JP6062759B2 - 粘着剤組成物、光学用粘着シート、光学フィルム、及び表示装置 - Google Patents

粘着剤組成物、光学用粘着シート、光学フィルム、及び表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6062759B2
JP6062759B2 JP2013028403A JP2013028403A JP6062759B2 JP 6062759 B2 JP6062759 B2 JP 6062759B2 JP 2013028403 A JP2013028403 A JP 2013028403A JP 2013028403 A JP2013028403 A JP 2013028403A JP 6062759 B2 JP6062759 B2 JP 6062759B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensitive adhesive
pressure
meth
adhesive sheet
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013028403A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014156552A (ja
Inventor
翔 寳田
翔 寳田
山本 真也
真也 山本
神谷 克彦
克彦 神谷
清恵 今西
清恵 今西
水谷 昌紀
昌紀 水谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2013028403A priority Critical patent/JP6062759B2/ja
Publication of JP2014156552A publication Critical patent/JP2014156552A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6062759B2 publication Critical patent/JP6062759B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、粘着剤組成物及び該粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有する光学用粘着シートに関する。より詳しくは、光学部材の貼り合わせや光学製品の製造等に用いられる光学用粘着シートが有する粘着剤層を形成するための材料として適した粘着剤組成物、及び上記光学用粘着シートに関する。また、本発明は、上記光学用粘着シートを有する光学フィルム及び表示装置に関する。
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、該表示装置と組み合わせて用いられるタッチパネルなどの入力装置が広く用いられるようになってきた。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合わせる用途に透明な粘着シート(粘着テープ)が使用されている。例えば、タッチパネルと各種表示装置や光学部材(保護板等)の貼り合わせには、透明な粘着シートが使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記表示装置や入力装置の用途拡大に伴い、これらの装置に使用される粘着シートには透明性のみならず、粘着シートとしての特性を多様な環境下において十分に発揮することが要求されるようになってきている。例えば、高温条件下での高い粘着性や高温条件下で発泡や剥がれを生じない性質(耐発泡剥がれ性)などの、高温時の被着体に対する密着性に優れることが要求されている。特に、カバーガラスの印刷部分などの段差がある部分に貼り合わせる場合には、気泡なく段差を埋めることができる性能(段差吸収性)と段差部において高温条件下で発泡が生じない性能(段差部耐発泡性)が要求されている。しかしながら、透明性などの光学用粘着シートに求められる特性と、高温時の密着性、段差吸収性、段差部耐発泡性をバランス良く両立させることは未だできていないのが現状である。
特開2003−238915号公報 特開2003−342542号公報 特開2004−231723号公報
従って、本発明の目的は、高温時(例えば、85℃)の被着体に対する密着力に優れた粘着剤層及び該粘着剤層を有する粘着シートを形成可能な粘着剤組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高温時(例えば、85℃)の被着体に対する密着力に優れた光学用粘着シートを提供することにある。
なお、光学部材の貼り合わせや光学製品の製造等に用いられる光学用粘着シートには、上述の高温時の優れた密着性に加え、加湿条件下(例えば、高温高湿条件下)で白濁化しない特性も求められている。加湿条件下で白濁する光学用粘着シートを使用した場合には、該光学用粘着シートが使用された表示装置や入力装置の外観を悪化させたり、上記表示装置における表示部の視認性を低下させたりしてしまうためである。従来、加湿条件下における白濁化が抑制された光学用粘着シートの設計も試みられているが、一般に、このような白濁化の抑制と、高温時の優れた密着性と、段差吸収性と、段差部耐発泡性とを両立させることは困難であった。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、特定組成のモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーと光反応性モノマーとを必須成分として含む粘着剤組成物によると、高温時(例えば、85℃)の被着体に対する密着力、段差吸収性、及び、段差部耐発泡性に優れた粘着剤層及び該粘着剤層を有する光学用粘着シートが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、アクリル系ポリマー及び光反応性モノマーを含む粘着剤組成物であって、前記アクリル系ポリマーが、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対するメタクリル酸メチルの含有量が3〜30重量%であるモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーであることを特徴とする粘着剤組成物を提供する。
さらに、前記粘着剤組成物においては、前記光反応性モノマーが、分子内に2個以上のエチレン性不飽和基及びオキシアルキレン構造単位を有する化合物であることが好ましい。
さらに、前記粘着剤組成物においては、前記アクリル系ポリマーが、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対する極性基含有モノマーの含有量が5〜40重量%であるモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
また、本発明は、前記の粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有することを特徴とする光学用粘着シートを提供する。
さらに、前記光学用粘着シートにおいては、前記粘着剤層の紫外線硬化後の動的粘弾性測定により測定される85℃におけるせん断貯蔵弾性率が2.0×104〜5.0×105Paであることが好ましい。
さらに、前記光学用粘着シートは、下記手順により測定されるピール強度が5N/10mm以上であることが好ましい。
[ピール強度の測定手順]
光学用粘着シートにおける前記粘着剤層表面(幅10mm)を、2kgのゴムローラーを一往復させてスライドガラスに圧着し、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)を行った後、スライドガラス側から紫外線を照射して(積算光量:3000mJ/cm2)評価用サンプルを作製し、該評価用サンプルについて、85℃の雰囲気下、引張速度60mm/分、剥離角度180°の条件で、スライドガラスから光学用粘着シートを引き剥がす際のピール強度を測定する。
また、本発明は、前記の光学用粘着シートを有する光学フィルムを提供する。
また、本発明は、前記の光学用粘着シートを有する表示装置を提供する。
本発明の粘着剤組成物は上記構成を有しているので、高温時(例えば、85℃)の被着体に対する密着力に優れた粘着剤層及び該粘着剤層を有する粘着シートを形成することができる。このため、上記粘着シート(光学用粘着シート)は、高温環境下(特に、高温高湿環境下)においても発泡や剥がれを生じることなく、耐久性に優れる。従って、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有する光学用粘着シートを用いることにより、耐久性に優れ、美しい仕上がりの光学部材(例えば、光学フィルムなど)や光学製品(例えば、表示機器など)が得られる。
図1は、実施例における段差吸収性及び段差部耐発泡性の評価に用いた、黒色印刷層を有するPETフィルムの概略図(黒色印刷層側から見た平面図)である。 図2は、実施例における段差吸収性及び段差部耐発泡性の評価に用いた、測定サンプルの概略図(断面図)である。
[粘着剤組成物]
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー及び光反応性モノマーを必須成分として含む粘着剤組成物であって、上記アクリル系ポリマーが、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対するメタクリル酸メチルの含有量が3〜30重量%であるモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーであることを特徴とする粘着剤組成物である。本発明の粘着剤組成物がこのようなアクリル系ポリマーと光反応性モノマーとを必須成分として含むためと推測されるが、当該粘着剤組成物を使用することにより、特に、紫外線硬化後の高温におけるせん断貯蔵弾性率が非常に高く、高温時の被着体に対する密着性に優れた粘着剤層を得ることが可能となる。また、光反応性モノマーを含むことにより光硬化前の段差吸収性がよくなる傾向がある。
(アクリル系ポリマー)
本発明の粘着剤組成物におけるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分(単量体成分)として含むモノマー成分より構成(形成)された重合体である。上記アクリル系ポリマーは、特に限定されないが、例えば、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、並びに極性基含有モノマーを含むモノマー成分より構成された重合体であることが好ましい。さらに、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、その他の共重合性モノマーを含んでいてもよい。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。
上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と称する場合がある)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)が好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル[アルコキシアルキル(メタ)アクリレート]としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどが挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、アクリル酸2−メトキシエチル(2MEA)が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量は、低温接着性の観点から、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、30重量%以上(例えば、30〜99重量%)が好ましく、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは50〜95重量%である。なお、上記アクリル系ポリマーのモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの両方が用いられている場合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量と(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量の合計量(合計含有量)が上記の範囲を満たせばよい。
また、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの両方が用いられている場合、これらの合計含有量(100重量%)に対する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量は、特に限定されないが、1〜75重量%が好ましく、より好ましくは1〜50重量%である。
上記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、ビニルピリジンなどの複素環含有ビニル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。上記極性基含有モノマーは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、極性基含有モノマーとしては、水酸基含有モノマー、複素環含有ビニル系モノマーが好ましい。
上記極性基含有モノマーの含有量は、特に限定されないが、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、5〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。
上記その他の共重合性モノマーとしては、例えば、多官能性モノマーを用いることができる。上記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。なお、上記多官能性モノマーは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、多官能性モノマーとしては、耐久性向上の観点から、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
上記多官能性モノマーの含有量は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、5重量%以下(例えば、0〜5重量%)が好ましく、より好ましくは0〜3重量%である。含有量を5重量%以下とすることにより、端部はがれが抑制される。なお、架橋剤を用いる場合には多官能性モノマーを用いなくてもよいが、架橋剤を用いない場合には多官能性モノマーの含有量は0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.002〜3重量%である。
また、上記多官能性モノマー以外のその他の共重合性モノマーとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルやフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、極性基含有モノマー、多官能性モノマー以外の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン類又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
上記の中でも、本発明の粘着剤組成物におけるアクリル系ポリマーは、メタクリル酸メチルを必須成分として含むモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーである。メタクリル酸メチルを必須のモノマー成分として含むことにより、特に、粘着剤層の高温時のせん断貯蔵弾性率(例えば、せん断貯蔵弾性率(85℃))が向上するため、高温時の被着体に対する密着性に優れた粘着剤層及び粘着シートを形成できる。
上記メタクリル酸メチルの含有量は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、3〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは7〜20重量%である。含有量を3重量%以上とすることにより、85℃におけるせん断貯蔵弾性率が向上するため、高温時の被着体に対する密着性が向上する。一方、含有量を30重量%以下とすることにより、粘着剤層が硬くなり過ぎず、段差吸収性も良くなる。
さらに、上記アクリル系ポリマーは、上述の極性基含有モノマーを含むモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。極性基含有モノマーを用いることにより、粘着剤層の水分率及び凝集力が向上するため、加湿による白濁化の抑制と耐久性向上が両立された粘着剤層とすることができる。上記極性基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルや複素環含有ビニル系モノマーが好ましい。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしてはアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が好ましく、複素環含有ビニル系モノマーとしては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタムなどが挙げられる。
上記アクリル系ポリマーは、上記モノマー成分を公知慣用の重合方法により重合することによって調製できる。上記アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられるが、透明性、耐水性、コストなどの点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましい。
上記活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に限定されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
上記溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記アクリル系ポリマーの調製に際しては、重合反応の種類に応じて、光重合開始剤(光開始剤)や熱重合開始剤などの重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。光重合開始剤の使用量としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量部である。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
上記アクリル系ポリマーを溶液重合により重合させる際に用いられる重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。中でも、特開2002−69411号公報に開示されたアゾ系開始剤が特に好ましい。かかるアゾ系開始剤は開始剤の分解物が加熱発生ガス(アウトガス)の発生原因となる部分としてアクリル系ポリマー中に残留しにくいため好ましい。上記アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと称する場合がある)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下、AMBNと称する場合がある)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸などが例示される。上記アゾ系開始剤の使用量は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部である。
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、20万〜200万が好ましく、より好ましくは30万〜150万である。重量平均分子量を20万以上とすることにより、粘着剤層の耐久性が向上する傾向がある。一方、重量平均分子量を200万以下とすることにより、粘着剤組成物の粘度が高くなり過ぎず、塗工性が向上する傾向がある。
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。
上記アクリル系ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、例えば、15以下が好ましく、より好ましくは12以下である。分子量分布を15以下とすることにより、耐久性が向上する。
上記アクリル系ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は、重合開始剤の種類やその使用量、重合温度などによりコントロールすることができる。
なお、本発明では、上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。具体的には、例えば、下記の測定装置を用いて、ポリスチレン換算値により、下記測定条件にて測定して求めることができる。
[測定サンプルの調製]
アクリル系ポリマーを10mM−LiBr+10mM−リン酸/DMF溶液(溶離液)に溶解させ、上記アクリル系ポリマーの濃度が2.0g/Lの溶液を調製し、一晩放置した後、前記溶液を0.45μmメンブレンフィルターでろ過し、ろ液を測定サンプルとして用いる。
[測定装置及び測定条件]
測定装置:商品名「HLC−8120GPC」(東ソー(株)製)
カラム:商品名「TSKgel,SuperAWM−H+superAW4000+superAW2500」(東ソー(株)製)
カラムサイズ:各6.0mmI.D.×150mm
溶離液:10mM−LiBr+10mM−リン酸/DMF
流量:0.4mL/min
検出器:示差屈折計(RI)
カラム温度(測定温度):40℃
注入量:20μL
上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、耐久性の観点から、−50〜20℃が好ましく、より好ましくは−40〜10℃である。ガラス転移温度を−50℃以上とすることにより、粘着剤層の耐久性が向上する傾向がある。一方、ガラス転移温度を20℃以下とすることにより、粘着剤層や粘着シートの段差吸収性と低温での落下衝撃性が向上する傾向がある。
上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、下記式で表されるガラス転移温度(理論値)である。
1/Tg = W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
上記式中、Tgはアクリル系ポリマーのガラス転移温度(単位:K)、Tgiはモノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)、Wiはモノマーiの全モノマー成分中の重量分率を表す(i=1、2、・・・・n)。なお、上記はアクリル系ポリマーがモノマー1、モノマー2、・・・、モノマーnのn種類のモノマー成分から構成される場合の計算式である。
なお、上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、アクリル系ポリマーを構成するモノマーの種類やその含有量などによって制御することができる。
本発明の粘着剤組成物においてアクリル系ポリマーは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の粘着剤組成物におけるアクリル系ポリマーの含有量(配合量)は、特に限定されないが、粘着剤組成物の不揮発分の全量(100重量%;例えば、粘着剤組成物から溶剤を除いた全量)に対して、65重量%以上(例えば、65〜99重量%)がより好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。アクリル系ポリマーの含有量を40重量%以上とすることにより、優れた粘着特性が発揮される傾向がある。
(光反応性モノマー)
本発明の粘着剤組成物における光反応性モノマー(光重合性モノマー)は、光照射によりその反応(重合反応)が進行し得る化合物であり、例えば、分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。なお、上記光反応性モノマーは、モノマーとして反応(重合反応)を生じ得るものであればよく、例えば、それ自身がオリゴマーやポリマーなどの重合体(例えば、分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する重合体)であってもよい。
上記光反応性モノマーとしての分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、上述の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、極性基含有モノマー、その他の共重合性モノマー(多官能性モノマーを除く)などが挙げられる。また、上記光反応性モノマーとしての分子内に2個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート[例えば、ビスフェノールAジエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジエポキシジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性(付加)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなど]、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。また、上記光反応性モノマーとしての分子内に3個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
中でも、上記光反応性モノマーとしては、分子内に2個以上(例えば、2〜10個)のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく、より好ましくは分子内に2〜5個のエチレン性不飽和基を有する化合物、さらに好ましくは分子内に2個又は3個のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
上記光反応性モノマーとしては、特に、分子内に2個以上のエチレン性不飽和基及びオキシアルキレン構造単位(アルキレンオキサイド又はアルキレングリコールによる変性(付加反応)により形成されるオキシアルキレン構造単位)を有する化合物が好ましく、高温時の密着性の観点で、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。なお、上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートには、2個以上のアルキレングリコール(アルキレンオキサイド)が縮合した(ポリ)アルキレングリコールの両末端の水酸基が、(メタ)アクリル酸又はその誘導体によりエステル化された化合物が包含される。上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、アクリロイル基又はメタクリロイル基のいずれか一方を2個有するものであってもよいし、アクリロイル基及びメタクリロイル基をそれぞれ1個ずつ有するものであってもよい。また、上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、アルキレングリコール(アルキレンオキサイド)に由来する構成単位を1種のみ有するものであってもよいし、2種以上有するものであってもよい。2種以上のアルキレングリコール(アルキレンオキサイド)に由来する構成単位を有する場合、各構成単位の付加形態は、ランダム型であってもよいし、ブロック型であってもよい。上記構成単位を形成するアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコールなどの炭素数2〜10のアルキレングリコールが好ましく、より好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコールである。
上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの分子量は、特に限定されないが、200〜1000が好ましく、より好ましくは400〜800である。分子量を200以上とすることにより、硬化後の視認性への影響が良くなる傾向がある。一方、分子量を800以下とすることにより、硬化後の長期信頼性が向上する傾向がある。なお、重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の分子量より算出できる。
本発明の粘着剤組成物において光反応性モノマーは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、上記光反応性モノマーは、公知乃至慣用の方法により製造することができる。また、上記光反応性モノマーとしては、例えば、商品名「APG−100」、「APG−200」、「APG−400」、「APG−700」(以上、新中村化学工業(株)製、ポリプロピレングリコールジアクリレート);商品名「アロニックス M−220」、「アロニックス M−225」、「アロニックス M−270」(以上、東亞合成(株)製、ポリプロピレングリコールジアクリレート)などの市販品を使用することもできる。
本発明の粘着剤組成物における光反応性モノマーの含有量(配合量)は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、より好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは7〜20重量部である。光反応性モノマーの含有量を1重量部以上とすることにより、高温での被着体に対する密着性が向上する傾向がある。特に、光反応性モノマーの含有量を5重量部以上とすることにより、光硬化前の段差吸収性が向上する傾向がある。さらに、光反応性モノマーの含有量を7重量部以上とすることにより、長期信頼性が向上する傾向がある。一方、光反応性モノマーの含有量が50重量部を超えると、硬化収縮が大きくなり、視認性に影響及ぼす可能性がある。
本発明の粘着剤組成物は、さらに、光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤を使用することにより、例えば、粘着剤層形成時の光反応性モノマーの反応を促進させることができる。光重合開始剤としては、公知乃至慣用の光重合開始剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、上述のアクリル系ポリマーの重合に際して使用される光重合開始剤などが例示される。なお、本発明の粘着剤組成物において光重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の粘着剤組成物における光重合開始剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、光反応性モノマー100重量部に対して、0.01〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部である。
本発明の粘着剤組成物は、上述の成分のほかにも、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなど)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤、増感剤などの公知の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で含んでいてもよい。また、本発明の粘着剤組成物は、各種の一般的な溶剤を含んでいてもよい、溶剤の種類としては、特に限定されず、上述の溶液重合に際して用いられる溶剤として例示したものなどが使用できる。
架橋剤を用いることにより、例えば、後述の粘着剤層においてアクリル系ポリマーを架橋し、該粘着剤層のゲル分率を容易にコントロールできる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、架橋剤としては、粘着剤層の耐久性向上の観点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく、より好ましくはイソシアネート系架橋剤である。
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物[三井化学(株)製、商品名「タケネート110N」]などの市販品を用いることもできる。
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」などの市販品を用いることもできる。
本発明の粘着剤組成物における架橋剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量部である。含有量を0.001重量部以上とすることにより、粘着剤層の耐久性が向上する傾向がある。一方、含有量を10重量部以下とすることにより、粘着剤層の段差吸収性が向上する傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、さらに、架橋反応を速めることを目的として、架橋促進剤(架橋助剤)として複数のヒドロキシル基を有するアミン系化合物を含んでいてもよい。上記複数のヒドロキシル基を有するアミン系化合物としては、分子内にヒドロキシル基(アルコール性ヒドロキシル基)を少なくとも2個有するアミン系化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、特開2009−079203号公報に開示された複数のヒドロキシル基を有するアミン系化合物を特に好ましく使用することができる。上記複数のヒドロキシル基を有するアミン系化合物を使用すると、架橋速度が速くなるため生産性が向上する傾向がある。なお、上記アミン系化合物は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記アミン系化合物としては、例えば、商品名「EDP−300」、「EDP−450」、「EDP−1100」、「プルロニック」(以上、(株)ADEKA製)などの市販品を使用することもできる。
本発明の粘着剤組成物における複数のヒドロキシル基を有するアミン系化合物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、架橋速度を促進してエージング時間を短縮し、生産性を向上させる観点から、例えば、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜5.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜1.0重量部である。
さらに、本発明の粘着剤組成物は、ガラスに対する接着性(特に、高温高湿環境でのガラスに対する接着信頼性)向上を目的として、シランカップリング剤を含んでいてもよい。上記シランカップリング剤としては、特に限定されないが、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが好ましく例示される。中でも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。なお、上記シランカップリング剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記シランカップリング剤としては、例えば、商品名「KBM−403」、「KBM−5103」(信越化学工業(株)製)などの市販品を利用することもできる。
本発明の粘着剤組成物におけるシランカップリング剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ガラスに対する接着信頼性向上の観点で、アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜5重量部である。
本発明の粘着剤組成物の特に好ましい具体的構成としては、例えば、下記の(1)や(2)の粘着剤組成物などが挙げられる。但し、これに限定されるものではない。
(1)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、メタクリル酸メチルを5〜20重量%、アクリル酸2−エチルヘキシルを35〜80重量%、N−ビニル−2−ピロリドンを5〜20重量%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを10〜25重量%含有するモノマー成分から構成されたアクリル系ポリマー100重量部、光反応性モノマー5〜20重量部、及びイソシアネート系架橋剤0.01〜5.0重量部を含む粘着剤組成物。
(2)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、メタクリル酸メチルを5〜20重量%、アクリル酸n−ブチルを35〜80重量%、N−ビニル−2−ピロリドンを5〜20重量%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを10〜25重量%含有するモノマー成分から構成されたアクリル系ポリマー100重量部、光反応性モノマー5〜20重量部、及びイソシアネート系架橋剤0.01〜5.0重量部を含む粘着剤組成物。
本発明の粘着剤組成物は、特に限定されないが、例えば、上述の各成分を配合し、均一に混合する方法などの公知乃至慣用の方法により調製することができる。なお、混合には、公知の手段(装置等)を使用することができる。
[光学用粘着シート]
本発明の粘着剤組成物を使用することにより、該粘着剤組成物より形成された粘着剤層(「本発明の粘着剤層」と称する場合がある)を少なくとも有する光学用粘着シート(本発明の光学用粘着シート;以下、単に「本発明の粘着シート」と称する場合がある)を得ることができる。なお、本明細書においては、「粘着シート」という場合には、テープ状のもの、即ち、「粘着テープ」も含まれるものとする。また、本発明の粘着シートにおける粘着剤層表面のことを、「粘着面」と称する場合がある。
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層を少なくとも有していればよく、その構成は特に限定されない。例えば、本発明の粘着シートは、シートの両面が粘着面となっている両面粘着シートであってもよいし、シートの片面のみが粘着面となっている片面粘着シートであってもよい。中でも、2つの部材同士を貼り合わせる用途に使用される場合には、両面粘着シートであることが好ましい。
本発明の粘着シートは、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着シート(以下、「基材レス粘着シート」と称する場合がある)であってもよいし、基材を有するタイプの粘着シートであってもよい。上記基材レス粘着シートとしては、例えば、本発明の粘着剤層のみからなる両面粘着シートや、本発明の粘着剤層と本発明の粘着剤層以外の粘着剤層(以下、「他の粘着剤層」と称する場合がある)からなる両面粘着シート等が挙げられる。基材を有するタイプの粘着シートとしては、基材の少なくとも片面側に本発明の粘着剤層を有する粘着シート等が挙げられる。中でも、粘着シートの薄膜化、透明性などの光学物性向上の観点からは、基材レス粘着シートが好ましく、より好ましくは、本発明の粘着剤層のみからなる基材レス粘着シート(両面粘着シート)である。
(本発明の粘着剤層)
本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層である。本発明の粘着剤組成物を使用して本発明の粘着剤層を形成する方法としては、公知乃至慣用の方法が挙げられ、特に限定されないが、具体的には、後述の方法などが挙げられる。
本発明の粘着剤層の、紫外線硬化後の動的粘弾性測定により測定される85℃におけるせん断貯蔵弾性率(「せん断貯蔵弾性率(85℃)」又は「G’(85℃)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、2.0×104〜5.0×105Paが好ましく、より好ましくは3.0×104〜3.0×105Pa、さらに好ましくは4.0×104〜2.0×105Paである。せん断貯蔵弾性率(85℃)を2.0×104Pa以上(特に、4.0×104Pa以上)とすることにより、高温においても弾性率が高く維持されているため、高温時の被着体に対する密着性が向上し、ひいては耐久性が向上する傾向がある。一方、せん断貯蔵弾性率(85℃)を5.0×105Pa以下とすることにより、高温(85℃)において良好な応力緩和性能が発揮できる傾向がある。なお、上記せん断貯蔵弾性率(85℃)は、動的粘弾性測定により測定される。例えば、本発明の粘着剤層を厚さ約1.5mm程度になるように複数層を積層させ、Reometric Scientific社製「Advanced Reometric Expansion System(ARES)」にて、せん断モードで、周波数1Hzの条件で、−70〜200℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定することができる。
本発明の粘着剤層は、特に、上述の構成を有する本発明の粘着剤組成物により形成されることにより、著しく高いせん断貯蔵弾性率(85℃)を示す傾向がある。上記せん断貯蔵弾性率(85℃)は、例えば、アクリル系ポリマーのモノマー組成、アクリル系ポリマーの重量平均分子量、光反応性モノマーの種類及びその使用量、架橋剤の使用量(添加量)、添加剤(具体的には、粘着付与樹脂やアクリル系オリゴマーなど)の有無、種類及び量等により制御することができる。
本発明の粘着剤層の、紫外線硬化前の動的粘弾性測定により測定される25℃におけるせん断貯蔵弾性率(「せん断貯蔵弾性率(25℃)」又は「G’(25℃)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、3.0×104〜5.0×105Paが好ましく、より好ましくは5.0×104〜4.0×105Pa、さらに好ましくは7.0×104〜3.0×105Paである。せん断貯蔵弾性率(25℃)を3.0×104Pa以上とすることにより、粘着剤層が柔らかくなり過ぎることなく、例えば、「糊はみ出し」(貼り合わせた時に粘着剤層が変形して貼り合わせた部材の端部からはみ出す現象)などの不具合が低減される傾向がある。一方、せん断貯蔵弾性率(25℃)を5.0×105Pa以下とすることにより、段差吸収性(段差追従性)が向上し、貼り合わせ時の気泡や浮きの発生が低減される傾向がある。なお、「段差吸収性」とは、表面に微細な段差(例えば、印刷段差など)を有する被着体に貼付した際に、粘着剤層が上記段差に追従し、上記段差を埋めることができる性能をいう。上記のせん断貯蔵弾性率(25℃)は、上記のせん断貯蔵弾性率(85℃)と同様の方法により測定することができる。
なお、上記せん断貯蔵弾性率(25℃)は、アクリル系ポリマーのガラス転移温度、アクリル系ポリマーの分子量(重量平均分子量、分子量分布)、光反応性モノマーの種類及びその使用量、添加剤(具体的には、粘着付与樹脂やアクリル系オリゴマーなど)の有無、種類及び量等により制御することができる。
本発明の粘着剤層の紫外線硬化後のゲル分率(溶剤不溶分)は、特に限定されないが、耐久性(特に、耐発泡剥がれ性)向上の観点から、40〜95%(重量%)が好ましく、より好ましくは50〜90%である。上記ゲル分率は、酢酸エチル不溶分として求めることができ、具体的には、粘着剤層を酢酸エチル中に23℃で7日間浸漬した後の不溶成分の、浸漬前の試料(粘着剤層)に対する重量分率(単位:重量%)として求められる。ゲル分率を40%以上とすることにより、耐久性が向上する傾向がある。一方、ゲル分率を95%以下とすることにより、端部はがれが抑制される傾向がある。
上記ゲル分率は、具体的には、例えば、以下の「ゲル分率の測定方法」により算出される値である。
(ゲル分率の測定方法)
本発明の粘着シートから本発明の粘着剤層(紫外線硬化後):約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工(株)製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、粘着剤層(上記で採取した本発明の粘着剤層)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、本発明の粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=(A−B)/(C−B)×100
(上記式において、Aは浸漬後重量であり、Bは包袋重量であり、Cは浸漬前重量である。)
上記ゲル分率は、架橋点として使用しているモノマーの量、アクリル系ポリマーの重量平均分子量、光反応性モノマーの種類及びその使用量、架橋剤の種類及び使用量(添加量)等により制御することができる。
本発明の粘着剤層のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。ヘイズを1.5%以下とすることにより、透明性が向上し、貼付した光学製品や光学部材の透明性や外観に悪影響を及ぼしにくい。なお、ヘイズは、例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に本発明の粘着剤層を貼り合わせ、ヘイズメータ((株)村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361−1に準じる)は、特に限定されないが、90%以上が好ましく、より好ましくは91%以上である。上記全光線透過率を90%以上とすることにより、透明性が向上し、光学製品や光学部材の透明性や外観に悪影響を及ぼしにくい。なお、全光線透過率は、例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に本発明の粘着剤層を貼り合わせ、ヘイズメータ((株)村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層の60℃、95%RHの環境下に120時間保存した後(直後)の水分率は、特に限定されないが、0.65重量%以上(例えば、0.65〜5.0重量%)が好ましく、より好ましくは0.65〜3.0重量%、さらに好ましくは0.75〜3.0重量%である。水分率を0.65重量%以上とすることにより、加湿による粘着シートの白濁化が生じにくくなり、該粘着シートを用いた製品の表示部の視認性や外観を悪化させない傾向がある。
上述の加湿による粘着シートの白濁化は、粘着シートを高温高湿環境に置くことによって粘着剤層が吸湿し、この吸湿水分が結露することが原因で起こる現象と考えられる。本発明においては、粘着剤層の水分率(60℃、95%RHの環境下に120時間保存後の水分率)を0.65重量%以上に制御することにより、例えば、粘着シートが置かれた環境が大きく変化した場合(例えば、高温高湿環境から室温環境への変化など)であっても、粘着剤層の高い吸水性に起因して吸湿水分が結露しにくくなり、その結果、加湿による白濁化が抑止(抑制)されるものと推定される。
なお、上記水分率は、本発明の粘着剤層を60℃、95%RHの環境下に120時間保存した後、室温環境(23℃、50%RH)に取り出した直後(例えば、取り出し後0〜10分程度)に測定して得られた値である。60℃、95%RHの環境下に120時間保存した後の本発明の粘着剤層の水分率は、具体的には、例えば、下記の[水分率の測定方法]に記載の方法により測定することができる。
[水分率の測定方法]
(試料の調製及び水分率の測定)
本発明の粘着シートから、本発明の粘着剤層を約0.2g採取したものを試料として用いる。具体的には、本発明の粘着シートが基材レスタイプの両面粘着シートの場合には、例えば、剥離ライナーを剥離し、一方の粘着面にアルミニウム箔を貼り付け、粘着剤層の重さが約0.2gとなるように切り出したものを試料として用いることができる。また、本発明の粘着シートが基材付きの粘着シートの場合には、例えば、基材付きの粘着シートから本発明の粘着剤層約0.2gをかき取って採取したものを試料として用いることができる。
上記試料を60℃、95%RHの環境下に120時間保存した後、該試料(60℃、95%RHの環境下で120時間保存後の試料)の秤量を行い、次いで、下記の加熱気化装置に入れ、150℃に加熱した時に発生したガスを下記の電量滴定式水分測定装置の滴定セル内に導入する。そして、上記電量滴定式水分測定装置により、下記の測定条件にて試料中の水分量(μg)を測定し、60℃、95%RHの環境下に120時間保存後の本発明の粘着剤層1gあたり(本発明の粘着剤層のみからなる両面粘着シートの場合には、上記試料の重量からアルミホイルの重量を除いた重量1gあたり)の水分量を求め、粘着剤層の水分率(重量%)を算出する。なお、測定回数(n数)は、例えば、2回が好ましい。
(分析装置)
加熱気化装置:三菱化学(株)製、「VA−06型」
電量滴定式水分測定装置:三菱化学(株)製、「CA−06型」
(測定条件)
方法:加熱気化法/150℃加熱
陽極液:アクアミクロンAKX
陰極液:アクアミクロンCXU
上記水分率は、アクリル系ポリマーを構成するモノマーの種類及び配合量、光反応性モノマーの種類及びその使用量、添加剤(具体的には、粘着付与樹脂やアクリル系オリゴマーなど)の種類及び配合量等により制御することができる。
本発明の粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、10〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜400μm、特に好ましくは10〜300μmである。厚さを10μm以上とすることにより、貼付時に発生する応力が分散されやすいため、剥がれが生じにくく、耐久性が向上する傾向がある。また、段差吸収性が向上する。一方、厚さを500μm以下とすることにより、塗工後の巻き取り時にシワが生じにくくなる傾向がある。
本発明の粘着剤層の形成方法としては、公知乃至慣用の粘着剤層の形成方法が挙げられ、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤組成物を、基材又はセパレータ上に塗布(塗工)し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化させる方法などが挙げられる。なお、乾燥及び/又は硬化は、公知乃至慣用の方法により実施でき、特に限定されないが、例えば、公知乃至慣用の手段を用いて加熱及び/又は活性エネルギー線照射(例えば、紫外線照射など)などを施すことにより実施できる。
なお、本発明の粘着剤層の形成方法における粘着剤組成物の塗布(塗工)には、公知のコーティング法を用いることが可能であり、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどが使用できる。
[基材]
本発明の粘着シートが基材を有する場合、基材としては、特に限定されないが、プラスチックフィルム、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板などの各種フィルム(例えば、後述の光学フィルム)が挙げられる。上記プラスチックフィルムなどの素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー;JSR製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー;日本ゼオン製)」等の環状オレフィン系ポリマーなどのプラスチック材料が挙げられる。なお、これらのプラスチック材料は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記「基材」とは、粘着シートを被着体(光学部材等)に使用(貼付)する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。粘着シートの使用時(貼付時)に剥離されるセパレータ(剥離ライナー)は「基材」には含まない。
中でも、基材としては、透明基材が好ましい。上記基材の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361−1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。また、上記基材のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。上記透明基材としては、PETフィルムや、商品名「アートン」、商品名「ゼオノア」などの無配向フィルムなどが挙げられる。
上記基材の厚さは、特に限定されないが、例えば、10〜500μmが好ましい。なお、上記基材は単層及び複層のいずれの形態を有していてもよい。また、基材表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
[本発明の粘着シート]
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層を少なくとも有するものであり、上述のように、本発明の粘着剤層のみからなる基材レスタイプの両面粘着シートであってもよいし、基材の少なくとも一方の表面側に本発明の粘着剤層を有する基材を有するタイプの粘着シートであってもよい。
本発明の粘着シート(本発明の粘着シートの本発明の粘着剤層表面)の、下記手順により測定されるピール強度(ガラス板に対する85℃における180°引き剥がし粘着力)は、特に限定されないが、5N/10mm以上が好ましく、より好ましくは7N/10mm以上である。上記ピール強度を5N/10mm以上とすることにより、被着体に対する密着性が向上し、粘着シートを使用した製品の信頼性が向上する傾向がある。
[ピール強度の測定手順]
光学用粘着シートにおける本発明の粘着剤層表面(幅10mm)を、2kgのゴムローラーを一往復させてスライドガラスに圧着し、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)を行った後、スライドガラス側から紫外線を照射して(積算光量:3000mJ/cm2)評価用サンプルを作製し、該評価用サンプルについて、85℃の雰囲気下、引張速度60mm/分、剥離角度180°の条件で、スライドガラスから光学用粘着シートを引き剥がす際のピール強度を測定する。
上記ピール強度は、より具体的には、実施例に記載の手順で測定することができる。なお、本発明の粘着シートが両面粘着シートの場合には、測定面(ガラス板側の粘着面)に対する反対側の粘着面には、裏打ち材(例えば、厚さ25μmのPETフィルム)を貼付して測定することができる。
本発明の粘着シートの可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361−1に準じる)は、特に限定されないが、87%以上が好ましく、より好ましくは89%以上である。全光線透過率を87%以上とすることにより、光学製品や光学部材の外観や透明性に悪影響を及ぼしにくい。なお、上記全光線透過率は、例えば、上述の粘着剤層の全光線透過率と同様の方法により測定することができる。
本発明の粘着シートの粘着面は、使用時まではセパレータ(剥離ライナー)により保護されていてもよい。なお、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、各粘着面は2枚のセパレータによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているセパレータ1枚によりロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。セパレータは粘着剤層の保護材として用いられており、被着体に貼付する際に剥がされる。また、本発明の粘着シートが基材レス粘着シートの場合には、セパレータは粘着剤層の支持体の役割も担う。なお、セパレータは必ずしも設けられていなくてもよい。上記セパレータとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有するセパレータ、フッ素ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。上記剥離処理層を有するセパレータとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。上記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、セパレータは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さ等も特に限定されない。
本発明の粘着シートは、光学部材を貼り合わせる用途や、光学製品の製造用途に使用される光学用粘着シートである。このような用途に本発明の粘着シートを用いると、製品の視認性や外観の妨げとなり得る上述の気泡や浮きの発生、白濁化等の現象が抑制されるため、美しい仕上がりの製品が得られる。
本発明の粘着シートは、光学製品に用いられる光学部材を貼り合わせる用途等に好ましく使用することができる。上記光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有する部材をいう。上記光学部材としては、光学的特性を有する部材であればよく、特に限定されないが、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルム)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材(これらを総称して「光学フィルム」と称する場合がある)などが挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」、「偏光シート」を含むものとする。例えば、本発明の粘着シートを用いて上記光学フィルムを貼り合わせることによって、あるいは、基材レスタイプの本発明の粘着シートを上記光学フィルムの少なくとも片面に貼付すること等によって、本発明の粘着シートを有する光学フィルムを得ることができる。
特に、本発明の粘着シートが両面粘着シートの場合、本発明の粘着シートを各種の光学フィルムの少なくとも片面に貼付、積層することにより、光学フィルムの少なくとも片面に本発明の粘着剤層を有する粘着型光学フィルム(本発明の粘着シートを有する光学フィルム)を得ることができる。上記粘着型光学フィルムに用いられる本発明の粘着シート(両面粘着シート)は、基材レス粘着シートであってもよいし、基材付きの粘着シートであってもよい。
上記光学部材を構成する素材としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック材料、ガラス、金属(金属酸化物を含む)などが挙げられる。
本発明の粘着シートは、特に限定されないが、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどの表示装置(画像表示装置)の製造用途に好ましく使用することができる。また、本発明の粘着シートは、タッチパネルなどの入力装置の製造用途にも好ましく使用することができる。例えば、本発明の粘着シートを有する光学部材(例えば、光学フィルム)を用いて上記表示装置を製造することにより、あるいは、本発明の粘着シートを用いて上記表示装置を製造すること等によって、本発明の粘着シートを有する表示装置を得ることができる。
本発明の粘着シートの具体的な用途の一例として、タッチパネルの製造用途に用いる、タッチパネル用粘着シートを挙げることができる。例えば、静電容量方式のタッチパネルの製造においては、ITOなどの金属薄膜が設けられた透明導電フィルムと、ポリメチルメタクリレート(PMMA)板、ハードコートフィルム、ガラスレンズ等とを本発明の粘着シートを介して貼り合わせる等の用途に用いることができる。上記タッチパネルは、特に限定されないが、例えば、タッチパネルを有する携帯電話などに用いられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載及び表1中の「タケネートD110N」(固形分75重量%)の配合量は、「タケネートD110N」の固形分換算の配合量(重量部)で表した。また、「KBM−403」、「KBM−5103」の配合量は、それぞれ「KBM−403」、「KBM−5103」そのもの(商品自体)の配合量(重量部)で表した。
実施例1
モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)63重量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)15重量部、メタクリル酸メチル(MMA)9重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)13重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、及び重合溶媒として酢酸エチル133重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、65℃に昇温し、10時間反応させ、その後、酢酸エチルを加えて固形分濃度30重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。
表1に示すように、上記アクリル系ポリマー溶液中のアクリル系ポリマー100重量部に対して、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(三井化学(株)製、商品名「タケネートD110N」)を0.2重量部、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名「KBM−403」)0.3重量部、光反応性モノマーとしてポリプロピレングリコールジアクリレート(分子量:536、新中村化学工業(株)製、商品名「APG−400」)10重量部、開始剤として商品名「イルガキュア184」(BASF製)0.2重量部を加え、混合し、粘着剤組成物(溶液)を調製した。
次に、上記粘着剤組成物を、剥離ライナー(三菱樹脂(株)製、商品名「MRF75」)の剥離処理面上に、乾燥後の厚さが150μmとなるように塗布し、常圧下、60℃で3分間及び120℃で3分間加熱乾燥し、さらに23℃で120時間エージングを行い、両面粘着シート(基材レス両面粘着シート)を得た。
実施例2
表1に示すように、ポリプロピレングリコールジアクリレートの使用量を13重量部(対アクリル系ポリマー100重量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。さらに、得られた粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、両面粘着シート(基材レス両面粘着シート)を得た。
実施例3
表1に示すように、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名「KBM−5103」)0.3重量部(対アクリル系ポリマー100重量部)を粘着剤組成物の構成成分としてさらに配合したこと以外は、実施例2と同様にして、粘着剤組成物を調製した。さらに、得られた粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、両面粘着シート(基材レス両面粘着シート)を得た。
実施例4
表1に示すように、ポリプロピレングリコールジアクリレートの使用量を20重量部(対アクリル系ポリマー100重量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。さらに、得られた粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、両面粘着シート(基材レス両面粘着シート)を得た。
比較例1
表1に示すようにモノマー組成を変更したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系ポリマー溶液を得た。当該アクリル系ポリマー溶液を使用して、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。さらに、得られた粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、両面粘着シート(基材レス両面粘着シート)を得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られた粘着シート(両面粘着シート)について、表1に示す測定又は評価を行った。測定方法又は評価方法は下記の通りである。
(1)せん断貯蔵弾性率(85℃)
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートにメタルハライドランプ(300mW/cm2)で紫外線を照射し、光硬化性粘着剤の硬化を行った後(積算光量:3000mJ/cm2)粘着剤層を積層して、厚さ約1.5mmの粘着剤層の積層体を作製し、試験片とした。
上記試験片を、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、周波数1Hzの条件で、−70〜200℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定して、85℃におけるせん断貯蔵弾性率を算出した。
(2)85℃ピール強度(180°引き剥がし粘着力;対ガラス板)
実施例及び比較例で得られた粘着シートから剥離ライナーを剥離し、一方の粘着面にPETフィルム(厚み:25μm)を貼り合わせて裏打ちし、幅10mm×長さ100mmのサイズに切り出して、評価用サンプルを作製した。次いで、上記評価用サンプルの粘着面(粘着シートの他方の粘着面)を、2kgのゴムローラーを一往復させてスライドガラス(松浪硝子工業(株)製、商品名「MICRO SLIDE GLASS」、品番「S」、厚さ1.3mm、ヘイズ0.1%、水縁磨)に圧着し、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)を行った後、メタルハライドランプ(300mW/cm2)で紫外線を照射し、光硬化性粘着剤の硬化を行った(積算光量:3000mJ/cm2)。
その後、85℃雰囲気下、引張試験機(ミネベア(株)製、商品名「TG−1kN」)を用いて、引張速度60mm/分、剥離角度180°の条件で、ガラス板から評価用サンプルを引き剥がし、180°引き剥がし粘着力(単位:N/10mm)を測定した。なお、試験回数(n数)は3回とし、平均値を算出して、結果を表1の「85℃ピール強度」の欄に示した。
(3)加湿濁り性(加湿による白濁化の有無)
実施例、比較例で得られた両面粘着シートから剥離ライナーを剥離し、該両面粘着シートの一方の粘着面をスライドガラス(松浪硝子工業(株)製、商品名「MICRO SLIDE GLASS」、品番「S」、厚さ1.3mm、ヘイズ0.1%、水縁磨)に貼り付け、他方の粘着面を導電性PETフィルム(日東電工(株)製、商品名「エレクリスタ V270L−THMP」)のITO膜形成面に貼り付け、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)を行った後、メタルハライドランプ(300mW/cm2)で紫外線を照射し、光硬化性粘着剤の硬化を行い(積算光量:3000mJ/cm2)、「スライドガラス/両面粘着シート(粘着剤層)/導電性PETフィルム」の構成を有する試験片を作製した。前記試験片のヘイズを、23℃、50%RHの環境下において、ヘイズメータ((株)村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定し、これを「初期のヘイズ」とした。
次いで、上記試験片を60℃、95%RHの環境下(湿熱環境下)に120時間保存した。その後、上記試験片を23℃、50%RHの環境下に取り出し、取り出した直後のヘイズ(「ヘイズ(直後)」と称する)、23℃、50%RHの環境下に取り出してから30分後のヘイズ(「ヘイズ(30分後)」と称する)、23℃、50%RHの環境下に取り出してから1時間後のヘイズ(「ヘイズ(1時間後)」と称する)、及び23℃、50%RHの環境下に取り出してから2時間後のヘイズ(「ヘイズ(2時間後)」と称する)を測定した。そして、「初期のヘイズ」に対する「ヘイズ(直後)」の上昇幅[=(ヘイズ(直後))−(初期のヘイズ)]、「初期のヘイズ」に対する「ヘイズ(30分後)」の上昇幅[=(ヘイズ(30分後))−(初期のヘイズ)]、「初期のヘイズ」に対する「ヘイズ(1時間後)」の上昇幅[=(ヘイズ(1時間後))−(初期のヘイズ)]、及び「初期のヘイズ」に対する「ヘイズ(2時間後)」の上昇幅[=(ヘイズ(2時間後))−(初期のヘイズ)]をそれぞれ算出し、いずれも5.0%(%ポイント)未満であった場合を○(加湿による白濁化なし)、いずれかが5.0%(%ポイント)以上であった場合を×(加湿による白濁化あり)として判定した。結果は表1の「加湿濁り性」の欄に示した。
(4)段差吸収性
ガラス板(厚み0.7mm、外形寸法:長さ60mm×幅42mm)の片面上に、スクリーン印刷で厚さ40μmの黒色印刷を2回施し、図1に示すような額縁状の黒色印刷層(印刷層厚さ80μm)を有するガラス板(サイズ:長さ60mm×幅42mm)を作製した。
次いで、実施例、比較例で得られた両面粘着シートの一方の粘着面を、導電性フィルム(日東電工(株)製、商品名「エレクリスタ V270L−THMP」)をあらかじめ140℃で120分間処理したもののITO膜形成面に貼り合わせ、60mm×42mmのフィルム片を作製した。
上記のフィルム片より剥離ライナーを剥離して、他方の粘着面を先に用意した黒色印刷層を有するガラス板に50℃に設定したラミネーターを用いて線圧5N/cmの条件で圧着し、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)を行った後、メタルハライドランプ(300mW/cm2)でエレクリスタ側から紫外線を照射し、光硬化性粘着剤の硬化を行い(積算光量:3000mJ/cm2)、「ガラス板/両面粘着シート/エレクリスタ」の層構造を有する測定サンプルを作製した(図2参照)。
上記測定サンプルについて、ガラス板側から目視にて段差部分の気泡、浮きの有無を観察した。段差部分に気泡、浮きが全くない場合には○(段差吸収性良好)、気泡又は浮きが少しでも生じている場合には×(段差吸収性不良)と判定した。なお、結果は、表1における「段差吸収性」の欄に示した。
(5)段差部耐発泡性
上記(4)で作製した測定サンプルを庫内の温度が85℃のオーブン中に入れ、240時間熱処理(耐熱性試験)を行った。熱処理後、ガラス板側から目視にて段差部分の気泡、浮きの有無を観察した。段差部分に気泡、浮きが全くない場合には○(段差部耐発泡性良好)、気泡又は浮きが少しでも生じている場合には×(段差部耐発泡性不良)と判定した。
Figure 0006062759
表1の結果から明らかなように、実施例で得られた両面粘着シート(本発明の粘着シート)は、特に、85℃におけるせん断貯蔵弾性率が非常に大きく、高温時の被着体に対する密着力に優れたものであった。また、実施例で得られた両面粘着シートは、加湿によって白濁化することがなく、段差吸収性及び段差部耐発泡性にも優れていた。
31 ガラス板
32 黒色印刷層
33 両面粘着シート(アクリル系粘着剤層)
34 エレクリスタ
35 段差部分

Claims (7)

  1. アクリル系ポリマー及び光反応性モノマーを含む粘着剤組成物であって、
    記アクリル系ポリマーが、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して3〜30重量%のメタクリル酸メチルと、極性基含有モノマーたる水酸基含有モノマーおよび/または複素環含有ビニル系モノマーとを含むモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーであり、
    前記光反応性モノマーが、分子内に2個以上のエチレン性不飽和基及びオキシアルキレン構造単位を有する化合物であり、
    架橋剤を含み、これと共に或いはこれに代えて、前記アクリル系ポリマーを構成する前記モノマー成分が更に多官能性モノマーを含む、粘着剤組成物。
  2. 前記アクリル系ポリマーが、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対する極性基含有モノマーの含有量が5〜40重量%であるモノマー成分より構成されたアクリル系ポリマーである請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 請求項1または2に記載の粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有することを特徴とする光学用粘着シート。
  4. 前記粘着剤層の紫外線硬化後の動的粘弾性測定により測定される85℃におけるせん断貯蔵弾性率が2.0×104〜5.0×105Paである請求項に記載の光学用粘着シート。
  5. 下記手順により測定されるピール強度が5N/10mm以上である請求項3または4に記載の光学用粘着シート。
    [ピール強度の測定手順]
    光学用粘着シートにおける前記粘着剤層表面(幅10mm)を、2kgのゴムローラーを一往復させてスライドガラスに圧着し、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)を行った後、スライドガラス側から紫外線を照射して(積算光量:3000mJ/cm2)評価用サンプルを作製し、該評価用サンプルについて、85℃の雰囲気下、引張速度60mm/分、剥離角度180°の条件で、スライドガラスから光学用粘着シートを引き剥がす際のピール強度を測定する。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学用粘着シートを有する光学フィルム。
  7. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学用粘着シートを有する表示装置。
JP2013028403A 2013-02-15 2013-02-15 粘着剤組成物、光学用粘着シート、光学フィルム、及び表示装置 Active JP6062759B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013028403A JP6062759B2 (ja) 2013-02-15 2013-02-15 粘着剤組成物、光学用粘着シート、光学フィルム、及び表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013028403A JP6062759B2 (ja) 2013-02-15 2013-02-15 粘着剤組成物、光学用粘着シート、光学フィルム、及び表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014156552A JP2014156552A (ja) 2014-08-28
JP6062759B2 true JP6062759B2 (ja) 2017-01-18

Family

ID=51577634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013028403A Active JP6062759B2 (ja) 2013-02-15 2013-02-15 粘着剤組成物、光学用粘着シート、光学フィルム、及び表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6062759B2 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6423581B2 (ja) * 2013-03-29 2018-11-14 リンテック株式会社 積層体の製造方法
JP6526951B2 (ja) * 2014-08-29 2019-06-05 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 光学的に透明な接着剤及び光学積層体
JP6325481B2 (ja) * 2015-03-31 2018-05-16 リンテック株式会社 粘着シート
JP6019180B1 (ja) * 2015-06-18 2016-11-02 積水化学工業株式会社 (メタ)アクリル系粘着剤及び粘着テープ
JP2017039857A (ja) 2015-08-20 2017-02-23 昭和電工株式会社 光反応性透明粘着シート用組成物、光反応性透明粘着シート、タッチパネル、画像表示装置
JP6791736B2 (ja) * 2015-11-30 2020-11-25 積水化学工業株式会社 粘着剤組成物及び粘着シート
WO2017159789A1 (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 王子ホールディングス株式会社 粘着シート及び積層体
KR102179018B1 (ko) * 2016-03-17 2020-11-16 오지 홀딩스 가부시키가이샤 점착제 조성물 및 점착 시트
KR102122602B1 (ko) * 2016-04-01 2020-06-16 주식회사 엘지화학 점착제 조성물 및 점착 테이프
KR102109909B1 (ko) * 2016-04-01 2020-05-13 주식회사 엘지화학 점착제 조성물 및 점착 테이프
JPWO2018020941A1 (ja) * 2016-07-29 2019-05-16 名古屋ファインケミカル株式会社 エポキシ組成物、その硬化方法及びその保存方法
KR20240038118A (ko) 2017-03-23 2024-03-22 미쯔비시 케미컬 주식회사 양면 점착 시트, 화상 표시 장치 구성용 부재를 가지는 적층체, 적층체 형성 키트 및 양면 점착 시트의 사용
JP6768024B2 (ja) * 2018-03-26 2020-10-14 リンテック株式会社 活性エネルギー線硬化性粘着剤、粘着シートおよび積層体
JP7253903B2 (ja) * 2018-11-21 2023-04-07 日東電工株式会社 粘着シートおよびその製造方法、ならびに画像表示装置の製造方法
JP6579254B1 (ja) * 2018-12-03 2019-09-25 王子ホールディングス株式会社 積層体及び積層体の製造方法
JP2020109196A (ja) * 2020-04-16 2020-07-16 日立化成株式会社 光硬化性樹脂組成物及び硬化物
JP6888720B2 (ja) * 2020-07-28 2021-06-16 王子ホールディングス株式会社 光学部材貼合用粘着シート及び積層体の製造方法

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3621322B2 (ja) * 2000-01-25 2005-02-16 株式会社巴川製紙所 赤外線吸収性粘着剤組成物及びそれを用いた赤外線吸収シート
JP4599792B2 (ja) * 2002-09-30 2010-12-15 日立化成工業株式会社 液晶表示装置用シート及びそれを用いた液晶表示装置の製造方法
JP4285746B2 (ja) * 2004-02-26 2009-06-24 日本合成化学工業株式会社 硬化型粘接着剤組成物
JP4583246B2 (ja) * 2005-06-06 2010-11-17 松谷化学工業株式会社 冷菓
PL2142614T3 (pl) * 2007-04-05 2020-11-30 Jacret Kompozycja dla kleju strukturalnego
WO2008143010A1 (ja) * 2007-05-11 2008-11-27 The Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd. 粘着剤、粘着シートおよび粘着シートの製造方法、活性エネルギー線硬化用樹脂組成物
JP5278305B2 (ja) * 2009-12-25 2013-09-04 日本ゼオン株式会社 重合性組成物、樹脂成形体、及び積層体
JP5968587B2 (ja) * 2010-10-21 2016-08-10 日東電工株式会社 光学用粘着シート、光学フィルムおよび表示装置
JP5790089B2 (ja) * 2011-03-31 2015-10-07 Dic株式会社 両面粘着テープ
JP2012229372A (ja) * 2011-04-27 2012-11-22 Nitto Denko Corp 粘着剤組成物及び粘着シート
KR101950538B1 (ko) * 2011-08-10 2019-02-20 도아고세이가부시키가이샤 활성 에너지선 경화형 공극 충전용 수지 조성물
JP5948075B2 (ja) * 2012-02-15 2016-07-06 株式会社寺岡製作所 粘着シート及びその製造方法、接着用シート、光硬化型接着剤組成物並びに光学用部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014156552A (ja) 2014-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6062759B2 (ja) 粘着剤組成物、光学用粘着シート、光学フィルム、及び表示装置
JP5936537B2 (ja) 光学用粘着シート
JP5968587B2 (ja) 光学用粘着シート、光学フィルムおよび表示装置
JP5518436B2 (ja) 光学用粘着シート
KR101749758B1 (ko) 광학용 점착 시트
TWI504708B (zh) 光學用丙烯酸系黏著劑組合物及光學用丙烯酸系黏著帶
JP6001255B2 (ja) 粘着シート
JP6001316B2 (ja) 粘着シート
JP5623975B2 (ja) 光学用粘着シート
US20130123417A1 (en) Pressure-sensitive adhesive sheet
US20100209703A1 (en) Double-sided pressure-sensitive adhesive sheet and pressure-sensitive adhesive type optical member
JP2013006892A (ja) 光学用両面粘着シート
JP6114004B2 (ja) 粘着剤組成物、及び粘着シート
JP2013032483A (ja) 光学用両面粘着シート、光学部材、タッチパネル、画像表示装置、及び剥離方法
US20120189835A1 (en) Optical pressure-sensitive adhesive sheet
JP2012140605A (ja) 光学用粘着シート
TW201402744A (zh) 壓感黏著組合物及壓感黏著片材
CN103242748B (zh) 丙烯酸类压敏胶粘带
TW201333148A (zh) 光學壓感黏著片材
JP6726789B2 (ja) 光学用粘着シート
TW201443191A (zh) 壓感貼片
JP2022179179A (ja) 粘着剤組成物、粘着シート、光学積層体及び画像表示装置、並びに粘着シートの製造方法
JP2022179180A (ja) 粘着剤組成物、粘着シート、光学積層体及び画像表示装置
JP2022179183A (ja) 粘着シート、光学積層体及び画像表示装置
JP2014194041A (ja) 粘着剤組成物の製造方法、粘着フィルムの製造方法、粘着剤用原料組成物及び粘着フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20150508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150508

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160816

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161012

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6062759

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250