WO2011062150A1

WO2011062150A1 - 傘保持装置およびこれに用いられる解除装置

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Publication number: WO2011062150A1
Application number: PCT/JP2010/070341
Authority: WO
Inventors: 孝夫岩井; 記希海瀬
Original assignee: 株式会社テラモト
Priority date: 2009-11-18
Filing date: 2010-11-16
Publication date: 2011-05-26
Also published as: JP5479040B2; TW201127312A; JP2011106168A; TWI510204B

Abstract

　ケースに組み込まれるダイヤル作動部と、ケースの外側に形成された傘の柄引っ掛け部と、傘の柄引っ掛け部の前方に位置する開口を開閉可能とするシャッタからなり、ダイヤル作動部は、複数枚の円盤状のダイヤルと、それに対応して同芯状に配されたカムと、作動プレートからなり、カムは一箇所に扁平面が形成された円弧状カム面を有し、作動プレートは、全てのカムの扁平面に当接する第１状態と、少なくとも１つのカムの円弧状カム面に当接する第２状態とでき、シャッタ軸は、作動プレートが前記第２状態にあるときに閉位置で、作動プレートが前記第１状態にあるときに開位置で、ケースには、解除ピンを差し込むための差し込み孔が形成され、円弧状カム面には、解除ピン嵌入孔が形成され、各解除ピン嵌入孔は、扁平面が作動プレートに当接可能な回転位置を各カムがとるときに、各差し込み孔に差し込まれた各解除ピンの先端が解除ピン嵌入孔に嵌入される傘保持装置。

Description

傘保持装置およびこれに用いられる解除装置

　本発明は、傘立てに取り付けられ傘立てに立てられる傘の柄の部分を保持する傘保持装置、およびこれに用いられる解除装置に関する。

　従来、この種の傘保持装置としては、例えば特許文献１に開示されている符号錠が組み合わされたものが知られている。この特許文献１における符号錠は、外周面に符号が設けられた複数の外リングと、外リングの内側に嵌められる内リングとを備え、これらがケース内に収納されている。内リングは、外リングに対して相対回転可能に嵌められ、支持軸により回動自在に支持されている。上記外リングの内周面と上記内リングの外周面は、共回り可能な摩擦係数をもって接触している。上記内リングの側面には切欠部が形成されており、上記ケース内には、上記切欠部に係合可能な爪を有する係合部材が上記支持軸の軸方向にスライド自在に設けられている。係合部材の一端には、上記爪が切欠部から離脱したときに扉に係合する係合片が設けられている。上記内リングには、外周において上記軸方向に延びる溝が形成されたボスが設けられている。ケース内には、各ダイヤル（外リング）に対応してボスの溝に係合する係合部を備えた脚が設けられている。ケースにはまた、上記脚を押し上げる鍵板を挿入するための鍵孔が形成されている。

　上記構成の傘保持装置においては、暗証番号を忘れた場合、鍵孔に鍵板を挿入し、脚を押し上げながら各外リングを一回転以上回転させる。ここで、ボスに係合部が当接しつつ、外リングと共に内リングが回転し、ボスの溝と係合部の位置が一致したとき、溝に係合部が係合する。このとき、上記切欠部と上記爪の位置が一致しており、扉を開くことができる。

　しかしながら、上記従来の傘保持装置では、暗証番号を忘れた場合の非常解除用として、ケース内に上記した脚を設ける必要があった。その結果、部品点数が多くなり、コストアップになるという問題があった。

特開平９－７２１３５号公報

　本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものである。本発明の目的は、暗証番号を忘れた場合に非常解除するための機構を簡素化してコストダウンを図ることが可能な傘保持装置、およびこの傘保持装置に用いられ、非常解除時の作業性に優れた解除装置を提供することにある。

　上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。

　本発明の第１の側面によって提供される傘保持装置は、ケースと、上記ケースの中に組み込まれるダイヤル作動部と、上記ケースの外側に形成された傘の柄引っ掛け部と、上記傘の柄引っ掛け部の前方に位置する開口を開閉可能とするシャッタと、を備え、上記ダイヤル作動部は、複数枚の円盤状のダイヤルと、一箇所に扁平面が形成された円弧状カム面を有し、上記各ダイヤルに対応して同芯状に配されるとともに上記各ダイヤルの回転に連動して回転しうる複数のカムと、全ての上記カムの上記扁平面に当接する第１状態と上記複数のカムのうち少なくとも１つのカムの上記円弧状カム面に当接する第２状態との間で作動する作動プレートと、を備えており、上記シャッタは、上記作動プレートが上記第２状態にあるときに閉位置をとり、上記作動プレートが上記第１状態にあるときに開位置をとるように構成された傘保持装置であって、上記ケースには、上記各カムに対応させて解除ピンを差し込むための差し込み孔が形成され、上記各カムの上記円弧状カム面には、解除ピン嵌入孔が形成されており、上記各解除ピン嵌入孔は、上記扁平面が上記作動プレートに当接可能な回転位置を上記各カムがとるときに、上記各差し込み孔と同一軸線状に位置し、上記ケース内に差し込まれた上記各解除ピンの先端が当該解除ピン嵌入孔に嵌入されるように構成されていることを特徴としている。

　本発明の第２の側面によって提供される解除装置は、本発明の第１の側面に係る傘保持装置に用いられる解除装置であって、上記ダイヤルの数に合う本数の上記解除ピンと、上記各解除ピンを長さ方向に往復動自在に差し込みつつ抜け止め状態で支持する摘みと、上記摘み内に設けられ、上記各解除ピンを上記摘みから突出する方向に付勢する付勢手段と、を備えることを特徴としている。

　本発明の第１の側面において、好ましくは、上記ダイヤルの数に合う本数の上記解除ピンと、上記各解除ピンを長さ方向に往復動自在に差し込みつつ抜け止め状態で支持する摘みと、上記摘み内に設けられ、上記各解除ピンを上記摘みから突出する方向に付勢する付勢手段と、を備える、解除装置をさらに含む。

本発明の一実施の形態における傘保持装置の分解斜視図である。ダイヤルの拡大斜視図である。図２Ａとは異なった方向から見たダイヤルの拡大斜視図である。カムの拡大斜視図である。図３Ａとは異なった方向から見たカムの拡大斜視図である。ダイヤルおよびカムと作動プレートを組み合わせた状態の斜視図である。図４Ａとは異なった方向から見た、ダイヤルおよびカムと作動プレートを組み合わせた状態の斜視図である。作動プレートにダイヤルおよびカムを組み合わせた状態で上側ケース体に組み込んだ状態を上側ケース体を上下反転して見た斜視図である。摘み付きのシャッタ軸を下側ケース体に組み込んだ状態を示す斜視図である。上下のケース体を組み合わせて完成した傘保持装置を前方から見た斜視図である。上下のケース体を組み合わせて完成した傘保持装置を後方から見た斜視図である。シャッタ軸が開いている状態での傘保持装置の正面断面図である。シャッタ軸が開いている状態での傘保持装置の側面断面図である。シャッタ軸が閉じて傘の柄が引っ掛けられている状態での傘保持装置の斜視図である。シャッタ軸が閉じて傘の柄が引っ掛けられている状態での傘保持装置の正面断面図である。シャッタ軸が閉じている状態での傘保持装置の側面断面図である。傘保持装置が横方向に多数並べて設けられた傘立ての斜視図である。３本の解除ピンを備えた解除装置（マスターキー）の斜視図である。マスターキーの解除ピンの先端がカムの円弧状カム面に当接した状態を示す断面図である。マスターキーの解除ピンの先端がカムの解除ピン嵌入孔に嵌入して作動プレートがほぼ水平状態に戻った状態を示す断面図である。

　以下、本発明の一実施の形態を、図１～図１７を用いて具体的に説明する。

　図１、図７において、図示された傘保持装置は、上下に２分割されて作られた合成樹脂製の上側ケース体２および下側ケース体３を組み合わせてなるケース１を備える。ケース１を正面から見て右側において、上側ケース体２にダイヤル作動部４が組み込まれている。上側ケース体２の上部には、開口部８，９，１０が形成されている。開口部８，９，１０は、ダイヤル作動部４の後述する３枚の円盤状のダイヤル５，６，７の上部を嵌入して上方に突出させるものである。ケース１の外側には、正面から見て左側の後端部において傘の柄引っ掛け部１１が一体に形成されている。図７に表れているように、この傘の柄引っ掛け部１１に対するケース１の前端部は開口しており、この前端部が開口状態にあるとき、傘の柄引っ掛け部１１に対して傘の柄１２を引っ掛けることができる。図６に表れているように、下側ケース体３には、丸軸状のシャッタ軸１３が取り付けられている。シャッタ軸１３は、傘の柄引っ掛け部１１に傘の柄１２が引っ掛けられた傘１４を取り外せないようにするものである。シャッタ軸１３の一端には、操作用の摘み１５が結合されている。図６、図７においては、ケース１の前端部の上記開口が開いた状態にあり、シャッタ軸１３は、ケース１の右寄りに位置して開位置をとっている。シャッタ軸１３を左側にスライドさせると、ケース１の上記開口が閉じて傘１４が取り外せないようになる。このとき、図７、図１１から理解されるように、シャッタ軸１３の先端は、上下のケース体２，３の左側板部の合わせ目に形成された凹部１６に嵌り込んで閉位置をとっている。また、シャッタ軸１３は、閉位置をとるとき、ダイヤル作動部４の作動（詳細については後述する）によりロック状態とすることができる。なお、シャッタ軸１３および摘み１５は、例えば合成樹脂材料によって一体形成されている。

　図１～図４に表れているように、ダイヤル作動部４は、３枚のダイヤル５，６，７と、これらダイヤル５，６，７のそれぞれに対応するカム１７，１８，１９と、ダイヤル軸２０と、作動プレート２１とを備えている。カム１７，１８，１９は、ダイヤル５，６，７に対してそれぞれ嵌入してダイヤル５，６，７の軸芯方向に移動可能である。ダイヤル軸２０は、カム１７，１８，１９の軸孔１７ａ，１８ａ，１９ａに挿通されてカム１７，１８，１９およびダイヤル５，６，７を回転自在に支持する。作動プレート２１は、３枚並んだダイヤル５，６，７の下部を嵌入させる開口部２１ａ，２１ｂ，２１ｃを有する。ダイヤル５，６，７が開口部２１ａ，２１ｂ，２１ｃに嵌入すると、カム１７，１８，１９は、作動プレート２１に載るように当接する。作動プレート２１の先端には、下向きに突出する突出片２１ｅが設けられている。

　さらに詳しくは、図２Ａ、図２Ｂに表れているように、各ダイヤル５，６，７の回転中心には、ダイヤル５，６，７の厚み方向に小径の孔部５ａ，６ａ，７ａと大径の孔部５ｂ，６ｂ，７ｂが並んで形成されている。小径の孔部５ａ，６ａ，７ａの内周面には、周方向に等間隔おきに多数の凹部５ｃ，６ｃ，７ｃが形成されている。

　図３Ａ、図３Ｂに表れているように、カム１７，１８，１９は、ダイヤル５，６，７の小径の孔部５ａ，６ａ，７ａに嵌入する小径部１７ｃ，１８ｃ，１９ｃと、大径の孔部５ｂ，６ｂ，７ｂに嵌入する円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅとを備える。小径部１７ｃ，１８ｃ，１９ｃの外周には、上記凹部５ｃ，６ｃ，７ｃよりも粗いピッチで凹部５ｃ，６ｃ，７ｃと嵌合する凸部１７ｂ，１８ｂ，１９ｂが形成されている。円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅは、一箇所に扁平面１７ｄ，１８ｄ，１９ｄが形成されている。各カム１７，１８，１９の厚み（軸芯方向の寸法）は、各ダイヤル５，６，７の厚みよりも厚くされている。

　図１、図４Ａ、図４Ｂに表れているように、ダイヤル軸２０は、回転支持軸部２０ａと作動軸部２０ｂとを備える。回転支持軸部２０ａは、カム１７，１８，１９の軸孔１７ａ，１８ａ，１９ａに挿通される部分である。作動軸部２０ｂは、回転支持軸部２０ａの一端に連設され、回転支持軸部２０ａに対して直角である下方に延びている。また、回転支持軸部２０ａの他端には、Ｅリング２２が嵌められている。回転支持軸部２０ａが嵌められた３枚のカム１７，１８，１９は、作動軸部２０ｂとＥリング２２との間で互いに重なりあった状態となり、作動プレート２１に対してダイヤル軸２０の軸芯方向の動きに連動するように構成されている。

　図１、図５に表れているように、作動プレート２１は、後端部において回転軸部２１ｄを有する。この回転軸部２１ｄは、上側ケース体２の内部の軸受部２３に嵌り込み、上側ケース体２と下側ケース体３との間で挟まれた状態で支持される。上側ケース体２の後端部には、ばね２４が巻き付けるようにして設けられており、作動プレート２１は、ばね２４によってカム１７，１８，１９に当接するように上向きに付勢されている。図１０に表れているように、作動プレート２１に全てのカム１７，１８，１９の扁平面１７ｄ，１８ｄ，１９ｄが当接した状態（第１状態）では、作動プレート２１は、ほぼ水平状態となる。図１３を参照すると理解されるように、作動プレート２１に少なくとも１つのカム１７，１８，１９の円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅが当接した状態（第２状態）では、作動プレート２１は、ばね２４の力に抗して前端部（図中における左側）が押し下げられた傾斜状態になる。

　カム１７，１８，１９の上記第１状態と第２状態とを切り替える動作は、カム１７，１８，１９の小径部１７ｃ，１８ｃ，１９ｃがダイヤル５，６，７の小径の孔部５ａ，６ａ，７ａに嵌入し且つ凸部１７ｂ，１８ｂ，１９ｂが凹部５ｃ，６ｃ，７ｃに嵌合した状態でのダイヤル５，６，７の回転により行う。凸部１７ｂ，１８ｂ，１９ｂが凹部５ｃ，６ｃ，７ｃに嵌合した状態にする操作は、摘み１５を摘んで、シャッタ軸１３を、ケース１の前端部の上記開口を閉じるようにスライドさせることにより行う。ここで、図１２から理解されるように、摘み１５の最終移動点直前において摘み１５がダイヤル軸２０の作動軸部２０ｂに当接し、その後摘み１５が最終移動点まで僅か移動することにより、摘み１５の移動方向にダイヤル軸２０が押されてカム１７，１８，１９が同方向に移動する。そして、凸部１７ｂ，１８ｂ，１９ｂが凹部５ｃ，６ｃ，７ｃに嵌合するとともにカム１７，１８，１９の円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅがダイヤル５，６，７の大径の孔部５ｂ，６ｂ，７ｂに嵌合した状態となる。この状態において各ダイヤル５，６，７を回すと、各カム１７，１８，１９も連動して回転する。

　そして、図１３を参照して上述したように、作動プレート２１が上記第２状態をとることにより前端部がばね２４の力に抗して押し下げられると、作動プレート２１の先端の下向きの突出片２１ｅが摘み１５の背面に当接する。図６に表れているように、摘み１５と下側ケース体３の壁面３ａとの間には、ばね２５が設けられている。ばね２５は、支持軸２５ａ（図１参照）の外側に配され、シャッタ軸１３と平行とされている。シャッタ軸１３は、ばね２５によって開位置（ケース１の上記開口が開いた状態）に戻ろうとする方向に付勢されている。ここで、上記のように作動プレート２１の突出片２１ｅが摘み１５の背面に当接すると、シャッタ軸１３は、ばね２５の力に抗して閉位置で止まる。図１、図９、図１２から理解されるように、上側ケース体２の内部には、板ばね２６が設けられている。板ばね２６は、摘み１５によるダイヤル軸２０の押し付けが解除された後、ダイヤル軸２０を元の位置（即ちカム１７，１８，１９の凸部１７ｂ，１８ｂ，１９ｂが凹部５ｃ，６ｃ，７ｃから抜け出た状態）に戻すためのものである。

　なお、図２Ａ、図２Ｂに表れているように、ダイヤル５，６，７の外周には、０～９までの数字による表示部５ｄ，６ｄ，７ｄが等ピッチで設けられている。表示部５ｄ，６ｄ，７ｄの各数字は、暗証番号を構成するものである。ダイヤル５，６，７において隣り合う表示部５ｄ，５ｄ間、６ｄ，６ｄ間、７ｄ，７ｄ間には、凹部５ｅ，６ｅ，７ｅが形成されている。図１０に表れているように、下側ケース体３の内部には、樹脂製の弾性片２７，２８，２９が取り付けられている。弾性片２７，２８，２９は、ダイヤル５，６，７の凹部５ｅ，６ｅ，７ｅの１つに先端が嵌り込み、ダイヤル５，６，７の回転時のクリック感を出すためのものである。

　上記のダイヤル作動部４は、上側ケース体２に組み込まれ、上下のケース体２，３を組み合わせることにより、ダイヤル５，６，７の上部の表示部５ｄ，６ｄ，７ｄは、開口部８，９，１０から上方に突出する。シャッタ軸１３の摘み１５は、下側ケース体３から前方に突出し、シャッタ軸１３は、上側ケース体２と下側ケース体３との間で支持される。上下のケース体２，３の左側板部の合わせ目には凹部１６が形成され、ケース１の左側後端部に傘の柄引っ掛け部１１を有する傘保持装置が完成する。

　上記構成の傘保持装置は、図１４に示すように、例えば横方向に多数並べて設けられる。例えば１つの傘保持装置によって傘１４を保持する場合は、傘の柄１２を傘の柄引っ掛け部１１に引っ掛け、かかる状態で開口部８，９，１０から突出して外部から見える３枚のダイヤル５，６，７の表示部５ｄ，６ｄ，７ｄを所望の暗証番号に合わせる。その後、図１１に表れているように、摘み１５を摘んでシャッタ軸１３をケース１の左側にスライドさせて、傘の柄引っ掛け部１１に対するケース１の前端部の上記開口を閉じる。ここで、図１２を参照して上述したように、摘み１５のスライドに連動してダイヤル軸２０が移動し、カム１７，１８，１９の凸部１７ｂ，１８ｂ，１９ｂがダイヤル５，６，７の凹部５ｃ，６ｃ，７ｃに嵌り込む。次に、３枚のダイヤル５，６，７の少なくとも１枚を回すと、図１３を参照して上述したように、カム１７，１８，１９の円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅが作動プレート２１に当接し（第２状態）、作動プレート２１の前端部が下向きに押し下げられる。これにより、作動プレート２１の突出片２１ｅが摘み１５の背面に当接し、シャッタ軸１３がケース１の左側における前端部の開口を開いた元の状態に戻ろうとするのが止められる。即ち、シャッタ軸１３は閉位置をとるとともにロック状態にあり、傘１４の保持状態となる。

　この傘１４の保持状態からケース１の左側における前端部の開口を開いて傘１４を取り出すときは、ダイヤル５，６，７を暗証番号に合わせるように回す。これにより、ダイヤル５，６，７に嵌り込むカム１７，１８，１９の扁平面１７ｄ，１８ｄ，１９ｄが作動プレート２１に当接し（第１状態）、作動プレート２１は、下向きからほぼ水平状態となるように戻る。このとき、作動プレート２１の突出片２１ｅは摘み１５の背面に当接しない位置まで上動する。これにより、シャッタ軸１３が閉位置をとったロック状態が解除され、摘み１５と共にシャッタ軸１３は、ばね２５によりケース１の左側における前端部の開口を開いた状態（開位置）に戻る。これと同時に、板ばね２６によってダイヤル軸２０とともにカム１７，１８，１９が元の状態に戻り、カム１７，１８，１９の凸部１７ｂ，１８ｂ，１９ｂが凹部５ｃ，６ｃ，７ｃから抜け出た状態となる。これにより、傘の柄引っ掛け部１１から傘１４を持ち上げて取り出すことができる。

　傘保持装置の通常の操作は以上述べた通りであるが、本実施形態の傘保持装置は、設定した暗証番号を忘れた場合のために非常解除できる機構を備えている。

　非常解除機構は、図３Ａに表された解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆと、図８、図１６に表された差し込み孔３０，３１，３２とを有する。解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆは、各カム１７，１８，１９の円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅに形成されており、扁平面１７ｄ，１８ｄ，１９ｄと平行で且つ軸孔１７ａ，１８ａ，１９ａに向かって延びている。解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆは、円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅにおけるカム１７，１８，１９の厚み方向全長にわたって形成されている。差し込み孔３０，３１，３２は、後述する解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃを挿入するためのものであり、上側ケース体２の後端面に形成されている。差し込み孔３０，３１，３２は、カム１７，１８，１９に対応する位置に設けられている。

　上記の非常解除機構は、図１５に示された解除装置（マスターキー３３）を用いて非常解除することができる。マスターキー３３は、直線状に延びる３本の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃと、これら解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃを支持する摘み３４とを備えている。３本の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃは、互いに平行となる姿勢でそれぞれの一端が摘み３４に抜け止め状態で支持されている。解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃは、一端が長さ方向に往復移動自在に差し込まれるとともに、摘み３４内に設けた付勢手段としてのばね３５ａ，３５ｂ，３５ｃによって摘み３４から突出する方向に付勢されている。

　解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃはまた、上記した差し込み孔３０，３１，３２に対応する位置関係とされており、差し込み孔３０，３１，３２を通じてケース１の内部に差し込むことができる。各ダイヤル５，６，７が暗証番号に合っているときには、各解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆは、各差し込み孔３０，３１，３２と同一軸線状に位置している（図１０参照）。そして、この状態で解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃをケース１内に差し込んでいくと、各解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端は、各解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆに嵌入される（図１７参照）。

　マスターキー３３を用いてロック状態にある傘保持装置を非常解除する手順について説明する。まず、図１６に表れているように、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃをケース１内に差し込みつつ、摘み３４を上側ケース体２の後端面に当接させる。ここで、各ダイヤル５，６，７が暗証番号に合っていない場合、カム１７，１８，１９は、扁平面１７ｄ，１８ｄ，１９ｄが作動プレート２１に当接可能な回転位置をとっておらず、作動プレート２１は、円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅによって押し下げられている。そして、解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆの向きが解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの差し込み方向と合致していない。したがって、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端は、解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆに嵌入することなく、円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅに当接する。このとき、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃは、ばね３５ａ，３５ｂ，３５ｃの力に抗して摘み３４側に後退させられており、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端は、ばね３５ａ，３５ｂ，３５ｃの力に抗してカム１７，１８，１９の円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅ側に押し付けられた状態を維持している。

　上記した図１６に示す状態から、ダイヤル５，６，７を１枚ずつ回すことにより、カム１７，１８，１９を回す。解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端と解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆが合致すると、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端は、ばね３５ａ，３５ｂ，３５ｃの力によって解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆに嵌入するように押し込まれる（図１７参照）。このとき、カム１７，１８，１９は、扁平面１７ｄ，１８ｄ，１９ｄが作動プレート２１に当接可能な回転位置をとる。また、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端が解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆに嵌入すると、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃは、先端側に移動する。このため、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端が解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆに嵌入したことは、外部から認識することができる。

　この操作を３枚のダイヤル５，６，７について行い、全ての解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端が解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆに嵌入させる。そうすると、図１７に表れているように、全てのカム１７，１８，１９の扁平面１７ｄ，１８ｄ，１９ｄが作動プレート２１に当接した状態（第１状態）となって、作動プレート２１は、ほぼ水平状態となる。これにより、作動プレート２１の突出片２１ｅは摘み１５から外れて、摘み１５と共にシャッタ軸１３は、ばね２５によりケース１の左側における前端部の開口を開いた状態（開位置）に戻る。

　このように、本実施形態の傘保持装置は非常解除機構を備えており、暗証番号を忘れた場合でも、マスターキー３３を用いて非常解除することができる。上記非常解除機構は、解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆおよび差し込み孔３０，３１，３２によって構成されており、非常解除のための部品等を必要としない。したがって、非常解除機構を簡素化することができ、コストダウンを図ることができる。また、マスターキー３３は、ダイヤル５，６，７の数に合う複数本（３本）の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃが摘み３４から突出する方向にばねにより付勢された構成とされている。これにより、３本の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃをケース１の差し込み孔３０，３１，３２から一度に差し込むとともに、カム１７，１８，１９の解除ピン嵌入孔１７ｆ，１８ｆ，１９ｆに解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの先端を順番に嵌入させることが可能であり、作業効率が向上する。

　上記した非常解除時の説明では、非常解除する前において、作動プレート２１は、３枚のダイヤル５，６，７に嵌り込んでいる全てのカム１７，１８，１９の円弧状カム面１７ｅ，１８ｅ，１９ｅによって下向きに押し付けられている。マスターキー３３の３本の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃにより全てのカム１７，１８，１９の扁平面１７ｄ，１８ｄ，１９ｄを作動プレート２１に当接させることにより、作動プレート２１がほぼ水平状態に戻されていた。作動プレート２１を下向きに押し付けているカム１７，１８，１９が１枚ないし２枚であって残りのカムの扁平面は作動プレート２１に対向している状態から非常解除する場合には、マスターキー３３の３本の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃの内、何れかは始めから扁平面が作動プレート２１に対向しているカムの解除ピン嵌入孔に先端が嵌入する。他のカムについて上記のようなダイヤルを回しながらの解除操作を行えばよい。

　以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明にかかる傘保持装置は上述した実施の形態に限定されるものではない。また、本発明にかかる傘保持装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。

　上記した実施形態では、上側ケース体２の後端面に形成された差し込み孔３０，３１，３２によりマスターキー３３の３本の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃを差し込んで非常解除を行うように構成されていた。これに代えて、上側ケース体２の前端面に差し込み孔を形成し、この差し込み孔よりマスターキー３３の３本の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃを差し込んで非常解除を行うように構成することも可能である。

　また、非常解除するために必ずしも３本の解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃを備えた上記のようなマスターキー３３を用いる必要はない。１本の解除ピンがあれば、１つのカム毎に解除ピンを押し付けながらダイヤルを回してカムの解除ピン嵌入孔に先端を嵌入させる操作を行えば、非常解除することができる。

　上記した実施形態では、マスターキー３３は、解除ピン３３ａ，３３ｂ，３３ｃを付勢するための付勢手段として、ばね３５ａ，３５ｂ，３５ｃを備えていた。付勢手段は、例えば弾性ゴムなどを用いた他の構成としてもよい。

Claims

　ケースと、上記ケースの中に組み込まれるダイヤル作動部と、上記ケースの外側に形成された傘の柄引っ掛け部と、上記傘の柄引っ掛け部の前方に位置する開口を開閉可能とするシャッタと、を備え、
　上記ダイヤル作動部は、複数枚の円盤状のダイヤルと、一箇所に扁平面が形成された円弧状カム面を有し、上記各ダイヤルに対応して同芯状に配されるとともに上記各ダイヤルの回転に連動して回転しうる複数のカムと、全ての上記カムの上記扁平面に当接する第１状態と上記複数のカムのうち少なくとも１つのカムの上記円弧状カム面に当接する第２状態との間で作動する作動プレートと、を備えており、
　上記シャッタは、上記作動プレートが上記第２状態にあるときに閉位置をとり、上記作動プレートが上記第１状態にあるときに開位置をとるように構成された傘保持装置であって、
　上記ケースには、上記各カムに対応させて解除ピンを差し込むための差し込み孔が形成され、
　上記各カムの上記円弧状カム面には、解除ピン嵌入孔が形成されており、
　上記各解除ピン嵌入孔は、上記扁平面が上記作動プレートに当接可能な回転位置を上記各カムがとるときに、上記各差し込み孔と同一軸線状に位置し、上記ケース内に差し込まれた上記各解除ピンの先端が当該解除ピン嵌入孔に嵌入されるように構成されていることを特徴とする、傘保持装置。
　請求項１に記載の傘保持装置に用いられる解除装置であって、
　上記ダイヤルの数に合う本数の上記解除ピンと、上記各解除ピンを長さ方向に往復動自在に差し込みつつ抜け止め状態で支持する摘みと、上記摘み内に設けられ、上記各解除ピンを上記摘みから突出する方向に付勢する付勢手段と、を備えることを特徴とする、解除装置。
　上記ダイヤルの数に合う本数の上記解除ピンと、上記各解除ピンを長さ方向に往復動自在に差し込みつつ抜け止め状態で支持する摘みと、上記摘み内に設けられ、上記各解除ピンを上記摘みから突出する方向に付勢する付勢手段と、を備える、解除装置をさらに含む、請求項１に記載の傘保持装置。