WO2010074081A1 - 三重螺旋構造を有するタンパク質、およびその製造方法 - Google Patents

三重螺旋構造を有するタンパク質、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

 本発明者らは、鋭意検討した結果、低分子でありながら天然のコラーゲンと同等の三重螺旋構造を保持し、易精製であるコラーゲンの遺伝子コンストラクトを発明するに至った。具体的には、シグナルペプチドであるCR-Dが糖鎖認識領域をもつことからアフィニティー精製による一段階の精製を可能にし、かつMBLのコラーゲン様構造遺伝子の部分に本発明のヒト・コラーゲンの構造遺伝子の一部分を置き換えることにより大量かつ高純度に三重螺旋構造を保持し、かつ熱安定性を有する低分子コラーゲンを得ることが可能となった。

Description

三重螺旋構造を有するタンパク質、およびその製造方法
 本発明は、三重螺旋構造を有するタンパク質、およびその製造方法に関する。より具体的には、ヒト型のコラーゲン類似体およびその製造方法に関する。本発明の課題は生体にとって安全であり容易に精製取得できるヒト型の組換えタンパク質から構成される、コラーゲン類似体およびその製造方法を提供することにある。さらに詳しくは、本発明は、ヒト型のコラーゲンを含む組換えタンパク質cDNAが挿入された哺乳動物発現ベクターをチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に安定形質導入することによる、導入する遺伝子がすべてヒト型である組換えタンパク質から構成されるコラーゲン類似体の製造方法を提供する。
 近年、再生医療において最も重要な素材の一つとしてコラーゲンが挙げられる。コラーゲンは生体中のほぼ全組織(皮膚・骨・軟骨など)に分布する代表的なタンパク質であり、細胞の足場となって生体組織・器官の構造維持など、生体において重要な機能を担っていることはよく知られている。また、それ以外にも細胞の増殖、分化、移動などを制御する様々な生理機能を有している。このような事実から、組織工学医療において細胞、成長因子等と共に用いられることにより再生医療の分野で注目されている。これまでにコラーゲンは、人工器官インプラント(特許文献1)、持続性薬物放出マトリクス(特許文献2)、人工皮膚(特許文献3)、ならびに創傷用包帯マトリクスおよび創傷治療マトリクスにおける使用のための生体適合性材料の成分(特許文献4)として医療分野で広く利用されている。
 生体中の全コラーゲンのうち40%が皮膚に存在し、皮膚・腱では乾燥重量の70%以上がコラーゲンである。従ってコラーゲンは人工皮膚の開発において重要である。特にコラーゲンは生体の損傷を修復するための生体素材(バイオマテリアル)として用いられる。例えば、熱傷などの皮膚損傷部位の被覆材として用いられ、治癒改善が報告されている(非特許文献1、2)。このことは現在進歩の著しい再生医療分野での応用も大いに期待できるものである。また、細胞や器官の培養技術においても有用な素材として利用されている(特許文献5、6)。さらにコラーゲン(II型コラーゲン)を経口摂取する事により、関節リューマチが抑制されるという用途への可能性なども指摘されている(非特許文献3)。また、ヒト・コラーゲン(VII型コラーゲン)の部分的なペプチドを発現するように遺伝子をデザインした低分子コラーゲン遺伝子を表皮水疱病細胞に導入することによる治療の可能性も報告されている(非特許文献4)。
 現在用いられているコラーゲンの多くはウシやブタ等のヒト以外の哺乳動物種由来のものである。これらのコラーゲンをヒトに移植した場合、約3%の患者にアレルギー反応が生じることが報告されている(非特許文献5、6)。また近年、ヒト以外の哺乳動物種由来コラーゲンにおけるプリオンや病原体混入の危険性が大きな問題となっている。そのため抗原性が低く、病原体混入の危険性が無い安全なヒト型のコラーゲンを産生するシステムが強く望まれている。
 このような問題点を回避するために一部の発明者らは、ヒト・コラーゲンをコードするcDNAを挿入した組換えウイルスを昆虫細胞に感染させることにより、ヒト生体内のものと同等な三重螺旋構造を有する組換えヒト・コラーゲンを製造する方法を発明し、特許出願している(特許文献7)。また、哺乳動物細胞や酵母を用いてヒト・コラーゲンを製造する方法も考案されている(特許文献8)。
特開2007-204881号 特開2001-316282号 特開2005-314号 特開2007-160092号 特開2002-142753号 特再表2005-014774号 特開平8-23979号 特表平7-501939号
Surg. Forum ,10,303(1960) J. Surg.Res., 10,485-491(1960) Science, 261,1727-1730(1993) THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY Vol. 275, No. 32, Issue of August 11, pp. 24429-24435, 2000 J.Immunol.136:877-882, 1986 Biomaterials 11:176-180, 1990
 このようにコラーゲンは再生医療や生体移植用のバイオマテリアルあるいは医薬品として有用な物質であるが、従来から用いられてきたコラーゲンはブタやウシなどヒト以外の哺乳動物種の組織由来のものである。コラーゲンはもともと免疫原性の低いタンパク質であり、バイオマテリアルとしてヒト生体内に移植、埋入もしくは投与されている。しかし、低頻度ながらヒト以外の哺乳動物種の組織由来のコラーゲンによって免疫反応が惹起されることが報告されている(J. Immunol., 136, 877-882 (1986)、Biomaterials, 11, 176-180 (1990))。さらにウシにおけるプリオン汚染の可能性が示唆され、ウシ由来のコラーゲンの使用が不可能となっている。またさらにブタ等、現在コラーゲンの精製・抽出に用いられている哺乳動物においても、プリオン汚染と同様に未知の汚染物質(病原体ウイルス等)が含まれていないという保証はなく、ヒト以外の哺乳動物種由来のコラーゲンをヒトに用いることの安全性に問題点が挙げられている。その上生物由来のコラーゲンの問題点として、精製時に供雑タンパク質が大量に混入しているため多段階にわたる精製が必要になり、精製方法が煩雑になるということも挙げられる。
 以上の点において、ヒトに直接用いるバイオマテリアルとして、ヒト由来のコラーゲンが望ましい。ヒト由来のコラーゲンは、ヒト供給源(例えば、ヒト胎盤)から精製され得る(米国特許第5,002,071号、および同第5,428,022号)。しかしながらヒト由来のコラーゲンの使用において、いくつかの問題点が挙げられる。(1)材料がヒトの組織であるため、材料供給源に限界があること。(2)肝炎ウイルス、ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)などの病原体ウイルスによる汚染の可能性が完全に払拭できないこと。(3)胎盤から回収したコラーゲンは型に偏りがあり、完全に同質ではない点。(4)ヒトからコラーゲンを抽出・精製することにおける倫理的な問題点。また、得られたコラーゲンが不特定の架橋を形成するため、精製が困難になるという質的な問題点が存在していた。
 これまで、病原体混入の危険性を排除し、単離・精製過程が容易なコラーゲンを大量に得るために、遺伝子組換え技術を用いたコラーゲンの製造方法が検討されてきた(Biochem. Soc., 28, 350-353 (2000))。しかしながら、コラーゲン分子の分子量は10万以上と非常に大きく、宿主細胞に導入するための発現ベクターの作製は非常に煩雑である。また従来の方法は実用化に耐える生産量は得られなかった。またさらにコラーゲンは3本のポリペプチド鎖が会合して三重螺旋構造をとる分子であり、複数の翻訳後修飾を受けることでこのような構造が形成されるが(N. Engl. J. Med., 311, 376-386 (1984))、特定の細胞のみがこのような修飾能力を保有しているものと予想されている。
 コラーゲンが三重螺旋構造を構成するためには、コラーゲン領域のプロリンが水酸化される必要があることが知られている。三重螺旋構造を有するコラーゲンを作製するために、昆虫細胞においてヒト・コラーゲンとプロリン水酸化酵素を共発現させ、組換えコラーゲンを生産する方法が提供された(特開2002-315580)。しかしながら、プロリン水酸化酵素を共発現させる場合、コラーゲン、プロリン水酸化酵素αサブユニット、βサブユニットの少なくとも3つの遺伝子を共発現させる必要があり、細胞のクローニングが非常に煩雑になってしまう。
 以前よりハムスター胚細胞やマウス繊維芽細胞等を宿主としたヒト由来の組換えコラーゲンの生産が試みられている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 84, 764-768 (1987)、J. Biol. Chem., 264, 20683-20687 (1989))。これらの例において得られるコラーゲンの分子構造は正常であったが、宿主細胞由来のコラーゲンと外来遺伝子由来のコラーゲンが混在していた。また、ヒト線維肉腫細胞HT1080にII型コラーゲンを発現させた例(Biochem. J., 298, 31-37 (1994))では、その生産量が培養液1Lあたり0.5~1mgと低く、実用化に耐えられるものではなかった。さらに外来遺伝子由来のII型コラーゲンと同等量のヒト線維肉腫細胞HT1080由来IV型コラーゲンの混入が認められた。そのため、外来遺伝子由来のII型コラーゲンと内在性のIV型コラーゲンと分離する必要があり、この点においても実用的ではなかった。よって、発現系を用いたとしても緻密な精製条件の検討が必要であり、供雑物混合条件下でも可能かつ簡易的な精製方法の検討が必要と考えられた。
 また、以上の他に酵母(特表平7-501939号公報)、昆虫細胞(特開平8-23979号公報)、バシルス・ブレビス(特開平11-178574号公報)、大腸菌(特開2002-325584公報)を用いてヒト・コラーゲンを発現させた例がある。しかしながら、産生されたコラーゲンの翻訳後修飾において、天然型ヒト・コラーゲンと差異が生じる危険性が考えられた。以上のように、これまでに示されてきたいかなる方法も、ヒト・コラーゲンを遺伝子組換えで製造する手段としては、質的、量的にも実用化に耐えうるものではなかった。また、これまでに低分子にデザインされた組換えコラーゲンのような三重螺旋構造を有するタンパク質を大量に製造する方法は検討されていなかった。
 上記のような状況を鑑みて、これまでに出願人らは抗原性がなく、病原体混入の危険性を排除し、さらに単離精製の容易なコラーゲンを得るために、ヒトI型コラーゲンを遺伝子組換えの技術を応用した製造を検討してきた(国際公開WO2006/106970号)。従来の方法ではある程度の生産量を確保できたものの、より三重螺旋構造が構成される系が求められていた。また発現量の面でも改良が必要と考えられていた。
 本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は三重螺旋構造を有するヒト型の安全なコラーゲン類似体タンパク質、およびその製造方法を提供することにある。
 本発明者らは、上記課題を解決するために種々の検討を行った結果、三重螺旋構造を有するタンパク質の一つであるコラーゲン遺伝子のコラーゲン領域のアミノ末端側にヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、カルボキシ末端側にヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子を融合させたコンストラクトを宿主細胞に導入することで、三重螺旋構造を有し天然型コラーゲンよりも分子量が小さく、精製が容易であるコラーゲン類似体(ミニコラーゲン)を製造することに成功した。
 既知の三重螺旋構造を有するタンパク質として、ヒトMBL(マンナン結合レクチン)やコングルチニンが挙げられる。本発明のコラーゲン類似体はこれらのタンパク質に近い低分子化を促すことで、これまで実現が困難であった、低分子化された三重螺旋構造を有するコラーゲン類似体タンパク質の製造に成功した。また、これらのコラーゲン類似体タンパク質が三重螺旋構造を有していること、及び熱安定性を有していることを明らかにした。
 天然型ヒト・コラーゲンが難水性であるのに対し、本発明のコラーゲン類似体は、水溶性であるヒト・コレクチンのシステインリッチ領域、ネック領域および糖鎖認識領域を含むことから、高い水溶性を示す。そのため、高分子である天然型コラーゲンと比べて扱い易い。
 本発明者らは、コラーゲン類似体を中性で高濃度の塩添加により繊維化を促進させて沈澱を生じさせ、遠心分離で容易に三重螺旋構造を有する繊維性コラーゲン類似体を精製することに成功した。
 また、本発明者らは糖鎖認識領域がマンナンと結合性を有することを利用したマンナンアガロースを用いた一段階の簡単な精製方法で水溶性のコラーゲン類似体を精製することに成功した。
 本発明者らは上記の異なる精製方法で繊維化し易く、物理的強度の高い繊維性コラーゲン類似体とマンナンとの結合性を有し、溶解性の高い水溶性コラーゲンの2つの物理的性質の異なるコラーゲン類似体を精製することに成功した。バイオマテリアルとして、これらのコラーゲン類似体を使用する場合、ヒト接着細胞において、天然型ヒトコラーゲンと同程度の細胞接着性及び伸長性を有していることを明らかにした。従来使用されてきたヒト以外の哺乳動物種由来のコラーゲンの代替品として、またヒトに用いるバイオマテリアルとして、本発明のコラーゲン類似体の有用性が期待できる。
 本発明者らは、上記課題を解決するために種々の検討を行った結果、低分子でありながら天然のコラーゲンと同等の三重螺旋構造を保持し、易精製であるコラーゲンの遺伝子コンストラクトを発明するに至った。具体的には、シグナルペプチドであるCR-Dが糖鎖認識領域をもつことからアフィニティー精製による一段階の精製を可能にし、かつMBLのコラーゲン様構造遺伝子の部分に本発明のヒト・コラーゲンの構造遺伝子の一部分を置き換えることにより大量かつ高純度に三重螺旋構造を保持した低分子コラーゲンを得ることが可能となった。
 即ち、本発明者らは、(1)医薬品の製造に使用され安全性が確認されており、(2)哺乳動物であることから蛋白質の糖鎖修飾等がヒトに近いと考えられるチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞を宿主として、外来遺伝子を高発現可能なベクターに本発明のコラーゲン類似体遺伝子を含むコンストラクトを導入することにより、ヒト・コラーゲン類似体を大量に製造することに成功した。
 即ち、本発明者らは、三重螺旋構造を有するタンパク質の一つであるコラーゲンの発現量の少ない哺乳動物細胞を宿主とし、宿主由来のコラーゲンと外来遺伝子由来のコラーゲンとの混在のできる限り小さくすることで複雑な精製工程を必要とせず、本発明のコラーゲン類似体を大量に製造する方法を開発することに成功した。以上のことにより本発明を完成するに至った。
 即ち、本発明は以下の〔1〕~〔20〕を提供するものである。
〔1〕アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を含む、三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
〔2〕前記ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子であって、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔3〕前記ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子であって、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔4〕前記ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子であって、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔5〕前記ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子であって、配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔6〕前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含むことを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔7〕前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔8〕前記α鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする〔6〕または〔7〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔9〕配列番号:1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質を含む、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔10〕前記ポリヌクレオチドが配列番号:3に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔11〕以下の(a)から(c)の工程を含む、三重螺旋構造を有するタンパク質の製造方法。
(a)アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドをベクターに導入する工程、
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
(b)該ベクターを用いた遺伝子導入により、宿主細胞を形質転換させる工程、および
(c)該形質転換体を培養もしくは育種し、該細胞またはその培養上清から三重螺旋構造を有するタンパク質を回収する工程
〔12〕前記ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子であって、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔13〕 前記ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子であって、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔14〕前記ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子であって、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔15〕前記ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子であって、配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔16〕前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含むことを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔17〕前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔18〕前記α鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする〔16〕または〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記工程(a)において用いられるベクターが、配列番号:2に記載されたpNC1であることを特徴とする〔11〕に記載の方法。
〔20〕前記工程(a)において用いられるベクターが、配列番号:9に記載されたpDC6/CFであることを特徴とする〔11〕に記載の方法。
pNC1/Mini-Collagen TypeIコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV:サイトメガウイルスプロモーター、INRBG:ウサギ成長ホルモンイントロン、Mini-Collagen TypeI:ミニコラーゲンDNA、PABGH:ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV:エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、NPT:ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼcDNA、PASV:シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr:大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC6/CF_Mini-Collagen TypeIコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV5:サイトメガウイルス5プロモーター、Mini-Collagen TypeI:ミニコラーゲンDNA、PABGH:ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV:エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR:DHFRの塩基配列を5‘末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性NPT遺伝子、PASV:シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr:大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 ミニコラーゲン精製の流れを示す図である。特に指定しない限りは、全ての行程は4℃で行った。図で示した*1はIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に最終濃度で4mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4mgのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で2.0×10 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)する工程を示す。*2は1,750×gで1時間遠心(EX-126、TOMY)する工程を示す。*3は上清(1.4L)に塩化ナトリウム(Wako)を0.4Mになるように添加する工程を示す。*4は水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)する工程を示す。*5はクロスフローろ過(VIVAFLOW50、10,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって培養上清を1/20容量に濃縮する工程を示す。*6は5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)に対して3日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)する工程を示す。*7は20mM塩化カルシウム(Wako)及び2M塩化ナトリウム(Wako)になるようにそれぞれ添加する工程を示す。*8はMilliQ水(MILLIPORE)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Cellulose Ester(CE) Dialysis Membranes、25,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)する工程を示す。*9は4.5mLのマンナンアガロースゲル(SIGMA)をエコノカラム(BIO-RAD)に充填し、45mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)と5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)でゲルの洗浄と平衡化を行い、上清を1.0mL/minの流速で循環させながら17.5時間負荷させた。上清を取り除いた後に10mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で洗浄を行い、20mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)でミニコラーゲンを溶出する工程を示す。*10は0.4M塩化ナトリウム-0.1Mトリス塩酸緩衝液(4℃でpH7.4)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech  Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)する工程を示す。*11はAmicon Ultra-15(10,000 MWCO、MILLIPORE)を用いて1,750×gで30分間限外ろ過して1/10容量に濃縮する工程を示す。 培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンの還元条件下(2-メルカプトエタノール添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す写真である。レーン1が沈殿物として精製したタンパク質、レーン2がマンナンアガロースカラムで精製した水溶性ミニコラーゲンであり、分子量及びミニコラーゲンのオリゴマーを写真に示した。 培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンの非還元条件下(2-メルカプトエタノール無添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す写真である。レーン1が沈殿物として精製したタンパク質、レーン2がマンナンアガロースカラムで精製した水溶性ミニコラーゲンであり、分子量及びミニコラーゲンのオリゴマーを写真に示した。 培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンの未変性条件下(2-メルカプトエタノール及びSDS無添加)でのポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す写真である。レーン1が沈殿物として精製したタンパク質、レーン2がマンナンアガロースカラムで精製した水溶性ミニコラーゲンであり、分子量及びミニコラーゲンのオリゴマーを写真に示した。 培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンを還元条件下(2-メルカプトエタノール添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、ウサギ抗MBL(糖鎖認識(CRD)領域)ポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティングを行って化学発光で検出した写真の明暗を反転させた結果を示す写真である。レーン1が沈殿物として精製したタンパク質、レーン2がマンナンアガロースカラムで精製した水溶性ミニコラーゲンであり、分子量及びミニコラーゲンのオリゴマーを写真に示した。 培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンを非還元条件下(2-メルカプトエタノール無添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、ウサギ抗MBL(糖鎖認識(CRD)領域)ポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティングを行って化学発光で検出した写真の明暗を反転させた結果を示す写真である。レーン1が沈殿物として精製したタンパク質、レーン2がマンナンアガロースカラムで精製した水溶性ミニコラーゲンであり、分子量及びミニコラーゲンのオリゴマーを写真に示した。 精製したタンパク質及び天然型ヒトアテロコラーゲンタイプIを酸性条件下でペプシン消化し、還元条件下(2-メルカプトエタノール添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す写真である。写真にミニコラーゲン、消化されて残存したミニコラーゲンのコラーゲン領域及びペプシンのバンド位置を示した。レーン1が分子量マーカー、レーン2がペプシン消化していない精製したタンパク質、レーン3がペプシン消化した精製したタンパク質、レーン4がペプシン消化していない天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、レーン5がペプシン消化した天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、レーン6がペプシンのみ添加したものである。 精製したタンパク質を30℃から50℃の温度範囲でそれぞれ加熱処理し、コラーゲンが消化されない条件で高濃度のトリプシン及びキモトリプシンの組み合わせで酵素処理を行い、還元条件下(2-メルカプトエタノール添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、熱安定性を解析した結果を示す写真である。写真にミニコラーゲン、消化されて残存したミニコラーゲンのコラーゲン領域、トリプシン及びキモトリプシンのバンド位置を示した。レーン1が分子量マーカー、レーン2が酵素処理をしなかった精製したタンパク質、レーン3~15がそれぞれ30℃から50℃の温度範囲で加熱処理を行い、トリプシンとキモトリプシンで酵素処理を行った精製したタンパク質、レーン16がトリプシンのみ、レーン17がキモトリプシンのみを添加したものである。 図10のトリプシン及びキモトリプシンを用いて精製したタンパク質の熱安定性試験を行った結果の図から、コラーゲン領域のバンドが加熱温度に従ってどの程度の比率で消化されたのかを表した融解曲線を示す図である。 沈澱を利用したミニコラーゲン精製の流れを示す図である。特に指定しない限りは、全ての行程は4℃で行った。図で示した*1はミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に最終濃度で4 mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で2.0×10 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)する工程を示す。*2は1,750×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)する工程を示す。*3は上清に塩化ナトリウム(Wako)を0.4 Mになるように添加(pH 7.4)し、4℃でインキュベートする工程を示す。*4は10,000 ×gで30分間遠心(EX-126、TOMY)する工程を示す。*5はクロスフローろ過(VIVAFLOW50、10,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって培養上清を320 mL容量に濃縮する工程を示す。*6は塩化ナトリウム(Wako)を4 Mになるように添加(pH 7.4)し、4℃でインキュベートする工程を示す。*7は9,400 ×gで30分間遠心(EX-126、TOMY)する工程を示す。*8は沈殿物に1.5 mLの50 mM酢酸(Wako)溶液を添加する工程を示す。*9は50 mM酢酸(Wako)溶液に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Cellulose Ester(CE) Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)をする工程を示す。*10は沈殿物に7.4 mLの50 mM酢酸溶液を添加する工程を示す。 マンナンとの結合を利用したミニコラーゲン精製の流れを示す図である。特に指定しない限りは、全ての行程は4℃で行った。図で示した*1はミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に最終濃度で4 mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で2.0×10 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)する工程を示す。*2は1,750×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)する工程を示す。*3は上清に塩化ナトリウム(Wako)を0.4 Mになるように添加(pH 7.4)し、4℃でインキュベートする工程を示す。*4は10,000 ×gで30分間遠心(EX-126、TOMY)する工程を示す。*5はクロスフローろ過(VIVAFLOW50、10,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって培養上清を320 mL容量に濃縮する工程を示す。*6は塩化ナトリウム(Wako)を4 Mになるように添加(pH 7.4)し、4℃でインキュベートする工程を示す。*7は9,400 ×gで30分間遠心(EX-126、TOMY)する工程を示す。*8は1 M塩化カルシウム溶液を20 mM になるように添加して4℃で18時間インキュベートする工程を示す。*9はクロスフローろ過(VIVAFLOW200、30,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって56 mL容量にまで濃縮する工程を示す*10は5 mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)に対して7日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)をする工程を示す。*11は5 mLのマンナンアガロースゲル(SIGMA)をエコノカラム(BIO-RAD)に充填し、15 mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)と45 mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)でゲルの洗浄と平衡化を行い、上清を1.0 mL/minの流速で負荷させた後、40 mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で洗浄を行い、15mLの5 mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)でミニコラーゲンを溶出させて最初のピーク(9 mL)を回収する工程を示す。*12は溶出液を0.4 M塩化ナトリウム、0.1 Mトリス塩酸緩衝液(4℃でpH 7.4)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)をする工程を示す。 接着細胞(MG-63 cell line, ATCC)を天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、天然型ウシアテロコラーゲンタイプI、MC-salt、MC-Man、3% (w/v)熱変性BSA溶液及びPBSをコートしたプレートへ37℃で1時間ヒト骨芽細胞を接着させ、接着しなかった細胞を洗い除き、MTSを加えて37℃で3時間培養したときの吸光度を測定した結果を示す図である。縦軸は測定した波長655nmを対照とした波長490nmの吸光度、横軸はプレートにコートした各サンプル名を示す。 天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、天然型ウシアテロコラーゲンタイプI、MC-salt、MC-Man、3% (w/v)熱変性BSA溶液及びPBSをプレートへコートし、37℃で1時間ヒト骨芽細胞を接着させて接着しなかった細胞を洗い除いたときの細胞の位相差顕微鏡像を示す写真である。1が天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、2が天然型ウシアテロコラーゲンタイプI、3がMC-salt、4がMC-Man、5が3% (w/v)熱変性BSA溶液、6がPBSをプレートにコートし、ヒト骨芽細胞を接着させた状態を表したものである。また、矢印で伸長の見られた細胞を示す。 天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、天然型ウシアテロコラーゲンタイプI、MC-salt、MC-Man、3% (w/v)熱変性BSA溶液及びPBSをプレートへコートし、37℃で1時間ヒト骨芽細胞を接着させて接着しなかった細胞を洗い除き、37℃で3時間培養したときの細胞の位相差顕微鏡像を示す写真である。1が天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、2が天然型ウシアテロコラーゲンタイプI、3がMC-salt、4がMC-Man、5が3% (w/v)熱変性BSA溶液、6がPBSをプレートにコートし、ヒト骨芽細胞を接着させた状態を表したものである。また、矢印で伸長の見られた細胞を示す。 Mini-CollagenTypeI及びMC-GPPの構造を表す図である。A: ヒトサーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域、B: SP-Dのシステインリッチ領域、C:ヒトI型コラーゲン(COL1A1) triple helix (593-769)、D: COL1A1 triple helix (1178-1192) 、E: ヒトマンノース結合レクチン(MBL)のネック領域、F: MBLの糖鎖認識領域、G: 6xHis領域を示す。 pDC6/MC-GPPコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、MC-GPP:C末端領域からGPP領域までを欠損させたミニコラーゲンの cDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5'末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 培養上清から精製したMC-GPPの還元条件下(2-メルカプトエタノール添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す図である。レーン1が精製したMC-GPPであり、分子量及びMC-GPPのオリゴマーを図に示した。 培養上清から精製したMC-GPPの非還元条件下(2-メルカプトエタノール無添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す図である。レーン1が精製したMC-GPPであり、分子量及びMC-GPPのオリゴマーを図に示した。 培養上清から精製したMC-GPPの未変性条件下(2-メルカプトエタノール及びSDS無添加)でのポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す図である。レーン1が精製したMC-GPPであり、分子量及びMC-GPPのオリゴマーを図に示した。 培養上清から精製したMC-GPPを還元条件下(2-メルカプトエタノール添加)でウエスタンブロッティングを行い、化学発光で検出した写真の明暗を反転させた結果を示す図である。レーン1が精製したMC-GPPであり、分子量及びMC-GPPのオリゴマーを図に示した。 培養上清から精製したMC-GPPを非還元条件下(2-メルカプトエタノール無添加)でウエスタンブロッティングを行い、化学発光で検出した写真の明暗を反転させた結果を示す図である。レーン1が精製したMC-GPPであり、分子量及びMC-GPPのオリゴマーを図に示した。 MC-GPP、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI及び精製した繊維性ミニコラーゲンを酸性条件下でペプシン消化し、還元条件下(2-メルカプトエタノール添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す図である。図にMC-GPP、天然型ヒトアテロコラーゲン(α1, α2, β, γ鎖)、ミニコラーゲン、消化されて残存したミニコラーゲン又はMC-GPPのコラーゲン領域及びペプシンのバンド位置を示した。レーン1がMC-GPP添加、レーン2がペプシン消化したMC-GPP添加、レーン3がペプシン(レーン2と同量)のみ添加、レーン4が天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI添加、レーン5がペプシン消化した天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI添加、レーン6がペプシン(レーン5と同量)のみ添加、レーン7が精製した繊維性ミニコラーゲン添加、レーン8がペプシン消化した精製した繊維性ミニコラーゲン添加、レーン9がペプシン(レーン8と同量)のみ添加、レーン10がMC-GPP、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、ミニコラーゲン及びペプシンを添加しなかったものである。 MC-GPPと精製した繊維性ミニコラーゲンを酸性条件下でペプシン消化し、還元条件下(2-メルカプトエタノール添加)でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動像から、ImageJを用いてバンドの解析を行った図である。*1がMC-GPP、*2がペプシン消化したMC-GPP、*3がペプシン(*2と同量)のみ、*4が精製した繊維性ミニコラーゲン、*5がペプシン消化した精製した繊維性ミニコラーゲン、*6がペプシン(*5と同量)のみであり、図にマーカーのバンドを解析した図とその分子量を示す。
 以下、本発明を実施するための形態を示し、本発明についてさらに詳しく説明する。
 本発明は、アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を含む、三重螺旋構造を有する組換えタンパク質に関する。
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
 本発明の「三重螺旋構造を有するタンパク質」とは、培養製造段階で三重螺旋が構築されるタンパク質であってもよいし、培養製造後の精製等の操作により三重螺旋構造が構成されるものであってもよい。三重螺旋構造を取りうるタンパク質であるが、1本鎖構造の状態で大量に製造させてもよい。三重螺旋構造を取りうるタンパク質は、その一部分の発現であっても構わない。
 本発明において「ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子」は特に限定されないが、好ましくは「ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子」、より好ましくは、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを例示することができる。
 本発明において、「ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子」は特に限定されないが、好ましくは「ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子」、より好ましくは、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを例示することができる。
 本発明において、「ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子」は特に限定されないが、好ましくは「ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子」、より好ましくは配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを例示することが出来る。
 本発明において、「ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子」は特に限定されないが、好ましくは「ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子」、より好ましくは配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを例示することができる。
 本発明において、「ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子」は特に限定されないが、当該遺伝子が少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含んでいることが好ましい。また、当該遺伝子は、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることが好ましい。本発明のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子として、より好ましくは配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを例示することが出来る。また、コラーゲン領域遺伝子のC末端領域からGPP領域までを欠損させたコラーゲン領域遺伝子であってもよい。これらのC末端領域からGPP領域までを欠損させたコラーゲン領域遺伝子として、より好ましくは配列番号:15に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを例示することが出来る。
 コラーゲンには20数種類の異なった型、またそれらを構成する約25種類のα鎖が存在することが知られており、それらをコードする遺伝子はそれぞれクローニングされ、塩基配列が解明されている("Connective Tissue and Its Heritable Disorders", pp145-165, Weily-Liss Inc.発行 (1992))。そして、これらの遺伝子はいずれも、当業者に公知の遺伝子組換え技術(例えば"Molecular Cloning"第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press発行 (1989))によって本発明において用いられる外来遺伝子を高発現することの可能なベクターに導入することが可能である。本発明で用いるヒト・コラーゲンcDNAはこれらのクローニングされたコラーゲンcDNAのどれであってもよく、またこれらコラーゲンの部分ペプチドも含む。
 本発明のコラーゲンの型は特に限定をされないが、好ましくは哺乳動物型、より好ましくはヒト型のコラーゲンを挙げることが出来る。
 さらに本発明の三重螺旋構造を有するタンパク質のアミノ配列の一部を置換・欠失等改変したものも本発明の三重螺旋構造を有するタンパク質に含まれる。また、ベクターを宿主哺乳動物細胞に導入し、タンパク分子を発現している形質導入細胞を得る方法は公知であり、本発明においても同様の方法を適用することができる。
 本発明の「三重螺旋構造を有するタンパク質」は、より好ましくは、配列番号:1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号:3に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を含む、三重螺旋構造を有する組換えタンパク質を例示することができる。
 また、本発明は、以下の(a)から(c)の工程を含む、三重螺旋構造を有するタンパク質の製造方法に関する。
(a)アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドをベクターに導入する工程、
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
(b)該ベクターを用いた遺伝子導入により、宿主細胞を形質転換させる工程、および
(c)該形質転換体を培養もしくは育種し、該細胞またはその培養上清から三重螺旋構造を有するタンパク質を回収する工程。
 上記のベクターが導入された細胞において三重螺旋構造を有するタンパク質が組換えタンパク質として合成されていることは以下によって調べることができる。すなわち市販のヒト・コラーゲンに特異的に結合する抗体を用いてウエスタンブロッティング等の免疫化学的な方法によりコラーゲンペプチドであることを確認することができる。通常コラーゲンはSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Nature, 227, 680-685 (1970))においては、分子量通りには泳動されないため、コラーゲンをマーカーとして同時に電気泳動後、Matsudairaらの方法(J. Biol. Chem., 261, 10035-10038 (1987))に従ってナイロン膜あるいはニトロセルロース膜に転写し、抗コラーゲン抗体との反応性を調べることができる。さらに発現ベクターによって生産された組換えコラーゲン産物の中に、三重螺旋構造を有する分子が存在することは次のようにして調べることができる。
 通常の繊維性コラーゲンは、3つのサブユニット(α鎖)から形成される3本鎖の分子で、分子内に三重螺旋構造を有している。そして、三重螺旋構造を有するコラーゲンはペプシン消化に対して耐性を有することが知られている。そこで、上記の外来遺伝子高発現ベクターが導入された細胞の培養上清を酸性条件下にてペプシン消化し、ペプシン耐性な構造を有するかを調べることにより、このタンパク質試料に3本鎖分子が存在していることを示すことができる。
 即ち、本発明においては、ペプシン処理を施したタンパク質試料を、還元条件下のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。その結果、得られた組換えコラーゲンは天然コラーゲンと同様のペプシン耐性を示すことが明らかになり、上記の外来遺伝子高発現ベクターが導入された細胞の培養上清中にはペプシン処理に対して耐性の性質を有するコラーゲンペプチドが含まれると推察された。以上の結果から、本発明の発現ベクターは、宿主細胞において生体内に見られるのと同等な特性即ち、ペプシン耐性なコラーゲンを合成させる能力を持つことが示される。
 本発明の三重螺旋構造を有するタンパク質の製造方法および精製方法を以下に示すが、これらの方法に限定されるものではない。
 本発明で宿主細胞として培養に用いられる哺乳動物細胞は特に限定されないが、好ましくは、CHO細胞を挙げることが出来る。
 本発明で用いられるCHO細胞は、懸濁培養することにより大量培養化が可能である。例えば、弱化ネオマイシンリン酸転位酵素遺伝子、マウスジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ヒト・コラーゲンまたはヒト・コラーゲンの部分ペプチドをコードするcDNAを共に有するヒト・コラーゲン発現ベクターを形質導入して得られた組換えCHO細胞1×108~1×109個を100mL~1Lの培養液でシェーカーフラスコまたはスピナーフラスコで培養することが可能である。これを適当な時間培養した後、培養上清を集めタンパク質を大量に抽出することができる。
 弱化ネオマイシンリン酸転位酵素遺伝子、マウスジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ヒト・コラーゲンまたはヒト・コラーゲンの部分ペプチドをコードするcDNAを共に有するヒト・コラーゲン発現ベクターを形質導入して得られた組換えCHO細胞の培養上清においては、三重螺旋構造を有する3本鎖タンパク質分子と同時に正常な3本鎖分子を形成しなかったタンパク質も存在する。前述のように、三重螺旋構造を有しないコラーゲン様のタンパク質はペプシンによって消化される。このため、三重螺旋構造を有しないコラーゲン様のタンパク質はペプシンによって分解除去することができる。この処理によって同時に三重螺旋構造を有する3本鎖タンパク質分子以外の培養上清中のタンパク質も分解除去することができる。以上の性質を利用して、弱化ネオマイシンリン酸転位酵素遺伝子、マウスジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ヒト・コラーゲンまたはヒト・コラーゲンの部分ペプチドをコードするcDNAを共に有するヒト・コラーゲン発現ベクターを形質導入して得られた組換えCHO細胞の培養上清中に存在する全タンパク質を直接ペプシン処理し非コラーゲン性タンパク質を分解除去するとともに、三重螺旋構造を有しないタンパク質も分解除去することができる。
 本発明において対象とするヒト・コラーゲンは、現在知られているI型からXXI型コラーゲンを含むすべてのヒト・コラーゲンであり、これらのコラーゲンの部分ペプチドも含む。本発明のコラーゲンの型は特に制限をされないが、代表例として、I型、II型、III型、IV型、V型、VII型、IX型、XI型、XII型、XVII型、またはXVIII型等を挙げることが出来、このましくは、I型、II型、III型を挙げることが出来る。I、IV、V、IX、XI型はそれぞれ2,3種類のα鎖からなり、II、III、VII、XII、XVII、XVIII型はそれぞれ1種類のα鎖からなる。これらはそれぞれ、I型:[α1 (I)]2α2(I)、II型:[α1(II)]3、III型:[α1(III)]3、IV型[α1 (IV)]2α2(IV)、V型:[α1 (V)]2α2(V)とα1 (V)α2 (V)α3 (V)、VII型:[α1(VII)]3、IX型:α1 (IX)α2 (IX)α3 (IX)、XI型:α1 (XI)α2 (XI)α3 (XI)、XII型:[α1(XII)]3、XVII型:[α1(XVII)]3、またはXVIII型:[α1(XVIII)]3という分子構成を持つが、本発明のコラーゲンの分子構成は特に限定されるものではない。また、本発明のコラーゲンの分子構成は、天然のコラーゲン由来の分子構成に限定されるものでなく、種類のことなる3種類のα鎖を人為的に複合させてもよい。
 本発明のI型コラーゲンのα1鎖をコードするDNAの塩基配列を配列番号:10に、I型コラーゲンのα2鎖をコードするDNAの塩基配列を配列番号:11に、II型コラーゲンのα1鎖をコードするDNAの塩基配列を配列番号:12に、III型コラーゲンのα1鎖をコードするDNAの塩基配列を配列番号:13にそれぞれ示す。
 本発明のコラーゲンをコードするDNAとして、好ましくは配列番号:10~13のいずれかに記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、好ましくは配列番号:10~13のいずれかに記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドに、選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを挙げることが出来る。選択的にハイブリダイズするとは、あらかじめ定められた配列をもつ分子(すなわち第2のポリペプチド)がDNAまたはRNAの試料中に存在する場合、適切にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下で、ハイブリダイズする、二本鎖になる、または本質的に互いにのみ結合する核酸分子を指す。ストリンジェントな条件とは、例えば、通常、42℃、2×SSC、0.1%SDSの条件であり、好ましくは50℃、2×SSC、0.1%SDSの条件であり、さらに好ましくは、65℃、0.1×SSCおよび0.1%SDSの条件であるが、これらの条件に特に制限されない。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。
 本発明において製造される三重螺旋構造を有するタンパク質はコラーゲン領域において、N末端およびC末端にプロペプチドが結合している、プロコラーゲン分子の状態であってもよいし、プロペプチドが除去された状態であってもよい。
 本発明において、「コラーゲンの部分ペプチド」とは、コラーゲンをコードするcDNAの20%以上(例えば20、30、40、50、60、70、80、90%)のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドをいう(以下ミニコラーゲン(Mini-Collagen)と表現する)。また、これらコラーゲンのアミノ酸配列の一部分を改変したものや、非コラーゲンアミノ酸配列を付加したものも含む。
 本発明において「コラーゲン発現量の少ない哺乳動物細胞」とは、1×106cells/mLで培養した場合に50ng/mL以下のコラーゲン生産量である細胞のことをいい、より好ましくは、CHO細胞を好適に挙げることができる。本発明において「高発現」とは、培養72時間時点の5.0×10cells/mLの遺伝子導入CHO細胞が1μg/mL以上のミニコラーゲンを発現、好ましくは5μg/mL以上のミニコラーゲンを発現することをいう。
 本発明において「外来遺伝子を高発現することの可能なベクター」とは、例えば該ベクターに含まれる哺乳動物細胞における薬剤選択マーカー遺伝子の働きが微弱であるため哺乳動物細胞染色体上の転写の盛んな領域に選択的に挿入されることを特徴とするベクターであることをいい、好ましくはpNC1ベクター(配列番号:2)さらに好ましくはpDC6/CFベクター(配列番号:9)を挙げることができる。本発明の発現ベクターとしては、実施例で具体的に記載した発現ベクターを例示することができるが、これらに制限されるものではない。本発明において、培養方法は浮遊、付着培養いずれでもよい。
 なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
〔実施例1〕pNC1/Mini-CollagenTypeIの構築
 当業者に周知の方法を用いて配列番号:2に記載されたpNC1ベクターの塩基配列No1274を配列番号:3に記載されたミニコラーゲンをコードするcDNA(以下Mini-CollagenTypeIと記載する)に置換し、pNC1/Mini-CollagenTypeI(図1)を構築した。
〔実施例2〕pNC1/Mini-CollagenTypeIのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、G418セレクション
 10μgのpNC1/Mini-CollagenTypeIをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の5.0×105個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に1000 cells/well、100 cells/wellの濃度で5枚ずつ計10枚(960ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(G418耐性クローン)。生存細胞から任意に72株のG418耐性クローンを選択し、続いて培養上清中のミニコラーゲン産生量を測定した。
〔実施例3〕pNC1/Mini-CollagenTypeI形質導入クローンによるミニコラーゲンの産生量の測定
 産生量の検定はELISAにて実施した。図1に示すようにミニコラーゲンはC末端部分にヒトMBLの糖鎖認識領域を含むため、ミニコラーゲンの検出にはヒトMBL抗体を用いた。コーティングバッファー(15 mM、Na2CO3、35 mM NaHCO3、0.05 % NaN3、pH 9.6)で希釈した1μg/mL抗ヒトMBL抗体(日本・旭川医大・大谷博士より譲渡)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)でブロッキングした後、トランスフェクション14日後の培養上清(1/10希釈)、精製したヒトMBL(旭川医大・大谷博士より譲渡)のCHO細胞用無血清培地IS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)による2倍希釈系列(20~0.3125 ng/mL)およびIS CHO w/ Hydrolysate培地(IS Japan)をそれぞれ100μLずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのビオチン化ヒトMBLモノクローナル抗体(旭川医大・大谷博士より譲渡)を100μL/wellずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。37℃で30分間インキュベートしたVECTASTAION Elite ABC kit STANDARD(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、37℃で45分間反応させた。さらに室温で30分間インキュベートしたPEROXIDASE SUBSTRATE KIT TMB(2 drops of Buffer, 3 drops of TMB, 2 drops of HYDROGEN PEROXIDE / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、室温で15分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて450 nmでの吸光度を測定し、精製したヒトMBLの検量線からミニコラーゲン濃度を算出した。ELISAによって得られた結果、ミニコラーゲン産生量の多い上位10サンプルを決定した。上位10サンプルをさらに継代し、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)ともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。各株に0.4mLを滅菌チューブに取り、200×g、2分間遠心した。上清を捨て、細胞を0.1mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5×10cells/mLになるように培地で希釈後、0.2mLを新しい24ウェルプレートに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養し、9300×g、2分間の遠心後に上清を回収した。続いて培養上清中のミニコラーゲンの産生量を測定した。
 産生量の検定はELISAにて実施した。コーティングバッファー(15 mM、Na2CO3、35 mM NaHCO3、0.05 % NaN3、pH 9.6)で希釈した1μg/mL抗ヒトMBL抗体(日本・旭川医大・大谷博士より譲渡)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)でブロッキングした後、72時間培養上清(1/1000希釈)、精製したヒトMBL(旭川医大・大谷博士より譲渡)のCHO細胞用無血清培地IS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)による2倍希釈系列(20~0.3125 ng/mL)およびIS CHO w/ Hydrolysate培地(IS Japan)をそれぞれ100μLずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのビオチン化ヒトMBLモノクローナル抗体(旭川医大・大谷博士より譲渡)を100μL/wellずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。37℃で30分間インキュベートしたVECTASTAION Elite ABC kit STANDARD(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、37℃で45分間反応させた。さらに室温で30分間インキュベートしたPEROXIDASE SUBSTRATE KIT TMB(2 drops of Buffer, 3 drops of TMB, 2 drops of HYDROGEN PEROXIDE / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、室温で15分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて450 nmでの吸光度を測定し、精製したヒトMBLの検量線からミニコラーゲン濃度を算出した。表1にELISAにて得られた結果、ミニコラーゲン産生量の高い上位10サンプルを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
〔実施例4〕pDC6/CF_Mini-CollagenTypeIの構築
 当業者に周知の方法を用いて配列番号:9に記載されたpDC6/CFベクターの塩基配列No1059を配列番号:3に記載のミニコラーゲンをコードするcDNA(以下Mini-CollagenTypeIと記載する)に置換し、pDC6/CF_Mini-CollagenTypeI(図2)を構築した。
〔実施例5〕pDC6/CF_Mini-CollagenTypeIのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いたセレクション
 10μgのpNC1/Mini-CollagenTypeIをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の5.0×105個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4000 cells/well、1000 cells/wellの濃度で5枚ずつ計10枚(960ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(生存クローン)。生存細胞から任意に157株の生存クローンを選択し、続いて培養上清中のミニコラーゲン産生量を測定した。
〔実施例6〕pDC6/CF_Mini-CollagenTypeI形質導入クローンによるミニコラーゲンの産生量の測定
 産生量の検定はELISAにて実施した。図2に示すようにミニコラーゲンはC末端部分にヒトMBLの糖鎖認識領域を含むため、ミニコラーゲンの検出にはヒトMBL抗体を用いた。コーティングバッフアー(15 mM Na2CO3、35 mM NaHCO3、0.05 % NaN3、pH 9.6)で希釈した1μg/mL抗ヒトMBL抗体(日本・旭川医大・大谷博士より譲渡)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)でブロッキングした後、トランスフェクション14日後の培養上清(1/1000希釈)、精製したヒトMBL(旭川医大・大谷博士より譲渡)のCHO細胞用無血清培地IS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)による2倍希釈系列(20~0.3125 ng/mL)およびIS CHO w/ Hydrolysate培地(IS Japan)をそれぞれ100μLずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのビオチン化ヒトMBLモノクローナル抗体(旭川医大・大谷博士より譲渡)を100μL/wellずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。37℃で30分間インキュベートしたVECTASTAION Elite ABC kit STANDARD(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、37℃で45分間反応させた。さらに室温で30分間インキュベートしたPEROXIDASE SUBSTRATE KIT TMB(2 drops of Buffer, 3 drops of TMB, 2 drops of HYDROGEN PEROXIDE / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、室温で15分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて450 nmでの吸光度を測定し、精製したヒトMBLの検量線からミニコラーゲン濃度を算出した。ELISAによって得られた結果、ミニコラーゲン産生量の多い上位10サンプルを決定した。上位10サンプルをさらに継代し、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)ともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。各株に0.4mLを滅菌チューブに取り、200×g、2分間遠心した。上清を捨て、細胞を0.1mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5.0×10cells/mLになるように培地で希釈後、0.2mLを新しい24ウェルプレートに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養し、9300×g、2分間の遠心後に上清を回収した。続いて培養上清中のミニコラーゲン産生量を測定した。
 産生量の検定はELISAにて実施した。コーティングバッファー(15 mM, Na2CO3, 35 mM NaHCO3, 0.05 % NaN3, pH 9.6)で希釈した1μg/mL抗ヒトMBL抗体(日本・旭川医大・大谷博士より譲渡)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)でブロッキングした後、72時間培養上清(1/1000希釈)、精製したヒトMBL(旭川医大・大谷博士より譲渡)のCHO細胞用無血清培地IS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)による2倍希釈系列(20~0.3125 ng/mL)およびIS CHO w/ Hydrolysate培地(IS Japan)をそれぞれ100μLずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのビオチン化ヒトMBLモノクローナル抗体(旭川医大・大谷博士より譲渡)を100μL/wellずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。37℃で30分間インキュベートしたVECTASTAION Elite ABC kit STANDARD(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、37℃で45分間反応させた。さらに室温で30分間インキュベートしたPEROXIDASE SUBSTRATE KIT TMB(2 drops of Buffer, 3 drops of TMB, 2 drops of HYDROGEN PEROXIDE / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、室温で15分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて450 nmでの吸光度を測定し、精製したヒトMBLの検量線からミニコラーゲン濃度を算出した。表2にELISAにて得られた結果、ミニコラーゲン産生量の高い上位10サンプルを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
〔実施例7〕ミニコラーゲンの精製
 ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC1/Mini-collagen TypeI-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4mgのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×10 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。以下の行程は特に指定しない限り4℃で行った。培養液を集め、1,750×gで1時間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清に分離した。この上清(1.4L)に塩化ナトリウム(Wako)を0.4Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、クロスフローろ過(VIVAFLOW50、10,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって1/20容量に濃縮した。この際生じた沈殿物を1,750×gで1時間遠心分離(EX-126、TOMY)して回収した。上清は5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)に対して3日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行い、20mM塩化カルシウム(Wako)及び2M塩化ナトリウム(Wako)となるようにそれぞれ添加して沈澱を生じさせた。1,750×gで1時間遠心分離(EX-126、TOMY)を行い、沈殿物と上清に分離させた。この沈殿物を先の回収した沈殿物と合わせてMilliQ水(MILLIPORE)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Cellulose Ester(CE) Dialysis Membranes、25,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行い、凍結乾燥(Concentrator5301、eppendorf)して精製したタンパク質を得た。この精製したタンパク質1.47mgを1.47mLの50mM酢酸(wako)溶液に溶解させ、以下のアッセイに用いた。また、上清中に残存したミニコラーゲンをマンナンとの結合を利用してマンナンアガロースカラムを用いて精製した。まず、4.5mLのマンナンアガロースゲル(SIGMA)をエコノカラム(BIO-RAD)に充填し、45mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)と5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)でゲルの洗浄と平衡化を行い、上清を1.0mL/minの流速で循環させながら17.5時間負荷させた。上清を取り除いた後に10mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で洗浄を行い、20mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)でミニコラーゲンを溶出させた。この溶出液を0.4M塩化ナトリウム-0.1Mトリス塩酸緩衝液(4℃でpH7.4)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行った。その後、Amicon Ultra-15(10,000 MWCO、MILLIPORE)を用いて1,750×gで30分間限外ろ過して1/10容量に濃縮した。最終的に培養上清1.4Lから沈殿物として繊維性ミニコラーゲンを7.7mg、その後、残存した上清からマンナンとの結合活性を有する水溶性ミニコラーゲンを2.5mg回収した(図3参照)。
〔実施例8〕ミニコラーゲンの解析
 培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンについて、還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。
 即ち、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲン(それぞれ20mM塩化カルシウム(wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で10倍希釈したもの)10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標)5~20% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標)5~20% 17well(Wako)に10μL添加し、40mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD)で50分間電気泳動を行った。その後、ゲルを25mLのDW(MILLIPORE)で振とうしながら5分間洗浄し、これを3回繰り返して25mLのQuick-CBB PLUS(Wako)で1時間染色して25mLのDW(MILLIPORE)で1時間脱色を行った(図4参照)。
〔実施例9〕ミニコラーゲンの解析
 培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンについて、非還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。
 即ち、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲン(それぞれ20mM塩化カルシウム(wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で10倍希釈したもの)10μLそれぞれに、2-メルカプトエタノールを含まないLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)処理した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標)3~10% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標)3~10% 17well(Wako)に10μL添加し、40mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD)で50分間電気泳動を行った。その後、ゲルを25mLのDW(MILLIPORE)で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら5分間洗浄し、これを3回繰り返して25mLのQuick-CBB PLUS(Wako)で1時間染色して25mLのDW(MILLIPORE)で1時間脱色を行った(図5参照)。
〔実施例10〕ミニコラーゲンの解析
 培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンについて、未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。
 即ち、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲン(それぞれ20mM塩化カルシウム(wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で10倍希釈したもの)10μLそれぞれに、2-メルカプトエタノール及びSDSを含まないNative Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL添加した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標)3~10% 17well(Wako)をセットし、調製したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標)3~10% 17well(Wako)に10μL添加し、40mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD)で50分間電気泳動を行った。その後、ゲルを25mLのDW(MILLIPORE)で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら5分間洗浄し、これを3回繰り返して25mLのQuick-CBB PLUS(Wako)で1時間染色して25mLのDW(MILLIPORE)で1時間脱色を行った(図6参照)。
〔実施例11〕還元条件下でのウエスタンブロッティング
 ミニコラーゲンは、MBLの糖鎖認識(CRD)領域をコードしていることから発現したミニコラーゲンにCRD領域が含まれている。そのため、抗MBL(CRD領域認識)抗体が結合可能である。これを利用して、ウサギ抗MBL(CRD領域)ポリクローナル抗体(旭川医科大学、大谷博士より譲渡)を用いて還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンを化学発光で検出して同定した。
 即ち、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲン(それぞれ20mM塩化カルシウム(wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で500倍希釈したもの)10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標)5~20% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標)5~20% 17well(Wako)に10μL添加し、40mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD)で50分間電気泳動を行った。その後、ゲルをガラス板から外して転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ8mLのメタノール(Wako)で15秒、8mLのMilliQ水(MILLIPORE)で2分間、8mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、ゲル及びろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で2時間電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を8mLのImmunoBlock(登録商標、大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、8 mLの0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で5分間振とうさせながら3回洗浄した。0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で2,000倍希釈した8mLのウサギ抗MBL(CRD領域)ポリクローナル抗体(旭川医科大学、大谷博士より譲渡)と膜上のタンパク質を室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に8 mLの0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で5分間振とうさせながら3回洗浄した。0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で20,000倍希釈したPeroxidase-conjugated AffiniPure F(ab’)2 Fragment Donkey Anti-Rabbit IgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch)を8mL添加して室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に24 mLの0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で10分間振とうさせながら3回洗浄した。1mLのImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で1分間写真を撮影した(図7参照)。
〔実施例12〕非還元条件下でのウエスタンブロッティング
 ミニコラーゲンは、MBLの糖鎖認識(CRD)領域をコードしていることから発現したミニコラーゲンにCRD領域が含まれている。そのため、抗MBL(CRD領域認識)抗体が結合可能である。これを利用して、ウサギ抗MBL(CRD領域)ポリクローナル抗体(旭川医科大学、大谷博士より譲渡)を用いて非還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンを化学発光で検出して同定した。
 即ち、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲン(それぞれ20mM塩化カルシウム(wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で500倍希釈したもの)10μLそれぞれに5%の2-メルカプトエタノールを含まないLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)処理した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標)3~10% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標)3~10% 17well(Wako)に10μL添加し、40mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD)で50分間電気泳動を行った。その後、ゲルをガラス板から外して転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ8mLのメタノール(Wako)で15秒、8mLのMilliQ水(MILLIPORE)で2分間、8mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。転写装置(TRANS-BLO SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)、mmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、ゲル及びろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で2時間電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を8mLのImmunoBlock(登録商標、大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、8 mLの0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で5分間振とうさせながら3回洗浄した。0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で2,000倍希釈した8mLのウサギ抗MBL(CRD領域)ポリクローナル抗体(旭川医科大学、大谷博士より譲渡)と膜上のタンパク質を室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に8 mLの0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で5分間振とうさせながら3回洗浄した。0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で20,000倍希釈したPeroxidase-conjugated AffiniPure F(ab’)2 Fragment Donkey Anti-Rabbit IgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch)を8mL添加して室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に24 mLの0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で10分間振とうさせながら3回洗浄した。1mLのImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で1分間写真を撮影した(図8参照)。
〔実施例13〕培養上清から精製したタンパク質と天然型ヒトアテロコラーゲンタイプIのペプシン消化
 精製したタンパク質及び天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)を酸性条件下でペプシン消化し、ペプシンに対して切断耐性を有することをSDSポリアクリルアミド電気泳動像から確認した。
 即ち、精製したタンパク質(0.5mg/mL)又は天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)(1mg/mL)それぞれ10μLに0.3M塩酸溶液を3μL添加してpHを2に調整し、2mg/mLのペプシン(Pepsin, From Porcine Stomach Mucosa, 3370 units/mg protein、SIGMA-ALDRICH)溶液をそれぞれ5μL添加して20℃(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)で2時間ペプシン消化を行った。この際、コントロールとして精製タンパク質等にペプシンを添加しないサンプルと、精製タンパク質等を添加せずにペプシン(Pepsin, From Porcine Stomach Mucosa, 3370 units/mg protein、SIGMA-ALDRICH)のみのサンプルをそれぞれ用意し、10mMの酢酸溶液をそれぞれペプシン溶液の代わりに5μL、精製タンパク質等の代わりに10μL添加して20℃で2時間インキュベートした。1Mトリス(2-Amino-2-hydroxymethyl-1,3- propanediol(Tris aminometane)、Wako)溶液を精製したタンパク質と、ペプシン(Pepsin, From Porcine Stomach Mucosa, 3370 units/mg protein、SIGMA-ALDRICH)のみのサンプルに1μL、天然型ヒトアテロコラーゲン(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)には5μLそれぞれ添加して反応を停止させ、4℃で18時間インキュベートすることによって不可逆的にコラーゲンの再繊維化を行った。精製したタンパク質とペプシンのみのサンプルに19μL、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)には23μLの5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を加えて98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標)5~20% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標)5~20% 17well(Wako)に10μL添加し、40mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD)で50分間電気泳動を行った。その後、ゲルを25mLのDW(MILLIPORE)で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら5分間洗浄し、これを3回繰り返して25mLのQuick-CBB PLUS(Wako)で1時間染色して25mLのDW(MILLIPORE)で1時間脱色を行った(図9参照)。その結果、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)はペプシン消化によって切断されなかった。ミニコラーゲンは50kDaにバンドがみられるが、ペプシン消化によりコラーゲン領域以外が切断されて消失し、30kDaにコラーゲン領域のみバンドがみられた。このことから、ミニコラーゲンは天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)と同様にペプシン(Pepsin, From Porcine Stomach Mucosa, 3370 units/mg protein、SIGMA-ALDRICH)に対して切断耐性を有しており、三重螺旋構造が正しく折り畳まれていることが明らかとなった。
〔実施例14〕培養上清から精製したタンパク質の熱安定性試験
 三重螺旋構造に正しく折り畳まれた安定なコラーゲンはトリプシンやキモトリプシンなどのタンパク質分解酵素に対して切断耐性を有する。本実施例では、コラーゲンのみが切断耐性となる条件で高濃度のトリプシン(Trypsin, TypeIX-S, From Porcine Pancreas, 13100 units/mg solid, protein、SIGMA-ALDRICH)及びキモトリプシン(α-Chymotrypsin, TypeI-S : From Bovine Pancreas, 58 units/mg protein、SIGMA)の酵素処理を利用して、精製したタンパク質の熱安定性試験を行った。
 即ち、精製したタンパク質(0.5mg/mL)それぞれ10μLに1Mトリス(2-Amino-2-hydroxymethyl-1,3-propanediol(Tris amino -metane)、Wako)溶液を1μL添加してpHを7に調整して30、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45及び50℃それぞれの温度で10分間加熱処理(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)し、直ちに20℃(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)に冷却して1mg/mLのトリプシン(Trypsin, TypeIX-S, From Porcine Pancreas, 13100 units/mg solid, protein、SIGMA-ALDRICH)とキモトリプシン(α-Chymotrypsin, TypeI-S : From Bovine Pancreas, 58 units/mg protein、SIGMA)をそれぞれ1μL添加して20℃(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)で2分間酵素処理を行った。この際、酵素を無添加のサンプルとトリプシン(Trypsin, TypeIX-S, From Porcine Pancreas, 13100 units/mg solid, protein、SIGMA-ALDRICH)又はキモトリプシン(α-Chymotrypsin, TypeI-S : From Bovine Pancreas, 58 units/mg protein、SIGMA)のみのサンプルを用意し、0.4M塩化ナトリウム-0.1Mトリス塩酸緩衝液(4℃でpH7.4)を酵素の代わりに2μL、精製タンパク質等の代わりに12μL添加して20℃(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)で2分間インキュベートした。それぞれのサンプル溶液に5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を13μL加えて98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標)10~20% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標)10~20% 17well((Wako)に6.5μL添加し、40mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD)で60分間電気泳動を行った。その後、ゲルを25mLのDW(MILLIPORE)で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら5分間洗浄し、これを3回繰り返して25mLのQuick-CBB PLUS(Wako)で1時間染色して25mLのDW(MILLIPORE)で1時間脱色を行った(図10参照)。
 本実施例で行った、培養上清から精製したタンパク質のトリプシン及びキモトリプシンを用いた熱安定性試験の結果より、それぞれの加熱温度でのコラーゲン領域のバンドを数値化し、30℃の加熱処理温度でのコラーゲン領域のバンドを数値化した値を100%として融解曲線を描いた結果を図11に示す。これより、精製したタンパク質のコラーゲン領域の熱変性温度(50%が酵素により消化される加熱処理温度)は42.9℃であった(図11)。天然型ヒトアテロコラーゲンタイプIの熱変性温度が41.9℃(J. Biochem, 115, 853-857 (1994))であることより、精製したタンパク質は天然型ヒトアテロコラーゲンタイプIと同等以上の熱耐性を有しており、安定な三重螺旋構造を形成していると考えられる。
〔実施例15〕沈澱を利用したミニコラーゲンの精製
 ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×10 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。以下の行程は特に指定しない限り4℃で行った。培養液を集め、1,750×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清に分離した。この上清(1.35 L)に塩化ナトリウム(Wako)を0.4 Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、4℃で保存した。この上清を10,000 ×gで30分間遠心(EX-126、TOMY)して沈殿物を除き、上清(1.35 L)を回収した。また、ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4 mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×10cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。培養液を集め、1,750 ×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清(1.87 L)に分離した。この上清(1.87 L)に上記上清(1.35 L)を混合し(3.22 L)、クロスフローろ過(VIVAFLOW200、30,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって320 mL容量にまで濃縮し、塩化ナトリウム(Wako)を最終濃度4 Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、4日間25℃でインキュベートした。この際生じた沈殿物を9,400 ×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して回収した。この沈殿物に1.5 mLの50 mM酢酸(Wako)溶液を加え、全量を50 mM酢酸(Wako)溶液に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Cellulose Ester(CE) Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行った。その後、透析したサンプル溶液を回収して9,400 ×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して沈殿物を回収した。この沈殿物に7.4 mLの50 mM酢酸溶液を加え、全量を50 mM酢酸溶液に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Cellulose Ester(CE) Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行い、ミニコラーゲン(以下MC-salt)を3.3 mg回収した(図12参照)。
〔実施例16〕マンナンとの結合を利用したミニコラーゲンの精製
 ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×10 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。以下の行程は特に指定しない限り4℃で行った。培養液を集め、1,750×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清に分離した。この上清(1.35 L)に塩化ナトリウム(Wako)を0.4 Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、4℃で保存した。この上清を10,000 ×gで30分間遠心(EX-126、TOMY)して沈殿物を除き、上清(1.35 L)を回収した。また、ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4 mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×10 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。培養液を集め、1,750 ×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清(1.87 L)に分離した。この上清(1.87 L)に上記上清(1.35 L)を混合し(3.22 L)、クロスフローろ過(VIVAFLOW200、30,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって320 mL容量にまで濃縮し、塩化ナトリウム(Wako)を最終濃度4 Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、4日間25℃でインキュベートした。この際生じた沈殿物を9,400 ×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して除いた。この上清(320 mL)に1 M塩化カルシウム溶液を20 mM になるように添加して4℃で18時間インキュベートし、9,400 ×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して沈殿物と上清に分けた。この上清(320 mL)をクロスフローろ過(VIVAFLOW200、30,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって56 mL容量にまで濃縮し、5 mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)に対して7日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行った。透析したサンプル溶液に1 M塩化カルシウム溶液を20 mM になるように添加して4℃で18時間インキュベートし、9,400×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して沈殿物と上清に分けた。この上清(86 mL)中に残存したミニコラーゲンをマンナンとの結合を利用してマンナンアガロースカラムを用いて精製した。まず、5 mLのマンナンアガロースゲル(SIGMA)をエコノカラム(BIO-RAD)に充填し、15 mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)と45 mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)でゲルの洗浄と平衡化を行い、上清を1.0 mL/minの流速で負荷させた後、40 mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で洗浄を行い、15mLの5 mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)でミニコラーゲンを溶出させて最初のピーク(9 mL)を回収した。この溶出液を0.4 M塩化ナトリウム、0.1 Mトリス塩酸緩衝液(4℃でpH 7.4)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行い、マンナンとの結合活性を有する水溶性ミニコラーゲン(以下MC-Man)を3.9 mg回収した(図13参照)。
〔実施例17〕コラーゲンコートしたプレートへの細胞接着試験
 
 それぞれ天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、天然型ウシアテロコラーゲンタイプI及び精製したミニコラーゲン(MC_salt, MC-Man)をコートした96ウェルマイクロプレートに接着細胞であるヒト骨芽細胞(MG-63細胞, ATCC)を接着させ、細胞接着性を検討した。
 即ち、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)、天然型ウシアテロコラーゲンタイプI(From Calf Skin, Cell culture tested, SIGMA)、MC-salt及びMC-Manを0.1 M酢酸(Wako)になるように0.1 mg/mLに希釈、調整した。このコラーゲン溶液と3% (w/v)熱変性BSA(Invitrogen)溶液及びPBS(Wako)を96ウェルプレート(F96 MAXISORP Nunc-Immuno plate, Nunc)に100μL/wellずつ添加し、室温で13時間コートした(n=3)。コートしたウェルをPBS(Wako)で3回洗浄し、1% (w/v)熱変性BSA(Invitrogen)溶液を300 μL/wellずつ添加し、37℃で1時間ブロッキングした。ブロッキング後、ウェルをPBS(Wako)で1回洗浄し、2.5×105 cells/mLにRPMI-1640培地(Invitrogen)で調整したヒト骨芽細胞(MG-63細胞, ATCC)溶液を100μL/wellずつ播種してヒト骨芽細胞(MG-63細胞, ATCC)の接着を37℃で1時間行った。1% (w/v)熱変性BSA(Invitrogen)溶液で1回洗浄して接着しなかったヒト骨芽細胞(MG-63 cell line, ATCC)を除いた後、RPMI-1640培地(Invitrogen)を100 μL/wellずつ添加し、20 μLのCellTiter 96(登録商標) Aqueous One Solution Reagent(MTS, Promega)を添加した。37℃で3時間インキュベートし、マイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて波長655nmを対照として波長490nmの吸光度を測定した(図14参照)。また、ヒト骨芽細胞(MG-63細胞, ATCC)を37℃で1時間接着させ、接着しなかった細胞を洗い除いたときの細胞(図15参照)と、その後37℃で3時間インキュベートしたときの細胞(図16参照)を位相差顕微鏡で観測した。画像観測は、倒立顕微鏡(Nikon ECLIPSE TE2000-S, Nikon社製)に高精細カラーカメラヘッド(DS-Fi1,Nikon社製)とコントロールユニット(DS-L2,Nikon社製)を装備させた状態で行った。
 その結果、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、天然型ウシアテロコラーゲンタイプI、MC-salt及びMC-Manをコートしたものでは、コラーゲンコートしていない(PBS)ウェルと比べて2倍以上高い吸光度であり、コラーゲンコートによるヒト骨芽細胞の高い接着性が認められた。また、ヒト骨芽細胞を1時間接着させた後、接着しなかった細胞を洗い除いた直後の細胞(図15参照)とその後37℃で3時間インキュベートした時の細胞(図16参照)を位相差顕微鏡で観察した。天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、MC-salt及びMC-Manをコートしたものでは、ヒト骨芽細胞の接着と伸長が認められた。しかしながら天然型ウシアテロコラーゲンタイプIではヒト骨芽細胞の接着は認められたが、伸長はほとんど認められなかった。以上のことから、MC-salt及びMC-Manはヒト骨芽細胞の接着と伸長において、天然型ヒトアテロコラーゲンと同程度の性質が認められた。
〔実施例18〕C末端領域からGPP領域までを欠損させたミニコラーゲンの構築
 本発明者らはミニコラーゲンの三重螺旋構造に必要な領域を特定するために、ミニコラーゲンのC末端領域からGPP領域までを欠損させたタンパク質(以下MC-GPPと略す)を構築した。 ミニコラーゲン(Mini-Collagen TypeI)及びMC-GPPの各領域を図17に示した。
当業者に周知の方法を用いて配列番号:14に記載されたpDC6ベクターの塩基配列No1267-No1275を配列番号:15に記載されたMC-GPPをコードするcDNA置換し、pDC6/MC-GPP(図18)を構築した。
〔実施例19〕pDC6/MC-GPPのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、HT不含培地におけるセレクション
 2.5μgのpDC6/MC-GPPをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の4,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO CD w/H培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4,000 cells/wellの濃度で5枚(480ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。生存が見られた株の目的タンパク質発現を確認するため、還元条件下でのウエスタンブロッティングを行った。即ち、増殖が見られた株の培養上清10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL混合して98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD.)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS, BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)に20μL添加し、40 mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、ゲルをガラス板から外して10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ10 mLのメタノール(Wako)で15秒、10 mLの超純水(ELGA)で2分間、10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、ゲル及びろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80 mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で90分間電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を10 mLのImmunoBlock(大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で1,000倍希釈した10 mLの6-His Monoclonal Antibody(COVANCE)と膜上のタンパク質を室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5,000倍希釈したGoat anti-Mouse IgG(H+L)HRP(Jackson ImmunoResearch)を10 mL添加して室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に24 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で10分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。2 mLのImmobilon Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で10秒から1分間写真を撮影した。MC-GPPの発現が検出された細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。上記と同様に還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、MC-GPPの発現が検出されたウェル中の細胞を4 mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られ、還元条件下でのウエスタンブロッティングでMC-GPPの発現が検出された株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともにT-75 Flask(BD)に移し、細胞が各ウェルの1.0×106 cells/mL以上を占めるまで培養した。
〔実施例20〕MC-GPPの精製
 MC-GPP発現CHO細胞(pDC6/MC-GPP-3)をIS CHO-CD w/Hydrolysate培地(IS JAPAN)で、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。培養液を集め、1,750×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清に分離し、この上清をNiカラムに負荷してMC-GPPの精製を行った。即ち、1 mLのNi-NTA agarose gel(Invitrogen)をPoly empty column(BIO-RAD)に充填し、6 mLの超純水(BMS)でゲルを洗浄した。続いて6 mLのNative binding buffer(0.25 Mリン酸二水素ナトリウム(Wako)、2.5 M塩化ナトリウム(Wako)、0.01 Mイミダゾール(Wako), pH 8.0)で3回ゲルを洗浄し、8 mLの培養上清をカラムに負荷した。カラムのキャップを閉め、4℃で60分間混和(愛くる, IWAKI)させながら結合させた。6 mLのNative wash buffer(0.25 Mリン酸二水素ナトリウム(Wako)、2.5 M塩化ナトリウム(Wako)、0.02 Mイミダゾール(Wako), pH 8.0)で9回ゲルを洗浄し、Native elution buffer(0.23 Mリン酸二水素ナトリウム(Wako)、2.3 M塩化ナトリウム(Wako)、0.25 Mイミダゾール(Wako), pH 8.0)で1 mLずつ6回溶出を行った。最初に溶出させた2 mLの溶出液を0.02 M酢酸溶液に対して4℃で3日間透析を行った後、MC-GPP溶液を回収した。
〔実施例20〕MC-GPPの還元条件下でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
 精製したMC-GPPを還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、5%の2-メルカプトエタノール(Wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、2D-銀染色試薬・II(COSMO BIO CO., LTD.)で銀染色を行った。まず、ゲルを40 mLの固定液-I(50%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、40%水(BMS))で振とうしながら20分間固定した。次に40 mLの固定液-II(30%メタノール(Wako)-10%酢酸(Wako)、5%固定化剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、55%超純水(BMS))で振とうしながら30分間固定化した後、40 mLの前処理液(50%メタノール(Wako)、5%前処理剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、45%超純水(BMS))で振とうしながら20分間前処理を行った。40 mLの超純水(BMS)でゲルを10分間洗浄し、40 mLの銀染色液(5%染色液A(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、5%染色液B(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、90%超純水(BMS))で30分間染色した後、40 mLの超純水(BMS)でゲルを5分間洗浄し、この洗浄を3回繰り返した。40 mLの現像液(5%現像原液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、95%超純水(BMS))で現像を8分間行い、2 mLの停止液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)を添加して現像を停止した。最後にゲルを40 mLの超純水(BMS)で10分間洗浄し、スキャナ(GT-X900, EPSON)で画像(図19参照)をスキャンした。
〔実施例22〕MC-GPPの非還元条件下でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
 精製したMC-GPPを非還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、Laemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)処理した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、2D-銀染色試薬・II(COSMO BIO CO., LTD.)で銀染色を行った。まず、ゲルを40 mLの固定液-I(50%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、40%水(BMS))で振とうしながら20分間固定した。次に40 mLの固定液-II(30%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、5%固定化剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、55%超純水(BMS))で振とうしながら30分間固定化した後、40 mLの前処理液(50%メタノール(Wako)、5%前処理剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、45%超純水(BMS))で振とうしながら20分間前処理を行った。40 mLの超純水(BMS)でゲルを10分間洗浄し、40 mLの銀染色液(5%染色液A(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、5%染色液B(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、90%超純水(BMS))で30分間染色した後、40 mLの超純水(BMS)でゲルを5分間洗浄し、この洗浄を3回繰り返した。40 mLの現像液(5%現像原液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、95%超純水(BMS))で現像を8分間行い、2 mLの停止液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)を添加して現像を停止した。最後にゲルを40 mLの超純水(BMS)で10分間洗浄し、スキャナ(GT-X900, EPSON)で画像(図20参照)をスキャンした。
〔実施例23〕MC-GPPの未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動
 精製したMC-GPPを未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、Native Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL添加した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)をセットし、調製したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、2D-銀染色試薬・II(COSMO BIO CO., LTD.)で銀染色を行った。まず、ゲルを40 mLの固定液-I(50%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、40%水(BMS))で振とうしながら20分間固定した。次に40 mLの固定液-II(30%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、5%固定化剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、55%超純水(BMS))で振とうしながら30分間固定化した後、40 mLの前処理液(50%メタノール(Wako)、5%前処理剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、45%超純水(BMS))で振とうしながら20分間前処理を行った。40 mLの超純水(BMS)でゲルを10分間洗浄し、40 mLの銀染色液(5%染色液A(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、5%染色液B(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、90%超純水(BMS))で30分間染色した後、40 mLの超純水(BMS)でゲルを5分間洗浄し、この洗浄を3回繰り返した。40 mLの現像液(5%現像原液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、95%超純水(BMS))で現像を8分間行い、2 mLの停止液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)を添加して現像を停止した。最後にゲルを40 mLの超純水(BMS)で10分間洗浄し、スキャナ(GT-X900, EPSON)で画像(図21参照)をスキャンした。
〔実施例24〕MC-GPPの還元条件下でのウエスタンブロッティング
 MC-GPPは、C末端側にHis-tagが付いているため、抗His抗体が結合可能である。これを利用して、還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、精製したMC-GPPを化学発光で検出して同定した。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、5%の2-メルカプトエタノール(Wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、ゲルをガラス板から外して10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ10 mLのメタノール(Wako)で15秒、10 mLの超純水(ELGA)で2分間、10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、ゲル及びろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80 mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で90分間電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を10 mLのImmunoBlock(大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で1,000倍希釈した10 mLの6-His Monoclonal Antibody(COVANCE)と膜上のタンパク質を室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5,000倍希釈したGoat anti-Mouse IgG(H+L)HRP(Jackson ImmunoResearch)を10 mL添加して室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に24 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で10分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。2 mLのImmobilon Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で30秒間写真(図22参照)を撮影した。
〔実施例25〕MC-GPPの非還元条件下でのウエスタンブロッティング
 MC-GPPは、C末端側にHis-tagが付いているため、抗His抗体が結合可能である。これを利用して、非還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、精製したMC-GPPを化学発光で検出して同定した。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、Laemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)処理した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、ゲルをガラス板から外して10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ10 mLのメタノール(Wako)で15秒、10 mLの超純水(ELGA)で2分間、10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、ゲル及びろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80 mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で90分間電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を10 mLのImmunoBlock(大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で1,000倍希釈した10 mLの6-His Monoclonal Antibody(COVANCE)と膜上のタンパク質を室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5,000倍希釈したGoat anti-Mouse IgG(H+L)HRP(Jackson ImmunoResearch)を10 mL添加して室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に24 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で10分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。2 mLのImmobilon Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で30秒間写真(図23参照)を撮影した。
〔実施例26〕MC-GPPと天然型ヒトアテロコラーゲンのペプシン消化
 三重螺旋構造を形成するコラーゲンは、ペプシンに対して切断耐性を有する。そこで、精製したMC-GPP、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)及び精製した繊維性ミニコラーゲン(実施例7)を酸性条件下でペプシン消化し、ペプシンに対して切断耐性であるかSDSポリアクリルアミド電気泳動像から確認した。即ち、精製したMC-GPP(0.028 mg/mL)、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)(0.1 mg/mL)又は繊維性ミニコラーゲン(実施例7)(0.1 mg/mL)それぞれ10μLに0.3 M塩酸溶液を3μL添加してpHを2に調整し、ペプシン(Pepsin, From Porcine Stomach Mucosa, 3370 units/mg protein、SIGMA-ALDRICH)溶液を3 μL(モル換算でそれぞれのタンパク質の3倍のペプシン量)添加して20℃(2720 Thermal cycler, Applied Biosystems)で2時間ペプシン消化を行った。この際、コントロールとして各サンプルにペプシンを添加しないもの、ペプシン(Pepsin, From Porcine Stomach Mucosa, 3370 units/mg protein、SIGMA-ALDRICH)のみ(各サンプルを消化した量と同量)のもの及び各サンプルとペプシンを添加しなかったものをそれぞれ用意し、10 mM酢酸溶液をそれぞれペプシン溶液やサンプルの代わりに添加して20℃で2時間インキュベートした。1 Mトリス(2-Amino-2-hydroxymethyl-1,3- propanediol(Tris aminometane)、Wako)溶液を1μL添加して反応を停止させ、4℃で18時間インキュベートすることによって不可逆的にコラーゲンの再繊維化を行った。17μLの5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を加えて98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)に18μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、2D-銀染色試薬・II(COSMO BIO CO., LTD.)で銀染色を行った。まず、ゲルを40 mLの固定液-I(50%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、40%水(BMS))で振とうしながら20分間固定した。次に40 mLの固定液-II(30%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、5%固定化剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、55%超純水(BMS))で振とうしながら30分間固定化した後、40 mLの前処理液(50%メタノール(Wako)、5%前処理剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、45%超純水(BMS))で振とうしながら20分間前処理を行った。40 mLの超純水(BMS)でゲルを10分間洗浄し、40 mLの銀染色液(5%染色液A(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、5%染色液B(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、90%超純水(BMS))で30分間染色した後、40 mLの超純水(BMS)でゲルを5分間洗浄し、この洗浄を3回繰り返した。40 mLの現像液(5%現像原液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、95%超純水(BMS))で現像を8分間行い、2 mLの停止液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)を添加して現像を停止した。最後にゲルを40 mLの超純水(BMS)で10分間洗浄し、スキャナ(GT-X900, EPSON)で画像(図24)をスキャンした。また、ImageJを用いてMC-GPP、ペプシン消化したMC-GPP、MC-GPPを消化した量と同量のペプシンのみ、精製した繊維性ミニコラーゲン(実施例7)、ペプシン消化した繊維性ミニコラーゲン(実施例7)及び繊維性ミニコラーゲン(実施例7)を消化した量と同量のペプシンのみ添加したレーンのバンドを解析した(図25参照)。
 その結果、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプIはペプシン消化によって切断されなかった。精製した繊維性ミニコラーゲンは50 kDa付近にバンドがみられるが、ペプシン消化によりコラーゲン領域以外が切断されて消失し、30 kDa付近にコラーゲン領域のバンドがみられた。MC-GPPでもコラーゲン領域以外のバンドが消失し、30 kDa付近にコラーゲン領域のバンドがみられた。以上より、MC-GPPはペプシンに対して切断耐性を有しており、三重螺旋構造が正しく折り畳まれていることが明らかとなり、SP-Dのシステインリッチ領域が存在すればコラーゲン部分が三重螺旋構造を形成することが示唆された。
 本発明により、哺乳動物細胞を宿主として高水準かつ天然型と同様の三重螺旋構造を持ち、さらに天然型よりも扱いやすいヒト・コラーゲン類似体、その生産を可能にする発現ベクターおよびヒト・コラーゲン類似体生産細胞を提供することができる。
 本発明の製造方法は、コラーゲンのみならず、三重螺旋構造を有するコレクチン等のタンパク質にも適用することが可能である。
 本発明のコラーゲン類似体は天然型コラーゲンよりも分子量が小さいため精製が容易であり取り扱いやすい。この三重螺旋構造を有する新規なコラーゲン類似体は、既知のコラーゲンとは異なった性質を持っていることが考えられ、新規の生体材料としての応用が期待される。

Claims (20)

  1. アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を含む、三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
    (i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
    (ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
    (iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
    (iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
    (v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
  2. 前記ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子であって、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  3. 前記ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子であって、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  4. 前記ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子であって、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  5. 前記ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子であって、配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  6. 前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  7. 前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  8. 前記α鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項6または7に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  9. 配列番号:1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質を含む、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  10. 前記ポリヌクレオチドが配列番号:3に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
  11. 以下の(a)から(c)の工程を含む、三重螺旋構造を有するタンパク質の製造方法。
    (a)アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドをベクターに導入する工程、
    (i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
    (ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
    (iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
    (iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
    (v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
    (b)該ベクターを用いた遺伝子導入により、宿主細胞を形質転換させる工程、および
    (c)該形質転換体を培養もしくは育種し、該細胞またはその培養上清から三重螺旋構造を有するタンパク質を回収する工程
  12. 前記ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子であって、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子であって、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  14. 前記ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子であって、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  15. 前記ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子であって、配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  16. 前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  17. 前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  18. 前記α鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記工程(a)において用いられるベクターが、配列番号:2に記載されたpNC1であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  20. 前記工程(a)において用いられるベクターが、配列番号:9に記載されたpDC6/CFであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
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