JP2017030258A - シリコン基板の加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコン基板に段を有する貫通孔を形成する際に、開口断面積が小さく、表面孔部の深さ分布精度が良好な貫通孔を形成する方法を提供する。
【解決手段】第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132との間に、エッチングを停止するためのストッパー層111を形成し、第二のシリコン基板の裏面側から第一の孔部112を形成して、ストッパー層でエッチングを停止させる第一エッチングと、第一の孔部の底に露出するストッパー層の少なくとも一部を除去し、所望の深さまで第一のシリコン基板をエッチングして第二の孔部112を形成する第二エッチングと、第一のシリコン基板の表面側からエッチングして第三の孔部114を形成する第三エッチングと、を行う工程を有し、第二エッチング又は第三エッチングのいずれかによって、第二の孔部と第三の孔部を連通させて貫通孔を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリコン基板の基板面を貫通する孔部(貫通孔という)を形成したシリコン基板の加工方法及び該加工方法を用いて得られるシリコン基板を用いた液体吐出ヘッドに関する。
シリコン基板に貫通孔を形成することで、多くのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスが作製されている。その一例として、液体を吐出する液体吐出ヘッドが挙げられる。
液体吐出ヘッドの例としては、インクジェット記録ヘッドが挙げられる。インクジェット記録ヘッドにおいては、インクを吐出するためのエネルギーを与えるエネルギー発生素子が基板表面上に形成される。また、前記基板表面上には吐出口形成部材が形成され、エネルギー発生素子の上面にはインクを吐出する開口(吐出口)が形成される。さらに、前記基板には貫通孔が形成され、該貫通孔を通して基板の裏面側から表面に向かってインクが供給される。
近年、吐出口とエネルギー発生素子とを高密度に配置するために、二段の貫通孔からなる液体供給路が用いられている。二段の貫通孔とは、基板の裏面からは単一の溝(裏面孔部:共通液室)が基板の途中まで形成され、基板の表面には複数の小さな穴(表面孔部:個別供給口)が形成され、表面孔部と裏面孔部とがシリコン基板中で連通して構成される貫通孔である。
二段の貫通孔を形成したインクジェット記録ヘッドは、基板表面においてエネルギー発生素子と電気接続するための配線(典型的にはフォトリソグラフィ技術により形成される)を、複数の貫通孔の間を這わせて、チップ端部にある電極パッド、或いは、回路領域まで引き回すことができる。そのため、より多くのエネルギー発生素子と吐出口を配置することが可能となる。
このような二段の貫通孔を形成する方法として、特許文献1および特許文献2では、基板の表面側と裏面側からドライエッチングを用いて表面孔部と裏面孔部を個別に形成し、基板中で連通させる手法が開示されている。
特開2004−237734号公報 米国特許第7334875号明細書
図1に、特許文献1および特許文献2に記載の製法を用いて作製した液体吐出ヘッドの断面図を示す。シリコン基板101には、裏面側から、裏面孔部106として溝がエッチングされ、さらに表面側からは、表面孔部105として複数の小さな穴がエッチングされて、二段の貫通孔を形成している。この方法は、ドライエッチングによって高精度に貫通孔を形成することができる点で有利である。しかし、ウエハ上に多数個のチップを形成する場合、ウエハサイズの増加に伴いドライエッチングのエッチングレート分布が大きくなり、各孔部のエッチング深さの制御が問題となる。
エッチングレート分布αは、エッチングされる領域のうち最もエッチングレートが遅い部分の深さをdmin、最もエッチングレートが速い部分の深さをdmaxとすると、以下の式で定義される。
α=(dmax−dmin)/{(dmax+dmin)/2} (式1)
ここで、エッチング深さは、(dmax+dmin)/2で定義され、エッチング深さ分布は、(dmax−dmin)で定義される。エッチングレート分布αは、シリコン基板全体におけるレート分布と、単一のエッチング穴内部でのレート分布によって決まり、エッチング中は一定と見なすことができる。また、式1より、エッチング深さ分布は、エッチング深さにエッチングレート分布αを乗じた値であり、エッチング深さが深くなるほどエッチング深さ分布は大きくなる。
図1に示すように、裏面孔部106となる溝の深さがばらつくと、同時に表面孔部105の深さもばらつく。また、溝のエッチング深さ分布(dmax−dmin)が大きくなりすぎると、溝の一部が表面側に貫通してしまい、二段の貫通孔が形成できなくなる問題が発生する。
また別の観点として、吐出口104をより高密度化する場合においては、表面孔部105の開口断面積を小さくする必要がある。表面孔部105の開口断面積が小さくなるとインクが受ける流抵抗が増えるため、流抵抗を減らすために表面孔部105を浅くする必要がある。そのためには、裏面孔部106となる溝をより深くする必要がある。しかし、前述のとおり、エッチング深さ分布はエッチング深さに比例して大きくなるため、溝の一部でシリコン基板101を貫通して二段の貫通孔が形成できなくなる問題が生じ、溝を深くすることができない。その結果、表面孔部105の開口断面積を小さくして、エネルギー発生素子107や吐出口104の密度を上げることが難しくなる。
本発明は、シリコン基板中に段を有する貫通孔を形成する際に発生する上記問題を解決するためになされたものであって、表面孔部の深さ分布を低減する方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態は、シリコン基板に貫通孔を形成するシリコン基板の加工方法であって、
(A)第一のシリコン基板と、第二のシリコン基板と、前記第一のシリコン基板と前記第二のシリコン基板との間に設けられたストッパー層と、の組を用意する工程と、
(B)前記第二のシリコン基板において、前記ストッパー層と前記第二のシリコン基板との界面とは反対の面から前記第二のシリコン基板をエッチングする第一エッチングにより、前記ストッパー層を露出させて第一の孔部を形成する工程と、
(C)前記露出したストッパー層の少なくとも一部を除去して、前記第一のシリコン基板を露出させる工程と、
(D)前記露出した第一のシリコン基板をエッチングする第二エッチングを行い、前記第一のシリコン基板中で前記第二エッチングを停止させることによって第二の孔部を形成する工程と、
(E)前記第一のシリコン基板において、前記第二の孔部の側の面とは反対の面から前記第一のシリコン基板をエッチングする第三エッチングを行い、前記第一のシリコン基板中で前記第三エッチングを停止させることによって第三の孔部を形成する工程と、
を含み、
前記第二エッチングまたは前記第三エッチングのいずれかを行った後に、前記第二の孔部と前記第三の孔部とを連通させ、前記貫通孔を形成することを特徴とする。
表面孔部の深さ分布が改善された結果、シリコン基板中に段を有する貫通孔を歩留り良く形成することが可能となり、生産性が向上する。また、液体吐出ヘッドにおいては、前記表面孔部の深さ分布を低減させることによって、表面孔部を浅く形成することが可能となり、表面孔部の開口断面積を微細化すること、及び、吐出口をより高密度に配列することが可能になる。
従来の方法を用いて作製した液体吐出ヘッドの断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。 第一のシリコン基板の薄加工厚さと破壊荷重との関係を示す図である。 表面孔部の深さと深さ分布との関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。 エッチングにおける開口率とエッチングレート分布との関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態によって加工したシリコン基板の一例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態によって加工したシリコン基板の一例を示す(A)平面図および(B)A−A’断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。
本発明に係るシリコン基板の加工方法は、液体吐出ヘッド用基板の製造方法の他、加速度センサー等のマイクロマシーンの製造に応用可能である。以下、本発明の実施形態を液体吐出ヘッド用基板の製造方法について説明しつつ、本発明を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。以下、図2を参照して、本実施形態に係る二段の貫通孔の形成方法を説明する。
まず、表面にエネルギー発生素子(ヒーター)107が形成された第一のシリコン基板131を用意する(図2(A))。第一のシリコン基板131の表面(第1の面)には、配線や層間絶縁膜等から構成される表面メンブレン層103が形成されている。次に、第二のシリコン基板132を用意し、第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132を、ストッパー層111を介して接合する。この際、第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132を接合する前に、第一のシリコン基板131を薄加工(薄化)することが好ましい。また、薄加工処理において基板表面を保護し、薄化したウエハを支持する目的から、第一のシリコン基板131の表面に、接着剤を用いてサポート部材110を貼り合わせることが好ましい(図2(B))。
サポート部材110としては、無機材料から構成された剛性基板等が挙げられる。具体的には、シリコン基板や、石英などのガラス基板が挙げられる。剛性基板の厚さは、300〜730μmが好ましい。サポート部材110をシリコン基板に接着するための接着剤としては、熱によって軟化して接着力が変わる熱可塑性樹脂や、紫外線を照射することで接着力が低下する紫外線硬化樹脂等が挙げられる。接着剤は、第一のシリコン基板131の表面の凹凸を埋めるのに十分な厚さであればよく、2〜100μmが好ましい。
サポート部材110としてシリコン基板やガラス基板を用いる場合は、基板などの消耗部材の価格が高いことや、製造工程が長く複雑になることによって製造コストが高くなるという課題がある。それを解決する手段として、サポート部材110に安価な樹脂材料を使用する方法が挙げられる。樹脂材料から構成されるサポート部材110としては、接着層付きのテープが挙げられる。具体的には、熱によって接着力が低下する熱剥離テープや、紫外線を照射することで接着剤の接着力が低下する紫外線硬化テープが挙げられる。テープの厚さは、20〜700μmが好ましい。
必要に応じてサポート部材110を第一のシリコン基板131に貼り合わせた後、サポート部材110を設けた面とは反対の面側から薄加工をする。薄加工の方法としては、研削装置による機械加工や、フッ酸と硝酸の混合液を用いて、シリコンをウエットエッチングする化学的加工が挙げられる。ここで、第一のシリコン基板131を薄加工する際は、薄加工後に十分な機械的強度を維持できる厚さにすることが必要である。なぜなら、薄加工後に研磨や洗浄、接合等、薄化基板に機械的負荷が加えられる工程を多く実施する必要があり、基板の機械的強度が不足している場合には、基板が割れて、上記工程を実施できず、歩留まりが低下してしまうためである。特に、サポート部材110として樹脂を使用する場合は、サポート部材110の剛性が低いため、薄化されたウエハに機械的な負荷がかかりやすくなる。
図3は、シリコン基板の薄加工厚さと破壊荷重の関係を示す実験結果である。本実験では、研削面と反対側の基板面に、厚さ120μmの紫外線硬化テープ(サポート部材)を貼り合わせたシリコン基板を使用して、研削装置によって薄加工を行った。基板との接触部が直径1mmの円形状である加圧治具によって、シリコン基板表面(研削面)の一点を加圧して、同時に荷重を計測した。荷重を増やしていき、基板が割れた時の荷重を破壊荷重として定義した。なお、加圧時に基板裏面は浮いた状態にして評価した。破壊荷重は、基板上面からの加圧に対する基板の機械的強度とみなすことができ、破壊荷重が大きいほど基板の機械的強度が高くなる。
図3に示すように、薄加工前のシリコン基板(厚さ730μm)の破壊荷重は95.1N(9.7kgf)である。シリコン基板の薄加工厚さが薄くなるほど破壊荷重は小さくなり、薄加工厚さ150μmにおける破壊荷重は10.8N(1.1kgf)となる。また、薄加工厚さが150μmより薄くなると破壊荷重は急激に低下し、薄加工厚さ50μmにおいて、破壊荷重は1.37N(0.14kgf)まで低下する。
シリコン基板の薄加工厚さが150μmよりも薄くなると、薄加工前のシリコン基板に対する破壊荷重が、1/10以下となる。破壊荷重、すなわち、基板の機械的強度が一桁下がると、強度不足に起因する割れなどが発生する場合がある。
実際に、発明者らの実験でも、サポート部材110として図3に示す実験と同じテープを用いて、シリコン基板厚さを150μmよりも薄く加工した場合に、薄加工後の研磨や洗浄、接合等の各工程においてウエハ割れが急激に増加することを確認している。さらに、機械的強度が低下することで基板自身が自重で撓んでしまい、装置での搬送も困難になる場合がある。したがって、特にサポート部材に樹脂を用いた場合は、第一のシリコン基板131の薄加工厚さを150μm以上に設定することが好ましい。
サポート部材110として無機材料からなる剛性基板を使用した場合は、シリコン基板を150μmよりも薄く加工しても、剛性基板によってシリコン基板が強固に支持されているため、機械的強度はある程度維持される。しかしその場合においても、シリコン基板の厚さが非常に薄くなると破壊荷重が大幅に低下する。その結果、サポート部材として樹脂を用いた場合と同様に、機械的強度を保つことができず、薄加工後の工程において基板が割れてしまう場合がある。発明者らの実験では、サポート部材110として無機材料である石英ガラスを用いた場合は、シリコン基板の薄加工厚さが30μmよりも薄くなったときに、強度が比較的弱いウエハエッジ部分が割れてしまう問題が見られた。したがって、サポート部材110に無機材料を使用する場合には、シリコン基板の薄加工厚さを30μm以上に設定することが好ましい。
また、前記第一のシリコン基板の薄加工を行う際には、シリコン基板の厚さ分布(最大厚さ−最小厚さ)を小さくすることが好ましく、具体的には、数μm程度にすることが好ましい。例えば、研削装置を用いて薄加工する場合は、基板を削る厚さに依存せず、装置の各部材の平行度を向上させることにより、基板厚さ分布を小さくすることができるため好ましい。
第一のシリコン基板131を薄化した後、基板裏面を平滑化する。平滑化する理由は、次工程で、第二のシリコン基板132と接合するためである。平滑化の方法としては、CMP(Chemical Mechanical Polishing)や、前記ウエットエッチングによってシリコンを溶解する方法が挙げられる。
次に、第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132とを、ストッパー層111を介して接合する(図2(C))。第二のシリコン基板132の厚さは、第一のシリコン基板と接合した後の基板厚さを勘案して設定すればよく、例えば、200〜700μmである。ストッパー層111は、第一のシリコン基板131、または、第二のシリコン基板132のいずれかの接合面に接合する前に形成される。ストッパー層111は、後に行うエッチングを停止する役割を担う層である。
ストッパー層111の材料としては、有機膜が挙げられる。有機膜は接着剤としての機能も有しており、成膜後にそのまま第一のシリコン基板と第二のシリコン基板とを接合できるため好ましい。有機膜の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテルアミド系樹脂等が挙げられる。
エポキシ系樹脂としては、具体的に、化薬マイクロケム製のSU−8(商品名)が挙げられる。ポリエーテルアミド系樹脂としては、例えば、日立化成製のHIMAL(商品名)、BCB(Benzocyclobutene)、HSQ(Hydrogen Silsesquioxane)等が挙げられる。これらの材料は、300℃以下の低温で接着が可能であり、例えば第一のシリコン基板131の表面に存在する配線層を壊さずに接合することができるため好ましい。
有機膜(ストッパー層)の成膜手段としては、スピン塗布、スリット塗布等が挙げられる。有機膜は、第一のシリコン基板131、または、第二のシリコン基板132のいずれかの接合面に形成する。接合面に有機膜を形成した後はベークし、熱圧着などの手段により、第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132とを接合する。さらに、熱処理を行い、有機膜を硬化させることによって、接合が完了する。
ストッパー層111の材料として、無機膜を用いてもよい。具体的には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、炭化シリコン膜などのセラミックや、タンタル、金、ニッケル等の金属膜が挙げられる。無機膜の形成方法としては、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、蒸着法、メッキ法等が挙げられる。これらの方法を用いた場合には、100〜300℃程度の比較的低温で成膜できるため好ましい。
また、無機膜として、第二のシリコン基板132を酸化雰囲気中で高温(800〜1100℃)に加熱することで、ウエハ表裏面に形成した熱酸化膜を用いてもよい。熱酸化膜は、表面が平滑であり、且つ、膜が緻密であるため接合性に優れ、化学的にも安定であるため好ましい。
以上の手段により形成した無機膜(ストッパー層)を介して、第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132とを接合する。無機膜を介した接合方法としては、低温で実施可能であり、且つ、強固な接合が可能な接合手段が適している。具体的には、接合面をプラズマに晒してヒドロキシ基を形成し、ヒドロキシ基からの水の脱離反応を起こすことで共有結合を形成するプラズマ活性化接合が挙げられる。また、高真空中で表面をアルゴンプラズマ等でエッチングして、原子の結合手を出して接合させる常温接合も好ましい。
プラズマ活性化接合または常温接合により接合する場合は、接合前に接合面を十分に平滑化(典型的には表面粗さ1nm以下)しておく必要がある。また、ボイドの原因となる異物が接合面に残らないように、洗浄により異物を除去する必要がある。
ストッパー層111は、エッチングを止めるのに十分な厚さであればよく、シリコンとのエッチング選択比を勘案して設計される。およそ0.01〜10μmが好ましい。
また、ストッパー層111を介して第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132を接合する以外に、シリコン基板中に予め酸化膜が埋め込まれたSOI基板を用いてもよい。その場合、酸化膜がストッパー層111として機能する。そして、SOI基板の表面にエネルギー発生素子107や回路を作製していく。
第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132とを接合した後、サポート部材110を除去する。次いで、エッチング中に第一のシリコン基板131の表面を保護する表面保護部材117を貼り合わせる。表面保護部材117としては、テープやガラス基板等が挙げられる。なお、表面保護部材117を用いなくともよいが、第一のシリコン基板の表面を保護する観点から、表面保護部材117を貼り合わせた後にエッチングすることが好ましい。また、サポート部材110を剥がさずに、そのまま表面保護部材117として使用することもできる。
表面保護部材117を貼り合わせた後、第二のシリコン基板132の、ストッパー層111との界面とは反対の面(裏面)側に裏面エッチングマスク116を形成する。そして、該裏面エッチングマスクを設けた裏面側から、第二のシリコン基板132をエッチングし、第一の孔部(第一の供給口112)を形成する(図2(D))。エッチング方法としては、ドライエッチングが好ましい。特に反応性イオンエッチングが好ましく、その中でもシリコンの深掘エッチングで優れているボッシュプロセスが好ましい。ボッシュプロセスとは、炭素を主成分とするデポ膜の形成と、SF6ガスなどによるエッチングとを交互に繰り返してシリコンを異方的にエッチングしていく手法である。
第二のシリコン基板132をエッチングして第一の供給口112を形成していき、エッチングがストッパー層111に到達すると、エッチングは停止する。エッチングがストッパー層111で一旦停止することによって、エッチング深さ分布が均一化される。通常、第一の供給口112は最も深くエッチングする必要があるが、最終的には、ストッパー層111でエッチングを停止することが可能であるため、深さ分布に寄与しなくなる。本発明はこのような利点を有しているため、例えばエッチングレート分布を犠牲にして、エッチングレートが大きいエッチング条件を用いて生産性を向上させることも可能である。
ウエハ内の全ての場所で第一の供給口112の形成が完了したら、エッチングを停止する。この時点で、全ての第一の供給口112の底にストッパー層111が露出する。そして、露出したストッパー層111の少なくとも一部を除去することにより、第一のシリコン基板131を露出させる。本実施形態では、第一の供給口112の底に露出したストッパー層111の全てを除去する。なお、ストッパー層111は、ドライエッチングやウエットエッチングなどの手段によって除去することができる。
第一のシリコン基板131を露出させたら、再び同じ面側からエッチング(第二エッチング)を行い、第二の孔部(第二の供給口113)を形成する(図2(E))。エッチング方法としては、ドライエッチングが好ましい。特に反応性イオンエッチングが好ましく、その中でも、シリコンの深掘エッチングで優れているボッシュプロセスが好ましい。第二の供給口113の開口断面積は、第一の供給口112の底に露出したストッパー層111の全てを除去しているため、第一の供給口112の開口断面積と同じである。なお、開口断面積とは、シリコン基板の基板面と平行の面における開口部の開口断面積である。第二の供給口113は深さ精度を要求されるため、エッチングレートが小さく、且つ、エッチングレート分布が小さい条件でエッチングすることが好ましい。第二の供給口113を所望の深さまで形成したら、エッチングを停止する。その後、形成した溝内部の堆積物を酸素アッシングや薬液等の手段を用いて除去し、さらに裏面エッチングマスク116を剥離液等で除去した後、裏面側を薬液で洗浄する。
次に、第二のシリコン基板132の裏面に、該裏面を保護する裏面保護部材120を貼り合わせ、表面保護部材117を除去する(図2(F))。なお、裏面保護部材120を設けなくともよいが、裏面保護部材120は、表面保護部材117と同じく、表面をエッチング中に裏面側を保護するために使用されるものであり、裏面保護部材を設けることが好ましい。
続いて、第一のシリコン基板131の、第二の供給口113の側の面とは反対の面(表面)側にエッチングマスクを形成する。そして該エッチングマスクを形成した表面側から第一のシリコン基板131をエッチング(第三エッチング)することにより、第三の孔部(第三の供給口114)を形成する。エッチング方法としては、ドライエッチングが好ましい。その中でもシリコンの深掘エッチングで優れているボッシュプロセスが好ましい。第三の供給口114は、複数の微小な穴から構成されており、その開口断面積は、供給口深さを勘案して決められる。第三の供給口114と第二の供給口113とが連通したところで、エッチングを停止する。以上により、二段の貫通孔が形成されたシリコン基板が得られる。
エッチングを停止した後、第三の供給口114内部の堆積物を除去し、表面のエッチングマスクを除去する。次いで、裏面保護部材120を剥離し、シリコン基板の表裏面と供給口内壁を洗浄する。その後、二段の貫通孔が形成されたシリコン基板上に吐出口形成部材102を形成する。まず、吐出口形成部材の壁118を形成する。フィルム基材上に感光性樹脂が塗布されたドライフィルムレジストをシリコン基板上に貼り合わせた後、露光・現像することによって吐出口形成部材の壁118をパターニングする。同様に、ドライフィルムレジストを貼り合わせ、露光・現像を行いパターニングすることにより、吐出口形成部材の天板119を形成する。以上により、図2(G)に示す液体吐出ヘッドが完成する。
図4は、表面孔部の深さ(表面孔部深さ)とその分布を示す図である。ここで、グラフ横軸の表面孔部深さは設計値(設計表面孔部深さ)であり、図4は、エッチングレート分布αに基づいて、表面孔部深さが設計値となるようにエッチングした際の表面孔部深さ分布を示している。表面孔部深さの最大値と最小値は、設計表面孔部深さを中心とする深さの最大値と最小値である。また、表面孔部深さの最大値と最小値との差分を設計表面孔部深さで除した値を百分率で示したものを、表面孔部深さ分布としてグラフの縦軸に示した。
図4において、図1に示す従来の方法によって貫通孔を形成したシリコン基板(比較例、試料1)と、本実施形態の製法により貫通孔を形成したシリコン基板(試料2〜試料4)とを比較した。いずれの場合も裏面からのエッチングレート分布αを40%とし、比較例では基板の厚さを730μmとし、設計表面孔部深さとなるまでエッチングした。本発明の基板に関しては、第二のシリコン基板132及びストッパー層111のエッチング分布は無視できるため、第一のシリコン基板131に対する設計表面孔部深さとなるまでのエッチングで評価した。なお、第一のシリコン基板131の薄加工厚さを300μm(試料4)、150μm(試料3)、60μm(試料2)としているため、薄加工厚さより大きな設計表面孔部深さは考慮していない。
図4より、本発明の方法を用いて形成した貫通孔の表面孔部深さ分布は、従来例と比べて非常に小さくなることが分かる。例えば、比較例の試料1では、設計表面孔部深さが150μmになると、表面孔部深さは34μmから266μmまで広範囲に分布し、その結果、表面孔部深さ分布は155%になる。一方で、本発明の試料4(基板厚300μm)において設計表面孔部深さが150μmである場合は、表面孔部深さは120μmから180μmまで分布し、表面孔部深さ分布は40%と低くなっている。
また、比較例の試料1において設計表面孔部深さを120μm以下にしようとすると、表面孔部の最も浅い部分の深さ(深さの最小値)がゼロになる。すなわち、裏面からのエッチングによってシリコン基板が貫通してしまうため、そのような表面孔部の形成ができない。それに対して、本発明の試料では、裏面からのエッチングによってシリコン基板の一部が貫通してしまう時の設計表面孔部深さは、試料4では50μm、試料3では25μm、試料2では10μmである。実際には、第二の供給口113を、エッチングレートが小さく、且つ、エッチングレート分布が小さい条件でエッチングすることで、表面孔部(第三の供給口)の深さをさらに浅くすることができる。このように、本発明の方法を用いることで、表面孔部深さを非常に浅くすることが可能となる。その結果、貫通孔の流抵抗を大幅に下げることができ、表面孔部(第三の供給口)を微小化して吐出口を高密度化する上で有利となる。
以上のように、第一のシリコン基板131の薄加工による基板強度の低下の影響を抑えることができるのであれば、第一のシリコン基板131を薄くすることにより、表面孔部深さ分布を小さくし、表面孔部深さを浅くすることができる。
また、本実施形態では、第一の供給口112のエッチング手法としてドライエッチングの例を挙げたが、シリコンを深掘エッチングできるドライエッチング以外の方法、例えば、強アルカリを用いた異方性ウエットエッチング、サンドブラスト加工によるエッチング、レーザー加工によるエッチングなどの手段を用いることも可能である。このようなエッチング手法を用いた場合においても、第一の供給口112を形成し、ストッパー層111でエッチングを止められるようにストッパー層111の材料を選択することが必要である。エッチングを一旦止めることで、ドライエッチングの場合と同様に、エッチング深さに比例した第一の供給口112の深さ分布を解決することができる。
第一の供給口112(第一の孔部)及び第二の供給口113(第二の孔部)は、図2に示すように、互いに独立した複数の第三の供給口114(第三の孔部)と連通する開口断面積の大きな単一の溝の形態である必要はない。例えば、図5に示すように、第一の供給口と第二の供給口が複数の個別の孔部から構成され、各々の孔部がそれぞれ独立して一つの第三の供給口と連通した構成であってもよい。
図5に示す液体吐出ヘッドの製造方法においては、図5(A)に示すように、第一の供給口112が複数の孔部として形成され、ストッパー層111でエッチングが停止する。次に、第二の供給口113が、第一の供給口112と同じ開口形状で第一のシリコン基板131に形成され、所定の深さでエッチングを停止する(図5(B))。次いで、第三の供給口114を、それぞれ第二の供給口113と独立して連通することにより、二段の貫通孔を形成する(図5(C))。最後に、吐出口形成部材の壁118および吐出口形成部材の天板119(吐出口形成部材)を形成することにより、液体吐出ヘッドが完成する(図5(D))。
また、本実施形態では、第二の供給口113を形成した後に、第三の供給口114を形成する例を挙げたが、第一の供給口112を形成した後に、ストッパー層111を除去せずに、第三の供給口114を形成し、最後に第二の供給口113を形成してもよい。したがって、第二エッチングまたは第三エッチングのいずれかを行った後に、第二の供給口と第三の供給口が連通し、二段の貫通孔が形成される。
(第2の実施形態)
本実施形態により得られるシリコン基板は、図6に示すように、第一の供給口(第一の孔部)112の開口断面積よりも、第二の供給口(第二の孔部)113の開口断面積が小さいことが特徴である。以下、図6を参照して、本実施形態に係る貫通孔の形成方法を説明する。
図6において、第一のシリコン基板131の表面にサポート部材110を貼り合わせ、第一のシリコン基板131を薄加工する工程(図6(A)、(B))は、第1の実施形態と同様である。本実施形態においては、図6(C)に示すストッパー層111を形成する工程において、ストッパー層111がパターン加工されることが特徴である。すなわち、ストッパー層111が、第二の供給口113を形成するためのエッチングマスクになるように、ハーフエッチングによりストッパー層111にパターニング部121を形成する。なお、ストッパー層111の材料や形成方法については、第1の実施形態と同様である。
パターニングされたストッパー層111を介して、第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132とが接合される。接合後に、第二のシリコン基板132の裏面側に裏面エッチングマスク116を形成し、第二のシリコン基板132の裏面側からエッチングを行い、第一の供給口112を形成する(第一エッチング)。このエッチングは、ストッパー層111によって停止する。ウエハ内の全ての場所で第一の供給口112の形成が終了したらエッチングを停止し(図6(D))、ドライエッチングまたはウエットエッチングによって、第一の供給口112の底に露出したストッパー層111の全面をエッチングする。
ストッパー層111をエッチングしていき、ハーフエッチングされた部分の底部に第一のシリコン基板131が露出したところで、エッチングを停止する。以上により、ストッパー層111の一部、すなわち、パターニングされたストッパー層が選択的に除去される。次いで、ストッパー層111越しに第一のシリコン基板131をエッチング(第二エッチング)して、第二の供給口113を形成する。所望の深さまで第二の供給口113を形成したら、エッチングを停止する(図6(E))。ストッパー層111の厚さとハーフエッチングの深さは、第二の供給口113のエッチングに耐えられるように適宜設定される。
第二の供給口113の開口形状が小さくなると、開口率(エッチングされる面積/ウエハ面積)が減少する。特に、開口率が大きいエッチングでは、開口率が減少することでエッチングレート分布は改善する。これは、エッチング作用を有する物質(エッチャント)は開口率が大きいほど多く消費されて不足しやすくなるが、開口率が低下することでエッチャント不足が解消し、ウエハ中央部とウエハ外周部とのエッチャントの量が均一化されるためである。図7に、開口率とエッチングレート分布との関係を示した。例えば、第二の供給口113の開口率が35%である場合、エッチングレート分布は40%である。一方、第二の供給口113の開口断面積を半分にして開口率を17%まで下げた場合、エッチングレート分布は20%まで減少する。その結果、第二の供給口113の深さ分布も半分まで改善することができる。
第二の供給口113を形成するエッチングを停止した後の工程は、第1の実施形態と同様である。すなわち、裏面を保護する裏面保護部材120を貼り合わせ、表面保護部材117を除去する。そして、第一のシリコン基板131の表面側にエッチングマスクを形成し、第三の供給口114(第三の孔部)を形成して、第二の供給口113と連通したところでエッチング(第三エッチング)を停止する(図6(F))。以上により、三段の貫通孔が形成されたシリコン基板が得られる。その後、吐出口形成部材の壁118および吐出口形成部材の天板119(吐出口形成部材)を第一のシリコン基板131表面に形成することにより、液体吐出ヘッドが完成する(図6(G))。
第二の供給口113の開口形状に関して、開口部の基板面内方向のアスペクト比は小さい方が、エッチングレート分布を改善する上で好ましい。プラズマドライエッチングにおいては、通常、アスペクト比が大きい供給口は、長手方向の両端部のエッチングレートが下がってしまうためである。エッチングレートが低下する理由は、アスペクト比が大きい溝の端部ではエッチング時のプラズマシースが歪み、エッチャントが底部に入りにくくなるためである。ここで、アスペクト比とは、任意の二次元形状に対して、直交する二つの軸方向について各々の方向に関する幅を計測したとき、長い方の幅を短い方の幅で除した数値の最大値である。
開口部のアスペクト比を下げるために、図8に示すように、複数の第三の供給口114の各々に対して、複数の第二の供給口113を個別に連通させてもよい。また、図9に示すように、第二の供給口113のアスペクト比が1に近くなるように、第一の供給口及び第二の供給口が、互いに独立した複数の第三の供給口と連通し、前記第一の供給口は、互いに独立した複数の前記第二の孔部と連通する構成であってもよい。このような構成にすることで、第二の供給口113のエッチング深さ分布を良化させることができる。また、本実施形態においては、開口部の基板面内方向の開口形状に関するアスペクト比が、第一の供給口よりも第二の供給口の方が小さいことが好ましい。
また、第二の供給口113を形成する方法として、図10に示すように、二種類以上の材料でストッパー層111を形成してもよい。例えば、第一のストッパー層122と第二のストッパー層123からストッパー層111を形成することもできる。まず、第一のストッパー層122を貫通する窪み124を形成し(図10(B))、その窪み124を埋めるために第二のストッパー層123を成膜した後(図10(C))、CMPや全面エッチングなどによって平坦化することで、第二のストッパー層123を窪み124に埋め込む(図10(D))。ここで、第二のストッパー層123によって、窪み124を完全に埋める必要はなく、窪み124を十分な厚さで閉塞していればよい。
続いて、図10(E)に示すように、第一のシリコン基板131と第二のシリコン基板132とを接合した後、第二のシリコン基板132の裏面側から第一の供給口112をエッチングで形成し、上記二つのストッパー層で停止させる。そして、第二のストッパー層123のみを除去することで第一のシリコン基板131を露出させ、さらに第二の供給口113を、第一のストッパー層122をマスクにしてエッチングで形成する(図10(F))。
第一のストッパー層122及び第二のストッパー層123の材料としては、第1の実施形態のストッパー層111の材料として例示したものから選択して使用できる。ただし、第二のストッパー層123は、第一のストッパー層122に対して選択的に除去できるようにする必要があるため、第一のストッパー層122とは異なる材料を使用する必要がある。すなわち、ストッパー層のパターニングされた部分は、二種類以上の材料から構成されていることが好ましい。また、ストッパー層には、エッチングに対しても十分に耐性のある材料を用いることが必要である。
フォトリソグラフィ工程により、第一のシリコン基板131として8インチシリコン基板(厚さ:730μm)上に、アルミニウム配線、酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜の層間絶縁膜等のメンブレン層103、窒化タンタルのヒータ薄膜パターンからなるエネルギー発生素子107、および外部の制御部と導通させるコンタクトパッドを形成した(図2(A))。
次に、第一のシリコン基板131の表面に、サポート部材110として厚さ120μmの紫外線硬化テープを貼り合わせ、シリコン基板裏面を研削装置によって厚さ300μmまで薄加工した(図2(B))。その後、研削した面を平滑化するためにCMP装置によって表面を研磨した。CMP装置によって、コロイダルシリカを主成分とするスラリーと不織布の研磨パッドを用いて、表面粗さを0.3nmまで平滑化した後に、アンモニア8質量%、過酸化水素8質量%、純水84質量%との混合液からなる洗浄液を用いて研磨面を洗浄した。
一方、ストッパー層111として、表面に厚さ1μmの熱酸化膜を形成した熱酸化膜付きシリコン基板(基板厚さ430μm、第二のシリコン基板132)を準備し、接合面を濃度1質量%のフッ化水素酸液で洗浄した後、上記薄化した第一のシリコン基板131と接合した(図2(C))。接合は、接合面を窒素プラズマに晒し、接合アライメント装置でウエハを位置合わせしてウエハを固定した後、接合機を用いて室温で直接接合させることにより行った。
接合後、紫外線硬化テープ(サポート部材110)を除去し、オーブン中で300℃1時間の熱処理を実施した。その後、接合基板の表面に保護部材117として保護テープを貼り、基板裏面側に第一の供給口の裏面エッチングマスク116をポジ型レジストにより形成した。その後、第一の供給口112(第一の孔部)を、シリコンドライエッチング装置によって、ボッシュプロセスを用いてエッチングで形成した。ストッパー層111である1μmの熱酸化膜が露出した時点でエッチングを停止した(図2(D))。
その後、酸化膜ドライエッチング装置によって、CF4を主成分とするエッチングガスを用いて、ストッパー層111を異方性エッチングにより除去した。次いで、シリコンドライエッチング装置を用いて、ボッシュプロセスにより第二の供給口113(第二の孔部)をエッチング形成した。150μmの深さまで第二の供給口を形成した所でエッチングを停止した。その後、剥離液による洗浄と酸素プラズマアッシングを組み合わせることで、裏面エッチングマスク116と供給口内部のエッチング堆積物を除去した(図2(E))。
続いて、基板裏面側に、裏面保護部材120として保護テープを貼り合わせた後、基板表面側の表面保護部材117を剥離した。その後、基板表面側にレジストマスクを形成し、酸化膜ドライエッチング装置によってシリコン基板表面のメンブレン層103(酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜)を加工した。さらに、その下の第一のシリコン基板131をシリコンドライエッチング装置によって加工して、開口形状が50×50μm2の正方形である第三の供給口114(第三の孔部)を形成した(図2(F))。第三の供給口114が第二の供給口113と連通したところでエッチングを停止し、裏面保護部材120を剥離し、基板全体を剥離液で洗浄することにより、二段の貫通孔を有する基板を形成した。
次に、厚さ20μmのネガ型のドライフィルムレジスト(東京応化工業製、商品名TMMF(登録商標))を、テープラミネーターによって、上記二段の貫通孔を有する基板表面に貼り合わせた。次いで露光装置を用いて露光・現像を行い、吐出口形成部材の壁118をパターニングした。さらに吐出口形成部材の壁118の上に、前記ドライフィルムレジストをラミネートし、露光・現像することで、吐出口が設けられた吐出口形成部材の天板119を形成した。その後、オーブン中で200℃1時間の条件でベークして、図2(G)に示す液体吐出ヘッドを作製した。
101 シリコン基板
102 吐出口形成部材
103 メンブレン層
104 吐出口
105 表面孔部
106 裏面孔部
107 エネルギー発生素子
110 サポート部材
111 ストッパー層
112 第一の供給口(第一の孔部)
113 第二の供給口(第二の孔部)
114 第三の供給口(第三の孔部)
116 裏面エッチングマスク
117 表面保護部材
118 吐出口形成部材の壁
119 吐出口形成部材の天板
120 裏面保護部材
121 パターニング部
122 第一のストッパー層
123 第二のストッパー層
124 窪み
131 第一のシリコン基板
132 第二のシリコン基板

Claims (13)

  1. シリコン基板に貫通孔を形成するシリコン基板の加工方法であって、
    (A)第一のシリコン基板と、第二のシリコン基板と、前記第一のシリコン基板と前記第二のシリコン基板との間に設けられたストッパー層と、の組を用意する工程と、
    (B)前記第二のシリコン基板において、前記ストッパー層と前記第二のシリコン基板との界面とは反対の面から前記第二のシリコン基板をエッチングする第一エッチングにより、前記ストッパー層を露出させて第一の孔部を形成する工程と、
    (C)前記露出したストッパー層の少なくとも一部を除去して、前記第一のシリコン基板を露出させる工程と、
    (D)前記露出した第一のシリコン基板をエッチングする第二エッチングを行い、前記第一のシリコン基板中で前記第二エッチングを停止させることによって第二の孔部を形成する工程と、
    (E)前記第一のシリコン基板において、前記第二の孔部の側の面とは反対の面から前記第一のシリコン基板をエッチングする第三エッチングを行い、前記第一のシリコン基板中で前記第三エッチングを停止させることによって第三の孔部を形成する工程と、
    を含み、
    前記第二エッチングまたは前記第三エッチングのいずれかを行った後に、前記第二の孔部と前記第三の孔部とを連通させ、前記貫通孔を形成することを特徴とするシリコン基板の加工方法。
  2. 前記第一、第二及び第三エッチングは、ドライエッチングである、請求項1に記載のシリコン基板の加工方法。
  3. 前記工程(A)は、前記第一のシリコン基板を薄加工する工程を経た後に、前記第一のシリコン基板を、前記ストッパー層を介して前記第二のシリコン基板と接合する工程を含む、請求項1または2に記載のシリコン基板の加工方法。
  4. 前記第一のシリコン基板を薄加工する工程において、薄加工後の前記第一のシリコン基板の厚さが150μm以上である、請求項3に記載のシリコン基板の加工方法。
  5. 前記第一のシリコン基板を薄加工する工程において、前記第一のシリコン基板に樹脂を含むサポート部材を貼り合わせた後に薄加工する、請求項3または4に記載のシリコン基板の加工方法。
  6. 前記工程(C)において、前記第一の孔部の底に露出する前記ストッパー層を全て除去する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  7. 前記工程(C)において、前記第一の孔部の底に露出する前記ストッパー層の一部を除去し、前記工程(D)の前記第二エッチングにより、前記第一の孔部の開口断面積よりも小さい開口断面積の前記第二の孔部を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  8. 前記ストッパー層は、前記工程(A)においてパターニングされており、前記ストッパー層の一部を除去する工程は、前記パターニングされた前記ストッパー層を選択的に除去することを特徴とする、請求項7に記載のシリコン基板の加工方法。
  9. 前記ストッパー層のパターニングされた部分は、二種類以上の材料から構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のシリコン基板の加工方法。
  10. 基板面内方向の開口形状に関するアスペクト比が、前記第一の孔部よりも前記第二の孔部の方が小さい、請求項7〜9のいずれか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  11. 前記第一及び第二の孔部は、互いに独立した複数の前記第三の孔部と連通している、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  12. 前記第一の孔部は、互いに独立した複数の前記第二の孔部と連通している、請求項11に記載のシリコン基板の加工方法。
  13. 前記第一及び第二の孔部は、一つの前記第三の孔部と連通している、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
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