明 細 書
シリコーンポリマー、眼用レンズおよびコンタクトレンズ 技術分野
[0001] 本発明は抗菌性を有し、かつ透明なシリコーンポリマーに関するもので、該ポリマー はコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適に用いら れる。
背景技術
[0002] コンタクトレンズ装用者に見られる問題の一つに細菌による感染の問題がある。そ の対策の一つとして、コンタクトレンズ洗浄 ·保存液に抗菌性成分を含有することによ り、コンタクトレンズ保存中に細菌が付着するのを抑制する方法が知られている(例え ば、特許文献 1)。し力、しながら、この方法では抗菌性成分は洗浄'保存液から取り出 して軽く水洗するだけでも抗菌性成分が洗レ、流されてしまい、コンタクトレンズ使用中 の細菌感染を抑制する目的には十分な効果が得られにくいという問題があった。
[0003] また、別の対策としてコンタクトレンズ素材に抗菌性を賦与する試みもなされている 。例えば、特許文献 2、 3では非シリコーン系のハイド口ゲル素材に、抗菌性を有する 4級アンモニゥム塩モノマーを共重合させて得られる抗菌コンタクトレンズが開示され ている。し力、し、これらのコンタクトレンズは素材が非シリコーン系のハイド口ゲルであ るため、連続装用に必要とされる十分な酸素透過性が得られないという問題があった
〇
[0004] さらに、特許文献 4中には高い酸素透過性を示す素材であるシリコーンハイドロゲ ル素材に 4級アンモニゥム塩モノマーを共重合させる記載が見られる。しかし、該文 献中で用いられるシリコーン化合物は分子量の高いシリコーンマクロマーであるため 、高い親水性を有するアンモニゥム塩モノマーとの相溶性が低ぐ透明なポリマーが 得られにくいと!/、う問題があった。
特許文献 1 :特表 2006— 509532
特許文献 2:特開平 06— 337378
特許文献 3:特開昭 63— 30820
特許文献 4:特表平 11 502949
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 本発明は、十分な抗菌性と高い透明性を有するシリコーンポリマー、およびそれを 用いて得られるコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズを提供する ことを目 0勺とする。
課題を解決するための手段
[0006] (1) 1種または 2種以上の分子量 1800以下のシリコーンモノマー、および分子内に アンモニゥム塩を有するモノマーを含むモノマー混合液を重合して得られることを特 徴とするシリコーンポリマー。
(2) 前記シリコーンモノマーが下記一般式(a)
M-L- Sx (a)
で表される構造を有するものを含む上記(1)記載のシリコーンポリマー。
(Mはアクリル基またはメタクリル基を表す。 Lは炭素数 1〜20の置換されてレ、てもよ い 2価の有機基を表す。 Sxは下記一般式 (b)
[0007] [化 1]
[0008] (式 (b)中、 A1〜AUはそれぞれが互いに独立に水素、置換されていてもよい炭素数 1〜20のァノレキノレ基、置換されていてもよい炭素数 6〜20のァリール基のいずれか を表す。 nは 0〜200の整数を表し、 a、 b、 cはそれぞれが互いに独立に 0〜20の整
数を表す。ただし n = a = b = c = 0の場合を除く。 )
で表されるシロキサニル基を表す。 )
(3) 前記式 (a)中の Lが少なくとも一つの水酸基を有する 2価の有機基である上記( 2)記載のシリコーンボリマー。
(4) 前記式 (a)中の Lが下記一般式 (c)
[0009] [化 2]
OH
-(CH2CHCH2)k一 0― (CH2)m— ( C )
[0010] で表される 2価の有機基である上記(3)記載のシリコーンポリマー。
(kは 1〜6の整数を表し、 mは 1〜; 17の整数を表す。ただし、 3k + m≤20である。 ) (5) シリコーンモノマーのうち、少なくとも一種類が下記式 (d)、(e)および (i)
[0011] [化 3]
[0012] 力、らなる群から選ばれたモノマーである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシリコ、 ンポリマー。
(6) 分子内にアンモニゥム塩を有するモノマーが下記式 (f )
[0013] [化 4]
[0014] で表されるモノマーである請求項;!〜 5のいずれかに記載のシリコーンポリマー。
(R1は炭素数 1〜30の置換されていてもよいアルキル基を表す。 R2〜R7は炭素数 1 〜20の置換されて!/、てもよ!/、アルキル基または炭素数 6〜20の置換されて!/、てもよ ぃァリール基を表す。 R2と R3は環を形成していてもよい。 X—は任意のァニオンを表 す。)
(7) 前記式 (f)中の R1が炭素数 4〜20の置換されていてもよいアルキル基である上 記(6)記載のシリコーンポリマー。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリマーを用いてなる眼用レンズ。
(9) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリマーを用いてなるコンタクトレンズ。 発明の効果
[0015] 本発明によれば、十分な抗菌性と透明性を有するシリコーンポリマー、およびそれ を用いて得られるコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズを得ること ができる。
発明を実施するための最良の形態
[0016] 本発明のシリコーンポリマーは、 1種または 2種以上の分子量 1800以下のシリコー ンモノマー、および少なくとも 1種類の分子内にアンモニゥムカチオンを有するモノマ 一を含むモノマー混合液を重合して得られる。
[0017] 高い親水性を有するアンモニゥムカチオンモノマーと共重合させる場合、例えばシ リコーンマクロマーのような分子量の高いものを用いると、共重合ポリマー中で疎水性 の強いシリコーン成分の単位が大きくなりすぎ、親水性であるアンモニゥムカチオン モノマーとの相溶性が得られに《なることから、透明なシリコーンポリマーが得られに くい。それに対して本発明のシリコーンポリマーでは、使用するすべてのシリコーンモ ノマーの分子量が 1800以下であることにより、共重合ポリマー中のシリコーン成分の 単位が十分小さくなり、その結果、親水性であるアンモニゥムカチオンモノマーと共重 合させても透明なシリコーンポリマーが得られる。また、分子量が小さすぎると十分な 数のシロキサン結合を有さなくなるため、眼用レンズやコンタクトレンズに必要とされる 酸素透過性が得られなくなる。したがって、シリコーンモノマーの分子量は 300〜; 18 00力《好ましく、 320〜; 1500カより好ましく、 340〜; 1200以下カさらに好ましく、 340 〜780が最も好ましい。なお、片末端にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサン など、分子量に分布の見られるシリコーンモノマーについては、分子量分布を GPC 測定した場合の UVの面積値の 80%以上が 1800以下であれば、「分子量 1800以 下」とする。
[0018] 本発明に用いられるシリコーンモノマーは、 2つ以上の重合性基を有すると架橋剤 として機能し、得られるシリコーンポリマーの弾性率が高くなりすぎることから、下記一 般式 (a)
M-L- Sx (a)
で表される、分子内に重合性基を一つ有する構造のシリコーンモノマーが好まし!/、。
[0019] 式 (a)中の Μはラジカル重合可能な重合性基を表す。ラジカル重合可能な重合基 の例としては、ビニノレ基、ァリノレ基、ビニロキシ基、ァリロキシ基、ビュル力ルバメート 基、ァリルカルバメート基、ビュルカーボネート基、ァリルカーボネート基、メタタリロイ ル基、アタリロイル基、スチリル基などが挙げられる。これらのうち、得られるポリマーの 弾性率の点で好ましいのはアタリロイル基、メタクリロイル基である。
[0020] 式 (a)中、 Lは炭素数;!〜 20の置換されていてもよい 2価の有機基を表す。得られる ポリマーの弾性率を下げるためにはアルキレン基がより好ましぐ親水性モノマーとの 相溶性を増すためには水酸基、エチレンォキシド構造を有することがより好ましい。そ
の例としてメチレン基、エチレン基、プロピレン基、 1 メチルエチレン基、 2—メチノレ エチレン基、 n—プロピレン基、 n ブチレン基、 2—メチルプロピレン基、 2, 2—ジメ チルプロピレン基、 n ペンチレン基などの 2価の炭化水素基、 2—ヒドロキシプロピレ ン基、 2 ヒドロキシブチレン基、 3 ヒドロキシブチレン基などの水酸基を有する 2価 の有機基、下記式 (L一;!)〜(L 3)などの式で表されるようなエーテル結合を有す る 2価の有機基、および下記式(L 4)、 (L 5)などの式で表されるようなエーテル 結合と水酸基を併せもつ 2価の有機基などが挙げられる。
[0021] [化 5]
[0022] これらのうち、式(c)
[0023] [化 6]
OH
(CH2CHCH2)k— O—— (CH2)m— ( c )
[0024] で表される構造が好ましぐさらに式 (c)中の k = l、 mが 1〜5である場合がより好まし い。
[0025] 式(a)中、 Sxはシロキサニル基を表す。ここで、シロキサニル基は構造中に少なくと も一つの Si— O— Si結合を有する基を表す。
[0026] [化 7]
[0027] n、 a、 b、 cは 0〜24の整数を表し、 0く n + a + b + cく 25である。 n + a + b + cでシリ コーン化合物中のシロキサン結合の数を表すが、 n + a + b + cの数が少ないすぎると 眼用レンズやコンタクトレンズに必要とされる酸素透過性が十分に得られず、多すぎ ると親水性のアンモニゥム塩モノマーとの相溶性が低くなり、透明なレンズが得られな いことから;!〜 24が好ましぐ 2〜; 1 7力 り好ましく、 2〜; 1 1が最も好ましい。
[0028] Ai A11はそれぞれ置換されていてもよい炭素数 1〜20のアルキル基または置換 されていてもよい炭素数 6〜20のァリール基を表す。上記の構造で表される置換基 の中で、かかる置換基を有した化合物が工業的に比較的安価に入手できることから
)シリル基、ジメチルトリメチルシ口キシシリル基、ポリ(ジメチルシロキサン)基からなる 群から選ばれた基である。
[0029] 一般式(a)で表されるシリコーンモノマーのうち、親水性モノマー、アンモニゥム塩 モノマーとの相溶性、重合して得られるポリマーの酸素透過性、機械的特性などの点 で好ましいのは下記式(d)、(e)、 (i)
[0030] [化 8]
[0031] で表されるシリコーンモノマーである。さらに、ポリビュルピロリドンなどの内部湿潤剤 と混合しても透明なシリコーンポリマーが容易に得られることから、式 (e)、式 (i)で表 されるような分子内に水酸基を有するシリコーンモノマーが最も好ましい。
[0032] 本発明のシリコーンポリマーに用いられるアンモニゥム塩モノマーは分子内に重合 性基とアンモニゥムカチオンを有するモノマーであればよ!/、。重合性基はラジカル重 合可能であれば特に制限はなぐ(メタ)アタリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリ ル基、ァリル基、ビュル基、および他のラジカル重合可能な炭素 ·炭素不飽和結合を 有する基が含まれる。また、アンモニゥムカチオンは窒素原子上の重合性基につな がる一つ以外の三つの置換基力 S、それぞれ独立に置換されていてもよい炭素数 1〜 20のアルキル基または置換されていてもよい炭素数 6〜20のァリール基であり、それ らの置換基は互いに環を形成していてもよい。別の言い方をすると、アンモニゥムカ チオン上の、重合性基を有する基を含む四つの置換基は互いに環を形成していても よい。また、四つの置換基のうち、二つまたは三つが同一、すなわちアンモニゥムカ
チオンの窒素原子と二重結合、三重結合を形成していてもよい。より具体的な構造の 例を挙げると下記一般式 (f)、(g)、 (h)
[0033] [化 9]
[0034] [化 10]
[0035] (式 (g)、 (h)中、 R8〜R1()はそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素数 1〜20の アルキル基または置換されていてもよい炭素数 6〜20のァリール基を表す。 R11は水 素またはメチル基を表す。 Zは Oまたは NHを表す。 X—は任意のァニオンを表す。 ) で表されるアンモニゥム塩モノマーなどが挙げられる。それらのうち、熱安定性と抗菌 性の点で最も好ましいのは一般式 (f)で表されるビュルイミダゾリウム塩である。
[0036] 一般式 (f)中、 R1は炭素数 1〜30の置換されていてもよいアルキル基を表す。炭素 数が少ないと、アンモニゥムカチオン部分の親水性によりシリコーンモノマーとの相溶 性が低下し、炭素数が多すぎると、親水性モノマーとの相溶性が低下することから、 炭素数 4〜20が好ましぐ炭素数 4〜; 15がより好ましい。
[0037] 一般式 (f)中、 R2〜R7は炭素数 1〜20の置換されていてもよいアルキル基または 炭素数 6〜20の置換されて!/、てもよ!/、ァリール基を表す。 R2と は環を形成して!/ヽ てもよい。
[0038] 一般式 (f)中、 X—は任意のァニオンを表す。その例として、フッ化物イオン、塩化物 イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、 硫酸イオン、硝酸イオン、四フッ化ホウ素イオンなどが挙げられる。それらのうち、合 成の容易さの点でハロゲン化物イオンが最も好ましい。
[0039] 本発明のシリコーンポリマー中のシリコーンモノマーの含有量は少なすぎると十分 な酸素透過性が得られず、多すぎると親水性モノマー、アンモニゥム塩モノマーとの 相溶性が得られにくくなることから、アンモニゥム塩モノマー以外の各種モノマーの重 量の合計を 100重量部とした時に、シリコーンモノマーの含有量は 20〜80重量部が 好ましぐ 30〜80重量部がより好ましぐ 50〜80重量部が最も好ましい。
[0040] 本発明のシリコーンポリマー中のアンモニゥム塩モノマーの含有量は、少なすぎると 十分な抗菌性が得られず、多すぎるとシリコーンモノマーとの相溶性が得られにくくな ること力、ら、 0. 00;!〜 20重量きカ好ましく、 0. 005〜; 15重量きカより好ましく、 0. 0 1〜 10重量部が最も好まし!/、。
[0041] 本発明のシリコーンポリマーを眼用レンズ、特にソフトコンタクトレンズに用いる場合 、シリコーンモノマー、アンモニゥム塩モノマー以外に親水性モノマーを共重合するこ とが好ましい。共重合する親水性モノマーとしては、共重合可能であれば特に制限 はなく、(メタ)アタリロイル基、スチリル基、ァリル基、ビュル基、および他の重合可能 な炭素 ·炭素不飽和結合を有するモノマーを使用することができる。
[0042] 以下、その例をいくつか挙げる力 S、本発明はこれらに限定されるものではない。 (メ タ)アクリル酸、ィタコン酸、クロトン酸、ビュル安息香酸などのカルボン酸類、 2—ヒド ロキシェチル (メタ)アタリレートなどの水酸基を有する(メタ)アタリレート類、 N, N—ジ
メチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、 N—ビュルピロリドン、 N—ビニルイ ミダゾールなどである。これらのうち、得られるシリコーンポリマーの機械的特性や長 期保存安定性の点で好ましいのは、 N, N—ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)アタリ ルアミド類である。
また、本発明のシリコーンポリマーの透明性を向上させるためには、特に 2—ヒドロキ シェチル (メタ)アタリレートなどの水酸基を有する(メタ)アタリレートモノマーを共重合 させることが好ましい。使用する場合の使用量は、少なすぎると透明性向上の効果が 得られにくく、多すぎるとポリマー物性に影響を及ぼすことから、 0. ;!〜 25重量部が 好ましぐ 0. 5〜20重量部がより好ましぐ 1. 0〜; 15重量部が最も好ましい。また、シ リコーンポリマー中の水酸基数を OH、アンモニゥム窒素の数を Nとした場合、 N/O H比は小さすぎると十分な抗菌性が得られず、大きすぎるとシリコーンポリマーが十 分な透明十生を得られないこと力、ら、 0. 0000;!〜 0. 3力 S好ましく、 0. 00;!〜 0. 25力 Sよ り好ましく、 0. 01-0. 2が最も好ましい。また、 N/OH比の測定法は、シリコーン成 分、抗菌成分およびその他各成分の種類や量に応じて選択されるが、その例として、 核磁気共鳴法 (NMR)、赤外分光法 (IR)、元素分析、全反射型赤外吸収測定 (AT R)、紫外分光法 (UV)、滴定法等の一般的な各種測定方法、およびそれらの組み 合わせを挙げることができる。 本発明のシリコーンポリマーにおいては、良好な機械 物性が得られ、消毒液や洗浄液に対する良好な耐性が得られるという意味で、 1分 子中に 2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを共重合成 分として用いることが好ましい。 1分子中に 2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和 結合を有するモノマーの共重合比率は 0. ;!〜 20重量%が好ましぐ 0. 3〜; 15重量 %がより好ましぐ 0. 5〜; 10重量%がさらに好ましい。
[0043] 本発明のシリコーンポリマーは、紫外線吸収剤や色素、着色剤などを含むものでも よい。また重合性基を有する紫外線吸収剤や色素、着色剤を共重合した形で含有し てもよい。
[0044] 本発明のシリコーンポリマーを重合により得る際は、重合をしやすくするために過酸 化物ゃァゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加することが好 ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有するも
のを選択して使用する。一般的には 10時間半減期温度が 40°C〜 120°Cのァゾ系開 始剤および過酸化物系開始剤が好適である。光重合開始剤としてはカルボニル化 合物、過酸化物、ァゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、および金属塩などを 挙げること力 Sできる。これらの重合開始剤は単独または混合して用いられ、およそ 1重 量%くらいまでの量で使用される。
[0045] 本発明のポリマーを重合により得る際は、重合溶媒を使用することができる。溶媒と しては有機系、無機系の各種溶媒が適用可能であり特に制限はない。例を挙げれば 、水、メタノール、エタノール、プロパノール、 2—プロパノール、ブタノール、 tert ブ タノール、 tert ァミルアルコール、 3, 7—ジメチルー 3—ォクタノールなどの各種ァ ルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素系溶剤、 へキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグ口イン、ノ ラフィ ンなどの各種脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソプチ ルケトンなどの各種ケトン系溶剤、酢酸ェチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタ ル酸ジォクチル、二酢酸エチレングリコールなどの各種エステル系溶剤、ジェチルェ 一テル、テトラヒドロフラン、ジォキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジ エチレングリコーノレジァノレキノレエーテノレ、 トリエチレングリコーノレジァノレキノレエーテノレ 、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルェ 一テル、ポリエチレングリコール ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエ チレングリコール ポリプロピレンダリコールランダム共重合体などの各種グリコール エーテル系溶剤であり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
[0046] 本発明のポリマーの重合方法、成形方法としては通常の方法を使用することができ る。たとえば一旦、丸棒や板状に成形し、これを切削加工等によって所望の形状に 加工する方法、モールド重合法、およびスピンキャスト法などである。
一例として本発明のポリマーをモールド重合法により得る場合について、次に説明す
[0047] モノマー組成物を一定の形状を有する 2枚のモールドの空隙に充填する。そして光 重合あるいは熱重合を行ってモールドの形状に賦型する。モールドは樹脂、ガラス、 セラミックス、金属等で製作されているが、光重合の場合は光学的に透明な素材が用
いられ、通常は樹脂またはガラスが使用される。ポリマーを製造する場合には、多く の場合、 2枚の対向するモールドにより空隙が形成されており、その空隙にモノマー 組成物が充填される力 S、モールドの形状やモノマーの性状によってはポリマーに一 定の厚みを与え、かつ、充填したモノマー組成物の液もれを防止する目的を有する ガスケットを併用してもよい。続いて、空隙にモノマー組成物を充填したモールドは、 紫外線のような活性光線を照射される力、、オーブンや液槽に入れて加熱されて、モノ マーを重合する。光重合の後に加熱重合したり、逆に加熱重合後に光重合するなど 、両者を併用する方法もあり得る。光重合の場合は、例えば水銀ランプや捕虫灯を光 源とする紫外線を多く含む光を短時間(通常は 1時間以下)照射するのが一般的であ る。熱重合を行う場合には、室温付近力 徐々に昇温し、数時間ないし数十時間か けて 60°C〜200°Cの温度まで高めていく条件が、ポリマーの光学的な均一性、品位 を保持し、かつ再現性を高めるために好まれる。
[0048] 本発明のポリマーを用いてなる成型品は、種々の方法で改質処理を行うことができ る。表面の水濡れ性を向上させる改質処理を行うことが好ましい。
[0049] 具体的な改質方法としては、電磁波 (光を含む)照射、プラズマ照射、蒸着およびス パッタリングなどのケミカルベーバーデポジション処理、加熱、塩基処理、酸処理、そ の他適当な表面処理剤の使用、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。こ れらの改質手段の中で、簡便であり好ましいのは塩基および酸処理である。
[0050] 塩基処理または酸処理の一例としては、成型品を塩基性または酸性溶液に接触さ せる方法、成型品を塩基性または酸性ガスに接触させる方法等が挙げられる。その より具体的な方法としては、例えば塩基性または酸性溶液に成型品を浸漬する方法 、成型品に塩基性または酸性溶液または塩基性または酸性ガスを噴霧する方法、成 型品に塩基性または酸性溶液をヘラ、刷毛等で塗布する方法、成型品に塩基性ま たは酸性溶液をスピンコート法やディップコート法などを挙げることができる。最も簡 便に大きな改質効果が得られる方法は、成型品を塩基性または酸性溶液に浸潰す る方法である。
[0051] 成型品を塩基性または酸性溶液に浸漬する際の温度は特に限定されな!/、が、通 常— 50°C〜300°C程度の温度範囲内で行われる。作業性を考えれば— 10°C〜15
0°Cの温度範囲がより好ましぐ - 5°C〜60°Cが最も好ましレ、。
成型品を塩基性または酸性溶液に浸漬する時間につ!/、ては、温度によっても最適 時間は変化するが、一般には 0. ;!〜 100時間が好ましぐ 0. 3〜24時間以内がより 好ましぐ 0. 5〜; 12時間以内が最も好ましい。接触時間が短すぎると十分な処理効 果が得られず、接触時間が長すぎると、作業性および生産性が悪くなるば力、りでなく 、酸素透過性の低下や機械物性の低下などの悪影響が出る場合がある。
[0052] 塩基としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、各種炭酸塩、各 種ホウ酸塩、各種リン酸塩、アンモニア、各種アンモニゥム塩、各種アミン類およびポ リエチレンィミン、ポリビュルァミン等の高分子量塩基などが使用可能である。これら の中では、低価格であることおよび処理効果が大きいことからアルカリ金属水酸化物 が最も好ましい。
[0053] 酸としては硫酸、リン酸、塩酸、硝酸等の各種無機酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フエ ノール等の各種有機酸、およびポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などの各種高 分子量酸が使用可能である。これらの中では、処理効果が大きく他の物性への悪影 響が少ないことから高分子量酸が好ましぐそれらのうち、酸性度や溶解性の点でポ リアクリル酸が最も好ましい。
[0054] 塩基性または酸性溶液の溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例 えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、 2—プロパノーノレ、ブタノール、ェチ レングリコーノレ、ジエチレングリコーノレ、トリエチレングリコーノレ、テトラエチレングリコー ノレ、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン 、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、へキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油 エーテル、ケロシン、リグ口イン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メ チルェチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸ェチル、酢酸ブ チル、安息香酸メチル、フタル酸ジォクチルなどの各種エステル類、ジェチルエーテ ノレ、テトラヒドロフラン、ジォキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジェチ レングリコーノレジァノレキノレエーテノレ、トリエチレングリコーノレジァノレキノレエーテノレ、テト ラエチレングリコーノレジァノレキノレエーテノレ、ポリエチレングリコーノレジァノレキノレエーテ ルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルァセトアミド、 N—メチルー
2—ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、へキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチル スルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロ口ホルム、ジクロロ ェタン、トリクロロェタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶 媒などである。中でも経済性、取り扱いの簡便さ、および化学的安定性などの点で水 が最も好ましい。溶媒としては、 2種類以上の物質の混合物も使用可能である。
[0055] 本発明にお!/、て使用される塩基性または酸性溶液は、塩基性または酸性物質およ び溶媒以外の成分を含んでレ、てもよレ、。
[0056] 成型品は、塩基処理または酸処理の後、洗浄により塩基性または酸性物質を除くこ と力 Sできる。
[0057] 洗浄溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノーノレ、 エタノーノレ、プロノ ノーノレ、 2—プロノ ノーノレ、ブタノーノレ、エチレングリコーノレ、ジェ チレングリコーノレ、トリエチレングリコーノレ、テトラエチレングリコーノレ、ポリエチレングリ コーノレ、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種 芳香族炭化水素、へキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リ グロイン、ノ ラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルェチルケトン、メチ ルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸ェチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、 フタル酸ジォクチルなどの各種エステル類、ジェチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ ォキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキル エーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジァ ノレキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類 、ジメチルホルムアミド、ジメチルァセトアミド、 N—メチルー 2—ピロリドン、ジメチルイ ミダゾリジノン、へキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非 プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロ口ホルム、ジクロロェタン、トリクロロェタン、ト リクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。
[0058] 洗浄溶媒としては、 2種類以上の溶媒の混合物を使用することもできる。洗浄溶媒 は、溶媒以外の成分、例えば無機塩類、界面活性剤、および洗浄剤を含有してもよ い。
[0059] 該改質処理は、成型品全体に対して行ってもよぐ例えば表面のみに行うなど成型
品の一部のみに行ってもよい。表面のみに改質処理を行った場合には成型品全体 の性質を大きく変えることなく表面の水濡れ性のみを向上させることができる。
[0060] 本発明のポリマーを用いてなる成型品の表面の水濡れ性を向上させる他の方法と して、重合時のモノマー混合液中に親水性ポリマーを加えた状態で重合させ、成形 品に親水性ポリマーを保持させて表面の水濡れ性を向上させる内部湿潤剤法が挙 げられる。内部湿潤剤として用いる親水性ポリマーの例としては、ポリビュルピロリドン などのポリビュル環状アミド類、ポリビュルイミダゾールなどのポリビュル環状アミン類 、ポリ N, N ジメチルアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類、ポリビュルアルコール などのポリアルコール類、ポリアクリル酸などのポリカルボン酸類、ポリエチレングリコ ール類、これらの混合物、コポリマーなどを挙げることができる。これらのうち、成形品 表面の水濡れ性向上の点で最も好ましいのはポリビュルピロリドンである。
[0061] 本発明の眼用レンズの酸素透過性は、低すぎると、特に連続装用時に酸素不足に よる眼障害が起こり、高くしょうとしすぎると他の眼用レンズに必要とされる諸物性の低 下を招くこと力、ら、酸素透過係数 70 X 10— U〜500 X 10 11 (cm2/sec)mLO /(mL-hP
2 a)が好ましい。
[0062] 本発明の眼用レンズの抗菌性は、緑膿菌で 3サンプルの菌数を測定した場合、培 養後の菌数の 3回の平均値が、培養前の初期菌数の 3回の平均値の 4倍以内であれ ば増殖なしとみなし、抗菌効果があると判断する。より好ましくはコントロールの菌数 の平均値の 10%以下であり、最も好ましくはコントロールの菌数の 1 %以下である。 本発明のポリマーは、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとし て特に好適である。
実施例
[0063] 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定され るものではない。
[0064] 合成例 1
50mLナスフラスコに N ビュルイミダゾール(4. 71g、 50mmol)、ヨウ化 n オタ チノレ(12. 01g、 50mmol)、 2, 6 ジ一 t ブチル 4 メチルフエノール(BHT、 0 . 1672g)を加え、 65°Cで 14時間加熱した。反応後、シリカゲル 90gを用い、クロロホ
ノレム/メタノーノレ = 50/1 (360mL)→30/l (360mL)→20/l (360mL)→10 /l (180mL)→5/l (180mUを溶出液として用いてカラム精製した。 TLCで目的 物のスポットが含まれるフラクションを集め、エバポレータで溶媒を留去して、下記式( xl)で表される黄色オイル状のアンモニゥム塩モノマーを得た。
[化 11]
(xl)
[0066] 合成例 2
200mLナスフラスコに還流冷却管を装着し、ヨウ化 n ォクチルの代わりにヨウ化 n ブチル(11. 05g、 60mmol)を用い、溶媒としてアセトンを 50mL用いる以外は合 成例 1と同様の合成を行い、反応後、エバポレータで溶媒を留去してから実施例 1と 同様の精製を行って、下記式 (x2)で表される黄色オイル状のアンモニゥム塩モノマ 一を得た。
[0067] [化 12]
(x2)
[0068] 合成例 3
50mLナスフラスコに還流冷却管を装着し、ヨウ化 n—ォクチルの代わりに塩化 n— ブチル(13. 89g、 150mmol)を用いて 90°C、 20時間反応させる以外は実施例 1と 同様の合成、精製を行い、下記式 (x3)で表される黄色オイル状のアンモニゥム塩モ ノマーを得た。
[0069] [化 13]
[0070] 合成例 4〜 9
ヨウ化 n—ォクチルの代わりに一般式 R^— Xで表されるハロゲン化アルキルを表 1の ように用いて実施例 1と同様の合成、精製を行い、下記一般式で表される(x4)〜(X 9)のアンモニゥム塩モノマーを得た。
[0071] [化 14]
(x4)〜(x9)
[0073] 実施例 1
下記式 (yl)
[0074] [化 15]
[0075] で表されるシリコーン化合物(分子量 423、 30重量部)、 N, N—ジメチルアクリルアミ ド(36. 8重量部)、下記式 (y2)
[0076] [化 16]
[0077] で表される片末端がメタクリル化されたポリジメチルシロキサン(分子量約 1000、 30 重量部)、両末端カ^タクリル化されたポリジメチルシロキサン (分子量約 1000、 3. 1 重量部)、実施例 1で得られたアンモユウム塩モノマー(xl) (5. 8重量部)、光開始 剤イノレガキュア 1850 (1. 0重量部)、 3, 7—ジメチルー 3—ォクタノール(22· 4重量 部)を混合し撹拌した。 OH/N比は表 2の通りであった。均一で透明なモノマー混合 物が得られた。このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下 のグローブボックス中で 10cm角、厚さ 3mmのガラス板 2枚(うち 1枚には剥離しやす いようにアルミシールを貼付)の間に、厚さ lOO ^ mのパラフィルムの中央部を切り抜 いたものを 2枚スぺーサ一として挟み、そこにモノマー混合物を流し込んで、光照射( 東芝 FL6D昼光色蛍光灯、 8. 4キロルクス、 15分間)により板間重合してフィルム状 サンプノレを得た。
[0078] 得られたフィルム状サンプルを、水中で超音波を 20分間あててガラス板から剥離し 、 60%IPA水溶液に 60°Cで一晚浸漬し、さらに 80%IPA水溶液に 60°C、 2時間浸 漬して残存モノマーなどの不純物を抽出し、 50%IPA水溶液、 25%水溶液、水と段 階的に IPA濃度を下げた液におよそ 30分ずっ浸漬して水和した。 200mLガラス瓶 中のホウ酸緩衝液(ρΗ7·;!〜 7. 3)に浸漬し、該ガラス瓶をオートクレーブに入れ、 1 20°Cで 30分間煮沸処理を行った。放冷後、フィルム状サンプルをガラス瓶から取り 出し、ホウ酸緩衝液 (ρΗ7· ト 7· 3)に浸漬した。得られたサンプルは透明で濁りが なぐコンタクトレンズ用ポリマーとして好適であった。
[0079] [表 2]
表 2
[0080] 実施例 2
アンモニゥム塩モノマーとして式(xl)で表されるモノマーの代わりに、上記合成例 2 で得た式 (x2)で表されるモノマーを用いて実施例 1と同様の方法でフィルム状サン プルを得た。 OH/N比は表 2の通りであった。得られたサンプルは透明で濁りがなく 、コンタクトレンズ用ポリマーとして好適であった。
[0081] 実施例 3
アンモニゥム塩モノマーとして式(xl)で表されるモノマーの代わりに、式(x3)で表 されるモノマーを用いて実施例 1と同様の方法でフィルム状サンプルを得た。 OHZ N比は表 2の通りであった。得られたサンプルは透明で濁りがなぐコンタクトレンズ用 ポリマーとして好適であった。
[0082] 実施例 1 2
モノマー組成を、式 (yl)で表されるシリコーン化合物(23重量部)、下記式 (y3)
[0083] [化 17]
[0084] で表されるシリコーン化合物(35重量部)、 N, N ジメチルアクリルアミド(28重量部 )、ポリ(ビュルピロリドン)(K— 90、 8重量部)、 2 ヒドロキシェチルメタタリレート(12 重量部)、トリ(エチレングリコール)ジメタタリレート(1重量部)、両末端カ^タクリル化 されたポリジメチルシロキサン(分子量約 1000、 1重量部)、式 (xl)で表されるモノマ 一(5重量部)、光開始剤ィルガキュア 1850 (1重量部)、 3, 7 ジメチル— 3 ォクタ ノール(14重量部)の混合物に変えて実施例 1と同様の重合、後処理を行い、抗菌 性評価用サンプルを得た。
[0085] 実施例 4〜9
アンモニゥム塩モノマーとして式(xl )で表されるモノマーの代わりに、式(x4)〜(X 9)で表されるモノマーを用いて実施例 1 2と同様の方法でフィルム状サンプルを得 た。これらのサンプルの OH/N比は表 2の通りであった。得られたサンプルは透明 で濁りがなぐコンタクトレンズ用ポリマーとして好適であった。得られたサンプルの一 部について、弾性率と伸度を測定したところ、表 3の通り良好な物性を示した。
[0086] [表 3] 表 3
[0087] 比較例 1
上記シリコーンモノマー(y2)を、分子量約 1000のものから約 5000のものに代えて 実施例 1と同様の方法でフィルム状サンプルを得ようとした力 白濁し透明なフィルム は得られなかった。
比較例 2
上記シリコーンモノマー(y2)の代わりに下記式 (y4)
[0089] で表される分子量約 3260のシリコーンマクロマーを用いて、実施例 1と同様のフィル ムを作製しょうとした力 白濁し透明なフィルムは得られなかった。
[0090] 比較例 3
シリコーンモノマー(y2)の代わりに式(y4)で表される分子量約 4740のシリコーン モノマーを用いて実施例 1と同様のフィルムを作製しょうとした力 白濁し透明なフィ ルムは得られなかった。
[0091] 比較例 4
アンモニゥム塩モノマー(xl)の含有量を 25重量部に変える(OH/N比 0. 45)以 外は実施例 1と同様の方法でフィルムを作製しょうとしたカ、白濁し透明なフィルムは 得られなかった。
[0092] 比較例 5
アンモニゥム塩モノマー(xl)を加えない以外は実施例 1と同様にして重合し、フィ ルム状サンプルを得た。 3cm角に切り出して抗菌性評価用サンプルとした。
[0093] 比較例 6
比較例 4で得られたフィルム状サンプルを 50mLスクリュー管に入れ、 1. 7%PVP /ポリメチルビ二ルイミダゾリゥムクロリド(95/5)水溶液に室温で 16時間浸漬した。
[0094] 抗菌評価
実施例 1〜9で得られたフィルム状サンプルを 3枚ずつ用意し、 JIS Z 2801 : 200 0「抗菌加工製品 抗菌性試験方法'抗菌効果」 5. 2 プラスチック製品などの試験 方法に基づき、コンタクトレンズ使用時にみられる代表的な細菌の一つである緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa NBRC 13275)をフィルム状サンプルに接種し、 接種した直後の菌数 (初期菌数)および 35°C、 24時間後の菌数をカウントして抗菌 評価を行った。その結果は下表 3の通りであり、アンモニゥム塩モノマーを加えずに 重合した比較例 4で得られたフィルム状サンプルでは初期菌数と比較して増殖が見
られたのに対し、実施例 1〜3で得られたフィルム状サンプルでは初期菌数と比較し て増殖抑制もしくは 2〜3桁の減少が見られ、十分な抗菌性を示した。
[表 4]
表 4
[0096] 超音波洗浄後の抗菌評価
実施例 1および比較例 5で得られたフィルム状サンプルを 300mLの蒸留水に浸漬 し、超音波で 15分間洗浄した後、取り出して上記と同様の抗菌評価を行った。その 結果は下表 4の通りであり、抗菌性高分子水溶液に浸漬したのみの比較例 5で得ら れたフィルム状サンプルでは抗菌性が失われて菌の増殖が見られたのに対して、実 施例 1で得られたフィルム状サンプルは超音波洗浄後も十分な抗菌性を有すること が示された。
実施例 11
ガラス板の代わりに透明樹脂(ポリ 4ーメチルペンテン 1)製のコンタクトレンズ用モ 一ルドを用いる以外は実施例 1と同様にして煮沸まで行い、コンタクトレンズ状サンプ ルを得た。