明 細 書
センサ 技術分野
[0001] 本発明は、航空機、自動車、ロボット、船舶、車両等の移動体の姿勢制御やナビゲ ーシヨン等、各種電子機器に用いる加速度や角速度を検出するセンサに関するもの である。
背景技術
[0002] まず、従来の加速度センサについて図 20を用いて説明する。
[0003] 従来の加速度センサは、固定基板 101と、固定基板 101上に配置した台座ガラス 1
02と、台座ガラス 102上に配置した可撓基板 103と、可撓基板 103の下面に配置し た錘部 104とを有する。
[0004] また、可撓基板 103の上方には可撓基板 103と対向するようにガラス基板 105を配 置し、可撓基板 103とガラス基板 105の対向面には、それぞれ対向電極 106を設け ている(特許文献 1)。
[0005] 次に、このような加速度センサを用いた加速度の検出について説明する。
[0006] 加速度が生じると、錘部 104が加速度の生じた軸方向に移動しょうとするために、 錘部 104を配置した可撓基板 103に橈みが発生する。そうすると、可撓基板 103とガ ラス基板 105との対向距離が変化するので、この対向距離の変化に起因した対向電 極 106間の静電容量の変化に基づいて、加速度を検出するものである。
[0007] このような加速度センサを、検出したい検出軸に対応させて、車両等の移動体の姿 勢制御装置やナビゲーシヨン装置等に用いている。
[0008] しかしながら、上記構成では、対向電極 106間の静電容量の変化に基づいて加速 度を検出するが、錘部 104は固定基板 101の上方に中空上に浮いた状態で可撓基 板 103の下面に配置されて!/、るので、錘部 104は Z軸方向に変位しやす!/、。
[0009] 例えば、対向電極 106間が離れるように Z軸方向に錘部 106が変位した場合、対向 電極 106間の静電容量の値は小さくなる。したがって、この状態において、 X軸また は Y軸方向に加速度が生じたとしても、この加速度に起因した対向電極 106間の静
電容量の変化も小さくなり、 X軸または Y軸の加速度の検出精度を劣化させるという 問題点を有していた。
[0010] 次に、例えば、特許文献 2や特許文献 3などで知られている、従来の角速度と加速 度とを検出するセンサにつ!/、て説明する。
[0011] 従来、角速度や加速度を検出するセンサを用いる場合は、角速度を検出するには 専用の角速度センサを用い、加速度を検出するには専用の加速度センサを用いて いた。
[0012] したがって、各種電子機器において、角速度と加速度とを複合して検出する場合は 、複数の角速度センサと加速度センサを各種電子機器の実装基板に各々実装して いた。
[0013] 一般に、角速度センサは、音さ形状や Η形状や Τ形状等、各種の形状の検出素子 を振動させて、コリオリカの発生に伴う検出素子の歪を電気的に検知して角速度を検 出するものである。一方、加速度センサは、上記で説明したように、錘部 104を有し、 加速度に伴う錘部 104の可動を、可動前と比較検知して加速度を検出するものであ
[0014] このような角速度センサや加速度センサを検出したい検出軸に対応させて、車両等 の移動体の姿勢制御装置やナビゲーシヨン装置等に用いている。
[0015] しかしながら、上記従来の構成では、検出したい角速度や加速度の検出軸に対応 させて、角速度センサおよび加速度センサを実装基板に各々実装するので、実装面 積を確保する必要があり、小型化を図れなレ、と!/、う問題点を有して!/、た。
特許文献 1 :特開平 10 - 177034号公報
特許文献 2:特開 2001 - 208546号公報
特許文献 3:特開 2001 - 74767号公報
発明の開示
[0016] 本発明は上記問題点を解決するもので、 Ζ軸方向への錘部の変位を抑制して、 X 軸または Υ軸の加速度の検出精度を向上したセンサを提供し、また、角速度や加速 度を検出するにあたり、実装面積を低減して小型化を図ったセンサを提供するもので ある。
[0017] 本発明は、加速度検出部を有する検出素子を備え、加速度検出部は、可撓部を介 して固定部と連結された錘部と、錘部と対向させた基板部と、錘部および基板部の各 々の対向面に配置した対向電極からなる電極部とを有する構成である。
[0018] 上記構成により、 Z軸方向への錘部の変位を抑制して、 X軸または Y軸の加速度の 検出精度を向上できる。
[0019] 好ましくは、本発明は、加速度検出部に、錘部または可撓部を押圧する押圧部を 設けるとともに、対向電極間の静電容量変化を検出して加速度を検出する構成であ
[0020] 上記構成により、固定部と錘部とを連結する可撓部または錘部には、押圧部による 押圧力が常に加わる。例えば、 z軸方向に向かって、押圧部が錘部または可撓部を 押圧していれば、 Z軸方向への錘部の変位が抑制されるので、錘部および基板の各 々の対向面に配置した全ての対向電極間の対向距離が離れにくぐ X軸または Y軸 の加速度の検出精度を劣化させずに検出精度を向上できる。
[0021] 好ましくは、本発明は、基板部が、錘部を重力方向に挟むように対向させた第 1基 板および第 2基板からなり、対向電極は、錘部と第 1基板および第 2基板の各々の対 向面に配置され、加速度検出部は対向電極間の静電容量変化を検出して加速度を 検出する構成である。
[0022] 上記構成により、重力方向を Z軸方向とすると、例えば、 Z軸方向へ錘部が変位した としても、第 1基板と錘部との対向距離が広がれば、第 2基板と錘部との対向距離が 縮まり、第 1基板と錘部との対向距離が縮めば、第 2基板と錘部との対向距離が広が る。すなわち、錘部と第 1基板との対向距離および錘部と第 2基板との対向距離の総 対向距離が変わらないので、 Z軸方向へ錘部が変位したとしても、対向電極間の全 体の静電容量が小さくなりにくぐ X軸または Y軸の加速度の検出精度を劣化させず に検出精度を向上できる。
[0023] 好ましくは、本発明は、検出素子は、角速度検出部をさらに有する。角速度検出部 は、可撓部に配置された他の電極部をさらに有する。錘部に配置された電極部およ び可撓部に配置された他の電極部は、それぞれ圧電層を介在させた上部電極と下 部電極とを有する。加速度検出部は、錘部に配置された電極部の上部電極と下部電
極とを短絡させるとともに、錘部と基板部の各々の対向面に配置された対向電極間 の静電容量を検出して加速度を検出する。角速度検出部は、コリオリカに起因して 橈む可撓部の状態変化を他の電極部で検出して角速度を検出する。
[0024] 上記構成により、加速度検出部によって、錘部と基板部の各々の対向面に配置さ れた対向電極間の静電容量を検出して加速度を検出し、角速度検出部によって、コ リオリカに起因して橈む可撓部の状態変化を他の電極部で検出する。一つの検出素 子で加速度と角速度を検出できるので、実装面積を低減して小型化を図れる。特に 、加速度検出部の電極部と角速度検出部の他の電極部とは、圧電層を介在させた 上部電極と下部電極とを有しており、同一工程で形成できるので、生産性を向上しつ つ小型化を図れる。
[0025] また、錘部に配置した対向電極は、圧電層を介在させて上部電極と下部電極とを 短絡させているので、上部電極と下部電極との間で静電容量が発生することがなく検 出精度の劣化を抑制できる。
図面の簡単な説明
[0026] [図 1]図 1は、本発明の実施の形態 1における加速度センサの分解斜視図である。
[図 2]図 2は、同加速度センサの一部透視斜視図である。
[図 3]図 3は、同加速度センサの図 2の A— A断面図である。
[図 4]図 4は、同加速度センサの図 2の B— B断面図である。
[図 5]図 5は、同加速度センサの加速度発生時における図 2の B— B断面図である。
[図 6]図 6は、押圧部を形成しない場合の図 2の B— B断面図である。
[図 7]図 7は、押圧部を形成しない場合の加速度発生時における図 2の B— B断面図 である。
[図 8]図 8は、本発明の実施の形態 2における加速度センサの断面図である。
[図 9]図 9は、本発明の実施の形態 3における加速度センサの分解斜視図である。
[図 10]図 10は、同加速度センサの一部透視斜視図である。
[図 11]図 11は、同加速度センサの図 10の A— A断面図である。
[図 12]図 12は、同加速度センサの加速度発生時における図 10の A— A断面図であ
[図 13]図 13は、同加速度センサの錘部が Z軸方向へ変位した状態における図 10の A— A断面図である。
[図 14]図 14は、同加速度センサの錘部が Z軸方向へ変位した状態の加速度発生時 における図 10の A— A断面図である。
園 15]図 15は、本発明の実施の形態 4におけるセンサの分解斜視図である。
[図 16]図 16は、同センサの図 15の A— A断面図である。
[図 17]図 17は、同センサの基板配置前の検出素子の斜視図である。
[図 18]図 18は、同センサの検出素子の断面図である。
[図 19]図 19は、同センサの検出素子の加速度発生時における動作状態を示す断面 図である。
園 20]図 20は、従来の加速度センサの断面図である。
符号の説明
10 第 1基板
12
14, 54 固定部
16 可撓部
18, 52 錘部
20, 64 第 1対向電極
21 第 5対向電極
22, 66 第 2対向電極
23 第 6対向電極
24, 68 第 3対向電極
25 第 7対向電極
26, 70 第 4対向電極
27 第 8対向電極
28, 51 検出素子
30, 58 第 1アーム
32, 60 第 2アーム
支持部
36 押圧部
56 基板
72 駆動電極
74 検知電極
76 第 1感知電極
78 第 2感知電極
80 圧電層
82 上部電極
84 下部電極
発明を実施するための最良の形態
[0028] 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[0029] (実施の形態 1)
図 1は本発明の実施の形態 1における加速度センサの分解斜視図、図 2は同加速 度センサの一部透視斜視図、図 3は図 2の A— A断面図、図 4は図 2の B— B断面図 である。
[0030] 図 1〜図 4において、本発明の実施の形態 1における加速度センサは、次の構成を 備えた検出素子 28を有している。検出素子 28は、互いに対向させて配置した第 1基 板 10および第 2基板 12と、この第 1、第 2基板 10、 12間に配置し、第 1、第 2基板 10 、 12に固定した固定部 14に可撓部 16を介して連結した錘部 18と、この錘部 18およ び第 1基板 10の各々の対向面に配置した第 1対向電極〜第 4対向電極 20、 22、 24 、 26とを備えている。すなわち、本実施の形態では、第 1基板 10が基板部に相当す
[0031] この検出素子 28は、 1つの第 1アーム 30に 2つの第 2アーム 32を略直交方向に連 結して形成した直交アームが 2つと、 2つの第 1アーム 30の一端を支持する支持部 3 4とを有し、 2つの第 1アーム 30と支持部 34とを略同一直線上に配置している。各第 1アーム 30の厚みは各第 2アーム 32の厚みよりも非常に薄く形成しており、各第 1ァ ーム 30の他端をそれぞれ枠体形状の固定部 14に接続している。また、各第 2アーム
32は第 2アーム 32自身と対向するまで折曲しており、折曲した第 2アーム 32の先端 部に錘部 18を連結している。第 1アーム 30および第 2アーム 32は検出素子 28の中 心に対して対称配置している。このように、本実施の形態では、 4つの第 2アーム 32 それぞれがアーム部に相当する。
[0032] ここで、可撓部 16とは、固定部 14と錘部 18とを連結する部分を指しており、第 1ァ ーム 30、第 2アーム 32、支持部 34が可撓部 16に相当する。
[0033] 第 1、第 2基板 10、 12と固定部 14と可撓部 16と錘部 18とは、シリコンを生成分とす る材料 (ガラスまたは線膨張係数がシリコンに近似した材料も含む)からなり、固定部 14と可撓部 16と錘部 18とを一体成形している。また、第 1、第 2基板 10、 12と固定部 14とは直接接合して互いに固定している。直接接合の替わりに、接着剤やバンプ等 を用いて接合してもよい。直接接合の方が接着剤やバンプ等の厚みを考慮する必要 がないので、精度を向上できる。
[0034] 第 2基板 12には支持部 34を押圧する押圧部 36を固定または形成しており、図 3、 図 4に示すように、この押圧部 36は重力方向と同方向に支持部 34を押圧して、可撓 部 16 (第 1アーム 30、第 2アーム 32、支持部 34)に引っ張り応力を加えるようにして いる。このとき、押圧部 36が支持部 34を押圧しているので、第 1、第 3対向電極 20、 24と第 1基板 10との距離 (H)は押圧していない場合に比べて短くなる。
[0035] 押圧部 36は錘状であって、検出素子 28の中心に向かって点接触させ支持部 34を 押圧している。押圧部 36は棒状または針状でもよぐ押圧する箇所は錘部 18または 可撓部 16であればよぐ支持部 34は可撓部 16の一部に相当する箇所となる。
[0036] なお、支持部 34は、本実施の形態では、第 2アーム 32と同厚さで形成した力 第 1 アーム 30と同程度の厚さであっても良い。
[0037] 次に、本実施の形態の加速度の検出について説明する。
[0038] 互いに直交する X軸、 Y軸、 Z軸において、第 1基板 10を XY平面に配置した場合 に、例えば、図 5に示すように、 X軸方向に加速度が生じた場合について説明する。 この場合、錘部 18は押圧部 36と接触する接触点(支持部 34)を中心にして Y軸周り に回転しょうとするため、第 1、第 3対向電極 20、 24間の対向距離 (HI)が大きくなり 、第 2、第 4対向電極 22、 26間の対向距離 (H2)が小さくなる。
[0039] また、 Y軸方向に加速度が生じた場合も同様に、錘部 18は押圧部 36と接触する接 触点を中心にして X軸周りに回転しょうとするため、図示しないが、第 1、第 2対向電 極 20、 22間の対向距離が大きくなり、第 3、第 4対向電極 24、 26間の対向距離が小 さくなる。
[0040] すなわち、各々の電極間の静電容量が変化するので、この静電容量の変化に基づ いて X軸方向または Υ軸方向の加速度を検出することができる。
[0041] 上記構成により、本実施の形態では、可撓部 16の一部である支持部 34を押圧する 押圧部 36を設けているので、固定部 14と錘部 18とを連結する可撓部 16には、押圧 部 36による押圧力が常に加わる。例えば、 Ζ軸方向に向かって、押圧部 36が錘部 1 8を押圧していれば、 Ζ軸方向への錘部 18の変位を抑制でき、錘部 18および第 1基 板 10の各々の対向面に配置した全ての電極間の対向距離が大きくなることを抑制し 、Χ軸または Υ軸の加速度の検出精度を劣化させずに検出精度を向上できる。
[0042] 仮に、図 6に示すように、押圧部 36がなければ、錘部 18および可撓部 16が Ζ軸方 向に変位して、第 1、第 3対向電極 20、 24間の対向距離 (h)が大きくなる場合がある 。このとき、 X軸方向に加速度が生じたとしても、図 7に示すように対向距離 (h)が大き くなるので、第 1、第 3対向電極 20、 24間の静電容量の変化を十分に検出できない こと力 sある。
[0043] また、押圧部 36は、可撓部 16に引っ張り応力を加えるように可撓部 16の一部であ る支持部 34を押圧するので、 Z軸方向への錘部 18の変位を的確に抑制できる。特 に、重力方向と同方向に可撓部 16の一部である支持部 34を押圧しているので、錘 部 18は重力方向と反対方向には変位しに《なり、錘部 18と第 1基板 10に配置した 各々の電極間の対向距離が大きくなりにくぐ検出精度の劣化を的確に抑制できる。
[0044] また、押圧部 36は錘状とし、錘部 18に点接触させているので、 Z軸方向への錘部 1 8の変位を抑制しつつ、 X軸、 Y軸の加速度に対しては、押圧部 36と接触する接触 点(支持部 34)を中心にして X軸または Y軸の周りに錘部 18が回転しやすくなり、静 電容量を変化させやすくなるので、検出精度を向上できる。
[0045] また、可撓部 16 (第 1アーム 30、第 2アーム 32、支持部 34)は、検出素子 28の中心
(支持部 34)に対して対称配置しているので、押圧部 36によって錘部 18を押圧して
も、加速度の発生していない状態において、第 1、第 3電極 20、 24間、第 2、第 4電極 22、 26間の対向距離が等しくなり、電極間の違いに起因した検出精度の劣化を抑 制できる。
[0046] また、可撓部 16は、少なくとも 4つのアーム部(第 1アーム 30、第 2アーム 32)で形 成しているので、 X軸、 Y軸方向に加速度が生じた場合、押圧部 36と接触する接触 点(支持部 34)を中心にして X軸または Y軸の周りの両方に錘部 18が回転しやすくな り、 X軸方向と Y軸方向の両方向の加速度を検出できる。 4つのアーム部を十字状に 配置するとともに、 4つのアームを XY方向に配置すれば、 X軸周りと Y軸周りの両方 により回転しやすくなり、 X軸方向と Y軸方向の両方向の加速度をより検出できる。
[0047] また、第 1基板 10と固定部 14と可撓部 16と錘部 18は、シリコンを主成分とする材料 からなり、固定部 14と可撓部 16と錘部 18とを一体成形するとともに、固定部 14は第 1基板 10に直接接合している。このため、各々を個別に形成したものに比べ、ノ^ツ キが生じにくぐ全体としての寸法精度がよいので、検出精度も向上できる。
[0048] (実施の形態 2)
実施の形態 1では、押圧部 36が可撓部 16を押圧する構成について説明したが、 図 8に示すように、中心に錘部 18のある検出素子 28において、押圧部 36が錘部 18 を押圧するようにしても、実施の形態 1と同様の効果を得ることができる。
[0049] なお、実施の形態 1、 2では、押圧部 36は第 2基板 12に固定または形成しているが 、この押圧部 36は可撓部 16 (第 1アーム 30、第 2アーム 32、支持部 34)に固定また は形成して、第 2基板 12によって押圧部 36を押圧するようにしてもよい。
[0050] (実施の形態 3)
実施の形態 1、 2では、検出素子 28は、錘部 18または可撓部 16を押圧する押圧部 36を備えていた。実施の形態 3では、押圧部 36の変わりに、錘部 18を重量方向に 挟むように第 1基板 10と対向させた第 2基板 12と、第 2基板 12に配置された対向電 極とを備えている。
[0051] 図 9は本発明の実施の形態 3における加速度センサの分解斜視図、図 10は同加 速度センサの一部透視斜視図、図 11は図 10の A— A断面図である。
[0052] 図 9〜図 11において、本発明の実施の形態 3における加速度センサは、加速度検
出部を有する、次の構成からなる検出素子 28を備えている。検出素子 28は、互いに 対向させて配置した第 1基板 10および第 2基板 12と、この第 1、第 2基板 10、 12間に 配置し、第 1、第 2基板 10、 12に固定した固定部 14に可撓部 16を介して連結した錘 部 18とを有する。第 1基板 10と第 2基板 12は錘部 18の重力方向に錘部 18を挟むよ うに対向している。
[0053] この錘部 18および第 1基板 10の各々の対向面には第 1対向電極〜第 4対向電極 2 0、 22、 24、 26を配置するとともに、錘部 18および第 2基板 12の各々の対向面には 第 5対向電極〜第 8対向電極 21、 23、 25、 27を配置している。すなわち、本実施の 形態では、第 1、第 2基板 10、 12が基板部に相当する。
[0054] また、実施の形態 1と同様に、検出素子 28は、 1つの第 1アーム 30を 2つの第 2ァー ム 32に略直交方向に連結して形成した直交アーム 2つと、 2つの第 1アーム 30の一 端を支持する支持部 34とを有し、 2つの第 1アーム 30と支持部 34とを略同一直線上 に配置して!/、る。各第 1アーム 30の厚みは各第 2アーム 32の厚みよりも非常に薄く形 成しており、各第 1アーム 30の他端を枠体形状の固定部 14に接続している。各第 2 アーム 32は第 2アーム 32自身と対向するまで折曲しており、折曲した各第 2アーム 3 2の先端部に錘部 18を連結している。上記の第 1アーム 30および第 2アーム 32は検 出素子 28の中心に対して対称配置している。すなわち、本実施の形態においても、 4つの第 2アーム 32それぞれがアーム部に相当する。
[0055] ここで、可撓部 16とは、固定部 14と錘部 18とを連結する部分を指しており、第 1ァ ーム 30、第 2アーム 32、支持部 34が可撓部 16に相当する。
[0056] さらに、第 1、第 2基板 10、 12と固定部 14と可撓部 16と錘部 18とは、シリコンを主 成分とする材料 (ガラスまたは線膨張係数がシリコンに近似した材料も含む)からなり 、固定部 14と可撓部 16と錘部 18とを一体成形している。また、第 1、第 2基板 10、 12 と固定部 14とは直接接合して互いに固定している。直接接合の替わりに、接着剤や バンプ等を用いて接合してもよいが、直接接合の方が接着剤やバンプ等の厚みを考 慮する必要がないので、精度を向上できる。
[0057] 次に、本実施の形態の加速度の検出について説明する。
[0058] 互いに直交する X軸、 Y軸、 Z軸において、第 1基板 10を XY平面に配置した場合、
例えば、図 12に示すように、 X軸方向に加速度が生じた場合、錘部 18は支持部 34 を中心にして Y軸周りに回転しょうとする。この結果、図 9、図 12に示すように、第 1基 板 10と錘部 18の対向面の第 1、第 3対向電極 20、 24間の対向距離 (HI)および第 2基板 12と錘部 18の対向面の第 6、第 8対向電極 23、 27間の対向距離 (H4)が大き くなる。これに対し、第 1基板 10と錘部 18との対向面の第 2、第 4対向電極 22、 26間 の対向距離 (H2)および第 2基板 12と錘部 18の対向面の第 5、第 7対向電極 21、 2 5間(H3)は小さくなる。
[0059] 一方、 Y軸方向に加速度が生じた場合も同様に、錘部 18は支持部 34を中心にし て X軸周りに回転しょうとする。そのため、図示しないが、第 1、第 2対向電極 20、 22 間の対向距離および第 7、第 8対向電極 25、 27間の対向距離が大きくなり、第 3、第 4対向電極 24、 26間の対向距離および第 5、第 6対向電極 21、 23間の対向距離が 小さくなる。
[0060] すなわち、本実施の形態では、各々の電極間の静電容量が変化するので、検出素 子 28は、この静電容量の変化に基づいて X軸方向または Y軸方向の加速度を検出 する。
[0061] また、図 13に示すように、 Z軸方向へ錘部 18が変位した状態では、第 1基板 10と錘 部 18との対向距離 (hl、 h2)が広がり、第 2基板 12と錘部 18との対向距離 (h3、 h4) 力縮まる。逆に、第 1基板 10と錘部 18との対向距離 (hl、 h2)が縮めば、第 2基板 12 と錘部 18との対向距離 (h3、 h4)が広がる。
[0062] 図 13に示すように、第 1基板 10と錘部 18との対向距離 (hl、h2)が広がり、第 2基 板 12と錘部 18との対向距離 (h3、 h4)が縮まっている状態において、 X軸方向に加 速度が生じた場合、図 14に示すように、錘部 18は Z軸方向へ変位した位置における 支持部 34を中心にして Y軸周りに回転しょうとする。
[0063] この結果、図 9、図 14に示すように、第 1基板 10と錘部 18の対向面の第 1、第 3対 向電極 20、 24間の対向距離 (hi)および第 2基板 12と錘部 18の対向面の第 6、第 8 対向電極 23、 27間の対向距離 (h4)が大きくなる。これに対し、第 1基板 10と錘部 1 8との対向面の第 2、第 4対向電極 22、 26間の対向距離 (h2)および第 2基板 12と錘 部 18の対向面の第 5、第 7対向電極 21、 25間(h3)が小さくなる。
[0064] このとき、錘部 18と第 1基板 10との対向距離 (hi)と、錘部 18と第 2基板 12の対向 距離 (h3)との総対向距離 (hi +h3)は、錘部 18が Z軸方向へ変位していない状態 における総対向距離 (H1 + H3)と変わらないので、 Z軸方向へ錘部 18が変位したと しても全体の静電容量は小さくなりにくぐ X軸または Y軸の加速度の検出精度を劣 化させずに検出精度を向上できる。
[0065] 上記構成により、錘部 18を重力方向に挟むように対向させた第 1、第 2基板 10、 12 と、錘部 18と第 1、第 2基板 10、 12の各々の対向面に配置した対向電極 20〜27とを 設けているので、重力方向の変位に対して、第 1基板 10と錘部 18および第 2基板 12 と錘部 18の各対向距離は次のように変化する。
[0066] 例えば、重力方向が Z軸方向とすると、 Z軸方向へ錘部 18が変位したとしても、第 1 基板 10と錘部 18との対向距離が広がれば、第 2基板 12と錘部 18との対向距離が縮 まり、第 1基板 10と錘部 18との対向距離が縮めば、第 2基板 12と錘部 18との対向距 離が広がる。
[0067] すなわち、錘部 18と第 1基板 10との対向距離と、錘部 18と第 2基板 12との対向距 離との総対向距離が変わらないので、 Z軸方向へ錘部 18が変位したとしても、全体 の静電容量は小さくなりにくぐ X軸または Y軸の加速度の検出精度を劣化させずに 検出精度を向上できる。
[0068] また、可撓部 16 (第 1アーム 30、第 2アーム 32、支持部 34)は、検出素子 28の中心
(支持部 34)に対して対称配置しているので、検出精度の違いを抑制できる。
[0069] また、可撓部 16は、少なくとも 4つのアーム部(第 1アーム 30、第 2アーム 32)で形 成しているので、 X軸、 Y軸方向に加速度が生じた場合、支持部 34を中心にして X軸 または Y軸の周りの両方に錘部 18が回転しやすくなり、 X軸方向と Y軸方向の両方向 の加速度を検出できる。 4つのアーム部を十字状に配置するとともに、 4つのアームを XY方向に配置すれば、 X軸周りと Y軸周りの両方により回転しやすくなり、 X軸方向 と Y軸方向の両方向の加速度をより検出できる。
[0070] また、第 1基板 10と固定部 14と可撓部 16と錘部 18は、シリコンを主成分とする材料 からなり、固定部 14と可撓部 16と錘部 18とを一体成形するとともに、固定部 14は第 1基板 10に直接接合しているので、各々を個別に形成したものに比べ、ノ ラツキが
生じにくぐ全体としての寸法精度がよいので、検出精度も向上できる。
[0071] (実施の形態 4)
実施の形態 1〜3では、検出素子 28が加速度検出部のみを備えているセンサにつ いて説明したが、本実施の形態では、検出素子が加速度検出部と角速度検出部を 備えて!/、るセンサにつ!/、て説明する。
[0072] 図 15は本発明の実施の形態 4におけるセンサの分解斜視図、図 16は図 15の A—
A断面図である。
[0073] 図 15において、本発明の実施の形態 4におけるセンサは、加速度検出部と角速度 検出部を有する検出素子 51を備える。この検出素子 51は、可撓部を介して錘部 52 を連結した固定部 54と、錘部 52と対向させた基板 56と、錘部 52と基板 56の各々の 対向面に配置した対向電極からなる、後述する第 1電極部と、可撓部に配置した後 述する第 2電極部(他の電極部)とを有する。すなわち、本実施の形態では、基板 56 が基板部に相当する。
[0074] 具体的には、この検出素子 51は、 1つの第 1アーム 58を 2つの第 2アーム 60に略 直交方向に連結して形成した直交アーム 2つと、 2つの第 1アーム 58の一端を支持 する支持部 62と、 2つの第 1アーム 58の他端を接続した枠体形状の固定部 54とを有 する。各第 1アーム 58の厚みは各第 2アーム 60の厚みよりも非常に薄く形成しており 、各第 2アーム 60は第 2アーム 60自身と対向するまで折曲し、折曲した各第 2アーム 60の先端部に錘部 52をそれぞれ連結している。各第 1アーム 58と支持部 62とは略 同一直線上に配置し、第 1アーム 58および第 2アーム 60は検出素子 51の中心に対 して対称配置している。すなわち、本実施の形態では、 4つの第 2アーム 60のそれぞ れがアーム部に相当する。
[0075] ここで、可撓部は固定部 54と錘部 52とを連結する部分を指しており、第 1アーム 58 、第 2アーム 60および支持部 62が可撓部に相当する。
[0076] また、錘部 52に対向させて基板 56を配置し、錘部 52と基板 56の各々の対向面に は、第 1電極部として第 1対向電極〜第 4対向電極 64、 66、 68、 70を配置している。 さらに、互いに対向する一方の 2つの第 2アーム 60には錘部 52を駆動振動させる駆 動電極 72および検知電極 74を設ける。互いに対向する他方の 2つの第 2アーム 60
には、第 2アーム 60の歪を感知する第 1感知電極 76、第 2感知電極 78を設けている 。これら、駆動電極 72、検知電極 74、第 1感知電極 76、および第 2感知電極 78が第 2電極部に相当する。
[0077] 錘部 52に配置した第 1対向電極〜第 4対向電極 64、 66、 68、 70、駆動電極 72、 検知電極 74、第 1感知電極 76、第 2感知電極 78は、図 16に示すように、圧電層 80 を介在させた上部電極 82と下部電極 84とを有している。錘部 52に配置した第 1〜第 4対向電極 64、 66、 68、 70の上部電極 32と下部電極 34とは互いに、例えば固定部 54上で短絡させている。すなわち、本実施の形態では、錘部 52に配置した第 1〜第 4対向電極 64、 66、 68、 70を延長して引き出した引き出し線を、可撓部の第 2ァー ム 60、第 1アーム 58を介して固定部 54まで配置し、引き出し線の端部で上部電極 8 2と下部電極 84とを短絡させて!/、る。
[0078] そして、基板 56と固定部 54と第 1アーム 58と第 2アーム 60と錘部 52とは、シリコン を主成分とする材料 (ガラスまたは線膨張係数がシリコンに近似した材料も含む)から なり、固定部 54と第 1アーム 58と第 2アーム 60と錘部 52とを一体成形して、基板 56と 固定部 54とを直接接合して互いに固定している。直接接合の替わりに、接着剤ゃバ ンプ等を用いて接合してもよい。直接接合の方が接着剤やバンプ等の厚みを考慮す る必要がないので、錘部 52および基板 56の各々の対向面の対向距離を正確に保 つこと力 Sでさる。
[0079] 以上のように、本実施の形態では、加速度検出部は、固定部 54、第 1アーム 58、 第 2アーム 60、支持部 62、錘部 52、基板 56、および第 1〜第 4対向電極 64、 66、 6 8、 70から構成される。一方、角速度検出部は、第 1アーム 58、第 2アーム 60、支持 部 62、錘部 52、および駆動電極 72、検知電極 74、第 1、第 2感知電極 76、 78から 構成される。これら加速度検出部と角速度検出部が、従来のように別々ではなぐ同 時に一体的に形成されて、検出素子 51が構成される。
[0080] 次に、本実施の形態の角速度検出部および加速度検出部について説明する。
[0081] まず、角速度検出部について説明する。図 17に示すように、互いに直交した X軸、 Y軸、 Z軸において、検出素子 51の第 1アーム 58を X軸方向に配置して、第 2アーム 60を Y軸方向に配置した場合、駆動電極 72に共振周波数の交流電圧を印加すると
、駆動電極 72が配置された第 2アーム 60を起点に第 2アーム 60が駆動振動する。こ れに伴って錘部 52も第 2アーム 60の対向方向(実線の矢印と点線の矢印で記した 駆動振動方向)に駆動振動する。また、 4つの第 2アーム 60および 4つの錘部 52の 全てが同調して第 2アーム 60の対向方向に駆動振動する。この検出素子 51におけ る駆動振動方向は X軸方向となる。
[0082] このとき、例えば、 Z軸の左周りに角速度が生じた場合は、錘部 52の駆動振動と同 調して、錘部 52に対して駆動振動方向と直交した方向(実線の矢印と点線の矢印で 記したコリオリ方向(Y軸方向) )にコリオリカが発生するので、第 2アーム 60に 軸の 左周りの角速度に起因した歪を発生させることができる。すなわち、コリオリカに起因 して橈むこの第 2アーム 60の状態変化(第 2アーム 60に発生した歪)によって、第 1、 第 2感知電極 76、 78から電圧が出力され、この出力電圧に基づき角速度が検出され
[0083] 次に、本実施の形態の加速度検出部について説明する。
[0084] 図 18に示すように、互いに直交する X軸、 Y軸、 Z軸において、基板 56を XY平面 に配置した場合、加速度が発生していなければ、基板 56と錘部 52の対向面の第 1 対向電極 64間の対向距離(HI)と、基板 56と錘部 52との対向面の第 2対向電極 66 間の対向距離 (H2)は等しい。図示していないが、第 2対向電極 66間の対向距離と 第 4対向電極 70間の対向距離も等しくなる。
[0085] このとき、例えば、 X軸方向に加速度が生じた場合、図 19に示すように、錘部 52は 支持部 62を中心にして Y軸周りに回転しょうとする。この結果、基板 56と錘部 52の対 向面の第 1対向電極 64間の対向距離 (HI)が小さくなり、基板 56と錘部 52との対向 面の第 2対向電極 66間の対向距離 (H2)が大きくなる。図示していないが、第 3対向 電極 68間の対向距離と第 4対向電極 70間の対向距離も同様である。
[0086] 一方、 Y軸方向に加速度が生じた場合も同様に、錘部 52は支持部 62を中心にし て X軸周りに回転しょうとする。そのため、図示しないが、例えば、第 3、第 4対向電極 68、 70間の対向距離が大きくなり、第 1、第 2対向電極 64、 66間の対向距離が小さ くなる。すなわち、本実施の形態では、検出素子 51は、各々の電極間の静電容量が 変化するので、この静電容量の変化に基づいて X軸方向または Y軸方向の加速度を
検出する。
[0087] 上記構成により、加速度検出部によって、錘部 52と基板 56の各々の対向面に配置 した第 1電極部間の静電容量を検出して加速度を検出し、角速度検出部によって、 コリオリカに起因して橈む可撓部の状態変化を第 2電極部で検出する。すなわち、上 記構成により、一つの検出素子 51で加速度と角速度を検出できるので、実装面積を 低減して小型化を図れる。特に、加速度検出部の第 1電極部と角速度検出部の第 2 電極部とは、圧電層 30を介在させた上部電極 32と下部電極 34とを有しており、同一 工程で形成できるので、生産性を向上しつつ小型化を図れる。
[0088] また、錘部 52に配置した対向電極は、圧電層 80を介在させて上部電極 82と下部 電極 84とを短絡させて!/、るので、上部電極 82と下部電極 84との間で静電容量が発 生することがなく検出精度の劣化を抑制できる。
[0089] また、可撓部は、検出素子 51の中心に対して対称配置しているので、検出精度の 違いを抑制できる。
[0090] また、可撓部は、少なくとも 4つのアーム部で形成しているので、 X軸、 Y軸方向に 加速度が生じた場合、支持部 62を中心にして X軸または Y軸の周りの両方に錘部 5 が回転しやすくなり、 X軸方向と Y軸方向の両方向の加速度を検出できる。 4つのァ 一ム部を十字状に配置するとともに、 4つのアームを XY方向に配置すれば、 X軸周り と Y軸周りの両方により回転しやすくなり、 X軸方向と Y軸方向の両方向の加速度をよ り検出できる。
[0091] また、基板 56と固定部 54と可撓部と錘部 52は、シリコンを主成分とする材料からな り、固定部 54と可撓部と錘部 52とを一体成形するとともに、固定部 54は基板 56に直 接接合しているので、各々を個別に形成したものに比べ、ノ ツキが生じにくぐ全体 としての寸法精度がよいので、検出精度も向上できる。
[0092] なお、本実施の形態では、上部電極 82と下部電極 84とを短絡させるのに、錘部 52 に配置した第 1電極部を延長して引き出した引き出し線を、可撓部を介して固定部 5 4まで配置し、引き出し線の端部にて上部電極 82と下部電極 84とを短絡させている 1S 本発明はこれに限ることはない。
[0093] 本実施の形態では、この引き出し線は第 1電極部から延長するので、引き出し線も
圧電層 80を介在させた上部電極 82と下部電極 84で形成されており、静電容量が発 生するので、上部電極 82と下部電極 84にて短絡することにより、静電容量の発生を 抑制できる。
産業上の利用可能性
本発明に係るセンサは、 Z軸方向への錘部の変位を抑制して、加速度の検出精度 を向上できるので、角速度センサや加速度センサなどを用いた各種電子機器に適用 できるものである。