抗して対向方向内側に向かって押圧すると、第1挟持部材31および第2挟持部材32が回動軸40を支点に回動されて、第1挟持部材31および第2挟持部材32の他端部が互いに離間される。
また、第1挟持部材31および第2挟持部材32の一端部への押圧を解除すると、図示しない付勢部材の付勢力により、第1挟持部材31および第2挟持部材32が回動軸40を支点に回動されて、第1挟持部材31および第2挟持部材32の他端部が互いに近接される。
アース側配線4は、長尺な導線であり、銅などの金属からなるワイヤーを、樹脂などの絶縁体により被覆することによって形成されている。
アース側配線4は、一端部が、装着側クリップ2の第1挟持部材11の長手方向他端部に接続されており、他端部が、アース側クリップ3の第1挟持部材31の長手方向一端部に接続されている。
検知側配線5は、アース側配線4と同様の長尺な導線であり、銅などの金属からなるワイヤーを、樹脂などの絶縁体により被覆することによって形成されている。
検知側配線5は、一端部が、装着側クリップ2の第2挟持部材12の長手方向他端部に接続されており、他端部が、アース側クリップ3の第2挟持部材32の長手方向一端部に接続されている。また、検知側配線5の途中には、LED25の電源としての電池41が設けられている。
そして、アース線1の使用状態においては、第1挟持部材11と第2挟持部材12との間に容器Cの一部を挟むように、装着側クリップ2が容器Cに装着されている。すなわち、第1挟持部材11は、容器Cを対向方向一方側から挟み、第2挟持部材12は、容器Cを対向方向他方側から挟んでいる。
また、第1挟持部材31と第2挟持部材32との間にアース電位部材Eの一部を挟むように、アース側クリップ3がアース電位部材Eに装着されている。
これにより、装着側クリップ2が容器Cに位置固定され、アース側クリップ3がアース電位部材Eに位置固定されている。
次に、図4を参照してアース線1の作用について説明する。
図4は、図1に示すアース線によるアースを説明するための回路図である。
アース線1は、使用状態において、図4に示すように、容器Cとアース電位部材Eとの間において、装着側クリップ2の第1挟持部材11から、アース側配線4を介して、アース側クリップ3の第1挟持部材31へ至るアース側ラインと、アース側クリップ3の第2挟持部材32から、検知側配線5を介して、装着側クリップ2の第2挟持部材12へ至る検知側ラインとを形成する。
そして、第1挟持部材11と第2挟持部材12とが容器Cを介して導通されるとともに、第1挟持部材31と第2挟持部材32とがアース電位部材Eを介して導通されている。
これにより、容器Cとアース電位部材Eとの間において、装着側クリップ2、アース側配線4、アース側クリップ3、検知側配線5を含む直列回路が形成されている。
なお、検知側ラインは、スイッチ24が常にはOFF状態であるため、導通されていない。そのため、LED25は、消灯している。
そして、アース側ラインの導通を確認するには、スイッチ24をONにする。すると、検知側ラインの導通が確保される。すると、電池41からの電流が直列回路を流れ、LED25が点灯する。
このように、LED25の点灯により、アース側ラインの導通を確認することができる。
このようなアース線1によれば、アース側配線4と、スイッチ24およびLED25が接続される検知側配線5とを、常には導通されていない状態で備えており、アース側配線4と検知側配線5とは、装着側クリップ2が容器Cに装着され、スイッチ24のONにより導通される。
そのため、装着側クリップ2が容器Cに装着され、スイッチ24のONにより、容器Cと、アース側配線4および検知側配線5との導通が確保される。
これにより、検知側配線5から、容器C、アース側配線4を順次介してアース側クリップ3へ至る直列回路が形成される。
その結果、検知側配線5の導通を、スイッチ24のONに基づくLED25の点灯によって検知することができ、容器Cがアース側配線4によりアースされていることを、確実に、検知することができる。
また、このようなアース線1によれば、装着側クリップ2は、第1挟持部材11と第2挟持部材12との間に容器Cを挟むように装着することにより、容器Cに対して位置固定される。
そのため、装着側クリップ2を容器Cに装着したときには、容器Cのほぼ同じ部位の両側において、第1挟持部材11と第2挟持部材12とを位置固定することができる。
しかも、第1挟持部材11と第2挟持部材12との間は、常には、支持部材13により絶縁されている。
そのため、装着側クリップ2が容器Cに装着されたときには、確実に、容器Cを介して第1挟持部材11と第2挟持部材12とが導通される。
その結果、容器Cがアース側配線4によりアースされていることを、より確実に、検知することができる。
また、このようなアース線1によれば、第1挟持部材11により、容器Cを対向方向一方側から挟み、第2挟持部材12により、容器Cを対向方向他方側から挟むことができる。
そのため、確実に、容器Cを第1挟持部材11と第2挟持部材12との間に挟むことができる。
また、このようなアース線1によれば、検知側配線5の導通を、LED25の点灯により、容易に確認することができる。
さらに、このようなアース線1によれば、スイッチ24およびLED25が装置側クリップ2と一体的に設けられているので、操作性を向上させることができる。
なお、上記した実施形態では、装着側クリップ2の第2支持部材15内にスイッチ24およびLED25を設けたが、スイッチ24およびLED25は、検知側配線5に設けられていてもよい。
また、上記した実施形態では、アース側クリップ3を備えたが、アース側クリップ3を備えずに、アース側配線4および検知側配線5の他端部を、直接、アース電位部材Eに電気的に接続してもよい。
また、上記した実施形態では、LED25を備えているが、LED25の代わりに、または、LED25とともに、検知音発生装置の一例として、検知音がメモリされたスピーカを備えてもよい。
検知音としては、例えば、ビープ音などの警告音や、導通を検知した旨の音声アナウンスなどが挙げられる。
このようなアース線1によれば、検知手段が検知側配線5の導通を検知したことを、スピーカからの検知音により確認することができる。
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれるものである。