WO2011068120A1

WO2011068120A1 - 保持装置

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Publication number: WO2011068120A1
Application number: PCT/JP2010/071483
Authority: WO
Inventors: 武彦根本
Original assignee: 株式会社ニフコ
Priority date: 2009-12-02
Filing date: 2010-12-01
Publication date: 2011-06-09
Also published as: US8777173B2; JP5443140B2; US20120280530A1; CN102640478B; CN102640478A; JP2011119888A

Abstract

ベース（２）とスライダー（４）及び付勢部材（Ｓ１）を備えて物品を着脱自在に挟持する保持装置において、ベース（２）は配置部の一端側に設けられている固定挟持部（２２）、及び枢軸部を介して揺動可能に支持された操作ボタン（５）を有し、スライダー（４）は物品を固定挟持部（２２）との間に挟持する可動挟持部（４１）、及び摺動方向に沿って設けられている歯部（４５）を有し、操作ボタン（５）は枢軸部を挟んだ一端側の操作部（５１）、及び他端側に設けられてスライダーの歯部（４５）と係脱する爪部（５３）を有しているとともに、常時は付勢ばね（Ｓ３）で付勢されて爪部（５３）が歯部（４５）と係合した状態でスライダーの摺動を規制し、操作部の付勢力に抗した操作により前記係合を解除してスライダーを付勢部材（Ｓ１）の付勢力に抗して摺動可能にする。

Description

保持装置

本発明は、保持装置のうち、特に携帯電話機や音楽プレーヤー等の携帯物品又はそれに類似する物品を車室内で使用したり一時的に保持しておく場合に好適な保持装置に関する。

対象の保持装置は、例えば、携帯電話機等の物品を車室内で使用したり一時的に挟持状態で保持しておくときに用いられるタイプである。構造特徴は、特許文献１や２に例示されるように、物品を配置するベース（基部）と、ベースに摺動可能に配されたスライダー（摺動部材又は保持部材）と、スライダーを付勢する付勢部材とを少なくとも備え、挟持幅をスライダーの摺動を介して可変することにより幅寸法が異なる物品でも保持可能となる。

詳述すると、特許文献１の保持構造は、左右のスライダーが対向される挟持部を有し、ベースの両側に摺動可能に配置されるとともに、付勢部材の付勢力に抗して摺動されるようになっている。そして、物品は、スライダーを付勢力に抗して摺動操作しながら両挟持部の間に挟持される。

特許文献２の保持構造は、左右のスライダーが対向される挟持部を有し、ベースの両側に摺動可能に配置されるとともに、ギア及び該ギアと係脱する操作用ボタン並びに該ボタンを前記ギアと係合する方向へ付勢している付勢部材を有して左右のスライダーを摺動調整後の位置に保つ係止手段とを備えている。非使用時は、スライダーが付勢力により間の挟持幅を最も拡大しており、係止手段によりその状態が保たれている。物品は、挟持部同士の間に配置された状態から、スライダー同士を付勢力に抗し互いに接近する方向へ摺動操作することで保持される。各スライダーは、前記係止手段により摺動調整後の位置に保たれる。また、物品の保持を解放するには、前記ボタンを付勢力に抗して押すと、前記ギアに対する係合が解除されて、各スライダーが付勢力により挟持幅を最も拡大した位置まで摺動される。

なお、以上の各保持装置は、車室壁などに対し粘着テープなどで取り付けられるため不使用時において安全性を損ねたり邪魔になる。この対策としては、特許文献３に例示されるように、インストルパネルなどの内側に格納配置しておき、使用時に引き出される引出構造にすることである。

特許第４１０８９８７号公報独国特許第１９５４２７２０号公報特開２００９－２１４７２４号公報

特許文献１の保持構造では、簡易タイプであるが、物品を保持する挟持力が付勢力に比例するため、例えば、付勢力を弱く設定すると挟持力も不足し、逆に付勢力を大きくすると保持操作を損ねる要因となる。

特許文献２の保持構造では、以上のような不具合を解消して、物品をベースに配置した状態でスライダーを摺動操作して物品を挟みその状態を係止手段により保ち、かつ物品に対する保持を操作用ボタンの押し操作により瞬時に解放できる。しかし、この保持構造において、係止手段は、前記ボタンを付勢力に抗して押さない限り、ギアと操作用ボタン側に設けられた係合部とが常に噛み合っているため、スライダーを挟持幅を縮小する方向へ摺動操作する過程で、ギアが操作用ボタン側の係合部と接しながら回転することに起因して「カチカチ」音を発生し高級感が損なわれる。

そこで、本発明の目的は、構造を簡易化するとともに、格納構造を採用する場合に格納部からの出入性及び格納空間的に有利にすることにある。

上記目的を達成するため本発明は、形態を参考にして特定すると、物品用配置部を有したベースと前記ベースに摺動可能に配されたスライダー及び前記スライダーを付勢する付勢部材を備えて物品を着脱自在に挟持する保持装置において、前記ベースは、前記配置部の一端側に設けられている固定挟持部、及び枢軸部を介して揺動可能に支持された操作ボタンを有し、前記スライダーは、前記物品Ｋを前記固定挟持部との間に挟持する可動挟持部、及び摺動方向に沿って設けられている歯部を有し、前記操作ボタンは、前記枢軸部を挟んだ一端側の操作部、及び他端側に設けられて前記スライダーの歯部と係脱する爪部を有しているとともに、常時は付勢ばねで付勢されて前記爪部が前記歯部と係合した状態でスライダーの摺動を規制し、前記操作部の前記付勢ばねの付勢力に抗した操作により前記係合を解除して前記スライダーを前記付勢部材の付勢力に抗して摺動可能にする、ことを特徴としている。

以上の本発明は、下記のように具体化されることがより好ましい。
(ア)、前記ベースは、ケースに対し、前記固定挟持部を突出している側と反対側の表面でケース開口を塞ぐ収納位置と、前記固定挟持部を突出している側をケース開口から露出する使用状態とに枢支部を介して反転切換可能となっているともに、前記収納位置及び使用状態で共に解除可能に係止される構成である。この場合、ケースに対するベースの反転構成と、収納位置及び使用状態での弾性係止構成により、特許文献３のような引出構成に比べて使い勝手を維持しながらケースの奥行き寸法を抑え易く、車室壁側の奥行き空間が制約される場合に好適となる。

（イ）、以上の構成に加えて、前記ベースに対し前記スライダーと同方向へ摺動可能に配置されて、ばね部材の付勢力により摺動されて前記ケースに設けられた係合穴と係合することで前記ベースの使用状態から収納方向への反転を阻止し、かつ、前記スライダーが前記付勢部材の付勢力により前記固定挟持部から離れる方向へ摺動されるのと連動して前記係合穴との係合を解除する方向へ摺動されるストッパーを有している構成である。この場合、ストッパーが物品を固定挟持部と可動挟持部との間に挟持する操作に連動して自動的にケース側係合穴と係合してベースの不用意な反転を阻止し、かつ、物品を挟持状態から取り外す操作と連動して自動的に係合解除してベースの反転を許容する。このため、この構造では、ベースが物品挟持状態で収納方向への付加を受けても使用状態を確実に維持し、それにより信頼性を向上できる。

（ウ）、前記爪部は、前記歯部と噛合する歯形状で、かつ上側の歯と下側の歯との２段構成となっている構成である。この場合、操作ボタン側の爪部がスライダー側歯部と噛合する歯形状で、かつ上側の歯と下側の歯との２段構成であると、係合力を増大して誤作動を防ぐ上で好ましいものとなる。
　この２段構成では、係合力を増大するため、例えば、上側の歯の角度を垂直で、下側の歯の角度が適当な角度に設定し、それに応じてスライダー側歯部の歯形状も同様に２段構成にすると共に、角度を変えることが好ましい。
（エ）、前記固定挟持部又は／及び可動挟持部は、挟持面に添設されたクッション材を有し、前記物品を前記クッション材を介して弾性保持する構成である。この場合、固定挟持部と可動挟持部との間で、かつ挟持面に添設されたクッション材の弾性を介して対象物品をより確実に挟持できるようにする。

本発明では、スライダーがベースに対し付勢部材の付勢力で最も離れて（固定挟持部と可動挟持部との間の挟持幅が最大）いるとともに、操作ボタン側爪部がベース側歯部に係合して摺動規制されている。この構造では、物品をベースの配置部に置いた後、操作ボタンの付勢ばねの付勢力に抗した押操作により前記係合を解除し、かつスライダーを付勢部材の付勢力に抗して挟持幅を小さくする方向へ摺動操作してから操作ボタンから指を離すと、物品が固定挟持部と可動挟持部との間に挟持されるとともに、スライダーが操作ボタン側爪部とベース側歯部との係合により摺動規制される。また、この挟持状態から、操作ボタンを付勢ばねの付勢力に抗して押操作して前記係合を解除すると、スライダーが付勢部材の付勢力で挟持幅を拡大する方向へ摺動されるため、物品をワンタッチで取り出すことができる。

また、以上の本発明では、特許文献１に比べてスライダーに作用する付勢力の大きさに影響されず物品を安定保持でき、特許文献２に比べてギアを不要にして簡易化したりボタン側係合部とギアとの噛み合いに起因した音（上記したカチカチ音）の発生を解消できる。

本発明の実施の形態に係る保持装置を示し、（ａ）は保持具をケースに入れた収納位置での斜視図、（ｂ）は使用状態での斜視図、（ｃ）は物品を保持する状態での斜視図である。上記保持具とその分解図をケースと共に示す構成図である。上記保持具とその分解図をケースと共に示す図２と異方向から見た図である。（ａ）から（ｃ）は図１に対応した保持装置の正面図である。（ａ）は図４（ａ）のＡ－Ａ線断面図、（ｂ）は同Ｂ－Ｂ線断面図、（ｃ）は同Ｃ－Ｃ線断面図、（ｄ）は同Ｄ－Ｄ線断面図である。（ａ）は図４（ｂ）のＡ1－Ａ1線断面図、（ｂ）は同Ｃ1－Ｃ1線断面図、（ｃ）は同Ｅ－Ｅ線断面図、（ｄ）は同Ｄ1－Ｄ1線断面図である。（ａ）は図４（ｃ）のＢ2－Ｂ2線断面図、（ｂ）は同Ｃ2－Ｃ2線断面図、（ｃ）は同Ｅ1－Ｅ1線断面図、（ｄ）は同Ｄ2－Ｄ2線断面図である。（ａ）と（ｂ）は上記保持装置に物品を異なる態様で挟持した状態を示す説明図である。

以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。この説明では、装置構造を明らかにした後、作動特徴に言及する。

（装置構造）本発明の実施の形態の保持装置は、物品Ｋを挟持する保持具９と、保持具９を反転可能に収納するケース１とからなる。このうち、ケース１は、両側に付設された弾性係止用の板ばね１８などを備えている。保持具９は、略Ｌ形の本体２０及び本体２０の表面に組み付けられるカバー３０からなるベース２と、ベース２に摺動可能に配置されるスライダー４と、ベース２に対し枢軸部としてのシャフト３を介して揺動可能に支持された操作ボタン５と、スライダー４の摺動により付勢力を蓄積したり蓄積した付勢力でスライダー４を摺動する付勢部材Ｓ1と、ベース２に対してスライダー４と同方向へ摺動可能に配置されて、ベース２の物品挟持状態でケース１の係合穴に係合することによりケース収納方向への付加を受けても使用状態を維持するストッパー６とを備えている。なお、ケース１、ベース２、スライダー４、操作ボタン５、ストッパー６は、共に樹脂成形体からなるが、樹脂以外でも差し支えない。以下、各部材構造を組立要領とともに明らかにする。

ケース１は、図２及び図３に示されるごとく手前側を開口した偏平な半円盤状となっており、内空洞が上下壁１０，１１及び周壁１２にて区画されているとともに、前開口が矩形の枠部１３で縁取りされている。上下壁１０，１１には、軸穴１０ａ，１１ａが前側の左右中間に設けられている。周壁１２には、両側に突出している取付部１４と、各取付部１４の後側に突出している板ばね用固定部１５と、各固定部１５の手前側を開口している窓部１６と、一方窓部１６の下側でかつ枠部１３に接近した箇所を開口している係合穴１７とが設けられている。各固定部１５には板ばね１８がそれぞれ固定されている。各板ばね１８は、略長方形の金属板であり、一端１８ａが固定部１５に対しねじ１９で固定された状態で、弾性係止部となる他端１８ｂが窓部１６からケース１内に突出される。

以上のケース１は、保持具９を反転可能に枢支した状態で、例えば、車室側のインストルメントパネル、又は、コンソールボックスの側壁などに設けられる凹所に配置されるとともに、両側の取付部１４を利用して装着されることになる。この場合、保持装置としては、ケース１を省略して、ケース１に相当する形状を前記したインストルメントパネルやコンソールボックスの側壁などに直接形成することも可能である。

保持具９のうち、ベース２は、本体２０及びカバー３０からなり、概略形状がケース１の手前側開口にほぼ隙間なく収まる大きさとなっている。本体２０は、Ｌ形の水平部に対応しケース左右に延びて物品Ｋを配置する配置部２１と、Ｌ形の垂直部に対応しケース前後方向に配置される固定挟持部２２とからなる。

配置部２１は、左右の略中間より自由端に向かって上下部分を除いて略コ形に切り欠かれた案内溝２１ａと、案内溝２１ａ側の上側端面に設けられて板ばね１８の他端１８ｂと解除可能に係合される凹部２１ｂと、上下壁部２３，２４の中間にそれぞれ設けられている軸部２５と、物品Ｋを配置する側にあって案内溝２１ａを挟んだ上下部分に貼着されているクッション材７と、カバー３０で覆われる側にあって上壁部２３と間隔を保って略平行に設けられている上支持壁２６、及び下壁部２４と間隔を保って略平行に設けられている下支持壁２７と、基端側（固定挟持部２２の手前側）に突設されている縦壁部２８と、縦壁部２８に設けられている矩形開口２８ａ及び小窓部２８ｂとを有している。

固定挟持部２２は、挟持面にクッション材８を貼着しているとともに、外側面を略凹状部２９に形成している。クッション材８は厚肉のウレタンなどからなり、両面接着テープなどを介して取り付けられている。凹状部２９は、区画している上下壁部に設けられて同軸線上に貫通している孔２９ａと、凹状部２９の内底面の先端側に設けられている意匠兼目印用の凹凸部２９ｂとを有している。

一方、カバー３０は、外面３１、内面３２、上下辺３３，３４により配置部２１に重ねられる大きさの矩形に区画されており、上下辺３３，３４の左右中間に設けられて各軸部２５と嵌合する軸孔３５、及び片側に設けられて上下の孔２９ａに重ねられる孔３６ａ付きの突片部３６と、内面３２にあって上辺３３と間隔を保って略平行に設けられている上支持壁３７、及び下辺３４と間隔を保って略平行に設けられている下支持壁３８、並びに上支持壁３７と下支持壁３８との間の中央部に突設された軸部３９と、下辺３４と下支持壁３８との間にあって一端側に連通している逃部３２ａとを有している。外面３１は、意匠面であり、必要に応じて右上の表示部３１ａのごとく「Ｐｕｓｈ」と表示されている。

ここで、案内溝２１ａ及び上支持壁２６と下支持壁２７との間、並びに上支持壁３７と下支持壁３８との間は、スライダー４の摺動をガイドする箇所である。上下の軸部２５は、カバー側の対応する軸孔３４を介してケース側の対応する軸穴１０ａ，１１ａと嵌合される。つまり、各軸部２５は、軸穴１０ａ，１１ａと共にベース２をケース１に対して反転可能に支持する枢支部を構成している。クッション材７はフエルトなどからなり、物品を弾性的に受け止めるようにして擦り傷などが不用意に生じないよう保護する。上壁部２３と上支持壁２６との間には、スライダー４に作用する付勢部材Ｓ1であるコイルばねが配置される。下壁部２４と下支持壁２７との間及び下辺３４と下支持壁３８との間には、ストッパー６が小窓部２８ｂ及び逃部３２ａを通って外へ出没可能に配置されるとともに、そのストッパー６に作用するばね部材Ｓ2であるコイルばねが配置される。本体２０側の上支持壁２６と下支持壁２７との間及び矩形開口２８ａ並びに凹状部２９（カバー３０側の上支持壁３７と下支持壁３８との間）には、操作ボタン５が後述するシャフト３を支点として揺動可能に配置される。

スライダー４は、配置部側案内溝２１ａに沿って摺動される可動部４０、及び可動部４０の一端側に設けられて物品を固定挟持部２２との間に挟持する可動挟持部４１、並びに可動部４０の背面に設けられている歯部４５を有している。可動部４０には、上面長手方向に設けられた細いガイド部４２と、ガイド部４２の固定挟持部２２側の端部に設けられた凸形のバネ用受部４３と、下面の固定挟持部２２と反対側の端部に設けられた凸形の付き当て用受部４４とが設けられている。可動挟持部４１には、挟持面にクッション材８が貼着されるとともに、操作面に凹凸部４７が設けられている。クッション材８は、ベース２側のクッション材８と同様にクッション材７より厚肉のウレタンなどからなり、物品が弾性的に受け止められることで固定挟持部２２と可動挟持部４１との間に確実に挟持されるようにする。凹凸部４７は意匠兼滑り止め用として機能する。歯部４５は上側の歯４５ａと下側の歯４５ｂとの２段構成である。歯４５ａは、垂直の歯形状であり、歯４５ｂは非垂直つまり所定の傾斜角になった歯形状である。

以上のスライダー４は、ベース２に対し可動部４０を案内溝２１ａに配置した状態から、付勢部材Ｓ1であるコイルばねが上記した上壁部２３と上支持壁２６との間にあって一端を縦壁部２８に係止し、他端を受部４３に係止した態様で組み込まれる。また、上記した下壁部２４と下支持壁２７との間及び下辺３４と下支持壁３８との間には、ストッパー６が小窓部２８ｂ及び逃部３２ａを通って外へ出没可能に配置されるが、その際、には受部４４をストッパー６の基端受部６ｂの内側に配置した態様からストッパー６に作用するコイルばねであるばね部材Ｓ2が基端受部６ｂの外面と本体２０の対応端面部との間に配置される（図５～図７の各（ｄ）を参照）。

すなわち、付勢部材Ｓ1は、スライダー４が可動挟持部４１を固定挟持部２２に近づく方向に摺動されるとき付勢力を蓄積し、その蓄積された付勢力によりスライダー４を初期位置（可動挟持部４１が固定挟持部２２から最も離れた状態）に摺動する。ストッパー６は、本体６ａの一端側をＬ形にした基端受部６ｂと、本体６ａの他端側を細くして係合穴１７に出没可能にした先端爪部６ｃとを有している。そして、このストッパー６は、ベース２に対しスライダー４と同方向へ摺動可能に配置されて、図７（ｄ）のごとくスライダー４を挟持幅を狭める方向へ動かしたときにスライダー側受部４４による規制が解放され、これによりばね部材Ｓ2の付勢力により摺動されてケース１に設けられた係合穴１７と係合してベース２の使用位置から収納方向への反転を阻止し、かつ、スライダー４が付勢部材Ｓ1の付勢力により固定挟持部２２から離れる方向へ摺動されるのと連動して係合穴１７との係合を解除する方向へ摺動される。

操作ボタン５は、アーム部５０及びアーム部５０の一端に突設された操作部５１を有している。アーム部５０は、内側空洞５４で細長形状となっており、自由端の手前側面に突設された係合部５２と、係合部５２の端面に設けられた爪部５３と、空洞５４の中間部に設けられたバネ用配置部５５と、配置部５５の奥を貫通形成した孔部５６とを有している。爪部５３は、歯部４５と噛合する歯形状で、上側の歯５３ａと下側の歯５３ｂとの２段構成であり、かつ、歯５３ａは垂直の歯形状、歯５３ｂは非垂直つまり所定の傾斜角となった歯形状となっている。操作部５１は、ベース本体側の凹状部２９に収まる形状からなり、上下面を貫通した軸孔５７及び先端の外面側に設けられた凹凸部５８を有している。凹凸部５８は意匠兼滑り止め用として機能する。

以上の操作ボタン５は、アーム部５０が上支持壁２６と下支持壁２７との間及び矩形開口２８ａに配置されると、操作部５１が凹状部２９に収まる。この状態で、カバー３０が本体２０に位置決め配置される。その際には、カバー側の各突片部３６が上壁部２３と操作部５１及び下壁部３４と操作部５１との間に差し込まれ、カバー側軸部３９が付勢ばねＳ3であるコイルばね内を通って孔部５６に嵌合される。そして、本体２０とカバー３０とは、上下の軸部２５が対応する軸孔３５に嵌合突出され、同時に、シャフト３が一方孔２９ａ、突片部側孔３６ａ、軸孔５７、突片部側孔３６ａ、他方孔２９ｂに挿通されるとともに、重合方向に密接操作されると一体化される。すなわち、この形態において、本体２０とカバー３０とは、一端側がシャフト３で、中間部が軸部２５と軸孔３５との嵌合で、他端側が不図示の係合構造で連結されるようになっている。

保持具９は以上のようにして組み立てられる。組立状態において、操作ボタン５は、図６（ｂ），（ｃ）のごとく付勢ばねＳ3により逆時計回りの方向へ回転付勢されて、爪部５３がスライダー側歯部４５と係合している。このため、スライダー４は、爪部５３と歯部４５との係合により摺動規制されている。そして、以上の保持具９（ないしはベース２）は、ケース１に対し、上下の軸部２５を上下面１０，１１の軸孔１０ａ，１１ａに嵌合することにより組み付けられて、各軸部２５及び軸孔１０ａ，１１ａからなる枢支部を支点として、固定挟持部２２及び可動挟持部４１を突出している側と反対側の表面、つまりカバー外面３０によりケース開口を塞ぐ収納位置と、固定挟持部２２及び可動挟持部４１を突出している側をケース開口から露出する使用状態とに反転切換可能となっている。

（作動）次に、保持具９をケース１を介して車両のインストルメントパネルに装備した場合を想定して、その作動特徴を明らかにする。なお、ケース１は、通常、車両のインストルメントパネルやコンソールなどの適宜な箇所に埋設状態に装着される。

（ア）図１及び図４の各（ａ）と図５は保持具９がケース１に収まった収納位置での状態を示している。この収納位置において、保持具９は、図５（ａ）に表れるごとく板ばね１８の他端１８ｂがベース本体側の凹部２１ｂと嵌合しその状態に保持されている。
（イ）図１及び図４の各（ｂ）と図６は保持具９が以上の収納位置から、操作者の指でカバー外面３０を介して押し操作され、他端１８ｂに対する凹部２１ｂの嵌合を弾性的に解除するとともに、逆時計回り方向へ略１８０度回転した状態（使用位置）を示している。なお、この構造では、保持具９が収納位置から使用位置に切り換えられると、更に同方向へ回転されないよう不図示の係止手段で規制されるようになっている。このため、保持具９は、再び使用位置から収納位置に切り換えるときは図の左側を押して時計回り方向へ回転操作することになる。

（ウ）図６（ｃ）は保持具９が使用位置において物品の一例としての携帯電話機Ｋを挟持する場合の操作要領を示し、図７と図８は携帯電話機Ｋを保持具９に挟持した状態を示している。すなわち、以上の保持具９は、収納位置から使用位置に切り換えられた段階において、スライダー４が爪部５３と歯部４５との係合により摺動規制されている。このため、携帯電話機Ｋを挟持させるには、図６（ｃ）のごとく操作部５１を付勢ばねＳ3の付勢力に抗して矢印ａの方向へ押し操作する。すると、操作ボタン５は、シャフト３を支点として時計回りの方向つまり矢印ｂの方向へ回転され、それにより爪部５３が歯部４５から係合解除される。操作者は、この状態を保ちながら、可動挟持部４１が配置部２１（のクッション材７上）に配置された携帯電話機Ｋの対応側面に当たるまでスライダー４を付勢部材Ｓ1の付勢力に抗して矢印ｃの方向へ摺動操作する。

（エ）その状態で、操作ボタン５は、操作部５１から指を離して押し力が解放されると、付勢ばねＳ3により逆時計回りの方向へ回転付勢されて、爪部５３がスライダー側歯部４５の対応する箇所に係合する。この構造では、爪部５３がスライダー側歯部４５と同様な上下の歯５３ａ，５３ｂの２段構成であるため互いの噛み合いのずれ、それに起因した誤作動を阻止して確実な係合が得られる。そして、スライダー４は、爪部５３が歯部４５に係合している限り位置固定される。その結果、携帯電話機Ｋは、固定挟持部２２と可動挟持部４１との間に挟持される。この挟持状態は、両側のクッション材８の弾性力も加わって確実化され、操作ボタン５を再び押さない限り維持される。
（オ）同時に、この構造では、スライダー４が図６（ｃ）に示した矢印ｃの方向へ摺動されると、図７（ｃ）のごとく携帯電話機Ｋを固定挟持部２２と可動挟持部４５との間に挟持する操作に連動して、ストッパー６がばね部材Ｓ2の付勢力により自動的にケース側係合穴１７の方向へ動かされて該係合穴１７と係合する。このため、保持具９は、収納方向へ押されても、ストッパー側先端爪部６ｃと係合穴１７との係合により不用意な反転及びそれに起因した故障などが未然に防止される。なお、この構造では、携帯電話機Ｋが図８のごとく上下の一方側を固定挟持部２２と可動挟持部４５との間に挟持されるが、図８（ｂ）のごとく下方の保持部Ｍで下側部分を受け止めるようにしてもよい。

（カ）挟持した携帯電話機Ｋを再び取り出すときは、操作ボタン５を操作部５１に指を当てて付勢ばねＳ3の付勢力に抗して押す。すると、スライダー４は、歯部４５が爪部５３から係合解除されて、付勢部材Ｓ1の付勢力により元の図６の初期位置に摺動されるため、携帯電話機Ｋに対する拘束を解放する。その後、保持具９は、図６の使用位置から、操作者の指でカバー外面３０を介して押すだけで、凹部２１ｂが他端１８ｂに弾性嵌合されて収納位置に保持される。また、この構造では、保持具９がケース１に対して反転切換方式を採用することで図６や図７の状態において、引出構造に比べ突出部分を抑えることができ、それにより簡易化及び安全性にも優れている。

なお、本発明は、請求項で特定される構成を実質的に備えておればよく、細部はこの形態を参考にして変更したり展開可能である。その一例は、以上の形態ではケースを用いたが、保持具を配置する装置側にケース対応部を形成することである。
　２００９年１２月２日に出願された日本国特願２００９－２７４１４５号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims

  物品用配置部を有したベースと前記ベースに摺動可能に配されたスライダー及び前記スライダーを付勢する付勢部材を備えて物品を着脱自在に挟持する保持装置において、
  前記ベースは、前記配置部の一端側に設けられている固定挟持部、及び枢軸部を介して揺動可能に支持された操作ボタンを有し、
  前記スライダーは、前記物品を前記固定挟持部との間に挟持する可動挟持部、及び摺動方向に沿って設けられている歯部を有し、
  前記操作ボタンは、前記枢軸部を挟んだ一端側の操作部、及び他端側に設けられて前記スライダーの歯部と係脱する爪部を有しているとともに、常時は付勢ばねで付勢されて前記爪部が前記歯部と係合した状態でスライダーの摺動を規制し、前記操作部の前記付勢ばねの付勢力に抗した操作により前記係合を解除して前記スライダーを前記付勢部材の付勢力に抗して摺動可能にする、ことを特徴とする保持装置。
前記ベースは、ケースに対し、前記固定挟持部を突出している側と反対側の表面でケース開口を塞ぐ収納位置と、前記固定挟持部を突出している側をケース開口から露出する使用状態とに枢支部を介して反転切換可能となっているともに、前記収納位置及び使用状態で共に解除可能に弾性係止されることを特徴とする請求項１に記載の保持装置。
前記ベースに対し前記スライダーと同方向へ摺動可能に配置されて、ばね部材の付勢力により摺動されて前記ケースに設けられた係合穴と係合することで前記ベースの使用状態から収納位置への反転を阻止し、かつ、前記スライダーが前記付勢部材の付勢力により前記固定挟持部から離れる方向へ摺動されるのと連動して前記係合穴との係合を解除する方向へ摺動されるストッパーを有している請求項２に記載の保持装置。
前記爪部は、前記歯部と噛合する歯形状で、かつ上側の歯と下側の歯との２段構成となっていることを特徴とする請求項１から３の何れかに記載の保持装置。
前記固定挟持部又は／及び可動挟持部は、挟持面に添設されたクッション材を有し、前記物品を前記クッション材を介して弾性保持することを特徴とする請求項１から４の何れかに記載の保持装置。