WO2009147944A1 - 液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置及び液体噴射ヘッドの液体充填方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、従来の技術では、余剰インクをインク吸収体に吸収させるだけであるので、回収することができる余剰インクの量に限界があるという問題があった。
(1)液体噴射ヘッドのスペースファクタを向上させ、液体噴射記録装置の設計の自由度を向上させる。
(2)余剰液体の回収能力を向上させて、余剰液体による汚染を防止すると共に液体充填後の液体噴射を安定させる。
(3)簡素な構成で液体噴射記録装置の初期充填を実現する。
液体噴射ヘッドに係る解決手段として、複数のノズル孔からなるノズル列を有するノズル体と、前記各ノズル孔と対となって該ノズル孔に連通する複数の圧力発生室と、該圧力発生室に第一液体を供給する液体供給系と、前記圧力発生室に隣接配置されたアクチュエータとを備え、前記アクチュエータを駆動して該圧力発生室を加圧し、該圧力発生室内の前記第一液体を前記ノズル孔のノズル噴射口から噴射させる液体噴射ヘッドにおいて、前記ノズル列を覆うように形成されたノズルガードを備え、前記ノズルガードは、前記ノズル体の表面から離間配置され前記ノズル列と対向するスリットが形成された天板部と、前記天板部の周縁部と前記ノズル体との間を密閉する密閉部と、前記ノズル列の下方に吸引口が開口し前記ノズルガードの内側空間と連通する吸引流路とを備え、前記吸引流路に接続される吸引部によって前記ノズルガードの内側空間を負圧室とし、前記ノズル孔から前記負圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引する、という手段を採用する。
また、吸引流路により液体を連続して排出することができるので、余剰液体の回収能力が極めて高く、多量の余剰液体が流出した場合であっても余剰液体による汚染を防止することができると共に、液体充填後の液体噴射を安定させることができる。
また、ノズル面をワイパーによって清掃する必要が無い上に、ワイパー等の清掃装置が具備されているサービスステーションを設けることなく、ノズルガードと、吸引流路と、吸引部とで余剰液体を回収することができるので、簡素な構成で液体噴射記録装置の初期充填を実現することが可能となる。
この発明によれば、スリットから流入した空気が内側空間を経由してから吸引口に達するので、内側空間を速やかに減圧することができ、負圧室の負圧状態を良好に継続させることができる。これにより、余剰液体の回収を速やかに行うことができると共に多量の余剰液体の回収を安定的に行うことができる。
この発明によれば、最下部において余剰液体が吸引されるので、下方に流れて最下部近傍に到達した余剰液体を効率よく吸引することができる。
この発明によれば、余剰液体がスリットから外部に漏出しようとしても、スリット下端部において表面張力により維持された液体の表面が破壊され難く、負圧室に余剰液体が留まり易くなるので、余剰液体の漏出による汚染を防止することができると共に余剰液体の回収能力を向上させることができる。
この発明によれば、負圧室下部に達した余剰液体が幅方向において吸引口に向かって流れて吸引口近傍に達するので、吸引口に吸引され易くなる。これにより、余剰液体を効率よく吸引することが可能となり、余剰液体の回収能力が向上する。
この発明によれば、ノズル体の表面に垂直な方向におけるノズル体と傾斜部との距離が、吸引口に向かうほど近くなっているので、傾斜部を下方に向けて流れる余剰液体が吸引口近傍に達する。これにより、余剰液体を効率よく吸引することが可能となり、余剰液体の回収能力が向上する。
この発明によれば、余剰液体がスリットから外部に漏出しようとしても、撥水膜にはじかれて負圧室に留まり易くなるので、余剰液体の回収能力が向上すると共に余剰液体の漏出による汚染が防止される。
この発明によれば、余剰液体が負圧室を流れ易くなってスリットから外部に漏出し難くなると共に、撥水膜にはじかれた余剰液体を負圧室に導くので、余剰液体がスリットから流れ出ずに負圧室に留まり易くなる。
この発明によれば、窪み部の底面にスリットが形成されるので、ノズルガードが被記録媒体等と接触した場合であっても、スリット近傍の撥水膜と接触させる確率を低減させて撥水膜が剥離することを防止することができる。
この発明によれば、環状突出壁が内表面を伝う余剰液体がスリットに向かうことを阻止するので、スリットから余剰液体が漏出することを防止することができる。特に、液体噴射ヘッドのノズル噴射口を下方に向けて被記録媒体に液体を噴射する場合において、負圧室を復圧させた後の内側空間に余剰液体が残存していたとしても、スリットから余剰液体が漏出することを効果的に防止することができる。
この発明によれば、液体供給系に第一液体が供給されるので、例えば、第一液体をインクとして、液体噴射ヘッドにインクを供給することができる。
この発明によれば、液体供給系に二種類の液体が供給されるので、例えば、液体供給系にインクと洗浄液とを供給して、液体噴射ヘッドの清掃に対する労力を低減させると共に、効率よく清掃をすることができる。これにより、余剰液体の回収能力を回復させることができる。
この発明によれば、負圧室内に溢れ出た第一液体を再利用することができる。
この発明によれば、適切な状態の液体を再利用することができる。
この発明によれば、内側空間が大気圧と同圧の状態で液体を圧力発生室に加圧充填した場合に比べて、スリットから空気が連続的に流入するので、余剰液体がスリットから漏出し難く、また、吸引口が連続的に余剰液体を排出するので、余剰液体が内側空間(負圧室)に溜まってスリットから溢れ出ることもない。これにより、余剰液体による汚染を防止しつつ液体の充填が可能となり、液体充填後の液体噴射を安定させることができる。
この発明によれば、負圧室とした状態で、加圧充填を終了し、負圧室に液体が流れ出なくなるので、内側空間を復圧させた後に圧力発生室に加圧充填を終了した場合に比べて、余剰液体がスリットから漏出し難く、また、スリットから溢れ出ることもない。これにより、余剰液体による汚染を防止しつつ液体の充填が可能となり、液体充填後の液体噴射を安定させることができる。
この構成によれば、吸引部を第1出力により動作することで、噴射体ガードの内側空間が大気圧よりも十分に負圧となった負圧室となる。この場合、液体の初期充填時や通常使用時に液体供給部から供給されて噴射孔列から漏出した余剰液体は、スリットでのみ外部と連通する負圧室に流出するとともに、負圧室外部の気体がスリットを介して負圧室に流入する。これにより、余剰液体がスリットから外部に漏出し難い状態で負圧室を移動し、吸引口から吸引流路内に吸引されて外部へと排出されるので、噴射孔列から流れ出た液体を回収することができる。
そのため、スリットからの余剰液体の漏出を防いだ上で、液体の初期充填が可能となる。
この構成によれば、通常作動モードにおいて、液体充填モードよりも小さい第2出力によって吸引部を作動させておくことで、印刷時等に噴射孔から漏れ出た余剰液体や、液体充填後に噴射体ガードの内側空間に残存した余剰液体が存在した場合であっても、それら余剰液体を吸引することでスリットから余剰液体の漏出を防ぐことができる。したがって、サービスステーションを設けることなく、噴射孔の開口方向を重力方向に向けた状態で、液体の初期充填から印刷までを行うことができる。
また、吸引流路により液体を連続して排出することができるので、余剰液体の回収能力が極めて高く、多量の余剰液体が流出した場合であっても余剰液体による汚染を防止することができると共に、液体充填後の液体噴射を安定させることができる。
また、ノズル面をワイパーによって清掃する必要が無い上に、サービスステーションを設けることなく、ノズルガードと、吸引流路と、吸引部とで余剰液体を回収することができるので、簡素な構成で液体噴射記録装置の初期充填を実現することが可能となる。
(液体噴射記録装置)
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置(液体噴射記録装置)1を示す斜視図であり、図2は、インクジェット記録装置1の概略構成図である。このインクジェット記録装置1は、所定のパーソナルコンピュータに接続されて、このパーソナルコンピュータから送られた印刷データに基づいて、インク(液体)Iを吐出(噴射)して箱体Dに印刷を施すものである。インクジェット記録装置1は、箱体Dを一方向に搬送するベルトコンベア2と、複数のインクジェットヘッド10を備えるインク吐出部3と、図2に示すように、インクジェットヘッド10にインク(第一液体)I及びクリーニング用洗浄液(第二液体)Wを供給するインク供給部5とを備えている。
図3は、インクジェットヘッド10の正面図であり、図4は、右側面から見たインクジェットヘッド10の概略構成図であり、図5は、図4のI-I線断面図である。
インクジェットヘッド10は、図4に示すように、ケース11と、液体供給系12と、ヘッドチップ20と、駆動回路基板14と(図5参照)、吸引流路15とを備えている。
ダンパー17は、図5に示すように、インクIの圧力変動を調整するためのものであり、インクIを貯留する貯留室17aを備えている。このダンパー17は、ベースプレート11fに固定されており、インク注入孔11dと管部材17dとを介して接続されるインク取込孔17bと、インク流路基板18と管部材17eを介して接続されるインク流出孔17cとを備えている。
インク流路基板18は、図4に示すように、縦長に形成された部材であって、図5に示すように、その内部にダンパー17と連通してインクIが流通する流通路18aが形成された部材であり、ヘッドチップ20に取り付けられている。
各長溝26は、円盤状のダイスカッターにより形成されている。
なお、このインク室プレート22は、セラミックプレート、金属プレートなどで形成することができるが、セラミック圧電プレート21との接合後の変形を考えて、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用いている。
インク室プレート22には、図5に示すように、開放孔22cを覆うようにしてインク流路基板18が装着され、インク流路基板18の流通路18aと各長溝26とが連通している。
ノズルプレート31は、図6に示すように、ポリイミドからなる薄板状、かつ、細長状の部材であり、厚さ方向に貫通する複数のノズル孔31aが列設してノズル列31cを構成している。より具体的には、長溝26と同数のノズル孔31aが、ノズルプレート31の短手方向中間の位置において同一線上に、かつ、長溝26と同一の間隔で形成されている。
ノズルプレート31の二つの板面のうち、インクIを吐出するノズル吐出口(ノズル噴出口)31bが開口する板面には、インクの付着等を防止するための撥水性を有する撥水膜が塗布されており、他方の板面は上記突合わせ面25a及びノズルキャップ32との接合面とされている。
なお、ノズル孔31aは、エキシマレーザ装置を用いて形成されている。
外枠面32eと同方向に延在する内枠面32fには、長孔32cを塞ぐようにノズルプレート31が貼付されており、外枠面32e及び外枠面32eの直交方向に延在する中側面32iには、ノズルガード24が当接している。
この状態においては、長孔32cにセラミック圧電プレート21及びインク室プレート22の一部が挿入されて、ノズルプレート31に突合わせ面25aが突き合わされている。またノズルプレート31は、内枠面32fに接着剤によって接着されているとともに、内枠面32fの面積と比較すると、ノズルプレート31の面積が大きく形成されており、ノズルプレート31が内枠面32fから多少はみ出て設置されている。
ノズルガード24は、ステンレス鋼からなる略箱型形状の部材でありプレス成形で形成されたものある。このノズルガード24は、矩形板状に形成された天板部24aと、この天板部24aの周縁部から板面方向と略直交する方向に延出した密閉部24bとを備えている。
スリット24cの幅寸法は、ノズル孔31aのノズル径40μmに対して幅寸法が略1.5mmに設定されている。このスリット24cの幅寸法は、吸引ポンプ16で負圧とすることができる幅寸法を上限とし、インクIの初期充填の際にインクIがスリット24cから溢れ出て垂れない幅寸法を下限とした範囲で設定するのが望ましい。
また、上端部24i、下端部24jは、上述した幅寸法よりもやや大きい直径で円形に形成されている。
吸引ポンプ16は、インク吸引孔11eにチューブを介して接続されている。この吸引ポンプ16は、作動時に、空間S内の空気及びインクIを吸引して、空間Sを負圧室Rとする。なお、この吸引ポンプ16は、廃液タンクE(図2参照)に吸引したインクIを貯留する。
インクタンク51は、供給管57a、切替バルブ53及び供給管57cを介して、洗浄液タンク52は、供給管57b、切替バルブ53及び供給管57cを介してそれぞれ加圧ポンプ54に連通している。すなわち、切替バルブ53は、流入管として供給管57a,57bが、流出管として供給管57cが接続されている。
図8は、吸引ポンプ16と加圧ポンプ54との動作タイミング及び空間S(負圧室R)との関係を示した図であり、図9は初期充填時の動作を示したヘッドチップ20の要部拡大断面図である。
まず、図4及び図8に示すように、吸引ポンプ16を作動させ(ON1)、この吸引ポンプ16が吸引流路15を介して吸引口15aから空間Sの空気を吸引する(図8における時間T0)。この際、作動する吸引ポンプ16の出力は、空間S内を十分に負圧とすることができる程度に設定することが好ましく、このときの出力を吸引ポンプ16の充填出力とする。吸引ポンプ16を充填出力(第1出力)で作動させると、外部の空気がスリット24cから空間Sに流入するが、この空気が空間Sを経由してから吸引口15aに達した後に吸引されることで空間Sを減圧する(液体充填モード)。そして、所定時間T1経過後に、空間Sが大気圧よりも十分に負圧となった負圧室Rとなる。
このようにして、ノズル孔31aから流出する余剰インクYを連続して廃液タンクEに排出する。
続いて、箱体Dに印刷を施す場合の動作について説明する。最初にインク供給部5の設定について説明する。すなわち、図2に示すように、切替バルブ53により供給管57aと供給管57cとを連通させた状態とし、開閉バルブ55を開放させて供給管57eと供給管57fとを連通させる。この状態において加圧ポンプ54を非作動として、加圧ポンプ54を介して供給管57cと供給管57dとを連通させないようになっている。この状態においては、インクIが供給管57a,57c,57e,57f,57dを介して、インクジェットヘッド10のインク注入孔11dに注入されるようになっている。
具体的には、外部のパーソナルコンピュータから入力された印刷データに基づいて、駆動回路基板14がこの印刷データに対応した所定の板状電極28に選択的に電圧を印加する。これにより、この板状電極28に対応した長溝26の容積が縮小し、長溝26内に充填されたインクIがノズル吐出口31bから箱体Dに向かって吐出される。
インクIを吐出すると長溝26が負圧になるため、上述した供給管57a,57c,57e,57f,57dを介して、インクIが長溝26に充填される。
このような場合、ノズル孔31aの吐出口31bの開口方向が重力方向を向いているため、インクIの充填時にノズル孔31aから漏出した余剰インクYを吸引しきれず、ノズルガード24の天板部24aと周壁部24bとの境界部分等に残存している場合がある。また、インクIの充填後、例えば印刷時になってノズル孔31aから余剰インクYが漏れ出る虞もある。
なお、通常使用モードとして記載した図8におけるON2の動作は、必ずしも前述の液体充填モードとして記載した図8におけるON1の動作とともに実施する必要は無く、周囲の動作環境やインクIの種類によって、適宜実施すればよい。
続いて、インクジェットヘッド10のクリーニング時の動作について説明する。最初にインク供給部5の設定について説明する。すなわち、図2に示すように、切替バルブ53により供給管57bと供給管57cとを連通させて、開閉バルブ55を閉塞させて供給管57eと供給管57fとを閉塞させる。この状態において加圧ポンプ54を作動させる。加圧ポンプ54は、洗浄液タンク52から供給管57b,57c,57dを介してインクジェットヘッド10のインク注入孔11dに洗浄液Wを注入する。
上記初期充填時と同様に、長溝26等を介して洗浄液Wをノズル孔31aから流出させ、吸引口15aからこの流れ出た洗浄液Wを吸引する。
なお、インクジェット記録装置1を長期間使用しないと、長溝26に充填されたインクIが乾燥硬化することになる。この場合、クリーニング時と同様にインクジェットヘッド10内を洗浄液Wで満たせば、インクジェット記録装置1を長期間にわたり保存することができる。
また、吸引流路により多量の余剰インクYを連続して排出することができるので、余剰インクYの回収能力が向上し、余剰インクYによる汚染を防止すると共にインクI充填後のインクIの吐出を安定させることができる。
また、サービスステーションを設けることなく、簡素な構成でインクジェット記録装置1の初期充填を実現することが可能となる。
また、内表面24eに親水膜24gが形成されているので、インクIが負圧室Rを流れ易くなると共に、撥水膜24hにはじかれた余剰インクYを負圧室Rに導き、余剰インクYが負圧室Rに留まり易くなるので、スリット24cから余剰インクYが流れ出ることを高い確率で防止することができる。
一方、本実施形態のように、スリット24cの端部が円形状である場合は、表面張力により維持された液体(インクI)の表面が破壊されず、下端部24jにおいて漏れ出ることなく負圧室Rに留まり易い。さらに、上記と同様に、外表面24fに撥水膜24hが形成されているので、漏れ出ようとするインクIを負圧室Rに留めることができる。
このような構成を採用すると、上述したように、余剰インクYがスリット24cから外部に漏出しようとしても、スリット24cの下端部24jにおいて、負圧室RにインクIが留まり易くなるので、余剰インクYの漏出による汚染を防止することができると共に余剰インクYの回収能力を向上することができる。
本構成では、空間Sが大気圧より十分に負圧となった負圧室Rとなり、負圧室Rに流れ出たインクIがスリット24cに向けて流れ難くなった状態でインクIの加圧充填が開始される。このため、ノズルガード24及び空間Sが形成されていない場合など、空間Sが大気圧と同圧の状態でインクIを長溝26に加圧充填した場合に比べて、スリット24cから空気が連続的に流入するので、余剰インクYがスリット24cから漏出し難い。また、吸引口15aが連続的に余剰インクYを排出するので、余剰インクYが空間S(負圧室R)に溜まってスリット24cから溢れ出ることもない。
また、負圧室Rとした状態で、加圧充填を終了し、負圧室Rに液体が流れ出なくなるので、空間Sを復圧させた後に長溝26に加圧充填を終了した場合に比べて、余剰インクYがスリット24cから漏出し難く、また、スリット24cから溢れ出ることもない。これにより、余剰インクYによる汚染を防止しつつインクIの充填が可能となり、充填後のインクIの吐出を安定させることができる。
以下、図面を用いて、インクジェットヘッド10の具体的な変形例を説明する。なお、インクジェットヘッド10と同様の構成のものについては、同一の符号を付し、説明を省略する。
傾斜部61は、それぞれ断面が直角三角形状の三角柱部材からなり、互いに直角を形成する二つの矩形側面を密閉部24bに当接させると共に、この二つの矩形側面によって構成される直角部を密閉部24bが形成する二つの角部のうち一方に当接させて設けられ、直角部と対向する矩形側面が吸引口15aへ収束する斜面を構成するように配置されている。このような構成により、負圧室Rの下部の幅寸法(ノズルプレート31の表面に平行でノズル列31cに垂直な方向における幅寸法)が吸引口15aに向けて漸次小となっている。
このような構成によれば、負圧室Rの下部に達した余剰インクYが、幅方向において吸引口15aに向かって流れていくので、余剰インクYを吸引口15aから吸引し易いものとすることができる。
傾斜部62は、この傾斜部62は、断面が直角三角形状の三角柱部材からなり、天板部24aと密閉部24bが形成する角部に直角に形成された角部を当接させて設けられ、この角部に対向する斜面が吸引口15aへ収束するように配置されている。このような構成により、ノズルプレート31の表面に垂直な方向においてノズルプレート31と天板部24aとの距離が吸引口15aに向けて漸次小となっている。
このような構成によれば、負圧室Rの下部に達した余剰インクYが、負圧室Rの吸引口開口方向において吸引口15aに向かって流れていくので、余剰インクYを吸引口15aから吸引し易いものとすることができる。
なお、プレス成形であれば、窪み部24xと環状突出壁24yとを同時に形成することができ、生産効率が良好なものとなる。
また、上述した実施の形態においては、親水膜24gをチタンコーティングによって形成したが、金メッキを施してもよいし、アルカリ性の薬品を塗布してもよい。
また、傾斜部61と傾斜部62を重畳的に用いてもよい。すなわち、下方に向かうほど
負圧室Rの下部の幅寸法及びノズルプレート31と天板部24aとの距離を漸次小とする部材を設けてもよいし、内表面24eをこのような形状に成形してもよい。
すなわち、上述した実施の形態において記したヘッドチップは形態を限定したものではないため非導電性の油性インク、導電性の水性インク、ソルベントインクやUVインク等を用いても構わない。このように液体噴射ヘッドを構成することで、いかなる性質のインクであっても使い分けることができる。特に、導電性を有するインクであっても問題なく利用でき、液体噴射記録装置の付加価値を高めることができる。なお、その他は同様の作用効果を奏することができる。
またこの構成に加えて、余剰インクYを再利用するにあたり、吸引ポンプ16からインクタンク51へ通じる流路にフィルタ部材を設けてもかまわない。このような構成を採用することによって、余剰インクYに含まれる不純物を除去し、適切な状態のインクをインクタンク51へ供給することができる。
さらに、余剰インクYを再利用するにあたり、吸引ポンプ16からインクタンク51へ通じる流路に脱気装置を設けてもかまわない。このような構成を採用することによって、余剰インクYに含まれる気泡を脱気し、適切な脱気状態のインクをインクタンク51へ供給することができる。
ただし、上述したこれらの構成は、必ず用いられなければならない構成ではなく、液滴噴射記録装置の仕様に応じて適宜使用されればよい。
10,60,70,80,90,100…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
12…液体供給系
15…吸引流路
15a…吸引口
16…吸引ポンプ(吸引部)
21…セラミック圧電プレート(アクチュエータ)
23…ノズル体
24…ノズルガード
24a…天板部
24b…密閉部
24c…スリット
24e…内表面
24f…外表面
24g…親水膜
24h…撥水膜
24j…下端部
24x…窪み部
24y…環状突出壁
26…長溝(圧力発生室)
31a…ノズル孔
31b…ノズル吐出口(ノズル噴出口)
31c…ノズル列
61,62…傾斜部
r1…底部
I…インク(第一液体)
R…負圧室
S…空間(内側空間)
W…洗浄液(第二液体)
Claims (18)
- 複数のノズル孔からなるノズル列を有するノズル体と、前記各ノズル孔と対となって該ノズル孔に連通する複数の圧力発生室と、該圧力発生室に第一液体を供給する液体供給系と、前記圧力発生室に隣接配置されたアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータを駆動して該圧力発生室を加圧し、該圧力発生室内の前記第一液体を前記ノズル孔のノズル噴射口から噴射させる液体噴射ヘッドにおいて、
前記ノズル列を覆うように形成されたノズルガードを備え、前記ノズルガードは、前記ノズル体の表面から離間配置され前記ノズル列と対向するスリットが形成された天板部と、前記天板部の周縁部と前記ノズル体との間を密閉する密閉部と、
前記ノズル列の下方に吸引口が開口し前記ノズルガードの内側空間と連通する吸引流路とを備え、
前記吸引流路に接続される吸引部によって前記ノズルガードの内側空間を負圧室とし、前記ノズル孔から前記負圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引することを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記吸引口は、前記スリットと対向しない位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記吸引口は、前記負圧室の重力方向最下部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記スリットは、該スリットの長手方向を重力方向に向けて形成されると共に、下端部が円形状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記ノズルガードの内側下部に前記吸引口へ収束する傾斜部が設けられ、
前記傾斜部では、前記ノズル体の表面に平行で前記ノズル列に垂直な方向の幅寸法が前記吸引口に向けて漸次小となっていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記ノズルガードの内側下部に前記吸引口へ収束する傾斜部が設けられ、
前記傾斜部では、前記ノズル体の表面に垂直な方向における前記ノズル体との距離が前記吸引口に向けて漸次小となっていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記ノズルガードの表面のうち、少なくとも外方に露出する外表面に撥水膜が形成されていることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記ノズルガードの表面うち、前記負圧室と接する内表面に親水膜が形成されていることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記ノズルガードの前記天板部に、前記負圧室側に窪む窪み部が形成され、
該窪み部の底面に前記スリットが形成されていることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記ノズルガードの前記天板部に、前記負圧室側に突出し、かつ、前記スリットを環状に囲繞する環状突出壁が形成されていることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 請求項1から10のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドを備え、
前記液体供給系に前記第一液体を供給し得るように構成された液体供給部を備えていることを特徴とする液体噴射記録装置。 - 請求項1から10のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドを備え、
前記液体供給系に前記第一液体と第二液体とを切り換え供給し得るように構成された液体供給部を備えていることを特徴とする液体噴射記録装置。 - 請求項11または12に記載の液体噴射記録装置であって、
前記負圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引することで回収し、前記圧力発生室に該第一液体を供給する再利用液体供給系を有することを特徴とする液体噴射記録装置。 - 請求項13に記載の液体噴射記録装置であって、
前記再利用液体供給系に、フィルタ部もしくは脱気装置を有することを特徴とする液体噴射記録装置。 - 複数のノズル孔からなるノズル列を有するノズル体と、前記各ノズル孔と対となって該ノズル孔に連通する複数の圧力発生室と、該圧力発生室に第一液体を供給する液体供給系と、前記圧力発生室に隣接配置されたアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータを駆動して該圧力発生室を加圧し、該圧力発生室内の前記第一液体を前記ノズル孔のノズル噴射口から噴射させると共に、
前記ノズル列を覆うように形成されたノズルガードを備え、前記ノズルガードは、前記ノズル体の表面から離間配置され前記ノズル列と対向するスリットが形成された天板部と、前記天板部の周縁部と前記ノズル体との間を密閉する密閉部と、
前記ノズル列の下方に吸引口が開口し前記ノズルガードの内側空間と連通する吸引流路とを備え、
前記吸引流路に接続される吸引部によって前記ノズルガードの内側空間を負圧室とし、前記ノズル孔から前記負圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引することを特徴とする液体噴射ヘッドの液体充填方法であって、
前記吸引部により前記負圧室を大気圧より負圧とした状態で、前記液体供給系を用いて前記第一液体を前記圧力発生室まで加圧充填することを特徴とする液体噴射ヘッドの液体充填方法。 - 前記吸引部により前記負圧室を大気圧より負圧とした状態で、前記加圧充填を終了することを特徴とする請求項15に記載の液体噴射ヘッドの液体充填方法。
- 請求項15に記載の液体噴射記録装置の使用方法であって、
前記吸引部を第1出力により動作させることで、前記内側空間を負圧室とし、前記吸引流路を介して前記噴射孔列から漏出した前記液体を吸引する液体充填モードを有することを特徴とする液体噴射記録装置の使用方法。 - 請求項15に記載の液体噴射記録装置の使用方法であって、
前記吸引部を第1出力により動作させることで、前記内側空間を負圧室とし、前記吸引流路を介して前記噴射孔列から漏出した前記液体を吸引する液体充填モードと、
前記吸引部を前記第1出力よりも小さい第2出力によって動作させ、前記噴射孔列から被記録媒体へ前記液体を噴射して前記被記録媒体に記録を行う通常使用モードとを切替制御することを特徴とする液体噴射記録装置の使用方法。
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