JP2013112698A - 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ハロゲン系難燃剤を使用せず、高度の難燃性を有し、耐ブリードアウト性、タッピング強度に代表される機械的強度が優れた、バランスの取れた難燃性熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を得ることである。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、主鎖がポリエステル構造を持つ高分子型有機リン系難燃剤(B1)を1重量部以上、25重量部未満を含有し、縮合リン酸エステル系難燃剤および/または芳香族リン酸エステル系難燃剤であるリン系難燃剤(B2)を(B2)全量で1重量部以上、25重量部未満含有し、さらに上記(A)100重量部に対する、上記(B1)と上記(B2)の添加量が合計5〜40重量部である、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲン系の難燃剤を使用せず、難燃性と機械的強度、および耐ブリードアウト性に優れた、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に関する。
ポリアルキレンテレフタレートなどに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた特性から、電気および電子部品、自動車部品などに広く使用されている。近年、特に家電、電気およびOA関連部品では、火災に対する安全性を確保するため、高度な難燃性が要求される例が多く、このため、種々の難燃剤の配合が検討されている。
ハロゲン系難燃剤を用いずに樹脂組成物を難燃化する方法としては、金属酸化物を用いる方法、リン系難燃剤を用いる方法などがある。金属酸化物を用いる方法では、多量に用いないと所望の難燃特性が得られ難く、また、多量に用いると、元来樹脂が持つ特性を低下させてしまうという問題があった。
リン系難燃剤を用いて樹脂を難燃化する方法としては、有機(縮合)リン酸エステル化合物を用いる方法、または赤燐を用いる方法が従来公知である。較的低分子量である有機(縮合)リン酸エステルは揮発性、昇華性、耐熱性の点で不十分であり、また、樹脂組成物を高温下で長時間使用すると、難燃剤がブリードアウトする問題があった。赤燐では樹脂組成物の乾燥中や成形中に有毒性のホスフィンガスを発生するという問題があった。
特許文献1、及び2には、本願組成物の構成物の一つである構造式(1)と同一の構造を有するリン系難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物に関する技術が開示されている。しかしながら、本難燃剤を用いることで耐熱性および高温下におけるブリードアウトの抑制には効果が認められるものの、機械的強度の内、特にタッピング強度が低下するという課題があった。
特開昭53−128195号公報 国際公開公報WO2007/040075
本発明の目的は、ハロゲン系難燃剤を使用せず、高度の難燃性を有し、耐ブリードアウト性、タッピング強度に代表される機械的強度が優れた、バランスの取れた難燃性熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を得ることである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性ポリエステル系樹脂に、特定の構造を有するリン系難燃剤二種類を特定割合で配合することにより、上記課題を解決できることを見出だした。
すなわち本発明は以下の通りである。
1)熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、下記一般式(1)で表されるリン系難燃剤(B1)を1重量部以上、25重量部未満を含有し、下記一般式(3)または一般式(4)で表されるリン系難燃剤(B2)を(B2)全量で1重量部以上、25重量部未満含有し、
さらに上記(A)100重量部に対する、上記(B1)と上記(B2)の添加量が合計5〜40重量部である、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
Figure 2013112698
(式中、nは2〜40の整数である)
Figure 2013112698
(式中、−X−は、上記に示す芳香族基であり、R〜R19は、同一または異なって、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Aは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基である。Ar〜Arは、同一または異なって、フェニル基あるいはハロゲン非含有の有機基で置換されたフェニル基である。また、nは1以上の整数を表す)
2)上記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対してさらに、窒素系化合物(C)を3〜25重量部を含有する上記1)に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
3)上記1)または2)に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物であって、さらに上記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、無機フィラー(D)5〜120重量部を含有する難燃性熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物。
4)上記1)〜3)に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、実質的にハロゲン系難燃剤を使用せずに優れた難燃性を発現し、耐ブリードアウト性とタッピング強度に優れ、低い金型温度でも良好な成形品表面を有するバランスの取れた特性を示す。そのため、耐熱環境下で使用される家電、電気、OA部品等の成形材料として好適に使用でき、工業的に有用である。
(熱可塑性ポリエステル系樹脂(A))
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)とは、酸成分としてテレフタル酸等の2価の酸、又はエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価のアルコール、又はエステル形成能を有するそれらの誘導体等を用いて得られる飽和ポリエステル樹脂をいう。これらの中でも、加工性、機械的特性、電気的性質、耐熱性などのバランスに優れるという点で、ポリアルキレンテレフタレート樹脂が好ましい。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂が挙げられ、この中でも、耐熱性および耐薬品性が優れるという点で、特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
本発明で使用する熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)は必要に応じ、物性を大きく低下させない程度の割合で、他の成分を共重合することができる。共重合の成分としては、公知の酸成分、アルコール成分および/またはフェノール成分、あるいは、エステル形成能を持つこれらの誘導体が使用できる。
共重合可能な酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。共重合可能な酸成分の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4’−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いられる。これらのなかでも、得られた樹脂の物性、取り扱い性および反応の容易さに優れるという理由から、テレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレンジカルボン酸が好ましい。
共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたは、フェノール、及びエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。 共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分の具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、などの化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。これらの中でも、得られた樹脂の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由から、エチレングリコールおよびブタンジオールが好ましい。
さらに、ポリアルキレングリコール単位を一部共重合させてもよい。ポリオキシアルキレングリコールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、および、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中では、共重合時の熱安定性が良好で、かつ、本発明の樹脂組成物から得られる成形品の耐熱性があまり低下しにくい等の理由から、分子量500〜2000のビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物が好ましい。
これら熱可塑性ポリエステル樹脂は、単独で使用してもよく、または、2種以上併用してもよい。
本発明における熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)の製造方法は、公知の重合方法、例えば、溶融重縮合、固相重縮合、溶液重合等によって得ることができる。また、重合時に樹脂の色調を改良するために、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸メチルジエチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等の化合物を、1種または2種以上添加してもよい。
さらに、得られた熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化度を高めるために、重合時に通常よく知られた有機または無機の各種結晶核剤を、単独で添加してもよく、または、2種以上併用してもよい。
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)の固有粘度(フェノール/テトラクロロエタンが重量比で1/1の混合溶液中、25℃で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.6〜1.0dl/gがより好ましい。前記固有粘度が0.4dl/g未満では、機械的強度や耐衝撃性が低下する傾向があり、1.2dl/gを超えると成形時の流動性が低下する傾向がある。
(リン系難燃剤(B1)および(B2))
本発明におけるリン系難燃剤(B1)とは、下記一般式(1)で表されるものであり、分子中にリン原子を含み、nの繰り返し単位の下限値はn=2であり、好ましくは、n=3、特に好ましくはn=5である。nの繰り返し単位の上限値の規定は特にないが、過度に分子量を高めると分散性等に悪影響を及ぼす傾向にある。そのため、nの繰り返し単位の上限値は、n=40であり、好ましくは、n=35、特に好ましくはn=30である。n=2未満であると、ポリエステル樹脂の結晶化を阻害したり、機械的強度が低下したりする傾向がある。
Figure 2013112698
(式中、nは2〜40の整数である。)
本発明に用いられるリン系難燃剤(B1)の製造方法は、特に限定されず、一般的な重縮合反応によって得られるものであり、例えば、以下の方法で得られる。
すなわち、下記一般式(2)で表される9,10−ジヒドロー9−オキサー10−フォスファフェナントレンー10−オキシドに対し、必要量のイタコン酸、およびイタコン酸に対し約2倍モル以上のエチレングリコールを混合し、窒素ガス雰囲気下、120〜200℃の間で加熱し、攪拌することにより、9,10−ジヒドロー9−オキサー10−フォスファフェナントレンー10−オキシド、イタコン酸およびエチレングリコールの反応物を得る。得られた反応物に、三酸化アンチモンおよび酢酸亜鉛を加え、1Torr以下の真空減圧下にて、さらに設定温度を245℃として維持し、エチレングリコールを留出しながら重縮合反応させる。約5時間後エチレングリコールの留出量が極端に減少した時点で、反応終了とみなす。得られたリン系難燃剤は、分子量4000〜12000の固体であり、リン含有量が8.3%である。
Figure 2013112698
(式中、R、R、Rは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、それぞれ同一でも、異なっていても良い。)
本発明におけるリン系難燃剤(B2)とは、下記一般式(3)、または一般式(4)で表されるものであり、それぞれ縮合リン酸エステル、芳香族リン酸エステルである。
前記縮合リン酸エステルの具体例としては、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,4−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(3,5,5’−トリメチルヘキシルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)、4,4’−ビスフェニル ビス(ジキシレニルホスフェート)、1,3,5−フェニレン トリス(ジキシレニルホスフェート)、等が挙げられる。
前記芳香族リン酸エステルの具体例としては、トリフェニルホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5’―トリメチルヘキシル)ホスフェート、クレジル−2,6−キシレニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(i−プロピルフェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート等が上げられる
Figure 2013112698
(式中、−X−は、上記に示す芳香族基であり、R〜R19は、同一または異なって、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Aは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基である。Ar〜Arは、同一または異なって、フェニル基あるいはハロゲン非含有の有機基で置換されたフェニル基である。また、nは1以上の整数を表す)
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、2種類のリン系難燃剤を特定割合で含有することで難燃性とブリードアウトおよびタッピング強度が両立することが可能となる。
前記リン系難燃剤(B1)および(B2)の、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対する、含有量は、難燃性の観点から、5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましく、15重量部以上がさらに好ましく、成形性、及び成形体の機械的強度の観点から、25重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましい。
前記リン系難燃剤(B1)および(B2)はそれぞれ25重量部未満であることが好ましく、20重量部以下がより好ましい。前記リン系難燃剤(B2)が25重量部以上であると耐ブリードアウト性が低下する傾向があり、前記リン系難燃剤(B1)が25重両部以上であるとタッピング強度が低下する傾向がある。
(窒素系化合物(C))
本発明で使用される窒素化合物(C)とは、窒素含有環状化合物であり、少なくとも一つのアミノ基と、少なくとも一つの窒素原子を環のヘテロ原子として有するヘテロ環状化合物が含まれ、下記一般式(5)または(6)で表される化合物、メラミン類、または、下記一般式(5)または(6)で表される化合物とメラミン類との縮合物である。
Figure 2013112698
(式中、R20〜R25は水素原子または炭素数1〜15のアルキル基を表す。)
本発明における上記一般式(5)で表される化合物の具体例としては、シアヌル酸、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレート、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート等が挙げられる。本発明における上記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、イソシアヌル酸、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレート、トリ(n−プロピル)イソシアヌレート、ジエチルイソシアヌレート、メチルイソシアヌレート等が挙げられる。
本発明におけるメラミン類とは、メラミン、メラミン誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物およびメラミンの縮合物等であり、その具体例としては、メラミン、アンメリド、アンメリン、ホルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、アリールグアナミン、メラム、メレム、メロン等が挙げられる。
本発明における一般式(5)または(6)で表される化合物とメラミン類との縮合物としては、等モル反応物が挙げられる。また、メラミン・シアヌレート中のアミノ基または水酸基のいくつかが、他の置換基で置換されていてもよい。メラミン・シアヌレートは、例えば、シアヌル酸の水溶液とメラミンの水溶液とを混合し、90〜100℃で攪拌下反応させ、生成した沈殿を濾過することによって得ることができる白色の固体であり、微粉末状に粉砕して使用するのが好ましい。勿論、市販品をそのまま、または、これを粉砕して使用することもできる。
トリアジン系化合物のなかでは、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、メラミン・シアヌレート、メレム・シアヌレート等が汎用性の点から好ましく、分解物が成形物の表面に浮き出してくるブルーミング等の不都合がない点から、メラミン・シアヌレートがより好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物におけるトリアジン系化合物の含有量は、熱可塑性ポリエステル100重量部に対して、下限値としては3重量部が好ましく、5重量部がより好ましい。トリアジン系化合物含有量の下限値が3重量部未満では、難燃性が低下する傾向がある。トリアジン系化合物含有量の上限値としては25重量部が好ましく、20重量部がより好ましい。トリアジン系化合物含有量の上限値が25重量部を超えると、機械的強度が低下し、滞留時の溶融粘度も上昇して成形性も悪化する傾向がある。
(無機フィラー(D))
本発明では、機械的性質や耐熱性を向上させる目的で、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に対して、無機フィラーを添加することができる。
本発明で使用される無機フィラーは、繊維状および/または粒状の無機フィラーであれば、特に限定されないが、無機フィラーを添加することにより、強度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることができる。
本発明で使用される無機フィラーの具体例としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリュウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。
本発明で使用されるガラス繊維としては、通常一般的に使用されている公知のガラス繊維を用いることができるが、作業性の観点から、集束剤にて処理されたチョップドストランドガラス繊維を用いるのが好ましい。
本発明で使用されるガラス繊維は、樹脂とガラス繊維との密着性を高めるため、ガラス繊維の表面をカップリング剤で処理したものが好ましく、バインダーを用いたものであってもよい。前記カップリング剤としては、例えば、γ - アミノプロピルトリエトキシシラン、γ - グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物好ましく使用され、また、バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が好ましく使用されるが、これらに限定されるものではない。上記ガラス繊維は、単独で使用してもよく、また、2種以上を併用してよい。
本発明におけるガラス繊維の繊維径は1〜20μmが好ましく、かつ、繊維長は0.01〜50mmが好ましい。繊維径が1μm未満であると、期待するような補強効果が得られない傾向があり、繊維経が20μmを超えると、成形品の表面性や流動性が低下する傾向がある。また、繊維長が0.01mm未満であると、期待するような樹脂補強効果が得られない傾向があり、繊維長が50mmを超えると、成形品の表面性、流動性が低下する傾向がある。
本発明における無機フィラーの含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、下限値としては、5重量部が好ましく、10重量部がより好ましく、15重量部がさらに好ましい。無機フィラー含有量の下限値が5重量部未満では、耐熱性や剛性の改善効果が十分でない場合がある。
無機フィラー含有量の上限値としては、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、120重量部が好ましく、100重量部がより好ましく、80重量部が更に好ましい。無機フィラー含有量の上限値が120重量部を超えると、流動性が下がり、薄肉成形性が損なわれたり、成形品の表面性が低下したりする場合がある。
(添加剤)
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、滴下防止剤、顔料、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤等を添加することができる。
(製造方法)
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)、リン系難燃剤(B)を、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練する方法をあげることができる。混練機の例としては、一軸押出機、二軸押出機などが挙げられ、特に、混練効率の高い二軸押出機が好ましい。
(タッピング強度)
本発明におけるタッピング試験は、成形品の円筒形状(ボス)部にビスをねじ込むことであり、ねじ込んだ後に円筒形状(ボス)側面におけるクラックの有無で評価を行う。内径Φ2.40〜Φ2.60(Φ0.05間隔)でクラックが発生しない最小内径がΦ2.50以上であることが好ましく、クラックが発生しない最小内径がΦ2.45以上であることがより好ましい。
次に、具体例をあげて本発明の組成物を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
以下に、実施例、及び比較例において使用した樹脂、及び原料類を示す。
[熱可塑性ポリエステル樹脂(A1)]
ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名:EFG−70、ベルポリエステルプロダクツ社製)
[リン系難燃剤(B1)]
製造例1にて合成したもの。
[リン系難燃剤(B2)]
1,3−フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート(製品名:PX−200、大八化学工業株式会社製)
[窒素化合物(C1)]
メラミン・シアヌレート(製品名:MC4000、日産化学株式会社製)
[無機化合物(D1)]
ガラス繊維(製品名:T−187H、日本電気硝子株式会社製)
[リン化合物(E1)]
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10フォスファフェナントレン−10−オキシド(製品名:HCA、三光株式会社製)
本明細書における評価方法は以下の通りである。
<難燃性>
下記実施例で得られたペレットを120℃で3時間乾燥後、射出成形機(JS36SS型締め圧:35トン)を用い、シリンダー設定温度250℃〜280℃および金型温度60℃の条件にて射出成形を行い、127mm×12.7mm×厚み1.6mmの試験片を得た。UL94基準V−0試験に準拠し、得られた厚さ1.6mmのバー形状試験片を用いて燃焼性を評価した。
<引張試験>
下記実施例で得られたペレットを120℃にて3時間乾燥後、射出成形機(東芝機械株式会社、IE−75E−2A(形締め圧:75トン))を用い、シリンダー設定温度250℃〜280℃、金型温度130℃、射出率30cm3/secの条件にて射出成形を行い、ASTM D−638に準じたダンベル試験片を作製した。得られた測定用試験片を用いて、ASTM D−638に準拠して引張試験を行い、23℃での引張強度を測定した。
<タッピング強度試験>
下記実施例で得られたペレットを120℃にて3時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所株式会社製、J150E−P(型締め圧:150トン))を用い、シリンダー設定温度250℃〜280℃、金型温度130℃にて射出成形を行い、直径160mm、厚み3mmの円盤の外周端から1cm内側に、外径Φ7.0〜Φ8.0×内径Φ2.40〜Φ2.60×高さ12mmである円筒形状部(ボス)が20個同心円上に配置された成形品を成形した。得られた成形品の外径Φ7.0×内径Φ2.50の円筒形状部に、M3×8mm(153W 17888)のビスを電動ドライバー(日東工器株式会社製、delvo DLV8130−EJN(回転数1000rpm、トルク0.7N・m)を用いてねじ込んだ後の成形品のクラックの発生の有無を調べた。
○:円筒形状(ボス)側面にクラックが発生しなかったもの。
×:円筒形状(ボス)側面にクラックが発生したもの。
<ブリードアウト評価>
引張試験に用いたダンベルを、140℃のオーブン内で1時間加熱し、加熱後の成形体に、脱脂綿を押し当て、成形体への脱脂綿の付着の有無を調べた。
○:リン系難燃剤のブリードアウトがなく、成形体に脱脂綿付着しない。
×:リン系難燃剤のブリードアウトがあり、成形体に脱脂綿付着する。
(製造例1)
蒸留管、精留管、窒素導入管、及び攪拌基を有する縦型重合器に、リン系難燃剤(E1)、(E1)に対して等モルのイタコン酸60重量部、及びイタコン酸に対し2倍モル以上のエチレングリコール160重量部を投入し、窒素ガス雰囲気下、120〜200℃まで徐々に昇温加熱し、約10時間攪拌した。次いで、三酸化アンチモンおよび酢酸亜鉛0.1重量部を加え、1Torr以下の真空減圧にて、温度220℃で維持し、エチレングリコールを留出させながら重縮合反応させた。約5時間後、エチレングリコールの留出量が極端に減少したことで、反応終了とみなした。
(実施例1〜5および比較例1〜6)
表1に示した原料と配合組成(単位:重量部)に従い、予めドライブレンドした。ベント式44mmφ同方向2軸押出機(TEX44、日本製鋼所(株)製)を用い、前記混合物をホッパー孔から供給し、シリンダー設定温度250〜280℃にて溶融混練を行い、ペレット化し、前記記載の評価方法にて評価した。評価結果を、表1に示す。
Figure 2013112698

Claims (4)

  1. 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、下記一般式(1)で表されるリン系難燃剤(B1)を1重量部以上、25重量部未満を含有し、下記一般式(3)または一般式(4)で表されるリン系難燃剤(B2)を(B2)全量で1重量部以上、25重量部未満含有し、
    さらに上記(A)100重量部に対する、上記(B1)と上記(B2)の添加量が合計5〜40重量部である、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2013112698
    (式中、nは2〜40の整数である)
    Figure 2013112698
    (式中、−X−は、上記に示す芳香族基であり、R〜R19は、同一または異なって、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Aは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、または炭素数6〜20のアルキリデン基である。Ar〜Arは、同一または異なって、フェニル基あるいはハロゲン非含有の有機基で置換されたフェニル基である。また、nは1以上の整数を表す)
  2. 上記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対してさらに、窒素系化合物(C)を3〜25重量部を含有する請求項1に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物であって、さらに上記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、無機フィラー(D)5〜120重量部を含有する難燃性熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体。
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