JP2002503466A - 網膜芽細胞腫タンパク質複合体および網膜芽細胞腫相互作用タンパク質 - Google Patents

網膜芽細胞腫タンパク質複合体および網膜芽細胞腫相互作用タンパク質

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JP2002503466A
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メイジア ヤン,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、網膜芽細胞腫(RB)タンパク質と、改変され、改良された酵母ツーハイブリッドアッセイ系によってRBと相互作用するとして同定されるタンパク質との複合体に関する。RBと相互作用すると同定されたタンパク質は、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*である。従って、本発明は、RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*ならびにそれらの誘導体、フラグメント、およびアナログとの複合体を提供する。本発明はまた、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*の遺伝子およびタンパク質、ならびにそれらの誘導体、フラグメントおよびアナログを提供する。特定の疾患および障害、特に癌、神経変性疾患、およびウイルス疾患を含む、過剰増殖障害の処置および/または予防における効力についてそれらの複合体のスクリーニングの方法もまた、本明細書中に開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連特許出願および助成金の援助) 本出願は、1998年2月12日出願の「RETINOBLASTOMA P
ROTEIN COMPLEXES」と題された仮出願第60/074559号
に対する優先権を主張する。
【0002】 本発明は、National Institute of Standard
s and Technologyによって授与された授与番号70NANB5
H1066の下で合衆国政府の援助によってなされた。合衆国政府は本発明にお
いて一定の権利を有する。
【0003】 (発明の分野) 本発明は、他のタンパク質との網膜芽細胞腫タンパク質(RB)の複合体、特
にRN−treとRBとの複合体、細胞性アポトーシス感受性タンパク質(CA
S)とRBとの複合体、γ−インターフェロン誘導性タンパク質(IP−30)
とRBとの複合体、リボゾームタンパク質L6とRBとの複合体、サイトカイン
IK因子とRBとの複合体、乳酸デヒドロゲナーゼB(LDH−B)とRBとの
複合体、Nlk1(Nek2)とRBとの複合体、シクロフィリンAとRBとの
複合体、Zap3とRBとの複合体、オキシドレダクターゼ17−β−ヒドロキ
システロイド(17β−HSD6)とRBとの複合体、CD24*とRBとの複 合体、Set*とRBとの複合体、グルタミン酸輸送体GluT1*とRBとの複
合体、およびクローン115392*とRBとの複合体を開示する。本発明はま た、RB複合体に対する抗体、ならびにそれらの、特にスクリーニング、診断、
予後、および治療におけるその使用を開示する。本発明はさらに、CD24*、 Set*、GluT1*、および115392*の遺伝子およびタンパク質、なら びにそれらの誘導体、フラグメント、およびアナログを開示する。
【0004】 (発明の背景) 以下の1以上のタンパク質とのヒト網膜芽細胞腫タンパク質(RB)複合体は
、以前に本発明の開示より前には記載されていない:RN−tre、細胞性アポ
トーシス感受性タンパク質(CAS)、γ−インターフェロン誘導性タンパク質
IP−30、リボゾームタンパク質L6、サイトカインIK因子、乳酸デヒドロ
ゲナーゼB(LDH−B)、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap
3、オキシドレダクターゼ17−β−ヒドロキシステロイド(17β−HSD6
)、CD24*、Set*、グルタミン酸輸送体GluT1*、またはクローン1 15392*
【0005】 本明細書中の参考文献の引用は、このような参考文献が本発明に対する先行技
術であるという承認として解釈されるべきでないことを留意すべきである。
【0006】 ((I)ヒト網膜芽細胞腫タンパク質(RB)) ヒト網膜芽細胞腫腫瘍抑制タンパク質(本明細書中以下では、「RB」と称す
る;GenBank登録番号M28419、米国特許第4,942123号;L
eeら,1987.Nature 329:642−645)は、古典的な腫瘍
抑制タンパク質である考えられる。RBタンパク質は、網膜芽細胞腫「腫瘍抑制
ファミリー」に属し、このファミリーは、RB、pRb2/p130、およびp
107を含む。網膜芽細胞腫ファミリーのメンバーは、細胞の生存の以下の3つ
の主な局面の履行および制御に関与する:(i)繁殖性増殖、(ii)分化、お
よび(iii)アポトーシス(例えば、Stiegler,1998.J.Ce
ll.Biochem.Suppl.30−31:30−36を参照のこと)。
これらのタンパク質の活性は、高度に調節され、これらが制御を正確に確立する
ことを可能にする。RBと相互作用するタンパク質は、正常な生理学的プロセス
および重要な病原性プロセスの両方に対して潜在的に広範な範囲の効果を有する
【0007】 リンタンパク質は、細胞周期のG1制限点を細胞が通過することについての重
要な制御タンパク質である(例えば、Weinberg,1995.Cell
81:323−330を参照のこと)。RBの過剰発現、および低リン酸化形態
でのRBの維持は、細胞周期の阻害をもたらす。対照的に、RBは、哺乳動物細
胞が細胞周期を続け得る前には、サイクリン依存性キナーゼによってリン酸化さ
れることを必要とする。
【0008】 RBによる増殖抑制は、転写調節因子と複合体を形成するその能力に依存する
。少なくとも3つの異なるタンパク質結合活性がRBにおいて同定されている:
大きなA/Bポケットは、E2Fに結合し、A/BポケットはLXCXEペプチ
ドモチーフ(例えば、インスリン、パピローマウイルスのE6タンパク質および
E7タンパク質)を結合し、そしてCポケットは、核c−Ab1チロシンキナー
ゼを結合する(例えば、Whitakerら,1998.Mol.Cell.B
iol.18:4032−4042を参照のこと)。網膜芽細胞腫タンパク質は
、以下を含むがこれらに限定されない、転写に関与するいくつかのタンパク質に
結合する:(i)E2F、(ii)転写因子UBF(例えば、Cavanaug
hら,1995.Nature 374:177−180を参照のこと);(i
ii)転写調節因子Brmタンパク質(例えば、Singhら,1995.Na
ture 374:562−565を参照のこと);(iv)転写調節因子RI
Z(例えば、Buyseら,1995.Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 92:4467−4471を参照のこと);(v)転写活性化タンパ
ク質IE2(例えば、Choiら,1995.Virology 208:45
0−456を参照のこと);(v)転写エフェクターElf−l、MyoD、P
U.1、ATF−2(例えば、Wangら,1994.Adv.Cancer
Res.64:25−85を参照のこと)。シグナル伝達分子Raf−lは、R
Bと物理的に相互作用し得、従って、この複合体は、細胞増殖の増殖因子媒介誘
導において役割を果たし得、そして細胞表面シグナル伝達カスケードと細胞周期
機構との間の関連を提供し得る。例えば、Wangら,1998.Mol.Ce
ll.Biol.18:7487−98を参照のこと。
【0009】 RBは、以下を含むがこれらに限定されない多数のガンの病因に関係している
:子宮頸ガン、乳ガン、網膜芽細胞腫、下垂体腫瘍、リンパ腫、肺の小細胞ガン
、食道ガン、神経膠芽細胞腫、家族性黒色腫、膵臓ガン、肉腫および膀胱ガン。
RB媒介発ガンの機構は、細胞サイクルの進行の制御におけるその中心的役割に
起因して、多数のガンについて解明されている。例えば、大部分の子宮頸ガンの
場合、ヒトパピローマウイルスE7腫瘍タンパク質(oncoprotein)
は、RBに結合し、そしてRBを不活化することが示されている。例えば、Dy
sonら,1989.Science 243:934−937を参照のこと。
同様に、多くの扁平上皮細胞食道、乳房、およびB細胞リンパ腫では、サイクリ
ンDの過剰発現がRBの不活化を生じる。例えば、Jiangら,1992.C
ancer Res.52:2980−2983を参照のこと。食道、肺、膀胱
、および膵臓のガン、家族性黒色腫、および神経膠芽細胞腫に関係する機構は、
サイクリン依存性キナーゼによるRB不活化を含むようである。例えば、Wei
nberg,1995.Cell 81:323−330を参照のこと。さらに
、RBは、ヒトの肉腫、神経膠腫、および扁平上皮細胞ガンにおいて細胞性腫瘍
タンパク質MDM2に結合し、そしてMDM2によって付随してダウンレギュレ
ーションされることが示されている。例えば、Xiaoら,1995.Natu
re 375:694−698を参照のこと。最終的に、RBは、細胞性および
ウイルス性腫瘍タンパク質(例えば、E1Aおよびc−Myc)と転写因子との
相互作用を防止することが示されている。例えば、Hateboerら,199
3.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8489−849
3を参照のこと。RBにより媒介される正常な細胞間接触阻害の破壊はまた、腫
瘍細胞の転移挙動に役割を果たすようである。例えば、Zhuら,1996.J
.Cell Biol.133:391−403を参照のこと。
【0010】 腫瘍サプレッサーとしての機能に加えて、RBは、いくつかの細胞型の分化に
おいて独立した役割を示す。例えば、低リン酸化RBの神経成長因子媒介蓄積は
、細胞の分化についての重要なシグナルである。例えば、Liら,1996.J
.Neurochem.66:2287−2294を参照のこと。
【0011】 従って、要約すると、RBは、以下を含むがこれらに限定されない多数の生理
学的プロセスに中心的に関係している:(i)繁殖性増殖、(ii)分化、およ
び(iii)アポトーシス。さらに、RBは、以下を含むがこれらに限定されな
い多数の病態生理学的状態における役割に強力に関係している:(i)過剰増殖
状態(例えば、腫瘍形成および転移性腫瘍播種);(ii)変性状態(例えば、
神経変性)、および(iii)ウイルス感染に対する応答。
【0012】 ((II)RN−tre) 「treのN末端に関連する」(本明細書中以下、RN−treと称する;G
enBank登録番号D13644として寄託された;Nomuraら,199
4.DNA Res.1:27−35)と命名されたタンパク質は、脱ユビキチ
ン化(deubiquinating)酵素をコードするカルボキシ末端領域へ
のアミノ末端tre様領域の融合物から誘導されたようである、97〜100k
Dのタンパク質である。例えば、Matoskovaら,1996.Oncog
ene 12:2653−2671を参照のこと。RN−tre遺伝子は、染色
体位置10p13にマッピングされる。この位置は、種々の白血病および発生異
常により特徴付けられるモノソミー症候群における転座の位置であることが公知
の領域である。N末端内のtreドメインは、酵母からヒトの種においていくつ
かのタンパク質間で保存されており、そして実証可能なタンパク質結合特性を有
する。RN−treについての最も良く知られる基質は、マイトジェンのシグナ
ル伝達に関与するタンパク質であるeps8である。例えば、Biesovaら
,1997.Oncogene 14:233−241を参照のこと。
【0013】 ((III)細胞性アポトーシス感受性タンパク質(CAS)) ヒト染色体分離遺伝子ホモログ(本明細書中以下、CASと称される;Gen
Bank登録番号U33286;Brinkmannら,1995.Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 92:10427−10431)は、細
胞性アポトーシス感受性遺伝子である。CASは、トキシン媒介細胞死および腫
瘍壊死因子α1媒介細胞死において重要な役割を果たす。例えば、Brinkm
annら,1996.Biochemistry 35:6891−6899を
参照のこと。このタンパク質は、ヒトの白血病、結腸ガン、および乳ガンの細胞
株、ならびにヒトの精巣および胎児肝臓(これらは全て活性に分裂する細胞を含
む)において高度に発現されることが見出される。このことは、細胞増殖におけ
るか、または細胞増殖に対する恒常的応答におけるかのいずれかでこのタンパク
質についての役割を支持する。CAS遺伝子は、急速進行性乳房腫瘤と関連した
変異を保有する領域である、染色体20q13.2にマッピングされている。例
えば、Brinkmannら,1996.Genome Res.6:187−
194を参照のこと。CASは、微小管および紡錘体に関連し(例えば、Sch
erfら,1996.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:
2670−2674を参照のこと)、従って、正常な細胞有糸分裂、細胞のアポ
トーシス、および発ガンに影響を与え得る。
【0014】 ((IV)ヒトγ−インターフェロン誘導性タンパク質(IP−30)) ヒトγ−インターフェロン誘導性タンパク質IP−30(GenBank登録
番号J03909;Lusterら,1988.J.Biol.Chem.26
3:12036−12043)は、種々の病原に対する細胞応答を統合すると考
えられるインターフェロンγによって誘導される。例えば、Boehmら,19
97.Ann.Rev.Immunol.15:749−795を参照のこと。
免疫組織化学研究は、IP−30についての可能なリソソーム局在を示し、この
ことは、タンパク質分解における役割を支持する。IP−30の正確な機能は未
だ未知であるが、γ−インターフェロン媒介免疫反応において役割を果たし得る
【0015】 ((V)ヒトリボソームタンパク質(L6)) ヒトリボソームタンパク質L6(GenBank登録番号X69391;Za
man,1993.Nucl.Acids Res.21:1673)は、ラッ
トL6リボソームタンパク質のヒトホモログである。ラットL6リボソームタン
パク質は、ラージリボソームサブユニットの構造的構成要素であり、タンパク質
翻訳を調節するために役立ち得る(例えば、Chanら,1996.Bioch
em.Mol.Biol.Int.39:431−438を参照のこと)。
【0016】 ((VI)ヒトIK因子) ヒトIK因子(GenBank登録番号S74221;Kriefら,199
4.Oncogene 9:3449−3456;米国特許第5,612,19
5号;PCT公開WO 93/11232;GenBank登録番号A2527
0)は、多数のガン細胞株により分泌されることが示されたサイトカインである
。IKは、正常細胞株、ならびに白血病細胞株および他のガン細胞株においてγ
−インターフェロン誘導を阻害する。この因子はまた、ガン細胞が免疫認識から
逃れることにおいて役割を果たすと考えられる。
【0017】 ((VII)ヒト乳酸デヒドロゲナーゼB(LDH−B)) ヒト乳酸デヒドロゲナーゼB(本明細書中以下では、LDH−Bと称する;G
enBank登録番号Y00711;Sakaiら,1987.Biochem
.J.248:933−936)は、肝臓、膵臓、および胆嚢の機能の臨床マー
カーとして広範に用いられる、乳酸デヒドロゲナーゼのBサブユニットである。
ヒト乳酸デヒドロゲナーゼBは、生殖細胞腫瘍と関連であり、リンパ腫、白血病
、神経芽細胞種、および結腸ガンの有用な予後マーカーである。例えば、Bro
deurら,1993.J.Clin.Oncol.11:1466−1477
を参照のこと。
【0018】 ((VIII)NIk−1(Nek2)) Nlk1(Nek2としても公知である;GenBank登録番号U1105
0)は、Aspergillus nidulansの有糸分裂調節因子NIM
Aのヒトホモログである。セリン/トレオニン特異的キナーゼNlk1(本明細
書中以下では、Nlk1(Nek2)と称される)は、その触媒ドメインにおい
てNIMAに対して47%同一性を示すことが示されている。例えば、Fryら
,1995.J.Biol.Chem.270:12899−12905を参照
のこと。Nlk1(Nek2)は、NIMAと同様に機能するようである。例え
ば、FryおよびNigg,1995.Curr.Biol.5:1122−1
125を参照のこと。しかし、Nlk1(Nek2)は、Nlk1(Nek2)
活性が、有糸分裂においてではなく、細胞周期のS/G2期にピークに達し、そ
してNlk1(Nek2)は、NIMAに見出されるCDC2リン酸化部位およ
びC末端PEST配列を欠くという点でNIMAと異なる。従って、Nlk1(
Nek2)の正確な機能は未知のままであるが、Nlk1(Nek)ファミリー
の他のメンバーについてと同様に、Nlk1(Nek2)が細胞周期制御におい
て機能するという強力な証拠が存在する。
【0019】 ((IX)シクロフィリンA) シクロフィリンA(GenBank登録番号Y00052;Haendler
ら,1987.EMBO J.6:947−950)は、シクロスポリンA結合
の標的である、広範に発現される、低分子の可溶性タンパク質である。シクロフ
ィリンAは、炎症性応答を促進するマクロファージおよび好酸球についての化学
誘引物質として機能する。シクロフィリンAはまた、全身性エリテマトーデス、
ライム病、および慢性関節リウマチに関連している。
【0020】 シクロフィリンAの別の主要な機能は、シクロスポリンにより結合された場合
、カルシニューリンホスファターゼ活性の阻害であり、従って、多数の細胞活性
(例えば、転写因子の脱リン酸化)に影響を与えて、核への輸送を防止する。例
えば、LeHirら,1995.Lab Invest.73:727−733
を参照のこと。同様に、シクロフィリンA自体は、核へと標的化され、ここで、
シクロフィリンAは、細胞性アポトーシスに関与するDNaseとして作用し得
る。例えば、Montagueら,1997.J.Biol.Chem.272
:6677−6684を参照のこと。最終的に、シクロフィリンAはまた、HI
V−1 gagポリタンパク質p55gagと特異的に会合するが、他の霊長類
免疫不全ウイルスのコートタンパク質とは会合しないことが示されている。この
会合は、このウイルスの複製のために必要であるようである。例えば、Fran
keら,1994.Nature 372:359−362;Thaliら,1
994.Nature 372:363−365を参照のこと。
【0021】 ((X)ヒトZap3タンパク質) ヒトZap3遺伝子(GenBank登録番号L40403;Sherrin
gtonら,1995.Nature 375:754−760)は、14q2
4.3で早期発症アルツハイマー病関連AD3遺伝子座に位置する。ヒトZap
3遺伝子は多くの分泌タンパク質と同様にプロリンリッチであるが、このタンパ
ク質配列の機能は依然として定量的に解明されていない。
【0022】 ((XI)ヒトオキシドレダクターゼ) ヒトオキシドレダクターゼ(GenBank登録番号AF016509;Bi
swasおよびRussell,1997.J.Biol.Chem.272:
15959−15966)は、酸化的17β−ヒドロキシステロイド(17 β
−HSD6)のアイソフォームであり、そしてラットレチノールデヒドロゲナー
ゼ(例えば、Chaiら,1996.Gene 169:219−222を参照
のこと)のヒト同種物(relative)である。17β−HSD6は、レチ
ノール(すなわち、ビタミンA)の不均衡に関連する広範な種々の障害に関係し
ている。さらに、17β−HSD6は、アンドロステロン欠損に関連する障害に
関連している。
【0023】 ((XII)Set*、GluT1*、CD24、および115393) 本発明はまた、SetおよびGluT1の新規なスプライス改変体(それぞれ
、コードされるタンパク質は、本明細書中以下では、Set*およびGluT1* と称される)、ならびにCD24および115392についての遺伝子を有する
新規なオープンリーディングフレーム(それぞれ、コードされるタンパク質は、
本明細書中以下では、CD24*および115392*と称される)を開示し、本
発明に開示されるように、これらはRBと相互作用する。
【0024】 ((a)CD24) ハイブリッドシグナル伝達タンパク質CD24(GenBank登録番号L3
3930;Kayら,1991.J.Immunol.147:1412−14
16)は、大部分のBリンパ球の表面上に存在する糖タンパク質である。CD2
4は、抗体産生細胞の分化および活性化を阻害するように機能する;CD24は
また、顆粒球の分化に関連する。CD24はまた、カルシウムを含むセカンドメ
ッセンジャーの放出により、細胞外シグナルを伝達すると考えられる。例えば、
Lund Johansenら,1993.Eur.J.Immunol.23
:2782−2791を参照のこと。さらに、CD24は、タンパク質チロシン
キナーゼファミリーのメンバー(c−fgr産物およびlyn産物)と相互作用
することが示されており、従って、CD24は、リン酸化カスケードを介するシ
グナル伝達を媒介するように機能し得る。例えば、Zarnら,1996.Bi
ochem.Biophys.Res.Commun.225:384−391
を参照のこと。興味深いことに、CD24はまた、小細胞肺ガンの表面上に高度
に発現され、従って、このタンパク質が腫瘍形成に関連させる傾向がある。例え
ば、Jacksonら,1992.Cancer Res.52:5264−5
270を参照のこと。
【0025】 ((b)Set) ヒトSet遺伝子(GenBank登録番号M93651;von Lind
ernら,1992.Mol.Cell.Biol.12:3346−3355
)は、推定のガン遺伝子刺激タンパク質であるSetをコードする。Set遺伝
子は、種々のヒト白血病と関連する染色体領域9q34に位置決めされている。
例えば、Adachiら,1994.J.Biol.Chem.269:225
8−2262を参照のこと。SETおよびより小さな融合産物(SET−CAN
)は、核孔複合体と特異的に会合して、核に位置される。SET−CANは、核
細胞質輸送および細胞周期の進行を調節すると考えられる。例えば、Forne
rodら,1996.Oncogene 13:1801−1808を参照のこ
と。
【0026】 ((c)GluT1) ヒトグルタミン酸輸送体タンパク質(本明細書中以下では、GluT1と称さ
れる;GenBank登録番号D26443;Nomuraら,1994.DN
A Res.1:223−229)は、大膠細胞特異的グルタミン酸輸送体であ
る。大膠細胞グルタミン酸輸送体の変更は、肝性脳障害の病因に、そしておそら
くはアルツハイマー病に関連している。
【0027】 ((d)クローン115392) ヒトmRNAクローン115392(GenBank登録番号L43578;
Timmsら,1996.Genome Res.5:71−78)は、致死的
な、X連鎖劣性障害である、ハンター症候群(II型ムコ多糖症)に関連する、
発現される配列である。しかし、このmRNAについての翻訳産物は、現在定義
されておらず、従って、機能は未だに割り当てられていない。
【0028】 (発明の要旨) 手短に述べると、網膜芽細胞腫タンパク質(RB)が、これまで記載されてい
なかった複合体を形成することが示された。本発明は、本明細書中でRBタンパ
ク質と相互作用する(すなわち、結合する)タンパク質を有するこのRBから構
成されるタンパク質複合体の生成のための組成物および方法論を開示する。RB
タンパク質と複合体を形成することが示されたタンパク質は、本明細書中以下で
(RB相互作用タンパク質について)「RB−IP」と称される。それゆえ、R
Bタンパク質とRB−IPとの複合体は、本明細書中以下で「RB・RB−IP
」と称される。
【0029】 より詳細には、本発明は、RB、ならびにその誘導体、フラグメント、および
アナログと、以下のタンパク質との複合体に関する:RN−tre、細胞性アポ
トーシス感受性タンパク質CAS、γ−インターフェロン誘導性タンパク質IP
−30、リボソームタンパク質L6、サイトカインIK因子、乳酸デヒドロゲナ
ーゼB(LDH−B)、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、
オキシドレダクターゼ17−β−ヒドロキシステロイド(17β−HSD6)、
CD24*、Set*、グルタミン酸輸送体GluT*またはクローン11539 2*、ならびにそれらの誘導体、アナログ、およびフラグメント。本発明は、そ れぞれ、Set遺伝子およびGluT1遺伝子のmRNAスプライス改変体によ
りコードされる新規タンパク質であるSet*およびGluT1*の同定をさらに
開示する。Set*およびGluT1*をコードするmRNAにより生成されるこ
れらの上記のスプライス改変体は、それぞれ、SetおよびGluT1をコード
するmRNAをプロセシングするために用いられるプロセシング部位以外のスプ
ライス部位でRNAスプライシングにより生成される。さらに、本発明は、公知
のCD24タンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部でも、この配列と重
なることもない、CD24 mRNA中のオープンリーディングフレーム(OR
F)によりコードされる新規タンパク質を開示する。
【0030】 本発明は、Set*およびGluT1*(ヒトSet*およびGluT1*、なら
びに他の種のホモログ)、ならびにそれらの誘導体(例えば、フラグメント)お
よびアナログのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をさらに開示する。本発明
はまた、CD24*および115392*、ならびに誘導体(それらのフラグメン
トおよびアナログを含む)のアミノ酸配列を開示する。上記のヌクレオチド配列
にハイブリダイズし得るかまたは相補的な核酸(例えば、上記配列の逆相補体(
すなわち、鎖に対して逆方向で走る相補的な配列を有する核酸、その結果、逆相
補体は、その核酸鎖に対して不適合を有さずにハイブリダイズする))もまた提
供される。詳細には、本発明は、それぞれ、Set*およびGluT1*mRNA
の選択的スプライシング連結部(すなわち、Set*mRNAおよびGluT1* mRNAのプロセシングにおいて5’および3’スプライス部位が連結される、
Set*またはGluT1*ヌクレオチド配列における点)にわたる、Set*お よびGluT1*をコードするヌクレオチド配列の一部にハイブリダイズし得る かまたは相補的である(例えば、逆相補体である)核酸を開示する。
【0031】 本発明はまた、機能的な生物学的活性を保有する、CD24*、Set*、Gl
uT1*、および115392*の誘導体およびアナログ(すなわち、これらは、
野生型CD24*、Set*、GluT1*、または115392*タンパク質の1
以上の公知の機能的な生物学的活性を提示し得る)を開示する。このような機能
的生物学的活性としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:(i)RB
と結合するかまたはRBとの相互作用に競合する能力;(ii)抗原性(すなわ
ち、それぞれ、抗CD24*抗体、抗Set*抗体、抗GluT*抗体、もしくは 抗115392*抗体と結合するか、または抗CD24*抗体、抗Set*抗体、 抗GluT*抗体、もしくは抗115392*抗体に対する結合についてCD24 * 、Set*、GluT1*、もしくは115392*と競合する能力)、および(
iii)免疫原性(すなわち、それぞれ、CD24*、Set*、GluT1*、 または115392*に結合する抗体を生成する能力)。
【0032】 RB・RB−IP複合体およびCD24*タンパク質、Set*タンパク質、G
luT1*タンパク質、および115392*タンパク質、ならびにこれらの複合
体および/または個々のタンパク質の誘導体およびアナログの、例えば、組換え
手段による生成方法もまた本明細書中に開示される。さらに、RB・RB−IP
複合体に関する種々の薬学的組成物、ならびにCD24*、Set*、GluT1 * 、および115392*タンパク質、ならびに複合体および/または個々のタン
パク質の誘導体およびアナログの種々の薬学的組成物もまた、本発明により開示
される。
【0033】 本発明は、RB・RB−IP複合体、ならびにCD24*、Set*、GluT
*、および115392*タンパク質の活性を調節(すなわち、阻害または増強
)するための方法論をさらに提供する。これらの上記の複合体のタンパク質構成
要素は、以下を含むがこれらに限定されない種々の細胞機能に関連している:(
i)生理学的プロセス(例えば、細胞周期制御、細胞分化、およびアポトーシス
);(ii)ウイルス感染に対する応答;(iii)細胞内シグナル伝達;(i
v)転写制御;ならびに(v)病態生理学的プロセス(例えば、腫瘍形成および
腫瘍拡散を含む過剰増殖障害、神経変性疾患を含む変性障害、ウイルス感染)。
【0034】 従って、本発明は、非排他的に上記に列挙されたような、RB・RB−IP複
合体、ならびにCD24*タンパク質、Set*タンパク質、GluT1*タンパ ク質、および115392*タンパク質、ならびにRB・RB−IP複合体、C D24*mRNA、Set*mRNA、GluT1*mRNA、および11539 2* mRNAs、ならびにCD24*タンパク質、Set*タンパク質、Glu T1*タンパク質、および115392*タンパク質の誘導体およびアナログを、
細胞機能、特にRBおよび/またはRB−IPが関連しているそれらの細胞機能
を変更する能力についてスクリーニングするための方法論を開示する。
【0035】 本発明はまた、RB・RB−IP複合体(ならびにこれらの上記のRB・RB
−IP複合体に関与する個々のタンパク質をコードする核酸)、ならびにCD2
*、Set*、Gluts*、および115392*のタンパク質および核酸に基
づく、治療的および予防的な、ならびに診断的、予後的、およびスクリーニング
の方法論および組成物を開示する。本発明の治療用化合物は、以下を含むがこれ
らに限定されない:(i)RB・RB−IP複合体、および複合体の1つ、また
は両方のメンバーがRBもしくはRB−IPの誘導体またはアナログである複合
体;CD24*タンパク質、Set*タンパク質、GluT1*タンパク質、また は115392*タンパク質、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、および アナログ;(ii)上記に対する抗体および上記をコードする核酸;ならびに(
iii)複合体の構成要素をコードするヌクレオチド配列に対するアンチセンス
核酸、ならびにCD24*、Set*、GluT1*、または115392*アンチ
センス核酸。診断キット、予後判断キット、およびスクリーニングキットもまた
提供される。
【0036】 RB・RB−IP複合体、ならびにCD24*タンパク質、Set*タンパク質
、GluT1*タンパク質、および115392*タンパク質の活性の調節薬剤(
すなわち、アゴニスト、アンタゴニスト、およびインヒビター)についての動物
モデルおよびスクリーニング方法もまた、本発明により開示される。
【0037】 RB・RB−IP複合体の形成を阻害する能力を保有するかあるいは増加させ
る分子の同定のための方法論もまた提供される。
【0038】 (発明の詳細な説明) 本発明は、酵母ツーハイブリッド系の改良され、改変された形態を使用して、
RBと相互作用する能力を有するタンパク質(本明細書中で、以下「RB−IP
」という)の同定に基づく。本発明において、RN−tre、細胞性アポトーシ
ス感受性タンパク質CAS、γ−インターフェロン誘導性タンパク質IP−30
、リボソームタンパク質L6、サイトカインIK因子、乳酸デヒドロゲナーゼB
(LDH−B)、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、オキシ
ドレダクターゼ17−β−ヒドロキシステロイド(17β−HSD6)、CD2
*、Set*、グルタミン酸輸送体GluT1*、またはクローン115392* (ここで、「*」は、以下の具体例の節において決定されるように、それぞれS etおよびGluT1のスプライシング改変体、ならびにCD24および115
392*の新規なオープンリーディングフレーム(ORF)を示す)は、生理的 条件下でRBとの複合体を形成することが見出された。これらの上述のRBのR
B−IPとの複合体は、本明細書中で、以下「RB・RB−IP」複合体という
。これらのRB・RB−IP複合体は、この相互作用の効力によって、RBおよ
びその結合パートナーの種々の機能活性の調節に関連する。これらの機能活性は
、以下を含むがこれらに限定されない:(i)生理学的プロセス(例えば、細胞
周期の制御、細胞分化およびアポトーシス);(ii)ウイルス感染に対する応
答;(iii)細胞間のシグナル伝達;(iv)転写制御;ならびに(v)病態
生理学的プロセス(例えば、腫瘍形成および腫瘍拡大を含む過増殖性障害、神経
変性疾患を含む変性障害、ウイルス感染)。
【0039】 本発明は、RBと相互作用(例えば、結合)するタンパク質についてスクリー
ニングする方法論を開示する。本発明はさらに、RB複合体(RB・RB−IP
)、特に、以下のタンパク質:RN−tre、細胞性アポトーシス感受性タンパ
ク質CAS、γ−インターフェロン誘導性タンパク質IP−30、リボソームタ
ンパク質L6、サイトカインIK因子、乳酸デヒドロゲナーゼB(LDH−B)
、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、オキシドレダクターゼ
17−β−ヒドロキシステロイド(17β−HSD6)、CD24*、Set*
グルタミン酸輸送体GluT1*、またはクローン115392*、の1つと複合
体化されるRBに関する。本発明はさらに、RBまたはRBの誘導体、アナログ
、およびフラグメントと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、L
DH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17β−HS
D6、CD24*、Set*、GluT1*、ならびに115392*、またはそれ
らの誘導体、アナログおよびフラグメントとの複合体を開示する。好ましい実施
態様において、このようは複合体は、抗RB・RB−IP複合体抗体と結合する
。本発明の特定の実施態様において、ヒトRBとヒトタンパク質との複合体が開
示される。
【0040】 本発明はまた、RB・RB−IP複合体の産生および/または単離のための方
法論を開示する。特定の実施態様において、本発明は、組換えDNA技術を使用
して、RBおよびその結合パートナー(RB−IP)の両方、または、その複合
体の一方または両方のメンバーのフラグメント、誘導体またはホモログを発現す
る方法を提供する。ここで、両方の結合パートナーのいずれかが1つの異種プロ
モーター(すなわち、特定の複合体成分をコードするネイティブ遺伝子とは天然
に随伴しないプロモーター)の制御下にあるか、または各々が、別個の異種プロ
モーターの制御下にあるかのいずれかである。
【0041】 以下に記載されるように、本発明は、Set*およびGluT1*を設計したタ
ンパク質をコードするSetおよびGluT1遺伝子の新規なスプライシング改
変体によってコードされる新規タンパク質を開示し、これはまた、RBと相互作
用する能力を有する。Set*およびGluT1*のヌクレオチドおよび関連する
アミノ酸配列は、それぞれ図3〜4および5〜6に示される(それぞれ、配列番
号6〜8および9〜11)。本発明はまた、RBと相互作用し、そしてCD24
遺伝子中に見出されるORFによってコードされるタンパク質を開示する。この
ORFは、CD24タンパク質をコードするヌクレオチド配列と重複しない。C
D24*のヌクレオチド配列および関連するアミノ酸配列は、図2に示される( それぞれ、配列番号4および5)。さらに、本発明は、RBと相互作用するES
T配列115392(このタンパク質は、本明細書中で、以下115392*で 示される)中のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質を開示する。
EST配列115393*のヌクレオチド配列およびこれに関連するアミノ酸配 列は、図6に示される(それぞれ、配列番号12および13)。
【0042】 別の局面において、本発明は、Set*およびGluT1*のヌクレオチド配列
、およびこれらをコードするタンパク質、ならびにmRNAヌクレオチド配列(
mRNA配列に対応するDNA配列を含む)、ならびにCD24*に関連するア ミノ酸配列を開示する。本発明はさらに、CD24*、Set*、GluT1*、 および115392*タンパク質、ならびにこれらの誘導体(フラグメントを含 むがこれに限定されない)およびホモログおよびパラログ(paralog)、
ならびにCD24*、Set*、GluT1*、および115392*タンパク質、
誘導体、フラグメント、およびホモログをコードする核酸を開示する。本発明は
また、多くの異なる種(好ましくは脊椎動物、そしてより好ましくは哺乳動物)
の、CD24*タンパク質、およびSet*タンパク質、GluT1*タンパク質 、および115392*タンパク質、ならびにこれらのタンパク質をコードする 遺伝子を提供する。最も好ましい実施態様において、CD24*タンパク質、お よびSet*タンパク質、GluT1*タンパク質、および115392*タンパ ク質、ならびに遺伝子は、ヒト起源である。上述のタンパク質および誘導体の産
生もまた、開示される(例えば、組換えの方法論によって)。
【0043】 本発明はさらに、機能的な生物学的活性を有する(すなわち、全長の野生型C
D24*、Set*、GluT1*、または115392*に関連する、1つ以上の
公知の機能活性を提示し得る)CD24*、Set*、GluT1*、および11 5392*誘導体およびアナログに関する。このような機能的な生物学的活性と しては、(i)RBと複合体を形成する能力;(ii)抗原性(すなわち、抗C
D24*、抗Set*、抗GluT1*、または抗115392*抗体に対する結合
に関して、それぞれ、CD24*、Set*、GluT1*、または115392* と結合するか、または競合する能力);(iii)免疫原性(すなわち、それぞ
れCD24*、Set*、GluT1*、または115392*に結合する抗体を生
成する能力)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】 異常なレベルのRB・RB−IP複合体、またはCD24*、Set*、Glu
T1*、または115392*の複合体に関連する疾患および障害についての診断
、予後、およびスクリーニングの方法もまた、本発明において開示される。さら
に、本発明は、異常なレベルのRB・RB−IP複合体、またはCD24*、S et*、GluT1*、もしくは115392*、あるいはRB・RB−IP複合 体、CD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*、またはRB・
RB−IP複合体形成または活性のモジュレーター、結合親和性を増加もしくは
減少するRBまたはRB−IPの変異体、複合体形成の低分子インヒビター/エ
ンハンサー、複合体を安定化するかまたは中和させるかのいずれかである抗体な
どの投与による複合体の1つ以上の成分の異常なレベルの活性に関連する疾患ま
たは障害の処置または予防の方法を提供する。
【0045】 RB・RB−IP複合体、CD24*、Set*、GluT1*、または115 392*を、治療剤または診断剤としての活性についてアッセイする方法、なら びにRB・RB−IP複合体、CD24*、Set*、GluT1*、または11 5392*モジュレーター(すなわち、インヒビター、アゴニストおよびアンタ ゴニスト)をスクリーニングする方法もまた、本明細書中に開示される。
【0046】 限定のためではなく開示を明確にするために、以下の発明の詳細な説明は、以
下の種々の小節に分けられる。
【0047】 (I RB−IP複合体、ならびにCD24*、Set*、GluT1*、お よび115392*タンパク質、誘導体、およびアナログ) 本発明は、RB・RB−IP複合体、および特定の局面において、RBおよび
RN−tre、RBおよびCAS、RBおよびIP−30、RBおよびL6、R
BおよびIK、RBおよびLDH−B、RBおよびNlkl(Nek2)、RB
およびシクロフィリンA、RBおよびZap3、RBおよび17β−HSD6、
RBおよびCD24*、RBおよびSet*、RBおよびGluT*、ならびにR Bおよび115392*、の複合体を開示する。本発明の好ましい実施態様にお いて、RB・RB−IP複合体は、ヒトタンパク質の複合体である。本発明はま
た、RB−IPと、RBの誘導体(フラグメントを含む)およびアナログとの複
合体、RB−IPの誘導体(フラグメントを含む)およびアナログと、RBとの
複合体、ならびにRB−IPの誘導体(フラグメントを含む)およびアナログと
、RBの誘導体(フラグメントを含む)およびアナログとの複合体を開示する。
本明細書中で利用される場合、RB・RB−IP複合体のフラグメント、誘導体
、またはアナログは、その複合体の一方または両方のメンバーが、野生型RBタ
ンパク質またはRB−IPタンパク質のフラグメント、誘導体またはアナログで
ある複合体を包含する。好ましくは、その複合体の一方または両方のメンバーが
野生型タンパク質のフラグメント、誘導体、またはアナログであるRB・RB−
IP複合体は、機能的な生物学的活性であるRB・RB−IP複合体である。特
定の実施態様において、RBおよび/またはRB−IPのネイティブタンパク質
、誘導体またはアナログは、動物、または植物供給源由来である。本明細書にお
いて利用される場合、「機能的な生物学的活性なRB・RB−IP複合体」とは
、(i)生理学的プロセス(例えば、細胞周期の制御、細胞分化およびアポトー
シス);(ii)ウイルス感染に対する応答;(iii)細胞間のシグナル伝達
;(iv)転写制御;ならびに(v)病態生理学的プロセス(例えば、腫瘍形成
および腫瘍拡大を含む過増殖性障害、神経変性疾患を含む変性障害、ウイルス感
染)を含むがこれらに限定されない、全長の野生型RB−IP(例えば、RN−
tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)
、シクロフィリンA、Zap3、17β−HSD6、CD24*、Set*、Gl
uT1*、または115392*)と全長の野生型RBとの複合体の1つ以上の公
知の機能的特性を提示するこれらの分子をいう。
【0048】 従って、本発明は、RB・RB−IP複合体、特に、RN−tre、CAS、
IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリン
A、Zap3、17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、または 115392*とRBとの複合体、ならびにCD24*、Set*、GluT1*
および115392*タンパク質、ならびにRB・RB−IP複合体、およびC D24*、Set*、GluT1*および115392*タンパク質の誘導体および
アナログを、細胞機能、特に、RBおよび/またはRB−IPが関係しているそ
れらの細胞機能を変更する能力についてスクリーニングするための方法を提供す
る。これらの機能は、以下を含むがこれらに限定されない:(i)生理学的プロ
セス(例えば、細胞周期の制御、細胞分化およびアポトーシス);(ii)ウイ
ルス感染に対する応答;(iii)細胞間のシグナル伝達;(iv)転写制御;
ならびに(v)病態生理学的プロセス(例えば、腫瘍形成および腫瘍拡大を含む
過増殖性障害、神経変性疾患を含む変性障害、ウイルス感染)、抗RB/RB−
IP複合体抗体に対する結合;ならびに当該分野で公知の種々の他の活性。例え
ば、所望の免疫原性または抗原性を有するこのような誘導体またはアナログは、
イムノアッセイにおいて、免疫のため、RB・RB−IP複合体活性の阻害のた
めなどに利用され得る。目的の特定の特性(例えば、RB・RB−IP複合体へ
の関与)を保持または増強、あるいは欠損または阻害する、誘導体またはアナロ
グは、このような特性およびその生理的相関の、インデューサーまたはインヒビ
ターとして、それぞれ利用され得る。本発明の他の特定の実施態様は、抗RB抗
体および/もしくは抗RB−IP抗体、またはRB・RB−IP複合体に特異的
な抗体によって結合され得る、RBのフラグメントおよび/またはRB−IPの
フラグメントのRB・RB−IP複合体に関する(このようなフラグメントが、
所定のRB・RB−IP複合体に含まれる場合)。
【0049】 RB・RB−IP複合体のフラグメント、および他の誘導体またはアナログは
、以下の(VI)節に記載されるアッセイを含むがそれらに限定されない当該分
野で周知の手順によって、所望の活性について試験され得る。
【0050】 特定の実施態様において、本発明は、この複合体の一方または両方のメンバー
のフラグメントを含むRB・RB−IP複合体を提供する。好ましい実施態様に
おいて、これらのフラグメントは、以下のフラグメントからなるが、これらに限
定されない:改良され、改変された酵母ツーハイブリッドアッセイにおいてRB
と相互作用するとして同定された、RN−tre、CAS、IP−30、L6、
IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17
β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、または115392*。これ
ら上述のフラグメントは、以下を含むがこれらに限定されない:RN−treの
アミノ酸残基758〜827;CASのアミノ酸残基714〜971;IP−3
0のアミノ酸残基142〜303および146〜303;L6のアミノ酸残基6
4〜288;IKのアミノ酸残基1〜162;LDH−Bのアミノ酸残基265
〜334;Nlkl(Nek2)のアミノ酸残基319〜445;シクロフィリ
ンAのアミノ酸残基1〜165;Zap3のアミノ酸残基296〜331;17
β−HSD6のアミノ酸残基1〜317;図2(配列番号6)に示されるCD2
*のアミノ酸残基1〜64;図4(配列番号8)に示されるSet*のアミノ酸
残基105〜116;図6(配列番号11)に示されるGluT1*のアミノ酸 残基297〜316、および図7(配列番号13)に示される115392*の アミノ酸残基33〜158。さらに、RB/RB−IP複合体アッセイのいずれ
かのメンバーの、上述のアミノ酸残基のいくつかまたは全てが欠失しているフラ
グメントを含む、フラグメントまたはタンパク質もまた、提供される。さらに、
前述のフラグメントをコードする核酸もまた、本明細書中に開示される。
【0051】 本発明はさらに、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*
ンパク質、ならびにCD24*、Set*、GluT1*、および115392*
ンパク質の誘導体およびホモログおよびパラログに関する。本発明の1つの実施
態様において、ヒトCD24*、Set*、GluT1*、および115392*
伝子およびタンパク質が開示される。特定の実施態様おいて、CD24*、Se t*、GluT1*、または115392*のネイティブタンパク質、フラグメン ト、誘導体またはアナログは、動物由来(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ
、イヌ、サル、ヒト、ハエ、もしくはカエル)、または植物由来である。他の特
定の実施態様において、このフラグメント、誘導体またはアナログは、機能的な
生物学的活性(すなわち、全長の野生型CD24*、Set*、GluT1*、ま たは115392*に関連する1つ以上の機能的活性(例えば、RBへの結合能 、免疫原性または抗原性)を示し得る)を有する。
【0052】 ヒトRB、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、N
lkl(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17β−HSD6、CD2
4、Set、GluT1、およびクローン115392をコードするヌクレオチ
ド配列は、公知である(それぞれ、GenBank登録番号M28419;Ge
nBank登録番号D13644;GenBank登録番号U33286;Ge
nBank登録番号J03909;GenBank登録番号X69391;Ge
nBank登録番号S74221;GenBank登録番号Y00711;Ge
nBank登録番号U11050;GenBank登録番号Y00052;Ge
nBank登録番号L40403;GenBank登録番号AF016509;
GenBank登録番号L33930;GenBank登録番号M93651;
GenBank登録番号D26443;およびGenBank登録番号L435
78)。CD24、Set、GluT1、およびクローン115392をコード
するヌクレオチド配列は、それぞれ、図1、3、5、および7(配列番号1、6
、9、および12)において提供される。RB、RN−tre、CAS、IP−
30、L6、IK、LDH−B、Nlkl(Nek2)、シクロフィリンA、Z
ap3、17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、またはクロー ン115392*をコードする核酸は、当該分野で公知の任意の方法(例えば、 その配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズし得る合成プライマーを用
いるPCR増幅によるか、および/またはこの遺伝子配列について特異的なオリ
ゴヌクレオチドを用いるcDNAもしくはゲノムライブラリーからのクローニン
グによる)によって容易に入手され得ることに注意すべきである。これらの前述
の方法論は、以下の(II)節において十分に記載される。
【0053】 ホモログ(すなわち、ヒト以外の種の、RB、RN−tre、CAS、IP−
30、L6、IK、LDH−B、Nlkl(Nek2)、シクロフィリンA、Z
ap3、17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、または115 392*をコードする核酸)、または他の関連配列(例えば、パラログ)は、特 定のヒト配列の全てまたは一部をプローブとして用いて、核酸ハイブリダイゼー
ションおよびクローニングについて当該分野で周知の方法を用いて、低度、中程
度、または高度なストリンジェンシーハイブリダイゼーションによって入手され
得る(例えば、(II)節において、CD24*、Set*、GluT1*、およ び115392*配列について記載されるように)。
【0054】 同様に、RB、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B
、Nlkl(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17β−HSD6、C
D24*、Set*、GluT1*、または115392*タンパク質は、単独また
は複合体内のいずれかで、タンパク質精製および組換えタンパク質発現について
当該分野で周知の方法により入手され得る。例えば、このタンパク質の1つ以上
の組換え発現について、このタンパク質をコードするヌクレオチド配列のすべて
または一部を含む核酸が、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたタンパク
質コード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)に挿
入され得る。さらに、この必要な転写シグナルおよび翻訳シグナルはまた、RB
または任意のRB−IP遺伝子、および/またはこれらの隣接領域についてのネ
イティブプロモーターによって供給され得る。
【0055】 種々の宿主ベクター系が、タンパク質コード配列を発現させるために利用され
得る。これらの宿主ベクター系としては、以下が挙げられるがこれらに限定され
ない:ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)に感染し
た哺乳動物細胞系;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞
系;酵母ベクターを含む酵母のような微生物;またはバクテリオファージ、DN
A、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAで形質転換した細菌。ベクター
の発現エレメントは、これら全体の強度および特異性において変化する。利用さ
れる宿主−ベクター系に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレ
メントのいずれか一つが使用され得る。
【0056】 本発明の好ましい実施態様において、RB・RB−IP複合体は、同一細胞内
で、RB配列全体およびRB−IPをコードする配列を、同一のプロモーターま
たは2つの別個のプロモーターのいずれかの制御下で発現させることによって得
られる。さらに別の実施態様において、RBの誘導体、フラグメントもしくはホ
モログ、および/またはRB−IPの誘導体、フラグメントもしくはホモログが
、組換え発現される。好ましくは、RBの誘導体、フラグメントもしくはホモロ
グ、および/またはRB−IPタンパク質は、結合アッセイ(例えば、改変され
た酵母ツーハイブリッド系)によって同定された結合パートナーと複合体を形成
し、そしてより好ましくは、抗RB・RB−IP複合体抗体と結合する複合体を
形成する。
【0057】 ベクター中へのDNAフラグメントの挿入に関して記載される任意の方法を使
用して、適切な転写/翻訳制御シグナルおよびタンパク質コード配列からなるキ
メラ遺伝子を含む発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、インビト
ロ組換えDNAおよび合成技術、ならびにインビボ組換え技術(遺伝子組換え)
が挙げられ得る。RBおよびRB−IP、またはこれらの誘導体、フラグメント
、もしくはホモログをコードするヌクレオチド配列の発現はまた、それらの遺伝
子またはこのフラグメントが組換えDNA分子で形質転換された宿主において発
現されるように、第2のヌクレオチド配列によって調節され得る。例えば、この
タンパク質の発現は、当該分野で公知の任意のプロモーター/エンハンサーによ
って制御され得る。本発明の特定の実施態様において、利用されるプロモーター
は、RBまたは特定のRB−IPに対する遺伝子についてネイティブではない(
すなわち、野生型プロモーターではない)。利用され得るプロモーターは、以下
を含むがこれらに限定されない:(i)SV40初期プロモーター(例えば、B
ernoistおよびChambon、1981、Nature 290:30
4〜310を参照のこと);(ii)ラウス肉腫ウイルスの3’末端の長末端反
復内に含まれるプロモーター(例えば、Yamamotoら、1980、Cel
l 22:787〜797を参照のこと);(iii)ヘルペスウイルスチミジ
ンキナーゼプロモーター(例えば、Wagnerら、1981、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 78:1441〜1445を参照のこと);
(iv)メタロチオネイン遺伝子の調節配列(例えば、Brinsterら、1
982、Nature 296:39〜42を参照のこと);(v)原核生物発
現ベクター(例えば、Villa−Kamaroffら、1978、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 75:3727〜3731を参照のこと
)、または(vi)tacプロモーター(例えば、DeBoerら、1983、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21〜25を参照のこ
と)。
【0058】 さらに、組織特異性を示し、そしてトランスジェニック動物において利用され
ている動物の転写制御領域もまた、利用され得る。これらの転写制御領域として
は、以下が挙げられるがこれらに限定されない:(i)膵臓腺房細胞内で活性で
あるエラスターゼI遺伝子制御領域(例えば、Swiftら、1984、Cel
l 38:639〜646を参照のこと);(ii)膵臓β細胞内で活性である
インスリン遺伝子制御領域(例えば、Hanahanら、1985、Natur
e 315:115〜122を参照のこと);(iii)リンパ細胞内で活性で
ある免疫グロブリン遺伝子制御領域(例えば、Alexanderら、1987
、Mol.Cell.Biol.7:1436〜1444を参照のこと);(i
v)精巣、乳房、リンパ細胞およびマスト細胞内で活性であるマウス乳腺腫瘍ウ
イルス制御領域(例えば、Lederら、1986 Cell 45:485〜
495を参照のこと);(v)肝臓内で活性であるα−フェトプロテイン遺伝子
制御領域(例えば、Krumlaufら、1985、Mol.Cell.Bio
l.5:1639−1648を参照のこと);(vi)骨髄細胞内で活性である
β−グロビン遺伝子制御領域(例えば、Kolliasら、1986、Cell 46:89〜94を参照のこと);(vii)骨格筋内で活性であるミオシン
軽鎖−2遺伝子制御領域(例えば、Sani、1985、Nature 314
:283〜286を参照のこと)、ならびに(viii)視床下部の性腺刺激細
胞で活性である性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子領域(例えば、Mason
ら、1986、Science 234:1372〜1378を参照のこと)。
【0059】 本発明の特定の実施態様において、以下を含むベクターが使用される:(i)
RBおよび/またはRB−IP(例えば、RN−tre、CAS、IP−30、
L6、IK、LDH−B、Nlkl(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3
、17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、または115392* )、あるいはこれらのフラグメント、誘導体またはホモログをコードするヌクレ
オチド配列に作動可能に連結されたプロモーター;(ii)1つ以上の複製起点
、および必要に応じて(iii)1つ以上の選択マーカー(例えば、抗生物質耐
性遺伝子)。好ましい実施態様において、RBおよびRB−IPの両方をコード
するヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター、1つ以上の複製起
点、および必要に応じて1つ以上の選択マーカーを含むベクターが利用される。
【0060】 本発明の別の特定の実施態様において、RBおよびRB−IP(例えば、RN
−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlkl(Nek2
)、シクロフィリンA、Zap3、17β−HSD6、CD24*、Set*、G
luT1*、または115392*)のコード配列(またはその部分)を一緒にか
別々にかのいずれかで含む発現ベクターは、まず、3つの利用可能なpGEXベ
クター(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ発現ベクター;Promega Corp.;Madison,WI.;Johnson、1988、Gene 7:31〜40もまた参照のこと)の各々のEcoRI制限部位に、これらの
遺伝子配列をサブクローニングすることによって構築されるが、限定ではなく、
例示のために行われる。この上述のクローニング系は、正確なリーディングフレ
ームにおいて、選択された遺伝子産物の発現を可能にする。
【0061】 目的の配列を含む発現ベクターは、3つの一般的な方法論によって同定され得
る:(i)核酸ハイブリダイゼーションによって;(ii)「マーカー」遺伝子
機能の存在または非存在によって、および/または(iii)挿入された配列の
発現によって。第1の方法論において、RB、RN−tre、CAS、IP−3
0、L6、IK、LDH−B、Nlkl(Nek2)、シクロフィリンA、Za
p3、17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、および1153 92*、または他のRB−IP配列は、挿入配列と相同なおよび相補的な配列を 含むプローブに対する核酸ハイブリダイゼーションによって検出され得る。第2
の方法論において、組換えベクター/宿主系は、ベクターへの目的の配列の挿入
によって生じた特定の「マーカー」機能(例えば、抗RB、抗RB−IP、また
は抗RB・RB−IP複合体抗体に対する結合、抗生物質に対する耐性、バキュ
ロウイルス内への封入体形成など)の存在または非存在に基づいて同定および選
択され得る。例えば、RBもしくはRB−IP遺伝子、またはこれらの一部がベ
クターのマーカー遺伝子配列内に挿入される場合、RBまたはRB−IPフラグ
メントを含む組換え体は、マーカー遺伝子機能の非存在によって同定される。第
3の方法論において、組換え発現ベクターは、組換えベクターによって発現され
るRB、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk
l(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17β−HSD6、CD24* 、Set*、GluT1*、および115392*、または他のRB−IP産物に ついてアッセイすることによって同定され得る。このようなアッセイは、例えば
、インビトロアッセイ系において相互作用する種の物理的または機能的特性(例
えば、RB・RB−IP複合体の形成またはこのタンパク質に特異的な抗体に対
する免疫反応性)に基づき得る。
【0062】 引き続き、一旦、組換えRB、RN−tre、CAS、IP−30、L6、I
K、LDH−B、Nlk1(Nek 2)、シクロフィリン A、Zap 3,
17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*および115392*また
は他のRB−IP分子が同定され、そしてその複合体または個々のタンパク質が
単離されると、当該分野で周知の種々の方法がそれらを増殖するために用いられ
得る。さらに、適切な宿主系および増殖条件が確立されると、次いで、組換え発
現ベクターが大量に増殖および増幅され得る。以前に議論したように、使用され
得る発現ベクターまたはその誘導体は以下を含むがそれらに限定されない:ヒト
または動物のウイルス;昆虫ウイルス;酵母ベクター;バクテリオファージベク
ターならびにプラスミドベクターおよびコスミドベクター。
【0063】 さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または所望された特定の様式で
発現されたタンパク質を改変もしくはプロセシングする宿主細胞株が選択され得
る。特定のプロモーターからの発現は、特定のインデューサーの存在下で増強さ
れ得;従って、遺伝子操作されたRBおよび/またはRB−IPの発現は制御さ
れ得る。さらに、異なる宿主細胞は、タンパク質の、翻訳および翻訳後のプロセ
シングならびに改変についての特徴および特定の機構(例えば、グリコシル化、
リン酸化など)を有する。外来タンパク質の所望される改変およびプロセシング
の達成を確実にするために適切な細胞株または宿主系が選択され得る。例えば、
細菌系内での発現は、グリコシル化されていないコアタンパク質を生成するのに
使用され得るが、哺乳動物細胞内での発現は、異種タンパク質の「ネイティブな
」グリコシル化を確実にする。さらに異なるベクター/宿種発現系は、異なる程
度にプロセシング反応に影響し得る。
【0064】 他の特定の実施態様において,RBおよび/またはRB−IP(またはそのフ
ラグメント、相同体もしくは誘導体)は、異なるタンパク質の異種タンパク質配
列に対してペプチド結合を介して結合されたタンパク質、フラグメント、相同体
または誘導体を含む融合体またはキメラタンパク質産物として発現され得る。こ
のようなキメラ産物は、当該分野で公知の方法により、所望のアミノ酸をコード
する適切な核酸配列を互いに適切なコードフレームで連結すること、および当該
分野で通常、公知の方法によって適切な宿主においてそのキメラ産物を発現させ
ることによって産生され得る。あるいは、このようなキメラ産物は、タンパク質
合成技術によって作製され得る(例えば、ペプチド合成機の使用による)。任意
の異種タンパク質コード配列に融合したRBおよび/またはRB−IP、または
CD24*、Set*、GluT1*あるいは115392*の部分を含むキメラ 遺伝子が構築され得る。本発明の特定の実施態様は、少なくとも6アミノ酸残基
長の、RBおよび/またはRB−IP、またはCD24*、Set*、GluT1 * あるいは115392*のフラグメントを含むキメラタンパク質を開示する。
本発明の別の特定の実施態様において、RBタンパク質およびRB−IP(例え
ばRN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(N
ek 2)、シクロフィリン A、Zap 3,17β−HSD6、CD24* 、Set*、GluT1*および115392*)の相互作用ドメインを保有する か、および/または必要に応じて異種機能性試薬(例えば、2つのドメインの間
のペプチドリンカー)を保有する融合タンパク質が開示される。ここでこのよう
な試薬は、RBおよびRB−IPのそれぞれの結合ドメインの相互作用を促進す
る。これらの融合タンパク質は、その相互作用の安定性が、分子内反応としての
その複合体の形成に起因して所望される場合(例えば、RB・RB−IP複合体
に特異的な抗体の産生において)特に有用であり得る。
【0065】 より詳細には、RBおよび/またはRB−IPまたはCD24*、Set*、G
luT1*もしくは115392*の誘導体は、機能的に等価な分子を提供する置
換、付加および/または欠失により、そのそれぞれの配列を変化することにより
生成され得る。ヌクレオチドコード配列の縮重性により、RB遺伝子またはRB
−IP遺伝子と実質的に同一のアミノ酸配列をコードする他のDNA配列は、本
発明の実施において用いられ得る。これらとしては、RB、RN−tre、CA
S、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek 2)、シクロフ
ィリン A、Zap 3,17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1 * および115392*の遺伝子のすべてまたは部分を含むヌクレオチド配列が挙
げられるがこれらに限定されない。これらの遺伝子は、配列中の同じアミノ酸残
基をコードする異なるコドンの置換により変化され、従って「サイレントな」変
化を生じる。
【0066】 同様に、本発明のRBおよびRB−IP誘導体としては、(一次アミノ酸配列
として)RBまたはRB−IPのアミノ酸配列のすべてまたは一部を含む誘導体
が挙げられるがこれらに限定されない。この配列は、機能的に等価なアミノ酸残
基がサイレントな変更を生じる配列内の残基と置換される変化した配列を含む。
例えば、配列内の1つ以上のアミノ酸残基が、機能的に等価に作用し、サイレン
トな変化を生じる類似の極性の別のアミノ酸により置換され得る。配列内のアミ
ノ酸の置換物は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択され得る
【0067】 本発明の特定の実施態様において、RBまたはRB−IPの少なくとも6つの
(連続する)アミノ酸残基からなる、RBまたはRB−IPのフラグメントから
なるか、またはこれらを含有するタンパク質をコードする核酸およびタンパク質
が、開示される。他の特定の実施態様において、上記のアミノ酸フラグメントは
、RBまたはRB−IPの少なくとも10、20、30、40、50、100ま
たは200アミノ酸からなる。RBおよびRB−IPの誘導体またはアナログと
しては、前出、第(I)節で記載したように、当該分野において公知のコンピュ
ータホモロジープログラムによって行われるアラインメントにおいて整列される
配列と比較する場合、同一のサイズのアミノ酸配列にわたって、少なくとも30
%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%のアミノ酸
配列同一性の、種々の実施態様におけるRBまたはRB−IPに実質的に相同な
領域を含む分子、あるいはコードする核酸がストリンジェントか、中程度にスト
リンジェントか、またはストリンジェントではない条件下において、RBまたは
RB−IPをコードする配列の相補体(例えば、逆相補体)とハイブリダイズし
得る分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】 本発明のRB、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B
、Nlk1(Nek 2)、シクロフィリン A、Zap 3,17β−HSD
6、CD24*、Set*、GluT1*および115392*の誘導体およびアナ
ログは、当該分野において公知の種々の方法論によって生成され得る。これらを
産生するこの操作は、遺伝子またはタンパク質のレベルで生じ得る。例えば、ク
ローン化されたRBおよびRB−IPの遺伝子配列は、当該分野において公知の
多くの戦略のいずれかによって改変され得る。例えば、Sambrookら、1
989.Molecular Cloning、A Laboratory M
anual、第2版、Cold Spring Harbor Laborat
ory Press、Cold Spring Harbor、New Yor
kを参照のこと。例えば、目的の配列は、インビトロで、制限エンドヌクレアー
ゼを用いて適切な部位にて切断され得、次に、所望される場合は、さらに酵素修
飾され、単離され連結され得る。しかし、RBまたはRB−IPの誘導体または
アナログをコードする遺伝子の産生において、改変された遺伝子が、所望の活性
がコードされる遺伝子領域内に、元々の翻訳リーディングフレーム(翻訳停止シ
グナルによって途切れない)を保持することを確認することに注意を払うべきで
あるということに注目すべきである。
【0069】 さらに、RBおよび/またはRB−IPをコードする核酸配列は、インビトロ
またはインビボにおいて変異誘発され得、翻訳配列、開始配列、および/または
終結配列を、生成および/または破壊し得るか、あるいはコード領域において改
変を生じるかおよび/または新規の制限エンドヌクレアーゼ部位を形成し得るか
、または以前に存在する部位を破壊し得、さらにインビトロの改変を促進し得る
。化学変異誘発およびインビトロ部位特異的変異誘発(例えば、Huntchi
nsonら、1978.J.Biol.Chem.253:6551〜6558
を参照のこと)、TABTMリンカー(Pharmacia、Upsala、Sw
aden)の使用などを含むが、これらに限定されない、当該分野において公知
の変異誘発の任意の技術が使用され得る。
【0070】 続いて、一旦、RBおよび/またはRB−IPタンパク質、あるいは、そのフ
ラグメントまたは誘導体を発現する組換え細胞が同定されると、個々の遺伝子産
物または複合体は、単離されそして分析され得る。このことは、タンパク質また
は複合体の物理的および/または機能的特性に基づくアッセイ(産物の放射性標
識後に、ゲル電気泳動、免疫アッセイ、マーカー標識産物との架橋などによる分
析を含むがこれに限定されない)によって達成される。
【0071】 RB・RB−IP複合体、ならびにCD24*、Set*、GluT1*および 115392*のタンパク質は、当該分野において公知の標準的な方法によって (天然の供給源または複合体もしくはタンパク質を発現する組換え宿主細胞のい
ずれかから)単離および精製され得る。この方法は、(i)カラムクロマトグラ
フィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、ゲル濾過、逆相、高圧、高速タ
ンパク質液体など);(ii)差示的遠心分離;(iii)差示的溶解度、また
は(iv)タンパク質精製について使用される任意のタンパク質の他の標準的技
術を含むが、これらに限定されない。機能的な特性は、当該分野で公知の任意の
適切なアッセイを用いて評価され得る。
【0072】 あるいは、一旦、RB−IPまたはその誘導体が同定されると、タンパク質の
アミノ酸配列は、タンパク質がコードされるキメラ遺伝子の核酸配列より推定さ
れ得る。その結果、タンパク質(またはその誘導体)は、当該分野において公知
の標準的な化学的方法論によって合成され得る。例えば、Hunkapille
rら、1984.Nature 310:105〜111を参照のこと。
【0073】 本発明の特定の実施態様において、そのようなRB・RB−IP複合体、なら
びにCD24*、Set*、GluT1*および115392*のタンパク質は、組
換えDNA技術か、化学的合成方法によって生成されるか、あるいは天然の供給
源からの精製によって生成されるかにかかわらず、一次アミノ酸配列としてアミ
ノ酸配列の全部または一部、ならびにそのフラグメント、および他のアナログ、
および誘導体(それに対するタンパク質ホモログを含む)を含むものを含むがこ
れらに限定されない。
【0074】 RB配列および/またはRB−IP配列の操作は、タンパク質レベルにおいて
行われ得る。本発明の範囲に包含されるものは、RBもしくはRB−IPフラグ
メントの誘導体、または複合体、CD24*、Set*、GluT1*および11 5392*の誘導体またはアナログ、ならびに翻訳の間または翻訳後に差示的に 改変されるRB,RB−IP、CD24*、Set*、GluT1*および115 392*のフラグメント、誘導体およびアナログ、(例えば、グリコシル化、ア セチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化
、タンパク質分解性分解、抗体分子または他の細胞性リガンドとの連結などによ
る)である。さらに、任意の多くの化学的改変が、ブロモシアン、トリプシン、
キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼによる特異的化学的切断、NaB
4、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元、ツニカマイシンの存在下の合成な どが挙げられるが、これらに限定されない周知の技術によりまた実施され得る。
【0075】 本発明の特定の実施態様において、RB配列および/またはRB−IP配列が
改変され、蛍光標識を含む。別の特定の実施態様において、RBおよび/または
RB−IPが、異種機能性試薬の取り込みによって改変され、ここでそのような
異種機能性試薬を利用して、このタンパク質と複合体の他のメンバーまたは他の
RP−IPを架橋し得る。さらに、RBおよび/またはRB−IPのアナログお
よび誘導体またはCD24*、Set*、GluT1*もしくは115392*のア
ナログおよび誘導体は、ペプチド合成機の使用により化学的に合成され得る。さ
らに、所望の場合、非クラシカルなアミノ酸または化学的アミノ酸アナログは、
RBおよび/またはRB−IPへの置換または付加として導入され得る。
【0076】 天然の産物が変異体であるか、または新種から単離されたと疑われる場合、R
B、または天然の供給源から単離されたRB−IP、ならびにインビトロで発現
されたそれらタンパク質、あるいはインビボまたはインビトロにおいて合成され
た発現ベクター由来のアミノ酸配列は、DNA配列の解析によって決定され得る
か、あるいは、単離されたタンパク質の直接配列決定によって決定され得る。こ
のような分析は、手動の配列決定によりまたは自動アミノ酸シーケンサー(シー
クエネーター)の使用を通じて実施され得る。RB・RB−IP複合体、または
CD24*、Set*、GluT1*もしくは115392*のタンパク質はまた、
親水性分析によって分析され得る。例えば、HoppおよびWoods、198
1.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:3824〜382
8を参照のこと。二次構造分析はまた、RBおよび/またはRB−IPの特定の
領域の同定を容易にするために行われ得、これは特定の構造モチーフを推定する
。例えば、ChouおよびFasman、1974.Biochemistry 13:222〜223を参照のこと。コンピュータソフトウェアプログラム(
当該分野において利用可能な)はまた、操作、翻訳、二次構造予測、親水性およ
び疎水性プロフィール、オープンリーディングフレーム予測およびプロッティン
グ、ならびに配列相同性の決定を含むがこれらに限定されない種々の分析におい
て利用され得る。X線結晶解析(例えば、Engstrom、1974.Bio
chem.Exp.Biol.11:7〜13を参照のこと);質量分析法およ
びガスクロマトグラフィー(例えば、Methods in Protein
Science、1997.J.Wiley and Sons、New Yo
rk、を参照のこと)ならびにコンピュータモデリング(例えば、Flette
rickおよびZoller編、1986.Computer Graphic
s and Molecular Modeling、Current Com
munications in Molecular Biology、Col
d Spring Harbor Laboratory、Cold Spri
ng Harbor Press、New Yorkを参照のこと)が含まれる
がこれらに限定されない他の構造解析の方法もまた使用され得る。
【0077】 (II)CD24*、Set*、GluT1*および115392*の遺伝子の同
定および単離 本発明は、CD24*、Set*、GluT1*および115392*をコードす
るヌクレオチド配列を開示する。特定の実施態様において、CD24*、Set* 、GluT1*および115392*の核酸は、配列番号4,7,10および12
にそれぞれ記載される配列、もしくはその部分、またはCD24*、Set*、G
luT1*もしくは115392*のタンパク質の全体もしくは一部(例えば、配
列番号5,8,11または13、それぞれのアミノ酸配列またはその一部を含む
タンパク質)をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明はまた、CD24* 、Set*、GluT1*または115392*核酸配列の少なくとも6ヌクレオ チド(すなわち、ハイブリダイズ可能部分)を含む精製された核酸を開示する。
本発明の好ましい実施態様では、Set*またはGluT1*のヌクレオチド配列
の少なくとも6ヌクレオチドからなる核酸が、Set*およびGluT1*それぞ
れに特異的なスプライス接合部分にわたるそれらの配列から構成される(すなわ
ち、Set*およびGluT1*のmRNAをプロセシングするのに用いられるが
Set mRNAまたはGluT1 mRNAは接合されない5’および3’ス
プライシング部位の配列を含むSet*またはGlutT1*のヌクレオチド配列
の部分)。例として、ただし制限するものではないが、図4[配列番号7]に示
すのは、Set*ヌクレオチド配列のヌクレオチド番号212〜213で、また は図6[配列番号10]に示すのは、GluT1*ヌクレオチド配列のヌクレオ チド番号860〜861で、スプライシング部位の5’および3’の両方のヌク
レオチドからなる核酸配列である。他の実施態様では、この核酸は、CD24* 、Set*、GluT1*もしくは115392*の配列、またはCD24*、Se
*、GluT1*もしくは115392*の完全長コード配列の少なくとも25 の(連続の)ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌ
クレオチド、または200ヌクレオチドからなる。さらに別の実施態様において
、この核酸配列は、長さが35、200または500ヌクレオチドより短い。こ
の核酸配列は、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得る。
【0078】 本発明はまた、前記の配列にハイブリダイズし得るかまたは相補的な核酸に関
する。詳細には、本発明は、前記の配列にハイブリダイズし得る核酸に対する逆
相補体を提供する(すなわち、核酸鎖の逆相補体は、その鎖と逆方向に働く相補
配列を有し、その結果、逆相補体は、その核酸鎖に対して不適合なくハイブリダ
イズする;従って、例えば、コード鎖が、コード鎖とハイブリダイズ可能な鎖と
の間に不適合なく核酸とハイブリダイズ可能である場合、ハイブリダイズ可能な
鎖の逆相補体は、コード鎖と同一である)。本発明の特定の実施態様において、
CD24*、Set*、GluT1*または115392*の遺伝子の少なくとも1
0、25、50、100もしくは200ヌクレオチド、またはコード領域全体に
相補的な(特異的には逆相補な)配列を含む核酸が提供される。
【0079】 本発明の特定の実施態様では、低ストリンジェンシーな条件下で、CD24* 、Set*、GluT1*もしくは115392*核酸にハイブリダイズ可能な核 酸(例えば、配列番号4,7,10および12のそれぞれの配列を有する)、ま
たはCD24*、Set*、GluT1*もしくは115392*の誘導体をコード
する核酸にハイブリダイズ可能な核酸(または前記の相補体)が提供される。限
定ではなく例示の目的で、そのような低ストリンジェンシーの条件を使う手順は
、以下である。例えば、ShiloおよびWeinberg、1981.Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 78:6789〜6792を参照の
こと。DNAを含有するフィルターは、35%ホルムアミド、5× SSC、5
0mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%PVP
、0.1%Ficoll、1%BSA、および500μg/mlの変性サケ精子
DNAを含有する溶液中で40℃で6時間プレハイブリダイズされる。ハイブリ
ダイゼーションは、以下の改変で同じ溶液中で実行される:0.02% PVP
、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100μg/mlサケ精子DNA
、10%(重量/vol)硫酸デキストラン、および5〜20×106cpmの3 2 P−標識化プローブ。フィルターは、40℃で18〜20時間ハイブリダイゼ ーション混合物中でインキュベートされ、次いで、2×SSC、25mM Tr
is−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDSを含有
する溶液中で55℃で1.5時間、洗浄される。この洗浄液は、新鮮な溶液で置
換され、そして60℃でさらに1.5時間インキュベートされる。フィルターは
ブロットドライされそして、オートラジオグラフィーのためにX線フィルムに曝
露される。必要な場合、フィルターは、65℃〜68℃で3回目の洗浄をされ、
そしてX線フィルムに再度、曝露される。用いられ得る他の低ストリンジェンシ
ーの条件は、当該分野において周知である。
【0080】 別の特定の実施態様では、中度ストリンジェンシーな条件下で、CD24*、
Set*、GluT1*もしくは115392*核酸にハイブリダイズ可能な核酸 か、またはCD24*、Set*、GluT1*もしくは115392*の誘導体を
コードする核酸(または前記の相補体)にハイブリダイズ可能な核酸が提供され
る。例えば、限定するものではないが、そのような中度のストリンジェンシーの
条件を使う手順は、以下である:DNAを含有するフィルターは、6×SSC、
5×デンハード液(Denhardt’s solution)、0.5%SD
Sおよび100μg/mlの変性サケ精子DNAを含有する溶液中で55℃で6
時間、前処理される。ハイブリダイゼーションは、5〜20×106cpm32の P−標識化プローブを含む同じ溶液中で実行される。フィルターは、55℃で1
8〜20時間、ハイブリダイゼーション混合物中でインキュベートされ、次いで
、1×SSC、および0.1%SDSを含有する溶液中で60℃で30分間、2
回洗浄される。フィルターはブロットドライされそして、オートラジオグラフィ
ーのためにX線フィルムに曝露される。フィルターの洗浄は、2×SSC、およ
び0.1%SDSを含有する溶液中で、1時間37℃で行われる。用いられ得る
他の中度ストリンジェンシーの条件は、当該分野において周知である。
【0081】 別の特定の実施態様では、高ストリンジェンシーの条件下で、CD24*、S et*、GluT1*もしくは115392*核酸(または上記の相補体)にハイ ブリダイズ可能な核酸か、またはCD24*、Set*、GluT1*もしくは1 15392*の誘導体をコードする核酸にハイブリダイズ可能な核酸が提供され
る。限定ではなく例示の目的で、そのような高ストリンジェンシーの条件を使う
手順は、以下である。DNAを含有するフィルターのプレハイブリダイゼーショ
ンは、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM ED
TA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSA、および
500μg/mlの変性サケ精子DNAからなる緩衝液中で65℃で8時間から
一晩、実行される。フィルターは、100μg/mlの変性サケ精子DNAおよ
び5〜20×106cpmの32P−標識化プローブを含有するプレハイブリダイ ゼーション混合物中で65℃で48時間ハイブリダイズされる。フィルターの洗
浄は、2×SSC、0.01%PVP、0.01%Ficoll、および0.0
1%BSAを含有する溶液中で1時間、37℃で行われる。この後、オートラジ
オグラフィーの前に、45分間50℃で0.1×SSC中で洗浄される。用いら
れ得る他の高ストリンジェンシーの条件は、当該分野において周知である。
【0082】 CD24*、Set*、GluT1*または115392*のタンパク質(本章、
前出を参照のこと)の誘導体およびアナログをコードする核酸、ならびにCD2
*、Set*、GluT1*または115392*のアンチセンス核酸が、さらに
開示される。本明細書において利用される場合、容易に明白であるように、「C
D24*、Set*、GluT1*または115392*のフラグメントまたは部分
をコードする核酸」は、CD24*、Set*、GluT1*または115392* のタンパク質の列挙されたフラグメントまたは部分のみをコードする核酸をいい
、そして連続配列としてCD24*、Set*、GluT1*および115392* の他の連続部分はいわないとして、構成されるべきである。
【0083】 CD24、SetおよびGluT1のmRNAの3’非翻訳領域内の配列は、
酵母ツーハイブリッド系の改良改変型を用いて、RBと相互作用するタンパク質
をコードするとして同定された。本発明者らは、ヌクレオチド配列によりコード
される相互作用するタンパク質が、3’〜689塩基であるCD24のヌクレオ
チド配列、3’〜2076塩基であるSetのヌクレオチド配列、および3’〜
3408塩基であるGluT1のヌクレオチド配列の一部と同一であることを確
認した。
【0084】 ヌクレオチド配列内において、可能性のあるオープンリーディングフレームは
、公的に利用可能であるN.C.B.I.BLASTプログラム「ORFファイ
ンダー」を用いて同定され得る。すべての公知のタンパク質翻訳産物は、少なく
とも60アミノ酸またはそれより長いので(例えば、Creigton、199
2、Proteins 第2版、W.H.FreemanおよびCo.New
Yorkを参照のこと)、60アミノ酸以上のタンパク質を可能性としてコード
するそれらORFのみが考慮される。さらに、開始メチオニンコドン(ATG)
および翻訳停止コドン(TGA、TAAまたはTGA)が同定される場合、次い
でタンパク質の境界が定義される。他の可能性のあるタンパク質は、ヌクレオチ
ド配列の5’末端へ伸びる任意のオープンリーディングフレームを含み、この場
合、オープンリーディングフレームは、より長いタンパク質のC末端部分を推定
する。同様に、ヌクレオチド配列の3’末端へ伸びる任意のオープンリーディン
グフレームは、より長いタンパク質のN末端部分を推定する。この方法論は、C
D24および115392のヌクレオチド配列由来のCD24*(図1、配列番 号1)および115392*(図7;配列番号12)の相互作用をコードするオ ープンリーディングフレームを同定するために用いられた。
【0085】 RBと相互作用するとして同定されたCD24*、Set*、およびGluT1 * の部分をコードするヌクレオチド配列は、それぞれCD24、SetおよびG luT1をコードするヌクレオチド配列の翻訳停止コドンの3’である。このこ
とは、CD24*、Set*、およびGluT1*が、CD24、Set、および GluT1の公知のmRNAのプロセシングにおいて用いられるスプライシング
部位以外のスプライシング部位で、プロセスされてないCD24、Set、およ
びGluT1の遺伝子転写物のスプライシングにより生じるmRNAによりコー
ドされ得ることを示す。このSet*およびGluT1*配列を、SetおよびG
luT1配列中の選択的5’および3’スプライシング部位を同定することによ
り決定した。CD24配列中の選択的スプライシング部位は、検出されなかった
【0086】 タンパク質スプライシング改変体についての5’および3’スプライシング点
の決定は、当該分野において公知の任意の方法によって行われ得る。例えば、限
定ではないが例示の目的で、5’および3’スプライシング点は、以下の方法論
によって確認され得る: (1)可能性のある5’スプライシング部位が、公知のタンパク質(例えば、
SetおよびGluT1)のコード配列において同定され得る。5’スプライシ
ング部位の配列は、不変のGT配列をイントロンの開始部位に有し、そして残り
の塩基は不変ではないが、好ましいコンセンサス配列は、AG:GTAAGTで
あり、コロンはスプライシング点を示す(Padgettら、1984、Ann
.Rev.Biochem.55:1119〜1150を参照のこと)。可能性
のあるスプライシング部位は、このコンセンサス配列に適合し、他のコンセンサ
ス塩基において、不変のGTおよび4/6の適合を最小限必要とするいくつかの
残基の順で同定され得る。可能性のない5’スプライシング部位が同定される場
合、GT配列以外のコンセンサス塩基において必要な4/6の適合は、3/6の
適合に緩められる。
【0087】 (2)可能性のある3’イントロン:エクソンスプライシング部位はまた、P
adgettら(1984、Ann.Rev.Biochem.55:1119
〜1150)により記載されるコンセンサス分析に基づいて同定され得る。3’
イントロン:エクソンスプライシング部位は、スプライシング部位のすぐ5’側
にAG配列を有さなくてはならず(「AG:」と称する)、そしてAG:配列の
ちょうど5’の(先行する)塩基は、CまたはTでなければならない。次いで、
イントロンの最後のG塩基の5〜14ヌクレオチド5’のヌクレオチドは、せい
ぜい2つの非T、非C塩基を含み得るのみである。そのような可能性のある3’
イントロン:エクソンスプライシング部位を同定するために、可能性のある5’
スプライシング部位と検出された相互作用するタンパク質領域をコードするヌク
レオチド配列の開始部位との間の配列は、不変のAG:配列(不変領域に先行す
る塩基は、CまたはTでなければならない)についてスキャンニングされ得る。
次いで、可能性のある部位は、それらが、スプライシング部位から−5〜−14
の位置においてCまたはT塩基の少なくとも8/10の条件を満たすか否かを決
定するために試験される。
【0088】 (3)公知のタンパク質の翻訳フレームおよび各々の推定5’スプライシング
部位に基づき、成功するスプライシングのために適合可能な翻訳フレームが、可
能性のある3’スプライシング部位について規定される。ヌクレオチド配列は、
当該分野において利用可能な多数のヌクレオチド配列分析プログラム(例えば、
N.C.B.I.BLASTパッケージ(N.C.B.I.Bethesda,
MD)のORFファインダー)によって、分析され得、可能性のあるタンパク質
翻訳産物を規定する。3つの正方向翻訳フレームにおける翻訳は、可能性のある
オープンリーディングフレーム(終止コドンの存在を伴わない、アミノ酸のコド
ンの連続する範囲)を規定する。5’スプライシング接合部に必要な翻訳フレー
ムに適合する3’部位のみが、保持される。適合しない5’または3’スプライ
シング部位は、除去される。理想的な3’スプライシング部位の適合が見出され
ない場合、スプライシング部位の上流の3つの非C、非T塩基を含む部位が、次
に試験される。
【0089】 (4)各々の可能な5’:3’スプライシング部位の対について、哺乳動物の
分岐点コンセンサス配列についての検索が行われる(ReedおよびMania
tis、1988、Genes Dev.2:1268〜1276を参照のこと
)。分岐点を、コンセンサス配列T/CNCTGAC(規定する6塩基のうちの
5塩基が適合しなくてはならず、そしてコンセンサス配列は、3’スプライシン
グ部位の20〜60ヌクレオチド5’に存在しなくてはならない)によって同定
する。プレmRNAスプライシングのために絶対的に必要なわけではないが、コ
ンセンサス配列の存在は、スプライシング効率と関連する。従って、分岐点コン
センサス配列をともなう5’;3’スプライシング部位の対は、分岐点コンセン
サス配列を有さないスプライシング部位の対に対して、保存されている。残存す
るそれぞれの5’:3’スプライシング部位の対は、公知のタンパク質の新しい
スプライシング改変体を規定する。本明細書において、スプライシング改変体は
、公知のタンパク質の後に、*を続けて命名され、そして所定の遺伝子について 複数のスプライシング改変体が同定される場合、その名前に、*および数が続く 。
【0090】 (5)新規のスプライシング改変体タンパク質は、少なくとも60アミノ酸残
基をコードし、存在し得るインビボ産物を構成しなけらばならない。さらに、ス
プライシング改変体の3’末端は、当然、同定される相互作用配列中に伸長しな
けらばならない。
【0091】 SetおよびGluT1のスプライシング改変体(それぞれSet*およびG luT1*と名付けられ、そしてそれぞれ図4および6に示される)についての アミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、上記に記載のように、そして下記の特
定の実施例に例示されるようにin silicoで決定された。Set*につ いては、5’−スプライシング部位は、Setヌクレオチド配列のヌクレオチド
214〜221において同定され(図3におけるSetヌクレオチド配列上の「
B」によって示され、図3における吹き出し「B」において矢印によって示され
るヌクレオチド番号215である最初のエキソンの最後の塩基を有する)、そし
て3’−スプライシング部位は、Setヌクレオチド配列のヌクレオチド206
1〜2074において同定された(図3におけるSetヌクレオチド配列上の吹
き出し「E」によって示され、図3の吹き出し「E」の矢印によって示されるヌ
クレオチド番号2074である第2のエキソンの最初の塩基を有する)。Set * の翻訳停止コドンは、図3の吹き出し「E」として示されるSetヌクレオチ ド配列のヌクレオチド2211〜2213として同定された。Set*スプライ シングについての分岐点のコンセンサス領域は、図3(吹き出し「D」)に示す
ように、Setヌクレオチド配列のヌクレオチド2053〜2060において同
定された。この最終的なSet*のスプライシング改変体ヌクレオチド配列は、 図4(配列番号8)に示される。
【0092】 GluT1*については、5’−スプライシング部位は、図5(配列番号9) に示されるような、そして吹き出し「B」によって示されるようなGluT1配
列のヌクレオチド1037〜1044において同定され、図5(吹き出し「B」
)において矢印によって示されるように、ヌクレオチド番号1038である最初
のエキソンの最後の塩基を有し、そして3’−スプライシング配列は、図5(吹
き出し「E」)において示されるような、GluT1ヌクレオチド配列のヌクレ
オチド3366〜3380において同定され、図5(吹き出し「E」)において
矢印によって示されるように、ヌクレオチド番号3380である第2のエキソン
の最初の塩基を有した。この3’−スプライシング部位に関連する分岐点の部位
は、図5におけるGluT1配列のヌクレオチド3301〜3307にあり、か
つ吹き出し「D」として示され、そしてGluT1*についての翻訳停止コドン は、GluT1ヌクレオチド配列のヌクレオチド3488〜3470であり、図
5において吹き出し「H」として示される。
【0093】 当該分野で利用可能な任意の方法が、CD24*、Set*、GluT1*、ま たは115392*をコードする全長(すなわち、完全なコード領域を含む)c DNAクローンを得るために使用され得る。特に、ポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)が、cDNAライブラリーからin silicoで定義された配列を増幅
するために使用され得る。同定された配列の3’−末端および5’−末端におけ
る配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーは、適切な供給源(
例えば、改善され、改変された酵母のツーハイブリッドアッセイ融合集団につい
ての最初のcDNAライブラリーが由来したサンプル)からの核酸サンプル(c
DNAまたはDNA)、好ましくはcDNAライブラリー由来のPCR配列によ
って、増幅するためのプライマーとして使用され得る。
【0094】 PCRは、例えば、Perkin−Elmer Cetusサーマルサイクラ
ーおよびTaqポリメラーゼ(Gene AmpTM)の使用によって実行され得
る。増幅されるDNAは、任意の真核生物種由来のゲノムDNAまたはcDNA
配列を含み得る。PCR反応における使用のために、いくつかの異なる縮重プラ
イマーを合成することを選択し得る。既知のヌクレオチド配列と単離される核酸
ホモログとの間のヌクレオチド配列類似性のより高い程度またはより低い程度を
許容することによって、核酸ホモログを増幅するために(例えば、ヒト以外の種
由来のCD24*、Set*、GluT1*、または115392*配列を得るため
に、またはCD24*、Set*、GluT1*、または115392*に対する相
同性を有するヒト配列を得るために)、PCR反応の開始において使用されるハ
イブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変更することもまた、可能で
ある。交差種ハイブリダイゼーションのために、低いストリンジェンシー条件が
好ましい。同種ハイブリダイゼーションのために、中程度のストリンジェント条
件が好ましい。
【0095】 CD24*、Set*、GluT1*、または115392*配列のすべてまたは
一部を含む核酸の首尾よい増幅後、そのセグメントは、分子的にクローニングお
よび配列決定され得、そして完全cDNAまたはゲノムクローンを単離するため
のプローブとして利用され得る。これは、次には、以下に記載されるように、遺
伝子の完全なヌクレオチド配列の決定、その発現の分析、および機能的な分析の
ためのそのタンパク質産物の産生を可能にする。この様式において、CD24* 、Set*、GluT1*、または115392*遺伝子の完全ヌクレオチド配列 ならびにCD24*、Set*、GluT1*、または115392*タンパク質お
よびアナログをコードするさらなる遺伝子が、同定され得る。
【0096】 任意の真核生物細胞は、潜在的には、CD24*、Set*、GluT1*、ま たは115392*遺伝子の分子クローニングのための核酸供給源として働き得 る。この核酸は、脊椎動物(哺乳動物、ヒト、ブタ、ウシ、ネコ、トリ、ウマ、
イヌならびにさらなる霊長類の供給源を含む)、昆虫、植物などから単離され得
る。このDNAは、クローニングされたDNA(例えば、DNA「ライブラリー
」)から当該分野で公知の標準的な手順によって、化学合成によって、cDNA
クローニングによって、または所望の細胞から精製されたゲノムDNAもしくは
そのフラグメントのクローニングによって得られ得る(例えば、Sambroo
kら、1989、Molecular Cloning,A Laborato
ry Manual,第2版 Cold Spring Harbor Lab
oratory Press,Cold Spring Harbor,New York;Glover,D.M.(編)、1985、DNA Clonin
g:A Practical Approach,MRL Press,Ltd
.,Oxford,U.K.第I巻、第II巻)。このようなゲノムDNA由来
のクローンは、コード領域に加えて、調節性およびイントロン性のDNA領域を
含み得る;cDNA由来のクローンは、エキソン配列のみを含む。供給源が何で
あれ、この遺伝子は、遺伝子の増殖のために適切なベクター中に分子クローニン
グされるべきである。
【0097】 ゲノムDNA由来のこの遺伝子の分子クローニングにおいて、DNAフラグメ
ントが産生され、それらのいくつかは所望の遺伝子をコードする。このDNAは
、種々の制限酵素を使用して特定の部位で切断され得る。あるいは、マンガンの
存在下でDNaseを使用してDNAをフラグメント化し得るか、またはこのD
NAは物理的に切断され得る(例えば、超音波処理によって)。次いで、線状の
DNAフラグメントは、標準的な技術(アガロースおよび/またはポリアクリル
アミドゲル電気泳動、ならびにカラムクロマトグラフィーを含むがこれらに限定
されない)によって、サイズに従って分離され得る。
【0098】 一旦DNAフラグメントが生成されると、所望の遺伝子を含む特定のDNAフ
ラグメントの同定は、多数の方法で達成され得る。例えば、CD24*、Set* 、GluT1*、または115392*の(いずれかの種の)遺伝子(例えば、上
記のように得られたPCR増幅産物、または既知のヌクレオチド配列の一部の配
列を有するオリゴヌクレオチド)の一部、またはその特定のRNA、あるいはそ
のフラグメントは、精製および標識され得、そしてその生成されたDNAフラグ
メントは、標識されたプローブへの核酸ハイブリダイゼーションによってスクリ
ーニングされ得る(例えば、BentonおよびDavis、1977.Sci
ence 196:180〜182;GrunsteinおよびHogness
、1975.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.72:39
61〜3964を参照のこと)。プローブに対する実質的な相同性を有するこれ
らのDNAフラグメントは、ハイブリダイズする。制限酵素消化、および既知の
制限地図が利用可能な場合、これに従って期待されるサイズとのフラグメントサ
イズの比較によって、または、DNA配列分析およびCD24*、Set*、Gl
uT1*、もしくは115392*の既知のヌクレオチド配列との比較によって、
適切なフラグメントを同定することがまた、可能である。さらなる選択が、遺伝
子の特性に基づいて実行され得る。あるいは、遺伝子の存在は、その発現産物の
物理的、化学的、または免疫学的特性に基づくアッセイによって検出され得る。
例えば、cDNAクローン、または適切なmRNAにハイブリッドして選択する
DNAクローンが選択され得る。これらは、CD24*、Set*、GluT1* 、または115392*について公知であるように、例えば、類似のもしくは同 一の電気泳動的な移動、等電点電気泳動のふるまい、タンパク質消化地図、ある
いは抗原性特性またはRBに結合する能力を有するタンパク質を産生する。さら
に、抗CD24*、抗Set*、抗GluT1*、または抗115392*抗体が利
用可能である場合、そのタンパク質は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)
型の手順において、標識抗体の、推定的なCD24*、Set*、GluT1*、 または115392*合成クローンへの結合によって同定され得る。
【0099】 CD24*、Set*、GluT1*、または115392*cDNAを単離する
ための代替方法は、既知の配列から遺伝子配列それ自体を化学的に合成する方法
を含むが、これに限定されない。他の方法が可能であり、そして本発明の範囲に
含まれる。
【0100】 次いで、同定および単離された核酸は、適切なクローニングベクターに挿入さ
れ得る。当該分野で公知の多数のベクター−宿主系が使用され得る。可能なベク
ターは、プラスミドまたは改変ウイルスを含むがこれに限定されないが、ベクタ
ー系は、使用される宿主細胞と適合しなくてはならない。このようなベクターは
、λ派生物のようなバクテリオファージ、またはpBR322もしくはpUCプ
ラスミド派生物、またはpBlueScriptベクター(Stratagen
e,La Jolla,CA)のようなプラスミドを含むが、これらに限定され
ない。クローニングベクターへの挿入は、例えば、相補的な付着末端を有するク
ローニングベクターへのDNAフラグメントの連結によって達成され得る。しか
し、DNAをフラグメント化するために使用される相補的制限部位がクローニン
グベクター中に存在しない場合、DNA分子の末端は、適合性を保証するために
酵素的に修飾され得る。あるいは、所望される任意の部位は、DNA末端にヌク
レオチド配列(例えば、リンカー)を連結することによって、産生され得る;こ
れらのリガンドリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする、特
定の化学的に合成されたオリゴヌクレオチドを含み得る。代替的な方法において
、切断されたベクターおよびCD24*、Set*、GluT1*、または115 392*遺伝子は、ホモポリマー性の尾部によって修飾され得る。組換え分子は 、形質転換、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーションなどを介し
て宿主細胞に導入され得、その結果遺伝子配列の多数のコピーが生成される。
【0101】 代替的な方法において、所望の遺伝子は、「ショットガン」アプローチにおい
て、適切なクローニングベクターへの挿入後、同定および単離され得る。所望の
遺伝子についての富化は、例えば、サイズ分画によって、クローニングベクター
への挿入以前になされ得る。
【0102】 特定の実施態様において、単離されたCD24*、Set*、GluT1*、も しくは115392*遺伝子、cDNA、または合成されたDNA配列を組み込 んだ組換えDNA分子を用いる宿主細胞の形質転換は、遺伝子の多数のコピーの
生成を可能にする。従って、この遺伝子は、形質転換体を増殖させること、形質
転換体から組換えDNA分子を単離すること、および、必要な場合には、単離さ
れた組換えDNAから挿入された遺伝子を回収することによって、大量に得られ
得る。
【0103】 本発明によって提供されるCD24*、Set*、GluT1*、または115 392*配列は、ネイティブなCD24*、Set*、GluT1*、または115
392*タンパク質において見い出されるのと実質的に同じアミノ酸配列をコー ドするヌクレオチド配列、そしてそれらは機能的に同等なアミノ酸を有するアミ
ノ酸配列をコードし、ならびにCD24*、Set*、GluT1*、または11 5392*誘導体またはアナログについては、上記のセクション(I)(前出) に記載されるように、他のCD24*、Set*、GluT1*、または1153 92*誘導体またはアナログをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0104】 (III RB・RB−IP複合体およびCD24*、Set*、GluT1* および115392*タンパク質に対する抗体) 本発明によって開示されるように、RB・RB−IP複合体(例えば、RN−
tre、CAS、IP−30、L6、IK、シクロフィリンA、Zap3、Nl
k1(Nek2)、17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、ま たは115392*で複合体化したRB)またはそれらのフラグメント、誘導体 、もしくはホモログ、あるいはCD24*、Set*、GluT1*または115 392*タンパク質およびそれらのフラグメント、ホモログ、および誘導体は、 そのような免疫原を免疫特異的に結合する抗体を生成するための免疫原として利
用され得る。このような抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キ
メラ抗体、ならびに単鎖抗体、Fabフラグメント、およびFab発現ライブラリー
を含むがそれらに限定されない。特定の実施態様において、ヒトRBおよびヒト
RB−IPの複合体に対する抗体が産生される。別の実施態様において、RBお
よびRB−IPのフラグメントから形成された複合体(ここで、そのフラグメン
トは、複合体の他のメンバーと相互作用するタンパク質ドメインを含む)は、抗
体産生のための免疫原として使用される。別の特定の実施態様において、CD2
*、Set*、GluT1*、もしくは115392*タンパク質またはそれらの
フラグメント、誘導体、もしくはホモログは、免疫原として使用される。
【0105】 当該分野で公知の種々の手順が、RB・RB−IP複合体またはその誘導体も
しくはアナログ、あるいはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115 392*タンパク質、またはそれらの誘導体、フラグメント、またはアナログに 対するポリクローナル抗体の産生のために使用され得る。
【0106】 抗体の産生のために、種々の宿主動物がネイティブなRB・RB−IP複合体
、あるいはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*タンパク
質、または合成バージョン、または前記の誘導体(例えば、架橋したRB・RB
−IP)を注射することによって免疫され得る。このような宿主動物は、ウサギ
、マウス、ラットなどを含むがそれらに限定されない。種々のアジュバントが、
免疫学的応答を増加するために宿主の種に依存して使用され得、そしてこれらに
は、フロイント(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニ
ウム)、表面活性物質(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール、ポ
リアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール、および潜在
的に有用なヒトアジュバント(例えば、カルメット‐ゲラン杆菌(BCG)およ
び挫瘡菌(Corynebacterium parvum))が含まれるがこ
れらに限定されない。
【0107】 RB・RB−IP複合体あるいはCD24*、Set*、GluT1*、もしく は115392*、またはその誘導体、フラグメント、またはアナログに対する モノクローナル抗体の調製のために、連続的に培養される細胞株によって抗体分
子の産生を提供する任意の技術が使用され得る。培養技術は、(i)ハイブリド
ーマ技術(KohlerおよびMilstein、1975.Nature 2
56:495〜497を参照のこと);(ii)トリオーマ技術(Rosenら
、1977.Cell 11:139〜147を参照のこと);(iii)ヒト
B細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983.Immunology Today 4:72を参照のこと)およびヒトモノクローナル抗体を産生す
るためのEBVハイブリドーマ技術(例えば、Coleら、1985.Mono
clonal Antibodies and Cancer Therapy
(Alan R.Liss,Inc.)を参照のこと)を含むがこれらに限定さ
れない。本発明のさらなる実施態様において、モノクローナル抗体は、近年の発
達した技術を利用する無菌動物において産生され得る(例えば、PCT特許出願
U590/02545を参照のこと)。
【0108】 本発明の特定の実施態様において、ヒト抗体は、ヒトハイブリドーマを使用す
ることによって(例えば、Coleら、1983.Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 80:2026〜2030を参照のこと)、またはインビ
トロでEBVウイルスを用いてヒトB細胞を形質転換することによって(例えば
、Coleら、1985.Monoclonal Antibodies an
d Cancer Therapy、Alan R.Liss,Inc.、77
〜96頁を参照のこと)使用され、そして得られ得る。実際、本発明に従って、
RB・RB−IP複合体またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは1 15392*タンパク質に対して特異的なマウスの抗体分子由来の遺伝子を、適 切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともにスプライシングすること
によって、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(例えば、Morri
sonら、1984.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:
6851〜6855;Takedaら、1985.Nature 314:45
2〜454を参照のこと)が使用され得る。このような抗体の産生は、本発明の
範囲内である。
【0109】 本発明の別の特定の実施態様において、単鎖抗体の産生について記載された技
術(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)が、RB・RB−
IP複合体特異的ならびにCD24*、Set*、GluT1*、および1153 92*特異的単鎖抗体を産生するために適用され得る。本発明のさらなる実施態 様は、Fab発現ライブラリーの構築について記載された技術(例えば、Huse
ら、1989.Science 246:1275〜1281を参照のこと)を
利用して、RB・RB−IP複合体または個々のCD24*、Set*、GluT
*、もしくは115392*タンパク質、それらの誘導体またはアナログに対す
る所望される特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な
同定を可能にする。非ヒト抗体は、公知の方法によって「ヒト化」され得る(例
えば、米国特許第5,225,539号を参照のこと)。
【0110】 RB・RB−IP複合体のイディオタイプまたはCD24*、Set*、Glu
T1*、もしくは115392*タンパク質のイディオタイプを含む抗体フラグメ
ントは、当該分野で公知の技術によって生成され得る。例えば、このようなフラ
グメントは、抗体分子のペプシン消化によって産生され得るF(ab')2フラグメン
ト;F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって産生され
得るFab'フラグメント;パパインおよび還元剤で抗体分子を処理することによ って生成され得るFabフラグメント;ならびにFvフラグメントを含むがそれら に限定されない。
【0111】 抗体の産生において、所望の抗体のスクリーニングは、当該分野で公知の種々
の技術(酵素結合免疫吸着検定法(ELISA))によって達成され得る。RB
・RB−IP複合体の特定のドメイン、またはCD24*、Set*、GluT1 * 、もしくは115392*タンパク質に対して特異的な抗体を選択するために、
このようなドメインを含む、RB・RB−IP複合体、またはCD24*、Se t*、GluT1*、もしくは115392*タンパク質のフラグメントに結合す る産物のために生成されたハイブリドーマをアッセイし得る。RB・RB−IP
複合体に特異的に結合するが、RB・RB−IP複合体の個々のタンパク質には
特異的に結合しない抗体の選択については、全体としての複合体へのポジティブ
な結合、ならびに個々のRBおよびRB−IPタンパク質への結合の欠如に基づ
いて、選択し得る。さらに、特定の実施態様において、SetもしくはGluT
1アミノ酸配列とは異なり、かつSetもしくはGluT1を免疫特異的に認識
しないアミノ酸配列を有するSet*またはGluT1*の部分を免疫特異的に認
識する抗体が生成される。さらに、CD24*、Set*、GluT1*、および 115392*タンパク質の特定のドメインに対する抗体のように、RB・RB −IP複合体のドメインに特異的な抗体もまた開示される。
【0112】 上述の抗体はまた、本発明のRB・RB−IP複合体ならびにCD24*、S et*、GluT1*、および115392*タンパク質の局在化および/または 定量に関する当該分野において公知の方法において使用され得る(例えば、これ
らのタンパク質の画像処理、適切な生理学的サンプル中のそれらのレベルの測定
、診断方法において、など)。
【0113】 本発明のなお別の実施態様において、抗RB・RB−IP複合体抗体およびそ
のフラグメント、または抗CD24*、抗Set*、抗GluT1*、および抗1 15392*、または結合ドメインを含むそれらのフラグメントは、治療的部分 として有用である(以下を参照のこと)。
【0114】 (IV 診断、予後、およびスクリーニング方法論におけるRB・RB−IP
複合体および核酸ならびにCD24*、Set*、GluT1*、および1153 92*タンパク質および核酸の利用) RB・RB−IP複合体(特に、RN−tre、CAS、IP−30、L6、
IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17
β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*で複合
体化したRB)またはCD24*、Set*、GluT1*、および115392* タンパク質は、正常な(i)生理学的プロセス(例えば、細胞周期制御、細胞分
化およびアポトーシス);(ii)ウイルス感染に対する応答;(iii)細胞
内シグナル伝達;(iv)転写制御;および(v)病理生理学的プロセス(例え
ば、腫瘍発生および腫瘍伝播を含む過剰増殖性障害、神経変性性疾患を含む変性
障害、ウイルス感染)のマーカーであり得、従って診断的な有用性を有する。さ
らに、RB・RB−IP複合体、またはCD24*、Set*、GluT1*、も しくは115392*タンパク質の上昇または欠失を有する患者の特定の集団の 定義は、新しい疾病分類学的な疾患の分類、さらなる診断的な能力をもたらし得
る。
【0115】 RB・RB−IP複合体、あるいはRB、またはCD24*、Set*、Glu
T1*、もしくは115392*タンパク質との複合体を形成することが示されて
きた個々のタンパク質のレベルを検出すること、あるいは、RB・RB−IP複
合体の成分、またはCD24*、Set*、GluT1*、および115392*
ンパク質をコードするmRNAのレベルを検出することは、疾患の状態の経過を
追うため、治療的応答を追うため、などのために、予後において使用され得る。
【0116】 RB・RB−IP複合体、およびRB・RB−IP複合体の個々の成分(例え
ば、RB、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nl
k1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17β−HSD6、CD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*)ならびにそれらの誘導体、ア
ナログ、およびサブ配列、RBおよび/またはRB−IP、ならびにCD24* 、Set*、GluT1*、および115392*核酸(およびそれらに対する相 補的配列)、ならびに抗RB・RB−IP複合体抗体およびRB・RB−IP複
合体を形成し得る個々の成分に対して指向される抗体、ならびに抗CD24*、 抗Set*、抗GluT1*、および抗115392*抗体が、診断において使用 される。このような分子は、異常なレベルのRB・RB−IP複合体、またはC
D24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*タンパク質によって特
徴付けられる、種々の状態、疾患、および障害、ならびにそれらの処置を検出、
予後、診断、またはモニターするために、イムノアッセイのようなアッセイにお
いて使用され得る。
【0117】 より詳細には、例示のために、および限定のためにではなく、このようなイム
ノアッセイが、免疫特異的な結合が起こり得るような条件下で、患者由来のサン
プルを、抗RB・RB−IP複合体抗体、または抗CD24*抗体、抗Set*
体、抗GluT1*抗体、もしくは抗115392*抗体に接触させる工程、およ
び抗体によって任意の免疫特異的な結合の量を検出または測定する工程、を包含
する方法の使用によって行われる。特定の局面において、組織切片におけるこの
ような抗体の結合は、異常なRB・RB−IP複合体形成、または異常なCD2
*、Set*、GluT1*、もしくは115392*タンパク質の局在、あるい
は、異常な(例えば、高いか、低いか、または存在しない)レベルのRB・RB
−IP複合体(単数もしくは複数)、またはCD24*、Set*、GluT1* 、および115392*タンパク質を検出するために使用され得る。本発明の特 定の実施態様において、RB・RB−IP複合体に対する抗体は、RB・RB−
IP複合体の存在について患者の組織または血清サンプルをアッセイするために
使用され得る。ここで、異常なレベルの上記の複合体は、疾患状態の指標である
。別の実施態様において、CD24*、Set*、GluT1*、または1153 92*に対する抗体は、CD24*、Set*、GluT1*、または115392 * の存在について患者の組織または血清サンプルをアッセイするために使用され 得る。ここで、異常なレベルのCD24*、Set*、GluT1*、および11 5392*は、疾患状態の指標である。本明細書中で使用される用語「異常なレ ベル」は、身体の一部から、または特定の障害を有さない被験体からの類似のサ
ンプルにおいて存在しているか、または存在していることを示す標準的なレベル
と比較して、増加したかまたは減少したレベルを意味することとして定義される
【0118】 利用され得るイムノアッセイは、以下を含むがこれらに限定されない:ウェス
タンブロット、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着検定法(E
LISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応
、ゲル散乱沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、
免疫放射線アッセイ、蛍光イムノアッセイ、およびプロテインAイムノアッセイ
、ならびに他の類似の方法論のような技術を用いる競合的および非競合的アッセ
イシステム。
【0119】 RB・RB−IP複合体の種々のタンパク質成分をコードする核酸、ならびに
CD24*、Set*、GluT1*、および115392*タンパク質ならびに関
連するヌクレオチド配列およびサブ配列をコードする核酸(相補的配列を含む)
はまた、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。RBおよび/
またはRB−IPヌクレオチド配列、またはそのサブ配列は、少なくとも約6ヌ
クレオチドを含み、ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。次い
で、ハイブリダイゼーションアッセイは、上記に記載されるように、RB・RB
−IP複合体の成分タンパク質、またはCD24*、Set*、GluT1*、お よび115392*タンパク質をコードする異常なレベルのmRNAに関連する 状態、障害、もしくは疾患状態を検出、予後、診断、またはモニターするために
利用され得る。特に、このようなハイブリダイゼーションアッセイは、核酸を含
むサンプルを、ハイブリダイゼーションが起こり得る条件下でRBもしくはRB
−IP DNAまたはRNAとハイブリダイズし得る核酸プローブと接触させる
工程、および任意の生じるハイブリダイゼーションを検出または測定する工程を
包含する方法によって実行される。本発明の好ましい局面において、ハイブリダ
イゼーションアッセイは、RB・RB−IP複合体の両方のメンバーの発現を同
時に測定するために、RBおよび結合パートナー(すなわち、IP)にハイブリ
ダイズし得る核酸プローブを使用して実行される。別の好ましい実施態様におい
て、CD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*をコードするm
RNAの発現は、定量的に確認される。
【0120】 本発明の特定の実施態様において、RB・RB−IP複合体の異常なレベルに
関するか、またはこの異常なレベルによって特徴付けられる疾患および障害は、
RB・RB−IP複合体または非複合体化RBおよび/またはRB−IPタンパ
ク質もしくは核酸もしくは機能活性の異常なレベルを検出すること(以下を含む
がこれらに制限されない:(i)相互作用するパートナーへの結合または(ii
)RB・RB−IP複合体および/またはRBおよび/またはRBに結合するタ
ンパク質の発現または活性の増加あるいは減少を引き起こす、RBおよび/もし
くはRB−IP RNA、DNAまたはタンパク質における変異の検出(例えば
、野生型RBおよび/またはRB−IPに関連する、ヌクレオチドまたはアミノ
酸配列における転座、切断、変化))によって、診断され得るか、または疑われ
るそれらの存在がスクリーニングされ得るか、あるいはそのような障害を発症す
る素因が検出され得る。このような疾患および障害は、セクション(V)に記載
されるものを含むがそれらに限定されない。
【0121】 例示のためであって限定のためではない、RB・RB−IP複合体および個々
のRB・RB−IP複合体の成分のレベルが、イムノアッセイによって検出され
得る;RBおよび/またはRB−IP RNAのレベルは、ハイブリダイゼーシ
ョンアッセイ(例えば、ノーザンブロット、ドットブロット)によって検出され
得る;RBのRB−IPへの結合は、当該分野で一般的に公知の結合アッセイに
よって測定され得、RBおよび/またはRB−IPをコードする遺伝子における
転座および点変異は、サザンブロッティング、RFLP分析、少なくとも大部分
のRBおよび/またはRB−IP遺伝子にわたるフラグメントを好ましく生成す
るプライマーを使用するPCR、患者から得られたRBおよび/もしくはRB−
IPゲノムDNAまたはcDNAの配列決定などによって検出され得る。
【0122】 当該分野で周知のアッセイ(例えば、イムノアッセイ、核酸ハイブリダイゼー
ションアッセイ、活性アッセイなど)が、そのような疾患もしくは障害を有さな
い被験体由来のサンプルにおけるレベルと比較して、特定の疾患または障害に苦
しむ患者、またはそのような疾患もしくは障害を発症する素因を有する患者由来
のサンプル中に、1つ以上の特定のRB・RB−IP複合体が増加したレベル、
または減少したレベルのいずれかで存在するか、または存在しないかを決定する
ために使用され得る。
【0123】 さらに、これらの上述したアッセイはまた、RB・RB−IP複合体、または
CD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*の、RB・RB−I
P複合体の非複合体化成分、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしく は115392*との比を決定するために使用され得る(すなわち、RBおよび /または目的の複合体中の特異的なRB−IPは、そのような疾患もしくは障害
を有さない被験体由来のサンプルにおける比と比較して、特定の疾患または障害
に苦しむ患者、またはそのような疾患もしくは障害を発症する素因を有する患者
由来のサンプル中で、増加または減少する)。
【0124】 1つ以上の特定のRB・RB−IP複合体、またはCD24*、Set*、Gl
uT1*、もしくは115392*のレベルが、特定の疾患または障害に苦しむ患
者、またはそのような疾患もしくは障害を発症する素因を有する患者で増加され
ることが決定される事象において、次いで、1つ以上のRB・RB−IP複合体
、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*の増加した
レベル、1つ以上の特定のRB・RB−IP複合体、またはCD24*、Set* 、GluT1*、もしくは115392*のメンバー、あるいはRB・RB−IP
複合体、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*機能
活性をコードするmRNAを検出することによって、特定の疾患もしくは障害、
または疾患もしくは障害についての素因が診断され得、予後が決定され得、スク
リーニングされ得、またはモニターされ得る。
【0125】 従って、本発明の特定の実施態様において、1つ以上のRB・RB−IP複合
体、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*、複合体
の両方のメンバーをコードするmRNA、または複合体の機能活性の増加したレ
ベルを検出することによって、あるいはRB・RB−IP複合体、またはCD2
*、Set*、GluT1*、もしくは115392*形成を安定化または増加す
るために機能するRBもしくはRB−IPにおける変異(例えば、ネイティブな
、野生型のRBまたはRB−IPと比較して、核酸における転座、遺伝子または
タンパク質における切断、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列における変化)を検
出することによって、1つ以上のRB・RB−IP複合体、またはCD24*、 Set*、GluT1*、もしくは115392*の増加したレベルを含む疾患お よび障害が診断され得、またはそれらの疑われる存在がスクリーニングされ得、
またはそのような障害を発症する素因が検出され得る。
【0126】 1つ以上の特定のRB・RB−IP複合体、またはCD24*、Set*、Gl
uT1*、もしくは115392*のレベルが、特定の疾患または障害に苦しむ患
者、またはそのような疾患もしくは障害を発症する素因を有する患者で減少され
ることが決定される事象において、次いで、1つ以上のRB・RB−IP複合体
、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*の減少した
レベル、1つ以上の特定のRB・RB−IP複合体、またはCD24*、Set* 、GluT1*、もしくは115392*のメンバー、あるいはRB・RB−IP
複合体、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*機能
活性をコードするmRNAを検出することによって、特定の疾患もしくは障害、
または疾患もしくは障害についての素因が診断され得、予後が決定され得、スク
リーニングされ得、またはモニターされ得る。
【0127】 従って、本発明の特定の実施態様において、1つ以上のRB・RB−IP複合
体、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*、複合体
のメンバーの1つ以上をコードするmRNA、または複合体の機能活性の減少し
たレベルを検出することによって、あるいはRB・RB−IP複合体形成を阻害
または減少させるために機能するRBもしくはRB−IPにおける変異(例えば
、野生型のRBまたはRB−IPに関連する、核酸における転座、遺伝子または
タンパク質における切断、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列における変化)を検
出することによって、1つ以上のRB・RB−IP複合体、またはCD24*、 Set*、GluT1*、もしくは115392*の減少したレベルに関する疾患 および障害が診断され得、またはそれらの疑われる存在がスクリーニングされ得
、またはそのような障害を発症する素因が検出され得る。
【0128】 本発明によってまた開示されるのは、収集するRB・RB−IP複合体、また
はCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*タンパク質を特徴
付けることまたは調製することの目的のために、特定のRB・RB−IP複合体
、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*タンパク質
、またはそれらの誘導体を発現する細胞培養モデル中でのRB・RB−IP複合
体、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*タンパク
質の検出のための方法論である。この上述の実施態様は、原核生物の細胞分類(
例えば、DaveyおよびKell、1996.Microbiol.Rev.
60:641〜696を参照のこと);ヒトのような哺乳動物種を含む、真核生
物由来の初代培養および組織標本(例えば、Steeleら、1996.Cli
n.Obstet.Gynecol.39:801〜813を参照のこと)およ
び連続細胞培養(例えば、OrfaoおよびRuiz−Arguelles、1
996.Clin.Biochem.29:5〜59を参照のこと)を含むがこ
れらに限定されない。さらに、このような単離方法論はまた、上記に記載される
ような診断方法として使用され得る。
【0129】 診断的使用のためのキットもまた、本明細書中で開示され、そして抗RB・R
B−IP複合体抗体、または抗CD24*、抗Set*、抗GluT1*、もしく は抗115392*抗体、そして必要に応じて、抗体に対して標識された結合パ ートナーが、1つ以上の容器に含まれる。あるいは、抗RB・RB−IP複合体
抗体、または抗CD24*、抗Set*、抗GluT1*、もしくは抗11539 2*抗体は、検出可能なマーカー(例えば、化学発光、酵素、蛍光、または放射 性部分)によって標識され得る。さらに、1つ以上の容器に、RBおよび/また
はRB−IP mRNAにハイブリダイズし得る核酸プローブを含むキットが開
示される。本発明の特定の実施態様において、キットは、1つ以上の容器中に、
RBおよび/またはRB−IPの少なくとも一部の核酸が増殖を行うような適切
な反応条件で、増幅に基づく反応(以下を含むがこれらに限定されない:(i)
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;例えば、Innisら、1990.PCR P
rotocols、Academic Press,Inc.、San Die
go、CAを参照のこと);(ii)リガーゼ連鎖反応;(iii)Qβレプリ
カーゼの使用;(iv)環状プローブ反応または当該分野で公知の種々の他の方
法)におけるプライマーとして働き得る1対のプライマー(例えば、各々のサイ
ズは6〜30ヌクレオチドの範囲)を含み得る。キットは、必要に応じて、例え
ば、標準またはコントロールとしての使用のために、(1つ以上の容器中に)あ
らかじめ決定された量の精製したRB・RB−IP複合体、RBおよび/もしく
はRB−IP、またはその核酸をさらに含む。
【0130】 (V)RB・RB−IP複合体ならびにCD24*、Set*、GluT1*、 および115392*の治療的使用 本発明は、治療用化合物(本明細書中以後「治療剤」と命名する)の投与によ
る、種々の疾患および障害の治療または予防のための方法論を開示する。そのよ
うな治療剤には、以下が含まれるがそれらに限定されない:(i)RB・RB−
IP複合体、(ii)RB;(iii)個々のRB−IPタンパク質ならびにそ
のアナログおよび誘導体(フラグメントを含む);(iv)それに特異的な抗体
;(v)RBおよび/またはRB−IPをコードする核酸、ならびにそのアナロ
グまたは誘導体;(vi)RBおよび/またはRB−IPアンチセンス核酸、な
らびに(vii)RB・RB−IP複合体ならびにCD24*、Set*、Glu
T1*、および115392*モジュレーター(例えば、インヒビター、アゴニス
ト、およびアンタゴニスト)。
【0131】 上記で先に議論されたように、RBおよび本明細書中で同定されるその結合パ
ートナー(IP)のいくつか(例えば、RN−tre、CAS、IK、LDH−
B、Nlk1(Nek2)、CD24*、およびSet*)は、癌および腫瘍形成
および腫瘍進行を含む、細胞周期進行、細胞分化、および転写制御の障害におい
て有意な役割を果たすことに関与する。改変された細胞のアポトーシス、分化、
およびDNA修復から生じる神経変性の障害は、これらの同じタンパク質、なら
びにNlk1(Nek2)シクロフィリンA、Zap3、およびGluT1*を 含み得るようである。一致して、細胞内シグナル伝達および転写調節によって影
響を及ぼされる広範な疾患は、RB・RB−IP複合体活性、またはCD24* 活性、Set*活性、GluT1*活性、もしくは115392*活性を調節(す なわち、阻害、アンタゴナイズ、増強、または促進)する治療剤の投与によって
処置または予防され得る。RBおよびシクロフィリンAの両方は、ウイルス感染
に対する細胞性応答に関与している。一致して、これらの上述の障害のすべては
、RB・RB−IP複合体活性、またはCD24*活性、Set*活性、GluT
*活性、もしくは115392*活性を調節(すなわち、阻害、アンタゴナイズ
、増強、または促進)する治療剤の投与によって処置または予防され得る。
【0132】 RB・RB−IP複合体のレベルもしくは活性の異常なレベル、またはCD2
*、Set*、GluT1*、もしくは115392*の異常なレベルと関連する
疾患または障害は、RB・RB−IP複合体の形成もしくは活性、またはCD2
*活性、Set*活性、GluT1*活性、もしくは115392*活性を調節す
る治療剤の投与によって処置され得る。本発明の特定の実施態様において、RB
の活性またはレベルは、RB−IPの投与によって調節される。別の特定の実施
態様において、RB−IPの活性またはレベルは、RB自体の投与によって調節
される。
【0133】 RB・RB−IPのレベルもしくは活性の増加、またはCD24*、Set*
GluT1*、もしくは115392*のレベルまたは活性の増加によって特徴付
けられる疾患および障害(増加は、これらの疾患または障害に罹患していない患
者と比較した場合である)は、RB・RB−IP複合体の形成もしくは活性、ま
たはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*のレベルまたは
活性をアンタゴナイズ(すなわち、低減または阻害)する治療剤で処置され得る
。使用され得る治療剤は、以下を含むがそれらに限定されない:(i)RBもし
くはRB−IP、またはそれらのアナログ、誘導体、もしくはフラグメント;(
ii)抗RB・RB−IP複合体抗体、ならびに抗CD24*抗体、抗Set*
体、抗GluT1*抗体、および抗115392*抗体、ならびにそれらの結合領
域を含むそのフラグメントおよび誘導体;(iii)RBまたはRB−IPをコ
ードする核酸;(iv)RBアンチセンス核酸、およびRB−IPアンチセンス
核酸、またはCD24*アンチセンス核酸、Set*アンチセンス核酸、GluT
*アンチセンス核酸、もしくは115392*アンチセンス核酸の同時投与;な
らびに/あるいは(v)相同組換えによって内因性RBおよび/またはRB−I
P機能を「ノックアウト」するため(例えば、Capecchi,1989,S
cience 244:1288〜1292を参照のこと)に使用される機能不
全(例えば、RBまたはRB−IPコード配列のコード配列内の異種(非RBお
よび/もしくは非RB−IP、または非CD24*、非Set*、非GluT1* 、もしくは非115392*s)挿入に起因する)であるRB核酸および/もし くはRB−IP核酸、またはCD24*核酸、Set*核酸、GluT1*核酸、 もしくは115392*核酸。
【0134】 本発明の特定の実施態様において、相同組換えによるRBおよび/またはRB
−IP不活化を促進するために、RBおよび/またはRB−IP配列が異なる遺
伝子配列に隣接する(すなわち、それに対して5’および3’の両側に存在する
)ようにRBおよび/またはRB−IP遺伝子の一部分を含む核酸が、RBおよ
び/またはRB−IPのアンタゴニストとして使用される。例えば、Kolle
rおよびSmithies、1989、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 86:8932〜8935;Zijlstraら、1989、Nat
ure 342:435〜438を参照のこと。さらに、第2のRB−IPの有
するRBに対する親和性よりも大きな親和性を有する第1のRB−IPタンパク
質の変異体または誘導体は、RB結合についてこの第2のRB−IPタンパク質
と競合し、それによって第2のRB−IPを含むRB複合体のレベルを低減する
ように投与され得る。RB・RB−IP複合体、またはCD24*、Set*、G
luT1*、もしくは115392*の機能を阻害するように機能する他の治療剤
は、当該分野において周知の種々のインビトロアッセイの使用によって(例えば
、RB・RB−IP結合を阻害する能力に基づいて)同定され得る。
【0135】 本発明の他の特定の実施態様において、RB・RB−IP複合体の形成もしく
は活性、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*の活
性においてアンタゴニストとして機能する治療剤は、以下の状況において治療投
与または予防投与される:(i)RB・RB−IP複合体、またはCD24*タ ンパク質、Set*タンパク質、GluT1*タンパク質、および115392* タンパク質のレベルの(正常または所望のレベルと比較した場合の)増加を含む
疾患または障害において、例えばRB・RB−IP複合体、またはCD24*タ ンパク質、Set*タンパク質、GluT1*タンパク質、もしくは115392 * タンパク質が過剰活性または過剰発現されている患者において;あるいは(i i)インビトロおよび/またはインビボアッセイが、RB・RB−IP複合体、
またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*のアンタゴニ
スト投与の有用性を示す疾患または障害において。RB・RB−IP複合体、ま
たはCD24*タンパク質、Set*タンパク質、GluT1*タンパク質、もし くは115392*タンパク質のレベルの増加は、タンパク質および/またはR NA(例えば、生検組織などから患者の組織サンプルから得られる)を定量する
こと、および発現したRB・RB−IP複合体(またはRBおよびRB−IP
mRNA)、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392* のタンパク質もしくはmRNAのRNAまたはタンパク質レベル、構造および/
または活性についてのインビトロアッセイを行うことによって容易に検出され得
る。従って、以下を含むがそれらに限定されない当該分野における多くの方法論
標が使用され得る:RB・RB−IP複合体、またはCD24*タンパク質、S et*タンパク質、GluT1*タンパク質、もしくは115392*タンパク質 を検出および/または可視化するためのイムノアッセイ(例えば、ウェスタンブ
ロット、免疫沈降後のドデシル硫酸(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動
、免疫組織化学など)、ならびに/あるいはRBおよびRB−IP、または個々
のCD24*mRNA、Set*mRNA、GluT1*mRNA、ならびに11 5392*mRNAの同時発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセ イ。
【0136】 本発明の特定の実施態様は、タンパク質部分を発現するmRNAを標的化する
ことによって、RB・RB−IP複合体発現(すなわち、RB・RB−IP複合
体の2成分の発現および/またはこの複合体の形成)、またはCD24*発現、 Set*発現、GluT1*発現、もしくは115392*発現を低減する方法論 を開示する。RNAに基づく治療剤は、現在のところ、3つのクラスに分けられ
る:(i)アンチセンス種;(ii)リボザイム;または(iii)RNAアプ
タマー。例えば、Goodら、1997、Gene Therapy 4:45
〜54を参照のこと。
【0137】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、最も広範に利用されている方法論である
。限定の目的ではなく、例示の目的のために、Rb・RB−IP複合体形成を低
減するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド方法論を、以下に十分に議論する
。リボザイム治療は、特定のタンパク質の発現を低減または排除するために、特
定のRNA種を切断、結合、または他の様式で不活化する酵素活性を有する低分
子のRNAの投与、誘導された発現などを含む。例えば、GrassiおよびM
arini、1996、Annals of Medicine 28:499
〜510;Gibson、1996、Cancer and Metastas
is Rev.15:287〜299を参照のこと。現在のところ、特定のmR
NA(例えば、RBをコードするmRNA)を特異的に標的化するために、「ヘ
アピン」および「ハンマーヘッド」RNAリボザイムの設計が必要である。RN
Aアプタマーは、それらの翻訳を特異的に阻害し得るタンパク質についての特異
的なRNAリガンド(例えば、Tat RNAおよびRev RNA)である。
例えば、Goodら、1997、Gene Therapy 4:45〜54を
参照のこと。RBまたはRB−IPに特異的なアプタマーは、当該分野において
周知の多くの方法(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用アッセイ)によっ
て同定され得る。
【0138】 本発明の別の実施態様において、RBの活性またはレベルは、RB−IP、ま
たはRB−IPをコードする核酸、あるいはRB−IPに免疫特異的に結合する
抗体、またはその結合ドメインを含む抗体のフラグメントもしくは誘導体の投与
によって低減される。さらに、RB−IPのレベルまたは活性は、RBまたはR
B核酸、あるいはRBに免疫特異的に結合する抗体、あるいはその結合ドメイン
を含む抗体のフラグメントもしくは誘導体の投与によって低減され得る。
【0139】 本発明のさらに別の局面において、RBまたは特定のRB−IPのレベルの増
加と関連する疾患または障害は、RB・RB−IP複合体形成がRB・RB−I
P複合体形成を介してRBまたは特定のRB−IPを低減または不活化するよう
に作用する場合、RB・RB−IP複合体形成を増加する治療剤の投与によって
処置または予防され得る。そのような疾患または障害は、RB・RB−IP複合
体の他のメンバーに対する親和性の増加を有する(その結果、複合体形成の増加
を生じる)複合体のメンバーの変異体を含むRB・RB−IP複合体の1つのメ
ンバーの投与、RB・RB−IP複合体を安定化する抗体または他の分子の投与
などによって処置または予防され得る。
【0140】 RB・RB−IP複合体あるいはRBまたは特定のRB−IPの過小発現と関
連する疾患および障害は、RB・RB−IP複合体または機能を促進する(すな
わち、増加または供給する)治療剤の投与によって処置または予防される。その
ような治療剤の例には以下が挙げられるがそれらに限定されない:(i)RB・
RB−IP複合体、ならびに機能的に活性である(例えば、RB・RB−IP複
合体を形成するのに活性である)その誘導体、アナログ、およびフラグメント;
(ii)複合体化されていないRBおよびRB−IPタンパク質、ならびにそれ
らの誘導体、アナログ、およびフラグメント、ならびに/または(iii)RB
・RB−IP複合体のメンバーをコードする核酸、または機能的に活性なその誘
導体またはフラグメント(例えば、遺伝子治療用)。RB・RB−IP複合体形
成を増加および/または安定化するRBおよび/またはRB−IPの誘導体、ホ
モログ、またはフラグメントは、本発明の特定の実施態様内である。
【0141】 特定の実施態様において、RB・RB−IP複合体機能、またはCD24*機 能、Set*機能、GluT1*機能、および115392*機能を促進する治療 剤は、以下の臨床的状況において治療的に(予防的を含む)投与される:(i)
RB・RB−IP複合体、またはCD24*タンパク質、Set*タンパク質、G
luT1*タンパク質、もしくは115392*タンパク質のレベルの非存在また
は(正常または所望のレベルと比較した場合の)減少を含む疾患または障害にお
いて、例えばRB・RB−IP複合体(または、複合体を形成するために必要な
個々の成分)、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは11539 2*が、欠失しているか、遺伝的に欠損しているか、生物学的に不活性もしくは 過小活性であるか、または過小発現される患者において、あるいは(ii)イン
ビトロ(またはインビボ)アッセイがRB・RB−IP複合体、またはCD24 * アゴニスト、Set*アゴニスト、GluT1*アゴニスト、または11539 2*アゴニストの投与の有用性を示す疾患または障害において。RB・RB−I P複合体、またはCD24*、Set*、GluT1*、または115392*タン
パク質または機能のレベルの非存在または減少は、患者組織サンプル(例えば、
生検組織から)を得ること、およびRNAタンパク質レベル、発現されたRB・
RB−IP複合体の活性(または、RB・RB−IP複合体の2成分をコードす
るmRNAの同時発現)、またはCD24*、Set*、GluT1*、および1 15392*のRNA、タンパク質、または活性についてのインビトロアッセイ を実施することによって容易に検出され得る。従って、以下を含むがそれらに限
定されない当該分野における多くの方法標準が使用され得る:RB・RB−IP
複合体(または、この複合体の個々の成分)、またはCD24*タンパク質、S et*タンパク質、GluT1*タンパク質、もしくは115392*タンパク質 を検出および/または可視化するためのイムノアッセイ、ならびに/あるいはノ
ーザンブロットアッセイ、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーショ
ンなどの使用によって、RBおよびRB−IPのmRNAを検出および/または
可視化することによって、RB・RB−IP複合体の個々のタンパク質成分をコ
ードするmRNAの発現を検出するハイブリダイゼーションアッセイ。
【0142】 本発明の別の特定の実施態様において、RBの活性またはレベルは、RB−I
P、またはその誘導体もしくはアナログ、RB−IPをコードする核酸、または
RB−IPに免疫特異的に結合する抗体、またはその結合ドメインを含む抗体の
フラグメントもしくは誘導体の投与によって増加される。さらに別の特定の実施
態様において、RB−IPの活性またはレベルは、RB、またはその誘導体もし
くはアナログ、RBをコードする核酸、あるいはRBに免疫特異的に結合する抗
体、またはその結合ドメインを含む抗体のフラグメントもしくは誘導体の投与に
よって増加される。
【0143】 一般に、患者の種と同じ種である種起源または種反応性(抗体の場合)の産物
の投与が好ましい。従って、好ましい実施態様において、ヒトRB・RB−IP
複合体、またはCD24*タンパク質、Set*タンパク質、GluT1*タンパ ク質、および115392*タンパク質、またはそれらの誘導体もしくはアナロ グ、ヒトRB・RB−IP複合体、またはヒトCD24*、ヒトSet*、ヒトG
luT1*、もしくはヒト115392*、またはそれらの誘導体もしくはアナロ
グのメンバーをコードする核酸、ヒトRB・RB−IP複合体、またはCD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*、またはそれらの誘導体に対す
る抗体は、ヒト患者への治療投与または予防投与される。
【0144】 好ましい実施態様において、特定の治療剤の効果、およびその投与が罹患した
組織の処置に必要とされているか否かを決定するために、適切なインビトロアッ
セイまたはインビボアッセイが利用される。種々の特定の実施態様において、イ
ンビトロアッセイが、患者の障害に関与する代表的な細胞または細胞型に関して
実施され、治療剤がそのような細胞型に対して所望の効果を有するか否かを決定
し得る。ヒトにおける利用の前に、治療用化合物は、適切なインビボ動物モデル
系において試験され得る。
【0145】 (a)悪性疾患 先に議論されるように、RB・RB−IP複合体の成分(すなわち、RB、R
N−tre、CAS、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、Zap3、C
D24*、Set*)は、細胞増殖の調節に関与している。従って、本発明の治療
剤は、細胞の過剰増殖または細胞増殖の制御の喪失に関連する疾患または障害(
特に、癌、悪性疾患、および腫瘍)の処置または予防に有用であり得る。本発明
の治療剤は、悪性疾患および関連する障害の処置または予防における効力につい
て、当該分野において公知の任意の方法によってアッセイされ得る。このような
アッセイは、形質転換された細胞または患者の腫瘍由来の細胞を使用するインビ
トロアッセイ、または癌もしくは悪性疾患の動物モデルを使用するインビボアッ
セイなどを含む。限定の目的ではなく、例示の目的のために、潜在的に有効な治
療剤は、培養中の腫瘍または形質転換した細胞の増殖を阻害するか、コントロー
ルと比較して動物モデルにおける腫瘍の後退、または他の類似の生理学的応答を
引き起こすように機能し得る。
【0146】 従って、一旦悪性疾患または癌がRB・RB−IP複合体活性、またはCD2
*活性、Set*活性、GluT1*活性、および115392*活性を調節する
こと(すなわち、阻害すること、アンタゴナイズすること、増強すること、また
はアゴナイズすること)による処置を受け入れることが示されると、次にはその
癌または悪性疾患は、RB・RB−IP複合体、およびRB・RB−IP複合体
の個々の結合パートナーを供給することを含む、RB・RB−IP複合体形成お
よび機能、またはCD24*機能、Set*機能、GluT1*機能、および11 5392*機能を調節する治療剤の投与によって処置または予防され得る。この ような癌および悪性疾患の概説のために、例えば、Fishmanら、1985
、Medicine、第2版(J.B.Lippincott Co.,Phi
ladelphia)を参照のこと。
【0147】 さらに、本発明の特定の実施態様において、悪性疾患、または増殖不全変化(
例えば、化生および形成異常)、または過剰増殖性障害が、例えば、膀胱、乳房
、結腸、肺、前立腺、膵臓、または子宮において処置または予防される。
【0148】 (b)前悪性状態 癌または悪性疾患の治療的または予防的処置に有効な本発明の治療剤はまた、
前悪性状態の処置のために投与され得、および/または前悪性疾患から新生物も
しくは悪性状態への進行を予防するために投与され得る。このような予防的また
は治療的使用は、特に、過形成、化生、または、最も特別には、形成異常からな
る非新生物性細胞増殖が起こる、新形成または癌への進行を開始が分かっている
かまたはその疑いのある状態に必要とされる。このような異常な細胞増殖の概説
については、例えば、RobbinsおよびAngell、1976、Basi
c Pathology、第2版(W.B.Saunders Co.,Phi
ladelphia,PA)を参照のこと。
【0149】 過形成は、その構造または機能の有意な変化なしに、組織または器官における
細胞数の増加を含む制御された細胞増殖の形態である。例えば、子宮内膜の過形
成は、しばしば子宮内膜癌に先だって発生することが示されている。化生は、成
熟細胞または完全に分化した細胞の1つの型が成熟細胞の別の型の代わりをする
、制御された細胞増殖の形態である。化生は、上皮または結合組織細胞に存在し
得る。形成異常は、一般には癌の前駆体であると考えられており、そして主に上
皮中に見い出される。形成異常は、非新生物性細胞増殖の最も障害性の形態であ
り、そして個々の細胞の均一性および細胞の構造的な方向付けの損失を含む。形
成異常は、特徴的に、慢性的な刺激または炎症が存在する場所に生じ、そしてし
ばしば頸部、呼吸気道、口腔、および胆嚢において見い出される。
【0150】 あるいは、または過形成、化生、もしくは形成異常として特徴付けられる異常
な細胞増殖の存在に加えて、患者由来の細胞サンプル中でインビボまたはインビ
トロのいずれかで示される、形質転換されたかまたは悪性の表現型の1つ以上の
特徴の存在は、RB・RB−IP複合体活性を調節する能力を有する本発明の治
療剤の予防投与/治療投与の望ましさの指標である。形質転換された表現型の特
徴には、以下が挙げられるがそれらに限定されない:(i)形態学的変化;(i
i)よりゆるい下層の付着;(iii)細胞−細胞接触阻害の損失;(iv)足
場依存性の損失;(v)プロテアーゼ放出;(vi)糖輸送の増加;(vii)
血清要求性の減少;(viii)胎児抗原の発現;(ix)250Kdal細胞
表面タンパク質の消失など。例えば、Richardsら、1986、Mole
cular Pathology(W.B.Saunders Co.,Phi
ladelphia,PA)を参照のこと。
【0151】 本発明の特定の実施態様において、悪性疾患についての以下の1つ以上の素因
を示す患者は、有効量の治療剤の投与によって処置される:(i)悪性疾患に関
連する染色体の転座(例えば、慢性骨髄性白血病についてのフィラデルフィア染
色体(bcr/abl)および濾胞性リンパ腫についてのt(14;18)など
);(ii)家族性ポリポーシスまたはガードナー症候群(結腸癌の可能性のあ
る前兆);(iii)意義が未決定の単一クローン性高ガンマグロブリン血症(
多発性骨髄腫の可能性のある前駆体)、および(iv)メンデル(遺伝的)遺伝
パターンを示す癌または前癌性疾患(例えば、結腸の家族性ポリポーシス、ガー
ドナー症候群、遺伝性外骨腫症、多発性内分泌腺腫症、アミロイド産生および褐
色細胞腫を伴う髄質の甲状腺癌、ポイツ‐ジェガーズ症候群、フォン・レックリ
ングハウゼンの神経線維腫症、網膜芽細胞腫、頸動脈小体腫瘍、皮膚黒色癌、眼
内黒色癌、色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum)、毛
細血管拡張性運動失調、チェディアック‐東症候群、白皮症、ファンコーニ形成
不全性貧血、およびブルーム症候群)を有する人の一親等。
【0152】 別の好ましい実施態様において、本発明の治療剤は、乳癌、結腸癌、肺癌、膵
臓癌、もしくは子宮癌、または黒色腫または肉腫への進行を予防するために、ヒ
ト患者に投与される。
【0153】 (c)過剰増殖性障害および異常増殖性障害 本発明の1つの実施態様において、治療剤は過剰増殖性障害または良性の異常
増殖性(dysproliferative)障害の治療的または予防的処置に
おいて投与される。本発明の治療剤は、過剰増殖性疾患または障害を処置または
予防することにおける効力について当該分野において公知の任意の方法によって
アッセイされ得る。このようなアッセイは、インビトロ細胞増殖アッセイ、過剰
増殖疾患または障害の動物モデルを使用するインビトロまたはインビボアッセイ
などを含む。潜在的に有効な治療剤には、コントロールと比較して、培養物にお
ける細胞増殖を減少するか、または動物モデルにおける成長もしくは細胞増殖を
阻害する治療剤が挙げられるがそれらに限定されない。
【0154】 従って、一旦過剰増殖性障害がRB・RB−IP複合体活性、またはCD24 * 活性、Set*活性、GluT1*活性、もしくは115392*活性の調節によ
る処置を受け入れることが示されると、過剰増殖性疾患または過剰増殖性障害は
、RB・RB−IP複合体形成、またはCD24*活性、Set*活性、GluT
*活性、もしくは115392*活性を調節する治療剤の投与(RB・RB−I
P複合体および/またはRB・RB−IP複合体の個々の結合パートナーの供給
を含む)によって処置または予防され得る。
【0155】 本発明の特定の実施態様は、肝硬変(瘢痕化が正常な肝臓の再生プロセスを追
い越した状態)の処置または予防;ケロイド/肥大性の瘢痕形成(瘢痕プロセス
が正常な再生のプロセスを妨害する、皮膚の外観の損ない)の処置;乾癬(過度
の皮膚の増殖および正しい細胞運命の決定の遅延によって特徴付けられる一般的
な皮膚の状態);良性腫瘍;線維性嚢胞性の状態および組織肥大(例えば、前立
腺肥大)に関する。
【0156】 (d)神経変性性疾患 RBおよびRBの特定の結合パートナー(例えば、Nlk1(Nek2)、シ
クロフィリンA、Zap3、およびGluT1*)は、神経変性性疾患(neu rodegenerative disease)に特徴的である細胞成熟およ
びアポトーシスの脱調節に関与している(例えば、Isslebacherら、
1997、Principals of Internal Medicine
、第13版、McGraw Hill、New York、NYを参照のこと)
。さらに、シクロフィリンAはまた、神経変性性疾患および障害の基礎をなす原
因であると再度考えられるミトコンドリアの機能不全に関与する。従って、特に
RB・Zap3、RB・GluT1*、RB・シクロフィリンA、およびRB・ Nlk1(Nek2)複合体を調節(または供給)する治療剤であるが、それに
限定されない本発明の治療剤は、神経変性性疾患を処置または予防するのに有効
であり得る。神経変性性疾患に関与するRB・RB−IP複合体を調節する本発
明の治療剤は、そのような神経変性性疾患および障害を処置または予防すること
における効力について当該分野において公知の任意の方法によってアッセイされ
得る。そのようなアッセイは、調節された細胞成熟もしくはアポトーシスの阻害
についてのインビトロアッセイ、または神経変性性疾患もしくは障害の動物モデ
ルを使用するインビボアッセイなどを含む。潜在的に有効な治療剤は、例えば、
調節された細胞成熟を促進し、そして培養物における細胞アポトーシスを妨害す
るか、またはコントロールと比較して動物モデルにおける神経変性を低減するが
これらに限定されない。
【0157】 一旦神経変性性疾患または障害がRB・RB−IP複合体活性の調節による処
置に感受性があることが示されると、その疾患または障害は、RB・RB−IP
複合体形成を調節する治療剤の投与によって処置または予防され得る。
【0158】 (e)ウイルス感染 先に議論されるように、RBおよびシクロフィリンAは、HIV−1について
の感染機構を含む種々のウイルスの感染機構に強く関与する。
【0159】 非常に多くのヒト疾患が、ビルレントなウイルス感染および日和見性のウイル
ス感染から生じる。広範な種々の組織(気道、CNS、皮膚、尿生殖器路、眼お
よび耳、免疫系、胃腸管、ならびに筋骨格系を含む)のウイルス疾患は、すべて
の年齢の非常に多数のヒトに罹患する。
【0160】 前述のように、本発明の治療剤(特に、RB・RB−IP複合体(特に、RB
・シクロフィリンA複合体)の活性を調節(または供給)する治療剤)は、ウイ
ルス疾患または障害を処置または予防するのに有効であり得る。本発明の治療剤
(特に、RB・シクロフィリンAのレベルまたは活性を調節する治療剤)は、そ
のようなウイルス疾患および障害を処置または予防することにおける効力につい
て、当該分野において公知の任意の方法によってアッセイされ得る。そのような
アッセイは、細胞培養モデルを使用する広範に使用されるインビトロアッセイ、
およびウイルス疾患または障害の動物モデルを使用するインビボアッセイを含む
。例えば、McGeochら、1986、J.Gen.Virol.67:81
3〜825を参照のこと。例示の目的のためであって、限定の目的のためではな
いが、潜在的に有効な治療剤は、コントロールと比較して、動物モデルにおける
ウイルス応答を低減する。
【0161】 従って、一旦ウイルス疾患または障害が、シクロフィリンA複合体活性の調節
による処置に感受性であることが示されると、ウイルス疾患または障害は、RB
・シクロフィリンA複合体形成を調節する(RB・シクロフィリンA複合体を供
給することをふくむ)ように機能する治療剤の投与によって処置または予防され
得る。
【0162】 (g)遺伝子治療 本発明の特定の実施態様において、RBおよび/またはRB−IP、あるいは
CD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*、またはそれらの機
能的な誘導体をコードする配列を含む核酸は、遺伝子治療によって、RB・RB
−IP複合体機能、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115 392*の機能を調節するために投与される。さらなる特定の実施態様において 、RBおよびRB−IP(例えば、RN−tre、CAS、IP−30、L6、
IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17
β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、または115392*)の両
方、またはそれらの機能的な誘導体をコードする核酸が、遺伝子治療によって投
与される。本明細書中で使用される遺伝子治療とは、被験体への特定の核酸の投
与によって行われる治療をいう。本発明のこの上述の実施態様において、その核
酸は、RB・RB−IP複合体、またはCD24*、Set*、GluT1*、も しくは115392*の機能を調節することによって治療的効果を媒介するコー ドタンパク質を産生する。
【0163】 当該分野で利用可能な遺伝子治療のための任意の方法が本発明によって使用さ
れ得る。好ましい局面において、その治療剤は、適切な宿主中で、RBおよびR
b−IPタンパク質を発現するか、またはCD24*、Set*、GluT1*、 もしくは115392*、またはそのフラグメントもしくはキメラタンパク質を 発現する発現ベクターの一部である、RBおよびRB−IP核酸、またはCD2
*、Set*、GluT1*、もしくは115392*核酸を含む。特に、このよ
うな核酸は、RBおよびRB−IPコード領域に作動可能に連結されるか、また
はCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*のコード領域に作
動可能に連結されたプロモーターを有し、このプロモーターは、誘導性または構
成性であり、そして必要に応じて組織特異的である。別の特定の実施態様におい
て、RBおよびRB−IPコード配列、またはCD24*、Set*、GluT1 * 、もしくは115392*のコード配列、および任意の他の所望の配列が、ゲノ
ム中の所望の部位で相同組換えを促進する領域に隣接する核酸分子が用いられ、
従ってRBおよびRB−IP核酸の染色体内発現を提供する。例えば、Koll
erおよびSmithies、1989、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 86:8932−8935;Zijlstraら、1989、Na
ture 342:435〜438を参照のこと。
【0164】 治療用核酸の患者への送達は、直接的(すなわち、患者は直接的に核酸または
核酸含有ベクターに暴露される)、または間接的(すなわち、インビトロで細胞
が最初に核酸で形質転換され、次いで患者に移植される)のいずれかであり得る
。これらの2つのアプローチは、それぞれインビボまたはエキソビボ遺伝子治療
として知られる。本発明の特定の実施態様において、その核酸はインビボで直接
的に投与され、ここでこの核酸はコードされた産物を産生するために発現される
。これは以下を含むがこれらに限定されない、当該分野で公知の多数の方法のい
ずれかによって達成され得る:(i)適切な核酸発現ベクターの一部としてこれ
を構築し、そしてこれが細胞内に存在するようにする様式(例えば、欠損してい
るかもしくは弱毒化したレトロウイルスベクターまたは他のウイルスベクターを
使用する感染による;米国特許第4,980,286号を参照のこと)で投与す
ること、または(ii)裸のDNAの直接的な注入、または微粒子ボンバードメ
ントの使用を通して(例えば、「Gene Gun」;Biolistic,D
uPont)、または脂質、細胞表面レセプター/トランスフェクト薬剤でDN
Aをコートすることによって、またはリポソーム、微粒子、もしくはマイクロカ
プセル中にカプセル化することを通して、または核に入ることが公知であるペプ
チドに連結してそれを投与することによって、またはレセプター媒介エンドサイ
トーシスに予め配置されるリガンドにそれを連結して投与することによって(例
えば、WuおよびWu、1987、J.Biol.Chem.262:4429
−4432を参照のこと)(これは、目的のレセプターを特異的に発現する細胞
型を「標的化する」ために使用され得る)、など。
【0165】 本発明の別の特定の実施態様において、リガンドがエンドソームを崩壊させ、
従って核酸が続くリソソーム性の分解を避けることを可能にするように設計され
た融合原性(fusogenic)ウイルスペプチドを含む、核酸リガンド複合
体が産生され得る。なお別の特定の実施態様において、その核酸は、特定のレセ
プターを標的化することによって、細胞特異的なエンドサイトーシスおよび発現
についてインビボで標的化され得る。例えば、PCT公開WO92/06180
;WO93/14188およびWO93/20221を参照のこと。あるいは、
核酸は細胞内に導入され得るか、そして相同組換えによる発現のために宿主細胞
ゲノム中に組込まれ得る。例えば、Zijlstraら、1989、Natur
e 342:435−438を参照のこと。
【0166】 なお別の特定の実施態様において、RBおよび/またはRB−IP核酸、また
はCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*核酸を含むウイル
スベクターが用いられる。例えば、ウイルスゲノムのパッケージングおよび続い
て起こる宿主細胞DNAへのその組込みに必要ではないこれらのレトロウイルス
特異的配列を欠失するように改変されたレトロウイルスベクターが利用され得る
(例えば、Millerら、1993、Meth.Enzymol.217:5
81−599を参照のこと)。遺伝子治療に使用されるべき、RBおよび/また
はRB−IP(好ましくは、RBおよびRB−IPの両方)核酸、またはCD2
*、Set*、GluT1*、もしくは115392*核酸は、患者への遺伝子の
送達を容易にするベクター中へクローニングされる。例えば、Boesenら、
1994 Biotherapy 6:291−302;Kiemら、1994
、Blood 83:1467−1473を参照のこと。さらに、アデノウイル
スが、呼吸器上皮への遺伝子の送達について特に有効な「ビヒクル」である。 アデノウイルスに基づく送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、お
よび筋肉である。アデノウイルスはまた、非分裂細胞に感染する能力という利点
を有する。概説として、例えば、KozarskyおよびWilson、199
3、Curr.Opin.Gen.Develop.3:499−503を参照
のこと。アデノウイルス随伴ウイルス(AAV)もまた、遺伝子治療における使
用が提案されてきた。例えば、Walshら、1993、Proc.Soc.E
xp.Biol.Med.204:289−300を参照のこと。
【0167】 本発明の実施における遺伝子治療に対するさらなるアプローチとしては、エレ
クトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェク
ション、またはウイルス感染のような方法によるインビトロ組織培養中の細胞へ
の遺伝子の移入が挙げられる。一般的には、移入の方法論は、細胞への選択マー
カーの移入を含む。次いで、取り上げられ、そして移入した遺伝子を発現してい
るこれらの細胞の単離を容易にするために、細胞を選択圧(例えば、抗生物質耐
性)の下に置く。次いで、これらの細胞を患者に送達する。特定の実施態様にお
いて、この核酸は、当該分野で公知の任意の方法(トランスフェクション、エレ
クトロポレーション、マイクロインジェクション、目的の核酸配列を含むウイル
スベクターまたはバクテリオファージベクターを用いる感染、細胞融合、染色体
媒介遺伝子移入、マイクロセル媒介遺伝子移入、スフェロプラスト融合、および
移入によってレシピエント細胞の必要な発生的および生理学的機能が破壊されな
いことを確実にする同様の方法論を含むがこれらに限定されない)によって生じ
る組換え細胞のインビボ投与に先立って、細胞内に導入される。例えば、Loe
fflerおよびBehr、1993、Meth.Enzymol.217:5
99−618を参照のこと。この技術は細胞への核酸の安定な移入を提供するべ
きであり、その結果、この核酸は細胞によって発現可能であり、そして好ましく
はその細胞の子孫に遺伝可能であり、そしてその子孫によって発現可能である。
【0168】 本発明の好ましい実施態様において、得られる組換え細胞は、以下を含むが、
これらに限定されない当該分野で公知の種々の方法によって患者に送達され得る
:上皮細胞への注射(例えば、皮下);患者への皮膚移植片としての組換え皮膚
細胞の適用および組換え血球(例えば、造血幹細胞および前駆細胞)の静脈内注
射。使用のために企図される細胞の総量は、所望の効果、患者の状態などに依存
し、そして当業者によって決定され得る。
【0169】 核酸が遺伝子治療の目的のために導入され得る細胞は、任意の所望の利用可能
な細胞型を含み得、そして上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、
筋肉細胞、肝細胞および血球(例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓などか
ら得られたT−リンパ球、B−リンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸
球、巨核球、顆粒球、および造血幹細胞または前駆細胞)を含むがこれらに限定
されない。本発明の好ましい実施態様において、遺伝子治療に利用される細胞は
、患者に対して自己由来であり得る。
【0170】 組換え細胞が遺伝子治療に使用される特定の実施態様において、インビトロで
単離され得そして維持され得る幹細胞または前駆細胞が利用され得る。このよう
な幹細胞としては、造血幹細胞(HSC)、上皮組織(例えば、皮膚、腸の内層
、胚の心筋細胞、肝臓の幹細胞)の幹細胞、および神経の幹細胞が含まれるが、
これらに限定されない(例えば、StempleおよびAnderson、19
92、Cell 71:973−985を参照のこと)。造血幹細胞(HSC)
に関しては、HSCのインビトロでの単離、増殖、および維持を提供する任意の
技術が、本発明のこの特定の実施態様において使用され得る。以前に議論したよ
うに、遺伝子治療のために利用されるHSCは、好ましくは、患者に対して自己
由来である。従って、非自己由来HSCは、好ましくは、将来の宿主/患者の移
植免疫反応を抑制する方法と組み合わせて利用される。例えば、Kodoら、1
984.J.Clin.Invest.73:1377−1384を参照のこと
。本発明の別の好ましい実施態様において、HSCは、患者への投与の前に、当
該分野で公知の任意の技術によって高度に富化され得る(または、実質的に純粋
な形態で産生される)。例えば、WitlockおよびWitte、1982、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:3608−3612を
参照のこと。
【0171】 別の特定の実施態様において、遺伝子治療の目的のために導入されるべき核酸
は、核酸の発現が、転写の適切な誘発因子の存在または非存在を調節することに
よって調節されるように、コード領域に作動可能に連結された誘導性プロモータ
ーを含む。
【0172】 さらなる方法は、RBおよびRB−IPタンパク質、またはそれらの機能的誘
導体をコードする核酸を送達するための使用について適合され得、そしてこれは
、本発明の範囲内である。
【0173】 ((h)RB・RB−IP複合体およびCD24*、Set*、GluT1*、 または115392*の抑制に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの利用) 本発明の特定の実施態様において、RB・RB−IP複合体またはCD24* 、Set*、GluT1*、もしくは115392*のタンパク質の形成および機 能は、RBタンパク質および/またはRB−IPSについてのアンチセンス核酸
の使用によって阻害され得、そして好ましくはRBタンパク質およびRB−IP
の両方からなる。さらに、本発明は、RBタンパク質および/またはRB−IP
Sあるいはその一部をコードするゲノム配列(遺伝子)またはcDNAに対して
アンチセンスである核酸(少なくとも6ヌクレオチド長)の治療的または予防的
使用を開示する。このようなアンチセンス核酸は、RB・RB−IP複合体また
はCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*タンパク質の形成
または活性を阻害する治療剤(Therapeutic)としての有用性を有し
、そして治療的または予防的様式において使用され得る。
【0174】 本発明の別の特定の実施態様は、原核生物細胞または真核生物細胞中でのRB
タンパク質およびRB−IPの核酸配列の発現の阻害についての方法論を開示す
る。これは、RBタンパク質およびRB−IPのアンチセンス核酸またはそれら
の誘導体の治療的有効量をその細胞に提供する工程からなる。
【0175】 本発明のアンチセンス核酸は、細胞に直接的に投与され得るか、または、外来
性の、導入された配列の転写によってインビボで産生され得るかのいずれかであ
り得るオリゴヌクレオチドであり得る。さらに、そのアンチセンス核酸は、RB
タンパク質またはRB−IP mRNAのコード領域(すなわち、エキソン性)
および/または非コード領域(すなわち、イントロン性)のいずれかに相補性で
あり得る。RBタンパク質およびRB−IPアンチセンス核酸は、少なくとも、
6ヌクレオチド長であり、そして好ましくは、6〜200ヌクレオチド長の範囲
のオリゴヌクレオチドである。特定の実施態様において、アンチセンスヌクレオ
チドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくと
も100ヌクレオチド、または少なくとも200ヌクレオチドである。アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは、DNAまたはRNA(または、そのキメラ混合物、
誘導体もしくは改変したバージョン)であり得、一本鎖または二本鎖のいずれか
であり得、そして塩基、糖、もしくはリン酸骨格部分において改変され得る。
【0176】 さらに、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、他の付随する官能基(
例えば、ペプチド、細胞膜を横切るオリゴヌクレオチドの輸送を容易にする部分
、ハイブリダイゼーショントリガー架橋試薬、ハイブリダイゼーショントリガー
切断試薬など)を含み得る。例えば、Letsingerら、1989、Pro
c.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6553−6556;P
CT公開番号WO88/09810を参照のこと。特定の実施態様において、R
Bタンパク質およびRB−IPアンチセンスオリゴヌクレオチドは、触媒性RN
Aすなわちリボザイムを含む。例えば、Sarverら、1990、Scien
ce 247:1222−1225を参照のこと。
【0177】 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を含むがこれらに限定され
ない当該分野で公知の標準的な方法論によって合成され得る:(i)自動化ホス
ホロチオエート媒介オリゴヌクレオチド合成(例えば、Steinら、1988
.Nuc.Acids Res.16:3209を参照のこと)、または(ii
)メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、制御化細孔ガラスポリマー支持体
を使用することによって調製され得る(例えば、Sarinら、1988.Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:7448−7451を
参照のこと))。
【0178】 代替の実施態様において、RBタンパク質およびRB−IPアンチセンス核酸
は、外因性の配列の転写によって細胞内で産生される。例えば、ベクター((細
胞によってエキソサイトーシスされる際に)インビボで転写される)が作製され
得、そのようにしてアンチセンス核酸(RNA)種を産生し得る。前述のベクタ
ーは、所望のアンチセンスRNAを産生するように転写され得る限り、エピソー
ムのままであるか、または染色体に組み込まれるかのいずれかであり得る。本発
明の実施において利用されるベクターは、細菌、ウイルス、酵母、または、当該
分野で公知であって、哺乳動物細胞における複製および発現のために利用される
他の供給源に由来し得る。RBタンパク質およびRB−IPアンチセンスRNA
をコードする配列の発現は、哺乳動物細胞、好ましくは、ヒト細胞において機能
することが当該分野で公知である任意のプロモーターによって促進され得る。こ
のようなプロモーターは、誘導性であるかまたは構成性であり得、そして以下を
含むがこれらに限定されない:(i)SV40初期プロモーター領域;(ii)
ラウス肉腫ウイルス(RSV)の3’末端の長い末端反復配列に含まれるプロモ
ーター;(iii)ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター、および(
iv)メタロチオネイン遺伝子の調節配列。
【0179】 RBタンパク質およびRB−IPアンチセンス核酸は、RBタンパク質・RB
−IP複合体を発現(好ましくは、過剰発現)する細胞型の障害の処置または予
防において、予防的または治療的に利用され得る。RBタンパク質およびRB−
IP RNAを発現または過剰発現する細胞型は、以下を含むがこれらに限定さ
れない当該分野で公知の種々の方法によって同定され得る:RBタンパク質特異
的核酸、およびRB−IP特異的核酸とのハイブリダイゼーション(例えば、ノ
ーザンハイブリダイゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーション、イン
サイチュハイブリダイゼーションによる)、または特定の細胞型由来のRNAの
インビトロでRBタンパク質およびRB−IPへと翻訳される能力を免疫組織化
学によって観察することによる方法。好ましい局面において、患者由来の初代組
織は、例えば、免疫組織化学またはインサイチュハイブリダイゼーションによっ
て実際に処置する前に、RBタンパク質および/またはRB−IP発現について
アッセイされ得る。
【0180】 薬学的に受容可能なキャリア中に含まれた有効量のRBタンパク質およびRB
−IPアンチセンス核酸を含む本発明の薬学的組成物は、RBタンパク質・RB
−IP複合体RNAもしくはタンパク質を発現または過剰発現する型である疾患
あるいは障害を有する患者に投与され得る。特定の障害または状態の処置におい
て有効であるRBタンパク質および/またはRB−IPアンチセンス核酸の量は
、障害または状態の性質に依存し、そして標準的な臨床的技術によって決定され
得る。可能であれば、ヒトにおいて試験および使用する前に、インビトロで、次
いで有用な動物モデル系において、アンチセンス細胞傷害性を決定することが所
望される。特定の実施態様において、RBタンパク質およびRB−IPアンチセ
ンス核酸を含む薬学的組成物は、リポソーム、微小粒子、マイクロカプセルを通
して投与され得る。例えば、Leonettiら、1990.Proc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.A.87:2448−2451を参照のこと。
【0181】 ((VI)RB・RB−IP複合体ならびにCD24*、Set*、GluT1 * 、および115392*タンパク質のアッセイ) RB・RB−IP複合体ならびにCD24*、Set*、GluT1*、および 115392*タンパク質、そしてその誘導体、フラグメント、およびアナログ の機能的活性は、種々の方法によってアッセイされ得る。RB・RB−IP複合
体活性またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*活性(
例えば、抗RB・RB−IP抗体、抗CD24*抗体、抗Set*抗体、抗Glu
T1*抗体、および抗115392*抗体、ならびにRBおよびRB−IPアンチ
センス核酸)の推定のモジュレーター(例えば、インヒビター、アゴニスト、お
よびアンタゴニスト)は、RB・RB−IP複合体形成および/または活性、な
らびにCD24*、Set*、GluT1*、または115392*活性を調節する
それらの能力についてアッセイされ得る。
【0182】 (i)イムノアッセイ 例えば、本発明の特定の1つの実施態様において、ネイティブである野生型R
B・RB−IP複合体またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは11 5392*と結合あるいは競合する能力(i)について、抗RB・RB−IP抗 体、または抗CD24*抗体、抗Set*抗体、抗GluT1*抗体、もしくは抗 115392*抗体に結合する能力(ii)についてアッセイする場合に、当該 分野で公知の種々の、種々のイムノアッセイが使用され得る。これらのイムノア
ッセイとしては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合イムノソルベント
検定法(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、イムノラジオメトリ
ックアッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、インサイチュイムノアッ
セイ、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫
蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、免疫電気泳動アッセイなどのような技術
を使用する競合アッセイ系および非競合アッセイ系が含まれるが、これらに限定
されない。特定の実施態様において、抗体結合は、一次抗体上の標識を検出する
ことによって検出される。別の特定の実施態様において、一次抗体は、一次抗体
への二次抗体(または試薬)の結合を検出することによって検出される。なお別
の実施態様において、二次抗体は、標識されている。イムノアッセイにおける結
合を検出するために、当該分野において多くの手段が公知であり、そして全てが
本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0183】 (VII)遺伝子発現アッセイ RBおよびRB−IP遺伝子の発現(両方とも内因性遺伝子であり、これらの
遺伝子を含むクローン化されたDNAから発現される)は、当該分野で公知の技
術を使用して検出され得、これらには、種々の細胞型におけるRBまたはRB−
IP遺伝子に特異的なプローブを用いる、サザンハイブリダイゼーション;ノー
ザンハイブリダイゼーション;制限エンドヌクレアーゼマッピング;DNA配列
分析;ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PCR;例えば、米国特許第4,683,2
02号、同第4,683,195号、同第4,889,818号;Gyllen
steinら、1988.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
5:7652−7657;Lohら、1989.Science 243:21
7−220)またはRNaseプロテクションが含まれるが、これらに限定され
ない。
【0184】 1つの特定の実施態様において、サザンハイブリダイゼーションは、生理学的
または病理学的状態に対するRBまたはRB−IP遺伝子の変異の遺伝的連鎖を
検出するために使用され得る。種々の発生段階での種々の細胞型は、それらのR
BおよびRB−IPの発現(特に、同一の細胞内でのRBおよびRB−IPの同
時発現)、またはCD24*、Set*、GluT1*、もしくは115392*
現について特徴付けされ得る。ノーザンブロット分析またはサザンブロット分析
についてのハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーは、使用される特
定のプローブに対する所望の程度の関連性を有する核酸を検出することを確実に
するために操作され得る。これらの方法および当該分野で周知の他の方法の改変
が使用され得る。
【0185】 (VIII)結合アッセイ RB−IPの誘導体(例えば、フラグメント)およびアナログは、当該分野で
公知の任意の方法(例えば、(i)改変され、改善された酵母2ハイブリッドア
ッセイ系(後に記載される)、(ii)複合体内でRBに結合する抗体との免疫
沈降およびその後の免疫沈降したタンパク質のサイズ分画による分析(例えば、
変性または非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動による)、(iii)ウエス
タン分析、(iv)非変性ゲル電気泳動など)によってRBへの結合についてア
ッセイされ得る。
【0186】 (IX)生物学的活性についてのアッセイ 本発明の特定の実施態様は、RBの誘導体またはアナログを生物学的活性につ
いてスクリーニングするための方法論を提供する。この方法論は、このRBの誘
導体またはアナログをRB−IPと接触させる工程、およびこのRBタンパク質
の誘導体またはアナログとこのタンパク質との間の複合体の形成を検出する工程
を包含する;ここで、この複合体の形成の検出は、このRBの誘導体またはアナ
ログが生物学的(例えば、結合)活性を有することを示す。さらに、本発明の別
の実施態様は、RB−IPタンパク質の誘導体またはアナログを、生物学的活性
についてスクリーニングするための方法に関する。この方法は、上記のタンパク
質の誘導体またはアナログを、RBと接触させる工程;およびこのタンパク質の
誘導体またはアナログとRBとの間の複合体の形成を検出する工程を包含し;こ
こで、この複合体の形成の検出が、このタンパク質の誘導体またはアナログが生
物学的活性を保持することを示す。
【0187】 ((X)RB・RB−IP複合体活性の調節) 本発明は、RB・RB−IPに関与する能力を保持するタンパク質の活性の、
そのタンパク質(またはその誘導体またはアナログ)の結合パートナーの投与に
よる調節に関連する方法論を開示する。RB(ならびに、その誘導体およびアナ
ログ)は、RB−IPの活性またはレベルを調節する能力について、細胞を、R
Bタンパク質、あるいはRBタンパク質、もしくはRBタンパク質に免疫特異的
に結合する抗体、またはその結合ドメインを含むその抗体のフラグメントもしく
は誘導体をコードする核酸と接触させるか、あるいはRB−IP遺伝子を発現す
る動物に、RBタンパク質、あるいはRBタンパク質、もしくはRBタンパク質
に免疫特異的に結合する抗体、またはその結合ドメインを含むその抗体のフラグ
メントもしくは誘導体をコードする核酸を投与して、そしてRB−IPレベルま
たは活性における変化を測定することにより、アッセイされ得る。ここで、RB
−IPレベルまたは活性の変化は、RBがRB−IPのレベルまたは活性を調節
し得ることを示す。あるいは、RB−IPは、RB、あるいはRB、もしくはR
Bに免疫特異的に結合する抗体、またはその結合ドメインを含むその抗体のフラ
グメントもしくは誘導体をコードする核酸と細胞を接触させるか、あるいはこの
タンパク質をコードする遺伝子を発現する動物に、RB、あるいはRB、もしく
はRBに免疫特異的に結合する抗体、またはその結合ドメインを含むその抗体の
フラグメントもしくは誘導体をコードする核酸を投与して、RBタンパク質の活
性またはレベルを調節する能力についてアッセイされ得る。ここで、RBレベル
または活性の変化は、RB−IPがRBのレベルまたは活性を調節し得ることを
示す。
【0188】 ((XI)RB関連処置アッセイ) (i)腫瘍形成 RB、およびRBの同定された結合パートナー(RB−IP)(例えば、RN
−tre、CAS、IK、Nlk1(Nek2)、LDH−B、CD24*、お よびSet*)のいくつかは、細胞増殖の制御、従って細胞の形質転換および腫 瘍形成の制御において役割を果たす。本発明は、RB・RB−IP複合体および
CD24*およびSet*タンパク質(ならびにその誘導体、フラグメント、アナ
ログ、および相同体)を、細胞増殖、細胞形質転換、および/または腫瘍形成を
インビトロおよびインビボで変更するその能力について、スクリーニングするた
めの方法論を開示する。例えば(しかし限定するためではなく)、細胞増殖は、 3 Hチミジン取り込みを測定すること、直接的に細胞を計数すること、プロトオ ンコジーン(例えば、c−fos、c−myc)細胞周期マーカーなどのような
公知の遺伝子の転写活性における変化を検出することによって、アッセイされ得
る。
【0189】 RB・RB−IP複合体ならびにCD24*およびSet*タンパク質(および
その誘導体、フラグメント、アナログ、および相同体)はまた、インビトロで細
胞の形質転換(すなわち、悪性表現型への進行)を誘導するか、または阻害する
際の活性についてスクリーニングされ得る。本発明のタンパク質およびタンパク
質複合体は、正常な表現型(細胞の形質転換についてアッセイするため)または
形質転換した細胞の表現型(細胞の形質転換の阻害についてアッセイするため)
のいずれかを有する細胞を、本発明のタンパク質またはタンパク質複合体と接触
させ、そしてその細胞を、形質転換した表現型と関連する特徴(インビボでの腫
瘍形成能力と関連するインビトロの特徴のセット)(軟寒天におけるコロニー形
成、より円形の細胞形態、より緩やかな下層の付着、接触阻害の損失、足場依存
性の損失、プラスミノーゲンアクチベーターのようなプロテアーゼの放出、糖輸
送の増大、血清要求の減少、胎児抗原の発現、250Kdalの細胞表面タンパ
ク質の消失などを含むが、これらに限定されない)の獲得または損失について検
査することによって、スクリーニングし得る。例えば、Luriaら、1978
.General Virology,第3版(John Wiley&Son
s、New York,NY)を参照のこと。
【0190】 RB・RB−IP複合体ならびにCD24*およびSet*タンパク質(ならび
にその誘導体、フラグメント、アナログ、および相同体)はまた、インビボで非
ヒト試験動物において腫瘍形成を促進または阻害する活性についてスクリーニン
グされ得る。過剰増殖障害(例えば、腫瘍形成および転移伝播)の非常に多くの
動物モデルが当該分野で公知である。例えば、Lovejoyら、1997.J
.Pathol.181:130−135を参照のこと。本発明の特定の実施態
様において、タンパク質およびタンパク質複合体は、非ヒト試験動物(好ましく
は、ある型の腫瘍を発症するような素因を与えられた試験動物)に投与され得、
そしてその非ヒト試験動物は、引き続き、本発明のタンパク質またはタンパク質
複合体を投与されなかったコントロール動物と比較して、腫瘍形成の発生数の増
大について試験される。あるいは、タンパク質およびタンパク質複合体は、腫瘍
を保持する非ヒト試験動物(例えば、悪性、新生物、もしくは形質転換細胞の導
入によって、または発癌物質を投与することによって腫瘍が誘導された動物)に
投与され得、そして引き続いて、その試験動物内のその腫瘍を、コントロールと
比較して、腫瘍の後退について試験する。従って、過剰増殖性の疾患または障害
が、RB・RB−IP複合体活性の調節による処置に感受性であることが一旦示
されると、その疾患または障害は、RB・RB−IP複合体形成を調節する治療
剤の投与によって処置または予防され得る。
【0191】 (ii)神経変性疾患 細胞周期の進行の制御に関連する、以前に記載された(前出)複合体およびタ
ンパク質と同様に、RBおよびRB−IPシクロフィリンA、Zap3、17β
−HSD6、およびGluT1*は、特に細胞性アポトーシスに関連する。さら に、Zap3の場合、このタンパク質の発現は、神経変性疾患と遺伝的に関連し
ている。RB・RB−IP複合体(特に、RB・シクロフィリンA、RB・Za
p3、RB・17β−HSD6、およびRB・GluT1*複合体)およびその 誘導体、アナログおよびフラグメント、RBおよびRB−IP遺伝子をコードす
る核酸、抗RB・RB−IP抗体、ならびにRB・RB−IP複合体活性の他の
モジュレーターを、インビトロアッセイおよびインビボアッセイにおいて、神経
変性疾患を処置または予防する際の活性について試験し得る。
【0192】 本発明の1つの実施態様において、治療剤は、神経変性疾患の指示薬を示す培
養細胞を接触することによって神経変性疾患を処置または予防する際の活性につ
いてアッセイされ得る。限定ではなく例示の目的で、インビトロでのβ−A4ペ
プチドの過剰発現レベルのアッセイは、治療剤と接触した細胞内の指示薬のレベ
ルとそのように接触されていない細胞内のこの指示薬のレベルを比較することに
よって、特定の治療剤の有効性を確認するために使用され得る。ここで、そのよ
うに接触されたこの細胞における低レベルは、この治療剤が神経変性疾患を処置
または治療する際に活性を有し得ることを示す。神経変性疾患についての細胞培
養モデルの特定の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(
i)罹患個体および非罹患個体由来の培養ラット内皮細胞(例えば、Manei
roら、1997、Methods Find.Exp.Clin.Pharm
acol.19:5−12を参照のこと);(ii)P19マウス胎生期癌細胞
(例えば、Hungら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 89:9439−9443を参照のこと)および(iii)マイネルトの
基底膜由来コリン作用性ニューロンの解離細胞培養物(例えば、Nakajim
aら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:63
25−6329を参照のこと)。
【0193】 本発明の別の実施態様において、神経変性疾患(例えば、β−APPを発現す
るトランスジェニック動物における認識欠損の早熟発達)の症状を示す、または
神経変性疾患の症状を発達しやすい試験動物に治療剤を投与することによって;
およびこの治療剤の投与後の神経変性疾患の症状における変化を測定することに
よって、神経変性疾患を処置または予防する際の活性について、治療剤をアッセ
イし得る。ここで、この神経変性疾患の症状の重篤度の減弱、またはこの神経変
性疾患の症状の予防は、この治療剤が、神経変性疾患を処置または予防する際の
活性を有することを示す。そのような試験動物は、神経変性疾患について当該分
野で公知の多数の動物モデルのうちの任意の1つであり得る。これらの上述の動
物モデル(アルツハイマー病および21トリソミーについての動物モデルを含む
)は、天然のヒト神経変性疾患を正確に模擬する。例えば、Campbellら
、1997、Mol.Psychiatry 2:125−129;Schul
tzら、1997、Mol.Cell.Biochem.174:193−19
7を参照のこと。特定の神経変性動物モデルの例としては、以下が挙げられるが
、これらに限定されない:(i)部分的16トリソミーマウス(例えば、Hol
tzmanら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 9
3:13333−13338を参照のこと);(ii)両側性基底膜大型細胞病
変のラット(例えば、Popovicら、1996、Int.J.Neuros
ci.86:281−299を参照のこと);(iii)加齢ラット(Muir
、1997.Pharmacol.Biochem.Behav.56:687
−696を参照のこと);(iv)アルツハイマー病のPDAPPトランスジェ
ニックマウスモデル(例えば、Johnson−Woodら、1997、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 94:1550−1555)および(v
)実験的自己免疫痴呆(例えば、Oronら、J.Neural Transm
.補遺49:77−84を参照のこと)。
【0194】 (iii)ウイルス感染 さらに、相互作用物質であるRBおよびシクロフィリンAは、ウイルス感染機
構(HIV−1についての感染機構を含む)と強く関連する。以前に議論された
ように、多くのヒト疾患は、毒性ウイルス感染および日和見ウイルス感染から直
接的に生じる。例えば、Belshe、1984、Textbook of H
uman Virology、PSG Publishing、Littlet
on、MAを参照のこと。従って、RB・RB−IP複合体(特に、RB・シク
ロフィリンA複合体)、ならびにその誘導体、アナログ、ならびにフラグメント
、RBおよびRB−IP遺伝子(特に、シクロフィリンA遺伝子)を含む核酸;
抗RB・RB−IP抗体(特に、抗RB・シクロフィリンA抗体)およびRB・
RB−IP複合体活性の種々の他のモジュレーターを、インビトロおよびインビ
ボアッセイの両方において、ウイルス性疾患を処置および予防する際の活性につ
いて試験し得る。
【0195】 本発明の1つの実施態様において、ウイルス反応(例えば、封入体の形成)の
指示薬を示す培養細胞をインビトロで治療剤と接触させることによって、および
治療剤と接触した細胞内の指示薬のレベルとそのように接触されていない細胞内
のこの指示薬のレベルを比較することによって、治療剤を、ウイルス性疾患を処
置または予防する際の活性についてアッセイし得る。ここで、この接触されたこ
の細胞における低レベルは、この治療剤がウイルス性疾患を処置または治療する
際に活性を有し得ることを示す。そのようなアッセイについて使用され得る細胞
モデルとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)Tリンパ
球のウイルス感染(例えば、Selinら、1996、J.Exp.Med.1
83:2489−2499を参照のこと);(ii)脱分化ヘパトーム細胞のB
型肝炎感染(例えば、Raneyら、1997、J.Virol.71:105
8−1071を参照のこと);(iii)培養唾液腺上皮細胞のウイルス感染(
例えば、Clarkら、1994、Autoimmunity 18:7−14
を参照のこと);(iv)CD4+リンパ球細胞株の同調HIV−1感染(例え
ば、Wainbergら、1997、Virology 233:364−37
3を参照のこと);(v)呼吸器上皮細胞のウイルス感染(例えば、Stark
ら、1996、Human Gene Ther.7:1669−1681を参
照のこと)および(vi)NIH−3T3細胞の両栄養性レトロウイルス感染(
例えば、Morganら、1995、J.Virol.69:6994−700
0を参照のこと)。
【0196】 なお別の実施態様において、ウイルス感染の症状(例えば、ウイルス誘導性喘
息の動物モデルにおいて特徴的な呼吸器症状)を有する試験動物、またはウイル
ス反応を示さないが、ウイルス反応を誘発する薬剤で引き続きチャレンジされた
試験動物にこの治療剤を投与することによって、およびこの治療剤投与後のウイ
ルス反応における変化を測定することによって、本発明の治療剤を、ウイルス性
疾患を処置または予防する際の活性についてアッセイし得る;ここで、このウイ
ルス反応における減弱、またはこのウイルス反応の阻止は、この治療剤が、ウイ
ルス性疾患を処置または予防する際に活性を有することを示す。このようなアッ
セイについて利用され得る動物モデルとしては、以下が挙げられるが、これらに
限定されない:(i)モルモットにおける呼吸(respirary)ウイルス
感染(KudlaczおよびKnippenberg、1995、Inflam
m.Res.44:105−110を参照のこと);(ii)マウスのインフル
エンザウイルス感染(例えば、Dobbsら、1996、J.Immunol.
157:1870−1877を参照のこと);(iii)マウスの神経栄養性ウ
イルス感染(例えば、Barnaら、1996、Virology 223:3
31−343を参照のこと);(iv)ハムスターにおける麻疹感染(例えば、
Fukudaら、1994、Acta Otolaryngol.補遺(Sto
ckh.)514:111−116を参照のこと);(v)マウスの脳心筋炎感
染(例えば、Hirasawaら、1997、J.Virol.71:4024
−4031を参照のこと)および(vi)マウスのサイトメガロウイルス(CM
V)感染(例えば、OrangeおよびBiron、1996、J.Immun
ol.156:1138−1142を参照のこと)。
【0197】 ((XII)タンパク質間相互作用についてのアッセイ) 本発明は、RB−IPの誘導体、フラグメント、アナログ、およびホモログを
、RBへの結合についてアッセイおよびスクリーニングするための方法論を開示
する。RBと相互作用するRB−IPの誘導体、フラグメント、アナログ、およ
びホモログは、酵母2ハイブリッドアッセイシステム(例えば、Fieldsお
よびSong,1989.Nature 340:245−246を参照のこと
)、または好ましくは、その改変および改善(米国特許出願番号第08/663
,824号(1996年6月14日出願)および同第08/874,825号(
1997年6月13日出願)(これらの両方が、「Identificatio
n and Comparison of Protein−Protein
Interactions that Occur in Populatio
ns and Identification of Inhibitors
of These Interactions.」と題され、Nandabal
anらに対するものであり、そしてこれらはその全体が本明細書中で参考として
援用される)に記載される)によって同定され得る。
【0198】 改善された酵母ツーハイブリッドシステムによる相互作用するタンパク質の同
定は、レポーター遺伝子(本明細書以下で「レポーター遺伝子」)の発現の検出
に基づき、その転写は、2つのタンパク質の相互作用による転写調節因子の再構
築に依存し、その各々は、転写調節因子の半分に融合されている。ベイトRB(
または誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログ)およびプレイタン
パク質(ベイトタンパク質と相互作用する能力について試験されるタンパク質)
は、それぞれ、DNA結合ドメイン、および転写調節ドメインに対する、または
その逆に対する融合タンパク質として発現される。本発明の特定の実施態様にお
いて、そのプレイ集団は、RB−IPの変異体(例えば、部位特異的変異誘発、
またはヌクレオチド配列における変異を生成する別の方法によって生成されるよ
うな)をコードする1つ以上の核酸であり得る。好ましくは、このプレイ集団は
、DNA(例えば、cDNA、ゲノムDNA、または合成的に生成されたDNA
)によってコードされるタンパク質である。例えば、この集団は、哺乳動物RN
A由来のcDNAの集団の特徴付けされていないサンプルに由来するcDNA配
列を含むキメラ遺伝子から発現され得る。別の特定の実施態様において、ランダ
ムペプチドを発現する組換え体生物学的ライブラリーは、プレイ核酸の供給源と
して使用され得る。
【0199】 本発明は、RB−IPのインヒビターについてスクリーニングするための方法
を開示する。簡単には、タンパク質間相互作用アッセイは、1つ以上の候補分子
の存在下で行われる以外は、本明細書中で先に記載したように行われ得る。レポ
ーター遺伝子活性において得られる増加または減少は、1つ以上の候補分子が不
在である場合に存在していたものと関連して、この候補分子が、相互作用する対
に対して効果を発揮することを示す。好ましい実施態様において、タンパク質相
互作用の阻害は、例えば、減弱されていないタンパク質相互作用がURA3遺伝
子の活性化を引き起こし、酵母を化学的5−フルオロオロチン酸を含有する培地
において死滅させる場合、酵母細胞が生存するために必要とされる。例えば、R
othstein.1983.Meth.Enzymol.101:167−1
80を参照のこと。
【0200】 一般に、ベイトおよびプレイ集団を含むタンパク質は、好ましくは、予め選択
された配列に対して連続して各タンパク質を含有するキメラコード配列の組換え
発現により、融合(キメラ)タンパク質として提供される。1つの集団について
、予め選択された配列は、それがプロモーター内のDNA配列(例えば、転写ア
クチベーターまたはインヒビター)を特異的に認識する限り、任意のDNA結合
ドメインであり得るDNA結合ドメインである。他の集団について、予め選択さ
れた配列は、それぞれ、転写アクチベーターまたはインヒビターの、アクチベー
ターまたはインヒビタードメインである。調節ドメイン単独(タンパク質配列に
対する融合物としてではなく)およびDNA結合ドメイン単独(タンパク質配列
に対する融合物としてではなく)は、好ましくは、アッセイにおいて擬陽性を回
避するために、検出可能に相互作用しない。このアッセイ系はさらに、転写アク
チベーター(またはインヒビター)のDNA結合ドメインについての結合部位を
含有するプロモーターに作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含む。従って
、本発明の実施において、RB融合タンパク質のプレイ融合タンパク質への結合
は、転写アクチベーター(またはインヒビター)の再構築を導き、これは、同時
にレポーター遺伝子の発現を活性化(または阻害)する。
【0201】 特定の実施態様において、本発明は、以下の工程を含む1つ以上のタンパク質
間相互作用を検出するための方法論を開示する:(i)第1の接合型の酵母細胞
の第1の集団においてRB(またはその誘導体、フラグメント、アナログ、また
はホモログ)を組換え発現し、そしてRB配列およびDNA結合ドメインを含有
する第1の融合タンパク質を得る工程であって;ここで、上記第1の酵母細胞の
集団は、上記第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質(転写活性化ドメイ
ンを含む)との相互作用が、上記第1のヌクレオチド配列の転写の増大を生じる
ように、上記DNA結合ドメインによって認識される1つ以上のDNA結合部位
によって「駆動」されるプロモーターに作動可能に連結した第1のヌクレオチド
配列を含有する、工程;(ii)ネガティブ選択して、上記第1のヌクレオチド
配列の上記増大した転写が、上記第2の融合タンパク質の非存在下で起こる、上
記第1の集団における酵母細胞を排除する、工程;(iii)上記第1の接合型
とは異なる第2の接合型の酵母細胞の第2の集団において、多数の上記第2の融
合タンパク質を組換え発現する工程であって;ここで、上記第2の融合タンパク
質は、RB−IPの誘導体、フラグメント、アナログ、またはホモログの配列お
よび転写アクチベーターの活性化ドメイン(ここで、この活性化ドメインは上記
第2の融合タンパク質の各々において同じである)から構成される、工程;(i
v)酵母細胞の上記第1の集団を、酵母細胞の上記第2の集団と接合させて、二
倍体酵母細胞の第3の集団を形成する工程であって、ここで上記二倍体酵母細胞
の第3の集団が、上記DNA結合ドメインによって認識されるDNA結合部位に
よって「駆動される」プロモーターに作動可能に連結した第2のヌクレオチド配
列を含み、その結果、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との相互作
用が、上記第2のヌクレオチド配列の転写の増大をもたらし、ここで、上記第1
および第2のヌクレオチド配列が、同じである得るか、または異なり得る、工程
、ならびに(v)上記第1および/または第2のヌクレオチド配列の転写の増大
を検出し、それによって第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との間の
相互作用を検出する工程。
【0202】 好ましい実施態様において、ベイト(RB配列)およびプレイ(キメラ遺伝子
のライブラリー)は、2つの酵母株を固形培地上で約6〜8時間の期間、接合さ
せることによって合わされる。より好ましくない実施態様において、接合は、液
体培地において行われる。得られる二倍体は、キメラ遺伝子(すなわち、DNA
結合ドメイン融合物および活性化ドメイン融合物)の両方の型を含有する。相互
作用的集団が得られた後、相互作用タンパク質の対をコードするDNA配列は、
DNA結合ドメインハイブリッドまたは活性化ドメインハイブリッドのいずれか
が、別々の反応において増幅される方法によって単離される。好ましくは、この
増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;例えば、Innisら、1990.P
CR Protocols(Academic Press,Inc.,San Diego,CAを参照のこと))によって、DNA結合ドメインハイブリッ
ドまたは活性化ドメインハイブリッドのいずれかに特異的なオリゴヌクレオチド
プライマーの対を利用して行われる。PCR増幅反応はまた、相互作用するタン
パク質対を発現するプールされた細胞、好ましくは、相互作用物のプールされた
アレイにおいて行われ得る。当該分野で公知の他の増幅方法(リガーゼ連鎖反応
;Qβレプリカーゼなどを含むが、これらに限定されない)もまた、使用され得
る。例えば、Krickaら、1995.Molecular Probing
,Blotting,and Sequencing(Academic Pr
ess,New York,NY)を参照のこと。
【0203】 本発明のさらなる実施態様において、DNA結合ドメインハイブリッドタンパ
ク質および活性化ドメインハイブリッドタンパク質をコードするプラスミドはま
た、当該分野で周知のいずれかの方法により単離されそしてクローン化され得る
。例えば、限定はしないが、シャトル(酵母からE.coli)ベクターが、融
合タンパク質の発現のために使用される場合、引き続いて、遺伝子は、E.co
liに酵母DNAを形質転換し、そして細菌からプラスミドを回収することによ
って回収され得る。例えば、Hoffmanら、1987、Gene 57:2
67〜272を参照のこと。
【0204】 ((XIII)薬学的組成物および治療的/予防的投与) 本発明は、本発明の治療剤の薬学的有効量の被験体への投与による処置および
予防の方法を開示する。好ましい実施態様において、治療剤は、実質的に精製さ
れ、そして被験体は哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。
【0205】 治療剤が核酸を含む場合に使用され得る処方および投与方法は、前出の6(i
)章および6(ii)章に記載される。種々の送達系は公知であり、そして本発
明の治療剤を投与するために使用され得る。送達系は、(i)リポソーム、微粒
子、マイクロカプセルに封入;(ii)治療剤を発現し得る組換え細胞;(ii
i)レセプター媒介エンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu、1987、
J.Biol.Chem.262:4429〜4432を参照のこと);(iv
)レトロウイルスまたは他のベクターの部分としての治療的核酸の構築などを含
むがこれらに限定されない 投与方法は皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経
口経路を含むがこれらに限定されない。本発明の治療剤は、任意の都合のよい経
路によって、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚内層
(例えば、口粘膜、直腸および腸の粘膜など)を介する吸収により投与され得、
そして他の生物学的に活性な薬剤と共に投与され得る。全身または局所に投与さ
れ得る。さらに、脳室内およびくも膜下腔内注入を含む任意の適切な経路により
、中枢神経系に治療剤を投与することが有利であり得る。脳室内注射は、貯蔵器
(例えば、Ommaya貯蔵器)に取り付けられた脳室内カテーテルにより促進
され得る。肺投与もまた、吸入器または噴霧器の使用により、およびエアロゾル
化薬剤を有する処方物により利用され得る。処置を必要とする領域への局所的な
治療剤の投与もまた望ましくあり得る;これは、外科手術の間の局所的な注入、
局所適用注射、カテーテル、坐剤、または移植(例であり、限定ではない)によ
り達成され得る。特定の実施態様において、投与は、悪性腫瘍あるいは新生物ま
たは前新生物組織の部位(または、過去にそうであった部位(former s
ite))での直接注射により成され得る。
【0206】 本発明の他の実施態様において、治療剤は、ベシクルで、特にリポソームで送
達され得る。例えば、Langer、1990、Science 249:15
27〜1533を参照のこと。なお別の実施態様において、治療剤は、送達ポン
プ(例えば、Saudekら、1989、New Engl.J.Med.32
1:574を参照のこと)および半透過性のポリマー物質(例えば、Howar
dら、1989、J.Neurosurg.71:105を参照のこと)を含む
がこれらに限定されない制御された放出系で送達され得る。さらに、制御された
放出系は、治療標的(例えば、脳)の近くに配置され得、従って、全身用量の一
部分のみを必要とする。例えば、Goodson、Medical Appli
cations of Controlled Release 1984.(
CRC Press、Bocca Raton、FL)を参照のこと。
【0207】 本発明の特定の実施態様において、治療剤が、タンパク質をコードする核酸で
ある場合、治療的核酸は、適切な核酸発現ベクターの一部分として構築され、そ
して細胞内になるように投与することにより(例えば、レトロウイルスベクター
の使用により、直接注射により、微粒子ボンバードメントの使用により、脂質も
しくは細胞表面レセプターまたはトランスフェクト試薬でコートすることにより
、あるいは核へ侵入することが公知であるホメオボックス様ペプチドに結合して
それを投与することにより(例えば、Joliotら、1991、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 88:1864〜1868を参照のこと)
)などすることにより、そのコードされたタンパク質の発現を促進するためにイ
ンビボで投与され得る。あるいは、核酸治療剤は、細胞中に導入され得、そして
相同組換えにより発現のために宿主細胞DNA中に取り込まれ得る。
【0208】 本発明はまた、薬学的組成物を提供する。このような組成物は、薬学的に有効
量の治療剤および薬学的に受容可能なキャリアを含む。本明細書で使用される場
合、用語「薬学的に受容可能な」とは、動物、より詳細にはヒトにおいて使用す
るために、連邦または州政府の監督官庁により認可されるか、あるいは米国薬局
方または他の一般に認識された薬局方に列挙されることを意味する。用語「キャ
リア」とは、治療剤を投与することに用いる、希釈剤、アジュバント、賦形剤、
またはビヒクルをいい、そして水および油のような滅菌液体を含むがこれに限定
されない。
【0209】 特定の障害または状態の処置において有効である本発明の治療剤の量は、その
障害または状態の性質に依存し、そして当業者によって標準的な臨床技術により
決定され得る。さらに、インビトロアッセイは、最適な投与範囲を同定するため
の補助に必要に応じて使用され得る。処方物において使用される正確な用量はま
た、投与の経路、および疾患または障害の全体的な重篤度に依存し、そして臨床
医および各患者の状況の判断に従って決定されるべきである。しかし、本発明の
治療剤の静脈内投与に関する適切な用量範囲は、一般に体重kgあたり約20〜
500μgの活性化合物である。鼻腔内投与に関する適切な用量範囲は、一般に
、約0.01pg/kg体重から1mg/kg体重である。有効な用量は、イン
ビトロ試験系または動物モデル試験系から導かれる用量−応答曲線から外挿し得
る。坐剤は、一般に、0.5重量%〜10重量%の範囲の活性成分を含み;経口
処方物は、好ましくは、10%〜95%の活性成分を含む。
【0210】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物および治療剤の1つ以上の成分で満たさ
れた1つ以上の容器を含む、薬学的パックまたはキットを提供する。必要に応じ
て、このような容器には、薬学的製品または生物学的製品の製造、使用または販
売を規制する政府機関により規定された形態の告知が添付され得る。この告知は
、政府機関によるヒト投与についての製造、使用または販売の認可を反映する。
【0211】 (特定の実施例) (A)RB・RB−IP複合体の同定 改変され改善された酵母ツーハイブリッド系を使用し、タンパク質相互作用を
同定した。酵母は真核生物であり、従って、この型の系において検出される分子
間タンパク質相互作用は、生理的条件下で生じるタンパク質相互作用を実証する
ことが予期される。例えば、Chienら、1991、Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 88:9578〜9581を参照のこと。2つのハイ
ブリッドタンパク質をコードする発現ベクターを構築した。「正方向のスクリー
ニング」のために、一方のハイブリッドは、RBの部分に融合した酵母転写アク
チベーターGal4のDNA結合ドメインから構成された。一方、他方のハイブ
リッドは、哺乳動物cDNAライブラリーによりコードされた「プレイ」タンパ
ク質配列に融合されたGal4アクチベータードメインから構成された。次いで
、各々のベクターを、当該分野で公知の技術の使用により、相補(aおよびα)
接合タイプの酵母に挿入した。例えば、Chienら、1991.Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 88:9578〜9581を参照のこと。
同じ酵母細胞中で両方のベクター構築物を発現させ、従って、相互作用が生じる
ことを可能にするために、酵母株の接合を実行した。ベイトとプレイドメインの
間の相互作用は、Gal4に対するcis結合エレメントを含むレポーター遺伝
子の転写活性化を導いた。指標タンパク質βガラクトシダーゼをコードするレポ
ーター遺伝子、ならびにウラシルおよびヒスチジン栄養要求性のための代謝マー
カーを、接合に利用される酵母株の一方または他方に特定の様式で含ませた。こ
の様式において、首尾よい接合、両方の融合構築物の発現、およびRB−IPの
発現について、酵母を選択した。相互作用領域を含む酵母クローンを選別し、そ
してマイクロタイタープレートの個々のウェルで増殖させた。次いで、RB−I
Pを含むプラスミドを単離し、そして特徴付けた。
【0212】 3.5×106の独立な単離体の市販のヒト胎児脳cDNAライブラリー(カ タログ番号HL4029AH;Clontech、Palo Alto、CA)
から、プレイcDNAを得た。ロイシン生合成欠損酵母の選択のLEU2遺伝子
を含む、酵母Gal4活性化ドメインクローニングベクターであるpACT2に
指向的にクローニングされた、Xho1−dT15でプライムされた胎児脳mRN
A(5つの雄および雌の19〜22週胎児の混合物に由来)から、ライブラリー
を合成した。
【0213】 RB結合ドメインクローンを、RBのアミノ酸残基301〜928由来のRB
のBamH1/Sal1フラグメント(GenBank登録番号M28419;
ヌクレオチド1040〜2925)をpAS−1(Clontech)のBam
H1部位とSal1部位との間に挿入することにより構築した。このベクターは
、トリプトファン生合成を欠損した酵母株における選択のためのTRP1遺伝子
を含む、酵母DNA結合ドメインクローニングベクターである。このベイト配列
を、PCR増幅がRB配列の正確なコピーを再び生じたことを確認するために、
核酸配列決定により確認した。この試験は、予想されるように、ベイト配列が、
ヒトRBアミノ酸残基301〜928と同一である相互作用するドメインをコー
ドすることを決定した。
【0214】 このベイトは、酢酸リチウム−ポリエチレングリコール形質転換(例えば、I
toら、1983、J.Bacteriol.153:163〜168を参照の
こと)によって、酵母株YULH(接合型a、ura3、his3、lys2、
Ade2,trp1、leu2、gal4、gal80、GAL1−URA3、
GAL1−lacZ)中に発現されるが、プレイ配列は、酵母株N106r(接 合型α、ura3、his3、ade2、trp1、leu2、gal4、ga
l80、cyhr、Lys2::GAL1UAS−HIS3TATA−HIS3、ura
3::GAL1UAS−GALTATA−lacZ)に形質転換することによって発現 された。次いで、2つの形質転換された集団を、当該分野において標準の方法を
用いて接合した。簡潔には、この細胞を、適切なプラスミドの存在について選択
した培地で中期対数期から後期対数期まで増殖させた。次いで、2つの接合株(
αおよびa)をYAPD培地で希釈し(例えば、Shermanら、1991、
Getting Started with Yeast、第194巻、Aca
demic Press、New York、NYを参照のこと)、ニトロセル
ロース膜で濾過し、6〜8時間30℃でインキュベートした。次いで、この細胞
を、所望の二倍体(すなわちβガラクトシダーゼ、ウラシル栄養要求性、および
ヒスチジン栄養要求性のためのレポーター遺伝子、ならびにベイトおよびプレイ
をコードしているベクターの発現を保持している酵母)についての選択培地に移
した。次いで、アデニンおよびリジン欠損(首尾のよい接合について選択するた
め)、ロイシンおよびトリプトファン欠損(ベイトおよびプレイプラスミドの両
方によりコードされる遺伝子の発現について選択するため)、ならびにウラシル
およびヒスチジン欠損(タンパク質相互作用について選択するため)のSC(合
成完全)培地(例えば、Kaiserら、1994、Methods in Y
east Genetics、1994編、Cold Spring Harb
or Laboratory Press、New York、NYを参照のこ
と)上に、接合産物を播種した。この培地を、SC選択培地(以下「SCS培地
」)と命名する。
【0215】 選択されたクローンをβガラクトシダーゼの発現について試験し、RB・RB
−IP相互作用の形成を確認した。次いで、フィルターリフトβガラクトシダー
ゼアッセイを、BreedenおよびNasmyth(1985、Cold S
pring Harbor Quant.Biol.50:643〜650)の
プロトコルの変法によって実行した。コロニーをSCSプレート上にパッチし、
一晩増殖させ、そしてWhatman No.1フィルター上でレプリカプレー
トした。その後、レプリカフィルターを、βガラクトシダーゼ活性についてアッ
セイした(すなわち、陽性であるコロニーは、明らかな青色に変化した)。
【0216】 タンパク質相互作用について陽性であるコロニー中に含まれた細胞は、DNA
結合ドメインプラスミドおよび活性化ドメインプラスミドの混合物を含んだ。こ
れらの細胞を、個々に播種し、そして96ウェルプレートの個々のウェルにおい
て単一の単離体として再び増殖させた。10μlの各単離体を溶解し、pACT
およびpASS−1プラスミド中のインサートを、各ベクターの隣接配列に対し
て特異的なプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅し、そして
各インサートの約200のアミノ末端塩基を、ABI Model 377シー
クエンサーを用いて決定した。公知の配列との比較を、National Ce
nter for Biotechnology Informationを介
して公に利用可能な「BLAST」プログラムを用いて行なった。
【0217】 同定された配列は、ヌクレオチド2551から開始するRN−tre核酸配列
、ヌクレオチド2263から開始するCAS配列、ヌクレオチド217から開始
するL6配列、ヌクレオチド4から開始するIK配列、ヌクレオチド847から
開始するLDH−B配列、ヌクレオチド1089から開始するNlk1(Nek
2)配列、ヌクレオチド3から開始するシクロフィリンA配列、ヌクレオチド8
86から開始するZap3配列、ヌクレオチド689から開始するCD24配列
(図1、配列番号1)、ヌクレオチド2076から開始するSet配列(図3、
配列番号6)、ヌクレオチド3408から開始するGluT1配列(図5、配列
番号9)、ヌクレオチド343から開始するmRNA 115392*配列(図 7、配列番号12)、ならびにヌクレオチド464および476から開始するI
P−30配列と同一の2つの単離物を含んだ。
【0218】 スプライシング改変体のSet*およびGluT1*の決定された核酸配列およ
び対応するアミノ酸配列、ならびにCD24*および115392*をコードする
オープンリーディングフレームを、それぞれ、図2、4、6、および7に示す。
Set*およびGluT1*についてのスプライシング改変体配列の決定、ならび
にタンパク質CD24*および115392*をコードするオープンリーディング
フレーム(ORF)を、特定の実施例の章(前出)において記載する。
【0219】 (B)RB・RB−IP相互作用の特異性の確認 ベイト:プレイ相互作用の特異性について試験するために、2つの一般的な試
験を初めに行なった。最初の例では、RB、RN−tre、CAS、IP−30
、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap 3、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*をコードする個
々のプラスミドを発現するYULH酵母細胞を作製した。これらの酵母細胞をS
CSプレート上に播種し、一晩増殖させ、そして増殖について調べた。RBおよ
び全てのRB−IPタンパク質について増殖が見出されず、これらが「自己活性
化」タンパク質ではない(すなわち、これらのタンパク質は、機能的な活性化複
合体のために第2のタンパク質ドメインとの相互作用を必要とする)ことを確認
した。
【0220】 2番目の例では、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−
B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap 3、CD24*、Se t*、GluT1*、および115392*挿入物を含むプラスミドを、株N10 6r(接合型α)に形質転換し、そしてRB以外のタンパク質を発現する酵母株 YULH(接合型a)と接合させた。無差別結合体(すなわち、非特異的な様式
で多くの他のタンパク質と結合し得るRB−IP)は、非特異的に非RBドメイ
ンと相互作用し、そして非特異的相互作用体として破棄される。この相互作用体
はいずれも、以下の段落で記載されたタンパク質以外のタンパク質に対する結合
を示さなかった。
【0221】 検出された相互作用を再現するために、そしてさらにそれらの特異性を実証す
るために、RBの単離されたベイトプラスミド、および別にヒトベイトタンパク
質1(B1)をコードするプラスミドを使用し、酵母YULH(接合タイプa)
を形質転換した。RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B
、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap 3、タンパク質2(P2
)、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*、ならびに公知の
相互作用体RbAP46(例えば、Huangら、1991.Nature 3
50:160〜162)において検出される相互作用ドメインを、株N106r (接合型α)に形質転換した。この形質転換体を再増殖し、そして接合を、同定
されたRB・RB−IP相互作用を再現するために実行した。図8に示されるよ
うに、RBは、RN−tre(ボックスA)、CAS(ボックスB)、IP−3
0(ボックスC)、L6(ボックスD)、IK(ボックスE)、LDH−B(ボ
ックスF)、Nlk1(Nek2)(ボックスG)、シクロフィリンA(ボック
スI)、Zap3(ボックスJ)、P2(ボックスK)、CD24*(ボックス L)、Set*(ボックスM)、GluT1*(ボックスN)、および11539
*(ボックスO)、ならびに公知の相互作用体RbAP46(ボックスP)と 特異的に複合体化した。RBは、プレイP1と非特異的に反応しなかった。図8
に例証されるように、RB列(上段)の、RN−tre、CAS、IP−30、
L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap
3、17β−HSD6、CD24*、Set*、GluT1*、115392*、お
よびRbAP26欄との交差は、増殖(すなわち、陽性相互作用)を示すが、R
B列のP1に対する欄との交差は、増殖を示さない(すなわち、タンパク質相互
作用はない)。P1を除く全てのプレイタンパク質とのB1の相互作用は、増殖
を生じず(すなわち、相互作用はない)、従ってこれは、このプレイ相互作用体
RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Ne
k2)、シクロフィリンA、Zap 3、P2、CD24*、Set*、GluT
*、115392*、およびRbAP46が非特異的相互作用体ではないことを
示した。P1(ボックスQ)とのB1の接合は、P1が機能的相互作用を形成し
得ることを実証する。
【0222】 (C)CD24*、Set*、GluT1*および115392*をコードする配
列の同定 CD24、Set、およびGluT1に対する公知のタンパク質cDNAの3
’非翻訳領域内の領域は、改善され、改変された酵母ツーハイブリッド系を用い
て、RBと相互作用するタンパク質(単数または複数)をコードすると同定した
。本発明は、ヌクレオチド689の3’のCD24のヌクレオチド配列(図1に
示される;配列番号1);ヌクレオチド2175の3’のSetのヌクレオチド
配列(図3;配列番号6);およびヌクレオチド3408の3’のGluT1の
ヌクレオチド配列(図5に示される;配列番号9)と同一な相互作用ヌクレオチ
ド配列を開示する。さらに、ヒトの発現されたクローン115392を、相互作
用プレイ、クローン115392配列のヌクレオチド343の3’として示した
。これは、この115392配列が機能的なタンパク質またはタンパク質ドメイ
ンをコードするという初めての証拠を示す。
【0223】 CD24、Set、Glut、および115392の4つの相互作用体配列に
ついて、3つの各々の正方向の翻訳フレーム中に任意のオープンリーディングフ
レーム(ORF)が存在するか否かを確認するために、分析を実行した。この相
互作用タンパク質ドメインは、プレイ配列ベクター中の公知の配向の配列により
コードされ、従って、正方向の翻訳のみが検出された相互作用する種を説明し得
る。オープンリーディングフレーム(ORF)は、「ORF ファインダー」を
使用する「BLAST」分析を実行することにより規定された。CD24につい
ては、2つのオープンリーディングフレームのみが検出された。第1のORFは
、公知のCD24タンパク質(図1においてAとして示される、ヌクレオチド5
7〜299;および図2におけるフレームAとして)をコードした。第2のオー
プンリーディングフレーム(図1においてCとして示される、ヌクレオチド95
7〜1151)は、CD24配列に対して検出された相互作用する領域を含んだ
。この新規なタンパク質(CD24*と呼ぶ)は、図2においてフレームB(核 酸配列については配列番号4およびアミノ酸配列については配列番号5)と示さ
れる。直前に記載される方法を使用して、相互作用するドメインおよび上流5’
コード配列を含むスプライシング改変体が検出され得ないことに留意すべきであ
る。115392配列については、開始メチオニンコドンを伴うヌクレオチド2
45から始まり、そしてTGA翻訳停止コドンの最後のヌクレオチドであるヌク
レオチド721で終結する、1つのオープンリーディングフレームのみが見出さ
れた。この配列、および115392*と呼ばれる翻訳されたタンパク質を、図 7において例証する(それぞれ、配列番号12および13)。
【0224】 SetまたはGluT1のいずれかの相互作用する領域をコードするヌクレオ
チド配列を含む、開始物のメチオニンで開始する、60アミノ酸以上のORF、
および60アミノ酸以上のタンパク質のC末端を示し得る5’末端から開始する
ORFは検出されなかった。従って、この配列を試験し、それらが、検出された
相互作用する配列を含む、公知のSetおよびGluT1タンパク質のスプライ
シング改変体をコードし得るか否かを決定した。
【0225】 タンパク質スプライシング改変体についての5’および3’スプライス位置の
決定を、以下のように実行した。初めに、潜在的5’スプライス部位を、公知の
タンパク質のコード配列において同定した。この配列は、イントロンの始めに不
変のGT配列を含まなければならない。この残存するヌクレオチドは、不変では
ないが、好ましいコンセンサス配列は、AG:GTAAGT(コロンはスプライ
シング位置を示す)であった。例えば、Padgettら、1984.Ann.
Rev.Biochem.55:1119〜1150を参照のこと。潜在的スプ
ライシング部位を、このコンセンサスに対するそれらの適合の順に同定し、最少
で4/6が不変ヌクレオチドの域を超えて一致していた。
【0226】 理想的な5’スプライシング部位は、GluT1*配列については同定されな かった;従って、このコンセンサス配列適合を、3/6の同一ヌクレオチドまで
緩和し、そして1つのスプライシング部位を、GluT1*について規定した。
【0227】 次に、潜在的3’イントロン:エキソンスプライシング部位を、Padget
tら(1984.Ann.Rev.Biochem.55:1119〜1150
)によって記載されたコンセンサス分析に基づいて同定した。潜在的5’スプラ
イシング部位と検出された相互作用する配列の始めとの間の配列を、不変のAG
配列について走査した。この上記のヌクレオチドは、CまたはTであることが必
要とされた。次いで、最後のイントロンGヌクレオチドからのヌクレオチド−5
〜−14は、多くて2つの非T、非Cヌクレオチドを含まれなけばならなかった
。例えば、Padgettら、1984.Ann.Rev.Biochem.5
5:1119〜1150を参照のこと。
【0228】 しかし、理想的な3’スプライシング部位の適合が、Set*配列についての 上記の分析に基づいて見出されないことに留意すべきである;従って、次いで、
スプライシング部位の上流の3つの非C、非Tヌクレオチドを含む部位が、含ま
れ、Set*についての1つの検出された3’スプライシング部位を生じた。
【0229】 次に、成熟タンパク質の公知の翻訳フレームおよびそれぞれの予測された5’
スプライシング部位に基づいて、首尾のよいスプライシングについての適合性翻
訳フレームを、潜在的な3’スプライシング部位について規定した。当該分野で
利用可能な多数の核酸分析プログラムにより、核酸配列を分析し、可能なタンパ
ク質翻訳産物を規定し得る。3つの正方向の翻訳フレームにおける翻訳を使用し
て、可能なオープンリーディングフレーム(停止コドンのない、アミノ酸に対す
るコドンの連続の範囲)を規定した。5’プライムスプライシング結合の必要な
翻訳フレームに一致した3’部位のみを保持した。不一致の5’または3’スプ
ライシング部位を排除した。Set*については、1つの可能な5’スプライシ ング部位および適合性の3’スプライシング部位を配置した。
【0230】 結局、それぞれの可能な5’:3’スプライシング部位対について、哺乳動物
分岐点コンセンサス配列についての検索を行なった。例えば、ReedおよびM
aniatis、1988、Genes Dev.2:1268〜1276を参
照のこと。この配列(T/C N CTGAC)は、一致が6の規定されたヌク
レオチドのうちの5について見出される場合、そしてそれが3’スプライシング
部位の5’側の必須の20〜60ヌクレオチドに存在する場合に選択された。プ
レmRNAスプライシングに対して必ずしも必要とされないが、スプライシング
の効率は、コンセンサス配列の存在に関連する。従って、分岐点コンセンサス配
列を有する5’:3’スプライシング部位の対は、分岐点コンセンサス配列を有
さないスプライシング部位の対にわたって保持された。分岐点コンセンサス配列
を、Set*(図1、「D」と呼ぶ)およびGluT1*(図3、「D」と呼ぶ)
の両方について同定した。
【0231】 最後の要件は、スプライシング改変体タンパク質が生存可能なインビボ産物を
構成する少なくとも60個のアミノ酸残基をコードしなければならないというこ
とであった。さらに、スプライシング改変体の3’末端は、規定され、同定され
た相互作用する配列に伸長された定義でなければならない。本出願におけるスプ
ライシング改変体、Set*およびGluT1*は、これらの要件を満たした。
【0232】 スプライシング改変体および新規なオープンリーディングフレーム配列をNR
DB(GenBank CDS翻訳+PDB+SwissProt+PIR S
wissProt配列の非冗長編集、および「月」(これは、先の30日間に公
開された、全ての新しいまたは改訂されたGenBank CDS翻訳+PDB
+SwissProt+PIR配列を含む)のさらなる検索に供し、公知のタン
パク質配列の全長にわたって検出されない、その公知のタンパク質配列との相同
性を検出した。しかし、公知のタンパク質との有意な相同性は、この上記の分析
を利用してCD24*、Set*、GluT1*、または115392*について検
出されなかった。
【0233】 本発明は、本明細書に記載された特定の実施態様によって範囲を限定されない
ことに留意すべきである。実際は、本発明の種々の改変は本明細書に記載された
改変に加えて、前述の説明および添付の図面から、当業者に明らかである。この
ような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0234】 さらに、種々の刊行物は、本明細書中で引用され、この刊行物の開示は、その
全体が参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、CD24のヌクレオチド配列(GenBank登録番号L33930
;(配列番号1))を例示する。CD24の開始メチオニンコドンATGは、下
線が付され、そして吹き出し「A」で示されるCD24コード配列の始めの部分
に囲まれている。CD24について使用される翻訳停止コドンTAAは、下線を
付した配列の末端に囲まれている。以下の具体例の節で記載されるアッセイにお
いて同定されるプレイ配列は、ヌクレオチド689で始まり、矢印および吹き出
し「B」で示される。さらに、同定されたプレイ配列に含まれる潜在的なオープ
ンリーディングフレーム(ORF)は、吹き出し「C」、「D」、および「E」
で示される。しかし、以下の具体例の節において決定されるように、吹き出し「
A」および「C」のオープンリーディングフレーム(ORF)のみが、インビボ
で潜在的なタンパク質産物を示すことに注意すべきである。
【図2】 図2は、CD24のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(フレームA;(そ
れぞれ、配列番号2および3))、ならびにCD24*のヌクレオチド配列およ びアミノ酸配列(フレームB;(それぞれ、配列番号4および5))を例示する
。ヌクレオチド残基の番号は、図1において提示されるCD24配列の本来の図
式を保持しているが、アミノ酸は、各々、個々のタンパク質について連続して番
号付けられる。
【図3】 図3は、Setのヌクレオチド配列(GenBank登録番号M93651;
(配列番号6))を例示する。公知のSetタンパク質をコードする配列は、下
線が付され、開始コドンATG(吹き出し「A」で示される)および翻訳終止コ
ドンTAA(吹き出し「C」で示される)によって隣接される。以下の具体例の
節において同定されるプレイ配列は、矢印および吹き出し「F」で示されるヌク
レオチド2076で始まり、そしてSetについて公知のコード配列の外側に置
かれる。5’スプライシング部位の公知のコンセンサス配列に同一のヌクレオチ
ドは太字で示され、そしてこのエキソン(エキソンI)の最後の塩基が、矢印お
よび吹き出し「B」で示される。3’スプライシング部位の公知のコンセンサス
配列と同一のヌクレオチドを有する3’スプライシング部位は太字で示され、そ
してこのエキソン(エキソン2)の最初の塩基が矢印および吹き出し「E」で示
される。Set*についての停止コドンTAAは、吹き出し「G」で示される。 太字で示される規範的分岐点コンセンサス塩基とマッチする塩基を有するこのエ
キソンの分岐点コンセンサス配列は、吹き出し「D」で示される。
【図4】 図4は、Set*のヌクレオチド配列(配列番号7)および関連するアミノ酸 配列(配列番号8)を例示する。選択的スプライシングのためにSetのアミノ
酸配列から逸脱する配列におけるアミノ酸残基は、矢印「A」で示される。以下
の具体例の節に記載されるアッセイにおいて同定されるプレイ配列は、Set配
列(図3)のヌクレオチド2076で始まり、そして矢印「B」で示される。
【図5】 図5は、GluT1のヌクレオチド配列(GenBank登録番号D2644
3;(配列番号9))を例示する。公知のGluT1コード配列の配列は、下線
が付され、囲まれた開始メチオニンATGコドン(吹き出し「A」で示される)
および囲まれた翻訳停止コドンTAG(吹き出し「C」で示される)によって隣
接される。以下の具体例の節において同定されるプレイ配列は、矢印および吹き
出し「F」で示されるヌクレオチド3408で始まり、そしてGluT1につい
て公知のコード配列の外側に置かれる。太字で示される5’スプライシング部位
の公知のコンセンサス配列に同一のヌクレオチドを有する5’スプライシング部
位、およびこのエキソン(エキソンI)の最後のヌクレオチドが、矢印および吹
き出し「B」で示される。太字で示される3’スプライシング部位の公知のコン
センサス配列と同一のヌクレオチドを有する適合性の3’スプライシング部位、
およびこのエキソン(エキソン2)の最初の塩基が矢印および吹き出し「E」で
示される。GluT1*についての停止コドンTAAは、吹き出し「G」で示さ れる。太字で示されるコンセンサス塩基とマッチする塩基を有するこのエキソン
の分岐点コンセンサス配列は、吹き出し「D」で示される。
【図6】 図6は、GluT1*のヌクレオチド配列(配列番号10)および関連するア ミノ酸配列(配列番号11)を例示する。選択的スプライシングのためにGlu
T1のアミノ酸配列から逸脱する配列におけるアミノ酸残基は、矢印「A」で示
される。以下の具体例の節に記載されるアッセイにおいて同定されるプレイ配列
は、本来のGluT1配列(図5)のヌクレオチド1789で始まり、矢印「B
」で示される。
【図7】 図7は、115392*ヌクレオチド配列(GenBank登録番号L435 78;(配列番号12))および関連するアミノ酸配列(配列番号13)を例示
する。以下の具体例の節に記載されるアッセイにおいて同定されるプレイ配列は
、ヌクレオチド343(アミノ酸残基33)で始まり、そして矢印「A」で示さ
れる。オープンリーディングフレーム(ORF)は、以下の第2節(II)およ
び具体例の節において記載されるように決定された。
【図8】 図8は、RB相互作用の特異性を例示する。酵母ツーハイブリッド系アッセイ
の結果のマトリクスが示される。ベイトタンパク質RBおよびB1を使用するア
ッセイの結果は、この列の左に示され、そしてプレイタンパク質であるRN−t
re、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、
シクロフィリンA、Zap3、17β−HSD6、CD24*、Set*、Glu
T1*、115392*、RbAP46およびP1は、カラム上に示される。示さ
れたベイトタンパク質とプレイタンパク質との間の陽性相互作用は、特定のベイ
トタンパク質とプレイタンパク質の間の交差点を形成するボックス中で「+」と
して示される;相互作用の欠如は、空のボックスで示される。A〜Pで標識され
たボックスは、RBおよびRN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、L
DH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、17β−HS
D6、CD24*、Set*、GluT1*、115392*をそれぞれ発現する酵
母の接合および増殖の結果を示す。Qで標識されたボックスは、ベイトタンパク
質RBおよびタンパク質Rb AP46を発現している酵母の接合および増殖を
示し、これは以前に公知の相互作用を再現している。例えば、Hwangら、1
991.Nature 350:160〜162を参照のこと。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 31/12 A61P 25/00 35/00 31/12 43/00 111 35/00 C07K 14/47 43/00 111 16/18 C07K 14/47 19/00 16/18 C12N 1/15 19/00 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/04 F 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/50 Z 9/04 33/68 G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 A61K 37/02 33/68 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 シュルツ, ビンセント ピーター アメリカ合衆国 コネチカット 06443, マディソン, オールド ファームズ ロード 21

Claims (81)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RBタンパク質とRB−IPタンパク質との精製された複合
    体であって、ここで該RB−IPタンパク質が、RN−tre、細胞性アポトー
    シス感受性タンパク質CAS、γ−インターフェロン誘導性タンパク質IP−3
    0、リボソームタンパク質L6、サイトカインIK因子、乳酸デヒドロゲナーゼ
    B(LDH−B)、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、オキ
    シドレダクターゼ17−β−ヒドロキシステロイド(17β−HSD6)、CD
    24*、Set*、グルタミン酸トランスポーターGluT1*、またはクローン 115392*からなる群より選択される、複合体。
  2. 【請求項2】 前記タンパク質が、ヒトタンパク質である、請求項1に記載
    の精製された複合体。
  3. 【請求項3】 RBタンパク質の誘導体とRB−IPタンパク質との複合体
    、RBタンパク質とRB−IPタンパク質の誘導体との複合体、ならびにRBタ
    ンパク質の誘導体とRB−IPタンパク質の誘導体との複合体からなる群より選
    択される精製された複合体であって、ここで該RBタンパク質の該誘導体が、天
    然の、野生型RB−IPタンパク質との複合体を形成する能力を有し、そして該
    RB−IPタンパク質の該誘導体が、天然の、野生型RBタンパク質との複合体
    を形成し得、ここで該RB−IPが、RN−tre、CAS、IP−30、L6
    、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、C
    D24*、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択され
    る、複合体。
  4. 【請求項4】 前記RBタンパク質および/または前記RB−IPタンパク
    質の前記誘導体が、蛍光標識される、請求項3に記載の精製された複合体。
  5. 【請求項5】 少なくとも6アミノ酸残基からなるRB−IPタンパク質の
    フラグメントに対して共有結合を介して融合した、少なくとも6アミノ酸残基か
    らなるRBタンパク質のフラグメントを含む、キメラタンパク質。
  6. 【請求項6】 前記RBタンパク質の前記フラグメントが、前記RB−IP
    タンパク質を結合し得るフラグメントであり、そしてここで、該RB−IPタン
    パク質の前記フラグメントが、該RBタンパク質を結合し得るフラグメントであ
    る、請求項5に記載のキメラタンパク質。
  7. 【請求項7】 前記RBタンパク質の前記フラグメントと前記RB−IPタ
    ンパク質の前記フラグメントとが、RB・RB−IP複合体を形成する、請求項
    6に記載のキメラタンパク質。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の複合体に免疫特異的に結合する抗体、また
    は該抗体の結合ドメインを含む該抗体のフラグメントもしくは誘導体。
  9. 【請求項9】 RB・RB−IP複合体の一部でないRBタンパク質または
    RB−IPタンパク質に免疫特異的に結合しない、請求項8に記載の抗体。
  10. 【請求項10】 RBタンパク質をコードするヌクレオチド配列、ならびに
    RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Ne
    k2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Set*、GluT1*、お よび115392*からなる群より選択されるRB−IPタンパク質をコードす るヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、または単離された核酸の組み合わ
    せ。
  11. 【請求項11】 核酸ベクターである、請求項10に記載の単離された核酸
    、または単離された核酸の組み合わせ。
  12. 【請求項12】 前記RBタンパク質コード配列および前記RB−IPタン
    パク質コード配列が、非天然プロモーターと作動可能に連結される、請求項11
    に記載の単離された核酸、または単離された核酸の組み合わせ。
  13. 【請求項13】 請求項7に記載のキメラタンパク質をコードするヌクレオ
    チド配列を含む、単離された核酸。
  14. 【請求項14】 請求項10に記載の核酸を含む組換え細胞であって、ここ
    で、該核酸が組換え体である、細胞。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載の核酸を含む組換え細胞であって、ここ
    で、該核酸が組換え体である、細胞。
  16. 【請求項16】 請求項13に記載の核酸を含む組換え細胞であって、ここ
    で、該核酸が組換え体である、細胞。
  17. 【請求項17】 CD24*、Set*、GluT1*、および115392* からなる群より選択される、精製されたタンパク質。
  18. 【請求項18】 前記タンパク質が、ヒトタンパク質である、請求項17に
    記載のタンパク質。
  19. 【請求項19】 配列番号5、配列番号8、配列番号11および配列番号1
    3からなる群より選択されるアミノ酸配列を含有する、請求項18に記載のタン
    パク質。
  20. 【請求項20】 配列番号33のヌクレオチド配列の、部分であって、該部
    分がプロセシングされていないset mRNAのスプライシングから生じるス
    プライス部位接合部を含む、部分、および配列番号10のヌクレオチド配列の、
    部分であって、該部分がプロセシングされていないGluT1 mRNAのスプ
    ライシングから生じるスプライス部位接合部を含む、部分、からなる群より選択
    されるヌクレオチド配列を有するDNAの逆向き相補物とハイブリダイズし得る
    核酸によってコードされる、精製されたタンパク質。
  21. 【請求項21】 配列番号7および配列番号10からなる群より選択される
    ヌクレオチド配列の、部分からなるヌクレオチド配列を有するDNAの逆向き相
    補物とハイブリダイズし得る核酸によってコードされる、精製されたタンパク質
  22. 【請求項22】 請求項17に記載のタンパク質の精製された誘導体または
    アナログであって、ここで該誘導体またはアナログが、RBに結合する能力を有
    する、誘導体またはアナログ。
  23. 【請求項23】 Set*およびGluT1*からなる群より選択されるタン
    パク質に対する抗体によって結合され得、ここで該抗体が、SetまたはGlu
    T1のいずれかに結合する能力を有さない、請求項22に記載の誘導体またはア
    ナログ。
  24. 【請求項24】 CD24*および115392*からなる群より選択される
    タンパク質に対する抗体によって結合され得る、請求項22に記載の誘導体また
    はアナログ。
  25. 【請求項25】 請求項17に記載のタンパク質の精製されたフラグメント
    であって、ここで該フラグメントは、該タンパク質の少なくとも6アミノ酸残基
    部分を含み、該部分の該アミノ酸配列がSetまたはGluT1において含まれ
    ない、精製されたフラグメント。
  26. 【請求項26】 請求項17に記載のタンパク質に対して少なくとも60%
    の同一性を有するアミノ酸配列を含む、精製されたタンパク質であって、ここで
    該同一性のパーセントが、請求項17に記載のタンパク質に対して同一の大きさ
    のアミノ酸配列にわたって決定される、精製されたタンパク質。
  27. 【請求項27】 請求項17に記載のタンパク質のフラグメントを含むキメ
    ラタンパク質であって、ここで該フラグメントが、少なくとも6アミノ酸残基か
    らなり、そして該6アミノ酸残基はSetまたはGluT1の、部分ではなく、
    第2のタンパク質のアミノ酸配列と共有結合を介して融合され、ここで、該第2
    のタンパク質が請求項17に記載のタンパク質ではなく、そしてSetでもGl
    uT1でもない、キメラタンパク質。
  28. 【請求項28】 請求項17に記載のタンパク質に免疫特異的に結合するが
    、SetにもGluT1にも免疫特異的に結合しない抗体、または該抗体の結合
    ドメインを含む該抗体のフラグメントもしくは誘導体。
  29. 【請求項29】 請求項17に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド
    配列を含む、単離された核酸。
  30. 【請求項30】 配列番号4、配列番号7、配列番号10または配列番号1
    2のヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
  31. 【請求項31】 請求項30に記載の核酸を含む組換え細胞であって、ここ
    で、該核酸が、組換え体である、細胞。
  32. 【請求項32】 請求項1に記載の複合体の治療的または予防的有効量;お
    よび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  33. 【請求項33】 前記タンパク質が、ヒトタンパク質である、請求項32に
    記載の薬学的組成物。
  34. 【請求項34】 請求項3に記載の複合体の治療的または予防的有効量;お
    よび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  35. 【請求項35】 請求項5に記載のキメラタンパク質の治療的または予防的
    有効量;および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  36. 【請求項36】 請求項6に記載のキメラタンパク質の治療的または予防的
    有効量;および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  37. 【請求項37】 請求項8に記載の抗体、または該抗体の結合ドメインを含
    む該抗体のフラグメントもしくは誘導体の治療的または予防的有効量;および薬
    学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  38. 【請求項38】 請求項9に記載の抗体、または該抗体の結合ドメインを含
    む該抗体のフラグメントもしくは誘導体の治療的または予防的有効量;および薬
    学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  39. 【請求項39】 請求項10に記載の核酸または核酸の組み合わせの治療的
    または予防的有効量;および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物
  40. 【請求項40】 請求項13に記載の核酸の治療的または予防的有効量;お
    よび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  41. 【請求項41】 請求項15に記載の組換え細胞の治療的または予防的有効
    量;および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  42. 【請求項42】 請求項16に記載の組換え細胞の治療的または予防的有効
    量;および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  43. 【請求項43】 請求項17に記載のタンパク質の治療的または予防的有効
    量;および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  44. 【請求項44】 前記CD24*タンパク質が、配列番号5で示されるアミ ノ酸配列を含み、前記Set*タンパク質が、配列番号8で示されるアミノ酸配 列を含み、前記GluT1*タンパク質が、配列番号11で示されるアミノ酸配 列を含み、そして前記115392*タンパク質が、配列番号13で示されるア ミノ酸配列を含む、請求項42に記載の薬学的組成物。
  45. 【請求項45】 請求項28に記載の抗体、または該抗体の結合ドメインを
    含む該抗体のフラグメントもしくは誘導体の治療的もしくは予防的有効量;およ
    び薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  46. 【請求項46】 請求項17に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド
    配列を含む核酸の治療的または予防的有効量;および薬学的に受容可能なキャリ
    アを含む、薬学的組成物。
  47. 【請求項47】 請求項29に記載の核酸を含む組換え細胞の治療的または
    予防的有効量;および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  48. 【請求項48】 RBタンパク質とRB−IPタンパク質との複合体を産生
    する方法であって、請求項10に記載の核酸を含む組換え細胞を増殖させる工程
    であって、その結果、前記コードされたRBタンパク質およびRB−IPタンパ
    ク質が発現され、そして互いに結合する、工程、ならびに該RBタンパク質と該
    RB−IPタンパク質との発現された該複合体を回収する工程を含む、方法。
  49. 【請求項49】 CD24*、Set*、GluT1*、および115392* からなる群より選択されるタンパク質を産生する方法であって、該タンパク質を
    コードする核酸を含む組換え細胞を増殖させる工程であって、その結果、コード
    された該タンパク質が発現される、工程、および発現された該タンパク質を回収
    する工程を含む、方法
  50. 【請求項50】 被験体における、RBタンパク質とRB−IPタンパク質
    との複合体の異常なレベルにより特徴付けられる疾患または障害の発症の存在ま
    たは素因について診断またはスクリーニングする方法であって、ここで、該RB
    −IPは、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nl
    k1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Set*、Glu
    T1*、および115392*からなる群より選択され、該方法は、該被験体由来
    のサンプル内の該複合体、該RBタンパク質および該RB−IPタンパク質をコ
    ードするRNA、または該複合体の機能的活性のレベルを測定する工程を含み、
    ここで該疾患もしくは障害または該疾患もしくは障害の発症の素因を有さない類
    似のサンプルにおいて見出される該複合体、RBおよびRB−IPをコードする
    該RNA、または該複合体の機能的活性のレベルと比較して、該サンプル内の該
    複合体、RBおよびRB−IPをコードする該RNA、または該複合体の機能的
    活性のレベルにおける増加または減少が、該疾患もしくは障害の存在、または該
    疾患もしくは障害の発症の素因を示す、方法。
  51. 【請求項51】 被験体内におけるCD24*、Set*、GluT1*、お よび115392*のタンパク質またはRNAからなる群より選択される、タン パク質もしくはRNAの異常なレベルによって特徴付けられる疾患または障害の
    存在または発症の素因について診断またはスクリーニングする方法であって、該
    方法は、該被験体由来のサンプル内の該タンパク質、該RNAもしくは該タンパ
    ク質の機能的活性のレベルを測定する工程を含み、ここで該疾患もしくは障害ま
    たは該疾患もしくは障害の発症の素因を有さない被験体由来の類似のサンプルに
    おいて見出される該タンパク質、該RNAまたは該機能的活性のレベルと比較し
    て、該サンプル内の該タンパク質、該RNAまたは該機能的活性のレベルにおけ
    る増加または減少が、該疾患もしくは障害の存在または該疾患もしくは障害の発
    症の素因を示す、方法。
  52. 【請求項52】 1以上の容器において、RBとRB−IPとの複合体、該
    複合体に対する抗体、RBのRNAおよび該RB−IPのにRNAとハイブリダ
    イズし得る核酸プローブ、またはRBの遺伝子および該RB−IPの遺伝子の少
    なくとも一部の増幅を開始し得る核酸プライマーの対からなる群より選択される
    物質を含有する、キットであって、ここで該RB−IPが、RN−tre、CA
    S、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィ
    リンA、Zap3、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*
    らなる群より選択される、キット。
  53. 【請求項53】 被験体における、RBとRB−IPとの複合体の異常なレ
    ベルに関連する疾患または障害の処置または予防の方法であって、ここで該RB
    −IPが、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nl
    k1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Set*、Glu
    T1*、および115392*からなる群より選択される方法であって、このよう
    な処置または予防が所望される被験体に対して、該複合体の機能を調節する治療
    的有効量の分子(単数または複数)を投与する工程を含む、方法。
  54. 【請求項54】 前記疾患または障害が前記複合体の減少したレベルに関連
    し、そして前記分子(単数または複数)が、RBとRB−IPとの該複合体の機
    能を促進し、そしてここで該分子(単数または複数)が、RBとRB−IPとの
    複合体;RBとRB−IPとの複合体の誘導体またはアナログであって、該複合
    体は、野生型複合体よりも安定または活性である、誘導体またはアナログ;該R
    BおよびRB−IPタンパク質をコードする核酸、ならびに、該野生型複合体よ
    りも安定または活性である複合体を形成する、RBおよびRB−IPの誘導体ま
    たはアナログをコードする核酸からなる群より選択される、請求項53に記載の
    方法。
  55. 【請求項55】 前記疾患または障害が、前記複合体の増加したレベルに関
    連し、そして前記分子(単数または複数)が該複合体の機能を阻害し得、そして
    ここで該分子(単数または複数)が、該複合体に対する抗体または該抗体の結合
    領域を含む該抗体のフラグメントもしくは誘導体;RBおよびRB−IPアンチ
    センス核酸;ならびに、異種ヌクレオチド配列が、RB遺伝子およびRB−IP
    遺伝子の少なくとも一部の生物学的活性を不活性化するように該異種ヌクレオチ
    ド配列が挿入されている該RB遺伝子および該RB−IP遺伝子の少なくとも一
    部を含む核酸であって、ここで該RB遺伝子および該RB−IP遺伝子の一部が
    、ゲノムのRB遺伝子およびRB−IP遺伝子との相同組換えを促進するように
    該異種配列と隣接している、核酸、からなる群より選択される、請求項53に記
    載の方法。
  56. 【請求項56】 被験体における、CD24*、Set*、GluT1*、お よび115392*からなる群より選択されるRB−IPの異常なレベルに関連 する疾患または障害の処置または予防の方法であって、該RB−IPの機能を調
    節する治療的有効量の分子をこのような処置または予防が所望される被験体に対
    して投与する工程を含む、方法。
  57. 【請求項57】 前記疾患または障害が、減少したレベルの前記RB−IP
    に関連し、そして前記分子が、該RB−IPの機能を促進し、そして該分子が、
    該RB−IPタンパク質、RBを結合することにおいて活性な該RB−IPの誘
    導体またはアナログ、該RB−IPタンパク質をコードする核酸、またはRBを
    結合することにおいて活性な該RB−IPの誘導体またはアナログをコードする
    核酸からなる群より選択される、請求項56に記載の方法。
  58. 【請求項58】 前記疾患または障害が、増加したレベルの前記RB−IP
    に関連し、そして前記分子が、該RB−IPの機能を阻害し、そして該分子が、
    抗RB−IP抗体または該抗体の結合領域を含む該抗体のフラグメントもしくは
    誘導体、RB−IPアンチセンス核酸、および異種ヌクレオチド配列がRB−I
    P遺伝子の生物学的活性を不活性化するように該異種ヌクレオチド配列が挿入さ
    れている該RB−IP遺伝子の少なくとも一部を含む核酸であって、ここで該R
    B−IP遺伝子部分が、ゲノムのRB−IP遺伝子との相同組換えを促進するよ
    うに該異種配列と隣接している、核酸、からなる群より選択される、請求項56
    に記載の方法。
  59. 【請求項59】 RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK
    、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるRB
    −IPとの精製された複合体、または該複合体の誘導体、または該複合体の活性
    のモジュレーターを抗ガン活性についてスクリーニングする方法であって、ここ
    で該方法が、悪性障害に由来するか、または悪性障害に関連した特徴を提示する
    細胞株由来の細胞の生存または増殖を測定する工程であって、該細胞が、該複合
    体、誘導体またはモジュレーターと接触している、工程;ならびに該複合体、誘
    導体、またはモジュレーターと接触した該細胞の該生存および増殖を、このよう
    には接触していない細胞における該生存または増殖と比較する工程であって、こ
    こで該接触した細胞におけるより低いレベルが、該複合体、誘導体またはモジュ
    レーターが、抗腫瘍活性を有することを示す、工程、を包含する、方法。
  60. 【請求項60】 RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK
    、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるRB
    −IPとの精製された複合体、または該複合体の誘導体、または該複合体の活性
    のモジュレーターを抗ガン活性についてスクリーニングする方法であって、ここ
    で該方法が、試験動物に対して該複合体、誘導体またはモジュレーターを投与す
    る工程であって、該試験動物が腫瘍を有するかもしくは腫瘍を発生させる増加し
    た傾向を有するか、または該試験動物は腫瘍を有さず、続いて腫瘍細胞もしくは
    腫瘍形成剤でチャレンジされる、工程;および該試験動物において腫瘍の増殖ま
    たは後退を測定する工程であって、ここで、このようには投与されていない試験
    動物と比較して、該複合体、誘導体またはモジュレーターを投与された該試験動
    物における減少した腫瘍の増殖もしくは増加した腫瘍の後退、腫瘍を発生できな
    いこと、または腫瘍増殖の防止が、該複合体、誘導体またはモジュレーターが、
    抗ガン活性を有することを示す、工程を包含する、方法。
  61. 【請求項61】 RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK
    、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるRB
    −IPとの精製された複合体、または該複合体の誘導体、または該複合体の活性
    のモジュレーターを神経変性疾患の処置または予防における活性についてスクリ
    ーニングするための方法であって、該方法は、神経変性疾患のインジケーターを
    示す培養細胞に、該複合体、誘導体またはモジュレーターをインビトロで接触さ
    せる工程;および該複合体、誘導体またはモジュレーターと接触した該細胞にお
    ける該インジケーターのレベルを、このようには接触していない細胞における該
    インジケーターの該レベルと比較する工程であって、ここで、該接触した細胞に
    おけるより低いレベルは、該複合体、誘導体またはモジュレーターが神経変性疾
    患の処置または予防における活性を有することを示す、工程、を包含する、方法
  62. 【請求項62】 RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK
    、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるRB
    −IPとの精製された複合体、または該複合体の誘導体、または該複合体の活性
    のモジュレーターを、神経変性疾患の処置または予防における活性についてスク
    リーニングするための方法であって、該方法は、試験動物に対して該複合体、誘
    導体またはモジュレーターを投与する工程であって、該試験動物は神経変性疾患
    の症状を示すか、または該試験動物は神経変性疾患の症状を発症する素因を与え
    られる、工程;および該複合体、誘導体またはモジュレーターの投与後、該神経
    変性疾患の該症状における変化を測定する工程であって、ここで該神経変性疾患
    の該症状における重篤度の減少または該神経変性疾患の該症状の予防が、該複合
    体、誘導体またはモジュレーターが、神経変性疾患の処置または予防における活
    性を有することを示す、工程、を包含する、方法。
  63. 【請求項63】 RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK
    、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるRB
    −IPとの精製された複合体、または該複合体の誘導体、または該複合体の活性
    のモジュレーターを、ウイルス疾患の処置または予防における活性についてスク
    リーニングするための方法であって、該方法は、ウイルス疾患のインジケーター
    を示す培養細胞に、該複合体、誘導体またはモジュレーターをインビトロで接触
    させる工程;および該複合体、誘導体またはモジュレーターと接触した該細胞に
    おける該インジケーターのレベルを、このようには接触していない細胞における
    該インジケーターの該レベルと比較する工程であって、ここで該接触した細胞に
    おけるより低いレベルは、該複合体、誘導体またはモジュレーターがウイルス疾
    患の処置または予防における活性を有することを示す、工程、を包含する、方法
  64. 【請求項64】 RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK
    、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるRB
    −IPとの精製された複合体、または該複合体の誘導体、または該複合体の活性
    のモジュレーターを、ウイルス疾患の処置または予防における活性についてスク
    リーニングするための方法であって、該方法は、試験動物に対して該複合体、誘
    導体またはモジュレーターを投与する工程であって、該試験動物はウイルス疾患
    の症状を示すか、または該試験動物はウイルス疾患の症状を発症する素因が与え
    られる、工程;および該複合体、誘導体またはモジュレーターの投与後、ウイル
    ス疾患の該症状における変化を測定する工程であって、ここで該ウイルス疾患の
    該症状の重篤度における減少または該ウイルス疾患の該症状の予防が、該複合体
    、誘導体もしくはモジュレーターが、ウイルス疾患の処置または予防における活
    性を有することを示す、工程、を包含する、方法。
  65. 【請求項65】 RBとRB−IPとの複合体の形成を直接的にまたは間接
    的に調節する分子についてスクリーニングする方法であって、ここで該RB−I
    Pは、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1
    (Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Set*、GluT1 * 、および115392*からなる群より選択され、該方法は、該複合体の形成を
    導く条件下で、該分子の存在下で、RBタンパク質およびRB−IPタンパク質
    から形成された該複合体のレベルを測定する工程;および該複合体の該レベルを
    、該分子の非存在下で形成される該複合体のレベルと比較する工程であって、こ
    こで、該分子の存在下での該複合体のより低いまたはより高いレベルが、該分子
    が該複合体の形成を調節することを示す、工程、を包含する、方法。
  66. 【請求項66】 組換え体の非ヒト動物であって、該組換え体の非ヒト動物
    において、内在性RB遺伝子、ならびにRN−tre、CAS、IP−30、L
    6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、
    CD24*、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択さ
    れる内在性RB−IP遺伝子の両方が、該動物もしくはその祖先の相同組換えま
    たは挿入的な変異誘発によって欠失されているか、あるいは不活性化されている
    、組換え体の非ヒト動物。
  67. 【請求項67】 RB遺伝子、ならびにRN−tre、CAS、IP−30
    、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap
    3、CD24*、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選
    択されるRB−IP遺伝子の両方を含む組換え体の非ヒト動物であって、該組換
    え体の非ヒト動物において、該RB遺伝子が、天然のRB遺伝子のプロモーター
    ではないプロモーターの制御下にあり、そして該RB−IP遺伝子が、天然のR
    B−IP遺伝子のプロモーターではないプロモーターの制御下にある、組換え体
    の非ヒト動物。
  68. 【請求項68】 請求項6に記載のキメラタンパク質をコードする核酸配列
    を含む導入遺伝子を含む、組換え体の非ヒト動物。
  69. 【請求項69】 RBの活性またはレベルの調節方法であって、該方法がR
    N−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk1(Nek
    2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Set*、GluT1*、およ び115392*からなる群より選択されるタンパク質、または該タンパク質を コードする核酸、または該タンパク質に免疫特異的に結合する抗体、または該抗
    体の結合ドメインを含む該抗体のフラグメントもしくは誘導体を、細胞に接触さ
    せる工程、またはRB遺伝子を発現する動物に投与する工程による、方法。
  70. 【請求項70】 RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH
    −B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Se t*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるタンパク質 の活性またはレベルの調節方法であって、該方法は、RB、またはRBをコード
    する核酸、またはRBに免疫特異的に結合する抗体、または該抗体の結合ドメイ
    ンを含む該抗体のフラグメントもしくは誘導体を、細胞に接触させる工程、また
    は該タンパク質をコードする遺伝子を発現する動物に投与する工程による、方法
  71. 【請求項71】 RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK
    、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24 * 、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるタン
    パク質との複合体の活性またはレベルの調節方法であって、該方法は、該複合体
    の形成を調節する分子を、細胞に接触させる工程、または該複合体を発現しそし
    て形成する動物に投与する工程による、方法。
  72. 【請求項72】 RB、またはRN−tre、CAS、IP−30、L6、
    IK、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD
    24*、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択される
    タンパク質、あるいはRBと該タンパク質との複合体の活性を調節する分子を同
    定するための方法であって、該方法が、該タンパク質の存在下で1以上の候補分
    子をRBと接触させる工程;およびRBと該タンパク質の間に形成される複合体
    の量を測定する工程を含み;ここで該候補分子の非存在下において形成される量
    と比較した、形成される複合体の量における増加または減少は、該分子が、RB
    、または該タンパク質、あるいはRBと該タンパク質との該複合体の活性を調節
    することを示す、方法。
  73. 【請求項73】 前記接触工程が請求項67に記載の組換え体の非ヒト動物
    に前記候補分子を投与することによって行われる、請求項72に記載の方法。
  74. 【請求項74】 前記接触工程がインビトロで行われ;そしてRB、前記タ
    ンパク質および前記候補分子が精製される、請求項72に記載の方法。
  75. 【請求項75】 生物学的活性についてRBの誘導体またはアナログをスク
    リーニングするための方法であって、ここで該方法は、RBの該誘導体またはア
    ナログにRN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH−B、Nlk
    1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Set*、GluT
    *、および115392*からなる群より選択されるタンパク質を接触させる工
    程、ならびにRBの該誘導体またはアナログと該タンパク質との間の複合体の形
    成を検出する工程を含み;ここで該複合体の形成は、RBの該誘導体またはアナ
    ログが、生物学的活性を有することを示す、方法。
  76. 【請求項76】 RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH
    −B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Se t*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるタンパク質 の誘導体またはアナログを生物学的活性についてスクリーニングするための方法
    であって、該方法が、該タンパク質の該誘導体またはアナログをRBと接触させ
    る工程;ならびに該タンパク質の該誘導体またはアナログとRBとの間の複合体
    の形成を検出する工程を含み;ここで該複合体の形成は、該タンパク質の該誘導
    体またはアナログが、生物学的活性を有することを示す、方法。
  77. 【請求項77】 RBタンパク質とRB−IPタンパク質との複合体の異常
    なレベルによって特徴付けられる疾患または障害の処置の、該疾患または障害に
    対する効力を、該処置を施された被験体においてモニターする方法であって、該
    方法は、該被験体由来サンプル内の、該複合体、該RBタンパク質および該RB
    −IPタンパク質をコードするRNA、または該複合体の機能的活性のレベルを
    測定する工程を含み、ここで該サンプルは、該処置の施与後、該被験体から採取
    され、そして(i)該処置の該施与前に該被験体から採取されたサンプル内にお
    ける該レベル、または(ii)該疾患もしくは障害の処置前段階と関連する標準
    レベルと比較され、ここで該処置の施与前に採取された該サンプルにおける、該
    複合体、RBおよびRB−IPをコードする該RNA、または該複合体の機能的
    活性のレベル、あるいは該標準レベルと比較した、該処置の施与後に採取された
    該サンプルにおける、該複合体、RBおよびRB−IPをコードする該RNA、
    または該複合体の機能的活性のレベルにおける変化または変化の欠如は、該施与
    が該疾患または障害の処置に有効であるか否かを示す、方法。
  78. 【請求項78】 被験体内の癌または細胞増殖性障害の処置または予防の方
    法であって、該方法は、RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、I
    K、LDH−B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD2
    *、Set*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるR
    B−IPタンパク質との複合体、または上述の任意の1以上のRB−IPタンパ
    ク質の組み合わせとの複合体の機能を調節する治療的に有効量の分子を、このよ
    うな処置または予防が所望される被験体に投与する工程を含む、方法。
  79. 【請求項79】 被験体内の神経変性疾患の処置または予防の方法であって
    、該方法は、RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH
    −B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Se t*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるRB−IP タンパク質の複合体、または上述の任意の1以上のRB−IPタンパク質の組み
    合わせとの複合体の機能を調節する治療的に有効量の分子を、このような処置ま
    たは予防が所望される被験体に投与する工程を含む、方法。
  80. 【請求項80】 被験体内のウイルス疾患の処置または予防の方法であって
    、該方法は、RBと、RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH
    −B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Se t*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるRB−IP タンパク質の複合体、または上述の任意の1以上のRB−IPタンパク質の組み
    合わせとの複合体の機能を調節する治療的に有効量の分子を、このような処置ま
    たは予防が所望される被験体に投与する工程を含む、方法。
  81. 【請求項81】 RN−tre、CAS、IP−30、L6、IK、LDH
    −B、Nlk1(Nek2)、シクロフィリンA、Zap3、CD24*、Se t*、GluT1*、および115392*からなる群より選択されるタンパク質 の精製されたフラグメントであって、RBに結合する、フラグメント。
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