JP4092688B2 - 液滴吐出ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプローブアレイの製造技術に係わり、特に、プローブの固相上へのスポッティングに好適なインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゲノムプロジェクトの進展により、各生物の遺伝子構造が次々に明らかになってきており、この成果を生命現象の解析に結び付けるためにもDNAの塩基配列の解読、及び遺伝子情報の機能解析が課題となっている。細胞内における全ての遺伝子の発現量を一度にモニタリングするためのシステムとして、DNAマイクロアレイが利用されている。同アレイでは、細胞や組織から抽出したmRNAやtotalRNAから逆転写反応を行い、プローブDNAを調製し、スライドガラスなどの基板上に高密度にスポッティングした後、蛍光色素で標識されたターゲットDNAのうちプローブDNAと相補的な塩基配列を有するターゲットDNAをハイブリダイズさせ、蛍光パターンを観察することにより、遺伝子発現量を評価している。同アレイのサイズは通常1cm2〜10cm2で、この領域に数千〜数万種のプローブDNAを高密度にスポッティングする必要があり、その手法として、固相上にプローブDNAを合成していく手法と、予め合成されたプローブDNAを固相上に固定する手法がある。プローブ精製の容易性などの観点から、後者の手法が広く用いられており、従来では接触ピンやインクジェットヘッドを用いてプローブDNAの固定が行われていた。インクジェットヘッドを用いたプローブDNAの固相上へのスポッティング技術に関しては、特許文献1において詳述されている。
【特許文献1】
特開平11−187900号公報
【特許文献2】
特表2000−500946号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、接触ピンを用いた方法では固相上へ供給される液滴の供給量が不安定な上に、固相上のスポット形状が不規則になり、さらに接触ピンの洗浄が不十分な場合にはクロスコンタミネーションが生じ得るという不都合があった。また、作業に長時間を要するため、効率的ではない。
【0004】
一方、インクジェットヘッドを用いた方式によれば、プローブを固相上に迅速かつ高密度に固定でき、安定したスポット形状の形成が可能であるが、従来のインクジェットヘッドにおいては、ステンレス製の側壁にエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系などの接着剤を用いてノズルプレートや振動板を張り付ける構成を成しているため、吸湿時において、オリフィスやキャビティなどに充填されているサンプル溶液中へ接着剤に含まれている硬化剤などが溶出する結果、サンプル溶液に含まれているターゲットDNAや蛋白質などの各種生体試料にダメージを与えるおそれがある。
【0005】
また、特許文献1に開示されているように、ノズルに連通する細筒に発熱抵抗体を設置し、当該発熱抵抗体に電気エネルギーを投入することで液体を瞬時に発泡させ、ノズルから液滴を吐出するバブルジェット(登録商標)方式では瞬間的な高温によりDNAや蛋白質の変性を招くおそれがある。
さらに、生体試料を取り扱う場合、生体試料は、細菌等に汚染されやすく、また、分解・変質しやすいので、慎重に取り扱う必要がある。通常、このような生体試料をヘッドに充填する際には、事前に紫外線照射等による殺菌がなされる。さらに、生体試料の中には光により分解・変質し易い物質もあり、紫外線照射による殺菌後にヘッドを遮光することが好ましい場合がある。しかし、殺菌後のヘッドに遮蔽フィルム等を貼り付けるには、多数の工程を要することとなり、歩留まりが悪い。
また、インクジェットヘッドは消耗品であるため、交換する度に大量の廃棄物が生じるが、廃棄時に特別の処理を要する素材や分別する必要がある素材が一体として形成されていることがあり、廃棄又はリサイクルに多大な工程を要することがあった。
【0006】
そこで、本発明は、生体試料に好適に用いられるインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を提供することを課題とする。
詳しくは、本発明は、生体試料にダメージを与えることなく、固相上へのプローブの固定を簡易かつ迅速に行えるインクジェットヘッド及びプローブアレイの製造方法を提案することを課題とする。
また、本発明は、使用時に容易にヘッドの遮光が可能なインクジェットヘッドを提供することを課題とする。
さらに、本発明は、分解容易で、さらに、リサイクル或いは廃棄が容易なインクジェットを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するべく、本発明のインクジェットヘッドは、生体試料を含有する溶液を固相上に吐出するためのインクジェットヘッドであって、表面に電極を有するガラス製の電極基板と、前記電極基板に対して微小ギャップをおいて対向配置され、前記電極との電位差に対応する静電力によって弾性変形する振動板の変位により加圧室内の圧力を加減し、前記加圧室内に充填されている前記溶液をノズル孔から吐出するためのシリコン製の加圧室基板とを備える。
【0008】
電極基板を構成するガラス基板と、加圧室基板を構成するシリコン基板の何れも核酸や蛋白質などの生体試料との親和性が高く相性がいい上に、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式(サーマルインクジェット方式)のように発熱を併有しない静電駆動方式であるため、生体試料にダメージを与えることなく、固相表面上への安定した吐出を可能にできる。
なお、本明細書において、インクジェットヘッドとは、インクジェット方式により液滴を吐出する液滴吐出ヘッドをいう。以下、インクジェットヘッドを、液滴吐出ヘッドとも記載する。
【0009】
好ましくは、電極基板と加圧室基板とを陽極接合する。
【0010】
接着剤などを使用せずに電極基板と加圧室基板とを接合できるため、生体試料にダメージを与えることがない。
【0011】
好ましくは、加圧室の内壁面はシリコン酸化膜によって親水性に表面処理する。
【0012】
これにより、加圧室は核酸や蛋白質等の生体試料を含有する水溶液に対して親和性に優れているため、安定した生体試料の吐出が可能となる。
【0013】
好ましくは、個々の加圧室に供給するための前記溶液を貯蔵する共通キャビティと、当該キャビティから前記加圧室に連通するオリフィスとを有するガラス製の流路基板を備える。
【0014】
流路基板をガラス製とすることで、生体試料に直接接する共通キャビティやオリフィスの生体試料に対する親和性を確保できる。
【0015】
好ましくは、流路基板と加圧室基板とを陽極接合する。
【0016】
接着剤などを使用せずに流路基板と加圧室基板とを接合できるため、生体試料にダメージを与えることがない。
【0017】
好ましくは、電極基板及び流路基板を硼珪酸ガラス基板から構成する。
【0018】
硼珪酸ガラス基板は、アルカリイオンを多く含み、陽極接合に好適であるだけでなく、熱膨張係数がシリコン基板とほぼ一致するため、基板の接合面における歪みが少ない確実な接合が得られる。
【0019】
好ましくは、加圧室基板及び流路基板は、加圧室形状、共通キャビティ形状、ノズル径、オリフィス径、のうち少なくとも何れかについて、生体試料の物性的特性に適するように予め設計されたマスクを用いたリソグラフィ工程を経て製造する。
【0020】
リソグラフィ工程を採用することにより、加圧室の形状やノズル径などの寸法をマスク変更によって容易に設計変更できる。
本発明の液滴吐出ヘッドは、生体試料を含有する溶液を固相上に吐出するための液滴吐出ヘッドであって、表面に電極を有する第1の基板と、一面側が上記第1の基板に対して微小ギャップを介して配置されて、上記電極との電位差に対応する静電力によって弾性変形する振動板の変位により加圧室内の圧力を加減し、上記加圧室内に充填されている上記溶液をノズル孔から吐出するための加圧室を有する第2の基板と、上記第2の基板の、他面側に接合される第3の基板とを備え、上記第1乃至第3の基板のうち少なくともいずれか1つの基板を紫外線透過性材料とし、又は、上記第1乃至第3の基板全てを耐熱・耐湿性材料として、紫外線又は蒸気加熱処理による滅菌を可能としている。
上記第1乃至第3の基板のうち少なくともいずれか1つの基板を紫外線透過性材料とし、又は、上記第1乃至第3の基板全てを耐熱・耐湿性材料おしているため、生体試料をヘッド内に導入する前や廃棄時に必要とされる、ヘッドを殺菌用高圧水銀ランプ等を用いた紫外線滅菌処理、又は、オートクレーブ等による蒸気加熱滅菌処理をすることが可能となる。なお、オートクレーブによる蒸気加熱滅菌処理は、例えば、121℃の高温高圧水蒸気で20分間処理することにより行われる。また、PZT等の圧電素子を用いる方式の場合には、蒸気加熱滅菌処理等により、圧電素子が破損する場合があったが、圧電素子を用いない静電駆動方式を採用しているため、より生産性を向上し得る。
上記紫外線透過性材料又は耐熱・耐湿性材料としては、例えば、シリコン又はガラス(例:硼珪酸ガラス、石英ガラス)等のシリコン系基板、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又はテフロン(登録商標)等の樹脂基板といった材料が用いられる。
上記紫外線透過性材料又は耐熱・耐湿性材料が、シリコン系基板であることが好ましい。
このように、基板の材質をシリコン系基板に統一しているので、リサイクルが容易となり、環境に優しい製品の提供が可能となる。
上記シリコン系基板が、水晶基板又はガラス基板であることが好ましい。基板の材質に水晶基板又はガラス基板を用いることで、溶融するのみで、容易にガラスの原料にリサイクルが可能となる。また、基板を水晶又はガラス製であると生体試料との親和性にも優れる。
また、上記シリコン系基板が、シリコン基板であることが好ましい。全ての基板がシリコン基板となるので、鋼材やアルミ材等の金属材料の添加物に容易にリサイクルが可能となる。また、基板をシリコン製であると、耐久性に優れ、生体試料との親和性にも優れる。
なお、各シリコン系基板は、陽極接合、又は、希フッ酸により接合されていることが好ましい。このように陽極接合、又は、希フッ酸により接合されていると、接着剤などを使用せずに接合できるため、生体試料にダメージを与えることがなく、また、ガラス等の原料にリサイクルする際においても余計な不純物を含まないので好ましい。
上記電極が、ITO、金、銅及びアルミニウムのうちのいずれか一つから形成されることが好ましい。電極に、ITO、金、銅等の特別管理産業廃棄物に指定されていない導電材料を用いると、廃棄時に特別の処理を要しないので、廃棄時のコストを低減し得る。
複数の基板を積層させた液滴吐出ヘッドであって、少なくとも一の基板が形状記憶材料を用いて形成されており、所定の温度を付与することで、上記形状記憶材料を記憶形状に変形させて他の基板との分離を容易にしている。形状記憶材料を用いているので、基板を容易に分離することができる。また、分別廃棄が容易となり、さらに、廃棄時の紫外線照射滅菌処理、加熱滅菌処理をより確実にし得る。
本発明のさらなる別の形態による液滴吐出ヘッドは、複数の基板を積層させた液滴吐出ヘッドであって、接合された少なくとも一組の基板の熱膨張率又は熱収縮率を互いに異なるものとし、所定の温度を付与することで、上記接合が解除されるようにしている。
隣接する基板に熱膨張率又は熱収縮率の互いに異なる材料を用いているので、例えば、基板を急激に液体窒素で冷却し、急激な温度変化を与えるなど、所定の温度を付与することで、隣接する基板を容易に分離することが可能となる。また、基板を容易に分離することができるので、廃棄時の紫外線照射滅菌処理、加熱滅菌処理をより確実にすることが可能となり、さらに、粉砕処理等の廃棄処理が容易になる。
上記複数の基板が、表面に電極を有する第1の基板と、一面側が上記第1の基板に対して微小ギャップを介して配置され、上記電極との電位差に対応する静電力によって弾性変形する振動板の変位により加圧室内の圧力を加減し、上記加圧室内に充填されている上記溶液をノズル孔から吐出するための加圧室を有する第2の基板と、上記第2の基板の他面側に接合される第3の基板であることが好ましい。
液滴吐出ヘッドが、静電駆動方式であるので、生体試料にダメージを与えることなく、固相表面上への安定した吐出が可能となる。
本発明のさらなる別の形態による液滴吐出ヘッドは、印加信号に応じて液滴を吐出する液滴吐出ヘッドであって、液滴吐出ヘッドの外周に感光性材料又はフォトクロミック材料を使用して、少なくともその一部を遮光可能としている。
外周に感光性材料又はフォトクロミック材料を用いることで、遮光が可能となり、光により影響を受けやすい試料を用いる場合にも好適に用いることが可能となる。
上記フォトクロミック材料としては、例えば退色時に透明で、紫外線又は可視光線等の照射によって暗色化(着色、変色)するフォトクロミックガラスを用いることができる。フォトクロミックガラスを用いることで、遮光が可能となり、また、ガラス製なので、核酸や蛋白質等の生体試料を含有する水溶液に対して親和性に優れる。
フォトクロミックガラスとしては、ハロゲン化銀等の感光性物質を含むものを用いてもよく、また、光誘起欠陥が生成することによって着色させるような感光性物質を含まないもの(CdO系,ZnO系,CaO−Al2O3系ガラス)を用いてもよい。
さらに好ましくは、上記フォトクロミック材料が、ハロゲン化銀が添加されたフォトクロミックガラスであり、上記フォトクロミックガラスの組成及び上記ハロゲン化銀の粒径を調整することで、上記フォトクロミックガラスを用いて形成される上記外壁の退色時間を調整し得る。
フォトクロミックガラスの組成及びハロゲン化銀の粒径を調整することで、外壁の退色時間を調整することが可能となるので、ヘッドの遮光時間を所望の時間に調整することが可能となり、生体試料等への光の影響をより確実に抑制することが可能となる。
好ましくは、上記感光性材料が、感光性金属、光増感剤、及び熱還元剤が添加された感光性ガラスであり、上記外壁が不可逆的に暗色化する。
これにより、例えば紫外線により滅菌処理をすることで、同時に感光性ガラスより形成されたヘッドの外壁を暗色化することが可能となる。したがって、簡易な工程で、さらに確実に、ヘッド内の試料を光の影響から保護することが可能となる。
上記液滴吐出ヘッドが、表面に電極を有する第1の基板と、一面側が上記第1の基板と微小ギャップを介して配置され、上記電極との電位差に対応する静電力によって弾性変形する振動板の変位により加圧室内の圧力を加減し、上記加圧室内に充填されている上記溶液をノズル孔から吐出するための加圧室を有する第2の基板と、上記第2の基板の他面側に接合される第3の基板とを備え、静電力で駆動されることが好ましい。
液滴吐出ヘッドが、静電駆動方式であるため、生体試料にダメージを与えることなく、固相表面上への安定した吐出を可能にできる。
【0021】
本発明のプローブアレイの製造方法では、標的分子と特異的に結合するプローブを含む溶液を、本発明のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて固相上に吐出し、固相表面に前記プローブを固定させる。
【0022】
本発明のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いることにより、生体試料にダメージを与えることなく、しかも正確かつ効率的に固相表面上の所定位置に液滴スポットを形成することが可能となる。
【0023】
好ましくは、ノズル毎に異なるプローブを吐出する。
【0024】
これにより、各種の生体試料を含むプローブアレイを製造することができるため、一度で大量の遺伝子解析を行うDNAマイクロアレイの製造などに便利である。
【0025】
好ましくは、プローブを含む溶液の物性的特性に対応して吐出回数を加減し、前記固相表面上に形成される液滴スポットの重量をほぼ均一に揃える。
【0026】
核酸や蛋白質を含有する溶液の粘性、表面張力、接触角などの物性的特性は蛋白質等の種類によって著しく異なるため、固相上に形成する液滴スポットの重量を等しくするには、これら物性的特性を考慮してその吐出回数を加減すること効果的である。
【0027】
好ましくは、プローブを含む溶液の物性的特性に対応してノズル毎の駆動電圧を加減し、前記固相表面上に形成される液滴スポットの重量をほぼ均一に揃える。
【0028】
核酸や蛋白質を含有する溶液の粘性、表面張力、接触角などの物性的特性は蛋白質等の種類によって著しく異なるため、固相上に形成する液滴スポットの重量を等しくするには、これら物性的特性を考慮してその駆動電圧を加減すること効果的である
【発明の実施の形態】
以下、各図を参照して本実施形態について説明する。
【0029】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドの断面図である。インクジェットヘッド10は、シリコン製の加圧室基板11を電極基板12と、流路基板13とによってその両側を肉厚方向に挟持するように積層された3層構造を備えている。加圧室基板11の中央やや下端部には、流路基板13と対向する面において、水酸化カリウム水溶液などで異方性エッチングされた断面舟型の加圧室20が凹陥状に食刻されている。シリコン基板の面方位を(110)とすると、加圧室20はシリコン基板に対して垂直な面に対して約35度の角度をなす斜面から構成される舟型になる。この加圧室20は、圧力室、吐出室、或いは単にキャビティと称することもできる。さらに、同基板の表面及び裏面には熱酸化法によって約1μmの膜厚に成膜されたシリコン酸化膜14が成膜されている。
【0030】
本発明の望ましい態様において、プローブDNAや蛋白質などの各種生体試料が充填される加圧室20は生体材料と親和性に優れた材質、つまり、生体材料に無害である材質で構成されていることが望ましく、加圧室基板11をシリコン基板で構成する場合には、その表面をシリコン酸化膜に表面処理するのが好適である。シリコン酸化膜によれば、親水性に富むため、核酸や蛋白質を含む水溶液を吐出するには好適であり、生体試料にダメージを与えるおそれもない。
【0031】
尚、このようなシリコン基板としては、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、SOI基板の何れでもよく、さらには、シリコン酸化膜の成膜法として、熱酸化法に限らず、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、ゾル・ゲル法、CVD法などの各種の成膜技術を利用できる。また、同図では説明の便宜上、単一の加圧室20のみが図示されているが、実際には紙面に直交する向きに複数の加圧室20が所定の配列ピッチで区画形成されている。
【0032】
一方、流路基板13には、各々の加圧室20に供給する生体試料を貯蔵する共通キャビティ18と、各加圧室20と共通キャビティ18とを連通するオリフィス19と、加圧室20から同基板下端部に開口するノズル22に連通するオリフィス21とが加圧室基板11に対向する面において凹陥状に食刻されている。また、同基板の上端部において、共通キャビティ18に連通する位置に生体試料の供給管17が挿通している。本発明の望ましい態様において、生体試料に接する共通キャビティ18、オリフィス19及びオリフィス21は生体材料と親和性に優れた材質で構成されていることが望ましく、特に、硼珪酸ガラスが好適である。流路基板13を硼珪酸ガラス基板から構成することによって、生体試料との親和性を確保するとともに、加工性に優れているため、生体試料吐出用のインクジェットヘッドの材質として好適である。
【0033】
電極基板12の加圧室基板11に対峙する面においては、電極基板12の上端部から下端部にかけてほぼ一定の微小ギャップを形成せしめるだけの凹陥部23が食刻成形されている。微小ギャップの間隔はインクジェットヘッド10を静電駆動するために必要かつ十分な間隔であることが必要であり、例えば、0.2μmが好適である。当該凹陥部23の底面には加圧室基板11との間で静電力を形成せしめるための細長い電極15が成膜されている。電極15を成膜するには、例えば、スパッタ法を用いてインジウム・ティン・オキサイドを約0.1μmの厚さで成膜すればよい。同図では説明の便宜上、単一の電極15のみが図示されているが、実際には紙面に直交する向きに加圧室20の配列ピッチに対応して複数の電極15が形成されている。本発明の望ましい態様として、加圧室基板11、電極基板12、及び流路基板13は生体試料と親和性に優れた接合手段で接合するのが好適である。接着剤などで接合すると、硬化剤等の溶出で生体試料にダメージを与えるおそれがあるためである。このような接合手段として、特に、陽極接合が望ましい。陽極接合によれば、静電気の吸引力で強力に接合できるため、接着剤の含有成分が生体試料に溶出するなどの不都合がなく、生体試料との親和性に優れている。かかる事情に鑑みれば、シリコン基板からなる加圧室基板11との陽極接合をするには、電極基板12の材質として、硼珪酸ガラス基板が好適である。硼珪酸ガラス基板を用いれば、アルカリイオンを多く含み、陽極接合に好適であるだけでなく、熱膨張係数がシリコン基板とほぼ一致するため、基板の接合面における歪みが少ない確実な接合が得られる。
【0034】
電極基板12と加圧室基板11とを陽極接合するには、断面コの字状の電極基板12の下端肉厚部と加圧室基板11の下端部とを精密に位置合わせをしつつ、適度な圧着力で両者を重ね合わせて、300℃〜500℃近くに昇温させ、1×10-4Torr程度の真空若しくは窒素雰囲気下において、シリコン基板側が正電位となるように両基板間に200V〜1000Vの直流電圧を印加する。すると、硼珪酸ガラス基板に含まれているアルカリ金属イオンであるナトリウムイオンが硼珪酸ガラス基板の反対側(図示左側)の表面に偏析する。一方、同基板中に残留する多量のマイナスイオンがシリコン基板との接合面に空間電荷層を形成して、シリコン基板と硼珪酸ガラス基板との間に強い静電吸引力を誘起し、両者を強力に接合せしめる。硼珪酸ガラス基板からなる流路基盤13と、シリコン基板からなる加圧室基板11とを接合する場合も同様の手順で接合することができる。加圧室基板11と電極基板12とを陽極接合したならば、両者の微小ギャップを維持するために、エポキシ樹脂などの適度な弾力性と絶縁性に優れた支持部材24を同基板の上端部において、微小ギャップの間に挿嵌する。
【0035】
尚、陽極接合に硼珪酸ガラス基板を用いる場合には、同ガラス基板中にMgO,Al23,CaOなどを添加することにより、同ガラス基板の熱膨張係数をシリコン基板の熱膨張係数に合わせて陽極接合時の熱応力を低減するように調整してもよく、また、シリコン基板温度よりも硼珪酸ガラス基板温度の方をやや高めに設定することで熱応力による基板の変形量の差を小さくし、接合面における反りをなるべく生じないようにするのが好ましい。また、電極基板11や流路基板13として硼珪酸ガラス基板に限らず、表面を酸化処理したシリコン基板を用いてもよい。特に、電極基板12にシリコン基板を用いる場合には、電極15が成膜されるべき個所にp型若しくはn型の不純物を拡散することで、電極15の役割を担う電極層を形成することができる。
【0036】
上記のようにして構成されたインクジェットヘッド10を駆動するには、加圧室基板11の上端面に成膜された金若しくは白金からなる共通電極26と、電極基板12に成膜された電極15との間に外部電源25からの出力電圧を印加する。当該出力電圧は振幅0Vから35Vの矩形状のパルス波とする。すると、電極15の表面がプラスに帯電する一方で、対向する加圧室基板11の表面がマイナスに帯電する。この結果、両者には静電力が作用することとなるが、加圧室基板11の肉薄部分である加圧室20の底部が電極基板12側にわずかに撓み、弾性変形をする。つまり、加圧室20の底部に位置する可塑性のシリコン酸化膜14は静電駆動によって弾性変形を行い、加圧室20内の圧力調整を行う振動板16として機能する。次いで、電極15へ印加される電圧をオフにすると、静電力が解除されて振動板16は元の位置に復元するため、加圧室20内の圧力が瞬間的に急激に高まり、オリフィス21を経てノズル22から生体試料がドット状の微小液滴30として吐出する。液滴30は数ピコリットル程度のマイクロドットである。加圧室20側に撓んだ振動板16はその反動で電極基板12側に再度撓み、加圧室20内の圧力を急激に下げることによって、共通キャビティ18よりオリフィス19を通じて加圧室20へ生体試料を補給する。
【0037】
液滴30の吐出方向にはプローブの支持体(固相)としてのスライドガラス40が配置されており、プローブDNAや蛋白質などの各種生体試料を含む液滴30をスライドガラス40上に吐出し、これらプローブを同基板上に吸着させることによって、高集積化されたプローブアレイを作製することができる。プローブを含む溶媒として、透明ガラス基板40上へ付着させたときのスポット形状が円形となり、かつ吐出スポットが広がることによって、隣接する吐出スポット同士のクロスコンタミネーションが生じないような溶媒を用いるのが望ましい。このような溶媒として、生体試料を変性させることなく、安定した液滴吐出が可能であれば、特に限定されるものではない。安定した液滴吐出を可能ならしめるには、粘度1cPs〜20cPs、表面張力30mN/m〜50mN/mとなる範囲が望ましい。プローブをスライドガラス40の表面上に安定的に固定するには、固相表面と化学的に吸着しやすい官能基などを導入するのが好ましい。例えば、一本鎖DNA断片を固定するには、DNA鎖末端にチオール基を導入しておく一方で、スライドガラス40の表面にマレイミド基を導入しておくことで、両者の結合を介してプローブDNAを安定的に固定することができる。
【0038】
図3はインクジェットヘッド10から吐出される液滴の粘度と、1発あたりの吐出重量との関係をグラフに表したものである。同図に示すように、粘度10cPsでは1発あたりの吐出重量が約100ngであるのに対し、粘度30cPsでは1発あたりの吐出重量が約30ngであることが本発明者の実験により確認できている。プローブDNAや各種蛋白質を含む溶液においては、核酸や蛋白質の種類に応じて粘度が著しく相違するため、同一のインクジェットヘッドを用いてノズル毎に異なる蛋白質溶液を吐出すると、1発あたりの吐出量がノズル毎に相違する。このように、ノズル毎に吐出液の重量が異なると、スポット毎にプローブの集積密度が異なるため、均質なプローブアレイを製造することができない。このため、本発明においては、同一のインクジェットヘッドを用いて粘度の異なる蛋白質溶液等を異なるノズルから吐出する際に、液滴の吐出回数をノズル毎に予め設定しておくことによって、スライドガラス上への吐出重量がほぼ均一となるように調整する。
【0039】
図2はプローブアレイの製造手順を説明するための図である。同図において、31、32,33はそれぞれ異なる核酸や蛋白質などの各種生体試料を含む溶液を所定重量だけスライドガラス40上に吐出、着弾させ、略円形の広がりをもって形成せしめた液滴スポットである。これらの液滴スポット31,32,33はインクジェットヘッドの走査方向(図示右方向)に沿って所定のピッチで一列に配列している。これらの液滴スポットに含まれる核酸、蛋白質などはそれぞれ異なるため、粘度も著しく相違する。そこで、例えば、液滴スポット31は1発、液滴スポット32は3発、液滴スポット33は2発という具合にノズル単位で吐出回数を変えることによって、それぞれの液滴スポットの重量がほぼ等しくなるように調整している。
【0040】
尚、液滴スポットの重量を均一化するには、上述のように液滴の粘度に応じて吐出回数を調整する手法の他、ノズル毎の駆動電圧の設定を予め変えることによって、液滴スポットの重量を均一化してもよい。また、固相上に固定するプローブとしては、ターゲットDNAと相補的な塩基配列を有するプローブDNAに限らず、例えば、レセプターと特異的に結合するリガンド、抗原と特異的に結合する抗体、酵素と特異的に結合する基質などの各種蛋白質等をプローブとして用いることも可能である。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、インクジェットヘッド10を硼珪酸ガラス基板とシリコン基板とによって構成することにより、核酸や蛋白質などの各種生体試料と親和性のあるインクジェットヘッド10を実現でき、プローブアレイの製造等に好適である。また、インクジェットヘッド10は、硼珪酸ガラス基板とシリコン基板を主要構成部材としているため、半導体製造プロセス等で利用されているリソグラフィ工程を用いて容易に設計、加工することができ、さらに、デバイスパラメータの変更はフォトマスクのパターンを変更するだけで済むため、設計変更に便利である。特に、蛋白質等を含む溶液の粘性は通常のインクと比較すると、蛋白質等の種類に応じて粘性、表面張力などの物性的特性が著しく異なるため、インクジェットヘッドのノズル径、ノズルピッチ等の各寸法を最適化する必要があるが、フォトマスクのパターンを変更するだけで容易に設計変更できるため、便利である。さらに、半導体製造プロセスによれば、高精度な微細加工が可能となるため、寸法精度がよく、プローブアレイを製造する際の液滴スポットの大きさにばらつきがない。また、半導体製造プロセスを流用しているため、低コストで生産性に優れている。
【0042】
また、硼珪酸ガラス基板とシリコン基板との接合手段として、陽極接合を利用しているため、生体試料に有害な接着剤等を使用する必要がなく、バイオコンパビリティに極めて優れている。また、硼珪酸ガラス基板とシリコン基板とを接着剤等で接合すると、酸洗浄、加熱処理、紫外線照射等によって接着剤が溶出するおそれがあるが、これらの基板を陽極接合することにより、酸洗浄等を行っても生体試料に有害とはならず、しかも洗浄によって繰り返し再使用が可能となるため、非常に経済的である。また、静電力で駆動するため、バブルジェット(登録商標)のように蛋白質等を変性させるおそれもなく、さらに装置構成を極めて簡素化できるため、インクジェットヘッドの小型化が可能でデッドボリュームを小さくできる。また、ノズルの狭ピッチ化により、高密度のスポット形成が可能である。さらに、静電駆動によれば、アクチュエータの信頼性が高く、長寿命である上に、高周波駆動が可能となり、高速吐出が可能となる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態においては、生体試料含有溶液等の吐出液を供給するための供給管17が側壁ではなく、吐出口(ノズル22)と反対側、すなわち上部に、生体試料の供給口が設けられている。
図4、図5は、このような吐出口と反対側に生体試料の供給口が設けられた第2の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの具体例を説明するための図である。
図4(a)及び(b)に示すように、第2の実施形態に係る液滴吐出ヘッド110は、加圧室を有するシリコン製の第2の基板111が電極を有するガラス製の第1の基板112及び加圧室を覆うように設けられたガラス製の第3の基板113とによってその両側を肉厚方向に挟持するように積層された3層構造を備えている。
図5(a)は、第2の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの上面図を示し、図5(b)及び図5(c)は、各々、図5(a)中のA−A方向における断面図、B−B方向における断面図を示す。
図5(a)に示すように、第1の基板112上に設けられた第1の電極115の末端は、外部電源(図示せず)と接続し得る電極取り出し部となっており、電極取り出し部の周囲は、耐熱性樹脂よりなるシール127で保護されている。シール127に用いられる耐熱性樹脂としては、特に限定するものではないが、廃棄時に特別の処理を要しないという観点からは、ポリエステル、ポリプロピレン等の塩素等を含まない樹脂を用いることが好ましい。
次に、液滴吐出ヘッド110を構成する各基板について、図5(b)を参照しながら説明する。
図5(b)に示されるように、第1の基板112の第2の基板111に対峙する面には、第2の基板との間にほぼ一定の微小ギャップを形成せしめるだけの凹陥部123が形成されている。当該凹陥部123の底面には第2の基板111との間で静電力を形成せしめるための第1の電極115が成膜されている。第1の電極115は、スパッタ法を用いてインジウム・ティン・オキサイド(ITO)を約0.1μmの厚さで成膜すればよい。なお、第1の電極115には、ITO以外の導電材料を用いることができる。他の導電材料としては、金、銅、アルミニウム等の特別管理産業廃棄物に指定されていない導電材料を用いることが好ましい。かかる材料を用いると、廃棄時に特別の処理を要せず、廃棄時のコストも低減し得る。
第2の基板111には、第3の基板113と対向する面において、ノズル122、断面舟形の加圧室120、オリフィス119、キャビティ118が直線状に連通するように設けられている。さらに、同基板の裏面及び表面には、熱酸化法等によって約1μmの膜厚に成膜されたシリコン酸化膜114が成膜されている。外部から供給される生体試料含有溶液等の液体は、一旦、キャビティ118に受けられた後、オリフィス119を通じて加圧室120に導入され、ノズル122から吐出される。また、第2の基板は、第1の基板112上に設けられた第1の電極115の末端の電極取り出し部に対応する部分が凹んでおり、第1の電極115を外部電源と接続しやすいように設計されている。第2の基板111上に設けられた加圧室120の側部であって、第1の電極115の電極取り出し部に該当する凹部付近に、第1の基板上の第1の電極115との間で所定の電圧を付与するための第2の電極126が設けられている。このような第2の電極126には、例えば金又は白金等の導電材料を用いることができる。重金属を電極として用いることもできるが、環境に優しいという観点からは、重金属以外の導電性材料を用いることが好ましい。
第3の基板113は、第1の基板112上に設けられた第1の電極115の電極取り出し部及び第2の基板111上に設けられ第2の電極126と、外部電源を接続しやすくするために、第1の電極115及び第2の電極126に対応する分だけ、第1の基板112及び第2の基板111より狭い幅で形成されている。第3の基板113は、生体試料含有溶液等の吐出用の液体との親和性に優れた材質で構成されていることが望ましく、特に、硼珪酸ガラスが好適である。硼珪酸ガラスは、アルカリイオンを多く含み、陽極接合に好適であるだけでなく、熱膨張係数がシリコン基板とほぼ一致するため、基板の接合面における歪みが少ない確実な接合が得られる。
第1の基板112と第2の基板111と第3の基板113は、陽極接合により接合される。なお、希フッ酸溶液により接合されていてもよい。
上記のように構成されるヘッド110を駆動するには、図5(a)及び(c)に示される、第2の基板111の上面の一部に成膜された金又は白金等からなる第2の電極126と、第1の基板112に成膜された第1の電極115との間に外部電源125からの出力電圧を印加する。すると、第2の基板111の肉薄部分である加圧室120の底部が第1の基板112側に僅かに撓み、弾性変形する。その他の詳細な動作機構については、上述したとおりである。
なお、本発明の液滴吐出ヘッド110は、図4(c)に示すように、液体貯留用タンク150がホルダ160を介して一体的に形成されていてもよい。また、タンク150には、通気孔を有するキャップ170が備えられていてもよい。
上記第1及び第2の実施の形態において、特に生体試料との親和性にも優れるという観点から、第1の基板(電極基板)、第3の基板(流路基板)としてガラス基板を用い、第2の基板(加圧室基板)としてシリコン製基板を用いた。しかし、ヘッドの紫外線滅菌処理又は蒸気過熱滅菌処理という観点からは、上記材質に限定されることはない。第1乃至第3の基板としては、紫外線滅菌処理又は蒸気過熱滅菌処理が可能な基板であればよく、例えば、シリコン又はガラス(例:硼珪酸ガラス、石英ガラス)等のシリコン系基板、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又はテフロン(登録商標)等の樹脂基板といった、紫外線透過性材料又は耐熱・耐湿性材料からなる基板を用いることができる。このような紫外線透過性材料又は耐熱・耐湿性材料からなる基板としては、シリコン系基板が好ましい。全ての基板の材質をシリコン系基板に統一することにより、リサイクルが容易となり、環境に優しい製品の提供が可能となる。
具体的には、上記第1及び第2の実施の形態においては、第2の基板としてシリコン製基板を用いたが、第1の基板、第3の基板と同様、ガラス基板で形成されていてもよく、また、水晶製基板を用いて形成されていてもよい。ヘッドを構成する全ての基板が、ガラス又は水晶製基板から形成されることになるので、溶融して容易にガラスの原料としてリサイクルが可能となり、また、生体試料との親和性にも優れる。なお、この際、各基板は、希フッ酸により接合されていてもよい。このように希フッ酸により基板を溶融させ接合することで、接着剤などを使用せずに基板を接合できるため、生体試料にダメージを与えることがなく、また、リサイクル時においてもガラスの原料に接着剤等の添加物が混入することがないので好ましい。
また、第1の基板と第3の基板がガラス基板の代わりに、シリコン基板から形成されていてもよい。ヘッドを構成する基板が全てシリコン基板より形成されることになるので、容易に鋼材やアルミ材等の添加物にリサイクル可能となる。また、耐久性に優れ、生体試料との親和性にも優れる。この際、各基板は、希フッ酸により接合されていてもよい。接着剤などを使用せずに接合できるため、生体試料にダメージを与えることがなく、リサイクル時においても不要な不純物が混入することがない。
上記実施形態においては、第1の基板112及び第3の基板113を構成する材料としてはガラスを用いているが、このような通常のガラスの代わりに感光性材料またはフォトクロミック材料、例えば感光性ガラスまたはフォトクロミックガラスを用いてもよい。フォトクロミックガラスとしては、ハロゲン化銀等の感光性物質を含むものを用いてもよく、また、光誘起欠陥が生成することによって着色させるような感光性物質を含まないもの(CdO系,ZnO系,CaO−Al2O3系ガラス)を用いてもよい。このような中でも、特に、ハロゲン化銀が添加された硼珪酸ガラスからなるフォトクロミックガラスであって、前記硼珪酸ガラスの組成及び前記ハロゲン化銀の粒径を調整することで退色時間が調整したものが好ましい。また、感光性ガラスとしては、感光性金属として、例えば少量の金、銀、銅、及びパラジウムイオン、光増感剤として、例えばセリウムイオン、並びに熱還元剤として、例えば酸化アンチモン及び酸化スズが添加された感光性ガラスも好ましく用いられる。このようなフォトクロミックガラス又は感光性ガラスを用いることで、ヘッドを例えば、高圧水銀ランプ等を用いた紫外線照射による殺菌をすることができ、かつ、殺菌時以外に光による試料への影響をより確実に抑えることが可能となる。なお、いうまでもなく、フォトクロミックガラス又は感光性ガラスのガラス原料としては、硼珪酸ガラス以外のガラス、例えば、アルミノケイ酸塩ガラス等を用いてもよい。
また、硼珪酸ガラスの組成及び前記ハロゲン化銀の粒径と退色時間の関係は、具体的には、ガラスハンドブック(朝倉書店)に記載の方法により調整可能である。
また、フォトクロミックガラスは、特に限定するものではないが、殺菌に用いられる約253.7nmの波長を考慮すると、短波長に感度を有する塩化銀を主成分とすることが好ましく、これに臭素やヨウ素を添加することで、長波長側へ感度を調整することが可能である。
また、上記実施の形態において、第3の基板として、石英ガラスを用いてもよい。第3の基板に石英ガラスを用いると、石英ガラスの熱膨張率は、第2の基板を構成するシリコン基板よりも、著しく小さいので、液体窒素等で急冷することで容易に分離することが可能となる。なお、第2の基板と第3の基板を、希フッ酸により、各基板のSiO2成分を溶融させることで接合してもよい。より具体的には、第2の基板と第3の基板を所定の位置で密着させた後、極小量の希フッ酸を界面に加えることにより、毛細管現象によって、接合面全体に希フッ酸をいきわたらせることができる。第2の基板と第3の基板の接合面では、下記反応により、接合されると考えられる。
SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2
[第3の実施形態]
図6(a)に、本発明の第3の実施形態に係る液滴吐出ヘッドを説明する断面図を示す。第3の実施形態に係る液滴吐出ヘッド210は、第2の基板211の両側を、形状記憶樹脂製の第3の基板213と第1の基板212により肉厚方向に挟持された積層構造を備えている。また、第2の基板211は、ノズル口222及びノズル口と加圧室220を接続する流路を形成するために、第3の基板213と第1の基板212より、短めに形成されている。第3の基板213には、さらに、第1の基板212との間で、所望の口径のノズル222を形成するための部材211’が接合されている。また、必要に応じて、第1の基板の外側に、さらに、形状記憶樹脂より形成されるホルダ229が形成されていてもよい。このようなホルダ229が接合されることにより、例えば、液滴吐出装置の筐体に、容易に収納することが可能となる。
第3の基板213は、形状記憶樹脂を用いて形成されており、ヘッドに液体を供給するための流路228が一体となって形成されている。このような形状記憶樹脂としては、例えばポリウレタン系樹脂等が用いられる。また、流路228には、さらに、液体を貯留するための液体貯留用タンクが一体となって形成されていてもよい。
第2の基板211には、第3の基板213と対向する面に、キャビティ218と、加圧室220と、キャビティ218と加圧室220を連通するオリフィス219が形成されている。加圧室220の底部は薄肉となっており、振動板216として機能する。また、加圧室220を構成する凹部の一端は開放されており、加圧室220は、上記部材211’と第1の基板212により構成される流路を通じてノズル222に連通している。
第1の基板212には、加圧室220底部に形成された振動板216との間で、ほぼ一定の微小ギャップを形成せしめるだけの凹陥部223が形成されている。微小ギャップの間隔は、液滴吐出ヘッド210を静電駆動するために必要かつ十分な間隔であることが必要であり、例えば、0.2μmが好適である。当該凹陥部223の底面には第2の基板211との間で静電力を形成せしめるための第1の電極215が成膜されている。このような第1の電極215については、上述した説明が適宜参照される。
第2の基板211と第1の基板212は、生体試料を吐出液に用いる場合には、生体試料と親和性に優れた接合手段で接合するのが好適である。このような手段としては、上述の説明が適宜参照される。このように接合された第2の基板211と第1の基板212の結合体、及び、ノズル222を形成する部材211’は、さらに、第3の基板213に圧入することで接合される。第3の基板213は、前述のように形状記憶樹脂(例えば、ポリウレタン樹脂)から形成されているので、使用後に、所定の温度に加熱すると記憶していた形状に復帰し、図6(b)に示すように、流路228と一体に成形された第3の基板213部分が容易に分離される。このように樹脂で形成された流路基板と、ガラス部材等により形成された第2の基板211、第1の基板212を容易に分離することができるので、廃棄の際に分別廃棄が可能となり、環境にも優しい。また、形状記憶樹脂の形状復帰温度は、樹脂の組成や重合度を調整することで調整することが可能であり、例えば、オートクレーブ処理温度(例えば、121℃)より高く設定することも可能である。
なお、第1の基板212、第2の基板211の材質は、例えば、シリコン基板、ガラス基板、樹脂基板等を用いることができ、本実施形態の効果を達成し得る限り、特に限定されるものではない。ただし、吐出液として、生体試料含有溶液を使用する場合には、第2の基板211は、生体試料と親和性のよい例えばシリコン基板、ガラス基板等により構成されていることが好ましい。
本実施形態に係る液滴吐出ヘッドは、第1の基板212に設けられた第1の電極215と第2の基板211に設けられた第2の電極(図示せず)を外部電源(図示せず)に接続し、所定の電圧を付与することにより駆動できる。駆動機構の詳細については、上述の説明が適宜参酌し得る。
第1の実施形態におけるプローブアレイの製造方法の説明は、第2及び第3の実施形態の液滴吐出ヘッドにおいても適宜参酌される。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラス製の電極基板と、シリコン製の加圧室基板でインクジェットヘッドを構成するため、核酸や蛋白質などの生体試料との親和性が高く相性がいい上に、バブルジェット(登録商標)方式のように発熱を併有しない静電駆動方式であるため、生体試料にダメージを与えることなく、固相表面上への安定した吐出を可能にできる。また、電極基板と加圧室基板とを陽極接合することによって、接着剤などを使用せずに電極基板と加圧室基板とを接合できるため、生体試料にダメージを与えることがない。また、加圧室の内壁面はシリコン酸化膜によって親水性に表面処理されているため、加圧室は核酸や蛋白質等の生体試料を含有する水溶液に対して親和性に優れているため、安定した生体試料の吐出が可能となる。
【0044】
本発明のプローブアレイの製造方法では、本発明のインクジェットヘッドを用いることにより、生体試料にダメージを与えることなく、しかも正確かつ効率的に固相表面上の所定位置に液滴スポットを形成することが可能となる。また、ノズル毎に異なるプローブを吐出することによって、各種の生体試料を含むプローブアレイを製造することができるため、一度で大量の遺伝子解析を行うDNAマイクロアレイの製造などに便利である。また、プローブを含む溶液の物性的特性に対応して吐出回数若しくは駆動電圧を加減し、前記固相表面上に形成される液滴スポットの重量をほぼ均一に揃えることができる。
【0045】
また、本発明のインクジェットヘッドは、プローブを含む溶液を吐出する用途に限定されるものではなく、例えば、固相上でプローブDNAを合成する用途や、生体試料や試薬を分注する用途においても効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係わるインクジェットヘッドの断面図である。
【図2】プローブアレイの製造工程の説明図である。
【図3】液滴の粘性に対する1発あたりの吐出重量のグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの具体例を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの具体例を示す上面図及び断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る液滴吐出ヘッドを説明する断面図である。
【符号の説明】
10…インクジェットヘッド、11…加圧室基板、12…電極基板、13…流路基板、14…シリコン酸化膜、15…電極、16…振動板、17…供給管、18…共通キャビティ、19…オリフィス、20…加圧室、21…オリフィス、22…ノズル、23…凹部、24…支持部材、25…電源、26…共通電極、30…液滴、40…スライドガラス、110…インクジェットヘッド、111…第2の基板、112…第1の基板、113…第3の基板、114…シリコン酸化膜、115…第1の電極、116…振動板、118…キャビティ、119…オリフィス、120…加圧室、122…ノズル、123…凹部、126…第2の電極、127…シール、150…液体貯留用タンク、160…ホルダ、170…キャップ、171…通気孔、210…インクジェットヘッド、211…第2の基板、212…第1の基板、213…第3の基板、214…シリコン酸化膜、215…第1の電極、216…振動板、218…キャビティ、220…加圧室、222…ノズル、223…凹部、228…流路、229…ホルダ

Claims (5)

  1. 生体試料を含有する溶液を固相上に吐出するための液滴吐出ヘッドであって、
    表面に電極を有する第1の基板と、
    一面側が前記第1の基板と微小ギャップを介して配置されて、前記電極の電位差に対応する静電力によって弾性変形する振動板と変位により加圧室内の圧力を加減し、前記加圧室内に充填されている前記溶液をノズル孔から吐出するための加圧室を有する第2の基板と、
    前記第2の基板の、他面側に接合される第3の基板とを備え、
    前記第1乃至第3の基板のうち少なくともいずれか1つの基板を紫外線透過性材料とし、又は、前記第1乃至第3の基板全てを耐熱・耐湿性材料として、紫外線又は蒸気加熱処理による滅菌を可能とした、液滴吐出ヘッド。
  2. 前記紫外線透過性材料又は耐熱・耐湿性材料がシリコン系基板である、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記シリコン系基板が、水晶基板又はガラス基板である、請求項2に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記シリコン系基板が、シリコン基板である、請求項2に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記電極が、ITO、金、銅、及びアルミニウムのうちのいずれか一つから形成される、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
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