JP2006267077A - 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及び液滴吐出ヘッドの洗浄方法 - Google Patents
液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及び液滴吐出ヘッドの洗浄方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 本発明は、流路内に吸着した物質、特に生体分子等の有機物質を容易かつ十分に除去することが可能な液滴吐出ヘッドの洗浄方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、液体を吐出するノズル(30)と、ノズルから液体を吐出させるために液体に加圧する加圧室(18)と、加圧室(18)に供給するための液体を貯蔵するキャビティ(20)と、キャビティから加圧室に連通するオリフィス(22)と、を有し、加圧室、キャビティ、及び/又はオリフィス内に光を照射可能である液滴吐出ヘッドの洗浄方法であって、液体の吐出後に、加圧室、キャビティ、及びオリフィス内に洗浄液を供給する供給工程と、加圧室、キャビティ、及び/又はオリフィス内に光を照射する光照射工程と、洗浄液を加圧室、キャビティ、及びオリフィス内から除去する除去工程と、を含む方法を提供するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明は、液体を吐出するノズル(30)と、ノズルから液体を吐出させるために液体に加圧する加圧室(18)と、加圧室(18)に供給するための液体を貯蔵するキャビティ(20)と、キャビティから加圧室に連通するオリフィス(22)と、を有し、加圧室、キャビティ、及び/又はオリフィス内に光を照射可能である液滴吐出ヘッドの洗浄方法であって、液体の吐出後に、加圧室、キャビティ、及びオリフィス内に洗浄液を供給する供給工程と、加圧室、キャビティ、及び/又はオリフィス内に光を照射する光照射工程と、洗浄液を加圧室、キャビティ、及びオリフィス内から除去する除去工程と、を含む方法を提供するものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、生体試料等を含む液体を吐出した後、容易かつ十分に洗浄することのできる液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置、ならびに液滴吐出ヘッドの洗浄方法に関する。
近年、核酸やタンパク質、細胞等の生体由来分子が基板上に固定化されたいわゆるマイクロアレイを用い、生体分子間の結合の特異性を利用して、サンプル中の標的物質を検出・測定する方法が広く用いられている。
特開平11−187900号公報では、標的物質に対して特異的に結合可能であるプローブを含む液体をインクジェット法により固相表面に供給し、該固相表面に付着させる工程を有することを特徴とするプローブの固相へのスポッティング方法が開示されている。
特開平11−187900号公報
しかしながら、生体分子等は、シリコン等の材料で形成される液滴吐出ヘッドの流路の内壁に吸着しやすい。微小な流路内は洗浄も困難であり、十分に洗浄せずに使用すると、コンタミネーションが生じるおそれもあり、製造されるマイクロアレイの精度だけでなく、このマイクロアレイを用いて得られた測定結果の信頼性も低下させることとなる。
そこで、本発明は、流路内に吸着した物質、特に生体分子等の有機物質を容易かつ十分に除去することが可能な液滴吐出ヘッドの洗浄方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る液滴吐出ヘッドの洗浄方法は、液体を吐出するノズルと、該ノズルから液体を吐出させるために該液体に加圧する加圧室と、該加圧室に供給するための液体を貯蔵するキャビティと、該キャビティから該加圧室に連通するオリフィスと、を有する液滴吐出ヘッドの洗浄方法であって、前記液体の吐出後に、前記加圧室、前記キャビティ、及び前記オリフィス内に洗浄液を供給する供給工程と、前記加圧室、前記キャビティ、及び/又は前記オリフィス内に光を照射する光照射工程と、前記洗浄液を前記加圧室、前記キャビティ、及び前記オリフィス内から除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
加圧室、キャビティ、オリフィス(以下併せて「流路」という。)内に、UV等十分なエネルギーを有する光を照射すると、流路内に汚染物質として付着した生体物質等の有機物質において、カルボキシル基等から水素原子が引き抜かれる。一方、洗浄液中の酸素に光が照射されるとオゾン(O3)が産生され、さらにオゾンが分解されると励起酸素原子が産生される。励起酸素原子は、生体物質の水素原子が抜けた不安定な部分を攻撃し、酸化反応を起こして流路の内壁に付着した有機物質を除去しやすくする。
上記洗浄方法は、液滴吐出ヘッドの流路の内壁の少なくとも一部が光触媒能を有する物質で覆われていると更に有効である。光触媒効果を有する物質に光を照射すると、周囲のヒドロキシイオン等と反応し、活性酸素等高エネルギーの分子が産生される。この分子によって流路の内壁に付着した生体分子等の原子間結合が切断され、構造を変化させることによって除去しやすくすることができる。
また、本発明に係る洗浄方法では、上記除去工程では、ノズルに密着可能な吸引手段を用い、洗浄液をノズルから吸引することによって行うことが好ましい。ノズルから流路内の液体を吸引除去することによって、光照射によって内壁から外れた、または外れやすくなった汚染物質を液体と共に効率よく除去することができる。なお、吸引手段は、液体の供給工程でも用いることができる。
本発明に係る洗浄方法に用いられる洗浄液は、酸素を含むものである限り、特殊な洗剤を含むものであってもよいし、水でもよいが、流路内に残留した場合も次の測定にほとんど影響を与えない純水とすることが好ましい。
また、本発明に係る洗浄方法に用いられる光源は、紫外波長の光を照射可能であることが好ましい。十分に短波長の光は、エネルギーも高く、酸素の分解や有機物の結合の切断を効率よく行うことができる。
さらに、本発明は、上述した本発明に係る洗浄方法に適した液滴吐出ヘッド、及び当該液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置も提供する。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体を吐出するための液滴吐出ヘッドであって、前記液体を吐出するノズルと、該ノズルから液体を吐出させるために該液体に加圧する加圧室と、該加圧室に供給するための液体を貯蔵するキャビティと、該キャビティから該加圧室に連通するオリフィスと、を有し、前記加圧室、前記キャビティ、及び前記オリフィス内に、光を照射可能であって、前記加圧室、前記キャビティ、及び前記オリフィスの内壁の少なくとも一部が、光触媒効果を有する物質で覆われていることを特徴とする。
このような構成によれば、光触媒効果を有する物質に光を照射することができ、流路の内壁に付着した生体分子等の有機物の原子間結合を切断し、構造を変化させることによって除去しやすくすることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、加圧室、キャビティ、及びオリフィスが、対向配置された加圧室基板と流路基板との間に形成され、加圧室基板の流路基板と反対側の表面は、微小ギャップを介して電極基板に対向配置されており、加圧室基板が、電極基板が備える電極との電位差に対応する静電力によって弾性変形する振動板に接合され、電極基板と、流路基板とが透明材料から構成されていることが好ましい。
このような静電駆動型の液滴吐出ヘッドであれば、電極基板と流路基板とを透明材料で形成することによって、加圧室、キャビティ、又はオリフィスの内壁に光を照射可能な構成とすることができる。
さらに、本発明に係る液滴吐出ヘッドにおいては、光触媒効果を有する物質で覆われた加圧室、キャビティ、及び/又はオリフィスの内壁が、親水性であることが好ましい。内壁が撥水性であると、気泡が停留し、詰まりの原因となりやすいからである。
このような光触媒効果を有する物質としては、二酸化チタンが特に好ましい。二酸化チタンは、親水性が高く、また比較的長波長のUV照射によって周囲のOH-イオンと反応して高エネルギーのヒドロキシラジカルを生じ、このヒドロキシラジカルが有機物質の原子間結合を効率よく切断するからである。
また、本発明は、上述した本発明に係る液滴吐出ヘッドと、当該液滴吐出ヘッドの流路内の全部または一部に光を照射可能な光照射手段と、を備える液滴吐出装置も提供する。かかる液滴吐出装置は、吐出ヘッド内に光を照射することによって、該吐出ヘッド内の液体の流路を容易且つ十分に洗浄することができる。なお、光照射手段は、紫外波長の光源であることが好ましい。
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
〔液滴吐出ヘッド〕
図1に本発明に係る液滴吐出ヘッドの一例として、インクジェットヘッド10の断面図を示す。インクジェットヘッド10は、主として核酸やタンパク質等の生体試料を含む液体を、ガラス基板等の固相表面に吐出してマイクロアレイを作製するために用いられる。インクジェットヘッド10は、加圧室基板14と流路基板12と電極基板16とを有し、加圧室基板14の一面側に流路基板12が、他面側に電極基板16が対向配置されている。
〔液滴吐出ヘッド〕
図1に本発明に係る液滴吐出ヘッドの一例として、インクジェットヘッド10の断面図を示す。インクジェットヘッド10は、主として核酸やタンパク質等の生体試料を含む液体を、ガラス基板等の固相表面に吐出してマイクロアレイを作製するために用いられる。インクジェットヘッド10は、加圧室基板14と流路基板12と電極基板16とを有し、加圧室基板14の一面側に流路基板12が、他面側に電極基板16が対向配置されている。
加圧室基板14と流路基板12との間には、加圧室18、キャビティ20及びオリフィス22が形成されている。加圧室18は、加圧室基板14に形成された凹部19と流路基板12との間に形成される。加圧室基板14はシリコンで形成され、凹部19は水酸化カリウム水溶液などによる異方性エッチングで舟形状の断面となるように形成されている。キャビティ20も、加圧室18と同様に、加圧室基板14に形成された凹部21と流路基板12との間に形成される。本実施形態では、オリフィス22は、加圧室基板14の凸部23と流路基板12の凹部25との間に形成されている。
加圧室基板14の流路基板12に対向する面、及び流路基板12の加圧室基板14に対抗する面、即ち、加圧室18、キャビティ20、およびオリフィス22の内壁は、光触媒効果を有する物質によってコーティングされている。光触媒は内壁の一部を覆っていれば光照射により活性酸素等を生じるが、反応速度、およびコーティングの容易さの点で、内壁の全面を覆っていることが好ましい。光触媒能を有する物質とは、TiO2、ZnO、SrTiO3、WO3、Bi2O3、Fe2O3、SnO2等が挙げられるが、中でも親水性の高いTiO2が好ましい。これらの光触媒能を有する物質のコーティングの方法は特に限定されず、公知の方法またはそれに準ずる方法によって行うことができる。例えば、TiO2の場合、粉末状のTiO2と無機バインダの混合剤をスプレーコート法、含浸法、スピンコート法、ディップコート法等によりコーティングする方法や、チタンアルコキシドを出発材料とするゾル−ゲル法等によって行うことができる。中でも、光触媒能が充分に発揮される点で、ゾル−ゲル法が好ましい。
一方、加圧室基板14の電極基板16と対向する面には、振動板として酸化シリコン膜15が形成されている。酸化シリコン膜15は、例えば熱酸化法によって約0.1μmの膜厚に形成することができる。
なお、加圧室基板14を構成するシリコン基板としては、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、SOI基板のいずれであってもよく、酸化シリコン膜15の形成方法も熱酸化法に限らず、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、ゾル・ゲル法、CVD法などの各種の成膜技術を利用することができる。また、図1では、便宜上、単一の加圧室18が図示されているが、実際には紙面に直行する方向に、複数の加圧室18が所定の配列ピッチで区画形成されている。
電極基板16と加圧室基板14との間には微小ギャップ24が設けられている。微小ギャップは、電極基板16表面に、エッチング法等により凹部26を設けることによって形成することができる。微小ギャップの間隔は、インクジェットヘッド10を静電駆動するために必要かつ十分な間隔であることが必要とされ、例えば、0.2μmとすることができる。
また、電極基板16の加圧室基板14に対向する面には、電極17が形成されている。電極17は、例えば、スパッタ法を用いて、インジウム・ティン・オキサイドを0.1μmの厚さで成膜することによって得られる。図1では、説明の便宜上、単一の電極17のみが図示されているが、実際には、紙面に直行する方向に加圧室18の配列ピッチに対応して、複数の電極17が形成されている。
電極基板16及び流路基板12の材料は光を透過させる限り特に限定されないが、シリコン材料で構成される加圧室基板と熱膨張係数がほぼ一致し、接合面によるゆがみが少ない、ホウ珪酸ガラスとすることが好ましい。外部から照射した光は電極基板16及び流路基板12を透過して、加圧室18、キャビティ20、及びオリフィス22内に照射される。
電極基板16、流路基板12と、加圧室基板14との接着は、陽極接合が好ましい。この場合、300℃〜500℃、真空又は窒素雰囲気下で、各基板が接する部分において、加圧室基板14側が正電位となるように基板間に200V〜1000Vの直流電圧を印加する。こうすることによって、ホウ珪酸ガラス基板とシリコン基板との間に強い静電吸引力を誘発し、両者が強力に接合される。最後に、電極基板16と加圧室基板14との間の微小ギャップが維持されるよう、エポキシ樹脂などの適度な弾力性と絶縁性に優れた支持部材27を挿嵌する。
上記のようにして構成されたインクジェットヘッド10を駆動するには、加圧室基板14の上端面に成膜された金若しくは白金からなる共通電極28と、電極基板16に成膜された電極17との間に外部電源29からの出力電圧を印加する。当該出力電圧は振幅0Vから35Vの矩形状のパルス波とする。すると、電極17の表面がプラスに帯電する一方で、対向する加圧室基板14の表面がマイナスに帯電する。この結果、両者には静電力が作用することとなるが、加圧室基板14の肉薄部分である加圧室18の底部が電極基板16側にわずかに撓み、弾性変形をする。つまり、加圧室18の底部に位置する可塑性の酸化シリコン膜15は静電駆動によって弾性変形を行い、加圧室18内の圧力調整を行う振動板として機能する。次いで、電極17へ印加される電圧をオフにすると、静電力が解除されて振動板15は元の位置に復元するため、加圧室18内の圧力が瞬間的に急激に高まり、ノズル30から生体試料を含むドット状の微小液滴31として吐出される。液滴31は数ピコリットル程度のマイクロドットである。加圧室18側に撓んだ振動板15はその反動で電極基板16側に再度撓み、加圧室18内の圧力を急激に下げることによって、キャビティ20よりオリフィス22を通じて加圧室18へ生体試料を補給する。
〔洗浄方法〕
上述のように構成された本発明に係るインクジェットヘッド10は、生体試料を含む液体の吐出後、本発明に係る洗浄方法により、以下のように洗浄することができる。
上述のように構成された本発明に係るインクジェットヘッド10は、生体試料を含む液体の吐出後、本発明に係る洗浄方法により、以下のように洗浄することができる。
(洗浄液供給工程)
まず、加圧室18、キャビティ20、オリフィス22を洗浄液で満たす。洗浄液は、特に限定されないが、仮に残留しても次の測定に影響を与えない点で、純水が好ましい。
まず、加圧室18、キャビティ20、オリフィス22を洗浄液で満たす。洗浄液は、特に限定されないが、仮に残留しても次の測定に影響を与えない点で、純水が好ましい。
(光照射工程)
次に、加圧室18、キャビティ20、オリフィス22に光を照射する。
次に、加圧室18、キャビティ20、オリフィス22に光を照射する。
ここで、表1に、有機物質における主な結合エネルギーと、同エネルギーに対応する波長、即ち結合を切るために必要な光の波長を示す。最も結合エネルギーの高いC=O結合に光を直接照射して切断するためには、波長160nmの光を照射する必要がある。
このように、オゾンを介した効果は、波長240nm〜260nm程度のUVを照射することによって得ることが可能であり、比較的安全に行うことができる。
さらに、本実施形態では、加圧室18等の内壁が光触媒効果を有する物質で覆われているため、以下のような反応によっても、有機物質を除去しやすくなる。
まず、光触媒に、比較的長波長の光を照射することによって、光触媒は、周囲の酸素や水と反応して、例えば以下の反応式(1)や(2)に従って、O2 -(スーパーオキシドイオン)、・OH(ヒドロキシラジカル)等の活性酸素を産生する。
(1)O2+e-→O2 -
(2)H2O+h+→・OH+H+
例えば、・OHは、120kcal/molのエネルギーを有するので、上述の表1によれば、結合エネルギー109kcal/molのC=O結合までは切断することができる。
(2)H2O+h+→・OH+H+
例えば、・OHは、120kcal/molのエネルギーを有するので、上述の表1によれば、結合エネルギー109kcal/molのC=O結合までは切断することができる。
ここで、反応(2)を起こすためには、光触媒としてTiO2を用いる場合、380nmと比較的長波長の光を照射すればよいので、反応時の危険性がより小さくなる。
なお、このように、光触媒を用いても、結合エネルギーが145kcal/molの結合を切るのは困難である。しかしながら、より結合エネルギーの低い結合が切断されることによって、分子全体の三次元構造が変化し、加圧室18等の内壁に安定に吸着していた有機物質は除去されやすくなる。
(除去工程)
上述のように、光照射によって内壁からはずれやすくなった有機物質は、加圧室18等の内部を満たす液体を、ノズル30から吸引手段102によって吸引することによって、液体と共に除去することができる。なお、吸引手段は、液滴吐出ヘッド洗浄用の公知のものを使用することができる。
上述のように、光照射によって内壁からはずれやすくなった有機物質は、加圧室18等の内部を満たす液体を、ノズル30から吸引手段102によって吸引することによって、液体と共に除去することができる。なお、吸引手段は、液滴吐出ヘッド洗浄用の公知のものを使用することができる。
上述のように、加圧室18等内に光を照射することによって行う本発明に係る液滴吐出ヘッドの洗浄方法は、加圧室18等の内壁が、光触媒効果を有する物質で覆われていない場合であっても、好適に行うことができる。光触媒効果を有する物質で覆われている場合に、より効率よく行うことができるのは言うまでもない。
<第2の実施形態>
図2に、本発明に係る液滴吐出装置の一例として、インクジェット吐出装置100の構成を示す。
図2に、本発明に係る液滴吐出装置の一例として、インクジェット吐出装置100の構成を示す。
インクジェット吐出装置100は、インクジェットヘッド100と、洗浄容器101と、インクジェットヘッド10のキャビティに生体試料を含む吐出液体を供給する容器103と、キャビティに洗浄液体として供給する水を蓄える洗浄液体容器104とを備えている。また、洗浄容器101には、インクジェットヘッド10に光を照射可能なUV光源107が備えられている。そして、吐出動作時に光触媒効果が発揮されないよう、その全体が遮光性のある筐体110に格納されている。
吐出液体供給容器103と洗浄液体容器104とは、切替弁105を介してインクジェットヘッド10に接続されている。まず切替弁105を調整して、103から試料を含む吐出液滴をインクジェットヘッド10に供給し吐出した後、インクジェットヘッド10を洗浄容器101まで移動させる。そして切替弁105を切り替えて、インクジェットヘッド10に洗浄液(水)が供給されるようにし、切替弁106を開けて、吸引動作を行ってインクジェットヘッド内の加圧室等を洗浄液で満たす。加圧室等が洗浄液で満たされたら、切替弁106を閉じる。
次に、UV光源107から、インクジェットヘッド10にUV光を照射する。光触媒効果を発揮させるために、洗浄液の温度を上げるためのヒーター112を備えていてもよい。
UV照射後は、再び切替弁106を開けて吸引し、加圧室等の内部の液体を除去する。
実施例として、TiO2でコーティングしたガラスと、コーティングしていないプレパラートガラスに、生体試料としてアルブミンFITCを付着させ、水中に置いて紫外線を照射し、アルブミンの除去効果を比較した。
TiO2でコーティングしたガラスは、アナターゼゾル(市販品)をディップコート法により塗布した後、500℃で2時間焼成して用意した。これにより、約0.2μmの光触媒能を有する薄膜が形成された。
次に、TiO2コーティングしたガラスと、コーティングしていないガラスとに、アルブミンFITCを付着させた。
そして、500mlの純水を入れたビーカーを2つ用意し、それぞれの中にアルブミンFITCを固定した基板を、固定面が水平上向きになるように静置し、その状態でビーカーの上方から紫外線を照射した。紫外線の光源は、350nm−400nm付近に発光ピークを持つランプを使用した。基板位置での照度は約32mW/cm2であった。
蛍光顕微鏡にて観察位置を固定し、紫外線照射前後での明るさの変化を目視で観察した。結果を図3に示す。
いずれにおいても、UV照射前に付着していたタンパク質50が除去されているのが観察されたが、TiO2でコーティングしたガラス表面(D)において、顕著なタンパク質の除去効果が見られた。
TiO2でコーティングしたガラスは、アナターゼゾル(市販品)をディップコート法により塗布した後、500℃で2時間焼成して用意した。これにより、約0.2μmの光触媒能を有する薄膜が形成された。
次に、TiO2コーティングしたガラスと、コーティングしていないガラスとに、アルブミンFITCを付着させた。
そして、500mlの純水を入れたビーカーを2つ用意し、それぞれの中にアルブミンFITCを固定した基板を、固定面が水平上向きになるように静置し、その状態でビーカーの上方から紫外線を照射した。紫外線の光源は、350nm−400nm付近に発光ピークを持つランプを使用した。基板位置での照度は約32mW/cm2であった。
蛍光顕微鏡にて観察位置を固定し、紫外線照射前後での明るさの変化を目視で観察した。結果を図3に示す。
いずれにおいても、UV照射前に付着していたタンパク質50が除去されているのが観察されたが、TiO2でコーティングしたガラス表面(D)において、顕著なタンパク質の除去効果が見られた。
10…インクジェットヘッド、12…流路基板、14…加圧室基板、15…酸化シリコン膜(振動板)、16…電極基板、17…電極、18…加圧室、19、21、25、26…凹部、20…キャビティ、22…オリフィス、23…凸部、24…微小ギャップ、27…支持部材、28…共通電極、29…外部電源、30…ノズル、31…微小液滴、101…洗浄容器、102…吸引手段、103…吐出液体供給容器、104…洗浄液体容器、105,106…切替弁、107…光源、110…筐体
Claims (11)
- 液体を吐出するノズルと、該ノズルから液体を吐出させるために該液体に加圧する加圧室と、該加圧室に供給するための液体を貯蔵するキャビティと、該キャビティから該加圧室に連通するオリフィスと、を有する液滴吐出ヘッドの洗浄方法であって、
前記液体の吐出後に、前記加圧室、前記キャビティ、及び前記オリフィス内に洗浄液を供給する供給工程と、
前記加圧室、前記キャビティ、及び/又は前記オリフィス内に光を照射する光照射工程と、
前記洗浄液を前記加圧室、前記キャビティ、及び前記オリフィス内から除去する除去工程と、を含む方法。 - 前記液滴吐出ヘッドの前記加圧室、前記キャビティ、及び/又は前記オリフィスの内壁の少なくとも一部が、光触媒能を有する物質で覆われていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記除去工程が、前記ノズルに密着可能な吸引手段を用い、前記洗浄液をノズルから吸引する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 前記洗浄液が、水であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記光照射工程では、紫外波長の光を照射することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- 液体を吐出するための液滴吐出ヘッドであって、前記液体を吐出するノズルと、該ノズルから液体を吐出させるために該液体に加圧する加圧室と、該加圧室に供給するための液体を貯蔵するキャビティと、該キャビティから該加圧室に連通するオリフィスと、を有し、
前記加圧室、前記キャビティ、及び/又は前記オリフィス内に、光を照射可能であって、
前記加圧室、前記キャビティ、及び/又は前記オリフィスの内壁の少なくとも一部が、光触媒効果を有する物質で覆われている液滴吐出ヘッド。 - 前記加圧室、前記キャビティ、及び前記オリフィスが、対向配置された加圧室基板と流路基板との間に形成され、
前記加圧室基板の前記流路基板に対向する主面と反対側の主面は、微小ギャップを介して電極基板に対向配置されており、
前記加圧室基板が、前記電極基板が備える電極との電位差に対応する静電力によって弾性変形する振動板に接合され、
前記電極基板と、前記流路基板とが光透過性材料から構成されていることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出ヘッド。 - 前記光触媒効果を有する物質で覆われた前記加圧室、前記キャビティ、及び/又は前記オリフィスの内壁が、親水性であることを特徴とする請求項6又は7に記載の液滴吐出ヘッド。
- 前記光触媒効果を有する物質が二酸化チタンであることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
- 請求項6から9のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドの前記加圧室、前記キャビティ、及び/又は前記オリフィス内に光を照射可能な光照射手段と、を備える液滴吐出装置。 - 前記光照射手段が、紫外波長の光源であることを特徴とする請求項10に記載の液滴吐出装置。
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JP2005090090A Pending JP2006267077A (ja) | 2005-03-25 | 2005-03-25 | 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及び液滴吐出ヘッドの洗浄方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2006267077A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015169615A (ja) * | 2014-03-10 | 2015-09-28 | 株式会社東芝 | 自動分析装置用反応管、反応管の洗浄方法および自動分析装置 |
JP2019191184A (ja) * | 2019-06-03 | 2019-10-31 | 東芝テック株式会社 | 液滴分注装置 |
JP2021073084A (ja) * | 2021-01-13 | 2021-05-13 | 東芝テック株式会社 | 液滴分注装置と溶液滴下装置 |
-
2005
- 2005-03-25 JP JP2005090090A patent/JP2006267077A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015169615A (ja) * | 2014-03-10 | 2015-09-28 | 株式会社東芝 | 自動分析装置用反応管、反応管の洗浄方法および自動分析装置 |
JP2019191184A (ja) * | 2019-06-03 | 2019-10-31 | 東芝テック株式会社 | 液滴分注装置 |
JP2021073084A (ja) * | 2021-01-13 | 2021-05-13 | 東芝テック株式会社 | 液滴分注装置と溶液滴下装置 |
JP7069361B2 (ja) | 2021-01-13 | 2022-05-17 | 東芝テック株式会社 | 液滴分注装置と溶液滴下装置 |
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