WO2010074081A1 - 三重螺旋構造を有するタンパク質、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を含む、三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
〔2〕前記ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子であって、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔3〕前記ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子であって、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔4〕前記ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子であって、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔5〕前記ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子であって、配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔6〕前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含むことを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔7〕前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔8〕前記α鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする〔6〕または〔7〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔9〕配列番号:1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質を含む、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔10〕前記ポリヌクレオチドが配列番号:3に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔1〕に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
〔11〕以下の(a)から(c)の工程を含む、三重螺旋構造を有するタンパク質の製造方法。
(a)アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドをベクターに導入する工程、
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
(b)該ベクターを用いた遺伝子導入により、宿主細胞を形質転換させる工程、および
(c)該形質転換体を培養もしくは育種し、該細胞またはその培養上清から三重螺旋構造を有するタンパク質を回収する工程
〔12〕前記ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子であって、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔13〕 前記ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子であって、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔14〕前記ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子であって、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔15〕前記ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子であって、配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔16〕前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含むことを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔17〕前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることを特徴とする、〔11〕に記載の方法。
〔18〕前記α鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする〔16〕または〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記工程(a)において用いられるベクターが、配列番号:2に記載されたpNC1であることを特徴とする〔11〕に記載の方法。
〔20〕前記工程(a)において用いられるベクターが、配列番号:9に記載されたpDC6/CFであることを特徴とする〔11〕に記載の方法。
本発明は、アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を含む、三重螺旋構造を有する組換えタンパク質に関する。
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
(a)アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドをベクターに導入する工程、
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
(b)該ベクターを用いた遺伝子導入により、宿主細胞を形質転換させる工程、および
(c)該形質転換体を培養もしくは育種し、該細胞またはその培養上清から三重螺旋構造を有するタンパク質を回収する工程。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
当業者に周知の方法を用いて配列番号:2に記載されたpNC1ベクターの塩基配列No1274を配列番号:3に記載されたミニコラーゲンをコードするcDNA(以下Mini-CollagenTypeIと記載する)に置換し、pNC1/Mini-CollagenTypeI(図1)を構築した。
10μgのpNC1/Mini-CollagenTypeIをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の5.0×105個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に1000 cells/well、100 cells/wellの濃度で5枚ずつ計10枚(960ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(G418耐性クローン)。生存細胞から任意に72株のG418耐性クローンを選択し、続いて培養上清中のミニコラーゲン産生量を測定した。
産生量の検定はELISAにて実施した。図1に示すようにミニコラーゲンはC末端部分にヒトMBLの糖鎖認識領域を含むため、ミニコラーゲンの検出にはヒトMBL抗体を用いた。コーティングバッファー(15 mM、Na2CO3、35 mM NaHCO3、0.05 % NaN3、pH 9.6)で希釈した1μg/mL抗ヒトMBL抗体(日本・旭川医大・大谷博士より譲渡)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)でブロッキングした後、トランスフェクション14日後の培養上清(1/10希釈)、精製したヒトMBL(旭川医大・大谷博士より譲渡)のCHO細胞用無血清培地IS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)による2倍希釈系列(20~0.3125 ng/mL)およびIS CHO w/ Hydrolysate培地(IS Japan)をそれぞれ100μLずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのビオチン化ヒトMBLモノクローナル抗体(旭川医大・大谷博士より譲渡)を100μL/wellずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。37℃で30分間インキュベートしたVECTASTAION Elite ABC kit STANDARD(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、37℃で45分間反応させた。さらに室温で30分間インキュベートしたPEROXIDASE SUBSTRATE KIT TMB(2 drops of Buffer, 3 drops of TMB, 2 drops of HYDROGEN PEROXIDE / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、室温で15分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて450 nmでの吸光度を測定し、精製したヒトMBLの検量線からミニコラーゲン濃度を算出した。ELISAによって得られた結果、ミニコラーゲン産生量の多い上位10サンプルを決定した。上位10サンプルをさらに継代し、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)ともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。各株に0.4mLを滅菌チューブに取り、200×g、2分間遠心した。上清を捨て、細胞を0.1mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5×105 cells/mLになるように培地で希釈後、0.2mLを新しい24ウェルプレートに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養し、9300×g、2分間の遠心後に上清を回収した。続いて培養上清中のミニコラーゲンの産生量を測定した。
当業者に周知の方法を用いて配列番号:9に記載されたpDC6/CFベクターの塩基配列No1059を配列番号:3に記載のミニコラーゲンをコードするcDNA(以下Mini-CollagenTypeIと記載する)に置換し、pDC6/CF_Mini-CollagenTypeI(図2)を構築した。
10μgのpNC1/Mini-CollagenTypeIをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の5.0×105個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4000 cells/well、1000 cells/wellの濃度で5枚ずつ計10枚(960ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(生存クローン)。生存細胞から任意に157株の生存クローンを選択し、続いて培養上清中のミニコラーゲン産生量を測定した。
産生量の検定はELISAにて実施した。図2に示すようにミニコラーゲンはC末端部分にヒトMBLの糖鎖認識領域を含むため、ミニコラーゲンの検出にはヒトMBL抗体を用いた。コーティングバッフアー(15 mM Na2CO3、35 mM NaHCO3、0.05 % NaN3、pH 9.6)で希釈した1μg/mL抗ヒトMBL抗体(日本・旭川医大・大谷博士より譲渡)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)でブロッキングした後、トランスフェクション14日後の培養上清(1/1000希釈)、精製したヒトMBL(旭川医大・大谷博士より譲渡)のCHO細胞用無血清培地IS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)による2倍希釈系列(20~0.3125 ng/mL)およびIS CHO w/ Hydrolysate培地(IS Japan)をそれぞれ100μLずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのビオチン化ヒトMBLモノクローナル抗体(旭川医大・大谷博士より譲渡)を100μL/wellずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。37℃で30分間インキュベートしたVECTASTAION Elite ABC kit STANDARD(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、37℃で45分間反応させた。さらに室温で30分間インキュベートしたPEROXIDASE SUBSTRATE KIT TMB(2 drops of Buffer, 3 drops of TMB, 2 drops of HYDROGEN PEROXIDE / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、室温で15分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて450 nmでの吸光度を測定し、精製したヒトMBLの検量線からミニコラーゲン濃度を算出した。ELISAによって得られた結果、ミニコラーゲン産生量の多い上位10サンプルを決定した。上位10サンプルをさらに継代し、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)ともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。各株に0.4mLを滅菌チューブに取り、200×g、2分間遠心した。上清を捨て、細胞を0.1mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5.0×105 cells/mLになるように培地で希釈後、0.2mLを新しい24ウェルプレートに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養し、9300×g、2分間の遠心後に上清を回収した。続いて培養上清中のミニコラーゲン産生量を測定した。
ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC1/Mini-collagen TypeI-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4mgのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×105 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。以下の行程は特に指定しない限り4℃で行った。培養液を集め、1,750×gで1時間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清に分離した。この上清(1.4L)に塩化ナトリウム(Wako)を0.4Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、クロスフローろ過(VIVAFLOW50、10,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって1/20容量に濃縮した。この際生じた沈殿物を1,750×gで1時間遠心分離(EX-126、TOMY)して回収した。上清は5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)に対して3日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行い、20mM塩化カルシウム(Wako)及び2M塩化ナトリウム(Wako)となるようにそれぞれ添加して沈澱を生じさせた。1,750×gで1時間遠心分離(EX-126、TOMY)を行い、沈殿物と上清に分離させた。この沈殿物を先の回収した沈殿物と合わせてMilliQ水(MILLIPORE)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Cellulose Ester(CE) Dialysis Membranes、25,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行い、凍結乾燥(Concentrator5301、eppendorf)して精製したタンパク質を得た。この精製したタンパク質1.47mgを1.47mLの50mM酢酸(wako)溶液に溶解させ、以下のアッセイに用いた。また、上清中に残存したミニコラーゲンをマンナンとの結合を利用してマンナンアガロースカラムを用いて精製した。まず、4.5mLのマンナンアガロースゲル(SIGMA)をエコノカラム(BIO-RAD)に充填し、45mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)と5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)でゲルの洗浄と平衡化を行い、上清を1.0mL/minの流速で循環させながら17.5時間負荷させた。上清を取り除いた後に10mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で洗浄を行い、20mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)でミニコラーゲンを溶出させた。この溶出液を0.4M塩化ナトリウム-0.1Mトリス塩酸緩衝液(4℃でpH7.4)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行った。その後、Amicon Ultra-15(10,000 MWCO、MILLIPORE)を用いて1,750×gで30分間限外ろ過して1/10容量に濃縮した。最終的に培養上清1.4Lから沈殿物として繊維性ミニコラーゲンを7.7mg、その後、残存した上清からマンナンとの結合活性を有する水溶性ミニコラーゲンを2.5mg回収した(図3参照)。
培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンについて、還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。
培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンについて、非還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。
培養上清から精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンについて、未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。
ミニコラーゲンは、MBLの糖鎖認識(CRD)領域をコードしていることから発現したミニコラーゲンにCRD領域が含まれている。そのため、抗MBL(CRD領域認識)抗体が結合可能である。これを利用して、ウサギ抗MBL(CRD領域)ポリクローナル抗体(旭川医科大学、大谷博士より譲渡)を用いて還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンを化学発光で検出して同定した。
ミニコラーゲンは、MBLの糖鎖認識(CRD)領域をコードしていることから発現したミニコラーゲンにCRD領域が含まれている。そのため、抗MBL(CRD領域認識)抗体が結合可能である。これを利用して、ウサギ抗MBL(CRD領域)ポリクローナル抗体(旭川医科大学、大谷博士より譲渡)を用いて非還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、精製したタンパク質及び水溶性ミニコラーゲンを化学発光で検出して同定した。
精製したタンパク質及び天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)を酸性条件下でペプシン消化し、ペプシンに対して切断耐性を有することをSDSポリアクリルアミド電気泳動像から確認した。
三重螺旋構造に正しく折り畳まれた安定なコラーゲンはトリプシンやキモトリプシンなどのタンパク質分解酵素に対して切断耐性を有する。本実施例では、コラーゲンのみが切断耐性となる条件で高濃度のトリプシン(Trypsin, TypeIX-S, From Porcine Pancreas, 13100 units/mg solid, protein、SIGMA-ALDRICH)及びキモトリプシン(α-Chymotrypsin, TypeI-S : From Bovine Pancreas, 58 units/mg protein、SIGMA)の酵素処理を利用して、精製したタンパク質の熱安定性試験を行った。
ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×105 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。以下の行程は特に指定しない限り4℃で行った。培養液を集め、1,750×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清に分離した。この上清(1.35 L)に塩化ナトリウム(Wako)を0.4 Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、4℃で保存した。この上清を10,000 ×gで30分間遠心(EX-126、TOMY)して沈殿物を除き、上清(1.35 L)を回収した。また、ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4 mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×105cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。培養液を集め、1,750 ×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清(1.87 L)に分離した。この上清(1.87 L)に上記上清(1.35 L)を混合し(3.22 L)、クロスフローろ過(VIVAFLOW200、30,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって320 mL容量にまで濃縮し、塩化ナトリウム(Wako)を最終濃度4 Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、4日間25℃でインキュベートした。この際生じた沈殿物を9,400 ×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して回収した。この沈殿物に1.5 mLの50 mM酢酸(Wako)溶液を加え、全量を50 mM酢酸(Wako)溶液に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Cellulose Ester(CE) Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行った。その後、透析したサンプル溶液を回収して9,400 ×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して沈殿物を回収した。この沈殿物に7.4 mLの50 mM酢酸溶液を加え、全量を50 mM酢酸溶液に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Cellulose Ester(CE) Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行い、ミニコラーゲン(以下MC-salt)を3.3 mg回収した(図12参照)。
ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×105 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。以下の行程は特に指定しない限り4℃で行った。培養液を集め、1,750×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清に分離した。この上清(1.35 L)に塩化ナトリウム(Wako)を0.4 Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、4℃で保存した。この上清を10,000 ×gで30分間遠心(EX-126、TOMY)して沈殿物を除き、上清(1.35 L)を回収した。また、ミニコラーゲン発現CHO細胞(pNC7/MC-21)をIS CHO-CD w/Hydrolysate(IS JAPAN)に、最終濃度で4 mM Gluta MAX(登録商標)-I(GIBCO)、0.4 mg/mLのG418 Sulfate Cell Culture Tested(CALBIOCHEM)及び1×HT supplement溶液(GIBCO)になるように添加した培地で、2.0×105 cells/mLに調整し、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下で14日間静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。培養液を集め、1,750 ×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清(1.87 L)に分離した。この上清(1.87 L)に上記上清(1.35 L)を混合し(3.22 L)、クロスフローろ過(VIVAFLOW200、30,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって320 mL容量にまで濃縮し、塩化ナトリウム(Wako)を最終濃度4 Mになるように添加して水酸化ナトリウム(Wako)を用いて4℃でpHを7.4に調整(F-51、HORIBA)し、4日間25℃でインキュベートした。この際生じた沈殿物を9,400 ×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して除いた。この上清(320 mL)に1 M塩化カルシウム溶液を20 mM になるように添加して4℃で18時間インキュベートし、9,400 ×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して沈殿物と上清に分けた。この上清(320 mL)をクロスフローろ過(VIVAFLOW200、30,000 MWCO PES、VIVASIENCE)によって56 mL容量にまで濃縮し、5 mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)に対して7日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行った。透析したサンプル溶液に1 M塩化カルシウム溶液を20 mM になるように添加して4℃で18時間インキュベートし、9,400×gで30分間遠心分離(EX-126、TOMY)して沈殿物と上清に分けた。この上清(86 mL)中に残存したミニコラーゲンをマンナンとの結合を利用してマンナンアガロースカラムを用いて精製した。まず、5 mLのマンナンアガロースゲル(SIGMA)をエコノカラム(BIO-RAD)に充填し、15 mLの5mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)と45 mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)でゲルの洗浄と平衡化を行い、上清を1.0 mL/minの流速で負荷させた後、40 mLの5mM 塩化カルシウム(Wako)を含むTBS(TBS powder、Takara)で洗浄を行い、15mLの5 mM EDTA(Dojindo)を含むTBS(TBS powder、Takara)でミニコラーゲンを溶出させて最初のピーク(9 mL)を回収した。この溶出液を0.4 M塩化ナトリウム、0.1 Mトリス塩酸緩衝液(4℃でpH 7.4)に対して5日間透析(Spectra/Pro(登録商標)Biotech Dialysis Membranes、10,000 MWCO、Spectrum Laboratories, Inc.)を行い、マンナンとの結合活性を有する水溶性ミニコラーゲン(以下MC-Man)を3.9 mg回収した(図13参照)。
それぞれ天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI、天然型ウシアテロコラーゲンタイプI及び精製したミニコラーゲン(MC_salt, MC-Man)をコートした96ウェルマイクロプレートに接着細胞であるヒト骨芽細胞(MG-63細胞, ATCC)を接着させ、細胞接着性を検討した。
即ち、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)、天然型ウシアテロコラーゲンタイプI(From Calf Skin, Cell culture tested, SIGMA)、MC-salt及びMC-Manを0.1 M酢酸(Wako)になるように0.1 mg/mLに希釈、調整した。このコラーゲン溶液と3% (w/v)熱変性BSA(Invitrogen)溶液及びPBS(Wako)を96ウェルプレート(F96 MAXISORP Nunc-Immuno plate, Nunc)に100μL/wellずつ添加し、室温で13時間コートした(n=3)。コートしたウェルをPBS(Wako)で3回洗浄し、1% (w/v)熱変性BSA(Invitrogen)溶液を300 μL/wellずつ添加し、37℃で1時間ブロッキングした。ブロッキング後、ウェルをPBS(Wako)で1回洗浄し、2.5×105 cells/mLにRPMI-1640培地(Invitrogen)で調整したヒト骨芽細胞(MG-63細胞, ATCC)溶液を100μL/wellずつ播種してヒト骨芽細胞(MG-63細胞, ATCC)の接着を37℃で1時間行った。1% (w/v)熱変性BSA(Invitrogen)溶液で1回洗浄して接着しなかったヒト骨芽細胞(MG-63 cell line, ATCC)を除いた後、RPMI-1640培地(Invitrogen)を100 μL/wellずつ添加し、20 μLのCellTiter 96(登録商標) Aqueous One Solution Reagent(MTS, Promega)を添加した。37℃で3時間インキュベートし、マイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて波長655nmを対照として波長490nmの吸光度を測定した(図14参照)。また、ヒト骨芽細胞(MG-63細胞, ATCC)を37℃で1時間接着させ、接着しなかった細胞を洗い除いたときの細胞(図15参照)と、その後37℃で3時間インキュベートしたときの細胞(図16参照)を位相差顕微鏡で観測した。画像観測は、倒立顕微鏡(Nikon ECLIPSE TE2000-S, Nikon社製)に高精細カラーカメラヘッド(DS-Fi1,Nikon社製)とコントロールユニット(DS-L2,Nikon社製)を装備させた状態で行った。
本発明者らはミニコラーゲンの三重螺旋構造に必要な領域を特定するために、ミニコラーゲンのC末端領域からGPP領域までを欠損させたタンパク質(以下MC-GPPと略す)を構築した。 ミニコラーゲン(Mini-Collagen TypeI)及びMC-GPPの各領域を図17に示した。
当業者に周知の方法を用いて配列番号:14に記載されたpDC6ベクターの塩基配列No1267-No1275を配列番号:15に記載されたMC-GPPをコードするcDNA置換し、pDC6/MC-GPP(図18)を構築した。
2.5μgのpDC6/MC-GPPをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の4,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO CD w/H培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4,000 cells/wellの濃度で5枚(480ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。生存が見られた株の目的タンパク質発現を確認するため、還元条件下でのウエスタンブロッティングを行った。即ち、増殖が見られた株の培養上清10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL混合して98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD.)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS, BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)に20μL添加し、40 mA(MyRun、COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、ゲルをガラス板から外して10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ10 mLのメタノール(Wako)で15秒、10 mLの超純水(ELGA)で2分間、10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、ゲル及びろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80 mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で90分間電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を10 mLのImmunoBlock(大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で1,000倍希釈した10 mLの6-His Monoclonal Antibody(COVANCE)と膜上のタンパク質を室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5,000倍希釈したGoat anti-Mouse IgG(H+L)HRP(Jackson ImmunoResearch)を10 mL添加して室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に24 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で10分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。2 mLのImmobilon Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で10秒から1分間写真を撮影した。MC-GPPの発現が検出された細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。上記と同様に還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、MC-GPPの発現が検出されたウェル中の細胞を4 mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られ、還元条件下でのウエスタンブロッティングでMC-GPPの発現が検出された株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともにT-75 Flask(BD)に移し、細胞が各ウェルの1.0×106 cells/mL以上を占めるまで培養した。
MC-GPP発現CHO細胞(pDC6/MC-GPP-3)をIS CHO-CD w/Hydrolysate培地(IS JAPAN)で、T-75 flask(FALCON)で37℃、5%二酸化炭素存在下静置培養(HERA cell 150、Heraeus)を行った。培養液を集め、1,750×gで10分間遠心(EX-126、TOMY)して細胞と上清に分離し、この上清をNiカラムに負荷してMC-GPPの精製を行った。即ち、1 mLのNi-NTA agarose gel(Invitrogen)をPoly empty column(BIO-RAD)に充填し、6 mLの超純水(BMS)でゲルを洗浄した。続いて6 mLのNative binding buffer(0.25 Mリン酸二水素ナトリウム(Wako)、2.5 M塩化ナトリウム(Wako)、0.01 Mイミダゾール(Wako), pH 8.0)で3回ゲルを洗浄し、8 mLの培養上清をカラムに負荷した。カラムのキャップを閉め、4℃で60分間混和(愛くる, IWAKI)させながら結合させた。6 mLのNative wash buffer(0.25 Mリン酸二水素ナトリウム(Wako)、2.5 M塩化ナトリウム(Wako)、0.02 Mイミダゾール(Wako), pH 8.0)で9回ゲルを洗浄し、Native elution buffer(0.23 Mリン酸二水素ナトリウム(Wako)、2.3 M塩化ナトリウム(Wako)、0.25 Mイミダゾール(Wako), pH 8.0)で1 mLずつ6回溶出を行った。最初に溶出させた2 mLの溶出液を0.02 M酢酸溶液に対して4℃で3日間透析を行った後、MC-GPP溶液を回収した。
精製したMC-GPPを還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、5%の2-メルカプトエタノール(Wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、2D-銀染色試薬・II(COSMO BIO CO., LTD.)で銀染色を行った。まず、ゲルを40 mLの固定液-I(50%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、40%水(BMS))で振とうしながら20分間固定した。次に40 mLの固定液-II(30%メタノール(Wako)-10%酢酸(Wako)、5%固定化剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、55%超純水(BMS))で振とうしながら30分間固定化した後、40 mLの前処理液(50%メタノール(Wako)、5%前処理剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、45%超純水(BMS))で振とうしながら20分間前処理を行った。40 mLの超純水(BMS)でゲルを10分間洗浄し、40 mLの銀染色液(5%染色液A(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、5%染色液B(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、90%超純水(BMS))で30分間染色した後、40 mLの超純水(BMS)でゲルを5分間洗浄し、この洗浄を3回繰り返した。40 mLの現像液(5%現像原液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、95%超純水(BMS))で現像を8分間行い、2 mLの停止液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)を添加して現像を停止した。最後にゲルを40 mLの超純水(BMS)で10分間洗浄し、スキャナ(GT-X900, EPSON)で画像(図19参照)をスキャンした。
精製したMC-GPPを非還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、Laemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)処理した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、2D-銀染色試薬・II(COSMO BIO CO., LTD.)で銀染色を行った。まず、ゲルを40 mLの固定液-I(50%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、40%水(BMS))で振とうしながら20分間固定した。次に40 mLの固定液-II(30%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、5%固定化剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、55%超純水(BMS))で振とうしながら30分間固定化した後、40 mLの前処理液(50%メタノール(Wako)、5%前処理剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、45%超純水(BMS))で振とうしながら20分間前処理を行った。40 mLの超純水(BMS)でゲルを10分間洗浄し、40 mLの銀染色液(5%染色液A(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、5%染色液B(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、90%超純水(BMS))で30分間染色した後、40 mLの超純水(BMS)でゲルを5分間洗浄し、この洗浄を3回繰り返した。40 mLの現像液(5%現像原液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、95%超純水(BMS))で現像を8分間行い、2 mLの停止液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)を添加して現像を停止した。最後にゲルを40 mLの超純水(BMS)で10分間洗浄し、スキャナ(GT-X900, EPSON)で画像(図20参照)をスキャンした。
精製したMC-GPPを未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析を行った。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、Native Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL添加した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)をセットし、調製したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、2D-銀染色試薬・II(COSMO BIO CO., LTD.)で銀染色を行った。まず、ゲルを40 mLの固定液-I(50%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、40%水(BMS))で振とうしながら20分間固定した。次に40 mLの固定液-II(30%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、5%固定化剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、55%超純水(BMS))で振とうしながら30分間固定化した後、40 mLの前処理液(50%メタノール(Wako)、5%前処理剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、45%超純水(BMS))で振とうしながら20分間前処理を行った。40 mLの超純水(BMS)でゲルを10分間洗浄し、40 mLの銀染色液(5%染色液A(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、5%染色液B(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、90%超純水(BMS))で30分間染色した後、40 mLの超純水(BMS)でゲルを5分間洗浄し、この洗浄を3回繰り返した。40 mLの現像液(5%現像原液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、95%超純水(BMS))で現像を8分間行い、2 mLの停止液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)を添加して現像を停止した。最後にゲルを40 mLの超純水(BMS)で10分間洗浄し、スキャナ(GT-X900, EPSON)で画像(図21参照)をスキャンした。
MC-GPPは、C末端側にHis-tagが付いているため、抗His抗体が結合可能である。これを利用して、還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、精製したMC-GPPを化学発光で検出して同定した。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、5%の2-メルカプトエタノール(Wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、ゲルをガラス板から外して10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ10 mLのメタノール(Wako)で15秒、10 mLの超純水(ELGA)で2分間、10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、ゲル及びろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80 mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で90分間電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を10 mLのImmunoBlock(大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で1,000倍希釈した10 mLの6-His Monoclonal Antibody(COVANCE)と膜上のタンパク質を室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5,000倍希釈したGoat anti-Mouse IgG(H+L)HRP(Jackson ImmunoResearch)を10 mL添加して室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に24 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で10分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。2 mLのImmobilon Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で30秒間写真(図22参照)を撮影した。
MC-GPPは、C末端側にHis-tagが付いているため、抗His抗体が結合可能である。これを利用して、非還元条件下でのウエスタンブロッティングを行い、精製したMC-GPPを化学発光で検出して同定した。即ち、10μLの精製したMC-GPPに、Laemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を10μL加えて、98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)処理した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 5-20% 17 well(Wako)に15μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、ゲルをガラス板から外して10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ10 mLのメタノール(Wako)で15秒、10 mLの超純水(ELGA)で2分間、10 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら浸した。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、ゲル及びろ紙(Extra Thick Blot Paper Protean(登録商標) XL Size, BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80 mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で90分間電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を10 mLのImmunoBlock(大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で1,000倍希釈した10 mLの6-His Monoclonal Antibody(COVANCE)と膜上のタンパク質を室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に10 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で5,000倍希釈したGoat anti-Mouse IgG(H+L)HRP(Jackson ImmunoResearch)を10 mL添加して室温で振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に24 mLの0.05% Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate, Wako)を含むPBS(Wako)で10分間振とう(Wave-S1, TAITEC)させながら3回洗浄した。2 mLのImmobilon Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で30秒間写真(図23参照)を撮影した。
三重螺旋構造を形成するコラーゲンは、ペプシンに対して切断耐性を有する。そこで、精製したMC-GPP、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)及び精製した繊維性ミニコラーゲン(実施例7)を酸性条件下でペプシン消化し、ペプシンに対して切断耐性であるかSDSポリアクリルアミド電気泳動像から確認した。即ち、精製したMC-GPP(0.028 mg/mL)、天然型ヒトアテロコラーゲンタイプI(Collagen, TypeI, Acid Soluble, From Human Skin、SIGMA-ALDRICH)(0.1 mg/mL)又は繊維性ミニコラーゲン(実施例7)(0.1 mg/mL)それぞれ10μLに0.3 M塩酸溶液を3μL添加してpHを2に調整し、ペプシン(Pepsin, From Porcine Stomach Mucosa, 3370 units/mg protein、SIGMA-ALDRICH)溶液を3 μL(モル換算でそれぞれのタンパク質の3倍のペプシン量)添加して20℃(2720 Thermal cycler, Applied Biosystems)で2時間ペプシン消化を行った。この際、コントロールとして各サンプルにペプシンを添加しないもの、ペプシン(Pepsin, From Porcine Stomach Mucosa, 3370 units/mg protein、SIGMA-ALDRICH)のみ(各サンプルを消化した量と同量)のもの及び各サンプルとペプシンを添加しなかったものをそれぞれ用意し、10 mM酢酸溶液をそれぞれペプシン溶液やサンプルの代わりに添加して20℃で2時間インキュベートした。1 Mトリス(2-Amino-2-hydroxymethyl-1,3- propanediol(Tris aminometane)、Wako)溶液を1μL添加して反応を停止させ、4℃で18時間インキュベートすることによって不可逆的にコラーゲンの再繊維化を行った。17μLの5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)を加えて98℃で5分間加熱(DTU-18, TAITEC)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液をSuper Sep(登録商標) Ace 10-20% 17 well(Wako)に18μL添加し、40 mA(MyRun, COSMO BIO CO., LTD.)で55分間電気泳動を行った。その後、2D-銀染色試薬・II(COSMO BIO CO., LTD.)で銀染色を行った。まず、ゲルを40 mLの固定液-I(50%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、40%水(BMS))で振とうしながら20分間固定した。次に40 mLの固定液-II(30%メタノール(Wako)、10%酢酸(Wako)、5%固定化剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、55%超純水(BMS))で振とうしながら30分間固定化した後、40 mLの前処理液(50%メタノール(Wako)、5%前処理剤(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、45%超純水(BMS))で振とうしながら20分間前処理を行った。40 mLの超純水(BMS)でゲルを10分間洗浄し、40 mLの銀染色液(5%染色液A(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、5%染色液B(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、90%超純水(BMS))で30分間染色した後、40 mLの超純水(BMS)でゲルを5分間洗浄し、この洗浄を3回繰り返した。40 mLの現像液(5%現像原液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)、95%超純水(BMS))で現像を8分間行い、2 mLの停止液(2D-銀染色試薬・II, COSMO BIO CO., LTD.)を添加して現像を停止した。最後にゲルを40 mLの超純水(BMS)で10分間洗浄し、スキャナ(GT-X900, EPSON)で画像(図24)をスキャンした。また、ImageJを用いてMC-GPP、ペプシン消化したMC-GPP、MC-GPPを消化した量と同量のペプシンのみ、精製した繊維性ミニコラーゲン(実施例7)、ペプシン消化した繊維性ミニコラーゲン(実施例7)及び繊維性ミニコラーゲン(実施例7)を消化した量と同量のペプシンのみ添加したレーンのバンドを解析した(図25参照)。
本発明の製造方法は、コラーゲンのみならず、三重螺旋構造を有するコレクチン等のタンパク質にも適用することが可能である。
本発明のコラーゲン類似体は天然型コラーゲンよりも分子量が小さいため精製が容易であり取り扱いやすい。この三重螺旋構造を有する新規なコラーゲン類似体は、既知のコラーゲンとは異なった性質を持っていることが考えられ、新規の生体材料としての応用が期待される。
Claims (20)
- アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を含む、三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子 - 前記ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子であって、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 前記ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子であって、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 前記ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子であって、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 前記ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子であって、配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 前記α鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項6または7に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 配列番号:1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質を含む、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 前記ポリヌクレオチドが配列番号:3に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1に記載の三重螺旋構造を有する組換えタンパク質。
- 以下の(a)から(c)の工程を含む、三重螺旋構造を有するタンパク質の製造方法。
(a)アミノ末端から順に下記(i)~(v)を含むポリヌクレオチドをベクターに導入する工程、
(i)ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子、
(ii)ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子、
(iii)ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子、
(iv)ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子、および
(v)ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子
(b)該ベクターを用いた遺伝子導入により、宿主細胞を形質転換させる工程、および
(c)該形質転換体を培養もしくは育種し、該細胞またはその培養上清から三重螺旋構造を有するタンパク質を回収する工程 - 前記ヒト・コレクチンのシグナルペプチド領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシグナルペプチド領域遺伝子であって、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 前記ヒト・コレクチンのシステインリッチ領域遺伝子が、ヒト・サーファクタントプロテインD(SP-D)のシステインリッチ領域遺伝子であって、配列番号:5に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 前記ヒト・コレクチンのネック領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)のネック領域遺伝子であって、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 前記ヒト・コレクチンの糖鎖認識領域遺伝子が、ヒト・MBL(マンナン結合レクチン)の糖鎖認識領域遺伝子であって、配列番号:7に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、少なくとも1種類以上のα鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 前記ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、α鎖ヒト・コラーゲンからなるヒト・I型コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 前記α鎖ヒト・コラーゲンのコラーゲン領域遺伝子が、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
- 前記工程(a)において用いられるベクターが、配列番号:2に記載されたpNC1であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
- 前記工程(a)において用いられるベクターが、配列番号:9に記載されたpDC6/CFであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
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