JP2007077796A - 補強土工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】壁面ブロック2を複数層に積層する工程と、壁面ブロック2の背面側に盛土3として自硬・可塑状ゲルを充填する工程および壁面フロック2の背面側に複数の盛土補強材4を敷設する工程を交互に繰り返し行う。壁面ブロックを自立可能な形状に形成する。壁面ブロック2の一回の積層高を盛土3の一回の充填量の土圧に耐え得る高さまでとする。盛土3の一回の充填量を壁面ブロック2の一回の積層高までとする。盛土3としてスラグ(S材)、カルシウム系粉状硬化発現材(C材)および水(W材)を有効成分とする自硬・可塑状ゲルを充填する。盛土補強材4は各回の盛土3の上に当該盛土3が固化した後に敷設する。
【選択図】図5
Description
(1)スラグ
高炉スラグ、8000ブレーン値
(2)セメント
普通ポルトランドセメント:PC、硬化発現材
(3)消石灰
工業用水酸化カルシウム、ゲル化促進剤および硬化発現材
(4)石膏
半水石膏、硬化発現材
(5)フライアッシュ
火力発電所より排出される石炭灰、密度1.9〜2.3g/cm3、粒度分布0.1mm以下が90%以上
(6)ベントナイト
保水材および増粘材
(7)硫酸バンド
硫酸アルミニウム、Al2O3=17.2%、ゲル化促進剤
(8)水ガラス
JIS3号水ガラス、SiO2=29.0%、Na2O=9.0%、モル比3.3、ゲル化促進剤
(9)起泡剤
事前発泡型エア発生剤
(10)アルミニウム粉末
事後発泡型エア発生剤
スラグ、セメント、水を練り混ぜる。スラグとセメントの配合量は同様にして水の配合量のみを変化させた。このようにして得られた配合例1〜3の地盤注入材の調整条件および物性値を下記の表1に示す。
スラグ、セメント、水を練り混ぜる。水の配合量は上記の配合例1と同様にて、スラグとセメントの配合量を変化させた。このようにして得られた配合例4,5の地盤注入材の調整条件および物性値を下記表2に示す。
表1の配合例1,2に硫酸バンドを添加し、ゲル化を促進させた。ここでゲル化を促進するとは配合後可塑性を呈するまでの時間を短縮し、或はフローを小さくすることを云う。このようにして得られた配合例6,7の地盤注入材の調整条件および物性値を下記の表3に示す。
スラグ、消石灰、水を練り混ぜる。硬化発現材として消石灰を使用し、硬化発現材比また水粉体比は配合例2と同様にした。このようにして得られた配合例8の地盤注入材の調整条件および物性値を下記の表4に示す。
スラグ、石膏、水を練り混ぜる。硬化発現材として石膏を使用し、硬化発現材比また水粉体比は配合例2と同様にした。このようにして得られた配合例9,10の地盤注入材の調整条件および物性値を下記の表5に示す。
スラグ、フライアッシュ、水を練り混ぜる。硬化発現材としてフライアッシュを使用し、硬化発現材比また水粉体比は配合例2と同様にした。このようにして得られた配合11,12の地盤注入材の調整条件および物性値を下記の表6に示す。
スラグ、消石灰、ベントナイト、水を練り混ぜる。配合例8を参考にベントナイトを加える。このようにして得られた配合13の地盤注入材の調整条件および物性値を下記の表7に示す。
(1)硬化発現材比
グラウトに含まれる紛体、つまりスラグと硬化発現材の含有量に対する硬化発現材の含有量:硬化発現材重量/(スラグ重量+硬化発現材重量)×100〔%〕
スラグは硬化発現材に含まれるカルシウムと反応し固結強度を得る。しかし硬化発現材の配合量が多いと、可塑状グラウトとしての特性が低下する。即ち、沈下してブリージングが大きくなり、沈下したものは流動しにくく可塑状ゲルになりにくいため、硬化発現材比は50%未満とするが、その好ましい範囲は硬化発現材としてセメント、或いは消石灰を用いる場合、1〜40%、好ましくは1〜20%、さらに好ましくは1〜10%である。また、硬化発現材として石膏、或いはフライアッシュを用いる場合は20〜40%が好ましい。
グラウト中の粉体に対する水の含有量:水重量/(スラグ重量+硬化発現材重量)×100〔%〕
この値が小さいと可塑状になりやすい。即ち配合後可塑状ゲルになる時間が短くなり、かつフロー値が小さくなる。しかし水粉対比が小さすぎると作業性を損なうため、その範囲は20〜200%、好ましくは30〜150%、さらに硬化発現材としてセメント、或いは消石灰を用いる場合は40〜50(重量比)が好ましく、最も好ましくは120%以下とするが、水ガラスを促進剤として用いる場合は、水粉体比は大きくとることができる。
グラウト中の粉体に対する硫酸バンドの添加量:硫酸バンド重量/(スラグ重量+硬化発現材重量)×100〔%〕
硫酸バンドはゲル化促進剤であり、スラグとその硬化発現材の流動性ある状態の中に添加すると、ゲル化を促進させ、可塑状ゲルになる時間を早める。ただし、硫酸バンドには固結強度を低下させる作用もあるので、その添加量は2.0%以下、好ましくは0.1〜1.0%とする。
グラウト中の粉体に対するベントナイトの添加量:ベントナイト重量/(スラグ重量+硬化発現材重量+ベントナイト重量)×100[%]
ベントナイトは保水材および増粘材であり、またグラウトの有効成分とみなし配合液中の粉体に含む。ベントナイトが多すぎると強度発現に影響を及ぼすため、ベントナイト添加量は40%以内、好ましくは30%以内とする。さらには硬化発現材の配合量の同等、もしくはそれ以下が好ましい。
ここでは一般的な水ガラス系グラウトにみられるような固化状となる化学的ゲル化を意味するのではなく、配合後、自重による流動性がなくなり、力を加えると流動する可塑状ゲルとなるまでの物理的ゲル化時間をゲルタイムと表現する。
一般の水ガラスを主材とするグラウトと違って、明確なゲル化時間を示すことはできない。よってテーブルフローを用いてその値が20cm以下になった時をゲル化とみなし、これをゲルタイムとした。
アスファルト針入度試験方法JIS K 2530−1961に準じて総質量230g、先端角度15度、36mmの貫入コーンを用いて静的貫入抵抗を測定し、貫入低抗値が0.01MN/m2を越えた時非可塑状ゲルとなって固結または硬化とみなし、ゲル化から固結に至るまでの時間を可塑状保持時間とした。
配合後、配合液を充分に混合させ、次いで、200mlメスシリンダにグラウトを入れて静止密閉し、1時間経過後にブリージング水量(上ずみ液)を測定し、次式よりブリージング率を求める。(ブリージング水量/メスシリンダ容量)×100[%]
ここでは1時間経過後のブリージング率を示す。1時間経過後のブリージング率が10%以上の配合では、注入液が分離しやすく脈状または亀裂状に注入されやすい。その後、時間が経過すると更にブリージング率が増大するので、従って1時間経過のブリージング率は10%以下、好ましくは5%以内の配合が好ましい。
フロー試験(JIS R 5201 テーブルフロー)に基づき、グラウトに15秒間に15回の落下運動を与え、その広がりを測定した。可塑状ゲルとしては約18〜19cmが適しているとされているが、本発明ではフロー値が20cm以下になる時点で自重による流動性がなくなったものとして、ゲルタイムとした。
配合後、充分に混合したグラウトを直径5cm、高さ10cmのモールドに詰め、静止した状態で1日養生し、一軸圧縮強度を測定した。
スラグ、消石灰、ベントナイト、水を練り混ぜ、水ガラスを添加する。上記配合例13を400ml配合し、さらに水ガラスを加えた。このようにして得られた配合例14の地盤注入材の調整条件および物性値を下記の表8に示す。
グラウト中のSiO2量
水ガラスのSiO2%×(水ガラス重量/グラウト重量)[%]
本出願人による実験によれば配合液を可塑状、および固結させるためには、その他の材料の配合比率にもよるが、シリカ濃度は0.2〜7.0%とする。ただし3号水ガラスのモル比以下の低モル比水ガラスを用いる場合は3.0〜7.0%が好ましい。勿論高モル比の水ガラスや粉状水ガラスを用いる事も出来る。 また、水ガラスと酸を混合してなる酸性水ガラスもゲル化促進剤として用いることができる。この場合も本発明では水ガラスと表現する。
表8の配合の特徴としてゲルタイムの調製がしやすく、また可塑状保持時間はやや短いが早期強度の発現は顕著であることがあげられる。よって早期強度の発現を重要視する場合に適している。可塑状配合液(上記の表8における配合例13)をA液として、水ガラスをB液としてA液のゲルタイムを短縮させることができる。また、配合液をゲル化後よく練り混ぜることによって、早期強度の発現は低下するが可塑状保持時間を長くして、広範囲の盛土まき出しをすることができる。
エア発生剤として事前発泡型の起泡剤と事後発泡型のアルミニウム粉末をスラグとセメントの懸濁液に混合した。その配合例15,16を表9,表10に示す。
配合液中に含まれるセメントに対する起泡剤の含有量を起泡剤重量/(セメント重量)×100〔%〕とすると、起泡剤添加量は0.5〜1.5%(対セメント重量比)が好ましい。
アルミニウム粉末はセメント等のアルカリに反応して水素ガス(起泡)を発生する。グラウト中に含まれる粉末に対するアルミニウム粉末の含有量をアルミニウム比:アルミニウム粉末重量/粉状体重量×100〔%〕とすると、アルミニウム比0.01%程度が効果的である。
エア発生剤には固結体の密度を小さくすることの他に流動性を向上させる効果がある。
2 壁面ブロック(壁面材)
3 盛土(自硬・可塑状ゲル)
4 盛土補強材
5 支圧アンカー
6 地山
7 控え梁
8 アンカーボルト
9 定着プレート
10 定着ナット
11 帯状鋼材
12 壁面ブロック(壁面材)
13 空洞部
14 ネット
15 連結棒
Claims (17)
- 地盤上に壁面材を設置し、当該壁面材の背面側に盛土補強材を敷設する工程と、前記壁面材の背面側に盛土を充填する工程を交互に繰り返し行う補強土工法において、前記盛土としてスラグ(S材)、カルシウム系粉状硬化発現材(C材)および水(W材)を有効成分とする自硬・可塑状ゲルを充填することを特徴とする補強土工法。
- 壁面材を複数層に積層し、当該壁面材の1回の積層高を盛土の1回の充填量による側圧に耐得る高さとすることを特徴とする請求項1記載の補強土工法。
- 盛土の1回の充填高を、当該盛土の1回の充填量による側圧に壁面材が耐え得る高さまでとし、盛土補強材は前記盛土の1回または複数回の充填によって形成された盛土層の上に敷設することを特徴とする請求項1または2記載の補強土工法。
- 壁面材は仮設用壁面材とし、盛土補強材の敷設と盛土の充填が完了した後、前記仮設用壁面の前面に型枠用壁面材を設置し、当該型枠用壁面材と仮設用壁面材との間にコンクリートを打設して壁面を構築することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の補強土工法。
- カルシウム系粉状硬化発現材はセメント、石灰、石膏およびフライアッシュの群から選択された一種または複数種を有効成分とする自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の補強土工法。
- 硬化発現材比が1〜50重量%未満、水粉体比が20〜130重量%である自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の補強土工法。ただし、硬化発現材比=C/(S+C)×100(%)、水粉体比=W/(S+C)×100(%)であって、S,C,Wはいずれも重量を示す。
- 充填時のテーブルフローが12cm以上および/またはスランプが5cmより大きく、および/またはシリンダーによるフローが8cmより大きく、壁面材の背面側に充填前、あるいは充填中に可塑状ゲルとなる自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の補強土工法。
- 保水材、ゲル化促進剤、ゲル化遅延剤、増粘剤、解こう剤、気泡剤、アルミニウム粉末、粘土、あるいは流動化材などの流動性調整材のいずれか、または複数種を添加材として含む自硬・可塑状ゲルか、S材とC材と水との混合液に流動性調整材を合流してなる自硬・可塑状か、または当該自硬・可塑状ゲルにさらに流動性調整材を合流してなる自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の補強土工法。
- 保水材としてベントナイト(B)を、ベントナイト比が1〜40重量%含む自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の補強土工法。但し、ベントナイト比=B/(S+C+B)×100(%)であって、Bは重量を示す。
- 添加材としてアルミニウム塩を、アルミニウム比が0.1〜3.0%(Al2O3換算で0.01〜0.52%) および/または水ガラスをシリカ濃度(SiO2換算)が0.2〜7.0重量%含む自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の補強土工法。但し、アルミニウム比=A/(S+C)×100%、水ガラスの濃度は盛土における重量%をいい、Aはアルミニウム塩の重量を示す。
- 流動化材として粘土、シルト、高分子系増粘剤を含む自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の補強土工法。
- 硬化発現材に対する重量比で0.5〜1.5%の気泡発生剤を配合した自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の補強土工法。
- 硬化発現材として石膏を用いることにより植栽が可能となり環境面に優れた自硬・可塑状ゲルを盛土として充填することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の補強土工法。
- 壁面材間の各目地部に不透水性目地材を充填することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の補強土工法。
- 盛土補強材の一端は壁面材に、他端は地山にそれぞれ定着することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の補強土工法。
- 盛土補強材の他端は地山に取り付けたネットに定着することを特徴とする請求項15記載の補強土工法。
- ネットは地山にアンカー部材によって固定することを特徴とする請求項16記載の補強土工法。
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