明 細 書 可塑状ゲル注入材および地盤強化方法 技術分野
本発明は、 可塑状ゲル注入材を地盤中に圧入し、 時間の経過と共に、 或は加圧脱水に より可塑状ゲルからなる塊状体を地盤中に形成しながら土粒子を周辺に押しやり、 地盤中 に可塑状ゲル注入材そのものの塊状体を形成して地盤強化を図る可塑状ゲル注入材および 地盤強化方法に関する。 背景技術
地盤中に固結材を圧入して土砂を周辺に押しやり、 密度を増大させて地盤を強化する 方法として従来、 非流動性の低スランプ或は殆んどスランプゼロの注入材 (モルタル) を 地盤中に圧入し、 地盤中に固結体を造成して地盤を圧密強化する工法が知られている。 ( 特開平 6 - 1 0 8 4 4 9号公報参照)
しカゝし、 前者は大きな装置を必要と し、 液状化防止ェ等が行われる建築物の建て込ん だ場所や建造物直下の基礎の補強には不適であった。
一方、 流動可能.なセメン トを主成分とするモルタルと、 水ガラスやアルミニウム塩等 の可塑材をポンプでそれぞれ移送し、 注入口付近で合流混合してスランプが 3 c m以下の 低流動性の可塑状グラウ 卜を形成して注入する空隙充填方法ある。
これを軟弱地盤中に加圧注入すると地盤中の範囲外に割裂注入して脈状に逸脱してし まレ、、 地盤改良は困難である。 ·
また、 セメントを主材とする従来のモルタル注入液はスラ リー状で流動性を有し、 水 和反応により固化に到るものであり、 このような流動性モルタルは地盤中に注入した場合 、· 地盤を割裂して注入され、 逸脱しやすく、 又大きなブリージングを生じ、 地盤中に材料 分離し、 沈殿して脈状に固化する。
—方、 ブリージングを小さくするためにはセメン卜の含有量を大きくすればよいが、 このようにするとセメン 卜の硬化発現が早くなり広範囲を充填する事が出来なくなるか、 地盤を割裂して逸脱するという問題がある。 又セメン卜を主材とする流動性モルタルにァ ルミユウムゃ水ガラス等を可塑材として用いる方法が提案されたが、 このような可塑状グ ラウ 卜は空洞填充.には適して'いるが、 これを地盤に圧入した場合、 粘性が大きく地盤中で 急速に硬化して注入不能になるか或は割裂して逸脱しゃすい。
又セメン卜系懸濁液と可塑材を別々にポンプで送り、 注入管の手前で合流して形成さ れたスランプが 5未満 3 c m程度の可塑性グラウ 卜を、 地盤中に圧入して周辺の土粒子を 圧縮する地盤強化方法も提案されている。
しかしスランプが 5 c m未満とは、 グラウ 卜を構成する材料によって多少異なる力 フローでおおよそ 1 0程度となり、 この場合ゲル化物は落下による振動を加えても殆ど動 かない状態であり、 このような低スランプの可塑性ダラゥ'卜を地盤中に注入すると、 地盤 中で水分と粉体が分離し、 脱水によってさらに流動性を失って急速に硬化してしまい、 可 塑性保持時間を得られない。 この結果、 注入圧が上がって注入不能になる力、 脈状に地盤
を割裂して不特定の方向に逸出してしまい地盤強化効果が得られなレ、。 発明の開示 そこで、 本発明の課題は地盤中に圧入されたら土粒子間浸透せず、 かつ、 地盤中にお いても流動性を保ちながら、 所定の範囲以外に割裂により逸脱する事なく所定の位置に塊 状体を形成し、 かつ、 出来るだけ大きな注入液自体による塊状体に成長せしめ、 しかも固 化に到る迄の間に周辺の土粒子を押しやってその分、 周辺の土砂の密度を高くするという 相反する特徴を同時に満たし、 上述の公知技術に存する問題を解決した地盤注入材および 地盤強化方法を提供することにある。
上述の課題を解決するため、 本発明の可塑状ゲル注人材によれば、 地盤中に設けられ た注入孔を通して圧入する可塑状ゲル注人材であって、 時間とともに、 或いは脱水によつ て流動性を失って塊状体を形成する、 次の成分 ( 1 ) と (3 ) 又は ( 1 ) と (2 ) と (3 ) を有効成分と して含むことを特徴とする。 ―
( 1 ) シリカ系非硬化性粉状体 ( F材) ■
( 2 ) カルシウム系粉状硬化発現材 (C材)
( 3 ) 水 (W材)
さらに、 上述の課題を解決するため、 本発明の地盤強化方法によれば、 地盤中に複数 の注入孔を設け、 この注入孔を通して可塑状ゲル注入材を圧入し、 地盤中で非流動性塊状 体を形成しながら地盤土粒子を周辺に押しやって地盤中に複数の塊状体を形成するととも に、 該複数の注入孔周辺部の地盤の密度を増加して地盤強化してなり、 該可塑状ゲル注入 材が以下の ( 1 ) と ( 3 ) 又は ( 1 ) と ( 2 ) と (3 ) 'を有効成分として含むことを特徴 とする。
( 1 ) シリカ系非硬化性粉状体 ( F材)
( 2 ) . カルシウム系粉状硬化発現材 (C材)
( 3 ) 水 (W材)
本発明は上述のとおり、 非硬化性シリカ系粉体或はそれにそれより少ないカルシウム 系硬化発現材を加えた懸濁液を用いるが、 使用する粉粒素材の種類と組合せ、 および特定 の配合比.率で配合するようにしたから、 目的に応じた流動特性、 固結特性を呈する所望の 注入材を地盤中に圧入して、 地盤中に塊状固結体を造成することにより注入孔に囲まれた 地盤の土粒子を周辺におしやり、 地盤強化を図ることができる。
図面の簡単な説明 図 1は可塑性グラウ 卜圧入による地盤強化モデル図であり、 ( a ) は改良対象領域 に対する可塑性グラウ 卜による固結体の配置を示す柱取り合い断面図であり、 ( b ). 、 ( c ) は平面図および可塑性注入材の注入配置図である。 (b ) は正方形配置図であり、 ( c ) は三角形配置図である。
図 2は (a ) は所定エリアの地盤に相隣って削孔した可塑状ゲルのロッ ド注入管によ る下から上への引上げ注入の態様の断面図であり、 ( b ) は所定ェリァの地盤に相隣って
注入外管を設置し、 注入內管から可塑状ゲルを圧入する例を示した断面図であって、 1つ のポンプからバルブ 5をきりかえながらィンターバル方式による圧入態様の断面図であり 、 ( c ) は引張強度のある注入管の所定設置に間隔をあけて可塑状ゲルによる固結体を形 成し、 又注入管の引張強度を固体による地盤の高密度体による補強効果を示す断面図で fo る。
図 3は地盤の施工中途における、 変位計測態様の模式図である。
図 4は (a ) 、 ( b ) は構造物直下の耐震補強注入の基本模式図であって断面図であ る。 . . .
図 5は ( a ) は削孔したケ一シング内に鉄筋を挿入しケーシング引き抜きによる可塑 状ゲルの圧入の模式図であり、 可塑状ゲルは逸脱しないため周辺地盤を圧密して大きな強 度を有するグラウ トパイルを形成する。 (b ) は可塑性グラウ 卜による杭基礎の地盤強化 の断面図であり、 (c ) は土留め壁における可塑性グラウ 卜の圧入によるアンカー形成の 断面図である。
図 6は本発明における材料の混合およびダラゥ 卜の注入までの注入管理方法の一具体 例を示すフ口一シ一卜である。
図 7は集中管理装置の操作、 および集中管理システムが管理する配合と注入のフロー チャートである ·。
図 8は集中管理装置を用い、 送液系統 1 0本についての積算流量ど最大圧、 および流 量と圧力を注入監視盤に表した画面表示の例である。
図 9は注入領域の 4つの注入プロック区分 N o . 1〜 4を注入監視盤に表した画面表 示の例である。
図 1 0は地盤のステージ N o . 1〜 3における流量と注入圧力を注入監視盤に表した グラフ (チャート) である。
- 図 1 1は注入量、 または注入圧の三次元的表示例である。
' 図 1 2は硫酸バンドの有無によるブリージング率の違いを表したグラフである。 図 1 3は硫酸バン ドの有無による初期粘性の違いを表したグラフである。
図 1 4は硫酸バンドの有無による強度発現の違いを表したグラフである。
図 1 5はテーブルフローとシリンダ一によるフローの関係を表したグラフである。 符号の説明
3 地盤
4 削孔
5 バルブ
6 コン トローラ一
7 コンピュータ一
8 ケーシング
9 注入管
.1 0 鉄筋
発明を実施するための最良の形態
本発明の特徴は以下のとおりである。
( 1 ) シリカ系非硬化性粉状体は、 セメ ン トや石灰等の C a組成物の少量と反応して、 初 期の段階で表面に C aを吸着して電気的化学的反応を起こし、 バインダーとなって擬似的 な流動性の低下を生じ、 更に脱水をともなつて水粉体比が小さくなると可塑状ゲルを形成 し、 更に非可塑状ゲル化物を経て固化する。 このような現象は、 地盤中で脱水によって加' 速し、 形成された塊状体が周辺地盤より強度が高ければ充分本発明効果をうる。 又、 硬化 発現材を加えなくてもその流動特性をフロー或はスランプで特定し、 或は水粉体比で水分 量を特定する事により地盤中で土粒子間に浸透したり、 或は脈状に拡散する事なく地盤中 に塊状体を形成し、 圧入をつづける事により塊状体が拡大する。 そしてその地盤中におけ る脱水した塊状体が周辺の圧縮された地盤と同じ強度或はそれよりも大きな強度を保って いる限りは地盤強化の役を果たす事を本発明は見出した。
( 2 ) テ一ブルフローとスランプはシリカ系粉状体或はそれに硬化発現材を加えた注入液 の流動性を示し、 テーブルフ口一が 1 5 c m〜 2 5 c mの範囲でスランプは .1. 5 c m〜 2 8 c mの範囲、 シリ ンダーによるフローが約 1. 0〜■ 2 6 c mの範囲にあり、 フローが 2 0 c m付近、 スランプが 2 1 c m付近、 シリンダ一によるフロ一が 1 5 c m付近で可塑状ゲ ルになり、 経時的に或は脱水による水粉体比の低下と共にフローとスランプは低下する。
. シリカ系非自硬性粉状素材と粉状のカルシウム系硬化発現材からなる粉状体の水紛体 比、 全紛体中の硬化発現材比を調整する事により、 上記地盤注人材の地盤中における可塑 状流動特性や地盤中における可塑状ゲル化物の拡大を調整し、 更にこの可塑状ゲルに到る 迄のゲル化時間や可塑状ゲル保持時間を促進剤又は遅延剤や流動化剤、 解こう剤、 気泡材 等の添加剤を用いる事によって調整し、 作業性や可塑状ゲルの大きさを調整できる。 水粉 体比が小さすぎたり、 硬化発現材比が大きすぎると脱水によって地盤中で塊状ゲルの拡大 が阻害されるため、 その比率が重要である。
' 特に硬化発現材比が大きいと地盤中で脱水によって急速に大きな強度.となりすぎ、 ゲ ルの拡大を防ぐのみならず、 周辺土に対して大きなコンクリ一卜体が出来たと同様になり 、 地盤全体の一体化を防げられ、 地震時に局部的な大きな応力を生じ、 破壊するため改良 地盤の耐震性が低下する。 .
又、 地盤中で脱水により塊状体を形成するシリ力系粉状体からなる流動性注入液は、 上述した人工の粉状素材のみならず、 掘削土砂や珪砂等を素材とし、 それに粘土や増粘材 や保水材を添加して流動化土と して所定の流動特性、 即ちフローやスランプ値とし、 かつ 所定の水粉体比を示すように調整し、 かつ脱水してテーブルフローが 2 0 c m以下になれ ば、 可塑状ゲルとなり、 土粒子間浸透せず、 亀裂逸脱しないように注入する事により周辺 地盤がより密になる。 これにより所定の地盤改良を達成する事が出来る。 勿論、 上記素材 として更に硬化発現材を加えれば強度は増加する。
( 3 ) 該地盤注入材は送液過程、 地盤への圧入過程で時間と共に流動性が変動していく 。 その流動特性の変化を効果的に利用する事により、 地盤中で塊状固結体を形成出来る一 方、 これが注入液の配合調整や注入管理を難しくさせるため、 配合範囲の設定のみならず
、 配合管理システム、 圧入管理システムが重要になる。
( 4 ) 該地盤注入材の混練や圧送並びに地盤中への圧入に適したヮ一力ピリティは、 テ 一ブルフローで ] 2 c m以上、 好ましくは 1 5 c ni以上、 3 0 c m未満、 スランプは 5 c m以上、 好ましくは 1 0 c m以上、 2 8 c m以內、 シリンダーによるフローで 8 c mより 大きく好ましくは約 1. 0 c m以上、 2 6 c ni以内である。
スランプゃフローを支配する水粉体比の決定が、 ヮ一力ビリティや土中における塊状 体の形成と拡大に大きく影響する。 時間と共に逐次変化するこれらの流動性を的確に判断 し、 フローによって水粉体比と硬化発現材比を管理して迅速に配合並びに水紛体比を調整 することが地盤中に塊状の可塑状ゲルを形成しかつ拡大するために重要である。
( 5 )■ 添加剤を添加すると、 添加量に応じた可塑状ゲルを形成するゲルタイムの調整が できる。 促進材として水ガラスや硫酸アルミ二ゥム塩を添加することにより容易にフロー を小さく したりゲル化時間を短縮する事が出来る。 又スランプを 2 0 c m付近から 1 0 c m以下に減少させる事が出来る。 さらに地盤中における脱水と共に可塑性ゲルを形成させ 、 かつそのゲルが可塑状を保持する時問を長く して圧入を継続する事により塊状ゲルが成 長し、 地盤中に大きな塊状ゲル化物を形成し、 更に非可塑状ゲルを経て硬化体に変化させ る事が出来る。
この場合、 シリカ系粉状体にカルシウム系硬化発現材の混合物を A液と し、 水ガラス 等の溶液性シリ力やアルミニウム塩を B液とし、 合流混合する.事により、 小さなフローや 低スランプの可塑状ダラゥ 卜を注入する事が出来る。
しかし 空洞填充の場合は低いフロー値、 低スランプの可塑状グラウ 卜の注入は可能 であるが、 地盤への圧入工法の場合は地盤中で生ずる脱水によって急速に流動性が失われ るため、 塊状ゲルの拡大による周辺地盤の圧縮が困難になる。 このため合流注入しても注 入管吐出口から地盤に注入される時点では、 合流液のテーブルフロ一は 1 2 c m以上、 ス ランプは 5 c mより大きく、 シリンダ一によるフローは 8 c niより大きい事が必要である
( 6 ) 骨材と して粘土、 土砂等の現場発生土、 珪砂を加えることが出来る。 骨材は増量 材と して役立つのみならず固結強度や流動性の調整にも役立つ。 一般に粉体中の骨材の比 率が多くなれば強度は小さくなり、 骨材の粒径が大きくなればその流動性は低下する。
ベン卜ナイ 卜等の粘土や現場発生土における粘土ゃシル卜やローム等細粒分や高分子 剤や増粘材等は保水性や増粘剤としてすぐれ、 地盤中に圧入された圧入材の脱水を遅らせ 、 粉状体に対するバインダーとして作用して擬似的結合性のある流動体と して作用し、 分 離分散することなく塊状ゲルを形成しその拡大に役立つ。
( 7 ) 硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩や水ガラス (水ガラスと酸を混合して得ら れた酸性水ガラスも含むものも、 本発明では水ガラスとてみなすものとする) を添加する とスランプの減少、 フローの減少、 粘性の増大を生ずる。 地盤中で地盤注入材が脈状に割 裂する事なく可塑'状ゲルが地盤中に形成して塊状ゲルが大きく成長するには、 硬化材発現 比、 水紛体比、 アルミニウム比、 フロ一値、 スランプ値の範囲、 シリカ溶液からのシリカ 濃度等、 の選定適用方法が重要となる。
( 8 ) セメン ト系懸濁型グラウ トはただでさえ粘生が大きいのに、 それを可塑状にすれ ば地盤中に開口する注入管の注入口からの圧入抵抗並びに注入口に到る迄の送液管の送液 抵抗が極めて大きく、 かつ送液管やポンプの中でつまりやすいという問題がある。 このた め送液を容易にするために薄い配合を用いると地盤中で脈状になる。 このため従来の技術 では、 裏込め注入と同じように流動性の良いセメン 卜系懸濁液と可塑材を注入管に送液さ れる前の時点で合液して瞬時に可塑状にして地盤中に圧入し、 スランプ 5 c m未満にして
圧入する方法が提案された。 しかし、 注入管の前で可塑状になったセメン 卜系可塑状ダラ ゥ 卜が地盤中で脱水によって直ちに高強度になるため大きな塊状ゲルに成長するのは困難 であり又、 大きな注入圧力を必要と して注入不能になる力'、 地盤を破壊して逸脱する。
本発明者は裏込め注入や空隙充填のための可塑状ダラゥ 卜の注入に比べて、 地盤中に 圧入して大きなゲルを形成して周辺土砂を圧縮する地盤改良の注入は全く異なる事に着目 した。 本発明者は研究の結果、 地盤中で圧人材が割裂によって逸脱せず、 かつ大きな塊状 ゲルに成長するための以下の必要条件並びに塊状ゲル化物の生成とその拡大のメカ二ズム を見出した。
1 / -本発明の該地盤注入材は、 地盤中に注入される迄は流動性があるが、 地盤中に注入 されたあとは、 地盤を割裂して逸脱することがない。
2 . 本発明地盤注入材は、 地盤中に注入される前の段階で可塑状ゲルに到っている力 地盤中に注入されて加圧脱水によって流動性が低減して可塑状ゲルの塊状体を形成する。
3 . 塊状体は地盤中で可塑状を保持し、 その塊状体はその内部に後続して圧入される可 塑状ゲルによって押し拡げられて、 塊状体は拡大する。 塊状体の外周部では押し拡げられ る結果、 更に脱水されて非可塑状となり流動性を失い、 時間と共に外周部から固化帯を形 成して大きな塊状固結体が形成されると共に、 その周辺部の土砂の空隙を減少させ、 押し 拡げて、 静的に締め固める。
4 . 塊状体の内部は可塑状を保持している事により、 更に該地盤注入材の圧入があれば 塊状体の外周部の固化ゾーンがいくつか破れ、 可塑状ゲルがその周辺部に押し出され、 脱 水して非可塑状となり、 固化帯が拡大する。 固化帯が或る程度以上に くなると通常のポ ンズ圧ではそれをつき破る事が困難になり、 圧入不能になる。 その時点が塊状固化物の大 きさとなる。
本発明者は研究の結果、 送液中の送液管中の抵抗圧やポンプ中における詰まりが生ず る事なく地盤中に設置された注入管の先端部から地盤中に圧入されたあとでも流動性を有 し、 脱水されても可塑状を呈する該地盤注入材を圧入する事によって、 地盤中で可塑状保 持時間 (加圧されれば流動状態になる時間) を有する可塑状ゲルを形成し、 更に塊状体が 成長する事を見出し、 本発明を完成したものである。
例えば、 表 1に示すように、 同一の硬化発現材比 ] 8 . 5 0 %で水粉体比が 3 5 %の 配合 1、 水粉体比が 3 0 %の配合 2は配合後可塑状ゲルになる迄のゲル化時間がそれぞれ 4 8 0分とか 3 0 0分を要する。 これが水粉体比が 2 5 %になるとゲル化時間は 2分にな る。 この事は配合時、 地盤中に注入される前迄は可塑状に到っていない注人材が地盤中に おいては、 脱水によって水紛体比が 3 5 %から 3 0 % (脱水率約 1 5 % ) さらには 2 5 % (脱水率 3 0 %) に低下するにつれてゲルタイムが 2分迄減少し、 可塑状ゲルとなり、 塊 状体を形成する。' しかもゲル化時では可塑状保持時間は 7 . 5時間であるから、 塊状ゲル は拡大し、 ブリージングが小さく、 粘性が増大して拡散しにく くなり、 固化物は大きな強 度となる。
このような特性は従来知られていなかった。 即ち、 流動性注入材は地盤中に圧入され てから水粉体比が 3 5 %から 2 5 %に脱水する迄はゲル化に到らず、 2 5 % (脱水率約 3 0 % ) になって、 2分後には、 可塑状ゲルを形成し、 その時点での可塑状保持時間は 7 . 5時間であって、 圧入がつづくにつれゲル状のまま大きく生成し、 更に脱水或は硬化現象 の進行にともない、 非流動性ゲルとなり、 固化する事を物語っている。
従って、 このように注入時点で可塑状を呈していなくても地盤中の脱水によって可塑
状になり うる。 このような流動性注入液の注入においては配合液を一液のまま注入しても 紛状体注入液を A 液と し、 アルミニウム、 水ガラス等のゲル化促進材を B 液とし、 合流 注入しようと、 或は A液を可塑状ゲルと し、 B液を水ガラス等のゲル化促進剤としょうと 、 その手段は問わないで施工する事が出来る。
以上の本発明者による研究の結果、 以下のようにして可塑状ゲル注入材を圧入して地 盤中に大きな塊状体を形成して強度増加による設計可能な信頼性のある地盤改良ェ法を可 能になった。
1 . 注入液そのものはポンプによる流動性があるが、 地盤中に注入したものが脈状に割 裂を生じて不特定に浸透して固結しないようにする。 なぜならば、 それぞれの注入孔の受 け.もち範囲内でゲル化物による塊状固結体が形成されて、 はじめてその受けもち範囲にお ける土粒子間隙が減少して塊状固結体周辺の注入孔の間の地盤の密度増加が確実に期待で きるからである。 .
2 . 地盤中に注入した注人材が土粒子間浸透しないようにして複数の注入孔の間の地盤 の土粒子を塊状体で押しのけるようにする。 なぜならば、 土粒子間に注入液が浸透したの では、 複数の注入孔の間の地盤を圧縮することが出来ず、 注入孔の受け持ち範囲における 地盤の圧縮による密度増加が確実に期待できないからである。
3 . 地盤中に圧入されたゲルが塊状に固結体を形成し、 なお _かつ大怪の固結塊に成長す るようにする。 このためには
( 1 ) 該注入材として、 非硬化性シリカ系粉状体と、 水の混合物をスランプ 5 c m以上 又は/並びにテーブルフロー .1 2 c m以上、 または/並びにシリンダーによるフローが 8 c mよりも大きく、 或は更にスランプ 2 8 c m未満又は/並びにテ一ブルフ口一が 3 0 c m未満、 またはノ並びにシリンダーによるフローが 2 8 c m未満である流動性地盤注入材 、 又はこれにカルシウム系粉状硬化発現材とを混合した地盤注入材とを用い、 これを地盤 中に圧入して脱水して形成される注入材そのものからなる塊状体の拡大によつて土*£子を 周辺に押しやり、 地盤中に塊状固結体を造成し、 地盤強化を図る。
( 2 ) 該地盤注入材は脱水によってテーブルフローが 2 0 c m以下に達しうる。 ここで テーブルフローが 2 0 c mになった時点を可塑状ゲルになった時点とみなす。
( 3 ) 該地盤注入材は脱水が進むにつれ可塑状ゲルを経て非可塑状となって固化する。 . ( 4 ) 該地盤注入材は硬化性流動化土又は非硬化性流動化土であって脱水によって流動 性を失いテーブルフ口一が 2 0 c m以下に達し、 周辺地盤と同等又はそれ以上の強度を発 現する配合とする。
( 5 ) 該地盤注入材は水粉体比が 3 0 %以内で可塑状ゲルになる配合とすれば、 地盤中 に圧入しつづければ可塑状ゲルとなって塊状固結体が形成される。
可塑状ゲルによる塊状体が地中で大きく成長して固結体になるには以下の条件が好ま しい。
硬化発現材比 C Z F + C X 1 0 0 ( % ) 1重量。/。以上 5 0重量。/。未満.
好ましくは 1〜 4 0重量% さらに好ましくは 1〜 2 0重量% 水粉体比 W/ F + C X 1 0 0 ( % ) 2 0〜 2 0 0重量%
好ましくは 2 0〜; I 0 0重量% さらに好ましくは 2 0〜 5 0重量%
アルミニウム比 アルミニウム Z F + C X 1 0 0 A I 2 O 3換算で 0 . 0 .1〜 0 . 3 5 % 水力'ラス シリ力分で 0〜 7 . 0重量% スランプ ( 注入時のスランプが 5 c m以上
好ましくは約 5〜 2 8 c m
さらに好ましくは 1 0〜 2 8 c m フロー ( c 注入時 ·のテ一ブルフローが
.1 2 c m以上 3 0 c m未満 好ましくは約 1 5〜 2 8 c m 注入時のシリンダーによるフローが 8 c mよりも大きく、 2 8 c m未満 好ましくは約 9〜 2 6 c m フリージング 1 0 %以下、 好ましくは 5 %以下 可塑状ゲルあるいは水粉体比が 3 0 %以内の減少で可塑状ゲル、 すなわちテーブル口 一が 2 0 c m以内になる配合を用いる。
4 . 地表面近くは地盤隆起しやすく、 又注入材が地表面に逸脱しやすいので、 そのよう- な現象を防止する手法も併用する。
5 . 長距離の送液パイプ中で分離する事なく流動性を保持しうる事が建造物が密集した 地盤の耐震補強に本技術を適用するための作業性を可能にする。
6 . 砂地盤だけでなく粘性土地盤にも適用出来るようにする。
注入液の配合システムから送液管と注入管管路を経て地盤中に注入される経路において、 流動性を保持しながら (上記要件 5. ) 地盤に注入されてから以上の 1 、 2、 3、 4のいず れか又は複数の要件を満足するようにする。
可塑状ゲルを呈する迄の時間を短縮するには、 水ガラスやアルミニウム塩を加える事 により調整出来る。 即ち、 これらはゲル化促進剤として作用する。 水ガラスと硫酸等の酸 を混合して水ガラスのアル力リを除去した酸性水ガラスを用いると、 きわめて早くゲルが 形成される。 本発明では酸性水ガラスも水ガラスと して极.う。 この場合、 重曹や炭酸ナ卜 リ ウムを併用することによりゲル化時間を調整できる。 又、 リグニンスルフォン酸塩等の ゲル化遅延剤を用いる事も出来る。
本発明の地盤注入材の代表的例を云えば、 懸濁液を構成する主材となる紛体の非硬ィ匕 性粉体に加えるセメン ト又は消石灰或はスラグ或は石膏等からなる粉状の硬化発現材は使 用する粉状素材中の 5 0重量%未満、 好ましくは 1〜4 0重量%、 更に好ましくは 1〜 2 0重量。ん、 また水粉対比は 2 0〜 2 0 0重量%、 好ましくは 2 0〜 1 0 0重量。 /0である。 ゲル化促進材を加える場合は注入材に含まれる粉体、 つまり主材と硬化発現材の総量に対 してアルミニウム塩をアルミニウム比が 0 . 1〜 2 . 0重量% ( A 1 2 O 3換算で 0 . 0 1〜 0 . 3 5 % ) 練り混ぜることにより、 テーブルフロー 1 2〜 3 0 c m、 好ましくは 1 5〜 2 8 c m、 ゲルタイムが 3分以内から数 1 0 0分、 可塑状保持時間が数時間から 1 0時間 以上、 ブリージング率が 1 0 %以内好ましくは 5 %以內、 スランプが 5 c mより大きく、 2 8 c m以下、 好ましくは 1 0〜 2 8 c m、 シリ ンダーによるフローが 8 c mより大きく , 2 8 c m未満、 好ましくは約 9〜 2 6 c mの注入材となる。
本発明のこのような特性により、 又、 ゲル化促進材と して水ガラスや酸性水ガラス等 のシリカ分を加えるとゲルタイムも可塑状保持時間も大幅に減少させる事が出来、 又、 ブ リージングもスランプも更にフローも小さくなる.。 本発明地盤注入材は地盤中に圧入され て可塑状ゲルとなり土粒子を周辺に押しゃり、 地盤中で大きな塊状固結体に成長し、 地盤 強化を図ることが出来る。
本発明の地盤注入材は、 フ口一で現すと 丄 2 し' m以上、 好ましくは ]. 2〜 3 0 c m、 更に好ましくは .1 5 c m〜 2 8 c ni、 スランプでは 5 c m以上、 2 8 c m以下、 好ましく は 1 0〜 2 8 c mの範囲を示すことが好ましい。 又、 地盤中にて加圧脱水による可塑状ゲ ルの形成を考慮:して注入前に可塑状ゲルになっているもの、 或は水粉体比が 3 0 %以内減 少で可塑状ゲル (テーブルフローでほぼ 2 O . c m以内) になる場合である事が好ましい。
フロー値ゃスランプがこれ以下になると、 地盤中で可塑状ゲルの塊状固結体の成長が' 困難になり、 これ以上だと脱水しきるまえに脈状や亀裂状に割裂注入され、 塊状体を形成 されにくレ、。
本発明は上述の通り、 非硬化性シリ力系粉状体或は更に加える硬化発現材の粉粒素材 および水を特定比率で配合するが、 カルシウム系紛体である硬化発現材と してセメント、 石灰、 石膏、 スラグ、 のいずれか又は複数の一群 (C材) と、 水 (VV材) と混台する。 た だし、 非硬化性シリ力がスラグの場合は、 硬化材と してのスラグは除外する。
なお、 上記にてスラグは通常の 4000 ( c m 2 / g ) めブレーン等の一般品でもよいし 、 それ以上 600(;)〜 15000 ( c m 2 / g ) ブレーン等の超微粒子スラグでもよい。 硬化発現 材比は 5 0重量%未満、 好ましくは 1〜4 0重量%、 更に好ましくは 1〜 2 0重量%、 ま た 1〜 1 0重量%の配合でも極めて優れた効果がある。 硬化発現材がゼロの場合はスラン プ並びにフローが上記条件を満たすと共に脱水して地盤に圧入された塊状体が周辺地盤と 同等又はそれよりも高い強度を有する事が必要である。
この場合の配合や水粉体比の選定は上下にポーラスス トーン又は口紙を敷いたモール ド中に注入材を填充し、 想定した注入圧力に相当ずる圧力でシリンダ一で加圧して脱水さ せ、 えられた供試体の強度を測定し、 注入したあとの周辺土の平均的な土の密度に対応し た強度と同程度又はそれよりも大きな強度になるように設定する事が出来る。 勿論、 硬化 発現材を少量加えた場合も同様に配合を設定できる。 水粉体比は 2 0〜 2 0 0 %、 好まし くは 2 0〜 1 0 0 %の配合である。 ただし、 非硬化性シリカがスラグの場合、 水粉体比は 更に好ましくは 3 0〜 8 0 %の配合である。 ここで、 硬化発現材比とは C / ( F + C ) X 1 0 0であり、 また、 水粉体比とは WZ ( F + C ) X 1 0 0であり、 F、 C、 Wはそれぞ れ重量である。 ただし、 硬化発現材を用いない場合は硬化発現材.比はそれぞれ C Z F X 1 0 0、 VV/ F X 1 0 0である。
このような配合液は混合すれば、 水粉体比が小さければそのままで、 水粉体比が大き い場合は地盤中で脱水することにより遅かれ早かれ塊状体になる。 可塑状ゲルは力を加え れば流動するが静止すれば流動を停止する。 可塑状ゲルとなるゲルタイムはテーブルフ口 一がほぼ 2 0 c mになった時点とする。 上記水粉体比、 フ口一、 スランプを呈する流動性 注入材はそのままで或は添加材を加え、 地盤中で加圧脱水する。 これにより、 水粉体比が 大きい場合でも可塑性ゲルが地盤中に形成することが出来る。
地盤中において形成された塊状体は流動性が少ない状態でありながら、 出来るだけ広 範囲に拡大されて大きな塊状固結体を形成する必要がある。 このためにはフロ一ゃスラン プゃ水粉体比が重要であるし、 更に硬化発現材比ゃ添加材も重要である。
硬化発現材比が過大であると、 セメン ト等を主材とするモルタルグラウ 卜の特性が強 くなり、 水が分離してブリージングが大きくなり、 可塑状ゲルになりにく く、 かつ脱水に
よって可塑状ゲルでなく非可塑性ゲルとなって短時間のうちに固化して高強度固結体を形 成する。 このため割裂して逸脱するか固化して注入不能になる。 硬化発現材比が 5 0 %未 満、 好ましくは 1〜 4 0 %、 更に好ましくは 1〜 2 0 %の間で、 最も好ましくは 1〜 1 5 %であって、 地盤中で可塑性ゲルを経て大きく成長した塊状固化物が形成される。 特に硬 化発現材比は 1〜 2 0 %或は更に 1〜 1 0 %程度だと強度が低く、 地中での可塑状ゲル保 持時間が長いため拡大しやすく、 又改良された地盤も均等な強度になり密度が上昇した周 辺地盤と一体化して耐震性にすぐれる。 .
さらに、 本発明はシリカ系粉状体と、 硬化発現材としてセメント、 石灰、 石膏、 スラ グ、 のいずれか又は複数の一群と、 水からなる硬性懸濁液が、 可塑性を発現する時間を調 整するために硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等のアルミ二ゥム塩を含むことも できる。 この場合、 好ましくは硬化発現材比を 2重量%以上 5 0重量%未満、 水粉体比 2 0〜6 0重量。 /0およびアルミニウム比を 2 . 0重量%以下、 好ましくは 0 . 1〜 1 . 0重量% 、 A 1 2 0 3換算で 0 . 0 1〜 0 . 3 5重量%である配合グラウ 卜とする。 ここで、 アルミ二 ゥム比とはアルミ -ゥム材 (F + C ) X I 0 0である。 アルミニゥム材は重量を表す。
なお、 上記においてゲル化促進剤と してのアルミニウム塩や水ガラスは、 シリカ系粉 状体、 硬化発現材と混合してポンプで地盤に圧入しても良いし、 注入管中、 或は注入管の 近くで合流混合しても良いし、 或はシリ力系粉状体と硬化発現材とゲル化促進剤の混合液 を注入する過程で更にゲル化促進剤を合流混合して注入しても良い。
さらに本発明は、 硬化発現材として石膏、 又は石膏、 セメント、 石灰、 スラグ、 いず れか又は複数の一群 (G ) と、 水 (W) を混合する。 石膏比、 および石膏の混合物を 1〜 4 0重量。 /0、 好ましくは 1〜 2 0重量%、 水粉体比を 2 0〜 7 0重量%の配合グラウ トと する。 ここで、 石膏比、 石膏の混合物比とは G Z ( F + G ) X I 0 0であり、 また、 水粉 体比とは W (F + G ) X I 0 0である。 Gは重量を表す。
さらに本発明は、 粉粒素材の主材として非硬化性シリカ系粉状体、 焼却灰、 粘土、 土 砂のような現場発生土、 および珪砂の 1種又は複数種と、 硬化発現材としてセメン ト、 石 灰、 石膏、 スラグ、 のいずれか又は複数の一群と、 水を加えて混合する。 又、 本発明の地 盤注入材は発泡剤や起泡剤を加えて流動性をよく し、 或は軽量化をはかることが出来る。 上記において、 粘土としてベン卜ナイ 卜やさらに高分子系増粘剤すなわちポリ ビニルアル コールやカルボキシメチルセル口—ズ (C M C ) やメチルセルローズ等を添加することに より水に対する分散性を抑制し、 沈殿を少なく し、 ゥ:一力ピリティの改善効果或は保水材 として、 あるいは、 上記主材となる粉粒素材のバインダーとしての役をし、 擬似ゲル状に して流動性を保持しながら分散しにくい構造をもつ流動体を形成する。 この結果、 地盤中 における脱水を低减し、 塊状性の拡大を促進する。
本発明は静的可塑状ゲル圧入工法と.いうべき工法であって、 サンドコンパクションェ 法のように大きな機械で振動等を生じず、 又低スランプのモルタル圧入工法、 あるいは流 動性のないモルタルを特殊な装置で圧入する工法のように大きな設備を必要としない。 こ のため本発明工法は通常の注入孔法に.用いる簡便な装置を用いて静的にかつ騒音がなく、 作業場所の狭い領域でも簡単に施工出来るため、 きわめて公害のない作業性に優れた工法 といえる。 又曲線状にボーリングして設置出来る注入管を通して注入出来るので、 建造物 下の斜め注入、 '水平注入は勿論、 曲線と水平を組合せた建造物直下の耐震補強注入も出来 る。 以下に本発明の施工法について説明する。 ' ' 上述の本発明にかかる地盤注入材は地盤中に挿入した注入管を通して、 老朽トンネル の空隙充填、 シールド トンネルの裏込注入、 基礎の空隙充填、 護岸背部の空隙充填に適し ている事は勿論であるが、 更に地盤中に圧入し、 ±:粒子を周辺に押しやって塊状に固結し
ながら周辺土砂を押しやって地盤強化を図ったり、 同じ原理で沈下した建造物の復元注入 工法に適している。 このような可塑性注入材の注入に当たり、 初期注入圧力を低く して先 行注入物の脱水を図りながら注入圧力を段階的に高め、 あるいは注入と中断を繰り返して 間欠的に加圧しながら注入し、 これにより可塑性を呈するゲル化物の土粒子間浸透と地盤 の割裂による逸脱を防ぎながら土粒子を周辺に押し広げて地盤の密度を増大させながら固 結してもよい。
しかも、 この注入は複数の注入ポイン 卜からの同時注入方式、 別の注入ポイン 卜への 切り替え注入、 即ち図 2 ( b ) のような連続注入方式、 1つの注入ポイントから他の注入 ポィン 卜に移行して注入してから再び戻ってきて繰り返し注入するィンターバル注入方式 、 またはこれら方式の組み合わせで行われる。 - さらに、 本発明にかかる地盤注入材は複数の注入ポイン 卜から注入して注入ポイン 卜 間の地盤を拘束し、 注入管問の地盤密度を増大して地盤を固結することもできる。 このよ うな効果を期待出来るのは複数の注入管を 0 . 5 m以上 3 m以内の間隔で地盤に設置する のが望ましい。 これ以上だと密度上昇による圧入地盤全体の一体化した地盤改良効果が得 られず、 局部的な地盤改良となってしまう。 なお、 本発明注人材の地盤への注入に際し、 地盤が粘性土の場合、 .或は粘性土層を介在した地盤の場合、 地盤中に ドレーン材を設置し て地盤中に注入された可塑性注人材の脱水あるいは地盤の脱水を促進しながら注入を行え ばより効果的である。
上述の注入は例えば次の (a ) 、 (d ) に示す注入管を用いて行われる。
( a ) 先端部に削孔部又は吐出口がある注入管。
( b ) 軸方向に複数の吐出口を有する注入管。
( c ) 外管に少なく とも一つの袋体パッカを備えた注入管。
( d ) 管路に吐出口と透水材でおおわれた吸水口を設けた注入管。
軟弱地盤等の強度を大幅に向上させるために、 多量の可塑性ゲルを一度に過大の量を 地盤中に形成すると、 地盤表面に隆起が生じたり、 側方向に 也盤を破壊し、 逸脱して当該 地盤の強度が設定通りに向上しない事態が生じやすい。 このため本地盤注入材の特性を生 かし、 注入初期には低吐出量で注入し、 徐々に注入圧力を上げて所定の注入圧の範囲で圧 入しつづけて注入量の増大をはかるのが望ましい。 注入前の地盤の強度 (N値等) 注入深 度 (上載圧) 注入圧力、 注入量、 1 本当りの受け持ち面積から注入後の改良強度を把握出 ¾る。 或は更に地盤変位を加味すれば更に正確となる。 又注入中は流動性があり、 注入を 停止すると、 流動性が停止してゲル化或は加圧脱水して擬固状態が現出することから、 対 象注入土層に少量づっインターバル方式 (時間の間隔をあけて注入する) 'で反復注入して 凝固せしめ、 注入された地盤を破壊することなく圧密し、 排除された水分は周辺の土粒子 間に分散させ、 地盤側方に対する圧密と脱水を行い、 ゲル化物による固結怪を大きく し或 はこれらのグラウ トを一定のタイムラグ (時間差) をもって注入する事.も効果的である。
例えば縦方向の注入にあっては、 インターバル方式により回を重ねて注入を行い、 先 行して注入された地盤注入材に対し、 重ねて該地盤注入材を圧入して、 当該地盤を割裂す る事なく、 地盤注入材を反復的に圧入することにより、 当該地盤の侧方に対する圧密脱水 を行い、 地盤強化を行う。 或は、 当該地盤の所定エリアに所定数の削孔を-形成し、 各削孔 に対し、 地盤注入材を所定タイムラグを介し、 一か所で設計量を一挙に注入されないよう に、 設計注入量をいくつかに分割して注入する。 このようにして各削孔の可塑性グラウ 卜 を相互に所定タイムラグで各土層、 又は、 各ステージ毎にインタ一バル方式により注入す る。 先行して注入した可塑性グラウ 卜は周辺地盤を圧密し、 又は、 .自ら、 又は、 注入液が
脱水することをもって、 追い討ち的に重ね注入をすることにより、 当該所定数の多数の削 孔内に注入する地盤注入材が各削孔の地盤に対し土層又は各ステ --ジ毎に、 同様に側方に 圧密脱水作用を行い、 強度をアップし、 全体的に変位を抑制し、 当該所定ェリァの地盤の 強度を増強する。
例えば所定深度まで先端に吐出口のある注入管を挿入し、 注入管の引き上げステップ を非可塑状ゲルになる前の可塑状ゲルの範 I 内に吐出口が位置するようにステップアッブ しながら可塑状ゲルの塊状体を拡大せしめて圧入する。 更には、 削孔に揷入する注入管に 袋体を地表面近くの領域にセッ 卜し、 内部に懸濁型グラウ 卜を圧入して袋を周辺に膨張さ せて周辺地盤を圧密することにより、 地表面に可塑性注入材を逸脱する事なく地表面を改 良する。 かつ該袋体より下方から本地盤注入材を圧入する事により、 該袋体硬化体に対す る可塑性ゲルの乗り越えがなく、 該袋体による拘束効果により地盤の隆起等の変位がなく 、 地盤脱水作用による強度が全体に及び、 強度向上が全領域的に図れるようにする事が出 来る。
この場合、 袋体の設置領域は地表面に近い深度、 例えば 3 m範囲 (特に 1 . 5 m範囲 ) 内にあるようにするのが好ましい。 なぜならこの領域は可塑状ゲルといえども地表面に 逸脱しゃすいからである。 又、 同じ理由でこの地表面に近い領域には注入孔を密に設置す るこどにより地表面の圧縮の均等化を図り、 かつ地表面隆起を防ぐ事が出来る。 なぜなら ば地表面に近い深度、 例えば 3 m以内 (特に 1 . 5 m以内) の領域では一本の注入孔から 多量の注入を行うと土被りが少ないために地表面に逸脱しやすく、 かつ地盤隆起を起こし やすいからである。 従って、 この領域は注入孔を深度の大きい領域よりも密にして一本当 りの注入量を少なくする事によって地表面付近を均等に強化出来る。 又、 地表面の地盤改 良は上載圧が少ないために地盤隆起を起こしゃすく、 地盤隆起は地表面数 m怪に及ぶ。
従って、 注入する注入孔を隣接する注入孔へ移行するのではなく地盤隆起の影響範囲. 外の注入孔に移行して注入し、 地盤隆起が治まった時点で隣接する注入孔の注入を行うの が望ましい。 又、 地表面に近い領域においては上部から下方に注入ステップを移行して本 地盤注入材を圧入して地表面付近の地盤を圧縮してから改良地盤の最下部まで注入管を挿 入し、 下部から上方に注入ステップを移行して注入することにより地表面の地盤隆起を低 減して、 或は上部の拘束効果によりそれより下の確実な改良が可能になる。
更に、 本発明の注入において、 土中水分が排除されるように、 排水用のドレーン材を 併設し、 間欠的 (時間をあけて注入する) な排水効果 (注入を中断している間に脱水する ) による地盤の側方圧密脱水効果を促進させ、 或は可塑性注入材の脱水を促進する事が出 来る (この ドレーン材の適用は粘性土層の地盤強化に適している) 。 或は排水管を設置し て地下水を排除し、 当該圧密による速度を向上させるようにする。 なお注入管側面に吸水 口を設ける。 これにより、 吐出口から注入材を圧入しながら吸水口から注入材の過剰水や 土中水を注入圧で吸い上げ、 ドレーン効果を可能にする。
更に地盤の隆起等の変化を計測するために、 レーザー等のセンサーにより、 リアルタ ィムで当該変化を測定して地盤の圧縮量を把握する。 或は、 当該変化が設計的に異常を生 じた時には、 即応的に可塑性グラウ 卜の注入を調整したり、 或は、 注入装置の制御装置を 介し、 注入量や注入深度の変更を行い、 或は注入液の比重や注入量やインターバル時間等 を自動的に切り換え的に調整して、 所定変位を超えないうちに他のステージに移行する。 これにより設計通りの圧密脱水による地盤強度の向上を確実に行う。 上記地盤の変位測定 は地表面における地盤隆起の測定の他、 ス 卜レンゲージを張った計測棒を地盤中にセッ ト して測定方向への地盤の部位の変化を知ることが出来、 又、 地盤中に間隙水圧計を設けて 、 圧密脱水状況を把握することが出来る。
図 1は注入配置を示す。 この発明は、 本地盤注入材を注入管力 3ら軟弱地盤に低速で圧 入すると、 注入圧力を加えている問は流動性を呈する可塑性ゲルが塊状ゲルの範囲を拡げ るが、 地盤中の注入材の先進部では注入圧力による周辺土粒子への脱水によってグラウ 卜 の含水量が低減して流動性が失われ可塑状ゲルから非可塑性ゲルになる。 このようにして 注入孔の間の土の密度が増大して地盤の強度が増加し、 地盤を強化する。 注入孔間隔は上 質や目標改良度や土かぶりの大きさに応じ 0 . 5〜 3 . 0 mが有効である。
次に、 本発明を図 2に従って説明すれば 下の通りである。 この場合の注入は図 2 ( a ) のようにロッ ド注入管を用いて下から上、 又は上から下に順次注入する。 或は二重管 ダブルパッ力注入外管を設置し内管から複数の吐出口を経て注入してもよし、。
図 ( b ) の実施形態はィンターバル方式の基本的実施例を示すものであり、 所定の 軟弱地盤 3、 所定ピッチで横方向に削孔 4を所定深度に形成し、 注入管 9を削孔 4に挿入 し、 地上の注入装置から懸濁型の可塑性ダラゥ 卜を所定のタイムラグでィンタ一バル方式 により注入管 9の所定ステージに注入する。 又、 所定ステップアップ、 或はステップダゥ ンを介し、 反復して、 注入を地盤 3のゾーンごとに反復して追い討ち式に行う。 この場合 、 注入管は注入管ロッ ドを用いてもよいし、 注入外管内に注入内管を揷入して注入ステ一 ジを移向して注入してもよい。
この—場合、 各.サイクルに於ける注入は注入初期にあっては逸脱しないように低圧で注 入し、 地盤 3内の排水を行いながら、 或は注入液の脱水を行いながら注入し、 所定タイミ ングの後、 圧送を停止すると、 前述の如く流動性を失って経時的に固化し、 後注入する地 盤注入材は先行して形成されている可塑状ゲルを内側から側方向に押しゃり、 上側の地上 方向には逸脱せず、 追い討ち的に横方向に重なる方式で注入され、 側方地盤の圧密脱水を 図る。 このとき、 注入領域の外側の脱水が図られて可塑状ゲルの硬化物による硬化帯が形 成され、 後注入の地盤注入材による可塑状ゲル化物が重なって大きな塊に増大していく。
この場合、 地盤 3の所定エリアに対し、 削孔を横方向所定間隔で形成し、 各削孔に対 し、 別個に注入管 9を掙入し、 所定タイムラグでバルブ 5、 ポンプ pを介し而して注入装 置に接続する。 そして、 地盤注入材をコント口.一ラー 6により所定のプログラムを介して 、 横方向に並列的に形成された削孔 4に対し、 所定タイムラグで、 インタ一バル方式によ り注入して地盤の相隣る削孔 4の側方地盤の全領域的な圧密脱水を行って、 結果的に全領 ナ或的な地盤の強度の向上を図る。
すなわち、 改良地盤は注入孔を介し所定の領域に一度に多量の地盤注入材を圧入する と周辺土が充分な範囲を圧密する前に破壊したり、 地盤隆起したり してしまう。 しかし、 全注入量を分割してィンターパルで圧入すると、 注入の中断により.流動が停止してその位 置に保持される。 そしてその周辺には順次塊状可塑性ゲルによる固結体が成長し、 柱状固 結体にはさまれた密度の増加した複合地盤となる。
もちろん、 当該態様にあっては,、 所定のインターバル方式をとることにより、 所定タ ィミングで全削孔 4を一巡した後は、 初期の削孔 4に戻ることが可能であり、 該管のィン ターバルの地盤注入材の注入において、 形成された可塑状ゲルの塊状体は固化し、 地盤 3 に対する圧密状態を維持する。 即ち、 注入孔を介し、 所定の領域に一度に多量の地盤注入 材を圧入すると、 周辺土が充分の範囲を圧密する前に破壊してしまう。 しかし、 全注入量 を分割してィンターバルで圧入すると、 可塑性であるがため注入の中断により流動が停止 し、 その位置に保持され、 順次塊状可塑性ゲルによる固結体の大きさが成長し、 柱状固結 体とその柱状固結体にはさまれた密度の増加した領域の複合地盤となる。
このため、 注入圧力は地盤隆起に作用するより も側方向への圧密作用が生ずる。
なお、. 削孔 4の軸方向上方向には所定タイムラグで注入する可塑状ゲルの機能により
、 変位が垂直方向よりも水平方向に起こり易く、 従って、 地盤 3の上方への隆起は避けら れる。
図 2 ( c ) は引張強度を有する注入管を有する注入管 9 (或は、 注入管に引張材を抱 き合わせた補強材でもよい) を地盤に設置して可塑性グラウ 卜を圧入した場合の地盤の強 化モデルを図示する。 図 2 ( c ) に示す様に、 地盤を削孔して注入管 9を埋設して所定の 位置で可塑性注入材を圧入し、 周辺地盤に固結体形成することにより 、 周辺の土が圧縮し て固結による大きな土中アンカーが形成される。 該土中アンカーによって引張強度を有す る注入管 9が地盤に定着される。 この状態だけでも地盤が変位しょう と、 引張体に伸びが 生じ地盤に引張強度が付与される。
なお、 図 2 ( a ) , ( b ) において注入外管から注入内管を通して注入する場合、 軸 方向に複数の吐出口を有する注入外管には吐出口にゴムスリーブをかぶせて逆止弁の役を する。 この注入外管内にシングルパッ力或はダブルパッ力を有する注入內管を揷入して最 下部の外管吐出口から本地盤注入材を圧入し、 上方へステップァップし圧入して地盤強化 を行う。
この場合注入外管の設置のためのボーリ ング作業と注入作業は別々に行うことが出来 る。 又、 注入外管内を再ボーリ ングして再注入することも出来る丄、 注入深度毎に確実な 注入が出来、 かつ注入外管の引張力を地盤に付与でき、 杭効果をうることも出来る。
また、 本発明注人材と溶液型注入材を併用する事によつて砂質土と粘性土の互層から なる地盤を改良することが出来る。 粘性土は溶液型ダラゥ 卜による浸透注入が不可能なた め、 従来ゲル強度の大きい懸濁型グラウ 卜の脈状注入が行われてたが、 所定範囲に注入す る事が不可能なためその効果は不確実だった。 しかるに、 上記注入管を用いて浸透不能な 土層に可塑状グラウ トによる圧密注入を行うと、 浸透注入不可能な土層は溶液型グラウ 卜 で改良する事が可能になる。 例えば溶液型グラゥ トを注入した上で本地盤注入材を圧入す れば全体の地盤改良が可能になる。 '
而して、 上述の如く、 この出願の発明においては、 各削孔 4に注入された本地盤注入 材は地盤 3の側方の加圧脱水作用を行って上方への逸脱は阻止される。 従って、 地盤の隆 起等は生じ難いが、 地盤表面の隆起や各相隣る削孔相互間の変形量を測定するために図 3 に示すようにレベルセンサ一によるレベル検出方式を用いる。 図 3に示すようにレーザー ビーム発生装置 1 1に対し、 地上部の地表面或は建造物注入の影響をうける位置に設けた レーザー受信装置.1 2を介し、 レーザービームセンサー 1 5を設ける。
そして、 受信装置およびコンピューター 1 7を介し、 適宜注入制御装置 1 8により 、 図に示す様に注入管 9に対する注入ステージの移向、 本地盤注入材の注入の注入量ゃィ ンタ一バル時間や比重等を調整的に制御するようにする。 このとき.レーザ一ビーム装置 1 1から発生するレーザービームが精密に作製されたレ一ザ一ビームセンサー 1. 5に対し、 受信装置 1 2が上下に変位し、 地盤 3の隆起等が正確に検出される。 そして、 コンビユー ター 1 7を介し、 '図示しない注入制御装置を発停し、 間欠的に注入する本地盤注人材の側 方地盤の圧密脱水に最適なタイミングと量で注入を行い、 地盤の隆起等を測定しながら、 注入の中止、 注入量の調整、 他の注入地点への移向等最適に注入を行う。
なお、 当該図 3に示す様に、 注入の圧密体の側方変位や地盤の隆起等の計測検知はレ 一ザ一光線を用い、 又、 光学的に検知する為に、 m m単位の精密な計測が必要である。
従って、 当該削孔 4の変位や地盤 3の隆起は広範囲に亘つて精密な計測が可能であり 、 地盤 3の変位等の微少な変位を正確に検出して設計通りの地盤 3の強度向上が行える。
而して、 上述実施例において、 側方地盤 3に対する圧密脱水作用を介し、 地盤 3の強 度を向上することが基本的には可能であるが、 地盤注入材の地盤 3に対する注入部位に地
盤 3中の水分が他方に逸走して他の地盤 3部分の流動性を高めたりする虞れがあるが為に 、 液状化現象等の潜在的な原因.を除くべく、 本地盤注入材の注入に伴って排除される地盤 3中の水分を強制的に排出するべくぺ一パ一ドレーンやサン ドドレーン等のドレ一ン材. ( 排水性や土性の異なる地層を貫通して) を併設し、 圧密作用と脱水作用を両方に亘つて積 極的に行うことが出来る。
図 4は改良すべき地盤に屈曲して、 また屈曲と直線を任意に組み合わせポーリングし 、 或はたて杭から建造物の基礎下に水平ボーリングして得られたボーリング孔中に、 複数 の外管吐出口を有する外管を設置し、 この外管内に、 内管を移動自在に挿入し、 これによ り内管と出口から外管吐出口を経て本地盤注入材を地盤中に注入するようにした態様を示 すものであり、 これにより地盤注入を施し難い既設構造物下方の支持地盤を急速かつ確実 に、 かつ経済的に地盤注入し、 地盤沈下や、 地震時における地盤の液状化を未然に防止す る事が出来る。
囪 4 ( a ) は構造物直下の改良すべき地盤処理の基本模式図である。 図 4 ( a ) に 示されるように、 ビル、 廃棄物処理場、 溜め池、 貯水池等、 移動不可能な構造物の直下の 改良すべき地盤の近傍地表面から地盤中に屈曲して、 または屈曲と直線を組み合わせて、 ボーリング孔を形成する。 次にこのボーリング孔中に設けた.注入管から可塑性注入材を圧 入する。
図 4 ( b ) は構造物下方の地盤注入例であり、 構造物下方の深さ方向に複数層積層 して処理することも出来る。
次に、 本発明の他の実施例の態搽を図 5に示す。 図 5 ( a ) は地盤中にケーシング等 管体を設けた上で鉄筋等の引張材を挿入し、 地盤注入材に圧入しながらケーシングを引き 抜き、 地盤中に塊状固結体を形成し、 周辺地盤を圧縮して強化するのみならず、 圧縮杭又 は引張杭としての効果もある杭体との複合的地盤強化を図る態様であり、 図 5 ( b ) は可 塑性注入材の圧入による杭基礎の地盤の強化モデルであり、 図 5 ( c ) は土留め壁におけ る可塑性注入材によるアンカ一形成の態様を示す。 図 5 ( b ) 図 5 ( c ) とも図 5 ( a ) の手法を用いてもよいし、 引張力を有する外管を用いて内管から注入する事により外管の 引張材としての効果を付与してもよい。 ·
• 本発明の注入管理方法と してば、 地盤注人材の配合から注入材送液系統を通しで地 盤中の複数の注入ポイン卜に注入するまでの注入状況を画面表示し、 一括監視を行って注 入管理を行う。
図 6は、 本発明の実施に供される注入管理方法の一具体例を示すフローシー トであ つて、 集中管理装置 X 1により注入状況の一括監視、 管理を行い、 常にその状況が注入監 視盤 X 2に画面表示される。
図 7に集中管理装置 X 1の操作フローチヤ一卜を示しながら、 図 6について説明する 。 まず注入目的、 注入条件に応じて注入仕様ファイルを集中管理システム X 1に予め設定 しておき (システ 'ム仕様設定登録) 、 次-いで集中管理装置 X 1.の開始スィッチを O Nにし てデータ記録を開始する。 このとき、 注入監視盤 X 2にもランプで O N表示がなされてお り、 注入データを画面に表示される。 なお、 ここで云う注入仕様ファイルとは材料の配合 量、 グラウ 卜の流動規定値 (適正流動範囲) 、 また圧力規定値 (適正圧力範囲) 、 規定注 入量 (適正積算注入量範囲) 、 すなわち、 所望のグラウ 卜の流動特性、 注入圧力、 流量 ( 単位時間当たり流量および Zまたは積算流量) 等である。 又、 上記において地盤隆起の適 正範囲を加えても良い。
集中管理装置 X 1の指示により、 水、 粉粒素材が、 それぞれ計量器 2 3を備えた水タ ンク 4、 およぴ粉粒素材を貯蔵するホッパ 2 5からミキサー 2 7へ定量供給され、 攪拌混
合される。 またこの時点でゲル化促進剤を添加する場合は、 ゲル化促進剤を貯蔵するホッ パ 2 6より計量器 2 3を介して添加される。
ミキサー 2 7内で充分に混合されたグラウ 卜はミキサ一 2 7に取り付けられた或は別 に備えられた流動特性計測装置 2 8により流動測定が行われ、 結果は集中管理装置 X 1を 介して注入監視盤に表示される., ここで示す流動特性とはグラウ 卜のフロー、 或はスラン プ ゲルタイム、 或は粘度、 或はせん断強度 (コーンによる貫入測定等が用いられる) 等 により判断されるものである。 所定の流動性が得られノると配合完了となり、 グラウ 卜はミ キサー 2 7より導管 2 9を介して、 さらにグラウ トポンプ 3 0へと送液される。 また所定 の流動性が得られていない場合、 集中管理装置 X 1 の指示により再度、 材料 (水、 或は粉 粒素材'; 或はゲル化促進剤) の添加が行なわれ、 これは所定の流動特性が得られるまで繰 り返される。
ここではミキサー 2 7内から直接グラウ 卜を取り出すことも可能であり、 流動特性計 測装置 2 8および集中管理装置 X 1を介さなくても、 実際に手動で流動性を確認すること も出来る。 ,
グラウ 卜ポンプ 3 0へと送られグラウ 卜は注入過程へと移向する。 集中管理装置 X 1 からの指示により、 バルブ 5が開けられ、 グラウ 卜ポンプ 3 0は所望の圧力でグラウ 卜を 加圧する。 加圧されたグラウ 卜は、 導管 2 9 '、.注入ホース 3 1、 注入管 9を介して地盤 3に注入、 圧入される。
導管 2 9 'には、 圧力計 p。、.流量計 ί 。が取り付けられ、 測定された注入圧力、 流 量 (単位時間当たり流量および または積算流量) は流量圧力制御装置 3 2に送信される とともに、 集中管理装置 X 1により管理される。
注入圧力および流量が、 予め設定された圧力規定値 (適正圧力範囲) 、 規定注入量 ( 適正積算注入量範囲) でない場合、 或は地盤隆起量が適正範囲より大きくなつた場合、 注 入は中断される力 、 もしくは集中管理装置により調整、 および制御の指示が送信される。 また常時データは注入監視盤に画面表示されるので注入状況に応じて、 注入条件の変更が 可能であり、 または注入緊急停止が行える。
なお、 流量計 f 。としては、 回転流量計、 電磁流量計等、 任意の流量計を使用でき 、 パルスで出力ざれた電気信号の流量は流量圧力制御装置 3 2を介して集中管理装置 X 1 に入力され、 カウン 卜される。 流量計 f 。およびノまたは圧力計 p。からの情報に基づく 集中管理装置 X Γからの指示によりダラゥ 卜ポンプ 3 0の回転数を調整して毎分流量や注 入圧力を制御する。
また、 集中管理装置 X Iにより、 インバークによってポンプの回転数を調節して流 量を制御する。 .
グラウ 卜ポンプ 3 0はィンバータ又は無断変速機を有するポンプ、 或はリターン装置 を有するポンプであってもよい。 ィンバ一タゃ無断変速機は集中管理装置 X 1の指示を受 けなくても、 直 ^流量を調整して所定の圧力値にセッ 卜することもできる。 またリターン 装置も直接調整して導管 2 9 'の圧力が所望の圧力を保つようにリターンさせることも可 能である。 なお、 上述の調整は手動で行ってもよい。
またグラウ 卜ポンプ 3 0に代えて、 コンプレッサを用いることも出来る。 ミキサー 7 からグラウ 卜をまず、 加圧容器を設けて、 これに充填し、 次いでコンプレッサの作動によ り加圧容器中のグラゥ 卜を加圧して加圧注入グラゥ 卜とする。
注入管 9にはバルブ 5が取り付けられ、 このバルブ 5は集中管理装置 X 1からの電気 信号によって自動的に開閉される。 複数本の注入管 9を用いて、 地盤 3中の複数の注入ポ イン 卜 2 2からの同時注入、 連続注入、 インターバル注入、 またはこれらを組み合せて注
入を行なう。 またバルブ 5は注入が完了した時点で手動により閉束することも出来る。 全ての注入が完了の後、 I中管理装置 X 1の開始スィ ツチを O F Fにすることに.よ り集中管理装置 X 1によるデータの記録が終了する。
配合から注入までのデータを集中管理装置 X 1に送信し、 注入監視盤 X 2に画面表 示することにより注入状況の一括監視を行なって、 ダラゥ 卜の流動特性、 送液系統の注入 圧力、 流量を所定の範囲に維持しながら注入するとともに、 注入の完了、 中止、 継続、 ま た再注入を行なう。
また集中管理装置 X 1の指示により 自動開閉されるゲル化促進材の分岐バルブ 3 4を 設置することにより、 ゲル化促進剤の配合時を管理する。 予めシステム仕様設定にゲル化 促進剤の添加時を登録し、 ミキサー 2 7内での混合、 グラウ 卜ポンプ 3 0への送液前の添 加、 およびゲル化促進剤ポンプ 3 5を介することでグラウ 卜ポンプ 3 びから圧送されたグ ラゥ 卜にゲル化促進剤を添加することも可能である。
本発明に使用される注入工法は図 7において、 流動特性計測装置 2 8、 流量圧力制 御装置 3 2や地盤 (或は構造物) 変位計測器或は更に自動開閉可能なバルブ 5を設け、 こ れを集中管理装置 X 1に接続し、 かつデータを注入監視盤 X 2に画面表示したことに特徴 を有する。 注入監視盤 X 2には注入年月 日、 注入時間等の 「時データ」 、 材料の配合量、 グラウ 卜性状等の 「グラウ 卜データ」 、 注入ブロック No.、 注入孔の孔番、 注入ポイ ン.卜 等の 「場所データ」 、 注入圧力、 流量 (単位時間流量や積算流量) 等の 「注入データ」 が 表示される。 その他、 注入液識別データや地盤 (或は構造物) 変位データを表示すること も出来る。
図 9に例えば 1 0本の送液系統を有する注入をおこなった際の送液系統のデータ (流 量、 圧力、 積算流量、 最大圧力の合計 4 0データ) を注入監視盤 X 2上に一つの画面で表 示した画面を示す。 図 9の画面を詳述すると、 以下のとおりである。
上半分の 2画面 :
グループ 1 : .1号〜 5号の積算流量、 最大圧力デジタル表示
グループ 2 : 6号〜 1 0号の積算流量、 最大圧力デジタル表示
積算流量は 2 0分間の注入量である。 また最大圧力は 3 0秒毎に表示され、 1 9分 3 0秒 から 2 0.分までの間の最大値を-表示した。 最大圧力が設定圧力以上になり続けたら、 その 送液系統の注入は終了することの判断になる。 また、 積算流量が設定積算流量に達した場 合も、 この送液系統の注入は終了することの判断になる。
下半'分の 2画面 :
グループ 3 : 1号〜 5号の流量、 圧力 ト レン ド表示
グループ 4 : 6号〜 1 0号の流量、 圧力 トレン ド表示
2画面のそれぞれの左側は各送液系統における時間 ( t ) の経過に対応した瞬時流量と瞬 時圧力のチヤ一卜を示し、 右側は 1 9分 3 0秒から 2 0分までの平均瞬時流量 ( I ノ分) と平均瞬時圧力 (M P a ) を示す。
このようにして、 図 8の画面に示されるように、 注入監視盤 X 2には送液系統 No. l 〜 1 0の送液状態が同時に表示されるが、 一つの送液系統毎に画面を切り換えながら表示 することもできる。 なお、 流量圧力制御装置 3 2における設定圧力、 実際圧力、 送液流量 、 積算送液流量を同一画面または別の画面に表示してもよい。 これにより、 圧力、 流量と の関係をリアルタイムで把握でき、 注入を所定の設定範囲内に納まるように管理できる。 また、 図 8において最大圧力の代わりに、 圧力や流量を表示してもよい。 さらに、 集中管 理装置 X 1は注入仕様ファイル、 注入結果一覧表、 注入チヤ一卜、 日計表、 週計表、 月計 表等の帳票作成ならびに解析データの作成をも行うことができる。
注入仕様ファイルは集中管理装置 X 1の動作設定ファイルであり、 注入液送液系統の 注入完了条件の規定圧力値、 規定注入量の設定を行う。 各帳票ファイルは登録された流量
、 圧力、 積算流量あるいは最大 H;力の各データと、 孔番等の手動入力、 または自動入力に よるデータとから変換作成される さらに解析データは各帳票から変換作成される。 ― 図 8の注入監視盤 X 2の画面において、 各送液系統の 1本毎に一枚ずつ、 例えば図 9に示される注入孔における注入ポイ ン 卜毎に、 ブ口 ック N o .、 注入孔 N o .及びステー ジ N o .とともに、 圧力、 流量、 チヤ一卜を表示することもできる。
さらに、 これらのデータから注入孔毎に、 例えば、 図 9のブロック N o . 1、 注入 孔 No.3について表示すれば、 図 1 0に示されるよ'うに、 各ステージ毎に、 時間 tに対す る注入圧力 P、 流量 Q、 および積算流量を表示することもできる。 又、 これちを図 1 1に 示すように三次元的に表示する事によって、 各ステージでの N 値と土被り圧から想定し た許容注入圧力、 範囲、 目標 N 値から想定した許容注入量を基準に設定した。 各注入ス テ一ジにおける注入量から注入前の N値のデータから注入後の目的 N値に対応した地盤 改良効果の亍測がリ アルタイムで可能になる。
このよ うにして、 加圧注入グラウ 卜の所定設定の流量ないしは設定圧力をもって、 或 は限界範囲内の流量ないしは圧力をもって、 送液圧入する。 この結果、 確实にかつ改良効 果の予測迄可能になる。 又、 上記の設定圧力、.設定注入量は試験注入のデータを加味して 補正する事が出来る。 . 以下、 本発明を実施例に基づき具体的に記述するが、 本発明はこれら実施例によつ て限定されるものではない。 ' 使用材料
( 1. ) フライアッシュ
火力発電所より排出される石炭灰 : F A、 シリ カ系非硬化性粉状体
密度 1.9〜 2.3 g/c ηι3、 粒度分布 0.1 mm以下が 9 0 %以上
( 2 ) セメ ン ト
普通ポル卜ランドセメント : P C、 硬化発現材
( 3 ) 硫酸バンド
酸アルミ ニウム、 A 1 203 = 1 7.2 %、 ゲル化促進剤
(4 ) 水ガラス
JLS3号水ガラス、 S i O2= 2 9.0 %、 N a 20= 9.0 %. モル比 3.3、 ゲル化促進剤
( 5 ) 消石灰 - 工業用水酸化カルシウム、 ゲル化促進剤および硬化発現材
( 6 ) スラグ
スラグ 8000ブレーン値、 硬化発現材ぉよびシリカ系非硬化性粉状体
( 7 ) 石膏 '
半水石膏、 硬化発現材
(8 ) 焼却灰
ごみ焼却炉より排出される焼却灰、 シリカ系非硬化性粉状体
密度 2.5〜 2.7 g / c m 3
、( 9 ) ベン 卜ナイ 卜
保水材および增粘材
( 1 0) 起泡剤
事前発泡型エア発生剤
( 1 1 ) アルミニウム粉末
事後発泡型エア発生剤
配合例 1〜 3
フライアッシュ、 セメン ト、 水を練り混ぜる。 フライアッシュ ,とセメン トの配合量は同様 にして水の配合量のみを変化させた。 このようにして得られた配合例 1〜 3の地盤注入材 の調整条件および物性値を下記の表 1に示す。
表 1
表 1 において、 ゲル化時間とは配合後可塑性ゲルを呈するまでの時間を云い、 テープ ルフローがほぼ 2 0 c mとなった時点をゲル化時間とする。 又、 可塑性保持時間とは静止 しておけばゲル状を保持するが、 力を加えると流動する状態を呈している時間を云う。 配合例 4〜 6
フライアッシュ、 セメ ン ト、 水を練り混ぜる 。 水の配合量は同様にしてフライアツシ ゴとセメ ン トの配合量を変化させた。 このよう iこして得られた配合例 4〜 6の地盤注入材 の調整条件および物性値を下記の表 2に示す。 表 2
表 2 より、 硬化発現材比が大きくなるとブリージング率が大きくなり、 可塑状保持時 間が短くなって、 初期粘性も高くなり、 脱水によって急速に水粉体比が低下し脈状に割裂
注入されやすい。 よって、 硬化発現^ )·比は 5 0 %より少なく、 好ましくは 1 〜 2 0 %、 さ らに好ましくは 1 〜 1 5 %、 最も好ましくは 1 〜 1 0 %が適している。 なお本発明におい て、 ポル卜ラン ドやセメン トでなくても高炉セメン ト、 アルミナセメン ト、 早強セメン ト 、 スラグセメン ト、 その他任意のセメントを用いる事が出来る.。 '
配合例 7 ' 8
表 1の配合例 1 , 2に硫酸バンドを添加し、 ゲル化を促進させた。 ここでゲル化を促 進するとは配合後可塑性を呈するまでの時間を短縮し、 或はフローを小さくすることを云 う。 このようにして得られた配合例 7 , 8の地盤注'入材の調整条件および物性値を下記の 表 3に示す。 表 3
注) 表中 Xは測定不能を示す。
表 3より、 硫酸バンドを添加することで、 ゲルタイムが短縮されるが、 可塑状保持時 間はそれ程短縮されず、 またブリージング率も減少し、 可塑状グラウ 卜としての作業性が 向上できると考えられる。 ただし、 硫酸バン ドには強度発現を低下させる性質があるため 粉体に対して添加量は 2 . 0 %以内、 好ましくは 1 . 0 %以内を用いる。
〔可塑性グラゥ トとしての要因と条件〕
( 1 ) 硬化発現材比
グラウ 卜に含まれる粉体、 つまりフライアッシュと、 フライアッシュの含有量に対す る'セメン トの含有量: セメン ト (硬化発現材) 重量 {フライアッシュ (シリカ系非硬化 性粉状体) 重量 +セメント (硬化発現材) 重量 } X I 0 0 [ % ]
セメントは硬化発現材であり、 かつフライアッシュの可塑材という事も出来る。 フライア ッシュはセメン卜と混合することによりポゾラン反応を起こし固結強度を得る。 しかし硬 化発現材比を大きくすることにつれ、 可塑状グラウ 卜としての特性が低下する。 即ち、 沈 殿してブリージングが大きくなり沈殿したものは流動しにく く、 可塑状ゲルになりにくい ため、 硬化発現材比は 5 0 %未満とするが、 その好ましい範囲は硫酸バンド (ゲル化促進 剤) 添加しない場合 1 〜 2 0 %、 好ましくは 1 〜 1 5 %、 さらに好ましくは 1 〜 1 0 %で ある。 また硫酸バンドを添加する場合は 2 〜 4 Ό %、 好ましくは 2〜 2 0 %である。
( 2 ) 水粉体比 + - グラウ 卜中の粉体に対する水の含有量: 水重量 {ブライアッシュ (シリカ系非硬化 性粉状体) 重量 +セメン ト (硬化発現-材) 重量 } X I 0 0 [%]
この値が小さいと可塑状になりやすい。 即ち配合後可塑状ゲルになる時間が短くなり、 か つフロー値が小さくなる。 しかし水粉体^が小さすぎると作業性を損なうため、 その範囲
は 2 0〜 2 0 0 %、 好ましくは 2 0〜 1 0 0 %、 更に好ましくは 2 0〜 5 0 % (重量比) とする。 しかし水ガラスを促進剤と して用いる場合は、 水粉体比は大きく とることができ る。 その他、 混合条件、 環境、 また材料により、 グラウ 卜の性状は'異なってくるため、 後 に示すブリージング率、 フ口一値、 強度の測定が重要となる。
( 3 ) 硫酸バンド添加量
ダラゥ 卜中の粉体に対する硫酸バンドの添加量: 硫酸バンド重量ノ {フライアッシュ (シリカ系非硬化性粉状体) 重量 +セメン ト (硬化発現材) 重量 } X ] 0 0 [%] 硫酸バンドはゲル化促進剤であり、 フライアッシュとセメン トの流動性ある状態の中に添 加すると、 ゲル化を促進.させ、 可塑状ゲルになる時間を早める。 ただし、 硫酸バンドには 固結強度を低下させる作用もあるので、 その添加量は 2 . 0 %以下、 好ましくは 0 . 1〜 1 . 0 %とする。
( ) ゲルタイム
ここでは一般的な水ガラス系グラウ 卜にみられるような固化状となる化学的ゲル化を 意味するのではなく、 配合後、 自重による流動性がなくなり、 力を加えると流動する可塑 状ゲルとなるまでの物理的ゲル化時間をゲルタイムと表現する。 一般の水ガラスを主材と するグラウ トと違って、 明確なゲル化時間を示すことはできない。 よってフロ一値を用い てその値が 2 0 c m以下になった時をゲル化とみなし、 これをゲルタィムとした。
( 5 ) 可塑状保持時間
ァスフアル卜針入度試験方法 JiS K 2530- 1961に準じて総質量 2 3 0 g、 先端角 度 1 5度、 3 6 mm の貫入コーンを用いて静的貫入抵抗を測定し、 貫入抵抗値が 0 . 0 1 M Nノ ni 2を超えた時非可塑状ゲルとなって固結または硬化とみなし、 ゲル化から固結に 至るまでの時間を可塑状保持時間とした。
( 6 ) ブリージング率■
配合後、 グラウ トを充分に混合させ、 次いで、 2 0 0 m 1 メスシリンダにグラウ 卜を 入れて静止密閉し、 1時間経過後にブリージング水量 (上ずみ液) を測定し、 次式よりブ リージング率を求める。 (ブリージング水量 Zメスシリンダ容量) X ] 0 0 [%] ここでは 1 時間経過後のブリージング率を示す。 1時間経過後のブリージング率が 1 0 %以上の配合では、 注入液が分離しやすく脈状または亀裂状に注入されやすい。 その後、 .時間が経過すると更にブリージング率が増大する。 従って 1 時間経過のブリージング率 は 1 0 %以下、 好ましくは 5 %以内の配合が好ましい。 図 1 2に、 表 1, 3における硫酸 バン ドの有無による水粉体比とブリージング率の関係を示す。
( 7 ) フロ一値
フロー試験 (J.|:S R 5201 テーブルフロー) に基づき、 グラウ 卜に 1 5秒間に 1 5 回の落下運動を与え、 その広がりを測定した。 可塑状グラウ 卜としては約 1 8〜 1 9 c m が適しているとされているが、 本発明ではフ口一値が 2 0 c m以下になる時点で自重によ る流動性がなくなつたものとして、 ゲルタイムとした。 本発明における流動性注入材は地 盤中に注入して加圧脱水によって水粉体比が低下してテ一ブルフローが 2 0 c m以下に至 る配合が用いられる。 またシリンダーによるフローは、 高さ 8 c m、 直径 8 c mの円筒に グラウ 卜を詰め、 円筒を取り除いたときのグラウ 卜の広がりを測定するものである。 上述 のテーブルフローより も簡易に測定できるため現場などで用いられることが多いが、 簡易 であるため人為的な誤差が生じる可能性がある。 図 1 5に、 テーブルフローとシリンダ一 によるフローのおおよその関係を示す。
このような配合では、 水粉体比が大きな配合でも脱水によって地盤中で水粉体比が 2 0 %以下になり、 可塑状ゲルから非可塑状ゲルを経て固化する。
(8) 初期粘性
B形粘度形を用いて配合直後の配合液の粘度を計測した。 混合直後は流動性があるた め計測できたが、 ゲル化すると lOOOOOcps 以上となり、 測定不可となる。 図 1 3に、 表 1 , 3における硫酸バンドの有無による水粉体比と一軸圧縮強度の関係を示す。
(9) 一軸圧縮強度
配合後、 充分に混合したグラウ 卜を直径 5 c m、 高さ 1 0 c mのモールドにつめ、 静 止した状態で 1 日養生し、 一軸圧縮強度を測定した。 図 1 4に、 表 1 , 3における硫酸 バンドの有無による水粉体比と一軸圧縮強度の関係を示す。
図 1 4によると、 硫酸バンドの添加により強度が低下している。 また水粉体比が多い と固結するまでの時間が長くなるため、 水粉体比が小さいものよりも強度発現が遅くなる 酉己合例 9〜 1 1
水ガラスを水で希釈し、 これにフライアッシュ、 セメント、 消石灰、 水を混合した懸 濁液を混合する。 このよう(こして得られた配合例 9〜 1 1の地盤注入材の調製条件および 物性値を下記の表 4に示す。
表 4
(.1 ) 消石灰添加量
グラウ ト中の粉体に対する消石灰の添加量
消石灰添加量 Z {フライアッシュ (シリカ系非硬化性粉状体) 重量 +セメン ト (硬化 発現材) 重量) X 1 00 [%]
消石灰はゲル化促進剤であり、 セメントと同様フライァッシュど混ぜるとボラゾン反応 を起す。 ただしセメン トほどの固結強度は得られない。 ここでは可塑状とするため、 また その保持時間を有するためのゲル化促進剤として用いた。 その範囲はセメン卜添加量にも よるが 3〜; I 5%が好ましい。
(2) シリ力濃度
グラウ 卜中の S i 〇2量
水ガラスの S i 02%X (水ガラス重量/グラウ ト重量) [%]
本出願人による実験によればグラウ トを可塑状、 および固結させるためには、 その他 の材料の配合比率にもよるが、 シリカ濃度は 0.2〜 7.0%とする。 ただし 3号水ガラ'ス のモル比以下の低モル比水ガラスを用いる場合は 3.0〜 7.0 %が好ましい。 勿論高モル 比の水ガラスや粉状水ガラスを用いる事も出来る。 また水ガラスと酸を混合してなる酸性 水ガラスもゲル化促進剤として用いることができる。 この場合も本発明では水ガラスと表
現する。
( 3 ) 特性および比較 _ 表 4の配合の特徴としてゲルタイムの調製がしゃすく、 また可塑状保持時間はやや短 いが早期強度の発現は顕著である二とがあげられる。 よって早期強度の発現を重要視する 場合に適している。 可塑状グラウ 卜を A液として、 水ガラス水溶液を B 液として A液の ゲルタイムを短縮させることができる。 またグラウ トをゲル化後よく練り混ぜることによ つて、 早期強度の発現は低下するが可塑状保持時間を長くすることができる。 よってゲル 化後よぐ練り混ぜたものを注入することにより長時間の注入を要する目的ゃィンターバル 注入 より、 一度注入した注入ポイン トに再度注入をく り返して、 注入材を拡大する地盤 改良に適している。
配合例 1 2 .
配合例 2では硬化発現材としてセメン卜を用いたが、 同様の配合量で硬化発現材とし て消石灰を用いる。 このようにして得られた配合例 1 2の地盤注入材の調整条件および物 性値を下記の表 5に示す。
表 5
.配合例 2では硬化発現材としてセメントを用い が、 同様の配合量で硬化発現材とし てスラグを用いる。 このようにして得られた配合例 IV 3の地盤注入材の調整条件および物 性値を下記の表 6に示す。 表 6
配合例 1 4
硬化発現材として石膏を用いる。 このようにして得られた配合例 1 4の地盤注入材の 調整条件おょぴ物性値を下記の表 7に示す。
表 7
( 1 ) 硬化発現材比
グラゥ 卜に含まれる粉体の含有量に対する硬化発現材の含有量:硬化発現材重量/ { フライアッシュ (シリカ系非硬化性粉状体) 重量 +硬化発現材重量 } X I 0 0 [ % ] 配合例 1 〜 1 1に示す P C添加量と同様であり、 配合例 1 2 〜 1 4ではそれぞれ硬化 発現材として消石灰、 スラグ、' 石膏を使用したので、 消石灰添加量、 スラグ添加量、 石膏 添加量を意味する。 ただし配合例 9 〜 1 1の消石灰添加量はゲル化促進剤として用いてい るため、 配合例 9の消石灰の使用目的が違う。 よって硬化材添加量と表記した。
( 2 ) 配合例 1 2の特性および比較
硬化発現材として消石灰を用いた場合、 セメン 卜と同様フライアッシュに添加すると ポゾラン反応を起こす。 この反応は非常に緩慢であるため可塑状にはなるが固結には時間 がかかり、 また充分な固結強度を得るためには数週間かかる。 ただし同量のセメン卜を用 いるよりも.可塑状になりやすくため、 セメン卜と併用することにより優れた効果が期待で きると考える。
( 3 ) 配合例 1 3の特性および比較
硬化発現材としてスラグを用いた場合、 セメン トよりも若干早くゲル化し、 可塑状保持 時間は長くなるが、 セメン トに類似した結果となる。 ただし、 強度発現はセメン トよりも 遅くなる。 ——
( 4 ) 配合例 1 4の特性および比較
- 硬化発現材と して石膏を用いる場合、 石膏は反応が早いため可塑状にもなりやすいが、 強度発現も早いため可塑状保持時間が極めて短くなる。
配合例 1 5 , 1 6 ■· 2液式の配合として、 フライアッシュ、 セメント、 水および可 ¾剤を配合した。 経時 的に可塑状となり固結する。 上述のグラウ 卜にざらに可塑剤を添加し、 ゲルタイムを早め た。 フライアツシ.ュ、 セメン ト、 水および可塑剤を配合した上述の配合例 7を用いて、 ゲ ル化する前の流動性がある状態の中に、 硫酸バンド水溶液、 ならびに水ガラスを水で希釈 した水溶液を添加した。 配合比率は配-合例 7のグラウ 卜が 2 0に対し、 可塑剤の水溶液を 1 と した。 このようにして得られた配合例 1 5 、 1 6の地盤注入材の調整条件および物性 値を下記の表 8 、 9に示す。
表 8
※配合例 7は可 状 ラウトで る。 表 9
※配合例 7は可塑状グラウトである。
( 1 ) 配合例 1 5 、 1 6の特性および比較
可塑状グラウ トである配合例 7に、 水ガラスを水で希釈した水溶液を添加した場合、 ゲルタイムは極めて短くなり、 また可塑状保持時間も短くなり-強度発現は顕著となる。 よ つて早期強度の発現を重要視する場合に適している。 また A液が可塑状グラウ 卜で B液が 水ガラス水溶液の場合、 A液 ' B液の混合注入材によって塊状ゲルの形成が容易である。 配合例 1 7 '
表 1の配合例 3のフライアッシュに焼却灰を混合した。 フライアツシゴと焼却灰の混 合比率は 1対 1である。 このよ.うにして得られた配合.例 1 7の地盤注入材の調整条件およ ぴ物性値!:下記の表 1 0に示す。
表 1 0
配合例 1 8
表 1の配合例 1のフライアッシュに火山灰を混合した。 フライアッシュと火山灰の混 合比率は ·3対 1である。 このようにして得られた配合例 1 .8の地盤注入材の調整条件およ
び物性値を下記の表 1 1に示す。 表 1 1
配合例 1 9
フライアッシュに硬化発現材としてセメントを添加し、 さらにベン卜ナイ 卜を混合し た。 その配合例 1 9の地盤注入材の調製条件および物性値を下記の表 1 2に示す。 表 1 2
配合^ 2 0
フライアッシュに細骨材 (山砂) を混合し、 硬化発現材としてセメントを添加した。 その配合例 2 0の地盤注入材の調製条件および物性値を下記の表 1 3に示す。
表 1 3
フライアッシュとセメントを泥水で混合した。 その配合例 2 1の地盤注入材の調製条 件および物性値を表 1 4に示す。 表 1 4
( 1 ) 水粉体比
グラウ ト中の粉体に対する水の含有量: 水重量 Z {フライアッシュ、 焼却灰、 火山灰 、 (シリカ系非硬化性粉状体) 重量 +セメン ト (硬化発現材) 重量 +ベン トナイ ト、 細骨 材重量、 粘土 (増量材) 重量 } X 1 0 0 〔%〕
ここでは硬化発現材とフライアッシュ以外の粉体として焼却灰、 火山灰、 ベン トナイ 卜、 細骨材を用いた。 また混合水として粘土を含む泥水を使用した。 その他にも現場発生 土や珪砂等を用いることができる。 これらは増量材としても、 また骨材としても用いるこ とができ、 かつその粒径や粒度によって流動性や強度を調整することができる。 またセメ ン卜等の硬化 ¾現材等を用いなくても粘土を加えることにより流動化土として用いること ができる。
( 2 ) 配合例 1 7、 1 8の特性および比較
表 1 0の配合例 1 7と、 表 1 の配合例 3を比較すると、 焼却灰を混合しだ配合例 1
7の方がブリージング率は減少し、 フロー値が小さくなった。 また表 1 1の配合例 1 8と 、 表 1の配合例 1 を比較しても同様の結果が得られた。 焼却灰や火山灰を混合すると、 フ ライアッシュのみの場合よりも流動性を失いやすく、 また強度発現も低下する傾向にある 。 硬化発現材比は 5 0 %未満、 好ましくは 1〜 2 0 %、 水粉体比は 2 0〜 1 5 0 %が好ま しい。
( 3 ) 配合例 .1. 9の特性および比較
フライアッシュ、 セメントにベン卜ナイ トを添加することによりグラウ 卜の粘性が大 きくなり、 同様の水粉体比でベン 卜ナイ 卜を添加しない配合と比較してゲルタイムが短く なったが、 可塑状保持時間は充分保持された。 ベン トナイ 卜を用いることにより容易に流 動性を調節する事ができる。 さらにベン卜ナイ 卜によりグラウ 卜が増粘され水への.分散も 抑制することができる。 硬化発現材比は 5 0 %未満、 好ましくは 3〜 4 0 %、 水粉体比は 2 0〜 1 5 0 %が好ましい。
( 4 ) 配合例 2 0の特性および比較
フライアッシュ、 セメン トに細骨材 (山砂) を混合することができるが、 細骨材が多 いとブリージング率が大きくなる傾向がある。 よって細骨材添加量 8 0 %以下が好ましい 。 また硬化発現材比は 5 0 %未満、 好ましくは 1〜 2 0 %、 水粉体比は 2 0〜 1 5 0 %が 好ましい。
( 5 ) 配合例 2 1の特性および比較
フライアッシュとセメン卜を泥水で混合したものは、 泥水に含まれる粘土により増粘 され、 かつ流動性や保水性が向上するため、 増粘材、 または流動化材、 ま こは保水材とし ての効果があり、 土中における可塑状ゲルの拡大に効果がある。 よって泥水中に含まれる 粘土の含有量によりグラウ 卜の性状を調節することができる。 硬化発現材比は 5 0 %未満 、 水粉体比は 2 0〜 1 5 0 %が好ましい。 配合例 2 2 , 2 3
エア発生剤として事前発泡型の起泡剤と事後発泡型のアルミニウム粉末をフライアッ シュとセメン トのモルタルに混合した。 その配合例 2 2 , 2 3を表 1 5、 表 1 6に示す。 ェァ発生剤は固結体の密度を小さくする事の他に流動性を向上させる効果がある。
表 1 5
( 1 ) 起泡剤添加量
ダラゥ 卜中に含まれるセメン トに対する起泡剤の含有量を起泡剤重量/ (セメン ト重 量) X 1 0 0 〔%〕 とすると
起 f包剤添加量は 0.5〜 1.5 % (対セメント重量比) が好ましレ、。
(2) アルミニウム粉末添加量
アルミニウム粉末はセメント等のアルカリに反応して水素ガス (起泡) を発生する。 グラゥ 卜中に含まれる粉末に対するアルミニウム粉末の含有量をアルミニウム比 : アルミ ニゥム粉末重量/粉状体重量 X 1 0 0. 〔%〕 とすると
アルミニウム比 0.0 1 %程度が効果的である。
(3) 配合例 22 · 2 3の特性および比較
エア発生剤には固結体の密度を小さくすることの他に流動性を向上させる効果がある 配合例 24
スラグ、 セメント、 水を練り混ぜる。 主材としてスラグを使用し、 硬化発現材として セメン トを使用した。 その配合例 24'を表 1 7に示す。
表 1 7
主材として、 フライアッシュを使用した場合とスラグを使用した場合を比較すると、 スラグの方がセメントとの反応が良好である。 配合例 2と比較すると、 硬化発現材比は同 様で、 水粉体比が倍になっているにもかかわらず、 ゲルタイムは早く、 また強度発現も顕 著である。 この場合、 硬化発現材比は 5 0 %未満、 更には 1 〜 2 0 %、 また水粉体比は 2 0〜 1 5 0 %、 更には 3 0〜 8 0 %が好ましい。
本発明の外注入実験を行った。 配合液'は表 1 8の配合例を用い、 対象とした地盤は およそ N 値が 7、 相対密度が 4 0 %、 細粒分含有率が 2 0 %未満である砂質土地盤であ る。 比較例として従来の水ガラス系懸濁型瞬結配合 (以下、 瞬結配合) の比較例 1 は瞬 結配合 (ゲル化時間 1 0秒、 可塑状保持時間なし) であり、 比較例 2は L W (ゲル化時間 1分、 可塑状保持時間なし) である。 比較例 1、 比較例 2の配合はそれぞれ表 1 9、 表 2 〇に示す。 :又実施例 1の配合例を用いた実施例を表 1 8に示す。 配合液の混合と可塑状ゲ ルの生成と圧入状況についても区分を A〜 Fに示す。 掘削調查における固結状況を I 〜V Iに示す。 表 1 8より区分 Aによる圧入では配合後、 混合装置中で混合して可塑状ゲルと し、 そのまま圧入不能になる迄圧入した場合、 可塑状ゲル化物によるほぼ球状の固結体を 形成した。 ゲル状塊状体の成長は可塑状保持時間が長く、 強度が大きくない水粉体比、 硬 化発現体比配合が大きな塊状体をつくる ά '·
区分 Βによる圧入では、 複合装置の混合工程中で可塑状ゲルにならないうちに注入を 開始して注入過程中で可塑状ゲルに到ったが、 そのまま注入不能になる迄圧入した場合、 形状が不定形になり、 注入対象範囲內に塊状固結体 形成した。 これは圧入初期において 流動性が充分ある配合液が地盤の圧入抵抗の小さく弱い方向に圧入され、 脱水と共に流動 性が低下し、 更に地盤注入前に可塑状になった注入材が圧入されて塊状体が拡大して固化 したものと思われる。 この場合、 球状体でなくとも弱い部分を中心に締固めたものである から不定形になっても改良効果は充分得る事が出来る。
区分 Cによる圧入では混合工程中、 そのステージの圧入が完了する迄は可塑状ゲルに は到らないが、 圧入時間と共に圧力が上昇し最終的に注入量がゼロになって注入が不能に なったもので、 掘削結果の調査では注入初期では流動性が大きい。 このため一部受持ち範 囲外迄脈状に割裂注入されるものの、 地盤中で脱水によって流動性が失われ、 受持ち範囲 內で可塑状ゲノ の形成と共に塊状ゲルが大きく成長し、 周辺地盤を圧縮強.化する効果が得 られる。
区分 Dによる注入では、 ゲル化後.可塑状保持時間のない通常の水ガラスグラウ トであ つて、 ゲル化と共に圧力は上昇する。 —更に注入すれば、 脈状に割裂して受持ち範囲以外迄 逸脱して脈状に固結する。 このため対象地盤を高密度化する効果は殆どない。
区分 Εによる注入では、 一般の可塑状を呈さない配合製であって、 注入中に初圧のま
ま圧力上昇を示さず、 注入対象範囲外へ逸脱して改良効果は殆ど生じない。 - 区分 Fによる圧入では、 地盤中への注入時点においてすでに流動性がきわめて低いか ら注入管吐出口から地盤に吐出されるとすぐに吐出口の外側で脱水が生じ、 その後続いて 吐出口の内側の注入材の脱水現象が起こり、 更に加圧するにつけ.注入管内の注入材の脱水 が注入管内の上方に及び、 ついには注入管全体が固化して注入不能に陥る事がわかった。
このようにして流動性の少ない可塑性ダラゥ 卜を地盤中に注入するといぐらポンプ圧 を上げても注入不能にな、 亀裂注入も生じないという現象が生ずる事になった。 このよう な現象は注入管に流入する前に、 粉状注入液と可塑材をそれぞれ混合してスランプ 5未満 の可塑状ゲルを注入した場合にも生ずる現象である。
- 区分 A , B , Cにおいては注入後の掘削調査において固結体の体積と注入量を測定し たところ、 その脱水量はほぼ 3· 0 %以内であった。 配合液が 3 0 %の脱水で可塑状ゲルに なる組成の地盤中に圧入すれば、 塊状ゲルが形成されやすい事がわかった。 すなわち上記 流動範囲の注入材を注入不能になる迄加圧脱水して +地盤中に圧入すれば、 脱水率がほぼ 3 0 %以内で流動不能な塊状ゲルが地盤中に形成される事がわかった。 これらの現象も含め て種々の野外圧入実験より該注入液の注入時の配合液が注入時点で可塑状ゲルに到ってい るか、 或は注入開始時点では可塑状ゲルになっていなくても注入中に地盤中に注入される 前の段階で、 可塑状ゲルに到るか、 或は配合液から 3 0 %以内の脱水によって可塑状ゲル が注入中に形成されるように配合を設定すれば地盤中で塊状ゲルが形成されることがわか つた。 ■
表 1 8は、 N値が 1 0以下の地盤における改良効果の例である。 例えば具体的には配 合例 3の場合、 配合後 5分間混合し毎分吐出量 5 l / m i ii、 初期圧力 1 . 0 M N 2、 最径圧力 S . O M N / m 2で、 注入速度がゼロになり圧入不能になった。 全注入量が 1 5 0 1の圧入で掘削調査の結果、 ほぼ 1 ひ 0 1. (脱水率 3 0 % ) の塊状ゲルが形成されている 事がわかった。
可塑状ゲルの圧入工法は、 地盤中で流動性の低下する可塑状ゲルの圧入であるから、 ポンプ圧で圧入出来る範囲のゆるい地盤が対象となり、 通常 N値が 1 5以下、 最も好まじ くは N値が 1 0以下の軟弱地盤である。 しかし液状化防止や基礎の補強にあっては N値が 1 5以上或は 2 0以上の地盤を更に改良する場合がある。 このような地盤条件と目的に対 して本発明者はいくつかの野外注 λ試験で実験 2の区分 B , Cによる手法がきわめて効果 的である事がわかった。
このような地盤では配合 3を Α区分のように注入した場合、 注入後注入圧が上昇し大 きな塊状のゲルが得られにくいか、 例 2の配合を 3時間混合後、 毎分吐出量 5 1 / m i n で初期圧力 0 . 1 M N Z m 2で注入したところ、. 5分後 1 . O M N / m 2となり、 更に最終圧 力 3 M N Z m 2で全注入量が 5 0 1 になるように圧入した。 同塊状固化体の先行部に一部 亀裂が認められ中心部側が亀裂を中心に大きな厚さの塊状固化体が形成された。
即ち、 注入時に可塑状ゲルの状態の圧入は N値が 1 5以内でも地盤中で可塑状ゲルが 成長し、 拡大するが、 地盤の N値が 1 5以上になると可塑状ゲルのまま圧入しつづける事 が困難となる。 しかし、 注入初期において可塑状ゲルでない状態の配合液を地盤に注入す る事により N値が 1 5以上の大きな地盤でも脈状に亀裂を形成しながら割裂脱水して可塑 状ゲルになると、 流動性が低下し亀裂中でゲルとなり、 そのゲルを中心に塊状ゲルが拡大 して大きな塊状ゲルに成長する。 この場合球状体ではないが受持ち範囲内で周辺地盤の密 度を上昇させ、 地盤の高強度化が可能になる。
このような結果は、 注入初期において流動性のよい配合液を注入して亀裂注入を行つ てのち、 可塑状ゲルの圧入にきりかえて注入する事によって可塑状ゲルを圧入するには地
盤密度が高いか地盤改良を必要とする地盤改良のためにきわめて効果的な手段である事を 見出した。 同様に流動性のよい配合液と可塑状ゲルを交互に圧入し、 亀裂注入塊状ゲルの 圧力を繰り返しながら所定領域における塊状ゲルの拡大を行って圧入しにくい密度の地盤 の強化を行う事が出来る。
このようにして従来のセメントグラゥ 卜や L Wダラゥ 卜のみでは単に脈状に逸脱する のみであるが、 途中で可塑状ゲルに到る注入材或は可塑性ゲル状の注人材の圧入ゥを行う 事により、 可塑状ゲル圧入工法の適用範囲が飛躍的に拡大する事がわかった。
具体的な手法として F材又は F材と C材を有効成分とする可塑状ゲル或は更に流動性 調整材を混合した可塑状ゲルを注入しながら流動性調整材の種類や量を選定して混合して 注入する事により流動性の良い注入材'と流動性の低い注人材の注入を組合せて注入する事 も出来るし、 或は A液として流動性の良い注入材又は流動性調整材を加えた可塑状ゲルを 注入しながら流動性調整材を合流して圧入する方法を併用しながら亀裂注入塊状圧入を組 合せる事が出来る。 表 1 8 注入液の配合例
区分 配合液の混合と可塑状ゲルの生成と圧入 固結状況
(実施例 1より)
A 混合工程中に可塑状ゲルとなってそのまま圧入. 3, 8, 12, 14, I
16, 17, 18, 20,
21, 25
B 混合工程中に可塑状ゲルに到らないうちに圧入を 7, 9, 10, 11, Π
開始して注入過程中で可塑状ゲルとなりそのまま 15, 19
庄入
C . 混合工程中に可塑状ゲルに到らなかったがそのま 1, 2, 4, 5, 6, m
ま圧入し、 圧入中圧力が上昇し上限圧力 (3MN/ 13, 24
ΠΪ) で注入不能になり注入終了
. D 混合工程中も注入中も可塑状を呈さない配合液を '表一 1 9の A液 IV
注入し、 注入中圧力が上昇したが、 その 圧力が低 表.— 2 0の A液
下
. E 注入中 m力上昇せず 表一 1 9の B液 V
表一 2 0の B液
表一 2 1の A液
表一 2 2の A液
F 注入後直ちに圧力が上昇し、 注入不能 表— 2 1 VI
表一 2 2
上記における固結状況の説明
掘削調査における固結体の形状
I 直怪 3 0〜7 0 c m 2のほぼ球体の大きな塊状固結体形成
I I 形状が球状でなく不定形であるが、 直径 20〜 5 0 c m2塊状固結体形成 I I I —部の先端部は注入範囲外迄脈状もみられたが、 受持範囲内で直怪 20〜 50 c m 2塊状固結体形成
I V 厚さ 1〜: L O c mの脈状
' · 注入範囲外へ逸脱
V 厚さ 1〜 5 c mの脈状
注入範囲外へ逸脱
V I 注入孔の大きさの固結体のみ 表 1 9
表.2 1
表 2 2
本発明における図 1に示す試験施工による研究の結果、 以下のように注入設計する ことにより地盤強化効果をうることが判った。
図 1において注入間隔は 0.5〜 3.0 mとする。 改良率は 5~40%とする。 ここで 改良率とは 1 注入孔の分担改良面積 1 m
2当りに換算して固結塊の断面積に相当し、 改良 率 5〜4 0%とは 0.0 5〜0.4 m
2を意味する。 又、 この改良率は改良対象地盤の N値 と改良目標 N値から 1 孔当りの受持面積のうちの間隙の減少量が算出され、 その減少量 がゲル化物に置き換えられる面積に対応することから算出される。 以下、 表 2 3に本発明 における地盤強化として有効な設計例を示す。 これは実施例 2で砂地盤にて行った実験例 に基づくものであり、 注入配置は図 1 (口) に示す正方形配置、 注入間隔は l m、 2m、 また改良率は 5%、 1 0%、 1 5 %、 20%である。
【表 2 3】
※? 脱水収縮係数は試験注入によって得ら た改良固結体とその注入量より算出した収 縮率の平均値
i¾3 lm当りの注入量は固結塊の注入深長 当りの注入量
ごのように算出された注入量が所定深度におさまるように毎分注入速度 ( 1 /min) と注入圧力を設定していくことが必要である。 i:このためには毎分吐出量 5〜 5 0 1 /min 、 注入圧力 0.5〜 1 0 MPで注入.管理しながら注入するのが望ましいことが判った。
この際、 地盤隆起は 2 O c m以内、 好ましくは 1 0 c m以内におさめれば数日後には 地盤中のゲルが脱水によって地盤隆 IS.が 5〜 1 0 c m程度におさまることが判った。
又、 注入深度が G L 3.0 m以浅になると地盤がやや隆起しやすくなり、 G L 1.5 m 以浅になると 1 0 c m以上に隆起することが判った。 従って、 3.0 m以浅、 或は 1.5 m 以浅において地盤隆起しにぐい対応をとることが有効であることが判った。 また、 地盤.改 良効果は上記注入孔間隔の範囲で複数本の削孔から圧入することによって互いに拘束し'あ つてその間の地盤が圧縮されてはじめ-て可能であることが判った。
産業上の利用可能性
シリカ系非硬化性粉状体と水、 あるいはシリ力系非硬化性粉状体と、 カルシウム系粉 状硬化発現材と水とを有効成分として含む可塑状ゲル注入材を軟弱地盤に静的に圧入する ことにより、 地盤中に注入材そのものによる塊状体を形成しながら、 周辺土砂を圧縮して 密度の増大を図る。 このため、 土木技術分野において利用可能性が高い。