JP4552983B2 - 熱アシスト磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱アシスト磁気記録方式により信号の書き込みを行う熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)及びこのHGAを備えたハードディスク装置に関する。
ハードディスク装置の高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドのさらなる性能の向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、磁気抵抗(MR)効果素子等の磁気検出素子と電磁コイル素子等の磁気記録素子とを積層した構造である複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられており、これらの素子によって磁気記録媒体である磁気ディスクにデータ信号が読み書きされる。
一般に、磁気記録媒体は、いわば磁性微粒子が集合した不連続体であり、それぞれの磁性微粒子は単磁区構造となっている。ここで、1つの記録ビットは、複数の磁性微粒子から構成されている。従って、記録密度を高めるためには、磁性微粒子を小さくして、記録ビットの境界の凹凸を減少させなければならない。しかし、磁性微粒子を小さくすると、体積減少に伴う磁化の熱安定性の低下が問題となる。
磁化の熱安定性の目安は、KV/kTで与えられる。ここで、Kは磁性微粒子の磁気異方性エネルギー、Vは1つの磁性微粒子の体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。磁性微粒子を小さくするということは、まさにVを小さくすることであり、そのままではKV/kTが小さくなって熱安定性が損なわれる。この問題への対策として、同時にKを大きくすることが考えられるが、このKの増加は、記録媒体の保磁力の増加をもたらす。これに対して、磁気ヘッドによる書き込み磁界強度は、ヘッド内の磁極を構成する軟磁性材料の飽和磁束密度でほぼ決定されてしまう。従って、保磁力が、この書き込み磁界強度の限界から決まる許容値を超えると書き込みが不可能となってしまう。
このような磁化の熱安定性の問題を解決する方法として、Kの大きな磁性材料を用いる一方で、書き込み磁界印加を印加する際に、光源からの光の照射によって記録媒体の一部に熱を加え、保磁力を小さくして磁気記録素子による書き込みを行う、いわゆる熱アシスト磁気記録方式が提案されている(例えば特許文献1〜5参照)。
特開平10−162444号公報 特開2001−255254号公報 特開2004−158067号公報 IEEE Trans. Magn. Vol. 41, p2817(2005) 特開2006−185548号公報
ところで、レーザダイオード等の光源は、同じ電力を投入してもその温度によって出力光の強度が大きく異なってしまう。出力光の強度がばらつくと、十分に記録媒体を加熱できずに書き込みが十分に行えなくなったり、記録媒体が加熱されすぎて意図しない部分にまで書き込みがなされたりして好ましくない。この場合、レーザダイオード等の光源から出力される光の強度を、フォトダイオード等の受光素子により直接モニタして制御することも考えられるが、構成が複雑化して好ましくない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、光源からの光の強度を安定化可能な熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたHGA及びこのHGAを備えたハードディスク装置、及び熱アシスト磁気ヘッド用光源ユニットを提供することを目的とする。
本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、磁界を発生する磁気記録素子、光を供給する光源と、光源の温度を測定する温度センサと、スライダ基板と、前記スライダ基板の媒体対向面とは反対側の面に固定された光源支持基板とを備える。そして、スライダ基板における媒体対向面の側面には、磁気記録素子、及び、媒体対向面とは反対側から光を受け入れて媒体対向面側に導く導波路が設けられている。光源は、光源支持基板の側面に固定されて前記導波路に対して光を供給する。温度センサは、光源支持基板と光源との間に設けられた絶縁層中に設けられている。絶縁層上には電極パッドが設けられ、電極パッド上に前記光源が設けられている。さらに、電極パッドは絶縁層中に設けられたビアホールにより前記光源支持基板と電気的に接続されている
本発明によれば、光源の温度を測定する温度センサを有するので、温度センサからの温度情報に基づいて光源からの光出力を温度によらず一定にすることが容易となる。
このような形態の熱アシストヘッドは、磁気記録素子及び導波路がスライダ基板に固定されたスライダと、光源を光源支持基板に固定された光源ユニットとを別々に製造できるので、磁気記録素子及び導波路の検査及び、光源の取り付け状況の検査を別々に行うことができ、良品同士を組み合わせることにより、全体としての歩留まりの向上を図ることができる。また、光源を固定する光源支持基板に温度センサが固定されているので、この温度センサにより光源の温度を精度よく測定できる。
また、光源と温度センサとをより近く容易に配置することができ、より精度よく光源の温度を測定できる。また、製造も容易である
また、温度センサが測温抵抗体であることが好ましい。これによれば、小型化、薄膜化が容易であり、熱アシスト磁気ヘッドに特に適する。また、温度センサが薄膜であることも好ましい。
本発明にかかるヘッドジンバルアセンブリは、上述の熱アシスト磁気ヘッドと、熱アシスト磁気ヘッドを支持するサスペンションと、を備えたヘッドジンバルアセンブリである。
また、本発明に係るハードディスク装置は、上述のヘッドジンバルアセンブリと、温度センサからの情報に基づいて光源からの光出力を制御する光源制御部と、を備えたハードディスク装置である。
本発明に係る熱アシスト磁気ヘッド用光源ユニットは、光源支持基板と、光源支持基板に固定された光源と、光源の温度を測定する温度センサと、スライダ基板と、前記スライダ基板の媒体対向面とは反対側の面に固定された光源支持基板とを備える。そして、スライダ基板における媒体対向面の側面には、磁気記録素子、及び、媒体対向面とは反対側から光を受け入れて媒体対向面側に導く導波路が設けられている。光源は、光源支持基板の側面に固定されて前記導波路に対して光を供給する。温度センサは、光源支持基板と光源との間に設けられた絶縁層中に設けられている。絶縁層上には電極パッドが設けられ、電極パッド上に前記光源が設けられている。さらに、電極パッドは絶縁層中に設けられたビアホールにより前記光源支持基板と電気的に接続されている
本発明によれば、光源からの光の強度を安定化可能な熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたHGA及びこのHGAを備えたハードディスク装置、及び熱アシスト磁気ヘッド用光源ユニットを提供できる。
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
(ハードディスク装置)
図1は、実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
ハードディスク装置1は、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する複数の磁気記録媒体である磁気ディスク10、熱アシスト磁気ヘッド21をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置12、この熱アシスト磁気ヘッド21のライト及びリード動作を制御し、さらに後に詳述する熱アシスト磁気記録用のレーザ光を発生させる光源であるレーザダイオードを制御するためのリードライト制御回路13を備えている。
アセンブリキャリッジ装置12には、複数の駆動アーム14が設けられている。これらの駆動アーム14は、ボイスコイルモータ(VCM)15によってピボットベアリング軸16を中心にして揺動可能であり、この軸16に沿った方向に積層されている。各駆動アーム14の先端部には、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)17が取り付けられている。各HGA17には、熱アシスト磁気ヘッド21が、各磁気ディスク10の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク10の表面に対向する面が熱アシスト磁気ヘッド21の媒体対向面S(エアベアリング面とも呼ばれる)である。なお、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及び熱アシスト磁気ヘッド21は、単数であってもよい。(HGA)
図2は、HGA17の斜視図である。同図は、HGA17の媒体対向面Sを上にして示してある。
HGA17は、サスペンション20の先端部に、熱アシスト磁気ヘッド21を固着し、さらにその熱アシスト磁気ヘッド21の端子電極に配線部材203の一端を電気的に接続して構成される。サスペンション20は、ロードビーム200と、このロードビーム200上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ201と、フレックシャの先端に板ばね状に形成されたタング部204と、ロードビーム200の基部に設けられたベースプレート202と、フレクシャ201上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材203とから主として構成されている。
なお、HGA17におけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
(熱アシスト磁気ヘッド)
図3は、図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。
熱アシスト磁気ヘッド21は、スライダ22と、光源支持基板230及び熱アシスト磁気記録用の光源となるレーザダイオード40を備えた光源ユニット23とが、スライダ基板220の背面2201及び光源支持基板230の接着面2300を接面させて接着、固定された構成を有している。ここで、スライダ基板220の背面2201は、スライダ22の媒体対向面Sとは反対側の面である。また、光源支持基板230の底面2301がフレクシャ201のタング部204に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤により接着されている。
スライダ22は、スライダ基板220及びデータ信号の書き込み及び読み出しを行う磁気ヘッド部32を備えている。
スライダ基板220は、板状を呈し、適切な浮上量を得るように加工された媒体対向面Sを有する。スライダ基板220は導電性のアルティック(Al−TiC)等から形成されている。
磁気ヘッド部32は、図3及び図4に示すように、スライダ基板220の媒体対向面Sに対して略垂直な側面である集積面2202に形成されている。磁気ヘッド部32は、磁気情報を検出する磁気検出素子としてのMR効果素子33、磁界の生成により磁気情報を書き込む垂直(面内でも良い)磁気記録素子としての電磁コイル素子34、MR効果素子33及び電磁コイル素子34の間を通して設けられている平面導波路としての導波路35、磁気ディスクの記録層部分を加熱するための近接場光を発生させる近接場光発生部(プラズモン・プローブとも呼ばれる)36、及び、これらMR効果素子33、電磁コイル素子34、導波路35及び近接場光発生部36を覆うように集積面2202上に形成されたクラッドとして機能する絶縁層38とを備えている。
更に、磁気ヘッド部32は、図3に示すように、絶縁層38の露出面上に形成され、MR効果素子33の入出力端子にそれぞれ接続された一対の信号端子用の電極パッド371、371、電磁コイル素子34の両端にそれぞれ接続された一対の信号端子用の電極パッド373、373、及び、スライダ基板220と電気的に接続されたグランド用の電極パッド375を備えている。図4に示すように、ビアホール375aを介して、スライダ基板220と電気的に接続された電極パッド375は、フレクシャ201の電極パッド247と、ボンディングワイヤにより接続されており、スライダ基板220の電位は電極パッド247により、例えばグラウンド電位に制御されている。
MR効果素子33、電磁コイル素子34、及び近接場光発生部36の各端面は、媒体対向面S上に露出している。
MR効果素子33は、図4に示すように、MR積層体332と、このMR積層体332を挟む位置に配置されている下部シールド層330及び上部シールド層334とを含む。下部シールド層330及び上部シールド層334は、例えば、フレームめっき法を含むパターンめっき法等によって形成された厚さ0.5〜3μm程度のNiFe、CoFeNi、CoFe、FeN若しくはFeZrN等の磁性材料で構成することができる。上下部シールド層334及び330は、MR積層体332が雑音となる外部磁界の影響を受けることを防止する。
MR積層体332は、面内通電型(CIP(Current In Plane))巨大磁気抵抗(GMR(Giant Magneto Resistance))多層膜、垂直通電型(CPP(Current Perpendicular to Plane))GMR多層膜、又はトンネル磁気抵抗(TMR(Tunnel Magneto Resistance))多層膜等の磁気抵抗効果膜を含み、非常に高い感度で磁気ディスクからの信号磁界を感受する。
MR積層体332は、例えば、TMR効果多層膜を含む場合、IrMn、PtMn、NiMn、RuRhMn等からなる厚さ5〜15nm程度の反強磁性層と、例えば強磁性材料であるCoFe等、又はRu等の非磁性金属層を挟んだ2層のCoFe等から構成されており反強磁性層によって磁化方向が固定されている磁化固定層と、例えばAl、AlCu等からなる厚さ0.5〜1nm程度の金属膜が真空装置内に導入された酸素によって又は自然酸化によって酸化された非磁性誘電材料からなるトンネルバリア層と、例えば強磁性材料である厚さ1nm程度のCoFe等と厚さ3〜4nm程度のNiFe等との2層膜から構成されておりトンネルバリア層を介して磁化固定層との間でトンネル交換結合をなす磁化自由層とが、順次積層された構造を有している。
MR効果素子33と導波路35との間には、下部シールド層330と同様の材料からなる素子間シールド層148が形成されている。素子間シールド層148は、MR効果素子33を、電磁コイル素子34より発生する磁界から遮断して読み出しの際の外来ノイズを防止する役割を果たす。
MR積層体332の媒体対向面Sとは反対側のシールド層330、334間、シールド層330、334、148の媒体対向面Sとは反対側、下部シールド層330とスライダ基板220との間、及び、素子間シールド層148と導波路35との間にはアルミナ等から形成された絶縁層38が形成されている。
なお、MR積層体332がCIP−GMR多層膜を含む場合、上下部シールド層334及び330の各々とMR積層体332との間に、アルミナ等により形成されたアルミナ等の絶縁用の上下部シールドギャップ層がそれぞれ設けられる。さらに、図示は省略するが、MR積層体332にセンス電流を供給して再生出力を取り出すためのMRリード導体層が形成される。一方、MR積層体332がCPP−GMR多層膜又はTMR多層膜を含む場合、上下部シールド層334及び330はそれぞれ上下部の電極層としても機能する。この場合、上下部シールドギャップ層とMRリード導体層とは不要であって省略される。
MR積層体332のトラック幅方向の両側には、磁区の安定化用の縦バイアス磁界を印加するための、CoTa,CoCrPt,CoPt等の強磁性材料からなるハードバイアス層(不図示)が形成される。
電磁コイル素子34は、垂直磁気記録用が好ましく、図4に示すように、主磁極層340、ギャップ層341a、コイル絶縁層341b、コイル層342、及び補助磁極層344を備えている。
主磁極層340は、コイル層342によって誘導された磁束を、書き込みがなされる磁気ディスク(媒体)の記録層まで収束させながら導くための導磁路である。ここで、主磁極層340の媒体対向面S側の端部のトラック幅方向(図4の紙面奥行き方向)の幅及び積層方向(図4の左右方向)の厚みは、他の部分に比べて小さくすることが好ましい。この結果、高記録密度化に対応した微細で強い書き込み磁界を発生可能となる。
主磁極層340に磁気的に結合した補助磁極層344の媒体対向面S側の端部は、補助磁極層344の他の部分よりも層断面が広いトレーリングシールド部を形成している。補助磁極層344は、主磁極層340の媒体対向面S側の端部とアルミナ等の絶縁材料により形成されたギャップ層(クラッド)341a,コイル絶縁層341bを介して対向している。
補助磁極層344は、例えば、厚さ約0.5〜約5μmの、例えばフレームめっき法、スパッタリング法等を用いて形成されたNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されている。
ギャップ層341aは、コイル層342と主磁極層340とを離間しており、例えば、厚さ約0.01〜約0.5μmの、例えばスパッタリング法、CVD法等を用いて形成されたAl又はDLC等から構成されている。
コイル層342は、例えば、厚さ約0.5〜約3μmの、例えばフレームめっき法等を用いて形成されたCu等から構成されている。主磁極層340の後端と補助磁極層344の媒体対向面Sから離れた部分とが結合され、コイル層342はこの結合部分を取り囲むように形成されている。
コイル絶縁層341bは、コイル層342と、補助磁極層344とを離間し、例えば、厚さ約0.1〜約5μmの熱硬化されたアルミナやレジスト層等の電気絶縁材料から構成されている。
図5は、媒体対向面側から見た磁気ヘッド主要部の平面図である。
リーディング側すなわちスライダ基板220側の辺の長さがトレーリング側の辺の長さよりも短い逆台形となるように、媒体対向面S側の主磁極層340の先端は、先細り形状にされている。
主磁極層340の媒体対向面側の端面には、ロータリーアクチュエータでの駆動により発生するスキュー角の影響によって隣接トラックに不要な書き込み等を及ぼさないように、ベベル角θが付けられている。ベベル角θの大きさは、例えば、15°程度である。実際に、書き込み磁界が主に発生するのは、トレーリング側の長辺近傍であり、磁気ドミナントの場合には、この長辺の長さによって書き込みトラックの幅が決定される。
ここで、主磁極層340は、例えば、媒体対向面S側の端部での全厚が約0.01〜約0.5μmであって、この端部以外での全厚が約0.5〜約3.0μmの、例えばフレームめっき法、スパッタリング法等を用いて形成されたNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されていることが好ましい。また、トラック幅は、例えば、100nmとすることができる。
導波路35は、図4に示すように、MR効果素子33と電磁コイル素子34との間に位置していて集積面2202と平行に延びており、磁気ヘッド部32の媒体対向面Sから、磁気ヘッド部32の媒体対向面Sとは反対側の面32aまで延びており、本例では矩形の板状のものである。図5に示すように、導波路35の、トラック幅方向において対向する2つの側面351a,351b、及び、集積面2202と平行な2つの側面352a、側面352bは、導波路35よりも屈折率が小さくコアとしての導波路35に対するクラッドとして機能する絶縁層38と接している。
図4に戻って、導波路35の厚み方向をX軸、幅方向をY軸、長手方向をZ軸とした場合、レーザダイオード40の発光面からZ軸に沿って出射された光は、光入射面354に入射する。導波路35は、光入射面354から入射した光を、その側面で反射させつつ、媒体対向面S側の端面である光出射面353に導くことが可能となっている。図5に示す、導波路35のトラック幅方向の幅W35は例えば、1〜200μmとすることができ、厚みT35は例えば2〜10μmとすることができ、図4に示す高さH35は10〜300μmとすることができる。
導波路35は、何れの部分においても、絶縁層38を形成する材料よりも高い屈折率nを有する、例えばスパッタリング法等を用いて形成された誘電材料から構成されている。例えば、クラッドとしての絶縁層38が、SiO(n=1.5)から形成されている場合、導波路35は、Al(n=1.63)から形成されていてもよい。さらに、絶縁層38が、Al(n=1.63)から形成されている場合、導波路35は、Ta(n=2.16)、Nb(n=2.33)、TiO(n=2.3〜2.55)又はTiO(n=2.3〜2.55)から形成されていてもよい。導波路35をこのような材料で構成することによって、材料そのものが有する良好な光学特性によるだけではなく、界面での全反射条件が整うことによって、レーザ光の伝播損失が小さくなり、近接場光の発生効率が向上する。
近接場光発生部36は、図5に示すように、導波路35の光出射面353に配置されている板状部材である。近接場光発生部36は、図4に示すように、その端面が媒体対向面Sに露出するように導波路35の光出射面353に埋設されている。近接場光発生部36は、図5に示すように、媒体対向面Sから見て三角形状を呈し、導電材料により形成されている。導電材料としては、Au等の金属や合金等が挙げられる。
三角形の底辺36dがスライダ基板220の集積面2202と平行すなわちトラック幅方向と平行に配置され、底辺36dと向き合う尖った尖端部36cが底辺36dよりも電磁コイル素子34の主磁極層340側に配置されており、具体的には、尖端部36cが主磁極層340のリーディング側エッジと対向するように配置されている。近接場光発生板36の好ましい形態は、底辺36dの両端の2つの底角がいずれも同じとされた二等辺三角形である。
近接場光発生部36の三角形の高さH36は、入射されるレーザ光の波長よりも十分に小さく、20〜400nmとすることが好ましい。底辺36dの幅W36は、入射されるレーザ光の波長よりも十分に小さく、20〜400nmとすることが好ましい。先端36cを与える頂点の角度は例えば60度である。
近接場光発生部36の厚みは10〜100nmとすることが好ましい。このような導波路35、近接場光発生部36等は、リフトオフ法等のフォトリソグラフィー技術等を用いて容易に形成できる。
そして、レーザダイオード40からの光が近接場光発生部36に照射されることで主として尖端部36cから近接場光が発生する。これは、近接場光発生部36に光を照射すると、近接場光発生部36を構成する金属内の電子がプラズマ振動し、その先端部において電界の集中が生じるためと考えられる。
このような近接場光発生部36から発生する近接場光は、入射されるレーザ光の波長及び導波路35の形状にも依存するが、一般に、媒体対向面Sから見て近接場光発生部36の境界で最も強い強度を有する。特に、本実施形態では、近接場光発生部36に到達する光の電界ベクトルは、レーザダイオード40の積層方向(X方向)となる。したがって、先端36c近傍にて最も強い近接場光の放射が起こる。すなわち、磁気ディスクの記録層部分を光により加熱する熱アシスト作用において、この先端36c近傍と対向する部分が、主要な加熱作用部分となる。
この近接場光の電界強度は、入射光に比べて桁違いに強く、この非常に強力な近接場光が、磁気ディスク表面の対向する局所部分を急速に加熱する。これにより、この局所部分の保磁力が、書き込み磁界による書き込みが可能な大きさまでに低下するので、高密度記録用の高保磁力の磁気ディスクを使用しても、電磁コイル素子34による書き込みが可能となる。なお、近接場光は、媒体対向面Sから磁気ディスクの表面に向かって、10〜30nm程度の深さまで到達する。従って、10nm又はそれ以下の浮上量である現状において、近接場光は、十分に記録層部分に到達することができる。また、このように発生する近接場光のトラック幅方向の幅や媒体移動方向の幅は、上述の近接場光の到達深さと同程度であって、また、この近接場光の電界強度は、距離が離れるに従って指数関数的に減衰するので、非常に局所的に磁気ディスクの記録層部分を加熱することができる。光ドミナントの場合には、この近接場光の径によって書き込みトラックの幅が決定される。
なお、近接場光発生部36の形状は、上述のものに限定されず、様々な変形が可能である。
(光源ユニット)
次いで、図3、図4及び図6を参照して、熱アシスト磁気ヘッド21の光源ユニット23の構成要素について説明する。
光源ユニット23は、光源支持基板230、外形形状が板状のレーザダイオード(光源)40、及び、測温抵抗体(温度センサ)260を主として備えている。
光源支持基板230はアルティック(Al−TiC)等からなる基板であり、図4に示すように、スライダ基板220の背面2201に接着している接着面2300を有している。接着面2300にはアルミナ等の断熱層230aが形成されている。この接着面2300を底面とした際の一つの側面である素子形成面2302上に、絶縁材料から形成された絶縁層41が設けられており、この絶縁層41の上に、図3に示すように、電極パッド47、48、265、265が形成され、電極パッド47上にレーザダイオード40が固定されている。
絶縁層41は、図4及び図6に示すように、下絶縁層41a及び上絶縁層41bを備えている。下絶縁層41a及び上絶縁層41bの間に、測温抵抗体260が配置されている。絶縁層41の材料は、特に限定されないが、熱伝導性が高い電気絶縁材料であることが好ましく、例えば、AlN,ダイアモンドライクカーボン、SiC等が挙げられる。また、絶縁層41の厚みは特に限定されないが、上絶縁層41bの厚みは、熱伝導性と電気絶縁性とのバランスから、50〜500nmとすることが好ましい。
測温抵抗体260は、図6に示すように、薄膜抵抗体からなる線状のパターンであり、レーザダイオード40と光源支持基板230との間に配置され、より具体的には、下絶縁層41a上に形成され、上絶縁層41bに覆われ絶縁層41内に埋設されている。
測温抵抗体260の材質は特に限定されず、銀、、金、ニッケル、鉄、アルミニウム、タンタル、白金等の金属導体や、シリコン等の半導体を用いることができるが、特に、温度に対する抵抗値変化の直線性に優れた白金やその合金を使用することが好ましい。膜状の測温抵抗体360の厚みは特に限定されないが、厚すぎると抵抗値が低くなりすぎ、薄すぎると欠陥が生じる恐れがあることから、10〜100nm程度が好ましい。また、測温抵抗体360は、蛇行して配置されることによりある程度の長さ、例えば、150〜600μmを有することが好ましい。線幅は、例えば、1〜10μmとすることができる。測温抵抗体260は、レーザダイオード40と対向する位置に埋設されている。
測温抵抗体260の両端には、測温抵抗体260よりも抵抗率の低い金等からなるリード線261がそれぞれ配置され、リード線261の端部には、電極パッド263がそれぞれ形成されている。ここれらリード線261、電極パッド263も、下絶縁層41a上に形成され、上絶縁層41bで覆われ、絶縁層41中に埋設されている。このような、測温抵抗体260及びリード線261、電極パッド263等は、フォトリソグラフィー法等を用いて容易に形成できる。
上絶縁層41bの表面、すなわち、絶縁層41の表面であって媒体対向面Sと交差する面411、言い換えると、スライダ基板220の集積面2202と平行な面411上には、一対の電極パッド265が形成されており、埋設された電極パッド263とそれぞれ対向している。電極パッド263と電極パッド265とはそれぞれ上絶縁層41bを貫通するビアホール267により電気的に接続されている。
電極パッド47は、図4に示すように、絶縁層41内に設けられたビアホール47aにより光源支持基板230と電気的に接続されている。また、電極パッド47は、レーザダイオード40駆動時の熱をビアホール47aを介して光源支持基板230側へ逃がすためのヒートシンクとしても機能する。また、電極パッド47は光源支持基板230と電気的に接続されているため、電極パッド247により光源支持基板230の電位を例えばグラウンド電位に制御することが可能となっている。
電極パッド47は、図6に示すように、絶縁層41の面411の中央部にトラック幅方向に延びて形成されている。一方、電極パッド48は、電極パッド47からトラック幅方向に離間した位置に形成されている。各電極パッド47、48は、半田リフローによるフレクシャ201との接続のために、さらに、図3に示すように、フレクシャ201側に向かって延びている。
電極パッド47、48、263、265は、例えば、厚さ10nm程度のTa、Ti等からなる下地層を介して形成された、厚さ1〜3μm程度の、例えば真空蒸着法やスパッタリング法等を用いて形成されたAu、Cu等の層から形成することができ。
そして、レーザダイオード40は、電極パッド47の上にAu−Sn等の導電性の半田材料からなる半田層42(図4参照)により電気的に接続されている。このとき、レーザダイオード40は、電極パッド47の一部のみを覆うように電極パッド47に対して配置されている。すなわち、レーザダイオード40は、図6に示すように、測温抵抗体260の上に配置される。
図7は、レーザダイオード40の斜視図である。
レーザダイオード40は、通常、光学系ディスクストレージに使用されるものと同じ構造を有していてよく、例えば、n電極40aと、n−GaAs基板40bと、n−InGaAlPクラッド層40cと、第1のInGaAlPガイド層40dと、多重量子井戸(InGaP/InGaAlP)等からなる活性層40eと、第2のInGaAlPガイド層40fと、p−InGaAlPクラッド層40gと、n−GaAs電流阻止層40hと、p−GaAsコンタクト層40iと、p電極40jとが順次積層された構造を有する。これらの多層構造の劈開面の前後には、全反射による発振を励起するためのSiO、Al等からなる反射膜50及び51が成膜されており、レーザ光が放射される出光端400には、一方の反射膜50における活性層40eの位置に開口が設けられている。このようなレーザダイオード40は、膜厚方向に電圧が印加されることにより、出光端400からレーザ光を出射する。
放射されるレーザ光の波長λに関しては、上述のように近接場光発生部36の形状及び金属材料、及び導波路35を構成する材料の屈折率nを考慮して、適当な波長λのレーザ光を出射するレーザダイオードを選択する。
レーザダイオード40の大きさは、上述したように、例えば、幅(W40)が200〜350μm、長さ(奥行き、L40)が250〜600μm、厚み(T40)が60〜200μm程度である。ここで、レーザダイオード40の幅W40は、電流阻止層40hの対向端の間隔を下限として、例えば、100μm程度までに小さくすることができる。ただし、レーザダイオード40の長さは、電流密度と関係する量であり、それほど小さくすることはできない。いずれにしても、レーザダイオード40に関しては、搭載の際のハンドリングを考慮して、相当の大きさが確保されることが好ましい。
また、このレーザダイオード40の駆動においては、ハードディスク装置内の電源が使用可能である。実際、ハードディスク装置は、通常、例えば2V程度の電源を備えており、レーザ発振動作には十分の電圧を有している。また、レーザダイオード40の消費電力も、例えば、数十mW程度であり、ハードディスク装置内の電源で十分に賄うことができる。
レーザダイオード40のn電極40aが電極パッド47にAuSn等の半田層42(図4参照)により固定されている。ここで、レーザダイオード40の出光端(光出射面)400が図4の下向き(−Z方向)、すなわち出光端400が接着面2300と平行になるようにレーザダイオード40が光源支持基板230に固定されており、出光端400はスライダ22の導波路35の光入射面354と対向可能となっている。実際のレーザダイオード40の固定においては、例えば、電極パッド47の表面に厚さ0.7〜1μm程度のAuSn合金の蒸着膜を成膜し、レーザダイオード40を乗せた後、熱風ブロア下でホットプレート等による200〜300℃程度までの加熱を行って固定すればよい。
また、電極パッド48と、レーザダイオード40のp電極40jと、がボンディングワイヤにより電気的に接続されている。なお、ボンディングワイヤを使用せず、絶縁層41に段差を設けて電極パッド48とレーザダイオード40のp電極40jとの距離を近づけ、これらをAuSn等の半田で電気的に接続してもよい。また、電極パッド47と接続される電極は、n電極40aでなくp電極40jでもかまわず、この場合、n電極40aが電極パッド48とボンディングワイヤ等により接続される。
ここで、上述したAuSn合金による半田付けをする場合、光源ユニットを例えば300℃前後の高温に加熱することになるが、本実施形態によれば、この光源ユニット23がスライダ22とは別に製造されるため、スライダ内の磁気ヘッド部がこの高温の悪影響を受けずに済む。また、磁気ヘッド部32と光源ユニット23が分離されているので、磁気ヘッドの検査及び、光源ユニットのレーザダイオードの取り付け状況の検査を別々に行うことができ、良品同士を組み合わせることにより、全体としての歩留まりの向上も図ることができる。
そして、上述のスライダ22の背面2201と光源ユニット23の接着面2300とが、例えば、UV硬化型接着剤等の接着剤層44(図4参照)により接着されており、レーザダイオード40の出光端400が導波路35の光入射面354と対向するように配置されている。
なお、レーザダイオード40及び電極パッドの構成は、当然に、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、レーザダイオード40は、GaAlAs系等、他の半導体材料を用いた他の構成のものであってもよい。さらに、レーザダイオード40と電極との半田付けに、他のろう材を用いて行うことも可能である。さらにまた、レーザダイオード40を、ユニット基板上に直接、半導体材料をエピタキシャル成長させることによって形成してもよい。
なお、スライダ22及び光源ユニット23の大きさは任意であるが、例えば、スライダ22は、トラック幅方向の幅700μm×長さ(奥行き)850μm×厚み230μmの、いわゆるフェムトスライダであってもよい。この場合、光源ユニット23は、これとほぼ同じ幅及び長さを有することができる。実際、例えば、通常用いられるレーザダイオードの典型的な大きさは、幅250μm×長さ(奥行き)350μm×厚み65μm程度であり、例えば、この大きさの光源支持基板230の側面にこの大きさのレーザダイオード40を設置することが、十分に可能となっている。なお、光源支持基板230の底面に溝を設け、この溝内にレーザダイオード40を設けることも可能である。
また、導波路35の光入射面354に達したレーザ光の遠視野像(ファーフィールドパターン)のスポットにおいて、トラック幅方向の径を、例えば0.5〜1.0μm程度とし、この径に直交する径を、例えば1〜5μm程度とすることができる。これに対応して、このレーザ光を受け取る導波路35の厚みT35を、例えばスポットよりも大きな2〜10μm程度とし、導波路35のトラック幅方向の幅(W35)を、例えば1〜200μm程度とすることが好ましい。
(熱アシスト磁気ヘッドとフレクシャとの電気的接続関係)
図3に示すように、配線部材203を構成する配線の1つは電極パッド247に接続され、電極パッド247は光源ユニット23の電極パッド47とリフロー半田Rを介して接続されている。また、別の配線は電極パッド248に接続され、電極パッド248は電極パッド48とリフロー半田Rにより接続されている。電極パッド247,248間に駆動電流を供給するとレーザダイオード40が発光する。
配線部材203を構成する別の一対の配線はそれぞれ電極パッド249に接続され、電極パッド249はそれぞれリフロー半田Rを介して電極パッド265と電気的に接続されている。これにより、測温抵抗体260の両端に電圧を印加可能となっている。
配線部材203を構成する別の一対の配線は、電極パッド237及びボンディングワイヤを介して電極パッド371に接続されており、電磁コイル素子34(図4等参照)の両端に電圧の印加が可能となっている。一対の電極パッド371間に電圧を印加すると、磁気記録素子としての電磁コイル素子34に通電が行われ、書き込み磁界が発生する。
配線部材203を構成する別の一対の配線は、電極パッド238及びボンディングワイヤを介して電極パッド373に接続されており、MR効果素子33(図4参照)の両端に電圧を印加可能となっている。一対の電極パッド373に電圧を印加するとMR効果素子33にセンス電流が流れる。記録媒体に書き込まれた情報は、MR効果素子33にセンス電流を流すことで読み出すことができる。
(リードライト制御回路)
続いて、リードライト制御回路13及びその周辺の機能ブロック図について、図8を参照して説明する。リードライト制御回路13は、主として、リード制御部13a、ライト制御部13b、レーザダイオード制御部(光源制御部)13c、抵抗測定部13dを主として備えており、コンピュータ等によりこれらの機能が実現される。リード制御部13aはMR効果素子33と接続されており、適切なセンス電流を流して磁気記録媒体からのMR信号を受け取る。
抵抗測定部13dは、測温抵抗体260と接続されており、例えば、定電圧を印加して電流値を検出することにより、測温抵抗体260の抵抗値を取得する。また、抵抗測定部13dは、測温抵抗体260の抵抗値を、温度に換算してもよい。
ライト制御部13bは、電磁コイル素子34のコイル層342の両端と接続されており、所定のタイミングでコイル層342に電流を流し、記録媒体に対して主磁極から書き込み用の磁界を与える。また、ライト制御部13bは、レーザダイオード制御部13cと接続されており、所定のタイミングで、レーザダイオード40からのレーザ光を発生させる。
レーザダイオード制御部13cは、ライト制御部13bからの要求に応じて、所定のタイミングで所定の電力をレーザダイオードに与え、レーザ光を発生させる。また、レーザダイオード制御部13cは、抵抗測定部13dとも接続されており、抵抗測定部13dから取得した測温抵抗体260の抵抗値や温度に基づいてレーザダイオード40から出射する光の強さが一定となるように、レーザダイオードに供給する電流等を制御する。
すなわち、レーザダイオード40からのレーザ光の出力はレーザダイオードの温度に大きく依存し、同じ電流を印加したとしてもその温度が異なると光の出力は異なってしまう。そこで、抵抗測定部13dから取得した抵抗値や温度に基づいて、レーザ光の出力が一定となるようにレーザダイオード40に供給する電流を調節するのである。具体的には、例えば、測温抵抗体260の抵抗値又はレーザダイオード40の温度と、レーザ光の出力を一定にするために必要な供給電流値との対応関係を示したデータテーブルに基づいて電流値を調節してもよいし、レーザ光の出力を一定とするために必要な供給電流値についての抵抗値又は温度を変数とする関数を予め作成し、この関数に基づいて電流値を調節してもよい。
このようなレーザ光の電力制御を、レーザ光照射毎に、或いは、所定の時間間隔毎に行うことが好ましい。
(作用)
続いて、本実施形態にかかる熱アシスト磁気ヘッド21の作用について説明する。
書き込み又は読み出し動作時には、熱アシスト磁気ヘッド21は、回転する磁気ディスク(媒体)10の表面上において流体力学的に所定の浮上量をもって浮上する。この際、MR効果素子33及び電磁コイル素子34の媒体対向面S側の端が磁気ディスク10と微小なスペーシングを介して対向することによって、データ信号磁界の感受による読み出しとデータ信号磁界の印加による書き込みとが行われる。
ここで、データ信号の書き込みの際、光源ユニット23から導波路35を通って伝播してきたレーザ光が近接場光発生部36に到達し、近接場光発生部36から近接場光が発生する。したがって、媒体対向面に対向する磁気記録媒体の所定の記録領域の温度が上昇し、記録領域の保磁力が一時的に低下する。この保磁力の低下期間内に電磁コイル素子34に通電を行い、書き込み磁界を発生させることで、記録領域に情報を書き込むことができる。
熱アシスト磁気記録方式を採用することにより、高保磁力の磁気ディスクに垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを用いて書き込みを行い、記録ビットを極微細化することによって、例えば、1Tbits/in級の記録密度を達成することも可能となり得る。
そして、本実施形態では、光源ユニット23を用いることによって、スライダ22の導波路35の光入射面(端面)354に、導波路35の層面に平行な方向に伝播するレーザ光を入射させることができる。すなわち、集積面2202と媒体対向面Sとが垂直である構成を有する熱アシスト磁気ヘッド21において、適切な大きさ及び方向を有するレーザ光が、確実に供給可能となる。その結果、磁気ディスクの記録層の加熱効率が高い熱アシスト磁気記録を実現可能とする。
そして、本実施形態によれば、レーザダイオード40の温度を測定する測温抵抗体260を有するので、測温抵抗体260からの温度情報に基づいてレーザダイオード40からの光出力をレーザダイオード40の温度によらず一定にすることが容易となる。特に、レーザダイオード60を固定している光源ユニット23自体が測温抵抗体260を有するので、この測温抵抗体260によりレーザダイオード40の温度を精度よく測定でき、高精度な温度補償が可能となる。特に、レーザダイオードは通電時に発熱しやすく温度が変動しやすいものであると共に、温度に応じて光出力が大きく変動するので、高精度な温度補償による出力の安定化は、信頼性の向上に不可欠である。
また、光源ユニット23の測温抵抗体260が、光源支持基板230とレーザダイオード40との間に配置されており、レーザダイオード40と測温抵抗体260と近く配置することが容易となり、極めて精度よくレーザダイオード40の温度を測定できる。また、このような構成は、製造も容易であり、コストの増加も少ない。
さらに、温度センサとして測温抵抗体260を用いているので、小型化、薄膜化が容易であり、微細化が必要とされる熱アシスト磁気ヘッドに特に適する。
本発明は上記実施形態に限定されずに様々な変形態様が可能である。
例えば、光源はレーザダイオードに限定されず、LED等の他の発光素子でも実施可能である。
また、温度センサは、測温抵抗体に限られず、熱電対等の他の温度センサでも実施は可能である。
また、レーザダイオード40に近接した測温抵抗体260とは別に、レーザダイオード40から離れた場所に他の測温抵抗体等の温度センサを設け、これらの温度センサの抵抗値等の差分によって、レーザダイオード40の光出力の制御を行っても良い。例えば、絶縁層41中のトラック幅方向の中央部でなく端部に他の温度センサを配置することができる。
さらに、温度センサである測温抵抗体260の位置も、温度センサが光源ユニット23に設けられていれば、レーザダイオード40と光源支持基板230との間でなくても実施は可能であり、例えば、光源支持基板230のトラック幅方向の両側の側面に設けることができる。この場合は、光源支持基板として、AlN等のスライダよりも熱伝導性のよい基板を使用すると、温度を精度よく測定できる。
すなわち、上記実施形態では、スライダ基板220と光源支持基板230とには、同じアルティック製の基板を採用しているが、異なる材料の基板を用いることも可能である。この場合、スライダ基板220の熱伝導率をλs、光源支持基板230の熱伝導率をλlとすると、λs≦λlを満たすようにすることが好ましい。これにより、レーザダイオード40が発生する熱を、なるべくスライダ基板220に伝わらないようにしつつ光源支持基板230を通して外部に逃がすことも容易となる。
また、電磁コイル素子34が、長手磁気記録用であってもかまわない。この場合、主磁極層340及び補助磁極層344の代わりに、下部磁極層及び上部磁極層が設けられ、さらに、下部磁極層及び上部磁極層の媒体対向面S側の端部に挟持された書き込みギャップ層が設けられる。この書き込みギャップ層位置からの漏洩磁界によって書き込みが行われる。
また、近接光発生部は、三角形状または台形状の板を、その頂点同士または短辺同士が所定距離離間して対向するように一対配置した、いわゆる「蝶ネクタイ型」構造でも実施可能である。また、近接場光発生部として、板に替えて微小開口にしてもよく、近接場光発生部を設けずに直接レーザ光を記録媒体に当てる形態でも実施は可能である。
また、コイル層342は、図4等において1層であるが、2層以上又はヘリカルコイルでもよい。
また、断熱層230aは、スライダ基板220の背面2201に形成されていてもよく、全く設けなくても実施は可能である。
また、光源ユニット23とスライダ22との接着に、UV硬化型接着剤以外の接着剤例えば、レーザダイオード40と電極パッド47との接着に用いたAuSn等の半田層を用いても実施は可能である。
また、上述の例では、導波路35の形状として直線導波路を用いたが、これはYZ平面内における外形形状が放物線を描くパラボラ型の導波路とし、その焦点位置に近接場光発生部を配置してもよく、また、YZ平面内における外形形状を楕円形状などとしてもよく、媒体に近い側の先端が先細となるテーパ形状でもよい。なお、上記熱アシスト磁気ヘッド及びHGAを備えたハードディスク装置では、書き込み動作中記録媒体の加熱不足による書き込み不良の発生が十分に防止され、また、サイドイレーズの発生が十分に防止される。
また、上記実施形態では、スライダと光源ユニットと有する熱アシスト磁気ヘッドであるが、1つのスライダに、磁気記録素子、導波路、光源、及び温度センサを組み込んだ熱アシスト磁気ヘッドであっても実施は可能である。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。 HGA17の斜視図である。 図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。 図3に示した熱アシスト磁気ヘッド21のIV−IV矢印断面図である。 媒体対向面側から見た磁気ヘッド主要部の平面図である。 熱アシスト磁気ヘッド21の主要部の一部破断斜視図である。 レーザダイオード40の斜視図である。 リードライト制御部及びその周辺の機能ブロック図である。
符号の説明
1…ハードディスク装置、10…磁気ディスク(記録媒体)、17…ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、20…サスペンション、21…熱アシスト磁気ヘッド、22…スライダ、220…スライダ基板、2202…集積面、23…光源ユニット、230…光源支持基板、32…磁気ヘッド部、33…MR効果素子(磁気検出素子)、34…電磁コイル素子(磁気記録素子)、35…導波路、353…光出射面、354…光入射面(端面)、36…近接場光発生部、40…レーザダイオード(光源)、260…測温抵抗体(温度センサ)、400…出光端、S…媒体対向面。

Claims (5)

  1. 磁界を発生する磁気記録素子、光を供給する光源と、前記光源の温度を測定する温度センサと、スライダ基板と、前記スライダ基板の媒体対向面とは反対側の面に固定された光源支持基板とを備え、
    前記スライダ基板における前記媒体対向面の側面には、前記磁気記録素子、及び、媒体対向面とは反対側から光を受け入れて媒体対向面側に導く導波路が設けられ、
    前記光源は、前記光源支持基板の側面に固定されて前記導波路に対して光を供給し、
    前記温度センサは、前記光源支持基板と前記光源との間に設けられた絶縁層中に設けられ、
    前記絶縁層上には電極パッドが設けられ、前記電極パッド上に前記光源が設けられ、
    前記電極パッドは前記絶縁層中に設けられたビアホールにより前記光源支持基板と電気的に接続されている熱アシスト磁気ヘッド。
  2. 前記温度センサは、測温抵抗体である請求項記載の熱アシスト磁気ヘッド。
  3. 請求項1又は2記載の熱アシスト磁気ヘッドと、
    前記熱アシスト磁気ヘッドを支持するサスペンションと、を備えたヘッドジンバルアセンブリ。
  4. 請求項に記載のヘッドジンバルアセンブリと、
    前記温度センサからの情報に基づいて前記光源の光出力を制御する光源制御部と、
    を備えたハードディスク装置。
  5. 光源支持基板と、
    前記光源支持基板の側面に固定された光源と、
    前記光源の温度を測定する温度センサと、を備え
    前記温度センサは、前記光源支持基板と前記光源との間に設けられた絶縁層中に設けられ、
    前記絶縁層上には電極パッドが設けられ、前記電極パッド上に前記光源が設けられ、
    前記電極パッドは前記絶縁層中に設けられたビアホールにより前記光源支持基板と電気的に接続されている熱アシスト磁気ヘッド用光源ユニット。
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