WO2011024806A1 - 難燃剤、その製造方法、及びそれを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃剤、その製造方法、及びそれを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

 高い難燃性付与効果を有し、かつ、ブリードアウトし難く、成形性加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物と、耐湿熱性、及び耐薬品性に優れた成形体とを与える熱可塑性樹脂用難燃剤、および、高い難燃性付与効果を有し、かつ、300℃以上の加工温度に対する耐熱性を有する難燃剤と、リフロー耐熱性及び耐薬品性に優れた成形体とを与える熱可塑性樹脂用難燃剤を提供することを目的とする。 本発明の難燃剤は、特定の、窒素含有化合物、及びリン含有化合物の反応生成物からなる熱可塑性樹脂用の難燃剤であって、トルエンに不溶であり、かつ、そのリン原子の含量が、5~10重量%である。前記難燃剤は、その重量平均分子量(Mw)が2,000~10,000であってもよいし、あるいは、難燃剤成分中の架橋成分の割合が1重量%以上であってもよい。

Description

難燃剤、その製造方法、及びそれを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物
 本発明は、難燃剤、その製造方法、及びそれを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
 近年、多くの合成樹脂材料がOA機器や家電製品のハウジングや部品、コネクター、自動車部品、建築材料、家庭用品、繊維製品等に用いられている。しかしながら、合成樹脂材料は、易燃性であるため、特に家電、電気およびOA関連部品では、火災に対する安全性を確保するために、難燃性が要求される例が多く、このため、種々の難燃剤の配合が検討されている。
 樹脂を難燃化する方法としては、臭素化ポリスチレンなどに代表されるハロゲン系難燃剤と、三酸化アンチモンなどに代表されるアンチモン系難燃助剤を併用添加する方法が従来公知であるが、燃焼時に有毒なガスを発生する疑いが持たれ、またハロゲン系難燃剤含有の樹脂組成物に対する規制が厳しくなりつつあり、非ハロゲン難燃剤の開発が活発化している。
 ハロゲン系難燃剤を用いずに樹脂組成物を難燃化する方法としては、金属水酸化物を用いる方法、リン化合物を用いる方法などがある。金属水酸化物を用いる方法では、多量に用いないと所望の難燃特性が得られ難く、また、多量に用いると、元来樹脂が持つ特性を低下させてしまうという問題があった。
 リン化合物を用いて樹脂を難燃化する方法としては、有機(縮合)リン酸エステル化合物を用いる方法、または赤燐を用いる方法が従来公知である。比較的低分子量の有機(縮合)リン酸エステルは揮発性、昇華性、耐熱性の点で不十分であり、また、樹脂組成物を高温下で長時間使用すると、難燃剤がブリードアウトする問題があった。赤燐は、樹脂組成物の乾燥中や成形中に有毒性のホスフィンガスを発生するという問題があった。
 さらに、300℃以上の加工温度を必要とする、高耐熱のナイロン樹脂においては、現状その加工温度に耐えうるリン系難燃剤はなく、唯一高耐熱と称されている、ジアルキルホスフィン酸の金属塩は、押出機や射出成形機のシリンダーやスクリューなどの金属部分を腐食させる問題があった。また、高耐熱ナイロン樹脂組成物は、コネクタ用途等に利用される場合、リフロー耐熱性に優れる必要性があるが、未だ、十分なリフロー耐熱性を発現するに十分な非ハロゲン難燃剤は得られていない。
 特許文献1には、トリアリル・イソシアヌレートを重合させてプレポリマーを得るに際し、重合開始剤と共に、重合調節剤として6H-ジベンズ[c、e][1,2]オキサホスフォリン(式量:216.17)をトリアリル・イソシアヌレートに対し重量基準で1~200%共存させることを特徴とする難燃性トリアリル・イソシアヌレートプレポリマーの製造方法が開示されている。
 また、特許文献2には特定の構造を有するリン含有化合物および非晶性樹脂との組み合わせからなる組成物において、ブリードアウト性が改善されているが、高湿熱下におけるブリードアウト性、物性低下には更なる改善の余地があった。
特開平02-182707号公報 国際公開第07/040075号パンフレット
 高い難燃性付与効果を有し、かつ、ブリードアウトし難く、成形性加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物と、耐湿熱性、及び耐薬品性に優れた成形体とを与える熱可塑性樹脂用難燃剤、および、高い難燃性付与効果を有し、かつ、300℃以上の加工温度に対する耐熱性を有する難燃剤と、リフロー耐熱性及び耐薬品性に優れた成形体とを与える熱可塑性樹脂用難燃剤を提供することである。
 本発明者らは、特許文献1の難燃性トリアリル・イソシアヌレートプレポリマーと同じ原料を用いながら、更に難燃性を向上しつつ、成形性を維持向上し、その成形体の耐薬品性を低下させない熱可塑性樹脂用の、即ち、加熱成形可能な樹脂組成物用の、添加剤として好ましい性質を付加した難燃剤として適用する方法につき鋭意検討を重ねた。また、同様に特許文献1の難燃性トリアリル・イソシアヌレートプレポリマーと同じ原料を用いながら、それ自体の難燃性のみならず、熱可塑性ポリマーに添加した際、難燃性を与えうる構造に設計し、その組成物からなる成形体のリフロー耐熱性および耐薬品性を低下させない熱可塑性樹脂用の、即ち、加熱成形用の樹脂組成物用の、添加剤として好ましい性質を付加した難燃剤として適用する方法につき鋭意検討を重ねた。
 その結果、本発明の製造方法で得られた特定のリン・窒素含有難燃性化合物を含む難燃剤とすることで、リン原子の含量を増やすことで難燃性付与効果に優れ、かつ、耐薬品性に優れた、より好ましい熱可塑性樹脂用の難燃剤が得られることを見出した。
 また、本発明の製造方法で得られた特定のリン・窒素含有難燃性化合物を含み、かつ、架橋構造を有する難燃剤とし、リン原子の含量を増やすことで難燃性付与効果に優れ、かつ、リフロー耐熱性、耐薬品性に優れた、より好ましい熱可塑性樹脂用の難燃剤が得られることを見出した。
 即ち、本発明は、下記構造式群(1)で表される窒素含有化合物、及び下記構造式(2)で表されるリン含有化合物の反応生成物からなる難燃剤であって、
 トルエンに不溶であり、かつ、そのリン原子の含量が、5~10重量%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤に関する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
(式中、R1、R2、R3の内、2種以上が不飽和結合含有基であり、それ以外は、水素原子、不飽和結合含有基以外の有機基である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
(式中、R4、R5、R6は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、それぞれ同一でも、異なっていても良い。
 このようなリン含量の本発明の難燃剤は難燃性付与効果に優れる。一方で、上記特許文献1の難燃性トリアリル・イソシアヌレートプレポリマーは、重合調節剤として上記構造式(2)の化合物を使用しているが、リン含量を本発明のように高くすることを意図しておらず、また、後述する本発明の重合方法とは異なる重合方法を用いているので、そのリン含量は、本発明のこのようなリン含量に比べて低く、熱可塑性樹脂に添加した際などの難燃性付与効果が十分でないものと考えられる。
 さらに、前記本発明の難燃剤は、トルエンに不溶である。また、テトラヒドロフラン(THF)に不溶であることが好ましい。本発明の難燃剤は、樹脂組成物中に混練した場合に、上述のように成形性を維持向上し、その成形体の耐薬品性を低下させない添加剤としての性質を有することが好ましいためである。一方、上記特許文献1の難燃性トリアリル・イソシアヌレートプレポリマーは、その目的から、対溶剤溶解性を有することが求められ、一般的な、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールなどの溶媒に可溶である。
 好ましい実施態様は、前記難燃剤であって、その重量平均分子量(Mw)が2,000~10,000であることであり、このような重量平均分子量範囲とすることで、ブリードアウトし難い難燃剤となるとともに、加熱成型時に飛散することも防止される。
 より好ましい実施態様は、前記難燃剤であって、その重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1~1.5である難燃剤とすることであり、このことにより、上述した難燃性や成形加工性、耐薬品性等の本発明に係る効果がより向上し、また、均一な性質を有する難燃剤となるので、溶融混練時に均一に基材樹脂に混合し、高分子量の化合物の混入により誘発される成形不良が効果的に防止されると共に、成形加工時の低分子量化合物飛散が防止される。
 本発明は、下記構造式群(3)~(5)でそれぞれ表される第1~第3の繰返し単位群を有するポリマーからなる難燃剤であって、トルエンに不溶であり、かつ、そのリン原子の含量が5~10重量%、その重量平均分子量(Mw)が2,000~10,000であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤に関する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 本発明は、前記難燃剤であって、難燃剤成分中の架橋成分の割合が1重量%以上である難燃剤に関する。
 このような架橋成分の割合とすることで、耐熱性が更に向上し、組成物のリフロー耐熱性が向上する。
 下記構造式群(3)~(5)でそれぞれ表される第1~第3の繰返し単位群を有するポリマーからなる難燃剤であって、トルエンに不溶であり、クロロホルムに不溶である架橋成分の割合が1重量%以上であり、前記難燃剤のリン原子の含量が5~10重量%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤に関する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
 また、本発明は、前記本発明の難燃剤0.1~75重量部、及び熱可塑性樹脂100重量部を含む難燃性熱可塑性樹脂組成物、に関する。
 好ましい実施態様は、前記難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂、半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂からなる群から選ばれる1種以上である。
 また、本発明は、前記本発明の難燃剤の製造方法であって、前記窒素含有化合物:前記リン含有化合物を、モル比で、1:1.0~2.5含む混合物を、窒素雰囲気下で、180℃~240℃まで1℃~100℃/時間で昇温して、該窒素含有化合物に、該リン含有化合物を付加しつつ、該窒素含有化合物、および前記リン化合物が付加した窒素化合物を重合する工程を含む難燃剤の製造方法に関する。
 本発明は前記特定の原料を前記特定のモル比で含む混合物を、前記特定の昇温速度で、特定の温度まで昇温させる工程を含む難燃剤の製造方法であることから、前記本発明に係るリン・窒素含有化合物の難燃剤中での含量を高くできるため、本発明に係る効果が高い難燃剤の製造方法である。
 また、本発明は、前記本発明の難燃剤の製造方法であって、前記窒素含有化合物:前記リン含有化合物を、モル比で、1:1.0~2.5含む混合物を、窒素雰囲気下で、180℃~240℃まで1℃~100℃/時間で昇温して、該窒素含有化合物を重合しつつ、該窒素含有化合物、及び重合した該窒素含有化合物に、該リン含有化合物を付加する工程、および、未反応の不飽和結合含有基同士を反応させるか、架橋剤を用いて反応させることで、架橋化させる工程を含む難燃剤の製造方法に関する。
 このように本発明の難燃剤の製造方法は、特に架橋化させる工程を含むため、得られる難燃剤の耐熱性が更に向上し、300℃以上の加工温度に対する耐熱性を有し、当該難燃剤を用いて得られる樹脂組成物はリフロー耐熱性に優れたものとなる。
 好ましい実施形態は、前記難燃剤の製造方法であって、架橋化させる工程が押出機またはバッチ式混練機を用いて架橋化させる工程を含む難燃剤の製造方法である。
 本発明の熱可塑性樹脂用難燃剤は、高い難燃性付与効果を有し、かつ、ブリードアウトし難いものである。そのため、当該難燃剤が添加された熱可塑性樹脂組成物は成形性加工性に優れ、その成形体は耐湿熱性試験等による物性低下が小さく耐薬品性も低下しない。
 また、本発明の熱可塑性樹脂用難燃剤は、高い難燃性付与効果を有し、かつ、300℃以上の加工温度に対する耐熱性を有するものである。そのため、当該難燃剤が添加された熱可塑性樹脂組成物はリフロー耐熱性に優れ、耐薬品性に優れた成形品を与える。
実施例のリフロー耐熱性試験で採用したJEDEC規格準拠の温度プロファイルを示す図である。
 (難燃剤)
 本発明の難燃剤は、前記構造式群(1)で表される窒素含有化合物、及び前記構造式(2)で表されるリン含有化合物の反応生成物からなる熱可塑性樹脂用の難燃剤である。
 このような本発明の難燃剤は、その難燃性付与効果の観点から、そのリン原子の含量が5~10重量%であることを要し、より好ましくは6~9.5重量%、さらに好ましくは7~9重量%である。
 例えば、窒素含有化合物である前記構造式群(1)としてトリアリル・イソシアヌレートを用い、リン含有化合物である前記構造式(2)として9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(DOPO)を用い、窒素含有化合物:リン含有化合物をモル比1:1で反応させた場合、理論的には、その生成物のリン原子含有量は6.7%、1:2の場合9.1%、1:2.5の場合9.8%となる。
 また、本発明の難燃剤は、トルエンに不溶である。このことにより、前記耐薬品性がさらに向上したものとなる。また、テトラヒドロフラン(THF)に不溶であることが好ましい。このことにより、前記耐薬品性がよりさらに向上したものとなる。尚、本発明において、「トルエンに不溶」とは、後述する試験方法(<耐薬品性>)に従って行い、不溶部が初期添加量の80%以上となることを意味する。
 また、本発明の難燃剤は、そのポリマー構造によっては、上述した本発明の効果を十分に奏するためには、その重量平均分子量(Mw)が2,000~10,000であることが好ましく、より好ましくは3,000~7,000である。
 さらに、本発明の難燃剤は、上記重量平均分子量が特定の範囲にある場合、上述した本発明の効果につき更に高い効果を得る観点から、その重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1~1.5であることが好ましく、より好ましくは1~1.3である。
 本発明の難燃剤は、難燃剤中の架橋成分、つまり、溶媒(クロロホルム)不溶成分の割合が1重量%以上あることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましい。これにより、架橋成分の割合が特定範囲に満たない場合より、耐熱性が更に向上し、樹脂組成物のリフロー耐熱性が向上する。また、このような架橋成分を有する難燃剤は、それを有さない難燃剤に比べて、分子量がより大きく(巨大分子化している場合がある)、また、架橋させることで、見かけ上の耐加水分解性が向上しており、ブリードアウトしにくいものと考えられる。
 尚、本発明において「架橋成分」とは、反応生成物中における架橋構造を有する生成物であって、クロロホルムに不溶な成分をいう。また、架橋成分の割合は、後述の測定方法に従って求めるものとする。
 本発明の難燃剤は、後述する製造方法により、種々の構造を有するポリマーからなるように構成し得る。当該ポリマーは、例えばトリアリル・イソシアヌレートあるいはその誘導体のアリル基がラジカル重合することで得られるものである。その具体例を以下に説明する。
 窒素含有化合物として後述する17-1のトリアリル・イソシアヌレート、17-2のトリアリル・シアヌレートを用い、かつ、前記リン含有化合物として9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(DOPO)を用いた場合には、当該トリアリル・イソシアヌレート、トリアリル・シアヌレート以外にモノマーとして、下記構造式群(8)に示されるモノマー相当物が生成しうると考えられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
 また、DOPOのトリアリル・イソシアヌレート、トリアリル・シアヌレートへの付加の形式によっては、下記構造式群(9)の異性体が生成している場合も想定される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
 本発明の難燃剤の第1の例としては、例えば、上記のモノマーおよび同相当物並びにそれらのモノマー異性体の1種以上が重合して生成され、上記構造式群(3)~(5)でそれぞれ表される第1~第3の繰返し単位(ユニットともいう。以下同じ。)群から選択される少なくとも1種を有するポリマーからなる難燃剤が挙げられる。ポリマー構造としては、例えば、上記ユニットがランダムに結合してポリマー(コポリマー、ランダムコポリマー)を形成している下記化学式(10)で示されるものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
 また、上記化学式(10)では、全てhead-to-tailで記載しているが、下記構造式群(11)で示すように、アリル化合物の通常の重合反応と同じく、head-to-headが混在し得る。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
 尚、構造式群(11)中、Y1とY2は、化学式(10)中の対応する任意の残基である。
 また、上記のポリマー構造を有する難燃剤は、そのリン原子の含量が5~10重量%であり、その重量平均分子量(Mw)が2,000~10,000である。そのため、例えば化学式(10)で示されるポリマー構造の場合、化学式(10)中のp、q、rは、後述する移動連鎖反応を考慮しない場合、下記のようになる。即ち、各ユニットの分子量をそれぞれMp、Mq、Mrとすると、概ね次の式により定められる。
 2000≦p×Mp+q×Mq+r×Mr≦10000
 (q+2r)×(リンの原子量)/(p×Mp+q×Mq+r×Mr)≧0.05
 例えば、化学式(10)で示されるポリマーの場合は、概ね次の式により定められる。
 p+1.87q+2.73r≧8.02
 p+1.87q+2.73r≦40.11
 (q+2r)/(p+q+r)≧0.62
 上記のポリマー(難燃剤)の分子量の観点からは、各ユニットのみからなる場合では、概ね、pは8~41、qは4~22、rは2~15となり得る。但し、当該ユニットを任意に含むポリマーは各ユニットの何れかが含まれない場合があるため、その場合を考慮すると、pは0~41、qは0~22、rは0~15となり得る。もっとも、リン原子の含量を考慮すれば、qとrの何れもが同時に0となることはない。
 また、リン原子の含量の観点からは、第1の繰返し単位のモル比をP(P=p/(p+q+r))、第2の繰返し単位のモル比をQ(Q=q/(p+q+r))、第3の繰返し単位のモル比をR(R=r/(p+q+r))とした場合に、Q+2Rが0.62以上、より好ましくは0.82以上、更に好ましくは1.12以上、より更に好ましくは1.46以上、最も好ましくは1.96以上になるようにp、q、rが定められる。
 また、上記構造式群(1)で表される窒素含有化合物と構造式(2)で表されるリン含有化合物とを後述するようにして反応させた場合、アリル基などの不飽和結合含有基がラジカル重合することが考えられ、その末端は通常のラジカル重合と同様になる場合があると考えられる。ラジカル重合の場合、一般に、開始末端は、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)など)の残基、連鎖移動剤(DOPOなど)の残基、連鎖移動物(たとえば連鎖移動した溶剤分子など)の残基であり、停止末端は、不均化(ラジカル末端から水素が引き抜かれ、再び二重結合になる)、再結合(他のラジカルと結合して停止)、水素引き抜き(他のポリマー、連鎖移動剤(DOPOなど)、溶剤分子などから水素を引き抜き)であると考えられる。
 特に連鎖移動剤について説明すると、通常の連鎖移動剤としては、イオウ系のものがよく用いられているが、それはチオラジカルが比較的安定で、なおかつ再度モノマーと反応して重合反応させる活性を持っているためである。本発明では、構造式(2)で表わされるリン含有化合物のP-H結合が、水素が引き抜かれてラジカルになりやすく、連鎖移動性能を有すると考えられる。
 上記の移動連鎖反応を考慮すると、化学式(10)中のp、q、rは、下記のようになる。即ち、各ユニットの分子量をそれぞれMp、Mq、Mrとし、DOPO残基の分子量をMzすると、概ね次の式により定められる。下記式は、開始末端はDOPO残基、停止末端はH(DOPOから引き抜かれたと想定)とした場合の関係式である。
  2000≦p×Mp+q×Mq+r×Mr+Mz≦10000
 (q+2r+1)×(リンの原子量)/(p×Mp+q×Mq+r×Mr+Mz)≧0.05
 例えば、化学式(10)で示されるポリマーについて、両末端を考慮した場合は、概ね次の式により定められる。
 p+1.87q+2.73r≧7.16
 p+1.87q+2.73r≦39.25
 (q+2r)/(p+q+r)≧0.42
 上記のポリマー(難燃剤)の分子量の観点からは、各ユニットのみからなる場合では、概ね、pは7~40、qは4~22、rは3~15となりうる。但し、当該ポリマーは各ユニットの何れかが含まれない場合があるため、その場合を考慮すると、pは0~40、qは0~22、rは0~15となり得る。もっとも、リン原子の含量を考慮すれば、qとrの何れもが同時に0となることはない。
 また、リン原子の含量の観点からは、前記と同様に、Q+2Rが0.42以上、より好ましくは0.61以上、更に好ましくは0.86以上、より更に好ましくは1.18以上、最も好ましくは1.62以上になるようにp、q、rが定められる。
 上記関係式において用いた化学式(10)は、17-1のトリアリル・イソシアヌレートとDOPOを用いた場合の例であるが、17-2のトリアリル・シアヌレートとDOPOを用いた場合や、17-1のトリアリル・イソシアヌレートと17-2のトリアリル・シアヌレートの両者を用いた場合もあてはまる。
 本発明では、p、q、rについて、上記の移動連鎖反応を考慮しない場合の関係式と考慮した場合の関係式のうちの何れかの関係が成り立つ場合が考えられる。
 本発明に係る難燃剤を構成するポリマーのより具体的な例としては、例えば、下記構造式(12)で示されるポリマーが想定される。上記構造式群(5)で示される第3の繰返し単位群のうちの1種よりなるポリマー(化学式(10)において、p=q=0、r=nである。)である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
 上記構造式(12)のほか、下式構造式群(13)で示される異性体を含む場合も想定される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
 上記構造式(12)および構造式群(13)で示されるリン・窒素含有化合物は、前記構造式(2)で表されるリン含有化合物2個が結合した前記構造式群(1)で表される窒素含有化合物が直鎖状に高分子化したものである。
 本発明の難燃剤は、例えば、このようなリン・窒素含有化合物として、前記窒素含有化合物に2個の前記リン含有化合物が付加したリン・窒素含有ユニットが、直鎖状に3~14個重合した構造を有していると想定され、この場合このようなリン・窒素含有化合物は、リン原子の含有量が8.7重量%、窒素原子の含有量が5.9重量%で、高リン含有量かつ窒素を含有するため非常に高い難燃性を示すと共に、熱可塑性樹脂に添加された状態では、樹脂マトリクス中に島状に分散するので、優れた成形加工性を示すと共に、その成形体は、耐ブリードアウト性や耐薬品性に優れるものになると考えられる。
 第2の例としては、上記構造式群(3)~(5)でそれぞれ表される第1~第3の繰返し単位群を有するポリマーからなり、さらに上記構造式群(6)~(7)で示される架橋構造を有する架橋成分を特定割合の含むものである。本例は、例えば、上記化学式(10)で示される複数のポリマー同士が、それらに含まれるアリル基の2重結合の部分で結合して架橋構造を有するものである。
 本例では、上記ポリマーからなる難燃剤のリン原子の含量が5~10重量%である。そのため、ポリマーに含まれる構造式群(3)で表わされる第1の繰返し単位と構造式群(6)で表わされる架橋構造を有する成分との合計のモル比をP’、構造式群(4)で表わされる第2の繰返し単位と構造式群(7)で表わされる架橋構造を有する成分との合計のモル比をQ’、構造式群(5)で表わされる第3の繰返し単位のモル比をR’とすると、Q’+2R’が0.62以上、より好ましくは0.82以上、更に好ましくは1.12以上、より更に好ましくは1.46以上、最も好ましくは1.96以上である。尚、P’+Q’+R’=1である。
 また、他の架橋構造を有するものの例としては、上記構造式群(3)~(5)でそれぞれ表される第1~第3の繰返し単位群を有するポリマーからなり、さらに下記構造式群(14)で示される架橋構造を有する架橋成分を含むものが挙げられる。本例は、例えば上記化学式(10)で示される複数のポリマー同士が、架橋剤としてのトリアリル・イソシアヌレートまたはその他の架橋剤を介して結合したものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
(式(14)中Xは、トリアリル・イソシアヌレート残基または架橋剤残基である。)
 前記架橋剤としては、通常のラジカル重合において用いられる一般的な二官能性モノマーを用いることができる。例えば、ジビニルベンゼンの様な非メタクリレート系の多官能性ビニルモノマー、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマーなどが挙げられる。またこれらの架橋剤を1種以上用いても良い。
 本例の難燃剤は、後述する架橋する工程を含む本発明の製造方法により得られるが、例えば、反応させるトリアリル・イソシアヌレートとDOPOの仕込みモル比(T/H)を1/2以上にして反応を進行させるか、1/2以下の場合でも未反応のアリル基同士の反応や架橋剤を導入することで、架橋構造を有するリン・窒素含有化合物が得られる。この場合、非架橋の難燃剤に比べ架橋構造を有する難燃剤は、熱的に安定化し、難燃剤自体の耐熱性はもとより、熱可塑性樹脂に添加された状態においても熱的安定性を有するため、鉛フリーSMT対応のコネクタ用途に使用されるナイロン46やナイロン9T、ナイロン6Tなどの樹脂に添加した場合でも、そのリフロー耐熱性を低下させにくくなる。また、このような架橋成分を有する難燃剤は、それを有さない難燃剤に比べて、分子量がより大きく(巨大分子化している場合がある)、また、架橋させることで、見かけ上の耐加水分解性が向上しており、ブリードアウトしにくいものと考えられる。
 ここで、リフローとは、基板上に塗布したクリーム半田の上に電子部品を装着した後、高温炉にて全体をはんだ融点以上に加熱し、はんだ付けする製造方法(工程)である。リフロー耐熱性とは、樹脂成形品の場合、リフロー工程中に成形品の溶融、変形、ブリスターの発生などがなく、その温度に耐えうる性質のことを言う。
 本発明の難燃剤には、本発明の効果を十分に発現すれば、難燃剤中の主鎖構造が全て上記構造式(12)などとなる必要はなく、例えば、一部に窒素含有化合物1分子にリン含有化合物が3分子付加した下記構造式群(15)、(16)などを含んでも良い。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
 (窒素含有化合物)
 前記窒素含有化合物は、上述の如く前記構造式群(1)で表される。前記構造式群(1)中の不飽和結合含有基としては、メタクリロイルオキシエチル基、ビニルフェニル基、ビニルベンジル基、ビニル基、アリル基などが挙げられる。また、これらの不飽和結合含有基を有する窒素含有化合物としては、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ビニルフェニル)イソシアヌレート、トリス(ビニルベンジル)イソシアヌレート、トリビニルイソシアヌレート、トリアリル・イソシアヌレート、トリアリル・シアヌレートなどが挙げられるが、反応物の高リン含有化の容易性、入手の容易性の観点から、好ましくは下記構造式群(17)で示される、17-1のトリアリル・イソシアヌレート、及び17-2のトリアリル・シアヌレートから選ばれる1種以上であり、より好ましくはトリアリル・イソシアヌレートである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
 (リン含有化合物)
 前記リン含有化合物は、上述の如く前記構造式(2)で表される。このような化合物の具体例としては、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(DOPO)、8-メチル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、2,6,8-トリ-t-ブチル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド及び6,8-ジシクロヘキシル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等が挙げられるが、高リン含有量、入手の容易性の観点から、好ましく
はDOPOである。
 (熱可塑性樹脂組成物)
 本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、本発明の難燃剤0.1~75重量部、及び熱可塑性樹脂100重量部を含むことを要し、十分な難燃性を得る観点、成形性を良好なものとする観点、及びその成形体の機械的強度を維持する観点から、熱可塑性樹脂100重量部に対し、本発明の難燃剤1重量部以上がより好ましく、3重量部以上がさらに好ましく、5重量部が特に好ましく70重量部以下がより好ましく、65重量部以下がさらに好ましい。
 前記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等の脂肪族ポリアミド系樹脂、変性ナイロン6Tやナイロン9T等の半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアクリル系樹脂等が挙げられる。
 これらの中でも、本発明の難燃剤に係る効果である、高温使用時、及び湿熱下でのブリードアウトが低減される効果や、300℃以上の加工温度に対する耐熱性、リフロー耐熱性の低下や機械的な強度低下の低減効果が必要とされており、また、これらの効果が十分に得られるので、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂、半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂、変性ナイロン6T、およびナイロン9Tからなる群から選ばれる1種以上である。
 本発明の樹脂組成物は、強度、剛性、耐熱性などを向上させる理由から、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤は、繊維状および/または粒状の無機充填剤であれば、特に限定されず、二種類以上を併用添加しても良い。
 本発明で使用される無機充填剤の具体例としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリュウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
 本発明で使用されるガラス繊維としては、通常一般的に使用されている公知のガラス繊維を用いることができるが、作業性の観点から、集束剤にて処理されたチョップドストランドガラス繊維を用いるのが好ましい。
 本発明で使用されるガラス繊維は、樹脂とガラス繊維との密着性を高めるため、ガラス繊維の表面をカップリング剤で処理したものが好ましく、バインダーを用いたものであってもよい。前記カップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物好ましく使用され、また、バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が好ましく使用されるが、これらに限定されるものではない。
 本発明における無機充填剤の含有量は、熱可塑性ポリエステル100重量部に対して、下限値としては、5重量部が好ましく、10重量部がより好ましく、15重量部がさらに好ましい。無機充填剤含有量の下限値が5重量部未満では、耐熱性や剛性の改善効果が十分でない場合がある。無機充填剤含有量の上限値としては、120重量部が好ましく、100重量部がより好ましく、80重量部が更に好ましい。無機充填剤含有量の上限値が120重量部を超えると、流動性が下がり、薄肉成形性が損なわれたり、成形品の表面性が低下したりする場合がある。
 本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、滴下防止剤、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加することができる。
 また本発明は、以下の難燃性樹脂組成物でもある。上記構造式群(1)で表わされる窒素含有化合物と上記構造式(2)で表わされるリン含有化合物の反応生成物からなる、リン原子の含量が5~10重量%である難燃剤0.1~75重量部、および樹脂100重量部を含む難燃性樹脂組成物。ここでいう難燃剤は、トルエンに可溶のものでもトルエンに不溶のものでもよい。またここでいう難燃性樹脂組成物の各成分の種類や含有量は、上記の難燃性熱可塑性樹脂組成物と同様である。
 (難燃剤の製造方法)
 本発明の難燃剤の好ましい製造方法の第1は、前記窒素含有化合物:前記リン含有化合物を、モル比で1:1.0~2.5含む混合物を、窒素雰囲気下で、180℃~240℃まで1℃~100℃/時間で昇温して、前記窒素含有化合物を重合しつつ、前記窒素含有化合物、及び重合した前記窒素含有化合物に前記リン含有化合物を付加する工程を含む。
 尚、上記の工程において、付加反応、重合反応を促進し、生産性を向上する観点から、ラジカル開始剤(重合開始剤)を適宜添加しても良い。また、ラジカル開始剤を添加することで、特定範囲の重量平均分子量の難燃剤を製造するのに有効な場合がある。但し、例えば、前記化学式(10)に示されるようなポリマー構造の難燃剤を得るには、架橋反応を極力抑制する観点から、その添加量は少量であるのが望ましい。
 本発明の難燃剤の好ましい製造方法の第2は、前記窒素含有化合物:前記リン含有化合物を、モル比で1:1.0~2.5含む混合物を、窒素雰囲気下で、180℃~240℃まで1℃~100℃/時間で昇温して、前記窒素含有化合物を重合しつつ、前記窒素含有化合物、及び重合した前記窒素含有化合物に前記リン含有化合物を付加する工程(1)、および、工程(1)で得られた反応前駆体の未反応のアリル基などの不飽和結合含有基同士を反応させるか、架橋剤を用いて反応させることで、架橋化させる工程(2)を含む。ただし、工程(1)と工程(2)は連続であってもかまわない。
 工程(2)の具体例としては、工程(1)において、重合時間を長時間化させることで、アリル基などの不飽和結合含有基同士の反応を促進させたり、架橋剤を添加することで架橋化することや、工程(1)で得られた前駆体を、押出機のような横型反応機、あるいは、ニーダー、バンバリーミキサー、2本ロール、プラストミルなどのバッチ式樹脂混練機を用いて、更にラジカル開始剤(重合開始剤)や架橋剤などを添加し反応させることが挙げられる。
 また、当該第2の製造方法において、ラジカル開始剤を添加する場合、その添加量は、窒素含有化合物とリン含有化合物の合計または前記反応前駆体100部に対して、0.01~5部であるのが好ましく、0.05~1部がより好ましい。また、ラジカル開始剤としては、重合反応時間などを考慮して、有機過酸化物やその他の公知の開始剤を適宜選択すれば良い。例えば、1,3-ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキサイドや、2,3-ジメチルー2,3-ジフェニルブタンなどが挙げられる。
 当該第2の製造方法は、特定割合の架橋成分を含む難燃剤の製造に特に好適である。
 上記何れの製造方法においても、成形加工時、即ち、押出時に、ガス発生の原因になったり、ブリードアウトの原因になったりする未反応の前記リン含有化合物を低減する観点、及び、本発明の難燃剤中の前記リン・窒素含有化合物の純度を高める観点から、好ましい前記モル比は、1:1.5~1:2である。
 このような本発明における前記リン・窒素含有化合物を得る反応は、前記窒素含有化合物中の不飽和結合への、前記リン含有化合物の付加、および窒素含有化合物中の不飽和結合同士の付加重合によりなるため、上述したように、上記構造式群(1)におけるR1、R2、R3の内、2種以上が不飽和結合含有基であり、それ以外は、水素原子、不飽和結合含有基以外の有機基からなる必要がある。
 前記反応の進行の確認は、反応中の反応物サンプルを定期的に採取し、それを1H-NMRを用いて分析することにより行う事ができる。即ち、前記の如く、前記反応中の前記付加反応は、前記リン含有化合物のリンが、前記窒素含有化合物のC=C炭素不飽和結合へ付加する事で起こるので、この時、1H-NMR上ではリン含有化合物のP-Hプロトンのシグナル(8.80、及び7.08ppm)の消失が確認される。また、前記反応中の前記付加重合反応は、窒素化合物同士の重合反応、即ち、通常の不飽和結合の重合反応と同様のアリル基の付加重合なので、不飽和結合のプロトンシグナル(5.23ppm-5.33ppmおよび5.83ppm-5.93ppm)の積分値の減少が起こると共に、新たなC-C単結合上のプロトンシグナルの出現が確認される。
 尚、不飽和結合含有基がアリル基の場合を例として説明したが、その種類に応じて、同様に確認することができる。
 次に、具体例をあげて本発明の組成物を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
 以下に、実施例および比較例において使用した樹脂および原料類を示す。
 [リン含有化合物(A1)]
 本発明に係るリン含有化合物(A1)として、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10ホスファフェナントレン-10-オキシド(製品名:HCA、三光株式会社製)を用いた。
 [リン含有化合物(A2)]
 比較例の難燃剤として、後述する製造例1にて合成したリン含有化合物(A2)を用いた。
 [リン含有化合物(A3)]
 比較例の難燃剤として、縮合リン酸エステル(製品名:PX-200、大八化学株式会社製)をリン含有化合物(A3)として用いた。
 [リン含有化合物(A4)]
 比較例の難燃剤として、後述する製造例7にて合成したリン含有化合物(A4)を用いた。
 [リン・窒素含有化合物(B1)~(B5)]
 本発明の難燃剤として、後述する製造例2~製造例6にて合成したリン・窒素含有化合物(B1)~(B5)を各々用いた。
 [リン・窒素含有化合物(B6)~(B9)]
 本発明の難燃剤として、後述する製造例7~製造例10にて合成したリン・窒素含有化合物(B6)~(B9)を各々用いた。
 [窒素含有化合物(C1)]
 本発明に係る窒素含有化合物(C1)として、トリアリル・イソシアヌレート(製品名:TAICROS、エボニックデグサ社製)を用いた。
 [窒素含有化合物(C2)]
 本発明に係る窒素含有化合物(C2)として、トリアリル・シアヌレート(製品名:TAC、エボニックデグサ社製)を用いた。
 [樹脂(D1)]
 本発明に係る熱可塑性樹脂(D1)として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名:EFG-70、ベルポリエステルプロダクツ社製)を用いた。
 [樹脂(D2)]
 本発明に係る熱可塑性樹脂(D2)として、ポリカーボネート樹脂(製品名:タフロン A2500、出光興産株式会社製)を用いた。
 [樹脂(D3)]
 本発明に係る熱可塑性樹脂(D3)として、半芳香族ポリアミド樹脂であるナイロン9T樹脂(製品名:ジェネスタ N-1000A 株式会社クラレ製)を用いた。
 [樹脂(D4)]
 本発明に係る熱可塑性樹脂(D4)として、半芳香族ポリアミド樹脂である変性ナイロン6T樹脂(製品名:アモデル A-1006C ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製)を用いた。
 [無機化合物(E1)]
 本発明に係る無機化合物(E1)として、ガラス繊維(製品名:T-187H 日本電気硝子株式会社製)を用いた。
 [無機化合物(E2)]
 本発明に係る無機化合物(E2)として、ガラス繊維(製品名:FT756D オーウェンスコーニング社製)を用いた。
 [ラジカル開始剤(F1)]
 本発明に係るラジカル開始剤(F1)として、2,3-ジメチルー2,3-ジフェニルブタン(製品名:ノフマーBC、日油社製)を用いた。
 [ラジカル開始剤(F2)]
 本発明に係るラジカル開始剤(F2)として、1,3-ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(製品名:パーブチルP、日油株式会社製)を用いた。
 本製造例での評価方法は、以下の通りである。
 <重量平均分子量(Mw)およびMw/Mn>
 得られたリン・窒素含有化合物のMw、及びMw/Mnは、GPCにより、溶媒としてクロロホルムを用いて測定し、ポリスチレン換算により求めた。GPC測定はWater社製のGPC測定装置(カラム:昭和電工株式会社製K-804およびK-802.5)を用い、35℃で測定した。
 <ガラス転移温度(Tg)>
 得られたリン・窒素含有化合物のTgは、DSCを用いて求めた。DSC測定は、セイコーインスツル株式会社製のDSC-220Cを用い、昇温速度10℃/min、窒素気流下で行った。
 <リン含有量>
 得られたリン・窒素含有化合物のリン含有量は、高周波プラズマ発光分光分析(ICP-AES)よりもとめた。ICP-AESは、前処理として、US EPA METHOD 3052に準拠し、マイルストーン社製のETHOSを用いてマイクロウエーブ分解を行い、島津製作所製のICPS-8100を用いて行った。
 <架橋成分割合>
 得られたリン・窒素含有化合物を粉砕し、ソックスレー抽出器を用いて6時間、クロロホルム溶媒にて粉砕物より、可溶部分の抽出をおこなった。抽出残渣を100℃にて6時間乾燥後、重量を測定し、下記算出式より架橋成分割合を得た。
[架橋成分割合(%)]=[抽出残渣重量]×100/[初期仕込みリン・窒素含有化合物重量]
 <耐薬品性>
 得られたリン・窒素含有化合物5mgをトルエン(50ml)またはトルエンおよびテトラヒドロフラン(THF)(50ml)へ分散させ、常温で3日間静置し、不溶部を濾過乾燥後、初期の重量との比較によって評価した。
○:不溶部が初期添加量の80%以上
×:不溶部が初期添加量の80%未満
 本実施例での評価方法は、以下の通りである。
 <難燃性>
 下記実施例にて得られたペレットを120℃で3時間乾燥後、射出成形機(JS36SS型締め圧:35トン)を用い、シリンダー設定温度250℃~280℃および金型温度60℃の条件にて射出成形を行い、127mm×12.7mm×厚み1/16インチの試験片を得た。UL94基準V試験に準拠し、得られた厚さ1/16インチのバー形状試験片を用いて燃焼性を評価した。
 <引張強度>
 得られたペレットを120℃で3時間乾燥後、射出成形機(型締め圧75トン)を用い、シリンダー設定温度250℃~280℃および金型温度120℃の条件にて射出成形を行い、ASTM D-638に準じたダンベル試験片を作製した。得られた測定用試験片を用いASTM D-638に準拠し、23℃で引張強度を測定した。
 <ブリードアウト評価>
 引張試験に用いたダンベルを、140℃のオーブン内で1時間加熱し、加熱後の成形体に、脱脂綿を押し当て、成形体への脱脂綿の付着の有無を調べた。
○:リン含有化合物のブリードアウトがなく、成形体に脱脂綿付着しない。
×:リン含有化合物のブリードアウトがあり、成形体に脱脂綿付着する。
 <耐湿熱試験後のブリードアウト評価>
 引張試験に用いたダンベルを、プレッシャークッカー(株式会社平山製作所製、PC-422R5E)を用いて、120℃・100%の条件下で20時間耐湿熱試験を行った後、成形体に脱脂綿を押し当て、成形体への脱脂綿の付着の有無を調べた。
○:ブリードアウトがなく、成形体に脱脂綿付着しない。
×:ブリードアウトがあり、成形体に脱脂綿付着する。
 <耐湿熱試験後の物性評価>
 上記ブリードアウト評価と同条件にて耐湿熱評価を行った後、前記引張強度と同じ方法にて引張試験を行い、試験前後の低下率を算出した。
 <リフロー耐熱性>
 下記実施例にて得られたペレットを120℃で3時間乾燥後、射出成形機(JS36SS型締め圧:35トン)を用い、シリンダー設定温度280℃~310℃および金型温度140℃の条件にて射出成形を行い、127mm×6.3mm×厚み1/32インチの試験片を得た。試験片を125℃×24h乾燥後、IPC/JEDEC J-STD-020D.1におけるレベル2(85℃×60%RH×168時間)の吸湿処理を行った後、厚み0.8mmのアルミナ基板上に試験片を載置するとともに、この基板上に温度センサーを設置して、プロファイルを測定した。エアー/IRリフロー装置((株)大和製作所製NRY-535MB-7Z)を用いて、上記JEDEC規格に準拠した図1に示される温度プロファイルのリフロー試験を行い、下記評価を実施した。
○:吸湿試験片および絶乾試験片の両試験片において溶融、変形、ブリスターの発生がない。
△:吸湿試験片のみに、溶融、変形、ブリスターの何れかが発生した。
×:吸湿試験片および絶乾試験片両試験片において溶融、変形、ブリスターの何れかが発生した。
 (製造例1)
 蒸留管、精留管、窒素導入管、及び攪拌基を有する縦型重合器に、リン含有化合物(A1)、(A1)に対して等モルのイタコン酸60重量部、及びイタコン酸に対し2倍モル以上のエチレングリコール160重量部を投入し、窒素ガス雰囲気下、120~200℃まで徐々に昇温加熱し、約10時間攪拌した。
 次いで、三酸化アンチモンおよび酢酸亜鉛0.1重量部を加え、1Torr以下の真空減圧にて、温度220℃で維持し、エチレングリコールを留出させながら重縮合反応させた。約5時間後、エチレングリコールの留出量が極端に減少したことで、反応終了とみなした。得られたリン含有化合物(A2)の性質を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000031
 (製造例2~5)
 還流管、窒素導入管、及び攪拌機を有する縦型重合器に、リン含有化合物、及び窒素含有化合物を表1に記載の配合モル比にて投入し、窒素ガス気流下、50℃~200℃まで徐々に昇温し、約12時間攪拌した。得られたリン・窒素含有化合物サンプルは常温で無色ガラス状の固体であり、いずれのサンプルもトルエンに不溶であった。各リン・窒素含有化合物の特性を表1に示す。
 (製造例6)
 還流管、窒素導入管、及び攪拌機を有する縦型重合器に、リン含有化合物、及び窒素含有化合物を表1に記載の配合モル比にて投入し、そこへリン含有化合物と窒素含有化合物を100重量部としたときにラジカル開始剤(F1)を0.1重量部添加し、窒素ガス気流下、50℃~200℃まで徐々に昇温し、約4時間攪拌した。得られたリン・窒素含有化合物サンプルは常温で無色ガラス状の固体であり、トルエンに不溶であった。各リン・窒素含有化合物(B6)の特性を表1に示す。
 (製造例7)
 蒸留管、精留管、窒素導入管、及び攪拌基を有する縦型重合器に、リン含有化合物(A1)、(A1)に対して等モルのイタコン酸60重量部、及びイタコン酸に対し2倍モル以上のエチレングリコール160重量部を投入し、窒素ガス雰囲気下、120~200℃まで徐々に昇温加熱し、約10時間攪拌した。
 次いで、三酸化アンチモンおよび酢酸亜鉛0.1重量部を加え、1Torr以下の真空減圧にて、温度220℃で維持し、エチレングリコールを留出させながら重縮合反応させた。約5時間後、エチレングリコールの留出量が極端に減少したことで、反応終了とみなした。得られたリン含有化合物(A4)の性質を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000032
 (製造例8、9)
 還流管、窒素導入管、及び攪拌機を有する縦型重合器に、リン含有化合物、及び窒素含有化合物を表2に記載の配合モル比にて投入し、窒素ガス気流下、50℃~200℃まで徐々に昇温し、約12時間攪拌した。得られたリン・窒素含有化合物サンプルは常温で無色ガラス状の固体であり、いずれのサンプルもトルエンおよびTHFに不溶であった。各リン・窒素含有化合物の特性を表2に示す。
 (製造例10、11)
 製造例8で得られたリン・窒素含有化合物およびその他の添加剤を表3に示す配合組成(単位:重量部)で各原料をドライブレンドすることで各混合物を得た。前記混合物を、ベント式15mmφ同方向2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15TWIN-45MG)を用いて、そのホッパー孔から供給し、シリンダー設定温度190~220℃にて溶融混練した。得られたリン・窒素含有化合物サンプルは常温で無色ガラス状の固体であり、いずれのサンプルもトルエンおよびTHFに不溶であった。各リン・窒素含有化合物の特性を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000033
 (実施例1~10)
 表4に示す原料、及び配合組成(単位:重量部)で各原料をドライブレンドすることで各混合物を得た。前記混合物を、ベント式44mmφ同方向2軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)を用いて、そのホッパー孔から供給し、シリンダー設定温度250~280℃にて溶融混練することでペレット化した。得られたペレットを前記条件にて射出成形して試験片を得て、前記記載の評価方法にて評価した。
 実施例1~10における評価結果を、表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000034
 (比較例1~4)
 表5に示した配合組成(単位:重量部)に従い、実施例1~10と同様に、ペレット化および射出成形を行い、試験片を得、同様の評価方法にて実験を行った。比較例1~4における評価結果を、表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000035
 製造例1~6、実施例1~10、比較例1~4から、本発明の難燃剤は、難燃性付与性、耐ブリードアウト性に優れ、耐湿熱性、耐薬品性に優れていることがわかる。
 (実施例11~18)
 表6に示す原料、及び配合組成(単位:重量部)で各原料をドライブレンドすることで各混合物を得た。前記混合物を、ベント式44mmφ同方向2軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)を用いて、そのホッパー孔から供給し、シリンダー設定温度290~320℃にて溶融混練することでペレット化した。得られたペレットを前記条件にて射出成形して試験片を得て、前記記載の評価方法にて評価した。
 実施例11~18における評価結果を、表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000036
 (比較例5~8)
 表7に示した配合組成(単位:重量部)に従い、実施例11~18と同様に、ペレット化および射出成形を行い、試験片を得、同様の評価方法にて実験を行った。
 比較例5~8における評価結果を、表7に示す。表7の欄外記載の「食込み不良」とは、混合物の粘度が低く成形機のスクリューへの引掛りが悪いことを意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000037
 製造例7~11、実施例11~18、比較例5~8から、本発明の難燃剤は、難燃性付与性、高耐熱性、リフロー耐熱性、耐薬品性に優れていることがわかる。

                                                                                

Claims (11)

  1.  下記構造式群(1)で表される窒素含有化合物、及び下記構造式(2)で表されるリン含有化合物の反応生成物からなる難燃剤であって、
     トルエンに不溶であり、かつ、そのリン原子の含量が、5~10重量%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (式中、R1、R2、R3の内、2種以上が不飽和結合含有基であり、それ以外は、水素原子、不飽和結合含有基以外の有機基である。)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    (式中、R4、R5、R6は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、それぞれ同一でも、異なっていても良い。
  2.  請求項1に記載の難燃剤であって、その重量平均分子量(Mw)が2,000~10,000である難燃剤。
  3.  請求項2に記載の難燃剤であって、その重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1~1.5である難燃剤。
  4.  下記構造式群(3)~(5)でそれぞれ表される第1~第3の繰返し単位群を有するポリマーからなる難燃剤であって、トルエンに不溶であり、かつ、そのリン原子の含量が5~10重量%、その重量平均分子量(Mw)が2,000~10,000であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
  5.  請求項1に記載の難燃剤であって、難燃剤成分中の架橋成分の割合が1重量%以上である難燃剤。
  6.  下記構造式群(3)~(5)でそれぞれ表される第1~第3の繰返し単位群を有し、かつ、下記構造式群(6)~(7)でそれぞれ表される架橋構造を有するポリマーからなる難燃剤であって、トルエンに不溶であり、クロロホルムに不溶である架橋成分の割合が1重量%以上であり、前記難燃剤のリン原子の含量が5~10重量%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
  7.  請求項1~6のいずれかに記載の難燃剤0.1~75重量部、及び熱可塑性樹脂100重量部を含む難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  8.  請求項7に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂、半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂からなる群から選ばれる1種以上である難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  9.  請求項1~4のいずれかに記載の難燃剤の製造方法であって、
     前記構造式群(1)で表される窒素含有化合物:前記構造式(2)で表されるリン含有化合物を、モル比で、1:1.0~2.5含む混合物を、窒素雰囲気下で、180℃~240℃まで1℃~100℃/時間で昇温して、該窒素含有化合物を重合しつつ、該窒素含有化合物、及び重合した該窒素含有化合物に、該リン含有化合物を付加する工程を含む難燃剤の製造方法。
  10.  請求項5または6に記載の難燃剤の製造方法であって、
     前記構造式群(1)で表される窒素含有化合物:前記構造式(2)で表されるリン含有化合物を、モル比で、1:1.0~2.5含む混合物を、窒素雰囲気下で、180℃~240℃まで1℃~100℃/時間で昇温して、該窒素含有化合物を重合しつつ、該窒素含有化合物、及び重合した該窒素含有化合物に、該リン含有化合物を付加する工程、および、未反応の不飽和結合含有基同士を反応させるか、架橋剤を用いて反応させることで、架橋化させる工程を含む難燃剤の製造方法。
  11.  請求項10に記載の製造方法であって、架橋化させる工程が押出機またはバッチ式混練機を用いて架橋化させる工程を含む難燃剤の製造方法。


                                                                                    
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