JP3781193B2 - 液滴吐出装置及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は液滴吐出装置及びインクジェット記録装置に係り、特にノズル(液滴吐出口)に連通する圧力室内の気泡排除に有効な液滴吐出装置及びこれを用いたインクジェット記録装置に関する。
液を加圧して吐出するインクジェット記録ヘッドでは、圧力室に気泡が存在すると、液を加圧しても気泡の収縮にエネルギーが使われるため、液滴が吐出しないという問題がある。かかる圧力室の気泡進入は、液の充填時に発生しやすい。そのため、気泡の残らない圧力室の設計が必要となる。
ヘッド内部に気泡を残さない、或いはヘッド内部の気泡を効果的に除去する方法として、圧力室内部を親水処理するという方法が数々提案されている(特許文献1〜4)。
特許文献1に開示されたインクジェット記録ヘッドは、ノズルプレートにクレーター部が形成され、そのクレーター部とヘッド内壁及びインク流路が親水処理されていることを特徴としている。また、その親水処理は純水(常温)での接触角が10度以下であることが好ましい旨の記載がある。
特許文献2に開示されたインクジェッド記録ヘッドは、流路を形成する蓋板が2層構造を有し、インクと接触する側の層の接触角が90度以下、インクと接触しない側の層の接触角が90度以上であることを特徴としている。
特許文献3に開示されたインクジェット記録ヘッドは、ヘッド内のインク接液部の少なくとも一部がイオン注入法で親水処理されていることを特徴としている。また、同文献によれば、オリフィスプレート(ノズルプレートと同等)が撥水性材料で形成されており、吐出口形成面の裏面が親水処理されている態様も開示されている。
特許文献4に開示されたインクジェッド記録ヘッドは、プラスチック製のヘッドであって、インク流路壁面のインクの接触角が10度以下であることを特徴としている。
特開平5−124198号公報 特開平5−318725号公報 特開平6−71885号公報 特開平8−108535号公報
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、ノズルプレートの構造が複雑で、作成に工数がかかる。
特許文献2に開示の構成では、蓋板が二層になっているため、構造が複雑である。特許文献3に開示の構成は、イオン注入法を用いるため親水処理工程に手間がかかる。
特許文献4に開示の構成は、プラスチック製のヘッドに限定されるものであり、プラスチック以外の材料(例えば、ステンレスなど)を用いて製作されるヘッドについて適用することができない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成によってヘッド内の気泡残り(特に液体充填時の圧力室の気泡残り)を防止することができる液滴吐出装置及びこれを用いたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項記載の発明は、液滴を吐出するノズルと、前記ノズルに連通し該ノズルから吐出させる液体が充填される圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力変化を生じさせて前記ノズルから液滴を吐出させる圧力発生手段と、を備えた液滴吐出装置において、前記圧力室の内壁面のうち当該内壁面を構成している互いに隣接する二つの面によって形成されるコーナ部の近傍領域を含む第1の領域に前記液体との親液性を有する親液部が設けられている一方、前記内壁面のうち前記第1の領域以外の第2の領域に前記第1の領域よりも親液性の低い低親液部が設けられていることを特徴とする。
請求項記載の発明では、圧力室の内壁面の親液性に分布を持たせ、気泡が残り易いコーナ部(端部)を相対的に親液性の高い親液部とし、他の領域は相対的に親液性の低い低親液部として、接触角を不均一にしている。このような構成により、液体充填時に気泡が残り易い圧力室のコーナ部に液を優先して流すことができ、気泡残りを効果的に抑制できる。
低親液部は、親液処理を施さないことによって実現してもよいし、親液部よりも親液性の低い処理を施すことによって実現してもよい。
請求項記載の発明は、請求項記載の液滴吐出装置に係り、前記圧力室の内壁面のうち前記ノズルに連通する流路口が形成されている面を下面、該下面と対向する面を上面、前記下面及び前記上面の間を繋ぐ面を側面とするとき、前記側面の全面を前記親液部として構成する一方、前記上面及び下面に前記低親液部を設けたことを特徴とする。
かかる態様によれば、液体充填時に気泡が残り易い場所から先に液体を充填することができ、気泡排出性が向上する。
特に、圧力室の側面のみを親液処理し、上面及び下面について非処理とする構造は、流路プレートを積層して貼り合わせる製造工程によって容易に製造可能である。
請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の液滴吐出装置をインクジェット記録ヘッドとして用い、該インクジェット記録ヘッドに対して記録媒体を相対移動させながら、前記ノズルからインク滴を吐出することにより前記記録媒体上に画像を記録することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
なお、本発明の実施に際して、記録ヘッドの形態は特に限定されず、記録媒体の送り方向と略直交する方向に記録ヘッドが往復動作しながら印字を行うシャトル方式の記録ヘッドであってもよいし、インクを吐出する複数のノズルが記録媒体の送り方向と略直交する方向に前記記録媒体の全幅に対応する長さにわたって配列されたノズル列を有するフルライン型の記録ヘッドであってもよい。
「フルライン型の記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)」は、通常、記録媒体の相対的な送り方向と直交する方向に沿って配置されるが、送り方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。また、記録ヘッドにおけるノズルの配列形態は、1列のライン状配列に限定されず、複数列からなるマトリックス配列でもよい。更には、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する短尺記録ヘッドユニットを複数個組み合わせることによって、これらユニット全体として記録媒体の全幅に対応するノズル列を構成する形態もあり得る。
「記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、インクジェット記録装置によって配線パターン等が形成されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。なお、本明細書において「印字」という用語は、文字を含む広い意味での画像を形成する概念を表すものとする。
記録媒体と記録ヘッドを相対的に移動させる移動手段(搬送手段)は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
本発明によれば、圧力室の内壁面に親液部と低親液部を設け、親液性の高い親液部の作用によってコーナ部に液を優先して流す態様により、液体充填時の気泡残りを効果的に抑制できる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色ごとに設けられた複数の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図1中不図示,図7中符号88として記載)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。詳細な構造例は後述するが(図3乃至図5)、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、図2に示したように、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の送り方向(以下、紙搬送方向という。)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K,12C,12M,12Yが配置されており、記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドが各インク色ごとに設けられてなる印字部12によれば、副走査方向について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンク(インクタンク)を有し、各インクタンクは不図示の管路を介して各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサ又はエリアセンサで構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形
状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り替える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダ別に画像を集積するソーターが設けられる。
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図3(a) は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a) 中の4−4線に沿う断面図)である。記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図3(a) 〜(c) 及び図4に示したように、インク滴が吐出するノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
すなわち、本実施形態における印字ヘッド50は、図3(a) ,(b) に示すように、インクを吐出する複数のノズル51が印字媒体送り方向と略直交する方向に印字媒体の全幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドである。
また、図3(c) に示すように、短尺の2次元に配列されたヘッド50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、印字媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(図4中不図示、図6中符号60として記載)と連通しており、インクタンク60から供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
図4に示すように、ノズル51はノズル流路56を介して圧力室52と連通されている。圧力室52の天面を構成している加圧板57には個別電極58を備えたアクチュエータ59が接合されており、個別電極58に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ59が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53を図5に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造によって本例の印字ヘッド50が実現されている。
図5に示したとおり、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
すなわち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、用紙(記録紙16)の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドでノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割してブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ59の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60はインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図6に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50を繋ぐ管路の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図6には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面の清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構により印字ヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出が行われる。
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室内)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
すなわち、印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ59が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(アクチュエータ59の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かってアクチュエータ59を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面の清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、アクチュエータ59を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面に、圧力室52内のインクをポンプ等で吸い込む吸引手段を当接させて、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引する動作が行われる。
ただし、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
なお、図6で説明したキャップ64は、吸引手段として機能するとともに、予備吐出のインク受けとしても機能し得る。
〔制御系の説明〕
次に、インクジェット記録装置10の制御系について説明する。
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示に従って後乾燥部42その他各部のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yのアクチュエータ59を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいて印字ヘッド50に対する各種補正を行う。
〔圧力室の構造〕
本実施形態に係る印字ヘッド50は圧力室52内における気泡残留を防止する条件を満たして構成される。以下、図8乃至図9の参考図を参照して圧力室の気泡残りの発生原因を考察し、気泡残留防止の条件を検討する。
図8はアクチュエータ(ピエゾ素子)側から見た圧力室92の平面図である。同図において、符号94は供給側開口、符号96はノズル流路に連通する吐出側開口を示す。供給側開口94から圧力室92内にインク98を供給すると、インク98が流入するにつれて図8(a) の状態から次第に図8(b) の状態になる。
図示のように、圧力室92の平面形状が四角形の場合、供給側開口94から圧力室92にインク98を流入させると、圧力室92内の側面102におけるインク98の接触角によって圧力室92のコーナ部104に気泡106が残る場合がある。なお、ここでは説明の便宜上、圧力室92の上面(加圧板側)と下面(ノズル板側)の接触角について無視するものとする。
圧力室92を構成している互いに隣接する二つの側面102同士が交わるコーナ部104の角度が90度の場合、図9に示したように、側面102に対するインク98の接触角が90度より大きいと、コーナ部104の頂点Aよりも先に次の側面102にインク98が接触するため、コーナ部104に気泡が残る。
一方、接触角が90度以下であれば、コーナ部104の頂点Aから先にインク98が接するため、コーナ部104に気泡は残らない。
したがって、図10に示したように、圧力室92の側面102について、インク流入時のインク98との接触角が90度以下となるようにすることが望ましい。かかる構成によれば、供給側開口94から圧力室92内にインク98を流入させたとき、インク98が入るにつれて図10(a) の状態から次第に図10(b) の状態になり、圧力室92のコーナ104に気泡が残らない。
また、図11に示した圧力室112のように、隣接する二つの側面122の作る角度が90度であって、そのコーナ部124が円弧形状に面取りされている構成についても同様であり、気泡が残らない接触角の条件は90度以下である。
図8乃至図11では、圧力室の側面について述べたが、図12及び図13に示すように、圧力室の側面132と下面136とで形成されるコーナ部144、又は側面132と上面(不図示)で形成されるコーナ部についても同様のことが言える。
図12及び図13には、圧力室の下面136に形成された供給側開口94から圧力室内にインク98が流入し始めたときの様子が示されている。すなわち、図12に示したように、側面132と下面136とで作られるコーナ部144の角度が90度の場合、インク98の接触角が90度よりも大きいとコーナ部144に気泡が残る。
これに対して、図13に示すように、接触角が90度以下の場合はコーナ部144に気泡が残留しない。
次に、圧力室の平面形状が六角形の場合を検討する。
図14(a) に示すように、略正六角形状の圧力室152において、一つの角(コーナ部)の付近に供給側開口94が形成され、その向かい合う角の付近に吐出側開口96が形成されているものとする。この圧力室152に供給側開口94からインク98が流入すると、図14(a) の状態から次第に図14(b) の状態になる。すなわち、同図のように、圧力室152の側面153のインク98との接触角が120度よりも大きいとコーナ部154に気泡が残る。
その一方、図15(a) ,(b) に示したように、接触角が120度以下であればコーナ部154に気泡は残らない。
図16に示した圧力室162のように、互いに隣接する二つの側面172の作る角度が120度であって、そのコーナ部174が円弧形状に面取りされている略正六角形状の構成についても同様であり、コーナ部174に気泡が残らない接触角の条件は120度以下である。
次に、圧力室の平面形状が他の多角形の場合を検討する。
図17(a) ,(b) に示したように、圧力室182が平行四辺形状を有し、その鋭角のコーナ部184の一方に供給側開口94が形成され、他方に吐出側開口96が形成されている場合に、供給側開口94からインク98を流入させると、図17(a) では鈍角のコーナ部188に気泡が残る。また、図17(b) については鈍角のコーナ部188に気泡が残らない。すなわち、接触角が鈍角のコーナ部188の角度以下であれば、気泡は残らない。
また、図18(a) ,(b) に示したように、圧力室192が平行四辺形状を有し、その鈍角のコーナ部194の一方に供給側開口94が形成され、他方に吐出側開口96が形成されている場合に、供給側開口94からインク98を流入させると、図18(a) では鋭角のコーナ部198に気泡が残り、図18(b) では気泡が残らない。すなわち、接触角が鋭角のコーナ部198の角度以下であれば、気泡は残らない。
以上の考察から、圧力室の内壁面を構成している面のうち互いに隣接する面同士のなす角度(圧力室の内側に形成される角度)をψとするとき、そのコーナ部に気泡が残らない条件は、接触角がψ以下ということになる。
また、アクチュエータ側(ピエゾ側)から見た圧力室の形状が多角形の場合、隣り合う側面同士で形成される角がN1 ,N2 …とある場合、その中の最小の角Nk よりも接触角が大きい場合は気泡が残る可能性があり、接触角がNk 以下の場合は気泡が残らない。
なお、図12及び図13では、圧力室の下面と側面(又は上面と側面)の関係について述べたが、この条件は他の図で説明したとおり、圧力室の側面に対して行うことが最も効果的である。
つまり、立体的な(3次元的な)圧力室の内部形状について気泡が残らないための好ましい条件は、当該圧力室の内壁面を構成している互いに隣接する二つの面のなす角度(圧力室の内側に形成される角度)のうち最小の角度Θと、接触角との関係において、接触角がその最小の角度Θ以下となることである。
図18を例に検証すれば、同図に示した圧力室192における鋭角のコーナ部198の角度は、当該圧力室192の内壁面を構成している互いに隣接する二つの面のなす角度のうち最小の角度である。同図(b) に示したとおり、接触角がこの最小の角度Θ以下であれば、圧力室192内に気泡が残らない。
したがって、図1乃至図7で説明したインクジェット記録装置10の印字ヘッド50について、上記条件を満たすように、インクの種類、圧力室形状、圧力室内面の表面処理等の関係が選択される。
また、別の方法として、液の温度をコントロールして接触角を変えることで、液の充填時には圧力室壁面に対しての接触角を上記条件を満たすような角度N(すなわち、圧力室の最小の角度Θ以下の角度)にする方法がある。
図19には水の表面張力と温度の関係が示されている。この表に示したとおり、水は温度が上昇するにつれて表面張力が下がる(詳細は『理科年表』国立天文台編等を参照)。表面張力が減少するにつれて接触角も減少するため、例えば、水のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に対する接触角は図20のようになる。
一般に、液体は温度が上昇するにつれて表面張力が減少し、これに伴い接触角も減少する。本実施形態のインクジェット記録装置10に用いられる水溶性のインクについても同様の性質(温度上昇に対して表面張力が低下し、接触角が減少する)を有している。そのため、インクや流路(インクの接触壁)の温度をコントロールすることで接触角を制御できる。ただし、接触角の変化の程度は、液体の性質、接する壁面の材質等により異なるため、条件に応じた設計が必要である。
インク充填時に加熱し、上記の条件を満たすような接触角を実現することにより、圧力室内に気泡が残ることなくインクを充填することができる。
図21乃至図24は、温度調節のための加熱手段の設置例を示したものである。
図21に示した例では、圧力室52の供給インクタンク60にヒータ200が取り付けられている。また、該インクタンク60には、温度を検出する手段としての温度センサ202が設けられている。該温度センサ202によってインクの温度を管理しながら、ヒータ200の駆動制御が行われる。
図22に示した例では、インクタンク60と印字ヘッド50を繋ぐ液管路204の途中にヒータ206が取り付けられている。温度センサ208はヒータ206から供給側開口94までの液管路204の適当な位置に設置される。
図23に示した例では、印字ヘッド50の内部にヒータ210が配設されている。同図によれば、供給側開口94の付近にヒータ210と温度センサ212とが取り付けられており、圧力室52に入る直前のインクが加熱される構成になっている。
また、図24に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50の全体を包囲するようにヒータ214を配置し、インク充填時にインクタンク60と印字ヘッド50の全体を加熱する態様も可能である。この場合も、ヒータ214が包囲する領域内の適当な位置に温度センサ216が設置される。
図21乃至図24で説明した態様の何れか1つの態様でもよいが、これらのうちの複数の態様を適宜組み合わせる方が温度変化が少なくてより好ましい。
〔圧力室内の親液処理の分布〕
既述のとおり、インク充填時における圧力室内の気泡残りを抑止するような接液の進行を実現するには、圧力室の形状(主としてコーナ部の角度)に応じた所要の接触角を実現するように設計が行われる。
この場合、圧力室の壁面(天井面(上面)、側面、床面(下面))の液に対する接触角が不均一になるように、壁面について親液処理のパターニングを行うことにより、気泡が残り易いコーナ部に対してインクを優先して流す態様がある。例えば、インクを充填するときに気泡が残り易い圧力室内の側面近傍のみを親液処理する態様がある。
以下、親液処理のパターニングの具体例を述べる。
図25に示したように、圧力室52の側面222全体(全周)のみを親液処理し、上面及び下面については親液処理を施さないものとする。なお、親液性を与える表面処理としては、例えば、酸処理、アルカリ処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、染料吸着層形成、メッキ処理、酸化物処理等を使用できる。なお、親液処理の一方法として、表面を荒らす(表面に微細な凹凸を形成して粗面とする)態様も含まれる。インクの種類や圧力室形状等を考慮して適宜の処理が選択される。
かかる構成によれば、供給側開口94から流入したインクは側面222を伝わって吐出側開口96へと流れるため(図26参照)、コーナ部224の気泡残りが抑制される。
図27は、圧力室52の側面222のみを親液処理した場合の液の流れ方を示した模式図である。供給側開口94からインク98を流入させると、図27(a) のように側面222の親液性によって側面222との接液が先行して進行する。更にインク98の流入が進むと、図27(b) のように、コーナ部224にインク98が回り、側面222に沿って徐々にインク98が入っていく。やがて、図27(c) のように、同図上で時計回り方向に側面222に沿って進んだインク98と、反時計回り方向に側面222に沿って進んだインク98が、吐出側開口96の頂点で繋がる。このときにできる気泡226は吐出側開口96から排出されるため、圧力室52内に気泡残りは発生しない。
このように、圧力室52の下面228及び上面(不図示)に対して側面222の親液性を相対的に高めておくことにより、側面222に沿った接液進行を先行させることができ、インク充填時の気泡残りを防止できる。
親液処理の分布パターンは図25で例示した態様に限定されない。図28乃至図32に他の親液処理のパターン例を示す。
図28に示すように、圧力室52の側面222のうち上面(不図示)と接する上側の一部領域232(全周)と、下面228と接する下側の一部領域(全周)233について親液処理を施す態様がある。
また、図29に示すように、互いに隣接する側面222同士で形成されるコーナ部224の近傍の一部領域236のみについて親液処理を施す態様がある。
更に、図28と図29の態様を組み合わせて、図30のように、側面222の上側の一部領域232及び下側の一部領域233並びに各コーナ部224の近傍の一部領域236に親液処理を施す態様も好ましい。
同様に、圧力室52の上面若しくは下面、又はその両方について、図31のように側面222と接する周囲の一部領域240に親液処理を施す態様が好ましい。
圧力室52の上面若しくは下面、又はその両方に形成する親液処理のパターンは、図31の例に限定されず、例えば、図32(a) 〜(c) に示すような各種パターンが可能である。使用されるインクの接触角に応じて効果的なパターニングが選択される。
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、短尺の記録ヘッドを往復移動させながら画像記録を行うシャトルヘッドを用いるインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
また、上述の説明では、画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、印画紙に非接触で現像液を塗布する写真画像形成装置についても本発明を適用できる。すなわち、インクに限らず、処理液や機能液その他の液体を媒体に塗布する液滴吐出工程が含まれる他の画像形成装置について本発明を広く適用できる。
また、本発明の適用範囲は画像形成装置に限定されず、液滴吐出ヘッドを用いて処理液その他の液体を媒体に塗布する塗布装置など各種の液体吐出装置について適用することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 印字ヘッドの構造例を示す平面透視図 図3(a) の要部拡大図 印字ヘッドの他の構造例を示す平面透視図 図3(a) 中の4−4線に沿う断面図 図3(a) に示した印字ヘッドのノズル配列を示す拡大図 本実施形態に係るインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概要図 本例のインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図 圧力室に気泡が残る原因を検討するために用いた参考図 圧力室壁面のインクとの接触角と圧力室コーナ部の角度との関係を示した説明図 圧力室に気泡が残らない条件でインクを充填したときの様子を示す平面図 コーナ部が円弧形状に面取りされている圧力室の形状例を示した平面図 気泡が残る条件でインクを充填した場合における圧力室の供給側開口近傍の拡大断面図 気泡が残らない条件でインクを充填した場合における圧力室の供給側開口近傍の拡大断面図 圧力室の平面形状が六角形の場合において気泡残りが生じる条件でインクを充填したときの様子を示す平面図 圧力室の平面形状が六角形の場合において気泡が残らない条件でインクを充填したときの様子を示す平面図 コーナ部が円弧形状に面取りされている圧力室の形状例を示した平面図圧力室と流路の配置関係を示す図4の要部拡大図 圧力室の他の形状例を示す平面図 圧力室の他の形状例を示す平面図 水の表面張力を示した図表 水のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に対する接触角を示す図表 温度調節を行う場合における加熱手段の設置例を示す概要図 温度調節を行う場合における加熱手段の他の設置例を示す概要図 温度調節を行う場合における加熱手段の他の設置例を示す概要図 温度調節を行う場合における加熱手段の他の設置例を示す概要図 圧力室の側面を親液処理した例を示す斜視図 図25に示した圧力室におけるインク充填時のインクの流れを示した平面図 図25に示した圧力室におけるインク充填時のインクの流れ方を示した平面模式図 圧力室の側面のコーナ部を親液処理する場合の例を示した斜視図 圧力室の側面のコーナ部を親液処理する場合の他の例を示した斜視図 圧力室の側面のコーナ部を親液処理する場合の他の例を示した斜視図 圧力室の上面(若しくは下面)の一部に親液処理を施す場合における親液処理パターンの一例を示した平面図 圧力室の上面(若しくは下面)の一部に親液処理を施す場合における親液処理パターンの他の例を示した平面図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12K,12C,12M,12Y…印字ヘッド、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、50…印字ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、54…供給口、56…ノズル流路、59…アクチュエータ、60…インクタンク、72…システムコントローラ、78…ヒータドライバ、89…ヒータ、92…圧力室、94…供給側開口、96…吐出側開口、98…インク、102…側面、104…コーナ部、132…側面、136…下面、144…コーナ部、152,162,182,192…圧力室、200,206,210,214…ヒータ、202,208,212,216…温度センサ

Claims (3)

  1. 液滴を吐出するノズルと、前記ノズルに連通し該ノズルから吐出させる液体が充填される圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力変化を生じさせて前記ノズルから液滴を吐出させる圧力発生手段と、を備えた液滴吐出装置において、
    前記圧力室の内壁面のうち当該内壁面を構成している互いに隣接する二つの面によって形成されるコーナ部の近傍領域を含む第1の領域に前記液体との親液性を有する親液部が設けられている一方、前記内壁面のうち前記第1の領域以外の第2の領域に前記第1の領域よりも親液性の低い低親液部が設けられていることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記圧力室の内壁面のうち前記ノズルに連通する流路口が形成されている面を下面、該下面と対向する面を上面、前記下面及び前記上面の間を繋ぐ面を側面とするとき、前記側面の全面を前記親液部として構成する一方、前記上面及び下面に前記低親液部を設けたことを特徴とする請求項記載の液滴吐出装置。
  3. 請求項1又は2記載の液滴吐出装置をインクジェット記録ヘッドとして用い、該インクジェット記録ヘッドに対して記録媒体を相対移動させながら、前記ノズルからインク滴を吐出することにより前記記録媒体上に画像を記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
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