JP2007143342A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにそれらの製造方法 - Google Patents

静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】振動板等の可動電極を当接させる際の当接電圧を低くできる静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、それらの製造方法等を得る。
【解決手段】個別電極12と、個別電極12と所定の距離で対向して支持され、固定電極との間で発生した静電気力により動作する、板状の可動電極となる振動板22を備え、振動板22の支持された振動板端部22b以外の少なくとも一部である振動板中央部22aを、振動板端部22bよりも薄くし、個別電極12と対向する面と反対側が段状になるように形成するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細加工素子において、固定電極との間の静電気力により振動板等の可動電極が変位等させ、駆動させる静電アクチュエータ、液滴の吐出を行う液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、それらの製造方法に関するものである。
例えばシリコン等を加工して微小な素子等を形成する微細加工技術(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)が急激な進歩を遂げている。微細加工技術により形成される微細加工素子の例としては、例えば液滴吐出方式のプリンタのような記録(印刷)装置で用いられている液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)、マイクロポンプ、光可変フィルタ、モータのような静電アクチュエータ、圧力センサ等がある。
ここで、微細加工素子の一例として静電アクチュエータである液滴吐出ヘッドについて説明する。液滴吐出方式の記録(印刷)装置は、家庭用、工業用を問わず、あらゆる分野の印刷に利用されている。液滴吐出方式とは、例えば複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドを対象物(紙等)との間で相対移動させ、対象物の所定の位置に液滴を吐出させて印刷等をするものである。この方式は、液晶(Liquid Crystal)を用いた表示装置を作製する際のカラーフィルタ、有機化合物等の電界発光(ElectroLuminescence )素子を用いた表示パネル(OLEDs)、DNA、タンパク質等、生体分子のマイクロアレイ等の製造にも利用されている。
液滴吐出ヘッドの中で、液体をためておく吐出室を流路の一部に備え、吐出室の少なくとも一面の壁(ここでは、底部の壁とし、以下、この壁のことを振動板ということにする)を撓ませて(動作させて)形状変化により吐出室内の圧力を高め、連通するノズルから液滴を吐出させる方法がある。可動電極となる振動板を変位させる力として、例えば、振動板と距離を空けて対向する電極(固定電極)との間に電圧を印加させ、発生する静電気力(静電引力を用いることが多いので、以下、静電引力とする)を利用し、発生させた静電引力により振動板を変位させて電極に当接させる(以下、このときの電圧を当接電圧というものとする)。静電引力の発生を止めると、弾性を有する振動板には、通常の状態に戻ろうとする復元力が働き、このため、振動板が元に戻るための変位をする。
ここで、振動板を変位させるために発生させる静電引力は、振動板が通常の状態を維持しようとする力よりも大きいことが必要となる。したがって、この力が小さいと、振動板を当接させるために発生させる静電引力が小さくてすみ、その分、当接電圧を低くすることができる。そこで、振動板の一部(短辺両端近傍)を薄くすることで撓みやすくしようとするものも提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2000−52551号公報
高密度化により、ノズル(吐出室)の間隔が狭まるにつれて振動板も薄くなる傾向にあり、振動板をさらに薄くし過ぎると剛性が低くなり、振動板の固有振動数が下がるため、振動板が元に戻るまでに時間を要し、駆動周波数(時間当たりの動作回数)も少なくなってしまう。また、上述の文献では振動板を薄くするために、RIE等のドライエッチングを行っているが、ドライエッチングは深さ方向の制御が難しく、特に振動板に段差を付ける場合、薄くなる部分に対しての制御が困難となっていた。高密度化によりますます振動板の間隔が狭まることで短辺両端近傍もさらに狭くなり、さらに顕著になる。
そこで、本発明はこのような問題を解決するため、振動板等の可動電極を当接させる際の当接電圧を低くできる静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、それらの製造方法等を得ることを目的とする。そして、さらに駆動周波数を高めることができ、振動板の厚さを精度よく形成した静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、それらの製造方法等を得ることを目的とする。
本発明に係る静電アクチュエータは、固定電極と、固定電極と所定の距離で対向して支持され、固定電極との間で発生した静電気力により動作する、板状の可動電極とを備え、可動電極の支持された部分以外の少なくとも一部を、支持された部分よりも薄くし、固定電極と対向する面と反対側が段状になるように形成するものである。
本発明によれば、可動電極の一部を薄くすることで、低い当接電圧で可動電極の一部だけでも当接するようにして静電気力を高め、また支持された部分を厚くすることで復元力を高め、駆動周波数(動作回数)を高めるようにすることで省電力化、高速化を図ることができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体を液滴として吐出するノズル孔を複数有するノズル基板と、各ノズル孔に合わせて設けられ、振動して液体を加圧する振動板を備える吐出室となる複数の凹部を有するキャビティ基板と、振動板と一定距離で対向し、静電気力により振動板を振動させるための固定電極を有する電極基板とを少なくとも備え、少なくとも吐出室の短手方向について、振動板の吐出室となる凹部が形成された面側の中央部を端部よりも薄くして段状に形成するものである。
本発明によれば、振動板中央部を薄くし、低い当接電圧で振動板の一部だけでも当接するようにして静電気力を高め、振動板端部を厚くして弾性による復元力を大きくするようにして固有振動数を高め、駆動周波数を高めることで、省電力化、高速化を図ることができる。また、復元力を大きいため、当接による貼りつきを防ぐことができる。また、シリコン基板にボロンを選択的に拡散して、本形状のボロンドープ層をウェットエッチングすることができ、深さ方向の精度が高い振動板を有することができ、吐出特性をよくすることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体を液滴として吐出するノズル孔を複数有するノズル基板と、各ノズル孔に合わせて設けられ、振動して液体を加圧する振動板を備える吐出室となる複数の凹部を有するキャビティ基板と、振動板と一定距離で対向し、静電気力により振動板を振動させるための固定電極を有する電極基板とを少なくとも備え、少なくとも吐出室の短手方向について、振動板の吐出室となる凹部が形成された面側の中央部を端部(及び隣接する吐出室との隔壁となる部分)よりも厚くして段状に形成するものである。
本発明によれば、吐出室との隔壁となる部分も端部と同様に薄く形成することで、撓みやすく当接電圧を低くし、省電力を図ることができる。また、シリコン基板にボロンを選択的に拡散して、本形状のボロンドープ層をウェットエッチングすることができ、深さ方向の精度が高い振動板を有することができ、吐出特性をよくすることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液体を液滴として吐出するノズル孔を複数有するノズル基板と、各ノズル孔に合わせて設けられ、振動して液体を加圧する振動板を備える吐出室となる複数の凹部を有するキャビティ基板と、振動板と一定距離で対向し、静電気力により振動板を振動させるための固定電極を有する電極基板とを少なくとも備え、少なくとも吐出室の短手方向について、振動板の固定電極と対向する面側の中央部を端部(及び隣接する吐出室との隔壁となる部分)よりも厚くして段状に形成するものである。
本発明によれば、振動板の中央部をより固定電極に近づけるようにすることで、静電気力を大きくすることができ、当接電圧を低くし、省電力を図ることができる。本発明によれば、吐出室との隔壁となる部分も端部と同様に薄く形成することで、撓みやすくすることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板の中央部と端部の短手方向の幅の関係が1:1となるように段状にする。
本発明によれば、振動板の中央部と端部の短手方向の幅の関係が1:1となるように振動板を形成することで当接電圧と駆動周波数のバランスをよくした液滴吐出ヘッドを得ることができる。
また、本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
本発明によれば、上記の液滴吐出ヘッドを搭載するようにしたので、当接電圧を低くして省電力を図った液滴吐出装置を得ることができる。
また、本発明に係る静電駆動デバイスは、上記の静電アクチュエータを搭載したものである。
本発明によれば、上記の静電アクチュエータを搭載するようにしたので、当接電圧を低くして省電力を図った静電駆動デバイスを得ることができる。
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、位置によって拡散深さが変わるように、シリコン基板に対して選択的にボロンを拡散し、固定電極との間で発生する静電引力により変位する可動電極となるボロンドープ層を、可動電極が支持される部分以外の少なくとも一部を支持される部分よりも薄くして、固定電極と対向する面と反対側が段状になるように形成する工程と、シリコン基板をウェットエッチングしてボロンドープ層だけを残し、可動電極を形成する工程とを有することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
本発明によれば、選択的にボロンを拡散してボロンドープ層をあらかじめ段状に形成した上で、ウェットエッチングでシリコンを除去して振動板を形成するようにしたので、ボロンドープの深さ方向に対する精度の高さ、シリコンとボロンドープ層のエッチングレートの選択比から考えて、形成したボロンドープ層をドライエッチングでエッチングして段状に形成するよりも、精度のより段差を得ることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、位置によって拡散深さが変わるように、キャビティ基板となるシリコン基板に対して選択的にボロンを拡散し、液体を加圧する振動板となるボロンドープ層を段状に形成する工程と、シリコン基板に所定のパターニングをし、ウェットエッチングを行って、振動板を底部に有する吐出室となる凹部を形成する工程と、キャビティ基板のボロンドープ層が形成された面側と静電気力により振動板を振動させる電極を有する電極基板とを電極と振動板とを一定距離で対向させて接合し、キャビティ基板の凹部が形成された面側と液体を液滴として吐出するノズル孔を有するノズル基板とを接合する工程とを有する。
本発明によれば、選択的にボロンを拡散してボロンドープ層をあらかじめ段状に形成した上で、ウェットエッチングでシリコンを除去して振動板を形成するようにしたので、ボロンドープの深さ方向に対する精度の高さ、シリコンとボロンドープ層のエッチングレートの選択比から考えて、形成したボロンドープ層をドライエッチングでエッチングして段状に形成するよりも、精度のより段差を得ることができ、吐出特性のよい振動板を形成することができる。また歩留まりも高くすることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、少なくとも吐出室の短手方向について振動板の中央部が端部よりも薄くなるようにボロンを拡散し、ボロンドープ層を段状に形成する。
本発明によれば、低い当接電圧で振動板の一部だけでも当接するようにして静電気力を高め、振動板端部を厚くして弾性による復元力を大きくするようにして固有振動数を高め、駆動周波数を高めることで、省電力化、高速化を図ることができる液滴吐出ヘッドを製造することができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、少なくとも吐出室の短手方向について振動板の中央部が端部(及び隣接する吐出室との隔壁となる部分)よりも厚くなるようにボロンを拡散し、ボロンドープ層を段状に形成する。
本発明によれば、吐出室との隔壁となる部分も端部と同様に薄く形成することで、撓みやすく当接電圧を低くし、省電力を図ることができる液滴吐出ヘッドを製造することができる。
また、本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造する。
本発明によれば、上記の方法で液滴吐出ヘッドを製造するようにしたので、当接電圧を低くして省電力を図った液滴吐出装置を製造することができる。
また、本発明に係る静電駆動デバイスの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造方法を適用してデバイスを製造する。
本発明によれば、上記の方法で静電アクチュエータを製造するようにしたので、当接電圧を低くして省電力を図った静電駆動デバイスを製造することができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。図1は液滴吐出ヘッドの一部を示している(ここではノズルを5つしか設けていないが実際にはさらに多くのノズルを有している)。本実施の形態では、例えば静電方式で駆動する静電アクチュエータを用いる素子(デバイス)の代表として、フェイスイジェクト型の液滴吐出ヘッドについて説明する。(なお、構成部材を図示し、見やすくするため、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものと異なる場合がある。また、図の上側を上とし、下側を下とし、ノズルが並んでいる方向を短手方向、短手方向と垂直な方向を長手方向として説明する)。
図1に示すように本実施の形態に係る液滴吐出ヘッドは、電極基板10、キャビティ基板20、ノズル基板30を下から順に積層することにより構成する。一般的に、電極基板10とキャビティ基板20とは陽極接合により接合している。また、キャビティ基板20とノズル基板30とはエポキシ樹脂等の接着剤を用いて接合している。
電極基板10は、厚さ約1mmであり、図1で見るとキャビティ基板20の下面側と接合される基板である。本実施の形態においては、電極基板10はホウ珪酸系の耐熱硬質ガラスによる基板を用いることにする。また、電極基板10には、例えば深さ約0.2μmの凹部11を設けている。
凹部11の内側(特に底面部分)には、個別電極12、リード部13及び端子部14(以下、特に区別する必要がない場合はこれらを合わせて電極15として説明する)を設ける。本実施の形態では、電極15の材料として酸化錫を不純物としてドープした、透明(可視光領域)のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を用い、例えばスパッタリングにより0.1μmの厚さで形成するものとする。凹部11の深さが0.2μmであり、電極15の厚さが0.1μmであるため、キャビティ基板20(振動板22)と電極15との間には、後述する図2に示すような空隙(ギャップ)ができる。なお、本実施の形態では電極15の材料としてITOを用いているが、これに限定するものではない。例えばクロム、金等の金属等を材料に用いることもできる。また、電極基板10には、他にも、リザーバ23と連通して外部タンク(図示せず)からリザーバ23に吐出する液体を供給するための液体供給口16を設ける。
キャビティ基板20は、例えばシリコン単結晶基板(以下、単にシリコン基板という)を主たる材料として構成されている。シリコン基板に例えば異方性ウェットエッチング(以下、ウェットエッチングという)等を行い、底壁が振動板22となり、振動板により圧力を加える液体を一時的にためる吐出室21、各ノズル孔31からに吐出する液体を共通にためておくための共通液室となるリザーバ23となる凹部をキャビティ基板20上に形成する。振動板22は、キャビティ基板20となるシリコン基板内にドープ(拡散、添加)することにより形成された高濃度のボロン(ホウ素)ドープ層によりできており、後述するように振動板22は振動板中央部22aと振動板端部22bの2段構成となっている。そしてキャビティ基板20には、電極基板10上の個別電極12と反対の電荷をシリコン基板(振動板22)に供給するための共通電極端子24を設けている。
また、キャビティ基板20の下面(電極基板10と対向する面)には、TEOS(ここでは、Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン(珪酸エチル)を用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )法によりできるSiO2 の絶縁膜25を0.1μm成膜する。ここでキャビティ基板20の上面(ノズル基板30と対向する面)には、SiO2 による液体保護膜(図示せず)を成膜するようにしてもよい。
ノズル基板30も例えばシリコン基板で構成されており、電極基板10とは反対の面(図1の場合には上面)で、キャビティ基板20と接合されている。ノズル基板30にはノズル基板30を貫通する複数のノズル孔31を形成し、吐出室21により加圧されたインク等の液体を液滴として吐出する。さらに下面には吐出室21とリザーバ23とを連通させるためのオリフィス32を形成する。
ここではノズル孔31を有するノズル基板30が上面側となり、電極基板10が下面側となっているが、実際には、ノズル基板30の方が電極基板10よりも下面となって用いられることが多い。また、図1では示していないが、振動板22が撓むことでリザーバ23方向に加わる圧力を緩衝するダイヤフラムが設けられている場合もある。
図2は液滴吐出ヘッドの長手方向の断面図である。図2において、吐出室21はノズル孔31から吐出させる液体をためておく。吐出室21の底壁である振動板22を静電引力、復元力で変位させる(撓ませる)ことにより、吐出室21内の圧力を高め、ノズル孔31から液滴を吐出させる。
発振回路41は、直接又はワイヤ、FPC(Flexible Print Circuit)等(以下、配線という)42を介して電気的に端子部14、共通電極端子24と接続され、個別電極12、キャビティ基板20(振動板22)に電荷(電力)の供給及び停止を制御する回路である。発振回路41は、例えば24kHzで発振し、個別電極12に例えば0Vと30Vのパルス電圧を印加して電荷供給を行う。発振回路41が発振駆動し、各個別電極12に選択的に電荷を供給して正に帯電させ、また、振動板22を相対的に負に帯電させる。このとき、静電気力により振動板22は個別電極12に引き寄せられて撓む。これにより吐出室21の容積は広がる。電荷供給を止めると振動板22は元に戻るが、そのとき吐出室21の容積も元に戻り、その圧力により液滴が吐出する。この液滴が例えば吐出対象物に着弾して印刷等が行われる。
図3は実施の形態1の液滴吐出ヘッドを短手方向に切った断面の一部を示す図である。本実施の形態では、振動板22を段状に形成して段差を設ける。そのため、中央の部分を一部を従来の厚さ(約0.8μm)と同程度の厚さで形成する(この部分を振動板中央部22aとする)。また、残りの部分を振動板中央部22aよりも厚く形成する(この部分を振動板端部22bとする)。ここで、薄い部分を厚い部分の70%以下とすると効果が顕著になる(以下同様)。本実施の形態では、液滴吐出ヘッドの各吐出室21において、短手方向について、吐出室21の幅と振動板中央部22aの幅との比が2:1(つまり、振動板中央部22aと振動板端部22bとの幅の比が1:1)となるようにし、振動板中央部22aと振動板端部22bとの幅の比が2:1となるようにする。ただし、振動板中央部22aと振動板端部22bとの幅、厚さの関係は上記の比に必ずしも限定するものではなく、所望する当接電圧、復元力等の関係で決めることができる。また、短手方向について段差を規定し、厚さを規定する方が、復元力等を制御する場合に顕著に効くが、長手方向についても振動板中央部22aと振動板端部22bに合わせて段差を設けるようにしてもよい。この場合も当接電圧、復元力等の関係から段差の有無、幅、厚さを求めるようにすればよい。
振動板端部22bよりも薄い振動板中央部22aは静電引力により個別電極12に引かれやすく、振動板中央部22aよりも厚い振動板端部22bは剛性を有しており復元力が大きい。静電引力は電極間(振動板22及び個別電極12)の距離の自乗に反比例する。そのため、振動板22が個別電極12に近づくほど静電引力は急激に大きくなる(当接した場合に最大となる)。そのため、振動板22の一部分でも個別電極12に当接すれば、そのときの静電引力により、振動板22全体が急激に引かれて当接する。そこで、本実施の形態では、より低いの所望の当接電圧で最初に当接させる部分として振動板中央部22aを設ける。そして、従来よりも厚い振動板端部22bが大きい復元力を備えることにより、元に戻る時間をはやくし(少なくとも次のパルス電圧が印可されるまでに安定状態になるようにしておき)、固有振動数を損なうことなく、所望の駆動周波数(時間当たりの動作回数)での動作を行えるようにする。
図4は実施の形態1に係る振動板22となるボロンドープ層形成の工程を表す図である。次に振動板22の形成を主として本実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造について説明する。ここで、実際には、ウェハ単位で複数個分を同時形成し、他の基板と接合等をした後、個々に切り離して液滴吐出ヘッドを製造するが、図4では、1つの液滴吐出ヘッドの一部分を短手方向で切ったときの断面を示している。
まず、シリコン基板61の片面(電極基板10との接合面側となる)を鏡面研磨等し、例えば220μmの厚みの基板(キャビティ基板20となる)を作製する(図4(a))。そして、振動板22の厚さを複数段(ここでは2段)にするため、ボロンを拡散する際のマスクとなる、酸化シリコン(SiO2 )膜62を表面に形成する(図4(b))。
さらに、フォトリソグラフィ法により、酸化シリコン膜62にパターニングしてシリコン基板61を露出させるため、レジスト膜63を塗布(図4(c))した上で、露光を行ってレジスト膜63をパターニングする(図4(d))。そして、例えば、ウェットエッチング法により、レジスト膜63の開口部分の酸化シリコン膜62をフッ酸等でエッチングして、シリコン基板61のボロンを拡散する部分(ここでは振動板端部22bとなる)を露出させる(図4(e))。
そして、シリコン基板61のボロンドープ層64を形成する面を、B23を主成分とする固体のボロン拡散源71に対向させ(図4(f))、縦型炉に入れて、シリコン基板61が露出した部分についてボロンを拡散させ、ボロンドープ層64を形成する(図4(g))。ボロンドープ層64を形成すると、レジスト膜63を剥離し(図4(h))、さらに酸化シリコン膜62を剥離する(図4(i))。
さらに、ボロンドープ層64を形成する面の全面に対してボロン拡散源71に再度対向させ(図4(j))、縦型炉に入れて、シリコン基板61が露出した部分についてボロンを拡散させ、ボロンドープ層64を形成する(図4(k))。これにより、先の工程でシリコン基板61が露出した部分については、ボロンがさらに深く拡散され、レジスト膜63及び酸化シリコン膜62で覆われていた部分は、それよりも浅く拡散されることとなる。
そして、ボロンドープ層64を形成した面に、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で絶縁膜25を0.1μm成膜する(図4(l))。
図5は液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図である。一方、電極基板10については、別工程で作製する。約1mmのガラスの基板の一方の面に対し、エッチング等を行って約0.3μmの深さの凹部11を形成する。凹部11の形成後、例えばスパッタリング法を用いて、0.1μmの厚さの電極15を同時に形成する。最後に液体供給口16となる穴をサンドブラスト法または切削加工により形成する(図5(a))。
そして、シリコン基板61と電極基板10を360℃に加熱した後、電極基板10に負極、シリコン基板61に正極を接続して、800Vの電圧を印加し、陽極接合を行う。そして、陽極接合した後の基板(以下、接合済み基板という)において、シリコン基板61側表面の研削、ウェットエッチング等を行い、シリコン基板61部分の厚みを約50μmにする(図5(b))。
次に、ウェットエッチングを行ったシリコン基板61側表面に対し、TEOSによるエッチングマスク(以下、TEOSエッチングマスクという)65を1.5μm成膜する。そして、吐出室21、リザーバ23、電極取出し口26となる部分に対し、TEOSエッチングマスク65のレジストパターニングを施す。フォトリソグラフィ法等により、最終的にフッ酸水溶液でそれらの部分のTEOSエッチングマスク65をエッチングし、TEOSエッチングマスク65をパターニングする(図5(c))。ここで、例えば、リザーバ23となる部分について、シリコンを残して剛性を確保するために、TEOSエッチングマスク65を若干残しておいてもよい。
次に、接合基板を35wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、吐出室21、リザーバ23及び電極取出し口26となる部分の厚みが約10μmになるまで異方性ウェットエッチング(以下、ウェットエッチングという)を行う。さらに、接合基板を3wt%の濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に浸し、ボロンドープ層64が露出し、エッチングの進行が極度に遅くなるエッチングストップが十分効いたものと判断するまでウェットエッチングを続ける(図5(d))。これによりボロンドープ層64が段状に形成され、それぞれ振動板中央部22aと振動板端部22bとなる。ここで2種類の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことによって、吐出室21となる部分に形成される振動板22の面荒れを抑制厚み精度を高くすることができる。その結果、液滴吐出ヘッドの吐出性能を安定化させることができる。ウェットエッチングを終了すると、接合済み基板を例えばフッ酸水溶液に浸し、シリコン基板61表面のTEOSエッチングマスク65を剥離する(図5(e))。
シリコン基板61の電極取出し口26となる部分のシリコン(ボロンドープ層64)を除去し、開口する。その後、電極取出し口26の端部にあるキャビティ基板20と各凹部11との間で形成されるギャップの開口部に沿って、例えばエポキシ樹脂を流し込んだり、酸化シリコンを堆積等させたりして封止材27を形成して封止し、ギャップを外気から遮断する(図5(f))。
封止が完了すると、例えば、共通電極端子24となる部分を開口したマスクを、接合基板のシリコン基板61側の表面に取り付ける。そして、例えばプラチナ(Pt)をターゲットとしてスパッタ等を行い、共通電極端子24を形成する。そして、あらかじめ別工程で作製していたノズル基板30を、例えばエポキシ系接着剤により、接合基板のキャビティ基板20側から接着し、接合する(図5(g))。そして、ダイシングラインに沿ってダイシングを行い、個々の液滴吐出ヘッドに切断し、液滴吐出ヘッドが完成する。
以上のように実施の形態1によれば、振動板22に振動板中央部22aと振動板端部22bとを設け、段状に形成したので、特に振動板中央部22aを薄くし、振動板22の一部だけでも当接するようにして当接電圧が低くなるようにしつつ、振動板端部22bを厚くすることで弾性による復元力が大きくなるようにしたので、当接電圧を低くしながらも駆動周波数(固有振動数)を高めることができ、省電力化、高速化を図ることができる。また、復元力が大きいため、個別電極12と振動板22との貼りつきを防ぐことができる。さらに、本実施の形態では選択的にボロンを拡散して振動板22となるボロンドープ層64をあらかじめ段状に形成した上で、ウェットエッチングでシリコンを除去して振動板22を形成するようにしたので、ボロンドープの深さ方向に対する精度の高さ、シリコンとボロンドープ層64のエッチングレートの選択比から考えて、形成したボロンドープ層をドライエッチングでエッチングして段状に形成するよりも、所望の深さ(段差)で吐出特性のよい振動板を形成することができる。また歩留まりも高くすることができる。
実施の形態2.
図6は実施の形態2の液滴吐出ヘッドを短手方向に切った断面の一部を示す図である。本実施の形態では、振動板端部22bを従来の厚さと同程度の厚さで形成するようにし、振動板中央部22aを振動板端部22bよりも厚く形成するようにしたものである。ここで、振動板中央部22aは、吐出室21の内側に凸となるように形成されている。本実施の形態においても、液滴吐出ヘッドの各吐出室21において、吐出室21の幅と振動板中央部22aの幅との比が2:1(つまり、振動板中央部22aと振動板端部22bとの幅の比が1:1)となるようにする。また、振動板中央部22aと振動板端部22bとの幅の比は1:2となるようにする。ただし、振動板中央部22aと振動板端部22bとの幅、厚さの関係は上記の比に必ずしも限定するものではない。
図7は実施の形態2に係る振動板22となるボロンドープ層形成の工程を表す図である。図7において、図7(a)〜図7(c)は図4(a)〜図4(c)と同じであるので説明を省略する。本実施の形態では、レジスト膜74をパターニングする位置が図7(d)のように異なり、振動板中央部22aの部分を開口する(図7(d))。そして、例えば、ウェットエッチング法により、レジスト膜74の開口部分の酸化シリコン膜73をフッ酸等でエッチングして、シリコン基板61の振動板中央部22aとなる部分を露出させる(図7(e))。
そして、シリコン基板61のボロンドープ層64を形成する面を、B23を主成分とする固体の拡散源に対向させ(図7(f))、縦型炉に入れて、シリコン基板61が露出した部分についてボロンを拡散させ、ボロンドープ層72を形成する(図7(g))。ボロンドープ層72を形成すると、レジスト膜63を剥離し(図7(h))、さらに酸化シリコン膜62を剥離する(図7(i))。
さらに、ボロンドープ層64を形成する面の全面に対してB23を主成分とする固体の拡散源に対向させ(図7(j))、縦型炉に入れてボロンを拡散させ、ボロンドープ層64を形成し(図7(k))、絶縁膜25を形成する(図7(l))。これにより、振動板中央部22aとなる部分により深くボロンが拡散される。
以上のように実施の形態2によれば、選択的にボロンを拡散して振動板22となるボロンドープ層64をあらかじめ段状に形成した上で、ウェットエッチングでシリコンを除去して振動板22を形成するようにしたので、所望の段差の振動板を形成することができる。また、ヘッド内の隣接する吐出室21(ギャップ)間を隔てる隔壁部分の厚さを振動板端部22bと同じ厚さにして振動板端部22bを撓みやすくして当接電圧を低くすることができる。
実施の形態3.
図8は実施の形態2の液滴吐出ヘッドを短手方向に切った断面の一部を示す図である。ドライエッチングによる従来の段構成の振動板では、振動板の端部だけが薄くなっているため、他の吐出室との隔壁となる部分の厚さは中央の厚い部分と変わらず、そのため、ギャップ幅は従来と変わらない。本実施の形態では、振動板端部22bを従来の厚さと同程度の厚さで形成するようにし、振動板中央部22aを振動板端部22bよりも厚く形成するようにしたものである。ここで、隔壁となる部分の厚さは振動板端部22bと同じであるため、振動板中央部22aはギャップ側に凸となるように形成される。
本実施の形態においても、液滴吐出ヘッドの各吐出室21において、吐出室21の幅と振動板中央部22aの幅との比が2:1となるように、また、振動板中央部22aと振動板端部22bとの幅の比は1:2となるようにする。ただし、振動板中央部22aと振動板端部22bとの幅、厚さの関係は上記の比に必ずしも限定するものではない。
図9は実施の形態3に係る液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図である。電極基板10については、別工程で作製する。約1mmのガラスの基板の一方の面に対し、エッチング等を行って約0.3μmの深さの凹部11を形成する。凹部11の形成後、例えばスパッタリング法を用いて、0.1μmの厚さの電極15を同時に形成する。最後に液体供給口16となる穴をサンドブラスト法または切削加工により形成する(図5(a))。
図10は実施の形態3に係る振動板22となるボロンドープ層形成の工程を表す図である。シリコン基板61のボロンドープ層64を形成する面を、B23を主成分とする固体のボロン拡散源71に対向させる。そして、縦型炉に入れて、ボロンを拡散させ、ボロンドープ層64を形成する(図10(a))。
さらに、フォトリソグラフィ法により、酸化シリコン膜62にパターニングしてシリコン基板61を露出させるため、レジスト膜63を塗布する(図10(b))。そして、露光を行ってレジスト膜63をパターニングし、振動板中央部22aとなる部分だけにレジスト膜63を残し、他の部分を露出させる(図10(c))。そして、例えば、SF6 等を用いたRIE等のドライエッチングにより振動板中央部22aが凸となるようにボロンドープ層64の一部をエッチングする(図10(d))。これによりボロンドープ層64が段状に形成され、それぞれ振動板中央部22aと振動板端部22bとなる。
そして、ボロンドープ層64を形成した面に、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で絶縁膜25を0.1μm成膜する(図10(e))。このようにして作成されたものが図9(b)のシリコン基板61となる。
そして、シリコン基板61と電極基板10を360℃に加熱した後、電極基板10に負極、シリコン基板61に正極を接続して、800Vの電圧を印加し、陽極接合を行う。そして、陽極接合した後の基板(以下、接合済み基板という)において、シリコン基板61側表面の研削、ウェットエッチング等を行い、シリコン基板61部分の厚みを約50μmにする(図9(c))。
次に、ウェットエッチングを行ったシリコン基板61側表面に対し、TEOSによるエッチングマスク(以下、TEOSエッチングマスクという)65を1.5μm成膜する。そして、吐出室21、リザーバ23、電極取出し口26となる部分に対し、TEOSエッチングマスク65のレジストパターニングを施す。フォトリソグラフィ法等により、最終的にフッ酸水溶液でそれらの部分のTEOSエッチングマスク65をエッチングし、TEOSエッチングマスク65をパターニングする(図9(d))。ここで、例えば、リザーバ23となる部分について、シリコンを残して剛性を確保するために、TEOSエッチングマスク65を若干残しておいてもよい。
次に、接合基板を35wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、吐出室21、リザーバ23及び電極取出し口26となる部分の厚みが約10μmになるまで異方性ウェットエッチング(以下、ウェットエッチングという)を行う。さらに、接合基板を3wt%の濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に浸し、ボロンドープ層64が露出し、エッチングの進行が極度に遅くなるエッチングストップが十分効いたものと判断するまでウェットエッチングを続ける(図9(e))。ここで2種類の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことによって、吐出室21となる部分に形成される振動板22の面荒れを抑制厚み精度を高くすることができる。その結果、液滴吐出ヘッドの吐出性能を安定化させることができる。ウェットエッチングを終了すると、接合済み基板を例えばフッ酸水溶液に浸し、シリコン基板61表面のTEOSエッチングマスク65を剥離する(図9(f))。ここでは、図9(c)においてシリコン基板61と電極基板10とを接合してから吐出室シリコン基板61に対し、エッチング等の加工を行ったが、先に加工を行ってからシリコン基板61と電極基板とを接合するようにしてもよい。
シリコン基板61の電極取出し口26となる部分のシリコン(ボロンドープ層64)を除去し、開口する。その後、電極取出し口26の端部にあるキャビティ基板20と各凹部11との間で形成されるギャップの開口部に沿って、例えばエポキシ樹脂を流し込んだり、酸化シリコンを堆積等させたりして封止材27を形成して封止し、ギャップを外気から遮断する(図9(g))。
封止が完了すると、例えば、共通電極端子24となる部分を開口したマスクを、接合基板のシリコン基板61側の表面に取り付ける。そして、例えばプラチナ(Pt)をターゲットとしてスパッタ等を行い、共通電極端子24を形成する。そして、あらかじめ別工程で作製していたノズル基板30を、例えばエポキシ系接着剤により、接合基板のキャビティ基板20側から接着し、接合する(図9(h))。そして、ダイシングラインに沿ってダイシングを行い、個々の液滴吐出ヘッドに切断し、液滴吐出ヘッドが完成する。
以上のように実施の形態3によれば、静止状態(非駆動状態)においても、振動板22と個別電極12とのギャップは従来よりも狭まり、また、ヘッド内の隣接する吐出室21(ギャップ)間を隔てる隔壁部分の厚さを振動板端部22bと同じ厚さにして振動板端部22bを撓みやすくし、その撓みやすさも併せることで当接電圧を低くすることができる。また流路を妨げずに実現でき、流路抵抗を増やさない。
実施の形態4.
図11は上述の実施の形態で製造した液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置の外観図である。また、図12は液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。図11及び図12の液滴吐出装置は液滴吐出方式(インクジェット方式)による印刷を目的とする。また、いわゆるシリアル型の装置である。図12において、被印刷物であるプリント紙100が支持されるドラム101と、プリント紙100にインクを吐出し、記録を行う液滴吐出ヘッド102とで主に構成される。また、図示していないが、液滴吐出ヘッド102にインクを供給するためのインク供給手段がある。プリント紙110は、ドラム101の軸方向に平行に設けられた紙圧着ローラ103により、ドラム101に圧着して保持される。そして、送りネジ104がドラム101の軸方向に平行に設けられ、液滴吐出ヘッド102が保持されている。送りネジ104が回転することによって液滴吐出ヘッド102がドラム101の軸方向に移動するようになっている。
一方、ドラム101は、ベルト105等を介してモータ106により回転駆動される。また、プリント制御手段107は、印画データ及び制御信号に基づいて送りネジ104、モータ106を駆動させ、また、ここでは図示していないが、発振駆動回路を駆動させて振動板22を振動させ、制御をしながらプリント紙110に印刷を行わせる。
ここでは液体をインクとしてプリント紙110に吐出するようにしているが、液滴吐出ヘッドから吐出する液体はインクに限定されない。例えば、カラーフィルタとなる基板に吐出させる用途においては、カラーフィルタ用の顔料を含む液体、OLED等の表示基板に吐出させる用途においては、発光素子となる化合物を含む液体、基板上に配線する用途においては、例えば導電性金属を含む液体を、それぞれの装置において設けられた液滴吐出ヘッドから吐出させるようにしてもよい。また、液滴吐出ヘッドをディスペンサとし、生体分子のマイクロアレイとなる基板に吐出する用途に用いる場合では、DNA(Deoxyribo Nucleic Acids :デオキシリボ核酸)、他の核酸(例えば、Ribo Nucleic Acid:リボ核酸、Peptide Nucleic Acids:ペプチド核酸等)タンパク質等のプローブを含む液体を吐出させるようにしてもよい。その他、布等の染料の吐出等にも利用することができる。
実施の形態5.
図13は本発明を利用した波長可変光フィルタを表す図である。上述の実施の形態は、液滴吐出ヘッドを例として説明したが、本発明は液滴吐出ヘッドだけに限定されず、他の微細加工による静電アクチュエータを利用した静電型のデバイスにも適用することができる。例えば、図11の波長可変光フィルタは、ファブリ・ペロー干渉計の原理を利用し、可動鏡120と固定鏡121との間隔を変化させながら選択した波長の光を出力するものである。可動鏡120を変位させるためには、シリコンを材料とし、可動鏡120が設けられている可動体122を変位させる。そのために固定電極123と可動体122(可動鏡120)とを所定の間隔(ギャップ)で対向配置し、可動体122は吊り部124により第1支持部125で支持されている。また、吊り部124は基板台部126により第2支持部127で支持されている。ここで、可動体122の一部である最薄部128により低い電圧で固定電極123に当接させることができるようにした上で、最薄部124よりも厚い第1支持部125、第2支持部126における復元力により、駆動周波数を調整することができる。また、可動体122となる部分をシリコン基板にボロンを拡散して形成したボロンドープ層をウェットエッチングして形成するようにしてもよい。
同様にモータ、センサ、SAWフィルタのような振動素子(レゾネータ)、波長可変光フィルタ、ミラーデバイス等、他の種類の微細加工のアクチュエータ、加圧デバイス等にも適用することができる。
実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。 液滴吐出ヘッドの断面図である。 実施の形態1の液滴吐出ヘッドの短手方向の断面の一部を示す図である。 実施の形態1に係るボロンドープ層形成の工程を表す図である。 液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図である。 実施の形態2の液滴吐出ヘッドの短手方向の断面の一部を示す図である。 実施の形態2に係るボロンドープ層形成の工程を表す図である。 実施の形態3の液滴吐出ヘッドの短手方向の断面の一部を示す図である。 実施の形態3に係る液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図である。 実施の形態3に係るボロンドープ層形成の工程を表す図である。 液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置の外観図である。 液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。 本発明を利用した波長可変光フィルタを表す図である。
符号の説明
10 電極基板、11 凹部、12 個別電極、13 リード部、14 端子部、15 電極、16 液体供給口、20 キャビティ基板、21 吐出室、22 振動板、22a 振動板中央部、22b 振動板端部、23 リザーバ、24 共通電極端子、25 絶縁膜、26 電極取出し口、27 封止材、30 ノズル基板、31 ノズル孔、32 オリフィス、41 発振回路、42 配線、61 シリコン基板、62 酸化シリコン膜、63 レジスト膜、64 ボロンドープ層、65 TEOSエッチングマスク、71 ボロン拡散源、100 プリンタ、101 ドラム、102 液滴吐出ヘッド、103 紙圧着ローラ、104 送りネジ、105 ベルト、106 モータ、107 プリント制御手段、110 プリント紙、120 可動鏡、121 固定鏡、122 可動体、123 固定電極、124 吊り部、125 第1支持部、126 支持台部、127 第2支持部、128 最薄部。

Claims (13)

  1. 固定電極と、
    該固定電極と所定の距離で対向して支持され、前記固定電極との間で発生した静電気力により動作する、板状の可動電極とを備え、
    前記可動電極の前記支持された部分以外の少なくとも一部を、前記支持された部分よりも薄くし、前記固定電極と対向する面と反対側が段状になるように形成することを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 液体を液滴として吐出するノズル孔を複数有するノズル基板と、
    各ノズル孔に合わせて設けられ、振動して前記液体を加圧する振動板を備える吐出室となる複数の凹部を有するキャビティ基板と、
    前記振動板と一定距離で対向し、静電気力により前記振動板を振動させるための固定電極を有する電極基板とを少なくとも備え、
    少なくとも前記吐出室の短手方向について、前記振動板の前記吐出室となる凹部が形成された面側の中央部を端部よりも薄くして段状に形成することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 液体を液滴として吐出するノズル孔を複数有するノズル基板と、
    各ノズル孔に合わせて設けられ、振動して前記液体を加圧する振動板を備える吐出室となる複数の凹部を有するキャビティ基板と、
    前記振動板と一定距離で対向し、静電気力により前記振動板を振動させるための固定電極を有する電極基板とを少なくとも備え、
    少なくとも前記吐出室の短手方向について、前記振動板の前記吐出室となる凹部が形成された面側の中央部を端部及び隣接する前記吐出室との隔壁となる部分よりも厚くして段状に形成することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 液体を液滴として吐出するノズル孔を複数有するノズル基板と、
    各ノズル孔に合わせて設けられ、振動して前記液体を加圧する振動板を備える吐出室となる複数の凹部を有するキャビティ基板と、
    前記振動板と一定距離で対向し、静電気力により前記振動板を振動させるための固定電極を有する電極基板とを少なくとも備え、
    少なくとも前記吐出室の短手方向について、前記振動板の前記固定電極と対向する面側の中央部を端部及び隣接する前記吐出室との隔壁となる部分よりも厚くして段状に形成することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 前記振動板の中央部と端部の短手方向の幅の関係が1:1となるように前記段状にすることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
  7. 請求項1記載の静電アクチュエータを搭載したことを特徴とする静電駆動デバイス。
  8. 位置によって拡散深さが変わるように、シリコン基板に対して選択的にボロンを拡散し、固定電極との間で発生する静電引力により変位する可動電極となるボロンドープ層を、前記可動電極が支持される部分以外の少なくとも一部を前記支持される部分よりも薄くして、前記固定電極と対向する面と反対側が段状になるように形成する工程と、
    前記シリコン基板をウェットエッチングしてボロンドープ層だけを残し、前記可動電極を形成する工程と
    を有することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  9. 位置によって拡散深さが変わるように、キャビティ基板となるシリコン基板に対して選択的にボロンを拡散し、液体を加圧する振動板となるボロンドープ層を段状に形成する工程と、
    前記シリコン基板に所定のパターニングをし、ウェットエッチングを行って、前記振動板を底部に有する吐出室となる凹部を形成する工程と、
    前記キャビティ基板の前記ボロンドープ層が形成された面側と静電気力により前記振動板を振動させる電極を有する電極基板とを前記電極と振動板とを一定距離で対向させて接合し、前記キャビティ基板の前記凹部が形成された面側と前記液体を液滴として吐出するノズル孔を有するノズル基板とを接合する工程と
    を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 少なくとも前記吐出室の短手方向について前記振動板の中央部が端部よりも薄くなるようにボロンを拡散し、ボロンドープ層を段状に形成することを特徴とする請求項9記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  11. 少なくとも前記吐出室の短手方向について前記振動板の中央部が端部及び隣接する前記吐出室との隔壁となる部分よりも厚くなるようにボロンを拡散し、ボロンドープ層を段状に形成することを特徴とする請求項9記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
  13. 請求項8記載の静電アクチュエータの製造方法を適用してデバイスを製造することを特徴とする静電駆動デバイスの製造方法。
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