JP7298855B2 - アフィニティ支持体及びそれを用いた物質の捕捉方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1(特開平07-268000号公報)には、担体と、担体に結合した抗体とから構成される免疫吸着体が開示されており、免疫吸着体の調製時において、抗体としてポリクローナル抗体やモノクローナル抗体を用いることができ、抗体を担体に結合するためにN,N’-ヘキサメチレンビスマレイミドなどの架橋剤を用いることができることが記載されている。
特許文献2による方法は、リガンドを用いた用途に限定されており、非特異的な吸着を低減させるに過ぎない。このため、特定の目的分子を特異的に捕捉することはできない。
しかしながら、非特許文献2の方法においては、抗体様分子によるコーポレイティブ結合が可能となった捕捉対象は、抗体様分子と同様の大きさ及び形状を有する抗体分子(抗アミロイドβ抗体分子(6E10))のみである。つまり、一般的にアフィニティ担体の捕捉対象となりうる、多種多様の大きさ及び形状を有する抗体以外の分子、特にポリペプチドについて、抗体様分子によるコーポレイティブ結合の可能性は示唆されていない。
(1)
支持体と、前記支持体に結合したスペーサと、前記スペーサに結合したアフィニティ物質とを含み、且つ、前記スペーサに結合したアフィニティ物質が2~5種類、混合状態で存在している、アフィニティ支持体。
上記(1)のアフィニティ支持体の具体的態様の一例は、実施例2に示される。
前記スペーサの長さが1~100nmである、(1)のアフィニティ支持体。
(3)
前記スペーサがオキシアルキレン基を含有する、(1)又は(2)のアフィニティ支持体。
(4)
前記スペーサが、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリサッカライド、生分解性高分子、及び脂質重合体からなる群から選ばれる、(1)又は(2)のアフィニティ支持体。
(5)
前記スペーサが分岐しており、前記スペーサの主鎖側に前記支持体が結合し、分岐鎖側に前記アフィニティ物質が結合している、(1)~(4)のいずれかのアフィニティ支持体。
前記アフィニティ物質が結合している前記スペーサの前記支持体上における固定位置間距離が1~50Åである、(1)~(5)のいずれかのアフィニティ支持体。
前記支持体が、アガロース、セファロース、デキストラン、シリカゲル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸系ポリマー、フッ素樹脂、金属錯体樹脂、ガラス、金属及び磁性体からなる群から選ばれる素材からなるものである、(1)~(6)のいずれかのアフィニティ支持体。
前記アフィニティ物質が、免疫グロブリン、免疫グロブリンF(ab’)断片、免疫グロブリンF(ab)断片、免疫グロブリンFv断片、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー、受容体タンパク質及び生理活性物質からなる群から選ばれる、(1)~(7)のいずれかのアフィニティ支持体。
支持体と、前記支持体に結合したスペーサと、前記スペーサに結合したアフィニティ物質とを含むアフィニティ支持体に、捕捉されるべき対象を接触させることにより、前記アフィニティ物質と前記捕捉されるべき物質とを結合させる工程を含み、
前記捕捉されるべき対象1個に複数のアフィニティ部位が存在し、前記アフィニティ物質が前記複数のアフィニティ部位の少なくとも2つの部位に同時に結合する、物質の捕捉方法。
前記アフィニティ支持体上において、前記スペーサに結合したアフィニティ物質が1種類存在する、(9)の物質の捕捉方法。
上記(10)の方法の具体的態様の一例は、実施例1に示される。
(11)
前記アフィニティ支持体上において、前記スペーサに結合したアフィニティ物質が2~5種類、混合状態で存在する、(9)の物質の捕捉方法。
上記(11)の方法の具体的態様の一例は、実施例2に示される。
(12)
前記スペーサがオキシアルキレン基を含有する、(9)~(11)のいずれかの物質の捕捉方法。
(13)
前記スペーサが、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリサッカライド、生分解性高分子、及び脂質重合体からなる群から選ばれる、(9)~(11)のいずれかの物質の捕捉方法。
前記スペーサが分岐しており、前記スペーサの主鎖側に前記支持体が結合し、分岐鎖側に前記アフィニティ物質が結合している、上記の物質の捕捉方法。
前記アフィニティ物質が、免疫グロブリン、免疫グロブリンF(ab’)断片、免疫グロブリンF(ab)断片、免疫グロブリンFv断片、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー、受容体タンパク質及び生理活性物質からなる群から選ばれる、上記の物質の捕捉方法。
1個の前記捕捉されるべき対象が複数の分子からなる1個の多量体又は1個の凝集体であり、前記複数のアフィニティ部位のそれぞれが、前記複数の分子のそれぞれに存在する、(9)~(13)のいずれかの物質の捕捉方法。
(15)
1個の前記捕捉されるべき対象が1個の分子である、(9)及び(11)~(13)のいずれかの物質の捕捉方法。
(16)
前記捕捉されるべき対象が生体物質又は非生体物質である、(9)~(15)のいずれかの物質の捕捉方法。
(17)
前記生体物質が、バイオマーカー、バイオマーカー候補分子、及びバイオマーカー又はバイオマーカー候補からスプライシングにより生じる断片からなる群から選ばれる、(16)の物質の捕捉方法。
(18)
前記バイオマーカーが、癌、脳疾患、心疾患、免疫疾患、肝疾患、腎疾患及び眼病からなる群から選ばれる疾病に関連するものである、(17)の物質の捕捉方法。
(19)
前記生体物質がウイルス又は細菌である、(16)の物質の捕捉方法。
(20)
前記非生体物質が環境有害物質である、(16)の物質の捕捉方法。
本発明によって、従来のアフィニティ支持体に比べて100~100,000倍小さい解離定数KDを達成する。このため、従来のアフィニティ支持体に比べて効率よい試料中の目的分子の単離及び濃縮(すなわち、目的分子をアフィニティ支持体に結合させることにより、濃縮された状態で試料中から単離すること)を達成する。例えば、従来の免疫沈降法に比べて約5.6~8.5倍(モル基準)の捕捉率を達成し、捕捉された物質の質量分析装置での感度は10倍に向上する。また、解離定数KDが小さいことにより、洗浄条件の拡大及び/又は非特異吸着の抑制も可能となる。
本発明のアフィニティ支持体は、支持体と、支持体に結合したスペーサと、スペーサに結合したアフィニティ物質とを含む。結合には、直接的結合及び間接的結合が含まれる。
支持体の素材は、アガロース、セファロース、デキストラン、シリカゲル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸系ポリマー、フッ素樹脂、金属錯体樹脂、ガラス、金属及び磁性体からなる群から選ばれてよい。
支持体の形状は、平面状、球状及びその他の形状を問わない。例えば、支持体は、目的物質の分離及び/又は濃縮に用いられるチップ、ビーズ又はマイクロデバイス内の流路壁を構成するものであってよい。
スペーサは、好ましくは一方の末端が支持体に、他方の末端がアフィニティ物質に結合している。スペーサは、支持体とアフィニティ物質との間に適切な間隔を保ち、自身に柔軟性又は柔軟性及び伸長性を確保することによって、コーポレイティブ結合を可能にする一因として機能しうる。好ましくは、スペーサは鎖状(スペーサ鎖)の構造を有する。鎖状のスペーサの存在により、非存在の場合に比べ捕捉されるべき対象がアフィニティ物質と結合する時の支持体における立体障害が少なくなり、その結果、アフィニティ物質と捕捉されるべき対象との結合力を上げることができる。
例えば、非ペプチド性スペーサはオキシアルキレン基を含有してよい。オキシアルキレン基含有基は2価の基であり、例えば炭素数2~6のオキシアルキレン基含有基でありうる。より具体的には、オキシアルキレン基含有基におけるオキシアルキレンは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドである。オキシアルキレン基含有基は、好ましくは有機高分子重合体、すなわちポリオキシアルキレン基含有基である。ポリオキシアルキレン基含有基は、炭素数2~6のアルキレングリコールの重合(例えば重合度2~40)によって生じさるポリアルキレングリコール基であることが好ましい。例えば、ポリエチレングリコール基(エチレングリコールの重合によって生じる基)及びポリプロピレングリコール基(1,2-プロパンジオール又は1,3-プロパンジオールの重合によって生じる基)からなる群から選ばれうる。
本発明においては、オキシアルキレン基含有基として、特に、エチレングリコール基、又は重合度2~40好ましくは12~36のポリエチレングリコール基が選択されうる。
これら有機高分子重合体の重合度は、例えば2~40、好ましくは12~36でありうる。
アフィニティ物質は、一般的に分子認識系を構築することができる、非共有結合によって相互作用可能なゲスト物質及びホスト物質の一方であってよい。より好ましくは、アフィニティ物質は、ホスト物質である。
本発明における分子認識における相互作用は、アフィニティ物質が捕捉対象のアフィニティ部位を認識し非共有結合によって相互作用することであり、例えば結合速度定数ka(単位1/Ms)が少なくとも103又は104、例えば103~105又は104~105の親和性で特異的結合することでありうる。アフィニティ物質1個当たりが有する特異的結合可能な場所は、1個であってもよいし、2個以上(例えば5個以下)であってもよい。
アフィニティ物質の例としては、アミノ酸及びポリペプチドが挙げられる。より具体的には、アフィニティ物質は、アミノ酸又は2~50アミノ酸残基からなるポリペプチドでありうる。
アフィニティ物質の他の例としては、免疫グロブリン及び免疫グロブリン断片からなる群から選ばれるものが挙げられる。免疫グロブリン断片としては、抗原結合能を有する断片であれば特に限定されない。例えば、F(ab’)2、F(ab’)、Fab、Fd、Fv、L鎖、及びH鎖からなる群から選ばれることができる。これらの中でも、Fc領域を有しない、免疫グロブリンF(ab’)断片、免疫グロブリン(ab)断片、及びFv断片からなる群から選ばれることが、非特異的吸着を抑制する観点から好ましい。免疫グロブリンとしては、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4等が挙げられる。免疫グロブリンは、いかなる動物由来であってもよいが、特にヒト由来である。
アフィニティ物質のさらなる他の例としては、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー、受容体タンパク質及び生理活性物質からなる群から選ばれるものが挙げられる。生理活性物質の例としては、サイトカイン、ホルモン及び神経伝達物質が挙げられる。
本発明の態様の他の一例において、スペーサを介して支持体上に結合したアフィニティ物質は、支持体上に(より具体的には支持体上の特定領域に)、複数種のアフィニティ物質が存在する。この態様におけるアフィニティ物質の種類の数は複数であるものの、例えば一般的なポリクローナル抗体を構成する抗体の種類の数ほど多くない。2~5種のアフィニティ物質それぞれの量は、互いに同量又は同量に近いことが好ましい。より具体的には、2~5種から選ばれる任意の2種のアフィニティ物質の間の量の差が、20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内(モル基準)に収まるように、それぞれのアフィニティ物質を用いることができる。さらにこの態様においては、異なる種類のアフィニティ物質が、同一支持体上において混合状態で存在する。異なるアフィニティ物質が同一支持体上で混在している態様は、異なる種類のアフィニティ物質が互いに識別可能な状態で固定されている態様(例えばマイクロアレイ)と明確に区別される。
本発明のアフィニティ支持体は、結合性官能基を表面に有する支持体と、結合性官能基を有するアフィニティ物質とを、支持体の結合性官能基に対応する結合性官能基及びアフィニティ物質の結合性官能基に対応する結合性官能基の両方を同時に有する(すなわち二官能型の)又は逐次的に有する(すなわち単官能型の)スペーサ物質を介して結合させることで調製することができる。
それぞれの要素間の互いに対応する結合性官能基の組み合わせは、共有結合、イオン結合及び水素結合からなる群から選ばれる結合、好ましくは共有結合が可能な組み合わせを、当業者が容易に決定することができる。
支持体上の結合性官能基の密度は、例えば0.001~0.5mmol/m2、好ましくは0.01~0.1mmol/m2である。
一方、二官能性スペーサ物質を用い、支持体、二官能性スペーサ物質及びアフィニティ物質を同一反応系に供することで、それぞれの要素間の結合を一度に生じさせてもよい。
本発明のアフィニティ支持体は、固定されたアフィニティ物質に応じて当業者によって選択された分子認識系に供することによって使用することができる。具体的には、捕捉されるべき物質を含む試料と、アフィニティ支持体とを接触させることによって、試料中の捕捉されるべき物質とアフィニティ支持体上のアフィニティ物質とを結合させる。
本発明の一態様において、1個の捕捉されるべき対象は、1個の分子である。本発明の他の一態様において、1個の捕捉されるべき対象は、2個以上の分子からなる1個の2量体以上の多量体又は1個の凝集体である。
捕捉されるべき対象1個には、アフィニティ部位、すなわちアフィニティ物質と特異的に結合する部位が複数存在する。本発明のアフィニティ支持体の使用においては、少なくとも2個のアフィニティ物質が、捕捉されるべき対象1個に存在する複数のアフィニティ部位のうち少なくとも2つの部位に同時に結合する(すなわちコーポレイティブ結合する)ことができる。コーポレイティブ結合においては、少なくとも2つのアフィニティ部位への同時結合が、常になされていることは要求されない。例えば、少なくとも2つのアフィニティ部位のうち1つの部位のみに結合している瞬間があることも許容する。すなわち、コーポレイティブ結合においては、補捉されるべき物質の複数のアフィニティ部位のいずれかが常にアフィニティ物質に結合していることにより、捕捉されるべき物質をとらえた状態を維持しやすい。言い換えれば、捕捉されるべき物質とアフィニティ物質との完全な解離が起きにくい。
本発明のアフィニティ支持体によって捕捉されるべき対象は、固定されたアフィニティ物質の種類又は種類の組み合わせに応じて当業者により容易に決定することができる。
捕捉されるべき対象は、天然由来構造を有するものであるか否かを問わない。
捕捉されるべき対象のより具体的な他の例として、細菌細胞、動物細胞、及び植物細胞からなる群から選ばれる細胞類が挙げられる。この場合、アフィニティ支持体は、例えば、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)等の、2量体以上の多量体を構成しているレセプタを捕捉することができる。
このような生体試料をアフィニティ支持体に供することによって、試料中に含まれる目的物質を捕捉し、捕捉した目的物質を検査することができる。
このような環境試料をアフィニティ支持体に供することによって、試料中に含まれる目的物質を捕捉し、捕捉した目的物質を検査することができる。
支持体に固定されたアフィニティ物質と捕捉されるべき対象とを結合させた後、支持体表面を洗浄工程に供することができる。洗浄工程においては、支持体表面を0.01~500MPa、好ましくは0.05~300MPa、さらに好ましくは0.1~200MPaの流体圧に供することによって、不要な成分を除去することができる。上記範囲を下回ると、所望の洗浄効果が得られない傾向にある。上記範囲を上回ると、アフィニティ物質と捕捉された対象との結合が切断されるおそれがある。本発明のアフィニティ支持体は、コーポレイティブ結合によって捕捉すべき対象を保持することができるため、従来のアフィニティ支持体を用いた場合に比べて高圧条件での洗浄が可能である。このような洗浄条件の拡大は、アフィニティ支持体への非特異吸着物質の除去効率を向上させ、その結果、捕捉された対象の分析の感度向上に資することとなる。
捕捉された対象は、アフィニティ支持体に結合させたまま、又は、アフィニティ支持体から溶出させて(すなわち捕捉された対象とアフィニティ物質との結合を切断し、捕捉された対象を遊離させて)得られた回収物の状態で、適当な検出系によって分析されることができる。捕捉された対象をアフィニティ支持体から溶出させる方法は、捕捉された対象が結合したアフィニティ支持体を、捕捉された対象とアフィニティ物質との組み合わせに応じて当業者により容易に選択される溶出液に供することによって行うことができる。
例えば、アフィニティ支持体が供される分子認識系が免疫系である場合、いかなる固相免疫測定法による検出系が選択されてもよい。例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(EIA、ELISA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CLIA)等による検出系が選択される。当業者はこれらの検出系に応じた標識(放射性同位元素、酵素、蛍光物質及び化学発光物質からなる群から選ばれる)を、適宜、アフィニティ物質及び/又は捕捉されるべき対象に結合させておくことができる。
また例えば、アフィニティ支持体が供される分子認識系がアプタマー-受容体タンパク質系である場合、用いられる検出系は、上記免疫系において用いられる検出法に準じることができる。アプタマー-受容体タンパク質系を用いる場合は、特異的結合能及びアプタマー調製の簡便さにおいて上記免疫系を用いる場合より優れている点で好ましい。
マトリックスとしては、例えば、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、シナピン酸、3-アミノキノリン等を用いることができる。
マトリックス溶媒としては、例えば、アセトニトリル(ACN)、トリフルオロ酢酸(TFA)、メタノール、エタノール及び水からなる群から選択して用いることができる。より具体的には、ACN-TFA水溶液、ACN水溶液、メタノール-TFA水溶液、メタノール水溶液、エタノール-TFA水溶液、エタノール溶液などを用いることができる。ACN-TFA水溶液におけるACNの濃度は例えば10~90体積%であり、TFAの濃度は例えば0.05~1体積%、好ましくは0.05~0.1体積%でありうる。
マトリックス濃度は、例えば0.1~50mg/ml、好ましくは0.3~20mg/ml、さらに好ましくは0.5~20mg/mlでありうる。
(1)6E10 F(ab’)-PEGnビーズの作製
6E10 F(ab’)-PEGnビーズを作製するための手順の概略を図1に示した。
まず、抗体F(ab’)断片を調製した。より具体的には、アミロイド・ベータの第3-8残基をエピトープとする抗アミロイド・ベータ抗体(6E10)250μgをFicinアガロースビーズ(Thermo)1250μl(33%スラリー)により消化し、サイズ排除クロマトグラフィを用いて分離した。図2に、サイズ排除クロマトグラフィによる6E10のFicin消化物の分離結果を示す。さらに、図3に、分画した6E10消化物の還元SDS-PAGE(図3A)及び非還元SDS-PAGE(図3B)クロマトグラフィで得られたゲル画像を示す。F(ab’)2の性質上、非還元状態ではおよそ100kDa、還元状態ではH鎖及びL鎖間のジスルフィド結合が開裂して25kDaとなる。還元状態(図3A)で25kDaの位置、及び非還元状態(図3B)でおよそ100kDaの位置にバンドが確認されたフラクション(Frac.)24-29の分画を確認することによって、6E10 F(ab’)2が精製できたと判断した。このフラクション24-29を集めてF(ab’)2画分とした。この6E10 F(ab’)2画分を30mM 2-メルカプトエチルアミン(MEA)水溶液で還元した。図4に、還元処理前(図4A)と還元処理後(図4B)とにおけるサイズ排除クロマトグラムを示す。図4により、6E10 F(ab’)2画分の還元によって6E10 F(ab’)が生成したことを確認した。
対照実験用として、プロテインG磁気ビーズ(Dynabeads Protein G: Invitrogen)5μl(33%スラリー)に6E10 IgG 0.75μgをアフィニティ結合させ、IgG-プロテインGビーズを作製した。
抗原にはアミロイド・ベータ(1-42)を用いた。アミロイド・ベータ(1-42)はC末端側が凝集して多量体を形成することが知られている。そのため、1個の凝集体アミロイド・ベータ(1-42)には6E10のエピトープが複数存在することになり、コーポレイティブ結合を利用した結合力評価に適した材料になりうる。なお、本実施例で用いたアミロイド・ベータ(1-42)が凝集していることは、SDS-PAGEにて確認した。3~100μg/mLの濃度のアミロイド・ベータ(1-42)をSDS-PAGEで分離し、銀染色によって染めたゲルの画像を図5に示す。図5に示されるように、アミロイド・ベータ(1-42)の二量体(Dimers)、三量体(Trimers)、四量体(Tetramers)が確認された。
6E10 F(ab’)-PEGnビーズ(n=2、24)及び6E10 IgG-プロテインGビーズの3種類のビーズを、それぞれ、TBS(10mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.4)-1% n-オクチル-β-D-チオグリコシド(OTG)で三回洗浄した後、凝集形成しているアミロイド・ベータ(1-42)と1時間、室温で転倒混和させながら反応させた。その後、ビーズをTBS-1%OTGで3回洗浄、及びH2Oで1回洗浄した。さらにその後、3mM HCl5μlで2回溶出を行った。このように、捕捉すべき対象の単離及び濃縮を行った。溶出液は、後述のようにサンドウィッチELISA及びMALDI-TOF MSで測定した。
炭酸バッファー(15mM Na2CO3、35mM NaHCO3、pH9.6)に0.5μg/mlで溶解している抗アミロイド・ベータ抗体(4G8)の溶液を、96ウェルプレートに100μlずつ入れて、4℃、オーバーナイトで静置した。その後、ウェルに入っている抗体溶液を除去し、さらに20%ブロッキングバッファー(ナカライテスク)を200μlずつ入れて2時間、室温で静置した。ウェルを洗浄バッファー(10mM Na2HPO4、1.76mM KH2PO4、137mM NaCl、2.7mM KCl、0.1%Tween)300μlで3回洗浄した。
MALDIプレート上に、上記項目4で得られた溶出液1μlと、0.1%トリフルオロ酢酸を含む50%アセトニトリル水溶液中0.5mg/mlのα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)1μlとを滴下し混合した。それをAXIMA performance(島津製作所)のリニアモードで計測した。各サンプル間の比較をするため、計測は全てプロファイル数;500、1プロファイルにおけるショット数;5、ラスターモード、レーザー照射点の数;100ポイントで一定にした。ピーク検出の基準はS/N比3以上とした。
抗原となるアミロイド・ベータ(1-42)量を100ngで一定にし、且つ各種ビーズの量を107個で一定にし、反応溶液の液量をそれぞれ10、100及び1000μlとして(つまり抗体濃度と抗原濃度とをそれぞれ1、10及び100倍にふった条件で)、各種ビーズ(6E10 F(ab’)-PEG24ビーズ、6E10 F(ab’)-PEG2ビーズ、及び6E10 IgG-プロテインGビーズ)を用いたアミロイド・ベータ(1-42)の単離及び濃縮を行った。単離及び濃縮における抗原捕捉量をELISA法にて測定した。アミロイド・ベータ(1-42)の捕捉量のグラフを図6に示す。6E10 F(ab’)-PEG24ビーズは、6E10 IgG-プロテインGビーズと比べて5.9~8.5倍、6E10 F(ab’)-PEG2ビーズは6E10 IgG-プロテインGビーズと比べて5.6~6.9倍量の抗原を捕捉できた。
F(ab’)-PEG24ビーズを用いた場合の捕捉量がF(ab’)-PEG2ビーズの場合を上回っていることは、F(ab’)-PEG24ビーズが抗原と結合する時により好ましい(すなわちよりkdが小さい)コーポレイティブ結合を形成していると考えられる。そして、このことは生体試料中で濃度のより低い分子を捕捉することに対してF(ab’)-PEG24ビーズがより有効な手段となりえることを示している。
本発明の方法を用いた場合に、質量分析装置で検出できる抗原量が、従来の免疫沈降法を用いた場合(すなわち6E10 IgG-プロテインGビーズを使用した場合)に比べて少なくなることを調べた。図7に、6E10 IgG-プロテインGビーズ(図7A)、6E10 F(ab’)-PEG2ビーズ(図7B)及び6E10 F(ab’)-PEG24ビーズ(図7C)を用いた場合に得られたアミロイド・ベータ(1-42)溶出液のMALDI-TOF MSスペクトルと、ビーズに捕捉させず純品のまま(図7D)MALDIプレートにスポットされた(直接スポッティングされた)アミロイド・ベータ(1-42)のMALDI-TOF MSスペクトルとを示す。それぞれの場合のアミロイド・ベータ(1-42)の検出限界を表1にまとめた。
実施例1の1種類の抗体由来の6E10 F(ab’)-PEGnビーズを用いて、6E10 IgG-プロテインGビーズを用いた場合より捕捉量を増加させることができる捕捉対象は、ホモ多量体を形成しているアミロイド・ベータ(1-42)のような分子である。
一方、本実施例では、抗原1分子に対して同様の捕捉量増加を図るために、抗原分子1分子における複数の部位を認識する少なくとも2種類の抗体由来F(ab’)が必要であることを前提とし、2種類のF(ab’)を有するビーズを作製した。
(1-1)6E10/4G8 F(ab’)-PEG24ビーズの作製
2種類のF(ab’)のうち一方は、実施例1と同様にアミロイド・ベータの第3~8残基をエピトープとする抗アミロイド・ベータ抗体6E10から調製し、他方は、アミロイド・ベータの第18~22残基をエピトープとする抗アミロイド・ベータ抗体4G8から調製した。4G8はIgG2bのため、FicinやPepsinによってはF(ab’)2を生成できない。そこで、リシルエンドペプチダーゼ(LysC)を用いてF(ab’)2を生成させた。具体的には、LysC 500ngを4G8 100μgに2.5時間作用させた後、サイズ排除クロマトグラフィを用いて分離した。
参考実験用として、実施例1と同じ6E10 F(ab’)-PEG24ビーズと、F(ab’)画分として、4G8 F(ab’)画分を用いたことを除き実施例1の項目1と同様の方法によって作製した4G8 F(ab’)-PEG24ビーズとを用意した。
(2-1)6E10/4G8 IgG-プロテインGビーズの作製
4G8 F(ab’)画分と6E10 F(ab’)画分とを1:1(モル比)で用いたことを除き、実施例1の項目2と同様の方法によって、2種の抗体を同じプロテインGビーズに結合させたもの、すなわち6E10/4G8 IgG-プロテインGビーズを作製した。
対照実験用として、実施例1と同じ6E10 IgG-プロテインGビーズと、抗体として4G8 IgGを用いたことを除き実施例1の項目2と同様の方法によって作製した4G8 IgG-プロテインGビーズとを用意した。
抗原にはアミロイド・ベータ(1-28)を用いた。アミロイド・ベータ(1-28)は実施例1におけるアミロイド・ベータ(1-42)と異なって凝集することはなく、溶液中で単体として存在する。
上述のアフィニティビーズ(6E10/4G8 F(ab’)-PEG24、6E10 F(ab’)-PEG24ビーズ、4G8 F(ab’)-PEG24ビーズ、6E10/4G8 IgG-プロテインGビーズ、6E10 IgG-プロテインGビーズ及び4G8 IgG-プロテインGビーズ)を用いて、実施例1の項目4と同様にアミロイド・ベータ(1-28)を捕捉した。さらに、実施例1の項目6と同様に質量分析装置で計測し、検出限界を調べた。図10に、6E10 IgG-プロテインGビーズ(図10A)、4G8 IgG-プロテインGビーズ(図10B)、6E10/4G8 IgG-プロテインGビーズ(図10C)、6E10 F(ab’)-PEG24ビーズ(図10D)、4G8 F(ab’)-PEG24ビーズ(図10E)、及び6E10/4G8 F(ab’)-PEG24ビーズ(図10F)を用いた場合に得られたアミロイド・ベータ(1-28)溶出液のMALDI-TOF MSスペクトルと、ビーズに捕捉させず純品のまま(図10G)MALDIプレートにスポットされた(直接スポッティングされた)アミロイド・ベータ(1-28)のMALDI-TOF MSスペクトルとを示す。また、それぞれの場合における検出限界(S/N≧3)を表2に示す。
ここで、6E10 F(ab’)と4G8 F(ab’)とのそれぞれの結合力を単純に計算すれば、6E10 F(ab’)-PEG24ビーズの検出限界5pgと4G8 F(ab’)-PEG24ビーズの検出限界25pgとを平均した15pg程度の検出限界が予想される。しかしながら、6E10/4G8 F(ab’)-PEG24ビーズによる検出限界は、予想された検出限界の1/6である2.5pgであった。これは、ビーズ上の互いに異なるエピトープをもつ2種類の抗体断片(6E10 F(ab’)と4G8 F(ab’))がコーポレイティブ結合を形成して、結合力を高めたと考えられる。一方、S/N比を比較すると、6E10 F(ab’)-PEG24を用いた場合は純品のアミロイド・ベータ(1-28)の場合よりも低い値を示したことから、微量な夾雑物(低分子化合物、金属イオン等)が混じっていることが考えられる。
生体試料から目的の生体分子を質量分析装置で測定するためには、目的分子を単離及び濃縮することで、他の夾雑物を排除することが重要である。本実施例では、F(ab’)-PEGnビーズの、捕捉すべき対象の単離及び濃縮による他の夾雑物の排除能力を調べた。生体試料としてヒト血漿を用いた。
ヒトの血液にはヒト抗マウス抗体(HAMA)が存在することが知られている。6E10及び4G8はマウス由来のIgGであるため、このような分子が結合してしまう。そのような結合を防ぐため、アミロイド・ベータ(1-28)がスパイクされた血漿サンプルとビーズとを混合する前に、血漿サンプルをプロテインGアガロース50μlと混ぜ、30分4℃インキュベーションすることにより、血漿中に含まれているヒト抗マウス抗体を取り除いた。その後、同様に質量分析を行った。これにより得られたマススペクトルを図11(B)に示す。図11(B)が示すように、ヒト抗マウス抗体の除去によって、アミロイド・ベータ(1-28)以外のピークの多くは取り除かれた。その一方、高いバックグラウンドスペクトルが観察された。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を実施の態様として付記する。
[1] アミロイドβの捕捉方法であって、
支持体と、前記支持体に直接的に結合した複数のスペーサと、前記スペーサに各々直接的に結合した複数の免疫グロブリンとを含むアフィニティ支持体に、アミロイドβを含む試料を接触させることにより、前記免疫グロブリンと前記アミロイドβとを結合させる工程を含み、
前記スペーサの長さが1~100nmであり、
前記免疫グロブリンが結合している前記スペーサの前記支持体上における固定位置間距離が1~1000Åであり、
前記アミロイドβは複数のアフィニティ部位を有し、前記免疫グロブリンが前記複数のアフィニティ部位の少なくとも2つの部位に同時に結合し、前記アミロイドβが前記免疫グロブリンとコーポレイティブ結合により捕捉される、アミロイドβの捕捉方法。
[2] 前記アフィニティ支持体上において、前記スペーサに結合した免疫グロブリンが1種類存在する、[1]のアミロイドβの捕捉方法。
[3] 前記アフィニティ支持体上において、前記スペーサに結合した前記免疫グロブリンが2種類以上、混合状態で存在する、[1]のアミロイドβの捕捉方法。
[4] 前記スペーサがオキシアルキレン基を含有する、[1]~[3]のいずれかのアミロイドβの捕捉方法。
[5] 前記スペーサが、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリサッカライド、生分解性高分子、脂質重合体、及びポリペプチドからなる群から選ばれる1つ又はいずれか2つ以上を含む、[1]~[4]のいずれかのアミロイドβの捕捉方法。
[6] 前記アミロイドβが複数の分子の多量体又は凝集体として存在し、前記複数のアフィニティ部位が、多量体又は凝集体それぞれに存在する、[1]~[5]のいずれかのアミロイドβの捕捉方法。
[7] 前記スペーサが分岐しており、前記スペーサの主鎖側に前記支持体が結合し、前記スペーサの分岐鎖側に前記免疫グロブリンが結合している、[1]~[6]のいずれかのアミロイドβの捕捉方法。
[8] 前記支持体が、アガロース、セファロース、デキストラン、シリカゲル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸系ポリマー、フッ素樹脂、金属錯体樹脂、ガラス、金属及び磁性体からなる群から選ばれる素材からなるものである、[1]~[7]のいずれかのアミロイドβの捕捉方法。
[9] 前記免疫グロブリンが、
(a)アミロイドβの第3-8アミノ酸残基を含むエピトープ、及び
(b)アミロイドβの第18-22アミノ酸残基を含むエピトープ
からなる群から選ばれるアミロイドβのエピトープに結合する免疫グロブリンである、[1]~[8]のいずれかのアミロイドβの捕捉方法。
[10] 前記免疫グロブリンが、6E10及び4G8からなる群から選ばれる、[1]~[9]のいずれかのアミロイドβの捕捉方法。
[11] 前記免疫グロブリンが、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選ばれる、[1]~[9]のいずれかのアミロイドβの捕捉方法。
[12] アミロイドβの捕捉及び解析方法であって、
[1]~[11]のいずれかの方法によりアミロイドβを捕捉し、
前記アフィニティ支持体の表面を洗浄し、前記支持体に非特異的に吸着した成分を除去し、
前記免疫グロブリンと結合した前記アミロイドβを前記支持体から溶出させ、
溶出されたアミロイドβを回収し、
回収されたアミロイドβを表面プラズモン共鳴(SPR)又は質量分析にて解析する、アミロイドβの捕捉及び解析方法。
Claims (11)
- アミロイドβを捕捉できるアフィニティ支持体であって、
支持体と、前記支持体に直接的に結合した複数のスペーサと、前記スペーサに各々直接的に結合した複数の免疫グロブリンとを含み、それにより、前記免疫グロブリンと前記アミロイドβとを結合させ、
前記スペーサの長さが1~20nmであり、
前記免疫グロブリンが結合している前記スペーサの前記支持体上における固定位置間距離が1~1000Åであり、
前記免疫グロブリンは、アミロイドβのアフィニティ部位の少なくとも2つの部位に同時に結合することができ、コーポレイティブ結合によりアミロイドβを捕捉し、
前記スペーサは非ペプチド性である、アフィニティ支持体。 - 前記アフィニティ支持体上において、前記スペーサに結合した免疫グロブリンが1種類存在する、請求項1のアフィニティ支持体。
- 前記アフィニティ支持体上において、前記スペーサに結合した前記免疫グロブリンが2種類以上、混合状態で存在する、請求項1のアフィニティ支持体。
- 前記スペーサがオキシアルキレン基を含有する、請求項1~3のいずれかのアフィニティ支持体。
- 前記スペーサが、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリサッカライド、生分解性高分子、脂質重合体、及びポリペプチドからなる群から選ばれる1つ又はいずれか2つ以上を含む、請求項1~4のいずれかのアフィニティ支持体。
- 前記アミロイドβが複数の分子の多量体又は凝集体として存在し、複数のアフィニティ部位が、多量体又は凝集体それぞれに存在する、請求項1~5のいずれかのアフィニティ支持体。
- 前記スペーサが分岐しており、前記スペーサの主鎖側に前記支持体が結合し、前記スペーサの分岐鎖側に前記免疫グロブリンが結合している、請求項1~6のいずれかのアフィニティ支持体。
- 前記支持体が、アガロース、セファロース、デキストラン、シリカゲル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸系ポリマー、フッ素樹脂、金属錯体樹脂、ガラス、金属及び磁性体からなる群から選ばれる素材からなるものである、請求項1~7のいずれかのアフィニティ支持体。
- 前記免疫グロブリンが、
(a)アミロイドβの第3-8アミノ酸残基を含むエピトープ、及び
(b)アミロイドβの第18-22アミノ酸残基を含むエピトープ
からなる群から選ばれるアミロイドβのエピトープに結合する免疫グロブリンである、請求項1~8のいずれかのアフィニティ支持体。 - 前記免疫グロブリンが、6E10及び4G8からなる群から選ばれる、請求項1~9のいずれかのアフィニティ支持体。
- 前記免疫グロブリンが、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選ばれる、請求項1~9のいずれかのアフィニティ支持体。
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