JP2004347407A - 液滴吐出ヘッド、その製造方法及びそのプライミング方法及びクリーニング方法並びにマイクロアレイ製造装置及びマイクロアレイ検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液滴吐出ヘッドのプライミング又はクリーニング時にコンタミネーションを発生させず、また総てのノズルを同時に単位時間で処理できるような液滴吐出ヘッド等を得る。
【解決手段】吐出液体を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、吐出液体を吐出する吐出ノズル11毎に、ノズル周辺に付着した液体を吸引して排出する吸引ノズル12を隣接して設ける。そして、それらの開口部分の一端を、吐出面の凹部13の底面部分に設けることによって、コンタミネーションを発生させずに、液滴吐出ヘッドが有する総ての吐出ノズル11で一度でプライミング又はクリーニングを行えるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】吐出液体を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、吐出液体を吐出する吐出ノズル11毎に、ノズル周辺に付着した液体を吸引して排出する吸引ノズル12を隣接して設ける。そして、それらの開口部分の一端を、吐出面の凹部13の底面部分に設けることによって、コンタミネーションを発生させずに、液滴吐出ヘッドが有する総ての吐出ノズル11で一度でプライミング又はクリーニングを行えるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液滴吐出ヘッド等に関するものである。特に生体分子を含む溶液を吐出するような液滴吐出ヘッドにおいて、コンタミネーションを防ぐための機構、その製造方法等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液滴吐出方式による印刷等を行う装置は、記録紙等へ高速に印刷が行えること、動作時の音が小さいこと等、多くの利点を有している。液滴吐出方式では、インク等の液体を付着させる位置を制御しながら、複数のノズル(及びその開口部)を有する液滴吐出用のヘッド(以下、液滴吐出ヘッドという。液滴吐出方式で用いられるヘッドの代表としてインクジェットヘッドがある。)から、インク等の液体を吐出し(以下、液滴吐出方式によって吐出する液体を吐出液体という)、印刷等を行う。
【0003】
現在、液滴吐出方式は、記録紙への印刷だけでなく、様々な分野の用途に用いられている。その1つにバイオテクノロジー(生体化学、または、生物工学など)分野への利用が行われている。液滴吐出ヘッドは、主に生体化学のマイクロアレイ(バイオチップともいう)等を製造するためのいわゆるスポッタ(spotter )、ディスペンサと呼ばれる装置に用いられている。マイクロアレイ基板上にマトリクス状に設けられたスポットには、DNA(Deoxyribo Nucleic Acids :デオキシリボ核酸)、蛋白質(プロテイン)等の断片(プローブ)が貼り付けられる。このプローブを貼り付けるため、DNA等を含む液体を液滴吐出ヘッドから吐出し、固化させ、マイクロアレイを製造する。この方法では、コンタクトピン等を用いて製造する方法と比較して次のような利点がある。
(1) マイクロアレイ基板に直接接触しないので基板、プローブへのダメージがない。
(2) 均質のスポットを形成することができる。
(3) 高密度化を容易に行うことができる。
(4) ヘッドの移動量も少なく、高速に一度に吐出でき、時間を短縮することができる。
【0004】
ここで、液体を吐出する際に、ノズル面(吐出面)に液体が付着してしまうことがある。液滴吐出ヘッドが有する複数のノズルが、異なる種類の吐出液体を吐出させている場合、他のノズル(特に隣接するノズル)から吐出される液体との間でコンタミネーションが生じる可能性がある。コンタミネーションとは汚染であり、ここでは異種の液体が混ざることである(混液)。特にマイクロアレイにおいて、コンタミネーションを発生させてしまうと、誤検出等を起こしてしまうため、コンタミネーションを起こして作成されたプローブを有するマイクロアレイは利用することができなくなってしまう。
【0005】
そこで、ノズル面に付着した液体を除くため、ノズル面をふき取る(以下の特許文献1参照)、吸着部材により液体を吸収する(以下の特許文献2参照)、気体を吹き付けて飛ばし、吹き飛ばした液体を吸引する(以下の特許文献3参照)等の方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−201965号公報
【特許文献2】
特開2002−243751号公報
【特許文献3】
特開2002−281968号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、ヘッドが有している複数のノズルは高密度化し、その間隔が狭まる傾向にある。そのため、上記の何れの方法で液体を除こうとしてもコンタミネーションが発生する可能性が高い。これは、吐出ノズルまで吐出液体を満たすために行われるプライミング(初期充填)や吐出ノズル周辺に付着した液体を排出するクリーニング処理の際にも同じである。プライミングの場合は、各ノズルについてそれぞれプライミングを行えばコンタミネーションが発生する可能性は低くなるが、ノズル毎にプライミング装置を位置合わせする必要があり、処理に多くの時間を要する。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、コンタミネーションを発生させないような液滴吐出ヘッド、その製造方法等を得るものである。また、プライミングやクリーニングの時間をできるだけ短縮できるような液滴吐出ヘッド、その製造方法等を得るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出ノズル毎に、吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引して排出する吸引ノズルを隣接して設けたものである。
本発明においては、液滴吐出ヘッドが有する吐出ノズル毎に、その吐出ノズルから漏れ出て付着した液体を吸引し、排出する吸引ノズルを隣接して設け、コンタミネーションを防ぐ。したがって、1つの液滴吐出ヘッドから複数種の液体を吐出させる場合に、ある吐出ノズルの周辺に付着した液体が他種の液体と混じるのを防ぐことができる。特に生体分子を含む溶液を吐出する際には有効である。
【0010】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体が吐出される面に対し、吐出ノズル毎に独立した凹部を設け、吐出ノズルの一端の開口部分である吐出口及び吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引するための吸引口を凹部の底面に備えたものである。
本発明においては、液体が吐出される面に、吐出ノズル毎に独立して凹部を設ける。その凹部の底面には、液体を吐出する吐出口と吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引するための吸引口を設け、吐出口から吐出ノズル周辺に付着した液体を凹部内から出すことなく、吸引する。したがって、ある吐出ノズルの周辺に付着した液体が他種の液体と混じるのを防ぐことができる。特に、吐出作業前に、凹部を密閉して吸引口から気体を吸い出し、凹部内の圧力を下げて吐出口まで液体を充填させるプライミング又は吐出ノズル周辺のクリーニング作業の際、吐出面の各凹部は独立して設けられており、一度に総ての吐出ノズルのプライミングを行うことができて時間短縮を図ることができるし、コンタミネーションを生じることもない。
【0011】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体が吐出される面の、吐出口を挟んで吸引口と反対側に各凹部と通ずる溝を設けた。
本発明においては、溝を設けてその一部又は全部を開放してプライミング又はクリーニング時に密閉した凹部を大気圧に戻すことにより、プライミング等により凹部に充填された液体を吸引口より排出する。その際、吐出口には液体の表面張力によりメニスカスが形成され、総てのノズルに均一に液体が充填される。そして、溝により、凹部の一部を開口しなくても有効に凹部を大気圧に戻すことができる。
【0012】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液体が吐出される面に対し、ノズル数に応じた凹部を形成し、それぞれの前記凹部の底面と液体が吐出される面と反対の面とを貫通させて吐出ノズル及び吸引ノズルを形成したノズルプレートを作製する工程と、液体を吐出するために必要な部材及び駆動機構並びに液体が吐出される面に吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引ノズルを介して吸引させるために必要な部材を形成した基板とノズルプレートとを接合する工程とを少なくとも有する。
本発明においては、ノズル数に応じて凹部を形成し、さらに凹部の底面に貫通孔を開けて吐出ノズル及び吸引ノズルを形成したノズルプレートを作製する。そして、そのノズルプレートと、吐出を行うための部材や機構及び吸引、排出のための流路となる部材が作製された基板とを接合し、液滴吐出ヘッドを製造する。したがって、複数種の液体を吐出させる場合に、ある吐出ノズルの周辺に付着した液体が他種の液体と混ざるのを防ぎ、吐出ノズル周辺に付着した液体を排出することができる。特に生体分子を含む液体を吐出する際には有効である。
【0013】
本発明に係る液滴吐出ヘッドのプライミング方法又はクリーニング方法は、上述した溝及び凹部を有する液滴吐出ヘッドについて、液体が吐出される面に平板を密着させ、凹部及び溝を覆う工程と、吸引口から気体を排出することで、液体を吐出ノズルを通じて吸引口まで充填する工程と、溝が形成された側と反対側に平板を平行移動させ、溝の全部又は一部を開放して凹部内の液体を排出する工程とを少なくとも有する。
本発明においては、液体を吐出する面に凹部及び溝を有する液滴吐出ヘッドに対し、液体を吐出する面に平板を密着させて凹部及び溝を覆い、吸引口を介して、凹部及び溝の気体を排出し(空気抜きを行い)、減圧することにより、例えば液滴吐出側につながるタンクに溜められた液体を吸引して溝まで液体を充填させる。そして、総ての吸引口から液体が排出された又は液体が移動するのに十分な時間が経過した場合に、平板を移動させて溝の全部又は一部を開放し、凹部内を大気圧に戻し、吐出口から出ようとする液体を押し留め、凹部にたまった液体を吸引口から排出する。したがって、凹部の底面に吐出口及び吸引口を設け、各凹部は独立しているので、総ての吐出口を一度にプライミングすることができ、コンタミネーションを生じないプライミング方法又はクリーニング方法が得られる。
【0014】
本発明に係る液滴吐出ヘッドのプライミング方法又はクリーニング方法は、平板を弾性材料で構成し、平板を平行移動させる代わりに、平板の一部を変形させて溝の全部又は一部を開放する。
本発明においては、平板をゴム等の弾性材料で構成し、例えば溝の部分をめくり上げて開放することで凹部内を大気圧に戻す。したがって、平板を移動させなくても容易に溝を開放できるプライミング方法又はクリーニング方法が得られる。
【0015】
本発明に係るマイクロアレイ製造装置は、生体分子を含む溶液が吐出される面に対し、吐出ノズル毎に凹部を備え、吐出ノズルの一端の開口部分である吐出口及び吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引するための吸引口を凹部の底面に設けた液滴吐出ヘッドと、位置制御信号に基づいて液滴吐出ヘッドを移動させる走査駆動手段と、吐出対象となるマイクロアレイ基板と液滴吐出ヘッドとの相対位置を変化させる位置制御手段とを少なくとも備えたものである。
本発明においては、溶液が吐出される面に対し、吐出ノズル毎に凹部を備え、その凹部の底面に吐出口と吸引口とを設けた液滴吐出ヘッドを備え、走査駆動手段により液滴吐出ヘッドを移動させ、位置制御手段によりマイクロアレイ基板との位置を制御して液滴吐出ヘッドから吐出し、マイクロアレイを製造する。したがって、ヘッドの移動時間、洗浄時間等が短縮できる液滴吐出ヘッドを用いて短時間で効率よく、コンタミネーションのない、品質のよいマイクロアレイを製造できるマイクロアレイ製造装置を得ることができる。
【0016】
本発明に係るマイクロアレイ製造装置は、溶液が吐出される面に密着させ、少なくとも凹部を覆うための平板と、凹部及び平板で構成される空間内の気体を吸引口から排出し、吐出口まで溶液を移動させるプライミング又は吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引口より排出するクリーニングを行う際に、平板を密着移動させるための移動手段とをさらに備えたものである。
本発明においては、マイクロアレイ製造装置は、プライミング又はクリーニングを行うための平板とその平板の移動手段とをさらに備え、平板を吐出面に密着し、凹部を覆った上で吸引口から気体を吸引して凹部内を減圧し、それにより、溶液を吐出口まで移動させる。そして、凹部を大気圧に戻し、液体を吐出口に留めつつ、凹部の吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引口から排出する。したがって、複数種の液体を吐出させる場合に、ある吐出ノズル周辺に付着した液体が他種の液体と混じるのを防ぎ、ノズル周辺に付着した液体を排出することができる。
【0017】
本発明に係るマイクロアレイ製造装置は、液滴吐出ヘッドは、外部からの力により少なくとも一部分が形状変化する吐出室と、吐出室と通じ、吐出室の形状変化による室内の圧力変化により吐出液体を吐出するノズルとを1又は複数有し、さらに、それぞれの又は全ての吐出室に力を加えて形状変化させる1又は複数の加圧手段を備えたものである。
本発明においては、加圧手段により、吐出室に力を加えることにより、形状変形させ、その圧力で吐出ノズルから溶液を吐出させる。したがって、1つのノズルで吐出することもできるし、複数の吐出で同一の吐出液体を複数の位置に吐出することもできる。また、1つの加圧手段で、複数吐出室を同時に形状変化させることにより、駆動系の制御を単純にしつつ同時吐出を行うことができる。複数の加圧手段がそれぞれの吐出室に設けられている場合は、細かな吐出制御を行うことができる。
【0018】
本発明に係るマイクロアレイ検査装置は、上記のマイクロアレイ製造装置を、マイクロアレイに形成されたプローブと反応させる試料となる溶液を吐出させて検査を行う装置として用いるものである。
本発明においては、マイクロアレイ製造装置として用いていた装置を、マイクロアレイに試料の溶液を吐出するための検査装置として用いる。したがって、マイクロアレイ製造時だけでなく、検査時においても、短時間で効率よく検査を行える装置を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施形態1.
図1は本発明の第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッド表す図である。本実施の形態の液滴吐出ヘッドは振動板を用いたフェイス吐出型の液滴吐出ヘッドについて説明する。ノズルプレート1、キャビティプレート2及び電極プレート3の3つのプレートを重ねて接合し、構成するものである。
【0020】
図2は別の角度から見た液滴吐出ヘッドを表す図である。図2(a)はノズル面から見た図を表し、図2(b)は断面図を表す。例えば、図2(b)では、主要部分を大きく見せるためにノズルプレート1を厚く記載しているが、実際の比率は異なる。図2(a)についても同様に、実際の各部材の比率は異なる。ノズルプレート1は、例えばシリコン(珪素)又はガラスを材料としている。本実施の形態ではノズルプレート1をシリコン基板を材料とした場合について説明する。ノズルプレート1には、吐出ノズル11、吸引ノズル12、凹部13及び溝14が形成されている。吐出ノズル11は吐出液体の通り道となる部分である。吐出ノズル11の一端の開口部分(吐出口)は凹部13の底面部分に設けられており、吐出液体はこの部分から外部に吐出される。吐出ノズル11は径の大きさにより2段に分かれている。これはノズル径を制御し、吐出性能をよくするためである。吐出面となるノズル面に近い方の長さが25μm、吐出室21に近い方のノズル部分の長さが55μmとなっている。ここでは2段にしているが、この段数を増減させてもよい。ただ、段数が増える分だけ、加工時間も増える。本実施の形態では、吐出口の凹部表面に撥水処理を施しておく。吸引ノズル12は、例えば吐出ノズル11から出て凹部13に付着した液体を吸引し、排出するための通路となる。吸引ノズルの一端の開口部分(吸引口)も凹部13の底面に設けられている。吸引ノズル12の口径は特に限定しないが、液体排出に必要な負圧をかけることができる程度の大きさにする必要がある。凹部13は、プライミング又は吐出ノズル11周辺のクリーニングを有効に行い、コンタミネーションを防ぐために設けている。プライミングとは、液体を吐出させる前等に行う初期充填であり、本実施の形態では、ノズル面(凹部13)を塞いだ後に、吸引ノズル12から空気を吸い出すことでタンク(図示せず)から吐出液体を吸引し、リザーバ24、吐出室21を介して吐出ノズル11の開口部分まで吐出液体を移動させるようにすることである。ここでは、凹部13の窪み部分の深さは、例えば100μmとするが、この深さに特に限定するものではない。他の部分の長さ(幅)についても特に限定しないが、実際には各吐出室等の幅に依存する。また、長すぎると凹部の容積も大きくなるので、プライミング等に時間を要し、また、無駄になる吐出液体量が増えるため、液体を吸引するという目的を達成できる範囲内でそれぞれの寸法を決定する方がよい。溝14は、プライミング又はクリーニング後に空気を流入させて、気圧(大気圧)によって吐出ノズル11の一端の開口部分(吐出口)に液体を留めておいた上で、凹部13にある液体を吸引ノズル12から吸引させるためのものである。特に溝14の長さ、幅、断面積等は規定しないが、上記のような目的を達成できるだけの大きさを確保する必要がある。
【0021】
キャビティプレート2は、シリコンを材料とする基板で構成されている。以下の各部材は、主にシリコンをウェットエッチング加工することによって得られるものである。吐出室21は供給路34、リザーバ24を介して供給された吐出液体を溜めておく。また、ノズル11を介して開口部12と通じている。吐出室21の少なくとも一面の壁(ここでは、底壁とする。ここではこの底壁のことを振動板22ということにする)が撓んで形状変化するようにしておき、振動板22を撓ませて吐出室21内の圧力を高め、吐出液体を押し出すことによって、吐出ノズル11から吐出液体を吐出させる。排出部23は吐出室21と対になる部分である。排出部23は、本来、ノズルを2列で構成する液滴吐出ヘッドを製造する場合に対となる列の吐出室となる部分である。本実施の形態では、一方を液体排出用に用いるので、排出部23を吐出室としては用いず、吸引ノズル16と排出路35との間の通り道として用いる。したがって、キャビティプレート2の部材形成の際に通常の液滴吐出ヘッドに用いるパターニングと同じものを利用することができる。リザーバ24は、オリフィス15(ノズルプレート1に形成)を通じて吐出室21と連通している。
【0022】
電極プレート3はガラスを材料としている。電極プレート3は厚さ約1mmであり、キャビティプレート2を挟んでノズルプレートの反対側に接合される。ここで電極プレート3となるガラスにはホウ珪酸ガラスを用いることにする。電極プレート3には、例えば凹部32が設けられ、その内側に吐出室21の位置に合わせて電極31及び端子部33が設けられている。本実施の形態では、この電極31の材料として酸化錫を不純物としてドープした透明のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を用い、凹部32内に例えば0.1μmの厚さにスパッタ法を用いて成膜する。ただし、電極31の材料等はITOに限るものではなく、金属等を用いることもできる。また、電極プレート3には、リザーバ23と通ずる供給路34及び排出部23と通ずる排出路35が設けられている。
【0023】
本実施の形態は、液体が吐出される面(ノズル面)に付着した吐出液体を吸引ノズル12から吸引し、ノズル面から排出することでコンタミネーションを防ぐ。また、プライミング又はクリーニング時のコンタミネーションを防ぎ、プライミング等を効率よく行えるように、各吐出ノズルに対し、凹部13を設け、凹部13の底部に吐出ノズル11及び吸引ノズル12のそれぞれの開口部分の一端を設ける。これにより、液滴吐出ヘッドが有している全ての吐出ノズル11に一度にプライミング等を行っても、各凹部13は独立していることにより、コンタミネーションが発生しない。
【0024】
図3はプライミング又はクリーニング方法を実現するための図である。本実施の形態では、プライミングの方法について主に説明するがクリーニングも同様の処理で行うことができる。平面プレート40は凹部13及び溝14を覆って密閉し、凹部13及び溝14側から空気が流入しないようにするために設けているものである。
【0025】
平面プレート40をノズル面に密着させ、凹部13及び溝14を塞いでプライミングを行う。平面プレート40をノズル面に密着させた後、吸引ノズル12の開口部分から凹部13等に存在する空気を吸い出す。これにより、供給路34から供給された吐出液体はリザーバ24、オリフィス15、吐出室21を介して吐出ノズル11の一端の開口部分まで移動する。ここで、本実施の形態では空気の吸い出しに用いる装置としてポンプを用いる。ただ、ポンプに限定しなくても、他の吸引装置を用いてもよい。
【0026】
十分にプライミングができたことが確認されたら、平面プレート40を、ノズル面に密着させたまま、溝14が設けられた方向と反対側の方向にスライド移動させて、溝14を開放し、そこから凹部13内に空気を流入させる。一方、凹部13内の液体は、溝14より流入した空気に押され、吸引ノズル12から排出される。この時、吐出ノズル11の開口部に、液体の表面張力によりメニスカスが形成され押し留められる。ここで、平面プレート40を移動させる方向は、コンタミネーションを避けるために、必ず溝14が設けられた方向と反対側に移動させる必要がある。各ノズルにおいて、吐出液体の排出が十分にできたことを確認したら、平面プレート40を完全に取り除いて終了する。平面プレート40は洗浄等を行って再度用いてもよいし、使い捨てにしてもよい。
【0027】
また、平面プレート40の材料には、例えばゴム板等、力が加えられると変形し、力を除くと元に戻ろうとする弾性材料にしてもよい。そして、凹部13及び溝14を塞いでいる平面プレート40の一部をめくり上げて溝14を開放することにより、溝14より流入した空気に押され、凹部13内の液体は吸引ノズル12から排出される。この時、吐出ノズル11の開口部に、液体の表面張力によりメニスカスが形成され押し留められる。
【0028】
以上のように第1の実施の形態によれば、液滴吐出ヘッドに、ノズル数に合わせて、吐出面に凹部13を設け、その底面に吐出ノズル11及び吸引ノズル12のそれぞれの開口部の一端を設けることにより、ある吐出ノズル11からノズル周辺に付着した液体が他種の液体と混ざるのを防ぐことができる。また、凹部13と通ずる溝14を設け、凹部13及び溝14を平面プレート40で覆い、吸引ノズル12から空気を吸引することにより、凹部13及び溝14内のプライミング(初期充填)を行って凹部13内を減圧させ、供給路35、リザーバ24、オリフィス15、吐出室21を経由して吐出ノズル11の開口部分まで吐出液体を移動させる。その移動が終わると、溝14の一部又は全部を開放することで凹部13を大気圧に戻し、開口部分から出ようとする吐出液体を押し留め、吐出ノズル11周辺に付着した液体を吸引ノズル12から排出路35に排出するので、液滴吐出ヘッドにある吐出ノズル11に対し、一度にプライミングを行うことができて時間短縮を図ることができるし、コンタミネーションも生じない。また、平面プレート40にゴム等の弾性材料を用いることで、平面プレート40を移動させなくても、めくり上げて開放する等、容易に溝14を開放することができる。
【0029】
実施形態2.
図4はノズルプレート1の吐出ノズル11及び吸引ノズル12の形成工程を表す図である。次に本実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造例について説明する。まず、ノズルプレート1の作製方法例について説明する。ここで、作製するノズルプレートにおいては、ノズル面に対して溝14、凹部13、吐出ノズル11及び吸引ノズル12の順に深くなるように形成する。また、以下に記載する溝14の深さ等の数値は任意であり、本発明はこれに限定するものではない。また、液滴吐出ヘッドの製造方法も以下に説明する方法だけに限定するものではない。
【0030】
まず、ノズルプレート1となるシリコン基板を熱酸化し、シリコン基板表面に熱酸化膜(SiO2 である。以下、単にシリコン酸化膜という)を成膜する。ここで基板の板厚を180μmとする。次にキャビティプレート2と接合される側の面(以下、下面という)にレジスト材料を塗布してレジストを形成し、ファーストノズル11a(2段で形成した吐出ノズル11のノズル面に近い方の段をいう)及び吸引ノズル12を形成するためのパターニングを行う(図4(a))。次に上記レジストをマスクとしてシリコン酸化膜のエッチングを行い、ファーストノズル11a及び吸引ノズル12に対応する部分のシリコン酸化膜を除去する(図4(b))。
【0031】
その後、再度レジスト材料を塗布してレジストを形成し、セカンドノズル11b(吐出室21に近い方の段をいう)のパターニングを行う。次に上記レジストをマスクとしてシリコン酸化膜をエッチングする(図4(c))。このときシリコン酸化膜を総てエッチングしてしまうのではなく、例えばシリコン酸化膜の厚さを1/2とするまでエッチングを行う。また、このとき、ノズルプレート1上面(ノズル面)は常にレジストで保護されており、ノズル面のシリコン酸化膜はエッチングされないものとする。
【0032】
次に上記ノズルプレート1に対し、シリコン酸化膜をマスクとして第1段階の異方性ドライエッチングを行う(図4(d))。第1段階の異方性ドライエッチングにより、ファーストノズル11a及び吸引ノズル12の径でのエッチングを行う。このときのエッチング深さとしては、ファーストノズル11aの深さ(長さ)分である、例えば25μmエッチングする。
【0033】
次に先ほど1/2の厚さだけ残したシリコン酸化膜をエッチングにより除去する(図4(e))。そして、第2段階の異方性ドライエッチングを行い、セカンドノズル11bを形成する(図4(f))。エッチング深さとしては例えば55μmである。このとき、吸引ノズル12の部分は連続してエッチングされるため、その深さ(長さ)は例えば25μm+55μm=80μmとなる。上記工程終了後、総てのシリコン酸化膜をエッチングによって除去する(図4(g))。
【0034】
図5はノズルプレート1の凹部13及び溝14の製造工程を表す図である。吐出ノズル11及び吸引ノズル12の形成工程でシリコン酸化膜を除去したノズルプレート1を再度熱酸化し、シリコン酸化膜を形成する(図5(a))。次にノズルプレート1上面(ノズル面)に対し、フォトリソグラフィ法により凹部13となる部分のパターニングを行う(図5(b))。次に上記レジストをマスクとしてシリコン酸化膜をエッチングする(図5(c))。
【0035】
さらに溝14となる部分のパターンをフォトリソグラフィ法により形成した後(図5(d))、シリコン酸化膜をエッチングする(図5(e))。その際、シリコン酸化膜の厚さが例えば1/2となるようにエッチングを行う。このときノズルプレート1の下面は、レジストにより保護されている。
【0036】
上記パターニング終了後、ノズルプレート1上面(ノズル面)に対して、吐出ノズル11及び吸引ノズル12の形成工程と同様に、2段階の異方性ドライエッチングを行う。まず、第1段階の異方性ドライエッチングを行って凹部13を形成した後(図5(f))、先ほど1/2の厚さだけ残したシリコン酸化膜を除去し(図5(g))する。そして、第2段階の異方性ドライエッチングを行い、溝14を形成する(図5(h))。このときエッチング深さについて、第1段階でのエッチング深さを90μm、第2段階でのエッチング深さを10μmとすることにより、深さ100μmの凹部13、10μmの溝14が形成され、凹部13の底部において吐出ノズル11及び吸引ノズル12の開口部が開口する(ただ、この段階ではシリコン熱酸化膜が残されている)。最後にシリコン熱酸化膜を総て除去した後、ドライ酸化を行い、ノズルプレート1が完成する(図5(i))。
【0037】
次にキャビティプレート2及び電極プレート3について説明する。キャビティプレート2となるシリコン基板には、電極プレート3との対向面となる側に、例えばボロンドープによるボロンを拡散した層を形成する。また、絶縁膜を成膜する等の処理工程を行う。また、反対側の面であるノズルプレート1と対向する面については、吐出室21、排出部23及びリザーバ24となる凹部を異方性ウェットエッチングを行って形成する。その際、ボロンが拡散した層は、ウェットエッチングによりエッチングされずに残り、この層が振動板22を形成する。
【0038】
一方、電極プレート3については、材料となるガラス基板のキャビティプレート2と対向する面に凹部32を形成する。そして、キャビティプレート2に形成される振動板22の位置に合わせ、凹部32内部に例えばITOを材料とする電極31及び端子部33を成膜する。ここで、本液滴吐出ヘッドでは、排出部23を形状変化させる必要がないので、排出部23側には電極32を設ける必要はない。そして、さらに供給路34及び排出路35となる孔を形成する。
【0039】
それぞれ作製したノズルプレート1、キャビティプレート2及び電極プレート3を、キャビティプレート2をノズルプレート1と電極プレート3とが挟む形で接合する。その際、ノズルプレート1の下面とキャビティプレート2の凹部を形成した面とを接合する。また、キャビティプレート2の振動板22が形成された面と電極プレート3の電極31が形成された面とを接合する。そのとき、シリコン基板であるキャビティプレート2とガラス基板である電極プレート3とを例えば陽極接合によって接合する。陽極接合は強固に接合できるので有利ではあるが、陽極接合に限定するものではなく、他の接合方法によっても接合することができる。
【0040】
各プレートを接合した接合体はウェハ状であり、複数の液滴吐出ヘッドが一体形成されているので、液滴吐出ヘッド毎にダイシングして切り離す。また、各ヘッドに対し、外部からの電源、信号供給を受けるための配線等を施し、本実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造が完了する。
【0041】
以上のように第2の実施の形態によれば、2列構成の吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッドを製造する場合と同じパターン形状を用いて、キャビティプレート2及び電極プレート3を作製することができるので、ノズルプレート1以外にはあらためて設計し直す必要が特になく都合がよい。
【0042】
実施形態3.
図6はマイクロアレイ製造装置を表す図である。図6において、100は上述の実施の形態で説明したものと同様の液滴吐出ヘッドである。そのため、液滴吐出ヘッド100の各構成部品の図番は上述の実施の形態と同じものを用いる。また、液滴吐出ヘッド100は上述した液滴吐出ヘッドを複数つなぎ合わせたもの(例えばいわゆるライン液滴吐出ヘッド)であってもよい。
【0043】
Y方向駆動軸102にはY方向駆動モータ103が接続されている。Y方向駆動モータ103は、例えばステッピングモータ等である。制御手段107からY軸方向の駆動信号が供給されると、Y方向駆動軸102を回転させる。Y方向駆動軸102が回転させられると、液滴吐出ヘッド100はY方向駆動軸102の方向に沿って移動する。X方向ガイド軸104は、基台106に対して動かないように固定されている。
【0044】
作業台101は、製造すべきマイクロアレイの群108(以下、アレイ群108という)を設置させるものである。アレイ群108は例えば作業台101上に8×6で並べられている。作業台101には作業台駆動モータ105が備えられている。作業台駆動モータ105も、例えばステッピングモータ等である。制御手段107からX軸方向の駆動信号が供給されると、作業台101をX軸方向に移動させる。すなわち、作業台121をX軸方向に駆動し、液滴吐出ヘッド100をY軸方向に駆動させることで、液滴吐出ヘッド100をアレイ群108上のいずれの場所にも自在に移動させることができる。また、アレイ群108に対する液滴吐出ヘッド100の相対速度も、各軸方向の駆動機構によって駆動する作業台101と液滴吐出ヘッド100の速度によって定まる。
【0045】
制御手段107は、液滴吐出ヘッド100の発振回路23を発振させるための液体吐出用の電圧を印加し、インク吐出の制御を行う。また、Y方向駆動モータ103には、液滴吐出ヘッド100のY軸方向の移動を制御する駆動信号を送信する。作業台駆動モータ105には作業台101のX軸方向の移動を制御する駆動信号を送信する。
【0046】
なお、本実施の形態では、液滴吐出ヘッド100はY軸方向にしか移動せず、X軸方向については作業台101が移動するようにした。これを逆にしてもよいし、また、液滴吐出ヘッド100又は作業台101のどちらか一方又は双方がX軸方向及びY軸方向の双方に移動できるようにしてもよい。
【0047】
ここで、通常、紙への記録に用いられる液滴吐出印刷装置における液滴吐出ヘッド100の各ノズル12の間隔は300dpi(dots per inch )、360dpi、600dpi、720dpi等の表示分解能を満たすものである。したがって、従来のフォトマスクパターン等を利用しようとすれば、各ノズル12の間隔(以下、ピッチという)をこの分解能に合わせ、アレイ上に並べるプローブのピッチもこれに合わせるようにすればよい。
【0048】
また、プローブのピッチを印刷装置のものとは異なるものにしようとすれば、あらためて異なるフォトマスクパターンを作成して、所望の液滴吐出ヘッドを製造してもよい。
【0049】
また、通常の液滴吐出印刷装置に用いられるものと同じヘッドを用いてピッチを調整することもできる。例えば、アレイ群108のX軸方向又はY軸方向に対して平行に設置していた液滴吐出ヘッド100を角度を持たせて設置し、X軸方向又はY軸方向に対する間隔を変化させることでピッチを調整することができる。この場合は、それぞれのノズル開口部11から吐出液体を吐出するタイミングが異なるので、1つの電極で同時吐出を行うよりも、各個に電極を設けてタイミングを調整した方がよい。
【0050】
以上のように第3の実施の形態によれば、第1及び第2の実施の形態で製造した液滴吐出ヘッド100を用いるようにしたので、一度に総ての吐出ノズル11についてプライミング又はクリーニングを行うことができるようになり、処理にかかる時間を短縮できるマイクロアレイ製造装置を得ることができる。また、プライミング又はクリーニングの際、凹部13に付着した溶液は吸引ノズル11で吸引するので、コンタミネーションが発生せず、品質が高く、歩留まりのよいマイクロアレイを製造することができる。
【0051】
実施形態4.
上述の実施の形態では、例えば、DNA等の生体化学物質を含む吐出液体を吐出してマイクロアレイを製造するための装置に備える液滴吐出ヘッドについて説明した。ただ、本発明の液滴吐出ヘッドをこの用途に限定するものではない。例えば、着色材料(顔料)を含む吐出液体を吐出して液晶等の表示装置に用いるカラーフィルタを製造するためのカラーフィルタ製造装置や、自発光の電界発光素子となる高分子有機化合物を含む吐出液体を吐出して表示装置を製造するための装置等、他のあらゆる工業用途、家庭用途に、第1の実施の形態のような液滴吐出ヘッドを利用した装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッド表す図である。
【図2】別の角度から見た液滴吐出ヘッドを表す図である。
【図3】プライミング又はクリーニング方法を実現するための図である。
【図4】吐出ノズル11及び吸引ノズル12の形成工程を表す図である。
【図5】凹部13及び溝14の製造工程を表す図である。
【図6】マイクロアレイ製造装置を表す図である。
【符号の説明】
1 ノズルプレート、11 吐出ノズル、12 吸引ノズル、13 凹部、14 溝、2 キャビティプレート、21 吐出室、22 振動板、23 排出部、24 リザーバ、3 電極プレート、31 電極、32 凹部、33 端子部、34 供給路、35 排出路、40 平面プレート、100 液滴吐出ヘッド、101 作業台、102 Y方向駆動軸、103 Y方向駆動モータ、104X方向ガイド軸、105 作業台駆動モータ、106 基台、107 制御手段、108 マイクロアレイ群
【発明の属する技術分野】
本発明は液滴吐出ヘッド等に関するものである。特に生体分子を含む溶液を吐出するような液滴吐出ヘッドにおいて、コンタミネーションを防ぐための機構、その製造方法等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液滴吐出方式による印刷等を行う装置は、記録紙等へ高速に印刷が行えること、動作時の音が小さいこと等、多くの利点を有している。液滴吐出方式では、インク等の液体を付着させる位置を制御しながら、複数のノズル(及びその開口部)を有する液滴吐出用のヘッド(以下、液滴吐出ヘッドという。液滴吐出方式で用いられるヘッドの代表としてインクジェットヘッドがある。)から、インク等の液体を吐出し(以下、液滴吐出方式によって吐出する液体を吐出液体という)、印刷等を行う。
【0003】
現在、液滴吐出方式は、記録紙への印刷だけでなく、様々な分野の用途に用いられている。その1つにバイオテクノロジー(生体化学、または、生物工学など)分野への利用が行われている。液滴吐出ヘッドは、主に生体化学のマイクロアレイ(バイオチップともいう)等を製造するためのいわゆるスポッタ(spotter )、ディスペンサと呼ばれる装置に用いられている。マイクロアレイ基板上にマトリクス状に設けられたスポットには、DNA(Deoxyribo Nucleic Acids :デオキシリボ核酸)、蛋白質(プロテイン)等の断片(プローブ)が貼り付けられる。このプローブを貼り付けるため、DNA等を含む液体を液滴吐出ヘッドから吐出し、固化させ、マイクロアレイを製造する。この方法では、コンタクトピン等を用いて製造する方法と比較して次のような利点がある。
(1) マイクロアレイ基板に直接接触しないので基板、プローブへのダメージがない。
(2) 均質のスポットを形成することができる。
(3) 高密度化を容易に行うことができる。
(4) ヘッドの移動量も少なく、高速に一度に吐出でき、時間を短縮することができる。
【0004】
ここで、液体を吐出する際に、ノズル面(吐出面)に液体が付着してしまうことがある。液滴吐出ヘッドが有する複数のノズルが、異なる種類の吐出液体を吐出させている場合、他のノズル(特に隣接するノズル)から吐出される液体との間でコンタミネーションが生じる可能性がある。コンタミネーションとは汚染であり、ここでは異種の液体が混ざることである(混液)。特にマイクロアレイにおいて、コンタミネーションを発生させてしまうと、誤検出等を起こしてしまうため、コンタミネーションを起こして作成されたプローブを有するマイクロアレイは利用することができなくなってしまう。
【0005】
そこで、ノズル面に付着した液体を除くため、ノズル面をふき取る(以下の特許文献1参照)、吸着部材により液体を吸収する(以下の特許文献2参照)、気体を吹き付けて飛ばし、吹き飛ばした液体を吸引する(以下の特許文献3参照)等の方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−201965号公報
【特許文献2】
特開2002−243751号公報
【特許文献3】
特開2002−281968号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、ヘッドが有している複数のノズルは高密度化し、その間隔が狭まる傾向にある。そのため、上記の何れの方法で液体を除こうとしてもコンタミネーションが発生する可能性が高い。これは、吐出ノズルまで吐出液体を満たすために行われるプライミング(初期充填)や吐出ノズル周辺に付着した液体を排出するクリーニング処理の際にも同じである。プライミングの場合は、各ノズルについてそれぞれプライミングを行えばコンタミネーションが発生する可能性は低くなるが、ノズル毎にプライミング装置を位置合わせする必要があり、処理に多くの時間を要する。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、コンタミネーションを発生させないような液滴吐出ヘッド、その製造方法等を得るものである。また、プライミングやクリーニングの時間をできるだけ短縮できるような液滴吐出ヘッド、その製造方法等を得るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出ノズル毎に、吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引して排出する吸引ノズルを隣接して設けたものである。
本発明においては、液滴吐出ヘッドが有する吐出ノズル毎に、その吐出ノズルから漏れ出て付着した液体を吸引し、排出する吸引ノズルを隣接して設け、コンタミネーションを防ぐ。したがって、1つの液滴吐出ヘッドから複数種の液体を吐出させる場合に、ある吐出ノズルの周辺に付着した液体が他種の液体と混じるのを防ぐことができる。特に生体分子を含む溶液を吐出する際には有効である。
【0010】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体が吐出される面に対し、吐出ノズル毎に独立した凹部を設け、吐出ノズルの一端の開口部分である吐出口及び吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引するための吸引口を凹部の底面に備えたものである。
本発明においては、液体が吐出される面に、吐出ノズル毎に独立して凹部を設ける。その凹部の底面には、液体を吐出する吐出口と吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引するための吸引口を設け、吐出口から吐出ノズル周辺に付着した液体を凹部内から出すことなく、吸引する。したがって、ある吐出ノズルの周辺に付着した液体が他種の液体と混じるのを防ぐことができる。特に、吐出作業前に、凹部を密閉して吸引口から気体を吸い出し、凹部内の圧力を下げて吐出口まで液体を充填させるプライミング又は吐出ノズル周辺のクリーニング作業の際、吐出面の各凹部は独立して設けられており、一度に総ての吐出ノズルのプライミングを行うことができて時間短縮を図ることができるし、コンタミネーションを生じることもない。
【0011】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体が吐出される面の、吐出口を挟んで吸引口と反対側に各凹部と通ずる溝を設けた。
本発明においては、溝を設けてその一部又は全部を開放してプライミング又はクリーニング時に密閉した凹部を大気圧に戻すことにより、プライミング等により凹部に充填された液体を吸引口より排出する。その際、吐出口には液体の表面張力によりメニスカスが形成され、総てのノズルに均一に液体が充填される。そして、溝により、凹部の一部を開口しなくても有効に凹部を大気圧に戻すことができる。
【0012】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液体が吐出される面に対し、ノズル数に応じた凹部を形成し、それぞれの前記凹部の底面と液体が吐出される面と反対の面とを貫通させて吐出ノズル及び吸引ノズルを形成したノズルプレートを作製する工程と、液体を吐出するために必要な部材及び駆動機構並びに液体が吐出される面に吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引ノズルを介して吸引させるために必要な部材を形成した基板とノズルプレートとを接合する工程とを少なくとも有する。
本発明においては、ノズル数に応じて凹部を形成し、さらに凹部の底面に貫通孔を開けて吐出ノズル及び吸引ノズルを形成したノズルプレートを作製する。そして、そのノズルプレートと、吐出を行うための部材や機構及び吸引、排出のための流路となる部材が作製された基板とを接合し、液滴吐出ヘッドを製造する。したがって、複数種の液体を吐出させる場合に、ある吐出ノズルの周辺に付着した液体が他種の液体と混ざるのを防ぎ、吐出ノズル周辺に付着した液体を排出することができる。特に生体分子を含む液体を吐出する際には有効である。
【0013】
本発明に係る液滴吐出ヘッドのプライミング方法又はクリーニング方法は、上述した溝及び凹部を有する液滴吐出ヘッドについて、液体が吐出される面に平板を密着させ、凹部及び溝を覆う工程と、吸引口から気体を排出することで、液体を吐出ノズルを通じて吸引口まで充填する工程と、溝が形成された側と反対側に平板を平行移動させ、溝の全部又は一部を開放して凹部内の液体を排出する工程とを少なくとも有する。
本発明においては、液体を吐出する面に凹部及び溝を有する液滴吐出ヘッドに対し、液体を吐出する面に平板を密着させて凹部及び溝を覆い、吸引口を介して、凹部及び溝の気体を排出し(空気抜きを行い)、減圧することにより、例えば液滴吐出側につながるタンクに溜められた液体を吸引して溝まで液体を充填させる。そして、総ての吸引口から液体が排出された又は液体が移動するのに十分な時間が経過した場合に、平板を移動させて溝の全部又は一部を開放し、凹部内を大気圧に戻し、吐出口から出ようとする液体を押し留め、凹部にたまった液体を吸引口から排出する。したがって、凹部の底面に吐出口及び吸引口を設け、各凹部は独立しているので、総ての吐出口を一度にプライミングすることができ、コンタミネーションを生じないプライミング方法又はクリーニング方法が得られる。
【0014】
本発明に係る液滴吐出ヘッドのプライミング方法又はクリーニング方法は、平板を弾性材料で構成し、平板を平行移動させる代わりに、平板の一部を変形させて溝の全部又は一部を開放する。
本発明においては、平板をゴム等の弾性材料で構成し、例えば溝の部分をめくり上げて開放することで凹部内を大気圧に戻す。したがって、平板を移動させなくても容易に溝を開放できるプライミング方法又はクリーニング方法が得られる。
【0015】
本発明に係るマイクロアレイ製造装置は、生体分子を含む溶液が吐出される面に対し、吐出ノズル毎に凹部を備え、吐出ノズルの一端の開口部分である吐出口及び吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引するための吸引口を凹部の底面に設けた液滴吐出ヘッドと、位置制御信号に基づいて液滴吐出ヘッドを移動させる走査駆動手段と、吐出対象となるマイクロアレイ基板と液滴吐出ヘッドとの相対位置を変化させる位置制御手段とを少なくとも備えたものである。
本発明においては、溶液が吐出される面に対し、吐出ノズル毎に凹部を備え、その凹部の底面に吐出口と吸引口とを設けた液滴吐出ヘッドを備え、走査駆動手段により液滴吐出ヘッドを移動させ、位置制御手段によりマイクロアレイ基板との位置を制御して液滴吐出ヘッドから吐出し、マイクロアレイを製造する。したがって、ヘッドの移動時間、洗浄時間等が短縮できる液滴吐出ヘッドを用いて短時間で効率よく、コンタミネーションのない、品質のよいマイクロアレイを製造できるマイクロアレイ製造装置を得ることができる。
【0016】
本発明に係るマイクロアレイ製造装置は、溶液が吐出される面に密着させ、少なくとも凹部を覆うための平板と、凹部及び平板で構成される空間内の気体を吸引口から排出し、吐出口まで溶液を移動させるプライミング又は吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引口より排出するクリーニングを行う際に、平板を密着移動させるための移動手段とをさらに備えたものである。
本発明においては、マイクロアレイ製造装置は、プライミング又はクリーニングを行うための平板とその平板の移動手段とをさらに備え、平板を吐出面に密着し、凹部を覆った上で吸引口から気体を吸引して凹部内を減圧し、それにより、溶液を吐出口まで移動させる。そして、凹部を大気圧に戻し、液体を吐出口に留めつつ、凹部の吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引口から排出する。したがって、複数種の液体を吐出させる場合に、ある吐出ノズル周辺に付着した液体が他種の液体と混じるのを防ぎ、ノズル周辺に付着した液体を排出することができる。
【0017】
本発明に係るマイクロアレイ製造装置は、液滴吐出ヘッドは、外部からの力により少なくとも一部分が形状変化する吐出室と、吐出室と通じ、吐出室の形状変化による室内の圧力変化により吐出液体を吐出するノズルとを1又は複数有し、さらに、それぞれの又は全ての吐出室に力を加えて形状変化させる1又は複数の加圧手段を備えたものである。
本発明においては、加圧手段により、吐出室に力を加えることにより、形状変形させ、その圧力で吐出ノズルから溶液を吐出させる。したがって、1つのノズルで吐出することもできるし、複数の吐出で同一の吐出液体を複数の位置に吐出することもできる。また、1つの加圧手段で、複数吐出室を同時に形状変化させることにより、駆動系の制御を単純にしつつ同時吐出を行うことができる。複数の加圧手段がそれぞれの吐出室に設けられている場合は、細かな吐出制御を行うことができる。
【0018】
本発明に係るマイクロアレイ検査装置は、上記のマイクロアレイ製造装置を、マイクロアレイに形成されたプローブと反応させる試料となる溶液を吐出させて検査を行う装置として用いるものである。
本発明においては、マイクロアレイ製造装置として用いていた装置を、マイクロアレイに試料の溶液を吐出するための検査装置として用いる。したがって、マイクロアレイ製造時だけでなく、検査時においても、短時間で効率よく検査を行える装置を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施形態1.
図1は本発明の第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッド表す図である。本実施の形態の液滴吐出ヘッドは振動板を用いたフェイス吐出型の液滴吐出ヘッドについて説明する。ノズルプレート1、キャビティプレート2及び電極プレート3の3つのプレートを重ねて接合し、構成するものである。
【0020】
図2は別の角度から見た液滴吐出ヘッドを表す図である。図2(a)はノズル面から見た図を表し、図2(b)は断面図を表す。例えば、図2(b)では、主要部分を大きく見せるためにノズルプレート1を厚く記載しているが、実際の比率は異なる。図2(a)についても同様に、実際の各部材の比率は異なる。ノズルプレート1は、例えばシリコン(珪素)又はガラスを材料としている。本実施の形態ではノズルプレート1をシリコン基板を材料とした場合について説明する。ノズルプレート1には、吐出ノズル11、吸引ノズル12、凹部13及び溝14が形成されている。吐出ノズル11は吐出液体の通り道となる部分である。吐出ノズル11の一端の開口部分(吐出口)は凹部13の底面部分に設けられており、吐出液体はこの部分から外部に吐出される。吐出ノズル11は径の大きさにより2段に分かれている。これはノズル径を制御し、吐出性能をよくするためである。吐出面となるノズル面に近い方の長さが25μm、吐出室21に近い方のノズル部分の長さが55μmとなっている。ここでは2段にしているが、この段数を増減させてもよい。ただ、段数が増える分だけ、加工時間も増える。本実施の形態では、吐出口の凹部表面に撥水処理を施しておく。吸引ノズル12は、例えば吐出ノズル11から出て凹部13に付着した液体を吸引し、排出するための通路となる。吸引ノズルの一端の開口部分(吸引口)も凹部13の底面に設けられている。吸引ノズル12の口径は特に限定しないが、液体排出に必要な負圧をかけることができる程度の大きさにする必要がある。凹部13は、プライミング又は吐出ノズル11周辺のクリーニングを有効に行い、コンタミネーションを防ぐために設けている。プライミングとは、液体を吐出させる前等に行う初期充填であり、本実施の形態では、ノズル面(凹部13)を塞いだ後に、吸引ノズル12から空気を吸い出すことでタンク(図示せず)から吐出液体を吸引し、リザーバ24、吐出室21を介して吐出ノズル11の開口部分まで吐出液体を移動させるようにすることである。ここでは、凹部13の窪み部分の深さは、例えば100μmとするが、この深さに特に限定するものではない。他の部分の長さ(幅)についても特に限定しないが、実際には各吐出室等の幅に依存する。また、長すぎると凹部の容積も大きくなるので、プライミング等に時間を要し、また、無駄になる吐出液体量が増えるため、液体を吸引するという目的を達成できる範囲内でそれぞれの寸法を決定する方がよい。溝14は、プライミング又はクリーニング後に空気を流入させて、気圧(大気圧)によって吐出ノズル11の一端の開口部分(吐出口)に液体を留めておいた上で、凹部13にある液体を吸引ノズル12から吸引させるためのものである。特に溝14の長さ、幅、断面積等は規定しないが、上記のような目的を達成できるだけの大きさを確保する必要がある。
【0021】
キャビティプレート2は、シリコンを材料とする基板で構成されている。以下の各部材は、主にシリコンをウェットエッチング加工することによって得られるものである。吐出室21は供給路34、リザーバ24を介して供給された吐出液体を溜めておく。また、ノズル11を介して開口部12と通じている。吐出室21の少なくとも一面の壁(ここでは、底壁とする。ここではこの底壁のことを振動板22ということにする)が撓んで形状変化するようにしておき、振動板22を撓ませて吐出室21内の圧力を高め、吐出液体を押し出すことによって、吐出ノズル11から吐出液体を吐出させる。排出部23は吐出室21と対になる部分である。排出部23は、本来、ノズルを2列で構成する液滴吐出ヘッドを製造する場合に対となる列の吐出室となる部分である。本実施の形態では、一方を液体排出用に用いるので、排出部23を吐出室としては用いず、吸引ノズル16と排出路35との間の通り道として用いる。したがって、キャビティプレート2の部材形成の際に通常の液滴吐出ヘッドに用いるパターニングと同じものを利用することができる。リザーバ24は、オリフィス15(ノズルプレート1に形成)を通じて吐出室21と連通している。
【0022】
電極プレート3はガラスを材料としている。電極プレート3は厚さ約1mmであり、キャビティプレート2を挟んでノズルプレートの反対側に接合される。ここで電極プレート3となるガラスにはホウ珪酸ガラスを用いることにする。電極プレート3には、例えば凹部32が設けられ、その内側に吐出室21の位置に合わせて電極31及び端子部33が設けられている。本実施の形態では、この電極31の材料として酸化錫を不純物としてドープした透明のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を用い、凹部32内に例えば0.1μmの厚さにスパッタ法を用いて成膜する。ただし、電極31の材料等はITOに限るものではなく、金属等を用いることもできる。また、電極プレート3には、リザーバ23と通ずる供給路34及び排出部23と通ずる排出路35が設けられている。
【0023】
本実施の形態は、液体が吐出される面(ノズル面)に付着した吐出液体を吸引ノズル12から吸引し、ノズル面から排出することでコンタミネーションを防ぐ。また、プライミング又はクリーニング時のコンタミネーションを防ぎ、プライミング等を効率よく行えるように、各吐出ノズルに対し、凹部13を設け、凹部13の底部に吐出ノズル11及び吸引ノズル12のそれぞれの開口部分の一端を設ける。これにより、液滴吐出ヘッドが有している全ての吐出ノズル11に一度にプライミング等を行っても、各凹部13は独立していることにより、コンタミネーションが発生しない。
【0024】
図3はプライミング又はクリーニング方法を実現するための図である。本実施の形態では、プライミングの方法について主に説明するがクリーニングも同様の処理で行うことができる。平面プレート40は凹部13及び溝14を覆って密閉し、凹部13及び溝14側から空気が流入しないようにするために設けているものである。
【0025】
平面プレート40をノズル面に密着させ、凹部13及び溝14を塞いでプライミングを行う。平面プレート40をノズル面に密着させた後、吸引ノズル12の開口部分から凹部13等に存在する空気を吸い出す。これにより、供給路34から供給された吐出液体はリザーバ24、オリフィス15、吐出室21を介して吐出ノズル11の一端の開口部分まで移動する。ここで、本実施の形態では空気の吸い出しに用いる装置としてポンプを用いる。ただ、ポンプに限定しなくても、他の吸引装置を用いてもよい。
【0026】
十分にプライミングができたことが確認されたら、平面プレート40を、ノズル面に密着させたまま、溝14が設けられた方向と反対側の方向にスライド移動させて、溝14を開放し、そこから凹部13内に空気を流入させる。一方、凹部13内の液体は、溝14より流入した空気に押され、吸引ノズル12から排出される。この時、吐出ノズル11の開口部に、液体の表面張力によりメニスカスが形成され押し留められる。ここで、平面プレート40を移動させる方向は、コンタミネーションを避けるために、必ず溝14が設けられた方向と反対側に移動させる必要がある。各ノズルにおいて、吐出液体の排出が十分にできたことを確認したら、平面プレート40を完全に取り除いて終了する。平面プレート40は洗浄等を行って再度用いてもよいし、使い捨てにしてもよい。
【0027】
また、平面プレート40の材料には、例えばゴム板等、力が加えられると変形し、力を除くと元に戻ろうとする弾性材料にしてもよい。そして、凹部13及び溝14を塞いでいる平面プレート40の一部をめくり上げて溝14を開放することにより、溝14より流入した空気に押され、凹部13内の液体は吸引ノズル12から排出される。この時、吐出ノズル11の開口部に、液体の表面張力によりメニスカスが形成され押し留められる。
【0028】
以上のように第1の実施の形態によれば、液滴吐出ヘッドに、ノズル数に合わせて、吐出面に凹部13を設け、その底面に吐出ノズル11及び吸引ノズル12のそれぞれの開口部の一端を設けることにより、ある吐出ノズル11からノズル周辺に付着した液体が他種の液体と混ざるのを防ぐことができる。また、凹部13と通ずる溝14を設け、凹部13及び溝14を平面プレート40で覆い、吸引ノズル12から空気を吸引することにより、凹部13及び溝14内のプライミング(初期充填)を行って凹部13内を減圧させ、供給路35、リザーバ24、オリフィス15、吐出室21を経由して吐出ノズル11の開口部分まで吐出液体を移動させる。その移動が終わると、溝14の一部又は全部を開放することで凹部13を大気圧に戻し、開口部分から出ようとする吐出液体を押し留め、吐出ノズル11周辺に付着した液体を吸引ノズル12から排出路35に排出するので、液滴吐出ヘッドにある吐出ノズル11に対し、一度にプライミングを行うことができて時間短縮を図ることができるし、コンタミネーションも生じない。また、平面プレート40にゴム等の弾性材料を用いることで、平面プレート40を移動させなくても、めくり上げて開放する等、容易に溝14を開放することができる。
【0029】
実施形態2.
図4はノズルプレート1の吐出ノズル11及び吸引ノズル12の形成工程を表す図である。次に本実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造例について説明する。まず、ノズルプレート1の作製方法例について説明する。ここで、作製するノズルプレートにおいては、ノズル面に対して溝14、凹部13、吐出ノズル11及び吸引ノズル12の順に深くなるように形成する。また、以下に記載する溝14の深さ等の数値は任意であり、本発明はこれに限定するものではない。また、液滴吐出ヘッドの製造方法も以下に説明する方法だけに限定するものではない。
【0030】
まず、ノズルプレート1となるシリコン基板を熱酸化し、シリコン基板表面に熱酸化膜(SiO2 である。以下、単にシリコン酸化膜という)を成膜する。ここで基板の板厚を180μmとする。次にキャビティプレート2と接合される側の面(以下、下面という)にレジスト材料を塗布してレジストを形成し、ファーストノズル11a(2段で形成した吐出ノズル11のノズル面に近い方の段をいう)及び吸引ノズル12を形成するためのパターニングを行う(図4(a))。次に上記レジストをマスクとしてシリコン酸化膜のエッチングを行い、ファーストノズル11a及び吸引ノズル12に対応する部分のシリコン酸化膜を除去する(図4(b))。
【0031】
その後、再度レジスト材料を塗布してレジストを形成し、セカンドノズル11b(吐出室21に近い方の段をいう)のパターニングを行う。次に上記レジストをマスクとしてシリコン酸化膜をエッチングする(図4(c))。このときシリコン酸化膜を総てエッチングしてしまうのではなく、例えばシリコン酸化膜の厚さを1/2とするまでエッチングを行う。また、このとき、ノズルプレート1上面(ノズル面)は常にレジストで保護されており、ノズル面のシリコン酸化膜はエッチングされないものとする。
【0032】
次に上記ノズルプレート1に対し、シリコン酸化膜をマスクとして第1段階の異方性ドライエッチングを行う(図4(d))。第1段階の異方性ドライエッチングにより、ファーストノズル11a及び吸引ノズル12の径でのエッチングを行う。このときのエッチング深さとしては、ファーストノズル11aの深さ(長さ)分である、例えば25μmエッチングする。
【0033】
次に先ほど1/2の厚さだけ残したシリコン酸化膜をエッチングにより除去する(図4(e))。そして、第2段階の異方性ドライエッチングを行い、セカンドノズル11bを形成する(図4(f))。エッチング深さとしては例えば55μmである。このとき、吸引ノズル12の部分は連続してエッチングされるため、その深さ(長さ)は例えば25μm+55μm=80μmとなる。上記工程終了後、総てのシリコン酸化膜をエッチングによって除去する(図4(g))。
【0034】
図5はノズルプレート1の凹部13及び溝14の製造工程を表す図である。吐出ノズル11及び吸引ノズル12の形成工程でシリコン酸化膜を除去したノズルプレート1を再度熱酸化し、シリコン酸化膜を形成する(図5(a))。次にノズルプレート1上面(ノズル面)に対し、フォトリソグラフィ法により凹部13となる部分のパターニングを行う(図5(b))。次に上記レジストをマスクとしてシリコン酸化膜をエッチングする(図5(c))。
【0035】
さらに溝14となる部分のパターンをフォトリソグラフィ法により形成した後(図5(d))、シリコン酸化膜をエッチングする(図5(e))。その際、シリコン酸化膜の厚さが例えば1/2となるようにエッチングを行う。このときノズルプレート1の下面は、レジストにより保護されている。
【0036】
上記パターニング終了後、ノズルプレート1上面(ノズル面)に対して、吐出ノズル11及び吸引ノズル12の形成工程と同様に、2段階の異方性ドライエッチングを行う。まず、第1段階の異方性ドライエッチングを行って凹部13を形成した後(図5(f))、先ほど1/2の厚さだけ残したシリコン酸化膜を除去し(図5(g))する。そして、第2段階の異方性ドライエッチングを行い、溝14を形成する(図5(h))。このときエッチング深さについて、第1段階でのエッチング深さを90μm、第2段階でのエッチング深さを10μmとすることにより、深さ100μmの凹部13、10μmの溝14が形成され、凹部13の底部において吐出ノズル11及び吸引ノズル12の開口部が開口する(ただ、この段階ではシリコン熱酸化膜が残されている)。最後にシリコン熱酸化膜を総て除去した後、ドライ酸化を行い、ノズルプレート1が完成する(図5(i))。
【0037】
次にキャビティプレート2及び電極プレート3について説明する。キャビティプレート2となるシリコン基板には、電極プレート3との対向面となる側に、例えばボロンドープによるボロンを拡散した層を形成する。また、絶縁膜を成膜する等の処理工程を行う。また、反対側の面であるノズルプレート1と対向する面については、吐出室21、排出部23及びリザーバ24となる凹部を異方性ウェットエッチングを行って形成する。その際、ボロンが拡散した層は、ウェットエッチングによりエッチングされずに残り、この層が振動板22を形成する。
【0038】
一方、電極プレート3については、材料となるガラス基板のキャビティプレート2と対向する面に凹部32を形成する。そして、キャビティプレート2に形成される振動板22の位置に合わせ、凹部32内部に例えばITOを材料とする電極31及び端子部33を成膜する。ここで、本液滴吐出ヘッドでは、排出部23を形状変化させる必要がないので、排出部23側には電極32を設ける必要はない。そして、さらに供給路34及び排出路35となる孔を形成する。
【0039】
それぞれ作製したノズルプレート1、キャビティプレート2及び電極プレート3を、キャビティプレート2をノズルプレート1と電極プレート3とが挟む形で接合する。その際、ノズルプレート1の下面とキャビティプレート2の凹部を形成した面とを接合する。また、キャビティプレート2の振動板22が形成された面と電極プレート3の電極31が形成された面とを接合する。そのとき、シリコン基板であるキャビティプレート2とガラス基板である電極プレート3とを例えば陽極接合によって接合する。陽極接合は強固に接合できるので有利ではあるが、陽極接合に限定するものではなく、他の接合方法によっても接合することができる。
【0040】
各プレートを接合した接合体はウェハ状であり、複数の液滴吐出ヘッドが一体形成されているので、液滴吐出ヘッド毎にダイシングして切り離す。また、各ヘッドに対し、外部からの電源、信号供給を受けるための配線等を施し、本実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造が完了する。
【0041】
以上のように第2の実施の形態によれば、2列構成の吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッドを製造する場合と同じパターン形状を用いて、キャビティプレート2及び電極プレート3を作製することができるので、ノズルプレート1以外にはあらためて設計し直す必要が特になく都合がよい。
【0042】
実施形態3.
図6はマイクロアレイ製造装置を表す図である。図6において、100は上述の実施の形態で説明したものと同様の液滴吐出ヘッドである。そのため、液滴吐出ヘッド100の各構成部品の図番は上述の実施の形態と同じものを用いる。また、液滴吐出ヘッド100は上述した液滴吐出ヘッドを複数つなぎ合わせたもの(例えばいわゆるライン液滴吐出ヘッド)であってもよい。
【0043】
Y方向駆動軸102にはY方向駆動モータ103が接続されている。Y方向駆動モータ103は、例えばステッピングモータ等である。制御手段107からY軸方向の駆動信号が供給されると、Y方向駆動軸102を回転させる。Y方向駆動軸102が回転させられると、液滴吐出ヘッド100はY方向駆動軸102の方向に沿って移動する。X方向ガイド軸104は、基台106に対して動かないように固定されている。
【0044】
作業台101は、製造すべきマイクロアレイの群108(以下、アレイ群108という)を設置させるものである。アレイ群108は例えば作業台101上に8×6で並べられている。作業台101には作業台駆動モータ105が備えられている。作業台駆動モータ105も、例えばステッピングモータ等である。制御手段107からX軸方向の駆動信号が供給されると、作業台101をX軸方向に移動させる。すなわち、作業台121をX軸方向に駆動し、液滴吐出ヘッド100をY軸方向に駆動させることで、液滴吐出ヘッド100をアレイ群108上のいずれの場所にも自在に移動させることができる。また、アレイ群108に対する液滴吐出ヘッド100の相対速度も、各軸方向の駆動機構によって駆動する作業台101と液滴吐出ヘッド100の速度によって定まる。
【0045】
制御手段107は、液滴吐出ヘッド100の発振回路23を発振させるための液体吐出用の電圧を印加し、インク吐出の制御を行う。また、Y方向駆動モータ103には、液滴吐出ヘッド100のY軸方向の移動を制御する駆動信号を送信する。作業台駆動モータ105には作業台101のX軸方向の移動を制御する駆動信号を送信する。
【0046】
なお、本実施の形態では、液滴吐出ヘッド100はY軸方向にしか移動せず、X軸方向については作業台101が移動するようにした。これを逆にしてもよいし、また、液滴吐出ヘッド100又は作業台101のどちらか一方又は双方がX軸方向及びY軸方向の双方に移動できるようにしてもよい。
【0047】
ここで、通常、紙への記録に用いられる液滴吐出印刷装置における液滴吐出ヘッド100の各ノズル12の間隔は300dpi(dots per inch )、360dpi、600dpi、720dpi等の表示分解能を満たすものである。したがって、従来のフォトマスクパターン等を利用しようとすれば、各ノズル12の間隔(以下、ピッチという)をこの分解能に合わせ、アレイ上に並べるプローブのピッチもこれに合わせるようにすればよい。
【0048】
また、プローブのピッチを印刷装置のものとは異なるものにしようとすれば、あらためて異なるフォトマスクパターンを作成して、所望の液滴吐出ヘッドを製造してもよい。
【0049】
また、通常の液滴吐出印刷装置に用いられるものと同じヘッドを用いてピッチを調整することもできる。例えば、アレイ群108のX軸方向又はY軸方向に対して平行に設置していた液滴吐出ヘッド100を角度を持たせて設置し、X軸方向又はY軸方向に対する間隔を変化させることでピッチを調整することができる。この場合は、それぞれのノズル開口部11から吐出液体を吐出するタイミングが異なるので、1つの電極で同時吐出を行うよりも、各個に電極を設けてタイミングを調整した方がよい。
【0050】
以上のように第3の実施の形態によれば、第1及び第2の実施の形態で製造した液滴吐出ヘッド100を用いるようにしたので、一度に総ての吐出ノズル11についてプライミング又はクリーニングを行うことができるようになり、処理にかかる時間を短縮できるマイクロアレイ製造装置を得ることができる。また、プライミング又はクリーニングの際、凹部13に付着した溶液は吸引ノズル11で吸引するので、コンタミネーションが発生せず、品質が高く、歩留まりのよいマイクロアレイを製造することができる。
【0051】
実施形態4.
上述の実施の形態では、例えば、DNA等の生体化学物質を含む吐出液体を吐出してマイクロアレイを製造するための装置に備える液滴吐出ヘッドについて説明した。ただ、本発明の液滴吐出ヘッドをこの用途に限定するものではない。例えば、着色材料(顔料)を含む吐出液体を吐出して液晶等の表示装置に用いるカラーフィルタを製造するためのカラーフィルタ製造装置や、自発光の電界発光素子となる高分子有機化合物を含む吐出液体を吐出して表示装置を製造するための装置等、他のあらゆる工業用途、家庭用途に、第1の実施の形態のような液滴吐出ヘッドを利用した装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッド表す図である。
【図2】別の角度から見た液滴吐出ヘッドを表す図である。
【図3】プライミング又はクリーニング方法を実現するための図である。
【図4】吐出ノズル11及び吸引ノズル12の形成工程を表す図である。
【図5】凹部13及び溝14の製造工程を表す図である。
【図6】マイクロアレイ製造装置を表す図である。
【符号の説明】
1 ノズルプレート、11 吐出ノズル、12 吸引ノズル、13 凹部、14 溝、2 キャビティプレート、21 吐出室、22 振動板、23 排出部、24 リザーバ、3 電極プレート、31 電極、32 凹部、33 端子部、34 供給路、35 排出路、40 平面プレート、100 液滴吐出ヘッド、101 作業台、102 Y方向駆動軸、103 Y方向駆動モータ、104X方向ガイド軸、105 作業台駆動モータ、106 基台、107 制御手段、108 マイクロアレイ群
Claims (12)
- 液体を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、
前記液体を吐出する吐出ノズル毎に、該吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引して排出する吸引ノズルを隣接して設けたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。 - 液体を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、
前記液体が吐出される面に対し、吐出ノズル毎に独立した凹部を設け、
前記吐出ノズルの一端の開口部分である吐出口及び前記吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引するための吸引口を前記凹部の底面に備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。 - 前記液体が吐出される面の、前記吐出口を挟んで前記吸引口と反対側に前記各凹部と通ずる溝を設けたことを特徴とする請求項2記載の液滴吐出ヘッド。
- 液体が吐出される面に対し、ノズル数に応じた凹部を形成し、それぞれの前記凹部の底面と液体が吐出される面と反対の面とを貫通させて吐出ノズル及び吸引ノズルを形成したノズルプレートを作製する工程と、
前記液体を吐出するために必要な部材及び駆動機構並びに前記液体が吐出される面に前記吐出ノズル周辺に付着した液体を前記吸引ノズルを介して吸引させるために必要な部材を形成した基板と前記ノズルプレートとを接合する工程と
を少なくとも有することを特徴とする液滴吐出ヘッド製造方法。 - 請求項3に記載した液滴吐出ヘッドの前記液体が吐出される面に平板を密着させ、前記凹部及び前記溝を覆う工程と、
前記吸引口から気体を排出することで、前記液体を前記吐出ノズルを通じて前記吸引口まで充填する工程と、
前記溝が形成された側と反対側に前記平板を平行移動させ、前記溝の全部又は一部を開放して前記凹部内の液体を排出する工程と
を少なくとも有することを特徴とする液滴吐出ヘッドのプライミング方法。 - 前記平板を弾性材料で構成し、前記平板を平行移動させる代わりに、前記平板の一部を変形させて前記溝の全部又は一部を開放することを特徴とする請求項5記載の液滴吐出ヘッドのプライミング方法。
- 請求項3に記載した液滴吐出ヘッドの前記液体が吐出される面に平板を密着させ、前記凹部及び前記溝を覆う工程と、
前記吸引口から気体を排出することで、前記液体を前記吐出ノズルを通じて前記吸引口まで充填する工程と、
前記溝が形成された側と反対側に前記平板を平行移動させ、前記溝の全部又は一部を開放して前記凹部内の液体を排出する工程と
を少なくとも有することを特徴とする液滴吐出ヘッドのクリーニング方法。 - 前記平板を弾性材料で構成し、前記平板を平行移動させる代わりに、前記平板の一部を変形させて前記溝の全部又は一部を開放することを特徴とする請求項7記載の液滴吐出ヘッドのクリーニング方法。
- 生体分子を含む液体が吐出される面に対し、吐出ノズル毎に凹部を備え、前記吐出ノズルの一端の開口部分である吐出口及び前記吐出ノズル周辺に付着した液体を吸引するための吸引口を前記凹部の底面に設けた液滴吐出ヘッドと、
位置制御信号に基づいて前記液滴吐出ヘッドを移動させる走査駆動手段と、
吐出対象となるマイクロアレイ基板と前記液滴吐出ヘッドとの相対位置を変化させる位置制御手段と
を少なくとも備えたことを特徴とするマイクロアレイ製造装置。 - 前記溶液が吐出される面に密着させ、少なくとも前記凹部を覆うための平板と、
前記凹部及び前記平板で構成される空間内の気体を前記吸引口から排出し、前記吐出口まで前記溶液を移動させるプライミング又は前記吐出ノズル周辺に付着した前記液体を前記吸引口より排出するクリーニングを行う際に、前記平板を密着移動させるための移動手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項9記載のマイクロアレイ製造装置。 - 前記液滴吐出ヘッドは、外部からの力により少なくとも一部分が形状変化する吐出室と、前記吐出室と通じ、前記吐出室の形状変化による室内の圧力変化により前記溶液を吐出する吐出ノズルとを1又は複数有し、
さらに、それぞれの又は全ての吐出室に力を加えて形状変化させる1又は複数の加圧手段を備えたことを特徴とする請求項9又は10記載のマイクロアレイ製造装置。 - 請求項9〜11のいずれかに記載の装置を、マイクロアレイに形成されたプローブと反応させる試料となる溶液を吐出させて検査を行う装置として用いることを特徴とするマイクロアレイ検査装置。
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JP2003143363A JP2004347407A (ja) | 2003-05-21 | 2003-05-21 | 液滴吐出ヘッド、その製造方法及びそのプライミング方法及びクリーニング方法並びにマイクロアレイ製造装置及びマイクロアレイ検査装置 |
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JP2014124935A (ja) * | 2012-12-27 | 2014-07-07 | Sii Printek Inc | 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 |
JP2017030258A (ja) * | 2015-08-03 | 2017-02-09 | キヤノン株式会社 | シリコン基板の加工方法 |
-
2003
- 2003-05-21 JP JP2003143363A patent/JP2004347407A/ja active Pending
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