明 細 書
バイオセンサ及びその製造方法並びに当該バイオセンサを用いた検出 方法
技術分野
[0001] 本発明は、タンパク質等の検出を行うバイオセンサに関し、より詳しくは、分子認識 物質であるペプチドがリンカ一を介して担持体上に固定されたバイオセンサに関する
〇
背景技術
[0002] 近年、分析時間の短縮化や操作の簡略化のために、認識対象物質と特異的に反 応する分子認識物質 (例えば、タンパク質やペプチド)を、マイクロチップの反応領域 に高密度に固定配置する技術が提案されている(例えば、非特許文献 1参照。)。
[0003] 非特許文献 1 :軽部征夫著 「バイオセンサ」シーエムシー出版 2002年
[0004] タンパク質は、さまざまな物質群と共存した生体内においては安定であるが、単離 された場合には、温度 ·湿度 ·ρΗ·酸素 *光*夾雑物質 ·汚れ ·腐敗等の影響によって 構造が変化したり、失活したりするおそれがある。また、タンパク質は、固体(チップ) 表面との接触の際に変性するおそれもある。さらに、認識対象物質を含むサンプル にプロテアーゼ等の酵素が存在すると、タンパク質が加水分解されてしまうおそれも ある。よって、これらの要因を全て排した装置を構成しょうとすると、装置全体が複雑 化するので機器トラブルの増大やコスト高を招く。さらに、単離されたタンパク質はそ れ自体が高価であるので、単離されたタンパク質を用いる上記技術は、バイオセンサ 装置のコスト上昇を招く。
[0005] 他方、ペプチドは、タンパク質のような複雑な 3次元構造をもたな!/、。よって、上記の ようにタンパク質が被る構造変化ゃ失活がないので、分子認識物質として有用である と考えられている。し力、しながら、ペプチドを直接チップ (基板等)に固定すると、ぺプ チドの自由運動が阻害され、分子認識能力を失ってしまう。このため、チップとぺプチ ドとの距離をある程度離した状態で両者をつなぐリンカ一が不可欠となる。
[0006] リンカ一を用いてペプチドをチップに固定する技術としては、特許文献 1の技術が
ある。
[0007] 特許文献 1 :特表 2003— 536073号公報
[0008] 特許文献 1は、基板表面に安定に結合したアンカーセグメントと、ペプチド模倣タン パク質結合剤と、該アンカーセグメントおよび該ペプチド模倣セグメントを接続し、そ して分離するリンカ一セグメントと、を含むタンパク質結合剤に関する。この技術によ ると、失活のおそれの無レ、タンパク質結合剤を提供できるとされる。
[0009] しかしながら、特許文献 1にかかる技術は、
(1)ペプチド模倣タンパク質結合剤とリンカ一セグメントの結合、
(2)リンカ一セグメントとアンカーセグメントの結合、
(3)アンカーセグメントと基板との結合、
という 3つの複雑な工程を必要とするため、コスト高になるという問題がある。
[0010] 他方、特許文献 2には、リンカ一としてダルタルアルデヒド(GA)を用いる方法が提 案されている。
[0011] 特許文献 2 :特公昭 61— 8942号公報
[0012] 特許文献 2にかかる技術は、キトサンなどのアミノ基を有する固体に、ダルタルアル デヒドを介して抗体や酵素等のタンパク質を固定化する技術である。ダルタルアルデ ヒドはリンカ一として優れた反応性を有する力 S、一方で消毒薬としても広く用いられて いる化合物でもあり、タンパク質等を失活させる。また、ダルタルアルデヒドは柔軟性 を欠く物質であり、固定化に際して、タンパク質等を硬質化して、分子認識機能を損 なわせるおそれもある。
[0013] ところで、ペプチドを得るためには、天然のタンパク質を分解する方法や人工合成 する方法がある力 天然のタンパク質を分解するためには、先ず特定のタンパク質を 単離し、しかる後に分解する必要があり、天然ペプチドの入手には多大なコストが掛 かる。他方、人工合成する方法は、任意のペプチドをより安価に得ることができる力 検出対象であるタンパク質の分子認識部位以外のペプチドを用いても、 目的とする 分子を検出することができない。また、分子認識に不必要な部分を含むペプチドの 合成は、コスト上昇を招くのみで有益ではない。
[0014] それゆえ、 目的とする分子を検出するのに必要不可欠な最小単位のアミノ酸配歹 IJ (
ペプチド)を先ず特定し、これを天然タンパク質の分解によって得る力、、または人工合 成し、これを分子認識物質として用いるのが合理的である。特に上記必要不可欠な 最小単位のアミノ酸配列を含むペプチドを人工合成して用いるのが合理的である。 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0015] 本発明は以上のような考えの下になされた発明である。本発明は分子認識性、保 存安定性、経済性に優れた使レ、勝手のょレ、バイオセンサを提供することを目的とす 課題を解決するための手段
[0016] 上記課題を解決するための第 1の発明に係るバイオセンサは、認識対象物質を捕 捉し検知するバイオセンサであって、分子認識物質であるペプチドと、 2以上の特定 官能基を有する炭化水素系化合物からなるリンカ一と、担持体と、を有し、前記ぺプ チドは前記リンカ一の 1つの特定官能基と直接結合し、前記担持体は前記ペプチドと 結合した当該リンカ一の他の 1つの特定官能基と直接結合していることを特徴とする
[0017] この構成によれば、分子認識物質としてペプチドを用いているため、構造安定性が 向上する。
[0018] また、前記ペプチドは前記リンカ一の 1つの特定官能基と直接結合し、前記担持体 は前記ペプチドと結合した当該リンカ一の他の 1つの特定官能基と直接結合している 。よって 4、上記特許文献 1のように複雑な反応工程を必要としない。
[0019] ここで、上記「ペプチド」には、 2以上のアミノ酸がペプチド結合したものは勿論、ぺ プチドを構成するアミノ酸の官能基が修飾されたものも含まれる。また、「特定官能基 」とは、エポキシ基と、エポキシ基と反応する官能基との反応により形成されたェポキ シ基由来の官能基を意味する。例えば、エポキシ基とペプチドのアミノ基とが反応し てアミノアノレコーノレ(R -CH (OH) -CH -NHR; Rはリンカ一のエポキシ以外の
1 2 2 1
構造を示し、 Rはペプチドのアミノ基以外の構造を示す)が生じた場合、 [ CH (OH )一 CH—]が特定官能基となる。なお、ペプチドとリンカ一との結合部位に存在する 特定官能基と、担持体とリンカ一との結合部位に存在する特定官能基が異なってい
てもよい。
[0020] 上記構成において、前記特定官能基がエポキシ基とアミノ基との反応生成官能基 である、とすること力 Sでさる。
[0021] この構成によると、エポキシ基とアミノ基とが速やかに結合反応するので、バイオセ ンサの作製が容易である。この構成を実現するため、リンカ一分子(リンカ一の元とな る分子)としてエポキシ基を 2以上有するものを用い、ペプチドとして N末端のアミノ基 が修飾されていないものや、アミノ基を 2つ有するリジン、アルギニンを含むものを用 い、担持体としてアミノ基を有する化合物を用いることが好ましレ、。
[0022] 上記構成においては、前記特定官能基が 2つであり、且つ各々の特定官能基が前 記リンカ一の両末端にそれぞれ配置されている、構成を採用することができる。
[0023] この構成によると、リンカ一がペプチドの分子認識性に悪影響を及ぼすことが無い。
[0024] このようなリンカ一の特定官能基部分以外の構造としては、親水性や疎水性、両親 媒性を持つものであればよぐ好ましくは炭化水素系の構造を用いる。この構造内に は分枝構造を有していてもよぐ不飽和結合、環状構造や芳香族構造が含まれても よい。また、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基等の酸素を含む構造が含ま れていてもよい。中でも、「—〇— CH—CHR—; Rは水素原子又はアルキル基を示 す。」で示されるポリアルキレンオキサイド構造を有するものを用いると、適度な両親 媒性が得られるため、好ましい。
[0025] また、前記ペプチドとして、人工合成ペプチドを用いる、こと力 Sできる。人工合成ぺ プチドは、コストの低減および再現性の向上を図れる点で好まし!/、。
[0026] また、前記人工合成ペプチドは、抗体タンパク質の超可変領域のアミノ酸配列と同 一、アミノ酸の一部の官能基を修飾したもの、アミノ酸配列の C末端及び/又は N末 端に他のアミノ酸を付加したもの、またはアミノ酸配列の一部を変更したものである、 とすること力 Sでさる。
[0027] 抗体タンパク質の超可変領域内のアミノ酸配列は、抗原特異性が最も現れる部分 であるので、この部分のアミノ酸配列を用いると、抗原特異性の高いペプチドが得ら れる。よって、超可変領域のアミノ酸配列を用いると、 目的とする分子を検出するのに 不可欠なアミノ酸数を必要最小限にまで少なくすることができ、これにより分子認識物
質であるペプチドの人工合成に力、かるコストを低減させることができる。
[0028] この人工合成ペプチドは、抗体タンパク質の超可変領域のアミノ酸配列におけるァ ミノ酸の一部の官能基を修飾したもの、アミノ酸配列の C末端及び/又は N末端に他 のアミノ酸を付加したもの、またはアミノ酸配列の一部を変更したものや、これらを組 み合わせたものであってもよ!/、。
[0029] また、上記構成において、人工合成ペプチドの C末端側及び/又は N末端側のァ ミノ酸をシスティンとすることができる。
[0030] また、ペプチドとリンカ一との結合位置を C末端側に限定するために、前記人工合 成ペプチドの N末端のアミノ酸のァミノ基が修飾されており、且つ当該ペプチドの C末 端のアミノ酸が側鎖に第 1級ァミンを有するアミノ酸であり、当該 C末端のアミノ酸のァ ミノ基と前記特定官能基とが結合している、構成とすること力できる。また、ペプチド末 端以外のペプチドに側鎖に第 1級ァミンを有するアミノ酸が含まれる場合、このアミノ 酸の α—ァミノ基以外のアミノ基を修飾してもよい。
[0031] 上記側鎖に第 1級ァミンを有するアミノ酸としては、リジンを用いることが好ましい。
[0032] また、リンカ一の長さは、好ましくは 0. 5〜; ! Onmとし、より好ましくは 0. 8〜7· Onm とする。前記リンカ一の長さが過小であると、十分に担持体とペプチドを離間できず、 過大であるとリンカ一が折れ曲がってしまい、ペプチドの分子認識機能を損なうおそ れがあるカゝらである。
[0033] また、前記担持体上に固定された前記ペプチドが、 1種類である、とすること力 Sでき
[0034] この構成によると、 1種類の認識対象物質を確実に検出できる。
[0035] また、前記担持体上に固定された前記ペプチドが、ランダムに混在する 2種類以上 のペプチドである、とすること力 Sできる。
[0036] この構成によると、以下のような効果を奏する。例えば、認識対象物質に複数の認 識部位がある場合には、それぞれの認識部位に相当する複数種のペプチドを固定 することにより、複数種のペプチドが 1つの認識対象物質を捕捉でき、分子認識作用 をより強めること力 Sできる。また、サンプル中に、複数種の認識対象物質が含まれてい る可能性がある場合には、複数種の認識対象物質のいずれ力、 1つ以上が含まれて
いるか、全く含まれていないかを、一回の分析操作で判別できる。
[0037] 上記構成において、前記担持体上に 1種類のペプチドが複数固定されてなる分子 認識領域 Aと、上記とは異なる 1種類のペプチドが複数固定されてなる分子認識領 域 Bと、が形成されている、構成とすること力 Sできる。
[0038] この構成によると、 2種の認識対象物質に対する分析を同時に行うことができる。こ の構成においては、 3以上の分子認識領域が形成されていてもよぐさらに、分子認 識領域 Aに 2種類以上のペプチドが固定され、分子認識領域 Bに分子認識領域 Aと は異なる 2種類以上のペプチドが固定されて!/、てもよ!/、。
[0039] 担持体としては、如何なる形状のものであってもよ!/、が、基板、固体粒子、膜、繊維
、ゲル等を用いることが使い勝手性がよい。しかし、通常、基板等自体の表面にェポ キシ基と結合する官能基を配することが難しい場合があり、この場合には、これらの表 面に、エポキシ基と結合する官能基を有する化合物の薄膜 (この薄膜が担持体となる
)を形成することが好ましい。
[0040] また、前記薄膜が、キトサンであり、その膜厚が 50〜400nmである、とすること力 Sで きる。
[0041] 上記課題を解決するための第 2の発明に力、かるバイオセンサの製造方法は、分子 認識物質であるペプチドと、両末端にエポキシ基を有する炭化水素系化合物からな るリンカ一分子と、を混合した液を、表面にエポキシ基と結合する官能基を有する担 持体と接触させて、前記ペプチドと前記リンカ一分子とを直接結合させ、前記リンカ 一分子と前記担持体とを直接結合させるステップを備えることを特徴とする。
[0042] この構成によると、上記 1つのステップで、ペプチドのァミノ基とリンカ一分子の一方 のエポキシ基とが結合反応し、担持体の官能基と当該リンカ一分子の他方のェポキ シ基とが結合反応するので、ペプチドとリンカ一分子とを直接固定でき、当該リンカ一 分子と担持体とを直接固定できる。よって、製造工程を簡略化できる。
[0043] ここで、エポキシ基と結合する官能基としては、求核性を持った化合物を用いること ができ、このような官能基としてアミノ基、水酸基等を用いることができる。
[0044] 上記構成において、前記混合液に含まれるペプチドの濃度が、 0. 001 -2. 0モル
/Lである、とすること力 Sでさる。
[0045] また、前記混合液に含まれるリンカ一分子の濃度が、 0. 001 -4. 0モル/ Lである とすること力 Sでさる。
[0046] また、前記リンカ一分子が、「G (O CH - CHR- ) O G ; Rは水素原子又
2 n
はアルキル基を示し、 Gはグリシジル基を示す。 nは 1以上の整数」で示されるポリ(モ ノ)アルキレンオキサイドジグリシジルエーテルであるとすることができる。
[0047] また、エポキシ基と結合する前記担持体表面の官能基が、アミノ基であるとすること ができる。
[0048] また、前記担持体は、キトサンを酸溶液に溶力もたキトサン溶液を基板、固体粒子、 繊維、又はゲルの表面に塗布し形成した薄膜であるとすることができる。
[0049] また、前記キトサン溶液の 25°Cでの粘度力 100〜; lOOOPa ' Sであるとすること力 S できる。
[0050] また、前記キトサン薄膜の膜厚力 S、 50〜400nmであるとすること力 Sできる。
[0051] 上記課題を解決するための第 3の発明に力、かる検出方法は、上記ペプチドを構成 するアミノ酸にシスティンが含まれるバイオセンサを用いた認識対象物質の検出方法 であって、前記ペプチドと認識対象物質とを反応させて、ペプチド 認識対象物質 複合体を形成する第 1ステップと、前記ペプチド 認識対象物質複合体と、蛍光物 質付き抗体材料とを反応させて、ペプチド 認識対象物質複合体 蛍光物質付き 抗体材料を形成する第 2ステップと、余剰な蛍光物質付き抗体材料を洗浄する第 3ス テツプと、前記蛍光物質の量を検出する第 4ステップと、金コロイドを添加し、前記ぺ プチドと金コロイドとを反応させる第 5ステップと、余剰な金コロイドと前記蛍光物質付 き抗体材料を洗浄する第 6ステップと、前記第 6ステップの後、再度前記蛍光物質の 量を検出する第 7ステップと、を備え、前記第 4ステップでの蛍光物質の量と前記第 7 ステップでの蛍光物質の量との差より前記認識対象物質の量を測定することを特徴と する。
[0052] タンパク質を検出する場合、バイオセンサを構成する基板等の表面に認識対象物 質であるタンパク質が非特異的吸着により吸着し、これによる検出信号も検出されて しまうため、正確なタンパク質量を測定できない。しかし、上記方法を用いると、第 4ス テツプでの発光量を計測した後、金コロイドを導入することにより、ペプチド 認識対
象物質複合体から認識対象物質が脱離し、代わりに金コロイドとシスティンとが反応 する。このため、ペプチド 認識対象物質複合体の量の分だけ発光が減少する。よ つて、この発光の減少量を正確なタンパク質の量として検出できる。
[0053] 上記課題を解決するための第 4の発明にかかる検出方法は、上記バイオセンサを 用いた認識対象物質の検出方法であって、前記ペプチドと認識対象物質とを反応さ せて、ペプチド 認識対象物質複合体を形成する第 1ステップと、前記ペプチドー認 識対象物質複合体と、システィンが末端に付加されたペプチドとを反応させて、ぺプ チドー認識対象物質複合体 システィン付加ぺプチドを形成する第 2ステップと、余 剰なシスティン含有抗体材料を洗浄する第 3ステップと、金コロイドを添加し、前記シ スティンと金コロイドとを反応させる第 4ステップと、余剰な金コロイドを洗浄する第 5ス テツプと、前記第 6ステップの後、金コロイドの発色量を検出する第 6ステップと、を備 えることを特 ί毁とする。
[0054] この方法によっても、認識対象物質の量を精度よく検出できる。
[0055] 上記課題を解決するための第 5の本発明に力、かるバイオセンサは、特定分子を捕 捉する分子捕捉物質としてのペプチドと、前記ペプチドを担持する担持体と、前記ぺ プチドと前記担持体とを繋ぐリンカ一と、を有し、前記ペプチドが生体の免疫グロプリ ンとは構造の異なる人工合成ペプチドであり、前記リンカ一が少なくとも 2つの反応性 官能基を有する炭化水素系化合物であり、前記リンカ一の 1つの反応性官能基に前 記人工合成ペプチドが直接結合し、当該反応性官能基以外の他の反応性官能基に 前記担持体が結合して!/、ることを特徴とする。
[0056] この構成によれば、分子捕捉物質として天然の免疫グロブリンとは構造が異なる人 工合成ペプチドを用いているため、天然の免疫グロブリンまたは天然の免疫グロブリ ン由来のペプチドをそのまま用いるよりも物理的 ·化学的安定性を向上させることが できるとともに、センサの作製コストを低減させることができる。
[0057] また、前記ペプチドは前記リンカ一の 1つの反応性官能基と直接結合し、前記担持 体は前記ペプチドと結合した当該リンカ一の他の 1つの反応性官能基と直接結合し た構造であるので、構造安定性に優れるとともに、この構造ではリンカ一を介してぺ プチドが外方に突き出た状態になるので、特定分子に対する捕捉効率が高い。
[0058] ここで、「生体の免疫グロブリンとは構造の異なる人工合成ペプチド」とは、生体の 免疫タンパク質の全部または一部と完全同一でないことを意味する。すなわち、生体 の免疫タンパク質の全部または一部のアミノ酸配列に異なるアミノ酸が付加されてい たり、免疫タンパク質の全部または一部のアミノ酸配列が変更されたりするものを意味 する。
[0059] 上記構成にお!/、て、前記人工合成ペプチドは、天然免疫グロブリンのアミノ酸配列 のうち、その超可変領域に該当する部分に存在する連続する 3つ以上のアミノ酸配 列を含む、構成とすること力できる。
[0060] 免疫グロブリンの超可変領域のアミノ酸配列は、抗原特異性が最も現れる部分であ り、この部分のアミノ酸配列を用いると、抗原特異性の高い(特定分子の捕捉能力の 高い)ペプチドが得られる。この高い抗原特異性を得るためには、天然免疫グロプリ ンのアミノ酸配列のうち、少なくともその超可変領域に該当する部分に存在する連続 する 3つのアミノ酸配列を含ませることが好ましい。より好ましくは、連続する 5つ以上 のアミノ酸配列を含ませ、さらに好ましくは連続する 8つ以上のアミノ酸配列を含ませ
[0061] 免疫グロブリンの超可変領域の決定方法について説明する。
[0062] (1)先ずアミノ酸シークェンス(エドマン法)を行う抗体サンプルを決定する。このアミ ノ酸シークェンスは N末端から解析していくものだ力 S、タンパク質の中には N末端アミ ノ酸がブロックされているものがあり、アミノ酸シークェンスが行えない場合がある。そ のため、複数の抗体サンプルの中からブロックされていないものを選択する。
[0063] (2)数残基のアミノ酸シークェンスを行うと、 H鎖、 L鎖のアミノ酸に加え不純物とし て混入するアミノ酸が同時に検出される。このため、検出されたアミノ酸を、 H鎖の構 成要素、 L鎖の構成要素、不純物の 3種類に分ける。
[0064] (3)同一種由来の抗体の基本構造は同じであることが知られており、既知の抗体の H鎖アミノ酸配列を遺伝子データベース(例えば、 GenBank (http:〃 www.genome.jp / dbget—bm/wwwttbfmc^genbank—today) )や KMBL (nttp:// www. genome.jp/ dbget_bi n/www#bfind?emb卜 today) )から全てピックアップし、対象とする抗体種類(サブタイプ )に関するアミノ酸配列について相同比較する。上記(2)で分析したアミノ酸と合致す
るアミノ酸配列があれば、その抗体はブロックされていない H鎖をもつことになる。 L鎖 も同様に行い、ブロックの有無を判断する。これにより、アミノ酸シークェンスを行う抗 体サンプルを決定する。
[0065] (4)上記(3)で決定された抗体サンプルを用いて、既知の抗体の超可変領域を含 むよう再度アミノ酸シークェンスを行う。
[0066] (5) EMBLや GenBankなどの遺伝子データベースに収録されている抗体の H鎖 遺伝子配列情報に基づくアミノ酸配列を少なくとも 5以上、好ましくは全てを拾い出し 、それらに対して相同性比較を行う。既知の抗体の超可変領域に当たる配列箇所( 一般的には、免疫グロブリン分子の H鎖および L鎖の N末端から数えて、およそ 20〜 40番目、 50〜70番目、 80〜; 120番目のアミノ酸)であって、力、つ以下の式で示され る変化率が 20以上の領域を超可変領域と決定する。
[0067] [数 1] レ — ' ' f D', ^し . ™は\:ί i- (!ノヽ.す S. f ' / Ύノ - ,·:· /*■酴び') その位置の最も一般的なァミノ酸の頻度
[0068] 上記構成において、前記 3つ以上のアミノ酸配列を構成するアミノ酸の官能基の一 部が他の官能基で修飾されている、構成とすることができる。
[0069] ペプチドを構成するアミノ酸には、反応性に富んだ官能基を有するものがあり、この 官能基をそのままの状態で用いると、この官能基が特定分子以外と反応して、ぺプ チドの特定分子捕捉能力を失わせるおそれがある。よって、このような官能基を他の 官能基で修飾しておくことが好ましレ、。
[0070] 上記構成において、天然免疫グロブリンの超可変領域を組成する連続する 4つの アミノ酸からなるアミノ酸配列で、当該アミノ酸配列を構成するアミノ酸の 3つがイソ口 イシン、フエニノレアラニン、バリン、ロイシン、メチォニン、トリプトファン、ァラニン、グリ シン、システィン、チロシンからなる群から選択される疎水性アミノ酸であり、他の一つ が前記疎水性アミノ酸以外のアミノ酸である配列を疎水性型アミノ酸配列とするとき、 前記人工合成ペプチドは、前記疎水性型アミノ酸配列中の疎水性アミノ酸以外のァ ミノ酸が疎水性アミノ酸で置換されてなる合成疎水性アミノ酸配列ユニットを含んでな
るあのである構成とすること力 Sでさる。
[0071] 天然免疫グロブリンの超可変領域を組成する連続する 4つのアミノ酸からなり、かつ 当該アミノ酸のうち 3つが疎水性であり、他の一つが非疎水性であるアミノ酸配列であ る場合、非疎水性アミノ酸を疎水性アミノ酸に変更することにより、特定分子の捕捉能 力を高めることができる。なお、超可変領域を組成する連続する 4つのアミノ酸の選定 の仕方は任意である。
[0072] 上記構成において、前記合成疎水アミノ酸ユニットを構成するアミノ酸の官能基の 一部が他の官能基で修飾されていることを構成とすることができる。
[0073] ペプチドを構成するアミノ酸には、反応性に富んだ官能基を有するものがあり、この 官能基をそのままの状態で用いると、この官能基が特定分子以外と反応して、ぺプ チドの特定分子捕捉能力を失わせるおそれがある。よって、このような官能基を他の 官能基で修飾しておくことが好ましレ、。
[0074] 上記構成において、天然免疫グロブリンの超可変領域を組成する連続する 4つの アミノ酸からなるアミノ酸配列で、当該アミノ酸配列を構成するアミノ酸の 3つがヒスチ ジン、グノレタミン酸、ァスパラギン酸、グノレタミン、ァスパラギン、リジン、アルギニン、プ 口リン、スレオニン、セリンからなる群より選択される親水性アミノ酸であり、他の一つが 前記親水性アミノ酸以外のアミノ酸である配列を親水性型アミノ酸配列とするとき、前 記人工合成ペプチドは、前記親水性型アミノ酸配列に含まれる親水性アミノ酸以外 のアミノ酸が親水性アミノ酸で置換されてなる合成親水性アミノ酸配列ユニットを含ん でなるものである、構成とすること力 Sできる。
[0075] 天然免疫グロブリンの超可変領域を組成する連続する 4つのアミノ酸からなり、かつ 当該アミノ酸のうち 3つが親水性であり、他の一つが非親水性であるアミノ酸配列であ る場合、非親水性アミノ酸を親水性アミノ酸に変更することにより、特定分子の捕捉能 力が高まる。上記構成における「連続する 4つのアミノ酸」は、超可変領域内にあるこ とが要件である力 予め特定されるものではない。超可変領域内から任意に選定され た「連続する 4つのアミノ酸」を意味する。
[0076] 上記構成においては、前記合成親水アミノ酸ユニットを構成するアミノ酸の官能基 の一部が他の官能基で修飾されている、構成とすることができる。
[0077] ペプチドを構成するアミノ酸には、反応性に富んだ官能基を有するものがあり、この 官能基をそのままの状態で用いると、この官能基が特定分子以外と反応して、ぺプ チドの特定分子捕捉能力を失わせるおそれがある。よって、好ましくはこのような官能 基を他の官能基で修飾しておくのがよい。
[0078] 上記構成において、前記人工合成ペプチドの N末端のアミノ酸と前記リンカ一とが 結合している、構成とすることができる。
[0079] ペプチドの N末端のアミノ酸には、他の官能基と反応していない α—ァミノ基があり 、この α—ァミノ基とリンカ一分子とを結合させることにより、リンカ一とペプチドを直接 結合させること力 Sでさる。
[0080] 上記構成において、前記人工合成ペプチドの Ν末端のアミノ酸が、側鎖に第 1級ァ ミンを有するアミノ酸であり、前記 Ν末端のアミノ酸の α —アミノ基が修飾されており、 前記人工合成ペプチドの Ν末端のアミノ酸と前記リンカ一とが結合して!/、る、構成と すること力 Sでさる。
[0081] この構成を採用すると、人工合成ペプチドの Ν末端のアミノ酸の α—ァミノ基が修 飾されて反応性をなくしている力 Ν末端のアミノ酸が第 1級ァミンを有するため、この アミノ酸の側鎖の第 1級ァミンとリンカ一分子とを結合させることにより、リンカ一とぺプ チド'を直接結合させること力できる。
[0082] 上記側鎖に第 1級ァミンを有するアミノ酸としては、リジンを用いることが好ましい。
[0083] また、ァミノ基の修飾には、ァセチル基を用いることが好ましい。
[0084] これらの構成において、前記リンカ一の長さが、 2. 0〜6. Onmである構成とするこ と力 Sできる。
[0085] リンカ一をペプチドの N末端のアミノ酸と結合させた場合、リンカ一の長さか短すぎ たり、長すぎたりすると、特定分子の捕捉能力が低下するので、上記長さとするのが 好ましい。この原因としては、リンカ一の長さが短すぎると、ペプチドの立ち上がりが 悪ぐまたリンカ一の長さが長すぎたりすると、ペプチドの先端側が担持体に対して寝 るように配置されるため、 目的分子と会合しに《なるためであると推察される。
[0086] 上記構成において、前記人工合成ペプチドの N末端のアミノ酸のァミノ基が修飾さ れており、当該人工合成ペプチドの C末端のアミノ酸力 側鎖に第 1級ァミンを有する
アミノ酸であり、前記人工合成ペプチドの C末端のアミノ酸と前記リンカ一とが結合し ている、構成とすること力でさる。
[0087] この構成を採用すると、人工合成ペプチドの N末端のアミノ酸のァミノ基が修飾され て反応性をなくしているが、 C末端のアミノ酸が側鎖に第 1級ァミンを有するため、こ のアミノ酸の側鎖の第 1級ァミンとリンカ一分子とを結合させることにより、リンカ一とぺ プチドを直接結合させることができる。
[0088] 側鎖に第 1級ァミンを有するアミノ酸としては、リジンを用いることが好ましい。
[0089] この構成において、前記リンカ一の長さが、 0. 5〜; 1. 5nmである構成とすることが できる。
[0090] リンカ一をペプチドの C末端のアミノ酸と結合させた場合、理由は定かではないが、 リンカ一の長さが長くなると特定分子の捕捉能力が低下する。これは、リンカ一をぺプ チドの C末端のアミノ酸と結合させた場合には、リンカ一の長さが長くなると、ペプチド が担持体に対して寝るように配置し、特定分子と会合しに《なるためであると推察さ れる。
[0091] 上記構成において、前記人工合成ペプチドの N末端のアミノ酸の α—ァミノ基が修 飾されておらず、当該人工合成ペプチドの C末端のアミノ酸力 側鎖に第 1級ァミンを 有するアミノ酸であり、前記人工合成ペプチドの Ν末端のアミノ酸が一つのリンカ一と 結合し、前記人工合成ペプチドの C末端のアミノ酸と他の一つのリンカ一とが結合し てレヽる構成とすること力 Sできる。
[0092] この構成では、ペプチドの Ν末端のアミノ酸及び C末端のアミノ酸力、それぞれ異な るリンカ一と結合されている力 このように 2つのリンカ一と N末端のアミノ酸及び C末 端のアミノ酸とを結合させると、ペプチドが特定分子と会合しやすい状態に配置され るようになるため、特定分子の捕捉能力が増大する。
[0093] 上記構成において、前記人工合成ペプチドの N末端のアミノ酸が、側鎖に第 1級ァ ミンを有するアミノ酸であり、前記人工合成ペプチドの C末端のアミノ酸がリジン又は アルギニンであり、前記 N末端のアミノ酸の α—ァミノ基が修飾されており、前記人工 合成ペプチドの Ν末端のアミノ酸が一つのリンカ一と結合し、前記人工合成ペプチド の C末端のアミノ酸と他の一つのリンカ一とが結合している構成とすることができる。
[0094] この構成によっても、ペプチドが特定分子と会合しやすい状態に配置されるように なるため、特定分子の捕捉能力が増大する。
[0095] 側鎖に第 1級ァミンを有するアミノ酸としては、リジンを用いることが好ましい。
[0096] これらの構成において、前記リンカ一の長さ力 0. 5〜10nmである構成とすること ができる。
[0097] ペプチドの N末端のアミノ酸と一つのリンカ一とを結合させ、ペプチドの C末端のァ ミノ酸と他の一つのリンカ一とを結合させた場合、理由は定かではないが、特定分子 の捕捉能力は、リンカ一の長さによる影響を受けない。これは、このようにリンカ一とぺ プチドとを結合させた場合には、ペプチドが担持体に対して寝るように配置しないた め、特定分子と会合しやすいためであると推察される。ただし、リンカ一の長さを 0. 5 nm未満とすることは、技術上困難であり、リンカ一の長さを 10nmよりも大きくすると、 コスト高となる。よって、上記範囲内に規制することが好ましい。
[0098] 上記構成において、前記リンカ一の反応性官能基と前記人工合成ペプチドとの結 合力 S、エポキシ基とアミノ基との反応により生じたものである構成とすることができる。
[0099] 上記構成において、前記リンカ一の反応性官能基と前記担持体との結合が、ェポ キシ基とアミノ基との反応により生じたものである構成とすることができる。
[0100] この構成によると、エポキシ基とアミノ基とが速やかに結合反応するので、バイオセ ンサの作製が容易となる。この構成を実現するため、リンカ一分子(リンカ一の元とな る分子)としてエポキシ基を 2以上有するものを用い、 N末端の α—アミノ基が修飾さ れてレ、なレ、ペプチドや、側鎖に第 1級ァミンを有するアミノ酸を含むペプチドを用い、 担持体として表面にアミノ基を有する化合物を用いることが好ましい。
[0101] 上記構成において、前記リンカ一が、「一 Ο— CH -CHR-; Rは水素原子又はァ
2
ルキル基を示す」で示されるアルキレンオキサイド構造を有する構成とすること力 適 度な両親媒性が得られるため好ましい。
[0102] 上記構成にお!/、て、前記人工合成ペプチドは、天然免疫グロブリンの超可変領域 内の連続する 4つのアミノ酸配列であって、イソロイシン、フエ二ルァラニン、ノ リン、口 イシン、メチォニン、トリプトファン、ァラニン、グリシン、システィン、チロシンからなる群 から選択される疎水性アミノ酸が 4つ連続して配列された天然疎水性アミノ酸配列ュ
ニットを含む構成とすることができる。
[0103] この構成によると、天然疎水性アミノ酸ユニットが特定分子に対して高い認識力を 有するため、特定分子を捕捉する能力が向上する。
[0104] 上記構成にお!/、て、前記人工合成ペプチドは、天然免疫グロブリンの超可変領域 内の連続する 4つのアミノ酸配列であり、ヒスチジン、グルタミン酸、ァスパラギン酸、 グルタミン、ァスパラギン、リジン、アルギニン、プロリン、スレオニン、セリンからなる群 から選択される親水性アミノ酸が 4つ連続して配列された天然親水性アミノ酸配列ュ ニットを含む構成とすることができる。
[0105] この構成によると、天然親水性アミノ酸ユニットが特定分子に対して高い認識力を 有するため、特定分子を捕捉する能力が向上する。
発明の効果
[0106] 以上説明したように、本発明によると、構造安定性が高く分子認識性に優れたバイ ォセンサを低コストで実現できる。
発明を実施するための最良の形態
[0107] 以下、本発明の実施の形態について説明する。
[0108] 本実施の形態にかかるバイオセンサは、図 1に示すように、分子認識物質であるぺ プチド 1と、ペプチドを担持する担持体 2と、ペプチド 1と担持体 2とを繋ぐリンカ一 3と 、を有する。
[0109] 本実施の形態で用いるペプチドは、複数のアミノ酸がペプチド結合してなるぺプチ ドであり、天然物由来のものであってもよぐ人工合成されたものでもよいが、コストや 再現性の観点から、人工合成ペプチドを用いることが好ましい。人工合成ペプチドの 場合、免疫グロブリンの超可変領域のアミノ酸配列を解析した後に、その超可変領域 に含まれる連続した 3つ以上のアミノ酸配列を含むペプチドを用いることが好ましい。
[0110] ここで、免疫グロブリンの超可変領域のアミノ酸配列は、抗原特異性が最も現れる 部位である。よって、この免疫グロブリンの超可変領域のアミノ酸配列に含まれる連続 した 3つ以上のアミノ酸配列含むペプチドを用いることにより、分子認識力の高いぺ プチドを必要最小限のアミノ酸数で実現することができ、これによりペプチド人工合成 のコストを低減できる。分子認識力をより高めるためには、好ましくは、免疫グロブリン
の超可変領域のアミノ酸配列に含まれる連続した 5つ以上のアミノ酸配列含むぺプ チドを用い、さらに好ましくは、免疫グロブリンの超可変領域のアミノ酸配列に含まれ る連続した 8つ以上のアミノ酸配列含むペプチドを用いる。
[0111] 超過変領域に含まれる連続した 3つ以上のアミノ酸配列を含むペプチドは、分子認 識力の向上やリンカ一との固定化を容易にするために、その本来の配列が一部変更 されてもよく、 C末端及び/又は N末端に他のアミノ酸が付加されてもよいし、ぺプチ ドを構成するアミノ酸の有する一部の官能基が修飾されて!/、てもよレ、。
[0112] なお、超可変領域のアミノ酸の配列数は、一般に 10個程度と言われているが、分 子認識を行うペプチドとして機能させるために、人工合成ペプチドのアミノ酸配列数 は、超可変領域のアミノ酸の配列の連続した 3個以上のアミノ酸を含ませることが好ま しぐより好ましくは 5個以上含ませ、さらに好ましくは 8個以上含ませる。
[0113] また、人工合成ペプチドのアミノ酸配列数は、好ましくは 3〜30個程度とし、より好ま しくは 4〜; 16個程度とする。アミノ酸配列数が多くなると、それだけ合成コストが上昇 するので、アミノ酸配列数は、分子補足機能を発揮できる必要最小が好ましい。
[0114] 次に超可変領域のアミノ酸配列の変更例について説明する。例えば、アミノ酸配列 中にイソロイシン(I)—ヒスチジン(H)—トリプトファン (W)—トリプトファン (W)の配列 があった場合、ヒスチジン (H)をトリブトファン (W)に変更すると、疎水性のアミノ酸が 4個連続するため、ペプチドの疎水性が向上するが、疎水性を向上させると、特定分 子の捕捉能力が高まることが期待できる。すなわち、天然免疫グロブリンの超可変領 域のアミノ酸配列と完全同一の人工合成ペプチドよりも、その一部のアミノ酸を疎水 性アミノ酸に置換した合成ペプチドの方が、特定分子に対する捕捉能力が高い場合 が多い。
[0115] また、例えばスレオニン(T) グルタミン酸(E)—チロシン (Y)—スレオニン (T)の 配列があった場合、チロシン (Y)をグルタミン酸 (E)に変更すれば、親水性のァミノ 酸が 4個連続するため、ペプチドの親水性が向上し、特定分子の捕捉能力が良くな ると予想、される。
[0116] また、例えばスレオニン(T)—イソロイシン(I)—グルタミン酸(E)—チロシン (Y)の 配列があった場合、イソロイシン (I)をグルタミン酸 (E)に変更すれば、水素結合を形
成するアミノ酸が 4個連続するため、ペプチドの水素結合性が向上し、特定分子の捕 捉能力が更に良くなると予想される。ここで、水素結合性のアミノ酸とは、セリン、スレ ォニン、チロシン、ァスパラギン酸、グルタミン酸である。
[0117] また、超可変領域のアミノ酸配列の C末端及び/又は N末端にシスティンを付加し て、他の素材への結合性を付与することもできる。また、超可変領域のアミノ酸配列 の N末端のアミノ酸のアミノ基を修飾し、且つ C末端に側鎖に第 1級ァミンを有するァ ミノ酸 (例えば、リジン)を付加することにより、ペプチドのリンカ一との結合部位をこの C末端のアミノ酸と限定できるので、ペプチドとリンカ一との結合により、分子認識を行 うアミノ酸配列部分の構造を変化させることを防止できる。
[0118] ここで、免疫グロブリンとしては、 IgG、 IgA、 IgE、 IgM、 IgY、 IgD等がある。例えば IgG抗体は、 H鎖と L鎖により構成され、 H鎖と L鎖それぞれに超可変領域が存在す る。解析される超可変領域は H鎖のみでも良いし、 L鎖だけでも良ぐまた H,L鎖両 方が解析されてもよい。
[0119] 解析に用いられる免疫グロブリンは、 IgGに限定されるものではなぐ IgA、 IgE、 Ig M、 IgYなどであっても良いし、遺伝子組み換え抗体(単鎖抗体など)やファージディ スプレーであっても良い。
[0120] 免疫グロブリンの超可変領域の決定方法は、前述と同様に行う。
[0121] 抗体製造方法としては、従来より用いられている方法を用いることができる。例えば マウス等の試験動物内にアレルゲンを投与し、生体内において抗体タンパク質を製 造させ、これを単離、精製する方法が用いる。
[0122] 抗体を産生させるアレルゲンは、花粉 (ブタクサ、スギ、カモガヤ、イタリアンライダラ ス、カナムダラ、ョモギ、イネ、コナラ、シラカンバ、テンサイ、ハンノキ、キヨゥチクトウ、 スズメノテツポゥ、ケンタッキー 31フェスタ、ヒメガマ、ハルジオン、イチゴ、バラ、リンゴ 、アカシア、イエローサノレタン、ャナギ、ウメ、ャマモモ、ナシ、コスモス、ピーマン、ブ ドウ、タリ、コゥャマキ、スズメノカタビラ、サクランポ、サクラ、ナデシコ、アフリカキンセ ンカ、ヒメスイノく、キク、除虫菊、クロマツ、了力マツ、カラムシ、ケャキ、タルミ、タンボ ポ、モモ、セィタカアキノキリンソゥ、イチヨウ、才才バヤシャブシ、ツバキ、スターチス、 アブラナ、グロリオサ、ミカン、ネズ、ウイキヨウ、ォリーブ、ィチイ、ォォバコ、マキ 以
上報告順)や、ハウスダスト (ネコ由来物、ゴキブリ由来物、ィヌ由来物、カビ由来物、 ダニ由来物、マウス由来物)、または食物(小麦、そば、卵、乳、落花生、あわび、い 力、、いくら、えび、オレンジ、力、に、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏 肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン 以上厚生労働省特定原材料 等)の全部もしくは一部を構成する物質であることが望ましいが、これに限るものでは ない。
[0123] また、 mRNAを用いて超可変領域を決定する方法も採用できる。この方法の手順 の一例は以下のとおりである。
[0124] (1)抗体産生細胞 (ハイブリドーマ)の培養調製する。
[0125] (2)細胞力、ら mRNAの回収 ·精製。
[0126] (3) cDNA合成。
[0127] (4)ライブラリ作製 (ファージライブラリ)。
[0128] (5)目的遺伝子のスクリーニング。
[0129] (6)目的遺伝子(抗体)の DNAプローブを用いたハイブリダィゼーシヨン等。
[0130] (7)分離した遺伝子のクローニング。
[0131] (8)大腸菌ベクターへの組換え。
[0132] (9)遺伝子配列分析操作。
[0133] (10)クローユングできたベクター調製 (配列分析のための铸型 DNA)。
[0134] (11)遺伝子配列操作のための PCR操作。
[0135] (12) DNAシーケンサー装置での分析。
[0136] (13) DNAシーケンサーでの分析結果の解析。
[0137] (14)確認のための抗体の N末端のアミノ酸配列分析。
[0138] (15)解析した DNA配列に基づくアミノ酸配列と、実際の抗体の N末端が一致する か確認。
[0139] リンカ一は、両末端に特定官能基 (反応性官能基)を有し、この特定官能基により ペプチドとリンカ一、及び当該リンカ一と担持体とが直接結合されている。このリンカ 一として、両末端にエポキシ基とアミノ基との反応生成物からなる特定官能基を有す る炭化水素系化合物を用いることが好ましい。例えば、親水性または疎水性もしくは
両親媒性の炭化水素系化合物の両末端に、エポキシ基を有するジグリシジルエーテ ルを持ったものをァミノ基と反応させてなるものを用いることができる。ジグリシジル構 造中のエポキシ基の一方が分子認識を行うペプチドのァミノ基と共有結合し、もう一 方のジグリシジル構造中のエポキシ基が担持体の官能基と共有結合して、ペプチド とリンカ一、当該リンカ一と担持体とがそれぞれ直接結合される。
[0140] 保水性の観点から、リンカ一分子は、ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルェ 一テル(PEG— DE)が好ましい。 PEG— DEの構造を以下に表す。
[化 1]
[0141] ここで、 n= lのとき PEG— DEの全鎖長は 8· 3Α、 η = 2のときは 11. θΑ、 η = 4の ときは 16. 6Α、 η = 9のときは 30. 4 Α、 η= 13のときは 41. 4 Α、 η = 22のときは 66 . 2 Αとなる。
[0142] PEG— DEをリンカ一分子として用いれば、 PEGの鎖長に関わり無ぐ担持体ゃぺ プチドを硬化させず、且つ有害な作用も無いため、ペプチドを失活させる可能性をき わめて低くすることができる。
[0143] また、生体膜の厚さ、リボソームの脂質二分子膜の厚さ、 LB膜 (単分子累積膜)な どの厚さが 50A以下であれば、立体配置は直線状となり、 100A程度の長さになる と、折れ曲がり状態になることが知られている。
[0144] この知見を当てはめると、例えば、人工合成ペプチドが 34. OA (アミノ酸配列数が 10個)に 11. 0 A (n = 2)のリンカ一が結合すると、長さの和は 45· OAとなるので、 人工合成ペプチドとリンカ一が直線状に配置すると予想される。また、人工合成ぺプ チドが 7· 4 A (アミノ酸配列数が 2個)に 66· 2 A (n = 22)のリンカ一が結合すると、
長さの和は 73. 6Aとなるので、人工合成ペプチドとリンカ一が少し折れ曲がった状 態に配置すると予想される。さらに、人工合成ペプチドが 34. OA (アミノ酸配列数が 10個)に 66. 2 A (n = 22)のリンカ一が結合すると、長さの和は 100· 2 Aとなるので 、人工合成ペプチドとリンカ一が折れ曲がった状態で配置されると予想される。
[0145] ここで、前記リンカ一の長さが過小であると、十分に担持体とペプチドを離間できず 、過大であるとリンカ一が折れ曲力^すぎて、ペプチドの分子認識機能を損なうおそ れがある。よって、リンカ一の長さは、好ましくは 0· 5〜; 10nm (5〜; !OOA)とし、より 好ましくは 0. 8— 7. 0nm (8〜70A)とする。
[0146] 本発明で述べているペプチドを固定化する担持体は、エポキシ基と反応する官能 基を有するものであればよぐ担持体自体の形状や担持体を支持する支持体の形状 としては、基板、固体粒子、膜、繊維、ゲル等が好ましい。エポキシ基と反応する官能 基を有する担持体としては、エポキシ基との反応性が高い点で、アミノ基を有するも のがよぐ使い勝手がよいことから、キトサンが特に好適である。キトサンは、粒子とし ても、膜としても、ゲルとしても、溶液としても、リンカ一分子と結合させることが可能で ある。またリンカ一を介してペプチドと反応したキトサン溶液を、他の粒子、基板、繊 維などの表面に膜状に付着させて固定化してもよい。
[0147] キトサンを担持体として用い、基板等の表面にキトサン薄膜を形成するには、キトサ ンを酢酸や塩酸に溶解させ、この溶液に基板等を浸漬する方法を採用することがで きる。この際、キトサン溶液の濃度を 2. 5%程度とし、酸濃度を調整してその粘度を、 室温で、 100〜; lOOOmPa ' sとし、好ましくは 200〜500mPa ' sとする。
[0148] また、石英板、ガラス板、シリコン板などの基板や、繊維'パイプなどのような曲面体 をキトサンの酸水溶液に浸漬し、その表面に薄膜を形成する場合、その膜厚は 50〜 400nmとする。ただし、酸は上記に限定されず、キトサン溶液の濃度も 2. 5%に限 定されない。また、キトサン薄膜を形成するための基体も上記に限られず、膜厚も上 記範囲に限定されない。
[0149] リンカ一を介して人工合成ペプチドを担持体に固定化する方法としては、浸漬法が 最も簡便である。ただし、固定化方法は浸漬法に限定されるものではない。
[0150] 浸漬法により固定化を行う場合、浸漬液に含まれる人工合成ペプチドの濃度は、好
ましくは 0. 001— 2. 0モノレ/: Lとし、より好ましくは 0. 005—1. 0モノレ/: Lとする。ま た、浸漬液に含まれるリンカ一分子の濃度としては、好ましくは 0. 00;!〜 4. 0モル/ Lとし、より好ましくは 0. 008— 2. 0モノレ/: Lとする。
[0151] 人工合成ペプチドがリンカ一を介して担持体に固定化された態様は、担持体上に 固定された人工ペプチドが 1種類であってもよぐランダムに混在する 2種類以上であ つてもよい。また、担持体上に 1種類のペプチドが複数固定されてなる分子認識領域 Aと、上記とは異なる 1種類のペプチドが複数固定されてなる分子認識領域 Bと、が 形成されていてもよい。 3以上の分子認識領域が形成されていてもよぐ一つの分子 認識領域に複数のペプチドが固定されて!/、てもよレ、。
[0152] このバイオセンサには、光学的検出法、電気化学的検出法、機械的検出方法等の 公知の検出方法の全てが適用可能である。以下に酵素免疫定量法 (ELISA法)を 適用し光学的検出方法を用いた例について説明する。
[0153] [検出方法 1]
(バイオセンサの作製)
キトサン薄膜が表面に形成された ELISA法用プレートのゥエルに、両末端にェポキ シ基を有するリンカ一分子と人工合成ペプチドの混合溶液を滴下し、 4〜40°Cの任 意の温度で、数時間から数日の間放置して、バイオセンサを作製する。
[0154] (ブロッキング処理)
この後、当該リンカ一分子と当該ペプチドの混合溶液を緩衝液等を用いて洗浄し、 ブロッキング液(例えば、 BSA (ゥシ血清アルブミン)液)を添加し、 4〜40°Cの任意の 温度で、数時間から数日の間放置してブロッキング処理を行う。ブロッキング処理後、 界面活性剤入りリン酸緩衝液を用いて、ゥエルの洗浄を行う。
[0155] (ペプチド アレルゲン複合体形成反応)
次に、アレルゲンタンパク質と BSAとを含有するリン酸緩衝液を、 0、 1、 5、 10ng/ mLの濃度でゥエルに滴下し、 2時間室温で反応を行う。その後、上記と同じ方法でゥ エルの洗浄を行う。
[0156] (ペプチド アレルゲン 酵素標識抗体複合体形成反応)
人工合成ペプチドが固体化された ELISA法用プレートのゥエルに、ペルォキシダ
ーゼ結合モノクローナル抗体と BSAとを含有するリン酸緩衝液を添加し、 37°Cで 1時 間放置する。この後、界面活性剤入りリン酸緩衝液を用いて、ゥエルの洗浄を行う。
[0157] (酵素反応)
ついで、ゥエルに酵素と反応して発色する基質を添加し、室温で 10分間、基質とぺ ノレォキシダーゼとの反応を行う。この後、酵素反応停止液を添加する。
[0158] (検出)
450nmの吸光度をプレートリーダーで計測する。
[0159] 他の光学的検知としては、以下の方法が例示できる。なお、バイオセンサの作製〜 ペプチド アレルゲン複合体形成反応までの各工程は、人工合成ペプチドにシステ インが含まれること以外は、上記検出方法 1と同様であるのでその説明を省略する。
[0160] [検出方法 2]
(ペプチド アレルゲン 蛍光標識抗体複合体形成反応)
人工合成ペプチドが固体化された ELISA法用プレートのゥエルに、蛍光色素標識 付きモノクローナル抗体と BSAとを含有するリン酸緩衝液を添加して、 37°Cで 1時間 放置する。この後、界面活性剤入りリン酸緩衝液を用いて、ゥエルの洗浄を行う。
[0161] (一次検出)
先ず 450nmの吸光度をプレートリーダーで計測する。
[0162] (二次検出)
金コロイドを添加し、放置 ·洗浄後に再びプレートリーダ一で 450nm吸光度を計測 する。
[0163] 通常、アレルゲンタンパク質は、非特異的吸着によって、ペプチド以外のプレート部 分に吸着し、これによる発色がノイズとなって検出される。しかし、この方法を用いると 、金コロイドがアレルゲンタンパク質よりも優先的にペプチドのシスティンに結合し、ぺ プチド—アレルゲンタンパク質複合体からアレルゲンタンパク質が脱離する。このた め、二次検出で検出される吸光度は、非特異的吸着由来の吸光度となる。よって、一 次検出と二次検出との差を求めることにより、真に認識反応が行われた量を測定する こと力 Sでさる。
[0164] もう 1つ別の光学的検知としては、以下の方法で執り行われるのが望ましいが、必ず
しも以下の方法に限定されるものではない。なお、バイオセンサの作製〜ペプチド アレルゲン複合体形成反応までの各工程は、上記検出方法 1と同様であるのでその 説明を省略する。
[0165] [検出方法 3]
(ペプチド アレルゲン システィン含有ペプチド複合体形成反応)
人工合成ペプチドが固体化された ELISA法用プレートのゥエルに、システィン含有 ペプチドを含有するリン酸緩衝液を添加し、 37°Cで 1時間放置する。この後、界面活 性剤入りリン酸緩衝液を用いて、ゥエルの洗浄を行う。
[0166] (酵素反応)
ついで、ゥエルに金コロイドを添加し、室温で 10分間、金コロイドとシスティンとの反 応を行う。
[0167] (検出)
金コロイドによる赤色発色を計測する。
[0168] 機械的検知としては、以下の方法で執り行われるのが望ましいが、必ずしも以下の 方法に限定されるものではなレ、。
[0169] [検出方法 4]
既成のシリコンウェハーが短冊状に加工する。幅 lmm長さが 3mmの先端部分に 幅 5mm長さ 10mmの基部の二段構造になった短冊を作製する。先端部分と基部と の境界部分にピエゾ素子を接合し、基部の反対側を SUS304の冶具に固定する。
[0170] 先端部分にはキトサン薄膜を形成し、上記検出方法 1と同様にして人工合成ぺプ チドをキトサンに固定化する。
[0171] ピエゾ素子に 420KHzの共振周波数を与える。人工合成ペプチドがアレルゲンタ ンパク質と結合したときには、共振周波数が変化する。この周波数変化を基質特異 反応重量に変換することで、アレルゲンタンパクの量を検知することができる。
[0172] 電気化学的検知としては、以下の方法で執り行われるのが望ましいが、必ずしも以 下の方法に限定されるものではなレ、。
[0173] [検出方法 5]
5mm X 3mmのプラスチック基板の両端に 5mm X lmmの金電極もしくは白金電
極を施す。これら両端の電極からはそれぞれリードを付け、さらにプラスチック基板全 体にキトサン薄膜を形成する。上記検出方法 1と同様にして人工合成ペプチドをキト サンに固定化する。
[0174] プラスチック基板両端の電極には 1Hzから 1MHzの交流が任意にかけられ、人工 合成ペプチドがアレルゲンタンパク質と結合したときには交流インピーダンスが変化 する。この交流インピーダンス変化量より、アレルゲンタンパクの量を検知することが できる。
[0175] (実施例 1)
[花粉アレルゲン Cry— J1の超可変領域の解析]
日本スギ(Cryptomeria japonica)由来の Cry— Jlを認識する抗体は IgG抗体であり 、その H鎖の超可変領域の解析を行った。当該 IgG抗体はマウスモノクローナル抗体 (Anti Cryjl Mouse #013、生化学工業)を用いた。
[0176] (1)まず、上記材料から、アミノ酸シークェンス(エドマン法)を行う抗体サンプルを 決定するために、以下の実験を行った。
[0177] 通常、アミノ酸シークェンスは、 N末端から解析して!/、くものである力 タンパク質の 中には N末端アミノ酸がブロック (修飾)されているものがあり、 N末端アミノ酸がブロッ クされているとアミノ酸シークェンスが行えない場合がある。そのため、複数の抗体サ ンプルの中からブロックされていないものを選択するため、以下の試験を行った。
[0178] (2)当該 IgG抗体の超可変領域のアミノ酸配列を HPLCで分析を行った。数残基( 本実施例は 6残基)のアミノ酸シークェンスを行うと、 H鎖、 L鎖のアミノ酸に加え不純 物として混入するアミノ酸が同時に検出された。このため、検出されたアミノ酸を、 H 鎖の構成要素、 L鎖の構成要素、不純物の 3種類に分けた。
[0179] (3)ここで、同一種(同一生物)由来の抗体の基本構造は同じであることから、既知 のマウスモノクローム抗体の H鎖アミノ酸配列の全てを遺伝子データベース(GenBa nk; http://www.genome.jp/ doget
-bin/www#bfind?genbank-today)の遺伝子情報から翻訳した配列)からピックアップし 、対象とする抗体種類(サブタイプ)に関するアミノ酸配列について相同比較した。こ こで、 (2)で分析したアミノ酸と合致するアミノ酸配列があれば、その抗体はブロックさ
れていない H鎖をもつことになる。 L鎖も同様に行い、ブロックの有無を判断した。こ れにより、ブロックされていないアミノ酸配列を選定し、これをアミノ酸シークェンスを 行う抗体サンプルとした。
[0180] (4)この抗体サンプルを用いて、アミノ酸シークェンスを行った。
[0181] (5)既知の抗体の H鎖アミノ酸配列を全てピックアップし、対象とする抗体種類(サ ブタイプ)に関するアミノ酸配列について相同比較した。既知の抗体の超可変領域に 当たる配列箇所 (一般的には、免疫グロブリン分子の H鎖および L鎖の N端から数え て、およそ 20〜40番目、 50〜70番目、 80〜; 120番目のアミノ酸)で、力、つ(4)で分 析したアミノ酸配列に特異的な配列を # 013の超可変領域と決定した。この分析結 果を図 2に示す。この図において、「〜」は、相同性比較の対象のアミノ酸配列に対し て、相同なアミノ酸の配列位置を合わせる(ァライメント)ために各配列に入れるギヤッ プ (挿入 ·欠失)を示す。
[0182] その結果、 日本スギ(Cryptomeria japonica)由来の Cry— J1マウスモノクローナル 抗体 IgG (AntiCry— Jl Mouse #013生化学工業)の H鎖超可変領域のアミノ酸配列 は、 N末端から C末端に向かって TEYTIHWWと決定した。
[0183] [Cry— J1認識ペプチドの人工合成]
次の 2種類のペプチドを通常のペプチド合成装置にて人工合成した。
( 1 )フルォレセイン結合 TEYTIHWWK (フルォレセインは Tと結合した)
(2)ァセチル化ー TEYTIHWWK (ァセチル化は N末端の Tの α—ァミノ基のみ) なお、上記アミノ酸配列において、ペプチドとリンカ一との結合を、ペプチドの C末 端のアミノ酸とするために、超可変領域のアミノ酸配列の C末端にリジン (Κ)を加え、 Ν末端のアミノ酸のアミノ基を修飾し、反応性を消失させた。
[0184] [キトサン薄膜への合成ペプチドの固定化と構造推定]
フルォレセイン- TEYTIHWWKを用いてキトサン薄膜上への合成ペプチドの固定 化を行った。
片倉チッカリン製 CTFの 2. 5%キトサン酢酸水溶液を 10mL調製した。その 2mLを シリンジで分取し、 25mm X 25mmの石英板上に滴下した。その石英板を 3000rpm で 30秒間回転させた後、 80°Cで 1時間乾燥させた。このようなスピンキャスト法で作
製したキトサン膜は、厚みが 200nmの均質な膜であった。
[0185] 次に、フルォレセイン- TEYTIHWWKが 0. 34mmolとポリエチレンジグリシジルェ 一テル(デナコール EX-850 ナガセケムテックス)が 0· 34mmolと
が溶力、された水溶液 10mLを用意し、そこに上記のキトサン膜が塗膜された石英板を 浸漬した。浸漬時間は 18時間である。キトサン膜が塗膜された石英板の乾燥はタリ ーンベンチ中で 24時間行った。その後、蒸留水にキトサン膜が塗膜された石英板を 24時間浸漬し洗浄した。洗浄後の乾燥はクリーンベンチ中で 24時間行った。
[0186] この石英板に励起波長 495nmの光を照射し、蛍光を検出した。この結果を図 3に 示す。図 3からわかるように、 540nmの発光が確認できた。よって、上記の操作でフ ルォレセイン- TEYTIHWWK力 Sリンカ一を介してキトサン膜に固定化されたことがわ かった。
[0187] ここに、フルォレセイン- TEYTIHWWKとリンカ一分子であるデナコール EX-
850が結合した鎖状の構造体は、鎖の長さから考察してキトサン膜平面から立ち上 力つた状態で固定化されていると予想される。その予想図を図 4に示す。
[0188] [バイオセンサの作製と検出]
抗 Cry— J1抗体 H鎖超可変領域ペプチド(ァセチル化 TEYTIHWWK)と花粉ァレ ルゲンタンパク質(Cry— J1)との反応性を ELISA法にて調べた。実験方法は以下の ようにまとめることができる。
[0189] (1)ペプチドの固定
アミノ基結合プレート(MS— 3608F、住友ベークライト社製)のゥエルに、ァセチル 化- TEYTIHWWKO. 095mg/mL、ポリエチレンジグリシジルエーテル 0· 018mg /mLの液を 200 L添カロし、 4°Cでー晚静置した。
[0190] (2)ブロッキング処理
ペプチド液を取り出し、ブロッキングワン(ナカライテスタ社製)を 200 L添加し 4°C でブロッキング処理を実施した。
[0191] (3)ゥエルの洗浄
ブロッキング処理後、ブロッキング液を取り出し、 0. 05%Tween20含有 P BSを用いてゥエルの洗浄を行った。洗浄は 0· 05%Tween20含有 PBS (20mMリ
ン酸ナトリウム pH7. 4 0· 15MNaCl)を 200〃しウエノレに添カロ、取り出しの操作を 3回実施した。
[0192] (4)花粉アレルゲン Cry— J1の添加
花粉アレルゲン Cry— J1 (生化学工業社製)を、 0· 1 %BSA含有 PBSを用いて 0、 1 、 5、 10ng/mLに希釈し、ゥエルに 100 Lずつ添加した。添加後室温で 2時間静 置した。
[0193] (5)ゥエルの洗浄
Cry— J1溶液を取り出し(3)と同様にしてゥエルの洗浄を行った。
[0194] (6)ペルォキシダーゼ結合抗 Cry— J1モノクローナル抗体の添加
ペルォキシダーゼ結合抗 Cry— J1モノクローナル抗体(生化学工業社製)を 0· 1 % BSA含有 PBSで 1000倍に希釈した溶液を 100 Lずつゥエルに添加し、 37°C、 1 時間静置した。
[0195] (7)ゥエルの洗浄
ペルォキシダーゼ結合抗 Cry— J1モノクローナル抗体を取り出し、(3)と同じように ゥエルの洗浄を行った。
[0196] (8)発色
ゥエルに発色液(ナカライテスタ社製)を 100 L添加し、室温で 10分間反応を実施 した。 10分後停止液を 100 L添加し、 450nmの吸光度をプレートリーダー(バイオ ラッド社製)にて測定した。
[0197] この結果を図 5に示す。すなわち、花粉アレルゲンタンパク質(Cry— J1)は濃度に 依存して当該ペプチドに捕捉され、検出できることがわ力、つた。
[0198] (実施例 2)
リンカ一の長さがバイオセンサの検出感度に与える影響を調べるために、以下の実 験を行った。人工合成 CRY—J1認識ペプチドであるァセチルー NH—TEYTIHW WK— COOH (SHl)の 5 g/mL水溶液と、ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシ ジルエーテル(PEG— DG)が 45 Mの炭酸水素ナトリウム緩衝溶液(pH = 9)を混 合し固相反応を行った。
[0199] リンカ一分子としての PEG— DG (ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテ
ノレ)は鎖長の異なる 6種類を選んだ。すなわちサンプル 1 :鎖長 8 · 3A、重合度 n = l 、サンプル 2 :鎖長 1 1. 0A、重合度 n = 2、サンプル 3 :鎖長 16. 6 A、重合度 n = 4、 サンプル 4 :鎖長 30. 4A、重合度 n = 9、サンプル 5 :鎖長 41. 4A、重合度 n= 13、 サンプル 6 :鎖長 66. 2A、重合度 n = 22である。 PEG— DGはナガセケムテックス株 式会社製デナコール EXシリーズより選んだ。
[0200] 固相反応は、アミノ化 96穴 ELISA法用プレート(住友ベークライト製、スミロン MS — 3608F)を固相に用い、室温で 24時間にて完了した。
[0201] 次に、 ELISA法用プレートの 96穴の各々に 100 μ Lの蒸留水を充填し、洗浄を 3 回 fiつた。
[0202] ブロッキングはナカライテスタ社製ブロッキングワンを用い、反応は室温で行!/、時間 は 24時間で終了した。
[0203] 界面活性剤 0. l %TWeen25含有リン酸緩衝液(pH = 7)用いて、余剰ブロッキン グ斉 Uの洗净を 3回 fiつた。
[0204] ァセチルー NH— TEYTIHWWK— COOHは蒸留水で希釈し、濃度が 0 g/m レ 0. 2 μ g/ ITLL、 0. 5 μ g/ mL 1. 0 μ g/ mL 2. 0 μ g mL 5. 0 μ g mL のものを用意した。
[0205] 長さの異なるリンカ一分子それぞれに、ァセチルー NH—TEYTIHWWK— COO
H希釈液 0 μ g/mL、 0. 2 μ g/mL、 0. 5 ^ g/mL、 1. 0 ^ g/mL、 2. 0 μ g/m
L、 5. 0 g/mLを 50 μ Lずつ滴下して、リンカ一とペプチドとの結合を行った。
[0206] リンカ一と反応しなかったァセチルー NH—TEYTIHWWK— COOHは、界面活 性剤 0. 1 %Tween25含有リン酸緩衝液(pH = 7)で 3回洗浄を行った。
[0207] 二次抗体である抗スギ花粉抗原 Cry— J1 HRP (HorseRadish Peroxidase) ( 生化学工業)を 0. l%TWeen20含有リン酸緩衝液で 1000倍希釈して調製し、その 調製液を 100 L添加し、室温 1時間反応した。
[0208] 反応しなかった二次抗体 (抗 -スギ花粉抗原 Cry— J1 HRP)は、界面活性剤 0· 1
%Tween25含有リン酸緩衝液(pH = 7)を用いて、 3回洗浄を行った。
[0209] 発色液は ELISA POD基質 TMBキット(ナカライテスタ社)を用いて発色反応を室 温で実施した。基質液を 100 L添加してから 30分後に反応後停止液を 100 L添
加し、 450nmの吸光度を測定した。
[0210] 横軸をポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)リンカ一長 さ(オングストローム単位)とし、縦軸を吸高度の傾きを検出効率と記述してグラフにし たものを図 6に示す。
[0211] ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)の鎖長が異なる 6 種類;(1 )鎖長 8. 3A、重合度 n = l (2)鎖長 1 1. O A、重合度 n = 2 (3)鎖長 16. 6 A、重合度 n = 4 (4)鎖長 30. 4 A、重合度 n = 9 (5)鎖長 41. 4 A、重合度 n = 13 (6 )鎖長 66 · 2 A、重合度 n = 22のそれぞれについて、抗原 Cryj lの濃度が 0〃 g/m L、 0. 2 μ g/ mL、 0. 5 ^ g/ mL、 1. 0 μ g/ mL、 2. 0 μ g/ mLにお る 450nm の吸光度の傾きは、いずれも直線となった。
[0212] 図 6から明らかなように、リンカ一長さが 15 A以下のもの(重合度 nが 1又は 2のもの )に人工合成ペプチドであるァセチルー NH—TEYTIHWWK— COOHを結合させ たものの Cry— J1に対する検出効率は、リンカ一長さが 16. 6 A以上のもの(重合度 nが 4以上のもの)に人工合成ペプチドを結合させたものよりも高くなることが分力、つた 。この理由は、リンカ一が短ければ、ペプチドのアミノ酸配列が基板に対して比較的 直立した形で存在し、 Cry— J1と会合しやすい状態にあるのに対し、リンカ一が長く なるにつれて、ペプチドが基板に対して寝るように配置し、 Cry— J1と会合しに《な るためと考えられる。
[0213] このこと力、ら、人工合成ペプチドの C末端のアミノ酸にリンカ一を結合した場合には
、リンカ一長さが 1. 5nm (15A)以下であることが好ましいことがわかる。
[0214] (実施例 3)
上記実施例 2とは逆に、ペプチドの N末端にリンカ一を結合させた場合に、リンカ一 の長さが検出感度に与える影響を調べた。このために、ァセチルー NH— KTEYTI HWW— COOH (SH2)を合成した。ァセチル化は、リジン(K)の α —ァミノ基のみ であり、リジンの側鎖のァミノ基とリンカ一とが結合している。
[0215] 固相化反応は、抗 Cry— J1抗体 Η鎖超可変領域ペプチドであるァセチルー ΝΗ— KTEYTIHWW— COOHの 5 g/mL水溶液と、ポリ(モノ)エチレングリコールジ グリシジルエーテル(PEG— DG)が 45 Mの炭酸水素ナトリウム緩衝溶液(pH = 9)
を混合して行った。
[0216] ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)は鎖長の異なる 6 種類を選んだ。すなわち、(1 )鎖長 8. 3A、重合度 n= 1 (2)鎖長 1 1 . θΑ、重合度 n = 2 (3)鎖長 16. 6 A、重合度 n = 4 (4)鎖長 30. 4A、重合度 n = 9 (5)鎖長 41. 4A 、重合度 n= 13 (6)鎖長 66. 2A、重合度 n = 22である。 PEG— DGはナガセケムテ ックス株式会社製デナコール EXシリーズより選んだ。
[0217] 固相反応は、アミノ化 96穴 ELISA法用プレート(住友ベークライト製、スミロン MS — 3608F)を固相に用い、室温で 24時間にて完了した。
[0218] 次に、 ELISA法用プレートの 96穴の各々に 100 μ Lの蒸留水を充填し、洗浄を 3 回 fiつた。
[0219] ブロッキングはナカライテスタ社製ブロッキングワンを用い、反応は室温(25°C)で 行い、時間は 24時間で終了した。
[0220] 余剰ブロッキング剤は、界面活性剤 0. l %TWeen25含有リン酸緩衝液 (pH = 7) を用いて 3回洗浄を行った。
[0221] ァセチルー NH— KTEYTIHWW— COOHは蒸留水で希釈し、濃度が 0 g/m レ 0. 2 μ g/ ITLL、 0. 5 μ g/ mL 1. 0 μ g/ mL 2. 0 μ g mL 5. 0 μ g mL のものを用意した。
[0222] 長さの異なるリンカ一分子それぞれに、ァセチルー NH— KTEYTIHWW— COO
H希釈液 0 μ g/mL、 0. 2 μ g/mL、 0. 5 ^ g/mL、 1. 0 ^ g/mL、 2. 0 μ g/m
L、 5· 0〃 g/mLを 50 μ Lずつ滴下して fiつた。
[0223] 反応しなかったァセチルー NH— KTEYTIHWW— COOHの洗浄は、界面活性 剤 0. 1 %Tween25含有リン酸緩衝液(pH = 7)を用いて 3回行った。
[0224] 二次抗体である抗ースギ花粉抗原 Cry— J1 HRP (生化学工業)を 0 · l%Tween
20含有リン酸緩衝液で 1000倍希釈して調製し、その調製液を 100 し添加し、室 温 1時間反応した。
[0225] 反応しなかった二次抗体 (抗ースギ花粉抗原 Cry— J1 HRP)の洗浄は、界面活 性剤 0. 1 %Tween25含有リン酸緩衝液(pH = 7)で 3回行った。
[0226] 発色液は ELISA POD基質 TMBキット (ナカライテスタ社)を用いて発色反応を室
温で実施した。基質液を 100 L添加してから 30分後に反応後停止液を 100 L添 加し、 450nmの吸光度を測定した。
[0227] 横軸をポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)リンカ一長 さ(オングストローム単位)とし、縦軸を吸高度の傾きを検出効率と記述してグラフにし たものを図 7に示す。
[0228] ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)の鎖長が異なる 6 種類;(1 )鎖長 8. 3A、重合度 n = l (2)鎖長 1 1. O A、重合度 n = 2 (3)鎖長 16. 6 A、重合度 n = 4 (4)鎖長 30. 4 A、重合度 n = 9 (5)鎖長 41. 4 A、重合度 n = 13 (6 )鎖長 66 · 2 A、重合度 n = 22のそれぞれについて、抗原 Cryj lの濃度が 0〃 g/m L、 0. 2 μ g/ mL、 0. 5 ^ g/ mL、 1. 0 μ g/ mL、 2. 0 μ g/ mLにお る 450nm の吸光度の傾きは、いずれも直線となった。
[0229] また、図 7から明らかなように、リンカ一長さが 20〜6θΑ (2. 0〜6 · 0nm、重合度 n 力 S4〜9)である場合に、人工合成ペプチドであるァセチルー NH— KTEYTIHWW — COOHの Cry— J1に対する検出効率は高くなることが分力、つた。この理由は、定 かではないが、リンカ一の長さが一定の範囲内にある場合に、ペプチドのアミノ酸配 列が基板に対して比較的直立した形で存在し、 Cry— J1を捕捉しやすい状態になる ためと考えられる。
[0230] (実施例 4)
本実施例では、人工合成ペプチドの N末端に一つのリンカ一を、人工合成ぺプチ ドの C末端のアミノ酸に他の一つのリンカ一を結合させた場合に、リンカ一の長さが検 出感度に与える影響を調べた。
[0231] ァセチルー NH— KTEYTIHWWK— COOH (SH3)を合成した。すなわち Cry
J1認識ペプチドのアミノ酸配列両端にリジン残基を配置し、 C末端のリジンの側鎖 のァミノ基が一つのリンカ一と、 N末端のリジンの α—ァミノ基がァセチル化され、側 鎖のアミノ基が他の一つのリンカ一と結合するようにした。この概略図を図 9に示す。
[0232] 固相化反応は、ァセチル化 KTEYTIHWWK— COOHの 5 μ g/mL水溶液と 、ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)が 45 Mの炭酸 水素ナトリウム緩衝溶液 (pH = 9)を混合して行った。
[0233] ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)は鎖長の異なる 6 種類を選んだ。すなわち(1 )鎖長 8. 3A、重合度 n= l (2)鎖長 1 1. OA、重合度 n = 2 (3)鎖長 16. 6A、重合度 n = 4 (4)鎖長 30. 4A、重合度 n = 9 (5)鎖長 41. 4A 、重合度 n= 13 (6)鎖長 66. 2A、重合度 n = 22である。 PEG— DGはナガセケムテ ックス株式会社製デナコール EXシリーズより選んだ。
[0234] 固相反応は、アミノ化 96穴 ELISA法用プレート(住友ベークライト製、スミロン MS — 3608F)を固相に用い、室温で 24時間にて完了した。
[0235] 次に、 ELISA法用プレートの 96穴の各々に 100 μ Lの蒸留水を充填し、洗浄を 3 回 fiつた。
[0236] ブロッキングはナカライテスタ社製ブロッキングワンを用い、反応は室温(25°C)で おこな!/ヽ時間は 24時間で終了した。
[0237] 余剰ブロッキング剤は、界面活性剤 0. l %TWeen25含有リン酸緩衝液 (pH = 7) を用いて洗浄を 3回行った。
[0238] ァセチル化ー KTEYTIHWWK— COOHは蒸留水で希釈し、濃度が 0 μ g/mL
、 0. 2 μ gZ ITLL、 0. 5 μ g mL 1. 0 μ g mL 2. 0 μ g mL 5. 0 μ g, mL( ものを用意した。
[0239] 長さの異なるリンカ一分子それぞれに、ァセチル化ー KTEYTIHWWK— COOH 希釈液 0 μ g/mL, 0. 2 μ g/mL, 0. 5 ^ g/mL, 1. 0 ^ g/mL, 2. 0 μ g/mL
、 5. 0〃 g/mLを 50 a Lずつ滴下して fiつた。
[0240] 反応しな力、つた抗原 Cry— Jlの洗浄は、界面活性剤 0. l %Tween25含有リン酸 緩衝液(pH = 7)で 3回行った。
[0241] 二次抗体である抗—スギ花粉抗原 Cry— J1—HRP (生化学工業)を 0· l %Tween
20含有リン酸緩衝液で 1000倍希釈して調製し、その調製液を 100 し添加し、室 温 1時間反応した。
[0242] 反応しなかった二次抗体 (抗ースギ花粉抗原 Cry— J1 HRP)は、界面活性剤 0· 1 %TWeen25含有リン酸緩衝液(pH = 7)を用いて洗浄を 3回行った。
[0243] 発色液は ELISA POD基質 TMBキット (ナカライテスタ社)を用いて発色反応を室 温で実施した。基質液を 100 L添加してから 30分後に反応後停止液を 100 L添
加し、 450nmの吸光度を測定した。
[0244] ポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)の鎖長が異なる 6 種類;(1 )鎖長 8. 3A、重合度 n = l (2)鎖長 1 1. O A、重合度 n = 2 (3)鎖長 16. 6 A、重合度 n = 4 (4)鎖長 30. 4 A、重合度 n = 9 (5)鎖長 41. 4 A、重合度 n = 13 (6 )鎖長 66 · 2 A、重合度 n = 22のそれぞれについて、抗原 Cryj lの濃度が 0〃 g/m L、 0. 2 μ g/ mL、 0. 5 ^ g/ mL、 1. 0 μ g/ mL、 2. 0 μ g/ mLにお る 450nm の吸光度の傾きは、いずれも直線となった。
[0245] 横軸をポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)リンカ一長 さ(オングストローム単位)とし、縦軸を吸高度の傾きを検出効率と記述してグラフにし たものを図 8に示す。
[0246] 図 8から明らかなように、ァセチルー NH— KTEYTIHWWK— COOHの Cryj lに 対する検出効率は、リンカ一長さに関わり無くほぼ同等の検出効率を示すことが分か つた。この理由は、人工合成ペプチドの C末端のアミノ酸に一つのリンカ一を、人工 合成ペプチドの N末端のアミノ酸に他の一つのリンカ一を結合させた場合、リンカ一 長さに影響を受けることなぐ基板に対して人工合成ペプチドが平行に配置するため 、 Cryj— 1が人工合成ペプチド(SH3)にほぼ同等に捕捉されるためと考えられる。
[0247] (実施例 5)
抗 Cryj— 1免疫グロブリンの超可変領域のアミノ酸配列である NH— TEYTIHWW — COOHのアミノ酸配列は、 N末端側からの酉己列 TEYTは、 T, E, Tが親水性であ り、親水性が高い。また IHWWは、 I, Wが疎水性であり、疎水性が高い。また、トリプ トフアン (W)は、ペプチドやタンパクの認識サイトとして機能することが多いと考えられ ている。このため、 N末端に近い配歹 IJTEYTの親水性を上げ、 C末端に近い配歹 IJIH WWの疎水性を上げるために、チロシン (Y)を親水性のグルタミン酸(E)に変更し、 ヒスチジン(H)を疎水性のトリプトファン(W)に変更し、ァセチル一 NH— TEETIW WWK- COOH (AL1 )を人工合成した。
[0248] 固相化反応は、ァセチルー ^^1ー丁££丁1\¥\¥\¥!^—じ00^1 (八し1)の5 8/111し 水溶液と、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)が 45 Mの炭 酸水素ナトリウム緩衝溶液 (pH = 9)を混合して行った。
[0249] ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)は、鎖長 1 1. θΑ、重合 度 n = 2を用いた。
[0250] 固相反応は、アミノ化 96穴 ELISA法用プレート(住友ベークライト製、スミロン MS
— 3608F)を固相に用い、室温で 24時間にて完了した。
[0251] 次に、 ELISA法用プレートの 96穴の各々に 100 μ Lの蒸留水を充填し、洗浄を 3 回 fiつた。
[0252] ブロッキングはナカライテスタ社製ブロッキングワンを用い、反応は室温でおこな!/ヽ 時間は 24時間で終了した。
[0253] 余剰ブロッキング剤の洗浄は、界面活性剤 0. l %TWeen25含有リン酸緩衝液 (p
H = 7)で 3回行った。
[0254] 人工合成ペプチド AL1は蒸留水で希釈し、濃度が 0 μ g/mL、 0. 2 μ g/mL、 0 • 5 μ gZ mL、 1. 0 μ gZ mL、 2. 0 μ gZ mL、 5. gZ mLのものを用意した。
[0255] 人工合成ペプチド AL1の反応は、抗原 Cryj l希釈液 0 μ g/mL、 0. 2 μ g/mL、 0. S ^u g/ mL 1. O ^u g/ mL 2. 0 μ g/ mL, 5. 0 g/ mLを 50 Lずつ滴下し て fiつた。
[0256] 反応しな力、つた人工合成ペプチド AL1は、界面活性剤 0. l %Twe en25含有リン 酸緩衝液(pH = 7)を用いて洗浄を 3回行った。
[0257] 二次抗体である抗ースギ花粉抗原 Cry— J1 HRP (生化学工業)を 0 · l %Twee n20含有リン酸緩衝液で 1000倍希釈して調製し、その調製液を 100 L添加し、室 温 1時間反応した。
[0258] 反応しなかった二次抗体 (抗 -スギ花粉抗原 Cry— J1 HRP)の洗浄は、界面活 性剤 0. 1 %Tween25含有リン酸緩衝液(pH = 7)で 3回行った。
[0259] 発色液は ELISA POD基質 TMBキット (ナカライテスタ社)を用いて発色反応を室 温で実施した。基質液を 100 L添加してから 30分後に反応後停止液を 100 L添 加し、 450nmの吸光度を測定した。
[0260] PEG— DG鎖長 1 1. 0 A、重合度 n = 2によって固相化されたにァセチルー NH— TEETIWWWK— COOHついて、抗原 Cry— J1の濃度が 0 g/mL、 0· 2 gZ mL、 0. 5 μ g/mL, 1. 0 μ g/mL, 2. 0〃 g/mLにおける 450nmの吸光度の頃
きは、直泉となった。
[0261] 人工合成 Cry—Jl認識ペプチドであるァセチルー NH—TEYTIHWWK— COO H (SH1 )については、実施例 2に準じて固相化反応を行った。用いたポリエチレング リコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)は、鎖長 11. 0A、重合度 n = 2である。
[0262] 固相化されたにァセチルー NH— TEYTIHWWK— COOHついて、抗原 Cry— J 1の濃度力 s0 μ g/mL, 0. 2 μ g/mL, 0. 5 μ g/mL, 1 · 0 g/mL, 2. O /i g/ mLにおける 450nmの吸光度の傾きは、直線となった。
[0263] 横軸をポリ(モノ)エチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG— DG)リンカ一長 さ(オングストローム単位)とし、縦軸を吸高度の傾きを検出効率と記述してグラフにし たものを図 10に示す。
[0264] 図 10から明らかなように、ァセチルー NH— TEYTIHWWK— COOH (SHl )とァ セチル— NH— TEETIWWWK— COOH (ALl )は、 Cry— J1に対してほぼ同等の 反応性を示すことが分かった。この理由は、アミノ酸酉己列 TEYTIHWWK力 親水性 、疎水性共に、 Cry— J1の認識に対して十分な能力を持っていたからと考察できる。 それゆえ、一部の領域の親水性と、一部の領域の疎水性を向上させた人工合成ぺ プチド TEETIWWWKは、超可変領域の C末端にリジンを付加した人工合成ぺプチ ド TEYTIHWWKと同様の認識能力を示すに止まると考えられる。
産業上の利用可能性
[0265] 以上説明したように本発明によると、低コストで且つ失活等のおそれのないバイオ センサを低コストで実現できる。このバイオセンサは、環境計測器、医療検査機器等 に利用可能であり、産業上の意義は大きい。
図面の簡単な説明
[0266] [図 1]実施の形態に力、かるバイオセンサの概略図である。
[図 2]実施例 1で測定したアミノ酸配列(Cry—Jlマウスモノクローナル抗体 IgG (Anti Cry-Jl Mouse #013生化学工業))と、データベースに記載のアミノ酸配列との相同 比較を示す図である。
[図 3]人工合成ペプチドであるフルォレセイン- TEYTIHWWK力 デナコール EX-8 50を介してキトサン膜に固定化された状態の吸光度を示すグラフである。
[図 4]人工合成ペプチドであるフルォレセイン- TEYTIHWWKがリンカ一を介してキ トサンに固定化された構造の予想図である。
[図 5]実施例 1における実験結果を示すグラフである。
[図 6]実施例 2にかかるバイオセンサの検出感度を示すグラフである。
[図 7]実施例 3にかかるバイオセンサの検出感度を示すグラフである。
[図 8]実施例 4にかかるバイオセンサの検出感度を示すグラフである。
[図 9]実施例 4にかかるバイオセンサの概略図である。
[図 10]実施例 5にかかるバイオセンサの検出感度を示すグラフである。
符号の説明
1 ペプチド
2 担持体
3 リンカ一