JP2012162667A - 難燃剤、及びそれを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃剤、及びそれを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い難燃性付与効果を有し、かつ、ブリードアウトし難く、成形性加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物と、耐湿熱性に優れた成形体とを与える熱可塑性樹脂用難燃剤を提供することである。
【解決手段】 本発明の難燃剤は、特定の、窒素含有化合物、及びリン含有化合物の反応生成物からなる難燃剤であって、そのリン原子の含量が、9〜10.7重量%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤である。また、前記本発明の難燃剤のゲルパーミネーションクロマトグラフィーのチャートにおいて、ポリスチレン換算の分子量において、ピークトップの分子量が1,200未満及び、1,200以上にそれぞれ一つ以上のピークを有し、ピークトップの分子量1,200未満のピークの面積が95〜35%、ピークトップの分子量1,200以上のピークの面積が5〜65%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃剤、及びそれを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
近年、多くの合成樹脂材料がOA機器や家電製品のハウジングや部品、コネクター、自動車部品、建築材料、家庭用品、繊維製品等に用いられている。しかしながら、合成樹脂材料は、易燃性であるため、特に家電、電気およびOA関連部品では、火災に対する安全性を確保するために、難燃性が要求される例が多く、このため、種々の難燃剤の配合が検討されている。
樹脂を難燃化する方法としては、臭素化ポリスチレンなどに代表されるハロゲン系難燃剤と、三酸化アンチモンなどに代表されるアンチモン系難燃助剤を併用添加する方法が従来公知であるが、燃焼時に有毒なガスを発生する疑いが持たれ、またハロゲン系難燃剤含有の樹脂組成物に対する規制が厳しくなりつつあり、非ハロゲン難燃剤の開発が活発化している。
ハロゲン系難燃剤を用いずに樹脂組成物を難燃化する方法としては、金属酸化物を用いる方法、リン化合物を用いる方法などがある。金属酸化物を用いる方法では、多量に用いないと所望の難燃特性が得られ難く、また、多量に用いると、元来樹脂が持つ特性を低下させてしまうという問題があった。
リン化合物を用いて樹脂を難燃化する方法としては、有機(縮合)リン酸エステル化合物を用いる方法、または赤燐を用いる方法が従来公知である。比較的低分子量の有機(縮合)リン酸エステルは揮発性、昇華性、耐熱性の点で不十分であり、また、樹脂組成物を高温下で長時間使用すると、難燃剤がブリードアウトする問題があった。
また、特許文献1には特定の構造を有するリン化合物誘導体、リン酸塩および熱可塑性樹脂との組み合わせからなる組成物が記載されている。しかし、このリン化合物誘導体の合成方法では、3段階の反応で単一のリン化合物しか合成されず、また、難燃性と耐トラッキング性についての記述があるが、耐熱性や耐ブリードアウト性についての記述はない。
国際公開公報WO08/119693
本発明の効果は、高い難燃性付与効果を有し、かつ、ブリードアウトし難く、成形性加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、従来から非ハロゲン難燃剤として用いられている有機リン酸エステルの耐熱性や、耐ブリードアウト性を維持向上した熱可塑性樹脂用の、即ち、加熱成形可能な樹脂組成物用の、添加剤として好ましい性質を付加した難燃剤につき鋭意検討を重ねた。
その結果、本発明のリン・窒素含有難燃性化合物を含む難燃剤とすることで、耐熱性、耐ブリードアウト性、成形性に優れた、より好ましい熱可塑性樹脂用の難燃剤が得られることを見出した。
即ち、本発明は、下記構造式群(1)で表される窒素含有化合物、及び下記構造式(2)で表されるリン含有化合物の反応生成物からなる難燃剤であって、そのリン原子の含量が、9〜10.7重量%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤に関する。
Figure 2012162667
(式中、R、R、Rの内、2種以上が不飽和結合含有基であり、それ以外は、水素原子、又は不飽和結合含有基以外の有機基である。)
Figure 2012162667
(式中、R、R、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、それぞれ同一でも、異なっていても良い。)

本発明の好ましい実施態様は、前記本発明の難燃剤のゲルパーミネーションクロマトグラフィーのチャートにおいて、ポリスチレン換算の分子量において、ピークトップの分子量が1,200未満及び、1,200以上にそれぞれ一つ以上のピークを有し、ピークトップの分子量1,200未満のピークの面積が95〜35%、ピークトップの分子量1,200以上のピークの面積が5〜65%であり、且つ、そのリン原子の含量が、9〜10.7重量%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤に関する。
また、本発明は、前記本発明の難燃剤0.1〜75重量部、及び熱可塑性樹脂100重量部を含む難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明の熱可塑性樹脂用難燃剤は、高い難燃性付与効果を有し、かつ、ブリードアウトし難く、それが添加された熱可塑性樹脂組成物は耐熱性が高く、成形性加工性に優れている。
(難燃剤)
本発明の難燃剤は、下記構造式群(1)で表される窒素含有化合物、及び下記構造式(2)で表されるリン含有化合物の反応生成物からなる難燃剤である。
このような本発明の難燃剤は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーのチャートにおいて、ポリスチレン換算の分子量において、ピークトップの分子量が1,200未満及び、1,200以上にそれぞれ一つ以上のピークを有し、ピークトップの分子量1,200未満のピークの面積が95〜35%、ピークトップの分子量1,200以上のピークの面積が5〜65%からなる熱可塑性樹脂用の難燃剤である。
Figure 2012162667
(式中、R、R、Rの内、2種以上が不飽和結合含有基であり、それ以外は、水素原子、又は不飽和結合含有基以外の有機基である。)
なお、前記構造式群(1)で表される窒素含有化合物において、R、R、またはRが、不飽和結合含有基以外の有機基である場合、この有機基としては、例えば、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または芳香族炭化水素基を挙げることができる。
Figure 2012162667
(式中、R、R、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、それぞれ同一でも、異なっていても良い。)
このような本発明の難燃剤は、その難燃性付与効果の観点から、そのリン原子の含量が9〜10.7重量%である。
後述するように、前記窒素含有化合物として4−1のトリアリルイソシアヌレートを用い、かつ、前記リン含有化合物として9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(DOPO)を用いた場合には、本発明の難燃剤のピークトップの分子量1,200未満にピークを持つ成分は、下記構造式(3−1)で示され、ピークトップの分子量1,200以上にピークを持つ成分は、例えば下記構造式(3−2)で示される、2成分以上のリン・窒素含有化合物を含む難燃剤となると想定される。
Figure 2012162667
Figure 2012162667
この構造式(3−2)で示されるリン・窒素含有化合物は、前記構造式(2)で表されるリン含有化合物2個が結合した前記構造式群(1)で表される窒素含有化合物が重合して直鎖状に高分子化している。
本発明の難燃剤は、例えば、このようなリン・窒素含有化合物として、前記窒素含有化合物に3個の前記リン含有化合物が付加した構造を有する上記構造式(3−1)のような化合物を含有している想定され、この場合このようなリン・窒素含有化合物は、リン原子の含有量が10.7重量%、窒素原子の含有量が4.7重量%で、高リン含有量かつ窒素を含有するため非常に高い難燃性を示すと考えられる。また、本発明の難燃剤は、例えば、上記構造式(3−2)のような化合物を含有している想定され、そのような化合物は、熱可塑性樹脂に添加された状態では、樹脂マトリクス中に島状に分散するので、優れた成形加工性を示すと共に、その成形体は、耐ブリードアウト性に優れるものになると考えられる。
(窒素含有化合物)
前記窒素含有化合物は、上述の如く前記構造式群(1)で表され、反応物の高リン含有化の容易性、入手の容易性の観点から、好ましくは下記構造式群(4)における、4−1のトリアリルイソシアヌレート、及び4−2トリアリルシアヌレートから選ばれる1種以上であり、より好ましくはトリアリルイソシアヌレートである。
Figure 2012162667
(リン含有化合物)
前記リン含有化合物は、上述の如く前記構造式(2)で表される。このような化合物の具体例としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(DOPO)、8−メチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、2,6,8−トリ−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド及び6,8−ジシクロヘキシル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等が挙げられるが、高リン含有量、入手の容易性の観点から、好ましくはDOPOである。
(熱可塑性樹脂組成物)
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、本発明の難燃剤0.1〜75重量部、及び熱可塑性樹脂100重量部を含むことが好ましく、十分な難燃性を得る観点、成形性を良好なものとする観点、及びその成形体の機械的強度を維持する観点から、熱可塑性樹脂100重量部に対し、本発明の難燃剤は1重量部以上がより好ましく、3重量部以上がさらに好ましく、5重量部が特に好ましく70重量部以下がより好ましく、65重量部以下がさらに好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ナイロン6やナイロン66等の脂肪族ポリアミド系樹脂、変性ナイロン6Tやナイロン9T等の半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアクリル系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、高温使用時、及び湿熱下でのブリードアウトが低減されるという点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂、半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂、変性ナイロン6T、およびナイロン9Tからなる群から選ばれる1種以上の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、強度、剛性、耐熱性などを向上させる理由から、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤は、繊維状および/または粒状の無機充填剤であれば、特に限定されず、二種類以上を併用添加しても良い。
本発明で使用される無機充填剤の具体例としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリュウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
本発明で使用されるガラス繊維としては、通常一般的に使用されている公知のガラス繊維を用いることができるが、作業性の観点から、集束剤にて処理されたチョップドストランドガラス繊維を用いるのが好ましい。
本発明で使用されるガラス繊維は、樹脂とガラス繊維との密着性を高めるため、ガラス繊維の表面をカップリング剤で処理したものが好ましく、バインダーを用いたものであってもよい。前記カップリング剤としては、例えば、γ - アミノプロピルトリエトキシシラン、γ - グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物が好ましく使用され、また、バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が好ましく使用されるが、これらに限定されるものではない。
本発明における無機充填剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、下限値としては、5重量部が好ましく、10重量部がより好ましく、15重量部がさらに好ましい。無機充填剤含有量の下限値が5重量部未満では、耐熱性や剛性の改善効果が十分でない場合がある。無機充填剤含有量の上限値としては、120重量部が好ましく、100重量部がより好ましく、80重量部が更に好ましい。無機充填剤含有量の上限値が120重量部を超えると、流動性が下がり、薄肉成形性が損なわれたり、成形品の表面性が低下したりする場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、滴下防止剤、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加することができる。
このような本発明における前記リン・窒素含有化合物を得る反応は、前記窒素含有化合物中の不飽和結合への、前記リン含有化合物の付加、および窒素含有化合物中の不飽和結合同士の付加重合によりなるため、上述したように、上記構造式群(1)におけるR、R、Rの内、2種以上が不飽和結合含有基であり、それ以外は、水素原子、不飽和結合含有基以外の有機基からなる必要がある。
前記反応の進行の確認は、反応中の反応物サンプルを定期的に採取し、それを1H−NMRを用いて分析することにより行う事ができる。即ち、前記の如く、前記反応中の前記付加反応は、前記リン含有化合物のリンが、前記窒素含有化合物のC=C炭素不飽和結合へ付加する事で起こるので、この時、1H−NMR上ではリン含有化合物のP−Hプロトンのシグナル(8.80、及び7.08ppm)の消失が確認される。また、前記反応中の前記付加重合反応は、窒素化合物同士の重合反応、即ち、通常の不飽和結合の重合反応と同様のアリル基の付加重合なので、不飽和結合のプロトンシグナル(5.23ppm−5.33ppmおよび5.83ppm−5.93ppm)の積分値の減少が起こると共に、新たなC−C単結合上のプロトンシグナルの出現が確認される。
次に、具体例をあげて本発明の組成物を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例において使用した樹脂および原料類を示す。
[リン含有化合物(A1)]
本発明に係るリン含有化合物(A1)として、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10ホスファフェナントレン−10−オキシド(製品名:HCA、三光株式会社製)を用いた。
[リン含有化合物(A2)]
比較例の難燃剤として、リン酸エステル(製品名:TPP、大八化学株式会社製)をリン含有化合物(A3)として用いた。
[リン含有化合物(A3)]
比較例の難燃剤として、縮合リン酸エステル(製品名:PX−200、大八化学株式会社製)をリン含有化合物(A3)として用いた。
[リン・窒素含有化合物(B)]
本発明の難燃剤として、後述する製造例1にて合成したリン・窒素含有化合物(B)を用いた。
[窒素含有化合物(C)]
本発明に係る窒素含有化合物(C)として、トリアリルイソシアヌレート(製品名:TAICROS、エボニックデグサ社製)を用いた。
[樹脂(D1)]
本発明に係る熱可塑性樹脂(D1)として、ポリカーボネート樹脂(製品名:タフロン A2500、出光興産株式会社製)を用いた。
[樹脂(D2)]
本発明に係る熱可塑性樹脂(D2)として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名:KP−130、KOLON社製)を用いた。
[ラジカル開始剤(E)]
本発明に係るラジカル開始剤(E)として、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン(製品名:ノフマーBC、日油社製)を用いた。
本製造例での評価方法は、以下の通りである。
<重量平均分子量(Mw)およびMw/Mn>
得られたリン・窒素含有化合物のMw、及びMw/Mnは、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーにより、溶媒としてクロロホルムを用いて測定し、ポリスチレン換算により求めた。GPC測定はWaters社製のGPC測定装置(カラム:昭和電工株式会社製K−804およびK−802.5)を用い、35℃で測定した。
また、本発明におけるピーク面積とは、規定した分子量領域にピークトップを持つピークの面積のことで、もし2つのピークが重なっている場合はピークトップ間の最小値の点から分子量軸(保持時間軸)に垂直な線でピークを分離した。
<ガラス転移温度(Tg)>
得られたリン・窒素含有化合物のTgは、DSCを用いて求めた。DSC測定は、セイコーインスツル株式会社製のDSC−220Cを用い、昇温速度10℃/min、窒素気流下で行った。
<リン含有量>
得られたリン・窒素含有化合物のリン含有量は、高周波プラズマ発光分光分析(ICP−AES)よりもとめた。ICP−AESは、前処理として、US EPA METHOD 3052に準拠し、マイルストーン社製のETHOSを用いてマイクロウエーブ分解を行い、島津製作所製のICPS−8100を用いて行った。
<難燃性>
下記実施例にて得られたペレットを120℃で3時間乾燥後、射出成形機(型締め圧:80トン)を用い、シリンダー設定温度250℃〜280℃および金型温度60℃の条件にて射出成形を行い、127mm×12.7mm×厚み1/8インチの試験片を得た。UL94基準V試験に準拠し、得られた厚さ1/8インチのバー形状試験片を用いて燃焼性を評価した。
<ブリードアウト評価>
得られたペレットを120℃で3時間乾燥後、射出成形機(型締め圧75トン)を用い、シリンダー設定温度250℃〜280℃および金型温度120℃の条件にて射出成形を行い、ASTM D−638に準じたダンベル試験片を作製した。得られた測定用試験片を用い、140℃のオーブン内で1時間加熱し、加熱後の成形体に、脱脂綿を押し当て、成形体への脱脂綿の付着の有無を調べた。
○:リン含有化合物のブリードアウトがなく、成形体に脱脂綿付着しない。
×:リン含有化合物のブリードアウトがあり、成形体に脱脂綿付着する。
<耐湿熱試験後のブリードアウト評価>
ブリードアウト評価に用いたダンベルを、プレッシャークッカー(株式会社平山製作所製、PC−422R5E)を用いて、120℃・100%の条件下で20時間耐湿熱試験を行った後、成形体に脱脂綿を押し当て、成形体への脱脂綿の付着の有無を調べた。
○:ブリードアウトがなく、成形体に脱脂綿付着しない。
×:ブリードアウトがあり、成形体に脱脂綿付着する。
<アイゾット衝撃値>
ASTM D−256、1/4インチ、ノッチ付、23℃で測定した。
<耐熱性>
ASTM D−648、1.82MPa荷重で測定した。
<薄肉成形性>
実施例および比較例により得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、JI
S K 7210に準じ、下記条件にてフロー値(×10−2ml/分)を測定した。
測定荷重:100Kgf/cm
測定温度:280℃、予熱時間5分
ダイス:内径1mmφ×長さ10mm
(製造例1)
還流管、窒素導入管、及び攪拌機を有する縦型重合器に、リン含有化合物(A1)、及び窒素含有化合物(C)を2.9:1の配合モル比にて投入した。そこへリン含有化合物と窒素含有化合物を100重量部としたときに0.1重量部となる量のラジカル開始剤(E)を添加し、窒素ガス気流下、50℃〜200℃まで徐々に昇温し、約8時間攪拌した。得られた化合物は常温で無色ガラス状の固体であり、1H NMRから求めたリン含有化合物(A1)の残量は13%であった。得られた化合物を塩化メチレンに溶解させた後、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄することでリン含有化合物(A1)を完全に除去した。得られたリン・窒素含有化合物(B)はリン含量9.3%、Tg105℃、常温で無色ガラス状の固体であり、トルエンおよびTHFに不溶であった。また、得られた難燃剤は、上記ゲルパーミネーションクロマトグラフィーにより求めたピークトップの分子量が1,200未満に一つ以上のピークを、及び、1,200以上に一つ以上のピークを有しており、ピークトップの分子量1,200未満のピークの面積が57%、ピークトップの分子量1,200以上のピークの面積が43%であった。
(実施例1、2)
表1に示す原料、及び配合組成(単位:重量部)で各原料をドライブレンドすることで各混合物を得た。前記混合物を、ベント式44mmφ同方向2軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)を用いて、そのホッパー孔から供給し、シリンダー設定温度250〜280℃にて溶融混練することでペレット化した。得られたペレットを前記条件にて射出成形して試験片を得て、前記記載の評価方法にて評価した。実施例1、2における評価結果を、表1に示す。
(比較例1、2)
表1に示した配合組成(単位:重量部)に従い、実施例1と同様に、ペレット化および射出成形を行い、試験片を得、同様の評価方法にて実験を行った。比較例1、2における評価結果を、表1に示す。
Figure 2012162667
製造例、実施例、比較例から、本発明の難燃剤は、難燃性付与性、耐ブリードアウト性、耐湿熱性、耐衝撃性、薄肉成形性に優れていることがわかる。

Claims (3)

  1. 下記構造式群(1)で表される窒素含有化合物、及び下記構造式(2)で表されるリン含有化合物の反応生成物からなる難燃剤であって、そのリン原子の含量が、9〜10.7重量%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤。
    Figure 2012162667

    (式中、R、R、Rの内、2種以上が不飽和結合含有基であり、それ以外は、水素原子、不飽和結合含有基以外の有機基である。)
    Figure 2012162667

    (式中、R、R、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、それぞれ同一でも、異なっていても良い。)
  2. 請求項1に記載の難燃剤において、そのゲルパーミネーションクロマトグラフィーのチャートで、ピークトップのポリスチレン換算の分子量が1,200未満及び、1,200以上にそれぞれ一つ以上のピークを有し、ピークトップの分子量1,200未満のピークの面積が95〜35%、ピークトップの分子量1,200以上のピークの面積が5〜65%であることを特徴とする、熱可塑性樹脂用の難燃剤。
  3. 請求項1に記載の難燃剤0.1〜75重量部、及び熱可塑性樹脂100重量部を含む難燃性熱可塑性樹脂組成物。
JP2011024745A 2011-02-08 2011-02-08 難燃剤、及びそれを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物 Withdrawn JP2012162667A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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