JP2002500623A - スプルーティタンパク質およびコーディング配列 - Google Patents

スプルーティタンパク質およびコーディング配列

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JP2002500623A JP52181998A JP52181998A JP2002500623A JP 2002500623 A JP2002500623 A JP 2002500623A JP 52181998 A JP52181998 A JP 52181998A JP 52181998 A JP52181998 A JP 52181998A JP 2002500623 A JP2002500623 A JP 2002500623A
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Abstract

(57)【要約】 新分類の哺乳動物スプルーティタンパク質を開示する。該タンパク質はそのアミノ酸配列のシステイン領域がヒトのスプルーティ2タンパク質のSEQ ID NO:17と少なくとも40%の配列同一性を有し、スプルーティ2タンパク質の全長配列はSEQ ID NO:8により確認される。また、さらに開示するのは(1)スプルーティタンパク質を含有する製剤、(2)該タンパク質をコード化するDNA配列、(3)DNAコーディング配列を含有するベクターおよび遺伝子治療組成物、および(4)哺乳動物被験体において活性哺乳動物スプルーティタンパク質の異常レベルにより特徴づけられる症状またはそれに関連する危険因子を検出する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】 スプルーティタンパク質およびコーディング配列 本出願は1996年11月7日に出願した米国仮出願No.60/030,232の利益を請求す る。技術分野 本発明はFGFシグナリング経路のモジュレーター、特にFGF−介在内皮管分枝形 成、例えば、毛細血管分枝形成(脈管形成)および気管分枝のモジュレーター、 およびその使用方法に関する。 発明の背景 正常な毛細血管は内皮細胞と血管周囲細胞から成り、血液を全身の組織に輸送 する働きをする。血管新生または脈管形成とは既存の血管から新たな毛細血管の 増殖と発達である。脈管形成は血管系の初期形成ならびに生殖および創傷治癒に とって本質的なものである。しかし、種々の腫瘍性癌、糖尿病性網膜症、血管新 生緑内障、リューマチ性関節炎および乾癬を含む未調節の持続性血管新生により 特徴づけられる症状がある。 それ故、脈管形成の分子原理を理解することが望ましく、それが未調節の持続 性血管新生により特徴づけられる癌などの症状、あるいは創傷治癒などの脈管形 成の増大を必要とする症状を処置するための治療計画を立案する基礎となる。発明の要約 本発明はその一側面において、単離した組換えスプルーティ(sprouty)ポリ ペプチドを包含し、該ポリペプチドは(1)タンパク質であって、そのアミノ酸配 列のシステインに富む領域が、全長配列がSEQ ID NO:8により確認されるヒトの スプルーティ2タンパク質のSEQ ID NO:17と少なくとも40%の配列同一性、 好ましくは少なくとも50%の配列同一性をるタンパタ質、または(2)それか ら誘導されるペプチドであって、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド から成るものである。 例示としてのタンパク質はSEQ ID NO:8に実質的に一致する配列を有するヒト スプルーティ2タンパク質、SEQ ID NO:6に実質的に一致する配列を有するヒト スプルーティ1タンパク質、およびSEQ ID NO:11に実質的に一致する配列を有 するヒトスプルーティ3タンパク質を包含する。 該タンパク質は例えば患者の充実性腫瘍の治療に使用できるが、その場合、腫 瘍の増殖を阻害するのに有効なタンパク質量を患者に投与する。この治療法にお いて、該タンパク質は、約150nm未満の平均サイズを有し、その表面をポリエ チレングリコールでコーティングしてあるリポソームに包含させるのがよい。 他の側面において、本発明はスプルーティポリペプチドをコード化する単離し たDNAフラグメントを包含し、該ポリペプチドは(1)そのアミノ酸配列のシステイ ンに富む領域が、全長配列がSEQ ID NO:8により確認されるヒトのスプルーティ 2タンパク質のSEQ ID NO:17と少なくとも40%の配列同一性、好ましくは少 なくとも50%の配列同一性を有するタンパク質、または(2)それから誘導さ れるペプチドであって、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチドである。 例示としての配列は、(1)SEQ ID NO:8に実質的に一致する配列を有するヒ トスプルーティ2タンパク質をコード化する配列、例えば、SEQ ID NO:7により 確認されるDNA配列、(2)SEQ ID NO:6に実質的に一致する配列を有するヒトス プルーティ1タンパク質をコード化する配列、例えば、SEQ ID NO:5により確認 され る領域を含むDNA配列、および(3)SEQ ID NO:11に実質的に一致する配列を有す るヒトスプルーテイ3タンパク質をコード化する配列、例えば、SEQ ID NO:10 により確認される領域を含むDNA配列を包含する。 関連する側面において、本発明は組換え発現ベクターを包含し、該ベクターは 上記DNAコーディング配列、およびフラグメントに結合して、選択した宿主中で 該タンパク質の発現を促進することのできる操作可能な調節配列から成る。該ベ クターは細胞のトランスフェクションに使用するために、ポリカチオンとの複合 体として約150nm未満のサイズの縮合粒子を形成させ、細胞からのスプルーテ ィタンパク質の分泌を増加させる。該複合体は腫瘍細胞表面に特異的に結合し得 る標的部分をさらに含む。該ベクターで形質転換した哺乳動物細胞も開示する。 さらに他の側面において、本発明は哺乳動物被験体において活性な哺乳動物ス プルーティタンパク質の異常レベルにより特徴づけられる症状またはそれに関連 する危険因子を検出する方法を包含する。該方法は被験体からゲノムDNAまたはc DNAを取得し、該DNAまたはcDNAについて、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:7およびSE Q ID NO:11により同定される遺伝子から成る群より選択されるヒトスプルーテ ィ遺伝子に関して突然変異の有無を試験することを包含する。 本発明はまた哺乳動物被験体において活性な哺乳動物スプルーティタンパク質 の異常レベルにより特徴うけられる症状またはそれに関連する危険因子を検出す る方法を包含し、該方法は被験体の組織または器官から体液を採取すること、該 体液を上記型のヒトスプルーティタンパク質に対する抗体と反応させ、タンパク 質−抗体複合体を形成し、次いで、かかる複合体の存在を確認することを含む。 本発明のこれらの目的および他の目的ならびに特徴は、以下の詳細な記載を添 付の図面と組合わせて読むことにより、より完全に明らかなものとなろう。図面の簡単な説明 図1A、1Bおよび1Cは発生分化途上ショウジョウバエの気管系における単細 胞分枝の模式図である。第5気管単位につき第12期(図1A)、第16期(図 1B)および第3齢幼生(図1C)を示す。 図2A〜2Hは野生型(+)およびSpryΔ5突然変異胚における異所性背面(DB ) および神経節(GB)分枝を示す顕微鏡写真である。図2A、2C、2Eおよび2Gは 胚全体を示す。図2B、2D、2Fおよび2Hはクローズアップを示す。 図3A〜3Lは細胞の分布および野生型(+)およびSpryΔ5突然変異気管系にお ける分枝マーカーの発現を示す。図3A、3B、3Eおよび3Fは背面分枝の顕微鏡 写真である。図3Cおよび3Dは神経節分枝の透写図である。図3Kおよび3Lは野 生型(図3K)およびSpryΔ5(図3L)幼虫背面分枝の顕微鏡写真である。 図4A、4Bおよび4Cは細胞質β−gal(ガル)の発現(Spry+)または発現の 欠損(Spry-)により識別されるSpryおよび野生型細胞のモザイククローンの顕 微鏡写真である。 図5A〜5DはSpryゲノム座(図5A)、Spry発現パターン(図5B)、Spry DNA とアミノ酸配列(図5C)、およびSpry配列の線列(図5D)を示す。 図6A、6Bおよび6CはSpry(赤)およびノッチ(Notch)(緑)タンパク質の 細胞レベル下の位置関係を示す第14期胚の顕微鏡写真である。 図7A〜7Hはショウジョウバエ胚におけるSpry−lacZ(図7A〜7D、7Fおよ び7H)およびSpry mRNA(図7Eおよび7G)発現の経時変化を示す顕微鏡写真で ある。 図8A、8Bおよび8Cはショウジョウバエ胚におけるSpryタンパク質の異所性 発現の効果を示す顕微鏡写真である。 図9A〜Pは実施例9に詳説したショウジョウバエ胚におけるBn1経路上のSpry 突然変異の影響を説明する顕微鏡写真である。図9A〜EはSpryおよびpntの発現 に際してのSpry突然変異の影響を示す。図9A〜9KはDSRFの発現に際してのSpry 突然変異の影響を示す。図9L〜NはYanの発現に際してのSpry突然変異の影響を 示す。図90および9PはSpryの上昇したレベルの影響を示す。 図10A〜Fは実施例10に詳説したSpry発現に際してのBn1経路突然変異の影 響を示す。図10AはBn−1を発現する野生型細胞におけるDBの発生を図示した ものである。図10BはSpry9143マーカーの免疫染色により可視化した発生下のD BにおいてSpry発現に際してのBn1経路変異体の影響を説明するものである。 図11はBN1−Spry調節回路の図式モデルを表す。 図12A〜Cは細胞培養(実施例11)におけるSpryタンパク質、ショウジョウ バエSpryおよびヒトSpry2の発現に対応するウエスターンブロットの結果を表す 。 ここで図12Aは66kDのショウジョウバエSpryに対応し、図12Bは35〜4 0kDでのhSpry2タンパク質を示し、図12CはショウジョウバエSpryを発現す る均一化細胞の100Kペレットおよび上清に相当する。 図13は完全なショウジョウバエSpryおよびヒトSpry2の整列したアミノ酸配 列、およびヒトSpry 1、ヒトSpry 3、マウスSpry 1およびマウスSpry 4タン パク質の部分配列を示す。発明の詳細な記載 I.定義 ポリペプチド配列またはフラグメントは、他のポリペプチド配列またはフラグ メントから「誘導」し、その場合、それは誘導されるフラグメントの対応する領域 と同じアミノ酸残基の配列をもつ。 ポリヌクレオチド配列またはフラグメントは、他のポリヌクレオチド配列また はフラグメントから「誘導」し、その場合、それは誘導されるフラグメントの対応 する領域と同じ核酸残基の配列をもつ。 もし第一のフラグメントまたはその補体が選択的なハイブリッド形成条件下に 第二の二重鎖ポリヌクレオチドハイブリッドを形成し得るならば、第一のポリヌ クレオチドフラグメントは第二のポリヌクレオチドフラグメントに「選択的にハ イブリッド形成可能」である。第一および第二フラグメントは一般に少なくとも 15個の長さのヌクレオチドであり、好ましくは、少なくとも18〜20個の長 さのヌクレオチドである。ここで定義する選択的なハイブリッド形成条件とは〜 1.1Mの塩中、〜45℃でハイブリッド形成し、次いで、0.3Mの塩中、37℃で少 なくとも1度洗浄することである。 2以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチドフラグメントは、2以上のフラ グメントをそれらが互いに対応するように並べたときに、もしそのヌクレオチド 塩基またはアミノ酸残基がそれぞれ少なくとも総塩基または残基位置について特 定の率で一致するならば、それらは少なくとも一定率の「配列同一性」を有する 。 「実質的に精製された」とはポリヌクレオチド、ポリペプチド、または関連化 合物(例、抗Spry抗体)が、関係のないあるいは混在する成分(例、血清細胞、 タンパク質、および非−抗Spry抗体)から分離されて少なくとも部分的に精製さ れたことをいう。問題の化合物または成分の単離または精製方法および手法を以 下に記載する(例、融合タンパク質のアフィニティー精製およびSpryポリペプチ ドの組換え産生)。 「Spryポリヌクレオチド」という用語は(1)スプルーティポリペプチドをコ ード化する単離されたDNAフラグメントをいい、該ポリペプチドは(a)タンパク質 であって、そのアミノ酸配列のシステインに富む領域が、全長配列がSEQ ID NO: 8により確認されるヒトのスプルーティ2タンパク質のSEQ ID NO:17と少なく とも40%の配列同一性、好ましくは少なくとも50%の配列同一性を有するタ ンパク質、または(b)それから誘導されるペプチドであって、少なくとも10 個のアミノ酸を有するペプチドから成るものである。もう一つの選択肢として、 該用語は少なくとも30個、好ましくは少なくとも100個の長さのヌクレオチ ドを含むポリヌクレオチドであって、その領域がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:5、 SEQ ID NO:7で表される配列またはその一つの配列の補体と選択的にハイブリッ ド形成可能なポリヌクレオチドをいう。 「Spryポリヌクレオチド」とは、(a)タンパク質であって、そのアミノ酸配 列のシステインに富む領域が、全長配列がSEQ ID NO:8により確認されるヒトの スプルーティ2タンパク質のSEQ ID NO:17と少なくとも40%の配列同一性、 好ましくは少なくとも50%の配列同一性を有するタンパク質、または(b)そ れから誘導されるペプチドであって、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプ チドから成るポリペプチドをいう。 II.過剰な気管分枝を引起こすスプルーティ・アレレの同定 実施例1に詳述した変異誘発の研究はパンチップ−2(Pantip−2)気管マー カーの発現パターンに関係する遺伝子を同定するために実施した。Pantip−2気 管マーカーは63D1,2のP[lacZ]挿入断片であり、そこではそれらが気管を形成 するに従い、ベーターガラクトシダーゼマーカータンパク質が発現される(サマ コブリス(Samakovlis)ら、1996)。初期の挿入断片(2683)はホモ接合生存可 能であり、正常な気管分枝パターンを示した。100種のP−要素切除アレレは トラ ンスポザーゼの導入により生成させ、致死性と胚気管表現型につき評点した。回 収した12の致死性切除アレレの内、3種(sproutyΔ5、sproutyΔ64、およびs proutyΔ55)は下記のごとく余分の気管分枝を示し、単一の相補性群を代表した 。 実施例2に詳述するように、SpryΔ5/SpryΔ5胚は16胚期で殆どの一次分枝 (背側分枝、側方前方幹と側方後方幹および神経節分枝)からの正常な発生の1. 5ないし2倍の微細分枝となった。また、内蔵分枝からの正常な発生の〜30% 以上の分枝となった(図2、表1)。余分の気管分枝が気管ネットワーク全体の 多くの部位に発生していた(図2C、G)が、無秩序に分布はしていなかった。む しろ、余分の分枝は二次的および末期の分枝が通常形成される部位の周辺に群生 していた(図2B、H)。一次分枝パターンはSpry変異体に影響されていなかった 。一次分枝はすべてその正常な長さに成長し、発生の適切な時点でその目的部位 に達していた。他の切除アレレ(SpryΔ64、SpryΔ55)は同様の表現型を示した が、SpryΔ55は他のものよりも弱かった。 優性眼部表現型(クラマー(Kramer)ら、1995)を抑制する変異のための非関 連選抜において回収された5種のEMS−誘導Spryアレレ(Spry254、Spry211、Spr y226、SpryG5、SpryF7)は、63D領域において同一の遺伝子間隔に地図化され 、SpryΔ5と同じ気管表現型をもっていた(表1)。Spry254は試験したが、気管 機能と致死性に対し3種の当初Spryアレレには相補しなかった。EMS変異体のす べてについて分子分析した結果Spryコーディング配列に損傷を確認した。 8種のSpry突然変異すべてがDf(3L)1226、Df(3L)1227、Df(3L)Hr119、Df(3L)H r232を含む63D領域における欠損のために幼生の死をもたらす。 SpryΔ5ホモ接合体はSpryΔ5/Df(3L)1226およびSpryΔ5/Df(3L)Hr298のように気 管表現型として厳密に作用するが、このことはSpryΔ5が強い機能喪失性である か無効なアレレであることを表している(表1)。 発生途上の気管系におけるSpryの遺伝子モザイク分析を下記実施例4に記載し たように実施し、どの細胞中でSpry遺伝子が分枝を阻害するように機能するかを 決定した。ホモ接合性SpryΔ5変異体クローンは一般気管lacZマーカーを担持す るSpryΔ5染色体およびSpry+染色体間のFLP−介在有糸分裂組換え(スーおよび ルビン(Xu and Rubin),1993)を用い、SpryΔ5/+動物において産生した。Sp ryΔ5 /SpryΔ5変異体気管細胞はlacZマーカーの発現不在により確認した。 ショウジョウバエSpry(Dro Spry)cDNAは実施例5記載のとおりにクローン化 した。Dro Spryのゲノム構造、発現パターンおよびcDNAとアミノ酸の配列を図5 A~5Dに示す。図5AはDro Spryゲノム座および遺伝子構造の図式を示す。3種のc DNAを単離し、ゲノム・サザーン、PCRおよびDNA配列決定によりその領域のゲ ノム・コンティーグ(contig)上に地図化した。エクソンを四角形で示す。黒地 四角形は読み取り枠であり、白抜き四角形は非翻訳領域である。 8kbのHindIII/BamHIゲノムフラグメントを胚芽ショウジョウバエcDNAライブ ラリーのスクリーニングに用いた。3つのサイズ分類に入る7種のcDNAクローン を単離した。分類の振り分けは交差ハイブリッド形成および制限酵素分析ならび に配列決定により確認した。cDNAフラグメントを消化したゲノムファージDNA にハイブリッド形成することによりエクソンを地図化した。イントロン/エクソ ンの境界をcDNAからのプライマーを用いるゲノムDNAのPCR分析により、 また、ケノムDNAの関連する領域を配列決定することにより決定した。 図5CはcDNAクローン12.2のポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)およ び翻訳されたアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)を示す。タンパク質配列の分析が示 唆するところによると、Spryタンパク質は新規な124残基のシステインに富む 領域を含む63kDの膜結合または分泌タンパク質である(SEQ ID NO:4)。該1 24残基の領域はSEQ ID NO:3として本明細書に表される配列によってコード化 される。 III.Spry タンパク質の性質 A.側生芽阻害シグナルをコード化するSpry 側生芽阻害は特定の発生運命を採用するために選択された等力価細胞群内の1 個の細胞が、その同じ発生運命を採用しないように周辺を阻害する過程である。 側生芽阻害が存在しない場合には、該選択細胞を切除することにより、あるいは 側生芽シグナリング経路の成分を不活性化することにより、等力価群内の他の細 胞は同じ発生運命を採用する。 本明細書に提示するデータは上皮管分枝に際しての側生芽阻害シグナルとして のスプルーティの機能を支持する。図2A〜Hに示すように、正常な分枝部位周辺 に生じる余分の気管分枝はSpry機能喪失変異体に発生する。余分の分枝は形態学 またはマーカー発現により(図3A〜3L)正常の分枝と識別可能であり、非分枝 化細胞が分枝化の発生運命に変わることにより生じる。さらに、Spryは分枝形成 細胞に発現され、遺伝子モザイク分析は該遺伝子がこれらの細胞に必要であり、 かつ、非自律的に作用して周辺細胞が分枝化するのを阻害する(図4A〜4C)。 最後に、Spry遺伝子は推定上のシグナルペプチドとシステインに富む長鎖ドメイ ンをもつタンパク質をコード化し(図5C)、免疫局在化の研究において小胞中 とプラズマ膜に当該タンパク質を検出した(図6A〜6C)が、このことはSpryが分 泌または膜関連タンパク質であることを示している。 これらのデータはSpryタンパク質が側生芽阻害シグナルまたはその本質的な成 分であることを証明している。気管系外の分枝化の阻害におけるSpryの役割は、 Spryが気管系に加えて幾つかの発生途上ショウジョウバエ組織において発現され 、少なくともこれら組織のあるものにおいて阻害シグナリング経路で機能すると 思われることを示すデータにより支持される。 Spry変異体胚において、余分の気管分枝は分枝形成の正常部位近くに芽を出す 。異所性分枝を生ずる細胞は正常な分枝形成細胞と区別し得ず、正常の非分枝化 細胞を分枝形成予定のものに転換することにより生じる。モザイククローンの分 析はSpryが周辺細胞による分枝の形成を阻害するために正常分枝形成細胞に必要 とされることを示していた。Spryは124残基のシステインに富むドメインを含 む新規膜関連または分泌タンパク質をコード化し、該タンパク質は分枝化細胞発 生運命へのスイッチを阻害し、気管上皮内の適当な位置に微細な分枝が形成され るのを制限するのに役立つ。 B.Bn 1 シグナリングの範囲を制限するSpry 本明細書に記載の遺伝子系統群を支持して行われたさらなる実験が示すところ によると、SpryはショウジョウバエにおいてBn 1シグナリングの範囲を制限する インヒビターをコード化し、それによってFGFシクナリングセンターに近接する 先端位置への二次的出芽を制限する(実施例9および10)。 分枝のない遺伝子(bn 1)は分枝事象において重要な役割を演じる線維芽細胞 増殖因子(FGF)同族体をコード化する(サザーラント(Sutherland)ら、1996 )。Bn1は分枝化にとって必要であり、新しい分枝が出芽する位置である気管嚢 を取巻く細胞の個々の集団に活発に発現される。分泌された増殖因子は息のない FGFレセプター(Bt1)、すべての気管細胞上に発現されるレセプターキナーゼ( RTK)を活性化し(グルイザーおよびシロ(Glazer and Shilo)、1991;リー(Lee )ら、1996)、一次分枝形成に際し気管細胞移動を先導する。Bn1はまた分枝パタ ーン化における二次的役割を有する。これは増殖下一次分枝の終末に近い細胞に おける分枝化の後期プログラムを誘導し、この方法で二次分枝化の頂端片寄りに 寄与する。この機能は典型的なRTKシグナリングカスケードにより形質導入され るように思われる(リー(Lee)ら、1996;サザーランド(Sutherland)ら、199 6;ハコーエン(Hacohen)、1997)が、このカスケードはYan、すなわち、ETSド メイン転写因子(レイおよびルビン(Lai and Rubin、1992)のMAPK依存性分解 、および下流エフェクター遺伝子、すなわち、もう一つのETSドメイン転写因子 であるポインテッド(pointed)およびブリスタード/プルーンド(blistered/pr uned)の誘発において最高潮に達する。なお、後者はDSRF、すなわち哺乳動物の 血清応答因子のショウジョウバエ同族体をコード化している(ギルミン(Guille min)ら、1996)。 Spry+がBn1経路を制限することにより機能しているのか、あるいは何か他の方 法で分枝化を防御しているのかを決定するために、Bn1経路における下流エフェ クター(pnt、Yan、DSRF遺伝子)上のSpry突然変異の影響を試験した(実施例9 )。Spry変異体において、試験した5つすべての下流エフェクター(pnt、Yan、 DSRF、末端−2、−3、−4)は、異所性分枝を後に形成する前柄チョーク細胞 を含む拡張ドメインにおいて発現した(図9B、E、GおよびI)。DSRFマーカーは 正常分枝化細胞におけると同時に活性化された(図9J、K)。Spry変異体におい て、YanはpntおよびDSRF発現の拡張ドメインと同時に起こる拡張ドメインにおい て分解された(図9L、M)。 これらの知見はSpry機能喪失突然変異がこのBn1経路において既知の下流エフ ェクターすべてを高揚させることを示している。さらに、Spry遺伝子産物を10 〜12胚芽期に過剰発現するように設計した機能状態の獲得か下流エフェクター の 正常誘発およびBn1による分枝化をブロックした(図90、P)。これらの結果は Spryが遺伝子的にBn1経路の競合アンタゴニストとして機能することを明らかに している。 本発明を支持するために実施したさらなる実験はSpry発現がBn1シグナリング 経路によって誘導されることを示している(実施例10)。 IV.Spry ポリペプチド 図13はショウジョウバエSpryおよびhSpry2(ヒトSpry2)タンパク質の直線 化した全長のアミノ酸配列、およびhSpry1、hSpry3、mSpry1(マウスSpry1)とm Spry4タンパク質の部分配列の線列を示す。この図で特に対象となる領域は残基 番号380と424の間であり、ここでアミノ酸残基番号とはショウジョウバエ タンパク質のアミノ酸番号をいう。この領域はまたSpryタンパク質の最もシステ インに富む領域としてここではいい、当該図の380〜503領域により規定さ れるより大きなシステインに富む領域とは区別する。図の3種のヒトSpryタンパ ク質(上の3列)において、最もシステインに富む領域の45アミノ酸配列は、 SEQ ID NO:17、18と19によってそれぞれ示されるhSpry2、hSpry1および hSpry3に対して同定される。この3つの領域は25/45の配列同一性、すなわち、 約55%の配列同一性を有する。 より一般的に、本明細書において定義されるSpryポリペプチドは、そのシステ インに富む領域が、その全配列がSEQ ID NO:8により同定されるヒトスプルーテ ィ2タンパク質のSEQ ID NO:17と少なくとも40%の配列同一性、好ましくは 少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質である。 SpryポリペプチドはまたSpryタンパク質から誘導され、少なくとも10個のアミ ノ酸の配列を有するペプチドを包含する。すなわち、該ペプチドは上に定義した ようにSpryタンパク質の10マーに相当する10個のアミノ酸を含む。好ましく は、該ペプチドは少なくとも15個、好ましくは少なくとも20個のSpryタンパ ク質からの連続したアミノ酸を含む。 Spryポリペプチドは組換えによりまたは合成的に製造し得る。組換え生産の例 は「材料と方法」に記載するか、この場合、pGEX−誘導プラスミド(pGEX−4T −2、ファルマシア・バイオテック、ピスカタウエイ、ニュージャーシーから入 手)を用い抗体産生用Spryポリペプチドを発現する。該pGEXプラスミド(スミス (Smith)ら、1988)およびその誘導体はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ と枠内に融合したクローン化挿入断片のポリペプチド配列を発現する。組換えpG EXプラスミドは適切な大腸菌株に形質転換することが可能であり、融合タンパク 質の生産はIPTG(イソプロピル−チオガラクトピラノシド)を付加することによ り誘導することができる。可溶化組換え融合タンパク質は、次いで、誘導培養物 の細胞溶解物から、標準法(オウスベル(Ausubel)ら、1988)に従いグルタチ オン・アガロースアフィニティークロマトグラフィーを用い精製することができ る。 アフィニティークロマトグラフィーはβ−ガラクトシダーゼ融合タンパク質( ラムダgt11クローンにより産生されるものなど)を単離するのに採用してもよい 。融合タンパは表面にβ−ガラクトシダーゼ抗体を結合した固相担体に細胞分解 物を通過させることにより単離する。 ヒト293細胞中の哺乳動物EF−1αプロモーターの制御下、ショウジョウバ エSpryおよびヒトSpry2の発現を実施例11に記載する。 上記のように産生させた単離組換えポリペプチドを標準的はタンパク質精製手 法により精製する。これらの手法は分画沈殿法、分子ふるいクロマトグラフィー 、イオン交換クロマトグラフィー、等電点電気泳動、およびアフィニティークロ マトグラフィーである。 組換え法に加えて、Spryタンパク質またはポリペプチドは抗−Spry抗体を用い るなど、アフィニティに基づく方法により選択した細胞から単離することができ る(下記)。さらに、Spryペプチドは当業者既知の方法を用いて化学的に合成し てもよい。 本発明のポリペプチドは抗体産生を含む多くの方法に用いることができる。該 ポリペプチドは未修飾の形で用いてもよいし、適切な担体分子、例えば、ウシ血 清アルブミン(BSA)またはキホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)(例え ば、ピアース、ロックフォード、イリノイから入手可能)などと結合してもよい 。 V.Spry ポリヌクレオチド 本明細書に定義するSpryポリヌクレオチドは上に定義したSpryタンパク質ある いはSpryタンパク質から誘導されペプチドをコーディングするポリヌクレオチド であって、該タンパク質は、そのシステインに富む領域が、その全配列がSEQ ID NO:8により同定されるヒトスプルーティ2タンパク質のSEQ ID NO:17と少な くとも40%の配列同一性、好ましくは少なくとも50%の配列同一性を有する アミノ酸配列を意味するものであり、該ペプチドは少なくとも10個、好ましく は少なくとも15〜20個のアミノ酸を有するものである。すなわち、該ペプチ ドは上に定義したSpryタンパク質の10マー配列に相当する10個のアミノ酸を 含む。NCBIとBLASTのサーチを組合わせたデータベースは密接に関連したタンパ ク質を検出しなかった。しかし、発現配列標識(dbEST)データベースをサーチ したところ、本明細書においてhSpry(SEQ ID NO:5、6)(クローン142025、I MAGE集合体クローン、レノン(Lennon)ら、1996)、hSpry2(SEQ ID NO:7、8 、9)(クローン40262)、およびhSpry3(SEQ ID NO:10、11;クローンXAP 128)として参照する3種のヒト同族体を同定した。完全コーディング配列をhSp ry2(40262)(SEQ ID NO:7)について決定し、部分配列は重複cDNA(1420 25、78383および727987)からのhSpry1(SEQ ID NO:5)につて決定した。 hSpry2配列は35kDの質量をもつ315残基のペプチドを予測させる。それ はSpryについて高い保存性(22Spryシステインの内21が51%の同一性を保 存)を有するシステインに富むドメインおよびN末端領域にSpryと類似のさらに 2つの短い伸長部を含んでいる。hSpry1およびhSpry3はシステインに富むドメイ ンについて高い保存性を示し、入手可能な配列において他の系列群メンバーと5 1〜70%の同一性を有する。 スプルーティ遺伝子系列群の一部であることが判明したさらなるマウスESTはm Spry1、SEQ IDNO:12、13(907842)、mSpry2、SEQ IDNO:14(819774)、 およびmSpry4、SEQ IDNO:15、16(919795)を包含していた。 ショウジョウバエSpry配列をもつ全長hSpry2配列およびhSpry1とhSpry3の部分 配列の線列を図5Dに示す。 図5Dに言及すると、同一性は灰色で強調してあり、点々は線列を最大にする ために挿入したギャップを表す。括弧内の番号は示されていないSpry残基の数を 示 す。システインに富むドメインおよびSpryと相同性の2つの短鎖領域を四角で囲 んである。システインに富むドメインにおいて、Spryに対する同一性は、hSpry1 が51%(109残基の内56残基)、hSpry2が51%(124残基の内64残 基)、そしてhSpry3が60%(45残基の内27残基)であり、互いの同一性は 〜57ないし70%である。星印はSpry中のシステインを示し、(*)は、hSpr y2中には保存されていない1個のシステインを示す。これらの結果は、新たな保 存システインに富むドメインがタンパク質中で重要な役割を演じていることを示 唆する。 hSpry1およびhSpry2の全長クローンは本明細書の説明(特に、配列情報)を既 知の分子生物学技法と組合わせて用いることにより、当業者が単離し得るもので ある。例えば、重複クローンは、期の適切な(例、胚期)上皮細胞から作製され る無作為プライマーまたはオリゴ(dT)−プライマーヒトcDNAライブラリーをスク リーニングする際のヒトのクローン(例、hSpry1Aクローン(SEQ ID NO:5)ま たはhSpry2A(SEQ ID NO:7))またはそのフラグメントの一つをプローブとし て採用することにより取得することができる。かかるライブラリーは、例えば、 クロテック(パロアルト、カリフォルニア)から入手可能である。陽性のクロー ンを単離し、配列決定し、そして新しい配列情報を次回スクリーニングのプロー ブを産生するために使用する。 クローンの適切な領域からのフラグメントを、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応 または制限エンドヌクレアーゼでの切断により作製することができる。これらの フラグメントは、例えば、ラムダgt10において作製されるライブラリー選抜にお ける放射標識プローブとして用いることができる。特に、クローン挿入断片の5 'および3'末端配列は付加的重複クローンを同定するためのプローブとして有用 である。 もし全長cDNAがライブラリーから単離されないならば、周知の技法を用い て重複クローンを一緒にスプライスし、全長挿入断片を作製する(オウスベル( Ausubel)ら、1988;サムブルーク(Sambrook,J.)ら、1989)。例えば、全長 配列を2つの挿入断片間の重複領域のユニーク エンドヌクレアーゼ制限部位に 対する配列分析プログラム、例えば、「MACVECTOR」(IBI、ニューヘブン、コネ チ カット)により分析する。 該クローンはエンドヌクレアーゼにより消化して該ベクターから挿入断片を単 離し、エンドヌクレアーゼは重複領域において切断する。消化した挿入断片は調 製用ゲル上単離し、精製し、結合して2起源の挿入断片を範囲とする挿入断片を 形成させる。 VI.診断応用 Spryタンパタ質およびコーディング配列がもつ用途は、(1)Spry遺伝子に突 然変異が存在するか否かを検出すること、および(2)一定の組織または器官に 存在するSpryタンパク質のレベルを検出することであるが、それらは、例えば、 一定の組織または器官に一次もしくは二次腫瘍として存在する充実性腫瘍などで ある。 A.Spry 遺伝子突然変異の有無 1以上のSpry遺伝子内に突然変異を検出することは、(1)分枝化メカニズム により影響される癌などの病原性状態に至る個々の遺伝的素質を決定するために 、または(2)治療の基礎として癌などの既存症状における欠陥Spry遺伝子の可 能な役割を検出するために興味のあることである。前者の場合には、簡便な組織 原からの体細胞、例えば、血液細胞をゲノムDNAの起源として採用する。後者 の場合には、cDNAを病原細胞、好ましくは例えば、腫瘍細胞から入手し、Sp ry遺伝子転写物の評価並びに該遺伝子のコーディング領域における突然変異の有 無評価を可能とする。ゲノムDNAおよびcDNAを得る方法は周知である(例 えば、サムブルーク(Sambrook)ら、1989参照)。 突然変異の有無は多様な利用可能技法の一つにより決定することができる。一 方法において、ゲノムDNAまたはcDNAは既知コーディング配列から選択し たプライマーを用いてPCRにより増幅する(ムリス(Mullis),1987;ムリスら、 1987;サイキ(Saiki))。一般に、プライマーは全長コーディング配列または 既知の大きさのコーディング配列フラグメントを増幅するために選択する。増幅 したフラグメントは次いで分画し、標準法、例えば、ジデオキシ終止配列決定ま たはハイブリッド形成による配列決定法により配列決定する。 代わり得るのはサザンブロッティング法であり、この方法により一定のプロー ブ配列を含む制限酵素DNA消化物中のフラグメントを同定するか、あるいは制 限−フラグメント長の多形性(RFLP)を分析する。この技法ではRFLPバンドによ り制限切断部位での点突然変異、および欠失、付加または転移突然変異を検出す ることができる。 全体としての固体群に存在する突然変異が既知となり、カタログに収載される ようになって、多くの既知突然変異中の一つを迅速に検出する方法が使用可能と なったのは有り難いことである。例えば、200もの異なる突然変異が嚢胞性繊 維症と関係がある。プローブ結合法により既知標的配列を同定する方法が報告さ れている(ウー(Wu)ら、1989;ホワイトリー(Whitely)ら、1989;ランデク レン(Lundegren)ら、1988;ウイン−ディーン(Winn-Deen)ら、1991)。一つ の方法は、オリゴヌクレオチド結合アッセイ(OLA)として知られ、対象となる 標的領域に及ぶ2つのプローブまたはプローブ要素を標的領域とハイブリッド形 成させる。プローブ要素がプローブ要素の向き合った末端で隣接する標的塩基と 相補(塩基対形成)する場合、2つの要素は、例えば、リガーゼでの処理により 連結反応して結合する。連結したプローブ要素を次いでアッセイし、標的配列の 存在を証明する。 この方法の改良法では、連結したプローブ要素が一対の相補プローブ要素に対 し鋳型として働く。2つの相補性対プローブ要素の存在下、連続したサイクルの 変性、再アニーリングおよび連結反応により、標的配列を幾何学的に増幅し、極 微少量の標的配列の検出および/または増幅を可能とする。この方法はリガーゼ 連鎖反応(LCR)ともいう。 一定の組織中Spry遺伝子転写物のレベルは、例えば、定量的PCR法により定量 することができるが、その場合試験cDNAの混合物および正常(対照)DNA の混合物を並行して増幅し、次いで、例えば、ケル上での分画および増幅したD NA,対照DNAと試験標識DNA中の放射標識DNAの定量により相対量を比 較した。 B.Spry タンパク質のレベル測定 Spryタンパク質の有無、または一定サンプル、例えば、腫瘍サンプル中のSpry タンパク質のレベルを測定することは、一定の条件、例えば、癌などの病因症状 がSpryタンパク質の異常レベルによるものか、あるいは該タンパク質の不活性型 によるものかを決めるのに有用である。該Spryタンパク質は一般に対象組織また は器官の細胞外液、例えば、充実性腫瘍において測定する。 Spryタンパク質レベルの検出は、好ましくは、試験サンプルを選択したSpryタ ンパク質に対して特異的な抗体と混合することにより実施する。「材料と方法」 に記載したように、抗体はウサキなどの宿主動物を精製したポリペプチドまたは 融合タンパク質(例えば、上記のグルタチオン−S−トランスフェラーゼを用い て産生)で免疫することにより調製することができる。宿主の血清または血漿を 適当な時間間隔に従い収集し、その血消をポリペプチドに対する特異的な抗体に つき試験する。 免疫した動物のガンマグロブリン分画またはIgG抗体は、例えば、飽和硫酸ア ンモニウム沈殿法を使用することにより、またはDEAEセファデックスクロマトグ ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、または他のポリクローナル抗体 産生に関する当業者既知の技法により入手することができる。 別法として、精製した抗原性ポリペプチドまたは融合抗原タンパク質をモノク ローナル抗体産生のために使用してもよい。この場合、免疫した動物から脾臓ま たはリンパ球を取り出し、不死化するか、あるいは当業者既知の方法によりハイ ブリドーマを作製するのに用いる(ハーロウ(Harlow,E.)ら、1988参照)。不 死化細胞により分泌された抗体は(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA )またはウエスターンブロットを用いて)スクリーニング化、所望特異性の抗体 を分泌するクローンを決定する(例えば、オウスベル(Ausubel)ら、1988参照 )。 液状サンプルを該抗体と反応させてタンパク質/抗体複合体を形成させ、混合 物につき複合体の存在/量をアッセイする。このアッセイについて適当な種々の イムノアッセイ方式が既知である。 単離したタンパク質の比活性をアッセイすることもまた望ましい。これを実施 するには、例えば、試験サンプルを処理して干渉物質、例えば、FGFを除去し、 精製したまたは部分的に精製したサンプルのSpryタンパク質活性または、例えば 、 上記のようにSpryタンパク質活性をアッセイする。 アッセイの結果は、試験が活性Spryタンパク質の欠除を示すと仮定して、該タ ンパタ質が低レベルで産生されるか、あるいは活性型で産生されるので、下記の 方法に従って1種以上のSpryタンパク質のレベルを補うための、または増加させ るための治療計画立案に使用する。 VII.治療応用 腫瘍が無制限に増殖するのは血管形成に依存し、血管形成因子の放出または抗 −血管形成因子の喪失による血管形成の誘発が腫瘍形成における重要なステップ であることが知られている。ある種動物の腫瘍は血管形成を阻害すると退化する という証明が、腫瘍増殖における血管形成の役割に対する注目すべき証拠を提供 している(オ・レイリー(O'Reilly)ら、1994)。 A.Spry タンパク質治療 治療応用の1つにおいて、本発明はSpryペプチドまたはポリペプチドを投与す ることにより、上皮管の分枝化、例えば、血管形成を阻害する方法を含む。この 方法において、Spryペプチド(例、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6 またはSEQ ID NO:8として表される配列をもつペプチド)の薬理的有効量が治療 の必要な患者の細胞(例、腫瘍細胞)に送達される。特に、本発明の方法は関連 する新生血管形成または血管形成をもつ増殖途上充実性腫瘍のヒト患者を治療す るのに用いることができる。 本発明の方法および組成物を用いる治療に適した癌のタイプは、充実性腫瘍癌 、例えば、肺癌、結腸−直腸癌、乳癌、尿路癌、頚部癌、胆管癌、脳癌、絨毛癌 、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、上皮内新生物、肝臓癌、リンパ腫、神経芽細胞腫 、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、直腸癌、肉腫、皮膚癌、睾丸癌、甲状腺癌、および 腎臓癌を包含する。この治療を受け得る他の疾患の状態は、例えば、網膜内での 血管増殖により起こる糖尿病性網膜症を含む。 この方法に従うと、スプルーティポリペプチドまたはそのフラグメント([sty pep])は患者に対して、好ましくは患者の腫瘍部位において、証明されるように 、新生血管形成を阻害し、腫瘍増殖を阻害するのに十分な量で投与する。 該Spryタンパク質は技術上既知の様々の方法、例えば、経口、鼻腔注入、眼内 、非経口、および肛門および/または膣坐剤投与法により投与する。さらに、該s typepはそれが脈管外血流を経て標的部位に到達するような方法で投与してもよ い。脈管外投与は既知の方法により該治療ペプチドを腫瘍に直接注入するか、ま たは移植することにより実施する。例えば、該ペプチドはポリー2−ヒドロキシ エチルメタアクリレートまたはメチレンビニルアセテート・コポリマーなどの徐 放性ポリマーと組合わせることができる。皮膚癌に対しては、該ペプチドを局所 用軟膏と組合わせて直接腫瘍表面に塗付する。その他の有用な手法としては、肺 腫瘍に投与するエアロゾル形態に該ペプチドを製剤化して、エアロゾル送達の呼 吸器療法士が使用する標準的装置を用いて投与する。 充実性腫瘍を外科的に取り除く場合、移植片を除去した腫瘍部位に埋め込み、 同じ部位に再生する腫瘍の血管形成を阻害する。 腫瘍の拡大を減じるのに投与量は腫瘍の大きさおよび部位により変わる。量は 1マイクログラム(μg)から1ミリグラム(mg)の範囲である。好ましい量は 通常投与1回当たり100μgないし800μgの範囲であると信じられる。一般 にその量を腫瘍の増殖を遅延させるに十分な腫瘍部位に投与する。この目的に必 要な量は標準手法によりモニターすることができる。インヒビターを投与したに もかかわらず腫瘍がなお増殖し続ける場合には、追加量を投与する。好ましくは 、十分な投与量を用いて腫瘍サイズの増加を実質的に止めるか、あるいはある場 合には腫瘍サイズを縮小させる。かかる結果は関与する腫瘍の部位およびタイプ により多くの方法で観察することができる。これらの方法は、表面腫瘍の目視観 察、動悸、放射線測定(例えば、肺腫瘍に対するX−線、乳癌用乳房X線像などの 使用)、コンピューター断層撮影法スキャナー(CATスキャン)での超音波の使 用、磁気共鳴影像法、放射性ヌクレオチド走査、および特定腫瘍型をモニターす るのに用いる他の標準的臨床技術を包含する。 充実性腫瘍に加えて、本発明のインヒビターは血管形成機能不全を含む他の疾 患の治療薬として使用することができる。これらの疾患としては、糖尿病性網膜 症、後水晶体線維増殖症、血管形成緑内障、乾癬、血管線維腫、免疫性および非 免疫性炎症(リューマチ性関節炎を含む)、動脈硬化プラーク内の毛細管増殖、 血管腫、カポジ肉腫、子宮内膜炎、および創傷治癒における不要瘢痕形成などで ある。使用すべき量は血管形成発生部位で血管形成を部分的にまたは完金に防止 するのに十分な量であるべきである。 技術上既知の幾つかの方法を用い、かかるペプチドまたはポリペプチドを送達 してもよい。代表的な送達法は標準的既知法を用いて選択したペプチドを充填し たリポソーム(例えば、融合誘導リポソーム)を使用する。リポソームはさらに その表面に抗原、抗体またはウイルスなどの標的に向かう部分もしくはリガンド を含むように構築して、適切な組織、例えば、腫瘍などへの送達を容易にしても よい。かかる標的に向かわせる方法は既知である(例えば、ベタゲリー(Betage ri)ら、1993)。該リポソームは、例えば、直接注入など、技術上既知の方法に より組織に送達される。好ましいリポソームは約150nm未満の平均サイズを有 し、腫瘍領域での毛細血管床を経て血管外遊出を可能とし、また、ポリエチレン グリコールなどの親水性ポリマーで表面を被覆することがリポソームの循環半減 期を引き延ばすのに有効であり、腫瘍部位へのリポソームの移動を可能とするの に十分である。 典型的な投与法では、治療化合物を治療期間一定の間隔で標的細胞に送達する が、これは医帥の参加のもとに決定する。例えば、治療ペプチドを約1μgと約 100μgの間の量で含むボーラス注入により毎日1回ないし数回送達する。も し該ペプチドが被包体(例、リポソーム)に容れてあるならば、送達する懸濁液 の量は、選択したペプチドの薬学的有効量が送達されるように調整する。 B.遺伝子治療 本発明はまた、例えば、血管形成における上皮管分枝化を阻害するのに適した 遺伝子治療法と組成物を包含する。この観点において、Spryポリペプチド(例、 SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:8)をコード化するDNA配列は、分枝形成の阻 害か望ましい組織(例、腫瘍)においてコーディング配列を発現するのに適した 発現ベクターにクローン化される。発現ベクターの構築に有用な分子技術および 方法は技術上周知である(例えば、オウスベル(Ausubel)ら、1988;サムブル ーク(Sambrook)ら、1989)。多数のかかるベクターが既知である。それらは典 型 的には少なくとも1つの制限部位を含み、そこに所望のコーディング配列を挿入 することができるが、同様に、組織特異的プロモーターを操作可能にコーディン グ配列に結合させ、細胞中のコーディング配列の転写を制御する。癌治療に用い る例示としての組織特異プロモーターは肝臓を標的とするα-フェトプロテイン ・プロモーター、およびB−細胞新生物などの免疫グロブリン・エンハンサーを 発現する新生物向けの短鎖メタロチオネイン・プロモーターを含む。 該構築物は適当な動物モデル、例えば、オスノウスキー(Ossnowski)ら(199 1)のヌード・マウス・モデルなどの腫瘍モデルに移入することにより試験する ことができる。当業者周知の多くの方法はいずれも、本発明の遺伝子治療ベクタ ーを選択した標的組織細胞、例えば、腫瘍細胞に導入するのに使用することがで きる。例えば、該ベクターはウイルス介在遺伝子運搬体を用い導入してもよい。 この技法において、宿主細胞はハイブリッド・ベクター(選択したウイルス配列 と共にSpryをコード化する構築物)を含む成熟ビリオンで感染させることにより 移入する。宿主細胞に移入するのに用いるピリオンは、好ましくは複製能欠損し ており、その結果ウイルスは宿主細胞中で複製することができない。 該ビリオンは培養宿主細胞をヘルパーウイルスで同時感染することにより調製 される。同時感染に続いて、該ビリオンを単離し(例えば、塩化セシウム遠沈) 、残余のヘルパーウイルスを不活性化する(例えば、加熱により)。得られる成 熟ビリオンは本発明の構築物またはキメラ遺伝子を含み、ヘルパーウイルスの不 在下、宿主細胞を感染させるのに用いることができる。あるいは、ヘルパーウイ ルスを含まない高力価の複製能欠損組換えウイルスは、ウイルスが欠陥性となる これらの成分を含む細胞株をパッケージングする際に産生することができる。 別法として、ベクター構築物は遺伝子治療組成物として調製することができる か、例えば、DNAベクターとポリカチオン試薬、例えば、ポリリジンとで、好 ましくは化学量論的電荷中和を生じるのに十分な量、例えば、1:1の電荷比で 複合体形成させる。該ポリカチオンはさらに標的試薬、例えば、腫瘍を標的とす る腫瘍−抗原−特異結合試薬と結合させる。サイズが40〜150nmのこの型の DNA−ポリリジン−標的部分複合体を産生する方法は周知である。 治療用複合体は種々の方法、例えば、静脈注射、カテーテル送達、または腫瘍 塊への直接注入、または組織または血液細胞のex vivoトランスフェクションな どにより投与することができる。 以下に実施例により説明するが、これらは決して本発明の制限を意図するもの ではない。材料と方法 特に断りのない限り、すべての試薬はシグマ・ケミカル・カンパニー(セント ルイス、ミズーリ)から購入した。 以下に用いた略号は以下のとおりである。PAGE:ポリアクリルアミド・ゲル電 気泳動;SDS:ドデシル硫酸ナトリウム;BSA:ウシ血清アルブミン。 A.ハイの種および遺伝 Spry座の3種P−要素挿入断片(Spry2683、Spry1814およびSpry9143)をエンハ ンサー・トラップ・スクリーンに同定し、パンチップ−2(Pantip−2)マーカ ーと呼称した(サマコブリス(Samakovlis)ら、1996)。Spry2683はホモ接合生 存可能であり、正常の気管分枝形成を示す。Spry2683およびSPTy1814は63D1、 2にP[lacZ,w+]要素(ビール(Bier)ら、1989)を含む。Spry9143)はP[lacZ ,ry+]要素を含む。 B.抗体、BrdUおよびTUNEL染色 胚をホルムアルデヒド中で固定し、メタノール中脱ビテリン化し、次いで記載 の抗体で染色した(サマコブリス(Samakovlis)ら、1996)。胚は以下の抗体で 染色した:無名の気管内腔抗原に対するマウスIgM mAb 2A12(1:5;サマコ ブリス(Samakovlis)ら、1996);ベータ−ガラクトシダーゼに対するウサギポ リクローナル抗血清(1:1500;カッペル、ダーハム、NC);ショウジョウ バエ血清応答因子に対するマウスIgG mAb(1:1000;ギレミン(Guillemin )ら、1996);ノッチタンパク質に対するマウスIgG mAb(1:3000)。ビ オチン−、Cy5−、Cy3−またはFITC−結合二次抗体をジャクソン・イムノリサー チ(ウエスト・グローブ、ペンシルバニア)より入手し、1:300で用いた。 HR Pの組織化学を「ベクタステイン(VECTASTAIN)」ABCキット(ベクター・ラボラ トリー、バーリンガム、カリフォルニア)で実施した。 5−ブロモデオキシウリジン(BrdU)および末端デオキシリボヌクレオチジル ・トランスフェラーゼ(TdT)−介在ビオチン−16−dUTPニックエンド標識(TUN EL)染色を、第10〜16期からの野生型およびSpryΔ5胚を用いて、前記のよ うに実施した(サマコブリス(Samakovlis)ら、1996)。 C.Spry 突然変異体の分子分析 Spry切除突然変異体の欠陥を、P要素挿入部位、完全P[lacW]要素およびSpr y cDNA12.2に側面を接するゲノムフラグメントでプローブした野生型と突然変異 ケノムDNAをゲノムサザーンブロット分析により決定した。EMS−誘導変異体 の突然変異を同定するために、Spry遺伝子座の完全コーディング配列と122bp のフランキングDNAは、突然変異体からのゲノムDNAをPCR−増幅し、そ の産物のサイクル配列決定(フェントモル・サイクル配列決定、プロメガ)によ り決定した。ゲノムDNAはDf(3L)HR119上のSpryEMS−アレレをもつ第3齢幼 生から単離した(リス(Lis)ら、1983)。2つの独立したPCR産物を各アレレに つき配列決定した。 D.抗体産生および染色 Spry 12.2cDNAの全長(ヌクレオチド(nt)1323〜3098)、N−末端 (nt 1509〜2708)およびC−末端(nt 2772〜3098)コーディ ング・フラグメントをPCRにより増幅し、pGEX−4T−2(ファルマシア ビオテッ ク、ピスカータウエイ、ニュージャーシー)のGSTコーディング配列の3'位に挿 入した。Spry融合タンパク質をグルタチオン・アフィニティー・クロマトグラフ ィー(ファルマシア)により精製し、ジョスマンラボ(Josman Labs、ナパ、カ リフォルニア)にてウサギとマウスに注射した。抗血清を全長GST−Spry融合タ ンパク質結合アガロースビーズ(ピアス・ケミカル、ロックフォード、イリノイ )を用い、アッフィニティー精製した。抗血清は0〜2時間固定した胚に対して 4℃で一夜予め吸着させ、用いた。上清は1:500〜1:1000として胚染 色に、また、 1:5000〜1:10000としてイムノブロットに用いた。 抗血清26Aは全長Spry融合タンパク質を用いて産生させた。融合タンパク質0 .25マイクログラムをフロインドアジュバント中2週間隔で5回注射した。最終 注射後1週目に血清を採取した。実施例1 Spry 突然変異誘発 正常な気管分枝形成を示す変異体Spry2683(上記「材料と方法」参照)を以下 のように突然変異誘発に使用した。Spry2683のP[lacW]挿入断片の切除をトラン スポザーゼ供給のためにΔ2−3を有する第三染色体に交雑することにより起こ した。個々の切除事象からの100匹の白色眼オスを単離し、Ubx−lacZ導入遺 伝子をもつ平衡染色体上に平衡系統として確立した。 これら系統の成体子孫について第3染色体上の致死性変異の存在を評点した。 各系統から収集した胚を気管内腔抗体mAb2A12および抗β−ガラクトシダーゼ抗 血清で染色し、DIC顕鏡下気管欠陥を評点した。100切除系の内、12がホモ 接合致死性であり、5が時に逸脱を伴った致死性、24が準致死性、56が生存 した。3つの切除アレレ(5、64、55)が致死性の相補群を形成し、その領 域での欠失により致死性であり、同様の劣性気管欠陥を示した。 染色体欠失Df(3L)Hr232、Df(3L)Hr119およびDf(3L)Hr298(ホールウイルおよび ボンナー(Wohlwill and Bonner)、1991)およびDf(3L)1226およびDf(3L)1227 (リンズレイおよびジム(Lindsley and Zimm)、1992)は63D1,2領域の被い をとる。1226はSpryアレレの致死性または気管表現型を補完せず、サザン分析は それがSpryエクソンを除去することを示した。Hr298は気管表現型に対してSpry を補完しなかったが、致死性または分子の障害については試験しなかった。Hr32 2、119および1227は致死性および気管表現型に対してSpryアレレを部分的に補完 した。5種のEMS−誘発Spryアレレ(Spry254、Spry211、Spry226、SpryG5、SpryF7 )は光受容体R2およびR5においてセブン−アップ(seven-up)の異所性発現に より引起こされるラフ型眼部表現型の優先サプレッサーに対する選抜において同 定された(クラマー(Kramer)ら、1995)。 使用された末端細胞lacZマーカーはTerm-1(pruned/SRF、(ギレミン(Guille min)ら、1996)、Term-2、Term-3、およびTerm-4(サマコブリス(Samakovlis )ら、1996)であった。Spry発現をモニターするために用いたエンハンサートラ ップはSpry9143であったが、それが最強のlacZ発現力をもっていた。他のSpryエ ンハンサートラップ系は同じ発現パターンを示し、すべてがSpry cDNAプローブ を用いる全封入mRNAのin situ発現と一致した(実施例7)。string-lacZ系(エ ドガー(Edgar)ら、1994)は分裂気管細胞においてlacZ発現力をもつ。細胞死 に必要な幾つかの遺伝子を取り除くH99/TM6bの欠失(ホワイト(White)ら、199 4)は細胞死を除くために用いた。実施例2 Spry 突然変異体胚の異所性分枝形成 気管形態学上Spry突然変異体の効果をmAb2A12での免疫組織化学内腔染色によ り評価した。代表的な結果を図1および2にそれぞれ図式により、また顕微鏡写 真により提示する。発生分化する野生型ショウジョウバエ気管系の第5気管単位 を図1A、1Bおよび1Cに異なる発生分化段階で図式化する。第5気管単位は他 の繰返し気管単位のように、単細胞分枝を経て分化する。気管内腔を黒で縁取り 、気管細胞の核を灰色とし、微細分枝を形成する細胞の核を黒塗りとする。 第12期に(図1A)、固定した位置から6本の一次分枝が成長してくる。第 16期までに(図1B)、一次分枝がその最終位置に達し、個々の末端細胞が微 細(二次)分枝を形成し始める。第3齢幼生において(図1C)、各末端細胞が 分岐し最終分枝を形成する。上に考察したように、この正常分枝パターンが中断 される。 図2A/2Bおよび2E/2Fは第16期の野生型(+)胚におけるかかる一次およ び二次分枝の全胚/クローズアップ顕微鏡写真である。図2C/2Dおよび2G/2H はSpryΔ5(Spry)胚の相当する分枝を示す。胚両側の背側分枝(DB)は図2A〜 2Dに示した背側図に見ることができる。SpryΔ5胚における余分の分枝に注目( 図2C/2D)。図2Bは1本の細い分枝(矢印)を有する野生型の1背側分枝のク ローズアップを示す。SpryΔ5の対応する背側分枝は3本の細い分枝を有する( 図2D)。 図2E/2Fおよび2G/2Hは神経節分枝(GB)を示す腹部の図である。図2Fお よび2Hは野生型(図2F)の1本の細い分枝をもつ1本の神経節分枝およびSpry Δ5の2本の細い分枝(図2H)のクローズアップを示す。 すべての異所性微細分枝は正常分枝の近傍に見出されることに注目。焦点面外 側にある内腔を図2A、2C、2Eおよび2Gに破線でマークする。図2G(図2A、 2C、2Eおよび2Gに対し共通)および図2H(図2B、2D、2Fおよび2Hに対し 共通)の目盛り線は10μmである。 5種のEMS−誘発Spryアレレ(Spry254、Spry211、Spry226、SpryG5、SpryF7) は優性眼部表現型を抑制する突然変異のための無関係な選抜において回収された (クラマー(Kramer)ら、1995)。アレレのすべては63D領域の同じ遺伝子間 隔に地図化し、SpryΔ5と同じ気管表現型を有していた(表1、下記)。Spry254 を試験したが、気管機能および致死性に対する3つの最初のSpryアレレに補完し なかった。EMS変異体の分子分析はSpry254コーディング配列の損傷を確認した( 下記参照)。 8つのSpry突然変異すべてが、Df(3L)1226、Df(3L)1227、Df(3L)Hr119、Df(3L )Hr232を含む63D領域の欠失により幼生の死に至った。SpryΔ5ホモ接合体はSp ryΔ5/Df(3L)1226およびSpryΔ5/Df(3L)Hr298のように気管表現型として厳正に 振る舞ったが、このことはSpryΔ5が強い機能喪失または無効のアレレであるこ とを述べている(表1、下記)。表 1 Spryアレレにおける気管欠陥 * 一次背側分枝(DB)または神経節(GB)当たりのDSRF−発現微細分枝細胞の 平均数。胚をmAb2A12で染色すると気管内腔が目視化され、抗SRFでは分枝 細胞に印が付き、抗−β−galではTM3染色体からのUbx-lacZを発現する平衡 胚からホモ接合型変異体を識別する。 ** n=計数された気管セグメントの数実施例3 野生型(+)およびSpryΔ5変異体気管系における細胞の分布と分枝化マーカー の発現 野生型(+)およびSpryΔ5変異体気管系における細胞の分布と分枝化マーカ ーの発現を比較した。その結果を図3A〜3Lに示す。図3Aおよび3Bは野生型( 図3A)およびSpryΔ5(図3B)胚における全気管lacZマーカーの背側分枝発現 を示す顕微鏡写真である。図3Cおよび3Dは野生型(図3C)およびSpryΔ5(図 3D)胚の神経節分枝において、そのような発現をまとめて示す透視図である。 矢印は微細分枝細胞を示す。 図3E〜3Jはショウジョウバエ血清応答因子(DSRF)マーカーを使用する顕微 鏡写真であり、該マーカーは野生型肝とSpryΔ5胚双方における微細分枝形成細 胞の核に発現される。図3Eは野生型胚の背側図であり、2つの一次背側分枝で あって、各分枝に1つの末端細胞(矢印)を有する。図3Fは第16期のSpryΔ5 胚の 背側図であり、それぞれが2つの末端マーカー発現細胞をもつ背側分枝を示す。 図3Gは1つの末端細胞を有する第16期の野生型神経節分枝を示す。図3Hは2 つの末端細胞を有する第16期のSpryΔ5神経節分枝を示す。図31は1つの末 端細胞を有する、末端マーカーが動き始める時点での第13期野生型神経節分枝 を示す。図3Jは2つの末端細胞を有する第13期のSpryΔ5神経節分枝を示す。 図3Kは2つの野生型幼生背側分枝(DB)の幼生図顕微鏡写真を示し、分枝そ れぞれは広範に分岐した分枝を生じる1つの末端細胞をもつ(矢印)。図3LはS pryΔ5型幼生背側分枝末端細胞の顕微鏡写真であり、そこで2つの末端細胞はさ らに分枝を生じる。図3A(図3A〜Dに対し共通)、図3E(図3E〜Fに対し共通 )および図3H(図3G、Jに対し共通)の目盛り線は5μmである。図3L(図3K 〜Lに対し共通)の目盛り線は10μmである。 実施例2のデータと共に、上記の結果が示すのは、SpryΔ5変異体における余 分の分枝化は正常群の分枝形成細胞により形成される分枝数の増大よりも、むし ろ分枝形成細胞数の増大によるものであった。すべての気管細胞に発現される核 マーカーをもつSpryΔ5変異体胚を染色すると、分枝形成細胞数が並行して増大 することと、各細胞が余分の分枝と関係していることを示した(図3B、D)。 この結果はSpry変異体の余分の分枝化が過剰な細胞増殖から生じ、細胞死また は他の組織からの細胞の移入を減じたことを示唆するものではない。変異体中の さらなる細胞分裂が余分の分枝化細胞を産生したとは思われない。その理由は、 微細分枝を形成した典型的なヘミセグメント(Tr5)における総細胞数はSpryΔ5 変異体において〜20から〜30に増加したが、気管細胞の総数はそれに対応し て増加しなかったことを細胞計数か示したからである(野生型Tr5(n=6)では 78+/−4細胞、対してSpryΔ5Tr5(n=3)では73+/−3)。さらに、BrUで の標識または分裂細胞においてlacZを発現するstring-lacZマーカーでの標識に よりさらなる分裂細胞はSpryΔ5胚に検出されなかった。余分の分枝化細胞もま た通常の細胞死の抑制により生じることはありそうにない。その理由は、細胞死 が野生型気管の発生途上で起こるとは考えられず(サマコブリス(Samakovlis) ら、1996)、余分の分枝もすべての通常細胞死を防止するH99欠失変異体には観 察されなかった(ホワイト(White)ら、1994)からである。 しかし、上の結果は、余分の分枝化細胞が非分枝化気管細胞を分枝形成細胞に 変換すると生じることを示している。図3Fおよび3Hに示したように、Spry変異 体の異所性分枝化細胞は正常の二次および終末分枝マーカーを発現し、これらの マーカーは正常の分枝形成細胞と同時に活性化された(図3J)。野生型気管の 対応する位置の細胞はこれらのマーカーを発現しなかった(図3E、3Gおよび3 I)。Spry変異体における異所性分枝化細胞も正常分枝化細胞と同じ発生プログ ラムに従ったが、長い細胞質突起を並行方向に延ばし、幼生中に末端分枝の広範 なネットワークを形成した(図3Kおよび3L)。このように、すべての入手可能 な基準によって、SpryΔ5変異体における異所性分枝形成細胞が正常分枝形成細 胞と識別し得た。実施例4 発生途上気管系におけるSpryの遺伝子モザイク分析 発生途上気管系におけるSpryの遺伝子モザイク分析を実施し、どの細胞におい てSpry遺伝子が分枝化を阻害するように機能するのかを決定した。動原体近傍に FLP組換え部位(FRT)を担持する第3染色体の左腕上にSpryΔ5変異体を組換え た(スーおよびルビン(Xu and Rubin,1993)。1-eve-1、すべての気管細胞に 発現される61EのlacZエンハンサートラップマーカー(ペリモン(Perrimon) ら、1991)を別のFRT第3染色体上に組換えた。1-eve-1-FRT染色体を、熱ショッ ク・コントロールの下にFLPリコンビナーゼを担うhsFLP;Dr/TM3ryハエに交差さ せた。hsFLPおよび1-eve-1-FRTを担持する得られる子孫をSpryΔ5−FRT/TM3に交 差させ、hsFLP;1-eve-1-lacZ FRT/SpryΔ5−FRTとした。 hsFLP;1-eve-1-lacZ FRT/SpryΔ5−FRT胚を第10後期および第12前期に2 5℃で収集し、AEL(産卵後)5時間および6時間目に2回37℃で熱ショック 処理した。10時間後(第15および16期)クローンを固定し、mAb2A12内腔 抗体および抗−β−ガラクトシダーゼ抗血清で染色、観察した。細胞質β−ガラ クトシダーゼ(β‐gal)を発現する1-eve-1からの気管細胞はSpry+として同定 した。β−ガラクトシダーゼ(β‐gal)を発現しなかったが、しばしば薄い内 腔しみをもった細胞はSpry―として同定した(SpryΔ5/SpryΔ5)。36種のク ロー ンを背側および神経節気管分枝に同定した。該クローンと周辺細胞を気管の欠陥 について注意深く試験した。クローンは〜12%が正しい遺伝子型の胚であるこ とが判明した。 少数のクローンをその背側分枝(DB)において試験したが、その分析は、構造 か簡単であったこと、また、細胞同定と分枝化の運命を決めるのか容易であった ため、神経節分枝(GB)に焦点を絞った。野生型胚では、GBは腹面の神経索に向 かって成長する7個の細胞から成っている。リード細胞(GB1)は常に二次およ び終末マーカーを発現し、微細分枝を形成するが、一方他の6個の細胞(GB2〜7 )は二次および末端マーカーを発現せず、分枝も形成しない。 模範となる結果を図4A、4Bおよび4Cの顕微鏡写真に示すか、これは細胞質 β‐galの発現(Spry+)または発現欠如(Spry―)によって識別されるSpry細 胞と野生型細胞のモザイククローンを示す。図4Aは神経節分枝の先導細胞(GB1 )においてβ‐galの発現がない場合のGB2から生じる異所性分枝を示す。近傍セ グメントはβ‐gal発現するGB1細胞を有していたが、異所性分枝はもたなかた。 29種のかかるクローンを分析した。図4Bは神経節分枝の第二細胞(GB2)にβ ‐gal発現が存在しなかった場合には異所性分枝も認められなかった状況を説明 するものである。4種のかかるクローンを分析した。図4Cには、背面分枝の先 導細胞(DB1)にβ‐gal発現がない場合に、異所性分枝がDB3およびDB4から生じ るのが見られる。4種のクローンのみがGB2〜7に見出されたか、恐らくこれは細 胞が群がって空間で重なり合ったためである。腹面神経索の縁を白の破線でマー クしてある。目盛り線は10μmである。 上の結果はSpryが非自律的に作用して気管分枝化を阻害することを証明する。 GB1細胞がSpry−であった29種のクローンにおいて、異所性分枝は常に近傍GB2 細胞に存在していた(図4A)。さらに、非先導細胞(GB2〜7)がSpry-であっ た逆型の4種のクローンの内3種は、神経節分枝が余分の分枝をもたず正常と思 われた(図4B)。この型の特に情報量の多いSpry-の1クローンはリード細胞を 除くすべての細胞を包含していた。これは異所性分枝をもたない正常な神経節分 枝を形成した。このように、このデータは、Spry+が神経節分枝のGB1細胞に必要 であり、非自律的に作用して近傍細胞の分枝化を阻害することを示す。 背面分枝(DB)に対するデータはさらに制限されたが、これらは神経節分枝か らの結果を支持した。背面分枝(DB1)のリード細胞がSpry-であった4種のクロ ーンにおいて、近傍細胞は異所性分枝を形成するように思われた。図4Cに示し たクローンにおいては、例えば、DB3およびDB4細胞は不適切に分枝を伸ばした 。 GB1細胞が突然変異体であったSpry-クローンには2つの子期せざる特徴があっ た。第一に、異所性分枝の枝は動物全体がSpry-であった場合と同じ結果の経路 に従わない傾向があった。分枝は一般に腹面神経索から背いたが(図4A)、一 方、Spry-胚の余分の分枝は正常に索に入り込んだ(図2C)。このことはモザイ ク中のSpry+細胞が分枝の道筋発見に幾分影響していたことを物語っている。第 二に、GB1細胞からの正常分枝の枝は、GB1細胞はSpry-であるが、近傍細胞(GB2 〜7)がSpry+であるクローンにおいて阻害されると思われた。このことはSpry+ も細胞自律機能をもち、そのSpry+近傍による分枝化の阻害を防止することを示 唆するが、この解釈はSpry+タンパク質が異所的に発現される下記の実験により 支持される。実施例5 Spry 座のゲノム分析とcDNAクローニング A.ゲノム・クローニング Spry2683中のP−要素挿入断片に隣接するゲノムDNAを標準のプロトコール (ベレン(Bellen)ら、1989)に従いプラスミド・レスキューにより回収し、次 いで、ゲノムDNAをBamHIまたはEcoRIで消化した。BamHIレスキュープラスミ ド(5B)からの8kB HindIII/BamHIゲノムフラグメントをプローブとして用い 、EMBL3のショウジョウバエ・ゲノムライブラリーから〜105ファージを選抜 した。ケノムファージを単離し、制限マッピングおよびサザーンブロット上相互 に、また、プラスミド・レスキューとの交差ハイブリッド形成によりコンティー グに入れた。 結果を図5Aに要約するが、ここではSpryゲノム座と遺伝子構造の図式を示す 。EcoRI(R)とSalI(S)の制限部位のゲノム地図はBamHIプラスミド・レスキュ ーおよび重なり合うゲノムファージクローン(Φ3.5、1.1、1.2;パネルの下部 に示した)から組み立てて、上部の横線上に表す。当初のP要素Spry2683の挿入 は三 角形でマークしてあるが、これはクラスI cDNAの上流0.6kbに位置している 。開始点(0kb)はSpry転写単位が始まる場所であり、cDNA最大クラスの5 ’末端の地図化に基づいている。 3つの別個のcDNA型を単離し、ゲノム・サザーン、PCRおよびDNA配 列決定を使用して該領域のゲノム・コンティーグ上に地図化した。エクソンは四 角形で示す。黒地四角形は読み取り枠であり、白抜き四角形は非翻訳領域である 。最長のcDNAにおいて、読取り枠は1.2kbの5'UTRが先行し、ポリA尾部をも つ200bpの3'UTRが続く。2つの強い突然変異体(SpryΔ5およびSpryΔ64) の欠失の範囲を短い縦線で示す。共通の5'エクソンはこれらの変異体において 欠失している。 B.cDNAの単離および特性化 上記の8kb HindIII/BamHIゲノムフラグメントはまた、λgt11におけるサイ ズ‐選択9〜12時間の胚cDNAライブラリーから〜106ファージを選抜す るために使用した(ジン(Zinn)ら、1988)。単離した11種のcDNAクロー ンは3つのサイズに分類した。クラスI(3.2kb;クローン3.1、12.2)、クラス II(2.8kb;クローン2.4、3.5、11.1、12.4、13.1、13.2、13.3、13.5)および クラスIII(1.7kb;クローン11.3)。これらのサイズ分類は図5Aに示した3つ のスプライス型に相当する。 クラスの割振りは交差ハイブリッド形成と制限酵素分析により証明された。幾 つかのcDNA(クローン12.2、11.3および13.3)はサンガー・ジデオキシ配列 決定法を用い、両鎖について配列決定した(ユナイテッド・ステート・バイオケ ミカル、クリーブランド、オハイオ)。エクソンはcDNAフラグメントを消化 したケノムファージDNAにハイブリッド形成することにより地図化した。イン トロン/エクソンの境界はcDNAからのプライマーを用いるPCR分析により、ま た、ゲノムDNAの関連領域の配列決定により決定した。 これらのcDNAはSpry転写単位に相当するものとして以下のように証明した 。第一に、3.2kbのcDNAをプローブとして用いる全封入mRNAのin situハイブ リッド形成が、4つの現存のSpryエンハンサートラップ系に対して見出されたla cZパターンに厳密に相応する発現パターンを検出した(実施例7)。また、発生 途上の気管系における発現はSpry機能の遺伝子モサイク分析と矛盾がなかった( 実施例4)。第二に、Spry突然変異の分子分析は8種すべてのSpryアレレにおけ る同定された転写単位の欠失と非センス突然変異を明らかにした。2つの強い突 然変異体(SpryΔ5およびSpryΔ64)においては、すべてのスプライス型に共通 の5'エクソンが欠失しており(図5A)、より弱い切除アレレ(SpryΔ55)では このエクソンを含む複雑な転移があった。EMSアレレの配列分析は5種のアレレ (Spry254、Spry211、Spry226、SpryG5、SpryF7)各々において非センスまたは フレームシフト突然変異を明らかにしたが、これらは下記の保存モチーフのすべ てまたは殆どを欠失する切端ポリペプチドに至った。第三に、クローン化cDN Aの異所性気管発現は、遺伝子分析から期待されたとおり、気管分枝化を阻害し た。そして最後に、Spryタンパク質に対して起こした抗血清を用いたが、SpryΔ 5眼部成虫原基にSpryタンパク質は検出されなかった。 図5CはcDNAクローン12.2のポリヌクレオチド配列を示す。5'−および3 '−非翻訳領域は小文字で指定した。ATGに先行する4つのヌクレオチド、CTAC、 は共通の開始部位[C/A]AA[A/C]に対する3/4塩基に匹敵する。幾つかの停止 コドンがATG上流に位置し枠組みを造っている。単一塩基非センス突然変異の位 置は、変化する塩基上に灰色の円でマークする。突然変異体の変化は以下の通り である:226においてC2055→T;211においてC2253→T;G5においてG2710 →A;F7においてC2466→T。Spry254は2237〜2243に小さな欠失(灰色 楕円形)およびA2236の次に2つのヌクレオチド(TA)の挿入を有する。 図5Cに示すように、クローン12.2は2つのエクソンから成り、該エクソンは 細い矢印の部分(nt 1126とnt 1127の間)で結合している。第二の(2.2kb)エ クソンは単一の長い読取り枠(ORF)を含む。nt 467とnt 468の間の幅広い矢印 はもう一方の開始部位を表し、ここでより小さなクラスII(cDNA13.3など) の転写物を生成する。 公開時に欠落 C.スプルーティ同族体の同定 組合わせデータベースのNCBI BLAST検索では密接に関係するタンパク質を検出 しなかった。しかし、発現配列標識(dbEST)データベースをサーチしたところ 、本明細書においてhSpry(SEQ ID NO:5、6)(クローン142025、IMAGE集合体 クローン、レノン(Lennon)ら、1996)、hSpry2(SEQ ID NO:7、8、9)(ク ローン40262)、およびhSpTy3(SEQ ID NO:10、11;クローンXAP128)とし て参照する3種のヒト同族体を同定した。完全コーディンク配列をhSpry2(4026 2)(SEQ ID NO:7)について決定し、部分配列は重複cDNA(142025、78383 および727987)からのhSpry1(SEQ ID NO:5)につて決定した。 hSpry2配列は35kDの質量をもつ315残基のペプチドを予測させる。そ れはSpryについて高い保存性(22Spryシステインの内21が51%の同一性を 保存)を有するシステインに富むドメインおよびN末端領域にSpryと類似のさら に2つの短い伸長部を含んでいる。hSpry1およびhSpry3はシステインに富むドメ インについて高い保存性を示し、入手可能な配列において他の系列群メンバーと 51〜70%の同一性を有する。 スプルーティ遺伝子系列群の一部であることが判明したさらなるマウスESTはm Spry1、SEQ ID NO:12、13(907842)、mSpry2、SEQ IDNO:14(819774) 、およびmSpry4、SEQ IDNO:15、16(919795)を包含していた。 ショウジョウバエSpry配列をもつ全長hSpry2配列およびhSpry1とhSpry3の部分 配列の線列を図5Dに示す。 D.ノーザン分析 上記の8kb HindIII/BamHIゲノムフラグメントおよびcDNAクローン12.2を 用い、展開した胚mRNAのノーザンブロットを探査した。mRNAは、0〜1.5 、1.5〜5、5〜11、11〜16、16〜22時間の胚から25℃で総RNAを標準フェノ ール/クロロホルム抽出し(サムブルーク(Sambrook)ら、1989)、次いで、オ リゴ‐dT常磁性ビーズ(プロメガ、マジソン、ウイスコンシン)上で選択するこ とにより調製した。ポリA+RNAを「ハイボンド(HYBOND)」フィルター(ア マーシャム、アーリントン・ハイツ、イリノイ)に移し、放射標識cDNA12.2 または 8kbクローンで探査した。 模範となる結果を図5Bに示す。3.2および4.4kbの間の種をcDNA12.2プロ ーブを用い検出した。図から評価され得るように、mRNAは気管発生か始まっ た直後に始動し、気管発生の全期間を通して発現し続けた。実施例6 Spry タンパク質の血漿膜への局在化 Spryタンパク質の分布をアフィニティー精製した抗血清26Aにて分析した。 該抗血清は全長Spryタンパク質に対して起こした。この抗血清は胚の内在性Spry 発現パターンを再現性よく検出するには十分に感受性でなかったが、特定の発現 は細胞内小胞およびSpryが機能していることを示しす発生途上眼部原基の細胞膜 に検出された。 気管細胞中のSpryの細胞下局在部位を決めるために、GAL4/UAS系を用いてC38; UAS−Spry胚に過剰発現させた。背側躯幹および分枝を第14期に抗血清26Aで 染色し、図6Aに赤染色として示した。同じ背側躯幹を抗ノッチ抗体で染色し、 緑で示した(図6B)。2つの画像をSpryとノッチタンパク質が共存局在するの を表す黄色染色により図6C併合して示す。図6Aおよび6Bの目盛り線は5μmで ある。 図から認識し得るように、Spry(赤)染色は気管細胞の表面またはその近傍に 局在していた。さらに、この染色はコントロール・トランスメンブランタンパク 質・ノッチの(緑色)染色と共存局在していた(図6Bおよび6C)。これらのデ ータはSpryが膜結合または分泌タンパク質であるという結論を支持する。実施例7 分枝形成気管細胞におけるSpry発現レベル Spryの胚発現パターンを3.2kb(クローン12.2)SprycDNAをプローブとし て用い、全封入in situハイブリッド形成により、また、上記3つのSpryエンハ ンサートラップ挿入断片の分析により決定した。エンハンサートラップ挿入断片 はmRNA発現を厳密に模倣しているが、大きな細胞分解性を付与する。 In situハイブリッド形成を標準法を用いて、野生型胚を固定、加工処理する こ とにより実施した(タウツおよびファイフル(Tautz and Pfeifle)、1989)。 上記、8kb HindIII/BamHIゲノムフラグメントおよび3.2kbのcDNAクローン (クローン12.2)をランダムプライミングによりジゴキシゲニン標識ヌクレオチ ドで標識し、胚の探査に使用した。 結果を図7A〜7Hに示す。図7A〜7Dの顕微鏡写真は背側分枝のSpry9143胚に おけるSpry-lacZ発現の経時変化を示す。図7Eは内蔵分枝(VB)と(G)中線グ リア(MG、破線円)における第14期でのSpry mRNA発現を示す。図7FはVBおよ び(H)MGにおける第15/16期でのSpry-lacZ発現を示す。矢印は第15期以 前にはmRNA発現により検出し得ないGB1染色を示す。図7Gおよび7Hは中線グリ ア細胞のSpry発現を示す。図7A(図7A〜Dに共通)および図7G(図7E〜Hに共 通)は5μmである。 結果はSpryが気管系および中線グリア(図7H)、VNCにおけるニューロンの一 群、背部血管、扁桃細胞、眼部成虫原基を含む他の組織において特異的に発現さ れることを示す。 気管発現は先ず発芽し始めたすべての一次分枝に検出され、二次および最終末 端分枝を形成し続ける一次分枝細胞に高レベルで維持された。背側分枝における 発現を図7A〜Dに示す。第12期に、Spryが2つの細胞(DB1、2)において背 側分枝の先導縁に、また、2つのより基部細胞(DB3、4)に余り強くなく発現 された(図7A)。 第13期には、2つの先導分枝細胞に高い発現性でSpry発現の勾配があったが (図7B)、それぞれが別々の分枝を形成するように分離し始めた。第13期か ら15期には、SpryがDB1細胞中最も強く発現され(図7C)、最終的にはこの細 胞だけに発現された(図7D)。これは後期胚(16/17期)において、また、 幼生期間全般にわたって微細な末端細胞を形成し続ける細胞である。 まとめとして、これらの結果はSpryが分枝形成気管細胞において高レベルで発 現されることを示している。実施例8 気管分枝化でのSpry異所性発現の影響 GAL4-UAS発現系(ブランドおよびぺリモン(Brand and Perrimon)、1993)を 使用し、発生途上気管系全般について一定レベルでのSpry発現の影響を試験した 。形質転換系統がUAS要素の制御下Spryを含むように作製されたが、以下のよう にGAL4タンパク質により推進することができる。 全Spry ORFを含むcDNA12.2からの2.2kb EcoRIフラグメントをプロモーターとG al14 UAS結合部位の下流EcoRI部位でpUASTベクター(ブランドおよびペリモン( Brand and Perrimon)、1993)に挿入し、pUAST−SpryS 2.2を産生させた。構築 物をpΔ2〜3(トランスポザーゼ発現プラスミド、ロバートソン(Robertson )ら、1988)と共にw1118胚に注入した。6つの独立した系統が産生され、第3 染色体UAS−Spry 4.1上の挿入を過剰発現実験のために使用した。同様の結果を 独立した挿入UAS−Spry 1.3により得た。用いたGal4ドライバー系統hsGal4(ブ ランドおよびペリモン(Brand and Perrimon)、1993)およびC38、第13期初 期以降から発現される全気管ドライバーであった(リンおよびグッドマン(Lin and Goodman)、1994)。 結果を図8A、8Bおよび8Cに示す。図8Aは末端細胞(矢印)における野生型 DSRF(末端細胞マーカー)の発現を示す。図8BはhsGal4ドライバーでの初期( 10/11期)Spry誤発現がDSRFの発現(第14期に示される)および引き続い ての末端細胞分枝を抑制することを示す。図8Cは後時点(12期)でのSpry発 現が第14期に示されるDSRFの異所性発現および幾つかのセグメントにおいて末 端分枝の枝(第16期の挿入写真)に至ることを示す。図8A(図8A〜8Cに共 通)の目盛り線は5μm、図8Cの挿入写真は10μmである。 認識し得るように、Spry発現が第11期および第12期において熱ショックGa l4により誘導されたとき、気管系全般の分枝が阻害されたが、これはDSRF末端 分枝マーカーの発現によりアッセイされた(図8B)。これはSpry機能喪失変異 体において観察された過剰分枝化の生じることを期待させた。 驚くべきことに、Spryの発現が第13期でまたはhsGALドライバーもしくは気 管特異ドライバーの使用を超えて誘導されたとき、分枝は阻害されなかった。事 実、余分のDSRF−発現細胞が幾つかの胚中に時折見出された(図8C)。このよ うに、高レベルのSpryが早期に発現すると、分枝化プログラムを阻害するが、一 方、第 13期以降での発現は逆に分枝化を促進する。下記のモデルはこれらの結果を満 足するが、Spryが2つの機能をもつことを前提とする。すなわち、分枝化のイン ヒビターとしての細胞非自律性機能および阻害活性に対して発現細胞を正常に防 御する細胞自律性機能である。実施例9 Bn1 シグナリング経路における下流エフェクター上Spry突然変異の影響 A.一般法 二次および末端分枝化遺伝子は、周辺組織におけるBn1 FGFの局在化発現によ り一次分枝の増殖終末点で誘導される(サザーランド(Sutherland)ら、1996) 。Spry突然変異体の異所性分枝は通常分枝に誘導される細胞の直ぐ側に位置する 前柄細胞により形成されるので、余分の分枝がBn1経路の過活性から生じ得る。 Spry+がBn1経路を制限することで機能するのか、あるいは他のある様式で分枝 を防御するのかを決めるために、以下の実験を実施した。すなわち、後期分枝化 事象を調節するBn1経路においてSpry突然変異が下流のエフェクター(pnt、Yan 、DSRF遺伝子)に与える影響を試験した。結果を図9A〜Pに相当するコンピュー ター作成画像で説明する。 B.ハエの株および遺伝 以下の無効もしくは強い機能喪失アレレを用いた。Bn1P1(サザーランド(Sut herland)ら、1996)、btlLG18およびbtlLG19(クラム(Kalmbt)ら、1992)、p ntΔ88(ショルツ(Scholz)ら、1993)、およびyan5433。用いられるP[lacZ]エ ンハンサートラップマーカーはpnt7825(サマコブリス(Samakovlis)ら、1996 )、btl6-81a(ビール(Bier)ら、1989;サマコブリスら、1996)、yanP(レイ およびルビン(Lai and Rubin、1992)、Terminal-1(pruned/DSRF)、−2、 −3および−4(ギレミン(Guillemin)ら、1996;サマコブリスら、1996)、1 -eve-1(ぺリモン(Perrimon)ら、1991)、およびSpry9143。Spry9143は、他の Spryエンハンサートラップ系も同じパターンを示しはするか、それが最強のlacZ 発現を有する故に選択した。エドガー(B.Edgar)からのstring-lacZ導入遺伝 子P[w+] STGb6Cを気管細胞分裂のモニター用に使用した。 C.抗体 Yanに対するmAb A2 8B12(1:5) D.Spry および他の遺伝子のin vivo誤発現 採用したGal4ドライバー系はhsGal4(ブランドおよびペリモン(Brand and Pe rrimon)、1993)、およびC38(リンおよびグッドマン(Lin and Goodman)、19 94)およびTrGal4であったか、これらは第13期以降すべての気管細胞におい てGAL4を発現する。 UAS−Spry系は完全Spryコーディング配列を含むcDNAからの2.2kb EcoRIフ ラグメントをPエレメントベクターpUASTに挿入し、形質転換体を生成させるこ とにより構築した。第二(UAS−Spry4.1#2)および第三(UAS−Spry1.3および UAS−Spry−6.2)染色体を用い、同様の結果を得た。他のUAS株はUAS-pntP1.3( クレース(Klaes)ら、1994);およびUAS-Bn1(サザーランド(Sutherland)ら、 1996)であった。 hsGal4ドライバーでの実験のために、卵を25℃で〜7時間集め、25℃で 4時間加齢し、37℃で20分間、2度熱ショックを与えるが、それぞれ1.5時 間で回復させ、次いで、25℃で6時間加齢した。C38およびTrGal4での実験に は、卵は25℃で6時間集め、29℃で9時間加齢した。 1.Bn1 −誘導遺伝子pntおよびSpryの発現へのSpry突然変異の影響 試験した1つのエフェクターは幾つかのレセプター・チロシン・キナーゼ(RT K)経路の下流標的であるpntであった(ブランナー(Brunner)ら、1994;オ・ ネイル(O'Neill)ら、1994;ガベイ(Gabay)ら、1996)。Pntの発現は一次分 枝の末端でBn1により誘導され、二次および末端分枝化を促進する(サマコブリ ス(Samakovlis)ら、1996;サザーランド(Sutherland)ら、1996;図2A、D) 。 図9(A〜E)はBnI−誘導遺伝子pntおよびSpryの発現へのSpry突然変異の影響 を説明する。Pnt7825およびSpryΔ55エンハンサートラップマーカー(上記)を レ ポーターとして用い、mAb2A12を気管内腔を標識するために用いた。 図9Aは野生型DB、第16期に相当し、ここでは高レベルのpnt発現がDB1にの み見られる。図9BはSpryΔ5ホモ接合体に相当する。Pntは異所性にDB3に誘導 される。図9CはSpryΔ55/SpryΔ64の機能喪失突然変異体を説明する。結果はSp ryレポーターが異所性にDB3に誘導されることを述べる。図Dは野生型GB、第1 6期に相当する。高レベルのpnt発現がDB1にのみ見られる。図9EはSpryΔ5ホモ 接合体に相当するが、ここではpntが異所性にDB2に誘導される。 2.DSRF 発現へのSpry突然変異の影響 図9F〜KはSpry突然変異がDSRF、末端分枝化を制御するBn1-誘導遺伝子の発現 に与える影響を説明する。 図9Fは野生型DB、第16期に相当する。DSRFの発現(mAb2-161)はDB1にのみ 見られる。図9GはSpryΔ5ホモ接合体に相当する。DRSFは異所性にDB3に誘導さ れる。図9Hは野生型GB、第16期に相当する。DSRFはGB1にのみ見られる。図9 IはSpryΔ5ホモ接合体に相当する。DSRFは異所性にDB2に誘導される。図9Jは 野生型GB、第13期に相当し、DSRFがDB1に丁度発現され始めたところを示す。m Ab2A12抗原は未だ現われていない。図9KはSpryΔ5ホモ接合体のGB、第13期に 相当する。DSRFはGB1と同時にGB2に誘導される。同様の結果は他の3つの末端 分枝マーカー(末端−2、−3および‐4)についても得られた。 要約すると、DSRF遺伝子および他の3つのマーカー遺伝子(末端‐2、−3お よび‐4)は増殖する一次分枝の終末で誘導され、末端分枝化を促進する(図9 F、9H)。しかし、Spry突然変異体において、5種すべてのエフェクターは後に 異所性分枝を形成する前柄細胞含有の拡大ドメイン中に発現された(図9B、E、 G、I)。さらに、DSRFマーカーは正常分枝化細胞においてと同時に活性化された (図9J、K)。 3.Yan 発現へのSpry突然変異の影響 Bn1シグナリングのもう一つの重要な目標はYan転写因子である。他のRTK経路 (オ・ネイル(O'Neill)ら、1994;リベイおよびルビン(Rebay and Rubin)、 1995;ガベイ(Gabay)ら、1996)におけるように、Bn1経路の活性化はYanのMAP K−依存性リン酸化および分解に導くが、これは気管分枝化の後のプログラムを 活性化するのに必要である(ハコーエン(Hacohen)、1997)。 Yan発現へのSpry突然変異の影響を図9L〜Nに説明する。野生型において、Bn1 シグナリングはDB1およびDB2においてYanの分解に導く。図9LはSpryΔ5突然変 異体においてYan(mAb A2 8B12)もDB3(星印)にて分解されることを説明する 。DB1およびDB3の位置を示すために、胚をDSRFについて染色する(mAb2-161) 。図9MはDSRFチャンネルのない図9Lと同一である。図9Nはyan-lacZエンハン サートラップマーカーyanPの発現がSpryΔ5突然変異体において変化しないこと を示し、Spryの影響が転写後であることを暗示している。LおよびNの線は5μm に相当する。 要約すると、Yanは成長する一次分枝の先端細胞においてのみ通常分解される 。Spry突然変異体において、YanはpntとDSRFの発現の拡張したドメインと一致す る拡張ドメインにおいて分解された(図9L、9M)。yan-lac施写レポーターは 正常に発現され続けるか、これは他のRTK経路におけるように、Yanのダウンレギ ュレーションは転写後事象であったことを暗示している(図9N)。 上の結果は、Spry機能喪失突然変異がこのBn1経路において既知下流エフェク ターのすべてを高めることを証明している。 4.Spry 上昇レベルの影響 図9Oおよび9PはSpry上昇レベルの影響を述べている。図9Oは3種の野生型 14期胚のDBに相当し、DB1細胞中でのDSRFの発現を示す(矢印)。図9PはSpr y発現を誘導するために第10後期に熱ショックを受けた14期のhsGal4/UAS− Spry4.1胚の同様の図を表す。DSRFは発現されず(矢印)、末端分枝化も阻害さ れる。Spryの発現が後の第13または14期に誘導されたとき、分枝化は通常阻 害されず、余分の分枝化細胞も時には観察された。 要約すると、Spry遺伝子産物を胚期10または12の間に過剰発現した巧みに 設計された機能獲得条件は、下流エフェクターの正常誘導およびBn1による分枝 化を厳しくブロックした(図9O、P)。逆もまた真である。Bn1の過剰な発現はS pr yの抵抗を克服することが可能であり、気管系全体を通して二次および末端分枝 化を誘発することができる(サザーランド(Sutherland)ら、1996)。このよう に、SpryはBn1経路の競合アンタゴニストとして遺伝的に振る舞う。実施例10 Bn1 シグナリング経路によるSpry発現の誘導 Spryを発現する気管細胞はBn1を発現する表皮性および中胚葉細胞の小さなク ラスターに密接して位置しており(サザーランド(Sutherland)ら、1996参照; 図10Aに図式化)、Spryの発現パターンはBn1により誘導されるpntおよび他の 遺伝子のものに近似している(サマコブリス(Samakovlis)ら、1996)。これら の観察が示唆したことは、SpryはまたBn1経路により誘導されるに違いないとい うことである。この仮説を試験するために、bn1経路突然変異体のSpry発現に及 ぼす影響を探査した。その結果を図10Aに参照して図10B〜Fに表す。 図10Aは増殖するDBの末端近くのBn1−発現細胞(上部円)のクラスターを示 す図式である(サザーランドら、1996)。分泌されたBn1(点線)は一次分枝の 出芽(第12期)および成長(第14期)を引起こす。分泌されたBn1はまた、 二次(16期)および末端分枝(幼生)の形成に続く一次分枝(緑色)の終末に おいて、細胞中の二次および末端分枝(pntおよびDSRF)を促進する遺伝子の発 現を誘導する。 図10B〜Fは発生途上DBにおいて、Bn1経路突然変異体がSpry発現に及ぼす影 響を図示するが、Spry 9143マーカーを免疫染色する事により可視化した。実験 の詳細は上の実施例9記載のとおりである。 図10B、CおよびEはSpryを発現しない分枝を示すために内腔抗血清でさらに 染色した結果を示す。図10Bは野生型、第12期の胚に相当し、2種の正常Spr y−発現細胞DB1および2を示す(ただし、Lu=DBの内腔)。図10CはbtILG19突 然変異体に相当する。DBは増殖せず、気管細胞はSpryを発現しない。同じ胚の扁 桃細胞でのSpry発現は影響されない(挿入図)。図10DはUAS-Bn 1/+;hsGal4/ +胚に相当し、そこでBn1が偏在して発現された。Spryはすべての気管細胞に誘 発される。図10EはpntΔ88、第15期の胚に相当する。気管細胞はSpryを発現 し得ない。 図10FはUAS‐pntP1.3/+;hsGal4/+胚を示し、ここでpnt P1タンパク質が偏在し て発現された。Spryはすべての気管細胞において誘導されるが、発現は多分リプ レッサーYanのために正常発現ドメイン外では低い。 要約すると、当初の仮説と矛盾なく、Bn1およびbtl突然変異体において、Spry は発現されないか、発現されたとしても弱い(図10C)。さらに、Btlレセプタ ーがBn1の偏在的発現によってすべての気管細胞において活性化されたとき、Spr yは気管系全般に高レベルで始動した(図10D)。下流のエフェクターpntもSpr yの発現を必要とし(図10E),Spryの発現はpnt P1タンパク質が偏在して発現 されたとき、その正常な発現ドメイン外で活性化された。このように、Spryの発 現はそれが阻害するシグナリング経路により誘発される。Bn1-Spry調節回路の図 式モデルを図11に示す。実施例11 哺乳動物細胞でのSpryタンパク質発現および局在化 ショウジョウバエのSpryおよびヒトSpry2をヒト293細胞中哺乳動物EF-1αプ ロモーターの制御下、以下のように発現した。 ショウジョウバエおよびヒトSpry2遺伝子のコーディング領域をポリメラーゼ 連鎖反応により増幅し、EF-1αプロモーターの下流pEF-BOSに挿入した。3'プ ライマーはFLAG(サンタ・クルズ・バイオテクノロジー)またはHA(バブコ)エ ピトープに対する抗体で発現したタンパタ質を検出するための枠内エピトープ標 識(ショウジョウバエのSpry用FLAG;ヒトSpry2用HA)を含んでいた。ショウジ ョウバエSpryの発現は、全長SPTyタンパク質に対してウサギで起こした抗体(3 2C)でも検出された。 Spry遺伝子を含むpEF-BOSプラスミドは標準法により293の細胞に移入した 。細胞を収獲し、標準溶解バッファー(50mMヘペス、pH7.4、125mM NaCl、1% トリトンX-100)中氷上20分溶解した。別に、細胞をスクロース・バッファー (50mMヘペス、pH7.4、0.25Mスクロース)中、ダンス(dounce)ホモゲナイザー で均一化した。核と細胞破片を2,000rpmで遠沈し、廃棄した。膜(ペレット)を 100,000rpmで可溶フラクション(上清)から分離した。溶解物またはフラクショ ンを SDSサンプルバッファーと混合し、10〜12%ポリアクリルアミドゲル上走行させ 、次いでニトロセルロースに移し、5%ミルクでブロックし、一次および二次抗 体と培養し、ECLで染色した。 タンパク質は適切なエピトープ標識またはタンパク質に対する抗体を用い、細 胞溶解物のウエスターンブロット上検出した。ウエスターンブロットを図12A 〜Cに示す。図12Aは抗‐FLAG抗体によって認識された66kDのショウジョウバ エSpryバンドの検出を示す。図12Bは293細胞における35〜40kDのhSpry 2を抗‐HA抗体により検出したものに相当する。図12CはショウジョウバエSpr yを発現する均一化細胞の100K rpmペレットと上清に相当する。 両タンパク質はこの非相同系において効率的に発現された。両発現タンパク質 の分子量は予測したサイズに似ており、ショウジョウバエSpryについては〜63 kD、hSpryについては〜35kDであった。細胞ホモジネートの標準分画は、ショ ウジョウバエSpryが殆ど例外なく細胞の膜分画に見出されることを明らかにした 。 本発明は特定の方法と態様を参照して記載してあるが、多様な改良と変更が本 発明から離れずになし得るものであることは当然である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 C12N 5/00 B G01N 33/53 A61K 37/02

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.タンパク質であって、そのシステインに富む領域が、全長配列がSEQ ID NO: 8により確認されるヒトのスプルーティ2タンパク質のSEQ ID NO:17と少な くとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、またはそ れから誘導されるペプチドであって、少なくとも10個のアミノ酸を有するペ プチド から成ることを特徴とする単離された組換えスプルーティ・ポリペプチド。 2.該システインに富む領域がSEQ ID NO:17と少なくとも50%の配列同一性 を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載のスプルーティ・タンパク質 。 3.該タンパク質がSEQ ID NO:8に実質的に一致する配列を有するヒト・スプル ーティ2・タンパク質であることを特徴とする請求の範囲第1項記載のスプル ーティ・タンパク質。 4.該タンパク質がSEQ ID NO:6に実質的に一致する配列を有するヒト・スプル ーティ1・タンパク質であることを特徴とする請求の範囲第1項記載のスプル ーティ・タンパク質。 5.該タンパク質がSEQ ID NO:11に実質的に一致する配列を有するヒト・スプ ルーティ3・タンパク質であることを特徴とする請求の範囲第1項記載のスプ ルーティ・タンパク質。 6.腫瘍増殖を阻害するのに十分なタンパク質量を患者に投与することにより、 患者の充実性腫瘍の治療に使用することを特徴とする請求の範囲第1項記載の タンパク質。 7.SEQ ID NO:8に実質的に一致する配列を有するヒト・スプルーティ2・タン パク質、SEQ ID NO:6に実質的に一致する配列を有するヒト・スプルーティ1 ・タンパク質、およびSEQ ID NO:11に実質的に一致する配列を有するヒト・ スプルーティ3・タンパク質から選択されることを特徴とする請求の範囲第6 項記載のタンパク質。 8.約150nm未満の平均サイズを有し、その表面をポリエチレングリコールで コーティングしてあるリポソームに包含させることを特徴とする請求の範囲第 6項記載のタンパク質。 9.(1) タンパク質であって、そのアミノ酸配列のシステインに富む領域が、全 長配列がSEQ ID NO:8により確認されるヒトのスプルーティ2タンパク質のSE Q ID NO:17と少なくとも40%の配列同一性を有するタンパク質、または(2 ) それから誘導されるペプチドであって、少なくとも10個のアミノ酸を有す るペプチド から成ることを特徴とするスプルーティー・ポリペプチドをコード化する単離 したDNAフラグメント。 10.該システィンに富む領域がSEQ ID NO:17と少なくとも50%の配列同一性 を有するスプルーティ・タンパク質をコード化することを特徴とする請求の範 囲第9項記載のDNAフラグメント。 11.SEQ ID NO:8に実質的に一致する配列を有するヒト・スプルーティ2・タン パク質をコード化することを特徴とする請求の範囲第9項記載のDNAフラグ メント。 12.そのコーディング配列がSEQ ID NO:7に実質的に一致することを特徴とする 請求の範囲第11項記載のDNAフラグメント。 13.SEQ ID NO:6に実質的に一致する配列を有するヒト・スプルーティ1・タン パク質をコード化することを特徴とする請求の範囲第9項記載のDNAフラグ メント。 14.そのコーディンク配列がSEQ ID NO:5に実質的に一致することを特徴とする 請求の範囲第13項記載のDNAフラグメント。 15.SEQ ID NO:11に実質的に一致する配列を有するヒト・スプルーティ3・タ ンパク質をコード化することを特徴とする請求の範囲第9項記載のDNAフラ グメント。 16.そのコーディング配列がSEQ ID NO:10に実質的に一致することを特徴とす る請求の範囲第15項記載のDNAフラグメント。 17.DNAフラグメントおよび調節配列から成る組換え発現ベクターであって、 該DNAフラグメントは哺乳動物スプルーティ・タンパク質をコード化し、該 タンパク質はそのアミノ酸配列のシステインに富む領域がヒトのスプルーティ 2タンパク質のSEQ ID NO:17と少なくとも40%の配列同一性を有するタン パク質であり、該スプルーティ2タンパク質の全長配列はSEQ ID NO:8により 確認されるものであり、 該調節配列が該フラグメントに操作可能に結合し、選択した宿主において該タ ンパク質の発現を促進することができるものである ことを特徴とする発現ベクター。 18.該ベクターを細胞のトランスフェクションに使用するためにポリカチオンと の複合体として約150nm未満のサイズの縮合粒子を形成させ、細胞からのス プルーティタンパク質の産生を増加させることを特徴とする請求の範囲第17 項記載のベクター。 19.該複合体が腫瘍細胞表面に特異的に結合し得る標的部位をさらに含むことを 特徴とする請求の範囲第17項記載のベクター。 20.請求の範囲第17項記載のベクターで形質転換した哺乳動物細胞。 21.哺乳動物被験体において活性な哺乳動物スプルーティ・タンパク質の異常レ ベルにより特徴づけられる症状またはそれに関連する危険因子を検出する方法 であって、被験体からゲノムDNAまたはcDNAを取得し、該DNAまたはcDNAについ て、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:11により同定される遺伝 子から成る群より選択されるヒトスプルーティ遺伝子に関して突然変異の有無 を試験することを特徴とする方法。 22.哺乳動物被験体において活性な哺乳動物スプルーティ・タンパク質の異常レ ベルにより特徴づけられる症状またはそれに関連する危険因子を検出する方法 であって、被験体の組織または器官から体液を採取し、該体液をヒトスプルー ティ・タンパク質に対する抗休と反応させるが、該タンパク質はそのアミノ酸 配列のシステインに富む領域がヒトのスプルーティ2タンパク質のSEQ ID NO: 17と少なくとも40%の配列同一性を有するタンパク質であり、該スプルー ティ2タンパク質の全長配列はSEQ ID NO:8により確認されるものであり、該 反応によりタンパク質−抗体複合体を形成し、次いで、かかる複合体の存在を 確認することを特徴とする方法。
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