以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔吐出曲がりの現象とその回復の原理の説明〕
はじめに、吐出曲がりの現象とその回復の原理について説明する。
図1(a−1)は正常なノズルのメニスカス(非吐出時)を示しており、(a−2)は正常吐出時の様子を示している。符号10はノズルプレート、11はノズル穴、13はインクのメニスカス(界面)を示す。
図1(b−1)は、ノズルプレート10におけるノズル穴11の縁近傍に異物15が付着している場合であり、(b−2)は異物付着時の吐出の様子を示している。
図1(b−2)に示すように、ノズルプレート10のノズル穴11の近傍に異物が付着している場合、この異物によって吐出時のメニスカスが非対称となり、これにより吐出曲がりが発生する。
このようなメニスカス異常の原因として、以下の要因が考えられる。
(1)インク成分(顔料・染料・高分子粒子・溶解高分子成分・界面活性成分・不純物粒子・不純物オイル等)のノズル吸着
(2)吐出時のメニスカス隆起領域でのインク乾燥により、ノズルでのインク増粘物・インク成分(同上)析出
(3)空気中の浮遊粒子付着
(4)インクミスト付着
(5)吐出不良による飛散インクの付着
画像記録時における通常の吐出動作では、吐出時のメニスカス13の縁部(ノズル穴11)とノズルプレート10との成す角(図1(a−2)に示すように、ノズル穴11の縁から盛り上がる液界面の接線と、ノズルプレート10のノズル面10Aの成す角度の最大値θaは、比較的小さく(例えば、θa=43°)、吐出時に異物を除去することはできない。
これに対し、本発明の実施形態による空打ち動作では、図2に示すように、通常の吐出
動作(図1)よりもメニスカス13を大きく振動させる。すなわち、図2(a−1)、(a−2)に示すとおり、空打ち吐出時のメニスカス13の縁部とノズルプレート10のノズル面10Aの成す角の最大値(図2(a−2)における角度θb)を大きくすることにより(例えば、θb=50°とする)、ノズルプレート10に近い異物を吐出時に液内に取り込んで除去する。これにより、その後の吐出は正常な(曲がりのない)吐出となる。
〔ノズル内のメニスカス縁部とノズル面との成す角を増加させる方法の例〕
ここで、空打ち時におけるメニスカス縁部とノズル面との成す角(以下、「メニスカスとノズルプレートとの成す角」と表記する場合がある)を大きくするための具体的な手段の例について説明する。当該角度を増大させることは、すなわちノズルからのメニスカスの膨出量を大きくすること、メニスカス振動の振幅を大きくすることによって実現される。
(例1:加圧しながらの吐出)
図3は、第1例の模式図である。図3に示すように、ヘッド内圧を加圧しながらノズルの駆動(空打ち吐出用駆動波形の印加)を行う態様がある。例えば、通常の画像記録時におけるヘッド背圧よりも+ΔP(〜30kPa程度)の加圧を行い、各ノズルの吐出駆動を行う駆動波形としては、通常の画像記録時と同等の波形(電圧)を印加する。ヘッド内圧(背圧)を制御する手段として、例えば、インクタンクからヘッドにインクを供給する供給路中にポンプ(図18の符号163参照)を設け、このポンプにより加圧を制御する態様がある。
こうして、空打ち中にヘッド背圧を全体的にアップさせることにより、吐出駆動波形を変更しなくても吐出駆動時におけるメニスカスとノズルプレートとの成す角は大きくなる。
(例2:吐出駆動波形の振幅増加)
第2例は、吐出電圧を増加させる方法である。図4は、第2例における駆動波形の説明図である。図4に示すように、通常の画像記録時における駆動波形(破線)よりも振幅の大きな駆動波形(実線)を用いて空打ちを行うことで、吐出におけるメニスカスとノズルプレートの成す角を大きくすることが可能である。なお、適切な波形振幅の増加分(ΔV1)については、液物性に応じて決定される。これにより、図5のように、ノズル穴11の近くに付着していた異物15を吐出時に液内に取り込んで除去することができる。
(例3:角度増加用波形の印加)
図6は、第3例による駆動波形の説明図である。図6に示すように、吐出駆動用の波形(第1パルス)21に続けて、僅かな時間差tで角度増加用の波形(第2パルス)22を印加する方法もある。第1パルス21によるメニスカスの振動に連動するように、第2パルス22を印加することにより、メニスカス振動を増幅させ、より大きくする(ノズルプレートとメニスカスの成す角を大きくする)ことができる。
第1パルス21、第2パルス22の立ち上がり、立ち下がりのタイミングの最適化については適宜調整される。第1パルス21と第2パルス22の時間差tは2μsec内であることが望ましい。また、角度増加用の波形(第2パルス22)は、吐出駆動用の波形(第1パルス21)とは逆極性の電圧であることが望ましく、その電圧(片振幅)の絶対値(ΔV2)は、第1パルス21の電圧の絶対値よりも小さい値であることが好ましい。
(例4:複数液滴の連続吐出)
図7は、第4例による駆動波形の説明図である。図7に示すように、吐出駆動用の同じ波形(パルス)24を2回、またはそれ以上続けて印加する方法もある。この場合、ヘッド共振周期以下の周期で2回以上の吐出波形印加を行うことが望ましい。ヘッド共振周期は、ヘッド構造とインク種によって決まるインク内の圧力伝播周期であり、一般的なインクジェットプリンターに用いられるヘッドの場合、周波数で100kHz〜300kHz程度である。吐出周波数は、ある吐出波形と次の吐出波形の周波数であり、例えば、1〜100kHzである。
このように、吐出波形をヘッド共振周期以下の周期で2回以上印加し、1回目の波形印加によるメニスカス振動に連動させて2回目以降の印加を行うことにより(1回目の波形によるメニスカス振動が残っているときに、2回目の振動を付加することにより)、メニスカス振動を増大させることができる(図8参照)。すなわち、図8のように、1回目の吐出波形の印加によって液滴が吐出されたときのメニスカスの残存振動と、2回目の吐出波形による振動を共振させることにより、メニスカスの膨らみを大きくすることができる。吐出波形のパルス幅、パルス間隔、パルス数を調整することにより、メニスカス振動の振幅(ノズルプレートとメニスカスの成す角)を調整できる。
(例5:連続吐出の後続液滴を最初の液滴に追いつかせる)
第5例は、第4例に類似して、連続吐出を行うものであるが、更に、1滴目の液滴に2滴目の液滴を追いつかせることで、メニスカスが液滴に引き寄せられるような状況を作り出して吐出液滴を合一させる。
具体的には、図9のように、吐出波形をヘッド共振周期T以下の周期で2回以上印加し、第1の波形(第1パルス)31による吐出速度よりも第2の波形(第2パルス)32による吐出速度を速くする。
第2の波形による吐出速度を速くする方法としては、(1)図示のように、第1の波形31より、第2の波形32の電圧差(ΔV3)を大きくする。或いは、(2)第1の波形31と第2の波形32の周期を調整し、第1の波形31による残存振動と第2の波形32による振動を共振させる。
このような駆動方法を用いて、最初の吐出波形による吐出液滴速度より後続の吐出波形による吐出液滴速度を速くすることで、最初の吐出液滴の曳糸(液柱)が切断する前に、後続の吐出液滴を最初の吐出液滴に合一させる(図10参照)。こうして、メニスカス縁部の高さ(ノズルプレートとメニスカスの成す角)を増大させ、異物15を液内に取り込み、除去する。
上述した第1例〜第5例の方法のうち、第5例の方法が最も効果的で好ましい。なお、第1例〜第5例の各方法を組み合わせる態様も可能である。
〔空打ち液滴に対する処理〕
空打ちの液滴は、画像形成時に比べて吐出量が多く、記録媒体上で空打ちを実施すると、画像形成後に裏写り等の原因となるため、空打ち液滴に対して、凝集、エネルギー線硬化、乾燥、加熱、定着、吸収(除去)のうち、いずれか、またはこれらの適宜の組み合わせで処理を行うことが望ましい。
凝集処理には、例えば、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応を利用できる。
エネルギー線硬化処理には、光硬化、電子線硬化、放射線硬化などが含まれ、紫外線や電子線照射を行う形態を利用できる。なお、この場合、インク(液状機能性材料)も活性エネルギー線硬化型である必要がある。
乾燥処理には、例えば、温風乾燥を利用できる。
加熱処理には、赤外線やマイクロウェーブ・温風や発熱体接触などを利用できる。
定着処理には、過熱ローラを用いて定着する形態を利用できる。
吸収(除去)処理には、吸気や多孔質材料による吸収などを利用できる。
〔実施例〕
液体吐出ヘッドとして、ピエゾオンデマンドインクジェットヘッド(ノズル数:2000、ノズル径:16μm、最小液滴量=1.9pl)を用い、吐出するインク(液状機能性材料)として、水性インクと紫外線硬化型インク(UVインク)について下記の実験を行った。
空打ち時の駆動方法として図9、図10で説明した第5例の方法を用い、第2パルスの電圧を変化させることで、角度を調整した。
曲がり測定方法は、ヘッド全ノズルから24kHzで1時間連続吐出後の曲がり発生ノズル(着弾位置ずれ5μm以上)数を数え、曲がり0本…◎、3本以下…○、〜10本…△、10本以上…×、として評価した。
角度測定法は、島津製作所社製の高速度ビデオカメラHPV-1で、10°の仰角でメニスカスの振動を観察し(倍率:1500倍、時間分解能:4μsec)、撮影した静止画からメニスカスとノズルプレートとの成す角の最大値を算出した。
(実験1)各インクでの最小ドット形成時及び空打ち時のノズルプレートとメニスカスの成す角の差と曲がり発生ノズル数の評価結果を図11の表に示す。
同図の表に示したとおり、吐出液の粘度・表面張力が変わっても傾向は同様である。最小ドット形成時のノズルプレートとメニスカスの成す角に対して、空打ち時のノズルプレートとメニスカスの成す角の差が3度以上であることが望ましく、6度以上であることがより好ましく、10度以上であることが最も望ましい。
(実験2)第1例〜第5例の各方法について、最小ドット形成時及び空打ち時のノズルプレートとメニスカスの成す角の差と曲がり発生ノズル数の評価結果を図12の表に示す。なお、この実験2では、インクとして実験1と同じ「水性インク」を用いた。図12中、第1例〜第5例の方法をそれぞれ[1]〜[5]と表記した。
図12の表に示したとおり、方法([1]〜[5])が変わっても傾向は同様である。液の粘度・表面張力が変わっても傾向は同様である。最小ドット形成時のノズルプレートとメニスカスの成す角に対して、空打ち時のノズルプレートとメニスカスの成す角の差が3度以上であることが望ましく、6度以上であることがより好ましく、10度以上であることが最も望ましい。
なお、ノズル径やノズル形状等を変更して同様の実験を実施したところ、上記の傾向はノズル径7〜100μm、ノズル形状、ノズル対称性によらず、同様であった。
〔インクジェット記録装置の構成例1〕
次に、上述したノズル回復(空打ち)の機能を備えたインクジェット記録装置の例について説明する。
図13は、本発明に係る画像記録装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124(「検出手段」に相当)と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図13では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図13のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図13に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって記録紙116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図194中符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図13上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図13の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図14参照)。
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる(このような記録方式をシングルパス方式という。)。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル(シリアル)スキャン型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図13に示した印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置誤差などの吐出特性をチェックする手段として機能する。各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図13には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッ
ドを示すものとする。
図14(a) はヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図14(b) はその一部の拡大図である。また、図15はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図、図16は記録素子単位となる1チャネル分の液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図14中のA−A線に沿う断面図)である。
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図14に示したように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙116の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録紙116の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図14(a) の構成に代えて、図15に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており(図14(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図16に示したように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
圧力室152の一部の面(図16において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、圧力室152に圧力を付与する圧力発生手段(加圧手段)として機能するアクチュエータ158には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
上述した構造を有するインク室ユニット153を図17に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度ψを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度ψの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPNはd× cosψとなり、主走査方向については、実質的に各ノズル51が一定のピッチPNで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図17に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151-11 、151-12 、151-13、151-14 、151-15 、151-16を1つのブロックとし(他にはノズル151-21 、…、151-26を1つのブロック、ノズル151-31 、…、151-36を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151-11 、151-12 、…、151-16を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ158の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
〔インク供給系の構成〕
図18はインクジェット記録装置110におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク160はヘッド150にインクを供給する基タンクであり、図13で説明したインク貯蔵/装填部114に設置される。すなわち、図18のインクタンク160は、図13のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。インクタンク160の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図18に示したように、インクタンク160とヘッド150の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ162が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下とすることが好ましい。図18には示さないが、ヘッド150の近傍又はヘッド150と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
更に、既述した「第1例」の方法を実施する装置では、ヘッド150の内圧を制御するためのポンプ163が設けられている。このポンプ163によって空打ち時に加圧を行う。
また、インクジェット記録装置110には、ノズル151の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ164と、ノズル面150Aの清掃手段としてのクリーニングブレード166とが設けられている。これらキャップ164及びクリーニングブレード166を含むメンテナンスユニット(回復手段)は、不図示の移動機構によってヘッド150に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド150下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ164は、図示せぬ昇降機構によってヘッド150に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ164を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド150に密着させることにより、ノズル面150Aをキャップ164で覆う。
クリーニングブレード166は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド150のノズル面150A(ノズルプレート表面)に摺動可能である。ノズルプレート表面にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード166をノズルプレートに摺動させることでノズル面を拭き取る。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ164(インク受けとして兼用)に向かって予備吐出(空打ち)が行われる。
ヘッド150は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ158が動作してもノズル151からインクを吐出できなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(アクチュエータ158の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、アクチュエータ158を動作させ、粘度上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出(空打ち)」が行われる。
本例では、画像形成中或いは連続印刷中には、記録紙116上において、本発明による空打ちを行い、待機時等にはキャップ164に向けて空打ちを行う。また、画像間で空打ちを行う場合など、記録紙116と記録紙116との間のベルト133上に空打ちを行っても良い。
また、ノズル面150Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード166等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル151内に異物が混入するのを防止するためにも空打ちが行われる。
その一方で、ノズル151や圧力室152に気泡が混入したり、ノズル151内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記空打ちではインクを吐出できなくなる。このような場合、ヘッド150のノズル面150Aに吸引手段たるキャップ164を当接させて、吸引ポンプ167で圧力室152内のインク(気泡が混入したインク又は増粘インク)を吸引する。かかる吸引動作によって吸引除去されたインクは回収タンク168へ送られる。回収タンク168に集められたインクは、再利用してもよいし、再利用不能な場合は廃棄してもよい。
上記の吸引動作は、圧力室152内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きいため、粘度上昇が少ない場合はなるべく空打ちによる回復を行うことが好ましい。なお、上記の吸引動作は、ヘッド150へのインク初期装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われる。
〔制御系の説明〕
図19は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力手段)である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(画像形成用の吐出波形、空打ち用の吐出波形のデータを含む)などが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。本例のROM175は書換可能なEEPROMで構成され、各色ヘッドのヘッド別の稼動履歴情報やノズルごとの吐出履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段として兼用される。
画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(元画像のデータ) から印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。
本例のプリント制御部180は、ROM175に記憶されている画像形成用の吐出波形と空打ち用の吐出波形、及び描画用の画像データとを組み合わせて、各ヘッドの駆動制御信号を生成する。例えば、描画すべき画像の画像形成波形データにおける画像間の余白部分に空打ちのデータを挿入する。或いは、形成画像に影響を与えないような一定の規則で、描画すべき画像の画像形成波形データの中に、空打ちのデータを分散させて挿入する。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図18において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ174に記憶される。
インクジェット記録装置110では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180において閾値マトリクスや誤差拡散などを用いたハーフトーン化処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられる印字データ(すなわち、画像バッファメモリ182に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド150の各ノズル151に対応するアクチュエータ158を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、該当するノズル151からインクが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
印字検出部124は、図13で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180及びシステムコントローラ172に提供する。
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124から得られる情報に基づいてヘッド150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて空打ちや吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
例えば、印字検出部124により、ヘッド150の吐出不良が検出されたときに、空打ちの吐出を自動で行うように制御する。或いはまた、印字検出部124により、ヘッド150の吐出不良が検出されたときに、当該吐出不良が検出されたヘッド(112C、112M、112Y、112K)、又は、そのヘッドにおける吐出不良のあるノズル列、若しくは、吐出不良のノズルのみについて、空打ちの吐出を自動で行うように制御する態様も可能である。
上述した本発明の実施形態によれば、連続印刷中の吐出曲がりの原因となるノズル汚れを空打ちで回復することができ、印刷を止めずに回復できる。
上記実施形態では、記録紙116などの記録媒体に直接インク滴を打滴して画像を形成する方式(直接記録方式)のインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。
〔インクジェット記録装置の構成例2〕
図20はインクジェット記録装置の他の構成例を示す要部構成図である。図20に示すインクジェット記録装置210の形態は、直接記録媒体に画像形成を行うのではなく、一旦、中間転写体212上に画像(一次画像)を形成し、その画像を転写部214において記録紙116に対して転写することで最終的な画像形成を行う画像形成装置である。図20中、図13と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図20に示すインクジェット記録装置210においては、中間転写体212として無端状のベルト部材が用いられている。中間転写体212は、非浸透媒体(例えば、ポリイミドフィルム、ウレタンゴム、シリコンゴムなど)で構成される。中間転写体212の表面側(インクが付与される側)の層のみが非浸透媒体で構成されていてもよい。
図21において、中間転写体212は、3つのローラ216、218、220の外側に巻き掛けられた構造となっている。第1ローラ216は駆動モータ(不図示)の動力が伝達される駆動ローラであり、他のローラ(第2ローラ218及び第3ローラ220)は中間転写体12の移動に応じて回転を行う従動ローラである。駆動モータの駆動により第1ローラ216が回転すると、その回転に応じて中間転写体212は図20において反時計回りの方向(以下、「転写体回転方向」という。)に回転する。
第1ローラ216及び第2ローラ218間における中間転写体212の表面(外周面)に対向する位置には、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色に対応した複数のヘッド112K、112C、112M、112Yが転写体回転方向上流側から順番に配置される。また、これら色インク用のヘッド群の上流側には、インク色材の凝集又は硬化を促進するための処理液(インクの流動性を低下させる「液状材料」に相当)を吐出するための処理液用吐出ヘッド211(「処理材吐出ヘッド」に相当)が配置される。
この処理液用吐出ヘッド211もインク用のヘッド112K、112C、112M、112Yと同様の構成から成るフルライン型のラインヘッドであり、ヘッド(112K、112C、112M、112Y、211)を中間転写体212の幅方向に移動させることなく、転写体回転方向に中間転写体212とヘッド(112K、112C、112M、112Y、211)を相対的に移動させる動作を1回行うだけで中間転写体212の全面に画像を記録でき、記録速度を向上させることができる。
処理液は、描画すべき画像内容に応じて必要量が制御されて打滴される。空打ちによる打滴位置に限定して処理液を付与してもよい。
中間転写体212を挟んで各ヘッド(112K、112C、112M、112Y、211)に対向する位置には、中間転写体212の支持部材としてプラテン224が配置される。プラテン224によって中間転写体212の表面のうち少なくとも各ヘッド(112K、112C、112M、112Y、211)に対向する位置の平面性が保たれた状態で、各ヘッドから吐出が行われる。
イエローのヘッド112Yより転写体回転方向下流側には、溶媒除去ローラ250が中間転写体212の表面に接触するように配置される。この溶媒除去ローラ250は、中間転写体212上に付与されたインクの溶媒に接触することによって余剰溶媒を回収する溶媒除去手段である。当該溶媒除去ローラ250は、例えば、多孔質部材により構成され、中間転写体212上から液を吸収除去する。
本例の溶媒除去ローラ250は、中間転写体212上に空打ちされた液滴を除去する吸引手段として兼用される。多孔質部材の毛細管力による吸い込みに限らず、ポンプ等を利用した吸気による吸収除去を行う吸引機構を採用しても良い。
なお、図示の例では、インク用のヘッド群の最下流側に1つの溶媒除去ローラ250が設けられているが、各色ヘッド(112K、112C、112M、112Y)の下流側にそれぞれ溶媒除去ローラ250を配置する態様もある。本態様は、各ヘッドから付与されるインクの溶媒量が多い場合に特に好適であり、余剰溶媒を確実に回収することができる。
溶媒除去ローラ250より転写体回転方向下流側には、中間転写体212から記録紙116に対して画像の転写が行われる転写部214が配置される。転写部214には中間転写体212を挟んで第3ローラ220に対向する位置にニップローラ228が設けられ、記録紙116の裏面側(記録面とは反対側)からニップローラ228により所定のニップ圧が加えられる。
こうして、転写部214を通して記録紙116上に画像(二次画像)が転写形成され、生成されたプリント物(画像が形成された記録紙116)は、不図示のプリント排出部から排出される。
図20に例示したように、中間転写方式のインクジェット記録装置についても本発明を適用することができる。この場合、本発明による空打ちの吐出は中間転写体212上に行われる。
〔変形例1〕
図20の実施形態では、処理液を先に打滴し、その後、インクを打滴する構成を説明したが、処理液とインクの打滴順は本例に限定されず、先にインクを打滴し、その後に処理液を打滴する態様でもよく、或いは処理液とインクを同時に媒体上に付着させる態様などもあり得る。
〔変形例2〕
図20では、インク用のヘッド群の最上流に1つの処理液用吐出ヘッド211のみを配置した構成であるが、各色のヘッド112K,112M,112C,112Yの上流側(又は下流側)にそれぞれ処理液用の吐出ヘッドを配置する構成も可能である。かかる構成により、インクの色ごとに適切な処理液量の付与が可能である。
〔変形例3〕
図20ではインクジェット方式の吐出ヘッド(211)によって処理液を付与しているが、吐出ヘッドに代えて、グラビアローラ等の塗布ローラに代表される塗布手段(図示せず)によって処理液を付与する態様も可能である。
〔変形例4〕
図20の溶媒除去ローラ250に代えて、又はこれと組み合わせて、図示せぬ加熱手段及び/又は乾燥手段を設ける態様も可能である。
加熱手段、乾燥手段としては、赤外線、マイクロウェーブ、温風を発生させる装置(手段)や、発熱体を接触させる態様などを適用できる。
これらの加熱手段、乾燥手段は、中間転写体212上に空打ちされた液滴を乾燥させる手段として兼用される。
〔インクジェット記録装置の構成例3〕
図21はインクジェット記録装置の他の構成例を示す要部構成図である。図21中、図20と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。図21に示すインクジェット記録装置260は、紫外線硬化型インク(いわゆるUVインク)を用いる中間転写方式のインクジェット記録装置である。
このインクジェット記録装置260は、ヘッド群の後段に、紫外線光源262が配置されている。この紫外線光源262は、中間転写体212上に付着したインクに紫外線を照射してインクを硬化させるための手段として機能する。
各ヘッド112K,112M,112C,112Yから吐出されたインクが中間転写体212上に付着することによって、中間転写体212上に一次画像が形成される。この一次画像は、中間転写体212の移動とともに、紫外線光源262から紫外線の照射を受ける。
中間転写体212上のインクは紫外線によって重合硬化し、インク硬化物の状態で中間転写体212上に駆り固定される。
紫外線の照射量(エネルギー密度と照射時間)は、インクを硬化させるために必要なエネルギーを付与する観点から制御される。
紫外線光源262は、例えば、中間転写体212の幅方向に沿って複数の紫外線LED素子がライン状に並べられて配置され、これら紫外線LED素子列の下方に集光用のシリンドリカルレンズ、若しくはマイクロレンズアレイが配置された構造を有する。LEDに代えて、LD(レーザダイオード)を用いる構成も可能である。
紫外線LED素子群から発せられる光は、シリンドリカルレンズの作用によって紙送り方向に略直交する方向に沿って線状に集光され、中間転写体212上に照射される。シリンドリカルレンズに代えて、これと同様の集光パワーをもつ、光屈折面形状の非球面を1面以上有するレンズ群を用いることも可能である。
紫外線LED素子群を選択的に発光させたり、各素子の発光量を制御することより、紫外線の照射エリアについて所望の照射範囲及び光量(強度)分布を実現することができる。
インク打滴範囲及びインク量に応じて紫外線LED素子の発光位置及び発光量を適切に制御して必要最小限の発光を行うことにより、ヘッドへの悪影響(ノズル内インクの硬化など)を極力抑制する。
本例の紫外線光源262は、中間転写体212上に空打ちされた液滴を硬化させるエネルギー線照射手段として兼用される。
〔変形例5〕
なお、エネルギー線には、可視光や紫外線、X線を含む電磁波、電子線などが含まれ、エネルギー線硬化型インクの代表的な例としては、上記の紫外線硬化型インクの他、電子線硬化型インク(いわゆるEBインク)がある。
EBインクを用いる場合には、紫外線光源262に代えて、電子線照射装置(不図示)が配置される。すなわち、使用されるインク種に応じてエネルギー線照射手段の具体的構成が選択される。
〔変形例6〕
図20、図21に示した無端状ベルトによる中間転写体212に代えて、ドラム状の中間転写体(中間転写ドラム)を用いる態様も可能である。
〔変形例7〕
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用できる。
また、「インクジェット記録装置」という用語の解釈においては、写真プリントやポスター印刷などのいわゆるグラフィック印刷の用途に限定されず、インクジェット技術を利用したレジスト印刷装置、電子回路基板の配線描画装置、微細構造物形成装置など、画像として把握できるパターンを形成し得る工業用途の装置も包含する。
〔付記〕
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(発明1):ノズルから液状機能性材料を吐出して被吐出媒体上に付着させ、該被吐出媒体上に前記液状機能性材料のドットによる画像を形成する液体吐出ヘッドの駆動方法であって、描画すべき画像のドット形成に必要な画像形成用の吐出駆動時におけるノズル内のメニスカス縁部とノズル面との成す角の最大値をθa、前記ノズルの吐出性能を回復させるための空打ち用の吐出駆動時におけるノズル内のメニスカス縁部とノズル面との成す角の最大値をθbとするとき、θb>θaの関係を満たす空打ちの吐出を行うことを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動方法。
「被吐出媒体」は、液体吐出ヘッドのノズル(吐出口)から吐出される液滴の付着を受ける媒体であり、インクジェットプリンターにおける印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体、被吐出媒体、中間転写体、記録媒体の搬送ベルト等の搬送手段などが含まれる。媒体の形態や材質については、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、金属シート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
本発明における液体吐出ヘッドの構成例として、被吐出媒体の全幅に対応する長さにわたって複数のノズルを配列させたフルライン型のヘッドを用いることができる。この場合、被吐出媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の記録ヘッドモジュールを複数個組合せ、これらを繋ぎ合わせることで全体として媒体の全幅に対応する長さのノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のヘッドは、通常、被吐出媒体の送り方向(搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってヘッドを配置する態様もあり得る。
被吐出媒体と液体吐出ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)ヘッドに対して被吐出媒体を搬送する態様、停止した被吐出媒体に対してヘッドを移動させる態様、或いは、ヘッドと被吐出媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。なお、インクジェットヘッドを用いてカラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの印字ヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
(発明2):前記θaは、最小ドットを形成する際の吐出駆動時におけるノズル内のメニスカス縁部とノズル面との成す角の最大値であることを特徴とする発明1記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
「最小ドット」は、画像形成時に複数種(例えば、大、中、小の3種類)のドットサイズのドット形成が可能な場合における最小のドットを意味するのみならず、画像形成時に単一の(1種類のみ)のドットサイズのドット形成が可能な場合における当該ドットも「最小ドット」に該当する。
(発明3):前記空打ちの吐出時に、前記液体吐出ヘッドへの液状機能性材料の供給経路からの加圧を行うことを特徴とする発明1又は2記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明4):前記空打ち用の吐出駆動時に前記液体吐出ヘッドに印加される空打ち用の吐出波形は、前記画像形成用の吐出駆動時に前記液体吐出ヘッドに印加される画像形成用の吐出波形と異なることを特徴とする発明1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明5):前記空打ち用の吐出波形は、前記画像形成用の吐出波形に比べて、波形の振幅が増加したものであることを特徴とする発明5記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明6):前記空打ち用の吐出波形は、前記吐出用の第1パルスと、これに続くメニスカス振動増幅用の第2パルスとを組み合わせたものであることを特徴とする発明4記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明7):前記第2パルスは、前記第1パルスと逆方向の波形であることを特徴とする発明6記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明8):前記空打ち用の吐出波形は、複数の吐出波形を連続して印加するものであることを特徴とする発明4記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明9):前記複数の吐出波形の吐出周期は、前記液体吐出ヘッドの構造と、吐出に用いる前記液状機能性材料によって決まるヘッド共振周期より短いことを特徴とする発明8記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明10):前記複数の吐出波形が連続する前記空打ち用の吐出波形は、最初の吐出波形による吐出液滴速度より後続の吐出波形による吐出液滴速度が速く、前記最初の吐出液滴の曳糸が切断する前に、前記後続の吐出液滴が前記最初の吐出液滴に合一することを特徴とする発明8又は9記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明11):前記複数の吐出波形のうち、最初の吐出波形の振幅よりも、後続の吐出波形の振幅を大きくすることを特徴とする発明8乃至10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明12):前記複数の吐出波形における最初の吐出波形による残存振動と、後続の吐出波形による振動を共振させることを特徴とする発明8乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明13):前記画像形成用の吐出波形と、前記空打ち用の吐出波形の吐出周波数が異なることを特徴とする発明1乃至12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明14):前記液体吐出ヘッドは、複数のノズルが前記被吐出媒体の幅方向にわたって配列されたラインヘッドであり、該液体吐出ヘッドに対して前記被吐出媒体を相対的に1回移動させることにより前記被吐出媒体上に画像を形成するシングルパス方式の記録を行うものであることを特徴とする発明1乃至13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明15):前記空打ちの吐出は、画像形成中に前記被吐出媒体としての記録媒体、又は中間転写体の上で行うことを特徴とする発明1乃至14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明16):前記空打ちの吐出は、一定時間の画像形成後、又は、一定時間の休止後、若しくは、一定時間の連続吐出の後に、自動で行うことを特徴とする発明1乃至15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明17):前記空打ちにより吐出した被吐出媒体上の液滴に対し、凝集、エネルギー線硬化、乾燥、加熱、定着、吸収のうち少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする発明1乃至16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明18):前記液体吐出ヘッドにおける吐出不良が検出されたときに、前記空打ちの吐出を自動で行うことを特徴とする発明1乃至17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明19):前記液体吐出ヘッドにおける吐出不良が検出されたときに、当該吐出不良が検出されたヘッド、又は、ノズル列、若しくはノズルのみについて、前記空打ちの吐出を自動で行うことを特徴とする発明1乃至18のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
(発明20):液体吐出ヘッドのノズルから液状機能性材料を吐出して被吐出媒体上に付着させ、該被吐出媒体上に前記液状機能性材料のドットによる画像を形成するインクジェット記録装置であって、描画すべき画像のドット形成に必要な画像形成用の吐出駆動時に前記液体吐出ヘッドに印加される画像形成用の吐出波形と、前記ノズルの吐出性能を回復させるための空打ち用の吐出駆動時に前記液体吐出ヘッドに印加される空打ち用の吐出波形とを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記画像形成用の吐出波形と空打ち用の吐出波形、及び描画用の画像データとを組み合わせて前記液体吐出ヘッドの駆動制御を行う制御手段と、を備え、前記画像形成用の吐出波形の印加による吐出駆動時におけるノズル内のメニスカス縁部とノズル面との成す角の最大値をθa、前記空打ち用の吐出波形の印加による吐出駆動時におけるノズル内のメニスカス縁部とノズル面との成す角の最大値をθbとするとき、θb>θaの関係を満たす空打ちの吐出が行われることを特徴とするインクジェット記録装置。
(発明21):前記制御手段は、描画すべき画像の画像形成波形データにおける画像間の余白部分に前記空打ちのデータを挿入することを特徴とする発明20記載のインクジェット記録装置。
(発明22):前記制御手段は、描画すべき画像の画像形成波形データの中に、前記空打ちのデータを一定の規則で分散させて挿入することを特徴とする発明20記載のインクジェット記録装置。
(発明23):前記ノズル又は前記液体吐出ヘッドの吐出・休止履歴を記憶する稼動履歴記憶手段を有し、前記制御手段は、前記稼動履歴記憶手段に記憶されている履歴情報を基に、前記画像形成用の吐出波形と空打ち用の吐出波形、及び描画用の画像データとを組み合わせて前記液体吐出ヘッドの駆動制御を行うことを特徴とする発明20乃至22のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
(発明24):前記液状機能性材料は、紫外線硬化型の材料であり、前記空打ちによって吐出された液滴を硬化させる紫外線光源を具備することを特徴とする発明20乃至23のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
(発明25):前記空打ちによって吐出された液滴を乾燥する乾燥手段を有することを特徴とする発明20乃至24のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
(発明26):前記空打ちによって吐出された液滴を吸引除去する吸引手段を有することを特徴とする発明20乃至25のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
(発明27):前記空打ちによって吐出された液滴の流動性を低下させる液状材料を吐出する処理材吐出ヘッドを有することを特徴とする発明20乃至26のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
(発明28):前記空打ちによって吐出された液滴の流動性を低下させる液状材料を塗布する塗布手段を有することを特徴とする発明20乃至27のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
(発明29):前記ノズル又は前記液体吐出ヘッドの吐出状態を検知する検知手段を有し、前記制御手段は、前記検知手段による検知結果に基づいて、前記画像形成用の吐出波形と空打ち用の吐出波形、及び描画用の画像データとを組み合わせて前記液体吐出ヘッドの駆動制御を行うことを特徴とする発明20乃至28のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
10…ノズルプレート、10A…ノズル面、11…ノズル穴、13…メニスカス、15…異物、110,210,260…インクジェット記録装置、112…印字部、112K,112C,112M,112Y…ヘッド、114…インク貯蔵/装填部、116…記録紙、122…ベルト搬送部(搬送手段)、124…印字検出部、150…ヘッド、151…ノズル、152…圧力室、153…インク室ユニット、158…アクチュエータ、163…ポンプ、172…システムコントローラ、180…プリント制御部、211…処理液用吐出ヘッド、212…中間転写体、250…溶媒吸収ローラ、262…紫外線光源