明 細 書
光学部品の複屈折の波長依存性を補正する方法、 光学部品、 および それらを用いて得られた表示装置
技術分野
[0001 ] 本発明は、 各種の光学部品が有する複屈折の波長依存性を補正する技術に 関する。
背景技術
[0002] 近年の各種表示装置等の発達に伴い、 位相差板、 偏光板、 反射防止フィル ム等の各種光学部品の重要性が増している。 液晶表示素子を例にとって説明 すると、 液晶表示素子は、 液晶セルで光の偏光状態を変調し、 その光を偏光 フィルムでフィルタリングすることで、 表示の明暗を制御し、 画像を表示し ている。
[0003] ここで、 液晶セルを通過した光に、 偏光フィルムでのフィルタリングがで きない円偏光成分が含まれ、 表示のコントラストが悪化する場合がある。 そ こで、 液晶セルを通過した光が偏光フィルムに入射する前に、 位相差板を通 過させることで、 こうした円偏光成分を補正し、 液晶表示素子のコントラス トを改善することが広く行われている。
[0004] 特許文献 1 (特開平 4— 2 8 4 4 0 2号公報) には、 4—メチルペンテン - 1を主体とした重合体を延伸配向して得られる位相差補償シー卜に関する 技術が記載されている。 同文献記載の技術によれば、 広い温度範囲でコント ラスト比の高い良好な液晶表示ができるとされている。
[0005] また、 光学部品の多くは、 偏光を制御する等の目的で、 素子を構成する材 料の複屈折を積極的に利用している。 たとえば位相差板等がこれに該当する 。 また、 複屈折を積極的には利用しない光学部品においても、 偏光度の高い 光が透過する等の理由により、 素子を構成する材料の複屈折が、 素子の性能 に影響を与える。 たとえば偏光板保護膜等がこれに該当する。
[0006] 特許文献 2 (特開 2 0 0 0— 2 7 5 4 3 3号公報) には、 偏光膜に積層さ
れる偏光板保護フイルムの材料をポリメチルペンテンとする技術が記載され ている。 同文献によれば、 ポリメチルペンテンを使用しているので、 T A C (トリァセチルセルロース) や P C (ポリカーボネート) と比べ、 光弾性係 数が小さいためその複屈折率が変化せず、 これを積層した偏光板を液晶ディ スプレイに組み込むと色ムラやコントラス卜に優れた表示が得られるとされ ている。 また、 T A Cに比べて耐湿性、 耐熱性に優れた偏光板を提供するこ とができるとされている。 さらに、 ノルボルネン系樹脂と比べ、 溶融成形時 に炭化劣化物の生成が抑制され、 押出成形法で成形しても外観品質に優れた ものが得られるので生産性よく製造できるとされている。
[0007] ここで、 素子を構成する材料の複屈折を積極的に利用する場合としない場 合のいずれの場合においても、 素子を構成する材料の複屈折を所望の値に制 御して安定させることが好ましい。
[0008] たとえば、 白色光等の広い波長領域の光を利用する光学部品では、 光学部 品の複屈折の波長依存性が問題となる。 波長によって光学部品の複屈折が大 きく変動すれば、 一の波長領域で好適に機能する光学部品が、 他の波長領域 では機能しないことになり、 その結果、 広い波長領域で光学部品を使用する ことが困難となる。 このような問題は、 可視光のほぼ全域を使用する液晶デ イスプレイ等の表示素子において特に影響が大きく、 着色等の望ましくない 現象が生ずる場合がある。 従って、 波長に対して複屈折の大きさを所望の値 とすることは、 実用上高い技術的価値を有する。
[0009] ところが、 一般に光学部品を構成する材料の複屈折には波長依存性があり 、 通常、 短波長におけるほど大きな複屈折を示す。 このため、 光学部品を通 過する光が 2以上の波長で構成されていると、 光はそれぞれの波長ごとに異 なる複屈折の影響を受ける。
[0010] たとえば位相差板を白色光等の広い波長領域で使用する際には、 こうした 複屈折の波長依存性の観点では、 短波長ほど複屈折により生ずる位相差が小 さいことが好ましい。 そこで、 短波長におけるほど小さな複屈折を示すフィ ルムを使用して、 光学部品を構成する材料の複屈折の波長依存性を補正する
手法が、 検討されている。
[001 1 ] ところが、 通常の光学材料においては、 短波長ほど複屈折が大きいため、
1枚のフイルムでこのような位相差板を実現することが困難であるため、 2 枚以上のフィルムで位相差板を構成せざるを得なかった。 このため、 構成の 複雑化、 コストアップ、 光利用効率の低下等の点で、 改善の余地があった。
[0012] 例外的に複屈折が逆波長分散を示す、 つまり短波長ほど複屈折が小さい光 学フィルム材料としては、 特許文献 3〜 7に記載の樹脂がある。
[0013] 特許文献 3 (特開平 1 0 _ 6 8 8 1 6号公報) には、 4分の 1波長板と 2 分の 1波長板とを特定の角度で張り合わせて、 短波長ほど複屈折により生ず る位相差が小さな 4分の 1波長板として使用するという技術が開示されてい る。 しかし、 この技術では、 4分の 1波長板の構成が複雑となり、 原料や製 造のコス卜の点で不利であるうえに、 4分の 1波長板の厚みが大きくなるた め、 これを用いた表示装置等の重量や、 厚みが過大となるおそれがあった。
[0014] より単純な構成で、 短波長ほど複屈折により生ずる位相差が小さな光学フ イルムを実現するため、 セルロースアセテート (特許文献 4 (特開 2 0 0 0 - 1 3 7 1 1 6号公報) ) 、 フルオレン骨格を含むポリカーボネート (特許 文献 5 (特開 2 0 0 2 _ 1 5 6 5 2 8号公報) ) 、 スチレンポリマーの水素 化物 (特許文献 6 (国際公開第 0 1 8 1 9 5 7号パンフレット) ) 等から なる光学フイルムの使用が提案されている。
[0015] また、 短波長ほど複屈折が小さい光学フイルム材料として、 他に、 特許文 献 7 (国際公開第 0 3 3 2 0 6 0号パンフレット) に記載の樹脂がある。 ところが、 同文献に記載の樹脂は、 光学特性の安定性の点で、 改善の余地が あった。
特許文献 1 :特開平 4 _ 2 8 4 4 0 2号公報
特許文献 2:特開 2 0 0 0 _ 2 7 5 4 3 3号公報
特許文献 3:特開平 1 0— 6 8 8 1 6号公報
特許文献 4:特開 2 0 0 0 _ 1 3 7 1 1 6号公報
特許文献 5:特開 2 0 0 2 _ 1 5 6 5 2 8号公報
特許文献 6:国際公開第 01 81 957号パンフレツト
特許文献 7:国際公開第 03 032060号パンフレツト
特許文献 8:特開昭 59 -20641 8号公報
特許文献 9:特開平 6— 1 45248号公報
特許文献 10:特開平 9 _ 268243号公報
特許文献 11 :特開平 1 1— 1 24479号公報
特許文献 12:特開 2004 _ 1 77785号公報
特許文献 13:特開 2003 _ 1 05022号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0016] しかし、 短波長ほど位相差が小さな光学フィルムの材料として提案された 上記の各種樹脂には、 吸水性のため光学特性が不安定、 化学構造が複雑で高 価かつ製造が煩雑、 密度が高く表示素子等の重量を増大させるおそれがある 、 芳香環を含むので廃棄等の際により厳格な対処が必要となる、 等の技術的 課題があり、 その解決が望まれていた。
課題を解決するための手段
[0017] (本件第一発明)
本件第一発明は、
[1 ] 4_メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3 —メチル _ 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重 合成分として用いて得られた (共) 重合体 (α) からなるフィルム (a) を 用いる、 光学部品 (B) の複屈折の波長依存性を補正する方法;
[2] [1 ] に記載の方法において、 前記光学部品 (B) に前記フィルム ( a) を積層し、 前記光学部品 (B) と前記フィルム (a) との積層体の複屈 折により生ずる位相差 (角度換算) の波長依存性が、 前記光学部品 (B) 単 独でのそれよりも小である、 方法;
[3] [1 ] に記載の方法において、 さらに偏光板 (P) を使用し、 前記光 学部品 (B) と前記偏光板 (P) との間に前記フィルム (a) を配置し、 か
つ前記光学部品 (B) と前記偏光板 (P) との間に、 前記フイルム (a) 以 外の光学部品であって、 面内の位相差を有するものが実質的に存在しない、 方法;
[4] [ 1 ] に記載の方法において、 前記光学部品 (B) 力 光透過性のフ イルム (b 1 ) である、 方法;
[5] [4] に記載の方法において、 前記フィルム (a) と、 前記光透過性 のフィルム (b 1 ) とが、 直接、 または接着層を介して積層されている、 方 法;
[6] [4] または [5] に記載の方法において、 前記光透過性のフィルム (b 1 ) 力 偏光板保護膜である、 方法;
[7] [4] または [5] に記載の方法において、 前記光透過性のフィルム (b 1 ) 力 位相差板である、 方法;
[8] [4] または [5] に記載の方法において、 前記光透過性のフイルム (b 1 ) が、 光学補償フイルムである、 方法;
[9] [ 1 ] に記載の方法において、 前記光学部品 (B) 力 液晶パネル ( b 2) である、 方法;
[ 1 0] [9] に記載の方法において、 前記フイルム (a) と前記液晶パネ ル (b 2) とが、 直接、 または接着層を介して積層されている、 方法;
[ 1 1 ] [ 1 ] 乃至 [ 1 0] いずれかに記載の方法において、 前記フイルム (a) の波長 550 nmにおける面内の位相差 R55()が、 以下の条件を満足する 、 方法;
I 55o I < 30 ( n m)
[ 1 2] [ 1 ] 乃至 [ 1 0] いずれかに記載の方法において、 前記フィルム (a) の波長 550 nmにおける面内の位相差 R55()が、 以下の条件を満足する 、 方法;
30 ( n m) ≤ I R550 | < 300 ( n m)
[ 1 3] [ 1 ] 乃至 [ 1 2] いずれかに記載の方法を用いて得られる、 表示
[1 4] 4_メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ ι _ペンテン、 および、
3—メチル一 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 (ひ) からなるフイルム (a) を少なくとも 1層有する、 光学部品;
[ 1 5] [ 1 4] に記載の光学部品において、 当該光学部品が位相差板であ
% 光 咅 ΡΠΒ;
[ 1 6] [ 1 5] 記載の光学部品と、 偏光板とからなる、 楕円偏光板または 円偏光板;
[ 1 7] [ 1 6] に記載の楕円偏光板または円偏光板において、 さらに粘着 性樹脂層を有する、 楕円偏光板または円偏光板;
[ 1 8] [ 1 4] に記載の光学部品において、 当該光学部品が反射防止フィ ルム、 透明導電性基板、 拡散シート、 集光シート、 光学補償フィルム、 また は偏光板である、 光学部品;
[ 1 9] [ 1 4] 、 [ 1 5] および [ 1 8] いずれかに記載の光学部品にお いて、 前記フイルム (a) の波長 550 nmにおける面内の位相差 R55Qが、 以 下の条件を満足する、 光学部品;
I R55o I < 30 ( n m)
[20] [ 1 4] 、 [ 1 5] および [ 1 8] いずれかに記載の光学部品にお いて、 前記フイルム (a) の波長 550 nmにおける面内の位相差 R55Qが、 以 下の条件を満足する、 光学部品;
30 ( n m) ≤ I R550 | < 300 ( n m)
[2 1 ] [ 1 4] 、 [ 1 5] および [ 1 8] いずれかに記載の光学部品を有 する表示装置;
[22] 4_メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3—メチル一 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 ( ) を含んでなるフィルムで あって、 以下の条件を満足する、 光学フィルム;
R (450) R (590) ≤ 0. 95
(上記式中、 R (450) および R (590) は、 それぞれ、 波長 450 n mおよび 590 nmにおける前記光学フイルムの面内の位相差を表す。 )
[23] [22] に記載の光学フイルムにおいて、 以下の条件を満足する、 光学フィルム;
R (450) R (590) ≤ 0. 85
[24] [22] または [23] に記載の光学フィルムにおいて、 さらに、 以下の条件を満足する、 光学フィルム;
I R50 (590) I ≤ 200 n m
(上記式中、 R50 (590) は、 波長 590 nmにおける厚さ 5 OjUmあたり の面内の位相差を表す。 )
[25] 有機高分子からなる光学フィルムであって、 波長 590 nmにおけ る厚さ 5 OjUmあたりの面内の位相差 R5Q (590) 力 以下の条件 (1 _ 1 ) を満足し、 波長 450 n mおよび 590 n mにおける面内の位相差 R (4 50) および R (590) 力 以下の条件 (1 _2) を満足する、 光学フィ ル厶;
1 0 n m≤ | R50 (590) | ≤ 20 n m ( 1 — 1 )
R (450) K (590) ≤ 0. 95 ( 1 -2)
[26] [25] に記載の光学フイルムにおいて、 4_メチル _ 1 _ペンテ ン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3 _メチル _ 1—ブテンから選ば れる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた ( 共) 重合体 (ひ) を含んでなる、 光学フイルム;
[27] [25] または [26] に記載の光学フィルムにおいて、 波長 55
0 nmにおける面内の位相差 R55Qが、 以下の条件を満足する、 光学フィルム;
1 55o I < 30 ( n m)
[28] [25] または [26] に記載の光学フィルムにおいて、 波長 55 0 nmにおける面内の位相差 R55Qが、 以下の条件を満足する、 光学フィルム; 30 ( n m) ≤ I R550 | < 300 ( n m)
[29] 4_メチル _ 1 _ペンテンと、 前記 4_メチル _ 1 _ペンテン以外
の炭素数 1 0以上 1 4以下のひ一ォレフィンとの共重合体であって、 当該共 重合体全体に対する前記ひ一才レフインより導かれる構成単位の占める割合 が 1モル%以上 9モル%以下である、 共重合体;
[30] [29] に記載の共重合体を含んでなるフィルム;
[3 1 ] [30] に記載のフィルムにおいて、 当該フィルムが、 溶融押し出 し成形法によって形成した後、 延伸配向させることによって得られる、 フィ ルム;
[32] [30] または [3 1 ] に記載のフィルムにおいて、 光学用途に用 いられる、 フィルム;
[33] [30] 乃至 [32] いずれかに記載のフィルムにおいて、 当該フ イルムが、 位相差板である、 フィルム;
[34] [33] に記載のフィルムにおいて、 前記位相差板の厚さ 50 m あたりの波長 590 nmにおける位相差 R5Q (590) 力 以下の条件を満足 する、 フイルム;
R50 (590) ≤- 22 n m
[35] [33] または [34] に記載のフイルムにおいて、 前記位相差板 が、 以下の特性を満足する位相差フイルムである、 フイルム; および
R (450) R (590) ≤ 0. 9
(上記式中、 R (450) および R (590) は、 それぞれ、 波長 450 nmおよび 590 n mにおける前記位相差フイルムの面内の位相差を表す。 )
[36] [30] 乃至 [34] いずれかに記載のフィルムにおいて、 当該フ イルムが、 偏光保護膜または光学補償フィルムである、 フィルムである。
(本件第二発明)
本件第二発明は、
( 1 ) 偏光子 (a) の一方の面に、 4_メチル _ 1 _ペンテン、 3_メチル _ 1 _ペンテン、 および 3 _メチル _ 1—ブテン、 から選ばれる少なくとも 1種より導かれる構造単位を有する高分子を含有するフィルム (b) 力《直接
または間接に積層され、 前記偏光子 (a) の他の一方の面に、 環状ォレフィ ンより導かれる構造単位を有する高分子を含有するフイルム (c) が直接ま たは間接に積層されている積層偏光板であって、
上記フィルム (b) の波長 590 n mにおけるレターデーシヨン R (59 0) 力 下記式 (2— 1 ) の関係を満たす積層偏光板。
R (590) ≥ 5 (nm) (2- 1 )
(2) ( 1 ) 項に記載の積層偏光板において、 上記フィルム (b) の波長 4 50 n mにおけるレターデーシヨン R (450) と、 波長 590 nmにおけ るレターデーシヨン R (590) と力 下記式 (2— 2) の関係を満たす、 積層偏光板。
R (450) R (590) ≤ 1 (2-2)
(3) ( 1 ) 項に記載の積層偏光板において、 上記偏光子 (a) 力 ヨウ素 および または二色性色素、 ならびにポリビニルアルコール樹脂を含有する 、 積層偏光板。
(4) ( 1 ) 項から (3) 項のいずれか 1項に記載の積層偏光板と、 液晶セ ルとを有する、 液晶表示素子。
(5) (4) 項に記載の液晶表示素子において、 上記フイルム (b) 力 上 記偏光子 (a) を基準として上記液晶セル側に配置される、 液晶表示素子。
(6) ( 1 ) 項から (3) 項のいずれか 1項に記載の積層偏光板、 および または (4) 項若しくは (5) 項に記載の液晶表示素子を有する、 表示装置 を提供する。
(本件第三発明)
本件第三発明は、
[ 1 ] 第一および第二の偏光フィルムと、
前記第一および第二の偏光フィルムの間に配置される液晶セルしと、 前記第一および第二の偏光フィルムの間に配置され、 少なくとも 2枚の位 相差フィルム Aと少なくとも 1枚の位相差フィルム Cとを含む複数の位相差
フイルムと
を備え、
少なくとも 1枚の前記位相差フイルム cが、 前記第一または第二の偏光フ イルムに隣接して配置され、
2枚の前記位相差フィルム Aと前記液晶セルしとが、 A、 L、 Aの順に配 置され、
前記位相差フィルム Aが、 下記式 (3 _ 1 ) および (3 _ 2) のいずれか を満たすとともに、
前記位相差フィルム Cが、 下記式 (3— 3 ) を満たすことを特徴とする積 層体;
n x n y ^ n z ( 3—, )
n z≥ n x > n y ( 3— 2)
n x ^ n y ^- n z ( d— 3 j
(上記式 (3— 1 ) ~ ( 3 - 3 ) において、 n xは、 位相差フイルムの面 内における最大屈折率であり、 n yは、 該位相差フイルムの面内における最 大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率であり、 n zは、 位相差フィル 厶の法線方向の屈折率である。 )
[ 2] [ 1 ] に記載の積層体において、 前記液晶セル L、 前記位相差フィル 厶 Cおよび 2枚の前記位相差フイルム Aが、 C、 A、 L、 Aなる順番で配置 されたことを特徴とする積層体;
[ 3 ] [ 1 ] に記載の積層体において、
前記位相差フィルムが 2枚の前記位相差フィルム Cを含み、
前記液晶セル L、 2枚の前記位相差フィルム Cおよび 2枚の前記位相差フ イルム A力 C、 A、 L、 A、 Cなる順番で配置されたことを特徴とする積 層体;
[4] [ 1 ] 乃至 [ 3 ] いずれかに記載の積層体において、
少なくとも一枚の前記位相差フィルム Aの波長 4 5 0 n mにおける面内の 位相差 R e (4 5 0) 、 波長 5 5 0 n mにおける面内の位相差 R e ( 5 5 0
) および波長 650 n mにおける面内の位相差 R e (650) 力
R e (450) R e (550) < 1 (3-4) 、 および
R e (650) R e (550) > 1 (3-5)
の関係を満たすことを特徴とする積層体;
[5] [4] に記載の積層体において、
前記位相差フィルム Aの波長 450 n mにおける面内の位相差 R e (45 0) 、 波長 550 n mにおける面内の位相差 R e (550) および波長 65 0 n mにおける面内の位相差 R e (650) 力
0. 70≤R e (450) /R e (550) <0. 90
の関係を満たすことを特徴とする積層体;
[6] [ 1 ] 乃至 [5] いずれかに記載の積層体において、
少なくとも 1枚の前記位相差フィルム Aの波長 550 n mにおける面内位 相差 R e (550) の絶対値が、
1 0 n m≤ I R e (550) | ≤ 80 n m
の範囲内にあることを特徴とする積層体;
[7] [ 1 ] 乃至 [6] いずれかに記載の積層体において、
少なくとも一枚の前記位相差フイルム Cの波長 450 nm、 550 nmお よび 650 n mにおける厚み方向位相差 K (450) 、 K (550) および K (650) 力
K (450) ZK (550) ≥ 1 (3-6) 、 および
K (650) ZK (550) ≤ 1 (3-7)
の関係を満足することを特徴とする積層体;
[8] [ 1 ] 乃至 [7] いずれかに記載の積層体において、
前記位相差フィルム Aが、 4ーメチルー 1一ペンテン (共) 重合体を含ん でなる層を有することを特徴とする積層体;
[9] [ 1 ] 乃至 [8] いずれかに記載の積層体を備えることを特徴とする 液晶表示素子;
[ 1 0] [ 1 ] 乃至 [8] いずれかに記載の積層体における前記位相差フィ
ル厶 Aとして使用される位相差フイルムであって、
前記式 (3_ 1 ) および (3_2) のいずれかを満たすことを特徴とする 位相差フイルム;
[ 1 1 ] [ 1 0] に記載の位相差フィルムにおいて、 波長 550 nmにおけ る面内位相差 R e (550) の絶対値が、
1 0 n m≤ I R e (550) | ≤ 80 n m
の関係を満たすことを特徴とする位相差フィルム;
[ 1 2] [ 1 0] または [ 1 1 ] に記載の位相差フィルムにおいて、 4—メ チル一 1—ペンテン (共) 重合体を含んでなることを特徴とする位相差フィ ルムである。
(本件第四発明)
本件第四発明は、
[ 1 ] 第一および第二の偏光フイルムと、
前記第一および第二の偏光フイルムの間に配置される液晶セルしと、 前記第一および第二の偏光フイルムの間に配置され、 位相差フイルム A 1
、 位相差フイルム A 2および位相差フイルム C 1を含む複数の位相差フィル 厶と、
を備え、
前記位相差フイルム A 1、 前記位相差フイルム A 2、 前記位相差フイルム C 1および前記液晶セル Lが、 L、 A 1、 C 1、 A 2なる順番で配置され、 前記位相差フイルム A 1および前記位相差フイルム A 2が、 それぞれ独立 に、 下記式 (4— 1 ) および (4— 2) のいずれかを満たすとともに、 前記位相差フィルム C 1力 下記式 (4_3) を満たすことを特徴とする 積層体;
n x n y ^ n z ( 4— Π )
n z≥ n x > n y (4— 2)
n x≥ n y > n z (4— 3)
(上記式 (4— 1 ) 〜 (4— 3) において、 n xは、 位相差フィルムの面
内における最大屈折率であり、 n yは、 該位相差フイルムの面内における最 大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率であり、 n zは、 位相差フィル 厶の法線方向の屈折率である。 )
[2] [ 1 ] に記載の積層体において、
前記位相差フィルムが、 位相差フイルム C 2をさらに含み、
前記位相差フィルム A 1、 前記位相差フィルム A 2、 前記位相差フィルム
C 1、 前記位相差フィルム C 2および前記液晶セル L力 L、 A 1、 C 1、
A 2、 C 2なる順番で配置され
前記位相差フィルム C 2力 下記式 (4_8) を満たすことを特徴とする 積層体;
n z > n x≥ n y (4— 8)
[3] [ 1 ] または [2] に記載の積層体において、
前記位相差フイルム A 1または前記位相差フイルム A 2の波長 450 nm における面内の位相差 R e (450) 、 波長 550 n mにおける面内の位相 差 R e (550) および波長 650 n mにおける面内の位相差 R e (650 ) が、
R e (450) R e (550) < 1 (4-4) 、 および
R e (650) R e (550) > 1 (4-5)
の関係を満たすことを特徴とする積層体;
[4] [ 1 ] 乃至 [3] いずれかに記載の積層体において、
前記位相差フイルム A 1または前記位相差フイルム A 2の波長 550 nm における面内位相差 R e (550) の絶対値が、
1 0 n m≤ I R e (550) | ≤ 80 n m
の範囲内にあることを特徴とする積層体;
[5] [ 1 ] 乃至 [4] いずれかに記載の積層体において、
前記位相差フィルム C 1または前記位相差フィルム C 2の波長 450 n m 、 550 n mおよび 650 n mにおける厚み方向位相差 K (450) 、 Κ ( 550) および Κ (650) 力
K (450) ZK (550) ≥ 1 (4-6) 、 および
Κ (650) ΖΚ (550) ≤ 1 (4-7)
の関係を満足することを特徴とする積層体;
[6] [1 ] 乃至 [5] いずれかに記載の積層体において、
前記位相差フイルム A 1または前記位相差フイルム A 2が、 4 _メチルー 1一ペンテン (共) 重合体を含んでなる層を有することを特徴とする積層体
[7] [1 ] 乃至 [6] いずれかに記載の積層体を備えることを特徴とする 液晶表示素子;
[8] [1 ] 乃至 [6] いずれかに記載の積層体における前記位相差フィル ム A 1または前記位相差フィルム A 2として使用される位相差フィルムであ つて、
前記式 (4_ 1 ) および (4_2) のいずれかを満たすことを特徴とする 位相差フィルム;
[9] [8] に記載の位相差フィルムにおいて、 波長 550 nmにおける面 内位相差 Re (550) の絶対値が、
1 0 n m≤ I R e (550) | ≤ 80 n m
の関係を満たすことを特徴とする位相差フイルム; ならびに
[1 0] [8] または [9] に記載の位相差フイルムにおいて、 4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体を含んでなることを特徴とする位相差フイルム である。
発明の効果
[0021] 本件第一発明によれば、 短波長ほど位相差が小さな光学フィルムが得られ る。
[0022] また、 本件第一発明によれば、 位相差板をはじめとする各種の光学用途に 充分な複屈折を示し、 その複屈折が逆波長分散を示し、 透明性など他の光学 特性とのバランスに優れた材料およびその用途を提供することができる。 図面の簡単な説明
上述した目的、 およびその他の目的、 特徴および利点は、 以下に述べる好 適な実施の形態、 およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかに なる。
[図 1 ]実施形態における偏光板の構成を示す図である。
[図 2]実施形態における液晶表示装置の構成を示す図である。
[図 3]実施例における 4—メチル一 1—ペンテンからなるフィルムの位相差の 波長依存性を示す図である。
[図 4]実施形態における積層体の概略構成を示す断面図である。
[図 5]実施形態における積層体の概略構成を示す断面図である。
[図 6]実施形態における液晶表示素子の概略構成を示す図である。
[図 7]実施形態における光の補正方法を説明する図である。
[図 8]実施形態における光の補正方法を説明する図である。
[図 9]実施例における積層体の構成を示す斜視図である。
[図 10]実施例における積層体の評価結果を示す図である。
[図 1 1 ]実施例における積層体の構成を示す斜視図である。
[図 12]実施例における光の補正方法を説明する図である。
[図 13]実施例における積層体の評価結果を示す図である。
[図 14]実施例における積層体の構成を示す斜視図である。
[図 15]実施例における積層体の位相差フイルム Aの波長分散を示す図である
[図 16]実施例における積層体の評価結果を示す図である。
[図 17]実施例における積層体の位相差フィルム Aの波長分散を示す図である
[図 18]実施例における積層体の評価結果を示す図である。
[図 19]実施例における光の補正方法を説明する図である。
[図 20]実施例における光の補正方法を説明する図である。
[図 21 ]従来の光の補正方法を説明する図である。
[図 22]従来の光の補正方法を説明する図である。
[図 23]従来の光の補正方法を説明する図である。
[図 24]実施形態における積層体の概略構成を示す断面図である。
[図 25]実施形態における光の補正方法を説明する図である。
[図 26]実施形態における積層体の概略構成を示す断面図である。
[図 27]実施形態における光の補正方法を説明する図である。
[図 28]実施形態における液晶表示素子の概略構成を示す図である。
[図 29]実施例における積層体の構成を示す斜視図である。
[図 30]実施例における積層体の評価結果を示す図である。
[図 31 ]実施例における積層体の構成を示す斜視図である。
[図 32]実施例における光の補正方法を説明する図である。
[図 33]実施例における積層体の評価結果を示す図である。
[図 34]実施例における積層体の構成を示す斜視図である。
[図 35]実施例における積層体の位相差フィルム Aの波長分散を示す図である
[図 36]実施例における積層体の評価結果を示す図である。
[図 37]実施例における積層体の構成を示す斜視図である。
[図 38]実施例における積層体の評価結果を示す図である。
[図 39]従来の光の補正方法を説明する図である。
[図 40]従来の光の補正方法を説明する図である。
[図 41 ]従来の光の補正方法を説明する図である。
[図 42]実施例におけるフイルムの波長と位相差の絶対値の関係を示す図であ る。
[図 43]実施例におけるフイルムの波長と位相差の絶対値の関係を示す図であ る。
符号の説明
1 バックライ ト側偏光フイルム
2 出射側偏光フイルム
3 第一の位相差フイルム C
4 第一の位相差フイルム A 5 液晶セル
6 第二の位相差フイルム A
7 第二の位相差フィルム C
1 3 液 :晶セル
1 5 :一の位相差フィルム C
1 0 1 保護フィルム
1 0 2 ハードコート層
1 0 3 第 2偏光板保護フィルム
1 0 4 偏光子
1 0 5 第 1偏光板保護フィルム
1 0 6 粘着層
1 0 7 剥離フイルム
1 1 4 偏光板
1 1 5 位相差板
1 1 6 光学補償フイルム
1 1 7 液晶パネル
1 1 8 1ϋネ目差板
1 1 9 偏光板
1 2 0 パ、ックライ トュニット
1 1 0 0 積層体
1 1 2 0 積層体
2 1 1 0 積層体
2 1 2 0 積層体
A 位相差フィルム
A 1 位相差フィルム
A 2 位相差フィルム
C 位相差フィルム
C 1 位相差フイルム
C 2 位相差フイルム
L 液晶セル
P 1 偏光フイルム
P 2 偏光フイルム
発明を実施するための最良の形態
[0025] 以下、 本件各発明の実施形態を説明する。
[0026] (本件第一発明)
本件第一発明の発明者は、 鋭意検討の結果、 特定のォレフィン系 (共) 重 合体からなるフイルムが、 所望の複屈折の波長依存性を有するとともに、 安 定性、 低コスト、 軽量性、 および低環境負荷を実現することが容易で、 上記 課題の解決に資することを見出した。
[0027] 本件第一発明において、 とくに断りのない場合、 複屈折および位相差は、 それぞれ、 面内の複屈折および位相差のことである。
[0028] また、 本件第一発明において、 面内の位相差 Rおよび厚さ方向の位相差 R t hは、 それぞれ以下の式で示される。
面内の位相差 R= ( nx- ηγ) ■ d
厚さ方向の位相差 R t h = I (nx+ nY) Z2— nz | - d
[0029] なお、 ここでは、 面内の屈折率が最大となる方向を X軸、 面内であって X 軸に垂直な方向を Y軸、 フィルムの厚さ方向を Z軸とし、 それぞれの軸方向 の屈折率を nx、 ηγ、 ηζ、 フィルムの膜厚を dとする。 また、 位相差の測定は 23 °C、 相対湿度 50 %の条件で行う。
[0030] (第一の実施形態)
本実施形態は、 複屈折の波長依存性を補正する方法に関する。 具体的には 、 4_メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3—メ チル _ 1 _ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成 分として用いて得られた (共) 重合体 (ひ) からなるフイルム (a) を用い て、 光学部品 (光学素子) (B) の複屈折の波長依存性を補正する。
以下、 まず、 フイルム (a) とその製造方法、 (共) 重合体 (ひ) につい て説明する。
[0031] (フイルム (a) )
上記補正方法に用いられるフィルム (a) は、 4_メチル_1 _ぺン亍ン 、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3 _メチル _ 1—ブテンから選ばれ る少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた、 特 定の (共) 重合体 (α) からなる。
[0032] ここで、 「からなる」 とは、 フィルム (a) の全部が (共) 重合体 ( ) で構成されている場合、 フィルム (a) の一部が (共) 重合体 (α) で構成 されている場合、 の双方を含む趣旨である。 従って、 フィルム (a) は、 ( 共) 重合体 (α) 以外の成分を含んでいてもよく、 含んでいなくともよい。
[0033] フィルム (a) 中の (共) 重合体 (α) の含有量は、 耐熱性をさらに向上 させる観点からは、 たとえば 20重量%以上、 好ましくは 50重量%以上で ある。 また、 フイルム (a) 中の (共) 重合体 (ひ) の含有量は、 1 00重 量0 /0以下であり、 機械特性をさらに向上させる観点からは、 好ましくは 98 重量%以下である。
以下、 フイルム (a) を構成する成分について、 さらに具体的に説明する
[0034] フイルム (a) の波長 550 nmにおける面内の位相差 R55()は、 たとえば以 下の条件を満足するようにする。
I R55o I < 30 ( n m)
[0035] また、 フィルム (a) の波長 550 n mにおける面内の位相差 R55()は、 たと えば以下の条件を満足するようにしてもよい。
30 ( n m) ≤ I R550 | < 300 ( n m)
[0036] ( (共) 重合体 (α) )
フィルム (a) において用いられる特定の (共) 重合体 ( ) は、 4—メ チル一 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および 3_メチル _ 1 _ ブテン、 から選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用
いて得られたものである。
この特定のォレフィン系 (共) 重合体 (ひ) は、 3 _メチル_ 1 _ブテン 、 3—メチル一 1—ペンテンまたは 4—メチル一 1—ペンテンの単独重合体 、 もしくはこれら相互の共重合体、 さらに他の共重合可能なモノマー、 たと えばスチレン、 アクリロニトリル、 塩化ビニル、 酢酸ビニル、 アクリル酸ェ ステル、 メタクリル酸エステルなどとの共重合体、 また別には上記のもの同 志あるいは他の熱可塑性樹脂や合成ゴムとのプレンド物、 ブロック共重合体 、 グラフト共重合体などが例示できる。
[0037] (共) 重合体 ( ) の構成単位中、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3—メチ ル一 1—ペンテン、 および 3—メチル一 1—ブテンに由来する構成単位は、 合計で、 通常 2 0モル0 /o以上 1 0 0モル0 /o以下、 好ましくは 5 0モル0 /o以上 1 0 0モル0 /o以下、 さらに好ましくは 8 0モル0 /o以上 1 0 0モル0 /o以下であ る。
4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 または 3—メチ ルー 1ーブテンに由来する構成単位の含有量が多すぎると、 たとえば機械特 性に劣る懸念があり、 少なすぎると、 たとえば耐熱性に劣る、 所望の光学特 性が得られない等の懸念がある。 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3—メチル一 1—ペンテン、 または 3 _メチル _ 1—ブテンに由来する構成単位の含有量 が上記範囲内にあると、 透明性、 耐熱性等の各種特性のバランスに優れる樹 脂が得られるので、 好ましい。
[0038] (共) 重合体 (ひ) の中でも、 4 _メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体は 、 透明性、 剥離性等に優れ、 光学素子 (光学部品) と組み合わせて使用する のに好適であるので、 好ましい。 また、 3 _メチル_ 1 _ぺン亍ン (共) 重 合体、 および 3 _メチル _ 1 _ブ亍ン (共) 重合体は、 耐熱性に優れ、 プロ セスの自由度や、 使用条件の自由度等の観点から好ましい。
以下、 各共重合体について、 さらに具体的に説明する。
[0039] ( 4 _メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体)
(共) 重合体 ( ) として用いられる 4 _メチル _ 1 _ペンテン (共) 重
合体は、 具体的には、 4 _メチル _ 1 _ペンテンの単独重合体もしくは 4 _ メチル一 1—ペンテンとエチレンまたは炭素原子数 3以上 20以下の他のひ —ォレフイン、 たとえばプロピレン、 1—ブテン、 1—へキセン、 1—ォク テン、 1—デセン、 1—亍トラデセン、 1—ォクタデセン等との共重合体で あ 。
4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体は、 通常、 4_メチル _ 1 _ペン テンに由来する構成単位を 85モル%以上、 好ましくは 90モル%以上の量 で含有する。
[0040] 4_メチル_ 1 _ぺン亍ン (共) 重合体を構成する、 4_メチル_ 1 _ぺ ンテン由来以外の構成成分には特に制限はなく、 4_メチル _ 1—ペンテン と共重合可能な各種のモノマーを適宜使用することができるが、 入手の容易 さ、 共重合特性等の観点から、 エチレンまたは炭素数 3以上 20以下の 一 ォレフィンを好ましく用いることができる。 中でも、 短波長で小さい位相差 が得られる特性をより一層安定的に発揮させる点から、 炭素数 7以上 20以 下のひ一ォレフィンが好ましく、 1—デセン、 1—ドデセン、 1—テトラデ セン、 1 _へキサデセン、 および 1—ォクタデセンが特に好ましい。
[0041] (共) 重合体 (ひ) として用いられる 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重 合体の、 ASTM D 1 238に準じ、 荷重 5 k g、 温度 260°Cの条件で 測定したメルトフローレート (MFR) は、 用途に応じ種々決定されるが、 通常、 1 gZ1 0分以上 50 g/1 0分以下、 好ましくは 2 gZ1 0分以上 40 g/1 0分以下、 さらに好ましくは 5 g/1 0分以上 30 g/1 0分以 下である。 4_メチル_ 1 _ぺン亍ン (共) 重合体のメルトフローレートが 小さすぎると、 たとえば溶融押出成形が困難となる懸念があり、 大きすぎる と、 たとえば溶融押出成形において Tダイから押出された樹脂の流れが速い ために、 キャストロール上で均一な膜厚とするのが困難となる懸念がある。 4_メチル_ 1 _ぺン亍ン (共) 重合体のメルトフローレートが上記のよう な範囲内にあると、 フィルム成形性および得られるフィルムの外観が良好で あ 。
[0042] また、 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の融点は、 耐熱性をさらに 向上させる観点から、 たとえば 1 00°C以上、 好ましくは 1 50°C以上であ る。 4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体の融点は、 溶融押出成形におけ る成形性をさらに向上させる観点では、 たとえば 240°C以下、 好ましくは 200°C以下である。
[0043] 次に、 4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体の製造方法を説明する。
4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体の製造方法に特に制限はなく、 チ ーグラー■ナッタ触媒、 メタ口セン系触媒等の公知の触媒を用いて製造する ことができる。 たとえば特許文献 8 (特開昭 59— 20641 8号公報) に 記載されている方法に準じて、 触媒の存在下に 4—メチル一 1—ペンテンと 上記のエチレンまたは 一ォレフィンを重合することにより得ることができ る。
[0044] (3—メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体)
(共) 重合体 (ひ) として用いられる 3_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重 合体は、 3_メチル _ 1 _ペンテンの単独重合体または共重合体である。 共 重合体である場合の好ましいコモノマー種、 コモノマー含量、 MFR、 融点 等は、 上述した 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の場合と同様である
[0045] 3_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体は、 従来公知の方法に準じて製造 することが可能であり、 たとえば、 特許文献 9 (特開平 06— 1 45248 号公報) に記載の方法により製造することができる。
[0046] (3_メチル_ 1 _ブ亍ン (共) 重合体)
(共) 重合体 ( ) として用いられる 3_メチル _ 1—ブテン (共) 重合 体は、 3_メチル _ 1—ブテンの単独重合体または共重合体である。 共重合 体である場合の好ましいコモノマー種、 コモノマー含量、 MFR、 融点等は 、 上述した 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の場合と同様である。
[0047] 3_メチル _ 1—ブテン (共) 重合体は、 従来公知の方法に準じて製造す ることが可能であり、 たとえば、 特許文献 9に記載の方法により製造するこ
とができる。
[0048] ( (共) 重合体 (ひ) 以外にフイルム (a ) を構成する成分)
本実施形態において用いられるフイルム (a ) は、 上述の (共) 重合体 ( a ) 以外の各種の成分を含んでいてもよい。 (共) 重合体 (α ) 以外の成分 は、 (共) 重合体 ( ) 以外の各種樹脂または各種ゴムであってもよい。 各 種樹脂としては、 特に透明性に優れた樹脂が好ましく、 たとえば、 環状ォレ フィン (共) 重合体等の各種ポリオレフイン、 ポリカーボネート、 ポリスチ レン、 酢酸セルロース樹脂、 フッ素系樹脂、 ポリエステル、 アクリル樹脂等 を使用することができる。 各種ゴムとしては、 ォレフィン系ゴム、 スチレン 系ゴム等を使用することができる。
[0049] また、 本実施形態において用いられるフィルム (a ) には、 帯電防止剤、 酸化防止剤、 耐熱安定剤、 剥離剤、 耐候安定剤、 防鯖剤、 スリップ剤、 核剤 、 顔料、 染料、 無機充填剤 (シリカなど) などの通常ポリオレフインに添加 して使用される各種配合剤や、 それ以外の特殊な配合剤を、 本件第一発明の 目的を損なわない範囲で添加することができる。
[0050] (フイルム (a ) の製造方法)
次に、 フイルム (a ) の製造方法を説明する。
フイルム (a ) は、 たとえば、 上述の (共) 重合体 (ひ) および必要に応 じて他のフイルム (a ) を構成する成分を形成して得られる。
[0051 ] さらに具体的には、 フイルム (a ) は、 従来公知の方法によって適宜作成 することができるが、 たとえば (共) 重合体 (ひ) とそれ以外の成分とを、 V—プレンダー、 リボンプレンダー、 ヘンシェルミキサー、 タンブラーブレ ンダ一で混合する方法、 あるいは前記プレンダ一で混合した後、 単軸押し出 し機、 複軸押し出し機、 ニーダー、 バンバリ一ミキサー等で溶融混鰊して造 粒あるいは粉砕し、 次いで、 プレス成形、 押出成形、 インフレーション成形 などの方法、 または溶液流延法などの公知の方法でフィルム成形することが できる。 より効率良く生産するには、 溶液流延法、 インフレーション成形法 や押出成形法等が好ましい。
[0052] また、 得られたフイルムを延伸することにより、 光学的には複屈折、 その 角度依存性、 その温度依存性等の物性を所望の値に調整することができ、 さ らに機械的強度を付与したフイルムとすることもできる。 延伸の倍率は、 所 望の光学的性質等により適宜選択すればよいが、 たとえば、 均一延伸や所望 の複屈折をさらに確実に得る観点では、 通常 1 . 5倍以上、 好ましくは 2倍 以上である。 また、 フィルムの延伸倍率は、 製造プロセスを容易にする観点 では、 通常 1 0倍以下、 好ましくは 5倍以下である。
[0053] また、 溶融押し出し成形法によって形成した後、 延伸配向させることによ り、 フィルムをさらに効率よく安定的に生産することができる。 溶融押出し 成形を行う場合、 具体的には、 一軸押出機にて、 所定のシリンダ温度および 所定のキャストロール温度で成形を行った後、 延伸機にてガラス転移温度 ( T g ) 以上であって、 2 0 0 °C以下、 好ましくは 1 8 0 °C以下である温度で 所定の倍率 (好ましくは 5倍以下、 特に好ましくは 3倍以下) だけ所定の延 伸速度にて延伸成形を行う。 結晶化度■結晶サイズを増加させない意味から は延伸倍率は小さいほう力 延伸速度は大きいほうが好ましい。 また、 延伸 は、 一軸延伸、 二軸延伸などのいずれで行ってもよい。 結晶化度、 結晶サイ ズを増加させない観点からは一軸延伸よりも二軸延伸が、 より好ましく用い られる。
[0054] なお、 このとき、 溶融押出し成形時に原反シート状のフイルムをいつたん 製造しておいて、 改めて延伸成形の装置に原反シートを供給するようにして もよいし、 溶融押出し成形および延伸成形を連続的に行ってもよい。
また、 溶融押出し成形によりフィルムを得る場合において、 押出機のロー ル間で加圧圧縮してもよく、 これにより得られるフィルムの透明性をより高 くすることができる。
[0055] フィルム (a ) の厚みは、 使用の目的、 とりわけ光学部品 (B ) の複屈折 およびその波長依存性によって適宜設定すればよく、 特に制限はないが、 通 常 1 0 m以上 2 0 0 m以下、 好ましくは 2 0 m以上 1 0 0 m以下で ある。 フィルム (a ) が薄すぎると取り扱いの容易性が低下する懸念があり
、 厚すぎるとロールで扱うことが困難となる、 ロールあたりの長さが短くな る等の懸念がある。 フイルム (a ) の厚さが上記範囲であれば、 フイルムの 生産性に優れ、 またフイルム成形時にピンホールなどを生じることなく、 ま たさらに充分な強度も得られることから好ましい。 尤も、 通常は光学的な設 計が優先されることは、 上述のとおりである。
なお、 フィルムの厚さに特に上限はなく、 本技術分野において従来 「シー ト」 と呼ばれていたものも含む。 また、 光学用途に使用可能な程度の厚さで あることが好ましい。
[0056] 次に、 フィルム (a ) を用いて光学部品 (B ) の複屈折の波長依存性を補 正する方法について説明する。
[0057] (光学部品 (B ) の複屈折の波長依存性を補正する方法)
本実施形態では、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル_ 1 _ぺン亍ン 、 および、 3 _メチル _ 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィ ンを (共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 (ひ) からなるフィ ル厶 (a ) を用いて、 光学部品 (B ) の複屈折の波長依存性を補正する。 具 体的には、 光学部品 (B ) とフイルム (a ) とを積層し、 積層体の複屈折の 波長依存性を調整することにより、 光学部品 (B ) とフイルム (a ) との積 層体の複屈折の波長依存性が、 光学部品 (B ) 単独での複屈折の波長依存性 よりも理想的な状態に近づくようにする。 つまり、 複屈折が波長と正比例す る、 または、 複屈折により生ずる位相差 (角度換算) が波長によらず一定で ある状態に近づくようにする。
[0058] ここで、 複屈折の波長依存性とは、 可視光領域において複屈折の大きさが 波長により異なっていることをいう。 複屈折の波長依存性の大きさは、 具体 的には、 4 5 0 n mにおける複屈折の大きさと 5 9 0 n mにおける複屈折の 大きさとの差で示される。
[0059] (共) 重合体 ( ) からなるフィルム (a ) は、 上述したように、 複屈折 が逆波長分散を示すため、 本実施形態の方法により、 光学部品 (B ) を単独 で用いた場合に対して、 複屈折の波長依存性を最適化することができる。
[0060] なお、 背景技術の項で前述した特許文献 1では、 4—メチル一 1—ペンテ ンの重合体を用いて光学部品に複屈折の特性を向上させようとしているが、 本実施形態の方法とは、 以下の点で異なる。
[0061 ] すなわち、 特許文献 1は、 S T N液晶の複屈折による着色を除くことを目 的とする技術であるが、 その波長依存性には着目していない。 同文献のよう に、 複屈折の正波長分散を有する S T N液晶および 4 _メチル _ 1—ペンテ ンを主体とした重合体を延伸配向せしめた位相差補償シー卜の両者を単に積 層して、 5 0 0〜6 0 0 n mにおける特定の一点の波長で複屈折を打ち消し ても、 積層体の複屈折の波長依存性は却って拡大してしまう。 このため、 複 屈折の波長依存性を効果的に補正することはできない。
[0062] これに対し、 本実施形態では、 光学部品 (B ) とフィルム (a ) とを積層 し、 積層体の複屈折の波長依存性を調整する。 フィルム (a ) を用いて光学 部材 (B ) の位相差 (複屈折) の波長依存性を最適化し、 可視光の少なくと も一部の領域において、 光学特性を安定させることができる。 たとえばポリ カーボネートゃポリオレフインからなる光学補償シートを用いた際に、 光学 補償対象である液晶セルとの間で生じた位相差の波長分散のずれを補正する ことで、 光漏れをさらに小さくする方法であり、 この場合に複屈折の逆波長 分散を有する 4—メチルペンテン一 1 フイルムを有効に使用することができ る。
[0063] (光学部品 (光学素子) (B ) )
本実施形態において、 その複屈折の波長依存性を制御する対象となる光学 部品 (B ) の種類、 光学特性、 材料等に特に制限はなく、 複屈折を有する各 種の光学部品を使用することができる。 特に光学部品 (B ) 力 短波長ほど 大きな複屈折を有すると、 複屈折の波長依存性を補正する必要性が高いので 、 実用上有意義である。 ここで、 フィルム (a ) と光学部品 (B ) の光軸と がなす角度には特に制限はなく、 目的に応じて適宜設定することが可能であ るが、 たとえば、 光学部品 (B ) 力 短波長ほど大きな複屈折を有する場合 には、 進相軸同士、 遅相軸同士を一致させると、 光学部品 (B ) の複屈折の
波長依存性を効果的に補正することができるので好ましい。
[0064] また、 光学部品 (B) が短波長ほど小さな複屈折を有する場合でも、 フィ ル厶 (a) と光学部品 (B) とを組み合わせて、 光学部品 (B) の複屈折の 波長依存性を補正することが可能であり、 光軸間の角度を適宜設定すること で、 実用上有意義に使用することが可能である。
[0065] 上述のように、 光学部品 (B) の種類、 光学特性、 材料等に特に制限はな く、 複屈折を有する各種の光学部品を使用することができるが、 光学部品 ( B) 力 短波長ほど大きな複屈折を有することが特に好ましい。 このような 光学部品 (B) を構成する材料として、 環状ォレフィン (共) 重合体、 ポリ エチレン、 ポリプロピレンを始めとする (共) 重合体 ( ) 以外のポリオレ フィン、 ポリカーボネート、 ポリエチレン亍レフタレート、 トリァセチルセ ルロース、 ポリスチレン、 アクリル樹脂等を挙げることができる。 この中で も、 透明性、 安定性、 コスト等の観点から、 環状ォレフィン (共) 重合体、 およびトリァセチルセルロースが特に望ましい。
以下、 光学部品 (B) の具体例を示す。
[0066] (光透過性のフイルム (b 1 ) )
上記光学部品 (B) の形状に特に制限はないが、 大面積の光学部品を実現 したり、 多量の光学部品を効率よく生産したりする際に有利なので、 光学部 品 (B) が光透過性のフイルム (b 1 ) であることが特に好ましい。
[0067] 光透過性のフイルム (b 1 ) の厚さは、 用途や所望の光学的、 機械的性質 に応じて適宜決定され、 特に制限はないが、 取り扱い性をさらに向上させる 観点では、 通常 0. 0 1 mm以上、 好ましくは 0. 0 1 5 mm以上、 特に好 ましくは 0. 02mm以上である。 また、 光透過性のフィルム (b 1 ) の厚 さは、 たとえば重量やコスト等をさらに低減させる観点では、 通常 5 mm以 下、 好ましくは 3 mm以下、 特に好ましくは 1 mm以下である。 光透過性の フィルム (b 1 ) は、 溶融押出し法、 溶液流延法等によって製造することが できるが、 これらの製造方法に限定されるものではない。
[0068] 光透過性のフィルム (b 1 ) の用途には特に制限はない。 本実施形態にお
ける複屈折の波長依存性を補正する方法は、 各種の光学用の光透過性のフィ ル厶 (b 1 ) に適用することができる。 たとえば、 位相差板、 偏光板、 光学 補償フイルム、 反射防止フイルム、 透明導電性基板、 拡散シート、 集光シー ト等を好ましい用途として挙げることができるが、 これらに限定されない。
[0069] 本実施形態において、 光学部品 (B) が光透過性のフィルム (b 1 ) であ る場合、 4_メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3—メチル一 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 (α) からなるフィルム (a) と光透過性のフィルム (b 1 ) とを積層して使用することが好ましい。 積層 界面での光学ロスを低減し、 構造を単純化する等の観点からは、 フィルム ( a) と光透過性のフィルム (b 1 ) とが直接積層されていることが好ましく 、 積層の強度を確保する等の観点からは、 フィルム (a) と光透過性のフィ ル厶 (b 1 ) と力 接着層を介して積層されていることが好ましい。 直接積 層を行う場合には、 密着性を向上させるために、 界面を平滑化することが好 ましい。
[0070] 接着層を介して積層する場合、 接着層の材質に特に制限はなく、 光学ロス が小さく、 接着力および耐久性に優れた各種の接着剤を適宜使用することが できる。 ポリオレフイン系、 アクリル系、 ウレタン系、 エポキシ系、 ポリビ ニルアルコール系、 ポリエステル系等の各種接着剤を好ましく使用すること ができるが、 これらに制限されない。 中でもポリオレフイン系の接着性樹脂 は、 4_メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3_ メチル _ 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合 成分として用いて得られた (共) 重合体 (α) との接着性に優れるので好ま しい。
ポリオレフイン系の接着性樹脂の詳細は、 たとえば、 特許文献 1 0 (特開 平 09— 268243号公報) および特許文献 1 1 (特開平 1 1 — 1 244 79号公報) に記載されており、 本実施形態において、 同文献に記載された 樹脂を用いてもよい。
[0071 ] 接着層を介しての積層を行う際には、 フイルム (a ) 、 および光透過性の フイルム (b 1 ) の一方または双方の表面に、 プラズマ処理、 コロナ放電処 理、 火炎処理、 紫外線処理、 アンダーコート層塗布等の易接着化処理を行つ てもよい。
[0072] また、 フィルム (a ) と光透過性のフィルム (b 1 ) との間に、 接着層以 外の層が、 1層または 2層以上存在していてもよい。 接着層以外の層として は、 反射層、 反射防止層、 妨眩層、 ハードコート層、 静電防止層、 ガスバリ ァ層、 透明導電層、 位相差板、 光学補償フィルム、 拡散板、 集光シート、 偏 光板等を挙げることができるが、 これらには制限されない。
[0073] (偏光板保護膜)
本実施形態においては、 光透過性のフィルム (b 1 ) が偏光板保護膜であ ることが好ましい。 以下、 その意義について詳述する。
[0074] 複屈折により生ずる位相差は一般に角度でも表現することができる。 この とき、 角度で表現した位相差 R 1 と n mを単位とした位相差 R 2の換算式は
R 1 (度) = ( R 2 ( n m) / A ( n m) ) x 3 6 0 (度)
で表される。 なお、 スは、 位相差測定波長である。
[0075] 偏光板用の保護フイルムが持っている位相差 R 1の大きさは、 偏光板の偏 光度に影響を与え、 たとえば液晶表示装置に用いた場合には液晶表示装置の コントラスト等の画質に影響を与える。 すなわち、 R 2が使用する位相差測 定波長に対して常に一定の値であった場合でも、 短波長側になればなるほど 、 R 1は大きくなつてしまい、 短波長になるほど保護フィルムの持つ位相差 が直線偏光板の偏光度を悪化させる。 よって、 この R 2で表記される位相差 は短波長ほど小さいことが好ましい。 たとえば、 保護フィルムの持つ位相差 の偏光板の偏光度に与える影響を、 可視光の範囲ですベて同じにするという ことであれば、 R 2の波長; Iに対する変化を波長; Iの変化に近づけることが 好ましいと言うことになる。 これは、 R 2で表記される位相差は短波長ほど 小さいことが好ましいことを意味する。 し力、し、 通常偏光板保護膜に使用さ
れる高分子材料からなる透明フイルムはいずれも、 R 2が短波長になると大 きくなつてしまうかまたは良くても一定なものが普通である。
[0076] ここで、 本実施形態の波長依存性を補正する方法を適用すれば、 R 2で表 記される位相差を短波長ほど小さいものとすることが可能となり、 保護フィ ルムの持つ位相差が直線偏光板の偏光度を悪化さる現象を抑制することが可 能となり、 実用上高い価値を有する。 すなわち、 光透過性のフィルム (b 1 ) が偏光板保護膜であることは、 実用上高い価値を有し、 本実施形態の特に 好ましい態様の 1つである。
[0077] (偏光板 (P ) )
本実施形態の方法において、 さらに偏光板 (P ) を使用してもよい。 具体 的には、 光学部品 (B ) と偏光板 (P ) との間にフィルム (a ) を配置し、 かつ光学部品 (B ) と偏光板 (P ) との間に、 フィルム (a ) 以外の光学部 品であって、 面内の位相差を有するものが実質的に存在しない構成とする。 こうすれば、 面内の位相差をより一層確実に制御することができる。
[0078] 図 1は、 本実施形態のフイルム (a ) を偏光板に適用した例を示す。
この偏光板において、 表面を保護する保護フイルム 1 0 1、 偏光板に耐擦 傷性などを付与するハードコート層 1 0 2、 第 2偏光板保護フイルム 1 0 3 、 偏光子 1 0 4、 第 1偏光板保護フイルム 1 0 5、 他の素子に対する接着層 として作用する粘着層 1 0 6、 粘着層 1 0 6を保護する剥離フィル厶 1 0 7 が順に積層されている。
[0079] ここで、 保護フイルム 1 0 1は、 偏光板を装着した表示素子、 例えば液晶 表示素子の検査作業が保護フィルムを付けた状態で行われるため、 本実施形 態におけるフィルム (a ) のような光学特性に優れるフィルムを好適に使用 することができる。 第 1偏光板保護フィルム 1 0 5および第 2偏光板保護フ イルム 1 0 3は、 偏光子 1 0 4を保護するとともに高い透明性が求められる ため、 本実施形態のような光学特性に優れるフィルムを好適に使用すること ができる。 剥離フィルム 1 0 7は、 表示素子の形成時に当該偏光板にさらに 光学補償フィルム、 位相差フィルム (板) などを積層するための粘着層 1 0
6をカバーするために設けられており、 この偏光板の検査作業が剥離フィル 厶 1 0 7を付けた状態で行われるため、 本実施形態のような光学特性に優れ るフイルムを好適に使用することができる。
[0080] (光学補償フィルム)
本実施形態においては、 光透過性のフィルム (b 1 ) が光学補償フィルム であることも好ましい。 光学補償フィルムの R 2で表記される位相差が短波 長ほど小さいことが好ましいことは、 上述の偏光板保護膜の場合と同様であ る。 さらに、 光学補償フィルムは、 上述の偏光板保護膜の場合よりも、 複屈 折が大きな材料を使用するため、 複屈折の波長依存性も比較的大きい。 従つ て、 複屈折の波長依存性により生ずる着色等の好ましくない現象も、 より深 刻である。
[0081 ] ここで、 本実施形態の波長依存性を補正する方法を適用すれば、 R 2で表 記される位相差を短波長ほど小さいものとすることが可能となり、 光学補償 フィル厶の持つ複屈折の波長依存性による着色現象等を抑制することが可能 となり、 実用上高い価値を有する。
すなわち、 光透過性のフイルム (b 1 ) が光学補償フイルムであることは 、 実用上高い価値を有し、 本実施形態の特に好ましい実施形態の 1つである
[0082] また、 光学補償フイルムとは、 たとえば液晶層、 樹脂等を用いて、 液晶等 のねじれや角度を膜厚方向で変化させることで 3次元での光学補償機能を持 たせたフィル厶のことであり、 位相差板と一部重複する概念である。
以下、 位相差板について説明する。
[0083] (位相差板)
本実施形態においては、 光透過性のフィルム (b 1 ) が位相差板であるこ とも好ましい。 位相差板の R 2で表記される位相差が短波長ほど小さいこと が好ましいことは、 上述の偏光板保護膜の場合と同様である。 さらに、 位相 差板は、 上述の偏光板保護膜の場合よりも、 複屈折が大きな材料を使用する ため、 複屈折の波長依存性も比較的大きい。 従って、 複屈折の波長依存性に
より生ずる着色等の好ましくない現象も、 より深刻である。
[0084] ここで、 本実施形態の波長依存性を補正する方法を適用すれば、 R2で表 記される位相差を短波長ほど小さいものとすることが可能となり、 位相差板 の持つ複屈折の波長依存性による着色現象等を抑制することが可能となり、 実用上高い価値を有する。 すなわち、 光透過性のフィルム (b 1 ) が位相差 板であることは、 実用上高い価値を有し、 本実施形態の特に好ましい態様の 1つである。
[0085] (液晶パネル (b 2) )
上記光学部品 (B) の構造、 形状、 素材等に特に制限はないが、 本実施形 態においては、 光学部品 (B) が液晶パネル (b 2) であることも好ましい 。 液晶パネル (b 2) の R 2で表記される位相差が短波長ほど小さいことが 好ましいことは、 上述の偏光板保護膜の場合と同様である。 さらに、 液晶パ ネル (b 2) は、 液晶層が必然的に複屈折を有するため、 複屈折の波長依存 性も比較的大きい。 従って、 複屈折の波長依存性により生ずる着色等の好ま しくない現象も、 より深刻である。
[0086] ここで、 本実施形態の波長依存性を補正する方法を適用すれば、 R2で表 記される位相差を短波長ほど小さいものとすることが可能となり、 液晶層の 持つ複屈折の波長依存性による着色現象等を抑制することが可能となり、 実 用上高い価値を有する。 すなわち、 光学部品 (B) が液晶パネル (b 2) で あることは、 実用上高い価値を有し、 本実施形態の特に好ましい実施形態の 1つである。
[0087] 本実施形態においては、 (共) 重合体 ( ) からなるフィルム (a) と液 晶パネル (b 2) と力 直接、 または接着層を介して積層されていることが 好ましい。 積層界面での光学ロスを低減し、 構造を単純化する等の観点から は、 フィルム (a) と液晶パネル (b 2) とが直接積層されていることが好 ましく、 積層の強度を確保する等の観点からは、 フィルム (a) と液晶パネ ル (b 2) と力 接着層を介して積層されていることが好ましい。 積層の詳 細は、 (共) 重合体 ( ) からなるフィルム (a) と光透過性のフィルム (
b 1 ) との積層において説明したものと同様である。
[0088] (表示装置)
本実施形態における複屈折の波長依存性を補償する方法は、 液晶ディスプ レイ、 E Lディスプレイ、 タツチパネル、 フィールドェミッションディスプ レイ、 L E D等の表示装置において特に有効に活用することができる。 表示 装置は、 一般に偏光を利用する各種光学部品 (B ) を使用していることに加 え、 通常、 可視光全域にわたる広い波長範囲の光を使用するため、 複屈折の 波長依存性の影響を受けやすく、 その補正が特に強く望まれている。 従って 、 本実施形態における複屈折の波長依存性を補正する方法を利用した表示装 置は、 本実施形態の特に好ましい実施形態の 1つである。
[0089] 図 2は、 このような表示装置として液晶表示装置の構成の一例を示す図で あ^ ο
この液晶表示装置において、 偏光板 1 1 4、 位相差板 1 1 5、 光学補償フ イルム 1 1 6、 液晶パネル 1 1 7、 位相差板 1 1 8、 偏光板 1 1 9、 バック ライ トュニット 1 2 0が順に積層されている。
[0090] ここで、 偏光板 1 1 4および偏光板 1 1 9としては、 図 1に示したような 本実施形態が適用される偏光板が好適に使用される。 光学補償フイルム 1 1 6としては、 多層構造のものを使用することができるが、 本実施形態のフィ ル厶 (a ) をそのまま適用した単層構造のものも好適に使用することができ る。
[0091 ] このような構成により、 バックライ トユニット 1 2 0からの入射光が偏光 板 1 1 9にて偏光され、 直線偏光光のみが透過し、 位相差板 1 1 8にて偏光 光の位相が揃えられ、 液晶パネル 1 1 7に入射する。 液晶パネル 1 1 7では 、 出力画像が形成され、 この画像を再現するための光が生成されて出射し、 この出射光が光学補償フィルム 1 1 6にて視野角補償され、 位相差板 1 1 5 にて位相差が揃えられ、 偏光板 1 1 4にて偏光されて、 コントラスト調整さ れる。
[0092] (第二の実施形態)
(光学部品 (光学素子) )
本実施形態は、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3—メチル一 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィン を (共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 (α ) からなるフィル ム (a ) を少なくとも 1層有する、 光学部品に関する。 本実施形態における 共重合体 ( ) および、 フィルム (a ) の詳細は、 第一の実施形態において 説明したものと同様である。
[0093] 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3—メ チル一 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成 分として用いて得られた (共) 重合体 ( ) からなるフィルム (a ) は、 短 波長ほど位相差が小さな光学フィルムであって、 光学特性が安定で、 安価、 軽量、 かつ環境負荷の小さな光学フィルムなので、 これを用いた光学部品は 、 実用上高い価値を有する。
[0094] 本実施形態における光学部品は、 フイルム (a ) を少なくとも 1層有して いればよく、 それ以外の部材、 層を有していてもいなくてもよい。
[0095] フイルム (a ) は短波長ほど位相差が小さいので、 単独でも複屈折により 生ずる位相差 (角度換算) を波長によらずほぼ一定とすることができる。 従 つて、 フイルム (a ) 単独で構成される本実施形態における光学部品は、 た とえば、 広帯域で位相差が一定な位相差板として使用することができる。 広 帯域で位相差が一定な位相差板は、 従来、 複数の光学部品を組み合わせた複 雑な構造によるか、 または、 複雑な化学構造を有する樹脂によらなければ実 現できなかったものである。 従って、 フィルム (a ) 単独で構成される本実 施形態における光学部品は、 これらと比較して実用上高い価値を有し、 本実 施形態の好ましい態様の 1つである。
[0096] フィルム (a ) と、 それ以外の部材、 層とを組み合わせた光学部品も、 本 実施形態の好ましい実施形態の 1つである。 それ以外の部材、 層に、 各種の 光学機能を担わせることで、 より複雑な光学機能を有する光学部品を実現す ることができるので、 実用上高い価値を有する。 フィルム (a ) 以外の部材
、 層は、 第一の実施形態において説明した光学部品 (B ) と同じであっても よいし、 異なっていてもよい。 たとえば、 フイルム (a ) と好ましい光学部 品 (B ) である位相差フイルムとを適宜積層して得られる位相差板は、 本実 施形態の好ましい態様の一つである。
[0097] 本実施形態における位相差板を偏光板と積層することで得られる楕円偏光 板、 または円偏光板も、 広い波長領域で楕円偏光、 または円偏光を生成する ことが可能であり、 本実施形態の好ましい態様の 1つである。 位相差板と偏 光板とは粘着性樹脂層を介して積層されていてもよい。 また、 粘着性樹脂層 は、 位相差板の表面であって、 偏光板とは反対側に設けられていてもよい。 粘着性樹脂層の詳細は、 たとえば、 特許文献 1 2 (特開 2 0 0 4— 1 7 7 7 8 5号公報) に記載されており、 本実施形態に同文献記載のものを用いても よい。
[0098] フイルム (a ) 単独からなる光学部品、 または、 フイルム (a ) と、 それ 以外の部材、 層とを組み合わせた光学部品は、 反射防止フイルム、 波長選択 性光反射フイルム、 波長選択性低反射フイルム、 透明導電性基板、 拡散シー ト、 集光シート、 位相差板、 光学補償フイルム、 液晶パネル基板、 反射板、 反透過反射板、 散乱板、 散乱反射電極付き基板、 透明電極付き基板、 鏡面反 射電極付き基板、 防曇フイルム、 または偏光板であってもよい。 これらの光 学部品は、 比較的簡単な構成を有しながら、 複屈折の波長依存性が所望の状 態に補正されているので、 実用上高い価値を有する。
[0099] 本実施形態においても、 第一の実施形態と同様に、 フイルム (a ) の波長 5 5 0 n mにおける面内の位相差 R 55Qは、 たとえば以下の条件を満足するよう にする。
I 55o I < 3 0 ( n m )
[0100] また、 フィルム (a ) の波長 5 5 0 n mにおける面内の位相差 R55()は、 たと えば以下の条件を満足するようにしてもよい。
3 0 ( n m) ≤ I R550 | < 3 0 0 ( n m )
[0101 ] (表示装置)
本実施形態の光学部品は、 液晶ディスプレイ、 E Lディスプレイ、 タツチ パネル、 フィールドェミッションディスプレイ、 LED等の表示装置におい て特に有効に活用することができる。 表示装置は、 一般に偏光を利用する各 種光学部品 (B) を使用していることに加え、 通常、 可視光全域にわたる広 い波長範囲の光を使用するため、 複屈折の波長依存性の影響を受けやすく、 その補正が特に強く望まれている。 従って、 本実施形態における光学部品を 有する表示装置は、 本実施形態の特に好ましい態様の一つである。
[0102] なお、 本実施形態における表示装置は、 たとえば図 2を参照して前述した 積層構造とすることができる。
[0103] 以上の本実施形態によれば、 短波長ほど位相差が小さく、 所望の複屈折の 波長依存性を有する光学フィルムが得られる。 また、 吸湿等による光学特性 の変化が小さく、 安価、 軽量、 かつ環境負荷の小さな光学フィルムが得られ る。 また、 この光学フイルム材料を用いることで、 各種の光学部品が有する 複屈折の波長依存性を簡便に補正することができる。 これにより、 たとえば 、 実用上高い価値を有する複屈折の波長依存性の補正方法、 複屈折の波長依 存性が補正された各種の光学部品、 および色再現性等に優れた表示装置を得 ることが可能となる。
[0104] (第三の実施形態)
以上の実施形態において、 フイルム (a) として用いる光学フイルムを以 下の構成としてもよい。
本実施形態でも、 フイルム (a) として用いる光学フイルムは、 4—メチ ル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3_メチル _ 1 _ ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用 いて得られた (共) 重合体 (α) を含んでなるフィルムである。
[0105] また、 本実施形態の光学フィルムは、 以下の条件を満足する。
R (450) R (590) ≤ 0. 95
(上記式中、 R (450) および R (590) は、 それぞれ、 波長 450 η mおよび 590 n mにおける前記光学フィルムの面内の位相差を表す。 )
[0106] 本実施形態では、 光学フイルムが上記式を満たすことにより、 位相差の波 長分散を効率的に補正することができる。
[0107] また、 位相差の波長分散をより一層効率的に補正する観点では、 光学フィ ルムが以下の条件を満足することが好ましい。 こうすれば、 さらに効率的に 補正できる。
R (450) R (590) ≤ 0. 9
また、 上記観点では、
R (450) R (590) ≤ 0. 85
とすることがさらに好ましい。
[0108] なお、 R (450) R (590) の下限に特に制限はないが、 補正の誤 差を小さくする観点では、 たとえば 0. 2以上とすることができる。
[0109] また、 本実施形態の光学フィルムが、 さらに、 以下の条件を満足する構成 としてもよい。 こうすることにより、 さらに取り扱い性に適した膜厚で効率 よく位相差の波長分散を補正することができる。 また、 同じ膜厚バラツキで あれば位相差値のバラツキがより小さい実用性の高い光学フィル厶とするこ とができる。
| R50 (590) | ≤ 200 n m
(上記式中、 R50 (590) は、 波長 590 nmにおける厚さ 5 O mあたり の面内の位相差を表す。 )
この観点からは、 | R5o (590) | は、 1 50 nm以下、 さらに好ましく は 1 00 nm以下、 特に好ましくは、 50 nm以下であること力 より望ま しい。
また、 上記 R50 (590) 力
1 nm≤ | R50 (590) |
の条件を満足する構成としてもよく、 さらに好ましくは、
3 nm≤ | R50 (590) |
である。
[0110] —方、 本実施形態の光学フィルムは、 さらに、 以下の条件を満足する構成
とするのがよい。
I R50 (590) I≤ 30 n m
(上記式中、 R50 (590) は、 波長 590 nmにおける厚さ 5 O mあたり の面内の位相差を表す。 )
なお、 | R5Q (590) Iの下限に特に制限はないが、 たとえば上述の範囲 としてもよい。
[0111] また、 補正に必要な充分な R5Q (590) を得る観点からは、 本実施形態の 光学フィルムにおいて、 (共) 重合体 ( ) 力 4_メチル _ 1 _ペンテン と、 4—メチル一 1—ペンテン以外の炭素数 1 0以上 1 4以下の 一ォレフ ィンとの共重合体であって、 共重合体全体に対する 一才レフインより導か れる構成単位の占める割合が 1モル%以上 9モル%以下とすることが好まし い。
[0112] (第四の実施形態)
本実施形態は、 有機高分子からなる光学フイルムに関する。
このフイルムは、 波長 590 n mにおける厚さ 50 mあたりの面内の位 相差 R50 (590) 力 以下の条件 (1 — 1 ) を満足し、 波長 450 nmおよ び 590 n mにおける面内の位相差 R (450) および R (590) 力 以 下の条件 (1一 2) を満足する。
1 0 n m≤ | R50 (590) | ≤ 20 n m ( 1 — 1 )
R (450) K (590) ≤ 0. 95 ( 1 -2)
[0113] 本実施形態によれば、 上記 (1 _ 1 ) および (1 _2) 式を満たす構成と することにより、 たとえば膜厚を厚くすることでフィルム自体にある程度の 機械強度を持たせた部材において、 実用的な位相差を与える位相差フィルム とすることができる。 また、 たとえば S T N方式の液晶セル等とたとえばポ リカーボネィ トゃポリオレフインからなる光学補償シートを用いた際に、 光 学補償対象である液晶セルとの間で生じた位相差の波長分散のずれを補正す ることで、 光漏れをさらに小さくする等の用途に使用する際に、 位相差が精 密に制御された逆波長分散の位相差板を提供することができるので、 好まし
い。
[01 14] 本実施形態の光学フイルムは、 たとえば 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _ メチル _ 1 _ペンテン、 および、 3 _メチル _ 1—ブテンから選ばれる少な くとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合 体 ( ) を含んでなる構成としてもよい。 このような材料を用いれば、 複屈 折の逆波長分散を有しながら、 耐熱性、 軽量性、 寸法安定性に優れた光学フ イルムとすることができる。
[01 15] 本実施形態の光学フィルムは、 波長 5 5 0 n mにおける面内の位相差 R550が 、 以下の条件を満足するようにすることが好ましい。
I 55o I < 3 0 ( n m )
[01 1 6] —方、 本実施形態の光学フィルムの波長 5 5 0 n mにおける面内の位相差 R55oが、 以下の条件を満足するようにすることが好ましい。
3 0 ( n m) ≤ I R550 | < 3 0 0 ( n m )
[01 1 7] ところで、 本件第一発明の発明者は、 鋭意検討の結果、 ポリ 4—メチルぺ ンテン一 1を主として含む共重合体により構成された光学フイルムの複屈折 およびその波長分散 (波長依存性) 力 共重合体を構成するコモノマーの種 類および含量に依存して変動することを見出した。 そこで、 さらなる検討の 結果、 コモノマー種が炭素数 1 0以上 1 4以下のひ一ォレフィンであり、 カヽ つ、 共重合体中のそのひ一ォレフィンの含量が、 1モル0 /o以上 9モル0 /0以下 であるときに、 光学用途において充分な複屈折を示すとともに、 適切な逆波 長分散を示すことを見出した。
以下の実施形態では、 この構成について具体的に説明する。
[01 18] (第五の実施形態)
本実施形態は、 ポリ 4—メチルペンテン一 1を主として含む共重合体およ びそれを用いたフィルムに関する。
[01 19] (共重合体)
本実施形態における共重合体は、 4 _メチル _ 1 _ペンテンと、 4—メチ ル一 1—ペンテン以外の炭素数 1 0以上 1 4以下の 一ォレフィンとの共重
合体であって、 当該共重合体全体に対するひ一ォレフインより導かれる構成 単位の占める割合が 1モル0 /0以上 9モル0 /0以下である。
[01 20] 4 _メチル _ 1—ペンテンの重合体は、 透明性、 剥離性等に優れ、 光学部 品 (光学素子) と組み合わせて使用するのに好適であり、 4ーメチルー 1一 ペンテンと、 特定のコモノマーを特定の割合で共重合させるとともに、 上記 の条件を満たす構成とすることにより、 光学用途に充分な複屈折を示し、 複 屈折が安定な逆波長分散を示す共重合体が得られる。
[01 21 ] ここで、 コモノマーとして用いる 一ォレフィンは、 直鎖状でもよく、 分 岐鎖状でもよい。 一ォレフィンの炭素数は、 1 0以上 1 4以下、 好ましく は 1 0以上 1 2以下である。 一ォレフィンの炭素数がこの範囲にあると、 光学用用途に充分な複屈折を有する共重合体が得られる。
[01 22] 炭素数 1 0以上 1 4以下の 一ォレフィンとして、 具体的には、 1—デセ ン、 1—ゥンデセン、 1一ドデセン、 1—テトラデセンが挙げられる。
このうち、 1—デセンをコモノマーとして選択することで、 光学用途の観点 から特に優れた複屈折を有する共重合体が得られる。
[01 23] また、 炭素数 1 0以上 1 4以下のひ一ォレフィンから導かれる構成単位が 通常 1モル0 /o以上 9モル0 /o以下であり、 好ましくは 2モル%以上 7モル0 /0以 下である。 炭素数 1 0以上 1 4以下のひ一ォレフィンから導かれる構成単位 がこのような範囲にあると、 光学用途において用いる時に充分な耐熱性を有 し、 かつ、 充分な複屈折を示し、 複屈折が安定かつ充分に大きな逆波長分散 を示す共重合体が得られる。
[01 24] なお、 本実施形態における共重合体は、 たとえば、 4 _メチル _ 1—ペン テン以外の炭素数 1 0以上 1 4以下の 一ォレフィンのみを共重合成分とし てもよい。 このとき、 共重合体全体に対する 4 _メチル _ 1 _ペンテンと —ォレフインとの共重合組成が、 4 _メチル _ 1—ペンテンより導かれる構 成単位が 9 1モル0 /o以上 9 9モル0 /o以下、 一ォレフインより導かれる構成 単位が 1モル0 /o以上 9モル0 /o以下である。
[01 25] また、 本実施形態における共重合体は、 本件第一発明の目的を逸脱しない
範囲で、 4—メチル一 1—ペンテンおよび炭素数 1 0以上 1 4以下のひ一ォ レフイン以外のモノマーを共重合成分として用いて得られたものであっても よい。 4—メチル一 1—ペンテンおよび炭素数 1 0以上 1 4以下のひ一ォレ フィン以外のモノマーとしては、 4—メチル一 1—ペンテンを除く炭素数 2 以上 9以下の直鎖状または分岐状の 一ォレフィン、 炭素数 1 5以上 2 0以 下の直鎖状または分岐状の 一ォレフィン、 各種環状ォレフィン、 炭素数 4 以上 2 0以下のジェン、 および芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる 、 1種または 2種以上のモノマーを挙げることができる。 4 _メチル_ 1 _ ペンテンおよび炭素数 1 0以上 1 4以下の 一ォレフィン以外のモノマーよ り導かれる構成単位の含有量に特に制限は無く、 本件第一発明の目的を逸脱 しない範囲で適宜使用することができるが、 たとえば 0 . 5モル%以上 2モ ル%以下を使用することができる。
[0126] また、 本実施形態の共重合体は、 以下の条件を満たすことが好ましい。
デカリン中 1 3 5 °Cで測定した極限粘度 [ 77 ] 力《、 0 . 5 d I g以上 1 0 d I 以下、
D S Cにより測定した融点 (T m) が、 2 1 0 °C以上 2 4 0 °C以下、 および D S Cにより測定した融解熱量が、 2 0 J g以上 5 0 J g以下。
特定のひ一ォレフィンを特定の組成で含むことに加えて上記の条件を満た す構成とすることにより、 それぞれ以下に示す実用上有益な特性を具備させ ることが容易となる。
[0127] 本実施形態において、 極限粘度の測定は、 たとえば、 A S T M J 1 6 0
1に準じた測定方法によって行われる。
デカリン中 1 3 5 °Cで測定した極限粘度 [ 77 ] は、 たとえば 0 . 5 d I / g以上 1 0 d I g以下であり、 好ましくは 1 d I g以上 5 d I g以下 であり、 さらに好ましくは 1 . 5 d I 以上 5 d I g以下である。 極限 粘度がこのような範囲にあると、 フィルム成形時の加工性に優れ、 機械強度 が充分なフィルムが得られる。
[0128] D S Cにより測定した融点 ( T m) は、 たとえば 2 1 0。C以上 2 4 0 ¾以
下であり、 好ましくは 220°C以上 240°C以下、 さらに好ましくは 225 °C以上 235°C以下である。 Tmがこのような範囲にあると、 さらに耐熱性 の充分なフィル厶が得られる。
[0129] D S Cにより測定した融解熱量は、 たとえば 20 J g以上 50 J g以 下、 好ましくは 20 J g以上 45 J g以下、 さらに好ましくは 20 J g以上 40 JZg以下である。 融解熱量がこのような範囲にあると、 より一 層耐熱性の充分なフィルムが得られる。
[0130] また、 4 _メチル _ 1 _ペンテン共重合体の、 ASTM D 1 238に準 じ、 荷重 5 k g、 温度 260°Cの条件で測定したメルトフローレート (MF R) は、 用途に応じ種々決定されるが、 通常 1 gZ1 0分以上 50 gZ1 0 分以下、 好ましくは 1 gZ1 0分以上 40 gZ1 0分以下、 さらに好ましく は 5 gZ1 0分以上 40 gZ1 0分以下の範囲である。 こうすれば、 フィル 厶成形性および得られるフイルムの外観をより一層向上させることができる
[0131] 次に、 4_メチル _ 1—ペンテン共重合体の製造方法を説明する。
4_メチル _ 1—ペンテン共重合体の製造方法に特に制限はなく、 チーグ ラー■ナッタ触媒、 メタ口セン系触媒等の公知の触媒を用いて製造すること ができる。 たとえば特許文献 8 (特開昭 59— 20641 8号公報) や特許 文献 1 3 (特開 2003— 1 05022号公報) に記載されている方法に準 じて、 触媒の存在下で 4—メチル一 1—ペンテンとひ一ォレフィンを重合す ることにより得ることができる。
得られた共重合体の用途に特に制限はないが、 たとえば光学部材に用いら れるフィルムをはじめとする各種フィルムの材料として好適に用いることが できる。
以下、 得られた共重合体を用いたフィルムについて説明する。
[0132] (フィルム)
本実施形態におけるフィルムは、 上述の 4—メチル一 1—ペンテン共重合 体を含んでなり、 たとえば上述の 4_メチル _ 1—ペンテン共重合体を形成
して得られる。
[0133] フイルムの形成方法に特に制限はなく、 たとえばプレス成形、 押出成形、 インフレーション成形などの方法、 または溶液流延法などの公知の方法で成 形することができる。 より効率よく生産する観点では、 押出成形法、 インフ レーシヨン成形法や溶液流延法等を用いてもよい。
[0134] また、 さらに効率よく安定的に生産する観点では、 フィルムは、 溶融押し 出し成形法によって形成された後延伸配向させることによって得られるもの であることが好ましい。
フィルムを延伸することにより、 光学的には複屈折、 その角度依存性、 そ の温度依存性等の物性を所望の値にさらに精密に調整することができる。 ま た、 機械的強度を付与したフィルムとすることも可能となる。 延伸の倍率は 、 所望の光学的性質等により適宜選択すればよいが、 通常 1 . 5から 1 0倍 、 好ましくは 2から 5倍である。
[0135] 溶融押出し成形を行う場合、 具体的には、 一軸押出機にて、 所定のシリン ダ温度および所定のキャストロール温度で成形を行った後、 延伸機にてガラ ス転移温度 (T g ) 以上であって、 2 0 0 °C以下、 好ましくは 1 8 0 °C以下 である温度で所定の倍率 (好ましくは 5倍以下、 特に好ましくは 3倍以下) だけ所定の延伸速度にて延伸成形を行う。 結晶化度■結晶サイズを増加させ ない意味からは延伸倍率は小さし、ほう力 延伸速度は大きいほうが好ましい 。 また、 延伸は、 一軸延伸、 二軸延伸などのいずれで行ってもよい。 結晶化 度、 結晶サイズを増加させない観点からは一軸延伸よりも二軸延伸が、 より 好ましく用いられる。
[0136] なお、 このとき、 溶融押出し成形時に原反シート状のフィルムをいつたん 製造しておいて、 改めて延伸成形の装置に原反シートを供給するようにして もよいし、 溶融押出し成形および延伸成形を連続的に行ってもよい。
また、 溶融押出し成形によりフィルムを得る場合において、 押出機のロー ル間で加圧圧縮してもよく、 これにより得られるフィルムの透明性をより高 くすることができる。
[0137] また、 本実施形態におけるフイルムの厚さは、 使用目的に応じて適宜設定 すればよく、 特に制限はないが、 通常 1 0 m以上 2 0 0 m以下、 好まし くは 2 0 m以上 2 0 0 m以下である。 このような範囲であれば、 フィル ムの生産性により一層優れ、 またフィルム成形時にピンホールなどを生じる ことなく、 また充分な機械強度も得られることからも好ましい。
なお、 フィルムの厚さに特に上限は無く、 従来本技術分野において 「シー ト」 と呼ばれていたものも含む。 また、 光学用途に使用可能な程度の厚さで あることが好ましい。
[0138] 本実施形態のフィルムは、 光学用途に充分な複屈折を示し、 複屈折が充分 な逆波長分散を安定的に示すことから、 光学用途に好適に用いられる。 本実 施形態のフィルムは、 さらに具体的には、 透明光学フィルム、 とりわけ位相 差板、 偏光板保護フィルム (偏光保護膜) 、 剥離フィルム、 保護フィルム、 光学補償フイルムなどの用途に好適に使用することができ、 本実施形態はこ れら透明光学フイルムを提供する。 なお、 光学補償フイルムは、 本実施形態 のフィル厶を用いた単層構造のものであってもよいし、 複数のフィル厶など を組み合わせた多層構造のものであってもよい。 このようなフイルムは、 液 晶ディスプレイ、 E Lディスプレイ、 タツチパネル、 フィールドエミッショ ンディスプレイ、 L E D等の各種表示素子に好ましく用いることができる。 また、 本実施形態のフイルムは、 (ディスプレイ等の用途で使用される) 広い波長領域の光に対して、 均一な偏光状態の補正を行なう観点では、 波長 と複屈折とがほぼ比例するように構成されていることが好ましい。
[0139] また、 4 _メチル _ 1 _ペンテン共重合体を形成して得られる本実施形態 のフィルムによれば、 所望の複屈折の波長依存性を有するとともに、 たとえ ば、 逆波長分散を示す従来のフィルム等に対して、 吸水性が低く、 光学特性 が安定な構成とすることが可能となる。 また、 逆波長分散を示す従来のフィ ルム等に対して、 たとえば、 化学構造が簡単で安価に製造可能であり、 軽量 、 かつ環境負荷の小さな光学フィルムを提供することも可能となる。
[0140] 本実施形態において、 フィルムが位相差板である場合、 位相差板であるフ
イルムの厚さ 50 mあたりの波長 590 n mにおける位相差 R5C) (590) 力 以下の条件を満足することが好ましい。
R50 (590) ≤- 22 n m
R50 (590) は、 より好ましくは一24 nm以下、 さらに好ましくは _ 2 8 nm以下である。 R5C) (590) が上記の条件を満たす構成とすることによ り、 フィルムが比較的薄い状態でも、 目的との関係でより一層充分な位相差 を確保することができるので、 薄型ディスプレイ等の薄さが重視される用途 においても、 位相差補償等の所望の機能を果たすことができるので好ましい 。 R5Q (590) の絶対値は大である方が使用の自由度が高く好ましいので、 特に下限は存在しないが、 たとえば一 300 nm以上とすることができる。
[0141] なお、 フィルムの位相差の正負は、 その屈折率楕円体の屈折率の状態で決 定される。 屈折率楕円体の主屈折率を n x、 n y、 n zとした時、 n x、 n yはフイルム面内に、 n zはフイルム面内と垂直な方向に軸を持つ。 フィル 厶がー軸性の配向を有している場合、 特定の一軸の屈折率が他の 2つの屈折 率よりも大きい場合を正の位相差を有するフィル厶、 小さい場合を負の位相 差を有するフイルムと呼ぶ。
[0142] さらに、 この位相差板は、 以下の特性を満足する構成としてもよい。
R (450) R (590) ≤ 0. 9
(上記式中、 R (450) および R (590) は、 それぞれ、 波長 450 n mおよび 590 nmにおける位相差フイルムの面内の位相差 (レターデーシ ョン値) を表す。 )
また、 R (450) R (590) 力 0. 87以下であること、 より望 ましくは 0. 85以下であることがさらに好ましい。
このようにすれば、 複屈折がより理想的な逆波長分散を示す構成とするこ とができる。 このため、 広い波長範囲の光を用いるディスプレイ等に使用す る位相差板として、 さらに好適である。
[0143] なお、 位相差は、 たとえば位相差測定装置を用いて 23°C、 相対湿度 40 %で測定される。
また、 R ( 4 5 0 ) R ( 5 9 0 ) の下限に特に制限はないが、 複屈折に より生じる位相差をより一層安定的に制御する観点では、 たとえば 0 . 6 0 以上とすることができる。
[0144] また、 本実施形態において、 より長波長側でも良好な逆波長分散特性を得 る観点では、 R ( 6 5 0 ) R ( 5 9 0 ) の値を、 たとえば 1 . 0 4以上、 好ましくは 1 . 0 8以上、 としてもよい。 なお、 上記式中、 R ( 6 5 0 ) は 、 波長 6 5 0 n mにおける位相差フィルムの面内の位相差 (レターデーショ ン値) を表す。
また、 R ( 6 5 0 ) R ( 5 9 0 ) の上限に特に制限はないが、 複屈折に より生じる位相差をより一層安定的に制御する観点では、 たとえば 1 . 2 0 以下とすることができる。
[0145] 本実施形態によれば、 位相差板をはじめとする各種の光学用途に充分な複 屈折を示し、 その複屈折が逆波長分散を示し、 透明性など他の光学特性との バランスに優れた材料を得ることができる。
[0146] なお、 本実施形態におけるフイルムは、 上述の 4 _メチル _ 1 _ペンテン 共重合体以外に本件第一発明の目的を損なわない範囲で各種の成分を含んで いてもよい。 4 _メチル _ 1 _ペンテン共重合体以外の成分は、 4 _メチル - 1—ペンテン共重合体以外の各種樹脂または各種ゴムであってもよい。 各 種樹脂としては、 特に透明性に優れた樹脂が好ましく、 たとえば、 環状ォレ フィン (共) 重合体等の各種ポリオレフイン、 ポリカーボネート、 ポリスチ レン、 酢酸セルロース樹脂、 フッ素系樹脂、 ポリエステル、 アクリル樹脂等 を使用することができる。 各種ゴムとしては、 ォレフィン系ゴム、 スチレン 系ゴム、 等を使用することができる。
[0147] また、 本実施形態におけるフィルムには、 帯電防止剤、 酸化防止剤、 耐熱 安定剤、 剥離剤、 耐候安定剤、 防鯖剤、 スリップ剤、 核剤、 顔料、 染料、 無 機充填剤 (シリカなど) などの通常ポリオレフインに添加して使用される各 種配合剤や、 それ以外の特殊な配合剤を、 本件第一発明の目的を損なわない 範囲で添加することができる。
[0148] なお、 本件第一発明は、 上述した実施形態、 および具体例に限定されるこ とはなく、 本発明の目的を逸脱しない範囲で、 適宜変更可能である。
[0149] (本件第二発明)
本件第二発明は、 偏光子の一方の面に、 4 _メチル _ 1 _ペンテンなどよ り導かれる構造単位を有する高分子を含有するフィルムが、 他方の面に環状 ォレフインより導かれる構造単位を有する高分子を含有するフィルムが、 そ れぞれ直接または間接に積層されている積層偏光板に関する。 また、 本件第 二発明は、 この積層偏光板を備える液晶表示素子に関する。 また、 本件第二 発明は、 前記積層偏光板おょび または液晶表示素子を備える表示装置に関 する。
[0150] 近年の液晶表示素子等の各種表示装置の発達に伴い、 位相差板、 偏光板等 の各種光学素子の重要性が増している。 液晶表示素子を例にとって説明する と、 液晶表示素子は、 液晶セルで光の偏光状態を変調し、 その光を偏光フィ ル厶でフィルタリングすることで、 表示の明暗を制御し、 画像を表示してい る。 ここで、 液晶セルを通過した光は、 偏光フイルムでのフィルタリングが 出来ない円偏光成分を含み、 表示のコントラス卜が悪化する原因となる場合 がある。 そこで、 液晶セルを通過した光が偏光フイルムに入射する前に、 位 相差板を通過させることで円偏光を補正し、 液晶表示素子のコントラストを 改善することが広く行われている。
[0151 ] 特開平 8 _ 4 3 8 1 2号公報には、 偏光膜の両側に保護フイルムが積層さ れてなる偏光フイルムであって、 その保護フイルムの少なくとも一方が同時 に位相差フィルムの機能を有する偏光フィルムが開示されている。 保護フィ ルムとしては、 トリァセチルセルロース (T A C ) などのセルロース系フィ ルムが好適に用いられ、 位相差フィルムを兼ねる保護フィルムとしては、 熱 可塑性ノルボルネン系樹脂からなるフィルムが好適に用いられる旨記載され ている。
[0152] 特開 2 0 0 0— 2 7 5 4 3 3号公報には、 ポリ 4_メチル _ 1 _ペンテンか らなる偏光板保護フィルムが開示されている。 ポリ 4_メチル _ 1—ペンテン
からなる偏光板保護フイルムは、 複屈折を低減できる旨開示されている。
[0153] 特開 2 0 0 2— 2 2 1 6 1 9号公報には、 偏光膜の片面に環状ォレフィン 樹脂フィル厶が積層され、 もう一方の面に水蒸気透過率が一定の範囲内であ る保護膜が積層されてなる偏光フィルムが開示されている。
[0154] ところで、 液晶表示素子等の各種表示素子においては、 コストダウンおよ び光学ロス低減のため、 素子数の削減が強く求められている。 一般に、 偏光 フィルムは、 偏光板保護フィルム 偏光板 偏光板保護フィルムの積層構造 になっている。 ここで、 偏光板保護フィルムの一方が位相差板としての機能 を有すれば、 別途の位相差板が不要となり、 素子数の削減が可能となる。
[0155] 特開平 8— 4 3 8 1 2号公報に記載の偏光板保護フィルムを備えた偏光フ ィルムは、 少なくとも一方の保護フィルムが位相差フィルムも兼ねることか ら、 素子数の削減を可能とする。 しかしながら、 得られる偏光フィルムの偏 光度の安定性の観点から未だ改善すべき点があった。
[0156] 特開 2 0 0 0— 2 7 5 4 3 3号公報に記載の偏光板保護フイルムは、 複屈 折を低減できるものではあるが、 偏光板保護フイルムのレターデーシヨンを 調整して位相差板として作用させることについては触れられていない。 さら に、 このような工夫の示唆もない。 したがって、 偏光板の素子数の削減につ いては改善すべき点があった。
[0157] 特開 2 0 0 2— 2 2 1 6 1 9号公報に記載の偏光板保護フイルムは、 水蒸 気透過性の高い材料を用いているが、 この材料を用いてなるフィル厶のレタ 一デーシヨンを調整して位相差板として作用させることについては触れられ ていない。 また、 水蒸気透過性の高い材料として挙げられているものは、 吸 水性の高いものも含まれており、 得られる偏光フィルムの偏光度の安定性の 観点からは未だ改善すべき点があった。
[0158] そこで、 本件第二発明の発明者等は、 吸水性の低い、 水蒸気透過性の高い 材料を用いて、 偏光板保護フィルムを形成し、 一定値以上のレターデーショ ンを発現させることにより、 当該偏光板保護フィルムに位相差板としての機 能を兼ねさせ、 素子数の低減を可能とするとともに、 得られる偏光板の偏光
度の安定性を高めることができることを見出して、 本件第二発明に至った。
[0159] 本件第二発明によれば、 素子数の低減を可能とするとともに、 得られる偏 光板の偏光度の安定性を高めることが可能な偏光板を提供することができる
[0160] 以下、 本件第二発明の実施形態についてさらに具体的に説明する。
本実施形態の積層偏光板は、 偏光子 (a) の一方の面に、 4_メチル _ 1 —ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および 3 _メチル _ 1—ブテン、 から選ばれる少なくとも 1種より導かれる構造単位を有する高分子を含有す るフィルム (b) が直接または間接に積層され、 前記偏光子 (a) の他の一 方の面に、 環状ォレフィンょり導かれる構造単位を有する高分子を含有する フィルム (c) が直接または間接に積層されている、 積層偏光板である。
[0161] (1 ) 偏光子 (a)
本実施形態に使用される偏光子 (a) は、 偏光子としての機能を有するも のであれば、 特に限定されない。
例えば、 ヨウ素および または二色性色素、 ならびにポリビニルアルコー ル樹脂を含有する偏光膜、 例えばポリビニルアルコール (PVA) ■ ヨウ素 系偏光膜、 P V A系フィル厶に二色性染料を吸着配向させた染料系偏光膜、 また P V A系フィルムより脱水反応を誘起させたり、 ポリ塩化ビニルフィル 厶の脱塩酸反応により、 ポリェンを形成させたポリェン系偏光膜、 分子内に 力チオン基を含有する変性 PVAからなる PVA系フィル厶の表面および または内部に二色性染料を含有する偏光膜を有する偏光子などが挙げられる
[0162] (2) フィルム (b)
本実施形態において偏光子 (a) の保護フィルムとして使用されるフィル ム (b) は、 4—メチル一 1—ペンテン、 3—メチル一 1—ペンテン、 および 3 _メチル _ 1—ブテン、 から選ばれる少なくとも 1種より導かれる構造単 位を有する高分子を含有するものであって、 波長 590 nmにおけるレター デーシヨン R (590) 力 下記式 (2— 1 ) の関係を満たすものである。
R (590) ≥ 5 ( n m) (2_ 1 )
[0163] フイルム (b) 力 式 (2— 1 ) の関係を満たすことで、 当該フイルムに 位相差板としての機能を発揮させることができるようになる。 このようなフ イルムを偏光子 (a) に積層させて積層偏光板を構成することで、 従来より も素子数を低減させて構成を簡略化させた偏光板を得ることが可能になり、 偏光板のコストダウン、 および光の利用効率の向上を実現することができる
[0164] また、 フィルム (b) を白色光などの広い波長領域で使用する位相差板と して作用させる場合には、 短波長ほど複屈折 (により生ずる位相差) が小さ いことが好ましい。 このような観点から、 フィルム (b) において、 波長 4 50 n mにおけるレターデーシヨン R (450) と、 波長 590 nmにおけ るレターデーシヨン R (590) と力 下記式 (2— 2) の関係を満たすこ とが好ましい。
R (450) R (590) ≤ 1 (2-2)
[0165] 一般に、 複屈折により生ずる位相差は角度でも表現することが出来る。 こ のとき、 角度で表現した位相差 R 1 と nmを単位とした位相差 R 2の換算式 は、 R 1 (度) = (R 2 (nm) /λ ( n m) ) x 360 (度) で表される
(スは位相差測定波長) 。 偏光子 (a) の保護のために用いるフイルム (b ) が持っている位相差 R 1の大きさは、 偏光子 (a) の偏光度に影響を与え 、 例えば液晶表示装置に用いた場合には液晶表示装置のコントラスト等の画 質に影響を与える。 すなわち、 R 2が使用する位相差測定波長に対して常に 一定の値であった場合でも、 短波長側になればなるほど、 R 1は大きくなつ てしまい、 短波長になるほど保護フィルムの持つ位相差が直線偏光の偏光子
(a) の偏光度を悪化させる。 すなわち、 この R 2で表記される位相差は短 波長ほど小さいことが好ましい。 例えば、 フィルム (b) の持つ位相差の偏 光子 (a) の偏光度に与える影響を、 可視光の範囲ですベて同じにするとい うことであれば、 R 2の波長スに対する変化を波長スの変化に近づけること が好ましいと言うことになる。 これは、 R 2で表記される位相差は短波長ほ
ど小さいことが好ましいことを意味する。 しカヽし、 通常偏光板保護フイルム に使用される高分子材料からなる透明フイルムはいずれも、 短波長になると
R 2が大きくなつてしまうかまたは良くても一定なものが普通である。
[0166] 前記式 (2— 2 ) の関係を満たすフィルムは、 短波長ほど位相差が小さい ので、 単独でも複屈折により生ずる位相差 (角度換算) を波長によらずほぼ —定とすることが出来る。 従って、 このような関係を満たすフィルム (b ) は、 単独で広帯域で位相差 (角度換算) が一定な位相差板として使用するこ とが出来る。 広帯域で位相差 (角度換算) が一定な位相差板は、 従来、 複数 の光学素子を組み合わせた複雑な構造によるか、 または、 吸水性が高く光学 的性質の不安定な樹脂によるか、 複雑な化学構造を有し高価な樹脂によらな ければ実現できなかったものである。 従って、 前記 (2 _ 2 ) の関係を満た すフィルムを用いた場合、 従来の位相差機能を有する偏光板保護フィルムと 比較して実用上高い価値を有する。
[0167] このようなフイルム (b ) は、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3—メチル一
1 _ペンテン、 および、 3 _メチル _ 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1 種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた、 特定の (共) 重合 体 (ひ) を含有する。 ここで、 「含有する」 とは、 フイルム (b ) の全部が
(共) 重合体 (ひ) で構成されている場合、 フイルム (b ) の一部が (共) 重合体 (ひ) で構成されている場合、 の双方を含む趣旨である。 従って、 フ イルム (b ) は、 (共) 重合体 (ひ) 以外の成分を含んでいてもよく、 含ん でいなくとも良い。 本件第二発明の効果を有効に実現する観点からは、 フィ ルム (b ) 中の (共) 重合体 ( ) の含有量は、 2 0〜 1 0 0重量%、 より 好ましくは 5 0〜 1 0 0重量%であることが望ましい。
[0168] ( (共) 重合体 (α ) )
フィルム (b ) において用いられる特定の (共) 重合体 ( ) は、 4—メ チル一 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および 3 _メチル _ 1 _ ブテン、 から選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として 用いて得られたものである。 この特定のォレフィン系 (共) 重合体 ( ) は
、 3 _メチル _ 1—ブテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテンまたは 4—メチル一 1 _ペンテンの単独重合体、 もしくはこれら相互の共重合体、 さらに他の共 重合可能なモノマー、 たとえばスチレン、 アクリロニトリル、 塩化ビニル、 酢酸ビニル、 アクリル酸エステル、 メタクリル酸エステルなどとの共重合体 、 また別には上記のもの同士あるいは他の熱可塑性樹脂や合成ゴムとのブレ ンド物、 ブロック共重合体、 グラフト共重合体などが例示できる。 (共) 重 合体 ( ) の構成単位中、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル_ 1 _ぺ ンテン、 または 3 _メチル _ 1—ブテンに由来する構成単位は、 合計で、 通 常 20〜 1 00モル0 /o、 好ましくは 50〜 1 00モル0 /o、 さらに好ましくは 80〜 1 00モル0 /oである。 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ ペンテン、 または 3 _メチル _ 1—ブテンに由来する構成単位の含有量が上 記範囲内にあると、 透明性、 耐熱性等の各種特性のバランスに優れる樹脂が 得られるので、 好ましい。
[0169] (共) 重合体 (ひ) の中でも、 4 _メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体は 、 透明性、 剥離性等に優れ、 光学素子と組み合わせて使用するのに好適であ るので、 好ましい。 また、 3 _メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体、 および 3 _メチル _ 1—ブテン (共) 重合体は、 耐熱性に優れ、 プロセスの自由度 や、 使用条件の自由度等の観点から好ましい。
[0170] (4—メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体)
本件第二発明における (共) 重合体 (ひ) として好ましく用いられる 4 _ メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体は、 具体的には、 4 _メチル_ 1 _ぺン テン の単独重合体もしくは 4—メチル一 1—ペンテンとエチレンまたは炭素 原子数 3〜20の他の 一ォレフィン、 例えばプロピレン、 1—ブテン、 1 —へキセン、 1—ォクテン、 1—デセン、 1—亍トラデセン、 1—ォクタデ セン等との共重合体である。 本件第二発明において好ましく用いられる 4 - メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体は、 通常、 4 _メチル _ 1 _ペンテンに 由来する構成単位を 8 5モル%以上、 好ましくは 90モル%以上の量で含有 する。 4 _メチル_ 1 _ぺン亍ン (共) 重合体を構成する、 4 _メチル _ 1
—ペンテン由来以外の構成成分には特に制限は無く、 4_メチル _ 1—ペン テンと共重合可能な各種のモノマーを適宜使用することが出来るが、 入手の 容易さ、 共重合特性等の観点から、 エチレンまたは炭素数 3~20のひ一ォ レフインを好ましく用いることが出来る。 中でも、 炭素数 6〜20の 一ォ レフインが好ましく、 1—デセン、 1—ドデセン、 1—亍トラデセン、 1 _ へキサデセン、 および 1—ォクタデセンが特に好ましい。
[0171] 本件第二発明において好ましく用いられる 4 _メチル _ 1 _ペンテン (共 ) 重合体の、 ASTM D 1 238に準じ、 荷重 5 k g、 温度 260°Cの条 件で測定したメルトフローレート (MFR) は、 用途に応じ種々決定される 力 通常、 1〜50 gZ1 0分、 好ましくは 2〜40 gZ1 0分、 さらに好 ましくは 5〜30 gZ1 0分の範囲である。 4—メチル一 1 _ペンテン (共 ) 重合体のメルトフローレートが上記のような範囲内にあると、 フィルム成 形性および得られるフイルムの外観が良好である。 また融点は 1 00~24 0°C、 好ましくは 1 50~ 240°Cの範囲にあるのが望ましい。
[0172] また、 このような 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の製造方法に特 に制限は無く、 従来公知の方法によっても製造することができ、 例えば特開 昭 59— 20641 8号公報に記載されているように、 触媒の存在下に 4 _ メチル一 1—ペンテンと上記のエチレンまたはひ一ォレフィンとを重合する ことにより得ることができる。
[0173] (3—メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体)
本件第二発明における (共) 重合体 (ひ) として好ましく用いられる 3 _ メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の、 好ましいコモノマー種、 コモノマー 含量、 MFR、 融点等は、 上記の 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の 場合と同様である。 本件第二発明において好ましく用いられる 3—メチル一 1一ペンテン (共) 重合体の製造方法に特に制限は無く、 従来公知の方法に よっても適宜製造することが可能であり、 例えば、 特開平 06_ 1 4524 8号公報記載の方法により製造することが出来る。
[0174] (3_メチル_ 1 _ブ亍ン (共) 重合体)
本件第二発明における (共) 重合体 (ひ) として好ましく用いられる 3 _ メチル _ 1—ブテン (共) 重合体の、 好ましいコモノマー種、 コモノマー含 量、 M F R、 融点等は、 上記の 4 _メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の場 合と同様である。 本件第二発明において好ましく用いられる 3—メチル一 1 ーブテン (共) 重合体の製造方法に特に制限は無く、 従来公知の方法によつ ても適宜製造することが可能であり、 例えば、 特開平0 6 _ 1 4 5 2 4 8号 公報記載の方法により製造することが出来る。
[01 75] ( (共) 重合体 (α ) 以外にフィルム (b ) を構成する成分)
本件第二発明において用いられるフィルム (b ) は、 上述の (共) 重合体 ( a ) 以外の各種の成分を含んでいても良い。 (共) 重合体 (α ) 以外の成 分は、 (共) 重合体 (α ) 以外の各種樹脂または各種ゴムであっても良い。 各種樹脂としては、 特に透明性に優れた樹脂が好ましく、 例えば、 環状ォレ フィン (共) 重合体等の各種ポリオレフイン、 ポリカーボネート、 ポリスチ レン、 酢酸セルロース樹脂、 フッ素系樹脂、 ポリエステル、 アクリル樹脂等 を使用することが出来る。 各種ゴムとしては、 ォレフィン系ゴム、 スチレン 系ゴム、 等を使用することが出来る。 また、 本件第二発明において用いられ るフィルム (b ) には、 帯電防止剤、 酸化防止剤、 耐熱安定剤、 剥離剤、 耐 候安定剤、 防鲭剤、 スリップ剤、 核剤、 顔料、 染料、 無機充填剤 (シリカな ど) などの通常ポリオレフインに添加して使用される各種配合剤や、 それ以 外の特殊な配合剤を、 本件第二発明の目的を損なわない範囲で添加すること が出来る。
[01 76] (フィルム (b ) の製造方法)
本件第二発明において使用されるフィルム (b ) の製造方法に特に制限は 無く、 例えば (共) 重合体 (α ) とそれ以外の成分とを、 V—プレンダー、 リボンプレンダー、 ヘンシェルミキサー、 タンブラ一プレンダ一で混合する 方法、 あるいは前記プレンダ一で混合した後、 単軸押し出し機、 複軸押し出 し機、 ニーダー、 バンバリ一ミキサー等で溶融混鰊して造粒あるいは粉砕し 、 次いで、 プレス成形、 押出成形、 インフレーション成形などの方法、 また
は溶液流延法などの方法でフィル厶成形することができる。 効率良く生産す るには、 溶液流延法、 インフレーション成形法や押出成形法等が好ましい。
[0177] また、 得られたフイルムを延伸することにより、 光学的には複屈折、 その 角度依存性等の物性を所望の値に調整することが出来、 さらに機械的強度を 付与したフィルムとすることも出来る。 延伸の倍率は、 所望の光学的性質等 により適宜選択すればよいが、 通常 1 . 3〜 1 0倍、 好ましくは 1 . 5〜 8 倍である。
[01 78] フィルム (b ) の厚みは、 使用の目的、 とりわけフィルム (b ) の複屈折 およびその波長依存性によって適宜設定すればよく、 特に制限は無いが、 通 常 1 0〜2 0 0〃m、 好ましくは 2 0〜 1 0 0〃mである。 このような範囲 であれば、 フィルムの生産性に優れ、 またフィルム成形時にピンホールなど を生じることなく、 また十分な強度も得られることから好ましい。 もっとも 、 通常は光学的な設計が優先されることは、 上述のとおりである。
[01 79] ( 3 ) フイルム (c )
本実施形態において偏光子 (a ) の保護フイルムとして使用されるフィル 厶 (c ) は、 環状ォレフインより導かれる構造単位を有する高分子 (環状ォ レフイン (共) 重合体) を含有するものである。
[0180] すなわち、 フイルム (c ) は、 脂環式構造含有重合体を含有する。 ここで 、 「含有する」 とは、 当該フイルムの全部が当該脂環式構造含有重合体で構 成されている場合、 および、 当該フイルムの一部が当該脂環式構造含有重合 体で構成されている場合、 の双方を含む趣旨である。 脂環式構造含有重合体 の含有量に特に制限はないが、 光学的な均質性の観点等から、 通常、 5 0〜 1 0 0重量%、 好ましくは 6 0〜 1 0 0重量%、 さらに好ましくは、 7 0〜 1 0 0重量%である。 また、 当該樹脂以外の成分には特に制限はないが、 例 えば、 耐衝撃性向上等の観点から、 ォレフィン系エラストマ一やスチレン系 エラストマ一を添加することができる。 また、 後述するように、 それ以外の 各種添加剤を用いてもよい。
[0181 ] 脂環式構造含有重合体は、 重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有す
るものであり、 主鎖及び側鎖のいずれに脂環式構造を有していてもよい。 脂 環式構造としては、 シクロアルカン構造、 シクロアルケン構造などが挙げら れるが、 熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。 脂環式構造 を構成する炭素原子数は、 格別制限されないが、 通常 4〜3 0個、 好ましく は 5〜2 0個、 より好ましくは 5〜 1 5個の範囲であると、 耐熱性及び柔軟 性に優れたフィルムが得られる。 脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有 する繰り返し単位の割合は、 使用目的に応じて適宜選択されればよいが、 通 常 2 0重量%以上、 好ましくは 4 0重量%以上、 より好ましくは 6 0重量% 以上である。 脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の 割合が十分であれば耐熱性に優れ好ましい。 なお、 脂環式構造含有重合体中 の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、 格別限定されず、 使用目 的に応じて適宜選択される。
[0182] 脂環式構造を含有する重合体樹脂の具体例としては、 (1 ) ノルポルネン 系重合体、 (2 ) 単環の環状ォレフィン系重合体、 (3 ) 環状共役ジェン系 重合体、 (4 ) ビニル脂環式炭化水素重合体、 及びこれらの水素添加物など が挙げられる。 これらの中でも、 寸法安定性、 酸素透過率、 透湿度、 耐熱性 、 機械強度等の観点から、 ノルポルネン系重合体、 ビニル脂環式炭化水素重 合体及びそれらの水素化物などが好ましい。
[0183] ( 1 ) ノルポルネン系重合体
ノルポルネン系重合体としては、 ノルポルネン系モノマーの開環重合体、 ノルポルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開 環共重合体、 及びそれらの水素添加物、 ノルボルネン系モノマーの付加重合 体、 ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付 加共重合体などが挙げられる。
[0184] ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物、 および、 ノルボルネ ン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体 の水素添加物においては、 その水素添加率が 9 9 %以上であると、 透明性 ( とりわけ、 初期黄変度が低いこと) 、 安定性 (とりわけ、 長期的に黄変が発
生しにくいこと) 等に優れ、 ゲルの発生を抑制できる場合が多く、 好ましい
[0185] これらの中でも、 所望のレターデーシヨンが得やすい点から、 ノルポルネ ン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体が最 も好ましい。
[0186] ノルボルネン系モノマーとしては、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2 —ェン (慣用名 : ノルボルネン) 、 5_メチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 - ヘプト _2_ェン、 5, 5—ジメチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5_ェチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5_ ブチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _へキシル一ビシ クロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—ォクチル一ビシクロ 〔2. 2 1〕 —ヘプト— 2 _ェン、 5—ォクタデシル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _ ヘプト _2_ェン、 5—ェチリデン一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2 —ェン、 5—メチリデン一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5 —ビニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—プロべニル一 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—メ トキシ一カルボニル一 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _シァノ一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _へプト_2_ェン、 5_メチル _5—メ トキシカルボニル一ビシ クロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5—メ トキシカルボニル一ビシク 口 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _エトキシカルボニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _へプト_2_ェン、 5_メチル _5_エトキシカルボニル —ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _ ヘプト _5_ェニル _2_メチルプロビオネイ ト、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 —ヘプト一 5_ェニル _2—メチルォクタネイ ト、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 —ヘプト _2—ェン _5, 6—ジカルボン酸無水物、 5—ヒドロキシメチル —ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5, 6—ジ (ヒドロキシメ チル) 一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—ヒドロキシ _ i —プロピル-ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5, 6—ジカルボ
キシ一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 ビシクロ 〔2. 2. 1 〕 一ヘプト _ 2—ェン _ 5, 6—ジカルボン酸イミ ド、 5—シクロペンチル —ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5—シクロへキシル一ビシ クロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—シクロへキセニル一ビシクロ
〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5_フエニル一ビシクロ 〔2. 2. 1 〕 一ヘプト一 2_ェン、 トリシクロ 〔4. 3. 12'5. 01 6〕 一デカ一3, 7 - ジェン (慣用名ジシクロペンタジェン) 、 トリシクロ 〔4. 3. 12'5. 01'6〕 —デ力一 3—ェン、 トリシクロ 〔4. 4. 12'5. 01 6〕 一ゥンデカ一 3, 7 - ジェン、 トリシクロ 〔4. 4. 12'5. 01 6〕 一ゥンデカ一3. 8—ジェン、 ト リシクロ 〔4. 4. 12'5. 01 6〕 一ゥンデ力一 3 _ェン、 テトラシクロ 〔7. 4. 11。'13. 01'9. 02'7〕 _トリデカ _ 2, 4, 6 _ 1 1—亍トラェン ( 1, 4—メタノ一 1, 4, 4 a , 9 a—亍トラヒドロフルオレンともいう :慣用 名メタノテトラヒドロフルオレン) 、 テトラシクロ 〔8, 4, 111 14, Ο1·10, 038〕 一テトラデカ一3, 5, 7, 1 2 _ 1 1—テトラェン ( 1 , 4—メタノ - 1 , 4, 4 a , 5, 1 0, 1 0 a _へキサヒドロアントラセンともいう) 、 テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 _ドデカ _3—ェン (テトラシ クロドデセンともいう) 、 8_メチル一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10 . 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8_ェチル一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 1 0. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—メチリデン一テトラシクロ 〔4. 4. 125
17,10 o〕 一ドデ力一 3 _ェン、 8—ェチリデン一テトラシクロ 〔4. 4 12,5 i 7,io o〕 一ドデ力一 3 _ェン、 8 _ビニル一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8 _プロぺニル一亍トラシクロ
〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—メ トキシカルボニル —亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—メチ ル一 8—メ トキシカルボニル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 1。. 0〕 - ドデ力一 3_ェン、 8—ヒドロキシメチル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 1 7,10. 0〕 一ドデ力一 3 _ェン、 8 _カルボキシ一亍トラシクロ 〔4. 4. 12' 5. 17 10. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—シクロペンチル一テトラシクロ 〔4
. 4. 12'5. 1710. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—シクロへキシルーテトラ シクロ 〔4. 4. 12'5. 1710. 0〕 一ドデ力一 3 _ェン、 8—シクロへキセ 二ルーテトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 1710. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8_ フエニル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 1710. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 ペンタシクロ 〔6. 5. 11'8. 136. 027. 09'13〕 一ペンタデカ一3, 1 0— ジェン、 ペンタシクロ 〔7. 4. 13'6. 110'13. 01'9. 02'7〕 一ペンタデ力一 4, 1 1 _ジェンなどが挙げられるが、 これらに限定されるものではない。 これらのノルボルネン系モノマーは、 それぞれ単独であるいは 2種以上組み 合わせて用いられる。
[0187] これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、 またはノルボルネン系モノ マーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、 モノ マー成分を、 開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。 開環重合 触媒としては、 例えば、 ルテニウム、 ロジウム、 パラジウム、 オスミウム、 イリジウム、 白金などの金属のハロゲン化物と、 硝酸塩またはァセチルァセ トン化合物、 及び還元剤とからなる触媒、 あるいは、 チタン、 バナジウム、 ジルコニウム、 タングステン、 モリブデンなどの金属のハロゲン化物または ァセチルアセトン化合物と、 有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用い ることができる。 重合反応は溶媒中または無溶媒で、 通常、 _50°C~1 0 0 °Cの重合温度、 0~50 k gZc m2の重合圧力で行われる。 ノルポルネン 系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、 例えば、 シクロ へキセン、 シクロヘプテン、 シクロォクテンなどの単環の環状ォレフィン系 単量体などを挙げることができるが、 これらに制限されない。
[0188] ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物は、 通常、 上記開環重合 体の重合溶液に水素添加触媒を添加し、 炭素一炭素不飽和結合を水素添加す ることにより得ることができる。 水素化触媒としては、 特に限定されないが 、 通常、 不均一系触媒や均一系触媒が用いられる。
[0189] ノルボルネン系モノマー、 またはノルボルネン系モノマーとこれと共重合 可能なその他のモノマーとの付加 (共) 重合体は、 例えば、 モノマー成分を
、 溶媒中または無溶媒で、 チタン、 ジルコニウム又はバナジウム化合物と有 機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、 通常、 _50°C~1 00 °Cの重合温度、 0~50 k gZcm2の重合圧力で (共) 重合させて得ること ができる。
[0190] ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、 例え ば、 エチレン、 プロピレン、 1—ブテン、 1 _ペンテン、 1—へキセン、 3 —メチル _ 1—ブテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 3_ェチル _ 1 _ペン テン、 4_メチル _ 1 _ペンテン、 4_メチル _ 1—へキセン、 4, 4—ジ メチル _ 1—へキセン、 4, 4—ジメチル一 1 _ペンテン、 4_ェチル _ 1 —へキセン、 3 _ェチル _ 1—へキセン、 1—ォクテン、 1—デセン、 1 _ ドデセン、 1—亍トラデセン、 1—へキサデセン、 1—ォクタデセン、 1一 エイコセンなどの炭素数 2〜 20の -ォレフィン;
シクロブテン、 シクロペンテン、 シクロへキセン、 3, 4 _ジメチルシク 口ペンテン、 3—メチルシクロへキセン、 2_ (2—メチルプチル) _ 1 _ シクロへキセン、 シクロォクテン、 3 a, 5, 6, 7 a—テトラヒドロ一 4 7—メタノ _ 1 H—インデンなどのシクロォレフイン;
1、 4 _へキサジェン、 4_メチル_ 1, 4 _へキサジェン、 5_メチル - 1 , 4 _へキサジェン、 1, 7—ォクタジェンなどの非共役ジェン; などが用いられるが、 これらに限定されない。 これらの中でも、 ひ-ォレフィ ン、 特にエチレンが好ましい。
[0191] これらの、 ノルポルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、 それぞれ単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて使用することができる。 ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共 重合する場合は、 付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位 と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、 重量比で通常 30 : 70〜 99 : 1、 好ましくは 50 : 50〜97 : 3、 より好ましくは 70 : 30〜95 : 5の範囲となるように適宜選択される。
[0192] (2) 単環の環状ォレフィン系重合体
単環の環状ォレフィン系重合体としては、 例えば、 シクロへキセン、 シク 口ヘプテン、 シクロォクテンなどの単環の環状ォレフィン系単量体の付加重 合体を用いることができるが、 これらに限定されるものではない。
[0193] (3) 環状共役ジェン系重合体
環状共役ジェン系重合体としては、 例えば、 シクロペンタジェン、 シクロ へキサジェンなどの環状共役ジェン系単量体を 1, 2_または 1, 4_付加 重合した重合体及びその水素添加物などを用いることができるが、 これらに 限定されるものではない。
[0194] ノルボルネン系重合体、 単環の環状ォレフィン系重合体又は環状共役ジェ ン系重合体の分子量は、 使用目的に応じて適宜選択されるが、 シクロへキサ ン溶液 (重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液) のゲル■パーミエ一 シヨン■クロマトグラフィ一で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン 換算の重量平均分子量 Mwで、 通常 5, 000-1 , 000, 000、 好ま しくは 8, 000-800, 000、 より好ましくは 1 0, 000~500 , 000の範囲であるときに、 成形体の機械的強度、 及び成形加工性が高度 にバランスされて好適な場合が多い。
[0195] (4) ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、 例えば、 ビニルシクロへキセン、 ビニルシクロへキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びそ の水素添加物;スチレン、 ひ-メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の 重合体の芳香環部分の水素添加物; などを用いることができる。 この場合、 ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、 これらの単量体と 共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、 ブロック共重合体などの共 重合体及びその水素添加物であってもよい。 ブロック共重合体としては、 ジ ブロック、 トリブロック、 またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック 共重合体などが挙げられ、 特に制限はない。
[0196] ビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は、 使用目的に応じて適宜選択され る力 シクロへキサン溶液 (重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)
のゲル■パーミエーシヨン■クロマトグラフ法で測定したポリイソプレンま たはポリスチレン換算の重量平均分子量 Mwで、 通常 1 0, 000~800 , 000、 好ましくは 1 5, 000-500, 000、 より好ましくは 20 , 000〜300, 000の範囲であるときに、 成形体の機械的強度及び成 形加工性が高度にバランスされて好適な場合が多い。
[0197] フィルム (C) には、 必要に応じて各種添加剤を配合してもよい。 添加剤 としては、 例えば、 トリァセチルセルロースをはじめとする各種セルロース 樹脂等の、 吸水率が 0. 1 %を超える各種樹脂や、 また例えば、 酸化防止剤 、 耐光安定剤、 紫外線吸収剤などの安定剤、 帯電防止剤などが挙げられるが 、 本件第二発明の目的を損なわない限り特に制限はない。
[0198] (フィルム (c) の製造方法)
フィルム (c) の製造方法としては、 特に限定されることはないが、 樹脂 を溶融させて成形する溶融法および樹脂を溶媒に溶解させてキャストして製 膜する溶液流延法などを用いることができ、 例えば溶媒を使用しないためフ ィル厶中の揮発性成分の含有量を効率よく減らすことが可能な溶融法が好ま しく用いられる。 溶融法は溶液流延法等と比較して低コストで、 生産速度が 速く、 また、 溶媒を使用しないため環境への負荷も小さく、 好ましい。 溶融 法としては、 Tダイを用いた方法やインフレーション法などの溶融押出し法 、 カレンダ一法、 熱プレス法、 射出成形法などがある。 中でも、 厚みムラが 小さく、 20~500 m程度の膜厚に加工しやすく、 かつ、 レターデーシ ョンの絶対値およびそのバラツキを小さくできる Tダイを用いた溶融押出し 法が好ましい。
[0199] 溶融成形法の条件は同程度の T gを有するポリカーボネート樹脂に用いら れる条件とほぼ同様である。 例えば、 Tダイを用いる溶融押出し法では、 樹 脂温度 240〜300°C程度で、 引き取りロールの温度を 1 00〜 1 50°C 程度の比較的高温として、 樹脂を徐冷できる条件を選択することが好ましい 。 また、 ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、 ダイには滞留部 が極力少なくなるような構造が必要であり、 ダイの内部ゃリップにキズ等が
極力無いものを用いることが好ましい。 また、 ダイの内部やリップは必要に 応じて表面を研磨することにより、 更に表面精度を上げることができる。
[0200] フイルム (c) を製造するにあたっては、 上記の溶融法で作製したフィル ムを、 無延伸のまま用いてもよく、 あるいは延伸、 例えば 1軸延伸、 または 2軸延伸してもよい。 前述のようにフィルム (c) のレターデーシヨンの値 には特に制限は無く、 特定の値にレターデーシヨンを制御したフィルム、 お よび、 特にレターデーションを制御しないフィルムのいずれであっても良い 。 また、 レターデーシヨンを特定の値に制御する場合にも、 例えば 50 nm 以上の比較的大きなレターデーシヨンを有するように制御しても良いし、 例 えば 50 nm未満の比較的小さなレターデーシヨンや、 ほぼゼロに近い極め て小さなレターデーシヨンを有するように制御しても良い。
[0201] フィルム (c) を比較的大きなレターデーシヨンを有するように制御する 際には、 フイルムを延伸することが好ましい。 延伸により分子が配向される ことにより、 レターデーシヨンを制御することができる。 延伸倍率は通常 1 . 3~ 1 0倍、 好ましくは 1. 5~8倍であり、 この範囲で所定のレターデ ーシヨンとなるようにすればよい。 延伸倍率が低すぎるとレターデーシヨン の絶対値が上がらずに所定の値とならない場合があり、 高すぎると破断する こともある。 延伸は、 通常、 シートを構成する樹脂の T g~T g + 50°C、 好ましくは T g ~ T g + 40°Cの温度範囲で行なわれる。 延伸温度が低すぎ ると破断し、 高すぎると分子配向しないため、 所望のレターデーシヨンが得 られないおそれがある。
[0202] また、 フィルム (c) は、 偏光子 (a) の保護フィルムとして機能するこ とができればよく、 その膜厚に特に制限はないが、 延伸前のフィルムは膜厚 が 50〜50 Ojum程度であることが好ましい。 延伸後の膜厚は、 通常 1 0 〜200 jU m、 好ましくは 1 5〜 1 50 jU m、 さらに好ましくは、 20〜 1 O OjUmである。 膜厚が小さすぎるとフィルムに十分な機械的強度を付与す ることが困難である一方で、 大きすぎると光学ロス、 樹脂使用量を抑制する ことが困難であり、 かつ、 表示素子に使用された場合にスペースを節約する
ことが困難である。 膜厚を適切な範囲にすることで、 両者のバランスに優れ る保護フイルムが得られる。
[0203] —方で、 厚みムラは小さいほど好ましく、 全面において ± 8 0/0以内、 好ま しくは ± 6 0/0以内、 より好ましくは ± 4 0/0以内であることが望ましい。 シー 卜の厚みムラが大きいと延伸配向フィルムのレターデーションのバラツキが 大きくなるおそれがある。
[0204] ( 4 ) 積層偏光板
本実施形態の積層偏光板は、 前述した偏光子 (a ) の一方の面に、 前述の フィルム (b ) が直接または間接に積層され、 偏光子 (a ) の他の一方の面 に、 前述したフィルム (c ) が直接または間接に積層されているものである
[0205] ここで、 「直接または間接に積層され」 とは、 フィルム (b ) または (c ) が偏光子 (a ) に直接積層される場合、 およびフイルム (b ) または (c ) と偏光子 (a ) との間に任意の層が介在して積層される場合の両方を含む 趣旨である。
[0206] 特開平 8 _ 4 3 8 1 2号公報に記載の、 「環状ォレフィン (共) 重合体 ポリビニルアルコール 環状ォレフィン (共) 重合体」 の構成を有する偏光 フイルムでは、 環状ォレフィン (共) 重合体の吸湿性が著しく低いため、 偏 光膜中に含まれる水分を各層の接着、 乾燥工程などを含む製造工程において 十分に放出させることが困難である。 このため、 得られる偏光フイルム中の 偏光膜の含水率が大きくなり、 各層の接着強度の不足、 これにより偏光度の 低下を生じやすくなる。
[0207] また、 特開平 8 _ 4 3 8 1 2号公報に記載の 「環状ォレフィン (共) 重合 体 ポリビニルアルコール トリアセチルセルロース」 の構成を有する偏光 フィルムでは、 まずポリビニルアルコールを挟んで異なる材料からなるフィ ルムが用いられているため、 製造工程で反りが生じやすくなる。 さらに、 保 護フィルムとして吸水性の高いトリアセチルセルロースを用いており、 この トリァセチルセルロースが吸水に起因して寸法変動する。 このことも、 この
構成を有する偏光フィル厶において反りを生じさせる原因となっている。 ま た、 トリァセチルセルロースが寸法変動により光学特性の変動を生じるため 、 偏光フイルムの偏光度の低下が起こる場合もある。
[0208] 一方、 本実施形態では、 低い吸水性、 高い水蒸気透過性、 及び高い寸法安 定性を有する 4 _メチル _ 1 _ペンテンなどからなるフィルムを、 偏光子 ( a ) の一方の面の保護フィルムとして用いている。 このため、 このフィルム を用いた積層偏光板では、 特に水系の接着剤が使用される偏光板保護フィル ムの用途において乾燥が容易となる。 したがって、 特開平 8— 4 3 8 1 2号 公報に記載の偏光フィルムと比較して、 接着強度の不足や、 反りが生じにく く、 偏光度の安定性を高めることが可能になる。
[0209] また、 一方の保護フィルムとしてトリァセチルセルロースを用いた偏光板 と比較して、 本実施形態の積層偏光板では、 4 _メチル _ 1 _ペンテンなど からなるフイルム、 環状ォレフィン (共) 重合体からなるフイルムはともに 寸法安定性が高い素材であるため、 ポリビニルアルコールを挟んで異なる材 料からなるフィル厶が用いられているにもかかわらず、 反りが抑制されるも のと考えられる。
[0210] 以上のように、 本実施形態の積層偏光板は、 保護フイルムとして、 4ーメ チル一 1—ペンテンなどからなるフイルムを用いることにより、 従来の偏光 板に比べて寸法安定性が高く、 保護フイルムと偏光子との間の接着強度の不 足や、 反りが生じにくく、 偏光度の安定性を高めることが可能になり、 有用 である。 また、 保護フイルムとして、 リタ一デーシヨンを一定の範囲に調整 したフィルムを用いることにより、 この保護フィルムが位相差板を兼ねるこ とができ、 素子数を削減することができる。
[021 1 ] 本実施形態の液晶表示素子は、 前述した積層偏光板と、 液晶セルとを有す るものである。
[0212] 液晶セルは、 通常は、 二枚の基板の間にスぺーサを挟み込んで形成した空 間に液晶を封入して形成された液晶層を有する。 この液晶セルには、 さらに 基板上に形成される、 導電性物質を含む透明な膜からなる透明電極層、 液晶
層に空気を通さないように設けられるガスバリアー層、 液晶セルに耐殺傷性 を付与するハードコート層、 透明電極層の接着に用いるアンダーコート層な どを設けることができる。
[0213] 積層偏光板は、 前述したように、 偏光子 (a) の一方の面に、 前記のフィ ルム (b) が直接または間接に積層され、 前記偏光子 (a) の他の一方の面 に、 前記のフィルム (c) が直接または間接に積層されてなるものである。
[0214] ここで、 積層偏光板において、 フィルム (b) を、 偏光子 (a) を基準と して液晶セル側に配置するようにしてもよい。 このような構成により、 リタ 一デーシヨンが上記式 (2_ 1 ) の条件を満たすと、 液晶表示素子において 従来必要であった、 別途の位相差板を省略できたり、 別途の位相差板を使用 する場合にもその設計上の自由度が向上するなどの好ましい効果が生ずる場 合がある。 さらに、 レターデーシヨンが上記式 (2_2) のような条件を満 たすと、 液晶表示で用いられる広い波長領域で、 前述の角度で表される位相 差が一定とすることができる。 これは、 従来、 複数の光学素子を組み合わせ た複雑な構造によるか、 または、 複雑な化学構造を有する樹脂によらなけれ ば実現できなかったものであり、 液晶表示素子のコントラス卜の向上と色相 の変化の抑制を実現できるという利点がある。
[0215] また、 本実施形態の表示装置は、 前述した積層偏光板、 および または前 述した液晶表示素子を有するものである。 すなわち、 本実施形態では、 以下 の態様が含まれる :
(1 ) 前記液晶表示素子を備えた表示装置、
(2) 前記積層偏光板および前記液晶表示素子を備えた表示装置、
(3) 前記積層偏光板を備えた表示装置。
[0216] (1 ) の表示装置には、 前記液晶表示素子の他に、 光学補償フィルムなど が含まれる。 また、 (2) の表示装置には、 (1 ) の表示装置に加えて、 さ らに積層偏光板が含まれる。 また、 (3) の表示装置としては、 有機 E L素 子を含む表示装置が挙げられる。
[0217] (本件第三発明)
本件第三発明は、 積層体、 位相差フイルムおよびこれを用いた液晶表示素 子に関する。
[0218] 液晶表示装置は、 液晶セル Lを、 2枚の偏光板 Pで挟む構成を基本として いる。 しかし、 液晶セル Lは独自の複屈折、 およびその角度依存性を有する ため、 コントラストの悪化、 視野角の低下等を生じ、 液晶表示装置の画像品 質の低下をもたらす。 そこで、 各種の位相差フィルムを使用し、 液晶セル L の複屈折を補正することが行われている。
[0219] たとえば、 液晶セルを通過した光に、 偏光フィルムでのフィルタリングが できない円偏光成分が含まれ、 表示のコントラス卜が悪化する場合がある。 そこで、 液晶セルを通過した光を偏光フィルムに入射する前に、 位相基板を 通過させることで、 こうした円偏光成分を補正し、 液晶表示素子のコントラ ストを改善することが行われている。
[0220] 以下、 従来の光補正方法を説明する。
[0221] はじめに、 本件第三発明における前提として、 正また負の複屈折について
Ι∑我 3る ο
位相差フイルム Αに関しては、 n x力 位相差フイルムの面内における最 大屈折率であり、 n yが、 該位相差フイルムの面内における最大屈折率を示 す方向に直交する方位の屈折率であり、 n zが、 位相差フイルムの法線方向 の屈折率であるとしたとき、 位相差フイルム Aが下記式 (3 _ 1 ) を満たす ときは、 いわゆる + Aフイルムとして機能し正 (+ ) の複屈折を有すると定 義される。 また、 位相差フイルム Aが、 下記式 (3 _ 2) を満たすときは、 いわゆる一 Aフィルムとして機能し、 負 (一) の複屈折を有すると定義する n x > n y ^ n z (, 3— 1 )
n z≥ n x > n y ( 3— 2)
[0222] また、 位相差フィルム Cに関しては、 フィルム膜厚方向の屈折率が面内屈 折率より大きいとき正の (+ ) 複屈折、 膜厚方向の屈折率が面内屈折率より 小さい場合負の (一) 複屈折を有すると定義し、 それぞれを位相差フィルム
+cおよび位相差フイルム一 Cと表記する。 Cは +Cおよび一 Cの両方を含 む意味とする。
[0223] 以上の前提の下、 従来の補正方法としては、
( i ) 正の複屈折を有する位相差フィルム +Aと負の複屈折を有する位相差 フィルム一 Aを用いたクロス A補正タイプ、
( i i ) _A_C、 _C_Aもしくは +A + C、 +C + Aを用いた ACタイ プ補正、 および
( i i i ) +A + C + Aまたは一A— C— Aの順に配置した ACAタイプ補 正
の 3種類が知られている。
[0224] なお、 ( i i ) の ACタイプ補正については、 国際公開第 03 0320 60号パンフレットにも記載されている。 同文献は、 位相差フィルムを備え る液晶表示素子に関する技術である。 同文献には、 位相差フイルム Aおよび 位相差フイルム Cを用い、 これらを A、 C、 Lの順で配置した液晶表示素子 が開示されている。
[0225] これらの一例として、 ( i ) +A— Aタイプの従来の補正法について、 図
21を参照して説明する。
図 21においては、 バックライ ト側偏光子 P 1に隣接して負の複屈折を有 する位相差フイルム一 A (第一の位相差フイルム) A 1の光学軸がバックラ イ ト側偏光子 P 1の吸収軸 (図中の矢印方向) と直交して配置され、 さらに 隣接して位相差フイルム _C、 液晶セル Lがこの順に配置されている。 さら に液晶セル Lに隣接して、 正の複屈折を有する位相差フィルム +A (第二の 位相差フィルム) A 2力 バックライ ト側偏光子 P 1の吸収軸と一致させて 配置されている。 パネル出射側偏光子 P 2については、 吸収軸がバックライ ト側偏光子 P 1の吸収軸と直交する配置となっている。
[0226] この方式での偏光状態の変化を、 ポアンカレ球表記 (図 22) を参照して 説明する。
図 22中の Tは、 バックライ ト側偏光子 P 1の透過偏光軸方位を示し、 A
はパネル出射側偏光子 P 2の吸収軸方位を示す。 垂直入射時 0 = 0° もしく は方位角 0 = 90° の整数倍の時には、 Aと Tの方位が一致する。 このため 、 バックライ ト側偏光子 P 1を通過した光は、 すべてパネル出射側偏光子 P 2により吸収され、 光漏れは発生しない。
[0227] —方、 斜め視野角での状態を、 視野角 0 = 60° 、 方位角 0 = 45° を例 にとリポアンカレ球表記した図 22を参照して説明する。
ここで、 バックライ ト側偏光子 P 1を通過した光の偏光状態は、 ポアンカ レ球上での Tに相当する直線偏光である。 バックライ ト側偏光子 P 1の透過 光は、 第一の位相差フィルム A 1を通過することにより、 回転中心軸 Aを中 心として 60° 反時計回りに回転し、 点 Mで表記される左回り楕円偏光とな つた後、 次に通過する位相差フィルム C (-C) により S 1軸を回転中心軸 として回転して V点に到達し、 右回り楕円偏光となる。 さらに次に通過する 液晶セル Lにより M点に戻る。 次に第二の位相差フィル厶 A 2を通過するこ とにより、 Tを回転中心軸として左周りに 60° 回転することにより最終的 に偏光状態が Aに帰着する。 この A点は、 パネル出射側偏光子 P 2の吸収軸 と一致しているため、 この偏光の光はすべて吸収されることになる。 これが 斜め視野でも光漏れを低減させることができる原理である。
以上、 紹介した従来の補償方法のうち代表的なものの詳細は、 たとえば Den g-KeYang, Shin - Tson Wu、 「Fundamentals of Liquid Crystal Devicesj , J ohn & Wi ley 2006, p. 2 1 3 ~ 234に紹介されている。
[0228] ところが、 上述の補正方法においては、 位相差フイルムに求められる位相 差が比較的大きかった。 この点について、 図 23を参照して説明する。 図 2 3は、 図 22をさらにわかりやすいように、 ポアンカレ球面上の軌跡を赤道 上平面に投影した図である。
[0229] 図 23において、 点 A、 Tおよび Mを結んだ三角形は、 視野角によらず正 三角形となるため、 位相差フィルム Aによる回転角度は 60° となる。 この 角度に相当する位相差はこの角度に比例し、
回転角度「= (2 /Λ) Re
の関係を満たす。
したがって、 第一および第二の位相差フイルム Aに求められる位相差とし ては、 波長 5 5 0 n mで約 9 0 n mもの面内位相差となる。
[0230] 以上では、 いわゆるクロス A補正タイプ (_ A, + A ) での補正方法につ いて説明したが、 前述の国際公開第 0 3 0 3 2 0 6 0号パンフレツ卜に記 載の ( i i ) A Cタイプの補正方法についてもこれに準じて説明できる。 た だし、 A Cタイプ補正法の場合には、 位相差フィルム Aに必要な位相差は 1 4 0 n m前後とさらに大きな位相差が必要となる。
[0231 ] このように、 国際公開第 0 3 0 3 2 0 6 0号パンフレットの配置の場合 、 位相差フィルム Aは、 たとえば 1 4 0 n m程度の大きな位相差を有する必 要があり、 位相差フィルム Aとして用いることができる材料の自由度の点で も、 改善の余地があった。 また、 同文献に記載の補正方法では、 方位角に対 する対称性が必ずしも充分でないため、 液晶表示装置の視野角を充分に確保 する点でも、 改善の余地があった。
[0232] 本件第三発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、 比較的小さい位相 差のフイルムを用いる場合であっても、 液晶パネルの暗状態での光漏れ低減 、 斜め視野での低漏れ光および広い視野角を確保する技術を提供するもので める。
[0233] 本件第三発明によれば、 比較的小さい位相差のフイルムを用いる場合であ つても、 液晶パネルの暗状態での光漏れ低減、 斜め視野での低漏れ光および 広い視野角を確保することができる。
[0234] 以下、 本件第三発明の実施形態について図面を参照して説明する。 なお、 すべての図面において、 共通の構成要素には同じ符号を付し、 適宜説明を省 略する。
[0235] (第一の実施形態)
図 4は、 本実施形態の積層体の概略構成を示す断面図である。 図 4に示した積層体 1 1 0 0は、 第一および第二の偏光フィルム (P 1、
P 2 ) 、 偏光フィルム P 1 と偏光フィルム P 2との間に配置される液晶セル
L、 および、 偏光フイルム P 1 と偏光フイルム P 2との間に配置され、 少な くとも 2枚の位相差フイルム A ( A 1、 A 2 ) と少なくとも 1枚の位相差フ イルム Cとを含む複数の位相差フイルムを備える。 なお、 本実施形態および 以降の実施形態において、 2枚の偏光フィルムの配置については、 たとえば 偏光フィルム P 1をバックライ ト側偏光フィルムとし、 偏光フィルム P 2を パネル出射側偏光フィルムとする。
[0236] なお、 本実施形態では、 2枚の位相差フィルム Aと 1枚の位相差フィルム Cとを備える場合を例示するが、 本実施形態および以下の実施形態における 積層体は、 位相差フィルム Aおよび位相差フィルム Cを合計で 3枚以上含ん でいればよい。
また、 位相差フィルム A 1および位相差フィルム A 2は、 同一材料から構 成されていてもよいし、 異なる材料から構成されていてもよい。
液晶セル Lは、 一対の基板と、 基板間に挟持される液晶層とから構成され ている。
[0237] 積層体 1 1 0 0において、 少なくとも 1枚の位相差フイルム Cは、 P 1ま たは P 2に隣接して配置され、 かつ、 2枚の位相差フイルム Aと液晶セル L とが、 A、 L、 Aの順に配置される。
なお、 「隣接して」 とは、 現実に物理的に密着している場合には限らず、 間に位相差を実質的に有さない層を介していてもよい。 また、 「順に配置」 とは、 A、 L、 Aが現実に物理的に密着している場合には限らず、 A—L間 に位相差を実質的に有さない層を介していてもよい。
図 4の例では、 液晶セル L、 位相差フィルム Cおよび 2枚の位相差フィル ム Aが、 C、 A、 L、 Aなる順番で配置され、 さらに具体的には、 P 1、 C 、 A 1、 L、 A 2、 P 2の順で配置されている。
[0238] 次に、 位相差フィルム Aおよび位相差フィルム Cの構成を説明する。
はじめに、 位相差フィルム Aについて説明する。
[0239] (位相差フィルム A )
位相差フィルム A 1および位相差フィルム A 2は、 下記式 (3 _ 1 ) およ
び (3_2) のいずれかを満たす。
n x > n y≥ n z (3— 1 )
n z ^ n x ^> n y (3— 2)
(上記式 (3— 1 ) および式 (3— 2) において、 n xは、 位相差フィルム の面内における最大屈折率であり、 n yは、 該位相差フィルムの面内におけ る最大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率であり、 n zは、 位相差フ イルムの法線方向の屈折率である。 )
ここで、 位相差フィルム Aが上記式 (3_ 1 ) を満たすときは、 いわゆる + Aフィルムとして機能し、 上記式 (3— 2) を満たすときは、 いわゆる一 Aフィルムとして機能する。
[0240] また、 位相差フィルム Aは、 特定の波長範囲で、 複屈折により生じる位相 差が短波長ほど小さい性質 (逆波長分散) を有してもよい。 具体的には、 少 なくとも一枚の前記位相差フイルム Aの波長 450 nmにおける面内の位相 差 R e (450) 、 波長 550 n mにおける面内の位相差 R e (550) お よび波長 650 n mにおける面内の位相差 R e (650) 力
R e (450) R e (550) < 1 (3-4) 、 および
R e (650) R e (550) > 1 (3-5)
の関係を満たす構成とする。
[0241] なお、 本件第三発明において、 面内位相差 R eおよび後述する厚み方向位 相差 Kは、 それぞれ、 下記式により計算される。 下記式において、 n xは、 位相差フイルムの面内における最大屈折率であり、 n yは、 該位相差フィル ムの面内における最大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率であり、 n zは、 位相差フィルムの法線方向の屈折率である。 また、 dは位相差フィル ムの厚さである。
R e = S ( n X— n y ) x d
K= { n z - (n x + n y) / Z\ x d
ここで、 Sは正負の複屈折を区別するためのサインであり、 _ Aの場合は一 (マイナス) を採用し、 +Aの場合は + (プラス) を採用する。
[0242] 次に、 位相差フイルム Aの材料の具体例を説明する。
位相差フイルム Aの材料は、 上記性質を示すものであれば特に制限はない 力 たとえば、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 お よび、 3—メチル一 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 (α ) が挙げられる。 位 相差フィルム Αの全部が (共) 重合体 ( ) で構成されていてもよいし、 位 相差フィルム Aの一部が上記 (共) 重合体 ( ) で構成されていてもよい。 また、 位相差フィルム A中の (共) 重合体 ( ) の含有量は、 たとえば 2 0 重量%以上 1 0 0重量%以下、 好ましくは 5 0重量%以上 1 0 0重量%以下 である。
[0243] 位相差フィルム Aの材料として、 さらに具体的には、 3 _メチル _ 1—ブ テン、 3—メチル一 1—ペンテンまたは 4—メチル一 1—ペンテンの単独重 合体、 もしくはこれら相互の共重合体、 さらに他の共重合可能なモノマー、 たとえばスチレン、 アクリロニトリル、 塩化ビニル、 酢酸ビニル、 アクリル 酸エステル、 メタクリル酸エステルなどとの共重合体、 また別には上記のも の同志あるいは他の熱可塑性樹脂や合成ゴムとのプレンド物、 ブロック共重 合体、 グラフト共重合体などが例示できる。 (共) 重合体 (ひ) の構成単位 中、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 または 3—メ チルー 1ーブテンに由来する構成単位は、 樹脂の透明性、 耐熱性等の各種特 性のバランスをさらに向上させる観点では、 合計で、 通常 2 0モル%以上 1 0 0モル%以下、 好ましくは 5 0モル%以上 1 0 0モル%以下、 さらに好ま しくは 8 0モル0 /o以上 1 0 0モル0 /o以下である。
[0244] (共) 重合体 ( ) の中でも、 4 _メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体は 、 透明性、 剥離性等に優れ、 光学素子と組み合わせて使用するのに好適であ るので、 好ましい。 また、 3 _メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体、 および 3 _メチル _ 1—ブテン (共) 重合体は、 耐熱性に優れ、 プロセスの自由度 や、 使用条件の自由度等の観点から好ましい。 以下、 それぞれについてさら に具体的に説明する。
[0245] (4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体)
4_メチル_ 1 _ぺンテン (共) 重合体は、 具体的には、 4_メチル _ 1 —ペンテンの単独重合体もしくは 4—メチル一 1—ペンテンとエチレンまた は炭素原子数 3以上 20以下の他の 一ォレフィン、 たとえばプロピレン、 1—ブテン、 1—へキセン、 1—ォクテン、 1—デセン、 1—亍トラデセン 、 1一才クタデセン等との共重合体である。 本件第三発明において好ましく 用いられる 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体は、 通常、 4—メチル一 1—ペンテンに由来する構成単位を 85モル0 /0以上、 好ましくは 90モル0 /0 以上の量で含有する。 4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体を構成する、 4_メチル _ 1—ペンテン由来以外の構成成分には特に制限は無く、 4—メ チル一 1—ペンテンと共重合可能な各種のモノマーを適宜使用することがで きるが、 入手の容易さ、 共重合特性等の観点から、 エチレンまたは炭素数 3 以上 20以下のひ一ォレフィンを好ましく用いることができる。 中でも、 炭 素数 7以上 20以下のひ一ォレフィンが好ましく、 1—デセン、 1 _ドデセ ン、 1—テトラデセン、 1—へキサデセン、 および 1—ォクタデセンが特に 好ましい。
[0246] 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の、 AS TM D 1 238に準じ 、 荷重 5 k g、 温度 260°Cの条件で測定したメルトフローレート (MFR ) は、 用途に応じ種々決定されるが、 通常、 1 gZ1 0分以上 50 gZ1 0 分以下、 好ましくは 2 gZ1 0分以上 40 gZ1 0分以下、 さらに好ましく は 5 g/1 0分以上 30 g/1 0分以下の範囲である。 4—メチル一 1—ベ ンテン (共) 重合体のメルトフローレートが上記のような範囲内にあると、 フィルム成形性および得られるフィルムの外観が良好である。 また融点は 1 00°C以上 240°C以下、 好ましくは 1 50°C以上 240°C以下の範囲にあ るのが望ましい。
[0247] このような 4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体は、 従来公知の方法で 製造することができ、 たとえば特開昭 59— 20641 8号公報に記載され ているように、 触媒の存在下に 4—メチル一 1—ペンテンと上記のエチレン
またはひ一ォレフィンを重合することにより得ることができる。
[0248] (3—メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体)
3_メチル_ 1 _ぺンテン (共) 重合体の、 好ましいコモノマー種、 コモ ノマー含量、 MFR、 融点等は、 上記の 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重 合体の場合と同様である。 本件第三発明において好ましく用いられる 3 _メ チルー 1一ペンテン (共) 重合体は、 従来公知の方法により適宜製造するこ とが可能であり、 たとえば、 特開平 06_ 1 45248号公報記載の方法に より製造することができる。
[0249] (3_メチル_ 1 _ブ亍ン (共) 重合体)
3_メチル_ 1 _ブ亍ン (共) 重合体の、 好ましいコモノマー種、 コモノ マー含量、 MFR、 融点等は、 上記の 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合 体の場合と同様である。 本件第三発明において好ましく用いられる 3—メチ ルー 1ーブテン (共) 重合体は、 従来公知の方法により適宜製造することが 可能であり、 たとえば、 特開平 06_ 1 45248号公報記載の方法により 製造することができる。
[0250] ( (共) 重合体 (ひ) 以外にフイルム (a) を構成する成分)
フイルム (a) は、 上述の共重合体 (ひ) 以外の各種の成分を含んでいて もよい。 共重合体 (ひ) 以外の成分は、 共重合体 (ひ) 以外の各種樹脂また は各種ゴムであってもよい。 各種樹脂としては、 特に透明性に優れた樹脂が 好ましく、 たとえば、 環状ォレフィン (共) 重合体等の各種ポリオレフイン 、 ポリカーボネート、 ポリスチレン、 酢酸セルロース樹脂、 フッ素系樹脂、 ポリエステル、 アクリル樹脂等を使用することができる。 各種ゴムとしては 、 ォレフィン系ゴム、 スチレン系ゴム、 等を使用することができる。 また、 本件第三発明において用いられるフィルム (a) には、 帯電防止剤、 酸化防 止剤、 耐熱安定剤、 剥離剤、 耐候安定剤、 防鯖剤、 スリップ剤、 核剤、 顔料 、 染料、 無機充填剤 (シリカなど) などの通常ポリオレフインに添加して使 用される各種配合剤や、 それ以外の特殊な配合剤を、 本件第三発明の目的を 損なわない範囲で添加することができる。
[0251 ] (位相差フィル厶 Aの製造方法)
位相差フィル厶 Aは、 従来公知の方法によつて適宜作成することができる 力 たとえば (共) 重合体 (ひ) とそれ以外の成分とを、 V—プレンダー、 リボンプレンダー、 ヘンシェルミキサー、 タンブラ一プレンダ一で混合する 方法、 あるいは前記プレンダ一で混合した後、 単軸押し出し機、 複軸押し出 し機、 ニーダー、 バンバリ一ミキサー等で溶融混鰊して造粒あるいは粉砕し 、 次いで、 プレス成形、 押出成形、 インフレーション成形などの方法、 また は溶液流延法などの公知の方法でフィルム成形することができる。 効率よく 生産するには、 溶液流延法、 インフレーション成形法や押出成形法等が好ま しい。
[0252] また、 得られたフィルムを延伸することにより、 光学的には複屈折、 その 角度依存性、 その温度依存性等の物性を所望の値に調整することができ、 さ らに機械的強度を付与したフイルムとすることもできる。 延伸の倍率は、 所 望の光学的性質等により適宜選択すればよいが、 通常 1 . 5倍以上 1 0倍以 下、 好ましくは 2倍以上 5倍以下である。
[0253] 位相差フイルム Aの厚みに特に制限は無いが、 通常 1 0 ^ 以上2 0 0 m以下、 好ましくは 2 0 m以上 1 O O m以下である。 このような範囲と することにより、 フイルムの生産性をさらに向上させることができる。 また 、 フイルム成形時のピンホールなどの発生を抑制し、 強度を向上させること ができる。
[0254] また、 位相差フイルム Aの材料として、 他に、 アベル (登録商標) 、 ゼォ ノア (登録商標) 等が挙げられる。
[0255] 本実施形態において、 さらに具体的には、 位相差フィルム Aが、 4 _メチ ルー 1—ペンテン (共) 重合体を含んでなる層を有することが好ましい。 こ うすることにより、 たとえば位相差フィルム Aの耐熱性を向上させ、 製造コ ストを低下させ、 さらに、 環境負荷を低減することが可能となる。
[0256] 次に、 位相差フィルム Cについて説明する。
(位相差フィルム C )
位相差フイルム Cは、 下記式 (3_3) を満たす。
n x^n y^>n z (3—
(上記式 (3_3) において、 n xは、 位相差フイルムの面内における最大 屈折率であり、 n yは、 該位相差フィルムの面内における最大屈折率を示す 方向に直交する方位の屈折率であり、 n zは、 位相差フィルムの法線方向の 屈折率である。 )
[0257] また、 本実施形態においては、 たとえば少なくとも一枚の位相差フィルム
Cの波長 450 n mおよび 550 n mにおける厚み方向位相差 Κ (450) および Κ (550) 力 下記式 (3— 6) を満たす構成とする。
Κ (450) Κ (550) ≥ 1 (3-6)
[0258] 位相差フィルム Cは、 前述の式 (3_3) に示したように、 厚み方向にの み位相差を有し、 いわゆるマイナス Cプレートとして機能して、 液晶の視野 角を効果的に補正にする。
また、 本実施形態では、 位相差フイルム Cは、 上記式 (3_6) を満たし
、 通常の波長分散、 つまり複屈折により生じる位相差が短波長ほど大きい性 質を示す。
[0259] また、 位相差フイルム Cにおいては、 波長 450 nm、 550 nmおよび
650 n mにおける厚み方向位相差 K (450) 、 K (550) および K ( 650) 力 上記式 (3— 6) に加えて下記式 (3— 7) を満たす構成とし てもよい。 こうすれば、 より広い波長範囲で通常の波長分散を示す構造とす ることができるため、 より広い波長範囲で安定的な補正が可能となる。
K (650) K (550) ≤ 1 (3-7)
[0260] 次に、 位相差フィルム Cの材料の具体例を説明する。
位相差フィルム Cの材料は、 上記性質を示すものであれば特に制限はない 力 たとえば、 国際公開第 06 03341 4号パンフレツ卜に記載の材料 を用いることができる。
さらに具体的には、 位相差フィルム Cの材料として、 脂環式構造含有重合 体が挙げられる。 位相差フィルム Cの全部が当該脂環式構造含有重合体で構
成されていてもよいし、 当該フイルムの一部が当該脂環式構造含有重合体で 構成されていてもよい。
[0261 ] 脂環式構造含有重合体は、 重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有す るものであり、 主鎖および側鎖のいずれに脂環式構造を有していてもよい。 脂環式構造としては、 シクロアルカン構造、 シクロアルケン構造などが挙げ られるが、 熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。 脂環式構 造を構成する炭素原子数は、 格別制限されないが、 通常 4個以上 3 0個以下 、 好ましくは 5個以上 2 0個以下、 より好ましくは 5個以上 1 5個以下の範 囲であると、 耐熱性および柔軟性にさらに優れたフィルムが得られる。 脂環 式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、 使用目的 に応じて適宜選択されればよいが、 通常 2 0重量%以上、 好ましくは 4 0重 量%以上、 より好ましくは 6 0重量%以上である。 脂環式構造含有重合体中 の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少なすぎると耐熱性が低 下する懸念がある。 なお、 脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰 り返し単位以外の残部は、 格別限定されず、 使用目的に応じて適宜選択され る。
[0262] また、 脂環式構造含有重合体の含有量に特に制限はないが、 光学的な均質 性の観点等から、 通常、 5 0重量0 /0以上 1 0 0重量0 /0以下、 好ましくは 6 0 重量0 /o以上 1 0 0重量0 /o以下、 さらに好ましくは、 7 0重量0 /o以上 1 0 0重 量%以下である。 また、 当該樹脂以外の成分には特に制限はないが、 たとえ ば、 耐衝撃性向上等の観点から、 ォレフィン系エラストマ一やスチレン系ェ ラストマーを添加することができる。 また、 後述するように、 それ以外の各 種添加剤を用いてもよい。
[0263] 脂環式構造を含有する重合体樹脂の具体例としては、 (a ) ノルボルネン 系重合体、 (b ) 単環の環状ォレフィン系重合体、 (c ) 環状共役ジェン系 重合体、 (d ) ビニル脂環式炭化水素重合体、 およびこれらの水素添加物な どが挙げられる。 これらの中でも、 寸法安定性、 酸素透過率、 透湿度、 耐熱 性、 機械強度等の観点から、 ノルボルネン系重合体、 ビニル脂環式炭化水素
重合体およびそれらの水素化物などが好ましい。
[0264] (a) ノルポルネン系重合体
ノルポルネン系重合体としては、 ノルポルネン系モノマーの開環重合体、 ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開 環共重合体、 およびそれらの水素添加物、 ノルボルネン系モノマーの付加重 合体、 ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの 付加共重合体などが挙げられる。
[0265] ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物、 および、 ノルボルネ ン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体 の水素添加物においては、 その水素添加率が 99%以上であると、 透明性 ( とりわけ、 初期黄変度が低いこと) 、 安定性 (とりわけ、 長期的に黄変が発 生しにくいこと) 等に優れ、 ゲルの発生を抑制できる場合が多く、 好ましい
[0266] これらの中でも、 所望のレターデーシヨンが得やすい点から、 ノルポルネ ン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体が最 も好ましい。
[0267] ノルポルネン系モノマーとしては、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2 —ェン (慣用名 : ノルポルネン) 、 5_メチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 - ヘプト _2_ェン、 5, 5—ジメチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5_ェチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5_ ブチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _へキシル一ビシ クロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—ォクチル一ビシクロ 〔2. 2 1〕 —ヘプト— 2 _ェン、 5—ォクタデシル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _ ヘプト _2_ェン、 5—ェチリデン一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2 —ェン、 5—メチリデン一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5 —ビニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—プロべニル一 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—メ トキシ一カルボニル一 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _シァノ一ビシクロ 〔2.
2. 1〕 _へプト_2_ェン、 5_メチル _5—メ トキシカルボニル一ビシ クロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5—メ トキシカルボニル一ビシク 口 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _エトキシカルボニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _へプト_2_ェン、 5_メチル _5_エトキシカルボニル —ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _ ヘプト _5_ェニル _2_メチルプロビオネイ ト、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 —ヘプト一 5_ェニル _2—メチルォクタネイ ト、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 —ヘプト _2—ェン _5, 6—ジカルボン酸無水物、 5—ヒドロキシメチル —ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5, 6—ジ (ヒドロキシメ チル) 一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—ヒドロキシ _ i —プロピル-ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2—ェン、 ビシクロ 〔2. 2
1〕 —ヘプト— 2 _ェン、 5, 6—ジカルボキシ一ビシクロ 〔2. 2. 1 〕 一ヘプト一 2_ェン、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2—ェン _5, 6—ジカルボン酸イミ ド、 5—シクロペンチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _ ヘプト _2_ェン、 5—シクロへキシル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2_ェン、 5—シクロへキセニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2 —ェン、 5_フエニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 トリ シクロ 〔4. 3. 12'5. 0"〕 一デカ一3, 7 _ジェン (慣用名ジシクロペン タジェン) 、 トリシクロ 〔4. 3. 12'5. 01 6〕 一デ力一 3 _ェン、 トリシク 口 〔4. 4. 12'5. 01 6〕 一ゥンデカ一3, 7—ジェン、 トリシクロ 〔4. 4
1 2,5 o1 6〕 一ゥンデカ一 3. 8—ジェン、 トリシクロ 〔4. 4. 125. 01 ,6〕 一ゥンデカ一 3—ェン、 亍トラシクロ 〔7. 4. 11。'13. 01'9. 02'7〕 一ト リデカ _2, 4, 6 _ 1 1—亍トラェン ( 1, 4—メタノ _ 1, 4, 4 a , 9 a—亍トラヒドロフルオレンともいう :慣用名メタノ亍トラヒドロフルォ レン) 、 亍トラシクロ 〔8, 4, 1 " ", 01'1。, 03'8〕 一亍トラデカ _3, 5 , 7, 1 2 _ 1 1—亍トラェン ( 1, 4—メタノ _ 1, 4, 4 a , 5, 1 0 , 1 0 a—へキサヒドロアントラセンともいう) 、 亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 1。, 0〕 _ドデカ _3—ェン (亍トラシクロドデセンともいう) 、
8 _メチル一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 1710. 0〕 _ドデカ _3—ェン 、 8_ェチル一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 一ドデ力 _3—ェ ン、 8—メチリデン一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—ェチリデン一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 一ド デ力一 3_ェン、 8_ビニル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 - ドデ力一 3_ェン、 8 _プロぺニル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 一ドデ力一 3 _ェン、 8—メ トキシカルボニル一亍トラシクロ 〔4. 4
12,5 17,10. o〕 一ドデ力一 3_ェン、 8_メチル _8—メ トキシカルボ ニル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 1710. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8_ ヒドロキシメチル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 1710. 0〕 _ドデカ _3 —ェン、 8 _カルボキシ一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 171。, 0〕 一ドデ 力一 3_ェン、 8—シクロペンチル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 1710. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—シクロへキシル一テトラシクロ 〔4. 4. 125
1 7,10 o〕 一ドデ力一 3 _ェン、 8—シクロへキセニルーテトラシクロ 〔 4. 4. 12'5. 1710. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8_フエ二ルーテトラシク 口 〔4. 4. 12'5. 1710. 0〕 一ドデ力一 3—ェン、 ペンタシクロ 〔6. 5
1 1.8 1 3,6 o2'7. 09'13〕 _ペンタデカ一3, 10 _ジェン、 ペンタシクロ 〔7. 4. 13'6. 110'13. 01'9. 02'7〕 _ペンタデカ _4, 1 1 _ジェンなど が挙げられるが、 これらに限定されるものではない。 これらのノルポルネン 系モノマーは、 それぞれ単独であるいは 2種以上組み合わせて用いられる。 これらノルポルネン系モノマーの開環重合体、 またはノルポルネン系モノ マーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、 モノ マー成分を、 開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。 開環重合 触媒としては、 たとえば、 ルテニウム、 ロジウム、 パラジウム、 オスミウム 、 イリジウム、 白金などの金属のハロゲン化物と、 硝酸塩またはァセチルァ セトン化合物、 および還元剤とからなる触媒、 あるいは、 チタン、 バナジゥ ム、 ジルコニウム、 タングステン、 モリブデンなどの金属のハロゲン化物ま たはァセチルアセトン化合物と、 有機アルミニウム化合物とからなる触媒を
用いることができる。 重合反応は溶媒中または無溶媒で、 通常、 _50°Cか ら 1 00 °C程度の重合温度、 0から 50 k gZc m2程度の重合圧力で行われ る。 ノルポルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては 、 たとえば、 シクロへキセン、 シクロヘプテン、 シクロォクテンなどの単環 の環状ォレフィン系単量体などを挙げることができるが、 これらに制限され ない。
[0269] ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物は、 通常、 上記開環重合 体の重合溶液に水素添加触媒を添加し、 炭素一炭素不飽和結合を水素添加す ることにより得ることができる。 水素化触媒としては、 特に限定されないが 、 通常、 不均一系触媒や均一系触媒が用いられる。
[0270] ノルボルネン系モノマー、 またはノルボルネン系モノマーとこれと共重合 可能なその他のモノマーとの付加 (共) 重合体は、 たとえば、 モノマー成分 を、 溶媒中または無溶媒で、 チタン、 ジルコニウムまたはバナジウム化合物 と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、 通常、 _50°Cから 1 00°C程度の重合温度、 0から 50 k gZcm2程度の重合圧力で (共) 重 合させて得ることができる。
[0271] ノルポルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、 たと えば、 エチレン、 プロピレン、 1—ブテン、 1 _ペンテン、 1—へキセン、 3_メチル _ 1—ブテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 3_ェチル _ 1—ぺ ンテン、 4_メチル _ 1 _ペンテン、 4_メチル _ 1—へキセン、 4, 4- ジメチル _ 1—へキセン、 4, 4—ジメチル一 1 _ペンテン、 4—ェチル一 1—へキセン、 3 _ェチル _ 1—へキセン、 1—ォクテン、 1—デセン、 1 —ドデセン、 1—亍トラデセン、 1 _へキサデセン、 1—ォクタデセン、 1 —エイコセンなどの炭素数 2以上 20以下の -ォレフィン;
シクロブテン、 シクロペンテン、 シクロへキセン、 3, 4 _ジメチルシク 口ペンテン、 3—メチルシクロへキセン、 2_ (2—メチルプチル) _ 1 _ シクロへキセン、 シクロォクテン、 3 a, 5, 6, 7 a—亍トラヒドロ一 4 , 7—メタノ _ 1 H—インデンなどのシクロォレフイン;
1、 4 _へキサジェン、 4_メチル_ 1, 4 _へキサジェン、 5_メチル - 1 , 4 _へキサジェン、 1, 7—ォクタジェンなどの非共役ジェン; などが用いられるが、 これらに限定されない。 これらの中でも、 ひ-ォレフィ ン、 特にエチレンが好ましい。
[0272] これらの、 ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、 それぞれ単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて使用することができる。 ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共 重合する場合は、 付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位 と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、 重量比で通常 30 : 70から 99 : 1、 好ましくは 50 : 50から 97 : 3、 より好まし くは 70 : 30から 95 : 5の範囲となるように適宜選択される。
[0273] (b) 単環の環状ォレフィン系重合体
単環の環状ォレフィン系重合体としては、 たとえば、 シクロへキセン、 シ クロヘプテン、 シクロォクテンなどの単環の環状ォレフィン系単量体の付加 重合体を用いることができるが、 これらに限定されるものではない。
[0274] (c) 環状共役ジェン系重合体
環状共役ジェン系重合体としては、 たとえば、 シクロペンタジェン、 シク 口へキサジェンなどの環状共役ジェン系単量体を 1, 2_または 1, 4_付 加重合した重合体およびその水素添加物などを用いることができるが、 これ らに限定されるものではない。
[0275] 位相差フイルム Cとして使用されるノルポルネン系重合体、 単環の環状ォ レフイン系重合体または環状共役ジェン系重合体の分子量は、 使用目的に応 じて適宜選択されるが、 シクロへキサン溶液 (重合体樹脂が溶解しない場合 はトルエン溶液) のゲル■パーミエーシヨン■クロマトグラフィ一で測定し たポリィソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量 M wで、 通常 5 , 000以上1, 000, 000以下、 好ましくは 8, 000以上 800, 000以下、 より好ましくは 1 0, 000以上 500, 000以下の範囲で あるときに、 成形体の機械的強度と成形加工性とがさらに高度にバランスさ
れて、 好適な場合が多い。
[0276] ( d ) ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、 たとえば、 ビニルシクロへキセン 、 ビニルシクロへキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体およ びその水素添加物;スチレン、 -メテルスチレンなどのビニル芳香族系単量 体の重合体の芳香環部分の水素添加物; などを用いることができる。 この場 合、 ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、 これらの単量 体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、 ブロック共重合体など の共重合体およびその水素添加物であってもよい。 ブロック共重合体として は、 ジブロック、 トリブロック、 またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブ ロック共重合体などが挙げられ、 特に制限はない。
[0277] 位相差フィルム Cとして使用されるビニル脂環式炭化水素重合体の分子量 は、 使用目的に応じて適宜選択されるが、 シクロへキサン溶液 (重合体樹脂 が溶解しない場合はトルエン溶液) のゲル■パーミエーシヨン■クロマトグ ラフ法で測定したポリィソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量 M wで、 通常 1 0, 0 0 0以上 8 0 0, 0 0 0以下、 好ましくは 1 5, 0 0 0以上 5 0 0, 0 0 0以下、 より好ましくは 2 0, 0 0 0以上 3 0 0, 0 0 0以下の範囲であるときに、 成形体の機械的強度と成形加工性とが高度にバ ランスされて好適な場合が多い。
[0278] 位相差フイルム Cには、 必要に応じて各種添加剤を配合してもよい。 添加 剤としては、 たとえば、 トリァセチルセルロースをはじめとする各種セル口 ース樹脂等の、 吸水率が 0 . 1 %を超える各種樹脂や、 またたとえば、 酸化 防止剤、 耐光安定剤、 紫外線吸収剤などの安定剤、 帯電防止剤などが挙げら れるが、 本件第三発明の目的を損なわない限り特に制限はない。
[0279] 酸化防止剤としては、 フエノール系酸化防止剤、 リン系酸化防止剤、 ィォ ゥ系酸化防止剤などが挙げられ、 これらの中でもフエノール系酸化防止剤、 特にアルキル置換フエノール系酸化防止剤が好ましい。 これらの酸化防止剤 を配合することにより、 透明性、 耐熱性等を低下させることなく、 酸化劣化
等による着色や強度低下を防止できる。
[0280] 紫外線吸収剤としては、 ベンゾフエノン系紫外線吸収剤、 ベンゾトリアゾ ール系紫外線吸収剤などが挙げられ、 これらの中でも、 2_ (2' _ヒドロキ シ一5' _メチル一フエニル) ベンゾトリアゾール、 2_ (2 H—ベンゾトリ ァゾール一 2 _ィル) _4_メチル_6_ (3, 4, 5, 6—亍トラヒドロ フタルイミディルメチル) フエノール、 2_ (2 H—ベンゾトリアゾール一 2_ィル) _4, 6_ビス ( 1 _メチル _ 1 _フエニルェチル) フエノール などが、 耐熱性、 低揮発性などの観点から好ましい。
[0281] 耐光安定剤としては、 ベンゾフエノン系耐光安定剤、 ベンゾトリアゾール 系耐光安定剤、 ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、 本件第 三発明においては、 透明性、 耐着色性等の観点から、 ヒンダードアミン系耐 光安定剤を用いるのが好ましい。
[0282] これらの酸化防止剤、 紫外線吸収剤、 耐光安定剤等は、 それぞれ単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができ、 その配合量は、 位相差 フイルム Cとしての機能を損なわない範囲で適宜選択される。
[0283] また、 以上のようにして得られた位相差フイルム Cを、 フイルムのガラス 転移温度 T gよりも低い温度、 たとえば T gより 1 0°C以上 30°C以下、 好 ましくは T gより 1 0°C以上 20°C以下低い温度で、 減圧下、 たとえば 1 P a以下で、 あるいは不活性ガス雰囲気、 たとえば窒素雰囲気下において加熱 処理することにより、 レターデーシヨンが安定し、 表示素子の視野角を長時 間安定して補償するのに好適なフイルムが得られる。
[0284] また、 位相差フィルム Cの材料として、 他に、 ポリカーボネートゃシクロ ォレフィンポリマー等が挙げられる。
[0285] 次に、 本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態においては、 偏光フィルム P 1 と偏光フィルム P 2との間に配 置する位相差フィルムとして、 上述した位相差フィルム Aおよび位相差フィ ルム Cを合計で 3枚以上用いる。 そして、 P 1または P 2に隣接して位相差 フィルム Cを配置し、 かつ、 2枚の位相差フィルム Aと液晶セル Lとを、 A
、 L、 Aの順に配置する。 これにより、 位相差フイルム Aまたは位相差フィ ル厶 Cとして、 比較的位相差の小さいフイルムを用いる場合であっても、 暗 状態での光漏れを低減して高いコントラストを得ることができる。 また、 斜 め視野での漏れ光を低減して、 広い視野角を確保することができる。
[0286] ここで、 国際公開第 0 3 0 3 2 0 6 0号パンフレットの構成をはじめと する従来の光学補正方法においては、 1枚の位相差フィルム Aに求められる 位相差が大きかったため、 位相差フィルム Aとして用いる材料に一定の制限 があり、 また、 積層体全体の厚さに制限があるため、 位相差フィルム Aを積 層体中に複数用いることはできなかった。
たとえば、 位相差フィルム A 1または位相差フィルム A 2の材料として、 ポリ (4 _メチルペンテン一 1 ) を含む (共) 重合体を用いる場合、 光弾性 が小さく、 逆波長分散性 (短波長ほど複屈折が小) を示し、 耐熱性が高く、 比較的安価で、 環境負荷も小さいなど、 位相差フイルム Aとして優れた特性 を有する一方、 たとえば 9 0 n mを越える比較的大きな位相差を得ようとす ると、 フイルムの厚みがたとえば 1 5 O m程度以上に増加する場合がある 。 このため、 背景技術の項で前述した国際公開第 0 3 0 3 2 0 6 0号パン フレツ卜の配置にこうした材料を用いようとすると、 積層体全体の厚さの増 加につながってしまう。
[0287] これに対し、 本実施形態では、 複数の位相差フイルム Aを用いる。 本件第 三発明の発明者の検討によれば、 液晶セル Lの両側に位相差フイルムを配置 するとともに、 2枚の位相差フイルム Aを用いて C、 A、 L、 A配置とする ことにより、 方位角に対する対称性を改善することが有効であることが見出 された。 この配置により、 良好な対称性を確保して、 積層体の視野角を拡大 することが可能となる。 なお、 C、 A、 L、 A配置は、 C、 A、 L、 Aが現 実に物理的に密着している場合には限定されず、 C— A間、 A— L間、 L _ A間に位相差を実質的に有さない層を介していてもよい。
[0288] ただし、 A、 C、 L、 A配置においては、 依然位相差フィルム Aは、 たと えば 9 0 n m程度の比較的大きな位相差を有する必要がある。
そこで、 本件第三発明の発明者がさらに検討したところ、 P 1または P 2 に隣接して位相差フイルム Cを配置し、 かつ、 2枚の位相差フイルム Aと液 晶セル Lとを、 A、 L、 Aの順に配置することにより、 1枚の位相差フィル ム Aの位相差が比較的小さい場合にも補正が可能となった。 この配置により 、 国際公開第 0 3 0 3 2 0 6 0号パンフレツ卜の場合には得られなかった 良好な対称性および視野角を拡大することが可能となる。
[0289] 以下、 偏光フィルム P 1または P 2に隣接して位相差フィルム Cを配置し 、 かつ、 2枚の位相差フィルム Aと液晶セルしとが、 A、 L、 Aの順に配置 することにより、 低い位相差の位相差フィルム Aでも高いコントラストと広 い視野角が得られる理由を、 位相差フィルム一 Aを使用する場合を例に、 ポ アンカレ球上の偏光状態の変化を用いて説明する。
図 7は、 赤道面に偏光状態を表すストークスべクトルを投影した図である
[0290] 図 7において、 第一の偏光フイルム P 1を通過した時の偏光状態は、 ポア ンカレ球赤道上の Tで表記される。 位相差フイルム一 Cを通過することによ り、 光は北極側の V点に移動し、 さらに第一の位相差フイルム一 A ( A 1 ) により Tを回転中心として回転角ひだけ右回転され R点まで移動する。 次に 液晶セル L ( + C位相差) により、 光は Q点まで南下する。 さらに第二の位 相差フイルム一 A ( A 2 ) により回転角ひだけ回転し、 A点と一致する。
[0291 ] このように、 V点の回転半径が大きい時に回転させることにより、 小さい 回転角度 (位相差) でも移動距離が大きくなるために、 小さい位相差の位相 差フィルム Aでも偏光状態を最終的に Tから A点へ移動させることが可能と なる。 A点は出射側偏光フィルムの吸収軸であるため、 すべの光は完全に吸 収され、 斜め視野角でも漏れ光を低減することが可能となる。
なお、 本実施形態の構成によるコントラストおよび視野角の向上について は、 後述する実施例において、 さらに具体的に示す。
[0292] 本実施形態では、 ポリ (4—メチルペンテン一 1 ) の (共) 重合体のよう に、 積層体を液晶表示素子の液晶パネルに用いる場合に好適な 5 0から 8 0
m程度の厚さの場合の位相差が、 たとえば 3 0から 5 0 n m程度と比較的 小さい場合であっても、 充分高いコントラストと広い視野角が得られる。 こ のため、 こうした材料を用いるのに好適な構成であり、 装置全体の薄型化と 装置特性の向上の両立が可能となる。
[0293] さらに、 本実施形態において、 位相差フィルム A 1および位相差フィルム A 2のうち、 少なくとも一枚は、 逆波長分散を示す構成とすることにより、 さらにカラーシフトを低減することが可能となる。 具体的には、 位相差フィ ルム A 1および位相差フィルム A 2のうち、 少なくとも一枚が上記式 (3 _ 4 ) および (3 _ 5 ) を満たす構成とすることにより、 より一層広い波長範 囲で視野角特性を改善することができる。
以下、 この点を説明する。
[0294] 一般に、 1 4 0 n m程度の位相差を有する位相差フィルムは広く使用され ている。 たとえば、 ポリカーボネート、 シクロォレフイン系の位相差フィル 厶などである。
ところが、 こうしたフイルムでは、 波長が短くなるほど位相差が増加する 、 いわゆる正の波長分散性を有している。 位相差を発現する機能は、 前述の 式
回転角度「= ( 2 π/ Α ) R e
で表現できる。 上記式より、 R eが波長によらず一定値もしくは正の波長分 散の場合、 回転角度「は波長により増加してしまう。
[0295] このため、 ある特定波長のみ視野角特性が改善されるにすぎない。 つまり 黒を表示している液晶素子を斜めから見た場合、 特定波長での透過率は低減 されその視野角は広がる。 しかしながら特定波長以外の透過率が上昇し光が 漏れてしまうため黒が着色して見えるという点で、 改善の余地があった。
[0296] この問題を解決するためには、 波長が短くなるほど位相差が小さくなるよ うないわゆる逆波長分散特性を有する位相差フィルムを使用するのが望まし し、。 こうした逆波長分散性を有するものとして、 上述のポリカーボネートを 用いた位相差フィルムなどが知られている。
しかしながら、 これらの材料では、 光弾性係数が大きく、 あるいは位相差 の絶対値が小さいため、 実用化しょうとしたときに、 適用範囲に制限があつ た。
[0297] また、 光弾性係数が小さい位相差フィルムとしては、 シクロォレフイン系 の位相差フィルムが知られているが、 逆波長分散特性が得られない点で、 改 善の余地があった。
[0298] これに対し、 本実施形態において、 上記式 (3_4) および式 (3_5) を示す構成とすることにより、 ほぼ可視光域の、 目が強く感じる光の範囲で 逆波長分散が得られるため、 ディスプレイ用に重要な波長のほぼ全域で有益 な位相差フィルムとなる。
[0299] また、 ディスプレイ用に重要な波長のほぼ全域 (たとえば、 450 nmか ら 650 nm) における偏光状態の変換がほぼ一定であり、 位相差フィルム としてより一層理想的な構成とする観点では、 位相差フイルム Aの波長 45 0 n mにおける面内の位相差 R e (450) 、 波長 550 n mにおける面内 の位相差 R e (550) および波長 650 nmにおける面内の位相差 R e ( 650) 力
R e (450) R e (550) <0. 82、 および
R e (650) R e (550) > 1. 1 2
の関係を満たす構成としてもよい。
[0300] 位相差フイルム Aの波長 450 n mにおける面内の位相差 R e (450) 、 波長 550 n mにおける面内の位相差 R e (550) および波長 650 η mにおける面内の位相差 R e (650) は、
0. 70≤R e (450) /R e (550) <0. 90
の関係を満たす構成としてもよい。 こうすれば、 位相差フィルム Aが短波長 側において過逆波長を示す構成とすることができる。 このため、 短波長側で のカラーシフトをさらに効果的に抑制できる。
[0301] さらに、 長波長側におけるカラーシフトをさらに効果的に抑制する観点で は、 位相差フィルム Aが長波長側で過逆波長を示す構成とすることが好まし
く、 具体的には、 位相差フイルム Aが、
1. 1 0く Re (650) /Re (550) く 1. 20
を満たす構成とすることができる。
[0302] また、 積層体 1 1 00において、 少なくとも 1枚の位相差フィルム Aの波 長 550 n mにおける面内の位相差 R e (550) の絶対値が、
1 0 n m≤ I R e (550) | ≤ 80 n m
の範囲内にあってもよい。 この場合、 位相差フィルム Aとして高価なフルォ レニル基含有ポリカーボネート等を使用する必要はなく、 比較的安価で、 安 定で、 取扱いも容易なポリ 4—メチルペンテン一 1またはその共重合体で、 位相差フィルム Aを構成することができる。
[0303] さらに、 積層体 1 1 00において、 少なくとも 1枚の位相差フィルム Aの 波長 550 n mにおける面内の位相差 R eの絶対値 (550) 力
1 5 n m≤ I R e (550) | ≤ 45 n m
の範囲内にあってもよい。
このような小さな位相差であれば、 ポリ 4—メチルペンテン一 1等の位相 差の小さい材料で位相差フイルム Aを構成し、 ポリ 4—メチルペンテン一 1 の延伸倍率をさらに低下させることができるため、 技術的にハードルの高い 、 高倍率でのポリ 4—メチルペンテン一 1の延伸を行う必要がない。 このた め、 位相差フイルム Aとして、 より製造の容易な材料を用いることができ、 積層体 1 1 00全体の製造効率を向上させることができる。
[0304] 以下の実施形態においては、 第一の実施形態と異なる点を中心に説明する 。 なお、 特に断りがない限り、 第一の実施形態についての好ましい態様は、 以降の実施形態においても好ましい態様として適用することができる。
[0305] (第二の実施形態)
本実施形態は、 第一の実施形態における積層体の変形例である。 図 5は、 本実施形態の積層体の概略構成を示す断面図である。 図 5に示した積層体 1 1 20の基本構成は、 図 4に示した装置 (第一の実 施形態) と同様であるが、 積層体 1 1 20においては、 位相差フィルムが 2
枚の位相差フイルム C (C 1、 C 2) を含み、 液晶セル L、 2枚の位相差フ イルム Cおよび 2枚の位相差フイルム A (A 1、 A 2) 力 C 1、 A 1、 L 、 A2、 C 2なる順番で配置されている。 なお、 この配置は、 C 1、 A 1、 L、 A2、 C 2が現実に物理的に密着している場合には限定されず、 C 1 _ A 1間、 A 1—L間、 L— A2間、 A 2 _ C 2間に位相差を実質的に有さな い層を介していてもよい。
[0306] この配置においても、 第一の実施形態と同様の作用効果が得られる。
さらに、 このときの偏光状態の変化を、 図 8を参照して説明する。
第一の偏光フィルム P 1を通過した時の偏光状態はポアンカレ球赤道上の Tで表記される。 位相差フィルム一 Cを通過することにより、 光は北極側の V 1点に移動し、 さらに第一の位相差フィルム A (A 1 ) により Tを回転中 心として回転角 1だけ右回転され R 1点まで移動する。 次に、 光は液晶セ ル L (+C位相差) により V 2の点まで南下する。 さらに第二の位相差フィ ル厶 A (A 2) により OAを回転中心として回転角ひ 2だけ回転させ R 2ま で回転する。 最後に第二の位相差フイルム C (C2) により A点と一致させ ることができる。
このように、 偏光状態の移動を、 赤道面をはさんで対称的な移動とするこ とにより、 より一層視野角特性をより向上させることが可能となる。
[0307] また、 積層体 1 1 20においては、 液晶セル Lの両側において、 液晶セル
Lから偏光フイルム Pに向かって、 位相差フイルムが、 位相差フイルム A、 位相差フイルム Cの順に配置されている。 このため、 図 4に示した積層体 1 1 00の場合に加えて、 さらに、 第一および第二の位相差フィルム Aでのポ アンカレ球上での回転半径がいずれも大きいため、 補正に必要な位相差フィ ルム Aの位相差をより一層小さくすることができる。 このため、 位相差フィ ルム Aの材料選択の自由度を向上させることができる。 また、 位相差フィル ム Aの膜厚をさらに低減できるため、 積層体全体の厚さを低減することがで さる。
[0308] また、 赤道を挟んで、 また点 Aおよび点 T間の中心をとおる経線に対して
対称性がよい軌跡移動となるため、 さらに高視野角でも漏れ光強度の低い優 れた特性が期待できる。
[0309] なお、 本実施形態において、 たとえば位相差フイルムのうち、 少なくとも 2枚の位相差フィルム Aが、 負の複屈折を有してもよい。 こうすれば、 暗状 態での漏れ光強度を大幅に低減化することができる。
[0310] また、 本実施形態においても、 位相差フィルム A 1および位相差フィルム A 2のうち、 少なくとも一枚が逆波長分散を示す構成とすることにより、 第 —の実施形態と同様に、 さらにカラーシフトを低減することが可能となる。
[031 1 ] (第三の実施形態)
本実施形態は、 以上の実施形態に記載の積層体を備える液晶表示素子に関 する。 以下、 第二の実施形態の積層体を用いる場合を例に説明する。
図 6は、 本実施形態における液晶表示素子の構成を示す図である。 図 6に 示した液晶表示素子は、 たとえば透過型の液晶表示素子であり、 積層体 1 1 0 0、 バックライ ト、 カラーフィルタ、 電圧印加手段 (不図示) 等を備える
[0312] 図 6に示した液晶表示素子は、 さらに具体的には、 ランプ、 拡散板、 プリ ズ厶シート、 輝度向上フイルム、 偏光フイルム、 位相差フイルム C、 位相差 フイルム A、 ガラス板、 配向膜、 液晶、 カラーフィルタ、 ガラス板、 位相差 フイルム A、 位相差フイルム C、 偏光フイルムおよびアンチグレア &無反射 層が、 下からこの順に積層された構成である。
[0313] 液晶セル Lは、 たとえば垂直配向 (Vert i ca l A l i gned : V A ) 型である。
このとき、 液晶セル L中の液晶層において、 電圧無印加時に、 液晶分子の長 軸が液晶セル Lの基板表面に対して実質的に垂直な方向に配向している。 た だし、 液晶セル Lは、 V A型には限られず、 たとえば、 I P S ( I n-P l ane Sw i tch i ng) 型などであってもよい。
液晶セル Lが V A型の場合、 V A液晶は位相差フィルム + Cと同等である ことから、 斜め視野角で発生する液晶の位相差を補正するため必ず少なくと も 1枚の位相差フィルムー Cを使用することになる。 前述の実施形態の積層体
の構成を V A型の液晶セル Lに適用すれば、 この位相差フイルム一 Cの機能 を有効に利用することが可能となり、 省力化することができるメリツ卜があ る。
[0314] バックライ トは、 積層体 1 1 0 0中の偏光フィルム P 1または偏光フィル ム P 2に対向して配置され、 光源 (ランプ) および導光板 (拡散板、 プリズ ムシート) を有する。
カラーフィルタは、 偏光フィルム P 1または偏光フィルム P 2と液晶セル
Lとの間に配置される。
電圧印加手段は、 積層体 1 1 0 0中の液晶セル Lを構成する基板に設けら れた電極に電圧を印加する。
[0315] なお、 図 6では、 図 5に示した積層体 1 1 0 0 (第二の実施形態) を備え る構成を例示したが、 本実施形態における液晶表示素子は、 図 4に示した積 層体 (第一の実施形態) を備える構成であってもよい。 また、 液晶表示素子 は、 透過型、 反射型、 半透過型のいずれであってもよい。
[0316] また、 本実施形態においても、 位相差フイルム Aのうち、 少なくとも一枚 が逆波長分散を示す構成とすることにより、 第一の実施形態と同様に、 さら にカラーシフトを低減することが可能となる。
[0317] 以上、 図面を参照して本件第三発明の実施形態について述べたが、 これら は本件第三発明の例示であり、 上記以外の様々な構成を採用することもでき る。
[0318] (本件第四発明)
本件第四発明は、 積層体、 位相差フィルムおよびこれを用いた液晶表示素 子に関する。
[0319] 液晶表示装置は、 液晶セル Lを、 2枚の偏光板 Pで挟む構成を基本として いる。 しかし、 液晶セル Lは独自の複屈折およびその角度依存性を有するた め、 コントラストの悪化、 視野角の低下等を生じ、 液晶表示装置の画像品質 の低下をもたらす。 そこで、 各種の位相差フィルムを使用し、 液晶セルしの 複屈折を補正することが行われている。
[0320] たとえば、 液晶セルを通過した光に、 偏光フイルムでのフィルタリングが できない円偏光成分が含まれ、 表示のコントラス卜が悪化する場合がある。 そこで、 液晶セルを通過した光を偏光フイルムに入射する前に、 位相差板を 通過させることで、 こうした円偏光成分を補正し、 液晶表示素子のコントラ ストを改善することが行われている。
以下、 従来の光補正方法を説明する。
[0321] はじめに、 本件第四発明における前提として、 正また負の複屈折について 定義する。
位相差フィルム Aに関しては、 n x力 位相差フィルムの面内における最 大屈折率であり、 n yが、 該位相差フィルムの面内における最大屈折率を示 す方向に直交する方位の屈折率であり、 n zが、 位相差フィルムの法線方向 の屈折率であるとしたとき、 位相差フィルム Aが下記式 (4一 1 ) を満たす ときは、 いわゆる + Aフイルムとして機能し正 (+ ) の複屈折を有すると定 義される。 また、 位相差フイルム A力 下記式 (4— 2) を満たすときは、 いわゆる一 Aフイルムとして機能し、 負 (一) の複屈折を有すると定義され る。
n x > n y ^ n z (4— 1 )
n z≥ n x > n y ( 4— 2 )
Aは、 + Aおよび一 Aの両方を含む意味とする。
[0322] また、 位相差フイルム Cに関しては、 フイルム膜厚方向の屈折率が面内屈 折率より大きいとき正の (+ ) 複屈折、 膜厚方向の屈折率が面内屈折率より 小さい場合負の (一) 複屈折を有すると定義し、 それぞれを位相差フィルム + Cおよび位相差フィルム一 Cと表記する。 位相差フィルム Cが +Cフィル ムとして機能するとき、 下記式 (4_8) を満たす。 また、 位相差フィルム Cが一 Cフィルムとして機能するとき、 下記式 (4— 3) を満たす。
n x≥ n y > n z (4— 3)
n z > n x≥ n y (4— 8)
Cは、 +Cおよび一 Cの両方を含む意味とする。
[0323] 以上の前提の下、 従来の補正方法としては、 液晶セル Lが垂直配向 (Verti cal Aligned : VA) 型である場合、 つまり液晶セル Lが + C型である場合を 例にとると、
( i ) クロス Aタイプの補正、
( i i ) ACタイプの補正、 および
( i i i ) A C Aタイプの補正
の 3種類が知られている。
[0324] このうち、 上記 ( i ) クロス Aタイプ補正は、 正の複屈折を有する位相差 フィルム + Aと負の複屈折を有する位相差フィルム一 Aを用いた補正であり 、 その具体的な配置は、 _A+ L— C + Aまたは L— C— A + A (ただし、 これらの配置において、 Lと一Cとは近接し順序は問わない。 また、 +Aと _ Aとの順序は問わない。 ) である。
[0325] 上記 ( i i ) ACタイプ補正の具体的な配置は、 _A_C+L、 L_C_ A、 L— C + A + Cまたは L— C + A (ただし、 これらの配置において、 L と一 Cとは近接し順序は問わない。 ) である。
( i i ) ACタイプ補正については、 国際公開第 03 032060号パ ンフレットに記載されている。 同文献は、 位相差フイルムを備える液晶表示 素子に関する技術である。 同文献には、 位相差フイルム Aおよび位相差フィ ル厶 Cを用い、 これらを A、 C、 L等の順に配置することが記載されている
[0326] また、 上記 ( i i i ) ACAタイプの補正では、 両側の位相差フイルム A の内側に液晶セル Lが配置され、 その具体的な配置は、 +A+L— C + Aお よび一A— C+L— A (ただし、 これらの配置において、 Lと一Cとは近接 し順序は問わない。 ) ならびに一 A— C+ L— C— Aおよび +A— C+ L— C + Aである。
[0327] これらの一例として、 上記 ( i ) の補正法について、 以下、 図 39を参照 してさらに詳細に説明する。
図 39においては、 バックライ ト側偏光子 P 1に隣接して負の複屈折を有
する位相差フイルム一 A (第一の位相差フイルム) A 1の光学軸がバックラ イ ト側偏光子 P 1の吸収軸 (図中の矢印方向) と直交して配置され、 さらに 隣接して位相差フイルム _ C、 液晶セル Lがこの順に配置されている。 さら に液晶セル Lに隣接して、 正の複屈折を有する位相差フィルム + A (第二の 位相差フィルム) A 2力 バックライ ト側偏光子 P 1の吸収軸と一致させて 配置されている。 パネル出射側偏光子 P 2については、 吸収軸がバックライ ト側偏光子 P 1の吸収軸と直交する配置となっている。
[0328] この方式での偏光状態の変化を、 ポアンカレ球表記 (図 4 0 ) を参照して 説明する。
図 4 0中の Tは、 バックライ ト側偏光子 P 1の透過偏光軸方位を示し、 A はパネル出射側偏光子 P 2の吸収軸方位を示す。 垂直入射時 0 = 0 ° もしく は方位角 0 = 9 0 ° の整数倍の時には、 Aと Tの方位が一致する。 このため 、 バックライ ト側偏光子 P 1を通過した光は、 すべてパネル出射側偏光子 P 2により吸収され、 光漏れは発生しない。
[0329] —方、 斜め視野角での状態を、 視野角 S = 6 0 ° 、 方位角 0 = 4 5 ° を例 にとリポアンカレ球表記した図 4 0を参照して説明する。
ここで、 バックライ ト側偏光子 P 1を通過した光の偏光状態は、 ポアンカ レ球上での Tに相当する直線偏光である。 バックライ ト側偏光子 P 1の透過 光は、 第一の位相差フイルム A 1を通過することにより、 回転中心軸 Aを中 心として 6 0 ° 反時計回りに回転し、 点 Mで表記される左回り楕円偏光とな つた後、 次に通過する位相差フイルム C ( - C ) により S 1軸を回転中心軸 として回転して V点に到達し、 右回り楕円偏光となる。 さらに次に通過する 液晶セル Lにより M点に戻る。 次に第二の位相差フィルム A 2を通過するこ とにより、 Tを回転中心軸として左周りに 6 0 ° 回転することにより最終的 に偏光状態が Aに帰着する。 この A点は、 パネル出射側偏光子 P 2の吸収軸 と一致しているため、 この偏光の光はすべて吸収されることになる。 これが 斜め視野でも光漏れを低減させることができる原理である。
[0330] 以上、 紹介した従来の補正方法のうち代表的なものの詳細は、 たとえば Den
g-Ke Yang、 Shin - Tson Wu、 「Fundamentals of Liquid Crystal Devicesj 、
John Wi ley & Sons Inc.、 2006、 p. 2 1 3 ~ 234に紹介されている。
[0331] ところが、 上述の補正方法においては、 位相差フイルムに求められる位相 差が比較的大きかった。 この点について、 図 4 1を参照して説明する。 図 4
1は、 図 40をさらにわかりやすいように、 ポアンカレ球面上の軌跡を赤道 上平面に投影した図である。
[0332] 図 4 1において、 点 A、 Tおよび Mを結んだ三角形は、 視野角によらず正 三角形となるため、 位相差フィルム Aによる回転角度は 60° となる。 この 角度に相当する位相差 R eはこの回転角度「に比例し、
回転角度「= (2 /Λ) R e
の関係を満たす。
したがって、 第一および第二の位相差フィルム Aに求められる位相差とし ては、 波長 550 n mで約 90 n mもの面内位相差となる。
[0333] 以上では、 いわゆる上記 ( i ) のクロス A補正タイプ (_A, +A) での 補正方法について説明したが、 前述の国際公開第 03 032060号パン フレットに記載の ( i i ) ACタイプの補正方法についてもこれに準じて説 明できる。 ただし、 ACタイプ補正法の場合には、 位相差フイルム Aに必要 な位相差は 1 40 n m前後とさらに大きな位相差が必要となる。
[0334] このように、 国際公開第 03 032060号パンフレットの配置の場合 、 位相差フイルム Aは、 たとえば 1 40 nm程度の大きな位相差を有する必 要があり、 位相差フイルム Aとして用いることができる材料の自由度の点で も、 改善の余地があった。 また、 同文献に記載の補正方法では、 方位角に対 する対象性が必ずしも充分でないため、 液晶表示装置の視野角を充分に確保 する点でも、 改善の余地があった。
[0335] 本件第四発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、 比較的小さい位相 差のフィルムを用いる場合であっても、 液晶パネルの暗状態での光漏れ低減 、 斜め視野での低漏れ光および広い視野角を確保する技術を提供するもので あ^ o
[0336] 本件第四発明によれば、 比較的小さい位相差のフイルムを用いる場合であ つても、 液晶パネルの暗状態での光漏れ低減、 斜め視野での低漏れ光および 広い視野角を確保することができる。
[0337] 以下、 本件第四発明の実施形態について図面を参照してさらに詳しく説明 する。 なお、 すべての図面において、 共通の構成要素には同じ符号を付し、 適宜説明を省略する。
[0338] (第一の実施形態)
図 2 4は、 本実施形態の積層体の概略構成を示す断面図である。 図 2 4に示した積層体 2 1 1 0は、 第一および第二の偏光フィルム (P 1 、 P 2 ) 、 偏光フィルム P 1 と偏光フィルム P 2との間に配置される液晶セ ルし、 および、 偏光フィルム P 1 と偏光フィルム P 2との間に配置される複 数の位相差フィルムを備える。 液晶セル Lは、 一対の基板と、 基板間に挟持 される液晶層とから構成されている。 本実施形態および以降の実施形態にお いて、 2枚の偏光フイルムの配置については、 たとえば偏光フイルム P 1を バックライ ト側偏光フイルムとし、 偏光フイルム P 2をパネル出射側偏光フ イルムとする。
[0339] 複数の位相差フイルムは、 複数の位相差フイルム A (位相差フイルム A 1 、 位相差フイルム A 2 ) と位相差フイルム Cとを含む。 なお、 図 2 4では、 2枚の位相差フィル厶 Aおよび 1枚の位相差フィル厶 Cを備える構成を例示 したが、 第二の実施形態以降で後述するように、 積層体は、 位相差フイルム Aまたは位相差フイルム Cをさらに含んでいてもよい。
[0340] 積層体 2 1 1 0においては、 位相差フィルム A 1、 位相差フィルム A 2、 位相差フィルム Cおよび液晶セル Lが、 L、 A 1、 C、 A 2なる順番で配置 されている。 なお、 この配置は、 L、 A 1、 C、 A 2の隣接部が現実に物理 的に密着している場合には限定されず、 Lと A 1 との間、 A 1 と Cとの間ま たは Cと A 2との間に位相差を実質的に有しない層を介していてもよい。 また、 図 2 4では、 P 1、 L、 A 1、 C、 A 2、 P 2の順に配置された例 を示したが、 P 1 と P 2とが逆に配置されてもよい。
[0341] 次に、 位相差フイルム Aおよび位相差フイルム Cの構成を説明する。 はじめに、 位相差フイルム Aについて説明する。
[0342] (位相差フイルム A )
複数の位相差フィルム A (位相差フィルム A 1および A 2) は、 それぞれ 独立に、 下記式 (4— 1 ) および (4— 2) のいずれかを満たす。
n x > n y ^ n z 、4— 1 )
n z≥ n x > n y (4— 2)
(上記式 (4— 1 ) および式 (4— 2) において、 n xは、 位相差フィルム の面内における最大屈折率であり、 n yは、 該位相差フィルムの面内におけ る最大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率であり、 n zは、 位相差フ イルムの法線方向の屈折率である。 )
ここで、 位相差フィルム Aが上記式 (4_ 1 ) を満たすときは、 いわゆる + Aフイルムとして機能し、 上記式 (4— 2) を満たすときは、 いわゆる一 Aフイルムとして機能する。
[0343] また、 位相差フイルム A 1または A 2力 特定の波長範囲で、 複屈折によ り生じる位相差が短波長ほど小さい性質 (逆波長分散) を有してもよい。 具 体的には、 位相差フイルム A 1または A 2の波長 450 nmにおける面内の 位相差 R e (450) 、 波長 550 n mにおける面内の位相差 R e (550 ) および波長 650 n mにおける面内の位相差 R e (650) 力
R e (450) R e (550) < 1 (4-4) 、 および
R e (650) R e (550) > 1 (4-5)
の関係を満たす構成とする。
[0344] なお、 本件第四発明において、 面内位相差 R eおよび後述する厚み方向位 相差 Kは、 それぞれ、 下記式により計算される。 下記式において、 n xは、 位相差フィルムの面内における最大屈折率であり、 n yは、 該位相差フィル ムの面内における最大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率であり、 n zは、 位相差フィルムの法線方向の屈折率である。 また、 dは位相差フィル ムの厚さである。
R e = S ( n x— n y ) X d
K = { n z - ( n x + n y ) / 2. \ X d
ここで、 Sは正負の複屈折を区別するためのサインであり、 _ Aの場合は一 (マイナス) を採用し、 + Aの場合は + (プラス) を採用する。
[0345] 次に、 位相差フィルム Aの材料の具体例を説明する。 なお、 位相差フィル ム A 1 と A 2の材料は、 同じであってもよいし、 異なっていてもよい。 位相差フィルム Aの材料は、 上記性質を示すものであれば特に制限はない 力 たとえば、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 お よび、 3—メチル一 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 (α ) が挙げられる。 位 相差フィルム Αの全部が (共) 重合体 ( ) で構成されていてもよいし、 位 相差フィルム Aの一部が上記 (共) 重合体 ( ) で構成されていてもよい。 また、 位相差フイルム A中の (共) 重合体 (ひ) の含有量は、 たとえば 2 0 重量%以上 1 0 0重量%以下、 好ましくは 5 0重量%以上 1 0 0重量%以下 である。
[0346] 位相差フイルム Aの材料として、 さらに具体的には、 3 _メチル _ 1—ブ テン、 3—メチル一 1—ペンテンまたは 4—メチル一 1—ペンテンの単独重 合体、 もしくはこれら相互の共重合体、 さらに他の共重合可能なモノマー、 たとえばスチレン、 アクリロニトリル、 塩化ビニル、 酢酸ビニル、 アクリル 酸エステル、 メタクリル酸エステルなどとの共重合体、 また別には上記のも の同志あるいは他の熱可塑性樹脂や合成ゴムとのプレンド物、 ブロック共重 合体、 グラフト共重合体などが例示できる。 (共) 重合体 (α ) の構成単位 中、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 または 3—メ チルー 1ーブテンに由来する構成単位は、 樹脂の透明性、 耐熱性等の各種特 性のバランスをさらに向上させる観点では、 合計で、 通常 2 0モル%以上 1 0 0モル0 /ο以下、 好ましくは 5 0モル0 /ο以上 1 0 0モル0 /ο以下、 さらに好ま しくは 8 0モル0 /ο以上 1 0 0モル0 /ο以下である。
[0347] (共) 重合体 ( ) の中でも、 4 _メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体は
、 透明性、 剥離性等に優れ、 光学素子と組み合わせて使用するのに好適であ るので、 好ましい。 また、 3_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体、 および
3_メチル _ 1—ブテン (共) 重合体は、 耐熱性に優れ、 プロセスの自由度 や、 使用条件の自由度等の観点から好ましい。 以下、 それぞれについてさら に具体的に説明する。
[0348] (4—メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体)
4_メチル_ 1 _ぺン亍ン (共) 重合体は、 具体的には、 4_メチル _ 1 —ペンテンの単独重合体もしくは 4—メチル一 1—ペンテンとエチレンまた は炭素原子数 3以上 20以下の他の 一ォレフィン、 たとえばプロピレン、 1—ブテン、 1—へキセン、 1—ォクテン、 1—デセン、 1—亍トラデセン 、 1一才クタデセン等との共重合体である。 本件第四発明において好ましく 用いられる 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体は、 通常、 4—メチル一 1—ペンテンに由来する構成単位を 85モル0 /0以上、 好ましくは 90モル0 /0 以上の量で含有する。 4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体を構成する、 4_メチル _ 1—ペンテン由来以外の構成成分には特に制限は無く、 4—メ チル一 1—ペンテンと共重合可能な各種のモノマーを適宜使用することがで きるが、 入手の容易さ、 共重合特性等の観点から、 エチレンまたは炭素数 3 以上 20以下のひ一ォレフィンを好ましく用いることができる。 中でも、 炭 素数 7以上 20以下のひ一ォレフィンが好ましく、 1—デセン、 1 _ドデセ ン、 1—テトラデセン、 1—へキサデセン、 および 1—ォクタデセンが特に 好ましい。
[0349] 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体の、 AS TM D 1 238に準じ 、 荷重 5 k g、 温度 260°Cの条件で測定したメルトフローレート (MFR ) は、 用途に応じ種々決定されるが、 通常、 1 gZ1 0分以上 50 gZ1 0 分以下、 好ましくは 2 gZ1 0分以上 40 gZ1 0分以下、 さらに好ましく は 5 g/Ί 0分以上 30 g/Ί 0分以下の範囲である。 4—メチル一 1—ぺ ンテン (共) 重合体のメルトフローレートが上記のような範囲内にあると、 フィルム成形性および得られるフィルムの外観が良好である。 また融点は 1
00°C以上 240°C以下、 好ましくは 1 50°C以上 240°C以下の範囲にあ るのが望ましい。
[0350] このような 4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体は、 従来公知の方法で 製造することができ、 たとえば特開昭 59— 20641 8号公報に記載され ているように、 触媒の存在下に 4—メチル一 1—ペンテンと上記のエチレン または 一ォレフィンを重合することにより得ることができる。
[0351] (3_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体)
3_メチル_ 1 _ぺン亍ン (共) 重合体の、 好ましいコモノマー種、 コモ ノマー含量、 MFR、 融点等は、 上記の 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重 合体の場合と同様である。 本件第四発明において好ましく用いられる 3 _メ チルー 1一ペンテン (共) 重合体は、 従来公知の方法により適宜製造するこ とが可能であり、 たとえば、 特開平 06_ 1 45248号公報記載の方法に より製造することができる。
[0352] (3_メチル_ 1 _ブテン (共) 重合体)
3_メチル_ 1 _ブテン (共) 重合体の、 好ましいコモノマー種、 コモノ マー含量、 MFR、 融点等は、 上記の 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合 体の場合と同様である。 本件第四発明において好ましく用いられる 3—メチ ルー 1ーブテン (共) 重合体は、 従来公知の方法により適宜製造することが 可能であり、 たとえば、 特開平 06_ 1 45248号公報記載の方法により 製造することができる。
[0353] ( (共) 重合体 (ひ) 以外に位相差フイルム Aを構成する成分)
位相差フィルム Aは、 上述の共重合体 ( ) 以外の各種の成分を含んでい てもよい。 共重合体 (α) 以外の成分は、 共重合体 (α) 以外の各種樹脂ま たは各種ゴムであってもよい。 各種樹脂としては、 特に透明性に優れた樹脂 が好ましく、 たとえば、 環状ォレフィン (共) 重合体等の各種ポリオレフィ ン、 ポリカーボネート、 ポリスチレン、 酢酸セルロース樹脂、 フッ素系樹脂 、 ポリエステル、 アクリル樹脂等を使用することができる。 各種ゴムとして は、 ォレフィン系ゴム、 スチレン系ゴム、 等を使用することができる。 また
、 本件第四発明において用いられる位相差フイルム Aには、 帯電防止剤、 酸 化防止剤、 耐熱安定剤、 剥離剤、 耐候安定剤、 防鲭剤、 スリップ剤、 核剤、 顔料、 染料、 無機充填剤 (シリカなど) などの通常ポリオレフインに添加し て使用される各種配合剤や、 それ以外の特殊な配合剤を、 本件第四発明の目 的を損なわない範囲で添加することができる。
[0354] (位相差フィルム Aの製造方法)
位相差フィルム Aは、 従来公知の方法によつて適宜作成することができる 力 たとえば (共) 重合体 ( ) とそれ以外の成分とを、 V—プレンダー、 リボンプレンダー、 ヘンシェルミキサー、 タンブラ一プレンダ一で混合する 方法、 あるいは前記プレンダ一で混合した後、 単軸押し出し機、 複軸押し出 し機、 ニーダー、 バンバリ一ミキサー等で溶融混鰊して造粒あるいは粉砕し 、 次いで、 プレス成形、 押出成形、 インフレーション成形などの方法、 また は溶液流延法などの公知の方法でフィル厶成形することができる。 効率よく 生産するには、 溶液流延法、 インフレーション成形法や押出成形法等が好ま しい。
[0355] また、 得られたフイルムを延伸することにより、 光学的には複屈折、 その 角度依存性、 その温度依存性等の物性を所望の値に調整することができ、 さ らに機械的強度を付与したフイルムとすることもできる。 延伸の倍率は、 所 望の光学的性質等により適宜選択すればよいが、 通常 1 . 5倍以上 1 0倍以 下、 好ましくは 2倍以上 5倍以下である。
[0356] 位相差フイルム Aの厚みに特に制限は無いが、 通常 1 0 ^ 以上2 0 0 m以下、 好ましくは 2 0〃 m以上 1 0 0〃m以下である。 このような範囲と することにより、 フィルムの生産性をさらに向上させることができる。 また 、 フィルム成形時のピンホールなどの発生を抑制し、 強度を向上させること ができる。
[0357] また、 位相差フィルム Aの材料として、 他に、 アベル (登録商標) 、 ゼォ ノア (登録商標) 等が挙げられる。
[0358] 本実施形態において、 さらに具体的には、 位相差フィルム Aが、 4 _メチ
ルー 1—ペンテン (共) 重合体を含んでなる層を有することが好ましい。 こ うすることにより、 たとえば位相差フイルム Aの耐熱性を向上させ、 製造コ ストを低下させ、 さらに、 環境負荷を低減することが可能となる。
[0359] 次に、 位相差フィルム Cについて説明する。
(位相差フィルム C)
位相差フィルム Cは、 下記式 (4_3) を満たす。
n x≥n y>n z (4— 3)
(上記式 (4_3) において、 n xは、 位相差フィルムの面内における最大 屈折率であり、 n yは、 該位相差フィルムの面内における最大屈折率を示す 方向に直交する方位の屈折率であり、 n zは、 位相差フィルムの法線方向の 屈折率である。 )
[0360] また、 本実施形態において、 少なくとも一枚の位相差フィルム Cの波長 4
50 nm、 550 n mおよび 650 n mにおける厚み方向位相差 K (450 ) 、 K (550) および K (650) 力 下記式 (4— 6) を満たす構成と する。
K (450) K (550) ≥ 1 (4-6)
[0361] 位相差フイルム Cは、 上記式 (4— 3) に示したように、 厚み方向にのみ 位相差を有し、 いわゆるマイナス Cプレートとして機能して、 液晶の視野角 を効果的に補正する。
また、 位相差フイルム Cは、 上記式 (4_6) を満たし、 通常の波長分散
、 つまり複屈折により生じる位相差が短波長ほど大きい性質を示す。
[0362] また、 位相差フィルム Cにおいては、 波長 450 nm、 550 nmおよび
650 n mにおける厚み方向位相差 K (450) 、 K (550) および K ( 650) 力 上記式 (4— 6) に加えて下記式 (4— 7) を満たす構成とし てもよい。 こうすれば、 より広い波長範囲で通常の波長分散を示す構造とす ることができるため、 より広い波長範囲で安定的な補正が可能となる。
K (650) K (550) ≤ 1 (4-7)
[0363] 次に、 位相差フィルム Cの材料の具体例を説明する。
位相差フイルム cの材料は、 上記性質を示すものであれば特に制限はない 力 たとえば、 国際公開第 0 6 0 3 3 4 1 4号パンフレツ卜に記載の材料 を用いることができる。
さらに具体的には、 位相差フィルム Cの材料として、 脂環式構造含有重合 体が挙げられる。 位相差フィルム Cの全部が当該脂環式構造含有重合体で構 成されていてもよいし、 当該フィルムの一部が当該脂環式構造含有重合体で 構成されていてもよい。
[0364] 脂環式構造含有重合体は、 重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有す るものであり、 主鎖および側鎖のいずれに脂環式構造を有していてもよい。 脂環式構造としては、 シクロアルカン構造、 シクロアルケン構造などが挙げ られるが、 熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。 脂環式構 造を構成する炭素原子数は、 格別制限されないが、 通常 4個以上 3 0個以下 、 好ましくは 5個以上 2 0個以下、 より好ましくは 5個以上 1 5個以下の範 囲であると、 耐熱性および柔軟性にさらに優れたフイルムが得られる。 脂環 式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、 使用目的 に応じて適宜選択されればよいが、 通常 2 0重量%以上、 好ましくは 4 0重 量%以上、 より好ましくは 6 0重量%以上である。 脂環式構造含有重合体中 の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少なすぎると耐熱性が低 下する懸念がある。 なお、 脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰 り返し単位以外の残部は、 格別限定されず、 使用目的に応じて適宜選択され る。
[0365] また、 脂環式構造含有重合体の含有量に特に制限はないが、 光学的な均質 性の観点等から、 通常、 5 0重量0 /0以上 1 0 0重量0 /0以下、 好ましくは 6 0 重量%以上 1 0 0重量%以下、 さらに好ましくは、 7 0重量%以上 1 0 0重 量%以下である。 また、 当該樹脂以外の成分には特に制限はないが、 たとえ ば、 耐衝撃性向上等の観点から、 ォレフィン系エラストマ一やスチレン系ェ ラストマーを添加することができる。 また、 後述するように、 それ以外の各 種添加剤を用いてもよい。
[0366] 脂環式構造を含有する重合体樹脂の具体例としては、 (a) ノルポルネン 系重合体、 (b) 単環の環状ォレフィン系重合体、 (c) 環状共役ジェン系 重合体、 (d) ビニル脂環式炭化水素重合体、 およびこれらの水素添加物な どが挙げられる。 これらの中でも、 寸法安定性、 酸素透過率、 透湿度、 耐熱 性、 機械強度等の観点から、 ノルボルネン系重合体、 ビニル脂環式炭化水素 重合体およびそれらの水素化物などが好ましい。
[0367] (a) ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体としては、 ノルボルネン系モノマーの開環重合体、 ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開 環共重合体、 およびそれらの水素添加物、 ノルボルネン系モノマーの付加重 合体、 ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの 付加共重合体などが挙げられる。
[0368] ノルポルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物、 および、 ノルポルネ ン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体 の水素添加物においては、 その水素添加率が 990/0以上であると、 透明性 ( とりわけ、 初期黄変度が低いこと) 、 安定性 (とりわけ、 長期的に黄変が発 生しにくいこと) 等に優れ、 ゲルの発生を抑制できる場合が多く、 好ましい
[0369] これらの中でも、 所望のレターデーシヨンが得やすい点から、 ノルポルネ ン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体が最 も好ましい。
[0370] ノルボルネン系モノマーとしては、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2 —ェン (慣用名 : ノルボルネン) 、 5_メチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 - ヘプト _2_ェン、 5, 5—ジメチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5_ェチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5_ ブチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _へキシル一ビシ クロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—ォクチル一ビシクロ 〔2. 2 . 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5—ォクタデシル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _
ヘプト _2_ェン、 5—ェチリデン一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2 —ェン、 5—メチリデン一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5 —ビニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—プロべニル一 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—メ トキシ一カルボニル一 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _シァノ一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _へプト_2_ェン、 5_メチル _5—メ トキシカルボニル一ビシ クロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5—メ トキシカルボニル一ビシク 口 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5 _エトキシカルボニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _へプト_2_ェン、 5_メチル _5_エトキシカルボニル —ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _ ヘプト _5_ェニル _2_メチルプロビオネイ ト、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 —ヘプト一 5_ェニル _2—メチルォクタネイ ト、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 —ヘプト _2—ェン _5, 6—ジカルボン酸無水物、 5—ヒドロキシメチル —ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5, 6—ジ (ヒドロキシメ チル) 一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 5—ヒドロキシ _ i —プロピル-ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 ビシクロ 〔2. 2 . 1〕 一ヘプト一 2 _ェン、 5, 6—ジカルボキシ一ビシクロ 〔2. 2. 1 〕 一ヘプト一 2_ェン、 ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2—ェン _5, 6—ジカルボン酸イミ ド、 5—シクロペンチル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 _ ヘプト _2_ェン、 5—シクロへキシル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2_ェン、 5—シクロへキセニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト _2 —ェン、 5_フエニル一ビシクロ 〔2. 2. 1〕 一ヘプト一 2_ェン、 トリ シクロ 〔4. 3. 12'5. 0"〕 一デカ一3, 7_ジェン (慣用名ジシクロペン タジェン) 、 トリシクロ 〔4. 3. 12'5. 01 6〕 一デ力一 3 _ェン、 トリシク 口 〔4. 4. 12'5. 01 6〕 一ゥンデカ一3, 7—ジェン、 トリシクロ 〔4. 4 -| 2,5 o1 6〕 一ゥンデカ一 3. 8—ジェン、 トリシクロ 〔4. 4. 125. 01 ,6〕 一ゥンデカ一 3—ェン、 亍トラシクロ 〔7. 4. 11°13. 01'9. 027〕 一ト リデカ _2, 4, 6 _ 1 1—亍トラェン ( 1, 4—メタノ _ 1, 4, 4 a ,
9 a—テトラヒドロフルオレンともいう :慣用名メタノテトラヒドロフルォ レン) 、 テトラシクロ 〔8, 4, 111'14, O1'10, 03'8〕 一テトラデカ _3, 5 , 7, 1 2 _ 1 1—テトラェン ( 1, 4—メタノ _ 1, 4, 4 a , 5, 1 0 , 1 0 a—へキサヒドロアントラセンともいう) 、 亍トラシクロ 〔4. 4. 1 2.5 17,10. 0〕 _ドデカ _3—ェン (亍トラシクロドデセンともいう) 、 8 _メチル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 _ドデカ _3—ェン 、 8_ェチル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 一ドデ力 _3—ェ ン、 8—メチリデン一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 1。, 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—ェチリデン一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 一ド デ力一 3_ェン、 8_ビニル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 - ドデ力一 3_ェン、 8_プロぺニル一亍トラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 一ドデ力一 3 _ェン、 8—メ トキシカルボニル一亍トラシクロ 〔4. 4
1 2,5 jo o〕 一ドデ力一 3_ェン、 8_メチル _8—メ トキシカルボ 二ルーテトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8_ ヒドロキシメチル一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 _ドデカ _3 —ェン、 8—カルボキシ一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17'10. 0〕 一ドデ 力一 3_ェン、 8—シクロペンチルーテトラシクロ 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8—シクロへキシル一テトラシクロ 〔4. 4. 12'5
1 7,io o〕 一ドデ力一 3 _ェン、 8—シクロへキセニルーテトラシクロ 〔 4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 一ドデ力一 3_ェン、 8_フエ二ルーテトラシク 口 〔4. 4. 12'5. 17 10. 0〕 一ドデ力一 3—ェン、 ペンタシクロ 〔6. 5
11.8. ·| 3,6 o2'7. 09'13〕 一ペンタデカ一3, 10—ジェン、 ペンタシクロ 〔7. 4. 13'6. 110'13. 01'9. 02'7〕 _ペンタデカ _4, 1 1 _ジェンなど が挙げられるが、 これらに限定されるものではない。 これらのノルボルネン 系モノマーは、 それぞれ単独であるいは 2種以上組み合わせて用いられる。 これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、 またはノルボルネン系モノ マーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、 モノ マー成分を、 開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。 開環重合
触媒としては、 たとえば、 ルテニウム、 ロジウム、 パラジウム、 オスミウム 、 イリジウム、 白金などの金属のハロゲン化物と、 硝酸塩またはァセチルァ セトン化合物、 および還元剤とからなる触媒、 あるいは、 チタン、 バナジゥ ム、 ジルコニウム、 タングステン、 モリブデンなどの金属のハロゲン化物ま たはァセチルアセトン化合物と、 有機アルミニウム化合物とからなる触媒を 用いることができる。 重合反応は溶媒中または無溶媒で、 通常、 _ 5 0 °Cか ら 1 0 0 °C程度の重合温度、 0から 5 0 k g Z c m2程度の重合圧力で行われ る。 ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては 、 たとえば、 シクロへキセン、 シクロヘプテン、 シクロォクテンなどの単環 の環状ォレフィン系単量体などを挙げることができるが、 これらに制限され ない。
[0372] ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物は、 通常、 上記開環重合 体の重合溶液に水素添加触媒を添加し、 炭素一炭素不飽和結合を水素添加す ることにより得ることができる。 水素化触媒としては、 特に限定されないが 、 通常、 不均一系触媒や均一系触媒が用いられる。
[0373] ノルポルネン系モノマー、 またはノルポルネン系モノマーとこれと共重合 可能なその他のモノマーとの付加 (共) 重合体は、 たとえば、 モノマー成分 を、 溶媒中または無溶媒で、 チタン、 ジルコニウムまたはバナジウム化合物 と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、 通常、 _ 5 0 °Cから 1 0 0 °C程度の重合温度、 0から 5 0 k g Z c m2程度の重合圧力で (共) 重 合させて得ることができる。
[0374] ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、 たと えば、 エチレン、 プロピレン、 1—ブテン、 1 _ペンテン、 1—へキセン、 3 _メチル _ 1—ブテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 3 _ェチル _ 1—ぺ ンテン、 4 _メチル _ 1 _ペンテン、 4 _メチル _ 1—へキセン、 4, 4 - ジメチル _ 1—へキセン、 4, 4—ジメチル一 1 _ペンテン、 4—ェチル一 1—へキセン、 3 _ェチル _ 1—へキセン、 1—ォクテン、 1—デセン、 1 —ドデセン、 1—亍トラデセン、 1 _へキサデセン、 1—ォクタデセン、 1
—エイコセンなどの炭素数 2以上 20以下のひ-ォレフィン; シクロブテン、 シクロペンテン、 シクロへキセン、 3, 4 _ジメチルシク 口ペンテン、 3—メチルシクロへキセン、 2_ (2—メチルプチル) _ 1 _ シクロへキセン、 シクロォクテン、 3 a, 5, 6, 7 a—亍トラヒドロ一 4 7—メタノ _ 1 H—インデンなどのシクロォレフイン;
1、 4 _へキサジェン、 4_メチル_ 1, 4 _へキサジェン、 5_メチル - 1 , 4 _へキサジェン、 1, 7—ォクタジェンなどの非共役ジェン; などが用いられるが、 これらに限定されない。 これらの中でも、 -ォレフィ ン、 特にエチレンが好ましい。
[0375] これらの、 ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、 それぞれ単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて使用することができる。 ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共 重合する場合は、 付加共重合体中のノルポルネン系モノマー由来の構造単位 と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、 重量比で通常 30 : 70から 99 : 1、 好ましくは 50 : 50から 97 : 3、 より好まし くは 70 : 30から 95 : 5の範囲となるように適宜選択される。
[0376] (b) 単環の環状ォレフィン系重合体
単環の環状ォレフィン系重合体としては、 たとえば、 シクロへキセン、 シ クロヘプテン、 シクロォクテンなどの単環の環状ォレフィン系単量体の付加 重合体を用いることができるが、 これらに限定されるものではない。
[0377] (c) 環状共役ジェン系重合体
環状共役ジェン系重合体としては、 たとえば、 シクロペンタジェン、 シク 口へキサジェンなどの環状共役ジェン系単量体を 1, 2_または1, 4_付 加重合した重合体およびその水素添加物などを用いることができるが、 これ らに限定されるものではない。
[0378] 位相差フィルム Cとして使用されるノルボルネン系重合体、 単環の環状ォ レフイン系重合体または環状共役ジェン系重合体の分子量は、 使用目的に応 じて適宜選択されるが、 シクロへキサン溶液 (重合体樹脂が溶解しない場合
はトルエン溶液) のゲル■パーミエーシヨン■クロマトグラフィ一で測定し たポリィソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量 M wで、 通常 5 , 000以上1, 000, 000以下、 好ましくは 8, 000以上 800, 000以下、 より好ましくは 1 0, 000以上 500, 000以下の範囲で あるときに、 成形体の機械的強度と成形加工性とがさらに高度にバランスさ れて、 好適な場合が多い。
[0379] (d) ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、 たとえば、 ビニルシクロへキセン 、 ビニルシクロへキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体およ びその水素添加物;スチレン、 -メテルスチレンなどのビニル芳香族系単量 体の重合体の芳香環部分の水素添加物; などを用いることができる。 この場 合、 ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、 これらの単量 体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、 ブロック共重合体など の共重合体およびその水素添加物であってもよい。 ブロック共重合体として は、 ジブロック、 トリブロック、 またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブ ロック共重合体などが挙げられ、 特に制限はない。
[0380] 位相差フイルム Cとして使用されるビニル脂環式炭化水素重合体の分子量 は、 使用目的に応じて適宜選択されるが、 シクロへキサン溶液 (重合体樹脂 が溶解しない場合はトルエン溶液) のゲル■パーミエーシヨン■クロマトグ ラフ法で測定したポリィソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量 Mwで、 通常 1 0, 000以上 800, 000以下、 好ましくは 1 5, 00 0以上 500, 000以下、 より好ましくは 20, 000以上 300, 00 0以下の範囲であるときに、 成形体の機械的強度と成形加工性とが高度にバ ランスされて好適な場合が多い。
[0381] 位相差フィルム Cには、 必要に応じて各種添加剤を配合してもよい。 添加 剤としては、 たとえば、 トリァセチルセルロースをはじめとする各種セル口 ース樹脂等の、 吸水率が 0. 1 %を超える各種樹脂や、 またたとえば、 酸化 防止剤、 耐光安定剤、 紫外線吸収剤などの安定剤、 帯電防止剤などが挙げら
れるが、 本件第四発明の目的を損なわない限り特に制限はない。
[0382] 酸化防止剤としては、 フエノール系酸化防止剤、 リン系酸化防止剤、 ィォ ゥ系酸化防止剤などが挙げられ、 これらの中でもフエノール系酸化防止剤、 特にアルキル置換フエノール系酸化防止剤が好ましい。 これらの酸化防止剤 を配合することにより、 透明性、 耐熱性等を低下させることなく、 酸化劣化 等による着色や強度低下を防止できる。
[0383] 紫外線吸収剤としては、 ベンゾフエノン系紫外線吸収剤、 ベンゾトリアゾ ール系紫外線吸収剤などが挙げられ、 これらの中でも、 2 _ ( 2 '—ヒドロキ シ一5 ' _メチル一フエニル) ベンゾトリアゾール、 2 _ ( 2 H—ベンゾトリ ァゾール一 2 _ィル) _ 4 _メチル_ 6 _ ( 3, 4, 5 , 6—亍トラヒドロ フタルイミディルメチル) フエノール、 2 _ ( 2 H—ベンゾトリアゾール一 2 _ィル) _ 4, 6 _ビス ( 1 _メチル _ 1 _フエニルェチル) フエノール などが、 耐熱性、 低揮発性などの観点から好ましい。
[0384] 耐光安定剤としては、 ベンゾフエノン系耐光安定剤、 ベンゾトリアゾール 系耐光安定剤、 ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、 本件第 四発明においては、 透明性、 耐着色性等の観点から、 ヒンダードアミン系耐 光安定剤を用いるのが好ましい。
[0385] これらの酸化防止剤、 紫外線吸収剤、 耐光安定剤等は、 それぞれ単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができ、 その配合量は、 位相差 フイルム Cとしての機能を損なわない範囲で適宜選択される。
[0386] また、 以上のようにして得られた位相差フイルム Cを、 フイルムのガラス 転移温度 T gよりも低い温度、 たとえば 1 0 °C以上 3 0 °C以下、 好ましくは 1 0 °C以上 2 0 °C以下低い温度で、 減圧下、 たとえば 1 P a以下で、 あるい は不活性ガス雰囲気、 たとえば窒素雰囲気下において加熱処理することによ り、 レターデーシヨンが安定し、 表示素子の視野角を長時間安定して補償す るのに好適なフィルムが得られる。
[0387] また、 位相差フィルム Cの材料として、 他に、 ポリカーボネートゃシクロ ォレフィンポリマー等が挙げられる。
[0388] 次に、 本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態においては、 偏光フイルム P 1 と偏光フイルム P 2との間に配 置する位相差フイルムとして、 複数の位相差フイルム A ( A 1、 A 2 ) と位 相差フィルム Cとを用いる。 そして、 これらの位相差フィルムおよび液晶セ ル Lを、 L、 A 1、 C、 A 2の順に配置する。 これにより、 位相差フィルム Aまたは位相差フィルム Cとして、 比較的位相差の小さいフィルムを用いる 場合であっても、 暗状態での光漏れを低減して高いコントラストを得ること ができる。 また、 斜め視野での漏れ光を低減して、 広い視野角を確保するこ とができる。
[0389] ここで、 国際公開第 0 3 0 3 2 0 6 0号パンフレットの構成をはじめと する従来の光学補正方法においては、 1枚の位相差フィルム Aに求められる 位相差が大きかったため、 位相差フィルム Aとして用いる材料に一定の制限 があり、 また、 積層体全体の厚さに制限があるため、 位相差フイルム Aを積 層体中に複数用いることはできなかった。
たとえば、 位相差フイルム A 1または位相差フイルム A 2の材料として、 ポリ (4 _メチルペンテン一 1 ) を含む (共) 重合体を用いる場合、 光弾性 が小さく、 逆波長分散性 (短波長ほど複屈折が小) を示し、 耐熱性が高く、 比較的安価で、 環境負荷も小さいなど、 位相差フイルム Aとして優れた特性 を有する一方、 たとえば 9 0 n mを越える比較的大きな位相差を得ようとす ると、 フイルムの厚みがたとえば 1 5 O m程度以上に増加する場合がある 。 このため、 背景技術の項で前述した国際公開第 0 3 0 3 2 0 6 0号パン フレツ卜の配置にこうした材料を用いようとすると、 積層体全体の厚さの增 加につながってしまう。
[0390] これに対し、 本件第四発明の発明者の検討によれば、 L、 A 1、 C、 A 2 の配置とすることにより、 方位角に対する対称性を改善することが有効であ ることが見出された。 この配置により、 良好な対称性を確保して、 積層体の 視野角を拡大することが可能となる。
[0391 ] 以下、 L、 A 1、 C、 A 2の配置とすることにより、 位相差の小さい位相
差フイルム Aを用いる場合にも、 高いコントラス卜と広い視野角が得られる 理由を、 位相差フイルム A 1および A 2としてネガティブタイプの位相差フ イルム (位相差フイルム一 A ) を用いた場合を例にとり説明する。 具体的に は、 本実施形態の配置による偏光状態の変化を、 図 2 5に示したポアンカレ 球赤道上投影図を参照して説明する。
[0392] 図 2 5において、 光が第一の偏光フィルム P 1を通過した時の偏光状態は 、 ポアンカレ球赤道上の Tで表記される。 液晶セル Lを通過する際に、 光の 偏光状態は南半球側の V点に移動し、 さらに位相差フィルム A 1を通過する ことにより点 Aを回転中心として回転角 1だけ左回転し、 R点まで移動す る。 次に、 位相差フィルム C ( - C ) により Qの点まで北上する。 さらに位 相差フィルム A 2を通過する際に、 光は Tを回転中心として回転角 2だけ 右回転する。 これにより、 出射光を A点と一致させることができる。 A点は 出射側偏光子 P 2の吸収軸方向であるため、 透過光を完全に吸収することが できる。
[0393] このように、 液晶セル Lを透過した後の位相差フイルムの配置を、 A、 C 、 Aと配置し、 V点の回転半径 V Aが大きい時に光を回転させることにより 、 小さい回転角度 (位相差) でも移動距離が大きくなるために、 小さい位相 差の位相差フイルム Aでも偏光状態を最終的に Tから A点へ移動させること が可能となる。 ポアンカレ球上の A点は、 出射側偏光フイルム P 2の吸収軸 上の点であるため、 A 2を透過した光は完全に吸収される。 これにより、 積 層体 2 1 1 0では、 斜め視野角でも漏れ光を低減することが可能となる。 よ つて、 黒が濃くなりコントラス卜が向上することができる。
なお、 本実施形態の構成によるコントラストおよび視野角の向上について は、 後述する実施例において、 さらに具体的に示す。
[0394] また、 積層体 2 1 1 0においては、 液晶セル Lから偏光フィルム P 2に向 かって、 位相差フィルムが、 位相差フィルム A、 位相差フィルム C、 位相差 フィルム Aの順に配置されている。 このため、 背景技術の項で前述した A C タィプの補正に比べて、 位相差フィルム A 2の導入により対称性が良くなる
ため、 高視野角での補正効果を改善し、 視野角特性を向上させることができ る。
[0395] 本実施形態では、 ポリ (4—メチルペンテン一 1 ) の (共) 重合体のよう に、 積層体を液晶表示素子の液晶パネルに用いる場合に好適な 5 0 mから S O U m程度の厚さの場合の位相差が、 たとえば 3 0 n m以下と比較的小さ い場合であっても、 充分高いコントラストと広い視野角が得られる。 このた め、 こうした材料を用いるのに好適な構成であり、 装置全体の薄型化と装置 特性の向上の両立が可能となる。
[0396] さらに、 本実施形態において、 位相差フィルム Aが逆波長分散を示す構成 とすることにより、 さらにカラーシフトを低減することが可能となる。 この とき、 具体的には、 位相差フィルム A 1および位相差フィルム A 2のうち、 少なくとも一枚が、 上記式 (4 _ 4 ) および (4 _ 5 ) を満たす構成とする 以下、 この点を説明する。
[0397] 一般に、 1 4 0 n m程度の位相差を有する位相差フイルムは広く使用され ている。 たとえば、 ポリカーボネート、 シクロォレフイン系の位相差フィル 厶などである。
ところが、 こうしたフイルムでは、 波長が短くなるほど位相差が増加する 、 いわゆる正の波長分散性を有している。 位相差を発現する機能は、 前述の 式
回転角度「= ( 2 π / Α ) R e
で表現できる。 上記式より、 R eが波長によらず一定値もしくは正の波長分 散の場合、 回転角度「は波長により増加してしまう。
[0398] このため、 ある特定波長のみ視野角特性が改善されるにすぎない。 つまり 黒を表示している液晶素子を斜めから見た場合、 特定波長での透過率は低減 されその視野角は広がる。 しかしながら特定波長以外の透過率が上昇し光が 漏れてしまうため黒が着色して見えるという点で、 改善の余地があった。
[0399] この問題を解決するためには、 波長が短くなるほど位相差が小さくなるよ
うないわゆる逆波長分散特性を有する位相差フイルムを使用するのが望まし し、。 こうした逆波長分散性を有するものとして、 上述のポリカーボネートを 用いた位相差フィル厶などが知られている。
しかしながら、 これらの材料では、 光弾性係数が大きく、 あるいは位相差 の絶対値が小さいため、 実用化しょうとしたときに、 適用範囲に制限があつ た。
[0400] また、 光弾性係数が小さい位相差フィルムとしては、 シクロォレフイン系 の位相差フィルムが知られているが、 逆波長分散特性が得られない点で、 改 善の余地があった。
[0401] これに対し、 本実施形態において、 位相差フィルム A 1または A 2が上記 式 (4_4) および式 (4_5) を示す構成とすることにより、 ほぼ可視光 域の、 目が強く感じる光の範囲で逆波長分散が得られるため、 ディスプレイ 用に重要な波長のほぼ全域で有益な位相差フイルムとなる。
[0402] また、 ディスプレイ用に重要な波長のほぼ全域 (たとえば、 400 nmか ら 700 nm) における偏光状態の変換がほぼ一定であり、 位相差フイルム としてより一層理想的な構成とする観点では、 位相差フイルム Aの波長 45 0 n mにおける面内の位相差 R e (450) 、 波長 550 n mにおける面内 の位相差 R e (550) および波長 650 nmにおける面内の位相差 R e ( 650) 力
R e (450) R e (550) <0. 82、 および
R e (650) R e (550) > 1. 1 2
の関係を満たす構成としてもよい。
[0403] 位相差フィルム A 1または A 2の波長 450 n mにおける面内の位相差 R e (450) 、 波長 550 n mにおける面内の位相差 R e (550) および 波長 650 n mにおける面内の位相差 R e (650) は、
0. 70≤R e (450) /R e (550) <0. 90
の関係を満たす構成としてもよい。 こうすれば、 位相差フィルム Aが短波長 側において過逆波長を示す構成とすることができる。 このため、 短波長側で
のカラーシフトをさらに効果的に抑制できる。
[0404] さらに、 長波長側におけるカラーシフトをさらに効果的に抑制する観点で は、 位相差フィル厶 Aが長波長側で過逆波長を示す構成とすることが好まし く、 具体的には、 位相差フィルム Aが、
1. 05く Re (650) /Re (550) く 1. 20
を満たす構成とすることができる。
[0405] また、 積層体 21 1 0において、 位相差フィルム A 1または A 2の波長 5 50 n mにおける面内の位相差 R e (550) の絶対値が、
1 0 n m≤ I R e (550) | ≤ 80 n m
の範囲内にあってもよい。 この場合、 位相差フィルム Aとして高価なフルォ レニル基含有ポリカーボネート等を使用する必要はなく、 比較的安価で、 安 定で、 取扱いも容易なポリ 4—メチルペンテン一 1またはその共重合体で、 位相差フイルム Aを構成することができる。
[0406] さらに、 積層体 21 1 0において、 位相差フイルム A 1または A 2の波長
550 n mにおける面内の位相差 R eの絶対値 (550) 力
1 5 n m≤ I R e (550) | ≤ 45 n m
の範囲内にあってもよい。 このような小さな位相差であれば、 ポリ 4—メチ ルペンテン一 1等の位相差の小さい材料で位相差フイルム Aを構成し、 ポリ 4—メチルペンテン一 1の延伸倍率をさらに低下させることができるため、 技術的にハードルの高い、 高倍率でのポリ 4—メチルペンテン一 1の延伸を 行う必要がない。 このため、 位相差フイルム Aとして、 より製造の容易な材 料を用いることができ、 積層体 21 1 0全体の製造効率を向上させることが できる。
[0407] また、 本実施形態において、 位相差フィルム A 1および A 2力 いずれも 、 負の複屈折を有してもよい。 こうすれば、 暗状態での漏れ光強度を大幅に 低減することができる。
[0408] 以下の実施形態においては、 第一の実施形態と異なる点を中心に説明する 。 なお、 特に断りがない限り、 第一の実施形態についての好ましい態様は、
以降の実施形態においても好ましい態様として適用することができる。
[0409] (第二の実施形態)
本実施形態は、 第一の実施形態における積層体の変形例である。 図 26は、 本実施形態の積層体の概略構成を示す断面図である。 図 26に示した積層体 21 20の基本構成は、 図 24に示した積層体 (第
—の実施形態) と同様であるが、 位相差フィルム Cとして、 上記式 (4_3
) を満たす位相差フィルム C 1に加えて、 下記式 (4一 8) を満たす位相差 フィルム C 2をさらに含む。
n z>n x≥n y (4— 8)
位相差フィルム C 2は、 +Cタイプの位相差フィルムとして機能する。 位相 差フィルム C 1 としては、 第一の実施形態において位相差フィルム Cとして 前述したものを用いることができる。
また、 位相差フイルム C 2の材料としては、 たとえば液晶セル Lと同じ位 相差を有するガラス基板中に液晶を垂直配向した V A配向液晶が挙げられる
[0410] 積層体 21 20は、 2枚の位相差フイルム C (C 1、 C 2) および 2枚の 位相差フイルム A (A 1、 A 2) を含み、 液晶セル L、 位相差フイルム A 1 および A 2および位相差フイルム C 1および C 2力 L、 A 1、 C 1、 A 2 、 C 2なる順番で配置されている。 なお、 この配置は、 L、 A 1、 C 1、 A 2、 C 2の隣接部が現実に物理的に密着している場合には限定されず、 Lと A 1 との間、 A 1 と C 1 との間、 C 1 と A 2との間、 および A 2と C 2との 間に、 位相差を実質的に有さない層を介していてもよい。
なお、 図 26では、 P 1、 L、 A 1、 C、 A 2、 C2、 P 2の順に配置さ れた例を示したが、 P 1 と P 2とが逆に配置されてもよい。
[0411] この配置においても、 第一の実施形態と同様の作用効果が得られる。
図 27は、 積層体 21 20における偏光状態の変化を説明する図である。 図 27は、 視野角 0 = 60° 、 方位角 0 = 45° を例にとったポアンカレ球 を示す図である。
図 2 7において、 第一の偏光フイルム P 1を通過した時の偏光状態は、 ポ アンカレ球赤道上の Tで表記される。 液晶セル Lを通過することにより、 光 は南半球側の V 1点に移動し、 さらに位相差フイルム A 1により O Aを回転 中心として回転角 1だけ左回転し、 R 1点まで移動する。 次に、 光は位相 差フィルム C 1 ( - C ) により、 光は R 1 と赤道をはさんで北半球側に位置 する対称点 V 2まで北上する。 さらに、 位相差フィルム A 2により、 光は O Tを回転中心として回転角 2だけ回転し、 R 2まで右回転する。 最後に、 位相差フィルム C 2 ( + C ) により、 光は赤道まで南下し、 偏光フィルム P 2の吸収方向である A点と一致する。
このように、 偏光状態の移動を、 赤道面をはさんで対称的な移動とするこ とにより、 視野角が大きい場合でもより一層視野角特性をより向上させるこ とが可能となる。
[0412] また、 積層体 2 1 2 0においては、 液晶セル Lから偏光フイルム Pに向か つて、 位相差フイルムが、 位相差フイルム A、 位相差フイルム C、 位相差フ イルム A、 位相差フイルム Cの順に配置されている。 このため、 図 2 4に示 した積層体 2 1 1 0の場合に加えて、 さらに、 位相差フイルム A 1および A 2でのポアンカレ球上での回転半径 (点 A _点 V 1および点 T _点 V 2 ) が いずれも大きいため、 補正に必要な位相差フイルム Αの位相差をより一層小 さくすることができる。 このため、 位相差フイルム Aの材料選択の自由度を 向上させることができる。 また、 位相差フイルム Aの膜厚をさらに低減でき るため、 積層体全体の厚さを低減することができる。
[0413] このように、 積層体 2 1 2 0においては、 偏光状態の軌跡がポアンカレ球 上で赤道を挟んで高い対称性を示し、 また点 A _点 T間の中心を通る経線に 対しても対称性がよい軌跡移動となるため、 さらに高視野角でも漏れ光強度 の低い優れた特性が期待できる。
[0414] なお、 本実施形態において、 たとえば位相差フィルムのうち、 位相差フィ ルム A 1および位相差フィルム A 2力 いずれも負の複屈折を有してもよい 。 こうすれば、 暗状態での漏れ光強度を大幅に低減化することができる。
[0415] また、 本実施形態においても、 位相差フイルム A 1および位相差フイルム A 2のうち、 少なくとも一枚が逆波長分散を示す構成とすることにより、 第 —の実施形態と同様に、 さらにカラーシフトを低減することが可能となる。
[041 6] (第三の実施形態)
本実施形態は、 以上の実施形態に記載の積層体を備える液晶表示素子に関 する。 以下、 第二の実施形態の積層体を用いる場合を例に説明する。
図 2 8は、 本実施形態における液晶表示素子の構成を示す図である。 図 2 8に示した液晶表示素子は、 たとえば透過型の液晶表示素子であり、 積層体 2 1 2 0、 バックライ ト、 カラーフィルタ、 電圧印加手段 (不図示) 等を備 える。
[0417] 図 2 8に示した液晶表示素子は、 さらに具体的には、 ランプ、 拡散板、 プ リズムシート、 輝度向上フィルム、 偏光フィルム、 ガラス板、 配向膜、 液晶 、 カラーフィルタ、 ガラス板、 位相差フイルム A、 位相差フイルム C、 位相 差フイルム A、 位相差フイルム C、 偏光フイルムおよびアンチグレア &無反 射層が、 下からこの順に積層された構成である。 液晶、 位相差フイルム A、 位相差フイルム C、 位相差フイルム Aおよび位相差フイルム Cにより、 積層 体 2 1 2 0が構成されている。
[0418] 液晶セル Lは、 たとえば垂直配向 (Vert i ca l A l i gned : V A ) 型である。
このとき、 液晶セル L中の液晶層において、 電圧無印加時に、 液晶分子の長 軸が液晶セル Lの基板表面に対して実質的に垂直な方向に配向している。 た だし、 液晶セル Lは、 V A型には限られず、 たとえば、 I P S ( I n-P l ane Sw i tch i ng) 型などであってもよい。
液晶セル Lが V A型の場合、 V A液晶は位相差フィルム + Cと同等である ことから、 斜め視野角で発生する液晶の位相差を補正するため必ず少なくと も 1枚の位相差フィルムー Cを使用することになる。 前述の実施形態の積層体 構成を V A型の液晶セル Lに適用すれば、 この位相差フィルム _ Cの機能を 有効に利用することが可能となり、 省力化することができるメリツ卜がある
[0419] バックライ トは、 積層体 21 20中の偏光フイルム P 1または偏光フィル 厶 P 2に対向して配置され、 光源 (ランプ) および導光板 (拡散板、 プリズ 厶シート) を有する。
カラーフィルタは、 偏光フィルム P 1または偏光フィルム P 2と液晶セル
Lとの間に配置される。
電圧印加手段は、 積層体 21 20中の液晶セル Lを構成する基板に設けら れた電極に電圧を印加する。
[0420] なお、 図 28では、 図 26に示した積層体 21 20 (第二の実施形態) を 備える構成を例示したが、 本実施形態における液晶表示素子は、 図 24に示 した積層体 21 1 0 (第一の実施形態) を備える構成であってもよい。 また
、 液晶表示素子は、 透過型、 反射型、 半透過型のいずれであってもよい。
[0421] また、 本実施形態においても、 位相差フィルム Aのうち、 少なくとも一枚 が逆波長分散を示す構成とすることにより、 以上の実施形態と同様に、 さら にカラーシフトを低減することが可能となる。
[0422] 以上、 図面を参照して本件第四発明の実施形態について述べたが、 これら は本件第四発明の例示であり、 上記以外の様々な構成を採用することもでき る。
[0423] 本発明は、 以下の態様とすることもできる。
(1— 1 ) 4_メチル _ 1 _ペンテン、 3 _メチル _ 1 _ペンテン、 および
、 3 _メチル _ 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを (共 ) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 (ひ) からなるフイルム (a ) を用いる、 光学素子 (B) の複屈折の波長依存性を補正する方法; (1 -2) 上記光学素子 (B) が光透過性のフィルム (b 1 ) である、 上記 (1 - 1 ) に記載の、 複屈折の波長依存性を補正する方法;
(1 -3) 上記 (共) 重合体 (α) からなるフィルム (a) と上記光透過性 のフィルム (b 1 ) とが、 直接、 または接着層を介して積層されている、 上 記 (1 _2) に記載の、 複屈折の波長依存性を補正する方法;
(1 -4) 上記光透過性のフィルム (b 1 ) が偏光板保護膜である、 上記 (
1 -2) または (1 _3) に記載の、 複屈折の波長依存性を補正する方法; (1 -5) 上記光透過性のフイルム (b 1 ) が位相差板である、 上記 (1 _
2) または (1 _3) に記載の、 複屈折の波長依存性を補正する方法; ( 1 -6) 上記光透過性のフィルム (b 1 ) が光学補償フィルムである、 上 記 (1 _2) または (1 _3) に記載の、 複屈折の波長依存性を補正する方 法;
( 1 -7) 上記光学素子 (B) が液晶パネル (b 2) である、 上記 (1 _ 1 ) に記載の、 複屈折の波長依存性を補正する方法;
( 1 -8) 上記 (共) 重合体 ( ) からなるフィルム (a) と上記液晶パネ ル (b 2) とが、 直接、 または接着層を介して積層されている、 上記 (1 _ 7) に記載の、 複屈折の波長依存性を補正する方法;
( 1 -9) 上記 (1 _ 1 ) から (1 —8) のいずれか 1項に記載の、 複屈折 の波長依存性を補正する方法を用いる、 表示装置;
( 1 - 1 0) 4—メチル一 1—ペンテン、 3—メチル一 1—ペンテン、 およ び、 3 _メチル _ 1—ブテンから選ばれる少なくとも 1種のォレフィンを ( 共) 重合成分として用いて得られた (共) 重合体 (ひ) からなるフイルム ( a) を少なくとも 1層有する光学素子;
(1 - 1 1 ) 位相差板である、 上記 ( 1 _ 1 0) に記載の光学素子。
( 1 _ 1 2) 上記 (1 _ 1 1 ) の位相差板と、 偏光板とからなる、 楕円偏光 板または円偏光板;
(1 - 1 3) さらに粘着性樹脂層を有する、 上記 (1 _ 1 2) に記載の楕円 偏光板または円偏光板;
( 1 - 1 4) 反射防止フィルム、 透明導電性基板、 拡散シート、 集光シート 、 光学補償フィルム、 または偏光板である、 上記 (1 — 1 0) に記載の光学 素子; ならびに
( 1 - 1 5) 上記 (1 — 1 0) 、 ( 1 — 1 1 ) および (1 — 1 4) のいずれ か 1項に記載の光学素子を有する表示装置。
(2- 1 ) 4_メチル _ 1 _ペンテンと、 前記 4_メチル _ 1—ペンテン以
外の炭素数 1 0以上 1 4以下のひ一ォレフィンとの共重合体であって、 当該 共重合体全体に対する前記ひ一才レフインより導かれる構成単位の占める割 合が 1モル%以上 9モル%以下である、 共重合体。
(2-2) (2- 1 ) に記載の共重合体を含んでなるフイルム。
(2-3) (2-2) に記載のフイルムにおいて、 当該フイルムが、 溶融押 し出し成形法によって形成された後延伸配向させることによって得られる、 フィルム。
(2-4) (2-2) または (2— 3) に記載のフィルムにおいて、 光学用 途に用いられる、 フィルム。
(2-5) (2— 2) から (2— 4) のいずれか 1項に記載のフィルムにお いて、 当該フィルムが、 位相差板である、 フィルム。
(2-6) (2-5) に記載のフィルムにおいて、 前記位相差板の厚さ 50 mあたりの波長 590 nmにおける位相差 R5Q (590) が、 以下の条件を 満足する、 フィルム。
R50 (590) ≤- 22 n m
(2-7) (2-5) または (2— 6) に記載のフイルムにおいて、 前記位 相差板が、 以下の特性を満足する位相差フイルムである、 フイルム。
R (450) R (590) ≤ 0. 9
(上記式中、 R (450) および R (590) は、 それぞれ、 波長 450 n mおよび 590 nmにおける前記位相差フイルムの位相差を表す。 )
(2-8) (2— 2) から (2— 5) のいずれか 1項に記載のフイルムにお いて、 当該フイルムが、 偏光保護膜または光学補償フイルムである、 フィル 厶。
[0425] 以下、 実施例および比較例を参照しながら、 本発明をより具体的に説明す る。 なお、 本発明はいかなる意味においても、 以下に示す実施例に限定され るものではない。
[0426] 以下の実施例 A 1から A 3、 比較例 A 1および A 2においては、 フイルム
の位相差は、 大塚電子社製測定装置 RE T S— 1 00を用いて測定した。 同装置では、 偏光光学系を用いて、 サンプル通過後の偏光解析を行うことで 、 サンプルの位相差 (傾斜角 0° 時の位相差) を求めている。
[0427] (4_メチル _ 1—ペンテン共重合体からなる; 1 4板の作製)
4—メチル一 1—ペンテンを用いて得られた共重合体である三井化学社製 T P X樹脂 (銘柄: MX 020、 M F R : 23〜30 gZ1 0m i n、 屈折 率: 1. 463、 融点: 230°C) を用いて、 一軸押出機 (径 4 Omm) に て、 シリンダ温度 300°Cの条件で溶融押出し成形を行い、 膜厚 640〃 m のフィルムを作製した。 このフィルムについて面内の位相差の波長依存性を 測定した結果を、 波長 550 nmにおける位相差 R e (550) を 1 として 規格化し、 図 3に示す。
[0428] 図 3より、
R (450) R (590) =0. 85
であった。
[0429] 続いてこのフイルムを延伸機にて、 フイルムの幅方向 (T D方向) に 2倍 延伸することで、 膜厚が 320 mの一軸延伸フイルムを作製した。 この際 に得られた一軸延伸フイルムの波長 589 nmにおける面内の位相差が;
4 (589 nm/4= 1 47 n m) となるように、 延伸温度を調節したとこ ろ、 延伸温度 1 80°Cにて位相差 1 48 n mを得た。
このフイルムの各波長における位相差を表 1に示す。
[0430] また、 このフイルムの位相差は、 以下の通りであった。
波長 550 nmにおける面内の位相差: | R55Q | = 1 32 nm
R (450) R (590) =0. 6
(R (450) および R (590) は、 それぞれ、 波長 450 nmおよび 5 90 n mにおける面内の位相差である。 )
波長 590 nmにおける厚さ 5 OjUmあたりの面内の位相差: | R5Q (590 ) | = 23 n m
[0431] (環状ポリオレフインからなる; I 4板の作製)
環状ポリオレフインである三井化学社製アベル樹脂 (銘柄: 8008丁、 M F R : 1 5 gZ1 0m i n、 屈折率: 1. 54、 T g : 70°C) を用いて 、 一軸押出機 (径 4 Omm) にて、 シリンダ温度 260°Cの条件で溶融押出 し成形を行い、 膜厚 1 5 OjUmのフィルムを作製した。
[0432] 続いてこのフィルムを延伸機にて、 フィルムの幅方向 (T D方向) に 3倍 延伸することで、 膜厚が 5 Ojumの一軸延伸フィルムを作製した。 この際に 得られた一軸延伸フィルムの波長 589 nmにおける面内の位相差が; 1 4 (589 nmX4= 1 47 n m) となるように、 延伸温度を調節したところ 、 延伸温度 80°Cにて位相差 1 48 nmを得た。 このフィルムの各波長にお ける位相差を表 1に示す。
[0433] (実施例 A 1 )
偏光板を 2枚用意し、 透過軸が直角となるように重ねた。 次に、 4—メチ ル一 1—ペンテン共重合体からなる; LZ4板 1枚と環状ポリオレフインから なる; L 4板 1枚をそれぞれ遅相軸が平行となるように重ねてス 2板を構 成し、 続いてこれらを偏光板の透過軸に対して遅相軸が 45° となるように 偏光板の間に挿入した。 これらを平面光源に乗せて透過光を観察したところ 、 白色であった。 本実施例にて使用した; LZ2板の各波長における位相差を 表 1に示す。
[0434] (比較例 A 1 )
実施例 A 1の 4_メチル _ 1 _ペンテン (共) 重合体からなる; LZ4板の かわりに、 環状ポリオレフインからなる; 4板を挿入した。 同様に透過光 を観察したところ、 淡い黄色であった。 本比較例にて使用した; 1 2板の各 波長における位相差を表 1に示す。
[0435] (比較例 A 2)
実施例 A 1の 4_メチル _ 1—ペンテン (共) 重合体からなる; 1 4板の かわりに、 ポリカーボネートからなる; 1 4板 (帝人化成社製、 ピュアエー ス 品種 T— 1 38) を挿入した。 同様に透過光を観察したところ、 淡い黄 緑色であった。 本比較例にて使用した; 1 2板の各波長における位相差を表
1に示す。
[表 1] 表 1
(実施例 A 2)
4—メチル一 1—ペンテンのホモポリマー (MFR : 40〜50 gZ1 0 m i n、 屈折率: 1. 463、 融点: 238°C) を用いて、 一軸押出機 (径 2 Omm) にて、 シリンダ温度 300°Cの条件で溶融押出し成形を行い、 膜 厚 1 84 mのフイルムを作製した。
続いてこのフイルムを延伸機にて、 フイルムの流れ方向 (MD方向) に延 伸温度 220°Cで 6倍延伸することで、 膜厚が 31 mの一軸延伸フイルム を作製した。
このフィルムの各波長における位相差の絶対値を図 42に示す。 なお、 図 中 「位相差」 とあるのは、 位相差の絶対値を意味する。
また、 このフイルムの位相差は、 以下の通りであった。
波長 550 n mにおける面内の位相差の絶対値: | R55() | = 1 6 nm
R (450) R (590) =0. 69
(R (450) および R (590) は、 それぞれ、 波長 450 nmおよび 5 90 nmにおける面内の位相差である。 )
波長 590 nmにおける厚さ 5 OjUmあたりの面内の位相差の絶対値: | R50 (590) | = 27 n m
長波長ほど複屈折により生ずる位相差の絶対値が大きく、 光学素子の複屈 折の波長依存性を補正するのに適したフィルムである。
(実施例 A 3)
4—メチル一 1—ペンテンのホモポリマー (M F R : 40〜50 gZ1 0 m i n、 屈折率: 1. 463、 融点: 238°C) を用いて、 一軸押出機 (径 2 Omm) にて、 シリンダ温度 300°Cの条件で溶融押出し成形を行い、 膜 厚 1 84 mのフィルムを作製した。
続いてこのフイルムを延伸機にて、 フイルムの流れ方向 (MD方向) に延 伸温度 1 60°Cで 5倍延伸することで、 膜厚が 35 mの一軸延伸フイルム を作製した。
このフイルムの各波長における位相差の絶対値を図 43に示す。 なお、 図 中 「位相差」 とあるのは、 位相差の絶対値を意味する。
また、 このフイルムの位相差は、 以下の通りであった。
波長 550 n mにおける面内の位相差の絶対値: | R55Q | = 1 7 n m
R (450) R (590) =0. 74
(R (450) および R (590) は、 それぞれ、 波長 450 nmおよび 5 90 n mにおける面内の位相差である。 )
波長 590 nmにおける厚さ 5 OjUmあたりの面内の位相差の絶対値: | R50 (590) | = 26 n m
長波長ほど複屈折により生ずる位相差の絶対値が大きく、 光学素子の複屈 折の波長依存性を補正するのに適したフィルムである。
以下の実施例および参照例において、 得られたフィルムの諸特性は、 以下 の方法で測定した。
共重合体の組成:
4—メチル一 1—ペンテン、 ひ一ォレフィン含量の定量化は、 V a r i a n社製 「Me r c u r y_400型」 核磁気共鳴装置を用い、 下記条件で測 定することにより行った。
溶媒:重ベンセン オルトジクロロベンゼン混合溶媒
サンプル濃度: 50〜1 00 gZ I _s o l v e n t
パルス繰り返し時間: 5. 5秒
積算回数: 6000〜1 6000回
測定温度: 1 20°C
上記のような条件で測定した13 C_N MRスぺクトルにより、 4_メチル _ 1 —ペンテンおよび 一ォレフインの組成を定量した。
共重合体の極限粘度 [ 77 ] :移動粘度計 (離合社製、 タイプ VNR053 U 型) を用い、 樹脂 0. 25~0. 30 gを 25m Iのデカリンに溶解させた ものを試料とし、 AS TM J 1 601に準じ 1 35°Cにて比粘度を測定し 、 これと濃度との比を濃度 0に外挿して極限粘度 [ 77 ] を求めた。
共重合体の融点 (Tm) および融解熱量:セイコー電子社製、 DSC—22 0Cを用いて N2 (窒素) 雰囲気下で測定した。 常温から 50°0/分の昇温速 度で 270°Cまで昇温した後に 5分間保持し、 次いで 1 0°CZ分の降温速度 で一 50°Cまで降温した後に 5分間保持した。 そして 1 0°CZ分の昇温速度 で 270°Cまで昇温する際の吸熱ピークの温度を求めた。 吸熱ピーク面積か ら単位重さ当たりの融解熱量を求めた。
フィルムの膜厚:マイクロメーターを用いて測定した。
フィルムの位相差:大塚電子 (株) 製測定装置 RETS— 1 00を用いて測 定した。 同装置では、 偏光光学系を用いて、 サンプル通過後の偏光解析を行 うことで、 サンプルの位相差 (傾斜角 0° 時の位相差) を求めている。
(実施例 B 1 )
(固体状チタン触媒成分の調製)
本実施例のポリ 4—メチル一 1—ペンテン樹脂組成物の重合に使用した固
体状チタン触媒成分は、 次のように調製した。
無水塩化マグネシウム 750 g、 デカン 2800 gおよび 2—ェチルへキ シルアルコール 3080 gを 1 30°Cで 3時間加熱反応を行って均一溶液と した後、 この溶液中に 2_イソブチル _2_イソプロピル _ 1, 3_ジメ ト キシプロパン 220m I を添加し、 さらに、 1 00°Cにて 1時間攪拌混合を 行なった。 このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、 この均 —溶液 300 Om I を、 —20°Cに保持した四塩化チタン 800m l中に、 攪拌下 45分間にわたって全量滴下挿入した。 挿入終了後、 この混合液の温 度を 4. 5時間かけて 1 1 0°Cに昇温し、 1 1 0°Cに達したところで 2—ィ ソブチル一 2_イソプロピル _ 1, 3—ジメ トキシプロパン 5. 2m l を添 加し、 これにより 2時間同温度にて攪拌下保持した。 2時間の反応終了後、 熱濾過にて固体部を採取し、 この固体部を 1 000m lの四塩化チタンにて 再懸濁させた後、 再び 1 1 0°Cで 2時間、 加熱反応を行った。 反応終了後、 再び熱濾過にて固体部を採取し、 90°Cデカンおよびへキサンで洗液中に遊 離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。 以上の操作によつ て調製した固体状チタン触媒成分はデカンスラリーとして保存したが、 この 内の一部を、 触媒組成を調べる目的で乾燥した。 このようにして得られた触 媒成分の組成はチタン 3. 0質量%, マグネシウム 1 7. 0質量%, 塩素 5 7質量0 /0, 2_イソブチル _2_イソプロピル _ 1, 3—ジメ トキシプロパ ン 1 8. 8質量%および 2_ェチルへキシルアルコール 1. 3質量%であつ た。
(4_メチル _ 1—ペンテン共重合体の製造方法)
内容積 1 30リツトルの重合器に、 室温下にて、 デカン 1 00リットル、 27 k gの 4_メチル _ 1 _ペンテン、 1, 300 gのダイヤレン 1 24 ( 三菱化学社製、 1—ドデセンと 1—亍トラデセンとの混合物) 、 水素 6. 7 5リットル、 トリェチルアルミニウム 67. 5ミリモルおよび、 3_メチル - 1—ペンテンを予備重合した触媒をチタン原子換算で 2. 7ミリモルを加 え、 重合器内を 60°Cに昇温し、 その温度を保った。 重合時間 6時間経過後
、 重合器からパウダーを取り出し、 ろ過した後、 へキサンで洗浄して、 バウ ダー状のポリ 4_メチル _ 1—ペンテン共重合体を得た。 得られた重合体の 収量は 26 k gであった。
得られた共重合体においては、 コモノマーつまりダイヤレン 1 24に由来 する構造単位の含量が 2. 5mo l %であり、 極限粘度 [ 77 ] : 2. 4 d I 、 融点: 229°C、 融解熱量 32. O JZgであった。
[0440] 上記の重合によって得られたパウダー状のポリ 4 _メチル _ 1—ペンテン 共重合体に、 従来公知の中和剤、 フエノール系酸化防止剤を添加してヘンシ エルミキサーにて混合し、 押出機を用いて 290°Cにて溶融混練してペレツ トを得た。 得られたペレツ卜のメルトフローレ一トは、 29 1 0分であ つた。
[0441] このペレットを用いて、 一軸押出機 (径 40mm) にて、 シリンダ温度 3 00°C、 キャストロール温度 30°Cの条件で溶融押出し成形を行い、 膜厚 1
50 mのフイルムを作製した。 続いてこのフイルムを延伸機にて、 温度 1
60°Cにてフイルムの幅方向 (T D方向) に約 3倍延伸し、 膜厚が 50 m の一軸延伸フィル厶を作製した。
得られた一軸延伸フイルムの光学特性の評価結果を共重合体組成とともに 表 2に示す。
[0442] (実施例 B 2)
コモノマーを 1—デセンとし、 実施例 B 1に準じて共重合体および厚さ 5 0 mのフイルムを作製した。
得られた共重合体においては、 コモノマー含量が 1. 8mo l %であり、 極限粘度 [ 77 ] : 2. 5 d I 、 融点: 235°C、 融解熱量 36. 1 d I gであった。 得られた一軸延伸フィルムの光学特性の評価結果を共重合体 組成とともに表 2に示す。
[0443] (実施例 B 3)
コモノマーを 1—デセンとし、 実施例 B 1に準じて共重合体および厚さ 5 0 U mのフィルムを作製した。
得られた共重合体においては、 コモノマー含量が 3. 5mo l %であり、 MFR : 31 gZ1 0m i n、 屈折率 ( n D) : 1. 463、 極限粘度 [ η ] : 2. 6 d I 、 融点: 231 °C、 融解熱量 31. 9JZgであった。 得 られた一軸延伸フィルムの光学特性の評価結果を共重合体組成とともに表 2 に示す。
[0444] (実施例 B4)
コモノマーを 1—デセンとし、 実施例 B 1に準じて共重合体および厚さ 5 0 mのフィルムを作製した。
得られた共重合体においては、 コモノマー含量が 4. 1 mo l %であり、 極限粘度 [ 77 ] : 2. 6 d I 、 融点: 228°C、 融解熱量 30. 5J/g であった。 得られた一軸延伸フィルムの光学特性の評価結果を共重合体組成 とともに表 2に示す。
[0445] (実施例 B5)
コモノマーを 1—デセンとし、 実施例 B 1に準じて共重合体および厚さ 5 0 mのフイルムを作製した。
得られた共重合体においては、 コモノマー含量が 7. 2mo l %であり、 極限粘度 [ 77 ] : 2. 6 d i Zg、 融点: 226°C、 融解熱量 23. 0 d I gであった。 得られた一軸延伸フィル厶の光学特性の評価結果を共重合体 組成とともに表 2に示す。
[0446] (実施例 B6)
コモノマーを含まない 4—メチル一 1—ペンテンおよびこれを用いた厚さ 5 OjUmのフィルムを実施例 B 1に準じて作製した。
得られた重合体においては、 極限粘度 [ 77 ] : 2. O d I Zg、 融点: 2
40°C、 融解熱量 45. 1 JZgであった。 得られた一軸延伸フィルムの光 学特性の評価結果を共重合体組成とともに表 3に示す。
[0447] (実施例 B7)
コモノマーを 1—ォクテンとし、 実施例 B 1に準じて共重合体および厚さ
5 0 ju mのフィルムを作製した。
得られた共重合体においては、 コモノマー含量が 5. Omo l %であり、 極限粘度 [ 77 ] : 2. 4 d I g、 融点: 23 1 °C、 融解熱量 3 8. 1 J gであった。 得られた一軸延伸フイルムの光学特性の評価結果を共重合体組 成とともに表 3に示す。
[0448] (実施例 B 8)
コモノマーを 1—ォクテンとし、 実施例 B 1に準じて共重合体および厚さ 50 U mのフィルムを作製した。
得られた共重合体においては、 コモノマー含量が 1 0. Omo l %であり 、 極限粘度 [ ?7 ] : 2. 2 d I g、 融点: 2 20°C、 融解熱量 3 2. 9 J gであった。 得られた一軸延伸フィルムの光学特性の評価結果を共重合体 組成とともに表 3に示す。
[0449] (実施例 B 9)
コモノマーをダイヤレン 1 68 (三菱化学社製、 1 _へキサデセンと 1 _ ォクタデセンとの混合物) とし、 実施例 B 1に準じて共重合体および厚さ 5 0 mのフイルムを作製した。
得られた共重合体においては、 コモノマー含量が 2. 4mo l %であり、 極限粘度 [77] : 2. 2 d I 、 融点: 2 24°C、 融解熱量 34. 7 J / gであった。 得られた一軸延伸フイルムの光学特性の評価結果を共重合体組 成とともに表 3に示す。
[0450] (実施例 B 1 0)
コモノマーを 1—デセンとし、 実施例 B 1に準じて共重合体および厚さ 5 0 mのフィルムを作製した。
得られた共重合体においては、 コモノマー含量が 1 5. Omo l %であり 、 極限粘度 [77] : 2. 5 d I 、 融点: 209°C、 融解熱量 2. 5 J / gであった。 得られた一軸延伸フィルムの光学特性の評価結果を共重合体組 成とともに表 3に示す。
[0451]
ほ 2] 表 2
[0452] [表 3] 表 3
[0453] 表 2に示した結果より、 実施例 B 1 ~B 5のフイルムは、 いずれも、 59 O nmにおける位相差、 R (450) R (590) 、 および耐熱性のバラ ンスに特に優れており、 特に充分な複屈折および逆波長分散特性を示した。 また、 実施例 B 1〜B 1 0のフィルムは、 いずれも、 光学用途に充分な透明 性を有していた。
[0454] また、 表 3より、 実施例 B 1〜B 5のフィルムは、 いずれも、 一ォレフ ィンを含まない実施例 B 6のフィルムに比べて、 より一層充分な複屈折が得 られた。
また、 実施例 B 1〜B 5のフィルムは、 いずれも、 一ォレフィンの割合 が多い実施例 B 1 0のフィルムに比べて、 より一層充分な耐熱性および複屈 折を持ったフィルムが得られた。
また、 実施例 B 1 ~B 5のフイルムは、 いずれも、 ひ一ォレフィンの炭素
数が 8である実施例 B 7および実施例 B 8のフィル厶に比べて、 より一層充 分な複屈折が得られた。
また、 実施例 B 1 ~B 5のフイルムは、 いずれも、 ひ一ォレフィンの炭素 数が 1 6および 1 8である実施例 B 9に比べて、 より一層充分な複屈折が得 られた。
[0455] 以下に、 実施例および参照例を参照しながら、 本件第二発明をより具体的 に説明する。 なお、 本件第二発明はいかなる意味においても、 以下に示す実 施例に限定されるものではない。
[0456] (フィルム (A) )
4—メチル一 1 _ペンテンと、 炭素数 1 2と 1 4とのモノマー (モル比は 、 炭素数 1 2 :炭素数 1 4 = 50 : 50) との共重合体 (モル比 =95 : 5 、 MFR : 27 gZ1 0m i n、 融点 230°C、 ガラス転移温度 1 5°C、 平 均屈折率 1. 46、 吸水率 0. 01 %未満) を用いて、 一軸押出機 (径 40 mm) にて、 シリンダ温度 300°C、 キャストロール温度 30°Cの条件で溶 融押出し成形を行い、 膜厚 200 mのフイルムを作製した。 続いて、 延伸 機にて温度 1 60°Cにて縦一軸延伸し、 膜厚 1 OO mとし、 フイルム (A ) とした。
[0457] (フイルム (B) )
4—メチル一 1 _ペンテンと、 炭素数 1 6と 1 8とのモノマー (モル比は 、 炭素数 1 6 :炭素数 1 8 = 50 : 50) とのランダム共重合体 (モル比 = 94 : 6、 MFR : 22 gZ1 0m i n、 融点 230°C、 ガラス転移温度 1 0°C、 平均屈折率 1. 46、 吸水率 0. 01 %未満) を用いて、 一軸押出機 (径 4 Omm) にて、 シリンダ温度 300°C、 キャストロール温度 30°Cの 条件で溶融押出し成形を行い、 膜厚 20 OjUmのフィルムを作製した。 続い て、 延伸機にて温度 1 60°Cにて縦一軸延伸し、 膜厚 1 OOjUmとし、 フィ ルム (B) とした。
[0458] (フィルム (C) )
日本ゼオン製ゼォノアフィルム (銘柄: Z F 1 4、 膜厚 1 00〃m) をフィ
ル厶 (c) とした。
[0459] (フイルム (D) )
富士写真フイルム製 T ACフイルム (膜厚 80 m) をフイルム (D) とし た。
[0460] (フィルム (E) )
日本ゼオン製ゼォノアフィルム (銘柄: Z F 1 4、 膜厚 1 0 Ojum) を延伸 機にて温度 1 50°Cにて縦一軸延伸し、 膜厚 80 jU mとし、 フィルム (E) とした。
(フィルム (F) ) 帝人化成製ポリカーボネィ トフイルム (品名 : ピュアェ ース、 膜厚 1 O O jU m) を延伸機にて温度 1 80°Cにて縦一軸延伸し、 膜厚 8 0 jU mとし、 フィルム (F) とした。
[0461] (フィルム (G) )
4—メチル一 1 _ペンテンと、 炭素数 1 2と 1 4とのモノマー (モル比は 、 炭素数 1 2 :炭素数 1 4 = 50 : 50) との共重合体 (モル比 = 9 5 : 5 、 M F R : 27 gZ 1 0m i n、 融点 230°C、 ガラス転移温度 1 5°C、 平 均屈折率 1 . 46、 吸水率 0. 0 1 %未満) を用いて、 一軸押出機 (径 40 mm) にて、 シリンダ温度 300°C、 キャストロール温度 30°Cの条件で溶 融押出し成形を行い、 膜厚 60 mとし、 フイルム (G) とした。
[0462] (レターデーシヨンの測定方法)
フイルム (A) ~ (G) の波長 450 n m、 590 n mにおけるレターデ ーシヨン R (450) と R (590) は、 王子計測機器株式会社の位相差測 定装置 KO B RAを用いて、 測定波長 450 n mと 590 n mにて、 サンプ ル平面に測定光を入射角 0° で入射し測定することで求めた。 また、 60。C X 90 %相対湿度 ( R H ) の恒温恒湿槽に 240時間放置後のフィルムの R (590) の変化について、 5%未満を AA、 5%以上を C Cとした。
結果を表 4に示す。
[0463] (吸水率の測定)
吸水率測定は、 J I S K 7 209法に従って行った。 はじめに 50°Cにセ
ッ卜した送風式乾燥機にて 24時間乾燥しデシケーター内で室温まで冷却し たサンプルの重さ (W1 ) を測定した。 次いで 25°Cの雰囲気下で 24時間 純水に浸潰した後ウェスで水を丁寧に拭き取ったサンプルの重さ (W2) を 測定した。 これらの重さ W1および W2より、 下記式より吸水率を求めた。 吸水率 (%) = (W2-W1 ) W1 X 1 00
尚、 測定は n = 3で行い、 算術平均値を当該樹脂の吸水率とした。 フィルム (A) 〜 (G) の吸水率測定結果を表 4に示す。
[0464] (密着力の測定)
密着力の測定は、 東洋精機製作所製万能試験機 (ストログラフ) により、 サンプル幅 1 cm、 引上速度 l OOmmZm i n、 引上角度 90° にて測定 をおこなった。 各保護フィルムと、 偏光子フィルムとの密着力測定結果を表 5に示す。 尚、 密着力が 300 gZcm以上の場合には AA、 300 g未満 の場合には CCとした。
[0465] (カール発生の有無チェック)
保護フイルムと、 偏光子フイルムとの積層後に、 カール発生の有無をチェ ックした。 結果を表 5に示す。
[0466] (偏光板の光漏れの大小)
実施例及び参照例で作製した偏光板 2枚を用いて偏光板の光漏れ (光抜け ) について観察した。 ここでは、 平面光源上に設置した 2枚の偏光板をそれ ぞれ平行及び直行ニコルに配置し、 極角 0° (法線方向) より観察したとき の透過光量をそれぞれ 1 00、 0とた。 その後、 直交ニコルに配置した 1組 の偏光板について、 上側偏光板の変更軸を基準に方位角 45° (右回り) 、 極角 45° (極角 0° を法線方向とする) より透過光量を測定した。 透過光 量が 2を超えるものを光漏れ 「大」 とし、 2以下のものを光漏れ 「小」 とし た。 尚、 2枚の偏光板を平行及び直交ニコルに配置する際には、 フィルムの R (590) が大きい方を内側に、 R (590) が小さい方を外側とした。 結果を表 5に示す。
[0467] (寸法変化の測定)
寸法変化は、 得られた積層偏光板の縦方向及び横方向のそれぞれに 1 00 m m幅の標線を入れ、 60 °C X 90 % R Hの恒温恒湿槽に 240時間放置し 、 取り出した直後に前記標線間を測定することで求めた。
[0468] (実施例 C 1 )
上記フィルム (A) 、 偏光子フィルムであるヨウ素含有 PV Aフィルム、 及び上記フィルム (C) を、 ポリウレタン系水性接着剤 (主剤:ポリウレタ ン樹脂 (不揮発分 35%) 、 硬化剤:ポリイソシァネート (不揮発分 1 00 %) 、 混合比 (w t %) は主剤:硬化剤 = 1 00 : 7) を用いて貼り合せ、 フィルム (A) 偏光子フィルム フィルム (C) からなる積層偏光板とし 、 続いて、 80°Cで 20分、 60°Cで 3日間乾燥を行い、 積層偏光板を作製 した。
上記積層偏光板の密着力を測定したところ、 590 cmであり良好で あった。
更に上記積層偏光板を 60°C X 90 <½ R Hの恒温恒湿槽に 240時間放置 したが、 目だったカールは発生せず、 寸法変化も 0. 1 %未満であった。
[0469] (実施例 C2)
上記フイルム (B) 、 偏光子フイルムであるヨウ素含有 PV Aフイルム、 及び上記フイルム (C) を、 ポリウレタン系水性接着剤 (主剤:ポリウレタ ン樹脂 (不揮発分 35%) 、 硬化剤:ポリイソシァネート (不揮発分 1 00 %) 、 混合比 (w t %) は主剤:硬化剤 = 1 00 : 7) を用いて貼り合せ、 フイルム (B) 偏光子フイルム フイルム (C) からなる積層偏光板とし 、 続いて、 80°Cで 20分、 60°Cで 3日間乾燥を行い、 積層偏光板を作製 した。
上記積層偏光板の密着力を測定したところ、 650 cmであり良好で あった。
更に上記積層偏光板を 60°C X 90 % R Hの恒温恒湿槽に 240時間放置 したが、 目だったカールは発生せず、 寸法変化も 0. 1 %未満であった。
[0470] (参照例 C 1 )
上記フイルム (D) 、 偏光子フイルムであるヨウ素含有 PV Aフイルム、 及び上記フイルム (E) を、 ポリウレタン系水性接着剤 (主剤:ポリウレタ ン樹脂 (不揮発分 35%) 、 硬化剤:ポリイソシァネート (不揮発分 1 00 %) 、 混合比 (w t %) は主剤:硬化剤 = 1 00 : 7) を用いて貼り合せ、 フィルム (D) 偏光子フィルム フィルム (E) からなる積層偏光板とし 、 続いて、 80°Cで 20分、 60°Cで 3日間乾燥を行い、 積層偏光板を作製 した。
上記積層偏光板の密着力を測定したところ、 600 cmであり良好で あった。 しかしながら、 上記積層偏光板を 60 °C X 90 % R Hの恒温恒湿槽 に 240時間放置したところ、 カールが発生した。 これは、 フィルム (D) の吸水によると思われる寸法変化がフィルム (E) のそれよりも大きいため と考えられた。
[0471] (参照例 C2)
上記フイルム (C) 、 偏光子フイルムであるヨウ素含有 PVAフイルム、 及び上記フイルム (E) を、 ポリウレタン系水性接着剤 (主剤:ポリウレタ ン樹脂 (不揮発分 35%) 、 硬化剤:ポリイソシァネート (不揮発分 1 00 %) 、 混合比 (w t %) は主剤:硬化剤 = 1 00 : 7) を用いて貼り合せ、 フイルム (C) 偏光子フイルム フイルム (E) からなる積層偏光板とし 、 続いて、 80°Cで 20分、 60°Cで 3日間乾燥を行い、 積層偏光板を作製 した。
上記積層偏光板の密着力を測定したところ、 50 gZc m未満と小さく、 密着不良であった。 接着剤が十分に乾燥していないことが原因であった。
[0472] (参照例 C 3 )
上記フィルム (D) 、 偏光子フィルムであるヨウ素含有 PV Aフィルム、 及び上記フィルム (F) を、 ポリウレタン系水性接着剤 (主剤:ポリウレタ ン樹脂 (不揮発分 35%) 、 硬化剤:ポリイソシァネート (不揮発分 1 00 %) 、 混合比 (w t %) は主剤:硬化剤 = 1 00 : 7) を用いて貼り合せ、 フィルム (D) 偏光子フィルム フィルム (F) からなる積層偏光板とし
、 続いて、 80°Cで 20分、 60°Cで 3日間乾燥を行い、 積層偏光板を作製 した。
上記積層偏光板の密着力を測定したところ、 61 O gZcmであり良好で あった。 しかしながら、 上記積層偏光板を 60 °C X 90 % R Hの恒温恒湿槽 に 240時間放置したところ、 カールが発生した。 これは、 フィルム (D) の吸水によると思われる寸法変化がフィルム (F) のそれよりも大きいため と考えられた。
(参照例 C 4 )
上記フィルム (G) 、 偏光子フィルムであるヨウ素含有 PVAフィルム、 及び上記フィルム (C) を、 ポリウレタン系水性接着剤 (主剤:ポリウレタ ン樹脂 (不揮発分 35%) 、 硬化剤:ポリイソシァネート (不揮発分 1 00 %) 、 混合比 (w t %) は主剤:硬化剤 = 1 00 : 7) を用いて貼り合せ、 フイルム (G) 偏光子フイルム フイルム (C) からなる積層偏光板とし 、 続いて、 80°Cで 20分、 60°Cで 3日間乾燥を行い、 積層偏光板を作製 した。
上記積層偏光板の密着力を測定したところ、 580 cmであり良好で あった。
更に上記積層偏光板を 60°C X 90 <½ R Hの恒温恒湿槽に 240時間放置 したが、 目だったカールは発生しなかったが、 偏光板の光漏れを観察したと ころ、 光漏れが 「大」 であった。 尚、 ここでは実施例 C 1 との比較のため、 フイルム (G) を内側とした。
これより、 フィルム (G) においては位相差板の機能を兼ねるにはリタ一 デーシヨンが不十分であり、 よって液晶表示素子において素子数を削減する ことができないことを示すものである。
ほ 4]
表 4
R R ( 4 5 0 ) / 恒温恒湿試験後の フイノレム 吸水率
( 5 9 0 ) R ( 5 9 0 ) R ( 5 9 0 ) の変ィ匕
( A) 6 4 n m 0 7 < 0. 0 1 % A A
( B ) 5 ^ n m 0 7 < 0. 0 1 % A A
( C ) 8 n m 1 0 < 0. 0 1 % A A
(D ) S u m 0 9 4 4 % C C
( E ) 5 9 n m 1 0 < 0. 0 1 % A A
( F ) 6 3 n m 1 2 0 2 % C C
(G) 4 n m 0 8 < 0. 0 1 % A A
[表 5]
表 5
(実施例 D 1 )
本実施例では、 _C、 _A、 L、 _ A配置の積層体を作成し、 評価した。 図 9は、 本実施例における積層体の構成を示す図である。 図 9に示した積 層体においては、 バックライ ト側偏光フイルム 1、 第一の位相差フイルム C 3、 第一の位相差フイルム A 4、 液晶セル (液晶層、 LC) 5、 第二の位相 差フイルム A 6および出射側偏光フイルム 2が下からこの順に積層されてい る。 図 9では、 第一の位相差フイルム A 4および第二の位相差フイルム A 6
は、 いずれも上記式 (3— 2) を満たす一 Aプレートであり、 第一の位相差 フイルム C 3は、 上記式 (3— 3) を満たす一 Cプレートである。
[0477] 本実施例では、 直交した x _ y軸がフイルム面内にあり、 フイルム垂直軸 を z軸とする観測座標に対して、 バックライ ト側偏光フィルム 1の吸収軸方 向が X軸と一致し、 出射側偏光フィルム 2はその吸収軸が y軸と一致するよ うに配置されている。
なお、 図 9および後述する図 1 4では、 偏光フィルムの吸収軸方向を矢印 で示している。
[0478] また、 バックライ ト側偏光フィルム 1上に第一の位相差フィルム C (-C プレート) を配置し、 第一の位相差フィルム A (_Aプレート) 4の延伸方 向である光学軸方向 (異常光屈折率方向) カ 軸と一致するように配置した 次に、 ガラス基板にはさまれた液晶セル 5を配置し、 第二の位相差フィル 厶 A (_Aプレート) 6の光学軸方向が y軸と一致するように配置し、 さら に出射側偏光フィル厶 2はその吸収軸が y軸と一致するように配置した。
[0479] バックライ ト側偏光フイルム 1および出射側偏光フイルム 2として、 市販 のヨウ素系偏光フイルム (日東電工社製: G 1 2 20 D U) を使用した。 な お、 いずれの偏光フイルムについても、 偏光フイルムの保護フイルム (T A C : トリァセチルセルロース) は余分な位相差を発生させるため、 とりはず して使用した。
また、 液晶セル 5としては、 セル厚 3 m、 K= 3 1 0 n mの V A液晶を 使用した。
[0480] 第一の位相差フィルム C 3については、 J S R社製 A R T O Nを塩化メチ レンに溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%のドープ溶液を作製した。 このドー プ溶液からキャストフィルムを作製し、 1 80°Cにて 2倍に 2軸延伸するこ とによりフィルムを得た。 得られた第一の位相差フィルム C 3の波長 550 n mでの厚み方向複屈折は、 K = _ 34 1 n mであった。
なお、 波長 550 n mにおける位相差は、 大塚電子社製リタデーシヨン測
定装置 (型式 RETS— 1 00) を用いて、 回転検光子法にて、 サンプル平 面に測定光を入射角 0° で入射し測定することで求めた。
また、 第一の位相差フイルム C 3の波長 450 n mおよび 650 η での 厚み方向複屈折は、 Κ (450) =_344 nmぉょびK (650) =_3 40 n mであった。
[0481] 第一の位相差フィルム A 4および第二の位相差フィルム A 6については、 4—メチル一 1 _ペンテンと、 炭素数 1 2と 1 4とのモノマー (モル比は、 炭素数 1 2 :炭素数 1 4 = 50 : 50) との共重合 (モル比 =95 : 5、 M FR : 27 gZ1 Om i n、 融点 230°C、 ガラス転移温度 1 5°C、 平均屈 折率 1. 46、 吸水率 0. 01 %未満) を用いて、 一軸押出機 (径 4 Omm ) にて、 シリンダ温度 300°C、 キャストロール温度 30°Cの条件で溶融押 出し成形を行い、 膜厚 200 jumのフィルムを作製した。 続いて、 延伸機に て温度 1 60°Cにて縦一軸延伸し、 膜厚 1 1 とし、 位相差フイルム A とした。
得られた位相差フイルム Aは、 延伸方向に屈折率が小さいいわゆるネガテ ィブ位相差フイルム Aとなっており、 波長 550 n mでの面内位相差 R e = -30. 6 n mであった。
[0482] これらのフイルムを用いて図 9に示した積層体 (液晶パネル) を作製し、 波長 550 nmでの暗状態での視野角依存性を観測した。 結果を図 1 0に示 す。
なお、 図 1 0および後述する図 1 3、 図 1 6および図 1 8において、 視野 角 Θは、 垂直入射時 (0 = 0° ) からの出射光の角度のずれを示す。 図中、 同心円の中心が 0° であり、 各同心円は、 中心から外側に向かって 0 = 30 ° 、 0 = 60° および 0 = 90° を示す。
また、 図 1 0および後述する図 1 3、 図 1 6および図 1 8において、 方位 角 øは、 バックライ ト側偏光フィルム 1の吸収軸 (0 = 0° ) に対する角度 のずれを示す。 図中の直径方向の点線においては、 右端が 0 = 0° であり、 反時計回りで 22. 5 ° 刻みで φが増加する。
図 1 0より、 得られた積層体においては、 斜め視野の状態でも透過率は 0 . 1 %以下であり、 高コントラス化に有効に機能することがわかった。
[0483] 以下の実施例では、 実施例 D 1 と異なる点を中心に説明する。
[0484] (実施例 D 2 )
実施例 D 1に示した積層体においては、 位相差フィルム Aとして位相差フ イルム一 Aを用いたが、 C、 A、 L、 A配置は位相差フィルム一 Aのみでな く、 延伸方向の屈折率が高くなる、 いわゆる正の複屈折を有する位相差フィ ルム + Aでも実現可能である。 図 1 1は、 本実施例において、 上記式 (3 _ 1 ) を満たす位相差フィルム + Aを用いて実現した積層体の構成を示す図で あ^ ο
[0485] 図 1 1に示したように、 実施例では、 _ C、 + A、 L、 + A配置の積層体 を作成し、 評価した。
図 1 1に示した積層体中の各部材の積層順序は図 9 (実施例 D 1 ) と同様 であるが、 図 1 1では、 第一の位相差フイルム A ( + Aフイルム) 4と第二 の位相差フィル厶 A 6を液晶セル 5に隣接するように配置し、 第一の位相差 フイルム A 4の矢印で示した光学軸方向 (異常光屈折率軸方向) を y軸と一 致するように配置し、 第二の位相差フイルム A ( + Aフイルム) 6の光学軸 方向 (異常光屈折率軸) を X軸方向と一致させる点が実施例 D 1 と異なる。
[0486] このような配置とすることにより、 位相差フイルム + Aを用いた場合でも 軸補正が可能となることを、 図 1 2を参照して説明する。 図 1 2において、 斜視野角 0 = 6 0 ° 、 0 = 4 5 ° での第一の偏光フイルム 1を通過した直線 偏光の偏光状態は、 ポアンカレ球上の Tで記述される。
[0487] 位相差フィルム C ( _ Cフィルム) 3を通過することにより、 光はより北 極側の V点に移動し、 さらに第一の位相差フィルム A ( + Aフィルム) 4に より出射側偏光フィルム 2の吸収軸方向である Aを回転中心として回転角 α だけ右回転し、 R点まで移動する。 次に液晶セル 5 ( + C位相差) により、 Qの点まで南下する。 さらに第二の位相差フィルム A ( + Aフィルム) 6に より Tを回転中心として回転角 だけ左回転させ A点に一致させる。 このよ
うな配置とすることで軸補正が可能であることがわかる。
[0488] 本実施例において、 バックライ ト側偏光フイルム 1および出射側偏光フィ ル厶 2として、 市販のヨウ素系偏光フイルム (曰東電工社製: G 1 220 D U) を使用した。 なお、 いずれの偏光フィルムについても、 偏光フィルムの 保護フィルム (TAC : トリァセチルセルロース) は余分な位相差を発生さ せるため、 とりはずして使用した。
また、 液晶セル 5としては、 セル厚 3〃m、 K= 31 0 n mの V A液晶を 使用した。
[0489] 第一の位相差フィルム C (_Cフィルム) 3については、 」 5 社製 TONを塩化メチレンに溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%のドープ溶液を作 製した。 このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、 1 80°Cにて 2倍 に 2軸延伸することによリフィルムを得た。 得られた第一の位相差フィルム C 3の波長 550 nmにおける位相差は、 大塚電子社製リタデーシヨン測定 装置 (型式 RETS— 1 00) を用いて、 回転検光子法にて、 サンプル平面 に測定光を入射角 0° で入射し測定することで求めたところ、 K = _251 n mでめつ 7: ο
[0490] 第一の位相差フイルム Αおよび第二の位相差フイルム A 6については、 J S R社製 ARTONを塩化メチレンに溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%のド ープ溶液を作製した。 このドープ溶液からキャストフイルムを作製し、 1 8 0°Cにて 2倍に 1軸延伸することによりフイルムを得た。 得られた位相差フ イルム Aは、 延伸方向の屈折率がそれに直角な方向の屈折率より大きい。 ま た、 この位相差フィルム Aは、 いわゆる正の位相差フィルム A ( + A) とな つており、 波長 550 n mでの面内位相差 R e =+ 32. 1 nmであった。
[0491] これらのフィルムを用いて図 1 1に示した積層体 (液晶パネル) を作製し 、 波長 440 n mでの暗状態での視野角依存性を観測した。 結果を図 1 3に 示す。
また、 得られた積層体における斜め視野の状態でも透過率は 0. 08%以 下であり、 高コントラス化に有効に機能することがわかった。
[0492] (実施例 D3)
本実施例では、 _C、 _A、 L、 _A、 _C配置の積層体を作成し、 評価 した。
図 1 4は、 本実施例における積層体の構成を示す図である。 図 1 4に示し た積層体においては、 バックライ ト側偏光フィルム 1、 第一の位相差フィル ム C3、 第一の位相差フィルム A 4、 LC (液晶層、 液晶セル) 5、 第二の 位相差フィルム A 6、 第二の位相差フィルム C 7および出射側偏光フィルム 2が下からこの順に積層されている。 図 1 4では、 第一の位相差フィルム A 4および第二の位相差フィルム A 6は、 いずれも一 Aプレートであり、 第一 の位相差フィルム C 3および第二の位相差フィルム C 7は、 いずれも一 Cプ レートである。
[0493] 本実施例では、 直交した x_y軸がフィルム面内にありフィルム垂直軸を
z軸とする観測座標に対して、 バックライ ト側偏光フイルム 1の吸収軸方向 が X軸と一致し、 出射側偏光フイルム 2はその吸収軸が y軸と一致するよう に配置されている。 図 1 4において、 偏光フイルムの吸収軸方向を矢印で示 している。
[0494] また、 バックライ ト側偏光フイルム 1上に第一の位相差フイルム C (-C プレート) を配置し、 第一の位相差フイルム A 4 (_Aプレート) の延伸方 向である光学軸方向 (異常光屈折率方向) 力《χ軸と一致するように配置した 次にガラス基板にはさまれた液晶セル 5を配置し、 第二の位相差フイルム A (_Aプレート) 6の光学軸方向が y軸と一致するように配置した。 さら に、 第二の位相差フィルム C (_Cプレート) 7を配置する構成とした。
[0495] バックライ ト側偏光フィルム 1および出射側偏光フィルム 2として、 市販 のヨウ素系偏光フィルム (曰東電工社製: G 1 220 DU) を使用した。 な お、 いずれの偏光フィルムについても、 偏光フィルムの保護フィルム (TA C : トリァセチルセルロース) は余分な位相差を発生させるため、 とりはず して使用した。
また、 液晶セル 5としては、 セル厚 3 m、 K= 31 0 n mの V A液晶を 使用した。
[0496] 第一の位相差フイルム C 3については、 J S R社製 ARTONを塩化メチ レンに溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%のドープ溶液を作製した。 このドー プ溶液からキャストフィルムを作製し、 1 80°Cにて 2倍に 3軸延伸するこ とによりフィルムを得た。 得られたフィルムの波長 550 n mでの厚み方向 複屈折は、 実施例 D 1に準じて測定した結果、 K = _ 1 57 nmであった。
[0497] 第一の位相差フィルム A 4および第二の位相差フィルム A 6については、 ポリ 4—メチル一 1ペンテンを温度 1 60°Cで一軸延伸した厚み 92 jU mの フィルムを使用した。 このフィルムは、 延伸方向に屈折率が小さいいわゆる ネガティブ A位相差フィルムとなっており、 波長 550 n mでの面内位相差 R e =- 24. 7 nmであった。 本実施例で用いた位相差フィルム一 Aの面 内位相差 Reの波長依存性の測定結果を図 1 5に示す。 図 1 5より、 本実施 例で用いた位相差フイルム一 Aは、 波長が短くなるほど位相差の絶対値が小 さくなる、 いわゆる逆波長分散性を示していることがわかる。
また、 得られた位相差フイルム一 Aの逆波長分散性を示す値は、 Re (450) Re (550) =0. 88
Re (650) Re (550) = 1. 06
であった。
[0498] これらのフイルムを用いて図 1 4に示した積層体 (液晶パネル) を作製し 、 波長 550 nmでの暗状態での視野角依存性を観測した。 結果を図 1 6に 示す。
また、 得られた積層体における斜め視野の状態でも透過率は 0. 08%以 下であり高コントラス化に有効に機能することがわかつた。
[0499] (実施例 D4)
本実施例では、 実施例 D 3と同じ図 1 4に示した積層体において、 位相差 フィルム一 Aとして、 実施例 D 3で使用した位相差フィルム一 Aの逆波長分 散性がより強いフィルムを使用した実施例を説明する。
[0500] 第一の位相差フイルム A 4および第二の位相差フイルム A 6としては、 4 —メチル一 1 _ペンテンホモポリマーを用いて、 一軸押出機 (径 40mm) にて、 シリンダ温度 300°C、 キャストロール温度 80°Cの条件で溶融押出 し成形を行い、 膜厚 200 jumのフィルムを作製した。 続いて、 延伸機にて 温度 1 60°Cにて縦一軸延伸し、 膜厚 95jumとし、 位相差フィルム Aとし た。
[0501] 得られた位相差フィルム一 Aの、 面内位相差 R eの波長依存性を測定した 。 結果を図 1 7に示す。 図 1 7より、 波長が短くなるほど位相差の絶対値が 小さくなる、 いわゆる逆波長分散性を示していることがわかる。
また、 得られた位相差フィルム一 Aの逆波長分散性を示す値は、 Re (450) Re (550) =0. 74
Re (650) Re (550) = 1. 1 5
であった。
[0502] このような位相差フイルム一 Aを第一の位相差フイルム A 4および第二の 位相差フイルム A 6として使用し、 図 1 4と同様の積層体を作成し、 波長 5 50 nmでの暗状態での視野角依存性を観測した。 結果を図 1 8に示す。 また、 本実施例では、 暗状態での透過光強度を、 実施例 D 3の場合よりさ らに 30 %程度低減できることがわかつた。
[0503] このように理想的逆波長分散よりさらに逆波長分散性を強めた場合に改善 できる理由について、 ポアンカレ球状での偏光状態の変化を、 理想的逆波長 分散の場合 (図 1 9) と過逆波長分散の場合 (図 20) を比較して説明する
[0504] 図 1 9は、 偏光状態の変化をポアンカレ球状に示したものである。
バックライ ト側偏光フィルム 1を通過した状態 Tは、 波長 450 nm、 5 50 n mおよび 650 n mの光は、 それぞれ、 第一の位相差フィルム C (- Cプレート) 3の通過後、 それぞれ V 1、 V 2および V 3点に移動する。 ここで、 異なる波長で移動点にずれが生じる理由は、 位相差フィルム一 C では、 波長によって位相差 Kが変化しないかもしくは波長が短くなると Kが
増加する、 いわゆる正の波長分散を示すからである。 波長が短い光 (450 nm) の場合、 S 1軸周りの回転角 (27TKZ;i) は大きくなるため、 北極 側にずれる (V 1 ) 。 また波長の長い 650 nmの光は V 3に移動する。
[0505] 次に、 光は第一の位相差フィルム A (_Aプレート) 4を通過する。 この とき位相差フィルムー Aが理想的な逆波長分散性を有しているとすると、 T を中心とした回転角度 は波長によらず一定角度となり、 波長 450 nm, 550 n mおよび 650 n mの光では、 それぞれ R 1、 R 2および R 3まで 回転する。
しかしながら、 光の波長により回転半径が異なるため、 R 1、 R2および R 3の経度にずれが生じる。
[0506] さらに光は液晶セル 5で経線上を Q点まで南下し、 さらに第二の位相差フ イルム A (_Aプレート) 6で A点を中心として回転すると、 北半球での現 象と同じ理由で、 さらに U点での経線のずれが拡大する。 このため、 第二の 位相差フイルム C (_Cプレート) 7で S 1軸周りに回転するが、 波長によ り出射側偏光フイルム 2の吸収軸である A点からのずれが拡大し、 波長によ り透過率が異なるため、 カラーシフトを生じる原因となる。
[0507] 一方、 位相差フイルム一 Aの逆波長分散特性を、 理想的な逆波長分散性、 つまり
Re (450 n m) Re (550 n m) = 0. 82、 および
Re (650 nm) Re (550 n m) = 1. 1 8
よりさらに強い分散特性とした場合は、 図 20に示したように、 第一の位相 差フィルム一 A通過後の点 R 1、 R 2および R 3の経線をほぼ一致させるこ とができる。
[0508] 同様に、 図 20では、 南半球側での U経線位置の波長によるずれは低減さ れることがわかる。 このため、 第二の位相差フィルム C (_Cプレート) 7 で赤道上まで移動させたときの波長によるずれが極めて小さなものになる。
[0509] 以上のように、 本実施例では、 理想的逆波長分散よりさらに強い逆波長分 散性を有した位相差フィルム一 Aを用いることにより、 より一層カラーシフ
卜の小さい視野角特性の優れた表示装置を実現することが可能となった。
[0510] (実施例 E 1 )
本実施例では、 L、 _A、 _C、 _ A配置の積層体を作成し評価した。 図 29は、 本実施例における積層体の構成を示す図である。 図 29に示し た積層体においては、 バックライ ト側偏光フィルム 1、 液晶セル (液晶層、 LC) 3、 第一の位相差フィルム A 4、 第一の位相差フィルム C 1 5、 第二 の位相差フイルム A 6および出射側偏光フィルム 2が下からこの順に積層さ れている。 図 29では、 第一の位相差フィルム A 4および第二の位相差フィ ルム A 6は、 いずれも上記式 (4— 2) を満たす一 Aプレートであり、 第一 の位相差フィルム C 3は、 上記式 (4_3) を満たす一 Cプレートである。
[0511] 本実施例では、 直交した x _ y軸がフィルム面内にあり、 フィルム垂直軸 を z軸とする観測座標に対して、 バックライ ト側偏光フィルム 1の吸収軸方 向が X軸と一致し、 出射側偏光フイルム 2はその吸収軸が y軸と一致するよ うに配置されている。
なお、 図 29では、 偏光フイルムの吸収軸方向を矢印で示している。
[0512] また、 バックライ ト側偏光フイルム 1上に液晶セル (液晶層、 LC) 3を 配置し、 第一の位相差フイルム A (_Aプレート) 4の延伸方向である光学 軸方向 (異常光屈折率方向) が y軸と一致するように配置した。
次に、 位相差フイルム C (-C) 5を配置し、 第二の位相差フイルム A ( _Aプレート) 6の光学軸方向が X軸と一致するように配置し、 さらに出射 側偏光フィル厶 2はその吸収軸が y軸と一致するように配置した。
[0513] バックライ ト側偏光フィルム 1および出射側偏光フィルム 2として、 市販 のヨウ素系偏光フィルム (曰東電工社製: G 1 220 DU) を使用した。 な お、 いずれの偏光フィルムについても、 偏光フィルムの保護フィルム (TA C : トリァセチルセルロース) は余分な位相差を発生させるため、 とりはず して使用した。
また、 液晶セル 1 3としては、 セル厚 3 U m K= 31 0 n mの V A液晶 を使用した。
[0514] 第一の位相差フイルム C 1 5については、 J S R社製 ARTONを塩化メ チレンに溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%のドープ溶液を作製した。 このド ープ溶液からキャストフイルムを作製し、 1 80°Cにて 2倍に 2軸延伸する ことによりフィルムを得た。 得られた第一の位相差フィルム C 1 5の波長 5 50 n mでの厚み方向位相差は、 K = _332 nmであった。
なお、 波長 550 nmにおける位相差は、 大塚電子社製リタデーシヨン測 定装置 (型式 RETS— 1 00) を用いて、 回転検光子法にて、 サンプル平 面に測定光を入射角 0° で入射し測定することで求めた。
また、 第一の位相差フィルム C 1 5の波長 450 n mおよび 650 n mで の厚み方向位相差は、 K (450) =_335 nmぉょびK (650) =一 330 n mであった。
[0515] 第一の位相差フィルム A 4および第二の位相差フィルム A 6については、
4—メチル一 1 _ペンテンと、 炭素数 1 2と 1 4とのモノマー (モル比は、 炭素数 1 2 :炭素数 1 4 = 50 : 50) との共重合体 (モル比 =95 : 5、 MFR : 27 gZ1 0m i n、 融点 230°C、 ガラス転移温度 1 5°C、 平均 屈折率 1. 46、 吸水率 0. 01 %未満) を用いて、 一軸押出機 (径 40m m) にて、 シリンダ温度 300°C、 キャストロール温度 30°Cの条件で溶融 押出し成形を行い、 膜厚 200 mのフイルムを作製した。 続いて、 延伸機 にて温度 1 60°Cにて縦一軸延伸し、 膜厚 1 1 とし、 位相差フイルム Aとした。
得られた位相差フイルム Aは、 延伸方向に屈折率が小さいいわゆるネガテ ィブ位相差フィルム Aとなっており、 波長 550 n mでの面内位相差 R e = -27. 8 n mであった。
[0516] これらのフィルムを用いて図 29に示した積層体 (液晶パネル) を作製し 、 波長 550 n mでの暗状態での視野角依存性を観測した。 結果を図 30に 示す。 なお、 図 30ならびに後述する図 36および図 38は、 バックライ ト のみの輝度を 1 としたときの LCパネル(カラーフィルタは無し)透過光によ る視野角に対する相対輝度を表し、 円内に実線で示したように、 最大最小輝
度値の間で 8本の等輝度線が描かれている。 また、 図 30、 図 36および図 38において、 同心円の半径方向の軸は、 入射角 0を示す。 同心円は、 円の 中心 ( Θ = 0° ) から 20° 刻みで示されており、 最外周の円が、 0 = 80 ° を示す。
また、 得られた積層体における斜め視野の状態でも等輝度曲線 (isolumina nce) は 0. 00 1 2より小さく、 高コントラス化に有効に機能することがわ かった。
[0517] 以下の実施例では、 実施例 E 1 と異なる点を中心に説明する。
(実施例 E 2)
実施例 E 1に示した積層体においては、 位相差フィルム Aとして位相差フ イルム一 Aを用いたが、 L、 A、 C、 A配置は位相差フィルム一 Aのみでな く、 延伸方向の屈折率が高くなる、 いわゆる正の複屈折を有する位相差フィ ル厶 +Aでも実現可能である。 図 31は、 本実施例において、 上記式 (4_ 1 ) を満たす位相差フイルム +Aを用いて実現した積層体の構成を示す図で める。
[0518] 図 31に示したように、 本実施例では、 L、 +A、 _C、 +A配置の積層 体を作成し、 評価した。
図 31に示した積層体中の各部材の積層順序は図 29 (実施例 E 1 ) と同 様であるが、 図 31では液晶セル 1 3の後、 第一の位相差フイルム A ( + A フイルム) 4と第二の位相差フイルム A ( + Aフイルム) 6の間に位相差フ イルム C 5を挟み込むように配置し、 第一の位相差フィル厶 A 4の矢印で示 した光学軸方向 (異常光屈折率軸方向) を X軸と一致するように配置し、 第 二の位相差フィルム A ( + Aフィルム) 6の光学軸方向 (異常光屈折率軸) も X軸方向と一致させた点が実施例 E 1 と異なる。
[0519] このような配置とすることにより、 位相差フィルム + Aを用いた場合でも 軸補正が可能となることを、 図 32に示すポアンカレ球赤道上投影図を参照 して説明する。 図 32において、 第一の偏光フィルム 1を通過した直線偏光 の偏光状態は、 ポアンカレ球上の Tで記述される。
[0520] 第一の偏光フイルム 1を通過した直線偏光は液晶セル 1 3 (+Cフイルム と同等) を通過することにより、 偏光状態は南半球側の V点に移動し、 さら に第一の位相差フイルム A ( + Aフイルム) 4によりバックライ ト側偏光フ ィルム 2の吸収軸方向である Tを回転中心として回転角 1だけ左回転し、 R 点まで移動する。 次に位相差フィルム C (_C位相差) により、 Q点まで上 昇する。 さらに第二の位相差フィルム A ( + Aフィルム) 6により Tを回転 中心として回転角 2だけ左回転させ A点に一致させることができ、 このよ うな配置とすることで軸補正が可能であることがわかる。
[0521] 本実施例において、 バックライ ト側偏光フィルム 1および出射側偏光フィ ルム 2として、 市販のヨウ素系偏光フィルム (曰東電工社製: G 1 2 20 D U) を使用した。 なお、 いずれの偏光フィルムについても、 偏光フィルムの 保護フィルム (T A C : トリァセチルセルロース) は余分な位相差を発生さ せるため、 とりはずして使用した。
また、 液晶セル 1 3としては、 セル厚 3 U m K= 3 1 0 n mの V A液晶 を使用した。
[0522] 位相差フイルム C (_Cフイルム) 1 5については、 J S R社製 A R T O Nを塩化メチレンに溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%のドープ溶液を作製し た。 このドープ溶液からキャストフイルムを作製し、 1 80°Cにて 4倍に 2 軸延伸することによリフィル厶を得た。 得られた位相差フイルム C 5の波長 550 n mにおける厚み方向位相差は、 大塚電子社製リタデーシヨン測定装 置 (型式 R E T S— 1 00) を用いて、 回転検光子法にて、 サンプル平面に 測定光を入射角 0° で入射し測定することで求めたところ、 K = _ 26 1 η mであった。
[0523] 第一の位相差フィルム A 4および第二の位相差フィルム A 6については、 J S R社製 A R T O Nを塩化メチレンに溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%の ドープ溶液を作製した。 このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、 1 80°Cにて 4倍に 1軸延伸することによリフィルムを得た。 得られた位相差 フィルム Aは、 延伸方向の屈折率がそれに直角な方向の屈折率より大きい。
また、 この位相差フイルム Aは、 いわゆる正の位相差フイルム A ( + A) と なっており、 波長 550 n mでの面内位相差 R e =+ 30. 3 nmであった
[0524] これらのフィルムを用いて図 31に示した積層体 (液晶パネル) を作製し 、 波長 550 nmでの暗状態での透過率の視野角依存性を観測した。 透過率 0. 08%を1 0等分して表示した等高線図を図 33に示す。
また、 得られた積層体における斜め視野の状態でも透過率は 0. 08%以 下であり、 高コントラス化に有効に機能することがわかった。
[0525] (実施例 E 3 )
本実施例では、 し、 _A、 _C、 _A、 +C配置の積層体を作成し評価し た。
図 34は、 本実施例における積層体の構成を示す図である。 図 34に示し た積層体においては、 バックライ ト側偏光フイルム 1、 LC (液晶層、 液晶 セル) 1 3、 第一の位相差フイルム A 4、 第一の位相差フイルム C 1 5、 第 二の位相差フイルム A 6、 第二の位相差フイルム C 7、 および出射側偏光フ イルム 2が下からこの順に積層されている。 図 34では、 第一の位相差フィ ル厶 A 4および第二の位相差フイルム A 6は、 いずれも上記式 (4— 2) を 満たす一 Aプレートであり、 第一の位相差フイルム C 1 5は上記式 (4_3 ) を満たす一 Cプレート、 第二の位相差フイルム C7は、 上記式 (4_8) を満たす +Cプレートである。
[0526] 本実施例では、 直交した x_ y軸がフイルム面内にありフイルム垂直軸を
z軸とする観測座標に対して、 バックライ ト側偏光フィルム 1の吸収軸方向 が X軸と一致し、 出射側偏光フィルム 2はその吸収軸が y軸と一致するよう に配置されている。 図 34において、 偏光フィルムの吸収軸方向を矢印で示 している。
[0527] また、 バックライ ト側偏光フィルム 1上にガラス基板にはさまれた液晶セ ル 1 3を配置し、 第一の位相差フィルム A 4 (_Aプレート) の延伸方向で ある光学軸方向 (異常光屈折率方向) カ 軸と一致するように配置した。
次に、 第一の位相差フイルム C 1 5 (_Cプレート) を配置し、 第二の位 相差フイルム A (_Aプレート) 6の光学軸方向が X軸と一致するように配 置した。 さらに、 第二の位相差フイルム C (+Cプレート) 7を配置する構 成とした。
[0528] バックライ ト側偏光フィルム 1および出射側偏光フィルム 2として、 市販 のヨウ素系偏光フィルム (曰東電工社製: G 1 220 DU) を使用した。 な お、 いずれの偏光フィルムについても、 偏光フィルムの保護フィルム (TA C : トリァセチルセルロース) は余分な位相差を発生させるため、 とりはず して使用した、
また、 液晶セル 1 3としては、 セル厚 3 U m K= 3 1 0 n mの V A液晶 を使用した。
[0529] 第一の位相差フィルム C 1 5については、 J S R社製 ARTONを塩化メ チレンに溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%のドープ溶液を作製した。 このド ープ溶液からキャストフイルムを作製し、 1 80°Cにて 4倍に 2軸延伸する ことによりフイルムを得た。 得られたフイルムの波長 550 n mでの厚み方 向位相差は、 実施例 E 1に準じて測定した結果、 K = _660 nmであった 第二の位相差フィル厶 C 7については 2枚のガラス基板の間に液晶を垂直 配向させたものを使用した。 厚み方向位相差 Kは波長 550门 で =3 1 0 n mでめった。
[0530] 第一の位相差フイルム A 4および第二の位相差フイルム A 6については、 ポリ 4—メチル一 1ペンテンを温度 1 60°Cで一軸延伸した厚み 6 OjUmの フィルムを使用した。 このフィルムは、 延伸方向に屈折率が小さいいわゆる ネガティブ A位相差フィルムとなっており、 波長 550 n mでの面内位相差 R e =- 1 6. 4 nmであった。 本実施例で用いた位相差フィルム一 Aの面 内位相差 R eの波長依存性の測定結果を図 35に示す。 図 35より、 本実施 例で用いた位相差フィルム一 Aは、 波長が短くなるほど位相差の絶対値が小 さくなる、 いわゆる逆波長分散性を示していることがわかる。
また、 得られた位相差フイルム一 Aの逆波長分散性を示す値は、
Re (450) Re (550) =0. 88
Re (650) Re (550) = 1. 06
であった。
[0531] これらのフィルムを用いて図 34に示した積層体 (液晶パネル) を作製し 、 波長 550 nmでの暗状態での視野角依存性を観測した。 測定で得られた 等輝度曲線 i so I um i nas等高線図を図 36に示す。
また、 得られた積層体における斜め視野の状態でも等輝度曲線 (isol imina s) は 0. 0005より小さく、 高コントラス化に有効に機能することがわか つた。
[0532] (参照例 E 1 )
本参照例では、 し、 _A、 _C配置の積層体を作成し評価した。 図 37は、 本参照例における積層体の構成を示す図である。 図 37に示し た積層体においては、 バックライ ト側偏光フイルム 1、 液晶セル (液晶層、 LC) 1 3、 位相差フイルム A 4、 第一の位相差フイルム C 1 5および出射 側偏光フイルム 2が下からこの順に積層されている。 図 37では、 位相差フ イルム A 4は、 上記式 (4_2) を満たす一 Aプレートであり、 第一の位相 差フイルム C 1 5は、 上記式 (4— 3) を満たす一 Cプレートである。
[0533] 本参照例では、 直交した x_ y軸がフイルム面内にあり、 フイルム垂直軸 を z軸とする観測座標に対して、 バックライ ト側偏光フイルム 1の吸収軸方 向が X軸と一致し、 出射側偏光フイルム 2はその吸収軸が y軸と一致するよ うに配置されている。
なお、 図 37では、 偏光フィルムの吸収軸方向を矢印で示している。
[0534] また、 バックライ ト側偏光フィルム 1上にガラス基板にはさまれた液晶セ ル 1 3 (+Cプレート) を配置し、 位相差フィルム A (_Aプレート) 4の 延伸方向である光学軸方向 (異常光屈折率方向) が y軸と一致するように配 置した。
次に、 位相差フィルム C (_Cプレート) を配置し、 さらに出射側偏光フ
ィル厶 2はその吸収軸が y軸と一致するように配置した。
[0535] バックライ ト側偏光フイルム 1および出射側偏光フイルム 2として、 市販 のヨウ素系偏光フイルム (日東電工社製: G 1 220 DU) を使用した。 な お、 いずれの偏光フィルムについても、 偏光フィルムの保護フィルム (TA C : トリァセチルセルロース) は余分な位相差を発生させるため、 とりはず して使用した。
また、 液晶セル 1 3としては、 セル厚 3 U m K= 3 1 0 n mの V A液晶 を使用した。
[0536] 位相差フィルム C 1 5については、 J S R社製 ARTONを塩化メチレン に溶融させ、 固形分濃度 1 8重量%のドープ溶液を作製した。 このドープ溶 液からキャストフィルムを作製し、 1 80°Cにて 2倍に 2軸延伸することに よりフィルムを得た。 得られた位相差フィルム C 1 5の波長 550 nmでの 厚み方向位相差は、 K = _ 295 n mであった。
なお、 波長 550 nmにおける位相差は、 大塚電子社製リタデーシヨン測 定装置 (型式 RE T S— 1 00) を用いて、 回転検光子法にて、 サンプル平 面に測定光を入射角 0° で入射し測定することで求めた。
また位相差フイルム C 1 5の波長 450 n mおよび 650 n mでの厚み方 向位相差は、 K (450) =_298门 ぉょび (650) =- 293 n mであった。
[0537] 位相差フイルム A4については、 4_メチル _ 1 _ペンテンと、 炭素数 1 2と 1 4とのモノマー (モル比は、 炭素数 1 2 :炭素数 1 4 = 50 : 50) との共重合 (モル比 =95 : 5、 M F R : 27 gZ1 0m i n、 融点 230 °C、 ガラス転移温度 1 5°C、 平均屈折率 1. 46、 吸水率 0. 0 1 %未満) を用いて、 一軸押出機 (径 4 Omm) にて、 シリンダ温度 300°C、 キャス トロール温度 30°Cの条件で溶融押出し成形を行い、 膜厚 20 OjUmのフィ ルムを作製した。 続いて、 延伸機にて温度 1 60°Cにて縦一軸延伸し、 膜厚 1 1 2jUmとし、 位相差フィルム Aとした。
得られた位相差フィルム Aは、 延伸方向に屈折率が小さいいわゆるネガ亍
ィブ位相差フイルム Aとなっており、 波長 550 n mでの面内位相差 R e = -32 n mであった。
これらのフイルムを用いて図 37に示した積層体 (液晶パネル) を作製し 、 波長 550 n mでの暗状態での視野角依存性を観測した。 結果を図 38に 示す。
図 38より、 得られた積層体における斜め視野の状態での透過輝度の最大 値は 0. 1 3% (0. 00 1 3) 程度だった。 また本件第四発明の実施例と 比較して 0 = 60° 以上の入射角で方位角 øにより漏れ強度が大きく変化す ることがわかる。 これに伴い視野角変化によるカラーシフトも大きくなつて しまう問題がある。