JP6659088B2 - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Description
特許文献1には、複数の記録素子基板を千鳥状に配置して長尺のラインヘッドにした構成が示されている。複数の記録素子基板を千鳥状に配置する構成では、記録媒体の搬送方向におけるヘッドの寸法を小さくするために、平行四辺形の平面形状を有する記録素子基板を用いることがある。特許文献1に開示された発明では、記録素子基板の一側部に対向する位置にのみ電気配線基板を配置することにより、ヘッドのさらなる小型化が図られている。電気配線基板は、例えばFPC(Flexible printed circuits)やTAB(tape automated bonding)である。
記録素子基板と電気配線基板とは例えばボンディングワイヤ等の接続部材により電気的に接続されて、電力や電気信号の送受信が行われる。接続部材は、外力による破損の防止や液体による腐食の防止等の目的で、熱硬化性樹脂等によって封止されて保護されるのが一般的である。記録素子基板の一側部のみに接続部材が存在してそれを樹脂により封止する場合には、樹脂からなる封止部材は一側部のみに存在する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態の液体吐出記録ヘッド1について説明する。図1(a)は本実施形態の液体吐出ヘッド1の斜視図、図1(b)はその平面図、図1(c)は図1(b)のX−X線断面図である。この液体吐出ヘッド1は、記録素子基板2と、電気配線基板3と、支持部材4を1つずつ有するシリアルタイプの小型のヘッドである。記録素子基板2は実質的に平行四辺形の平面形状を有し、例えばインクのような液体が供給される供給路5と、供給路5に連通するエネルギー発生室6と、エネルギー発生室6に連通して外部に開口する吐出口7とを有している。複数の吐出口7は列をなすように配置されている。各エネルギー発生室6の内部には、液体を吐出するエネルギーを発生するための記録素子8がそれぞれ設けられている。すなわち、それぞれの記録素子8に対応してエネルギー発生室6および吐出口7が設けられている。記録素子8の例としては、熱を発する発熱素子や圧力を発生する圧電素子が挙げられる。本実施形態において記録素子基板2は供給路5と記録素子8を備えるSi材料からなる基板と、吐出口7を備える樹脂材料からなる吐出口形成部材とを備え、基板と吐出口形成部材との接合部にエネルギー発生室6が形成される。
このような記録素子基板2が、支持部材4に搭載されている。支持部材4には、液体が流通する複数の導入路9が設けられており、各導入路9は記録素子基板2の各供給路5にそれぞれ連通している。支持部材4の表面には、記録素子基板2の一側部2aに対向するように、電気配線基板3が配置されている。記録素子基板2の一側部2aの端辺が、電気配線基板3の端辺と近接対向している。電気配線基板3の一例は、フレキシブルプリントケーブル(FPC)である。電気配線基板3の電極端子20と記録素子基板2の電極21とが、ボンディングワイヤ等の接続部材10によって電気的に接続されている。電気配線基板3はFPCに限らずTAB(tape automated bonding)も適用可能であり、この場合に記録素子基板2との電気接続は、TABから伸びるリード配線により電気的な接続が行われる。電極端子20および電極21は図1(a),1(b)では省略し、接続部材10は図1(a)では省略している。接続部材10は、記録素子基板2と電気配線基板3との間を延びている。そして、この接続部材10を覆って保護するための熱硬化型の樹脂からなる封止部材(封止材)11が、記録素子基板2の一側部2aと電気配線基板3の一部とにまたがって形成されている。さらに、本実施形態では、記録素子基板2の一側部2aの反対側の反対側部(他側部)2bを覆う変形防止部材12が設けられている。変形防止部材12は、好ましくは封止部材11と同じ樹脂からなる。
このような構成であるため、本実施形態の液体吐出ヘッド1では、支持部材4の導入路9から、記録素子基板2の供給路5を介して、エネルギー発生室6に液体が供給される。そして、図示しない制御部から電気配線基板3および接続部材10を介して記録素子基板2の記録素子8に電気駆動信号が供給されると、記録素子8がエネルギーを発生して、エネルギー発生室6内の液体が液滴として吐出口7から外部に吐出する。
本発明者は、前記したように従来の液体吐出ヘッド1において記録素子基板2の位置ずれが発生する原因について検討し、以下のような知見を得た。
図2に開示されているように、液体吐出ヘッド1の小型化等のために、記録素子基板2の一側部2aに対向する位置にのみ電気配線基板3が配置された構成が用いられている。このように記録素子基板の一側部に電極21を集中的に配置することで、記録素子基板が小型化できるとともに、電気配線基板3も小型化することができ、結果的に液体吐出ヘッドを小型化することができる。この構成では、電気的な接続部である接続部材10を保護するための封止部材11が一側部2aのみに存在する。通常、封止部材11は熱硬化樹脂からなるため、接続部材10を覆うように塗布された後に、加熱されて熱硬化し、その後に冷却される。この時に封止部材11は収縮し、その収縮による応力は、記録素子基板2の、封止部材11が設けられた一側部2aに集中して加わる。一方、記録素子基板2の一側部2aと反対側の反対側部2bには電気接続部および封止部材がないため応力は加わらない。このように記録素子基板2の一側部2aのみに応力が集中し、反対側部2bには応力が加わらないため、一側部2aに集中して加わる応力によって記録素子基板2が移動または変形する。それにより、記録素子基板2の大きな位置ずれが生じ、この液体吐出ヘッド1から吐出される液体の着弾位置精度が悪化する。位置がずれない場合であっても、記録素子基板が破損したり、記録素子基板を構成する基板と吐出口形成部材とが剥離したりする場合もある。この液体吐出ヘッド1がインクジェットプリンタに用いられる場合には、液体吐出による記録の精度が悪くなる等の影響がある。
そこで、本実施形態では、記録素子基板2の反対側部2bに樹脂からなる変形防止部材(ダミー封止部材)12を配置している。一側部2aに設けられた封止部材11を熱硬化させる時に変形防止部材12にも同時に熱を加えて硬化させ、その後に冷却する。従って、封止部材11の硬化収縮により一側部2aに応力が加わると同時に、変形防止部材12の硬化収縮により反対側部2bにも応力が加わる。封止部材11の硬化収縮により一側部2aに加わる応力と、変形防止部材12の硬化収縮により反対側部2bに加わる応力が均衡して、記録素子基板2の変形および位置ずれの発生が抑えられる。このように、本実施形態によると、記録素子基板2の一側部2aのみを電気的接続に利用して小型化を図れるとともに、記録素子基板2の一側部2aへの応力の集中を抑制し、位置ずれ等の影響を抑制できる。その結果、液体吐出ヘッドからの液体吐出時の着弾位置のずれを抑制することができる。この液体吐出ヘッドをインクジェットプリンタに用いると、良好な記録が行え、高い記録品位が得られる。
封止部材11は、例えば熱硬化性の樹脂部材であるエポキシ樹脂からなり、主に接続部材10を機械的かつ化学的に保護し、具体的には、外力によって損傷することやインク等の液体によって腐食することを防止する。本発明において複数種類の封止部材を適用しても良い。例えば接続部材10の下側には比較的粘度の小さい封止部材を設け、上側には比較的粘度の高い封止部材を設ける構成でも良い。変形防止部材12は封止部材11と同じ材料からなることが好ましいが、線膨張係数や弾性率等が近い物性のものであれば他の材料で形成することも可能である。
記録素子基板2は、図1に示すような平行四辺形に限られず、正方形、長方形、台形、不等辺四角形、四角形以外の多角形など様々な平面形状を有していてよい。ただし、少なくとも一側部2aの端辺が実質的に直線状であることが好ましい。
この変形例でも、図3に示す構成と同様に、応力の均衡がとれ、支持部材上での電気配線基板2の存在に依る重量や剛性の不均衡が解消されて、記録素子基板2の変形や位置ずれが生じにくく、かつ変形防止部材12の硬化後の形状が維持しやすい。また、記録素子基板2の一側部2aのみならず反対側部2bも電気的接続に利用し、そのための接続部材14を変形防止部材12によって機械的かつ化学的に保護することができるので応力の対称性がより向上する点で好ましい。対向側電気配線基板15は、電気配線基板2と同じ材料からなることが好ましいが、線膨張係数やヤング率等の物性が比較的近いものであれば、異なる材料から形成されていてもよい。
図5に本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドを示している。本実施形態では、封止部材11が、長方形の形状の一部に凸部11aが付加された平面形状を有している。それ以外の構成は第1の実施形態と同様である。本実施形態の封止部材11の平面形状の技術的意義について説明する。
図2に示す従来例のように、記録素子基板2の平面形状が略平行四辺形であると、記録素子基板2の重心2cを通って一側部2a側の端辺に直交する垂線C1と、封止部の前記端辺方向における中心線C2が一致しない。つまり垂線C1と中心線C2とが端辺の延在方向にずれている。ここで言う封止部中心線C2とは、記録素子基板2の一側部2aの端辺の、封止部材11によって覆われる部分の端辺方向の中心を通り、かつ垂線C1に対して平行な線である。封止部材11の収縮に伴う引っ張り応力Tは、封止部中心線C2を中心として両側に略均等に生じる。しかし、このように垂線C1と封止部中心線C2とが異なるため、記録素子基板2に対しては、重心2cを中心として両側に均等に作用するのではなく、偏って作用する(図2の例では、重心2cの左側には右側よりも大きな応力が作用する)。記録素子基板2に働く応力Tが、重心2cの左側の領域と重心2cの右側の領域とで均衡していないため、重心2cを中心とする回転力Rが生じる。その結果、記録素子基板2が支持部材4上で回転して位置ずれを生じる可能性がある。
言い換えると、封止部材11の、記録素子基板2の一側部2aを覆う部分の、封止部中心線C2により分割される2つの領域A1,A2(長さL1の領域と長さL2の領域)が互いに同じ体積であると、領域A1に生じる応力と領域A2に生じる応力が略一致する。仮に、封止部中心線C2と、記録素子基板の重心2cを通る垂線C1が一致していると、記録素子基板2の、重心2cの右側の、封止部材11からの応力を受ける領域は、重心2cの左側の、封止部材11からの応力を受ける領域とほぼ等しい大きさである。従って、両方の領域に加わる応力が一致するため回転力は働かない。しかし、封止部中心線C2と垂線C1が異なると、例えば、記録素子基板2の、重心2cの右側の、封止部材11からの応力を受ける領域(長さL3の領域)は、重心2cの左側の、封止部材11からの応力を受ける領域(長さL4の領域)よりも小さい。この2つの領域の大きさの差に応じて、各領域に加わる応力の大きさが異なる。そして、この重心2cの左右での応力の差が、回転力Rを生じる。
そこで、本実施形態では、封止部材11の平面形状が非対称形状になるように封止部材11を形成することによって、回転力Rを抑えている。具体的には、封止部材11の、記録素子基板2の一側部2aを覆う部分の、記録素子基板2の重心2cを通る垂線C1が通る領域A1の体積が、垂線C1が通らない領域A2の体積よりも大きくなるようにした。このとき、領域A1の長さL1と、領域A2の長さL2を一致させたまま、領域A1に凸部11aを設けることによって体積を変えている。これにより、領域A1に生じる引っ張り応力T’は領域A2に生じる引っ張り応力Tよりも大きくなる。その結果、記録素子基板2において、重心2cの左側の領域に働く応力と、重心2cの右側の領域に働く応力とが均衡する。
すなわち、封止部材11の記録素子基板2の一側部2aを覆う部分の領域A1と領域A2の体積を変えることにより、封止部中心線C2を中心として見たときに、一方の側の領域A1に働く応力T’が、他方の側の領域に働く応力Tよりも大きくなるようにする。それにより、記録素子基板2の重心2cを中心として見たときには、記録素子基板2の一方の側の小さい領域(長さL3で表される領域)に働く応力と、他方の側の大きい領域(長さL4で表される領域)に働く応力とが実質的に一致するようにする。その結果、記録素子基板2には、重心2cを中心として回転しようとする力が働かない。このようにして、記録素子基板2の回転による位置ずれが生じないようにしている。領域A1と領域A2の体積の差は、記録素子基板2の一方の側の小さい領域と他方の側の大きい領域の大きさの差(長さL3と長さL4の差)を考慮して、両方の領域(長さL3の部分と長さL4の部分)に働く応力が互いに実質的に一致するように設定される。具体的には、封止部材11の、記録素子基板2の一側部2aを覆う部分を、記録素子基板2の重心2cを通る垂線C1によって2つの領域に分けたときに、それらの2つの領域の体積が等しいことが好ましい。垂線C1によって分けられる、封止部材11の記録素子基板2の一側部2aを覆う部分の2つの領域が互いに同じ体積を有していると、封止部材11の硬化収縮時に、記録素子基板2の、重心2cを中心とする両側に、同じ大きさの応力が働く。従って、記録素子基板2に、重心2cを中心とする回転力は生じない。ただし、それらの2つの領域の体積が厳密に一致していない場合であっても、両領域の体積の差が小さければ、重心2cを中心とする回転力が小さいため、記録素子基板2の回転による位置ずれの抑制の効果がある程度得られる。
以上説明した通り、第1の実施形態と同様な変形防止部材12による位置ずれ防止に加えて、封止部材11の記録素子基板2の一側部2aを覆う部分の2つの領域A1,A2の体積を調整することで、回転による位置ずれを防止する効果をさらに高められる。
図6(b)には、本実施形態の第2の変形例が示されている。この変形例では、封止部材11の平面形状が、垂線が通らない領域A2側から垂線C1が通る領域A1側に向けて連続的に大きくなる横向き台形状になっている。この構成によると、さほど大きな凸部11aや凹部11bを設けなくても、垂線C1が通る領域A1の体積を、垂線が通らない領域A2の体積よりも十分大きくすることができ、回転による位置ずれを防止する効果を容易に得られる。
図6(c)には、本実施形態の第3の変形例が示されている。この変形例では、変形防止部材12の、記録素子基板2の反対側部2bを覆う部分の、変形防止部中心線C3によって分割される2つの領域B1,B2のうちの、垂線C1が通る領域B1の体積が、垂線C1が通らない領域B2の体積よりも大きくなっている。その結果、図5に示す構成よりもさらに高い位置ずれ防止効果が得られる。逆に言うと、凸部11aを小さくしても、変形防止部材にも同様な凸部12aを設けることで、十分な回転移動防止の効果が得られる。封止部材11と変形防止部材12は、記録素子基板2の重心2cを対称点として点対称(回転対称)であることが好ましい。なお、ここで言う変形防止部中心線C3は、記録素子基板2の反対側部2bの端辺の、変形防止部材12によって覆われる部分の中心を通り、かつ垂線C1に対して平行な線である。
図6(d)には、本実施形態の第4の変形例が示されている。この変形例は、図6(a)に示す第1の変形例と図6(c)に示す第3の変形例を組み合わせたものである。すなわち、封止部材11が切り欠き部11bを有し、変形防止部材12も切り欠き部12bを有している。それにより、変形防止部材12の、記録素子基板2の反対側部2bを覆う部分の、変形防止部中心線C3によって分割される2つの領域B1,B2のうちの、垂線C1が通る領域B1の体積が、垂線C1が通らない領域B2の体積よりも大きい。封止部材11および変形防止部材12を小型化しつつ、第3の実施形態と同様に高い位置ずれ防止効果が得られる。封止部材11と変形防止部材12は、記録素子基板2の重心2cを中心として点対称(回転対称)であることが好ましい。
図6(e)には、本実施形態の第5の変形例が示されている。この変形例は、図6(b)に示す第2の変形例と図6(c)に示す第3の変形例を組み合わせたものである。すなわち、封止部材11は、連続的に面積が大きくなる横向き台形形状を有し、変形防止部材12は、封止部材11とは反対向きに連続的に面積が大きくなる横向き台形形状を有している。これにより、変形防止部材12の、記録素子基板2の反対側部2bを覆う部分の、垂線C1が通る領域B1の体積が、垂線C1が通らない領域B2の体積よりも大きくなっている。この変形例でも、第3の実施形態と同様に高い位置ずれ防止効果が得られる。封止部材11と変形防止部材12は、記録素子基板2の重心2cを中心として点対称(回転対称)であることが好ましい。
前記した第1,2の実施形態では、封止部材11および変形防止部材12の、記録素子基板2の一側部2aおよび反対側部2bの端辺に平行な方向の長さが、それらの端辺の長さと実質的に同じである。しかし、図7(a),7(b)に示す第3の実施形態では、小型の封止部材11および変形防止部材12を設けている。この構成では、記録素子基板2と電気配線基板3の電気的な接続に必要な接続部材10(図1参照)を高密度に配置し、それらの接続部材10を覆うのに必要な最小限の大きさの封止部材11が設けられている。そして、この小型の封止部材11と同じ大きさの変形防止部材12が設けられている。この実施形態では、封止部材11が小さいため硬化収縮による応力が小さく、位置ずれ防止の効果を得やすい。
特に、図7(b)に示す構成では、封止部材11が、記録素子基板2の一側部2aの端辺に沿う方向において偏った位置に配置され、変形防止部材12が、封止部材11とは反対側に偏った位置に配置されている。それにより、第2の実施形態と同様に、記録素子基板2に回転力が働くのを抑え、位置ずれを抑制している。
前記した第1〜3の実施形態は、シリアルタイプの小型の液体吐出ヘッドに関するものであるが、本実施形態では、本発明を長尺のラインヘッドに採用している。図8に示すように、本実施形態では支持部材4の上に記録素子基板2と電気配線基板3および接続部材10と封止部材11とをそれぞれ配置した複数のユニット(ヘッドモジュール)16を、1つの長尺支持部材17上に1列に並べて配置した構成である。複数の記録素子基板2が緊密に並んでいる。各ユニットの構成は、第1〜3の実施形態に記載された構成のいずれかである。図8(a)には図1に記載した構成と同様なユニット16を示しており、図8(b)には図6(c)に記載した構成と同様なユニット16を示している。このように、各ユニット16の詳細な構成は図1〜7に示すいずれの構成であってもよい。
図9(a)に示す変形例では、1つの長尺支持部材17上に複数の支持部材4が緊密に並べて列をなすように配置され、全ての支持部材4にまたがって1つの長尺の封止部材18と1つの長尺の変形防止部材19が設けられている。封止部材18は、全ての記録素子基板2の一側部2aと全ての電気配線基板3の対向部分とを一括して覆っている。同様に、長尺の変形防止部材19が設けられている。変形防止部材19は、全ての記録素子基板2の反対側部2bを一括して覆っている。この構成では、複数の記録素子基板2の一側部2aが1つの封止部材18で覆われ、反対側部2bが1つの変形防止部材19で覆われているため、個々の記録素子基板2が独立して移動(回転)することが困難である。従って、位置ずれ防止の効果が高い。そして、封止部材18および変形防止部材19の成形工程が1回ですむので、作業が簡単である。また、記録素子基板2ごとの位置ずれのばらつきが小さいため、各記録素子基板2の相対的な位置精度の調整が容易であり、その調整作業は簡単である。
図9(b)に示すもう1つの変形例のように、隣接する少なくとも2つの記録素子基板2を1グループとして、各グループの記録素子基板2に対して1つの封止部材11と1つの変形防止部材12がそれぞれ設けられた構成にしてもよい。
図9(a)に示す例では、全ての記録素子基板2を1つの封止部材11および1つの変形防止部材12で一括して覆っている。図9(b)に示す例では、記録素子基板2を複数のグループに分けて、各グループごとに1つの封止部材11および1つの変形防止部材12を設けている。これらのいずれを選択するかは、液体吐出ヘッド1全体の大きさ等に基づいて、製造の容易さや位置ずれ防止の効果を勘案して決定すればよい。
さらに、記録素子基板を複数並べてラインヘッドを構成する場合には、個々の記録素子基板の位置ずれを抑えることができる。また、記録素子基板同士の相対的な位置ずれを小さくでき、しかも記録素子基板同士の相対位置の調整が容易に行えて作業を効率化できる。それにより、記録素子基板同士の相対的な位置ずれに起因する記録画像中のスジやムラ等を防止して、記録品質の劣化を防止できる。また上述した各実施形態において、電気配線基板3は記録素子基板2の一辺から帯状に延伸する構成について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば電気配線基板3に開口部を設け、その開口部内に記録素子基板2を配置し、電気配線基板の開口部の内縁部とで電気接続する構成の液体吐出ヘッドにも適用可能である。
2 記録素子基板
2a 一側部
2b 反対側部
3 電気配線基板
10 接続部材
11,18 封止部材
12,19 変形防止部材
20 電極端子
21 電極
Claims (21)
- 一側部に電極が設けられている記録素子基板と、前記記録素子基板の前記一側部に対向して配置されている電気配線基板と、前記記録素子基板の前記一側部に設けられている前記電極と前記電気配線基板に設けられている電極端子とを接続する接続部材と、前記接続部材を覆うように前記記録素子基板の前記一側部と前記電気配線基板とにまたがって形成されている封止部材と、前記記録素子基板の前記一側部の反対側の反対側部を覆うように設けられているダミー封止部材と、を有する液体吐出ヘッド。
- 前記封止部材と前記ダミー封止部材は同じ材料から形成されている、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板が搭載されて該記録素子基板を支持する支持部材をさらに有し、前記電気配線基板の少なくとも一部が前記支持部材上に位置しており、前記ダミー封止部材は、前記記録素子基板の前記反対側部と前記支持部材とにまたがって形成されている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板の前記反対側部に対向して配置されたダミー基板をさらに有し、前記ダミー封止部材は、前記反対側部と前記ダミー基板とにまたがって形成されている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板が搭載されて該記録素子基板を支持する支持部材をさらに有し、前記電気配線基板の少なくとも一部と前記ダミー基板の少なくとも一部がそれぞれ前記支持部材上に位置している、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板の前記反対側部に対向して配置された対向側電気配線基板をさらに有し、前記ダミー封止部材は、前記反対側部と前記対向側電気配線基板とにまたがって形成されており、前記反対側部に設けられた電極と前記対向側電気配線基板に設けられた電極端子とを接続する接続部材を覆っている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板が搭載されて該記録素子基板を支持する支持部材をさらに有し、前記電気配線基板の少なくとも一部と前記対向側電気配線基板の少なくとも一部がそれぞれ前記支持部材上に位置している、請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板は、液体を吐出するための吐出口と、前記吐出口から前記液体を吐出するためのエネルギーを発生する記録素子とを有し、前記電極は前記記録素子に電気的に接続されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板は平行四辺形の平面形状を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板の重心を通り、かつ前記記録素子基板の前記一側部の端辺に直交する垂線と、前記記録素子基板の前記一側部の前記端辺の、前記封止部材によって覆われる部分の中心を通り、かつ前記垂線に対して平行な封止部中心線とが異なっており、前記封止部材の、前記記録素子基板の前記一側部を覆う部分が前記封止部中心線によって分割される2つの領域のうち、前記垂線が通る領域が、前記垂線が通らない領域よりも体積が大きい、請求項1から9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記封止部材の形状と前記ダミー封止部材の形状とは、前記記録素子基板の重心を対称点として点対称である、請求項1から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 複数の前記記録素子基板が1列に並べて配置されており、前記記録素子基板の各々に前記封止部材と前記ダミー封止部材がそれぞれ設けられている、請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 複数の前記記録素子基板が1列に並べて配置されており、隣接する少なくとも2つの前記記録素子基板のそれぞれの前記一側部を連続して覆う前記封止部材と、該少なくとも2つの記録素子基板のそれぞれの前記反対側部を連続して覆う前記ダミー封止部材とを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 複数の前記記録素子基板が1列に並べて配置されており、全ての前記記録素子基板のそれぞれの前記一側部を連続して覆う1つの前記封止部材と、全ての前記記録素子基板のそれぞれの前記反対側部を連続して覆う1つの前記ダミー封止部材とを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板の前記反対側部には電極が形成されていない、請求項1から14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板の前記反対側部には、接続部材によって前記ダミー基板と接続される電極が設けられており、前記電極は前記記録素子基板の駆動には寄与しない、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
- 一側部に電極を備える記録素子基板と、
配線を備える電気配線基板と、
前記記録素子基板の前記電極と前記電気配線基板の前記配線とを接続する接続部と、
前記接続部を覆うように前記記録素子基板の前記一側部と前記電気配線基板とにまたがって設けられている封止部材と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記記録素子基板の前記一側部とは反対の他側部にはダミー封止部材が設けられている、液体吐出ヘッド。 - 一側部に電極を備える記録素子基板と、
配線を備える電気配線基板と、
前記記録素子基板の前記電極と前記電気配線基板の前記配線とを接続する接続部と、
前記接続部を覆うように前記記録素子基板の前記一側部と前記電気配線基板とにまたがって設けられている熱硬化性の封止部材と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記記録素子基板の前記一側部とは反対の他側部には電極が形成されておらず、当該他側部を覆うように熱硬化性の樹脂部材が設けられている、液体吐出ヘッド。 - 前記記録素子基板は平行四辺形の平面形状を有する、請求項17または18に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記熱硬化性の樹脂部材と前記封止部材とは同じ材料で形成されている、請求項18に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記記録素子基板が搭載されて該記録素子基板を支持する支持部材をさらに有し、前記電気配線基板の少なくとも一部が前記支持部材上に位置しており、前記熱硬化性の樹脂部材は、前記記録素子基板の前記他側部と前記支持部材とにまたがって形成されている、請求項18または20に記載の液体吐出ヘッド。
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