明 細 書
発熱量制御装置、そのプログラムおよび記録媒体、磁気ディスク装置なら びに発熱量制御方法
技術分野
[0001] 本発明は、記録ヘッドによる磁気的な情報の記録のための記録領域への加熱、ま たは磁気抵抗効果を有する再生ヘッドによる情報の再生のための再生領域への加 熱のうち少なくとも一方への加熱に用いられる発熱量制御装置、そのプログラムおよ び記録媒体、磁気ディスク装置ならびに発熱量制御方法に関するものである。
背景技術
[0002] 近年、光技術と磁気記録再生技術との融合によって、高密度記録を実現する技術 が開発されてきている。例えば、特許文献 1には、補償温度が略室温であるフェリ磁 性体の磁気記録媒体、およびレーザ光を用いることによって、上記フェリ磁性体の磁 気記録媒体に対して情報の記録再生を行う熱アシスト磁気記録再生方法が開示され ている。
[0003] 特許文献 1 :日本国公開特許公報「特開平 4— 176034号公報(平成 4年 6月 23日 公開)」に開示されているような熱アシスト磁気記録再生方法を利用した磁気記録再 生装置では、記録時にはレーザ光によって磁気記録媒体を昇温させ、磁気記録媒 体での記録領域の保磁力を低下させる。そして、上述のような磁気記録媒体での記 録領域の保磁力が低下した状態で、記録ヘッドによって上記磁気記録媒体に外部 磁界を印加して磁気的に情報を記録する。
[0004] 一方、再生時でも、残留磁化の温度依存性を利用して、レーザ光によって磁気記 録媒体の再生領域の温度を、残留磁ィ匕が大きくなる温度まで昇温させる。そして、昇 温によって大きくなつた残留磁化からの磁束を、再生ヘッドで検出することによって、 上記磁気記録媒体に記録された情報を再生している。ここで、レーザ光によって昇温 されていない再生領域では、残留磁ィ匕がゼロに近い。よって、隣接トラックからの漏れ 信号によるクロストークを充分に小さく抑えることが可能となる。そして、その結果、高 密度記録された情報の再生が実現できる。
[0005] 熱アシスト磁気記録再生方法を利用した磁気記録再生装置では、磁気記録媒体の 記録領域または再生領域の温度が、記録再生の安定性や信号品質につながる。よ つて、磁気記録媒体を加熱するための発熱手段の制御が重要である。
[0006] 例えば、特許文献 2:日本国公開特許公報「特開 2002— 298301号公報(平成 14 年 10月 11日公開)」には、磁気記録媒体を加熱するための発熱手段の制御方法とし て、予め決められた特定のデータを書込み、書き込まれたデータを再生し、読取り結 果と書き込むべき特定データとを比較し、記録が成功した場合の装置内部の温度と 発熱手段の制御情報とをメモリに記録して、発熱手段を制御するときの参考にすると いう内容が開示されている。
[0007] し力しながら、特許文献 1に開示の上記従来の記録再生方法および特許文献 2に 開示の従来の熱アシスト磁気記録再生方法のように、半導体レーザまたは発光ダイ オードなどの化合物半導体光源を使用する場合には、以下のような問題点がある。 化合物半導体光源として、半導体レーザを例にとって上記問題点の説明を行う。
[0008] 半導体レーザには、レーザ発振する駆動電流、すなわち、閾値電流がある。しかし 、上記閾値電流は、温度に依存して変化することが知られている。従って、特許文献 2に開示の熱アシスト磁気記録再生方法のように、試行記録ごとに、熱アシスト磁気 記録再生装置内部のメモリに上記装置内部の温度と発熱手段の制御情報とを記録 したとしても、温度は上記装置を駆動することによって時々刻々と変化するものである ので、膨大な試行記録を経ない限り、上記の閾値電流の変化には対応できないとい う問題点がある。以下に一例を挙げてさらに詳細な説明を行う。
[0009] 上記装置の使用温度範囲を、例えば— 20°Cから + 85°Cの範囲とする。また、上記 装置の光源として使用する半導体レーザは、波長が 658nmとする。そして、温度が 2 5°Cの場合の閾値電流は 25mA、閾値電流の温度依存性 Atは 0. 3mAZ°C、スロ ープ効率 (レーザ発振後の駆動電流と光出力との関係)は 0. 55mWZmAと仮定す る。
[0010] ここで、上記装置内の温度が、 25°Cから 30°Cへと 5°C上昇した場合、半導体レー ザの閾値電流は 1. 5mA大きくなるため、定電流駆動で半導体レーザを駆動してい る場合には、光出力は 0. 83mWも低下する。その一方で、磁気記録媒体に信号を
記録するために必要な光出力は 0. lmWし力低下しない。これは、以下のような計算 に基づいている。
[0011] 例えば、上記装置内部の温度が 25°Cとし、信号を記録する際の磁気記録媒体の 温度を 200°Cであるとする。上記装置内部の温度と同じ 25°Cとなっている磁気記録 媒体を、半導体レーザの光出力 3mWで加熱して 200°Cに昇温できるとすれば、上 記装置内部の温度が 30°Cの場合には、磁気記録媒体の昇温量は 175°Cから 170 °C (175°Cに対して— 3%)と減少する。よって、単純計算では、磁気記録媒体の昇 温に必要な半導体レーザの光出力も、 3mWに対して 3%である 2. 9mWとなる。 その結果、磁気記録媒体に信号を記録するために必要な光出力は 0. lmWし力低 下しない。
[0012] つまり、上記装置内の温度変化があるのにもかかわらず、一定の駆動電流で半導 体レーザを駆動した場合、磁気記録媒体に信号を記録するために必要な光出力の 低下の割合よりも大きい割合で半導体レーザの光出力の低下が生じる。よって、磁気 記録媒体に信号を記録するための、半導体レーザ力 の光出力が不足することにな る。すなわち、磁気記録媒体の温度上昇が不十分となって、所望の記録、または再 生品質を確保できないことになる。
[0013] 上述のように、半導体レーザおよび発光ダイオードなどの化合物半導体光源には、 光出力の温度依存性がある。従って、ユーザーが磁気記録媒体に信号を記録しょう とする度に、試行記録によって発熱手段の制御情報を探索すると、試行記録に非常 に多くの時間を費やすことになる。また、試行記録を開始する際の光出力が、磁気記 録媒体に記録を行うのに最適な条件と大きく異なる可能性もある。そして、試行記録 を開始する際の光出力が、磁気記録媒体に記録を行うのに最適な条件よりも大きす ぎた場合には、磁気記録媒体力もユーザーデータを誤消去してしまう恐れもある。
[0014] また、化合物半導体光源の光出力の温度依存性による問題点に対して、化合物半 導体光源からの光出力を受光素子で受光することによって、温度変化に対する光出 力の変化に対応する方法も考えられなくもない。しかし、近年、記録再生ヘッドはま すます小さくなつており、化合物半導体光源と一体ィ匕した記録再生ヘッドでは、受光 素子を記録再生ヘッドに搭載することは困難となることが予想される。
発明の開示
[0015] 本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、温度変 化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒体に対して適切に行 わせることが容易に可能な発熱量制御装置、そのプログラムおよび記録媒体、磁気 ディスク装置ならびに発熱量制御方法を提供することにある。
[0016] 本発明の発熱量制御装置は、上記課題を解決するために、磁気記録媒体の記録 領域を発熱手段によって加熱し、記録ヘッドによって磁気記録媒体への情報の記録 を行うとき、または磁気記録媒体の再生領域を発熱手段によって加熱し、再生ヘッド によって情報の再生を行うときのうちの少なくとも一方の、上記発熱手段による磁気 記録媒体の発熱量の制御を行う発熱量制御装置であって、温度ごとに所定の発熱 量となるように、発熱手段による発熱量を制御するための発熱量制御情報が対応付 けられており、温度検出手段力 得られる温度の情報に対して予め対応付けられた 上記発熱量制御情報に応じて、上記発熱手段による発熱量を制御する第 1演算手 段を備えている。
[0017] 上記の発明によれば、温度検出手段力 得られる温度の情報に対して予め対応付 けられた発熱量制御情報に応じて第 1演算手段が発熱手段の発熱量を制御するの で、上記所定の発熱量を、磁気記録媒体の適切な加熱を行う発熱量とすれば、温度 変化によって磁気記録媒体の記録領域または再生領域を加熱する発熱手段を制御 する発熱量制御情報が変化する場合でも、温度変化に応じた発熱量制御情報を設 定することを可能にする。そして、温度変化に応じた発熱量制御情報によって、上記 発熱手段による発熱量の指示が行われるので、磁気記録媒体の記録領域または再 生領域を過度に昇温させることによって生じる、記録された情報の誤消去を、防止す ることが可能となる。つまり、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒体に 対して適切に行わせることが可能になる。また、上述のように磁気記録媒体に対する 記録または再生を適切に行うことができるので、テストライトまたはテストリードを行うこ とによって磁気記録媒体に対する記録または再生に適切な発熱量制御情報を調べ るような手間が必要でなくなる。
[0018] さらに、テストライトまたはテストリードを行う場合でも、適切な発熱量制御情報と第 1
演算手段によって決定された発熱量制御情報をもとにしてテストライトまたはテストリ ードを行うことができるので、テストライトまたはテストリードの試行回数を減らすことが できる。よって、発熱手段の発熱量制御情報を決定するための時間を短縮することが 可能となる。
[0019] その結果、温度変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒 体に対して適切に行わせることを容易に可能にすることができる。
[0020] また、本発明の発熱量制御方法は、上記課題を解決するために、発熱手段によつ て磁気記録媒体の記録領域を加熱し、記録ヘッドによって磁気記録媒体への情報 の記録を行う記録工程、または発熱手段によって磁気記録媒体の再生領域を加熱し た後に、再生ヘッドによって情報の再生を行う再生工程のうちの少なくとも一方のェ 程中の上記発熱手段による磁気記録媒体の発熱量の制御を行う発熱量制御方法で あって、温度検出手段によって温度の情報を検出する温度検出工程と、第 1演算手 段によって、上記温度検出手段力 得られる温度の情報に対して予め対応付けられ た上記発熱量制御情報に応じて上記発熱手段による発熱量を制御する第 1演算ェ 程とを含んでいる。
[0021] 上記の発明によれば、温度変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を 磁気記録媒体に対して適切に行わせることを容易に可能にすることができる。
図面の簡単な説明
[0022] [図 1]本発明における発熱量制御装置の機能ブロック図である。
[図 2]本発明における磁気記録再生装置の概略的構成を示す図である。
[図 3]上記磁気記録再生装置のコントローラの概略的構成を示す図である。
[図 4]上記磁気記録再生装置の記録再生ヘッドの概略的構成を示す図である。
[図 5]上記時期記録再生装置の記録ヘッドの概略的構成を示す図である。
[図 6(a)]上記記録再生ヘッドの半導体レーザに投入する駆動電流の波形を示す図で ある。
[図 6(b)]上記記録ヘッドの金属細線部に投入する高周波信号電流の波形を示す図 である。
[図 7]上記発熱量制御装置の動作フローを説明するフローチャートである。
[図 8]本発明における磁気記録再生装置を、外部装置であるパーソナルコンピュータ 内部に備えた場合の概略的構成を示す図である。
[図 9]本発明における発熱量制御装置の、他の実施の形態を示す機能ブロック図で ある。
[図 10]本発明の他の実施の形態における上記発熱量制御装置の、動作フローを説 明するフローチャートである。
[図 11]本発明における発熱量制御装置の、さらに他の実施の形態を示す機能ブロッ ク図である。
[図 12]本発明のさらに他の実施の形態における上記発熱量制御装置の、動作フロー を説明するフローチャートである。
[図 13]本発明における発熱量制御装置の、さらに他の実施の形態を示す機能ブロッ ク図である。
[図 14]本発明のさらに他の実施の形態における上記発熱量制御装置の、動作フロー を説明するフローチャートである。
発明を実施するための最良の形態
[0023] 〔第 1の実施の形態〕
本発明の一実施形態にっ 、て図 1な 、し図 8に基づ 、て説明すれば、以下の通り である。最初に、図 2を用いて磁気記録再生装置 (磁気ディスク装置) 1の構成の概 要について説明を行う。図 2は本実施の形態における磁気記録再生装置 1の構成を 示すブロック図である。
[0024] 本実施の形態における磁気記録再生装置 1は、図 2に示すように、コントローラ 10、 温度センサ (温度検出手段) 13、記録再生ヘッド 14、記録 Z再生信号処理部 15、発 熱量制御情報保持部 (発熱量制御情報保持手段) 16、命令部 (命令手段) 17、サス ペンション 18、およびスピンドルモータ(回転手段) 19を備えている。また、磁気記録 媒体 3は、スピンドルモータ 19に固定して取り付けられている。なお、磁気記録媒体 3 はスピンドルモータ 19に着脱自在に取り付けられて 、てもよ!/、。
[0025] コントローラ 10は、図 3に示すように記録 Z再生信号処理部制御装置 11および発 熱量制御装置 12を備えている。記録 Z再生信号処理部制御装置 11は、記録 Z再
生信号処理部 15の制御をするものである。
[0026] また、発熱量制御装置 12は、温度センサ 13から得られる温度の情報に基づいて、 発熱量制御情報保持部 16に対して照会を行い、温度センサ 13から得られた該温度 の情報に対応した発熱量制御情報を判定するものである。さらに、発熱量制御装置 12は、判定した発熱量制御情報に応じて後述する発熱部 20中の半導体レーザ 23 での光出力の大きさの指示を後述する命令部 17を通して行うものである。なお、発熱 量制御情報とは、上記半導体レーザ 23に投入され光出力の大きさを決める駆動電 流値である。つまり、磁気記録媒体 3の記録領域または再生領域の加熱量を決定す る情報である。
[0027] 温度センサ 13は、磁気記録再生装置 1内部の温度を計測することが可能となって いるものである。そして、温度センサ 13からの出力(温度の情報)は、コントローラ 10 のうちの後述する発熱量制御装置 12に入力される。従って、温度センサ 13によって 磁気記録再生装置 1内部の温度を計測することが可能となっている。
[0028] 記録再生ヘッド 14は、図 4に示すようにスライダ 21、再生ヘッド 22、半導体レーザ( 光源) 23、屈折率分布型レンズ 24、および記録ヘッド 25がー体ィ匕されたものである。 また、半導体レーザ 23、屈折率分布型レンズ 24、および記録ヘッド 25は、発熱部( 発熱手段) 20を構成して 、る。
[0029] スライダ 21は、記録再生ヘッド 14を磁気記録媒体 3上に空間をもって浮上させるも のである。再生ヘッド 22は磁気記録媒体 3に記録されて 、る情報を読み取るもので あって、 TMR素子を備えている。また、半導体レーザ 23は光源であって、光を出射 するものである。そして、屈折率分布型レンズ 24は GRINレンズとも呼ばれ、光^^ 光するものである。また、記録ヘッド 25は、磁気記録媒体 3に情報を記録するもので あって、図 4に示すように U字型の屈曲部を有する細線構造体である金属細線部 26 を備えている。
[0030] 図 5は発熱部 20の構成図である。光源である半導体レーザ 23から出射される光は 、屈折率分布型レンズ 24によって記録ヘッド 25に集光されるよう発熱部 20は構成さ れている。また、半導体レーザ 23に閾値電流以上の駆動電流を投入することによつ て、半導体レーザ 23がレーザ発振し、半導体レーザ 23から記録ヘッド 25に向けて
光を発する構成になっている。閾値電流とは、半導体レーザ 23がレーザ発振する駆 動電流のことである。
[0031] 記録ヘッド 25は、上述したように金属細線部 26を備えている。そして、記録する情 報に対応した高周波信号電流が金属細線部 26に対して投入されることによって、金 属細線部 26の周囲に磁気記録媒体 3の面法線方向と平行な磁界を発生させること ができる。また、半導体レーザ 23から発せられた光が金属細線部 26に照射されると 、金属細線部 26の磁気記録媒体面側に近接場光と呼ばれる光が発生する。近接場 光とは、物質に光を照射したときに物質表面に生じる光であって、伝播せず物質表 面のごく限られた近傍にのみ局在する光である。よって、金属細線部 26の磁気記録 媒体面側に発生した近接場光により、磁気記録媒体 3を加熱することが可能になる。 以上のように、記録ヘッド 25は、記録ヘッド 25によって発生される磁界と近接場光と の働きによって、磁気記録媒体 3に情報を記録する構成になっている。
[0032] 再生ヘッド 22は、上述したように TMR素子を備え、磁気抵抗効果を有して!/、る。そ して、センサ電流を TMR素子に投入することによって、磁気記録媒体 3に記録された 信号を再生するものとする。
[0033] 記録 Z再生信号処理部 15は、記録時には、記録する情報を高周波信号電流に変 換するものである。上記記録する情報は、記録 Z再生信号処理部制御装置 11から 送られてくるものである。そして、記録 Z再生信号処理部 15は上記高周波信号電流 を記録ヘッド 25へと送る。また、記録 Z再生信号処理部 15は、再生時には、再生へ ッド 22より再生された高周波信号電流を復調してデジタル信号化するものである。
[0034] 発熱量制御情報保持部 16は、フラッシュメモリで構成されている。そして、磁気記 録再生装置 1の製造時に、複数の温度の情報と上記複数の温度に対応した発熱量 制御情報とがそれぞれ対応づけられて格納 (記録)されている。ここで言うところの発 熱手段とは、発熱部 20のことである。また、発熱量制御情報とは、磁気記録媒体 3を 所定の温度まで加熱するために必要な近接場光の強度を制御するための、半導体 レーザ 23の駆動電流値の情報である。
[0035] つまり、発熱量制御情報保持部 16には、予め、磁気記録再生装置 1の使用温度範 囲の各温度での半導体レーザ 23の駆動電流値と対応する各温度とが磁気記録再
生装置 1の製造時に記録されている。製造時に行われる半導体レーザ 23の駆動電 流値の決定方法は以下の通りである。
[0036] 半導体レーザ 23は、その製造ばらつきにより閾値電流がそれぞれ異なっている。よ つて、磁気記録再生装置 1に備えられた複数の記録ヘッド 25に備えられた半導体レ 一ザ 23の個数分だけ発熱量制御情報を取得し、発熱量制御情報保持部 16に格納 する必要がある。発熱量制御情報は、温度条件を変更可能な恒温槽に磁気記録再 生装置 1を設置し、磁気記録再生装置 1の使用温度範囲において温度を変化させ、 下記の手順によって半導体レーザ 23の駆動電流値を決定することによって得ること ができる。
[0037] まず、半導体レーザ 23には所定の駆動電流を投入し、記録ヘッド 25に光を照射す る。続いて、記録ヘッド 25の金属細線部 26に基準信号の記録を行うことができるだ けの量の所定の高周波信号電流を投入し、磁気記録媒体 3に基準信号の記録を行 う。そして、再生ヘッド 22によって信号の再生を行って、信号評価指数を計測する。 例えば、上記所定の駆動電流としては、上記恒温槽の温度に対応した半導体レーザ 23の閾値電流より大きぐかつ、上記恒温槽の温度において良好な記録が可能であ ると予め実験により測定された、半導体レーザ 23の駆動電流よりも小さな駆動電流を 用いる。記録する基準信号としては、例えば、単一周波数の信号、またはランダム信 号と呼ばれる信号の周波数をランダムに変化させた信号などがある。上記信号評価 指数としては、基準信号波形と再生波形との比較、ジッター値、エラーレート、または 信号振幅値などがある。また、基準信号波形と再生波形との比較を信号評価指数と する場合には、離散サンプリングデータの誤差二乗平均値 (波形の各サンプリングデ ータ点の出力値の差の二乗の平均値)を用いる。
[0038] 続いて、信号評価指数の値が基準値に満たない場合には、半導体レーザ 23に投 入する駆動電流値を変化させて駆動電流値を大きくし、再度記録を行う。ここで言うと ころの信号評価指数の基準値とは、どのような評価値を信号評価指数とするかによつ て異なる値である。基準信号波形と再生波形との比較の結果の誤差二乗平均値、ジ ッター値、またはエラーレートを信号評価指数とする場合は、予め決めた基準値以下 に信号評価指数の値がなればよぐ信号振幅値を信号評価指数とする場合は、予め
決めた基準値以上に信号評価指数の値がなればよい。また、基準値とは、ある「基準 値」以上の信号評価指数が得られる信号であれば、エラー訂正等の信号処理の後 にバーストエラーを発生しない、つまり、誤ったデータとして読み取らないということが 保証できる値として任意に設定する値である。
[0039] そして、信号評価指数の値が基準値に達した段階で、温度センサ 13の温度の情報 と、駆動電流値を発熱量制御情報保持部 16に記録する。半導体レーザ 23に投入す る駆動電流は図 6 (a)に示すような一定値の駆動電流であり、金属細線部 26に投入 する高周波信号電流の電流波形は図 6 (b)に示すような波形のものである。なお、図 6 (b)に示した電流波形は単一周波数の記録マークを連続して記録する場合の電流 波形であり、記録マーク長の異なる(周波数の異なる)信号を連続的に記録する場合 には、記録マーク長に応じた電流波形となる。図 6 (b)には矩形波による高周波信号 電流の電流波形を示したが、高周波信号電流の電流波形としてはサイン波、または 任意の電流波形のものであってもよい。また、半導体レーザ 23に投入する駆動電流 値は、記録マーク長に応じて変化させても良い。その場合には、発熱量制御情報保 持部 16には、記録マーク長 (周波数)ごとに、温度と駆動電流値の情報とを記録する ことになる。
[0040] 命令部 (命令手段) 17は、光源である半導体レーザ 23に発熱量制御情報としての 駆動電流値を投入するものである。
[0041] サスペンション 18は、例えばステンレス製であって磁気記録再生装置 1に取り付け られている。また、サスペンション 18は、磁気記録再生装置 1に取り付けられている部 分とは別の部分に、記録再生ヘッド 14が取り付けられている。そして、サスペンション 18は、スピンドルモータ 19に取り付けられる磁気記録媒体 3の面に対して、記録再 生ヘッド 14が空間をもって浮上するようにしている。
[0042] スピンドルモータ 19は、コントローラ 10からの信号によって回転数の制御が行われ ており、角速度一定で磁気記録媒体 3を回転させるものである。
[0043] 磁気記録媒体 3は、加熱することにより保磁力が低下する磁性材料を、ガラス基板 上に成膜した熱アシスト記録媒体である。磁気記録媒体 3上に磁性膜を形成するた めの上記磁性材料としては TbFeCoなどがある。磁性膜の記録再生ヘッド 14側の面
には、磁性膜を保護するために、厚さが数 nmの A1N、 CN膜が成膜されている。そし て、 CN膜上には潤滑剤が塗布されている。磁気記録媒体 3に対して情報を記録す る際には、発熱部 20によって磁気記録媒体 3を加熱し、記録ヘッド 25によって情報 を記録する。
[0044] 本発明の磁気記録再生装置 1には、複数の磁気記録媒体 3が備えられている。ま た、各磁気記録媒体 3の両面には、磁性膜が成膜されている。そして、各々の磁性膜 の膜面と対向するように複数の記録再生ヘッド 14が配置されている。従って、記録 Z 再生信号処理部 15、発熱量制御情報保持部 16、および命令部 17は、それぞれ複 数の記録再生ヘッド 14に対応することになる。
[0045] 次に、図 1を用いて本実施の形態における発熱量制御装置 12の構成について説 明を行う。図 1は本実施の形態における発熱量制御装置 12の機能ブロック図である
[0046] 発熱量制御装置 12は、図 1に示すように、第 1演算部 (第 1演算手段) 41を備えて いる。
[0047] 第 1演算部 41は、温度センサ 13から得られる温度の情報に基づいて、所定の手順 に従って演算するものである。詳しくは、上記演算は、温度センサ 13から得られる温 度の情報をもとに、発熱量制御情報保持部 16に照会を行い、該温度の情報に対応 する発熱量制御情報を判定するものである。そして、第 1演算部 41で求められた駆 動電流値は、命令部 17に送られる。
[0048] 次に、磁気記録再生装置 1での、温度に応じた情報の記録方法について説明する 。磁気記録媒体 3に情報を記録する際には、磁気記録再生装置 1内部の温度の情 報を、発熱量制御装置 12が温度センサ 13から得る。発熱量制御装置 12は、温度の 情報を発熱量制御情報保持部 16に照会し、該温度の情報に対応した発熱量制御 情報を得る。そして、発熱量制御情報、すなわち半導体レーザ 23に投入する駆動電 流値を命令部 17に送る。このとき、記録 Z再生信号処理部制御装置 11は、磁気記 録媒体 3に記録する情報を記録 Z再生信号処理部 15に送る。そして、記録 Z再生 信号処理部 15は、該記録する情報を記録ヘッド 25に投入する高周波信号電流に変 換し、記録ヘッド 25へと送る。
[0049] 命令部 17は、記録再生ヘッド 14に備えられた半導体レーザ 23に発熱量制御装置 12によって判定された駆動電流値を投入する。そして、半導体レーザ 23は該駆動電 流値に応じた光出力の光を記録ヘッド 25へと照射し、近接場光を発生させる。その 結果、近接場光によって磁気記録媒体 3が加熱される。また、記録 Z再生信号処理 部 15から記録ヘッド 25に投入された高周波信号電流は、磁界を磁気記録媒体 3上 に発生させて、磁気記録媒体 3に情報を記録する。
[0050] 磁気記録再生装置 1での、温度に応じた情報の再生方法について説明する。
[0051] 磁気記録媒体 3から情報を再生する際には、磁気記録再生装置 1内部の温度の情 報を、発熱量制御装置 12が温度センサ 13から得る。発熱量制御装置 12は、温度の 情報を発熱量制御情報保持部 16に照会し、該温度の情報に対応した発熱量制御 情報を得る。そして、発熱量制御情報、すなわち半導体レーザ 23に投入する駆動電 流値を命令部 17に送る。
[0052] 命令部 17は、記録再生ヘッド 14に備えられた半導体レーザ 23に発熱量制御装置 12によって判定された駆動電流値を投入する。そして、半導体レーザ 23は該駆動電 流値に応じた光出力の光を記録ヘッド 25へと照射し、近接場光を発生させる。その 結果、近接場光によって磁気記録媒体 3が加熱される。また、記録 Z再生信号処理 部 15では、再生ヘッド 22より再生された高周波信号電流を復調してデジタル信号化 し、磁気記録媒体 3上に記録された情報を再生する。
[0053] 次に、図 7を用いて、本実施の形態における発熱量制御装置 12での動作フローに ついて説明を行う。
[0054] まず、ステップ S1では、磁気記録再生装置 1内部の温度の情報を温度センサ 13か ら第 1演算部 41が取得する。続いて、ステップ S2では、取得した該温度の情報に基 づいて、発熱量制御情報保持部 16に対して第 1演算部 41が照会を行う。そして、ス テツプ S3では、該温度の情報に対応した半導体レーザ 23への駆動電流値を第 1演 算部 41が判定する。さらに、ステップ S4では、第 1演算部 41で判定した駆動電流値 を命令部 17に送る。
[0055] なお、本実施の形態においては、発熱量制御装置 12が命令部 17を備えていない 構成になっている力 必ずしもこれに限定されず、例えば、発熱量制御装置 12が命
令部 17を備えて ヽる構成とすることも可能である。
[0056] また、本実施の形態では、温度センサ 13を磁気記録再生装置 1内部に備えたもの について説明した力 例えば、図 8に示すように、磁気記録再生装置 1の外部に温度 センサ (温度検出手段) 33を備えていてもよい。磁気記録再生装置 1の外部に温度 センサ 33を備える場合の具体的な構成については、以下に述べる。
[0057] 図 8に示すように、磁気記録再生装置 1は、磁気記録再生装置 1に備えられた信号 入出力端子 31を介して外部装置であるパーソナルコンピュータ 2に接続されている。 この場合、パーソナルコンピュータ 2に内蔵されたマザ一ボード 32に備えられた温度 センサ 33からの温度の情報を磁気記録再生装置 1が取り込み、該温度の情報に基 づ 、て、発熱量制御装置 12が半導体レーザ 23への駆動電流値の判定を行う。
[0058] 磁気記録再生装置 1の外部に温度センサ 33を備える構成にする場合には、磁気 記録再生装置 1内部の温度とパーソナルコンピュータ 2内部の温度との差を予め測 定しておき、磁気記録再生装置 1内部の温度とパーソナルコンピュータ 2内部の温度 と発熱量制御情報 (駆動電流値)とを対応付けて発熱量制御情報保持部 16に格納 しておけばよい。また、上記対応付けの方法としては上述した磁気記録再生装置 1の 使用温度範囲の各温度での半導体レーザ 23の駆動電流値と対応する各温度とを磁 気記録再生装置 1の製造時に記録する方法と同様にして行えばよ 、。
[0059] また、外部装置はパーソナルコンピュータ 2に限定されるものではなぐ携帯電話ま たは PDAなどの携帯端末、携帯ゲーム機器、 AV録画再生装置、デジタルスチルカ メラ、デジタルムービーカメラなどの様々な情報機器であっても良い。外部装置に備 えられた温度センサ 33を利用することによって、磁気記録再生装置 1に温度センサ を搭載する必要がなくなるので、磁気記録再生装置 1の低コストィ匕が可能である。ま た、温度センサ 33と温度センサ 13とをともに備える構成であってもよい。この場合、 磁気記録再生装置 1内部の温度センサ 13と磁気記録再生装置 1外部の温度センサ 33とをそれぞれ利用し、磁気記録再生装置 1内部の温度変化を予測して、発熱量制 御装置 12が半導体レーザ 23への駆動電流値の判定を行ってもよ 、。上記温度変化 の予測としては、温度センサ 13で検出される温度と温度センサ 33で検出される温度 との差分を求めることによって行うことが可能である。例えば、温度センサ 13から検出
した温度に対し、温度センサ 33から検出した温度が低ければ、磁気記録再生装置 1 内部の温度が低下することが予測可能であり、温度センサ 13で検出される温度と温 度センサ 33で検出される温度との差分力 磁気記録再生装置 1内部の温度の低下 の度合いの予測も可能になる。
[0060] なお、本実施の形態にぉ ヽては、記録ヘッド 25および再生ヘッド 22と光源である 半導体レーザ 23がー体ィ匕した構成が示されているが、必ずしもこれに限定されない 。例えば、半導体レーザ 23は記録ヘッド 25と分離されていてもよい。そして、半導体 レーザ 23から出射された光を光ファイバ一、または光導波路を介して記録ヘッド 25 に照射するようにしてもよい。
[0061] また、半導体レーザ 23から出射された光を、直接に磁気記録媒体 3へ照射すること によって、磁気記録媒体 3を加熱する構成であってもよい。さらに、半導体レーザ 23 と磁気記録媒体 3との間にレンズ、屈折率分布型レンズ、または回折型レンズなどを 配置し、光を磁気記録媒体 3に集光する構成にしてもよい。
[0062] 他にも、記録ヘッド 25に光を照射することによって、記録ヘッド 25自体を加熱する 構成であってよい。そして、発熱した記録ヘッド 25の熱によって、磁気記録媒体 3の 記録領域または再生領域を加熱する構成であっても同様の効果が得られる。
[0063] 例えば、図 5に示した記録ヘッド 25の場合でも、金属細線部 26に光を照射している ので、記録ヘッド 25自体にいくらかの発熱がある。よって、記録ヘッド 25の磁気記録 媒体 3に対する浮上量が小さければ、記録ヘッド 25の発熱による磁気記録媒体 3の 加熱効果を見込むことができる。従って、金属細線部 26に光を照射することによって 発生する近接場光を磁気記録媒体 3に照射することにより加熱するとともに、記録へ ッド 25自体が発熱し、その熱によって磁気記録媒体 3を加熱するような複合発熱手 段の場合であっても、発熱量制御情報保持部 16に、予め、複数の温度の情報と上 記複数の温度に対応した発熱量制御情報とを記録しておくことによって、温度変化 に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒体 3に対して適切に行 わせることを容易に可能にする。
[0064] また、本実施の形態においては、発熱量制御情報保持部 16として磁気記録再生 装置 1内部に半導体メモリであるフラッシュメモリを使用する構成になっているが、必
ずしもこれに限定されない。例えば、磁気記録媒体 3を発熱量制御情報保持部 16と しても良い。この場合、半導体メモリが不要となるので、磁気記録再生装置 1の低コス ト化が可能となる。他にも、半導体メモリに発熱量制御情報を記録している場合には 、半導体メモリが故障した場合には発熱量制御情報を読み出すことができなくなるが 、磁気記録再生装置 1に複数の磁気記録媒体 3を備えている場合には、同じ発熱量 制御情報をそれぞれの磁気記録媒体 3に記録しておくことによって、 V、ずれかの磁 気記録媒体 3、または記録再生ヘッド 14が故障したとしても、他の磁気記録媒体 3に 記録されている発熱量制御情報を読み出すことによって、情報の読み出しが可能と なる。
[0065] 以上の構成によれば、温度センサ 13から得た、記録または再生を行う時点での温 度の情報をもとに、発熱量制御情報保持部 16に照会が行われる。そして、発熱量制 御情報保持部 16に記録された、該温度の情報に対応した発熱量制御情報としての 駆動電流値を得ることができる。よって、テストライトまたはテストリードを不要に、もしく は、テストライトまたはテストリードの頻度を少なくすることが可能となる。また、磁気記 録再生装置 1内部の温度が変化した場合でも、温度変化に応じて光源としての半導 体レーザ 23に投入する駆動電流値を、磁気記録媒体 3に対する記録または再生に 適切な値とすることができるので、ユーザーデータの誤消去および記録エラーを防止 することが可能となる。
[0066] 〔第 2の実施の形態〕
本発明の他の実施の形態について図 9および図 10に基づいて説明すれば、以下 の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記第 1の 実施の形態と同じである。また、説明の便宜上、前記の第 1の実施の形態の図面に 示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を 省略する。本実施の形態の発熱量制御装置 12は、前記第 1の実施の形態の構成と は、テストライトおよび Zまたはテストリードを行う第 2演算部 52を備えている点で異な つている。
[0067] まず、テストライトについて説明する。テストライトとは、一般的には、記録媒体 (磁気 記録媒体 3)に信号を記録するための条件を最適化するために、記録するための条
件を変えながら記録媒体に対して記録を行 、、記録した信号を再生して信号の品質 を評価することによって、記録媒体に記録をするための最適な記録条件を決定する ことである。本実施の形態におけるテストライトとは、熱アシスト記録媒体である磁気記 録媒体 3への記録に適した光出力を半導体レーザ 23に行わせることができる駆動電 流値を決定することである。また、本実施の形態における発熱量制御装置 12は、前 記第 1の実施の形態で説明した磁気記録再生装置 1の製造時での発熱量制御情報 の決定手順と同様の手順でテストライトを行う。
[0068] また、テストリードとは、一般的には、記録媒体 (磁気記録媒体 3)に記録された信号 を再生するための条件を最適化するために、再生するための条件を変えながら、記 録媒体に記録された信号を再生し、再生した信号の品質を評価することによって、記 録媒体からの再生をするための最適な条件を決定することである。本実施の形態に おけるテストリードとは、熱アシスト記録媒体である磁気記録媒体 3からの記録の再生 に適した光出力を半導体レーザ 23に行わせることができる駆動電流値を決定するこ とである。
[0069] 次に、図 9を用いて本実施の形態における発熱量制御装置 12の構成について説 明を行う。図 9は本実施の形態における発熱量制御装置 12の機能ブロック図である
[0070] 発熱量制御装置 12は、図 1に示すように、第 1演算部 (第 1演算手段) 51および第 2演算部 (第 2演算手段) 52を備えて 、る。
[0071] 第 1演算部 51は、温度センサ 13から得られる温度の情報に基づいて、所定の手順 に従って演算するものである。詳しくは、上記演算は、温度センサ 13から得られる温 度の情報をもとに、発熱量制御情報保持部 16に温度と、温度に対応した駆動電流 値の情報の照会を行 、、該温度の情報に対応する発熱量制御情報としての駆動電 流値を決定するものである。そして、第 1演算部 51で決定された駆動電流値は、第 2 演算部 52に送られる。
[0072] 第 2演算部 52は、第 1演算部 51から送られる駆動電流値、またはその駆動電流値 より小さな駆動電流値をテストライトおよび Zまたはテストリードの開始に用いて、磁気 記録媒体 3に対する所定のテストライトおよび Zまたはテストリードを行うものである。
そして、第 2演算部 52によるテストライトおよび Zまたはテストリードの結果求められた 駆動電流値が、実際の記録および Zまたは再生に用いる駆動電流値として命令部 1 7に送られる。
[0073] 第 2演算部 52によって行われるテストライトについて以下で説明を行う。
[0074] 第 2演算部 52は、第 1演算部 51から送られた駆動電流値を、まず命令部 17に送り 、半導体レーザ 23を駆動する。そして、記録ヘッド 25の金属細線部 26に光を照射し 、近接場光を発生させ、磁気記録媒体 3を加熱する。また、同時に、記録する情報に 対応した高周波信号電流を記録 Z再生信号処理部 15から得て、記録ヘッド 25の金 属細線部 26に投入させ、磁気記録媒体 3への情報の記録を行わせる。
[0075] 磁気記録媒体 3への情報の記録を行った後、記録した情報の信号の再生を再生へ ッド 22によって行う。そして、例えば再生信号波形を検出し、基準信号波形と比較す ることによって信号評価指数を計測する。基準信号波形と再生波形との比較を信号 評価指数とする場合には、離散サンプリングデータの誤差二乗平均値 (波形の各サ ンプリングデータ点の出力値の差の二乗の平均値)を用いる。信号評価指数としては 、他にジッター値、エラーレート、または信号振幅値などを用いることができる。
[0076] 続いて、信号評価指数の値が基準値に満たない場合には、半導体レーザ 23に投 入する駆動電流値を大きくして再度記録を行う。そして、信号評価指数の値が基準 値に達した段階で、上記段階での温度センサ 13の温度の情報と半導体レーザ 23の 駆動電流値とを発熱量制御情報保持部 16に記録する。ここで言うところの信号評価 指数の基準値とは、どのような評価値を信号評価指数とするかによつて異なる値であ る。基準信号波形と再生波形との比較の結果の誤差二乗平均値、ジッター値、また はエラーレートを信号評価指数とする場合は、予め決めた基準値以下に信号評価指 数の値がなればよぐ信号振幅値を信号評価指数とする場合は、予め決めた基準値 以上に信号評価指数の値がなればよい。また、基準値とは、ある「基準値」以上の信 号評価指数が得られる信号であれば、エラー訂正等の信号処理の後にバーストエラ 一を発生しない、つまり、誤ったデータとして読み取らないということが保証できる値と して任意に設定する値である。
[0077] 次に、第 2演算部 52によって行われるテストリードについて以下で説明を行う。磁気
記録媒体 3が、再生時に記録媒体を加熱する熱アシスト再生媒体である場合には、 テストリードを行うことが好ましい。磁気記録媒体 3には、予めテストリード用の基準信 号が記録されており、テストリードの際には、その信号を再生するものとする。
[0078] 第 2演算部 52は、第 1演算部 51から送られた駆動電流値、またはその駆動電流値 より小さな駆動電流値を、まず命令部 17に送り、半導体レーザ 23を駆動する。そして 、記録ヘッド 25の金属細線部 26に光を照射し、近接場光を発生させ、磁気記録媒 体 3を加熱する。再生時には記録を行わないので、記録ヘッド 25の金属細線部 26に は、記録 Z再生信号処理部 15からの高周波信号電流を投入しない。
[0079] 続いて、テストリード用の基準信号の再生を再生ヘッド 22によって行う。そして、例 えば再生信号波形を検出し、基準信号波形と比較することによって信号評価指数を 計測する。基準信号波形と再生波形との比較を信号評価指数とする場合には、離散 サンプリングデータの誤差二乗平均値 (波形の各サンプリングデータ点の出力値の 差の二乗の平均値)を用いる。信号評価指数としては、他にジッター値、エラーレート 、または信号振幅値などを用いることができる。
[0080] 続いて、信号評価指数の値が基準値に満たない場合には、半導体レーザ 23に投 入する駆動電流値を大きくして再度再生を行う。そして、信号評価指数の値が基準 値に達した段階で、上記段階での温度センサ 13の温度の情報と半導体レーザ 23の 駆動電流値とを発熱量制御情報保持部 16に記録する。また、基準値とは、テストライ トの説明中の基準値と同じものである。
[0081] 次に、図 10を用いて、本実施の形態における発熱量制御装置 12での動作フロー について説明を行う。
[0082] まず、ステップ S11では、磁気記録再生装置 1内部の温度の情報を温度センサ 13 力 第 1演算部 51が取得する。続いて、ステップ S12では、取得した該温度の情報 に基づいて、発熱量制御情報保持部 16に対して第 1演算部 51が照会を行う。そして 、ステップ S13では、該温度の情報に対応した半導体レーザ 23への駆動電流値を 第 1演算部 51が決定する。
[0083] ステップ S14では、第 1演算部 51で判定した駆動電流値を第 2演算部 52に送る。
続いてステップ S15では、第 1演算部 51で判定した駆動電流値を用いて第 2演算部
52によるテストライトまたはテストリードを開始する。そして、ステップ S16では、テスト ライトまたはテストリードの結果得られた磁気記録媒体 3への記録または再生に適切 な駆動電流値を命令部 17に送る。
[0084] 磁気記録媒体 3が、記録時および再生時のともに加熱を必要とする熱アシスト記録 再生媒体である場合は、ステップ S11〜S16のフローを繰り返すことによってテストラ イトとテストリードとの両方を行ってもょ 、。
[0085] また、テストライトまたはテストリードの結果、最適な駆動電流値の値が決定された後 には、磁気記録媒体 3に対する情報の記録または再生を開始するとともに、発熱量 制御情報保持部 16に、最適な駆動電流値の値が得られた時点の温度と最適な駆動 電流値の値とを記録することが好まし ヽ。
[0086] これにより、ー且テストライトまたはテストリードを行った後に、次のテストライトまたは テストリードを行う際に温度と発熱量制御情報とを参照し、テストライトまたはテストリー ド時の温度に応じて、テストライトまたはテストリードの開始条件を設定することが可能 となる。よって、テストライトまたはテストリード時の温度に適したテストライトまたはテス トリードの時間を短縮して行うことが可能となる。
[0087] また、第 2演算部 52は、テストライトまたはテストリードのうちの少なくとも一方を行つ た際の温度の情報を保持するとともに、保持した温度の情報に対して、温度センサ 1 3から得られる温度の情報の値力 所定の値以上の差に達した場合に、前記テストラ イトまたはテストリードのうちの少なくとも一方を再度行うことが好ましい。ここで言うとこ ろの所定の値について以下で説明する。温度変化によって半導体レーザ 23から出 力される光量は変化し、上記光量の変化の影響で、加熱される磁気記録媒体 3の温 度変化量も変化する。磁気記録媒体 3の温度が変化すると、情報が記録される領域 のサイズが変化し、エラーレート上昇またはクロスィレースが発生する。上記所定の値 とは、エラーレート上昇またはクロスィレースによってバーストエラーが発生する可能 性が生じ始める、上記保持した温度力も温度センサ 13から得られる温度までの温度 変化の値である。
[0088] つまり、前回のテストライトまたはテストリード時の温度と現時点での温度との差が所 定の値以上になった場合には、発熱量制御情報保持部 16に発熱量制御情報の履
歴を照会し、該当する温度の履歴情報がある場合には、その履歴情報力 得られる 駆動電流値を半導体レーザ 23に投入する。もし、履歴情報がなければ、次のテストラ イトまたはテストリードを行うことによって、磁気記録再生装置 1内部の温度変化にも 対応することが可能となる。なお、履歴情報とはテストライトまたはテストリードの結果、 発熱量制御情報保持部 16に記録された、過去の発熱量制御情報としての駆動電流 値であって、上記履歴の一部としては、磁気記録再生装置 1の製造時に記録した駆 動電流値も含まれる。
[0089] これにより、本発明の発熱量制御装置 12を用いる磁気記録再生装置 1を長時間動 作させる場合でも、温度の変化に応じてテストライトまたはテストリードが行われるので 、温度の変化に応じた発熱量制御情報に基づいて磁気記録媒体 3に対する記録ま たは再生が行われることになる。よって、より安定した磁気記録媒体 3に対する記録ま たは再生が可能となる。
[0090] また、磁気記録再生装置 1に備えられている信号入出力端子 31を介して、外部装 置 (例えばパーソナルコンピュータ 2)に、テストライトまたはテストリードによって得られ た磁気記録再生装置 1内部の温度の情報と発熱量制御情報としての駆動電流値と を出力することも可能である。これにより、外部装置において磁気記録再生装置 1の 温度および駆動電流値をモニタできるので、ユーザーが磁気記録再生装置 1の状態 を判断し、磁気記録再生装置 1の温度および駆動電流値の状況に応じて磁気記録 再生装置を停止させることなども可能となる。
[0091] さらに、外部装置に出力する情報は、磁気記録再生装置 1の製造時に予め記録さ れた温度と発熱量制御情報としての駆動電流値とであっても良い。例えば、テストラ イトまたはテストリードの結果得られた駆動電流値および温度の情報と予め記録され た駆動電流値および温度の情報の双方を、外部装置を介してモニタし比較すること によって、磁気記録再生装置 1の状況を、より正確に判断することが可能となる。
[0092] また、本実施の形態においては第 1演算部 51および第 2演算部 52の 2つを備える 構成を示している力 これは機能ブロックとして 2つに分割して示しているのであって 、必ずしもこれに限定されない。例えば、第 1演算部 51および第 2演算部 52がそれ ぞれ独立の部材として備えられていてもよいし、第 1演算部 51および第 2演算部 52
力^つの部材として備えられて 、てもよ 、。
[0093] 〔第 3の実施の形態〕
本発明の他の実施の形態について図 11および図 12に基づいて説明すれば、以 下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記第 2 の実施の形態と同じである。また、説明の便宜上、前記の第 1および第 2の実施の形 態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、 その説明を省略する。本実施の形態の発熱量制御装置 12は、前記第 2の実施の形 態の構成とは、補正部 63を備えて 、る点で異なって 、る。
[0094] 最初に、図 11を用いて本実施の形態における発熱量制御装置 12の構成について 説明を行う。図 11は本実施の形態における発熱量制御装置 12の機能ブロック図で ある。
[0095] 発熱量制御装置 12は、図 11に示すように、第 1演算部 (第 1演算手段) 61、第 2演 算部 (第 2演算手段) 62および補正部 (補正手段) 63を備えて ヽる。
[0096] 第 1演算部 61は、温度センサ 13から得られる温度の情報に基づいて、所定の手順 に従って演算するものである。詳しくは、上記演算は、温度センサ 13から得られる温 度の情報をもとに、発熱量制御情報保持部 16に照会を行い、該温度の情報に対応 する発熱量制御情報としての駆動電流値を判定するものである。そして、第 1演算部 61で求められた駆動電流値は、補正部 63に送られる。
[0097] 第 2演算部 62は、補正部 63から送られる駆動電流値をテストライトおよび Zまたは テストリードの開始に用いて、磁気記録媒体 3に対する所定のテストライトおよび Zま たはテストリードを行うものである。そして、第 2演算部 62によるテストライトおよび/ま たはテストリードの結果求められた駆動電流値が、実際の記録および Zまたは再生 に用 ヽる駆動電流値として命令部 17に送られる。
[0098] 補正部 63は、第 1演算部 61から送られた駆動電流値に対して、所定の値を減算す る補正を行うものである。そして、補正を行った駆動電流値を第 2演算部 62に送る。
[0099] 続、て、記録目標のトラックまたは隣接するトラックに記録された信号を必要以上の 光出力によって誤消去することを、防ぐ方法について説明を行う
磁気記録媒体 3に対して情報の記録または再生を行う際には、磁気記録再生装置
1内部の温度の情報を、発熱量制御装置 12が温度センサ 13から得る。発熱量制御 装置 12は、温度の情報を発熱量制御情報保持部 16に照会し、該温度の情報に対 応した発熱量制御情報を得る。そして、発熱量制御情報、すなわち半導体レーザ 23 に投入する駆動電流値を補正部 63に送る。ここで、温度センサで計測された温度に は誤差がある可能性もあるので、第 1演算部 61から得られた、半導体レーザの駆動 電流の値から所定の値を減算する。そして、所定の値を減算した駆動電流値を第 2 演算部 62に送り、テストライトまたはテストリードの開始に半導体レーザ 23に投入する 駆動電流値とする。
[0100] 次に、図 12を用いて、本実施の形態における発熱量制御装置 12での動作フロー について説明を行う。
[0101] まず、ステップ S21では、磁気記録再生装置 1内部の温度の情報を温度センサ 13 力も第 1演算部 61が取得する。続いて、ステップ S22では、取得した該温度の情報 に基づいて、発熱量制御情報保持部 16に対して第 1演算部 61が照会を行う。そして 、ステップ S23では、該温度情報に対応した半導体レーザ 23への駆動電流値を第 1 演算部 61が判定する。さらに、ステップ S24では、第 1演算部 61で判定した駆動電 流値を補正部 63に送る。
[0102] ステップ S25では、第 1演算部 61で判定した駆動電流値に対して所定の値を減算 する補正を補正部 63が行う。続いて、ステップ S26では、補正が行われた駆動電流 値を第 2演算部 62に送る。そして、ステップ S27では、補正部 63で補正が行われた 駆動電流値を用いて第 2演算部 62によるテストライトまたはテストリードを開始する。 そして、ステップ S28では、テストライトまたはテストリードの結果得られた磁気記録媒 体 3への記録または再生に適切な駆動電流値を命令部 17に送る。
[0103] 磁気記録媒体 3が、記録時および再生時のともに加熱を必要とする熱アシスト記録 再生媒体である場合は、ステップ S21〜S28のフローを繰り返すことによってテストラ イトとテストリードとの両方を行ってもょ 、。
[0104] また、本実施の形態においては第 1演算部 61、第 2演算部 62、および補正部 63の 3つを備える構成を示している力 これは機能ブロックとして 3つに分割して示してい るのであって、必ずしもこれに限定されない。例えば、第 1演算部 61、第 2演算部 62
、および補正部 63がそれぞれ独立の部材として備えられていてもよいし、第 1演算部 61、第 2演算部 62、および補正部 63が 1つの部材として備えられていてもよい。
[0105] 以上の構成によれば、必要以上の半導体レーザ 23からの光出力によって、記録目 標のトラック、または隣接するトラックに記録された信号を誤消去する、もしくは磁気記 録媒体 3の損傷することを防ぐことができる。
[0106] 〔第 4の実施の形態〕
本発明の他の実施の形態について図 13および図 14に基づいて説明すれば、以 下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記第 2 の実施の形態と同じである。また、説明の便宜上、前記の第 1および第 2の実施の形 態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、 その説明を省略する。本実施の形態の発熱量制御装置 12は、前記第 2の実施の形 態の構成とは、補正部 63を備えて 、る点で異なって 、る。
[0107] 最初に、図 13を用いて本実施の形態における発熱量制御装置 12の構成について 説明を行う。図 13は本実施の形態における発熱量制御装置 12の機能ブロック図で ある。
[0108] 発熱量制御装置 12は、図 13に示すように、第 1演算部 (第 1演算手段) 71、第 2演 算部 (第 2演算手段) 72および第 3演算部 (第 3演算手段) 74を備えて 、る。
[0109] 第 1演算部 71は、温度センサ 13から得られる温度の情報に基づいて、所定の手順 に従って演算するものである。詳しくは、上記演算は、温度センサ 13から得られる温 度の情報をもとに、発熱量制御情報保持部 16に照会を行い、該温度の情報に対応 する発熱量制御情報としての駆動電流値を判定するものである。そして、第 1演算部 71で求められた駆動電流値は、第 2演算部 72に送られる。
[0110] 第 2演算部 72は、第 1演算部 71から送られる駆動電流値をテストライトおよび Zま たはテストリードの開始に用いて、磁気記録媒体 3に対する所定のテストライトおよび /またはテストリードを行うものである。そして、第 2演算部 72によるテストライトおよび Zまたはテストリードの結果求められた駆動電流値が、実際の記録および Zまたは再 生に用 ヽる駆動電流値として命令部 17に送られる。
[0111] 第 3演算部 74は、第 1演算部 71および第 2演算部 72のそれぞれで判定された駆
動電流値を取得して比較を行うものである。そして、比較の結果、半導体レーザ 23の 劣化度合 ヽが進んで!/ヽた場合は、磁気記録媒体 3の回転数を下げる指示をスピンド ルモータ 19に送る。
[0112] 以下で、半導体レーザ 23の劣化度合いの判定方法についての説明を行う。光源 である半導体レーザ 23が劣化した場合には、急に光を発しなくなる場合もあるが、閾 値電流値が徐々に上昇していく場合もある。その場合、同一温度の条件下では、情 報の記録に必要な光出力は一定であるのに、半導体レーザ 23の駆動電流値は上昇 することになる。従って、磁気記録再生装置 1の製造時に記録された駆動電流値とテ ストライト時の半導体レーザ 23の駆動電流値とを、同一温度、同一記録条件で比較 すれば、半導体レーザ 23の劣化度合いを判定することができる。ここで、同一記録条 件とは、半導体レーザ 23からの光出力が同じとなる記録条件のことで、磁気記録媒 体 3に記録する記録マーク長、磁気記録媒体 3に記録する際の半径位置、または磁 気記録媒体 3の回転数などが異なって 、てもよ 、。
[0113] また、半導体レーザ 23の劣化度合いは、例えば、磁気記録再生装置 1の製造時に 記録される駆動電流値に対しての、劣化度合 、判定時点での駆動電流値の比また は差の大小で判定することができる。通常、半導体レーザ 23の劣化が進んだ場合に は、同一の温度における同一の光出力で発光させる場合の駆動電流値が大きくなる 。よって、例えば、劣化度合い判定時の駆動電流値から、製造時の駆動電流値 (発 熱量制御情報保持部に予め記録された駆動電流値)を引き算した数値を指標値とし 、光源の劣化度合いとすれば良い。なお、光源として半導体レーザ 23を用いる場合 だけでなぐ光源として発光ダイオードを用いる場合においても、発光ダイオードの劣 化が進んだ場合、同一の温度かつ同一の光出力となるように発光させるときの駆動 電流値が大きくなる。よって、半導体レーザ 23の場合と同様に、駆動電流値を光源 の劣化度合いとすればよい。
[0114] 次に、図 14を用いて、本実施の形態における発熱量制御装置 12での動作フロー について説明を行う。
[0115] まず、ステップ S31では、磁気記録再生装置 1内部の温度の情報を温度センサ 13 力 第 1演算部 71が取得する。続いて、ステップ S32では、取得した該温度の情報
に基づいて、発熱量制御情報保持部 16に対して第 1演算部 71が照会を行う。そして 、ステップ S33では、該温度情報に対応した半導体レーザ 23への駆動電流値を第 1 演算部 71が判定する。さらに、ステップ S34では、第 1演算部 71で判定した駆動電 流値を第 2演算部 72に送る。
[0116] ステップ S35では、第 1演算部 71で判定した駆動電流値を用いて第 2演算部 72に よるテストライトまたはテストリードを行う。続いてステップ S36では、第 1演算部 71が 判定した駆動電流値と第 2演算部 72がテストライトまたはテストリードの結果得た駆動 電流値とを第 3演算部 74が取得する。そして、ステップ S37では、取得した駆動電流 値をもとに第 3演算部 74が比較を行う。上記比較としては、第 2演算部 72から取得し た駆動電流値に対して第 1演算部 71から取得した駆動電流値を引き算した値を所 定の値と比較する方法がある。また、第 2演算部 72から取得した駆動電流値と第 1演 算部 71から取得した駆動電流値との比の値を所定の値と比較する方法もある。続い て、ステップ S38では、取得した駆動電流値を第 3演算部 74で比較した結果、所定 の値よりも大き力つた場合 (ステップ S38で Yes)には、半導体レーザ 23の劣化度合 いが進んでいるものとしてステップ S39に移る。また、取得した駆動電流値を第 3演算 部 74で比較した結果、所定の値よりも大きくな力つた場合 (ステップ S38で No)には 、半導体レーザ 23の劣化度合いが進んでいないものとしてステップ S40に移る。ここ で言うところの上記所定の値とは、光源の劣化度合いが、ユーザーがバックアップを とるのに必要な時間が確保できるだけの度合いにある時点での第 2演算部 72から取 得した駆動電流値に対して第 1演算部 71から取得した駆動電流値を引き算した値、 または第 2演算部 72から取得した駆動電流値と第 1演算部 71から取得した駆動電流 値との比の値などである。
[0117] ステップ S39では、スピンドルモータ 19の回転数を下げる(つまり、磁気記録媒体 3 の回転数を下げる)指示が第 3演算部 74によって行われる。次に、ステップ S40では 、上記回転数が所定の回転数になった後、テストライトまたはテストリードを行う。そし て、テストライトまたはテストリードの結果得られた磁気記録媒体 3への記録または再 生に適切な駆動電流値を命令部 17に送る。この場合、光源は劣化が進んでいること 、また、回転数が所定の回転数とは異なっていることから、製造時の温度と駆動電流
値の対応関係が成立しない。従って、テストライトまたはテストリードを開始する駆動 電流値としては、十分小さな値、例えば、 OmAから開始するなどしても良い。
[0118] 磁気記録媒体 3が、記録時および再生時のともに加熱を必要とする熱アシスト記録 再生媒体である場合は、ステップ S31〜S40のフローを繰り返すことによってテストラ イトとテストリードとの両方を行ってもょ 、。
[0119] なお、本実施の形態においては、ステップ S36で第 3演算部 74が第 1演算部 71が 判定した駆動電流値と第 2演算部 72がテストライトまたはテストリードの結果得た駆動 電流値とを取得する構成になっているが、第 1演算部 71が判定した駆動電流値のみ をステップ S33〜ステップ S35までの間に第 3演算部 74が取得してもよい。
[0120] また、発熱量制御情報として、テストライトまたはテストリードによって得られた磁気 記録再生装置 1内部の温度の情報と該温度での駆動電流値とを外部装置 (例えば パーソナルコンピュータ 2)に出力することも可能である。例えば、磁気記録再生装置 1の製造時に記録した磁気記録再生装置 1内部の温度の情報と該温度での駆動電 流値と、テストライトまたはテストリードによって得られた磁気記録再生装置 1内部の温 度の情報と該温度での駆動電流値とを比較することによって、半導体レーザ 23の劣 化度合 、を判定することが可能となる。
[0121] なお、本実施の形態においては、半導体レーザ 23の劣化度合いの判定までを第 3 演算部 74で行う構成になっている力 必ずしもこれに限らない。例えば、第 3演算部 74が第 1演算部 71および第 2演算部 72から取得した駆動電流値の情報を磁気記録 再生装置 1に接続された外部装置に出力し、半導体レーザ 23の劣化度合いの判定 を上記外部装置で行ってもょ 、。
[0122] また、半導体レーザ 23の劣化度合いの判定は、以下のようにユーザーにとって有 益に利用できる。例えば、半導体レーザ 23の劣化度合いの判定の結果、上述したよ うに指標値が所定の値以上だった場合、すなわち、半導体レーザ 23の劣化が進ん でいると判定された場合に、磁気記録媒体 3の回転数 (スピンドルモータ 19の回転数 )を落とすという制御を磁気記録再生装置 1が自動で行うようにしてもよい。または、劣 化度合 、の判定の結果をユーザーに伝達し、ユーザーが磁気記録媒体 3の回転数 ( スピンドルモータ 19の回転数)を落とす判断をしてもよい。磁気記録媒体 3の回転数
を落とすことによって、情報の記録に必要な光出力は小さくてもよくなるので、劣化が 進んだ半導体レーザ 23であっても、情報を記録または再生できる可能性がより増す 。従って、ユーザーに磁気記録媒体 3に記録された情報を磁気記録媒体 3とは他の 磁気記録媒体に複写する猶予を与えることができる。
[0123] また、本実施の形態においては、半導体レーザ 23の劣化度合いが進んでいると判 定された場合に磁気記録媒体 3の回転数 (スピンドルモータ 19の回転数)を落とす構 成になっている力 必ずしもこれに限らない。例えば、半導体レーザ 23の劣化度合 いが進んでいると判定された場合に、コントローラ (再生制御手段) 10の記録 Z再生 信号処理部制御装置 11または記録 Z再生信号処理部 15に再生のみを行わせる指 示を行い、記録と再生とをともに行えるモードのうち、再生のみを行えるモードに磁気 記録再生装置 1を切り替える構成であってもよい。これにより、情報を記録するときに のみ磁気記録媒体 3を加熱する熱アシスト記録方式を用いている場合には、再生の 際には半導体レーザ 23を必要としないので、半導体レーザ 23が劣化したとしても情 報の再生だけは可能になる。つまり、記録/再生モード力も再生モードに切り替えるこ とによって、劣化度合いが進んだ半導体レーザ 23の誤動作により情報を誤消去する 危険を回避することができるとともに、情報の再生は可能であるので、ユーザーに情 報のバックアップを取る猶予を与えることが可能となる。
[0124] また、本実施の形態においては第 1演算部 71、第 2演算部 72、および第 3演算部 7 4の 3つを備える構成を示している力 これは機能ブロックとして 3つに分割して示して いるのであって、必ずしもこれに限定されない。例えば、第 1演算部 71、第 2演算部 7 2、および第 3演算部 74がそれぞれ独立の部材として備えられていてもよいし、第 1 演算部 71、第 2演算部 72、および第 3演算部 74のいずれか 2つの演算部、または 3 つの演算部が 1つの部材として備えられて 、てもよ 、。
[0125] また、本発明の発熱量制御装置 12は、磁気記録媒体 3の記録領域を発熱部 20に よって加熱し、記録ヘッド 25によって磁気記録媒体 3への情報の記録を行うとき、ま たは磁気記録媒体 3の再生領域を発熱部 20によって加熱し、再生ヘッド 22によって 情報の再生を行うときのうちの少なくとも一方の発熱部 20による磁気記録媒体 3の発 熱量の制御を行う発熱量制御装置 12であって、温度ごとに所定の発熱量となるよう
に、発熱部 20による発熱量を制御するための発熱量制御情報が対応付けられてお り、温度センサ 13から得られる温度の情報に対して予め定められた基準で対応付け られた上記発熱量制御情報に応じて、発熱部 20による発熱量を制御する第 1演算 部 41を備えて 、ることが好ま 、。
[0126] 上記の発明によれば、温度センサ 13から得られる温度の情報に対して予め定めら れた基準で対応付けられた発熱量制御情報に応じて第 1演算部 41が発熱部 20の 発熱量を制御するので、上記予め定められた基準を発熱量制御情報に応じて発熱 部 20による磁気記録媒体 3の発熱を行った場合に、磁気記録媒体 3に記録されて ヽ る情報を消去しな 、ように発熱量制御情報を対応付けるものとすれば、温度変化に よって磁気記録媒体 3の記録領域または再生領域を加熱する発熱部 20を制御する 発熱量制御情報が変化する場合でも、温度変化に応じた発熱量制御情報を設定す ることを可能にする。そして、温度変化に応じた発熱量制御情報によって、発熱部 20 による発熱量の指示が行われるので、磁気記録媒体 3の記録領域または再生領域を 過度に昇温させることによって生じる、記録された情報の誤消去を、防止することが 可能となる。つまり、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒体 3に対して 適切に行わせることが可能になる。また、上述のように磁気記録媒体 3に対する記録 または再生を適切に行うことができるので、テストライトまたはテストリードを行うことに よって磁気記録媒体 3に対する記録または再生に適切な発熱量制御情報を調べるよ うな手間が必要でなくなる。
[0127] さらに、テストライトまたはテストリードを行う場合でも、適切な発熱量制御情報と第 1 演算部 41によって決定された発熱量制御情報をもとにしてテストライトまたはテストリ ードを行うことができるので、テストライトまたはテストリードの試行回数を減らすことが できる。よって、発熱部 20の発熱量制御情報を決定するための時間を短縮すること が可能となる。
[0128] その結果、温度変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒 体 3に対して適切に行わせることを容易に可能にすることができる。
[0129] なお、上記予め定められた基準は、発熱量制御情報に応じて発熱部 20による磁気 記録媒体 3の発熱を行った場合に、磁気記録媒体 3に記録されている情報を消去し
ないように発熱量制御情報を対応付けるものに限らない。例えば、発熱量制御情報 に応じて発熱部 20による磁気記録媒体 3の発熱を行った場合に、磁気記録媒体 3に 適切な加熱条件となるように発熱手段制御情報を対応づけるものであってもよぐここ で言うところの「適切な加熱条件」の具体例としては、ジッター値、エラーレート、また は信号振幅値が所望の値になる加熱条件があげられる。ここで言うところの所望の値 とは、上述の基準値のことであり、上記「適切な加熱条件」で磁気記録媒体 3での記 録または再生を行うことによって、記録時または再生時での磁気記録媒体 3に記録さ れて 、る情報の誤消去を防ぐことができる。
[0130] また、本発明の発熱量制御装置 12では、上記予め定められた基準は、上記発熱 量制御情報に応じて発熱部 20による磁気記録媒体 3の発熱を行った場合に、磁気 記録媒体 3に記録されて 、る情報を消去しな!、ように上記発熱量制御情報を対応付 けるものであってもよい。
[0131] これにより、発熱量制御情報に応じて発熱部 20による磁気記録媒体 3の発熱を行 つた場合に、磁気記録媒体 3に記録されて 、る情報を消去しな!、ように発熱量制御 情報が対応付けられるので、温度変化によって磁気記録媒体 3の記録領域または再 生領域を加熱する発熱部 20を制御する発熱量制御情報が変化する場合でも、温度 変化に応じた発熱量制御情報を設定することを可能にする。その結果、温度変化に 応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒体 3に対して行ったときに 、磁気記録媒体 3に記録されて 、る情報が誤消去されなくなる。
[0132] 最後に、発熱量制御装置 12の各ブロック、特に第 1演算部 41 · 51 · 61 · 71、第 2演 算部 52 · 62· 72、補正部 63、第 3演算部 74および命令部 17は、ハードウェアロジッ クによって構成してもよ 、し、次のように CPUを用いてソフトウェアによって実現しても よい。
[0133] すなわち、発熱量制御装置 12は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行 する CPU (central processing unit)、上記プログラムを格納した ROM (read only me mory)、上記プログブムを展開する RAM (random access memory)、上記プログブム および各種データを格納するメモリ等の記憶装置 (記録媒体)などを備えて 、る。そし て、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである発熱量制御装置 1
2の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、 ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、発熱量制 御装置 12に供給し、そのコンピュータ(または CPUや MPU)が記録媒体に記録され て 、るプログラムコードを読み出し実行することによつても、達成可能である。
[0134] 上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッ ピー(登録商標)ディスク Zハードディスク等の磁気ディスクや CD— ROMZMOZ MD/DVD/CD—R等の光ディスクを含むディスク系、 ICカード (メモリカードを含 む) Z光カード等のカード系、あるいはマスク ROMZEPROMZEEPROMZフラッ シュ ROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
[0135] また、発熱量制御装置 12を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラム コードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特 に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、 LAN, ISDN 、 VAN, CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動 体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送 媒体としては、特に限定されず、例えば、 IEEE1394、 USB、電力線搬送、ケープ ル TV回線、電話線、 ADSL回線等の有線でも、 IrDAやリモコンのような赤外線、 B1 uetooth (登録商標)、 802. 11無線、 HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタ ル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的 な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも 実現され得る。
[0136] 本発明によれば、温度検出手段力 得られる温度の情報に対して予め対応付けら れた上記発熱量制御情報に応じて第 1演算手段が発熱手段の発熱量を制御するの で、温度変化に応じた発熱量制御情報を設定することが可能になる。そして、温度変 化に応じた発熱量制御情報によって、上記発熱手段での発熱量の指示が行われる ので、磁気記録媒体の記録領域または再生領域を過度に昇温させることによって生 じる、磁気記録媒体に記録された情報の誤消去を防止することが可能となる。
[0137] また、上述のように磁気記録媒体に対する記録または再生を適切に行うことができ るので、テストライトまたはテストリードを行うことによって磁気記録媒体に対する記録
または再生に適切な発熱量制御情報を調べるような手間が必要でなくなる、またはテ ストライトまたはテストリードの試行回数を減らすことができる。
[0138] したがって、温度変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録 媒体に対して適切に行わせることを容易に可能にすると!/ヽぅ効果を奏する。
[0139] 本発明の発熱量制御装置は、磁気記録媒体の記録領域を発熱手段によって加熱 し、記録ヘッドによって磁気記録媒体への情報の記録を行うとき、または磁気記録媒 体の再生領域を発熱手段によって加熱し、再生ヘッドによって情報の再生を行うとき のうちの少なくとも一方の、上記発熱手段による磁気記録媒体の発熱量の制御を行う 発熱量制御装置であって、温度ごとに所定の発熱量となるように、発熱手段による発 熱量を制御するための発熱量制御情報が対応付けられており、温度検出手段から 得られる温度の情報に対して予め対応付けられた上記発熱量制御情報に応じて、上 記発熱手段による発熱量を制御する第 1演算手段を備えている。
[0140] また、本発明の発熱量制御装置では、前記発熱量制御情報は、前記発熱手段に 含まれる光源の駆動電流値であることが好ま 、。
[0141] これにより、本発明の発熱量制御装置を用いる磁気ディスク装置の製造時に、発熱 量制御情報として光源の駆動電流値を発熱量制御情報保持手段に記録しておけば 、ユーザーが磁気ディスク装置を使用する際に、製造時の発熱量制御情報を読み出 すことによって、発熱手段に含まれる光源の駆動電流値を設定できる。
[0142] また、本発明の発熱量制御装置では、前記発熱手段は、前記光源からの光を前記 記録ヘッドまたは再生ヘッドに照射することによって、前記記録ヘッドまたは再生へッ ドに近接場光を発生させ、上記近接場光を前記磁気記録媒体に照射することによつ て、前記記録領域または再生領域を加熱することが好まし 、。
[0143] なお、通常の光で実現可能な光スポットの小径ィ匕を超える小さな光スポットを近接 場光では実現できる。
[0144] これにより、記録ヘッドまたは再生ヘッドから磁気記録媒体に近接場光が照射され るので、より小さな光スポットを磁気記録媒体上に形成することができる。よって、磁気 記録媒体へのより高密度な情報の記録再生を行うことが可能になる。
[0145] また、本発明の発熱量制御装置では、前記発熱量制御情報に応じて上記発熱手
段に加熱の指示を行う命令手段をさらに備えることが好ましい。
[0146] これにより、同じ駆動電流を与えたとしても、温度に依存して出射される光出力が変 化する半導体レーザのような光源を用 、た場合でも、温度検出手段によって得られ た温度の情報をもとに、半導体レーザの駆動電流を制御することができる。よって、 温度に依存せずに精密に発熱手段を制御することが可能になる。
[0147] また、本発明の発熱量制御装置では、複数の温度の情報と上記複数の温度の情 報に対して予めそれぞれ対応付けられた発熱手段制御情報とを格納している発熱 量制御情報保持手段をさらに備え、上記発熱量制御情報保持手段は、前記磁気記 録媒体であることが好まし 、。
[0148] これにより、本発明の発熱量制御装置を用いる磁気ディスク装置に別途、半導体メ モリのような磁気記録媒体以外の構成を備える必要がなくなるので、磁気ディスク装 置の低コストィ匕が可能となる。
[0149] また、本発明の発熱量制御装置では、複数の温度の情報と上記複数の温度の情 報に対して予めそれぞれ対応付けられた発熱手段制御情報とを格納している発熱 量制御情報保持手段をさらに備え、前記発熱量制御情報保持手段は、前記磁気記 録媒体とは別に設けられていることが好ましい。
[0150] これにより、半導体メモリは情報の再生時に発熱手段による発熱を必要としないの で、発熱量制御情報保持手段から発熱量制御情報を読み出す際に、記録されてい た情報の誤消去が発熱手段による発熱によって生じるような事態を回避することがで きる。
[0151] また、本発明の発熱量制御装置では、前記磁気記録媒体への情報の記録に最適 な発熱量制御情報を判定するテストライト、または上記磁気記録媒体からの情報の 再生に最適な発熱量制御情報を判定するテストリードのうちの少なくとも一方を行う 第 2演算手段をさらに備えていることが好ましい。
[0152] これにより、磁気記録再生装置の温度変化があっても、第 2演算手段によってテスト ライトまたはテストリードを行うので、磁気記録媒体への情報の記録に最適な発熱量 制御情報の判定、または磁気記録媒体力 の情報の再生に最適な発熱量制御情報 の判定のうち少なくとも一方を行うことができ、より適切な発熱手段の発熱量制御情
報を設定することができる。
[0153] また、本発明の発熱量制御装置では、第 2演算手段は、前記テストライトまたはテス トリードのうち少なくとも一方によって得られた前記発熱量制御情報を前記発熱量制 御情報保持手段に格納することが好まし 、。
[0154] これにより、ー且テストライトまたはテストリードを行った後に、次のテストライトまたは テストリードを行う際に発熱量制御情報を参照し、テストライトまたはテストリードの開 始条件を設定することが可能となる。よって、テストライトまたはテストリードに要する時 間を短縮することが可能となる。
[0155] また、本発明の発熱量制御装置では、前記第 2演算手段は、前記テストライトまた はテストリードのうち少なくとも一方によって得られた前記発熱量制御情報とともに、 上記発熱量制御情報が得られた時点での前記温度検出手段から得られた温度の情 報を、前記発熱量制御情報保持手段に格納することが好ま 、。
[0156] これにより、ー且テストライトまたはテストリードを行った後に、次のテストライトまたは テストリードを行う際に温度と発熱量制御情報とを参照し、テストライトまたはテストリー ド時の温度に応じて、テストライトまたはテストリードの開始条件を設定することが可能 となる。よって、テストライトまたはテストリード時の温度に適したテストライトまたはテス トリードを、時間を短縮して行うことが可能となる。
[0157] また、本発明の発熱量制御装置では、前記第 2演算手段は、前記テストライトまた はテストリードのうちの少なくとも一方を行った際の前記温度検出手段力 得られた温 度の情報を保持するとともに、保持した該温度から前記温度検出手段から得られる 温度を引き算した値が、所定の値以上の差に達した場合に、前記テストライトまたは テストリードのうちの少なくとも一方を再度行うことが好ましい。
[0158] なお、上記所定の値とは、上記保持した該温度から上記温度検出手段から得られ る温度までの温度変化によって、連続したエラーであるバーストエラーが発生する可 能性が生じ始めるとしたとき、上記保持した該温度から上記温度検出手段から得られ る温度を差し引 、た値に該当する。
[0159] これにより、本発明の発熱量制御装置を用いる磁気ディスク装置を長時間動作させ る場合でも、温度の変化に応じてテストライトまたはテストリードが行われるので、温度
の変化に応じた発熱量制御情報に基づいて磁気記録媒体に対する記録または再生 が行われることになる。よって、より安定した磁気記録媒体に対する記録または再生 が可能となる。
[0160] また、本発明の発熱量制御装置では、前記第 2演算手段は、前記光源の駆動電流 を変化させて前記記録ヘッドによって磁気記録媒体に情報を記録し、当該情報を前 記記録ヘッドによって再生した再生信号をもとに前記光源の駆動電流を変化させな がら、前記記録ヘッドによる磁気記録媒体への情報の記録に最適な発熱量制御情 報としての駆動電流値を判定することによって、前記テストライトを行うことが好ましい
[0161] これにより、磁気記録媒体に対する記録または再生に適切な発熱量制御情報とし ての駆動電流を設定することが可能となる。
[0162] また、本発明の発熱量制御装置では、前記第 2演算手段は、予め磁気記録媒体に 記録した信号を前記再生ヘッドによって再生する際に、前記再生ヘッドによって再生 した上記情報の再生信号に基づ!/、て、前記再生ヘッドによる磁気記録媒体からの情 報の再生に最適な発熱量制御情報としての駆動電流値を判定することによって、前 記テストリードを行うことが好ましい。
[0163] これにより、磁気記録媒体に対する記録または再生に適切な発熱量制御情報とし ての駆動電流を設定することが可能となる。
[0164] また、本発明の発熱量制御装置では、温度検出手段から得られる温度の情報に基 づいて、第 1演算手段によって決定される発熱量制御情報としての駆動電流の値に 対して、所定の値だけ駆動電流の値力 、さくなるように補正を行う補正手段をさらに 備え、上記補正手段によって補正した駆動電流の値を、前記テストライトまたはテスト リードのうちの少なくとも一方を開始する際の駆動電流の値とすることが好ましい。
[0165] なお、上記所定の値とは、温度センサの測定誤差の範囲、または短時間に生じうる 温度上昇の範囲に基づいて予め設定される値であって、温度の情報に対応する駆 動電流値の値力 上記所定の値だけ補正された場合に、補正された駆動電流値が 磁気記録媒体に対する記録または再生時に必要な駆動電流値を下回らない程度の 値である。
[0166] これにより、温度センサの測定誤差、または短時間での温度上昇などが生じた場合 でも、磁気記録媒体が過剰に加熱されることがなくなる。よって、磁気記録媒体の損 傷および、記録されている信号の誤消去を防止することが可能になる。また、テストラ イトおよびテストリードでは、磁気記録媒体への過剰な加熱による記録の誤消去を防 ぐためには、常に十分に小さな駆動電流の値力もテストライトまたはテストリードを開 始する必要があるのに対して、必要最小限度に小さな駆動電流値の値力もテストライ トまたはテストリードを開始することになる。よって、磁気記録媒体に対する記録また は再生に適切な駆動電流の値を決定するのに要する時間を短くすることができる。
[0167] また、本発明の発熱量制御装置では、前記温度検出手段から得られる温度の情報 に基づいて、前記第 1演算手段によって決定される駆動電流の値と、前記第 2演算 手段によるテストライトまたはテストリードのうちの少なくとも一方によって得られる駆動 電流の値とを比較することによって、前記光源の光出力の低下の度合いとしての劣 化度合 、を判定する第 3演算手段をさらに備えて 、ることが好ま 、。
[0168] これにより、第 1演算手段によって決定される温度検出手段から得られる温度の情 報に対して予め対応付けられた駆動電流の値と第 2演算手段によって実際に判定さ れた上記温度での駆動電流の値とを第 3演算手段によって比較するので、駆動電流 値の変化を光源の劣化度合いの変化として用いることができ、より正確に光源の劣化 度合!ヽを判定することが可能となる。
[0169] また、本発明の発熱量制御装置では、前記第 3演算手段は、前記判定の結果、前 記劣化度合いが所定の値よりも大きくなつた場合に、記録または再生のために磁気 記録媒体を回転させる回転手段に対して、回転数を下げる指示を行うことが好ましい
[0170] なお上記所定の値とは、光源の劣化度合いが、ユーザーがバックアップをとるのに 必要な時間が確保できるだけの度合いにある時点での値である。
[0171] これにより、第 3演算手段によって劣化度合いが所定の値よりも大きくなつたと判定 された場合に回転手段の回転数を下げることになる。そして、回転手段の回転数が 下がることによって磁気記録媒体の回転数が小さくなると、光源によって加熱される 領域への光出力の時間が長くなるので、光源の光出力を小さくなつても磁気記録媒
体への記録または再生をすることが可能になる。よって、光源が完全に破損する前に 、必要最小限の記録または再生を行うことが可能となる。
[0172] また、本発明の発熱量制御装置では、前記第 3演算手段は、前記判定の結果、前 記劣化度合!ヽが所定の値よりも大きくなつた場合に、磁気記録媒体への記録および 再生のうち、磁気記録媒体への再生のみを行わせるように、前記再生ヘッドによる情 報の再生の制御を行って 、る再生制御手段へ指示を行うことが好ま 、。
[0173] なお上記所定の値とは、光源の劣化度合いが、ユーザーがバックアップをとるのに 必要な時間が確保できるだけの度合いにある時点での値である。
[0174] これにより、第 3演算手段によって劣化度合いが所定の値よりも大きくなつたと判定 された場合に再生のみが行えることになる。よって、記録時のみに光源の光を利用し ている場合には、光源が劣化または破損しても、既に記録されている情報の再生を 行うことができる。また、記録時および再生時に光源を使用している場合でも、再生の みに機能を制限することによって、ユーザーが、記録された情報のバックアップをとる ことのできる可能性を増すことができる。
[0175] ところで、上記発熱量制御装置は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコ ンピュータに実行させることによって実現してもよい。具体的には、本発明に係るプロ グラムは、上記発熱量制御装置としてコンピュータを動作させるプログラムであり、本 発明に係る記録媒体には、当該プログラムが記録されて 、る。
[0176] これらのプログラムがコンピュータによって実行されると、当該コンピュータは、上記 発熱量制御装置として動作する。したがって、上記発熱量制御装置と同様に、温度 変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒体に対して適切に 行わせることを容易に可能にする。
[0177] 本発明の磁気ディスク装置は、磁気記録媒体の記録領域を発熱手段によって加熱 し、記録ヘッドによって磁気記録媒体への情報の記録を行うとき、または磁気記録媒 体の再生領域を発熱手段によって加熱した後に、再生ヘッドによって情報の再生を 行う磁気ディスク装置であって、温度検出手段と、複数の温度の情報と上記複数の 温度の情報に対して予めそれぞれ対応付けられた発熱量制御情報とを格納している 発熱量制御情報保持手段と、上記温度検出手段から得られる温度の情報に基づ 、
て、前記発熱量制御情報保持手段に対して照会を行い、上記発熱量制御情報に応 じて上記発熱手段による発熱量を制御する発熱量制御装置とを備え、前記発熱量 制御装置は、前記の!、ずれかに記載の発熱量制御装置である。
[0178] 上記の発明によれば、温度検出手段力 得られる温度の情報に対して予め対応付 けられた発熱量制御情報に応じて第 1演算手段が発熱手段の発熱量を制御するの で、上記所定の発熱量を、磁気記録媒体の適切な加熱を行う発熱量とすれば、温度 変化によって磁気記録媒体の記録領域または再生領域を加熱する発熱手段を制御 する発熱量制御情報が変化する場合でも、温度変化に応じた発熱量制御情報を設 定することを可能にする。そして、温度変化に応じた発熱量制御情報によって、上記 発熱手段による発熱量の指示が行われるので、磁気記録媒体の記録領域または再 生領域を過度に昇温させることによって生じる、記録された情報の誤消去を、防止す ることが可能となる。つまり、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒体に 対して適切に行わせることが可能になる。また、上述のように磁気記録媒体に対する 記録または再生を適切に行うことができるので、テストライトまたはテストリードを行うこ とによって磁気記録媒体に対する記録または再生に適切な発熱量制御情報を調べ るような手間が必要でなくなる。
[0179] さらに、テストライトまたはテストリードを行う場合でも、適切な発熱量制御情報と第 1 演算手段によって決定された発熱量制御情報をもとにしてテストライトまたはテストリ ードを行うことができるので、テストライトまたはテストリードの試行回数を減らすことが できる。よって、発熱手段の発熱量制御情報を決定するための時間を短縮することが 可能となる。
[0180] その結果、温度変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を磁気記録媒 体に対して適切に行わせることを容易に可能にすることができる。
[0181] 本発明の磁気ディスク装置は、磁気記録媒体の記録領域を発熱手段によって加熱 し、記録ヘッドによって磁気記録媒体への情報の記録を行うとき、または磁気記録媒 体の再生領域を発熱手段によって加熱した後に、再生ヘッドによって情報の再生を 行う磁気ディスク装置であって、上記磁気記録媒体の記録領域または再生領域のう ち少なくとも一方を加熱するための発熱手段と、複数の温度の情報と上記複数の温
度の情報に対して予めそれぞれ対応付けられた発熱量制御情報とを格納している発 熱量制御情報保持手段と、温度検出手段から得られる温度の情報に基づいて、発 熱量制御情報保持手段に対して照会を行 、、上記発熱量制御情報に応じて上記発 熱手段による発熱量を制御する発熱量制御装置とを備え前記発熱量制御装置は、 前記のいずれかに記載の発熱量制御装置であるとともに、上記温度検出手段を有 する外部装置に対して、情報のやり取り可能に接続されている。
[0182] 上記の発明によれば、温度変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を 磁気記録媒体に対して適切に行わせることが容易に可能になる。また、磁気ディスク 装置内に温度検出手段を備える必要がなくなるため、磁気ディスク装置を低コストィ匕 およびコンパクトィ匕することが可能となる。
[0183] 本発明の磁気ディスク装置は、磁気記録媒体の記録領域を発熱手段によって加熱 し、記録ヘッドによって磁気記録媒体への情報の記録を行うとき、または磁気記録媒 体の再生領域を発熱手段によって加熱した後に、再生ヘッドによって情報の再生を 行う磁気ディスク装置であって、磁気記録媒体の記録領域または再生領域のうちの 少なくとも一方を加熱するための発熱手段と、温度検出手段と、複数の温度の情報と 上記複数の温度の情報に対して予めそれぞれ対応付けられた発熱量制御情報とを 格納して!/、る発熱量制御情報保持手段と、上記温度検出手段から得られる温度の 情報に基づいて、発熱量制御情報保持手段に対して照会を行い、上記発熱量制御 情報に応じて上記発熱手段による発熱量を制御する発熱量制御装置とを備え、前記 発熱量制御装置は、前記のいずれかに記載の発熱量制御装置であり、第 2演算手 段によるテストライトまたはテストリードによって得られた発熱量制御情報と、上記温度 検出手段によって得られた温度の情報とを外部装置に出力する。
[0184] 上記の発明によれば、温度変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を 磁気記録媒体に対して適切に行わせることが可能になる。また、外部装置によってテ ストライトまたはテストリードによって得られた発熱量制御情報と、温度検出手段によ つて得られるテストライトまたはテストリード時の温度とをモニタすることが可能となる。 よって、発熱手段の劣化度合いをユーザーが知ること、または判断することが可能と なる。
[0185] また、本発明の磁気ディスク装置では、前記発熱量制御情報保持手段に格納され ている、複数の温度の情報と上記複数の温度に対して予めそれぞれ対応付けられた 発熱量制御情報とを、さらに外部装置に出力することが好ましい。
[0186] これにより、テストライトまたはテストリードによって得られた発熱量制御情報にカロえ て、磁気ディスク装置の製造時の発熱量制御情報を得ることが可能になる。よって、 現時点での温度に対応する発熱量制御情報と磁気ディスク装置の製造時に格納し た温度に対応する発熱量制御情報とを比較することが可能となるので、より正確に光 源の劣化度合 、を判断することが可能となる。
[0187] また、本発明の発熱量制御方法は、発熱手段によって磁気記録媒体の記録領域を 加熱し、記録ヘッドによって磁気記録媒体への情報の記録を行う記録工程、または 発熱手段によって磁気記録媒体の再生領域を加熱した後に、再生ヘッドによって情 報の再生を行う再生工程のうちの少なくとも一方の工程中の上記発熱手段による磁 気記録媒体の発熱量の制御を行う発熱量制御方法であって、温度検出手段によつ て温度の情報を検出する温度検出工程と、第 1演算手段によって、上記温度検出手 段力 得られる温度の情報に対して予め対応付けられた上記発熱量制御情報に応 じて上記発熱手段による発熱量を制御する第 1演算工程とを含んでいる。
[0188] また、本発明の発熱量制御方法では、第 2演算手段によって磁気記録媒体への情 報の記録に最適な発熱量制御情報を判定するテストライトを行うテストライト工程、ま たは第 2演算手段によって磁気記録媒体からの情報の再生に最適な発熱量制御情 報を判定するテストリードを行うテストリード工程のうちの、少なくとも一方の工程をさら に含むことが好ましい。
[0189] これにより、磁気ディスク装置の温度変化があっても、第 2演算手段によってテストラ イトまたはテストリードを行うので、磁気記録媒体への情報の記録に最適な発熱量制 御情報の判定、または磁気記録媒体力 の情報の再生に最適な発熱量制御情報の 判定のうち少なくとも一方を行うことができ、より適切な発熱手段の発熱量制御情報を 設定することができる。
[0190] なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなぐ請求項に示した 範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手
段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれ る。
産業上の利用の可能性
本発明の発熱量制御装置、そのプログラムおよび記録媒体、磁気ディスク装置なら びに発熱量制御方法は、温度変化に応じて、記録または再生のうち少なくとも一方を 磁気記録媒体に対して適切に行わせることを容易に可能にする。したがって、本発 明は、熱アシスト記録媒体によって記録および Zまたは再生を行う磁気ディスク装置
、または上記磁気ディスク装置に関連する産業分野に好適に用いることができる。