上記特許文献1に開示されている錠剤充填装置では、ストッカから取り出されたバイアル瓶をシュートなどを介して落下させて供給し、その過程においてバイアル瓶を直立させることとしていた。このような構成とした場合、通常はバイアル瓶が各所に引っかかる等せずにスムーズに供給されていた。しかし、ストッカから取り出されたバイアル瓶をより一層スムーズかつ確実に供給(排出)する方策がないか検討を重ねたところ、ストッカから取り出されたバイアル瓶を直立姿勢にして排出するまでの間に、いったんバイアル瓶の姿勢を落ち着かせることが有効であることを見いだした。
かかる知見に基づき、本発明は、薬剤充填前の空のバイアル瓶を従来技術のものよりも一層スムーズかつ確実に排出可能な薬剤充填装置の提供を目的とした。
上述した課題を解決すべく提供される本発明の薬剤充填装置は、空のバイアル瓶をランダムに貯留可能な瓶貯留部と、前記瓶貯留部に貯留されていた空の状態のバイアル瓶を受け入れ、送り出し可能な送出機構部と、前記送出機構部から送り出されたバイアル瓶を受け入れ、直立した姿勢で排出可能な直立排出部と、前記送出機構部と前記直立排出部との間に設けられた規制手段と、を有する。本発明の薬剤充填装置において、規制手段は、前記送出機構部から前記直立排出部へのバイアル瓶の移動の規制および、送出機構部に受け入れたバイアル瓶の姿勢の規制のいずれか一方又は双方を行うものとすることが可能である。
また、本発明の薬剤充填装置は、空の状態のバイアル瓶を受け入れ、送り出し可能な送出機構部と、前記送出機構部から送り出されたバイアル瓶を受け入れ、直立した姿勢で排出可能な直立排出部と、前記送出機構部と前記直立排出部との間に設けられた規制手段と、を備えたものであり、前記送出機構部がバイアル瓶を受け入れる状態である際に、前記規制手段により、前記送出機構部から前記直立排出部へのバイアル瓶の移動が規制された状態になり、前記送出機構部がバイアル瓶を送り出す状態である際に、前記規制手段によるバイアル瓶の移動規制が解除された状態になる。
本発明の薬剤充填装置は、規制手段が、回動自在に支持された板状体によって構成されたものであってもよい。かかる構成とした場合、本発明の薬剤充填装置は、送出機構部がバイアル瓶を受け入れる状態である際には、前記規制手段が送出機構部と直立排出部との間を仕切るように支持され、前記送出機構部がバイアル瓶を送り出す際に、前記規制手段が、前記送出機構部および前記送出機構に受け入れられているバイアル瓶のいずれか一方又は双方によって押し回され、送出機構部から直立排出部に向けてバイアル瓶を通過させることが可能な状態になるものであることが好ましい。また、送出機構部が、直立排出部側に向けて転倒することによりバイアル瓶を送り出し可能なものであってもよい。さらに、本発明の薬剤充填装置は、規制手段に対して、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側の位置に、前記移動方向へのバイアル瓶の移動を規制するストッパが設けられていることが好ましい。
本発明の薬剤充填装置は、規制手段に対して、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側の位置に、滑動部が設けられており、前記滑動部上を、前記送出機構部から送り出されたバイアル瓶が滑動可能なものであってもよい。また、本発明の薬剤充填装置は、前記滑動部に一対の滑動面が設けられており、前記一対の滑動面上をバイアル瓶が滑動可能であり、前記一対の滑動面が、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側に向かうに連れて下方に向けて傾斜しているものであってもよい。さらに、本発明の薬剤充填装置は、滑動部に一対の滑動面が設けられており、前記一対の滑動面上をバイアル瓶が滑動可能であり、前記一対の滑動面の間隔が、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側に向かうに連れて漸増したものであってもよい。すなわち、本発明の薬剤充填装置は、一対の滑動面の間隔が、下流側に向かうにつれて末広がりになっていてもよい。また、本発明の薬剤充填装置は、前記一対の滑動面の間隔が、下方に向かうに連れて漸減したものであってもよい。すなわち、本発明の薬剤充填装置は、一対の滑動面の間隔が、下方に向けて先細りになっていてもよい。なお、本発明において「間隔が漸増する」とは間隔が漸次増加することを言い、「間隔が漸減する」とは間隔が漸次減少することを言う。
本発明の薬剤充填装置は、滑動部に一対の滑動面が設けられており、前記一対の滑動面上をバイアル瓶が滑動可能であり、前記一対の滑動面の少なくとも一部に、前記バイアル瓶の移動方向下流側に向けて下り勾配となる下り勾配部が形成されたものとすることも可能である。この下り勾配部は、平面によって構成することも可能であるが、下方に向けて湾曲した湾曲面によって構成することも可能である。さらに、本発明の薬剤充填装置は、滑動部が滑動面に対して下方に連続した側面を有するものである場合に、前記した滑動面に形成された下り勾配部と前記側面との境界をなす稜部を湾曲形状あるいは面取り形状に形成することが好ましい。
本発明の薬剤充填装置は、送出機構部から直立排出部に送り出されたバイアル瓶が、前記直立排出部から送出機構部側に排出されるのを抑止可能な瓶抑止手段を設けたものであることが好ましい。また、本発明の薬剤充填装置が、送出機構部にバイアル瓶を搭載可能な座面が設けられており、前記座面が直立排出部側に向けて回動することにより前記バイアル瓶を前記送出機構部から前記直立排出部に向けて送り出し可能なものである場合は、前記した座面の下方であって前記直立排出部に設けられた滑動部の延長上の位置に、瓶抑止手段を設けることが好ましい。
本発明の薬剤充填装置は、直立排出部が、対向配置された一対の通路構成体を有し、当該一対の通路構成体の間にバイアル瓶通路が形成されたものであってもよい。前記滑動部は、一対の滑動部材を有し、各滑動部材を各通路構成体に取り付けることにより形成されたものであってもよい。また、本発明の薬剤充填装置は、前記一対の滑動部材のいずれか一方又は双方に滑動面が設けられており、前記滑動面上をバイアル瓶が滑動可能なものであってもよい。かかる構成とした場合、前記滑動面が、前記バイアル瓶通路の内側に向けて傾斜したものであることが好ましい。また、前記滑動面は、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側に向かうに連れて下方に傾斜していることが好ましい。
本発明の薬剤充填装置は、滑動部が、ストッパと規制手段との間に設けられていることが好ましい。
本発明の薬剤充填装置は、直立排出部におけるバイアル瓶の排出位置に対して前記バイアル瓶の移動方向下流側に離れた位置に、前記バイアル瓶に対してラベルを貼付するためのラベル貼付手段が設けられ、前記ラベル貼付手段が、前記バイアル瓶の外周面に当接可能な外周面当接手段を有し、当該外周面当接手段を前記排出位置側に移動した飛出防止状態とすることが可能なものとすることが可能である。このような構成とした場合は、前記外周面当接手段が、送出機構部から前記直立排出部に向けてバイアル瓶が送出され、直立排出部から直立状態で排出されるまでの期間の一部又は全部において、前記外周面当接手段が前記飛出防止状態とされることが好ましい。
本発明の薬剤充填装置は、瓶貯留部が、バイアル瓶をランダムに貯留可能なストッカと、前記ストッカの底側に配置され前記バイアル瓶を移動させることが可能なコンベアとを有し、前記コンベアによって移動されたバイアル瓶を前記ストッカから排出させることが可能なものとすることが可能である。このような瓶貯留部を設けた場合は、前記コンベアに対して前記バイアル瓶の排出方向上流側に隣接する位置に、バイアル瓶が滑動する瓶滑動壁が設けられていることが好ましい。さらに、瓶滑動壁は、コンベアから離れる方向に上り勾配を有する上り勾配部と、前記上り勾配部に連続し前記上り勾配部よりも傾斜が鉛直に近い立設部とを有することが好ましい。
本発明の薬剤充填装置は、送出機構部と瓶貯留部との間に設けられ、前記瓶貯留部から取り出されたバイアル瓶を送出機構部に向けて移送し、排出可能な移送手段と、前記移送手段において、バイアル瓶を排出可能な排出位置にバイアル瓶の存否を検知可能な瓶検知手段とを有するものとすることが可能である。かかる構成とした場合、前記瓶検知手段によってバイアル瓶が前記排出位置に存在していることが確認された後、前記排出位置に待機しているバイアル瓶を排出させるのに十分なだけ前記移送手段を作動させた状態において前記瓶検知手段によってバイアル瓶が存在しているものと検知されることを条件として、バイアル瓶の排出不良が生じているものと判定する構成とすることが可能である。
また、上記したように瓶検知手段を設けた場合は、瓶検知手段によってバイアル瓶が排出位置に存在していることが確認され、前記排出位置に待機しているバイアル瓶を排出させるのに十分なだけ移送手段を作動させた状態において瓶検知手段によってバイアル瓶が存在しているものと検知された後、バイアル瓶の排出方向とは逆方向にバイアル瓶が所定量移動するように前記移送手段を作動させた時点においても瓶検知手段によってバイアル瓶の存在が検知されていることを判定条件として付加し、この条件を満足することを条件としてバイアル瓶の排出不良が生じているものと判定することとしてもよい。
本発明の薬剤充填装置は、ランダムに貯留されている空のバイアル瓶を瓶貯留部から取り出し、このバイアル瓶を送出機構部にいったん受け入れた後、直立排出部に向けて送り出し可能とされている。ここで、本発明の薬剤充填装置では、瓶貯留部においてバイアル瓶がランダムに貯留されており、送出機構部に受け入れられた時点においてバイアル瓶は空である。そのため、送出機構部に受け入れられた時点において、バイアル瓶はその姿勢が不安定である可能性が高い。本発明の薬剤充填装置では、これらの要因を加味し、前記送出機構部と前記直立排出部との間に規制手段を設けている。これにより、本発明の薬剤充填装置では、送出機構部に受け入れられたバイアル瓶をいったん落ち着かせた後、直立排出部に向けて送出させることが可能となる。従って、本発明の薬剤充填装置では、バイアル瓶を所定の姿勢で直立排出部に向けて排出でき、直立排出部においてバイアル瓶が引っかかったり詰まるのを確実に防止できる。
また、本発明の薬剤充填装置において、規制手段は、前記送出機構部から前記直立排出部へのバイアル瓶の移動の規制および、送出機構部に受け入れたバイアル瓶の姿勢の規制のいずれか一方又は双方を行うものとした場合、バイアル瓶が予期せぬ所に飛び出してしまったり、予期せぬ姿勢で送出されることにより引っかかったり詰まったりするといった不具合の発生を確実に防止できる。
本発明の薬剤充填装置は、送出機構部がバイアル瓶を受け入れ可能な状態(以下、「瓶待機状態」とも称す)である際には、前記規制手段によって送出機構部から直立排出部に向けてバイアル瓶が移動しないよう、規制された状態になる。そのため、瓶待機状態では、送出機構部に投入された空のバイアル瓶が、勢い余って直立排出部側に飛び出したり、予期せぬ場所に引っかかるといった不具合が起こらない。また、本発明の薬剤充填装置では、前記したようにして瓶待機状態において送出機構部内にバイアル瓶が準備された後、送出機構部がバイアル瓶を送り出す段階になると、規制手段によるバイアル瓶の移動規制が解除された状態(以下、「規制解除状態」とも称す)になり、直立排出部に向けてバイアル瓶が排出される。そのため、本発明の薬剤充填装置では、瓶待機状態においていったんバイアル瓶の体勢を整えてから、このバイアル瓶を直立排出部に向けて排出することになる。従って、本発明の薬剤充填装置では、バイアル瓶を所定の姿勢で直立排出部に向けて排出でき、直立排出部においてバイアル瓶が引っかかったり詰まったりするのを確実に防止できる。
本発明の薬剤充填装置において、規制手段として回動自在に支持された板状体を採用した場合、瓶待機状態において規制手段をなす板状体によって送出機構部と直立排出部との間を仕切ることにより送出機構部から直立排出部に向けてバイアル瓶が移動しないように規制し、送出機構部に受け入れたバイアル瓶の姿勢を立て直すことが可能となる。また、送出機構部としてバイアル瓶を直立排出部側に向けて転倒させることにより送り出し可能なものを採用し、送出機構部がバイアル瓶を送り出す際に、この送出機構部やバイアル瓶によって規制手段をなす板状体を押し回して規制解除状態なものとすれば、直立排出部に向けてバイアル瓶をスムーズに送り出すことが可能となる。
また、本発明のように規制手段を設けた場合は、規制解除状態に切り替わった後、バイアル瓶が送出機構部から直立排出部に向けて送り出された後も、バイアル瓶が勢い余って飛び出してしまうのを防止できる構成であることが望ましい。かかる知見に基づけば、規制手段に対して、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側の位置にストッパを設けることが望ましい。このような構成とすることにより、直立排出部側に送り出されたバイアル瓶の前記した移動方向へのバイアル瓶の移動をストッパによって規制し、バイアル瓶が予期せず飛び出すのを防止できる。
ここで、規制解除状態において、送出機構部から直立排出部に向けてバイアル瓶を送り出す際に、バイアル瓶がスムーズに滑って動けば、バイアル瓶が予期せぬ場所に引っかかったり、飛び出したりするような不具合をさらに確実に防止できる。また、上述したように、送出機構部や、これに受け入れられているバイアル瓶によって規制手段を押し動かして規制解除状態にする構成とした場合は、規制手段がバイアル瓶が移動する際に抵抗として働くことになるため、より一層スムーズにバイアル瓶が滑り動けるような構成であることが望ましい。そこで、本発明の薬剤充填装置では、規制手段に対して、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側の位置に、滑動部を設け、この滑動部の上を、送出機構部から送り出されたバイアル瓶が滑動可能とされている。そのため、送出機構部から直立排出部に向けてバイアル瓶を送り出す際に、バイアル瓶がスムーズに滑って動き、送出機構部から送出されたバイアル瓶が引っかかったり飛び出したりすることによる不具合が起こりにくい。
上述したように滑動部を設けると共に、この滑動部に一対の滑動面を設け、この上をバイアル瓶が滑動可能とした場合、滑動面を送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側に向かうに連れて下方に向けて傾斜するように形成すれば、バイアル瓶が滑動面の傾斜に沿ってスムーズに滑り、引っかかったり詰まったりするなどの不具合が起こらない。また、滑動部に一対の滑動面を設けた場合に、この一対の滑動面の間隔が、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側に向かうに連れて漸増する構成とすると、より一層滑動面上をバイアル瓶がスムーズに滑るようになり、バイアル瓶の引っかかりや詰まりといったような不具合を防止できる。さらに、滑動部に一対の滑動面を設け、この一対の滑動面の間隔が下方に向かうに連れて漸減するように形成すれば、滑動面に沿って滑るバイアル瓶の姿勢をスムーズに直立状態とすることが可能となる。
また上述したように、滑動部に設けられた一対の滑動面に、前記バイアル瓶の移動方向下流側に向けて下り勾配となる下り勾配部を形成すれば、バイアル瓶が下り勾配部にさしかかると、自身の重量バランスの影響によりバイアル瓶の姿勢が自ずと直立する方向に姿勢が切り替わることになる。そのため、下り勾配部を設けることにより、バイアル瓶をより一層スムーズかつ確実に直立姿勢として直立排出部から排出させることが可能となる。また、前述した下り勾配部を下方に向けて湾曲した湾曲面によって構成すれば、より一層スムーズにバイアル瓶が姿勢変化し、排出されることになる。
また、本発明の薬剤充填装置は、滑動面に対して下方に連続した側面を有するものとした場合に、この側面と滑動面に形成された下り勾配部との境界をなす稜部を湾曲形状としたり面取り形状に形成したりすることにより、バイアル瓶が前記した稜部などに引っかかることなくスムーズに排出されることになる。
本発明の薬剤充填装置は、送出機構部から直立排出部に向けて空のバイアル瓶を送出する構成であるため、直立排出部に入ったバイアル瓶が送出時の衝撃などの影響によって前記送出機構部側に戻る方向に移動することがある。この際、直立排出部から飛び出してしまうと、バイアル瓶の供給不良が起こったり、予期せぬ場所にバイアル瓶が詰まってしまうなどの支障を来す可能性もある。そこで、かかる知見に基づき、本発明の薬剤充填装置では、瓶抑止手段を設けることにより、送出機構部から直立排出部に送り出されたバイアル瓶が前記送出機構部側に移動し、前記直立排出部から送出機構部側に排出されてしまうのを防止し、前述したような問題を解消している。
また、送出機構部にバイアル瓶を搭載可能な座面が設けられており、前記座面が直立排出部側に向けて回動することにより前記バイアル瓶を前記送出機構部から前記直立排出部に向けて送出可能なものとした場合、バイアル瓶が送出時の衝撃の影響を受けて跳ね返ったり、直立排出部に設けられた滑動部に沿って滑るなどして送出機構部側に戻ろうとする現象が生じる可能性がある。また、座面が直立排出部側に向けて回動する構成とした場合は、バイアル瓶の送出時に座面が回動して浮き上がることにより座面の下方に空間が生じ、この空間にバイアル瓶が入り込む可能性がある。かかる問題点に鑑み、本発明では、座面の下方であって直立排出部に設けられた滑動部の延長上の位置に、瓶抑止手段を設けている。従って、本発明によれば、直立排出部側から送出機構部に向けて跳ね返ってきたり滑動部に沿って滑ってきたバイアル瓶が誤って送出機構部側に飛び出したり、座面下方の空間に入り込むといった不具合を確実に防止できる。
本発明の薬剤充填装置は、直立排出部をなす一対の通路構成体に対して、一対の滑動部材を取り付けることにより滑動部を形成することとすれば、既に存在する直立排出部に対して滑動部を後付けで形成することが可能となる。また、前記一対の滑動部材のいずれか一方又は双方に滑動面を設け、前記バイアル瓶通路の内側に向けて傾斜したものとすることにより、バイアル瓶通路の間隔が下方に向かうに連れて漸減することになり、滑動面に沿って滑るバイアル瓶の姿勢をスムーズに直立状態とすることが可能となる。さらに、滑動部材に形成された滑動面を、送出機構部から直立排出部へのバイアル瓶の移動方向下流側に向かうに連れて下方に傾斜させることにより、送出機構部から送り出されたバイアル瓶が滑動面の傾斜に沿ってスムーズに滑り、引っかかったり詰まったりするなどの不具合が起こらない。
また、上述した滑動部が、ストッパと規制手段との間に設けられた構成とすることにより、送出機構部から送り出されて滑動部上を滑ってくるバイアル瓶が予期せぬ場所に飛び出してしまうのを確実に防止できる。
上述したように、直立排出部におけるバイアル瓶の排出位置に対して前記バイアル瓶の移動方向下流側に離れた位置に、前記バイアル瓶に対してラベルを貼付するためのラベル貼付手段を設けた場合に、このラベル貼付手段が備える外周面当接手段を前記した排出位置側に移動した状態(飛出防止状態)とすることにより、送出機構部から直立排出部に送り出されたバイアル瓶が勢い余って直立排出部から飛び出すのを外周面当接手段で防止することが可能となる。また、前記した外周面当接手段を、送出機構部から前記直立排出部に向けてバイアル瓶が送出され、直立排出部から直立状態で排出されるまでの期間の一部又は全部において飛出防止状態とすることにより、直立排出部からバイアル瓶が予期せず飛び出してしまうのをより一層確実に防止することが可能となる。
ここで、本発明の薬剤充填装置は、瓶貯留部を構成するストッカ内にバイアル瓶をランダムに収容可能とし、ストッカの底側に配置されたコンベアによって適宜バイアル瓶を移動させ、送出機構部に供給できるものとすることが可能である。このような構成とした場合、バイアル瓶をストッカから取り出す際とは逆方向にコンベアを動作(逆転動作)させると、バイアル瓶がストッカ内の略全体に亘ってなだらかに収容された状態とすることが可能となる。その反面、空の状態で収容されているバイアル瓶は、薬剤を充填可能なように開口しているため、コンベアを逆転動作させると、コンベアに対してバイアル瓶の排出方向上流側に隣接する位置にある壁面近傍に滞っている空のバイアル瓶同士が押し合い、空のバイアル瓶の開口部分に別のバイアル瓶が嵌り込んで一体化してしまう可能性もある。このようにして複数のバイアル瓶が一体化した状態になると、これらのバイアル瓶を手作業などによってバラバラにしないと薬剤の充填用として利用できない。また、複数のバイアル瓶が嵌合により一体化されたものがそのままストッカから取り出され、次工程に送られると、これが予期せぬ場所で詰まるなどして不具合の発生原因となりうる。そのため、前述したようにコンベアを逆転動作させた場合であっても、バイアル瓶同士が嵌合しないよう、何らかの方策が講じられることが望ましい。
そこで、かかる知見に基づき、本発明の薬剤充填装置では、ストッカ内に設けられたコンベアに対して、このコンベアによるバイアル瓶の排出方向上流側に隣接する位置に、バイアル瓶が滑動する瓶滑動壁を設けた構成としている。このような構成とすると、コンベアを逆方向に作動させた場合に、コンベアに隣接する位置においてバイアル瓶が瓶滑動壁に沿って滞留することなくスムーズに滑り、バイアル瓶同士の嵌合が起こりにくい。よって、前記した瓶滑動壁を設けることにより、複数のバイアル瓶同士が嵌合して薬剤の充填用として利用できなくなったり、一体化されたバイアル瓶が次工程に送られて詰まるといったような不具合の発生を抑制することが可能となる。
また、上述したような瓶滑動壁を設ける場合は、コンベアから離れる方向に上り勾配を有する上り勾配部を設けた構成とすることにより、コンベアを逆方向に作動させた場合に、コンベアに対してバイアル瓶の排出方向上流側に隣接する位置においてバイアル瓶が滞留することなくスムーズに動く。そのため、前述したような上り勾配部を設けることにより、バイアル瓶同士が嵌合し一体化してしまったり、これに付随して発生すると想定される前述したような不具合を防止することが可能となる。さらに、前述した瓶滑動壁を、上り勾配部に加え、これに連続し傾斜が鉛直に近い立設部を備えたものとすれば、バイアル瓶が滞留することなくより一層スムーズに動くことになり、バイアル瓶同士の嵌合をさらに確実に防止することが可能となる。
バイアル瓶が複数嵌合して一体化されたものが送出機構部や直立排出部に供給されると、装置本体の故障など、様々な不具合が発生する。従って、本発明の薬剤充填装置は、バイアル瓶が複数嵌合して一体化されたものが存在する場合に、これを送出機構部や直立排出部に供給されるまでに検出可能な構成であることが望ましい。そこで、かかる知見に基づき、本発明では、送出機構部と瓶貯留部との間に移送手段を設け、これにより瓶貯留部から取り出されたバイアル瓶を送出機構部に向けて移送可能としつつ、瓶検知手段によって移送手段の排出位置におけるバイアル瓶の存否を検知し、この検知結果に基づいてバイアル瓶の排出不良の有無を判定することとしている。
さらに具体的には、瓶検知手段によってバイアル瓶が移送手段の排出位置に存在していることが確認された場合、バイアル瓶同士が嵌合することなくバラバラの状態であれば、排出位置に待機しているバイアル瓶を排出させるのに十分なだけさらに移送手段を作動させればバイアル瓶が排出され、瓶検知手段によってバイアル瓶が検知されない状態になるものと考えられる。その反面、複数のバイアル瓶が嵌合した状態で移送手段の排出位置に至っている場合は、通常であればバイアル瓶を排出させるのに十分なだけ移送手段を作動させたとしてもバイアル瓶は送出機構部に供給されず、移送手段の排出位置に残るものと想定される。従って、瓶検知手段によってバイアル瓶が検知された状態において、その後バイアル瓶を送出機構部に供給するのに十分なだけ移送手段を作動させてもなお瓶検知手段によってバイアル瓶の存在が確認されている場合は、複数のバイアル瓶が嵌合して一体化されている可能性が高い。かかる知見に基づき、本発明では瓶検知手段によってバイアル瓶が検知された後、移送手段をバイアル瓶の排出に十分なだけ作動させてもなおバイアル瓶が検知されていることを条件として、バイアル瓶の排出不良が生じているものと判定することとしている。従って、本発明によれば、複数のバイアル瓶が嵌合して一体化している可能性があることを的確に判定することが可能である。
ここで、ごく希なケースではあるが、移送手段の排出位置に至ったバイアル瓶に対して下流側に隣接する位置に別のバイアル瓶が嵌合せず存在する場合は、移送手段を作動させて排出側にあったバイアル瓶が排出された時点で、上流側にあったバイアル瓶が瓶検知手段によって検知可能な位置に到来することがある。この場合、上述した判定条件だけでは、バイアル瓶同士が嵌合状態であることに起因する排出不良が起こっているものと誤判定されることになる。従って、非嵌合状態であるバイアル瓶が略隙間無く並んで存在することによる誤検知を防止するためには、さらに別の判定条件を付加することが望ましい。かかる知見に基づき、本発明では、移送手段の排出位置にバイアル瓶が待機している状態において、バイアル瓶を排出させるのに十分なだけ移送手段を作動させた時点において瓶検知手段によって引き続きバイアル瓶が検知されている場合に、さらにバイアル瓶の排出方向とは逆方向にバイアル瓶が所定量移動するように前記移送手段を作動させてもなお瓶検知手段によってバイアル瓶の存在が検知されているという条件(付加条件)を満足する場合にバイアル瓶の嵌合に起因した排出不良が生じているものと判定することとしている。
上記した付加条件についてさらに詳細に説明すると、バイアル瓶が複数嵌合して一体化しているときは、その分だけ通常のバイアル瓶の長さよりも長くなっている。そのため、バイアル瓶が複数一体化している場合は、バイアル瓶が移送手段の排出位置に存在している状態でバイアル瓶を排出させるのに十分なだけ移送手段を作動させた状態において、移送手段の排出位置よりも外側にバイアル瓶が突き出た状態になっている。よって、バイアル瓶が嵌合して一体化されている場合は、バイアル瓶の排出方向とは逆方向にバイアル瓶が所定量移動するように前記移送手段を作動させると排出位置よりも外側に突き出ていた部分が排出位置よりも内側に引き戻され、引き続き瓶検知手段によってバイアル瓶が検知されることになる。
これに対し、非嵌合状態でバイアル瓶が略隙間無く並んでいる場合は、バイアル瓶を排出させるのに十分なだけ移送手段を作動させた時点で下流側(排出側)にあったバイアル瓶が送出機構部に向けて排出されている。そのため、バイアル瓶が非嵌合状態で並んでいた場合は、バイアル瓶の排出方向とは逆方向にバイアル瓶が所定量移動するように移送手段を作動させても、下流側にあったバイアル瓶が排出位置よりも内側に引き戻されることはない。また、上流側にあったバイアル瓶は、移送手段を逆方向に作動させることによってさらに上流側に引き戻された状態になり、瓶検知手段によって検知不可能な状態になる。従って、移送手段を逆方向に作動させた場合に瓶検知手段によってバイアル瓶が検知されるという条件をバイアル瓶の排出不良を判定する際の条件として付加すれば、バイアル瓶が嵌合状態になっているか否かを一層確実に判定することが可能となる。
続いて、本発明の一実施形態に係る薬剤充填装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。薬剤充填装置10は、バイアル瓶Bに錠剤(薬剤)を充填して供給するための装置である。図1や図3に示すように、薬剤充填装置10の装置本体12の正面12aには、薬剤が充填されたバイアル瓶Bを取り出すための取出窓14a~14cや、操作パネル16、バーコードリーダ18a、作業台18bなどが設けられている。また、正面12aの下方には、引出ドア12eが設けられており、これを引き出すことにより装置本体12に内蔵されているラベリングユニット70(図6参照)を引き出すことができる。
図1や図2に示すように、装置本体12には、後に詳述する錠剤供給ユニット30を構成する錠剤カセット32が多数並べて取り付けられており、側面12b,12c側から自由に着脱できる。また、側面12b,12cには、ドア12fが設けられており、これを開けることで後に詳述するバイアル瓶供給ユニット40(図5,図6参照)にバイアル瓶Bをランダムに補充し、貯留しておける。
図5や図6に示すように、薬剤充填装置10は、バイアル瓶Bに錠剤を充填するための錠剤供給ユニット30に加え、バイアル瓶Bを準備するための構成として装置本体12の下方側内部にバイアル瓶リフター20や、バイアル瓶供給ユニット40、ラベリングユニット70を備えている。また、図4に示すように、装置本体12の上方側には、下方側において準備されたバイアル瓶Bを搬送するための搬送ユニット80や、錠剤供給ユニット30によって薬剤が充填されたバイアル瓶Bをユーザーに向けて排出するための排出ユニット90を備えている。以下、各部の構成についてさらに詳述する。
図5や図6に示すように、バイアル瓶供給ユニット40は、ストッカ42や、取出機構部44、受渡機構部46を備えている。ストッカ42は、バイアル瓶Bをストックしておくために設けられた直方体状の箱体である。ストッカ42は、装置本体12の両側面12b,12cの下方側であって、背面12d側の位置に設けられている。ストッカ42の中には、ドア12fを介して投入されたバイアル瓶Bをランダムに収容することができる。
取出機構部44は、ストッカ42からバイアル瓶Bを取り出すために設けられたものであり、コンベア48や、取出手段50、移送手段52を備えている。コンベア48は、無端ベルト48aによって構成されている。コンベア48は、ストッカ42の底側において装置本体12の正面12aに向かって上方に傾斜するように設置されている。そのため、コンベア48を作動させると、ストッカ42に収容されたバイアル瓶Bを図5の紙面左側(正面12a側)に移動させることができる。
取出手段50は、ストッカ42内においてコンベア48によって正面12a側に集められたバイアル瓶Bを掻き上げ、ストッカ42から取り出すためのものである。取出手段50は、走行駆動可能な無端ベルト50aにパドル50bを一定間隔で取り付けたものであり、ストッカ42の正面側の内壁に沿って垂直に設けられている。そのため、取出手段50を作動させると、各パドル50bが水平姿勢を保ちながら順次上方に移動する。また、上方に移動するパドル50bにより、ストッカ42の正面12a側にあるバイアル瓶Bが掻き上げられ、ストッカ42から取り出される。
移送手段52は、取出手段50によって取り出されたバイアル瓶Bを受渡機構部46側に移送するためのものである。図7に示すように、移送手段52は、フレーム52aと、移送コンベア52bとを有する。フレーム52aは、ストッカ42の正面12a側上端部に沿うように取り付けられており、取出手段50によって取り出されたバイアル瓶Bを受け入れ可能なようにストッカ42側の部分が開放されている。また、フレーム52aには、取出手段50から取り出されたバイアル瓶Bの飛び出し防止用として、ガイド52cが設けられている。また、フレーム52aには、突当片52dが片持ち状に取り付けられている。
移送コンベア52bは、上述したフレーム52aに取り付けられている。移送コンベア52bは、搬送面をなす無端ベルト52eがフレーム52aの開放部分を介してストッカ42の上端部分に臨むように設けられている。移送コンベア52bは、図示しない動力源によって無端ベルト52eを作動させることにより、バイアル瓶Bを受渡機構部46に向けて送ることができる。
ここで、上述した突当片52dは、移送コンベア52bにおける搬送方向下流側の位置に設けられている。また、突当片52dは、無端ベルト52eによって形成された移送コンベア52bの搬送面よりも高さHだけ高い位置に設けられている。この高さHは、バイアル瓶Bの外径DRよりも高く、バイアル瓶Bの高さよりも低い。そのため、取出手段50から移送コンベア52bに移った時点でバイアル瓶Bが直立姿勢であったとしても、通常はバイアル瓶Bは、移送コンベア52bの下流端において突当片52dに突き当たり、倒れた状態になって受渡機構部46に移送される。
図6に示すように、受渡機構部46は、装置本体12のほぼ中央部に設けられており、薬剤充填装置10において特徴的な構成を備えた部分である。受渡機構部46は、上述した取出機構部44の移送手段52によって送られてきたバイアル瓶Bを直立姿勢にして次工程に受け渡すためのものである。受渡機構部46は、投入手段54(送出機構部)と、規制手段56と、これらに対して正面12a側に隣接する位置に設けられた供給手段60(直立排出部)とを備えている。
投入手段54は、上述した移送手段52によって移送されてきたバイアル瓶Bを受け入れ、このバイアル瓶Bを下流側(正面12a側;図6の紙面左下側)に設けられた供給手段60に送り出して投入するためのものである。図8に示すように、投入手段54は、一対のガイド54a,54bと、投入片54cとを有する。また図9に示すように、投入手段54は、上述した移送コンベア52bの下流端に臨む位置に設けられている。図8~図10に示すように、ガイド54a,54bは、金属板を折り曲げ加工して形成されたものであり、バイアル瓶Bの直径よりも大きな間隔をあけて対向するように立設されている。これにより、ガイド54a,54bの間には、空間54dが形成されている。そのため、上述した移送手段52を作動させると、これにより移送されてきたバイアル瓶Bを空間54dに受け入れることができる。また、ガイド54a,54bは、上端側の部分が空間54dの外側に向けて広がっている。そのため、移送手段52によって移送されてきたバイアル瓶Bは、スムーズに空間54d内に入る。
投入片54cは、上述したガイド54a,54bの間に設けられており、図示しない動力源に対してリンク機構などの動力伝達機構を介して接続されている。投入片54cは、前記動力源を作動させることにより、支軸54gを中心として自由に回動させることができる。図8や図10等に示すように、投入片54cは、金属板をほぼL字型に折り曲げて形成されたものであり、底面部54eと背板部54fとを有する。投入片54cは、底面部54eがガイド54a,54b間に形成された空間54dの底面をなし、背板部54fが空間54dの背面12d側の部分を閉塞するように設置されている。また、投入片54cには、底面部54eの裏側であって、先端側(正面12a側)に偏った位置に支軸54gが固定されている。そのため、支軸54gを中心として回動させると、底面部54eおよび背板部54fが正面12a側に転倒した状態になる。従って、空間54d内にバイアル瓶Bが入った状態で投入片54cを作動させると、バイアル瓶Bが投入片54cによって押し出され、正面12a側に倒れるようにして供給手段60に投入される。
図8~図10に示すように、規制手段56は、投入手段54と供給手段60との間に設けられている。規制手段56は、板状のフラップ56a(板状体)を有する。フラップ56aは、ガイド54a,54b間をはし渡すように設けられた支軸56bにより上端側の部分が支持されており、支軸56bを中心として自由に回動できる。フラップ56aは、常時において支軸56bから下方に向けてぶら下がっており、投入手段54に形成された空間54dの正面側の部分を閉じている。言い換えれば、規制手段56は、常時において投入手段54と供給手段60との間をフラップ56aによって仕切っており、空間54dにバイアル瓶Bが入ってもこのバイアル瓶Bを供給手段60側に向けて積極的に送出しようとしない限りバイアル瓶Bが送出されない状態(以下、瓶待機状態とも称す)に規制している。すなわち、規制手段56は、バイアル瓶Bが空間54dから飛び出さないように規制する移動規制手段としての機能を有する。また、規制手段56は、空間54dに入ったバイアル瓶Bの姿勢を直立姿勢に規制する姿勢規制手段としての機能も有する。これに対し、上述した投入手段54の投入片54cが作動し、バイアル瓶Bが供給手段60側に押し出されると、バイアル瓶Bによってフラップ56aが押されて回動する。これにより、空間54dが供給手段60と連通した状態になり、空間54dに入っていたバイアル瓶Bを供給手段60側に送り出すことが可能となる。
供給手段60は、投入手段54から受け取ったバイアル瓶Bを開口を上に向けて直立した姿勢にして排出し、次工程に供給するためのものである。図8や図11等に示すように、供給手段60は、瓶受部材62と、滑動部材63と、アーム64と、ストッパ67とをそれぞれ一対備えている。これらに加えて、供給手段60は、駆動機構部66を備えている。
瓶受部材62,62は、それぞれ金属板を折り曲げ加工して形成されたものであり、互いに対向するように配置され、アーム64,64の中間部分に取り付けられている。また、瓶受部材62,62の間には、バイアル瓶通路68が形成されている。アーム64,64は、それぞれ断面形状がほぼL型で棒状の部材によって構成されている。アーム64,64は、それぞれ正面12a側から背面12d側に向けて平行に伸びるように設置されている。また、図10等に示すように、アーム64,64は、それぞれ上述した投入手段54の下方を通って駆動機構部66に接続されている。
図8や図11に示すように、一対の滑動部材63,63は、投入手段54から受け入れたバイアル瓶Bが滑動する滑動部61を形成するものである。滑動部材63,63は、それぞれ上述した瓶受部材62,62の基端部においてアーム64,64に沿うように取り付けられている。滑動部61をなす滑動部材63,63は、それぞれ規制手段56とストッパ67との間に設けられている。滑動部材63は、樹脂製であり、バイアル瓶Bとの摩擦抵抗が小さい。また、図15に示すように、滑動部材63は、ブロック状の部材であり、本薬剤充填装置10で使用するバイアル瓶Bの高さと同程度あるいはこれよりも少し長めの長さとされている。滑動部材63は、滑動面63aや、先端面63b(下り勾配部)、側面63cを有する。図8や図10、図11等に示すように滑動部材63,63を取り付けた状態において、滑動面63a,63aはそれぞれ上方に向いている。そのため、投入手段54から供給手段60にバイアル瓶Bが送り出されると、この滑動面63a,63a上をバイアル瓶Bが滑ることになる。
図8や図11、図12に示すように、滑動面63a,63aは、それぞれバイアル瓶通路68の内側に向けて傾斜している。そのため、バイアル瓶通路68の通路幅は、滑動面63a,63aが形成された部位において下方に向かうほど漸減している。すなわち、バイアル瓶通路68は、滑動面63a,63aが設けられた部分において、下方に向けて先細り状になっている。また、滑動面63a,63aは、それぞれ受渡機構部46側から離れるほど下方に傾くように形成されている。言い換えれば、滑動面63a,63aは、それぞれ投入手段54から供給手段60へのバイアル瓶Bの移動方向(以下、「瓶移動方向」とも称す)の下流側に向かうに連れて下方に向けて傾斜している。そのため、バイアル瓶Bが受渡機構部46から供給手段60内に入り、滑動面63a,63aの上に乗ると、バイアル瓶Bは、滑動面63a,63aによって形成された下り勾配に沿って徐々に下降しながら下流側(正面12a側)に向けて滑る。
先端面63bは、滑動部材63を取り付けた状態において、瓶移動方向下流側の端部(以下、「先端」とも称す)となる位置に形成されている。先端面63bは、滑動面63aに連続する面であり、滑動部材63の先端に向かうにつれて下方に向かって傾斜している。先端面63bの瓶移動方向への傾斜は、滑動面63aの瓶移動方向における傾斜よりも大きい。そのため、滑動部材63は、滑動面63aとの境界を越えて先端側において下り勾配が急になっている。これにより、バイアル瓶Bが先端面63b,63bにさしかかり、両者の境界を越えると、バイアル瓶Bの姿勢が自身の重量バランスの影響により自ずと直立する方向に姿勢が切り替わることになる。
側面63cは、瓶受部材62,62の基端部に取り付けた状態においてほぼ鉛直であり、バイアル瓶通路68の内側を向く面である。瓶受部材62,62に対して一対の滑動部材63,63を取り付けると、側面63c,63c同士が対向した状態になり、バイアル瓶通路68からバイアル瓶Bを排出して次工程に供給するための供給口69が構成される。
図8に示すように、ストッパ67は、バイアル瓶Bの飛び出しを防止する機能を有するものであり、瓶受部材62をなす金属板の一部に折り曲げ等の加工を施して形成されている。ストッパ67は、バイアル瓶通路68の内側に向けて張り出した片状の部分であり、滑動部材63上を滑って来たバイアル瓶Bが逸走するのを防ぐための障害物として機能する。ストッパ67は、供給手段60において、上述した滑動部材63に対して所定の隙間を空けて瓶移動方向の下流側に隣接する位置に設けられている。上述したように、滑動部材63の長さが本薬剤充填装置10で使用するバイアル瓶Bの高さと同程度あるいはこれよりも少し長めとされているため、規制手段56からストッパ67までの距離も、バイアル瓶Bの高さと同程度あるいはこれよりも少し長めとされている。そのため、投入手段54から送り出されたバイアル瓶Bは、規制手段56と供給手段60との境界部分からストッパ67までの間にある空間内に十分倒れた状態で収まる。また、ストッパ67は、滑動部材63に形成された滑動面63aの延長線上に位置し、滑動面63aと同程度の高さに形成されている。そのため、投入手段54から滑動面63a上に送り出されたバイアル瓶Bが供給手段60から瓶移動方向に飛び出そうとしても、バイアル瓶Bはストッパ67に当たって飛び出さない。
滑動部材63の先端部63bとストッパ67との間に形成される隙間は、バイアル瓶Bの姿勢が先端部63bに沿って直立状態になっていく過程においてバイアル瓶Bがストッパ67に引っかからないようにしつつ、バイアル瓶Bの飛び出しを防止するストッパ67としての機能が十分発揮できるよう、調整されている。
駆動機構部66は、上述した投入手段54に対して背面12d側に隣接する位置に設けられている。駆動機構部66は、モータ66aや、ハウジング66bを備えている。駆動機構部66は、モータ66aの動力がハウジング66b内に設けられた駆動機構(図示せず)に伝達されると、この駆動機構が作動する。ハウジング66b内の駆動機構が作動すると、アーム64,64およびこれに取り付けられた瓶受部材62,62を平行に維持しつつ、図11に矢印で示すように両者の間隔を拡大・縮小させることができる。
供給手段60において、瓶受部材62,62の間であって、滑動部材63が設けられた部分は、投入手段54から送り出されたバイアル瓶Bを受け入れ、通過させるバイアル瓶通路68として機能する。図12に示すように、バイアル瓶通路68は、全体としてテーパー状の通路であり、その通路幅が上方側の領域から下方側の領域に向けて漸減している。バイアル瓶通路68は、通路幅の減少率(以下、「漸減率D」とも称す)の大きさの異なる3つの領域に大別される。さらに具体的には、バイアル瓶通路68は、上方側から下方に向けて上端部68a、中間部68b、下端部68cの各領域に分かれており、各領域においてテーパー状となっている。
上端部68aは、バイアル瓶通路68の上端側の領域をなす部分であり、投入手段54が作動することによって倒れ込むように入ってきたバイアル瓶Bが誤って供給手段60の外側に飛び出すのを防止するために設けられている。図12に示すように、瓶受部材62において上端部68aを構成する面(以下、「上端部内壁面62a」とも称す)は、鉛直面に対してα度の傾斜を有し、下方に向かうにつれてバイアル瓶通路68が先細り状になるように傾斜している。
また、中間部68bは、上端部68aに対して下方側に連続した部分であり、背面12d側にある投入手段54から正面12a側にある供給手段60側に向けて倒れ込んできたバイアル瓶Bが入る部分である。図12に示すように、瓶受部材62において中間部68bを構成する面(以下、「通過部内壁面62b」とも称す)は、上述した上端部内壁面62aとの境界をなす折曲部分を境として下方側の位置にあり、上端部内壁面62aよりも傾斜が急である。具体的には、通過部内壁面62bは、鉛直面に対してβ度(α>β)の角度をなし、ほぼ鉛直に近い。すなわち、下方に向かうに連れて減少するバイアル瓶通路68の通路幅の減少率(以下、「漸減率D」とも称す)は、中間部68bの方が上端部68aよりも小さい。また、中間部68bにおける通路幅は、バイアル瓶Bが収まるよりもやや大きい程度に調整される。そのため、投入手段54側から倒れ込んで来たバイアル瓶Bは、上端部68aや中間部68bに引っかかることなく、中間部68bにおいてスムーズに倒れる。
下端部68cは、中間部68bよりもさらに下方側に存在した部分であり、上述した供給口69が設けられている。また、瓶受部材62において下端部68cを構成する面(以下、「供給部内壁面62c」とも称す)は、上述した滑動部材63の滑動面63aと、側面63cとによって構成されている。滑動部材63は、供給部内壁面62cをなす滑動面63aが通過部内壁面62bの下端に連続するように固定されている。また、供給部内壁面62cをなす滑動面63aと側面63cとは、互いに連続している。そのため、滑動面63aは、中間部68bに倒れ込んできたバイアル瓶Bを供給口69に向けて案内するためのガイドとして機能する。供給部内壁面62cは、通過部内壁面62bよりも傾斜が緩やかである。さらに詳細には、本実施形態では、供給部内壁面62cは、鉛直面に対してγ度(γ>α>β)の角度をなしており、供給部内壁面62cの傾斜が通過部内壁面62bの傾斜や上端部内壁面62aの傾斜よりも緩やかとされている。そのため、下端部68cにおける通路幅の漸減率Dは、上端部68aや中間部68bにおける漸減率Dよりも大きい。なお、供給部内壁面62cと鉛直面とがなす角γは、本実施形態の薬剤充填装置10において使用されるバイアル瓶Bの外径DRのサイズに応じて適宜変更することが可能であり、バイアル瓶通路68内に倒れ込んできたバイアル瓶Bの滑動を妨げず、かつバイアル瓶Bが跳ね上がらないような角度に調整されることが望ましい。
ここで、供給手段60は、投入手段54からバイアル瓶Bを受け入れるまでの間は、中間部68bにバイアル瓶Bがすっぽりと収まるが、下端部68cに設けられた供給口69からはバイアル瓶Bが落ちない程度となるように瓶受部材62,62同士の間隔、すなわちバイアル瓶通路68の開口幅が調整されている。そのため、投入手段54からバイアル瓶Bが投入され、倒れ込んできた時点では、滑動部材63の滑動面63a(供給部内壁面62c)上にバイアル瓶Bが乗った状態になる。また、供給手段60は、バイアル瓶Bがバイアル瓶通路68内に入った状態になると、駆動機構部66を作動させ、供給口69の開口幅がバイアル瓶Bの胴体部分の外径DRと同程度あるいはこれよりやや大きい程度となるように瓶受部材62,62同士の間隔が広げられる。ここで、バイアル瓶Bは、底部が閉塞されているなどの理由から、その重心が底部側に偏っている。そのため、供給口69の開口幅が広がると、バイアル瓶Bは、自然と底部が下を向き開口が上方を向く姿勢で直立した状態になり、底部側の部分が供給口69から下方に突出した状態になる。また、供給手段60のバイアル瓶通路68は、正面12a側に向けて開放された状態になっている。そのため、バイアル瓶Bを背面12d側から正面12a側にスライドさせると、開口を上に向けた直立状態で供給手段60から排出し、バイアル瓶Bを次工程に受け渡すことができる。
図6に示すように、ラベリングユニット70は、ラベルプリンタ72(ラベル貼付手段)と、プッシャー74とを備えている。ラベルプリンタ72は、バイアル瓶Bの外周面にラベルを貼り付けるものであり、図6に示すように上述した供給手段60に対して正面12a側に隣接する位置に設けられている。
プッシャー74は、供給手段60の排出口69から直立姿勢で下方に出た状態で待機しているバイアル瓶Bの胴体部分に背面12d側から当接し、バイアル瓶Bを供給手段60に対して正面側にあるラベルプリンタ72側に向けて押し当てるためのものである。図8や図10に示すように、プッシャー74は、上述した投入手段54や供給手段60の下方に配置されている。また、図13や図14に示すように、プッシャー74は、モータ74aを動力源として備えており、これにより駆動されるボールねじ74bと、これに対して接続されたプッシャー本体74cとを有する。プッシャー本体74cは、上述した供給手段60の供給口69よりも下方側に位置している。
図13に示すように、プッシャー本体74cは、駆動本体74dと、押圧部74eと、落下防止部74fとを有する。駆動本体74dには、上述したボールねじ74bが挿通され、互いに螺合している。そのため、駆動本体74dは、モータ74aを作動させボールねじ74bを回転させることにより、前後方向すなわち正面12a側および背面12d側に向けて直線移動する。また、押圧部74eおよび落下防止部74fは、駆動本体74dの上面側に固定されている。押圧部74eは、上方から見た状態においてほぼ「コ」字型のフレームに3つのローラ74g~74iを回転自在に取り付けたものであり、バイアル瓶Bの側面に沿って接触可能なように配置されている。上方に設けられた供給手段60の供給口69の下方に押圧部74eが到達した状態になると、ローラ74g~74iに対して正面12a側に隣接した位置にバイアル瓶Bを排出することができる。
バイアル瓶リフター20は、供給手段60から供給されたバイアル瓶Bを載置可能な昇降台22と、この昇降台22を昇降させるための昇降機構26とを有する。昇降機構26は、図14に示すように昇降台22に対して隣接する位置に設けられており、上下方向に伸びるガイドロッド26aと、これに装着された昇降ブロック26bとを有する。また、昇降ブロック26bには、アーム26cを介して昇降台22が取り付けられている。そのため、図示しない動力源から昇降ブロック26bに動力が伝わると、昇降台22は、昇降ブロック26と共にガイドロッド26aに沿って上下方向にスライドする。昇降台22を上方に移動させると、この昇降台22の上に載置されたバイアル瓶Bを、搬送ユニット80に対して受け渡すことができる。
図1や図2に示すように、錠剤供給ユニット30は、装置本体12の両側面12b,12c側であって、上述したバイアル瓶供給ユニット40等が設けられた位置よりも上方側に設けられている。錠剤供給ユニット30は、貯留している錠剤を払出可能な錠剤カセット32を有する。錠剤カセット32から払い出された薬剤は、装置本体12の両側面12b,12cに設けられた錠剤供給ユニット30,30の間の空間に払い出される。
搬送ユニット80は、上述したバイアル瓶リフター20から受け取ったバイアル瓶Bを装置本体12の両側(側面12b,12c)に設けられた錠剤供給ユニット30,30間の空間で開口を上方に向けた状態で移動させることができる。そのため、搬送ユニット80によって充填すべき薬剤が入った錠剤カセット32の払出口(図示せず)の位置までバイアル瓶Bを移動させることにより、バイアル瓶Bに薬剤を充填することができる。
搬送ユニット80は、錠剤供給ユニット30において錠剤を充填したバイアル瓶Bを排出ユニット90に搬送することができる。排出ユニット90に搬送されたバイアル瓶Bは、取出窓14a~14cから使用者が取り出すことができる。
本実施形態の薬剤充填装置10は、空のバイアル瓶Bをストッカ42から取り出し、供給手段60を介して供給するまでの間における動作に特徴を有する。具体的には、薬剤充填装置10がバイアル瓶Bに薬剤を充填して供給すべき状態になると、先ず取出手段50や移送手段52が作動し、ストッカ42からバイアル瓶Bが取り出され、投入手段54に向けて移送される。
上述したようにして投入手段54に向けて移送されてきたバイアル瓶Bは、ガイド54a,54bの間に形成された空間54dに投入され、投入片54cの上に乗った状態になる。この際、バイアル瓶Bは、空間54d内において開口が上向きになるか、下向になるかは不明であるが、直立した姿勢で空間54d内に投入された状態になる。空間54dへのバイアル瓶Bの投入が完了すると、投入片54cが支軸54gを中心として回動する。この際、投入片54c及びこの投入片54cに乗っているバイアル瓶Bは、支軸54gを中心としてほぼ90度にわたって正面12a側にある供給手段61側に向けて回転する。このようにして投入片54c及びバイアル瓶Bが支軸54gを中心として回動する過程において、投入手段54と供給手段60との間に設けられている規制手段56にバイアル瓶Bや投入片54cの背板部54fが当接する。この状態からさらに投入手段54が回転すると、規制手段56をなすフラップ56aがバイアル瓶Bや背板部54fによって押されて支軸56bを中心として回動する。
投入片54cは、底面部54eが垂直に近い位置まで立ち上がった姿勢になり、背板部54fはバイアル瓶通路68の内側に向けて倒れ込み、ほぼ水平な姿勢になるまで回動する。この過程において、バイアル瓶Bが通過可能な程度までフラップ56aが回動して開いた状態になり、バイアル瓶Bが投入手段54によって押し倒されるようにして供給手段60に送り出される。このようにして、バイアル瓶Bは、バイアル瓶通路68内に投入された状態になる。バイアル瓶Bが供給手段60内に入ると、投入片54cは、支軸54gを中心として逆回転し、元の姿勢に戻る。また、これに連動して、フラップ56aについても元の姿勢に戻り、投入手段54と供給手段60とがフラップ56aを介して隔てられた状態になる。
ここで、上述したように、バイアル瓶Bが投入されるまでの間、中間部68bの開口幅は、バイアル瓶Bの胴体部の外径DRや開口端側にあるフランジ部分の径よりも大きく、バイアル瓶Bがすっぽりと収まる大きさとされている。しかし、下端部62に設けられた供給口69の開口幅は、バイアル瓶Bが通過できるほどの大きさではない。そのため、上述したようにしてバイアル瓶Bが投入手段54から供給手段60に向けて送り出される過程において、バイアル瓶Bは、下端部62に取り付けられた滑動部材63の滑動面63a上を引っかかることなく滑りつつ、倒れた状態で中間部68bに入る。また、バイアル瓶通路68内において滑動面63aの延長線上にストッパ67が設けられているため、バイアル瓶Bは、ストッパ67よりも外側に飛び出さない。
上記したようにしてバイアル瓶Bが中間部68b内に入ると、バイアル瓶Bは、滑動面63a上に乗る。ここで、上述したように滑動部材63の滑動面63aは、瓶移動方向下流側に向けて下り勾配がつくように傾斜している。そのため、中間部68bに入ったバイアル瓶Bは、滑動面63aの傾斜に沿って瓶移動方向下流側に向けて移動する傾向にある。また、滑動部材63の先端面63bの傾斜が滑動面63aの傾斜よりも急とされているため、バイアル瓶Bが滑動部材63の先端付近にさしかかると、中間部68b内に入った時点で倒れた状態であったバイアル瓶Bが、自ずと直立する方向に姿勢を変えようとする。さらに、バイアル瓶通路68の中間部68b内にバイアル瓶Bが入った状態になると、供給手段60の駆動機構部66が作動し、揺動アーム64,64および瓶受部材62,62の間隔が広がる。これに伴い、バイアル瓶通路68の下端部68に設けられた滑動部材63,63の間隔や供給口69の開口幅も広がり、やがてバイアル瓶Bの胴体部の外径DRと同程度あるいはこれよりやや大きい程度であって、バイアル瓶Bの上端側に設けられた鍔(図示せず)の外径を下回る程度になる。また、バイアル瓶Bは、底が閉塞され、上端に開口を有するなどの要因により底側に重心が偏っている。これらの理由により、バイアル瓶Bが中間部68b内に入ると、その後このバイアル瓶Bは自ずと底側が下を向き、開口を上に向いた姿勢となるように回動して直立状態になり、揺動アーム64,64の上にバイアル瓶Bの鍔部が乗って保持され、供給口69から胴体部分が突き出た状態になる。
上述したようにして供給口69からバイアル瓶Bの胴体部分が突き出た状態になると、プッシャー74が作動する。これにより、鍔部が揺動アーム64,64によって支持され胴体部分が下方に突き出た状態になっていたバイアル瓶Bが、背面12d側から正面12a側に向けて押され、供給口69から排出される。供給口69から排出されたバイアル瓶Bは、ラベルプリンタ72においてラベルが貼付された後、バイアル瓶リフター20や搬送ユニット80によって移動させられる。また、この過程において、空であったバイアル瓶Bに所定の薬剤が充填される。バイアル瓶Bへの薬剤の充填が完了すると、このバイアル瓶Bは搬送ユニット80によって排出ユニット90に移動され、取出窓14から取出可能な状態になる。
本実施形態の薬剤充填装置10は、投入手段54がバイアル瓶Bを受け入れ可能な瓶待機状態である際には、規制手段56のフラップ56aがガイド54a,54bの間を横切っており、投入手段54から供給手段60へのバイアル瓶Bの移動が規制された状態になる。そのため、薬剤充填装置10では、移送手段52から投入手段54にバイアル瓶Bが移送され、落下してきた時に、その勢いのままバイアル瓶Bが供給手段60側に飛び出してしまうのを規制手段56で防止できる。そのため、投入手段54から供給手段60に向けてバイアル瓶Bが移動する際に、このバイアル瓶Bが予期せぬ場所に飛び出すことによる不具合が起こらない。
また、上述した薬剤充填装置10では、規制手段56が、バイアル瓶Bの移動を規制する移動規制手段としての機能に加え、空間54d内に入ったバイアル瓶Bの姿勢を直立状態に規制する姿勢規制手段としての機能も有する。そのため、薬剤充填装置10では、規制手段56やガイド54a,54b、投入片54c(底面部54e、背板部54f)で囲まれた空間54d内において、バイアル瓶Bの体勢をいったん安定させ、立て直した後に供給手段60に向けて供給することが可能となる。よって、上記した構成によれば、投入手段54から送出される際に、バイアル瓶Bが予期せぬ姿勢となったり、予期せぬ場所に引っかかったりするような不具合が発生しない。なお、上記実施形態で示した例では、規制手段56が、移動規制手段としての機能と、姿勢規制手段としての機能の双方を兼ね備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方の機能のみを備えたものであってもよい。また、移動規制手段としての機能や、姿勢規制手段としての機能を、他の部材などによって補完する構成としてもよい。
上記したように、本実施形態の薬剤充填装置10では、支軸56bに対して回動自在に支持されたフラップ56aを採用しており、投入手段54が瓶待機状態である場合に、フラップ56aによって投入手段54と供給手段60との間が仕切られ、投入手段54から供給手段60に向けてバイアル瓶Bが移動できない状態になる。また、空間54dは、バイアル瓶Bを直立姿勢で収容可能な大きさとされている。そのため、投入手段54が瓶待機状態である場合に空間54dにバイアル瓶Bが投入されると、バイアル瓶Bはやがて直立姿勢で落ち着いた状態になる。また、上記実施形態では、投入手段54としてバイアル瓶Bを供給手段60側に向けて転倒させることにより送り出し可能なものが採用されているため、バイアル瓶Bは必ず倒れた状態で供給手段60のバイアル瓶通路68内に供給されることになる。そのため、上記実施形態で示した構成によれば、バイアル瓶Bを投入手段54や供給手段60に決まった姿勢で供給(排出)することが可能であり、バイアル瓶Bが予期せぬ姿勢になって詰まるなどの不具合が起こらない。
上記実施形態では、投入手段54が、バイアル瓶Bを供給手段60に向けて送り出す際に、投入手段54をなす背板部54fやバイアル瓶Bによってフラップ56aを押し回すことによって規制手段56のバイアル瓶Bの移動規制を解除できる構成とされている。そのため、上記した構成によれば、フラップ56aの開閉を行うための動力源を設けたり、フラップ56aの開閉を制御したりする必要がない。なお、上記実施形態では、フラップ56aを投入手段54やバイアル瓶Bで押し動かす構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、規制手段56を作動させるために別途の動力源を用いたり、規制手段56の開閉を投入手段54の動作等から独立して制御できる構成としてもよい。また、規制手段56は、フラップ56aを支軸56bによって回転自在に支持したものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜開閉可能なゲートやストッパによって代替されてもよい。
上記実施形態では、滑動部材62に対してバイアル瓶Bの瓶移送方向下流側にストッパ67が設けられている。そのため、規制手段56をなすフラップ56aをバイアル瓶Bや投入手段54の投入片54cによって押し開けることによってバイアル瓶Bを送出しても、バイアル瓶Bが勢い余って供給手段60から飛び出さない。
上記実施形態のように規制手段56をバイアル瓶Bや投入片54cによってフラップ56aを開閉させるものとした場合、フラップ56aを押し動かす分だけバイアル瓶Bの移動抵抗が大きくなる。上記実施形態では、バイアル瓶Bの移動抵抗が大きくなった分だけ投入手段54からバイアル瓶Bが勢いよく送出されることになることを加味し、ストッパ67を設けていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、投入手段54から供給手段60に向けてバイアル瓶Bを送出する際に、バイアル瓶Bが供給手段60から飛び出すほど大きな力がバイアル瓶Bに作用しないと想定される場合などには、ストッパ67を設けない構成としてもよい。
また、上記実施形態では、バイアル瓶Bが移動する際に規制手段56が移動抵抗として働くことを加味し、投入手段54から供給手段60にバイアル瓶Bが送出される際に、バイアル瓶Bがスムーズに移動するよう、供給手段60に設けられた一対の滑動部材63,63からなる滑動部61上をバイアル瓶Bが滑り動ける構成とされている。また、バイアル瓶Bがスムーズに滑動できるよう、滑動部材63がバイアル瓶Bと同様に樹脂によって形成されている。そのため、上記した構成によれば、投入手段54から供給手段60に向けてバイアル瓶Bを送り出す際に、バイアル瓶Bがスムーズに動き、投入手段54から送出されたバイアル瓶Bが引っかかるなどの不具合が起こらない。なお、上記実施形態では、同様の構成の滑動部材63,63を一対設けることにより滑動部61を構成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみを上述したような構成とし、他方を設けない構成としたり、他方を直方体状などのような上述したのとは異なる形状のものとしてもよい。
上記実施形態では、滑動部材63を瓶受部材62とは別に用意し、これを瓶受部材62や揺動アーム64に対して固定した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、瓶受部材62と一体的に成型したものとしてもよい。かかる構成とした場合は、瓶受部材62と滑動部材63とが同一の素材で形成されることとなるが、滑動部材63に相当するものを瓶受部材62と同様に金属板などによって形成してもよい。また逆に、瓶受部材62と滑動部材63とを一体成型品とした場合は、瓶受部材62に相当する部分も樹脂によって成型することも可能である。このように瓶受部材62と滑動部材63に相当するものを一体化した場合は、部品点数が少なくなり、製造工程の簡略化を図ることが可能となる。また、瓶受部材62および滑動部材63の双方を樹脂によって一体成型すれば、滑動部材63に相当する部分だけでなく、瓶受部材62に相当する部分においても、バイアル瓶Bとの摩擦抵抗が小さくなり、より一層バイアル瓶Bをスムーズに移動させることが可能となる。また、上述したように、滑動部材63を瓶受部材とは別に用意し、これを取り付ける構成とした場合は、既に存在する瓶受部材62などに後付けで滑動部63を設けることが可能となる。
また、上述したように、滑動部材63にバイアル瓶Bの移動方向下流側に向かうに連れて下方に向けて傾斜するように滑動面63aを形成すれば、投入手段54から送出されたバイアル瓶Bが滑動面63aの傾斜に沿ってスムーズに滑り、バイアル瓶Bが途中で引っかかったり詰まるなどの不具合が起こらない。また、上記実施形態で示したように、一対の滑動部材63,63に設けられた滑動面63a,63aの間隔が、バイアル瓶Bの移動方向下流側に向かうに連れて漸増するように形成することにより、バイアル瓶Bが滑動面63a,63a上をより一層スムーズに滑らせることが可能となり、バイアル瓶Bが引っかかるのを確実に防止できる。なお、上記実施形態では、滑動部材63におけるバイアル瓶Bの滑りが少しでもよくなるよう、滑動面63a,63aをそれぞれバイアル瓶Bの移動方向下流側に向かうに連れて下方に向けて傾斜するように形成したり、滑動面63a,63a同士の間隔がバイアル瓶Bの移動方向下流側に向かうに連れて広がるように形成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、滑動面63aが下方に向けて傾斜していない構成であったり、滑動面63a,63a同士の間隔がテーパー状に広がってない構成であってもよい。
また、上記実施形態では、滑動面63a,63a(下端部内壁面62c,62c)同士の間隔が、バイアル瓶通路68において下方に向かうに連れて漸減する構成、すなわちバイアル瓶通路68の下端部68cが下方に向かうに連れて先細りとなるように形成されている。そのため、滑動部材63,63上にバイアル瓶Bが横向きに乗った状態で揺動アーム64,64を作動させ、供給口69の開口幅を広げると、バイアル瓶Bがスムーズに直立状態になる。
上記実施形態で示した投入手段54のように、投入片54cを回動させることによってバイアル瓶Bを倒れ込ませ、供給手段60に投入する構成とした場合、投入の際に加わる衝撃などの影響を受けてバイアル瓶Bが跳ね返ったり滑動部材63上を滑るなどして、投入手段54側に戻ろうとすることがある。この場合、投入片54cの下方に隙間があると、投入片54cの下方にバイアル瓶Bが入り込んで詰まってしまうなどの不具合が起こる可能性がある。そのため、かかる事態が想定される場合は、供給手段60に投入されたバイアル瓶Bが投入片54cの下方に入り込まないよう、何らかの方策を施すことが好ましい。
供給手段60に投入されたバイアル瓶Bが投入片54cの下方に入るのを防止するための方策として、例えば図16に示すように、投入片54cを、底面部54eの先端側から下方にのびる進入阻止片54h(瓶抑止手段)が設けられた構成とすることが可能である。また、供給手段60に投入されたバイアル瓶Bが滑動部材63上を滑るなどして投入手段54側に戻ることを考慮すれば、図17に示すように、進入阻止片54hは、供給手段60に設けられた滑動部材63の延長線上に存在していることが望ましい。また、進入阻止片54hの大きさは、投入片54cの姿勢によらず底面部54eの下方に形成された空間にバイアル瓶Bが進入可能な隙間ができない程度であることが望ましく、投入片54cの作動上支障とならない範囲内で可能な限り大きい方が好ましい。
ここで、バイアル瓶Bは、図18(a),(b)に示すように、上端側の部分に鍔110や蓋(図示せず)を取り付けるための固定部112、リブ114のような凸部や、鍔110と固定部112との境界部分に形成され凹部116など、様々な凹凸を有するのが一般的である。従って、瓶受部材62,62同士の間隔を広げた際に供給手段60からバイアル瓶Bが直立状態になってスムーズに排出されるようにするためには、バイアル瓶Bに形成された凹凸部分が滑動部材63などに引っかかりにくい構成とすることが望ましい。かかる知見に基づき、上記実施形態で示した滑動部材63では、滑動面63aに連続するように先端面63bが設けられ、この先端面63bが滑動部材63の先端に向かうにつれて下方に向かって傾斜するように形成されている。従って、バイアル瓶Bに形成された凹部116やリブ114などの凹凸部分が滑動部材63に引っかかりにくく、バイアル瓶Bの落下不良(排出不良)が起こりにくい。
さらに詳細に説明すると、仮に滑動部材63に先端面63bに相当するものがなく、滑動部材63の先端部分が略垂直な面によって構成されている場合は、図19に示すように滑動面63aと側面63cとによって形成された滑動部材63の角の部分が、バイアル瓶Bの上端側にある凹部116に当接あるいは嵌合した状態になる可能性がある。このような状態になると、バイアル瓶Bを排出させようとして瓶受部材62,62同士の間隔を広げても凹部116が滑動部材63に引っかかってバイアル瓶Bを落下(排出)させることができない可能性がある。また、バイアル瓶Bは、凹部116だけでなく、固定部112やリブ114などからなる凹凸があるため、これらの凹凸が予期せぬ形態で引っかかるなどし、バイアル瓶Bの姿勢変化や落下(排出)の支障になるおそれがある。
しかし、本実施形態で採用されている滑動部材63は、先端部分に傾斜面からなる先端面63bが設けられており、先細り形状になっているため、当該部位にバイアル瓶Bの凹部116などが当接した状態になっても、バイアル瓶Bが自ずと先端部63bに沿って下方に向けてスライドし引っかからない。また、バイアル瓶Bが先端部63bに沿ってスライドすると、自身の重量バランスの影響によりバイアル瓶Bの姿勢が自ずと直立する方向に切り替わることになる。そのため、滑動部材63の先端に先端面63bを設け、滑動部材63を先細り形状とすれば、鍔110や、固定部112、リブ114、凹部116などの凹凸部分が存在するバイアル瓶Bを使用しても、供給手段60からバイアル瓶Bをスムーズに排出させることが可能となる。
なお、上記実施形態では、先端に向けて傾斜した先端部63bを設けることにより滑動部材63を先細り形状とし、バイアル瓶Bの外周にある凹凸部分などが引っかかるのを防止する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、滑動部材63の代わりに、例えば図20(a),(b)に示すような形状の滑動部材120を採用してもよい。
具体的には、図20(a),(b)に示す滑動部材120は、上述した滑動部材63と同様の滑動面63aおよび側面63cを有するが、先端面63bを設ける代わりに下方に向けて湾曲した湾曲面120a(下り勾配部)を設け、側面63cと湾曲面120aとの境界(稜)をなす稜部120bがR形状となるように形成した構成とされている。滑動部材120は、湾曲面120aを設けた部分において先細り形状となっている。また、滑動部材120は、湾曲面120a側が供給手段60における瓶移動方向下流側の端部(先端)側となるように取り付けられる。
上述したような滑動部材120を滑動部材63の代わりに採用した場合についても、傾斜面からなる先端面63bを設けた場合と同様に湾曲面120aを設けた部分において先細り形状になっており、下方に向けて傾斜している。従って、バイアル瓶Bが鍔110などのを有する側(上端側)を滑動部材120の先端側に向けた姿勢で滑動面63a上に乗ったとしても、鍔110と固定部112との境界に形成された凹部116や、リブ114などの凹凸部分が滑動部材120の先端側に引っかかったり係止された状態にならない。また、湾曲面120aが下方に向けて湾曲すると共に、稜部120bがR形状に形成されている。従って、滑動部材120の滑動面63a上を滑ってきたバイアル瓶Bが湾曲面120aが設けられた部分にさしかかると、バイアル瓶Bの姿勢が自身の重量バランスの影響により、スムーズに直立する方向に姿勢が切り替わることになる。よって、上述した滑動部材120のように、先端に湾曲面120aを設けたり、稜部120bをR形状に形成するなどしても、バイアル瓶Bを直立姿勢にしてスムーズに排出することが可能となる。
バイアル瓶Bを引っかかり無くスムーズに姿勢変換させ排出させるためには、上述した稜部120bは、R形状などなだらかな形状であることが望ましいが、面取り加工等を施した構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、稜部120bが稜線をなすように鋭くなっている場合に比べてバイアル瓶Bが引っかかり無くスムーズに姿勢変換され、排出されることになる。
上記実施形態に示した薬剤充填装置10では、供給手段60に設けられたストッパ67によりバイアル瓶Bの飛び出しを防止可能なものであったが、バイアル瓶Bの飛び出しを防止する構成や機構はストッパ67に限定されるものではない。具体的には、薬剤充填装置10において供給手段60においてバイアル瓶Bが排出される位置に対してバイアル瓶Bの移動方向下流側に離れた位置に設けられているラベルプリンタ72(ラベル貼付手段)をバイアル瓶Bの飛び出し防止用として用いることが可能である。
さらに詳細に説明すると、図6に示すように、上記したラベルプリンタ72は、バイアル瓶Bの外周面にラベルを貼付する際に、バイアル瓶Bの外周面に当接可能なローラ72a(外周面当接手段)を有し、これが供給手段60におけるバイアル瓶Bの排出位置側に移動した状態(以下、この状態を「飛出防止状態」とも称す)とすることが可能である。従って、薬剤充填装置10は、投入手段54から供給手段60に向けてバイアル瓶Bが送出され、供給手段60から直立状態で排出されるまでの期間に、ラベルプリンタ72のローラ72aを飛出防止状態とすることとすればバイアル瓶Bの飛び出しをより一層確実に防止することが可能となる。なお、バイアル瓶Bが供給手段60から飛び出すのを確実に防止するためには、投入手段54から供給手段60に向けてバイアル瓶Bが送出されるタイミングから、供給手段60から直立状態で排出されるまでの全期間に亘ってローラ72aを飛出防止状態とすることが望ましいが、必ずしも当該全期間に亘って飛出防止状態とする必要はなく、前記した期間の一部においてのみローラ72aを飛出防止状態としてもよい。
上記した薬剤充填装置10は、ストッカ42にバイアル瓶Bをランダムに貯留しておき、このストッカ42の底側に配置されたコンベア48を作動させることによってバイアル瓶Bを取出手段50に向けて移動させ、取出手段50を用いてバイアル瓶Bをストッカ42から排出させることが可能な構成とされている。これに対し、ストッカ42に設けられたセンサ(図示せず)などによって、ストッカ42内にバイアル瓶Bが過剰に多く収容されていると検知された場合などに、コンベア48を前記したのとは逆方向に作動させ、ストッカ42にあるバイアル瓶Bの山をなだらかな状態にすることが可能である。
コンベア48を逆方向に作動可能とした場合、コンベア48に対してバイアル瓶Bの排出方向上流側に隣接する位置にある壁面近傍に滞っている空のバイアル瓶同士が嵌り込んで一体化し、バイアル瓶Bの軸方向(高さ方向)に長い状態になってしまう可能性がある。このようにして複数のバイアル瓶が一体化したものは、ストッカ42よりも下流側の工程に送っても薬剤の充填用として利用できないばかりか、ストッカ42よりも下流側の各所において詰まるなど、薬剤充填装置10の動作不良の原因になりかねない。従って、コンベア48を逆方向に作動させた場合に、コンベア48とストッカ42との間でバイアル瓶Bが滞留しにくくなるよう、何らかの方策を施すことが好ましい。具体的には、例えばポリアセタール樹脂(POM)などのようなバイアル瓶Bが滑動しやすい素材によって形成された瓶滑動壁130を、図21に示すようにコンベア48とストッカ42の壁面との間に配置した構成とすることが可能である。
図21に示す瓶滑動壁130は、上り勾配部130aと立設部130bとを備えている。上り勾配部130aは、コンベア48から離れ、ストッカ42の内壁面に近づくほど上向きになるように傾斜している。従って、コンベア48を逆方向に作動させた場合に、バイアル瓶Bが上り勾配部130aに沿ってスムーズに動き、滞留しにくい。
また、立設部130bは、上り勾配部130aに連続し、上り勾配部130aよりもさらに傾斜が急であり鉛直に近い。従って、バイアル瓶Bが上り勾配部130aの上端部分などに引っかかることなく、滑動壁130に沿ってスムーズに滑り、バイアル瓶同士が嵌合して一体化してしまうのをより一層確実に防止できる。さらに具体的に説明すると、仮に瓶滑動壁130に立設部130bを設けないこととした場合、上り勾配部130aの上端部分がストッカ42の内壁面に連続することになる。ストッカ42の内壁面は上り勾配部130aよりもバイアル瓶Bの滑りが悪いため、上り勾配部130aに沿って上ってきたバイアル瓶Bが、上り勾配部130aの上端部分に滞留しやすくなる。バイアル瓶Bが滞留しやすいと、滞留しているバイアル瓶Bに対して、コンベア48が逆方向に作動することによって上り勾配部130aに沿って下方側から上って来た別のバイアル瓶Bが嵌り込む可能性がある。
しかし、上述したように上り勾配部130aの上端に連続し、上り勾配部130aよりもさらに傾斜が急であり鉛直に近い立設部130bを設ければ、コンベア48が逆方向に作動することにより上り勾配部130aの上端部分にまで動いたバイアル瓶Bは、滞留することなくさらに立設部130bに沿ってスムーズに滑動する。また、立設部130bは、傾斜が鉛直あるいは略鉛直であるため、立設部130bにまで至ったバイアル瓶Bは、やがて自由落下することになり、滞留しない。従って、立設部130bを設ければ、コンベア48を逆作動させた場合にバイアル瓶Bが滞留することなくスムーズに滑動することになり、バイアル瓶B同士が嵌合する可能性をより一層低減することが可能となる。
上記したような滑動壁130を設けることにより、ストッカ42内でバイアル瓶B同士が嵌合して一体化するのを防止できるが、仮に複数のバイアル瓶Bが一体化した状態でストッカ42から取り出されてしまった場合であっても、これを適切に把握できれば、投入手段54や供給手段60などに供給されるのを防止できる。そこで、かかる事態が想定される場合は、移送手段52におけるバイアル瓶Bの排出位置に設けられた瓶検知センサ101(瓶検知手段)を用いてバイアル瓶Bの有無を確認し、この瓶検知センサ101の検知状態に基づいて嵌合状態になったバイアル瓶Bの有無を判定することが可能である。
さらに詳細に説明すると、複数のバイアル瓶Bが嵌合して一体化したもの(以下、「嵌合一体化物」とも称す)は、バイアル瓶Bの長手方向(上下方向)に長くなっている。従って、瓶検知センサ101によって移送手段52の排出位置にバイアル瓶Bが存在していることが確認された後、単体のバイアル瓶Bを排出位置から排出させるのに十分な移動距離X分だけ移送手段52を作動させたとしても、依然として瓶検知センサ101によってバイアル瓶Bの存在が検出された状態が継続されている場合は、バイアル瓶Bが嵌合一体物の状態で供給されている蓋然性が高い。よって、瓶検知センサ101によってバイアル瓶Bが検知された後、前記移動距離X分だけ移送手段52を作動させてもなおバイアル瓶Bが検知されていることを、嵌合一体物の状態でバイアル瓶Bが供給されている旨の判定を行うための条件(以下、「第1判定条件」とも称す)としてもよい。
なお、上述した移動距離Xは、単体のバイアル瓶Bを排出位置から排出させるのに十分なだけ確保されていればよく、必ずしも単体のバイアル瓶Bの長さと同等あるいはこれよりも長くとる必要はない。すなわち、移動距離Xがバイアル瓶Bの長さよりも短い場合でも、単体のバイアル瓶Bが排出位置から移送手段52の外側に突き出した状態になるとバイアル瓶B自身の重量バランスによって自由落下するものと想定される。しかし、複数のバイアル瓶Bが嵌合一体物となっている場合は、単体のバイアル瓶Bの場合とは重量バランスが異なる。従って、嵌合一体物が単体のバイアル瓶Bが自由落下する位置まで移送手段52の端部から突き出た状態になっても、前述したような自由落下は起こらず、移送手段52に残って瓶検知センサ101によって検知されることになる。よって、移動距離Xは、単体のバイアル瓶Bを排出位置から排出可能な距離であれば、バイアル瓶Bの長さよりも短くてもよい。
また、上述したようにして瓶検知センサ101による検知結果に基づいてバイアル瓶Bが嵌合一体化物となっているか否かを確認する場合は、上述した第1判定条件に加えて、他の判定条件も付加してもよい。具体的には、第1判定条件を満足した後、バイアル瓶Bの排出方向とは逆方向に所定量移動するように移送手段52を作動させ、この時点においても瓶検知センサ101によってバイアル瓶Bの存在が検知されていることを条件(以下、「第2判定条件」とも称す)として、バイアル瓶Bが嵌合一体化物となることによる排出不良が生じているものと判定されることとしてもよい。このような第2判定条件を設けることにより、互いに嵌合せず別々の状態のバイアル瓶Bが移送手段52上に並んで存在している場合に、嵌合一体化物となっているとの誤判定がなされるのを防止できる。
さらに詳細に説明すると、第1判定条件を満足する場合は、通常、複数のバイアル瓶Bが嵌合一体化物となっているものと想定される。しかし、ごく希なケースではあるが、移送手段52の排出位置に至ったバイアル瓶Bと、これに対して下流側に隣接する位置に別のバイアル瓶Bが略隙間無く並んで存在する場合は、嵌合一体化物となっていなくても上述した第1判定条件を満足する場合がある。すなわち、非嵌合状態で並んでいるバイアル瓶Bのうち排出側に存在するものが移送手段52の排出位置に至った後、このバイアル瓶Bをさらに移動距離Xだけ移動させると、排出側に存在していたバイアル瓶Bは移送手段52から投入手段54に向けて正常に投入される。この際、排出されたバイアル瓶Bに対して上流側に隣接する位置に存在していたバイアル瓶Bも移動距離Xだけ排出側に移動して移送手段52の排出位置に至る。従って、バイアル瓶Bが移送手段52上に略隙間無く並んで存在している場合は、バイアル瓶B同士が嵌合していないにもかかわらず移動距離Xだけ移動した後も引き続き瓶検知センサ101によってバイアル瓶Bの存在が検知され、第1判定条件を満足することになる。
ここで、複数のバイアル瓶Bが嵌合一体化物となっている場合は、移送手段52の排出位置から外側に向けて突出した状態になっており、未だ落下等していない。そのため、第1判定条件を満足した後、移送手段52を排出方向とは逆向きに所定量だけ動くように作動させると、嵌合一体化物となっている場合は先頭側にあるバイアル瓶Bが引き戻され、瓶検知センサ101によって検知されることになる。これに対し、嵌合一体化物となっていないにもかかわらず第1判定条件を満足している場合は、第1判定条件を満たした状態で既に先頭側(排出側)に存在していたバイアル瓶Bが排出されてしまっている。従って、第1判定条件を満足した後に移送手段52を逆方向に作動させても、先頭側に存在していたバイアル瓶Bを移送手段52側に引き戻すことはできない。また、第1判定条件を満足した時点では、排出されたバイアル瓶Bに対して上流側に隣接する位置にあったバイアル瓶Bが瓶検知センサ101によって検知されているが、移送手段52を逆方向に作動させると瓶検知センサ101によって検知されない位置まで引き戻される。従って、嵌合一体化物となっていない場合は、第1判定条件を満足した後、移送手段52を逆方向に作動させると瓶検知センサ101によって検知されない状態になる。よって、上述したような第2判定条件を設ければ、嵌合一体化物の有無をより一層正確に判定することが可能となる。
なお、上述した第2判定条件は、嵌合一体化物の有無を判定する上で必須の判定条件ではなく、この条件が存在しなくてもよい。すなわち、第2判定条件は、バイアル瓶Bが2つ以上ほぼ隙間無く並んで移送手段52上に乗った、極めて希な状態を想定したものであり、このような状態を想定する必要が無い場合は第2判定条件を設けないこととしてもよい。また、第2判定条件を設けない場合は、バイアル瓶Bが非嵌合状態であるにもかかわらず嵌合状態であると判定される可能性があるが、バイアル瓶Bが嵌合一体化物になっていることを確実に把握し、嵌合一体化物となったバイアル瓶Bが次工程に供給されることによる不都合を防止することができる。
上述した第2判定条件は、嵌合一体化物の有無を判定する上で判定条件の一例に過ぎず、第2判定条件の代わりに他の条件を用いたり、第2判定条件に加えてさらに別の条件を付加してもよい。具体的には、上述したように非嵌合状態で複数のバイアル瓶Bが移送手段52上に存在している場合、第1判定条件を満足した時点で、先頭側(排出側)に存在していたバイアル瓶Bが移送手段52から投入手段54に向けて落下して排出されている。これに対し、複数のバイアル瓶Bが嵌合一体化物となっている場合は、バイアル瓶Bが移送手段52から落下せず、投入手段54に投入されない。そのため、別途設けたセンサ(図示せず)などによって投入手段54にバイアル瓶Bが入ったことを検知可能とし、第1判定条件を満足した後、投入手段54におけるバイアル瓶Bの存在が確認されないことを第2あるいは第3以降の判定条件としてもよい。このような判定条件を設けることにより、嵌合一体化物となったバイアル瓶Bの存否を確実に把握し、バイアル瓶Bが嵌合一体化物となった状態で供給されることによる不具合の発生も防止できる。