明 細 書
感圧接着剤およびその製造方法、ならびに感圧接着シート
技術分野
[0001] 本発明は、感圧接着シート、および、その感圧接着シートを形成し得る感圧接着剤 とその製造方法に関する。
背景技術
[0002] 様々なフラットパネルディスプレイ (FPD) 1S 様々な分野で表示装置として使用さ れるようになってきた。たとえば、 FPDは、パーソナルコンピューターのディスプレイや 液晶テレビをはじめ、屋内で使用されるば力りでなぐカーナビゲーシヨン用ディスプ レイ等のように、車両に搭載して使用されたりする。これらの FPDとしては、液晶ディ スプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ (PDP)、リアプロジェクシヨンディスプレイ(RP J)、 ELディスプレイ、発光ダイオードディスプレイなどが挙げられる。
[0003] これらの表示装置には、外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや、表 示装置の表面の傷付き防止のための保護フィルム (プロテクトフィルム)などが使用さ れている。
さらに FPDは、表示装置としてだけではなぐそれらの表面にタツチパネルの機能 を設けて、入力装置としても利用されている。このタツチパネルにも、保護フィルム、 反射防止フィルム、 ITO蒸着榭脂フィルムなどが使用されて 、る。
FPDのうち LCDでは、液晶セル用ガラス部材に偏光フィルムや位相差フィルムが 積層されている。
[0004] 表示装置に使用される種々のフィルムは、感圧接着剤により被着体に貼着されて いる。表示装置に用いられるものであるから、この感圧接着剤には、透明性に優れて いることが要求される。したがって、透明性に優れるアクリル系榭脂を主剤とする感圧 接着剤が好適に使用されている。
[0005] ところで、前記した種々のフィルムのうち偏光フィルムは、ポリビュルアルコールを主 たる成分とする偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルムで挟んだ 3層 構造になって 、る。このポリビニルアルコールを主たる成分とする偏光子およびトリア
セチルセルロース系保護フィルムは、どちらも、熱変化や湿度変化によって著しく伸 縮する。その結果、偏光フィルムも、熱変化や湿度変化によって、顕著な寸法変化を 生ずる。
したがって、偏光フィルムを液晶セル用のガラス部材に貼着するための感圧接着剤 には、偏光フィルムの寸法変化に抗して、偏光フィルムが液晶セル用のガラス部材か ら浮いたり剥がれたりすることなぐ貼着状態を維持し続けるための強靭さが求められ る。感圧接着剤層が強靭であるためには、粘着力(剥離力)が大きいだけでなぐ凝 集力 (保持力)が大きいことも必要である。
[0006] しかし、感圧接着剤層が単に強靭すぎると、以下のような新たな問題が生じる。
LCDが長期にわたって使用される間にも、偏光フィルムの寸法は変化し続ける。し たがって、感圧接着剤層が単に強靭すぎると、偏光フィルムの寸法変化に起因する 応力を感圧接着剤層が吸収 ·緩和することができず、偏光フィルムの周縁部に応力 が蓄積'集中してしまう。その結果、 LCDの周縁部と中央部の明るさが異なり、 LCD 表面に色むら'白ぬけが発生する問題があった。
特に近年は、 LCDの大型化に伴い、偏光フィルムも大型化するようになつてきた。 その結果、 LCD表面に色むら'白ぬけが発生しやすくなつてきた。
[0007] 表示装置ゃタツチパネルの表面 (ガラス部材等の被着体)に偏光フィルム等の各種 フィルムを貼り付けた際に、界面のエアーの有無や貼り付けた界面の粉塵の有無が 検査され、エアーや粉塵がある場合は、いったんフィルムを剥がして、新しいフィルム を貼り直すことが行われる。したがって、感圧接着剤には、被着体に接着剤を残さな いことが求められる。
[0008] このように、表示装置等に各種フィルムを貼着するために使用される感圧接着剤に は、光学特性 (透明性)が良好であり、高温に曝されたり高温高湿度に曝されたりして も被着体に対する密着性が良好であり、高温に曝されても応力緩和が良好であり、 および剥離の際に接着剤が残らないこと(良好な再剥離性)が求められる。
[0009] これら種々の要求に対して、様々な感圧接着剤が提案されてきた。
たとえば、アルキル基の炭素数が 1〜 12の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを 主成分とするアクリル系榭脂からなる感圧接着剤であって、重量平均分子量 10万以
下のアクリル系ポリマー成分を 15重量%以下含有し、重量平均分子量 100万以上 のアクリル系ポリマー成分を 10重量%以上含有する感圧接着剤が知られて 、る(特 開平 1— 66283号公報)。
[0010] (メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、官能基含有モノマーと、 a , j8—不飽和基 を有する特定のマクロモノマーとを共重合させた、重量平均分子量が 50万〜 200万 の共重合体を主成分とする感圧接着剤が知られて ヽる(特開平 8 - 209095号公報
) o
[0011] 重量平均分子量が 100万以上である高分子量 (メタ)アクリル系共重合体 100重量 部と、重量平均分子量が 3万以下の低分子量 (メタ)アクリル系共重合体 20〜200重 量部と、前記共重合体と架橋構造を形成可能な多官能性化合物 0. 005〜5重量部 とからなる偏光板用感圧接着剤が知られて!/ヽる (特開平 10— 279907号公報)。
[0012] 反応性官能基を含有する重量平均分子量 100万〜 250万の高分子量アクリル系 ポリマーと、ガラス転移点 (Tg)が 0°C〜一 80°Cの重量平均分子量 3万〜 10万の低 分子量アクリル系ポリマーと、前記高分子量アクリル系ポリマーと架橋構造が形成可 能な官能基を有する多官能性化合物とを含む偏光フィルム用感圧接着剤が知られ ている(特開 2002— 121521号公報)。
[0013] さらに、各種ディスプレイ用の感圧接着剤ではないが、アクリル系ポリマーを主剤と する様々な感圧接着剤も知られている(特開 2004— 51812号公報、特開 2005— 1 39323号公報、特開 2004— 315767号公報)。
特開 2004— 51812号公報には、アクリル系ポリマーとロジンエステルとを含有する 感圧接着剤が開示されている。しかし、アクリル系ポリマーとロジンエステルとを単に 含有するだけでは、被着体に対する密着性 (耐熱性、耐湿熱性)等を充分に満足す ることができない。
発明の開示
[0014] 本発明の目的は、光学特性 (透明性)が良好であり、高温に曝されたり高温高湿度 に曝されたりしても被着体に対する密着性が良好であり、高温に曝されても応力緩和 が良好であり、かつ、剥離の際に接着剤が残らず剥離性の良好な感圧接着シートを 形成し得る感圧接着剤を提供することである。
[0015] 本発明は、ラジカル重合性モノマーを重合してなる、カルボキシル基を有する重合 体であって、ガラス転移温度が 80〜0°Cであり重量平均分子量が 50万〜 150万 である重合体 (A)と、 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)と、カルボキシル基と反応し得 る硬化剤 (C)とを含み、前記重合体 (A)と前記 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)との 合計の酸価が 5〜50 (mgKOH/g)である感圧接着剤に関する。
[0016] 別の本発明は、第 1の重合開始剤として過酸ィ匕物を、ラジカル重合性モノマー 100 molに対して 0. 02〜0. 13mol用いて、重合率が 70〜90%になるまでラジカル重 合性モノマーを重合し;
第 2の重合開始剤を用いて、重合率が 99%以上になるまで重合を継続し、ガラス転 移温度が— 80〜0°Cであり重量平均分子量が 50万〜 150万である、カルボキシル 基を有する重合体 (A)を合成し;
前記重合体 (A)と、重合体 (A)との合計の酸価が 5〜50 (mgKOH/g)となる量の 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)と、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する硬 化剤 (C)とを混合する;
ことを含む感圧接着剤の製造方法に関する。
発明を実施するための最良の形態
[0017] 本発明に係る感圧接着剤は、上記構成により、各種被着体との密着性、耐熱性、 耐湿熱性、再剥離性、保持力、および透明性に優れている。
したがって、本発明に係る感圧接着剤を用いることにより、光学特性 (透明性)が良 好であり、高温に曝されたり高温高湿度に曝されたりしても被着体に対する密着性が 良好であり、高温に曝されても応力緩和が良好であり、さらに、剥離の際に接着剤が 残らな!/ヽ、再剥離性の良好な感圧接着シートを形成することができる。
この感圧接着シートを用いることにより、 LCDを長期間使用した場合に偏光フィル ムが偏光素子から浮 、たり剥がれたりすることを防止し、 LCD表面の色むらや白ぬけ の発生を抑制することができる。
本発明の感圧接着剤は、偏光フィルム貼着用をはじめ、各種光学部材に好適に用 V、ることができる他、種々の用途に用いることができる。
[0018] 重合体 (A)は、ラジカル重合性モノマーを重合してなる、カルボキシル基を有する
重合体であって、ガラス転移温度が 80〜0°Cであり、重量平均分子量は 50万〜 1 50万である。このラジカル重合性モノマーの重合は、有機溶剤中で行われることが 好ましい。
ラジカル重合性モノマーとは、分子内に重合性二重結合を保有する化合物(すな わち、ラジカル重合性不飽和モノマー)であり、ァルケ-ル基含有ィ匕合物や α , β 不飽和カルボン酸エステルであれば特に制限はな 、。
好ましい例示としては、たとえば:
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ェチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ タ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸 η—ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メ タ)アクリル酸 t—ブチル、(メタ)アクリル酸 n—ァミル、(メタ)アクリル酸イソァミル、(メ タ)アクリル酸 n—へキシル、(メタ)アクリル酸 2—ェチルへキシル、(メタ)アクリル酸 n ーォクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オタ タデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの (メタ)アクリル 酸アルキルエステル類;
(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボ -ル、(メタ)アクリル酸フエ-ル、(メタ)アクリル酸フエノキシェチルなどの(メタ)アタリ ル酸環状エステル類;
(メタ)アクリル酸ァリル、(メタ)アクリル酸 1ーメチルァリル、(メタ)アクリル酸 2—メチ ルァリル、(メタ)アクリル酸 1—ブテュル、(メタ)アクリル酸 2—ブテュル、(メタ)アタリ ル酸 3 ブテュル、(メタ)アクリル酸 1, 3—メチル—3 ブテュル、(メタ)アクリル酸 2 —クロルァリル、(メタ)アクリル酸 3—クロルァリル、(メタ)アクリル酸— o ァリルフエ- ル、(メタ)アクリル酸 2— (ァリルォキシ)ェチル、(メタ)アクリル酸ァリルラタチル、(メタ )アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラ -ル、(メタ)アクリル酸ロジェル、(メタ) アクリル酸シンナミル、ジァリルマレエート、ジァリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビ- ル、クロトン酸ビュル、ォレイン酸ビュル,リノレン酸ビュル等の不飽和基含有 (メタ)ァ クリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸 2 -ヒドロキシェチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)ァ クリル酸 2—メトキシェチル、(メタ)アクリル酸 2—エトキシェチル等の水酸基(アルコ
キシ)含有 (メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸 N—メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸 N—トリブチルアミノエチル 、(メタ)アクリル酸 N, N—ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸 N, N—ジェチルァ ミノェチルなどの (メタ)アミノ基含有アクリル酸エステル類;
3—メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、 3—メタクリロキシプロピルトリエトキシシラ ン、 3—メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、 3—メタクリロキシプロピノレメチ ルジメトキシシラン, 3—メタクリロキシプロピルメチルジェトキシシラン等のアルコキシ シリル基含有 (メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸メトキシェチル、(メタ)ァク リル酸のエチレンオキサイド付加物などの(メタ)アクリル酸誘導体類;
(メタ)アクリル酸パーフルォロェチル、(メタ)アクリル酸パーフルォロプロピル、(メタ )アクリル酸パーフルォロブチル、(メタ)アクリル酸パーフルォロォクチルなどの(メタ) アクリル酸パーフル才ロアルキルエステル類;
ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ( メタ)アクリル酸テトラエチレンダリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、 トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸 1 , 1,1 -トリスヒドロキシメチルェ タン、トリアクリル酸 1, 1,1—トリスヒドロキシメチルェタン、 1,1,1—トリスヒドロキシメチ ルプロパントリアクリル酸等の多官能 (メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、 α—メチルスチレン、 j8—メチルスチレン、 ο—メチルスチレン、 m—メチル スチレン、 p—メチノレスチレン、 1ーブチノレスチレン、クロロスチレン、スチレンスノレホン 酸およびそのナトリウム塩などの芳香族ビュル系単量体;
(メタ)アクリル酸パーフルォロメチル、(メタ)アクリル酸トリフルォロメチルメチル、(メ タ)アクリル酸 2 -トリフルォロメチルェチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルォロメチルメ チル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロェチルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフ ルォロメチルー 2—パーフルォロェチルメチル、(メタ)アクリル酸トリパーフルォロメチ ルメチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォロェチルー 2—パーフルォロブチルェチル 、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォ口へキシルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォ 口デシルェチル、(メタ)アクリル酸 2—パーフルォ口へキサデシルェチル、パーフル ォロエチレン、パーフルォロプロピレン、フッ化ビ-リデンなどのフッ素含有ビュル系
単量体;
ビュルトリメトキシシラン、ビュルトリエトキシシランなどのトリアルキルォキシシリル基 含有ビュル系単量体類; 量体類;
マレイミド、メチノレマレイミド、ェチノレマレイミド、プロピノレマレイミド、ブチノレマレイミド 、ォクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フエ-ルマレイミド、シ クロへキシルマレイミドなどのマレイミド誘導体;
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3, 4—エポキシシクロへキシル)メチ ル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有 (メタ)アクリル酸エステル 類;
アクリロニトリル、メタタリ口-トリルなどの-トリル基含有ビュル系単量体類; アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基含有ビュル系単量体類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビュル、ピバリン酸ビュル、安息香酸ビュル、桂皮酸ビ- ルなどのビュルエステル類;
エチレン、プロピレンなどのァノレケン類;
ブタジエン、イソプレンなどのジェン類;
(メタ)アクリル酸、ィタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;
無水ィタコン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;
不飽和カルボン酸類のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル; 塩化ビュル、塩化ビ-リデン、ァリルクロライド、ァリルアルコール;
などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは、 1種だけを用 いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
[0020] 重合体 (A)は、感圧接着剤を構成する主たる成分である。したがって、重合体 (A) のガラス転移温度(以下、 Tgともいう。)は、—80°C〜0°Cであることが重要であり、
70〜― 10°Cであることが好ましい。ガラス転移温度が 0°Cよりも高い重合体を用いる と、各種被着体に対する粘着性が確保できない。
[0021] 重合体 (A)の Tgは、共重合に使用する各モノマーから形成され得る各ホモポリマ
一の Tgと、共重合に使用する各モノマーの割合とから理論的に求めることができる。 共重合に使用する各モノマーの割合としては、重量分率が用いられることが多 、が、 本発明では、各モノマーの分子量を考慮し、モル分率を用いる。
形成される重合体 (A)の Tgを考慮すると、ラジカル重合性モノマーとしては、アタリ ル酸 2—ェチルへキシルおよび/またはアクリル酸 n—ブチルをできるだけ多く使用 することが好ましい。具体的には、重合に使用する全ラジカル重合性モノマー 100重 量%中、両モノマーは合計で 50重量%以上であることが好ましぐ 60〜90重量%で あることがより好ましい。
[0022] 重合体 (A)は、後述する硬化剤 (C)と反応する際に必要な官能基として、カルボキ シル基を有する必要がある。カルボキシル基を有する重合体 (A)の酸価は、 10〜50 (mgKOH/g)であることが好ましぐ 15-35 (mgKOH/g)であることがより好まし く、 20〜30 (mgKOHZg)であることがさらに好ましい。酸価が lO (mgKOHZg)未 満であると、官能基としてのカルボキシル基が不足し、架橋密度が小さくなる。一方、 酸価が 50 (mgKOHZg)を超えると、重合安定性、被着体への密着性が不良となり やすいので好ましくない。
このカルボキシル基を有する重合体 (A)は、(メタ)アクリル酸、ィタコン酸、マレイン 酸等の不飽和カルボン酸類をコモノマーとして使用することにより、容易に得ることが できる。他のモノマーとの重合性、被着体との密着性を考慮すると、アクリル酸が好ま しい。その使用量は、重合に使用する全ラジカル重合性モノマー 100重量%中、 1〜 10重量%が好ましい。
[0023] 重合体 (A)は、重量平均分子量(以下、 Mwともいう。)が 50万〜 150万であること が重要であり、 60万〜 100万であることが好ましい。さらに、重合体 (A)の MwZMn は、 6. 5〜12であることが好ましぐ 7〜10であることがより好ましい。 Mnは数平均分 子量の意であり、 Mw、 Mnはいずれもゲルパーミエイシヨンクロマトグラム(GPC)によ る、標準のポリスチレン換算の値である。
[0024] Mwが 50万未満の重合体を含有する感圧接着剤から形成される感圧接着シートは 、被着体に貼着した後、高温に曝されたり高温高湿度に曝されたりすると、被着体か ら浮いたり剥がれたりする。また、このような分子量が小さすぎる重合体を含有する場
合、感圧接着剤層の凝集力が小さくなる。
一方、 Mwが 150万より大きい重合体を含有する感圧接着剤は、高粘度になるので 、取り扱いが難しくなる。さらに、このような Mwが大きすぎる重合体を含有する感圧 接着剤は、被着体またはシート状基材への密着性も不良となりやすい。その理由は、 Mwが大きすぎると榭脂が剛直になり、感圧接着剤として必要な被着体あるいはシー ト状基材へのヌレ性が小さくなり、その結果として密着性が不良となる力 である。
[0025] 重合体 (A)は、 GPCにおける分子量が 200万以上の成分の占める面積が 3〜15 %であることが好ましぐ 4〜10%であることがより好ましぐさらに好ましくは 5〜8% である。
本発明の場合、感圧接着剤層の凝集力が大きいことが求められる。感圧接着剤に 含まれる重合体 (A)の分子量を大きくすることによって、感圧接着剤層の凝集力を大 きくすることはできる。しかし、上記したように、単に Mwの大きい重合体を用いるだけ では、感圧接着剤が高粘度になり、塗工しに《なる。
これに対し、 Mwは 50万〜 150万である重合体 (A)力 分子量 200万以上の成分 を含むことによって、感圧接着剤の塗工性を妨げることなぐ感圧接着剤層の凝集力 をより大きくすることができる。
[0026] 分子量 200万以上の成分が 3%未満の重合体を含有する感圧接着剤は、凝集力 をより大きくする効果があまり期待できない。一方、分子量 200万以上の成分を 15% より多く含む重合体を含有する感圧接着剤は、粘度が大きくなりすぎて取り扱いが難 しくなる。さらに、このような高分子量成分の多い重合体を含有する感圧接着剤は、 前述のように密着性が不良となりやすい。また、このような高分子量成分の多い重合 体は、その Mwが 150万を超える場合が多い。
[0027] 重合体 (A)は、種々の重合開始剤を用い、その量、重合温度等の重合諸条件を適 宜調整すること〖こより得ることができる。ラジカル重合性モノマーを重合する際には、 開始剤として、ァゾ系化合物、過酸ィ匕物が用いられることが多い。
ァゾ系化合物としては、 2,2'—ァゾビスイソブチ口-トリル、 2,2'—ァゾビス (2—メチ ルブチ口-トリル)、 1,1'—ァゾビス(シクロへキサン 1—カルボ-トリル)、 2,2'—ァゾビ ス(2, 4—ジメチルバレ口-トリル)、 2,2'—ァゾビス(2, 4—ジメチル一 4—メトキシバ
レ口-トリル)、ジメチル 2,2' ァゾビス(2—メチルプロピオネート)、 4,4' ァゾビス ( 4 シァノバレリック酸)、 2,2' ァゾビス(2 ヒドロキシメチルプロピオ-トリル)、 2,2' —ァゾビス [2— (2—イミダゾリン— 2—ィル)プロパン]等を例示することができる。な かでも、反応性、重合安定性を考慮すると、 2,2'—ァゾビスイソプチ口-トリルが好ま しい。
過酸ィ匕物としては、たとえば:
メチルェチルケトンパーォキシド、シクロへキサノンパーォキシド、ァセチルアセトン パーォキシド等のケトンパーオキサイド類;
1, 1—ジ(t—へキシルバーォキシ)一3, 3, 5 トリメチルシクロへキサン、 1, 1— ジ(t一へキシルバーォキシ)シクロへキサン、 1, 1ージ(t—ブチルパーォキシ) 2 ーメチルシクロへキサン、 1, 1ージ(t—ブチルパーォキシ)シクロへキサン、 2, 2—ジ (t ブチルパーォキシ)ブタン等のパーォキシケタール類;
p—メンタンハイド口パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイド口パーオキサイド 、 1, 1, 3, 3—テトラメチルブチルハイド口パーオキサイド、 t ブチルハイド口バーオ キサイド等のハイド口パーオキサイド類;
α , α 'ージ(t ブチルパーォキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーォキシド 、 t ブチルタミルパーォキシド、ジー t ブチルパーォキシド、ジー t一へキシルバー ォキシド等のジアルキルパーオキサイド類;
ジイソブチルパーォキシド、ジ(3, 5, 5, —トリメチルへキサノィル)パーォキシド、ジ ラウロイルパーォキシド、ベンゾィルパーォキシド等のジァシルバーオキサイド類; ジイソプロピルパーォキシジカーボネート、ジー n プロピルパーォキシジカーボネ ート、ビス(4 tーブチルシクロへキシル)パーォキシジカーボネート等のパーォキシ ジカーボネート類;
t一へキシルパーォキシピバレート、 tーブチノレパーォキシピバレート、 t一へキシノレ パーォキシ 2—ェチノレへキサノエート、 t ブチノレパーォキシ 2—ェチノレへキサ ノエート、 t ブチルパーォキシラウレート、 t ブチルパーォキシ 3, 5, 5—トリメチ ルへキサノエート等のパーォキシエステル類; などを挙げることができる。
[0029] ラジカル重合性モノマーを重合する際には、重合開始剤を複数回に分けて使用す ることが好ましい。最初に添加した重合開始剤は、熱等により分解し、時間が経つに 従って徐々に活性が失われる。したがって、重合反応の途中で重合開始剤を追加投 入することが好ましい。重合開始剤を途中で追加し、その量および種類を変化させる ことにより、反応生成物、すなわち重合体の分子量を大きくしたり、残留モノマーを低 減させたりすることが可能となる。
[0030] 重合開始剤として用いられるァゾ系化合物は、水素引き抜き反応をほとんど生じさ せない。一方、過酸ィ匕物を用いると、水素引き抜き反応が多数生じる。水素引き抜き 反応が起こると、その部分を基点として、重合体に分岐構造が導入される。このように 、重合開始剤の種類の違いは、得られる重合体の物性やその重合体の溶液物性に 影響を与える。特に、反応の初期に用いる重合開始剤の違いは、重合体の物性やそ の溶液物性に大きな影響を与える。
重合体 (A)が分岐を有すると、分岐している部分が絡まり合うので、感圧接着剤層 の凝集力を大きくすることができる。重合の初期の段階で過酸化物を用いると、重合 体 (A)に効果的に分岐構造を導入することができるため、好ましい。
重合の初期の段階で過酸ィ匕物を用いた重合体の溶液は、重合の初期の段階でァ ゾ系化合物を用いた重合体の溶液に比して、高粘度である。重合体に導入された分 岐部分の絡まり合いが、重合体の溶液粘度を大きくしたものと考察される。
[0031] 具体的には、第 1の重合開始剤として過酸ィ匕物を用い、重合率が 70〜90%になる まで、ラジカル重合性モノマーを重合し、次いで第 2の重合開始剤を用いて重合率が 99%以上になるまで重合を継続して、重合体 (A)を得ることが好ま 、。
重合率は、転化率ともいい、重合中の固形分 (不揮発分)の重量を測ることによって 求めることができる。すなわち、モノマーは加熱すると揮発する力 重合が進むことに よって揮発しなくなる。重合に使用したモノマー濃度は既知なので、重合中にサンプ リングした溶液中にもともと含まれていたモノマーの重量を求めることができる。重合 中にサンプリングした溶液の不揮発分の重量を測り、その不揮発分重量と、もともと 含まれていたモノマーの重量との比から、モノマーが重合に転換した割合、すなわち 重合率を求めることができる。
[0032] 重合初期に過酸ィ匕物を用いる場合、ラジカル重合性モノマー lOOmolに対して、過 酸化物を 0. 02〜0. 13mol用いることが好ましぐ 0. 03〜0. lmol用いることがより 好ましい。 0. 02mol未満だと重合が速やかに進行せず、 0. 13moUり多いと反応が 早くなりすぎて分子量力 、さくなり、さらには反応が暴走して危険であるために好まし くない。
そして、重合率が 70〜90%になった後、第 2の重合開始剤を用い、残存しているラ ジカル重合性モノマーをさらに反応させることが好ましい。第 1の重合開始剤と第 2の 重合開始剤の合計量は、ラジカル重合性モノマー lOOmolに対して、 0. 05〜: Lmol 程度であることが好ましぐ 0. 07-0. 7mol程度であることがより好ましい。
[0033] 感圧接着剤層の凝集力を増大させる観点からは、感圧接着剤に含まれる重合体は 、分岐構造をより多く有していることが好ましい。しかし、重合体の分岐があまりにも多 すぎると、重合体溶液およびその重合体溶液を含有する感圧接着剤の粘度が大きく なりすぎてしまう。
重合体溶液の粘度が大きくなりすぎると、重合時の作業に支障を来たす恐れがある 。すなわち、重合中均一に撹拌することが困難になったり、重合中の均一な温度制 御が困難になったり、重合後、重合槽 (重合に用いた容器)から重合体溶液を取り出 しにくくなったりする。
そのうえ、重合体溶液を含有する感圧接着剤の粘度が大きくなりすぎてしまうと、感 圧接着剤をシート状基材に塗工しにくくなる。粘度の高すぎる感圧接着剤に溶剤を 加えて粘度を低下させ、塗工性を改良することはできる。しかし、感圧接着剤をシート 状基材に塗工した後、感圧接着剤に含まれる溶剤を乾燥により除去しなければなら ないので、経済的にも、環境的にも、感圧接着剤に含まれる溶剤は少ない方が好ま しい。
[0034] つまり、重合体は、分岐していることが好ましいが、その分岐は多すぎないことが好 ましい。重合体に「適度な」分岐を導入するためには、重合の初期の段階で芳香族 系の過酸ィ匕物を用いることが好まし 、。
具体的には、第 1の重合開始剤として芳香族系の過酸ィ匕物、より具体的にはべンゾ ィルパーォキシドを用い、重合率が 70〜90%になるまで、ラジカル重合性モノマー
を重合させる。次いで、第 2の重合開始剤として、たとえばベンゾィルパーォキシドま たは t ブチルパーォキシ 2 ェチルへキサノエートを用いて、重合率が 99%以上 になるまで重合を継続し、重合体 (A)を得ることが好ま 、。
第 2の重合開始剤としては、特に限定されることはなぐ上述した重合開始剤のなか から任意のものを使用することができる。
[0035] 重合率が 70%に満たない状態で、第 2の重合開始剤を追加すると、第 1の重合開 始剤の活性がまだ失われて 、な 、ことが多 、ので、重量平均分子量 50万〜 150万 の重合体を得ることが難しくなる。一方、重合率が 90%よりも大きい段階で、すなわち 、ラジカル重合性モノマーの重合がほとんど終了してから、第 2の重合開始剤を追カロ すると、不要な重合開始剤が重合体の溶液に含まれることとなり、重合体溶液の保存 安定性が損なわれやすい。
[0036] 重合初期に用いる第 1の重合開始剤として、芳香族系以外の過酸化物、例えば!;— ブチルパーォキシ 2—ェチルへキサノエートを用いると、重合体溶液およびその重 合体溶液を含有する感圧接着剤の粘度が、第 1の重合開始剤として芳香族系の過 酸化物を用いる場合よりも、同程度の分子量において、約 1. 4倍程度大きい。このこ とより、第 1の重合開始剤として芳香族系以外の過酸ィ匕物を用いると、分岐のより多 Vヽ重合体が得られることが支持される。
[0037] 重合体 (A)の分岐の程度は、その溶液の粘度によって間接的に把握することがで きる。たとえば、重合体 (A)は、トルエンおよび Zまたは酢酸ェチルを溶剤として、固 形分 45%の溶液とした場合に、 25°Cにお ヽて、 15000〜40000mPa' s程度の粘 度を呈するものが好ましぐ 17000〜30000mPa' s程度の粘度を呈するものがより 好ましい。
なお、本発明にいう重合初期とは、重合率が 70〜90%になるまでの間の段階をい う。この間に用いる重合開始剤、すなわち第 1の重合開始剤は、重合開始前から重 合槽 (重合に用いる容器)の中に入れておくこともできるし、ある 、は滴下槽カも重合 槽に滴下することもできる。第 1の重合開始剤を重合槽に入れておき、さらに滴下槽 力 重合槽に滴下することもできる。
[0038] 次に、 3環式ジテルペンカルボン酸(B)につ!/、て説明する。
3環式ジテルペンカルボン酸 (B)としては、マツ類の樹脂に含まれるもの、たとえば ァビエチン酸類およびその誘導体などの種々のものを、使用することができる。具体 的には、ァビエチン酸、レボピマール酸、ネオアビェチン酸、パラストリン酸、デヒドロ ァビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、セコデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビ ェチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、エリオチン酸、サンダラコピマル酸、およびこれ らの混合物;ならびに上記種々の化合物に水素を付加したもの、上記種々の化合物 の二量体、上記種々の化合物で変性したフエノール榭脂、マレイン酸と上記種々の 化合物との反応性生物、上記種々の化合物とグリセリンとのエステル化物、および、 上記種々の化合物とペンタエリスリトールとのエステルイ匕物等を挙げることができる。 なかでも、上記種々の化合物の二量体、上記種々の化合物とグリセリンとのエステ ル化物、および上記種々の化合物とペンタエリスリトールとのエステルイ匕物等が好ま しい。
これら 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)は、分子量が 500〜1万程度であり、重合 体 (A)の分子量に比して、著しく小さい。
[0039] 感圧接着剤としての凝集力、被着体への密着性を考慮すると、 3環式ジテルペン力 ルボン酸(B)として、酸価が 3〜100 (mgKOHZg)のものが好ましぐ 7〜70 (mgK OH/g)のものがより好ましぐさらに好ましくは 10〜50mgKOH/gである。
3環式ジテルペンカルボン酸 (B)の酸価が極端に大き!/、場合、後述する硬化剤 (C )がもっぱら 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)との反応で消費されてしまって、重合体 (A)との反応が充分に行われなくなる恐れがある。重合体 (A)と硬化剤 (C)との反応 が不充分であると、感圧接着剤層としての凝集力が不足しやすぐ再剥離性が不良と なりやすい。
[0040] 本発明の感圧接着剤にお!、ては、重合体 (A)と 3環式ジテルペンカルボン酸 (B) の両者がカルボキシル基を有することが重要であり、具体的には、両者の合計の酸 価が 5〜50 (mgKOHZg)であることが極めて重要である。両者の合計の酸価は、 1 0〜40 (mgKOH/g)であることが好ましぐ 20〜35 (mgKOH/g)であることがより 好ましい。この合計の酸価は、両成分の重量比と両成分の酸価と力 求めることがで きる。
[0041] 重合体 (A)および 3環式ジテルペンカルボン酸(B)の両者がカルボキシル基を有 すること〖こよって、両者が後述する硬化剤 (C)と反応し、凝集力が大きぐ密な感圧 接着剤層を形成できる。
重合体 (A)と 3環式ジテルペンカルボン酸(B)との合計の酸価が 5 (mgKOH/g) 未満だと、後述する硬化剤 (C)と反応し得る官能基が少なすぎる。その結果、感圧接 着剤層の凝集力が著しく小さくなり、充分な保持力を発現できない。凝集力が小さい ので、貼着後、高温に曝されたり、高温高湿度に曝されたりすると、被着体から浮い たり剥がれたりする。また、凝集力が小さいので、貼着後、被着体から感圧接着シート を剥がすと、被着体に感圧接着剤層が残って、被着体を汚す。
一方、重合体 (A)と 3環式ジテルペンカルボン酸(B)との合計の酸価が 50 (mgKO HZg)よりも大きいと、後述する硬化剤 (C)と反応し得る官能基が多すぎる。その結 果、感圧接着剤層が固くなりすぎるので、充分な保持力を発現できない。
[0042] 合計の酸価が 5〜50 (mgKOH/g)の、重合体 (A)と 3環式ジテルペンカルボン酸
(B)との混合物は、たとえば、重合体 (A)として酸価が 10〜50 (mgKOHZg)程度 のもの 100重量部に対して、酸価が 5〜100 (mgKOH/g)程度の 3環式ジテルペン カルボン酸 (B)を 1〜50重量部配合することにより、得ることができる。ここで、 3環式 ジテルペンカルボン酸(B)を 5〜40重量部配合することがより好ましぐ 10〜35重量 部配合することがより好ましい。
[0043] 重合体 (A) 100重量部に対し、 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)の配合量が 1重量 部未満であると、感圧接着剤層の被着体またはシート状基材への密着性が不良とな りやすい。一方、 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)の配合量が 50重量部より多いと、 重合体 (A)との相溶性が低下して、感圧接着剤が白く濁りやすくなるおそれがある。 さらに、 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)は、重合体 (A)に比して硬化剤 (C)との反 応性が低いので、 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)が多すぎると、硬化剤(C)と反応 せずに残る割合が多くなる。その結果、未反応の 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)が 感圧接着剤層から被着体へ移行し、被着体表面に残りやすくなるので好ましくな ヽ。
[0044] ァビエチン酸類やその誘導体等の 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)を用いることに より、被着体およびシート状基材への密着性を向上させることができる。これは、高分
子量化された重合体 (A)のポリマー鎖の絡み合いに、 3環式ジテルペンカルボン酸( B)が適度に組み込まれ、重合体 (A)の結晶性を下げることにより、凝集力を維持し たまま密着性を上げることができるためと考えられる。もちろん、 3環式ジテルペン力 ルボン酸 (B)がなくても、感圧接着剤としての密着性はある程度は発現するが、光学 部材等の耐熱、耐湿性が求められる用途においては、不充分である。
[0045] 本発明では、カルボキシル基と反応し得る化合物を、硬化剤 (C)として用いる。
水酸基と反応し得る代表的な硬化剤として、イソシァネート系硬化剤がある。イソシ ァネート系硬化剤は、水酸基との反応性に優れ、感圧接着剤層として大きな凝集力 を発現しやす!/ヽと 、う点では好ま 、。
しかし、イソシァネート系硬化剤は、感圧接着剤中に含まれる主たる成分である重 合体の水酸基と反応する他、感圧接着剤中に含まれる水分や空気中の水分とも反 応しゃすい。したがって、イソシァネート系硬化剤を用いる感圧接着剤から形成され る感圧接着シートの各種性能の再現性を確保するためには、塗工 ·乾燥する際の諸 条件や周囲の環境を精密に制御する必要がある。
[0046] これに対し、カルボキシル基と反応し得る硬化剤とカルボキシル基との反応を利用 する感圧接着剤は、塗工'乾燥する際の諸条件の変動や周囲の環境変化の影響を 受け難ぐ感圧接着シートの各種性能の再現性確保の点で優れる。
そこで、本発明では、カルボキシル基との反応を利用して、カルボキシル基を有す る重合体 (A)および 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)を、カルボキシル基と反応し得 る硬化剤 (C)と組み合わせて用いる構成を採用して 、る。
[0047] この硬化剤 (C)としては、金属キレート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、イソシァネー ト系硬化剤、アジリジン系硬化剤等を使用することができる。これらは単独で使用して もよいし、複数種を併用してもよい。
硬ィ匕剤 (C)は、重合体 (A)および 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)の合計 100重 量部に対して、 0. 01〜10重量部であることが好ましい。さらに好ましくは、 0. 25〜5 重量部である。 0. 01重量部未満であると、感圧接着剤層としての凝集力が不足する 恐れがあり、 10重量部を超えると、被着体への密着性が不良となりやすいので好まし くない。
[0048] 硬化剤 (C)の中では、得られる感圧接着シートの耐熱性、耐湿熱性、再剥離性、高 凝集力の点から、金属キレート系硬化剤が好ましい。金属キレート系硬化剤とカルボ キシル基との反応は、配位結合の生成反応なので、共有結合の生成反応よりも速や かに進行する。 3環式ジテルペンカルボン酸(B)中のカルボキシル基は、重合体 (A) 中のカルボキシル基に比して立体障害が大きいので、重合体 (A)中のカルボキシル 基よりも反応し難い。したがって、反応性に優れる金属キレート系硬化剤を用いること により、重合体 (A)だけでなく 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)をも硬化反応に積極 的に関与させ、高凝集力を発現させることが好ましい。
[0049] 金属キレート系硬化剤としては、チタンキレート硬化剤、アルミキレート硬化剤、ジル コ-ゥムキレート硬化剤等が挙げられる。チタンキレート硬化剤を用いると感圧接着 剤が着色しやすぐまた不透明となりやすい。ジルコニウムキレート硬化剤は、ジルコ -ゥムの原子半径が大きいので、結合力が弱くなる傾向にある。したがって、このよう な問題のな 、アルミキレート系硬化剤が好まし 、。
金属キレート系硬ィ匕剤の安定性、取り扱いやすさを考慮しても、アルミキレート系硬 ィ匕剤が好ましい。アルミキレート系硬化剤は、たとえば βージケトンのような化合物と アルミニウムがキレート構造を有して 、るものが多 、ので、硬化剤を配合後も感圧接 着剤を安定な状態に維持することができる。
[0050] エポキシ系硬化剤としては、エポキシ基を分子内に複数個有する化合物であれば よぐ特に限定されるものではない。具体的には、たとえば、エチレングリコールジグリ シジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、 1, 6—へキサンジォ 一ルジグリシジルエーテル、ビスフエノール Α·ェピクロロヒドリン型エポキシ榭脂、 Ν, Ν, Ν,Ν,一テトラグリシジルー m—キシレンジァミン、 1, 3—ビス(N, N—ジグリシジ ルアミノメチル)シクロへキサン、 N, N—ジグリシジルァ二リン、 N, N—ジグリシジルト ルイジン等が挙げられる。
[0051] イソシァネート系硬ィ匕剤としては、ジイソシァネートイ匕合物、ジイソシァネートイ匕合物 を 3官能ポリオール成分で変性した 、わゆるァダクト体、ジイソシァネートイ匕合物が水 と反応したビュレット体、ジイソシァネートイ匕合物 3分子力 形成されるイソシァヌレー ト環を有する 3量体 (イソシァヌレート体)などを使用することができる。
ジイソシァネートイ匕合物としては、芳香族ジイソシァネート、脂肪族ジイソシァネート 、芳香脂肪族ジイソシァネート、脂環族ジイソシァネート等が挙げられる。
芳香族ジイソシァネートとしては、 1, 3 フエ-レンジイソシァネート、 4, 4,一ジフエ ニノレジイソシァネート、 1, 4 フエ-レンジイソシァネート、 4, 4,ージフエ-ルメタンジ イソシァネート、 2, 4 トリレンジイソシァネート、 2, 6 トリレンジイソシァネート、 4, 4 ,一トルイジンジイソシァネート、ジァ-シジンジイソシァネート、 4, 4'ージフエニノレエ 一テルジイソシァネート等を挙げることができる。
[0052] 脂肪族ジイソシァネートとしては、トリメチレンジイソシァネート、テトラメチレンジイソ シァネート、へキサメチレンジイソシァネート、ペンタメチレンジイソシァネート、 1, 2- プロピレンジイソシァネート、 2, 3 ブチレンジイソシァネート、 1, 3 ブチレンジイソ シァネート、ドデカメチレンジイソシァネート、 2, 4, 4 トリメチルへキサメチレンジイソ シァネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ジイソシァネートとしては、 ω , ω,一ジイソシァネート一 1 , 3 ジメチル ベンゼン、 ω , ω,一ジイソシァネート一 1, 4 ジメチルベンゼン、 ω , ω,一ジイソシ ァネート 1, 4ージェチルベンゼン、 1, 4ーテトラメチルキシリレンジイソシァネート、 1, 3—テトラメチルキシリレンジイソシァネート等を挙げることができる。
[0053] 脂環族ジイソシァネートとしては、 3—イソシァネートメチル一 3, 5, 5 トリメチルシ クロへキシノレイソシァネート、 1 , 3 シクロペンタンジイソシァネート、 1, 3 シクロへ キサンジイソシァネート、 1, 4ーシクロへキサンジイソシァネート、メチルー 2, 4 シク 口へキサンジイソシァネート、メチルー 2, 6 シクロへキサンジイソシァネート、 4, 4, —メチレンビス(シクロへキシルイソシァネート)、 1, 4 ビス(イソシァネートメチル)シ クロへキサン、 1, 4 ビス (イソシァネートメチル)シクロへキサン等を挙げることができ る。
[0054] 以上例示の化合物のうち、ジイソシァネートイ匕合物としては、 2, 4 トリレンジイソシ ァネート、へキサメチレンジイソシァネート、 3—イソシァネートメチルー 3, 5, 5—トリメ チルシクロへキシルイソシァネート(イソホロンジイソシァネート)が好まし 、。
また、これらのジイソシァネート化合物のァダクト体、ビュレット体、イソシァヌレート 体も、好適に使用することができる。
[0055] アジリジン系硬化剤は、 1分子中に少なくともアジリジニル基を 2個以上有する化合 物であり、たとえば、トリ— 1—アジリジ -ルホスフィンオキサイド、 N, N'—へキサメチ レン 1, 6 ビス(1 アジリジン力ノレボキシアマイド)、 N, N,ージフエニノレエタン 4, 4'—ビス(1—アジリジンカルボキシアマイド)、トリメチロールプロパン—トリ— β - アジリジ -ルプロピオネート、 Ν, N'—トルエン 2, 4 ビス(アジリジンカルボキシァ マイド)、ビスイソフタロイル一 1— (2—メチルアジリジン)ホスフィン、トリメチロールプ 口パン—トリ— /3 - (2—メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
[0056] 感圧接着剤は、重合体 (Α)と、重合体 (Α)との合計の酸価が 5〜50 (mgKOH/g )となる量の 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)と、カルボキシル基と反応し得る官能基 を有する硬化剤 (C)とを混合することにより製造できる。たとえば、重合体 (A)に 3環 式ジテルペンカルボン酸(B)を加え、さらに硬化剤 (C)をカ卩えればよ!、。
感圧接着剤は、上記成分 (A)、(B)、(C)以外に、本発明の効果を損なわない範 囲であれば、各種榭脂、カップリング剤、軟化剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線 吸収剤、耐候安定剤、付着付与剤、可塑剤、充填剤および老化防止剤等をさらに含 む組成物であってもよ!/、。
[0057] 本発明の感圧接着剤を使用して、感圧接着剤層とシート状基材とからなる積層製 品、すなわち、シート状基材と、シート状基材の少なくとも一方の面に積層された、本 発明の感圧接着剤から形成される感圧接着剤層とを含む感圧接着シートを得ること ができる。
[0058] シート状基材としては、セロハン、各種プラスチックシート、ゴム、発泡体、布、ゴムび き布 (表面にゴム層を有する布)、榭脂含浸布、ガラス板、金属板、木材等の平たい 形状のものが挙げられる。また、各種基材は単層であってもよいし、複数の層が積層 された多層構造の基材を用いることもできる。さらに、表面を剥離処理したものを用い ることちでさる。
[0059] 各種プラスチックシートは、各種プラスチックフィルムとも 、われ、たとえば、ポリビ- ルアルコールフィルム、トリァセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン
、ポリシクロォレフィン、エチレン 酢酸ビュル共重合体などのポリオレフイン系榭脂 のフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステ
ル系榭脂のフィルム;ポリカーボネート系榭脂のフィルム、ポリノルボルネン系榭脂の フィルム、ポリアリレート系榭脂のフィルム、アクリル系榭脂のフィルム、ポリフエ-レン サルファイド榭脂のフィルム、ポリスチレン榭脂のフィルム、ビュル系榭脂のフィルム、 ポリアミド系榭脂のフィルム、ポリイミド系榭脂のフィルム、エポキシ系榭脂のフィルム などが挙げられる。
[0060] 本発明に係る感圧接着剤は、光学用に好ましく用いることができ、感圧接着シート を光学分野に使用する場合、上記のプラスチックフィルムは、厚み 100 m換算で、 全光線透過率が 80%以上の光学用プラスチックフィルムであることが好ましい。 光学用プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィル ム、トリアセテートフィルム、シクロォレフインフィルム、アクリルフィルム等を用いること が好ましい。
光学用プラスチックフィルムとしては、単層フィルムの他、多層化したフィルムも用い ることがでさる。
単層の光学フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリ アセテートフィルム、シクロォレフインフィルム等を用いることが好まし!/、。
[0061] 多層化した光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィル ム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等が挙げられる。偏光フィルムとしては、た とえば、ポリビニルアルコール系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィル ム(以下、 TACフィルムという。)で挟んだ積層構造のものが挙げられる。位相差フィ ルムとしては、たとえば、上記の偏光フィルムに延伸したポリカーボネートフィルムを 積層したフィルムが挙げられる。反射防止フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテ レフタレートにポリ 4—フッ化工チレンをコーティングした積層フィルムが挙げられる。 輝度向上フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートに拡散性の有機微 粒子をコーティングした積層フィルムが挙げられる。
[0062] 本発明の感圧接着剤は、 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)を含有し、各種シート状 基材への密着性が高いので、光学用のプラスチックフィルムの他、発泡体のように一 般に接着し難いとされるシート状基材に対しても、好適に使用される。
[0063] 感圧接着シートは、たとえば、種々のシート状基材に感圧接着剤を任意の方法で
塗工し、乾燥 ·硬化することによって、得ることができる。
塗工に際し、適当な液状媒体、たとえば、酢酸ェチル、トルエン、イソプロピルアル コール、その他の炭化水素系溶媒等の有機溶媒を感圧接着剤にさらに添加して、粘 度を調整することもできるし、感圧接着剤を加熱して粘度を低下させることもできる。 感圧接着剤が有機溶媒や水等の液状媒体を含有する場合には、塗布後の感圧接 着剤層から液状媒体を除去したり、感圧接着剤が揮発すべき液状媒体を含有しない 場合は、溶融状態にある感圧接着剤層を冷却して固化したりして、シート状基材の上 に感圧接着剤層を形成することができる。
[0064] 感圧接着剤の塗工は、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、 グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リ バースコ—ター、スピンコーター等種々の手段や装置を用いて行うことができる。 乾燥方法には特に制限はなぐ熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げ られる。乾燥条件は、感圧接着剤の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通 常 60〜 180°C程度で、熱風により乾燥することが好ま 、。
[0065] たとえば、剥離処理されたシート状基材の剥離処理面に感圧接着剤を塗工、乾燥 し、剥離処理されていないシート状基材を感圧接着剤層の表面に積層することによ つて、片面感圧接着シートを得ることができる。
あるいは、剥離処理されていないシート状基材に感圧接着剤を塗工、乾燥し、感圧 接着剤層の表面に剥離処理されたシート状基材の剥離処理面を積層することによつ て、片面感圧接着シートを得ることができる。
さらに、剥離処理されたシート状基材の剥離処理面に感圧接着剤を塗工、乾燥し、 別の剥離処理されたシート状基材の剥離処理面を感圧接着剤層の表面に積層する こと〖こよって、両面感圧接着シートを得ることができる。
[0066] たとえば、液晶セルのガラス部材に偏光フィルムを貼り付ける場合は、シート状基材 として偏光フィルムを用いた片面感圧接着シートとする。この片面感圧接着シートか ら、感圧接着剤層の表面を覆っていた剥離処理されたシート状基材を剥がし、感圧 接着剤層を液晶セル用ガラス部材に貼着することによって、偏光フィルム Z感圧接 着剤層 Z液晶セル用ガラス部材という構成の液晶セル部材を得ることができる。
[0067] 感圧接着剤層の厚さは、 0. 1 m〜200 μ mであることが好ましぐ 1 μ m〜100 μ mであることがより好ましい。 0. 1 m以下では充分な接着力が得られないことがあり 、 200 mを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
[0068] (実施例)
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、 下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は 、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
[0069] (合成例 1)
[重合槽]
アクリル酸 2—ェチルへキシル 3. 0部
アクリル酸ブチル 8. 0部
アクリル酸ェチル 2. 5部
アクリル酸 0. 4部
酢酸ェチノレ 16. O
ベンゾィルパーォキシド 0. 01部
[滴下装置]
アクリル酸 2—ェチルへキシル 5. 5部
アクリル酸ブチル 16. 0部
ァクジノレ酸 0. 8咅
酢酸ェチノレ 6. 3
トノレェン 6. 5部
ベンゾィルパーォキシド 0. 02部
[0070] 重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら、窒素雰囲気下、還流温 度下で滴下装置力 の滴下を開始した。滴下終了後、さらに攪拌しながら、重合率が 82%に達したところで、ベンゾィルパーォキシド 0. 04部、さらに t—ブチルパーォキ シ— 2—ェチルへキサノエート 0. 03部を添カ卩し、重合率が 99%以上になるまで、 3 時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
[0071] (合成例 2)
[重合槽]
アクリル酸 2—ェチルへキシル 3. 0部
アクリル酸ブチル 8. 0部
ァクジノレ酸ェチル 2. 5U
アクリル酸 0. 4部
酢酸ェチル 16. 0咅
ベンゾィルパーォキシド 0. 01部
[滴下装置]
アクリル酸 2—ェチルへキシル 5. 5部
ァクジノレ酸ブチル 16. 0U
アクリル酸 0. 8部
アクリル酸 2—ヒドロキシェチル 0. 03部
酢酸ェチノレ 6. 3咅
トノレェン 6. 5部
ベンゾィルパーォキシド 0. 02部
合成例 1と同様にして重合を行レ、、重合率が 83%に達したところで、ベンゾィルパ ーォキシド 0. 04部、さらに t一ブチルパーォキシ一 2—ェチルへキサノエート 0. 03 部を添加し、重合率が 99%以上になるまで 3時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
[0073] (合成例 3)
[重合槽]
アクリル酸 2—ェチルへキシル 4. 1部
アクリル酸ブチル 6. 5部
アクリル酸メチル 1. 2部
メタクリル酸メチル 5. 4部
アクリル酸 0. 5部
酢酸ェチル 16. 0部
ベンゾィルパーォキシド 0. 01部
[滴下装置]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 4. 1部
アクリル酸ブチル 6. 5咅
アクリル酸メチル 1. 2部
メタクリノレ酸メチノレ 5. 4部
アクリル酸 2 ヒドロキシェチル 0. 03咅
アクリル酸 0. 6咅
酢酸ェチル 6. 3U
トルエン 6. 5部
ベンゾィルパーォキシド 0. 02
合成例 1と同様にして重合を行い、重合率が 80%に達したところで、ベンゾィルパ ーォキシド 0. 04部、さらに t ブチルパーォキシ 2 ェチルへキサノエート 0. 03 部を添加し、重合率が 99%以上になるまで 3時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
(合成例 4)
[重合槽]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 3. 0部
アクリル酸ブチル 8. 0部
ァクジノレ酸ェチノレ 2. 5U
アクリル酸 0. 4部
酢酸ェチル 16. 0咅
ベンゾィルパーォキシド 0. 03部
[滴下装置]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 5. 5部
ァクジノレ酸ブチノレ 16. 0U
アクリル酸 0. 8部
アクリル酸 2 ヒドロキシェチル 0. 03部
酢酸ェチル 6. 3部
トルエン 6. 5部
ベンゾィルパーォキシド 0. 06咅
[0076] 合成例 1と同様にして重合を行い、重合率が 85%に達したところで、ベンゾィルパ ーォキシド 0. 04部、さらに t ブチルパーォキシ 2 ェチルへキサノエート 0. 03 部を添加し、重合率が 99%以上になるまで 3時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
[0077] (合成例 5)
[重合槽]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 8. 5部
アクリル酸ブチル 24. 0部
アクリル酸ェチル 2. 5部
アクリル酸 1. 2部
アセトン 28. 8
2, 2'—ァゾビスブチロニトリル 0. 01咅
[0078] 重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら、窒素雰囲気下、還流温 度下で反応を開始した。攪拌しながら重合率が 78%に達したところで、 2, 2'—ァゾ ビスプチ口-トリル 0. 02部を添加し、 4時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
[0079] (合成例 6)
[重合槽]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 3. 0部
アクリル酸ブチル 8. 0部
アクリル酸ェチル 2. 5部
アクリル酸 0. 4部
酢酸ェチノレ 16. 0咅
t ブチルパーォキシ 2 ェチルへキサノエート 0. 009部
[滴下装置]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 5. 5部
アクリル酸ブチル 16. 0部
アクリル酸 0. 8部
酢酸ェチノレ 6. 3¾
トノレエン 6. 5部
tーブチノレパーォキシ 2 ェチノレへキサノエート 0. 018部
合成例 1と同様にして重合を行い、重合率が 81%に達したところで、ベンゾィルパ ーォキシド 0. 04部、さらに t ブチルパーォキシ 2 ェチルへキサノエート 0. 03 部を添加し、重合率が 99%以上になるまで 3時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
(合成例 7)
[重合槽]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 3. 0部
アクリル酸ブチル 8. 0部
アクリル酸ェチル 2. 5部
アクリル酸 0. 4部
酢酸ェチル 16. 0咅
ベンゾィルパーォキシド 0. 01部
[滴下装置]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 5. 5部
アクリル酸ブチル 16. 0部
アクリル酸 0. 8部
酢酸ェチノレ 6. 3咅
トルエン 6. 5部
ベンゾィルパーォキシド 0. 02部
合成例 1と同様にして重合を行い、重合率が 80%に達したところで、 2, 2' ァゾビ スブチロニトリル 0. 05部を添加し、重合率が 99%以上になるまで 3時間反応を続け
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した
[0083] (合成例 8)
[重合槽]
アクリル酸 2—ェチルへキシル 3. 4部
アクリル酸ブチル 8. 0咅
アクリル酸ェチル 2. 5部
酢酸ェチル 16. O
ベンゾィルパーォキシド 0. 01咅
[滴下装置]
アクリル酸 2—ェチルへキシル 6. 3部
アクリル酸ブチル 16. 0
アクリル酸 2—ヒドロキシェチル 0. 03咅
酢酸ェチル 6. 3U
トルエン 6. 5部
ベンゾィルパーォキシド 0. 02
[0084] 合成例 1と同様にして重合を行い、重合率が 82%に達したところで、ベンゾィルパ ーォキシド 0. 04部、さらに t ブチルパーォキシ 2 ェチルへキサノエート 0. 03 部を添加し、重合率が 99%以上になるまで 3時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
(合成例 9)
[重合槽]
アクリル酸 2—ェチルへキシル 3. 0部
アクリル酸ブチル 6. 4部
アクリル酸ェチル 2. 5部
アクリル酸 2. 0部
酢酸ェチル 16. 0
ベンゾィルパーォキシド 0. 01咅
[滴下装置]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 5. 5部
アクリル酸ブチル 14. 8
アクリル酸 2. 0部
アクリル酸 2 ヒドロキシェチル 0. 03咅
酢酸ェチル 6. 3U
トルエン 6. 5部
ベンゾィルパーォキシド 0. 02
[0086] 合成例 1と同様にして重合を行い、重合率が 85%に達したところで、ベンゾィルパ ーォキシド 0. 04部、さらに t ブチルパーォキシ 2 ェチルへキサノエート 0. 03 部を添加し、重合率が 99%以上になるまで 3時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
[0087] (合成例 10)
[重合槽]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 3. 0部
ァクジノレ酸ブチノレ 8. 0
ァクジノレ酸ェチノレ 2. 5咅
アクリル酸 0. 4部
酢酸ェチル 16. 0咅
2, 2,—ァゾビスブチ口-トリル 0. 007部
[滴下装置]
アクリル酸 2 ェチルへキシル 5. 5部
ァクジノレ酸ブチノレ 16. 0
ァクジノレ酸 0. 8咅
アクリル酸 2 ヒドロキシェチル 0. 03部
酢酸ェチノレ 6. 3咅
トノレェン 6. 5部
2, 2,—ァゾビスブチ口-トリル 0. 0013部
[0088] 合成例 1と同様にして重合を行い、重合率が 85%に達したところで、ベンゾィルパ
ーォキシド 0. 04部、さらに t ブチルパーォキシ 2 ェチルへキサノエート 0. 03 部を添加し、重合率が 99%以上になるまで 3時間反応を続けた。
次いで、酢酸ェチル 16部をカ卩えて室温まで冷却し、反応を終了した。
[0089] 合成例 1〜10より得られた各反応溶液につき、外観、不揮発分(固形分)、粘度、 共重合体の重量平均分子量 (Mw)、 Tgおよび酸価を以下の方法にしたがって求め た。結果を表 1に示す。
[0090] 《溶液外観》
各反応溶液の外観を目視にて評価した。
[0091] 《不揮発分の測定》
各反応溶液約 lgを金属容器に秤量し、 150°Cオーブンにて 20分間乾燥して、残 分を秤量して残率計算をし、不揮発分濃度(固形分)とした。
[0092] 《溶液粘度の測定》
25°Cで B型粘度計 (東京計器社製)を用いて、 12rpm、 1分間回転の条件で、各反 応溶液の粘度を測定した。
[0093] 《重量平均分子量 (Mw)等の測定》
Mwの測定は、東ソー株式会社製 GPC (ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー; H PC— 8020)を用いた。 GPCは、溶媒 (THF ;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をそ の分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、重量平均分 子量 (Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。さらに、積分値 (GPCチャート面積) から、分子量が 200万以上の面積%を算出した。
[0094] 《共重合体の Tg》
共重合体の Tgを各モノマーの組成から求めた。
《共重合体の酸価》
共重合体を構成する全モノマーに対するアクリル酸の重量%を [A]、アクリル酸の 分子量を 72. 1、水酸ィ匕カリウムの分子量を 56. 11とし、下記式により算出した値を 用いた。
共重合体の酸価= ( [八] 56. 11 X 1000)Z(100 X 72. 1)
合成例 1で得られた共重合体 lOOgを含む溶液に対して、ペンセル D— 125 (アビ ェチン酸を主成分とする 3環式ジテルペンカルボン酸のエステル化物の二量体:酸 価 13. 0、荒川化学工業株式会社製) 25gを添加し、硬化剤としてアルミキレート A ( アルミキレート系硬化剤;ァセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート:川研フアイ ンケミカル株式会社製) 0. 56gを加えて充分に撹拌し、感圧性接着剤を得た。感圧 性接着剤中に含まれる合成例 1で得られた共重合体とペンセル D - 125との合計の 酸価は、 23. 2 (mgKOH/g)である。
この感圧接着剤を、剥離処理されたポリエステルフィルム(以下、剥離フィルムという 。)上に塗工し 100°Cで 2分間乾燥させ、剥離フィルム上に 25 mの厚みの感圧接
着剤層を形成した。
感圧接着剤層に、ポリビュルアルコール系偏光子の両面をトリアセチルセルロース 系保護フィルム(以下、 TACフィルムという。)で挟んだ多層構造の偏光フィルムの片 面を接触させた後、温度 23°C、相対湿度 50%の条件で 1週間熟成(暗反応)させて 、感圧接着剤層の反応を進行させ、剥離フィルム Z感圧接着剤層 ZTACフィルム, PVAZTACフィルムという積層状態の、感圧接着力卩ェした偏光フィルム、すなわち 感圧接着シートを得た。
[0097] (実施例 2)
合成例 1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例 2で得られた共重合体溶液 を用い、ペンセル D— 125の代わりに、ペンセル AZ (ァビエチン酸を主成分とする 3 環式ジテルペンカルボン酸のエステルイ匕物:酸価 43. 0、荒川化学工業株式会社製 ) 25gを用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工した偏光フィルム、すな わち感圧接着シートを作製した。
[0098] (実施例 3)
合成例 1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例 2で得られた共重合体溶液 を用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工した偏光フィルム、すなわち 感圧接着シートを作製した。
[0099] (実施例 4)
合成例 1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例 6で得られた共重合体溶液 を用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工した偏光フィルム、すなわち 感圧接着シートを作製した。なお、合成例 6で得られた共重合体溶液は粘度が高ぐ 取り扱いが難しいため、トルエン lOOgで希釈した後、感圧接着剤層を作製した。この ような状態でも使用可能ではあるが、乾燥により除去される希釈溶剤を使用するため 、経済的ではない。
[0100] (実施例 5)
合成例 1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例 7で得られた共重合体溶液 を用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工した偏光フィルム、すなわち 感圧接着シートを作製した。
[0101] (実施例 6)
アルミキレート Aの代わりに、オルガチックス TC— 100 (チタンキレート系硬化剤;チ タンァセチルァセトナート:松本製薬工業株式会社製) 0. 5gを用いた以外は、実施 例 1と同様にして、感圧接着剤加工した偏光フィルム、すなわち感圧接着シートを作 製した。
[0102] (実施例 7)
実施例 1と同様に、合成例 1で得られた共重合体溶液を用い、シート状のポリウレタ ン発泡体に感圧接着剤層を積層させ、剥離フィルム Z感圧接着剤層 Zポリウレタン 発泡体とした以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着シートを作製した。
[0103] (実施例 8)
合成例 1で得られた共重合体榭脂溶液の代わりに、合成例 2で得られた共重合体 榭脂溶液を用い、アルミキレート Aの代わりに、トリレンジイソシァネートトリメチロール プロパンァダクト体 0. 75gを用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工し た偏光フィルム、すなわち感圧接着シートを作製した。
[0104] (実施例 9)
合成例 1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例 2で得られた共重合体溶液 を用い、アルミキレート A3. Ogを用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加 ェした偏光フィルム、すなわち感圧接着シートを作製した。
[0105] (比較例 1〜5)
合成例 1で得られた共重合体溶液の代わりに、表 2に示すように合成例 8、 9、 4、 5 、 10で得られた各共重合体溶液を用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着 加工した偏光フィルム、すなわち感圧接着シートを作製した。
[0106] (比較例 6)
アルミキレート Aを用いなカゝつた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工した 偏光フィルム、すなわち感圧接着シートを作製した。
[0107] (比較例 7)
合成例 1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例 2で得られた共重合体溶液 を用い、ペンセル D— 125を用いな力つた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着
加工した偏光フィルム、すなわち感圧接着シートを作製した。
[0108] (比較例 8)
合成例 1で得られた共重合体溶液の代わりに、合成例 3で得られた共重合体溶液 を用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工した偏光フィルム、すなわち 感圧接着シートを作製した。
[0109] (比較例 9)
ペンセル D— 125の代わりに、 KR— 1840 (石油系榭脂;酸価 0、荒川化学工業株 式会社製) 25gを用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工した偏光フィ ルム、すなわち感圧接着シートを作製した。
[0110] (比較例 10)
ペンセル D— 125の代わりに、 KR— 610 (ァビエチン酸を主成分とする 3環式ジテ ルペンカルボン酸のエステルイ匕物に水素を付加したもの);酸価 170、荒川化学工業 社製) 25gを用いた以外は、実施例 1と同様にして、感圧接着加工した偏光フィルム
、すなわち感圧接着シートを作製した。
[0111] 実施例および比較例で得られた各感圧接着剤層の疎密度係数を以下のようにして 求め、感圧接着剤層の疎密を評価した。
《疎密度係数》
実施例および比較例で得られた各感圧接着剤を剥離フィルム上に塗工し、 100°C で 2分間乾燥させ、剥離フィルム上に感圧接着剤層を形成し、感圧接着剤層の厚み が 1. 2mmになるまで塗工、乾燥を繰り返した。
感圧接着剤層から剥離フィルムを剥がし、得られた感圧接着剤層について、 TAィ ンスツルメント ·ジャパン社製の粘弾性試験機 RDA— IIIを用いて、ゴム状温度領域、 具体的には 65°Cにおける貯蔵弾性率 (G' )を求めた。
[0112] 貯蔵弾性率 (G' )から、下記式に基づいて、疎密度係数を求めた。疎密度係数が 小さいほど感圧接着剤層が密であり、疎密度係数が大きいほど感圧接着剤層が疎で あることを示す。
疎密度係数 = 3dRT/G ' =29.93 X (273 + 65) X 106/G,
d:試料の厚み、 R:気体定数、 T:測定温度 (K)、 G':貯蔵弾性率 (単位 Pa)
[0113] 実施例および比較例で得られた各感圧接着シートについて、耐熱密着性、耐湿熱 密着性、白抜けの有無 (耐熱性)、再剥離性、保持力等を以下の方法で評価した。結 果を表 2に示す。
[0114] 《耐熱密着性、耐湿熱密着性》
実施例 1〜6、 8、 9および各比較例で得られた感圧接着加工した偏光フィルムを 1 50mm X 80mmの大きさにカットし、厚さ 1. 1mmのフロートガラス板の両面に、偏光 フィルムの吸収軸が直交するように貼着した。次に、両面に偏光フィルムが貼り付けら れたこのガラス板を、 50°C、 5気圧のオートクレーブ内に 20分間入れ、両偏光フィル ムをガラス板に強固に密着させた。
そして、ガラス板の両面に偏光フィルムを貼り付けた積層物を、(1)耐熱密着性: 10 0°Cで 1500時間、および(2)耐湿熱密着性: 80°C、相対湿度 90%で 1000時間、そ れぞれ放置した後の、偏光フィルムの浮きゃハガレの有無を目視で観察し、 4段階で 評価した。記号の意味は以下の通りである。
AA:「浮き'ハガレが全く認められない」
A:「浮き'ハガレが若干認められるが、実用上問題がない」
B :「浮き 'ハガレが認められ、実用上問題がある」
C :「浮き'ハガレが全面に認められ、実用不可である」
[0115] 実施例 7の場合は、感圧接着シート (剥離フィルム Z感圧接着剤層 Zポリウレタン 発泡体)力 剥離フィルムを剥がし、感圧接着剤層を介してポリウレタン発泡体をステ ンレス板に貼り付け、 65°Cで 100時間放置した後の浮き剥がれ (耐熱密着性)、 40 °C、相対湿度 90%で 100時間放置した後の浮き剥がれ (耐湿熱密着性)を目視で観 察し、以下の 3段階で評価した。
A:「浮き'ハガレが全く認められない」
B :「浮き,ハガレが若干認められ、実用上問題がある」
C :「全面的に浮き'ハガレがあり、実用不可である」
[0116] 《白抜け》
実施例 1〜6、 8、 9および各比較例で得られた感圧接着加工した偏光フィルムにつ いて、耐熱密着性の場合と同様に、ガラス板の両面に偏光フィルムを貼り付けた積層
物を、 100°Cで 1500時間置した後の白抜けの有無を目視で観察し、以下の 4段階 で評価した。
AA:「白ぬけが全く認められない」
A:「白ぬけが若干認められるが、実用上問題がない」
B :「白ぬけが認められ、実用上問題がある」
C :「白ぬけが顕著であり、実用不可である」
[0117] 《再剥離性 (リワーク性)》
実施例 1〜6、 8、 9および各比較例で得られた感圧接着加工した偏光フィルムを 2 5mm X 150mmの大きさにカットし、厚さ 1. 1mmのフロートガラス板の一方の面に、 偏光フィルムを貼着した。次に、偏光フィルムが貼り付けられたこのガラス板を、 50°C 、 5気圧のオートクレープ内に 20分間入れ、偏光フィルムをガラス板に強固に密着さ せた。
この試験片を 23°C、相対湿度 50%で 1時間放置した後に、 180度方向に 300mm Z分の速度で引き剥がす 180° ピール試験を実施し、剥離後のガラス表面の曇りを 目視で観察し、以下の 3段階で評価した。
A:「実用上全く問題がない」
B :「若干曇りが認められ、実用上問題がある」
C :「全面的に転着が認められ、実用不可である」
[0118] 実施例 7の場合は、感圧接着シート (剥離フィルム Z感圧接着剤層 Zポリウレタン 発泡体)力 剥離フィルムを剥がし、感圧接着剤層を介してポリウレタン発泡体をステ ンレス板に貼り付け、上記と同様にステンレス板表面の曇りを目視で評価した。
[0119] 《保持力》
各実施例および各比較例で得た各感圧接着シートから幅 2. 5cmの試験用試料を 切り出し、貼り合わせ部分が 2. 5cmX 2. 5cmとなるようにステンレス板に貼り付け、 65°Cの環境下で 20分放置後、その環境下にて lkgの重りをぶら下げ、重りが落下す るまでの時間を次の 3段階で評価した。
A:「110時間以上で、実用上全く問題がない」
B :「50〜: L 10時間で、実用上問題がある」
C :「50時間未満で、実用不可である」
[0120] [表 2]
CM
[0121] 以上のように、実施例の感圧接着剤からは、耐熱密着性、耐湿熱密着性、再剥離
性、保持力に優る感圧接着シートを形成することができた。また、上記結果から、感 圧接着剤層の疎密度係数は、 14 X 104〜18 X 104であることが好ましいことがわ力る 感圧接着剤層の疎密度係数が大きすぎる、すなわち、感圧接着剤層が疎でありす ぎる場合には、以下のような不都合が生じるものと考察される。感圧接着剤層が疎で ありすぎる場合に、感圧接着シートを高温下に曝したり、高温高湿度下に曝したりす ると、感圧接着剤層が疎であるが故に、被着体とシート状基材とを充分に引き寄せて つなぎとめておくことができなくなる。その結果、感圧接着シートが被着体から浮いた り、発泡したりすると考えられる。なお、浮きも発泡も、感圧接着シートと被着体との間 にドーム状の空気が入り込むという点では同じである。しかし、発泡が比較的小さな 点々(ドット状)のドーム状空気の発生を指すのに対し、浮きはかなり大きなドーム状 空気の発生を指す。また、シート状基材の変形に追随できずに、感圧接着シートと被 着体との間にドーム状の空気が入り込む場合は、主に「浮き」 t 、う。
[0122] 一方、感圧接着剤層の疎密度係数が小さすぎる、すなわち、感圧接着剤層が密で ありすぎる場合には、以下のような不都合が生じるものと考察される。感圧接着剤層 が密すぎると、感圧接着剤層の内部に向力う力(内部凝集力と換言することができる 。;)が大きくなりすぎる。そして、外部凝集力(一般に接着力や密着力といわれる。)、 すなわち、感圧接着剤層にとっての外部である被着体やシート状基材との間に働く 一種の引力、が内部凝集力に比して相対的に小さくなりすぎる。その結果、感圧接 着剤層と被着体とシート状基材との間で界面剥離が生じ、保持力の評価試験におい て、感圧接着シートに取り付けた lkgの重りの重さに抵抗しきれずに、ステンレス板か ら感圧接着シートがずり落ちてしまう(このような現象をスリップという。)ものと考察され る。
[0123] これに対して、比較例 1に示すように共重合体と 3環式ジテルペンカルボン酸との合 計の酸価が小さすぎると、硬化剤 (C)と反応し得る官能基が少なすぎるので、感圧接 着剤層の凝集力が著しく小さくなり、充分な保持力を発現できない。また、凝集力が 小さすぎるので、耐熱密着性、耐湿熱密着性が悪ぐ被着体から感圧接着シートを 剥がすと、被着体に感圧接着剤層が残って、被着体を汚染する。さらに、疎密度係
数が約 25 X 104と大きいことからも、実施例の場合よりも比較例 1の感圧接着剤層は 疎であり、感圧接着剤層の凝集力が小さいこととわ力る。
[0124] 比較例 2に示すように共重合体と 3環式ジテルペンカルボン酸との合計の酸価が大 きすぎると、硬化剤 (C)と反応し得る官能基が多すぎるので、感圧接着剤層の内部 凝集力が大きくなりすぎる。感圧接着剤層の内部凝集力が大きすぎることは、疎密度 係数が実施例よりも小さいことからも支持される。そして、感圧接着剤層が密で内部 凝集力が大きいが故に、上記したように、保持力の評価試験において感圧接着剤層 と被着体とシート状基材との間で界面剥離が生じ、ステンレス板から感圧接着シート 力 Sスリップ落下してしまう。また、官能基が多すぎる結果、被着体との親和性が大きく なり、被着体汚染も顕著となる。
[0125] 共重合体の Mwが小さすぎると、比較例 3、 5に示すように、形成される感圧接着剤 層は疎であり、その外部凝集力が小さくなるので、密着性 (耐熱性、耐湿熱性)が悪く 、感圧接着シートが被着体力 浮いたり、発泡したりする。しかも、内部凝集力も小さ すぎるので、保持力の評価試験において感圧接着剤層自体が破壊されてしまい (凝 集破壊)、充分な保持力を発現できない。
共重合体の Mwが大きすぎると、比較例 4に示すように、感圧接着剤層が密になり、 内部凝集力が高くなりすぎるため、感圧接着剤層と被着体とシート状基材間でスリツ プしてしまい、充分な保持力を発現できない。また、感圧接着剤層の内部凝集力が 大きすぎるので、シート状基材の熱変形や湿熱変形を抑え込もうとする力が強く働き 、白抜けが生じる。
[0126] 比較例 7は、共重合体にとっての異物である 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)を含 有しないという点で、形成される感圧接着剤層は実施例よりも密になるものの、外部 凝集力が小さすぎるので、密着性 (耐熱性、耐湿熱性)が悪ぐ感圧接着シートが被 着体から浮いたり、発泡したりする。
3環式ジテルペンカルボン酸 (B)の代わりに、石油系榭脂を含有する場合 (比較例 9)は、比較例 7よりは感圧接着剤層が疎になると考えられるが、共重合体と石油系榭 脂との相溶性が悪いので、密着性 (耐熱性、耐湿熱性)がさほど改良されず、むしろ 再剥離性が悪化する。
[0127] 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)を含有する力 共重合体 (A)と 3環式ジテルペン カルボン酸 (B)との合計の酸価が大きすぎると、感圧接着剤層の疎密度係数が 16 X 104ではあるものの、比較例 10に示すように、再剥離性が悪ぐ保持力も小さくなる。 その理由は、 3環式ジテルペンカルボン酸 (B)の酸価が高すぎるために、硬化剤(C) の多くが、共重合体 (A)に比してはるかに小さい分子量の 3環式ジテルペンカルボン 酸 (B)によって消費され、共重合体 (A)の架橋反応に殆ど使われな力つたためと考 察される。すなわち、共重合体 (A)の架橋反応が充分に行われな力つた結果、内部 凝集力が小さすぎるので、保持力の評価試験において感圧接着剤層自体が破壊さ れてしまい (凝集破壊)、充分な保持力を発現できない。
硬化剤 (C)を全く含有しない場合は、比較例 6に示すように凝集力が小さすぎるの で、すべての性能において実用範囲外である。また、共重合体の Tgが高すぎると、 粘着性を発現できない。したがって、比較例 8に示すように、被着体を汚すことすらな い。
[0128] 本発明の感圧接着剤は、保持力、言い換えると凝集力が高ぐ高耐久性を必要と する光学分野に好適に使用することができる。また、ァビエチン酸類誘導体のような 3 環式ジテルペンカルボン酸を含有して ヽるので、各種被着体への密着性も良好であ る。したがって、光学分野の他、各種分野にも好適に使用できる。