JP2007318870A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び静電デバイス並びにそれらの製造方法 - Google Patents

静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び静電デバイス並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】確実な封止を行い、長寿命化を図ることができる静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び静電駆動デバイス並びにそれらの製造方法を得る。
【解決手段】振動板22及び封止材が形成される面を有するキャビティ基板20と、振動板22と一定距離で対向し、振動板22との間で静電力を発生させて振動板22を動作させる個別電極12を有する電極基板10とを備え、封止材25は、個別電極12と振動板22との間で形成される空間を外気と遮断するため、該空間の開口部分に、キャビティ基板20が有する面と電極基板10とにまたがって、BPSG層25aとTEOS層25bとを少なくとも積層して形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、微細加工素子において、加わった力により可動部が変位等し、動作等を行う静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド等の静電駆動デバイス等やその製造方法に関するものである。特に微細加工素子で行われる封止に関するものである。
例えばシリコン等を加工して微小な素子等を形成する微細加工技術(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)が急激な進歩を遂げている。微細加工技術により形成される微細加工素子の例としては、例えば液滴吐出方式のプリンタのような記録(印刷)装置で用いられている液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)、マイクロポンプ、光可変フィルタ、モータのような静電アクチュエータ等がある。
ここで、微細加工素子の一例として静電アクチュエータである液滴吐出ヘッドについて説明する。液滴吐出方式の記録(印刷)装置は、家庭用、工業用を問わず、あらゆる分野の印刷に利用されている。液滴吐出方式とは、例えば複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドを対象物との間で相対移動させ、対象物の所定の位置に液滴を吐出させて印刷等の記録をするものである。この方式は、液晶(Liquid Crystal)を用いた表示装置を作製する際のカラーフィルタ、有機化合物等の電界発光(ElectroLuminescence )素子を用いた表示パネル(OLED)、DNA、タンパク質等、生体分子のマイクロアレイ等の製造にも利用されている。
液滴吐出ヘッドの中で、流路の一部に液体を溜めておく吐出室を備え、吐出室の少なくとも一面の壁(ここでは、底部の壁とし、以下、この壁のことを振動板ということにする)を撓ませて(動作させて)形状変化により吐出室内の圧力を高め、連通するノズルから液滴を吐出させる方法がある。可動部となる振動板を変位させる力として、例えば、振動板(可動電極となる)と一定距離を空けて対向する、電極(固定電極)との間に発生する静電気力(ここでは、特に静電引力を用いている。以下、静電力という)を利用している。
ここで、上記のような静電力を利用した静電アクチュエータにおいて、可動電極(振動板)と固定電極の間に、それらの少なくとも一方の表面に水分等が付着すると、水等の極性分子が帯電する等の原因で静電吸引特性が低下するおそれがある。さらに、極性分子が相互に裾結合し、可動電極が固定電極に貼り付いてしまい、動作不能となることがある。したがって、可動電極と固定電極の周囲を外気と遮断することが望ましい。ここで、土台となる基板同士を接合することで、可動電極と固定電極の周囲をほとんど塞ぐことはできるが、完全に塞いでしまうと外部から固定電極に電荷供給することが困難となるため、一部に電極取り出しをおこなうための開口部分を設ける。そこで、基板で塞ぐことができないこの開口部分には、酸化シリコン(例えばSiO2 )の封止部材を用いて気密封止を行い、水分等が侵入することを阻止している(例えば特許文献1参照)。
特開2002−1972号公報
封止部材を形成する方法としては、例えば封止材料を封止部に堆積、塗布等させる方法があるが、特に例えば封止部間の段差が大きく、開口部分の隙間が小さい場合には、封止材料による密閉が不十分となり、外気との遮断ができず、長寿命化の障害になる。
そこで、本発明はこのような問題を解決するため、確実な封止を行い、長寿命化を図ることができる静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び静電駆動デバイス並びにそれらの製造方法を得ることを目的とする。
本発明に係る静電アクチュエータは、可動電極、及び封止材が形成される面を有する第1の基板と、可動電極と一定距離で対向し、可動電極との間で静電力を発生させて可動電極を動作させる固定電極を有する第2の基板とを備え、封止材は、固定電極と可動電極との間で形成される空間を外気と遮断するため、該空間の開口部分に、第1の基板が有する面と第2の基板とにまたがって、複数の材料が積層して形成され、第1の基板が有する面と第2の基板とに近い層は、遠い層に比べて流動性を有する材料で形成され、遠い層は、近い層に比べて水分透過性が低い材料で形成される。
本発明によれば、固定電極と可動電極との間で形成される空間の開口部分を、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを少なくとも積層して空間を外気と遮断するようにしたので、流動性を有する材料により、段差被覆性がよく、小さな隙間にも適度に入り込んで確実に密閉し、それを水分透過性が低い材料による層で覆うように積層することで、空間への異物混入、水分透過を防ぎ、長寿命化を図ることができる。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、流動性を有する材料による層は不純物を添加した酸化シリコンを材料とし、水分透過性が低い材料による層は不純物を添加しない酸化シリコンを材料とする。
本発明によれば、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを、それぞれ不純物を添加した酸化シリコンと添加しない酸化シリコンを材料として形成しているので、特に製造時において形成が容易となり、時間的、費用的に効率がよい。
また、本発明に係る静電アクチュエータにおいて、不純物はリン及びホウ素とする。
本発明によれば、不純物をリン及びホウ素とし、層間絶縁膜として用いられるBPSGを層とすることで、段差被覆性のよい酸化シリコンの層により、確実に開口部分を密閉し、外気と遮断することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエータにおいては、封止材が形成される面は、封止材を所望範囲内に形成するために第1の基板に形成した貫通溝穴の側壁面となる。
本発明によれば、第1の基板に設けた貫通溝穴の範囲内において、封止材が形成されるようにしているので、例えば、固定電極と外部の電力供給手段との接点等、材料を付着させるべきでない部分に付着させずにすみ、例えば接点においては、接続不良の防止等、長寿命化をはかることができる。また、材料の除去作業等を行わなくてもよく、製造時間を短縮することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、酸化シリコンの代わりに、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化アルミニウム又はポリパラキシリレンのうち、1又は複数を水分透過性が低い材料による層として用いる。
本発明によれば、酸化シリコンだけでなく、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化アルミニウム又はポリパラキシリレンを用いるようにしたので、材料選択の幅を拡げ、より効果的な封止を行うことができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記の静電アクチュエータを有し、液体が充填される吐出室の少なくとも一部分を可動電極として、可動電極の変位により吐出室と連通するノズルから液滴を吐出させる。
本発明によれば、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを少なくとも積層して固定電極と可動電極との間で形成される空間の開口部分を外気と遮断するようにしたので、空間への異物混入、水分透過を防ぎ、長寿命の液滴吐出ヘッドを得ることができる。
また、本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
本発明によれば、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを少なくとも積層して確実な封止を実現した液滴吐出ヘッドを用いているので、長寿命の液滴吐出装置を得ることができる。
また、本発明に係る静電デバイスは、上記の静電アクチュエータを搭載したものである。
本発明によれば、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを少なくとも積層して確実な封止を実現した静電アクチュエータを用いているので、長寿命の静電デバイスを得ることができる。
本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、固定電極を有する第1の基板と固定電極と距離をおいて対向し、固定電極との間で発生した静電気力により動作する可動電極を有する第2の基板とを接合した接合基板に対し、固定電極と可動電極との間で形成される空間を外気と遮断する封止材を、第1の基板と第2の基板とにまたがった所望範囲内に形成するためのマスク基板を取り付ける工程と、第1の基板が有する面と第2の基板とに近い層が、遠い層に比べて流動性を有する材料となり、遠い層が、近い層に比べて水分透過性が低い材料となるように、複数の材料を所望範囲に堆積させて積層して封止材を形成する工程とを有する。
本発明によれば、固定電極と可動電極との間で形成される空間の開口部分を、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを少なくとも積層して封止材を形成するようにしたので、流動性を有する材料により、段差被覆性がよく、小さな隙間にも適度に入り込んで確実に密閉し、それを水分透過性が低い材料による層で覆うように積層することで、空間への異物混入、水分透過を防ぎ、長寿命の静電アクチュエータを製造することができる。また、マスク基板により保護するので、所望範囲に封止材を形成することができる。
本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、流動性を有する材料による層は不純物を添加した酸化シリコンを材料とし、水分透過性が低い材料による層は不純物を添加しない酸化シリコンを材料とする。
本発明によれば、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを、それぞれ不純物を添加した酸化シリコンと添加しない酸化シリコンを材料として形成するようにしたので、形成が容易となり、時間的、費用的に効率がよい。
本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、不純物を含ませた酸化シリコンを材料とする層を堆積させた後、熱処理を行ってから、不純物を含まない酸化シリコンを材料とする層を積層させる。
本発明によれば、不純物を含ませた酸化シリコンを材料とする層に熱処理を行うようにしたので、より緻密な層を形成することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造する。
本発明によれば、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを少なくとも積層して固定電極と可動電極との間で形成される空間の開口部分を外気と遮断する封止材を形成するようにしたので、空間への異物混入、水分透過を防ぎ、長寿命の液滴吐出ヘッドを製造することができる。
本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造する。
本発明によれば、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを少なくとも積層して確実な封止を実現した液滴吐出ヘッドを用いているので、長寿命の液滴吐出装置を製造することができる。
本発明に係る静電デバイスの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造方法を適用してデバイスを製造する。
本発明によれば、流動性を有する材料による層と水分透過性が低い材料による層とを少なくとも積層して確実な封止を実現した静電アクチュエータを用いているので、長寿命の静電デバイスを製造することができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。図1では液滴吐出ヘッドの一部を示している。本実施の形態では、例えば静電方式で駆動する静電アクチュエータを用いるデバイスの代表として、フェイスイジェクト型の液滴吐出ヘッドについて説明する(なお、構成部材を図示し、見やすくするため、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものと異なる場合がある。また、図の上側を上とし、下側を下として説明する)。
図1に示すように本実施の形態に係る液滴吐出ヘッドは、電極基板10、キャビティ基板20及びノズル基板30の3つの基板が下から順に積層されて構成される。本実施の形態では、電極基板10とキャビティ基板20とは陽極接合により接合する。また、キャビティ基板20とノズル基板30とはエポキシ樹脂等の接着剤を用いて接合する。
電極基板10(第2の基板)は、厚さ約1mmの例えばホウ珪酸系の耐熱硬質ガラス等の基板を主要な材料としている。本実施形態では、ガラス基板とするが、例えば単結晶シリコンを基板とすることもできる。電極基板10の表面には、後述するキャビティ基板20の吐出室21となる凹部に合わせ、例えば深さ約0.3μmを有する複数の凹部11が形成されている。そして、凹部11の内側(特に底部)に、キャビティ基板20の各吐出室21(振動板22)と対向するように固定電極となる個別電極12が設けられ、さらにリード部13及び端子部14が一体となって設けられている(以下、特に区別する必要がない限り、これらを合わせて個別電極12として説明する)。振動板22と個別電極12との間には、振動板22が撓む(変位する)ことができる一定のギャップ(空隙)が凹部11により形成されている。個別電極12は、例えばスパッタ法により、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を0.1μmの厚さで凹部11の内側に成膜することで形成される。電極基板10には、他にも外部のタンク(図示せず)から供給された液体を取り入れる流路となる液体取り入れ口15となる貫通穴が設けられている。
キャビティ基板20(第1の基板)は、例えば表面が(100)面方位のシリコン単結晶基板(以下、シリコン基板という)を主要な材料としている(ここでは表面が(100)面方位とするが(110)面方位でもよい)。キャビティ基板20には、吐出させる液体を一時的にためる吐出室21となる凹部(底壁が可動電極となる振動板22となっている)及び後述するように封止材25をリード部13の直上部分に堆積し、封止部26aを所望範囲に形成するための貫通溝穴26が形成されている。さらに、キャビティ基板20の下面(電極基板10と対向する面)には、振動板22と個別電極12との間を電気的に絶縁するためのTEOS膜(ここでは、Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエチルオルソシリケート(珪酸エチル)を原料ガスとして用いてできるSiO2 膜をいう)である絶縁膜23を、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition :TEOS−pCVDともいう)法を用いて、0.1μm成膜している。ここでは絶縁膜23をTEOS膜により成膜しているが、例えばAl23(酸化アルミニウム(アルミナ))を用いてもよい。また、各吐出室21に液体を供給するリザーバ(共通液室)28となる凹部が形成されている。さらに、外部の電力供給手段(図示せず)から基板(振動板22)に個別電極7と反対の極性の電荷を供給する際の端子となる共通電極端子27を備えている。そして、吐出室22とリザーバ28とを連通させるための溝となるオリフィス29が設けられている。
ノズル基板30についても、例えばシリコン基板を主要な材料とする。ノズル基板30には、複数のノズル孔31が形成されている。各ノズル孔31は、振動板22の駆動により加圧された液体を液滴として外部に吐出する。ノズル孔31を複数段で形成すると、液滴を吐出する際の直進性向上が期待できるため、本実施の形態ではノズル孔31を2段で形成する。本実施の形態では、振動板22が撓むことでリザーバ28方向に加わる圧力を緩衝するダイヤフラム32がさらに設けられている。
図2は液滴吐出ヘッドの断面図である。図2において、吐出室21はノズル孔31から吐出させる液体をためておく。吐出室21の底壁である振動板22を撓ませることにより、吐出室21内の圧力を高め、ノズル孔31から液滴を吐出させる。ここで、本実施の形態では、電極とすることができ、かつエッチング工程の際に都合がよい高濃度のボロンドープ層をシリコン基板に形成し、振動板22を構成するものとする。
発振駆動回路41は、FPC(Flexible Print Circuit)、ワイヤ等の配線42を介して電気的に端子部14、共通電極端子27と接続され、個別電極12、キャビティ基板20(振動板22)に電荷(電力)の供給及び停止を制御する。発振駆動回路41は例えば24kHzで発振し、個別電極12に0Vと30Vのパルス電位を印加して電荷供給を行う。発振駆動回路41が発振駆動することで、個別電極12に電荷を供給して正に帯電させ、振動板22を相対的に負に帯電させると、静電気力により個別電極12に引き寄せられて撓む。これにより吐出室21の容積は広がる。そして電荷供給を止めると振動板22は元に戻るが、そのときの吐出室21の容積も元に戻り、その圧力により差分の液滴が吐出する。この液滴が例えば記録対象となる記録紙に着弾することによって印刷等の記録が行われる。
また、封止材25は、異物、水分(水蒸気)等がギャップに浸入しないように、ギャップを外気から遮断し、密閉するために設ける。ここで、本実施の形態における封止材25は、種類の異なる2つの材により、2層で形成している。本実施の形態では、ギャップを密閉するために電極基板10とキャビティ基板20との間を直接的に覆う層(下層)の封止材として、P(リン)及びB(ボロン、ホウ素)を不純物として添加(ドープ)した酸化シリコンであるBPSG(Boronic Phosphoric Silicate Glass )を用いる(以下、この下層をBPSG層25aという)。一方、下層を覆う層(上層)の封止材として、例えばTEOSで形成した酸化シリコンを用いる(以下、この上層をTEOS層25bという)。BPSGは、酸化シリコンに比べて適度な流動性(自己流動性)を有しているため、段差被覆性に優れている。一方で、酸化シリコンは、BPSGより緻密に層を形成できるため水分透過性が低い。そこで、BPSG層25aで確実に開口部分の封止を実現し、さらに水分の透過(透湿)を抑えるために、酸化シリコン層25bによりBPSG層25aをコーティングするようにする。
図3はキャビティ基板20に設けられた貫通溝穴26と電極基板10上のリード部13との関係の概念を表す図である。図3のように、本実施の形態では、リード部13を露出させるための貫通溝穴26をキャビティ基板20に開口し、設ける。ここで、貫通溝穴26の長手方向の幅については狭いほど小型化に寄与することができる。ただ、幅が狭すぎるとうまく堆積しない可能性があるため、10μm〜20μmであることが望ましい。場合によっては、キャビティ基板20の厚さによって加工時に制限を受けることがあるため(特に表面が(100)面方位のシリコン基板の場合)、10μm〜20μmに特に限定するものではない。確実な封止ができるのであれば、例えば300μm(0.3mm)等の幅があってもよい。また、堆積するBPSG層25aの厚さは例えば、少ない部分でもギャップの幅(約0.18μm)以上有するようにする。本実施の形態では厚さが約1μmとする。また、TEOS層25bの厚さについても特に限定しないが約1μmとする。このように、例えば、ノズル基板30との接合に影響しない範囲で、封止材25全体として約2〜3μm又はそれ以上あることが望ましい。
そして、貫通溝穴26の開口部分から、CVD(Chemical Vapor Deposition :化学的気相法)により、電極基板10のリード部13部分からキャビティ基板20に至る空間(ギャップの一部)に、BPSG層25a、TEOS層25bの順に形成し、これにより封止部26aを形成し、ギャップを外気と確実に遮断して、水分、異物等の侵入を防ぐ。ここで、本実施の形態では、流動性の高い封止材としてBPSGを用いているが、これに限定するものではない。また、例えば添加する不純物についても、ホウ素及びリンに限定するものではない。また、本実施の形態では、BPSG層25aをコーティングする上層を、酸化シリコンであるTEOS層25bとしているが、例えば、Al23(酸化アルミニウム(アルミナ))、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、Ta25(五酸化タンタル)、DLC(Diamond Like Carbon )、ポリパラキシリレン(polypalaxylylene)、PDMS(polydimethylsiloxane:シリコーンゴムの一種)、エポキシ樹脂等の無機又は有機化合物等、例えば分子量が比較的小さく、蒸着、スパッタ等により堆積させることができ、水分を通さない物質を用いることができる。また、CVDを行ってBPSG層25a、TEOS層25bを形成しているが、封止材25を構成する材料によっては、(ECR)スパッタ、蒸着等の方法により堆積させることができる。
本実施の形態では貫通溝穴26を設け、その開口部分にBPSG層25a及びTEOS層25bによる封止材25により封止部26aを形成している。例えば、電極取出し口24の開口部分に封止材25を堆積させてギャップを封止することもできるが、電極取出し口24となる空間は広いため、例えばマスク等を取り付けたとしても、材料が回り込み、電極取出し口24の所定の部分だけに封止材25を堆積させることは困難である。例えば、端子部14に封止材25が堆積等していると、端子部14と配線42とを電気的にうまく接続させることができず、接続不良(導通不良)が生じる可能性がある。そのため、端子部14に影響しない貫通溝穴26に封止材25を堆積させるようにする。貫通溝穴26に対応する部分を開口したマスク(後述)を取り付け、貫通溝穴26に形成された側壁面で周囲を囲んでいるため、リード部13直上を含む所望範囲だけに封止材25を堆積させて、封止部26aを形成することができる。
図4及び図5は第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッドの製造工程を表す図である。図4及び図5に基づいて液滴吐出ヘッド製造工程について説明する。なお、実際には、ウェハ単位で複数個分の液滴吐出ヘッドの部材を同時形成するが、図4及び図5ではその一部分だけを示している。
シリコン基板51の片面(電極基板10との接合面側となる)を鏡面研磨し、例えば220μmの厚みの基板(キャビティ基板20となる)を作製する。次に、シリコン基板51のボロンドープ層52を形成する面を、B23を主成分とする固体の拡散源に対向させ、縦型炉に入れてボロンをシリコン基板51中に拡散させ、ボロンドープ層52を形成する。そして、ボロンドープ層52を形成した面に、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で絶縁膜23を0.1μm成膜する(図4(a))。
電極基板10については、上記(a)とは別工程で作製する。約1mmのガラスの基板の一方の面に対し、エッチング等を行って約0.3μmの深さの凹部11を形成する。凹部11の形成後、例えばスパッタリング法を用いて、0.1μmの厚さの個別電極12を同時に形成する。最後に液体取り入れ口15となる穴をサンドブラスト法または切削加工により形成する。場合によっては、これにより、電極基板10を作製する。そして、シリコン基板51と電極基板10を360℃に加熱した後、電極基板10に負極、シリコン基板51に正極を接続して、800Vの電圧を印加し、陽極接合を行う(図4(b))。
陽極接合後の接合を終えた基板(以下、接合基板という)に対し、シリコン基板51の厚みが約60μmになるまでシリコン基板51表面の研削加工を行う。その後、加工変質層を除去する為に、水酸化カリウム溶液でシリコン基板51を約10μm異方性ウェットエッチング(以下、ウェットエッチングという)を行う。これによりシリコン基板51の厚みを約50μmにする(図4(c))。
接合基板のウェットエッチングを行った面に対し、TEOSによる酸化シリコンのハードマスク(以下、TEOSハードマスクという)53をプラズマCVD法により成膜する。成膜条件として、例えば、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は700W、圧力は33.3Pa(0.25Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)とし、その条件で1.5μm成膜する。TEOSを用いたプラズマCVD法の成膜は比較的低温で行うことができ、基板の加熱を抑えられる(図4(d))。
TEOSハードマスク53を成膜した後、吐出室21、リザーバ28、貫通溝穴26及び電極取出し口24となる部分のTEOSハードマスク53をエッチングするため、レジストパターニングを施す。そして、フッ酸水溶液を用いてTEOSハードマスク53が無くなるまで、それらの部分をエッチングしてTEOSハードマスク53をパターニングし、それらの部分について、シリコン基板51を露出させる。そして、エッチングした後にレジストを剥離する(図4(e))。ここで、例えば、面積の大きく、割れやすい電極取出し口24となる部分については、レジストの厚みを若干残しておき、後の工程で割れを防止するための厚みを残すようにするようにしてもよい。
次に、接合基板を35wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、吐出室21、貫通溝穴26、電極取出し口24となる部分の厚みが約10μmになるまで異方性ウェットエッチング(以下、ウェットエッチングという)を行う。さらに、接合基板を3wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、ボロンドープ層52が露出し、エッチングの進行が極度に遅くなるエッチングストップが十分効いたものと判断するまでウェットエッチングを続ける(図5(f))。このように、2種類の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことによって、吐出室21となる部分に形成される振動板22の面荒れを抑制厚み精度を高くすることができる。その結果、液滴吐出ヘッドの吐出性能を安定化させることができる。
ウェットエッチングを終了すると、接合基板をふっ酸水溶液に浸し、シリコン基板51表面のTEOSハードマスク53を剥離する。次に、貫通溝穴26及び電極取出し口24となる部分のボロンドープ層52を除去するため、貫通溝穴26及び電極取出し口24となる部分が開口したシリコンマスクを、接合基板のシリコン基板51側の表面に取り付ける。そして、例えば、RFパワー200W、圧力40Pa(0.3Torr)、CF4 流量30cm3 /min(30sccm)の条件で、RIEドライエッチング(異方性ドライエッチング)を30分間行い、貫通溝穴26、電極取出し口24となる部分のみにプラズマを当てて、開口する(図5(g))。ここで、例えば接合基板とマスクとのアライメント精度を高めるため、シリコンマスクの装着は、接合基板とシリコンマスクとにピンを通すピンアライメントにより行うようにするとよい。ここでは、異方性ドライエッチングにより開口しているが、ピン等で突くことで、ボロンドープ層52を壊してもよい。
そして、貫通溝穴26の部分を開口したマスク開口部61を有するマスク60を、接合基板のシリコン基板51側の表面に取り付ける。ここで、マスク60と接合基板のシリコン基板51側の表面とをO2 プラズマ洗浄を行い、それぞれの表面を洗浄しておくと、マスク60とシリコン基板51との間で水酸基(OH)による水素結合が行われることにより、少なくとも外周面において隙間を生じさせることなく、材料の回り込みを防ぐことができる。また、マスク60には大気開放溝62が形成されている。大気開放溝62は、マスク60を装着することによって、凹部等とマスク60とによってできる空間が完全に密閉状態にならないようにするため、空間と外部とを連通させる。マスク60と接合基板とが密着してできる空間内の圧力が低いと、マスク60が吸盤のようになり、接合基板に吸着してしまうのを防ぐためである。本実施の形態では、吐出室21、リザーバ28となる凹部及び電極取出し口24となる開口部分について外部と連通させる。外部に連通する部分は、例えば封止材25となる材料が凹部等に回り込まない部分に設けることが望ましい。ここでもマスク60と接合基板との位置合わせはピンアライメントにより行うようにするとよい。
そして、例えばマスク60を密着させた接合基板をCVD装置の反応室内に入れ、厚さ1μm程度のBPSG層25aを貫通溝穴26の側壁面から電極基板10のリード部13上を覆い、またがるように形成する。BPSG層25aの形成方法としては、例えば常圧CVDを用いて、原料ガスであるTEOS及びO3 、TMOP(トリメチルオルソリン(トリメチルホスフェート))並びにTEB(トリエチルボロン(トリエトキシボラン))を反応室内に導入し、350〜450℃程度に加熱しながら、貫通溝穴26内のリード部13直上にBPSGを堆積させる。ここで、TMOP、TEBの代わりに、TMP(トリメチルホスファイト)及びTMB(トリメトキシボラン)を用いてもよい。また、BPSG層25aにおけるボロン濃度及びリン濃度について、高いと吸水性(水分透過性)が上がり、低すぎると流動性を損なうため、それぞれ概ね3〜5wt%(重量パーセント)程度であることが望ましい。
さらに、本実施の形態では、BPSG層25aを形成した接合基板を熱処理炉に投入し、窒素雰囲気中でアニール処理を行う。不純物を添加した酸化シリコンをアニール処理を行うことで、層がさらに緻密になり、より確実な気密封止が可能となる。ここで、ボロン濃度及びリン濃度が3〜5wt%程度の場合、熱処理炉内の温度をBPSGの軟化点である約800℃にするとBPSGに対するアニール処理の効果が最も大きくなる。ただ、接合基板が有する個別電極12への熱の影響等を考慮し、本実施の形態においては、例えば500〜700℃程度の温度でアニール処理を行うものとする。
そして、マスク60を密着させた接合基板をCVD装置の反応室内に入れ、TEOS層25aを約1μm形成する。TEOS層25bの形成については、上述したBPSG層25bの形成の際に、TMOP並びにTEBを導入せず、不純物となるホウ素及びリンを添加しないようにする。以上のような工程で封止部26aを形成する(図5(h))。
封止が完了すると、例えば、さらに共通電極端子27となる部分を開口したマスクを、接合基板のシリコン基板51側の表面に取り付ける。そして、例えばプラチナ(Pt)をターゲットとしてスパッタ等を行い、共通電極端子27を形成する。そして、あらかじめ別工程で作製していたノズル基板30を、例えばエポキシ系接着剤により、接合基板のキャビティ基板20側から接着し、接合する(図5(i))。そして、ダイシングラインに沿ってダイシングを行い、個々の液滴吐出ヘッドに切断し、液滴吐出ヘッドが完成する。そして、例えばドライバICと接続された配線42と端子部14とをACF(Anisotropic Conductive Film )等により接合する。端子部14には封止材料が付着していないため、除去工程を行わなくても、配線等との間の電気的接続を損なうことなく、接続不良を防止することができる。
以上のように実施の形態1によれば、少なくとも不純物を添加しない酸化シリコンよりも適度な流動性を有し、段差が大きく、また、開口部分の隙間が小さくてもギャップを確実に密閉できるBPSG層25aを形成し、さらに水分透過性の低い、不純物を添加しない酸化シリコンであるTEOS層25bを形成し、積層させて封止材25を形成し、これにより封止部26aを形成するようにしたので、個別電極12と振動板22との間の空間であるギャップを確実に外気と遮断し、さらにギャップ内に水分を透過させない。これにより、異物混入、個別電極12と振動板22との間の水素結合等を防ぎ、アクチュエータ(液滴吐出ヘッド)の長寿命化を図ることができる。また、所望の範囲に封止材25を堆積して封止部26aを形成して封止するようにしたので、封止材の拡がりを抑え、また、リード部13を短縮できる等、液滴吐出ヘッドの小型化を図ることもできる。一度に複数の基板に対して堆積処理できるので、生産性を高めることができ、全体として時間短縮を図ることができる。
また、封止材25として積層させる層を、BPSG層25aとTEOS層25bとしたので、雰囲気中に不純物を添加する材料を導入するかしないかだけの違いにより形成することができるので、形成が容易で時間的、費用的にも効率がよい。そして、不純物をリン及びホウ素とし、BPSG層25aを形成するようにしたので、適度な流動性を有し、段差被覆性に優れた層を封止材25として形成することができる。ここで、TEOS層25bの代わりに、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化アルミニウム、ポリパラキシリレン等を用いて層を形成してもよく、材料選択の幅を拡げることができる。
また、キャビティ基板20に貫通溝穴26を設け、貫通溝穴26を介して、貫通溝穴側壁面とリード部13の直上部分にまたがって、BPSG層25aを形成するようにしたので、所望範囲(貫通溝穴26の範囲)内に効率よく、確実な封止部26aの形成を行うことができる。また、封止部26aを形成する工程において、電極取出し口24の部分は、マスク60により、端子部14には余分な封止材25が付着しない。そのため、除去工程を行わなくても、配線等との間の電気的接続を損なうことなく、接続不良を防止することができる。
実施の形態2.
上述の実施の形態では、電極基板10、キャビティ基板20及びノズル基板30の3つの基板が積層されて構成された液滴吐出ヘッドについて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、吐出室とリザーバとをそれぞれ別の基板に形成し、積層した4層の基板で構成した液滴吐出ヘッドについても適用することができる。
実施の形態3.
図6は上述の実施の形態で製造した液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置(プリンタ100)の外観図である。また、図7は液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。図6及び図7の液滴吐出装置は液滴吐出方式(インクジェット方式)による印刷を目的とする。また、いわゆるシリアル型の装置である。図7において、被印刷物であるプリント紙110が支持されるドラム101と、プリント紙110にインクを吐出し、記録を行う液滴吐出ヘッド102とで主に構成される。また、図示していないが、液滴吐出ヘッド102にインクを供給するためのインク供給手段がある。プリント紙110は、ドラム101の軸方向に平行に設けられた紙圧着ローラ103により、ドラム101に圧着して保持される。そして、送りネジ104がドラム101の軸方向に平行に設けられ、液滴吐出ヘッド102が保持されている。送りネジ104が回転することによって液滴吐出ヘッド102がドラム101の軸方向に移動するようになっている。
一方、ドラム101は、ベルト105等を介してモータ106により回転駆動される。また、プリント制御手段107は、印画データ及び制御信号に基づいて送りネジ104、モータ106を駆動させ、また、ここでは図示していないが、発振駆動回路を駆動させて振動板4を振動させ、制御をしながらプリント紙110に印刷を行わせる。
ここでは液体をインクとしてプリント紙110に吐出するようにしているが、液滴吐出ヘッドから吐出する液体はインクに限定されない。例えば、カラーフィルタとなる基板に吐出させる用途においては、カラーフィルタ用の顔料を含む液体、有機化合物等の電界発光素子を用いた表示パネル(OLED等)の基板に吐出させる用途においては、発光素子となる化合物を含む液体、基板上に配線する用途においては、例えば導電性金属を含む液体を、それぞれの装置において設けられた液滴吐出ヘッドから吐出させるようにしてもよい。また、液滴吐出ヘッドをディスペンサとし、生体分子のマイクロアレイとなる基板に吐出する用途に用いる場合では、DNA(Deoxyribo Nucleic Acids :デオキシリボ核酸)、他の核酸(例えば、Ribo Nucleic Acid:リボ核酸、Peptide Nucleic Acids:ペプチド核酸等)タンパク質等のプローブを含む液体を吐出させるようにしてもよい。その他、布等の染料の吐出等にも利用することができる。
実施の形態4.
図8は本発明を利用した波長可変光フィルタを表す図である。上述の実施の形態は、液滴吐出ヘッドを例として説明したが、本発明は液滴吐出ヘッドだけに限定されず、他の微細加工による静電アクチュエータを利用した静電型のデバイスにも適用することができる。例えば、図8の波長可変光フィルタは、ファブリ・ペロー干渉計の原理を利用し、可動鏡120と固定鏡121との間隔を変化させながら選択した波長の光を出力するものである。可動鏡120を変位させるためには、可動鏡120が設けられている、シリコンを材料とする可動体122を変位させる。そのために固定電極123と可動体122(可動鏡120)とを所定の間隔(ギャップ)で対向配置する。ここで、固定電極に電荷を供給するために固定電極端子124を取り出す。その際、可動体を有する基板と固定電極123を有する基板との間を封止材125により確実に気密封止するため、本発明のように、貫通溝穴126を設け、さらに別の基板で塞ぐことにより、封止を確実にする。
同様にモータ、センサ、SAWフィルタのような振動素子(レゾネータ)、波長可変光フィルタ、ミラーデバイス等、他の種類の微細加工のアクチュエータ、圧力センサ等のセンサ等にも上述の封止部の形成等を適用することができる。また、本発明は、静電方式のアクチュエータ等には特に有効であるが、他に基板間の小さな開口部分を封止する場合にも適用することができる。
実施の形態5.
上述の実施の形態では、固定された電極を有する基板の厚さの方が厚く、またガラス基板であることから、振動板22等の可動する電極を有する基板の方に貫通溝穴26を形成したが、特にこれに限定されるものではない。構成、プロセス等の上で形成しやすい方に貫通溝穴26を形成するようにすればよい。また、上述の第1の実施の形態では、貫通溝穴26は1つであったが、これに限定するものではなく、封止効果を損なわない範囲で、複数の貫通溝穴等を形成してもよい。
実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。 液滴吐出ヘッドの断面図である。 貫通溝穴26と電極基板10上のリード部13との関係を表す図である。 実施の形態1の液滴吐出ヘッドの製造工程(その1)を表す図である。 実施の形態1の液滴吐出ヘッドの製造工程(その2)を表す図である。 液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置の外観図である。 液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。 本発明を利用した波長可変光フィルタを表す図である。
符号の説明
10 電極基板、11 凹部、12 個別電極、13 リード部、14 端子部、15 液体取り入れ口、20 キャビティ基板、21 吐出室、22 振動板、23 絶縁膜、24 電極取出し口、25 封止材、26 貫通溝穴、27 共通電極端子、28 リザーバ、29 オリフィス、30 ノズル基板、31 ノズル孔、32 ダイヤフラム、41 発振駆動回路、42 配線、51 シリコン基板、52 ボロンドープ層、53 TEOSハードマスク、60 マスク、61 マスク開口部、62 大気開放溝、100 プリンタ、101 ドラム、102 液滴吐出ヘッド、103 紙圧着ローラ、104 送りネジ、105 ベルト、106 モータ、107 プリント制御手段、110 プリント紙、120 可動鏡、121 固定鏡、122 可動体、123 固定電極、124 固定電極端子、125 封止材、126 貫通溝穴。

Claims (14)

  1. 可動電極、及び封止材が形成される面を有する第1の基板と、
    前記可動電極と一定距離で対向し、前記可動電極との間で静電力を発生させて前記可動電極を動作させる固定電極を有する第2の基板とを備え、
    前記封止材は、前記固定電極と前記可動電極との間で形成される空間を外気と遮断するため、該空間の開口部分に、前記第1の基板が有する前記面と前記第2の基板とにまたがって、複数の材料が積層して形成され、前記第1の基板が有する面と前記第2の基板とに近い層は、遠い層に比べて流動性を有する材料で形成され、前記遠い層は、前記近い層に比べて水分透過性が低い材料で形成されることを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 流動性を有する材料による層は不純物を添加した酸化シリコンを材料とし、水分透過性が低い材料による層は不純物を添加しない酸化シリコンを材料とすることを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエータ。
  3. 前記不純物はリン及びホウ素とすることを特徴とする請求項2記載の静電アクチュエータ。
  4. 前記封止材が形成される面は、前記封止材を所望範囲内に形成するために前記第1の基板に形成した貫通溝穴の側壁面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電アクチュエータ。
  5. 酸化シリコンの代わりに、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化アルミニウム又はポリパラキシリレンのうち、1又は複数を前記水分透過性が低い材料による層として用いることを特徴とする請求項2又は4記載の静電アクチュエータ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の静電アクチュエータを有し、
    液体が充填される吐出室の少なくとも一部分を前記可動電極として、前記可動電極の変位により前記吐出室と連通するノズルから液滴を吐出させることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項6に記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の静電アクチュエータを搭載したことを特徴とする静電デバイス。
  9. 固定電極を有する第1の基板と前記固定電極と距離をおいて対向し、前記固定電極との間で発生した静電気力により動作する可動電極を有する第2の基板とを接合した接合基板に対し、前記固定電極と前記可動電極との間で形成される空間を外気と遮断する封止材を、第1の基板と前記第2の基板とにまたがった所望範囲内に形成するためのマスク基板を取り付ける工程と、
    前記第1の基板が有する面と前記第2の基板とに近い層が、遠い層に比べて流動性を有する材料となり、前記遠い層が、前記近い層に比べて水分透過性が低い材料となるように、複数の材料を前記所望範囲に堆積させて積層して前記封止材を形成する工程と
    を有することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  10. 流動性を有する材料による層は不純物を添加した酸化シリコンを材料とし、水分透過性が低い材料による層は不純物を添加しない酸化シリコンを材料とすることを特徴とする請求項9記載の静電アクチュエータの製造方法。
  11. 前記不純物を含ませた酸化シリコンを材料とする層を堆積させた後、熱処理を行ってから、前記不純物を含まない酸化シリコンを材料とする層を積層させることを特徴とする請求項9又は10記載の静電アクチュエータの製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  13. 請求項12に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
  14. 請求項9〜11のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法を適用してデバイスを製造することを特徴とする静電デバイスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012176447A (ja) * 2011-02-25 2012-09-13 Fujitsu Ltd 電子デバイスとその製造方法
JP2018031714A (ja) * 2016-08-26 2018-03-01 日立オートモティブシステムズ株式会社 物理量センサ
US10507657B2 (en) 2015-12-01 2019-12-17 Ricoh Company, Ltd. Liquid discharge head, liquid discharge device, and liquid discharge apparatus

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