JP2006082344A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 微小液滴を記録媒体上の所望の位置に着弾させる。
【解決手段】 記録媒体に対して液滴を吐出するノズルを有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッド及び前記記録媒体のうち少なくとも一方を前記記録媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記吐出ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、を備えた画像形成装置であって、前記ノズル位置に対応する孔部が形成された着弾液滴量制限部材を、前記吐出ヘッドの前記ノズルが形成された吐出面と前記記録媒体の間に配置し、前記ノズルから吐出され、前記記録媒体に着弾する液滴の量を制限するようにした画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【選択図】 図9
【解決手段】 記録媒体に対して液滴を吐出するノズルを有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッド及び前記記録媒体のうち少なくとも一方を前記記録媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記吐出ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、を備えた画像形成装置であって、前記ノズル位置に対応する孔部が形成された着弾液滴量制限部材を、前記吐出ヘッドの前記ノズルが形成された吐出面と前記記録媒体の間に配置し、前記ノズルから吐出され、前記記録媒体に着弾する液滴の量を制限するようにした画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【選択図】 図9
Description
本発明は画像形成装置及び画像形成方法に係り、特に、ノズルよりインク滴を吐出して画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
インクジェット方式の画像形成装置は、印字ヘッドに備えられるノズルよりインク滴を吐出して記録媒体上に画像を記録する。このような画像形成装置の記録方式として、従来から様々な方法が知られている。例えば、圧電素子(圧電アクチュエータ)の変形によって、圧力室(インク室)の一部を構成する振動板を変形させて、圧力室の容積を変化させ、圧力室の容積増大時にインク供給路から圧力室内にインクを導入し、圧力室の容積減少時に圧力室内のインクをノズルからインク滴として吐出する圧電方式や、インクを加熱して気泡を発生させ、この気泡が成長する際の膨張エネルギーでインク滴を吐出させるサーマルインクジェット方式などが知られている。
ところで、このような画像形成装置において、今後さらなる高解像度化が望まれている。高解像度化を実現するためには、ノズルから吐出され、記録媒体上に着弾するインク滴を微小にする必要がある。UVインク等の100%固化インクを用いた場合の記録媒体の印字面を薄層化させることや、水溶媒インクを用いた場合の乾燥負荷を減少させること等も考慮すると、このインク滴量は、2plをかなり下回り、0.5plレベルとなることが望ましい。一般的にノズル径を小さくするとインク滴を微小化することは知られているが、この場合ノズル近傍インクは増粘しやすく、ノズルの目詰まりが発生しやすくなる。
そこで特許文献1に、駆動信号を工夫することによって、2pl以下の微小インク滴を吐出する技術が提案されている。同文献によれば、微小インク滴を吐出する場合は、圧電アクチュエータが最大変位から零変位に戻る途中に圧電アクチュエータの復帰動作を一時的に抑制することにより、ノズル端から突出したインクを途中で分断させ、微小インク滴を吐出する。
特開2002−19105号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、微小インク滴を吐出してから記録媒体に着弾させるまでのことは考慮されていない。微小インク滴の運動エネルギーは空気抵抗によって消費されやすいので、ノズルから吐出された微小インク滴は所望の方向に飛翔しない。そのため記録媒体上の着弾位置にズレ等が生じてしまう。特に、1.5plレベル以下の微小インク滴は空気抵抗により飛翔状態を維持できず、ノズルと記録媒体の間隔によっては記録媒体上に着弾することが困難となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、微小液滴を記録媒体上の所望の位置に着弾させることのできる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体に対して液滴を吐出するノズルを有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッド及び前記記録媒体のうち少なくとも一方を前記記録媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記吐出ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、を備えた画像形成装置であって、前記ノズル位置に対応する孔部が形成された着弾液滴量制限部材を、前記吐出ヘッドの前記ノズルが形成された吐出面と前記記録媒体の間に配置し、前記ノズルから吐出され、前記記録媒体に着弾する液滴の量を制限するようにした画像形成装置を提供する。
本発明によれば、ノズルから吐出された液滴は、着弾液滴量制限部材に形成された孔部を通過し、微小液滴となって記録媒体上に着弾する。この着弾液滴量制限部材は、吐出ヘッドの吐出面と記録媒体の間に配置されているので、ノズルから微小液滴を吐出する場合に比べて、微小液滴の飛翔距離は短い。そのため微小液滴の受ける空気抵抗は少なく、飛翔方向のズレが生じにくい。従って、微小液滴を記録媒体上の所望の位置に着弾させることができる。
また本発明は、数〜十数〜数十plレベルの液滴をノズルから吐出し、着弾液滴量制限部材によって、0.数pl程度の微小液滴を記録媒体上に着弾させることが可能となる。
着弾液滴量制限部材に形成される孔部の孔径は、ノズル径より小さいことが好ましい。これにより、ノズルより吐出された液滴の量を制限することができる。
また吐出ヘッドの吐出面と搬送手段の間に配置される着弾液滴量制限部材の位置は、搬送手段に近い方がより好ましい。微小液滴の飛翔距離をさらに短くすることにより、空気抵抗の影響をより減らすことができる。
「記録媒体」は、インクジェットヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、インクジェットヘッドによって配線パターン等が形成されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
記録媒体と印字ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)印字ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して印字ヘッドを移動させる態様、或いは、印字ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、さらに、前記着弾液滴量制限部材を微振動させる微振動手段を備えたことを特徴とする。
請求項2の態様によれば、ノズルから吐出された液滴が、微振動する着弾液滴量制限部材の孔部を通過すると、微小液滴は最大で微振動の振幅分だけずれて記録媒体上に着弾する。従って、記録媒体上に表出するスジムラの視認性を軽減することができる。
特にシングルパス方式の画像形成装置では、同一ノズルによる記録媒体搬送方向のスジムラが強調されやすい。そのため着弾液滴量制限部材を、記録媒体搬送方向と略直交する方向に、記録媒体上のドットピッチの半分以下又は微小液滴の半径以下の振幅で微振動させることにより、そのようなスジムラの視認性を低減することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置であって、前記ノズルに対応する孔部は、孔径を複数有し、前記複数の孔径から任意の孔径を選択する選択手段を備え、前記着弾液滴量制限部材は、前記選択手段により選択された孔径に応じて、前記液滴の量を制限することを特徴とする。
請求項3の態様によれば、孔部は、異なる径を有する複数の孔でも、孔径を可変させられる1つの孔でも、これらの組み合わせでもよい。ノズルから吐出された液滴は、選択手段により選択された孔径に応じた大きさの微小液滴となって記録媒体上に着弾する。これにより、記録媒体の種類等に応じて、記録媒体に着弾する微小液滴の大きさを選択的に可変とすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、前記着弾液滴量制限部材は、前記ノズルから吐出された液滴の液受け部材を兼用することを特徴とする。
請求項4の態様によれば、粘度上昇したノズル近傍インクをノズルより吐出する予備吐出等の場合、着弾液滴量制限部材の非孔部に向けて吐出する。このとき着弾液滴量制限部材は液受けとして機能するので、搬送手段の汚れを防止することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、さらに、前記着弾液滴量制限部材に付着した液滴を回収するクリーニング手段を備えたことを特徴とする。
請求項5の態様によれば、ノズルより吐出された液滴が、着弾液滴量制限部材に形成された孔部を通過する際に、着弾液滴量制限部材の表面に付着した残存インク滴をクリーニング手段によって回収することができるので、着弾液滴量制限部材の汚れを防止することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、さらに、吐出液滴が重合により硬化性を有する特徴があり、かつ、前記吐出ヘッドの吐出面と前記着弾液滴量制限部材の間に、液の重合を防止する重合阻害気体を充填する重合阻害防止手段を備えたことを特徴とする。
請求項6の態様によれば、重合阻害防止手段により、吐出ヘッドの吐出面と着弾液滴量制限部材の間に、重合阻害気体を充填することにより、ノズル近傍液体の重合を防止する。例えばUVインクを用いる場合には、重合阻害気体として酸素を充填する。このとき記録媒体上のインク滴は、充填酸素の重合阻害がないので硬化しやすい状態にあるのに対して、ノズル近傍は酸素の重合阻害によってインクの重合を防止することができる。
また、本発明は前記目的を達成するために方法発明を提供する。すなわち、本発明に係る画像形成装置の画像形成方法は、記録媒体に対して液滴を吐出するノズルを有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッド及び前記記録媒体のうち少なくとも一方を前記記録媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記吐出ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、を備えた画像形成装置の画像形成方法であって、前記ノズル位置に対応する孔部が形成された着弾液滴量制限部材を、前記吐出ヘッドの前記ノズルが形成された吐出面と前記記録媒体の間に配置して、前記ノズルから吐出され、前記記録媒体に着弾する液滴の量を制限することを特徴とする。
本発明によれば、ノズルから吐出された液滴は、着弾液滴量制限部材に形成された孔部を通過し、微小液滴となって記録媒体上に着弾する。この着弾液滴量制限部材は、吐出ヘッドの吐出面と記録媒体の間に配置されているので、ノズルから微小液滴を吐出する場合に比べて、微小液滴の飛翔距離は短い。そのため微小液滴の受ける空気抵抗は少なく、飛翔方向のズレが生じにくい。従って、微小液滴を記録媒体上の所望の位置に着弾させることができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔第1の実施形態;インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、各インク色に対応して設けられた複数の印字ヘッド12K,12M,12C,12Yと、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに供給する水溶媒インクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、印字ヘッド12Yの紙搬送方向下流側(図1中左方向)に配置された後乾燥部18と、記録媒体たる記録紙20を供給する給紙部22と、記録紙20のカールを除去するデカール処理部24と、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙20の平面性を保持しながら記録紙20を搬送する吸着ベルト搬送部26と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部28と、を備えている。
図1は本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、各インク色に対応して設けられた複数の印字ヘッド12K,12M,12C,12Yと、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに供給する水溶媒インクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、印字ヘッド12Yの紙搬送方向下流側(図1中左方向)に配置された後乾燥部18と、記録媒体たる記録紙20を供給する給紙部22と、記録紙20のカールを除去するデカール処理部24と、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙20の平面性を保持しながら記録紙20を搬送する吸着ベルト搬送部26と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部28と、を備えている。
本実施形態におけるインクジェット記録装置10は、さらに、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対応する中間プレート16K,16M,16C,16Yを備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンク14K,14M,14C,14Yを有し、各タンクは所要の管路30を介して印字ヘッド12K,12M,12C,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1において、給紙部22の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジン32が示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部22から送り出される記録紙20はマガジン32に装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部24においてマガジン32の巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム34で記録紙20に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター38が設けられており、該カッター38によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター38は、記録紙20の搬送路幅以上の長さを有する固定刃38Aと、該固定刃38Aに沿って移動する丸刃38Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃38Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃38Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター38は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙20は、吸着ベルト搬送部26へと送られる。吸着ベルト搬送部26は、ローラ41,42間に無端状のベルト43が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト43は、記録紙20の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。ローラ41,42間に掛け渡されたベルト43の内側には、不図示の吸着チャンバが設けられており、この吸着チャンバをファンで吸引して負圧にすることによって記録紙20がベルト43上に吸着保持される。
ベルト43が巻かれているローラ41,42の少なくとも一方にモータ(図1中不図示、図7中符号134として記載)の動力が伝達されることにより、ベルト43は図1上で反時計回り方向に駆動され、ベルト43上に保持された記録紙20は図1の右から左へと搬送される。
各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙20の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録紙20の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。
印字ヘッド12K,12M,12C,12Yは、記録紙20の送り方向に沿って上流側から黒(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれの印字ヘッド12K,12M,12C,12Yが記録紙20の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
各中間プレート16K,16M,16C,16Yは、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル面と、ベルト43上に保持された記録紙20との間にそれぞれ配置される。各中間プレート16K,16M,16C,16Yには、微小な制限孔(図1中不図示、図8中符号70として記載)が複数形成されている。各制限孔70は、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yの各ノズル(図1中不図示、図2中符号51として記載)から吐出されるインク滴の飛翔方向に配置されている。なお、中間プレート16K,16M,16C,16Yの構成については後述する。
吸着ベルト搬送部26により記録紙20を搬送しつつ、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yの各ノズル51からインク滴を吐出することにより、そのインク滴は各中間プレート16K,16M,16C,16Yの各制限孔70を通過して微小なインク滴となり記録紙20上に着弾する。これにより、記録紙20上に高解像度のカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12M,12C,12Yを色別に設ける構成によれば、記録紙20の紙搬送方向(副走査方向)について記録紙20を印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対して相対移動させる動作を一回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙20の全面に画像を記録することができる。このようなシングルパス方式の画像形成装置は、印字ヘッドを副走査方向の直交方向(主走査方向)に往復動作させながら描画を行うシャトルスキャン方式に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
本例では、KMCYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせは本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。また、各色の印字ヘッドの配置順序も特に限定はない。
印字ヘッド12Yの後段には、後乾燥部18が設けられている。後乾燥部18は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けた方が好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
後乾燥部18の後段には、加圧定着ローラ46が設けられている。加圧定着ローラ46は、画像表面の光沢度及び平坦度を制御するための手段であり、画像面を所定の圧力で加圧する。
こうして生成されたプリント物は排紙部28から排出される。なお、図1には示さないが、排紙部28には、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔印字ヘッドの構造〕
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K、12M、12C、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K、12M、12C、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図2(a)は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図2(b)はその一部の拡大図である。また、図3は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図であり、図4は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2中4−4線に沿う断面図)である。
記録紙20上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図2乃至図4に示したように、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)に配置させた構造を有し、これにより、印字ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
また、図2の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドユニット50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙20の全幅に対応する長さのノズル列を有するフルラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(a),(b)参照)、対角線上の両隅部にノズル51と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。
図4に示すように、圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(図4中不図示、図6中符号60として記載)と連通しており、インクタンク60から供給されるインクは図4の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成している加圧板(共通電極)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57と共通電極56に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なおアクチュエータ58には、ピエゾ素子などの圧電体が好適に用いられる。インク吐出後、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53を図5に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙20の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙20の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットからなるライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方法が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾ方式に代えて、ヒータ等の発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式等、各種方式を適用できる。
〔インク供給系の構成〕
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を代える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じて吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を代える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じて吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図6に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下とすることが好ましい。図6には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
またインクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止する手段としてのキャップ64と、ノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構により印字ヘッド50のノズル面50Aに摺動可能である。ノズル面50Aにインク滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル面50Aに摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル面50Aを清浄する。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出が行われる。
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室内)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクの印字ヘッド50への装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ58が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(アクチュエータ58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かってアクチュエータ58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル面50Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、アクチュエータ58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面50Aに、キャップ64を当てて圧力室52内の気泡が混入したインク又は増粘インクをポンプ67で吸引する動作が行われる。
ただし、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
〔制御系の説明〕
次に、インクジェット記録装置10の制御系について説明する。
次に、インクジェット記録装置10の制御系について説明する。
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース110、システムコントローラ112、画像メモリ114、モータドライバ116、ヒータドライバ118、振動制御部129、プリント制御部120、画像バッファメモリ122、ヘッドドライバ124、メディア検出部126等を備えている。
通信インターフェース110は、ホストコンピュータ130から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース110にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ130から送出された画像データは通信インターフェース110を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ114に記憶される。画像メモリ114は、通信インターフェース110を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ112を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ114は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ112は、通信インターフェース110、画像メモリ114、モータドライバ116、ヒータドライバ118、振動制御部129等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ112は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ130との間の通信制御、画像メモリ114の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ134やヒータ136や振動回路100を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ116は、システムコントローラ112からの指示に従ってモータ134を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ118は、システムコントローラ112からの指示に従って加熱ドラム34その他各部のヒータ136を駆動するドライバである。
振動制御部129は、システムコントローラ112からの指示に従って、中間プレート16を微振動させる振動回路100を制御する。
プリント制御部120は、システムコントローラ112の制御に従い、画像メモリ114内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(ドットデータ)をヘッドドライバ124に供給する制御部である。プリント制御部120において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ124を介して色別の印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのインク滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部120には画像バッファメモリ122が備えられており、プリント制御部120における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ122に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ122はプリント制御部120に付随する態様で示されているが、画像メモリ114と兼用することも可能である。また、プリント制御部120とシステムコントローラ112とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ124はプリント制御部120から与えられるドットデータに基づいて各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yの吐出駆動用アクチュエータ58を駆動する。ヘッドドライバ124には印字ヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース110を介して外部から入力され、画像メモリ114に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ114に記憶される。画像メモリ114に蓄えられた画像データは、システムコントローラ112を介してプリント制御部120に送られ、該プリント制御部120において既知のディザ法、誤差拡散法などの手法によりインク色ごとのドットデータに変換される。
こうして、プリント制御部120で生成されたドットデータに基づいて印字ヘッド12K,12M,12C,12Yが駆動制御され、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yからインクが吐出される。記録紙20の搬送速度に同期して印字ヘッド12K,12M,12C,12Yからのインク吐出を制御することにより、記録紙20上に画像が形成される。
メディア検出部126は、記録紙20の紙種やサイズを検出する手段である。例えば、給紙部22のマガジン32に付されたバーコード等の情報を読み込む手段、用紙搬送路中の適当な場所に配置されたセンサ(用紙幅検出センサ、用紙の厚みを検出するセンサ、用紙の反射率を検出するセンサなど)が用いられ、これらの適宜の組み合わせも可能である。また、これら自動検出の手段に代えて、若しくはこれと併用して、所定のユーザインターフェースからの入力によって紙種やサイズ等の情報を指定する構成も可能である。
メディア検出部126により取得された情報はシステムコントローラ112及び/又はプリント制御部120に通知され、インク吐出制御等に利用される。
〔中間プレートの構成〕
次に、中間プレート16K,16M,16C,16Yの構成について説明する。各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対応して設けられる各中間プレート16K,16M,16C,16Yの構成は共通するので、以下、これらを代表して符号16によって中間プレートを示すものとする。
次に、中間プレート16K,16M,16C,16Yの構成について説明する。各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対応して設けられる各中間プレート16K,16M,16C,16Yの構成は共通するので、以下、これらを代表して符号16によって中間プレートを示すものとする。
図8は中間プレートの構成例を示す平面図である。中間プレート16は、図2に示した印字ヘッド50と同様に、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙20の最大紙幅に対応する長さを有し、微小な複数の制限孔70を印字ヘッド50のノズル位置に対応させてマトリクス状に配置させた構造を有する。
中間プレート16は、SUS材によって構成され、厚さ30μm程度の薄板である。なお中間プレート16の材質はSUS材に限定されず、剛性をある程度有し、加工精度の良い材質であればよく、例えばポリミイド等でもよい。
図9は、中間プレート16の1つの制限孔70とノズル51との位置関係を表す説明図である。図9中、図4と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9に示すように、中間プレート16に形成される制限孔70は、印字ヘッド50のノズル51から吐出されるインク滴59aの飛翔方向に配置される。
制限孔70の孔径W1は、ノズル51のノズル径W2よりも小さく形成されている。本実施形態では、制限孔70の孔径W1はレーザ加工によって5〜10μm程度に形成されており、ノズル51のノズル径W2は直径30μm程度に形成されている。ノズル51から吐出されるインク滴59aの大きさは、ノズル51のノズル径W2によって決まり、制限孔70を通過後の微小インク滴59bの大きさは、制限孔70の孔径W1によって決まる。従って、インク滴59aは、制限孔70を通過して、インク滴59aより小さい微小インク滴59bとなって記録紙20上に着弾する。
本実施形態では、数〜十数〜数十plレベルのインク滴59aをノズル51から吐出し、中間プレート16を通過することによって、0.数pl程度の微小インク滴59bを記録紙20上に着弾させることができる。
図8のようにマトリクス状に配列された各制限孔70は、印字ヘッド50の各ノズル51(図2参照)から吐出される各インク滴59aの飛翔方向にそれぞれ配置される。各インク滴59aは、それぞれ対応する位置に配置された各制限孔70を通過し、微小インク滴59bとなって記録紙20上に着弾する。
印字ヘッド50のノズル面50Aと記録紙20との間に設けられる中間プレート70は、ノズル面50Aより記録紙20に近い方が好ましい。すなわち中間プレート70とノズル面50Aの距離をh1とし、中間プレート70と記録紙20の距離をh2とすると、中間プレート70は次式(1)を満たすように配置されていることが望ましい。
h1>h2 ・・・(1)
インク滴が微小である場合、空気抵抗の影響を受けやい。そのため中間プレート70を記録紙20に近づけ、微小インク滴59bの飛翔距離を短くすることにより、微小インク滴59bに対する空気抵抗の影響を低減させることができる。これにより微小インク滴59bの飛翔方向のバラツキ等が生じにくくなり、微小インク滴59bを記録紙20上の所望の位置に着弾させることができる。
インク滴が微小である場合、空気抵抗の影響を受けやい。そのため中間プレート70を記録紙20に近づけ、微小インク滴59bの飛翔距離を短くすることにより、微小インク滴59bに対する空気抵抗の影響を低減させることができる。これにより微小インク滴59bの飛翔方向のバラツキ等が生じにくくなり、微小インク滴59bを記録紙20上の所望の位置に着弾させることができる。
また、制限孔70の内壁面70aは撥水処理がされており、中間プレート16のノズル51側表面16aは親水処理がされている。
制限孔70の内壁面70aの撥水処理により、ノズル51から吐出されたインク滴59aが制限孔70を通過する際の抵抗を小さくすることができる。このため微小インク滴59bの飛翔速度は、撥水処理のない場合に比べて速いので、微小液滴59bは所望の方向に飛翔しやすくなる。
また、インク滴59aが制限孔70を通過する場合、残存インク滴59cが中間プレート16のノズル51側表面16aに付着する場合があるが、中間プレート16のノズル51側表面16aに対する親水処理により、残存インク滴59cはノズル51側表面16aに親水した状態となり、制限孔70に対する残存インク滴59cの進入を防止できる。これにより、残存インク滴59cを要因とした微小インク滴59bの飛翔方向のバラツキ等を防止することができる。
また中間プレート16は、振動手段76によって、インク滴59aの飛翔方向の略直交方向(図9中両矢印方向)に微振動可能である。この微振動の振幅は、記録紙20上のドットピッチの半分以下、又は中間プレート16を通過後のインク滴59bの半径以下となるように構成されている。
微振動を行う場合の中間プレート16の制限孔70を通過したインク滴59bによって形成される記録紙20上のドットは、微振動を行わない場合の中間プレート16の制限孔70を通過する場合のドットから最大で微振動の振幅分だけずれて記録される。
特にシングルパス方式の画像形成装置のように、同一ノズル51の打滴方向である副走査方向にスジムラが強調されやすい場合には、中間プレート16を副走査方向と略直交する主走査方向に微振動させることが好ましい。この場合、このようなスジムラの視認性を低減することができる。
中間プレート16のノズル側表面16aに付着した残存インク滴59cは、不図示のクリーニング部材により除去される。なお後述する第2の実施形態の中間プレート16(図13参照)のように、中間プレート16の非孔部(不図示)に対して予備吐出を行い、非孔部に付着したインク滴を上述のクリーニング部材によって除去してもよい。
本実施形態では、制限孔70の加工精度を向上させることにより、記録紙20上の着弾位置や着弾量のバラツキを低減させることができる。従来は記録紙20上の着弾位置のバラツキを低減させるため、ノズル51の加工精度を向上させる必要があったが、本実施形態では、中間プレート16をノズル面50Aと記録紙20との間に配置したことによって、ノズル51の加工精度を従来に比べ緩和することが可能となる。
〔第2の実施形態〕
図10は、本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置10の要部構成を表す概略図である。本実施形態おけるインクジェット記録装置10は、図10に示すように、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対応するように設けられた中間プレート16K,16M,16C,16Yと、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yを囲むように構成された遮蔽囲い36と、印字ヘッド12Yの紙搬送方向下流側(図10中左方向)に紫外線光源(UV光源)19と、を主に備える。
図10は、本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置10の要部構成を表す概略図である。本実施形態おけるインクジェット記録装置10は、図10に示すように、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yに対応するように設けられた中間プレート16K,16M,16C,16Yと、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yを囲むように構成された遮蔽囲い36と、印字ヘッド12Yの紙搬送方向下流側(図10中左方向)に紫外線光源(UV光源)19と、を主に備える。
また本実施形態では、紫外線硬化型インク(いわゆるUVインク)が使用される。紫外線硬化型インクは、紫外線エネルギーの付与によって硬化(重合化)する成分(モノマー、オリゴマー、又は低分子量ホモポリマー、コポリマーなどの紫外線硬化性成分)と重合開始剤とを含むインクであり、紫外線を受光すると重合を開始し、重合の進行とともに増粘し、やがて硬化する性質を有する。
印字ヘッド12K,12M,12C,12Yを囲む遮蔽囲い36は、その底面(図10中下面)の一部が中間プレート16K,16M,16C,16Yによって構成され、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル面と、中間プレート16K,16M,16C,16Yのノズル面側表面との間の空間を外気と遮断している。
また遮蔽囲い36は、酸素を供給する供給口36Aと、遮蔽囲い36内部の酸素を排出する排出口36Bと、を有し、遮蔽囲い36の内部に酸素が循環するように構成されている。
紫外線硬化型インクは、上述した性質の他に、酸素の重合阻害によって重合しにくい性質を有する。そのため印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル面側雰囲気と記録紙20側雰囲気を分離し、各印字ヘッド12K,12M,12C,12Yのノズル近傍に酸素を流すと、記録紙20上に影響を及ぼすことなく、ノズル近傍インクの重合を防止することができる。
各中間プレート16K,16M,16C,16Yは、吸着ベルト搬送部26の搬送方向と略垂直方向に、吸着ベルト搬送部26をまたぐようにして、この外側に掛け渡された無端ベルト状の構造を有する。各中間プレート16K,16M,16C,16Yは、第1の実施形態と同様のSUS材により構成されている。
印字ヘッド12Yの下流に配置されているUV光源19は、印字ヘッド12K,12M,12C,12Yと同様に記録紙20の最大紙幅に対応する長さを有し、記録紙20の搬送方向と略直交する方向に延在するように固定されている。例えば、UV光源19は、紫外線LED素子又は紫外線LD素子をライン状に配列させた構成から成る。かかる構成によれば、発光素子別に選択的に発光制御が可能であるため、点灯させる発光素子や発光光量を容易に調整でき、紫外線の照射エリアについて所望の照射範囲及び光量(強度)分布を実現できる。
UV光源19は、上流側の印字ヘッド12K,12M,12C,12Yによる着弾インク滴の硬化を促進するための紫外線を照射する。UV光源19によって紫外線照射されたインク滴は、下流側工程のハンドリングによって画像劣化が起こらない程度に硬化・定着が進んでいることが好ましい。ここでいうハンドリングとは、[1] UV光源19の下流側搬送工程におけるローラや搬送ガイド等と画像面との擦れ、[2] プリント集積部におけるプリント同士の擦れ、[3] 仕上がったプリントを実際に取り扱うときに種々の物体による擦れ、などを意味する。
なお図10中、図1と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図11は、図10のA矢視図である。図11に示すように、中間プレート16は、ローラ72、73間に巻き掛けられた無端ベルト状の構造を有し、吸着ベルト搬送部26の外周を囲むようにして設けられている。
図12は中間プレートの構成例を示す斜視図である。図12に示すように、無端ベルト状の中間プレート16は、微小な複数の制限孔70aを印字ヘッド50のノズル位置に対応させてマトリクス状に配置させた構造を上面16aに有すると共に、制限孔70aの孔径とは異なる微小な複数の制限孔70bをマトリクス状に配置させた構造を下面16bに有する。なお本発明の実施に際しては、制限孔70aと制限孔70bの孔径は同じでもよい。
図11において、中間プレート16が巻かれているローラ72、73の少なくとも一方には、不図示のモータの動力が伝達されるように構成されており、中間プレート16は、図11中矢印Aで示す時計回り方向に回動可能であると共に、図11中両矢印Bで示す方向に微振動可能である。
中間プレート16の上面16aの各制限孔70aは、各ノズル51から吐出されるインク滴59aの飛翔方向にそれぞれ配置される。中間プレート16の回動により、中間プレート16の下面16bの各制限孔70bが、印字ヘッド50のノズル面50Aとベルト43上に保持された記録紙20との間に移動すると、各制限孔70bが、各ノズル51から吐出されるインク滴59aの飛翔方向にそれぞれ配置される。
各ノズル51から吐出されたインク滴59aは、第1の実施形態と同様に、印字ヘッド50のノズル面50Aと記録紙20との間に存在する制限孔70a又は70bを通過し、微小インク滴59bとなって記録紙20上に着弾する。
印字ヘッド50と、中間プレート16の回動方向下流側(図11中矢印A方向)に設けられているローラ73との間には、ゴムなどの弾性部材で構成されるクリーニングブレード78が設けられている。クリーニングブレード78は、中間プレート16の回動により、そのノズル51側表面16aを相対的に摺動可能に配置されている。
インク滴59aが第1の制限孔70a若しくは第2の制限孔70bを通過する場合に、中間プレート16のノズル51側表面16aに付着する残存インク滴59cは、クリーニングブレード78の摺動によって、クリーニングブレード78の中間プレート16の回動方向上流側に集められる。クリーニングブレード78によって集められた残存インク滴59cは、多孔質部材80を介してポンプ82により吸引され、回収タンク84に回収される。このようにして、中間プレート16のノズル51側表面16aに付着した残存インク滴59cはローラ73の上流側でクリーニングブレード78等により除去されるため、残存インク滴59cによるローラ73の汚れを防止することができる。
図11中両矢印Bで示す方向に微振動可能な中間プレート16は、第1の実施形態と同様に、記録紙20上のドットピッチの半分以下、又は中間プレート16を通過後のインク滴59bの半径以下となるような振幅で微振動する。この微振動の方向は、印字ヘッド50の主走査方向(図11中矢印Cで示す方向)と一致するので、副走査方向のスジムラが強調されやすいシングルパス方式の画像形成装置に対するスジムラの視認性を低減することができる。
図13は、中間プレートの他の構成例を示す斜視図である。図13に示すように、中間プレート16の上面16a及び下面16bには、それぞれ制限孔部86と制限孔部88が印字ヘッド50の各ノズル51に対応してマトリクス状に配置されている。
中間プレート16の上面16aの制限孔部86は、微小な複数の第1の制限孔86aと、第1の制限孔86aとは異なる径の第2の制限孔86bと、孔の空いていない非制限孔86cと、を有する。非制限孔86cは、平坦状であっても、凹部状でもよい。
中間プレート16の下面16bの制限孔部88は、上面16aの制限孔部86と同様の構成及び形状であり、第1の制限孔88a、第2の制限孔88b及び非制限孔88cから成る。
このように本実施形態では、制限孔部86と制限孔部88を同じ構成及び形状にしているが、本発明の実施に際しては、制限孔部86と制限孔部88を異なる構成や形状にしてもよい。
図10及び図11の装置構成で、図13の中間プレート16を適用した場合、各ノズル51から吐出される各インク滴59aの飛翔方向に、中間プレート16の上面16aの第1の制限孔86aを配置すると、インク滴59aは、第1の制限孔86aを通過して、微小インク滴59bとなって記録紙20上に着弾する。
中間プレート16を図11中矢印A方向に若干量回動させ、各ノズル51から吐出されるインク滴59aの飛翔方向に、第2の制限孔86bを配置すると、第1の制限孔86aを配置した場合とは異なる径の微小インク滴59bが記録紙20上に着弾する。
このように中間プレート16を若干量回動し、各ノズル51から吐出されるインク滴59aの飛翔方向に、孔径の異なる第1の制限孔86a若しくは第2の制限孔86bを選択的に配置することによって、記録紙20上に着弾させる微小インク滴59bの大きさを記録紙20の種類等に応じて変化させることができる。
また予備吐出等を行う場合、さらに中間プレート16を図13中矢印方向に若干量回動させ、各ノズル51から吐出されるインク滴59aの飛翔方向に、図13中破線で示す各非制限孔70cを配置する。そして粘度上昇したノズル近傍インクを各ノズル51から各非制限孔70cに対して吐出する。このとき各非制限孔86cには孔が空いていないので、中間プレート16はインク受けとして機能し、吸着ベルト搬送部26の汚れを防止することができる。
予備吐出等によって中間プレート16のノズル側表面16aに付着した残存インク滴59cは、前述と同様に、中間プレート16のノズル側表面16aを相対的に摺動可能なクリーニングブレード78によって集められ、多孔質部材80を介してポンプ82によって吸引され、回収タンク84に集められる。
中間プレート16をさらに移動すると、中間プレート16の下面16bの制限孔部88を、印字ヘッド50のノズル面50Aと記録紙20の間に配置することができ、上面16aの制限孔部86と同様の作用、効果を奏することができる。
このように無端ベルト状の中間プレート16を印字ヘッド50のノズル面50Aと記録紙20の間を循環させることによって、用途に適した孔径を効率良く選択することが可能となる。
第2の実施形態では、紫外線硬化型インクを使用する例について説明したが、本発明の実施に際しては、紫外線硬化型インクに限らず、電子線、X線などによって硬化する他の放射線硬化型インクを用いることが可能であり、使用されるインクに応じてその硬化剤を活性化させる(重合を活性化させる)のに適した放射線発生源を用いた光源が設けられる。
以上、本発明に係る画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってよいのはもちろんである。
10…インクジェット記録装置、16…中間プレート、20…記録紙、36…遮蔽囲い、50…印字ヘッド、51…ノズル、70…制限孔、76…振動手段、78…クリーニングブレード、80…多孔質部材、82…ポンプ、84…回収タンク、86…制限孔部、88…制限孔部、100…振動回路、129…振動制御部
Claims (7)
- 記録媒体に対して液滴を吐出するノズルを有する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッド及び前記記録媒体のうち少なくとも一方を前記記録媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記吐出ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記ノズル位置に対応する孔部が形成された着弾液滴量制限部材を、前記吐出ヘッドの前記ノズルが形成された吐出面と前記記録媒体の間に配置し、
前記ノズルから吐出され、前記記録媒体に着弾する液滴の量を制限するようにしたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1に記載の画像形成装置であって、さらに、前記着弾液滴量制限部材を微振動させる微振動手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 前記ノズルに対応する孔部は、孔径を複数有し、
前記複数の孔径から任意の孔径を選択する選択手段を備え、
前記着弾液滴量制限部材は、前記選択手段により選択された孔径に応じて、前記液滴の量を制限することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記着弾液滴量制限部材は、前記ノズルから吐出された液滴の液受け部材を兼用することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、さらに、
前記着弾液滴量制限部材に付着した液滴を回収するクリーニング手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、さらに、
吐出液滴が重合により硬化性を有する特徴があり、かつ、前記吐出ヘッドの吐出面と前記着弾液滴量制限部材の間に、液の重合を防止する重合阻害気体を充填する重合阻害防止手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 記録媒体に対して液滴を吐出するノズルを有する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッド及び前記記録媒体のうち少なくとも一方を前記記録媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記吐出ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、を備えた画像形成装置の画像形成方法であって、
前記ノズル位置に対応する孔部が形成された着弾液滴量制限部材を、前記吐出ヘッドの前記ノズルが形成された吐出面と前記記録媒体の間に配置して、前記ノズルから吐出され、前記記録媒体に着弾する液滴の量を制限することを特徴とする画像形成方法。
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Priority Applications (1)
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