明 細 書
下水消化汚泥の脱水方法
技術分野
[0001] 本発明は、凝集力及び脱水性に優れ、濾過速度が速ぐ優れたフロック (集塊)を 得ることができるという各種凝集脱水性能に優れる、下水消化汚泥の脱水方法に関 するものである。
背景技術
[0002] 下水、し尿処理場及び有機性産業排水等より生じる有機質汚泥は、高分子凝集剤 を添加して、スクリュープレス、スクリューデカンター及びベルトプレス等の脱水装置を 使用して脱水される。
[0003] 脱水処理後の汚泥ケーキは、埋め立てや焼却処分されるが、汚泥ケーキ中の含水 率を 1 %低下させることで、焼却で使用する燃料の 10%程度をコストダウンすることが できるため、汚泥ケーキ中の含水率を低下させるために、種々の検討が行われてい
[0004] ところで、下水処理場において、汚泥中に含まれる有機分含有量が多い場合には 、有機質汚泥に嫌気性処理がなされる。近年において、有機質汚泥を嫌気性処理し て得られる消化汚泥は、繊維分が極端に低いことや、腐敗性粘着性物質を含むため 、従来の脱水方法では脱水し難!/、性状となって!/、る。
[0005] 消化汚泥の脱水方法としては、例えば、無機凝集剤としてポリ硫酸鉄を用い、これ にノニオン、ァニオン、又はカチオン性高分子凝集剤を単独で添加してフロックを形 成し脱水する方法(特許文献 1)や、無機凝集剤を添加後、 pHを 5〜8に調節し、こ れに両性高分子凝集剤を添加する方法(特許文献 2)があるが、凝集剤を多量に使 用する必要があるため、凝集剤の使用コストが高くなつたり、汚泥脱水性能が不十分 となることがあった。
[0006] 最近では、消化汚泥の処理方法として、ポリアミジンを使用する方法(特許文献 3) や、無機凝集剤とアタリレート系カチオン高分子凝集剤を併用する方法 (特許文献 4 、 5等)が知られている。前者のポリアミジンを使用する方法は、ポリアミジンの高い力
チオン性により、前記した汚泥脱水方法に対して優れた方法であり、後者の無機凝 集剤とアタリレート系カチオン高分子凝集剤を併用する方法も、前記した汚泥脱水方 法に対して優れた方法である。
[0007] しかしながら、得られるフロック力 凝集性及びろ過性の点で不十分で、脱水ケーキ の含水率も不十分であり、かつ凝集剤の使用量を多量にせざるを得な!/、と!/、つた問 題を有している。さらに加えて、汚泥脱水処理においては、脱水後のケーキは焼却し て処理するが、無機凝集剤を使用する方法では無機凝集剤の割合が多!/、と燃焼性 能が低下したり、又無機凝集剤は焼却しても残渣として残ってしまうので、廃棄物量 が多くなつてしまう問題を有するものであった。
[0008] 又、ポリアルキレンオキサイド単位を有するカチオン性高分子からなる高分子凝集 剤を用いて、スクリュープレス脱水機又は回転加圧脱水機を用いて脱水する消化汚 泥の脱水方法も提案されて!/、る(特許文献 6)。
[0009] しかしながら、これら脱水機を使用する場合は、強固なフロックを形成しないと、フロ ックが破壊したものがパンチングメタルの穴を通じてろ液に移行する問題が発生する ことがあり、また、遠心脱水機を使用する脱水には不向きであるため、さらなる改善の 余地があった。
特許文献 1:特開昭 58— 51998号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 2:特開昭 63— 158200号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 3:特開平 5— 192513号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 4 :特開平 7— 214100号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 5:特開 2006— 15209号公報(特許請求の範囲)
特許文献 6:特開 2004— 195370号公報(特許請求の範囲)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明は、下水消化汚泥に対して、凝集剤の使用量を低減し、凝集性、ろ過性及 び分離液の清澄性に優れるフロックを得ることができ、且つ脱水ケーキの含水率を低 下させることができる汚泥の脱水方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0011] 本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、下水消化汚泥 に対して、無機凝集剤を使用せずに、カチオン当量値が 4. Omeq/g以上でかつ 0 . 5%塩粘度が 40mPa ' s未満の高分子凝集剤を添加した後、ベルトプレス又はフィ ルタープレスにより脱水することにより、前記課題を解決し得ることを見出した。かかる 知見に基づき、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
[0012] 即ち、本発明は、以下の下水消化汚泥の脱水方法を提供する。以下、「第 1発明」 と表記する。
[0013] 項 1. 下水消化汚泥に、カチオン当量値が 4. Omeq/g以上でかつ 0. 5%塩粘 度が 40mPa ' s未満の重合体を含むカチオン性高分子凝集剤を添加した後、ベルト プレス又はフィルタープレスにより脱水処理することを特徴とする下水消化汚泥の脱 水方法。
[0014] 項 2. 前記重合体のカチオン当量値が 4. 0〜5. 2meq/gでかつ 0. 5%塩粘度 力 S lOmPa · s以上 40mPa · s未満である項 1に記載の下水消化汚泥の脱水方法。
[0015] 項 3. 前記下水消化汚泥の m—アルカリ度が 500〜6000であり、カチオン要求量 が 0. 05-0. 7meq/g— TSである項 1又は 2に記載の下水消化汚泥の脱水方法。
[0016] また、本発明者は、下水消化汚泥に対して、無機凝集剤を使用せずに、カチオン 当量値が 4. Omeq/g以上でかつ 0. 5%塩粘度が 40mPa ' s以上の重合体を含む 高分子凝集剤を添加しつつ又は添加した後、遠心脱水処理することにより、前記課 題を解決し得ることを見出した。かかる知見に基づき、さらに検討を重ねて本発明を 完成するに至った。
[0017] 即ち、本発明は、以下の下水消化汚泥の脱水方法を提供する。以下、「第 2発明」 と表記する。
[0018] 項 4. 下水消化汚泥に、無機凝集剤を使用せずに、カチオン当量値が 4. Omeq /g以上でかつ 0. 5%塩粘度が 40mPa ' s以上の重合体を含むカチオン性高分子 凝集剤を添加しつつ又は添加した後、遠心脱水処理することを特徴とする下水消化 汚泥の脱水方法。
[0019] 項 5. 前記重合体のカチオン当量値が 4. 0〜5. 2meq/gでかつ 0. 5%塩粘度 力 S40〜; lOOmPa ' sである項 4に記載の下水消化汚泥の脱水方法。
[0020] 項 6. 前記下水消化汚泥の m—アルカリ度が 500〜6000であり、カチオン要求量 が 0. 05-0. 7meq/g— TSである項 4又は 5に記載の下水消化汚泥の脱水方法。
[0021] 尚、本明細書においては、アタリレート又はメタタリレートを (メタ)アタリレートと表し、 アクリルアミド又はメタクリルアミドを (メタ)アクリルアミドと表し、アクリル酸又はメタタリ ル酸を (メタ)アクリル酸と表し、アクリロニトリル又はメタタリロニトリルを (メタ)アタリロニ トリルと表す。
発明の効果
[0022] 本発明の汚泥の脱水方法によれば、下水消化汚泥に対して、凝集剤の使用量を 低減し、フロック凝集性及びろ過性に優れ、清澄性に優れた分離液を得ることができ 、且つ脱水ケーキの含水率を低下させることが可能となる。
発明を実施するための最良の形態
[0023] 以下、本発明を詳細に説明する。
[第 1発明]
本発明の下水消化汚泥の脱水方法は、下水消化汚泥に、カチオン当量 が 4. 0 meq/g以上でかつ 0. 5%塩粘度が 40mPa ' s未満の重合体を含むカチオン性高 分子凝集剤を添加した後、ベルトプレス又はフィルタープレスにより脱水処理すること を特徴とする。本発明では、上記所定の高分子凝集剤を使用するため、凝集剤の使 用量を低減すると共に、凝集性及びろ過性に優れるフロックを形成し、しかも脱水ケ ーキの含水率を低下させることができる。
[0024] 本発明の汚泥脱水方法では、さらに無機凝集剤を使用する必要がな!/、ため、無機 凝集剤に起因する脱水後のケーキ焼却において燃焼性能が低下や、廃棄物量が多 くなつてしまう問題を解消することができる。
1.カチオン件高分早凝隼吝 II
本発明で使用するカチオン性高分子凝集剤 (以下、単に「高分子凝集剤」という)は 、カチオン当量値(以下「Cv」という)は、 4. Omeq/g以上で、かつ 0. 5%塩粘度が 40mPa ' s未満の重合体(以下、単に「重合体」という)を含むものである。
[0025] 本発明の重合体の Cvは、 4. Omeq/g以上、、好ましくは 4. 0〜5. 2meq/g、より 好ましくは 4. 2〜5. lmeq/gである。 Cvが 4. Omeq/g以上と高いため、より少量
で汚泥の荷電中和が可能となる。 Cvが 4. Omeq/g未満では、汚泥の荷電中和が 不十分となるため、脱水が不十分してしまう。なお、 Cvは、実施例に示すコロイド滴定 法によって求めた直をいう。
[0026] 本発明の重合体は、分子量の指標である 0. 5%塩粘度が 40mPa ' s未満であり、 安定した脱水処理を達成するためには、好ましくは 1 OmPa · s以上 40mPa · s未満、 より好ましくは 15mPa ' s以上 40mPa ' s未満である。 0. 5%塩粘度を 40mPa ' s未満 とするのは、過大なフロックを形成して脱水性を低下させないためであり、 40mPa - s 以上であるとフロック径が大きくなりすぎ、ろ布からの剥離性が悪化し、又、フィルター プレスの場合はろ室への充填量が少なくなるため好ましくない。なお、 0.5%塩粘度 は、実施例に記載の測定方法によって求めた値をいう。
[0027] 前記重合体としては、例えば、カチオン性単量体単位を必須構成単量体単位とし、 必要に応じノニオン性単量体単位を含むカチオン性重合体が挙げられ、或いは、力 チオン性単量体単位及びァニオン性単量体単位を含み、必要に応じノニオン性単 量体単位を有する両性重合体が挙げられる。上記の Cv及び 0.5%塩粘度の範囲を 満たすものであれば種々の重合体(高分子)が使用できる。これらの重合体は、 1種 又は 2種以上の混合物を用いても良!/、。
[0028] カチオン性単量体としては、カチオン性ビュル単量体が好ましぐ具体的にはジメ チルアミノエチル (メタ)アタリレート、ジェチルアミノエチル (メタ)アタリレート及びジェ チルアミノー 2—ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート等のジアルキルアミノアルキル( メタ)アタリレートの塩酸塩及び硫酸塩等の 3級塩;ジアルキルアミノアルキル (メタ)ァ タリレートの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付 加物等のハロゲン化ァラルキル付加物等の 4級塩; N, N—ジメチルァミノプロピル (メ タ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル (メタ)アクリルアミド等の塩酸塩及び 硫酸塩等の 3級塩;ジアルキルアミノアルキル (メタ)アクリルアミドの塩化メチル付加 物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化べンジル付加物等のハロゲン化ァラノレ キル付加物等の 4級塩等が挙げられる。
[0029] ァニオン性単量体としては、ァニオン性ビュル単量体が好ましぐ具体的には(メタ) アクリル酸及びこのナトリウム塩等のアルカリ金属塩又はアンモニゥム塩;マレイン酸
等及びそれらのアルカリ金属塩;アクリルアミドー 2—メチルプロパンスルホン酸等の アクリルアミドアルキルアルカンスルホン酸及びこのアルカリ金属塩又はアンモニゥム 塩;並びにビニルスルホン酸及びこのアルカリ金属塩又はアンモニゥム塩等が挙げら れる。
[0030] ノニオン性単量体としては、ノニオン性ビュル単量体が好ましぐ具体的には (メタ) アクリルアミド、ジメチルアミノエチル (メタ)アタリレート等のジアルキルアミノアルキル( メタ)アタリレート、ジアルキルアミノプロピル (メタ)アクリルアミド等のジアルキルァミノ アルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビュル、アルキル (メタ) アタリレート、アルコキシアルキル(メタ)アタリレート、ビュルピリジン、ビュルイミダノー ル及びァリルアミン等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリルアミドが好 ましい。
[0031] 又、エチレン性不飽和基を有するアルキレンオキサイドオリゴマーの存在下に、前 記した単量体を重合したものも使用できる。
[0032] いずれの単量体も、単独又は 2種以上を使用することができる。
[0033] 本発明における好ましい単量体の組合せとしては、カチオン性重合体の場合は、 [1 ]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルアタリレートの 3級塩又は 4級塩、 及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、 [2]カチオン性単量体と してジアルキルアミノアルキルメタタリレートの 3級塩又は 4級塩、及びノニオン性単量 体としてアクリルアミドからなる共重合体、並びに [3]カチオン性単量体としてジアルキ ルァミノアルキルメタタリレートの 3級塩又は 4級塩とジアルキルアミノアルキルアタリレ ートの 3級塩又は 4級塩、及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合 体がある。
[0034] 又、両性重合体の場合は、 [1]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルァ タリレートの 3級塩又は 4級塩、ァニオン性単量体としてアクリル酸塩、及びノニオン性 単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、 [2]カチオン性単量体としてジアルキル アミノアルキルメタタリレートの 3級塩又は 4級塩、ァニオン性単量体としてアクリル酸 塩、及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、並びに [3]カチオン 性単量体としてジアルキルアミノアルキルメタタリレートの 3級塩又は 4級塩とジアルキ
ルァミノアルキルアタリレートの 3級塩又は 4級塩、ァニオン性単量体としてアクリル酸 塩、及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体がある。
[0035] 本発明では、カチオン性単量体としてアタリレートを使用したカチオン性高分子力 単量体の共重合性に優れる高分子であり、消化汚泥の脱水性能に優れるためより好 ましい。
[0036] 本発明のカチオン性重合体におけるカチオン性単量体単位の共重合割合としては 、前記 Cv及び 0.5%塩粘度の範囲を満たす様に適宜設定すれば良ぐ全構成単量 体単位を基準として、カチオン性単量体単位を 55〜100モル。 /0、好ましくは 70〜; 10 0モル0 /0、より好ましくは 80〜; 100モル0 /0である。カチオン性単量体単位以外のノニ オン性単量体単位を含む場合は、 0〜45モノレ0 /0、好ましくは 0〜30モノレ0 /0、より好ま しくは 0〜20モノレ0 /0である。
[0037] 又、両性重合体の場合は、全構成単量体単位を基準として、カチオン性単量体単 位を 55〜95モノレ0 /0、好ましく (ま 70〜95モノレ0 /0、より好ましく (ま 80〜95モノレ0 /0である 。カチオン性単量体単位以外のァニオン性単量体単位及びノニオン性単量体単位 、両者の和が 5〜45モル0 /0、好ましくは 5〜30モル0 /0、より好ましくは 5〜20モル %である。この場合、ノニオン性単量体を少なくとも 5モル%共重合させた共重合体 が好ましい。
[0038] 前記重合体の製造方法については特に制限はなぐ前記した単量体を使用して、 一般的な重合方法を採用することができる。例えば、水溶液重合であれば、重合開 始剤として過硫酸カリウム、過硫酸アンモニゥム、 2,2'—ァゾビス(2—アミジノプロパ ン)二塩酸塩や、レドックス系の重合開始剤等を用いて、熱ラジカル重合を行う方法 や、ァゾ系化合物、ベンゾイン及びァセトフエノン型の光重合開始剤を用いて紫外線 照射により光ラジカル重合を行うこともできる。又、逆相のエマルシヨン重合であれば 、前記重合開始剤以外に、ァゾビスイソプチロニトリルや過酸化ベンゾィル等の水不 溶性開始剤を用いて重合を行っても良!/、。
[0039] 水溶液重合の場合には、得られたゲル状の重合体は、その後、公知の方法で切断 •細断する。細断した重合体は、バンド式乾燥機、回転式乾燥機、遠赤外線式乾燥 機及び振動流動式乾燥機等の乾燥機を使用し、温度 60〜; 150°C程度で乾燥し、口
ール式粉砕機等で粉砕して粉末状の重合体とされ、粒度調整される。
[0040] 逆相エマルシヨン重合の場合には、水で希釈、転相させて水中油型エマルシヨンと して使用する。
[0041] 本発明の高分子凝集剤としては、粉末状品のものでも逆相エマルシヨン品のもので ち使用でさる。
[0042] 本発明では、前記高分子に加え、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及びスルファ ミン酸等、脱水処理に悪影響がでな!/、かぎり公知の添加剤と混合して使用しても良 い。
2. 消化汚泥の脱フ k方法
本発明の脱水処理の対象とされる下水消化汚泥とは、下水処理場で発生する有機 質汚泥を嫌気性消化処理したものであり、力、かる汚泥であれば種々の汚泥が適用可 能である。
[0043] 消化汚泥としては、消化の指標を表す m—アルカリ度が 500〜6, 000の汚泥が好 ましく、より好ましくは 2, 000-4, 500の:^泥である。なお、「m—ァノレカリ度」とは、 消化汚泥の進行を表す指標であり、消化が進行するとアルカリの割合が増加するの で、これを中和して pH = 4.8にするために必要な酸の割合を CaCO換算したもので
3
ある。
[0044] 本発明においては、下水消化汚泥中のカチオン要求量を測定し、この結果に応じ て高分子凝集剤を添加する方法が、効率的にしかも無駄なく高分子凝集剤を添カロ すること力 Sできるため好ましい。下水消化汚泥中のカチオン要求量は、 0. 05-0. 7 meq/g— TSが好ましぐより好ましくは 0· 05-0. 5meq/g—TSであれば容易に 処理が可能である。なお、カチオン要求量とは、特開 2000— 258407号公報に記載 された光ラベル化カチオン性高分子を用いて測定した値である。
[0045] 本発明は、下水消化汚泥に、前記高分子凝集剤を添加した後、ベルトプレス又は フィルタープレス脱水機を用いて脱水するする消化汚泥の脱水方法である。
[0046] 高分子凝集剤の汚泥への添加方法、フロックの形成方法に格別の方法はなぐ現 在使用されている方法が問題なく適用される。
[0047] 本発明においては、高分子凝集剤を添加する前に、必要に応じ汚泥の pHを 4〜8
とすることが好ましい。これにより、より効果的に汚泥の処理を行うことができる。なお、 pHの調整は、酸又はアルカリを添加して調整する。酸としては、塩酸、硫酸、酢酸及 びスルフアミン酸等を挙げることができる。又、アルカリとしては、苛性ソーダ、苛性カリ
、消石灰及びアンモニア等が挙げられる。
[0048] 高分子凝集剤の汚泥に対する添加割合としては、汚泥の蒸発残留物 (TS)に対し TO. 1— 5. 0質量0 /0、好ましくは 0. 3—3. 0質量0 /0、さらに好ましくは 0. 5—2. 0質 量%である。高分子凝集剤と後記するその他の高分子凝集剤を併用する場合は、全 高分子凝集剤の合計量が前記添加割合を満たすことが好ましい。
[0049] 本発明においては、前記高分子凝集剤の他、必要に要に応じて、有機カチオン性 化合物、ァニオン性高分子凝集剤等の他の凝集剤を併用することができる。他の凝 集剤の使用量は、全凝集剤に対して 1 , 000質量%以下、好ましくは 100質量%以 下である。
[0050] 有機カチオン性化合物としては、ポリマーポリアミン、ポリアミジン及びカチオン性界 面活性剤等を例示できる。ァニオン性高分子凝集剤としては、前記したァニオン性単 量体の単独重合体及び前記したァニオン性単量体及びノニオン性単量体の共重合 体等を挙げること力 Sできる。
[0051] 汚泥脱水剤を添加した後の攪拌速度及び攪拌時間等は、従来行われて!/、る脱水 条件に従えば良い。
[0052] 本発明では、形成されたフロックをベルトプレス又はフィルタープレスにより脱水し、 脱水ケーキとする。ここでベルトプレス又はフィルタープレス脱水処理を採用するのは 、スクリュープレスやロータリープレスに比べ圧搾圧や圧搾時間の制御が容易なため 、ろ液の清澄性を損なわな!/、ままケーキ含水率を低減する条件を得やすレ、からであ
[0053] 使用されるベルトプレス機としては、通常の重力脱水ゾーンと圧搾ゾーンが連続し たもののほか、重力ゾーンを分離したタイプ、さらには後段に高圧圧搾装置を備えた もの等が例示できる。
[0054] また、フィルタープレスとしては、横型積送方式で、ろ室が単式(くぼみのある板 2枚 で交互にはさむ構造)のもの力 S挙げられる。さらには汚泥の圧入装置を備えたもの、
通気脱水装置を備えたもの等が例示できる。
[0055] 脱水の条件としては、汚泥の性状、適用する汚泥の性状、使用する高分子凝集剤 の種類及び遠心分離機の種類等に応じて適宜設定すれば良!/、。ベルトプレスでは 初期圧搾脱水の面圧 (ろ布張力/ロール半径)が 10〜; !OOkPaの範囲であり、ろ布速 度が 0. 3〜5m/分で運転されることが好ましい。フィルタープレスでは、圧搾圧力が
0. 5〜5MPaの範囲であり、圧搾時間カ^〜 20分の範囲であることが好ましい。
[第 2発明]
本発明の下水消化汚泥の脱水方法は、下水消化汚泥に、無機凝集剤を使用せず に、カチオン当量値が 4. Omeq/g以上でかつ 0. 5%塩粘度が 40mPa ' s以上の重 合体を含む高分子凝集剤を添加しつつ又は添加した後、遠心脱水処理することを特 徴とする。本発明では、上記所定の高分子凝集剤を使用するため、無機凝集剤の使 用を省略して凝集剤の使用量を低減すると共に、凝集性、ろ過性及び分離液(ろ液) の清澄性に優れるフロックを形成し、し力、も脱水ケーキの含水率を低下させることが できる。
[0056] 本発明の汚泥脱水方法では、無機凝集剤を使用しな!/、ため、脱水後のケーキ焼却 において燃焼性能が低下や、廃棄物量が多くなつてしまう問題を解消するものである
〇
1. カチオン件高分早凝隼吝 II
本発明で使用するカチオン性高分子凝集剤 (以下、単に「高分子凝集剤」という)は
、カチオン当量値(以下「Cv」という)は、 4. Omeq/g以上で、かつ 0. 5%塩粘度が 40mPa ' s以下の重合体(以下、単に「重合体」という)を含むものである。
[0057] 本発明の重合体の Cvは、 4. Omeq/g以上、好ましくは 4. 0〜5. 2meq/g、より 好ましくは 4. 2〜5. lmeq/gである。 Cvが 4. Omeq/g以上と高いため、より少量 で汚泥の荷電中和が可能となる。 Cvが 4. Omeq/g未満では、汚泥の荷電中和が 不十分となるため、脱水が不十分となり、且つフロックの造粒性が不足してしまう。な お、 Cvは、実施例に示すコロイド滴定法によって求めた値をいう。
[0058] 本発明の重合体は、分子量の指標である 0. 5%塩粘度が 40mPa ' s以上であり、 安定した脱水処理を達成するためには、好ましくは 40〜; 100mPa ' s、より好ましくは
40〜80mPa ' sである。 0· 5%塩粘度を 40mPa ' s以上とするのは、遠心沈降に十分 な粒径のフロックを形成させるためであり、 40mPa ' s未満であるとフロック径を大きく しに《なるため好ましくない。なお、 0.5%塩粘度は、実施例に記載の測定方法によ つて求めた直をいう。
[0059] 前記重合体としては、例えば、カチオン性単量体単位を必須構成単量体単位とし、 必要に応じノニオン性単量体単位を含むカチオン性重合体が挙げられ、或いは、力 チオン性単量体単位及びァニオン性単量体単位を含み、必要に応じノニオン性単 量体単位を有する両性重合体が挙げられる。上記の Cv及び 0.5%塩粘度の範囲を 満たすものであれば種々の重合体(高分子)が使用できる。これらの重合体は、 1種 又は 2種以上の混合物を用いても良!/、。
[0060] カチオン性単量体としては、カチオン性ビュル単量体が好ましぐ具体的にはジメ チルアミノエチル (メタ)アタリレート、ジェチルアミノエチル (メタ)アタリレート及びジェ チルアミノー 2—ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート等のジアルキルアミノアルキル( メタ)アタリレートの塩酸塩及び硫酸塩等の 3級塩;ジアルキルアミノアルキル (メタ)ァ タリレートの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付 加物等のハロゲン化ァラルキル付加物等の 4級塩; N, N—ジメチルァミノプロピル (メ タ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル (メタ)アクリルアミド等の塩酸塩及び 硫酸塩等の 3級塩;ジアルキルアミノアルキル (メタ)アクリルアミドの塩化メチル付加 物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化べンジル付加物等のハロゲン化ァラノレ キル付加物等の 4級塩等が挙げられる。
[0061] ァニオン性単量体としては、ァニオン性ビュル単量体が好ましぐ具体的には (メタ) アクリル酸及びこのナトリウム塩等のアルカリ金属塩又はアンモニゥム塩;マレイン酸 等及びそれらのアルカリ金属塩;アクリルアミドー 2—メチルプロパンスルホン酸等の アクリルアミドアルキルアルカンスルホン酸及びこのアルカリ金属塩又はアンモニゥム 塩;並びにビニルスルホン酸及びこのアルカリ金属塩又はアンモニゥム塩等が挙げら れる。
[0062] ノニオン性単量体としては、ノニオン性ビュル単量体が好ましぐ具体的には (メタ) アクリルアミド、ジメチルアミノエチル (メタ)アタリレート等のジアルキルアミノアルキル(
メタ)アタリレート、ジアルキルアミノプロピル (メタ)アクリルアミド等のジアルキルァミノ アルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビュル、アルキル (メタ) アタリレート、アルコキシアルキル(メタ)アタリレート、ビュルピリジン、ビュルイミダノー ル及びァリルアミン等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリルアミドが好 ましい。
[0063] 又、エチレン性不飽和基を有するアルキレンオキサイドオリゴマーの存在下に、前 記した単量体を重合したものも使用できる。
[0064] いずれの単量体も、単独又は 2種以上を使用することができる。
[0065] 本発明における好ましい単量体の組合せとしては、カチオン性重合体の場合は、 [1 ]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルアタリレートの 3級塩又は 4級塩、 及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、 [2]カチオン性単量体と してジアルキルアミノアルキルメタタリレートの 3級塩又は 4級塩、及びノニオン性単量 体としてアクリルアミドからなる共重合体、並びに [3]カチオン性単量体としてジアルキ ルァミノアルキルメタタリレートの 3級塩又は 4級塩とジアルキルアミノアルキルアタリレ ートの 3級塩又は 4級塩、及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合 体が挙げられる。
[0066] 又、両性重合体の場合は、 [1]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルァ タリレートの 3級塩又は 4級塩、ァニオン性単量体としてアクリル酸塩、及びノニオン性 単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、 [2]カチオン性単量体としてジアルキル アミノアルキルメタタリレートの 3級塩又は 4級塩、ァニオン性単量体としてアクリル酸 塩、及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、並びに [3]カチオン 性単量体としてジアルキルアミノアルキルメタタリレートの 3級塩又は 4級塩とジアルキ ルァミノアルキルアタリレートの 3級塩又は 4級塩、ァニオン性単量体としてアクリル酸 塩、及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体が挙げられる。
[0067] 本発明では、カチオン性単量体としてアタリレートを使用したカチオン性重合体が、 単量体の共重合性に優れる高分子であり、消化汚泥の脱水性能に優れるためより好 ましい。
[0068] 本発明のカチオン性重合体におけるカチオン性単量体単位の共重合割合としては
、前記 Cv及び 0.5%塩粘度の範囲を満たす様に適宜設定すれば良ぐ全構成単量 体単位を基準として、カチオン性単量体単位を 55〜100モル%、好ましくは 70〜; 10 0モル0 /0、より好ましくは 80〜; 100モル0 /0である。カチオン性単量体単位以外のノニ オン性単量体単位を含む場合は、 0〜45モノレ0 /0、好ましくは 0〜30モノレ0 /0、より好ま しくは 0〜20モノレ0 /0である。
[0069] 又、両性重合体の場合は、全構成単量体単位を基準として、カチオン性単量体単 位を 55〜95モノレ0 /0、好ましく (ま 70〜95モノレ0 /0、より好ましく (ま 80〜95モノレ0 /0である 。カチオン性単量体単位以外のァニオン性単量体単位及びノニオン性単量体単位 、両者の和が 5〜45モル0 /0、好ましくは 5〜30モル0 /0、より好ましくは 5〜20モル %である。この場合、ノニオン性単量体を少なくとも 5モル%共重合させた共重合体 が好ましい。
[0070] 前記重合体の製造方法については特に制限はなぐ前記した単量体を使用して、 一般的な重合方法を採用することができる。例えば、水溶液重合であれば、重合開 始剤として過硫酸カリウム、過硫酸アンモニゥム、 2,2'—ァゾビス(2—アミジノプロパ ン)二塩酸塩や、レドックス系の重合開始剤等を用いて、熱ラジカル重合を行う方法 や、ァゾ系化合物、ベンゾイン及びァセトフエノン型の光重合開始剤を用いて紫外線 照射により光ラジカル重合を行うこともできる。又、逆相のエマルシヨン重合であれば 、前記重合開始剤以外に、ァゾビスイソプチロニトリルや過酸化ベンゾィル等の水不 溶性開始剤を用いて重合を行っても良!/、。
[0071] 水溶液重合の場合には、得られたゲル状の重合体は、その後、公知の方法で切断 •細断する。細断した重合体は、バンド式乾燥機、回転式乾燥機、遠赤外線式乾燥 機及び振動流動式乾燥機等の乾燥機を使用し、温度 60〜; 150°C程度で乾燥し、口 ール式粉砕機等で粉砕して粉末状の重合体とされ、粒度調整される。
[0072] 逆相エマルシヨン重合の場合には、水で希釈、転相させて水中油型エマルシヨンと して使用する。
[0073] 本発明の高分子凝集剤としては、粉末状品のものでも逆相エマルシヨン品のもので ち使用でさる。
[0074] 本発明では、前記高分子に加え、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及びスルファ
ミン酸等、脱水処理に悪影響がでな!/、かぎり公知の添加剤と混合して使用しても良 い。
2. 消化汚泥の脱フ k方法
本発明の脱水処理の対象とされる下水消化汚泥とは、下水処理場で発生する有機 質汚泥を嫌気性消化処理したものであり、力、かる汚泥であれば種々の汚泥が適用可 能である。
[0075] 消化汚泥としては、消化の指標を表す m—アルカリ度が 500〜6, 000の汚泥が好 ましく、より好ましくは 2, 000-4, 500の:^泥である。なお、「m—ァノレカリ度」とは、 消化汚泥の進行を表す指標であり、消化が進行するとアルカリの割合が増加するの で、これを中和して pH = 4.8にするために必要な酸の割合を CaCO換算したもので
3
ある。
[0076] 本発明においては、下水消化汚泥中のカチオン要求量を測定し、この結果に応じ て高分子凝集剤を添加する方法が、効率的にしかも無駄なく高分子凝集剤を添カロ すること力 Sできるため好ましい。下水消化汚泥中のカチオン要求量は、 0. 05-0. 7 meq/g— TSが好ましぐより好ましくは 0· 05-0. 5meq/g—TSであれば容易に 処理が可能である。なお、カチオン要求量とは、特開 2000— 258407号公報に記載 された光ラベル化カチオン性高分子を用いて測定した値である。
[0077] 本発明は、下水消化汚泥に、無機凝集剤を使用せずに、前記重合体を含む高分 子凝集剤を添加しつつ又は添加した、遠心脱水機を用いて脱水するする消化汚泥 の脱水方法である。
[0078] 高分子凝集剤の汚泥への添加方法、フロックの形成方法に格別の方法はなぐ現 在使用されている方法が問題なく適用される。
[0079] 高分子凝集剤の添加方法としては、汚泥に凝集剤を添加した後、これを遠心脱水 機に供給して脱水する方法 (機外薬注型)と、汚泥を遠心脱水機に供給しつつ、同 時に凝集剤を添加する方法 (機内薬注型)の!、ずれでも使用できる。
[0080] 本発明においては、高分子凝集剤を添加する前に、必要に応じ汚泥の pHを 4〜8 とすることが好ましい。これにより、より効果的に汚泥の処理を行うことができる。なお、 pHの調製は、酸又はアルカリを添加して調整する。酸としては、塩酸、硫酸、酢酸及
びスルフアミン酸等を挙げることができる。又、アルカリとしては、苛性ソーダ、苛性カリ 、消石灰及びアンモニア等が挙げられる。
[0081] 高分子凝集剤の汚泥に対する添加割合としては、汚泥の蒸発残留物 (TS)に対し TO. 1— 5. 0質量0 /0、好ましくは 0. 3—3. 0質量0 /0、さらに好ましくは 0. 5—2. 0質 量%である。高分子凝集剤と後記するその他の高分子凝集剤を併用する場合は、全 高分子凝集剤の合計量が前記添加割合を満たすことが好ましい。
[0082] 本発明においては、前記高分子凝集剤の他、必要に要に応じて、有機カチオン性 化合物、ァニオン性高分子凝集剤等の他の凝集剤を併用することができる。他の凝 集剤の使用量は、全凝集剤に対して 1 , 000質量%以下、好ましくは 100質量%以 下である。
[0083] 有機カチオン性化合物としては、ポリマーポリアミン、ポリアミジン及びカチオン性界 面活性剤等を例示できる。ァニオン性高分子凝集剤としては、前記したァニオン性単 量体の単独重合体及び前記したァニオン性単量体及びノニオン性単量体の共重合 体等を挙げること力 Sできる。
[0084] 汚泥脱水剤を添加した後の攪拌速度及び攪拌時間等は、従来行われて!/、る脱水 条件に従えば良い。
[0085] 本発明では、形成されたフロックを遠心脱水処理により脱水し、脱水ケーキとする。
遠心脱水装置としては、例えば、デカンター型 (スクリューデカンターといういこともあ る)及び直胴型等を例示することができる。
[0086] 本発明においては、遠心脱水処理を採用するため、密閉式であるため臭気の問題 がなぐコンパクトであるため場所を要しないという効果を奏する。
[0087] 遠心脱水の条件としては、適用する汚泥の性状、使用する高分子凝集剤の種類及 び遠心分離機の種類等に応じて適宜設定すれば良い。具体的には、固形物滞留時 間(ボウル容積 X O. 20/固形物注入速度)が 0. 2〜5分の範囲であり、スクリュー差 速を 0. 5〜10rpmの範囲とすることが好ましい。
実施例
[0088] 以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、以下 において「%」とは特に断りのない限り「質量%」を意味する。
[0089] 高分子凝集剤(重合体)のカチオン当量値 (Cv)及び 0· 5%塩粘度は、次のように して測定した。
[Cvの測定]
(1)滴定法
コニカルビーカーに脱イオン水 90mlをとり、試料 500ppm溶液 10mlを加え、塩酸 水溶液で pHを 4· 0とし、約 1分間攪拌する。次に、トルィジンブルー指示薬を 2〜3 滴加え、 N/400ポリビュル硫酸カリウム試薬(以下 N/400PVSKという)で滴定す る。滴定速度は 2ml/分とし、検水が青から赤紫色に変色、 10秒間以上保持する時 点を終点とする。
(2)試料 500ppm水溶液の調製
試料 0. 2gを精秤し、共栓付三角コルベンにとり、脱イオン水 100mlで溶解する。こ の 25mlを 100mlメスフラスコにて脱イオン水でメスアップする。
(3)計算法
[0090] 國
Wm PYSK滴定量(mi) X N/400PVS の力価
2
[0091] [0.5%塩粘度]
重合体を 4質量%の塩化ナトリウム水溶液に溶解し、 0.5質量%重合体溶液を調製 する。 B型粘度計を用いて、温度 25°C、 60rpm、 5分後の重合体溶液の粘度を測定 する。
[第 1発明]
高分子凝集剤としては、粉末状の重合体である、下記表 1に示すジメチルアミノエ チルアタリレート塩化メチル付加物とアクリルアミドの共重合体(以下、 DAA系という) 及びジメチルアミノエチルメタタリレート塩化メチル付加物の単独重合体(以下、 DM A系という)を使用した。
[製造例 A]
ジメチルアミノエチルアタリレート塩化メチル付加物(以下、「DAC」と!/、う)の 79wt
%水溶液、アクリルアミド(以下、「AM」と!/、う)の 40wt%水溶液およびイオン交換水 を用い、単量体濃度がそれぞれ 80mol%、 20mol%となり、かつ単量体の濃度が 50 wt%、全量が 450mlになるように混合した。
[0092] これを窒素気流で 30分以上脱気しつつ 15°Cに調整した。 2,2'—ァゾビス(2—アミ ジノプロパン)二塩酸塩(以下、「V— 50」と!/、う)の 10wt%水溶液を全単量体に対し て固形分換算で 1000ppm、重亜硫酸ナトリウム(以下、「SHS」という)の 5%水溶液 を全単量体に対して固形分換算で 15ppm添加した。
[0093] これを照射強度が 0. 4mW/cm2となるように調整した紫外線照射装置に投入した
。反応は 1分以内に開始し、約 7分後に最高温度に達した。最高温度到達後、 20分 間照射を継続したのち、装置から取り出して放冷した。
[0094] 容器よりゲル状重合体を取り出し、ミートチョッパーに投入して裁断後、 60°Cで 10 時間乾燥した。冷却後、ミルで粉砕して粉末状高分子凝集剤を得た。
[製造例 B]
製造例 Aにおいて、 DAC及び AMに代えジメチルアミノエチルメタタリレート塩化メ チノレ付カロ物を 100モノレ0 /0、単量体濃度を 74wt%とし、 V— 50の 400ppm及び SHS の 5ppmに変更し、製造例 Aの方法にならって重合を行った。
[0095] 得られた重合体を、製造例 Aと同様の方法に従!/、裁断、乾燥及び粉砕を行い、粉 末状高分子凝集剤を得た。
[製造例 C〜D]
製造例 Aにおける V— 50及び SHSの割合を以下に変更し、製造例 Aの方法になら つて重合を行った。
•製造例 C :V— 50 ; 500ppm、 SHS; 5ppm
•製造例 D :V— 50 ; 300ppm、 SHS ; 3ppm
[製造例 E〜F]
製造例 Aにおける DAC、 AM、 V— 50及び SHSの割合を以下に変更し、製造例 A の方法にならって重合を行った。
•製造 ί列 E: DAC; 60モノレ0 /0、 AM; 40モノレ0 /0、 V— 50; 1000ppm、 SHS; lOppm '製造{列?:0 じ;45モノレ0/0、 ^[ ; 55モノレ0/0、 V— 50 ; 1200ppm、 SHS ; 45ppm
得られた重合体を、製造例 Aと同様の方法に従い裁断、乾燥及び粉砕を行い、粉 末状高分子凝集剤を得た。
[表 1]
[0097] [実施例;!〜 5,比較例;!〜 10]
表 2に示す消化汚泥 1又は 2の 200mlを 300mlのビーカーに採取し、表 1に示した 高分子凝集剤 A〜F (0. 2%水溶液)を添加後、ジャーテスターを用いて 200rpmで 60秒間撹拌しフロックを形成させた。フロック径を測定後、 80メッシュのろ布をフィノレ ターとして用いて前記フロック液を重力ろ過した。そのろ過速度を測定し、得られたろ 液の概観を次の 4段階で評価した。
[0098] ◎:極清澄
〇:清澄
八:微濁
X:懸濁
又、得られたケーキをベルトプレス機で圧搾脱水し、その含水率を測定した。それら の結果を表 3及び表 4に示す。なお、比較例において無機凝集剤を使用する場合は 、高分子凝集剤の添加に先立って、ポリ硫酸鉄を汚泥に対して 1 , OOOppm添加し、 ジャーテスターを用いて 200rpmで 30秒間撹拌した。
[0099] [表 2]
CD :特開 2 0 0 0— 2 5 8 4 0 7号公報に記載された測定法を用いたカチオン要求量
[0100] [表 3]
[0101] 実施例 1、 2及び 3では、フロック径が 3乃至 4mmと圧搾脱水に適正な大きさとなり、 ろ過速度も良好であった。又、ろ液清澄性もよぐケーキ含水率も 81 %以下を達成で きた。
[0102] これに対し、塩粘度の高い高分子凝集剤 D及び塩粘度が高くカチオン当量値が低 V、高分子凝集剤 Eをそれぞれ使用した比較例 1及び 2では、フロックが水を含んで過 大となり、添加量を増やしてもろ過速度が改善せず、むしろ低下した。又、ろ液の清 澄性も悪くケーキ含水率も実施例 1、 2及び 3に対し、同添加率比較で 1 %以上劣つ
[0103] カチオン当量値が低!/、高分子凝集剤 Fを使用した比較例 3では、実施例に比べ力 チオン当量値が低いため、汚泥の電荷が適正に中和できずフロック形成能、ろ過性 とも劣った。又、添加量を増やしてもろ過性が改善せず、ケーキが水を含みやすくな つて含水率の悪化につながった。
[0104] 無機凝集剤を併用した比較例 4、 5では、実施例 1、 3と比較してフロック径がばらつ き、ろ過性が劣った。又、添加率を増してもろ過性向上は見られず、結果としてケー キ含水率も 1%以上劣った。又。比較例 6では,フロックが粘調でいびつな形状となり、 ろ過性が大幅に低下した。ろ液の清澄性も劣り、ケーキ含水率も大幅に劣った。又、 これらの方法は、無機凝集剤を使用したため、これら以外にも、脱水後のケーキ焼却 において燃焼性能が低下や、廃棄物量が多くなつてしまう問題を内在するものであつ た。
[0105] [表 4]
[0106] 実施例 4、 5では、フロックが 3乃至 5mmの径のそろった形状となり、ろ過速度も良 好であった。又、ろ液清澄性もよぐケーキ含水率も 81 %以下を達成できた。
[0107] これに対し、塩粘度の高い高分子凝集剤 Dを使用した比較例 7では、フロックが水
を含んで過大となり、ろ過性が低下した。又、ろ液の清澄性も悪ぐケーキ含水率も実 施例 4、 5と同添加率比較で 1 %以上劣った。
[0108] 塩粘度が高くカチオン当量値が低い高分子凝集剤 Eを使用した比較例 8では、フロ ックが成長せず、ろ過性も劣った。カチオン当量値が低いため、汚泥の電荷中和が 不十分で脱水効果が出ず、含水率の悪化につながった。
[0109] 無機凝集剤を併用した比較例 9、 10では、無機凝集剤で凝結したフロックが成長し ないため径が小さぐ又べたついたものであったためろ過性が大幅に劣った添加率 を増すと若干ろ過性が向上するものの、実施例 4、 5には及ばなかった。又、ケーキ 含水率も 81 %下回る事はできなかった。又、これらの方法は、無機凝集剤を使用し たため、これら以外にも、脱水後のケーキ焼却において燃焼性能が低下や、廃棄物 量が多くなつてしまう問題を内在するものであった。
[第 2発明]
高分子凝集剤としては、粉末状の重合体である、下記表 5に示すジメチルアミノエ チルアタリレート塩化メチル付加物とアクリルアミドの共重合体(以下、「DAA系」とい う)及びジメチルアミノエチルメタタリレート塩化メチル付加物の単独共重合体(以下、 「DMA系」という)を使用した。
[製造例 G]
ジメチルアミノエチルアタリレート塩化メチル付加物(以下、「DAC」と!/、う)の 79wt %水溶液、アクリルアミド(以下、「AM」と!/、う)の 40wt%水溶液およびイオン交換水 を用い、単量体濃度がそれぞれ 80mol%、 20mol%となり、かつ単量体の濃度が 50 wt%、全量が 450mlになるように混合した。
[0110] これを窒素気流で 30分以上脱気しつつ 15°Cに調整した。 2,2'—ァゾビス(2—アミ ジノプロパン)二塩酸塩(以下、「V— 50」と!/、う)の 10wt%水溶液を全単量体に対し て固形分換算で 300ppm、重亜硫酸ナトリウム(以下、「SHS」という)の 5%水溶液を 全単量体に対して固形分換算で 3ppm添加した。
[0111] 照射強度が 0. 4mW/cm2となるように調整した紫外線照射装置に投入した。反応 は 1分以内に開始し、約 7分後に最高温度に達した。最高温度到達後、 20分間照射 を継続したのち、装置から取り出して放冷した。
[0112] 容器よりゲル状重合体を取り出し、ミートチョッパーに投入して裁断後、 60°Cで 10 時間乾燥した。冷却後、ミルで粉砕して粉末状高分子凝集剤を得た。
[製造例 H〜I]
製造例 Gにおける V— 50及び SHSの割合を以下に変更し、製造例 Gの方法になら つて重合を行った。
•製造例 H:V— 50; 500ppm、 SHS; 5ppm
•製造例 I:V— 50;1000ppm、 SHS;20ppm
得られた重合体を、製造例 Gと同様の方法に従い裁断、乾燥及び粉砕を行い、粉 末状高分子凝集剤を得た。
[製造例 J]
製造例 Gにお!/、て、 DAC及び AMに代えジメチルアミノエチルメタタリレート塩化メ チノレ付カロ物を 100モノレ0 /0、単量体濃度を 74wt%とし、 V— 50の 400ppm及び SHS の 5ppmに変更し、製造例 Gの方法にならって重合を行った。
[0113] 得られた重合体を、製造例 Gと同様の方法に従い裁断、乾燥及び粉砕を行い、粉 末状高分子凝集剤を得た。
[製造例 K〜L]
製造例 Gにおける DAC、 AM、 V— 50及び SHSの割合を以下に変更し、製造例 G の方法にならって重合を行った。
'製造{列 :0 じ;45モノレ0/0、 ^[;55モノレ0/0、¥—50;1000 111、 SHS;10ppm •製造 ί列 L: DAC; 35モノレ0 /0、 AM; 65モノレ0 /0、 V— 50; 1000ppm、 SHS; 20ppm 得られた重合体を、製造例 Gと同様の方法に従い裁断、乾燥及び粉砕を行い、粉 末状高分子凝集剤を得た。
[0114] [表 5]
カチオン当量値 0. 5%塩粘度 高分子凝集剤
Cv (meq/g) (mPa-s)
G (DAA系) 4. 5 68
H (DAA系) 4. 3 40
I (DAA系) 4. 4 18
J (DMA系) 4. 5 28
K (DAA系) 3. 2 68
L (DAA系) 2. 9 66
[0115] [実施例 6〜9,比較例 11〜; 18]
表 6に示す消化汚泥 3又は 4の 200mlを 300mlのビーカーに採取し、表 5に示す高 分子凝集剤 G〜L(0.2%水溶液)を添加後、高速攪拌機を用いて lOOOrpmで 60 秒間撹拌しフロックを形成させた。なお、この攪拌条件は、実際の遠心脱水機におけ る攪拌状態を再現するためのものである。フロック径を測定後、 80メッシュのろ布をフ ィルターとして用いて前記フロック液を重力ろ過した。そのろ過速度を測定し、得られ たろ液の概観を次の 4段階で評価した。
[0116] ◎:極清澄
〇:清澄
八:微濁
X:懸濁
又、得られたケーキを 80メッシュのろ布を内装した遠沈管に採り、 2, OOOrpmで 10 分間遠心脱水して含水率を測定した。それらの結果を表 7及び表 8に示す。
[0117] なお、比較例において無機凝集剤を使用する場合は、高分子凝集剤の添加に先 立って、ポリ硫酸鉄を汚泥に対して 1, OOOppm添力 Pし、ジャーテスターを用いて 200 rpmで 30秒間撹拌した。
[0118] [表 6]
CD:特開 2000— 258407号公報に記載された測定法を用いたカチオン要求』
[0119] [表 7]
[0120] 実施例 6及び 7では、添加量を増加させるごとにフロック径が大きくなり、ろ過速度も 向上した。又、添加量を増加させるごとに、分離液清澄性もよくなり、ケーキ含水率も 85 %以下を達成できた。
[0121] これに対し、塩粘度の低レ、高分子凝集剤 I及び Jをそれぞれ使用した比較例 1 1及 び 12では、フロック径が大きくならず、そのためろ過速度が低下した。又、ケーキ含水 率も実施例 6及び 7に対し、同添加率比較で 1 %以上劣った。
[0122] カチオン当量 が低!/、高分子凝集剤 K及び Lをそれぞれ使用した比較例 13及び 1 4では、汚泥の電荷が適正に中和できずフロック形成能、ろ過性とも劣った。又、添加 量を増やしても処理水の粘度が上がってしまうことにより、結果としてろ過性が低下し 、又ケーキが水を含みやすくなるため含水率の悪化につながった。
[0123] 無機凝集剤を併用した比較例 15では、実施例 7と比較してフロック径が小さくろ過 性が劣る。又添加率を増しても実施例 7ほどのろ過性向上は見られず、結果としてケ
ーキ含水率も 1%以上劣った。又、この方法では無機凝集剤を使用したため、これら 以外にも、脱水後のケーキ焼却において燃焼性能が低下や、廃棄物量が多くなつて しまう問題を内在するものであった。
[表 8]
[0125] 実施例 8及び 9では、添加量を増加させるごとにフロック径が大きくなり、ろ過速度も 向上した。又、分離液清澄性も良好で、ケーキ含水率も 85%以下を達成できた。
[0126] これに対し、カチオン当量値が低い高分子凝集剤 Kを使用した比較例 16では、実 施例 8と比較してフロック径が小さくろ過性が劣る。又添加率を増しても実施例 8ほど のろ過性向上は見られず、結果としてケーキ含水率も 1%以上劣った。
[0127] 実施例 8及び 9において無機凝集剤を併用した比較例 17及び 18では、実施例 8及 び 9と同等のフロックを形成するものの微細な濁りが残り清澄性が劣った。又添加量 を増やしても、汚泥の電荷中和量が過剰となるためケーキが水分を含みやすくなりろ 過性が向上しない。結果としてケーキ含水率が 1%以上劣った。又、無機凝集剤を使 用したため、これら以外にも、脱水後のケーキ焼却において燃焼性能が低下や、廃 棄物量が多くなつてしまう問題を内在するものであった。