JP5809369B2 - 場所打ちコンクリート杭工法 - Google Patents

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Description

本発明は、建造物等の基礎杭を形成する場所打ちコンクリート杭工法に関するものである。
従来より、建造物等の基礎杭を形成する方法として場所打ちコンクリート杭工法が知られている。
場所打ちコンクリート杭工法とは、掘削機により地中内に掘削孔を形成し、掘削した掘削孔にコンクリートを流し込む工法である。
このような工法により杭支持力を向上させて場所打ちコンクリート杭を構築する必要があり、場所打ちコンクリート杭先端側の単位面積当りの耐力の指標として先端支持力係数が用いられている。
場所打ちコンクリート杭では、先端支持力係数をα=150kN/mに設定している。
近年になって、杭先端側の地盤の緩みを圧密にすることでコンクリート杭の先端支持力を30〜40%向上することができる先端プレロード場所打ち杭工法が用いられている(例えば特許文献1に記載)。
この工法は、場所打ちコンクリート杭の杭体コンクリート硬化後、鉄筋カゴ先端にあらかじめ取り付けた注入バックに地上からセメントミルクを加圧注入し、杭先端のスライム除去及び地盤の強化を行い、杭の沈下量の減少と支持力の向上を図る工法であり、従来の工法に比べて先端支持力を向上させる工法である。
また、前記先端支持力に加え、場所打ちコンクリート杭の周面支持力の向上や周面摩擦力の向上を図る施工方法が提案されている。
例えば、特許文献2には、場所打ちコンクリート杭のコンクリートの打ち込みにおいて、杭コンクリート本体よりも硬化を遅延させた膨張性材料を杭の周面に配設し、その膨張性材料が膨張することで杭の周面に膨らみを形成することにより、周面支持力の向上や周面摩擦力の増大を図る工法が開示されている。
また、特許文献3には、セメント等の固化剤に硬化遅延材を混ぜ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材を場所打ちコンクリート杭のかぶり部(外周部)に取り付けて場所打ちコンクリート杭を生成し、杭のかぶり部で膨張部材が膨張することにより、周面摩擦力の増大を図る工法が開示されている。
特許第3926364号公報 特許第4111432号公報 特許第4155843号公報
ところが、通常のコンクリートを掘削孔内に打設した場合に、そのコンクリートが硬化するとコンクリート杭全体が収縮し、或いは、掘削中に地盤が緩み、その関係でコンクリート杭と掘削孔地盤の密着力が弱くなり、コンクリート杭の外壁面と掘削孔の内壁面との間に隙間が生じていた。
この隙間は、コンクリート杭の先端側での先端支持力の低下、コンクリート杭の外壁面での周面摩擦力の低下及び引抜抵抗力の低下にも繋がっていた。
従って、コンクリート杭全体の機能低下を招いていた。
また、特許文献1に記載の前記先端プレロード場所打ち杭工法では、コンクリート杭本体を打設する工程と、コンクリート杭本体の硬化後にセメントミルクを加圧注入する工程との2回施工の工程が必要であり、コンクリートが硬化するまでの時間とセメントミルクが硬化するまでの時間も多く必要とするため、杭の性能発揮まで時間を多く要する問題を有していた。
また、前記特許文献2に記載のコンクリート杭工法では、いずれもコンクリート杭が硬化した後、膨張性材料が膨張するような施工方法であるので、コンクリート杭の性能発揮までに相当の時間を要していた。
しかも、コンクリート杭の基礎となる杭本体の周囲に膨張性材料を配設するような構造を有するため、そのままでは中途部に膨張性材料を位置させるのが困難であり、しかも、コンクリート杭本体と膨張性材料を2回施工する必要があった。
さらに、前記特許文献3に記載のコンクリート杭工法では、杭本体のコンクリートの硬化よりも遅れて膨張部材が膨張しながら硬化する工法であるため、コンクリート杭としての性能発揮までに相当の時間を要していた。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、膨張材、膨張作用を有する発泡剤や膨張作用を有する骨材等を添加した膨張するコンクリートを打設することでコンクリート杭周面の隙間を埋め、先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力の増大を図る場所打ちコンクリート杭工法を提供する。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明では、地中内に形成した掘削孔にコ
ンクリートを打設して場所打ちコンクリート杭を形成する場所打ちコンクリート杭工法であって、膨張作用を有する発泡剤を添加した膨張するコンクリートを掘削孔に打設し、これを硬化することにより場所打ちコンクリート杭を形成し、前記発泡剤のアルミニウム粉末の添加量はセメントに対して質量パーセントで0.004%〜0.025%であることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、掘削孔の先端部又は掘削孔の中途部に形成した拡幅部に、前記発泡剤を添加した膨張するコンクリートを打設することを特徴とする。
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、場所打ちコンクリート杭の少なくとも一部に、前記発泡剤を添加した膨張するコンクリートを打設することを特徴とする。
請求項に記載の本発明は、請求項1からの何れか1項に記載の発明において、膨張するコンクリートには繊維物質を含有することを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、地中内に形成した掘削孔にコンクリートを打設して場所打
ちコンクリート杭を形成する場所打ちコンクリート杭工法であって、膨張作用を有する発泡剤を添加した膨張するコンクリートを掘削孔に打設し、これを硬化することにより、簡単な工法によって強固な場所打ちコンクリート杭を形成することができる。
すなわち、本発明では、発剤を添加したコンクリートが膨張することによりコンクリート杭の体積が増大し、掘削孔の内壁面には場所打ちコンクリート杭の外壁面による圧力が加わり、その反力としてコンクリート杭の外壁面には掘削孔の内壁面による圧力が加わることになる。
これにより、コンクリート杭の外壁面と掘削孔の内壁面との隙間が埋められ、これらを一体化することができ、前記杭先端支持力等を高めた強固な場所打ちコンクリート杭を構築できる効果を有する。
また、請求項1に係る本発明では、前記特許文献1に記載のような先端プレロード場所打ち杭工法のようにコンクリートの打設の後にセメントミルクを注入する工程を設ける必要がない。
すなわち、本発明では、セメント、水及び骨材に、膨張作用を有する発泡剤を添加して一体で場所打ちコンクリート杭を構築するようにしているので、前記特許文献に記載のような複数施工する必要がなく、一回の施工のみで済む。
従って、本発明では簡単な工法により場所打ちコンクリート杭を構築することができる。
さらに、請求項1に係る本発明では、コンクリート生成時に膨張作用を有する発泡剤をセメント等と同時に添加して硬化させるので、前記特許文献2及び前記特許文献3に記載のように杭の部分を硬化させた後に膨張材を硬化させる手間が生じない。
従って、本発明はコンクリート杭の性能発揮までの時間を短縮できる効果を有する。
本発明では、アルミニウム粉末の添加量はセメントに対して質量パーセントで0.004%〜0.025%であるので、この添加量を添加した膨張するコンクリートが掘削孔内で膨張圧力を生起して掘削孔壁に圧力をかけた状態となり、掘削孔壁地盤からは反作用の反力が生起する状態となる。この状態のまま、コンクリートが硬化することで、コンクリート杭と周辺地中地盤とは強固に一体化する。場所打ちコンクリート杭の杭先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を大きく向上できる効果がある。
アルミニウム粉末の添加率が0.004%未満の場合では、コンクリート圧縮強度の低下は抑えられる反面、膨張率が低いため掘削孔の壁面への膨張圧力を充分に与えることができない。アルミニウム粉末の添加率が0.025%を超えた場合では、強度低下が大きくなり、強度を上げるためにセメント量を多くする必要があり、材料コストが上昇して経済性が悪くなる。
請求項2に係る本発明では、掘削孔の先端部又は掘削孔の中途部に形成した拡幅部に、膨張作用を有する前記発泡剤を添加した膨張するコンクリートを打設することにより、掘削孔の拡幅部でコンクリートが膨張するため、通常のコンクリートを打設した場合に比べて先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力が増大する。
すなわち、コンクリートが膨張することにより、拡幅部において掘削孔の内壁面と杭外壁面との隙間が埋められることで、これらが一体形成されることにより、通常のコンクリートを打設した場合に比べて周面摩擦力や引抜抵抗力が増大する効果を有する。
しかも、膨張作用を有するコンクリートを打設するので、拡幅部の細かい部分までコンクリートが拡散しながら充填できる効果を有する。
請求項3に係る本発明では、場所打ちコンクリート杭の少なくとも一部に、前記発泡剤を添加した膨張するコンクリートを打設することにより、通常のコンクリート層に膨張するコンクリート層を混在させた場所打ちコンクリート杭を形成できる。
また、通常のコンクリート中に膨張する複数のコンクリート層を形成でき、各層での膨張率を異ならせることが可能である。
請求項に係る本発明では、膨張するコンクリートには繊維物質を含有するので、膨張するコンクリートはひび割れ抵抗性が向上する効果がある。
本実施例に係る標準的な場所打ちコンクリート杭の工法を説明する説明する説明図である。 図1とは異なる場所打ちコンクリート杭の工法を説明する説明する説明図である。 図1及び図2とは異なる場所打ちコンクリート杭の工法を説明する説明する説明図である。 コンクリート硬化時の発泡剤等の効果を説明する説明図である。 場所打ちコンクリート杭の工法の変形例1を説明する説明図である。 場所打ちコンクリート杭の工法の変形例2を説明する説明図である。 場所打ちコンクリート杭の工法の変形例3を説明する説明図である。 場所打ちコンクリート杭の工法の変形例4を説明する説明図である。 場所打ちコンクリート杭の工法の変形例5を説明する説明図である。 配合例1に使用する材料を表わした一覧である。 配合例1の使用材料の配合量を表わす表である。 配合例1におけるAL(アルミニウム粉末)添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧である。 配合例1の膨張率と経過時間との関係を示すグラフである。 配合例1におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである 配合例2に使用する材料を表わした一覧である。 配合例2の使用材料の配合量を表わす表である。 配合例2におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧である。 配合例2におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである 配合例3に使用する材料を表わした一覧である。 配合例3の使用材料の配合量を表わす表である。 コンクリートのフレッシュ試験の結果を表わした一覧である。 配合例3におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧である。 AL添加量と膨張率測定結果を表わした一覧である。 配合例3の膨張率と経過時間との関係を示すグラフである。 配合例3におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである 配合例4および5に使用する材料を表わした一覧である。 (a)配合条件・試験、(b)使用ミキサ・練り混ぜ方法を表わした一覧である。 配合例4の使用材料の配合量を表わす表である。 配合例4におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧である。 配合例4の膨張率と経過時間との関係を示すグラフである。 配合例4におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである 配合例5の使用材料の配合量を表わした一覧である。 配合例5におけるAL添加量を変化させた時のコンクリート試験結果を表わした一覧である。 配合例5の膨張率と経過時間との関係を示すグラフである。 配合例5におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。 配合例4および配合例5の使用材料の配合量(ALなし)を表わした一覧である。 配合例4および配合例5においてのコンクリート試験結果を表わした一覧である。 配合例4および配合例5においての経過時間あたりのブリーディング量(cm3)を表わすグラフである。 配合例1から5におけるアルミニウム粉末の添加率と膨張率との関係を表わしたグラフである。 配合例3,4,5におけるアルミニウム粉末の添加率とコンクリート圧縮強度との関係を表わしたグラフである。 配合例1から6におけるアルミニウム粉末の添加率0%の初期膨張率と水セメント比との関係を表わしたグラフである。
本発明は、地中A内に形成した掘削孔11にコンクリートを打設して場所打ちコンクリート杭10を形成する場所打ちコンクリート杭工法であって、膨張材、膨張作用を有する発泡剤及び膨張作用を有する骨材の少なくともいずれかを添加した膨張するコンクリート12を掘削孔11に打設し、これを硬化することにより場所打ちコンクリート杭10を形成することを特徴とするものである。
すなわち、本発明は、掘削孔11に打設したコンクリート杭10の体積が膨張することによって、掘削孔11と一体になって強固なコンクリート杭10を形成するものである。
そして、本発明では、コンクリート杭10を膨張させる膨張材は、特に限定されないが、セメント水和時において、SO 2−及びHOと反応してエトリンガイトを生成するものが挙げられ、例えば、CaO−Al−Fe系化合物のカルシウムアルミノフェライト系膨張材や、CaO−Al−SO3系化合物のカルシウムサルフォアルミネート系膨張材(CSA系)を使用する。
また、本発明では、コンクリート杭10を膨張させる膨張剤として発泡剤を使用する。
発泡剤としては、セメント、水との混練時に気泡(ガス)を発泡させるものであればよく、特に限定されない。
例えば、水素ガスを発泡するアルミニウム粉末や窒素ガス発泡物質のスルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、及びヒドラジン誘導体等であり、亜鉛等の両性金属の粉末や、炭素物質や過酸化物質等を使用することができる。前記アルミニウム粉末等の発泡物質は、1種類又は2種類以上を添加して使用することができる。
発泡剤はその気泡量を調節可能としており、膨張量の調整も容易である。
発泡剤は、通常のコンクリートの軽量化のために使用されているが、本発明では膨張作用を有するものとして使用する。
また、前記発泡剤の代わりに、発泡して膨張作用を有する骨材(細骨材及び/又は粗骨材)も添加することができる。
膨張作用を有する骨材として、セメント、水との混練時に、膨張するもの又は気泡を発生させるものであれば特に限定されない。
細骨材として、通常は砂を用いるが、砂の代わりに、例えば、アルミニウムを含有する溶融スラグや金属製造工程起源スラグ(鉄鋼スラグ、非鉄金属スラグ)等を使用することができる。
そして、本発明では、溶融スラグ内のアルミニウムがコンクリート中の水酸化カルシウム及び水と反応して水素ガスを発生させることで発泡し、この発泡によりコンクリート杭10内での膨張作用を生成可能としている。
さらに、前記膨張作用を有する発泡剤や骨材に加えて前記膨張材を必要に応じて添加することができる。
図4は、膨張するコンクリート12硬化時の発泡剤等の効果を説明する説明図である。
このような発泡剤及び骨材の少なくともいずれかを使用することにより、図4に示すように、膨張作用によってコンクリート杭10の外壁面Gに向かって気泡19が拡散する。
そして、気泡19が拡散しながらコンクリート杭10の外壁面Gに向かって膨張するコンクリート12が膨張し、掘削孔11の内壁面Nに圧力をかけるように構成している。
このように、本発明は、前記膨張材、前記発泡剤及び前記骨材の少なくともいずれかを添加した膨張するコンクリート12を掘削孔11内に打設し、これを硬化することにより、本来のコンクリート杭10の機能である先端支持力と周面摩擦力及び引抜抵抗力を高める工法としている。
なお、場所打ちコンクリート杭10は、前記膨張材や前記発泡剤の添加量の調整により隙間を埋めることが調整可能である。
このように、膨張材や発泡剤は、隙間を埋めることができる量に調整して添加するので、コンクリート杭10そのものの強度を大きく低下させることはない。
そして、許容範囲内で制御することにより先端支持力、周面摩擦力、及び引抜抵抗力を向上できる効果を有する。
以下、膨張材、発泡剤及び骨材の少なくともいずれかを添加した膨張するコンクリート12を掘削孔11に打設する場所打ちコンクリート杭10の工法の具体例を説明する。
(標準的な場所打ちコンクリート杭工法)
最初に、本発明の標準的な場所打ちコンクリート杭10の工法について説明する。
図1は、標準的な場所打ちコンクリート杭10の工法を説明する説明図である。
まず、図1(a)に示すように、地中A内には掘削機により掘削することで所定深さを有する掘削孔11が形成される。
掘削はアースドリル工法、オールケーシング工法、又はリバース工法、地中連続壁基礎工法(壁杭・壁基礎を含む)、深礎工法、BH工法等により行われ、円筒形状又は角筒形状の掘削孔11が地中A内に形成される。
なお、前記アースドリル工法等によって、後述する先端拡幅部14や中途拡幅部15以外での掘削孔11の内壁面Nは同径状に形成される。
この後、図1(b)に示すように、掘削孔11内に安定液(ベントナイト系安定液、気泡安定液等を含む)16を充填して掘削孔11の内壁面Nの保護を行う。なお、気泡安定液とは希釈起泡剤を発泡させた気泡と水を注入し、掘削土と混合した安定液である。
次に、図1(c)に示すように、網目構造を有する鉄筋カゴ13が掘削孔11中に建て込まれる。
鉄筋カゴ13は、コンクリート杭10の長さ及び径によって所定間隔を有して網目状に配筋されている。
また、その掘削孔11に打設する膨張するコンクリート12を準備する。
コンクリートは、セメント(例えばポルトランドセメント)、水、及び骨材(細骨材及び/又は粗骨材)等で構成している。
なお、本発明では、生コンプラント工場又は現場において膨張するコンクリート12を生成してこれを打ち込むことを特徴とするものである。
その膨張するコンクリート12は、前記セメント、水、及び骨材に加え、膨張材や膨張作用を有する発泡剤等の混和材料を添加したものである。
または、膨張するコンクリート12は、前記通常の骨材の代わりに、膨張作用を有する骨材を使用したものを使用してもよい。この場合必要に応じて前記膨張材や前記発泡剤等の混和材料を添加したものであってもよい。
なお、場所打ちコンクリート杭10は膨張率を大きくするとコンクリート強度が低下してしまうので、強度低下を可及的に抑制するようにその膨張率をコントロールする必要があるが、その低下率は簡単に配合試験確認等により予測できるので許容範囲内で制御できる。
次に、図1(d)に示すように、鉄筋カゴ13が掘削孔11中に建て込まれた掘削孔11にトレミー管17を吊り込む。
次いで、トレミー管17の頭部にポンプを接続し、掘削孔11の先端部Sのスライム(図示せず)を除去する。
この後、ミキサー車(図示せず)からそのトレミー管17を通して掘削孔11中にコンクリート12を打設する。
そして、図1(e)に示すように、検尺テープ(図示せず)によって打設高さを確認し、トレミー管17を上方に引き抜いていく。
この時、安定液16と膨張するコンクリート12が混ざらないようにする為、トレミー管17底部は常に膨張するコンクリート12の中に埋まっている状態にする。
また、膨張するコンクリート12を打設しながら安定液16の引き抜き処理をする。
打設した膨張するコンクリート12は必要に応じて養生して硬化させることでコンクリート杭10を構築することができる。
このように、膨張材や発泡剤等が添加された膨張するコンクリート12を打設し、これを硬化することで本発明のコンクリート杭10本体を構築できる。
本発明では、図4に示すように、膨張材や発泡剤等の添加により膨張するコンクリート12中に気泡19が拡散することによりコンクリート躯体が膨張するように構成している。
このように、膨張材、発泡剤及び骨材のいずれかによって膨張するコンクリート12を膨張させ、掘削孔11の内壁面Nとコンクリート杭10の外壁面Gとの間に形成される隙間を埋めるように構成している。
また、膨張するコンクリート12によりコンクリート杭10の体積が増大することで、掘削孔11の内壁面Nにはコンクリート杭10の外壁面Gによる圧力が加わり、その反力として掘削孔11の内壁面Nからコンクリート杭10の外壁面Gに対して圧力が加わることになる。
また、コンクリート杭10本体を形成する膨張するコンクリート12は型枠を代用する掘削孔11の内壁面Nに打設されることにより、型枠を代用する掘削孔11の内壁面N(孔壁地盤)が膨張するコンクリート12の膨張を拘束する。
これにより、コンクリート杭10の外壁面Gと掘削孔11の内壁面Nとの隙間が埋められ、これらが一体化する。
したがって、コンクリート杭10が大きな先端支持力、周面摩擦力及び引抜抵抗力を有することになる。
しかも、膨張するコンクリート12自体に圧縮応力が生じることになり、これに加えて鉄筋カゴ13が建て込まれていればコンクリート杭10本体が予め応力を備えた状態、すなわちケミカルプレストレスも存在した状態となり、杭耐力向上を図ることができる。
さらに、生コンプラント工場又は現場において、セメント、水、骨材に加え、膨張材、膨張作用を有する発泡剤等を添加して膨張するコンクリート12を生成し、これを掘削孔11に打設するようにしているので、一回の施工のみで場所打ちコンクリート杭10を構築できる。
従って、先行特許文献に開示の従来技術に比べてコンクリート杭10の性能発揮までの時間を短縮することができる。
このように、本発明の場所打ちコンクリート杭10の工法は、比較的な簡単な工法であり、強固な基礎杭を構築することができる。
最後に、図1(f)に示すように、掘削孔11からケーシング等を取外し、杭頭処理、埋め戻し処理等をすることにより標準的な場所打ちコンクリート杭10を完成させる。
(拡幅部を備えた場所打ちコンクリート杭工法)
次に、掘削孔11の先端部S又は掘削孔11の中途部Tに形成した拡幅部に、前記膨張材、前記発泡剤及び前記骨材の少なくともいずれかを添加した膨張するコンクリート12を打設する工法を説明する。
図2は、掘削孔11の先端部S又は中途部Tに形成した拡幅部に膨張作用を有する膨張するコンクリート12を打設する工法を説明する説明図である。
掘削孔11の先端部S又は中途部Tが拡幅した拡幅部(先端拡幅部14又は中途拡幅部15)を形成する掘削方法として、拡幅掘削装置(図示せず)を使用する。
すなわち、アースドリル工法における拡幅掘削装置(図示せず)として、地中A内を掘削して掘削孔11を形成するバケット(図示せず)が裾広がり形状を有するものを使用して、掘削孔11の先端部Sが裾広がりの形状にするものが挙げられる。
または、バケットの上方に先端拡幅部14の上部斜面部Bを掘削する斜面部拡幅ブレード(図示せず)を設け、このブレードをバケットの掘削範囲から外側に突出させることにより、掘削孔11の先端部Sが裾広がりの形状の先端拡幅部14を形成するものでもよい。
この拡幅掘削装置は、掘削孔11を所定の深さまで掘削した後、前記バケットを掘削孔11に挿入し、斜面部拡幅ブレードを開いて掘削孔11拡幅部の上部斜面部Bを掘削するとともに、立ち上り部拡幅ブレードを開いて掘削孔11の下部立ち上り部Cを拡幅させて掘削するものである。
前記拡幅掘削装置により、図2(a)に示すように、掘削孔11の先端部Sに軸部よりも拡大させた先端拡幅部14が形成される。
そして、掘削孔11の先端拡幅部14に膨張作用を有する膨張するコンクリート12を打設する。
すると、気泡19を発生させて膨張しながら掘削孔11の先端拡幅部14に膨張するコンクリート12が充填されるのである。
このように、先端拡幅部14に膨張作用を有する膨張するコンクリート12を打設し、これが硬化することにより、図2(a)に示すように、掘削孔11の先端部Sは下方への膨張する力が作用する。
また、掘削孔11の先端部Sの内壁面Nからの反力が作用する。
これにより、先端部Sでコンクリート杭10と内壁面Nとが一体になって、先端支持力が増大することになる。
また、掘削孔11の上部斜面部Bでは、コンクリート杭10から掘削孔11への斜め上方への力が作用する。
従って、通常のコンクリート18では作用しない前記斜め上方への力が発生することにより、より周面摩擦力が増大することになる。しかも、引抜抵抗力を増大することになる。
次に、掘削孔11の中途部Tにおいては、円筒形状のバケットの上方にそのバケットより外方に突出させたブレード等(図示せず)により掘削することで、掘削孔11径より径の大きい中途拡幅部15を形成する。
中途拡幅部15は、掘削孔11内に複数設けることができる。
そして、図2(b)に示すように、この中途部Tに膨張作用を有する膨張するコンクリート12を打設する。
すると、気泡19を発生させて膨張しながら中途拡幅部15に膨張するコンクリート12が充填されるのである。しかも、この膨張作用により、中途拡幅部15の最外周の角部の狭い部分まで膨張するコンクリート12が充填される。
これにより、図2(b)に示すように、掘削孔11の中途拡幅部15では、斜め上方及び斜め下方への力がコンクリート杭10外方に向かって作用することになる。
また、これに対する反力が掘削孔11の内壁面Nから作用することになる。
従って、中途拡幅部15において、通常のコンクリート18では作用しない力が発生することにより、より周面摩擦力や引抜抵抗力が増大することになる。
以上のように、本実施例では掘削孔11の先端部Sでの先端拡幅部14又は中途部Tでの中途拡幅部15に膨張するコンクリート12を打設することにより、膨張するコンクリート12が中途拡幅部15で膨張するため、周面摩擦力や先端支持力が増す。
すなわち、拡幅部分での膨張するコンクリート12の体積を拡大させ、そこに生じる周面摩擦力の増大を図ると共に、周面支持力の増加及び引抜抵抗力の増大を図ることができる。
(混在の場所打ちコンクリート杭工法)
本実施例では、膨張するコンクリート12と、膨張しない通常のコンクリート18とを混在させてコンクリート杭10を形成するものである。
図3は、膨張するコンクリート12と通常のコンクリート18とを混在させた場所打ちコンクリート杭10を説明する説明図である。
まず、トレミー管17を通して先端側に膨張材や発泡剤等が添加された膨張するコンクリート12を所定量打設して、この後に通常のコンクリート18をコンクリート杭10の杭頭まで打設する。
これにより、図3(a)に示すように、下部に膨張するコンクリート12層が形成され、上部に通常のコンクリート18層が形成されたコンクリート杭10を構築できる。
このように、下部には膨張するコンクリート12層が形成されることにより先端支持力が増大されたコンクリート杭10を施工することができる。
特に、下部に膨張するコンクリート12層を形成することにより、先端支持力を増大させたコンクリート杭10を構築することができる。
なお、図3(b)に示すように、膨張するコンクリート12と通常のコンクリート18とを混在させて複数層に形成したコンクリート杭10を形成することができる。その層の数は限定されない。
また、膨張するコンクリート12の各層で膨張材や発泡剤等の添加量を異ならせて、膨張率を調整しながらコンクリート杭10を構築できる効果を有する。
例えば、下部のコンクリート層では膨張率を高め、上部ではその膨張率を低くしたコンクリート杭10を構築できる。
このように、通常のコンクリート18に膨張するコンクリート12を複数層混在させて打設することにより、複数層に応じて掘削孔11内での先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を増大できる効果を有する。
以上、本発明の場所打ちコンクリート杭工法の実施形態を図面に基づいて説明したが、膨張するコンクリートを用いた場所打ちコンクリート杭工法に基づいて、種々の変形、改良を施した他の実施形態を実施することも可能である。
以下の変形例では、膨張するコンクリートを用いた場所打ちコンクリート杭と既製杭との合成杭の工法である。すなわち、場所打ちコンクリート杭の直杭や先端拡幅杭及び中途部拡幅杭に膨張するコンクリートを打設する場所打ちコンクリート杭工法で、掘削はアースドリル工法、オールケーシング工法、リバース工法、BH工法、深礎工法や地中連続壁工法(壁杭・壁基礎を含む)等の場所打ちコンクリート杭の上部(杭頭部)に既製杭を建込み、その既製杭の先端部(根入れ部)と膨張するコンクリートとを一体化させて、上部は既製杭で構成され、下部は膨張するコンクリート杭とした場所打ちコンクリート合成杭の工法に実施することも可能である。
(場所打ちコンクリート杭の工法の変形例1)
本実施例では、図5に示すように、掘削孔中の鉄筋カゴに膨張するコンクリート12を打ち込み、さらに膨張するコンクリート12に既製杭20を挿入してコンクリート杭10と既製杭20とからなる合成杭21を形成するものである。なお、図5中の既製杭20としては、一例として鋼製の構真柱を用いる。
掘削孔11内に安定液16を充填して掘削孔11の内壁面Nの保護を行う。次に、網目構造を有する鉄筋カゴ13が掘削孔11中に建て込まれる。
鉄筋カゴ13が掘削孔11中に建て込まれた掘削孔11にトレミー管17を吊り込む。
次いで、トレミー管17の頭部にポンプを接続し、掘削孔11の先端部Sのスライム(図示せず)を除去する。この後、ミキサー車(図示せず)からそのトレミー管17を通して先端側に膨張材や発泡剤等が添加された膨張するコンクリート12を所定量打設する。
その後、硬化前の膨張するコンクリート12に既製杭20を挿入して、コンクリート杭10と既製杭20とからなる合成杭21を構築する。
このように、下部に膨張するコンクリート12が硬化したコンクリート杭10と既製杭20とを一体化した合成杭21が形成されることにより先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力が増大された合成杭21を施工することができる。
(場所打ちコンクリート杭の工法の変形例2)
本実施例では、図6に示すように、掘削孔11中に膨張するコンクリート12を打ち込み、さらに膨張するコンクリート12に既製杭20を挿入してコンクリート杭10と既製杭20とからなる合成杭21を形成するものである。なお、図6中の既製杭20としては、一例として鋼製の構真柱を用いる。
掘削孔11内に安定液16を充填して掘削孔11の内壁面Nの保護を行う。
掘削孔11にトレミー管17を吊り込む。次いで、トレミー管17の頭部にポンプを接続し、掘削孔11の先端部Sのスライム(図示せず)を除去する。この後、ミキサー車(図示せず)からそのトレミー管17を通して先端側に膨張材や発泡剤等が添加された膨張するコンクリート12を所定量打設する。
その後、硬化前の膨張するコンクリート12に既製杭20を挿入して、コンクリート杭10と既製杭20とからなる合成杭21を構築する。
このように、下部に膨張するコンクリート12が硬化したコンクリート杭10と既製杭20とを一体化した合成杭21が形成されることにより先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力が増大された合成杭21を施工することができる。
(場所打ちコンクリート杭の工法の変形例3)
本実施例では、図7に示すように、掘削孔11中に鉄筋カゴ13と既製杭20を一体化して建て込んだ後、膨張する膨張コンクリート12を打ち込み、コンクリート杭10と既製杭20とからなる合成杭21を形成するものである。なお、図7中の既製杭20としては、一例として鋼製の鋼管を用いる。
掘削孔11内に安定液16を充填して掘削孔11の内壁面Nの保護を行う。次に、網目構造を有する鉄筋カゴ13上部が既製杭20の中空間に挿入固定して一体化される。
鉄筋カゴ13と一体化した既製杭20を掘削孔11中に建て込み、既製杭20の内孔を介して掘削孔11にトレミー管17を吊り込む。
次いで、トレミー管17の頭部にポンプを接続し、掘削孔11の先端部Sのスライム(図示せず)を除去する。この後、ミキサー車(図示せず)からそのトレミー管17を通して先端側に膨張材や発泡剤等が添加された膨張するコンクリート12を所定量打設する。
コンクリート杭10と既製杭20とからなる合成杭21を構築する。すなわち、既製杭20と鉄筋カゴ13は一体化され、既製杭20の中空内に鉄筋カゴ13上部が挿入された形態のまま膨張するコンクリート12が硬化して合成杭21を構築する。
このように、下部に膨張コンクリート12が硬化したコンクリート杭10と既製杭20と鉄筋カゴ13を一体化した合成杭21が形成されることにより先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力が増大された合成杭21を施工することができる。このように杭頭部に鋼管の既製杭20を用いることにより水平方向の力が印加した場合に充分に杭頭部が耐えうる合成杭21を構築することができる。
(場所打ちコンクリート杭の工法の変形例4)
上述した図7の合成杭工法3と図8の合成杭工法4との違いは、掘削孔内に建て込む鉄筋カゴ13と既製杭20の一体化方法が異なるのみで図8においては既製杭20の先端部(根入れ部)の外周に鉄筋カゴ13上部を重ねて固定して一体化する形態であり、その他の構成は同様であり、同一符号を付して重複説明を省略する。
図8に示すように、鉄筋カゴ13と既製杭20とコンクリート杭10とからなる合成杭21を構築する。
このように、下部に膨張するコンクリート12が硬化したコンクリート杭10と既製杭20と鉄筋カゴ13を一体化した合成杭21が形成されることにより先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力が増大された合成杭21を施工することができる。
なお、図5から図8中の場所打ちコンクリート杭の変形例において、各変形例を既製杭の先端根固めとしての膨張するコンクリートを用いる既製杭根固め工法で実施することも可能である。
(場所打ちコンクリート杭の工法の変形例5)
本実施例では、図9に示すように、掘削孔11中の鉄筋カゴ13上部(杭頭部)に既製杭20をラップさせ一体化して建て込み膨張するコンクリート12を打ち込み、コンクリート杭10と既製杭20付きの鉄筋カゴ13からなる合成杭21を形成するものである。
この合成杭21は杭の曲げ耐力を向上するために、膨張するコンクリートを用いた場所打ちコンクリート杭の杭頭部を突起付き鋼管や縞鋼管、又は素鋼管等により補強した場所打ち鋼管コンクリート杭や炭素繊維管で補強した場所打ちコンクリート杭である。
掘削孔11内に安定液16を充填して掘削孔11の内壁面Nの保護を行う。次に、網目構造を有する鉄筋カゴ13に鋼管や炭素繊維管等の既製杭20で補強し掘削孔11中に建て込まれる。
鉄筋カゴ13の上部に既製杭20を一体化して掘削孔11中に建て込まれ、掘削孔11にトレミー管17を吊り込む。
次いで、トレミー管17の頭部にポンプを接続し、掘削孔11の先端部Sのスライム(図示せず)を除去する。この後、ミキサー車(図示せず)からそのトレミー管17を通して先端側に膨張材や発泡剤等が添加された膨張するコンクリート12を所定量打設する。
コンクリート杭10と既製杭20付き鉄筋カゴ13とからなる合成杭21を構築する。すなわち、既製杭20の直径は鉄筋カゴ13の直径より大きいため、既製杭20の中空内に鉄筋カゴ13上部が挿入された形態のまま膨張するコンクリート12が硬化して合成杭21を構築する。
このように、膨張するコンクリート12が硬化したコンクリート杭10と既製杭20付きの鉄筋カゴ13を一体化した合成杭21が形成されることにより先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力が増大された合成杭21を施工することができる。このように杭頭部に既製杭20を用いることにより水平方向の力が印加した場合に充分に杭頭部が耐えうる合成杭を構築することができる。
また、既製杭の外周又は内周には、突起又は凹凸を設けることでコンクリート杭との結合を増すように構成してもよい。
なお、上述した既製杭20としては、鋼杭や既製コンクリート杭であり、鋼杭は鋼管杭、H型鋼杭、構真柱杭等であり、或いは、既製コンクリ―ト杭はPHC杭(Pretensioned Spun High Strength concrete Piles)、ST杭(Step Tapered Piles)、節杭(Nodular Piles)、SC杭(Steel Composite Concrete Piles)、PRC杭(Pretensioned& Reniforced Spun HigStrength Concrete Piles)、SL杭(Slip Layer Compund Piles)等である。
なお、膨張するコンクリートには繊維物質を含有するようにしてもよい。繊維物質としては、例えばスチールファイバー、ビニロンファイバー、炭素繊維、ワラストナイト繊維等である。繊維物質を含有した膨張するコンクリートはひび割れ抵抗性が向上する効果がある。
上述した図5から図9中の杭の形状は、膨張するコンクリートを用いた場所打ちコンクリート杭のストレート杭(直杭)であるが、図3に示すように掘削孔の先端を膨張するコンクリートを打設し、その上部に通常のコンクリートを打設した形態であってもよい。その他、膨張するコンクリートを用いた場所打ちコンクリート杭の先端拡幅杭や中途部拡幅杭、及び先端拡幅や中途部拡幅を含む地中連続壁杭(壁杭・壁基礎を含む)に応用することも可能である。
[膨張するコンクリートの実証試験]
以下、発泡剤のアルミニウム粉末を添加した膨張コンクリートの実証試験について詳説する。実証試験を行うにあたり、5種類の配合例を作製し、各配合例を順次説明したのち考察している。
[配合例1]
図10は配合例1に使用する材料を表わした一覧であり、図11は配合例1の使用材料の配合量を表わし、図12は配合例1におけるAL(アルミニウム粉末)添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図13は配合例1の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図14は配合例1におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例1では、普通ポルトランドセメントを用いた膨張性高流動コンクリートである。図11に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント量比)セメント量500kgに対してアルミニウム粉末を15g、30g、45gはセメント比、それぞれ0.003%、0.006%、0.009%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、0.2%、1.0%、2.5%となる。なお、水セメント比は35%である。
図14に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.078X−1.0733又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図39に示すようにアルミニウム粉末を添加率0.012%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約3.6%となり、アルミニウム粉末を添加率0.015%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約4.77%となり、アルミニウム粉末を添加率0.020%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約6.72%となることを回帰式より予測することができる。
よって、コンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することが可能である。
[配合例2]
図15は配合例2に使用する材料を表わした一覧であり、図16は配合例2の使用材料の配合量を表わし、図17は配合例2におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図18は配合例2におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例2では、高炉セメントB種を用いた膨張性高流動コンクリートである。図17に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント量比)セメント量407kgに対してアルミニウム粉末を0g、25g、37.5g、50gはセメント比、それぞれ0%、0.006%、0.009%、0.012%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、-0.3%、0.5%、1.35%、1.98%となる。なお、水セメント比は43%である。
図18に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.0592X−0.9433又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図39に示すようにアルミニウム粉末を添加率0.015%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約2.67%となり、アルミニウム粉末を添加率0.020%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約3.87%となることを回帰式より予測することができる。
この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率-0.3%であるので、実質膨張率は(0.3+3.87=)4.17%である。
よって、コンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することが可能である。
[配合例3]
図19は配合例3に使用する材料を表わした一覧であり、図20は配合例3の使用材料の配合量を表わし、図21はコンクリートのフレッシュ試験の結果を表わした一覧であり、図22は配合例3におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図23はAL添加量と膨張率測定結果を表わした一覧であり、図24は配合例3の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図25は配合例3におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例3では、低熱ポルトランドセメントを用いた膨張性高流動コンクリートである。図22に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント量比)セメント量500kgに対してアルミニウム粉末を20g、40g、60gはセメント比、それぞれ0.004%、0.008%、0.012%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、0.94%、3.28%、4.67%となる。なお、水セメント比は34%である。
図25示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.0935X−0.78又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図39に示すようにアルミニウム粉末を添加率0.015%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約6.23%となり、アルミニウム粉末を添加率0.020%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約8.57%となることを回帰式より予測することができる。
よって、コンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することが可能である。
[配合例4]
図26は配合例4および5に使用する材料を表わした一覧であり、図27は(a)配合条件・試験、(b)使用ミキサ・練り混ぜ方法を表わした一覧であり、図28は配合例4の使用材料の配合量を表わした一覧であり、図29は配合例4におけるAL添加量を変化させた時のコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図30は配合例4の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図31は配合例4におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例4では、普通ポルトランドセメントを用いた膨張性コンクリート(スランプ配合18cm)である。図29に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント量比)セメント量370kgに対してアルミニウム粉末を0g、30g、37g、44gはセメント比、それぞれ0%、0.008%、0.010%、0.012%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、-0.89%、-0.52%、-0.26%、-0.02%となる。なお、水セメント比は50%である。
図31に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.0357X−1.5881又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図39に示すようにアルミニウム粉末を添加率0.015%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約0.39%となり、アルミニウム粉末を添加率0.020%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約1.05%となることを回帰式より予測することができる。
この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率-0.89%であるので、実質膨張率は(0.89+1.05=)1.94%である。
よって、コンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することが可能である。
[配合例5]
図32は配合例5の使用材料の配合量を表わした一覧であり、図33は配合例5におけるAL添加量を変化させた時のコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図34は配合例5の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図35は配合例5におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例5では、普通ポルトランドセメントを用いた膨張性コンクリート(スランプ配合18cm)である。図33に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント量比)セメント量370kgに対してアルミニウム粉末を0g、30g、37g、44gはセメント比、それぞれ0%、0.008%、0.010%、0.012%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、-0.55%、0.47%、0.90%、1.25%となる。なお、水セメント比は45.9%である。
図35に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.0557X−1.1881又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図39に示すようにアルミニウム粉末を添加率0.015%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約1.9%となり、アルミニウム粉末を添加率0.020%で添加した場合には、そのコンクリートの膨張率が約2.93%となることを回帰式より予測することができる。
この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率-0.55%であるので、実質膨張率は(0.55+2.93=)3.48%である。
よって、コンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することが可能である。
[配合例1から5のまとめ]
上述した配合例1から5の実証実験から、発泡剤のアルミニウム粉末の添加率に基づいた膨張するコンクリートの膨張率は事前に予測することが可能となり、当然にコンクリートの膨張率はアルミニウム粉末の添加量で適宜調整することができる。
また、配合例1および配合例3においては発泡剤のアルミニウム粉末の添加率0%の場合に図13および図24に示すように初期膨張率0%である。図11に示すように配合例1の水セメント比は35%であり、図20に示すように配合例3の水セメント比は34%である。
従って、配合例1〜5より、初期膨張率0%にする水セメント比は、コンクリート初期膨張率(アルミニウム粉末の添加率0%のとき)と水セメント比との関係から推測することができる。
ここで、アルミニウム粉末添加率0%の初期膨張率と水セメント比との関係を図41のグラフとして示した。図41中のNO1は配合例1の膨張率0%と水セメント比35%との関係を示しており、NO2は配合例2の膨張率−0.3%と水セメント比43%との関係を示しており、NO3は配合例3の膨張率0%と水セメント比34%との関係を示しており、NO4は配合例4の膨張率−0.89%と水セメント比50%との関係を示しており、NO5は配合例5の膨張率−0.55%と水セメント比45.9%との関係を示している。
図41に示すように、配合例2,4,5の水セメント比の初期膨張率の各プロットを直線で結び、さらに点線で描いた近似直線を膨張率0%まで結ぶことで、コンクリート初期膨張率(アルミニウム粉末の添加率0%のとき)が水セメント比39.5%であると予測的に読み取ることができる。
これにより、配合例1〜5については水セメント比を39.5%以下となる配合としたのちに、発泡剤のアルミニウム粉末を添加することにより、初期膨張率0%を基準としたコンクリートの設定膨張率を確実に生成することができる。
また、配合例4および5についてブリーディング試験を実施した。
図36は配合例4および配合例5の使用材料の配合量(ALなし)を表わした一覧であり、図37は、配合例4および配合例5においてのコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図38は配合例4および配合例5においての経過時間あたりのブリーディング量(cm3)を表わすグラフである。
図36中のNO1は混和剤SV10Lを用いた配合例4であり、NO2は混和剤SF500Sを用いた配合例5である。すなわち、図37に示すように、NO1の配合例4は、混和剤SV10L(AE減水剤標準形)C×1.0%のときブリーディング率3.57%となり、NO2の配合例5は、混和剤SF500S(高性能AE減水剤)C×0.8%のときブリーディング率1.24%となる。
一方、混和剤のAE減水剤を用いたコンクリート配合に発泡剤のアルミニウム粉末(セルメックP)を添加した場合には元の沈降量が大きいために膨張によってその沈降量をキャンセルするが、最終的にコンクリートが膨張した量は小さくなる。
他方、混和剤の高性能AE減水剤を用いたコンクリート配合に発泡剤のアルミニウム粉末(セルメックP)を添加した場合には単位水量を低減することができるので、沈降量が小さくなり、最終的にコンクリートを所定の量だけ膨張させることができる。
図37および図38に示すように、コンクリートのブリーディング量が多くなるとコンクリートの沈降量が大きくなる。したがって、コンクリートの沈降量が大きくなると発泡剤のアルミニウム粉末(セルメックP)による膨張量は小さくなる。
かかることからコンクリートのブリーディング率が0%になるように、混和剤の高性能AE減水剤等の添加量を適宜決定して使用することで初期膨張率0からの膨張率を生成することが可能となる。
従って、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量によるコンクリートの膨張は、コンクリート配合を水セメント比からとブリーディングを抑える初期膨張率を0%配合して、設定膨張率に必要なアルミニウム粉末の量を適宜決定することが好ましい。
また、コンクリートの膨張率を上げるには、単位セメント量を多くして、かつ、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量を多くすることで、大きな膨張率を得ることが出来る。
[ALの添加量に応じたコンクリート圧縮強度実証実験]
図40は、配合例3,4,5におけるアルミニウム粉末の添加率とコンクリート圧縮強度との関係を表わしたグラフである。
図40に示すように、配合例3,5,4は発泡剤のアルミニウム粉末の添加率が増加するにつれて、圧縮強度の低減が略直線的に推移する。アルミニウム粉末添加率が0.008%の場合において、配合例3の低減強度率は92.02%となり、配合例5の低減強度率は93.29%となり、配合例4の低減強度率は93.60%となる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.008%の場合では、低減強度率を最大約92%程度と予測することができる。
また、アルミニウム粉末添加率が0.012%の場合において、配合例3の低減強度率は80.67%となり、配合例5の低減強度率は84.91%となり、配合例4の低減強度率は88.24%となる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.012%の場合では、低減強度率を最大約80%程度と予測して、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量の配合計画を事前に行うことができる。
また、圧縮強度の低減が略直線的に推移することから予測的にアルミニウム粉末添加率が0.015%の場合において、配合例3の低減強度率は79.36%と、配合例5の低減強度率は81.19%と、配合例4の低減強度率は85.15%と推定できる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.015%の場合では、低減強度率を最大約79%程度と予測することができる。
また、予測的にアルミニウム粉末添加率が0.020%の場合において、配合例3の低減強度率は68.40%と、配合例5の低減強度率は75.04%と、配合例4の低減強度率は80.41%と推定できる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.020%の場合では、低減強度率を最大約68%程度と予測することができる。
結果的には、発泡剤のアルミニウム粉末添加率のコンクリート膨張率とコンクリート圧縮強度との関係から発泡剤のアルミニウム粉末の添加率が0.004%〜0.025%の範囲であることが好ましい。アルミニウム粉末の添加率が0.004%〜0.025%の範囲とすることで、この添加量を添加した膨張するコンクリートが掘削孔内で膨張圧力を生起して掘削孔壁に圧力をかけた状態となり、掘削孔壁地盤からは反作用の反力が生起する状態となる。この状態のまま、コンクリートが硬化することで、コンクリート杭と周辺地中地盤とは強固に一体化する。場所打ちコンクリート杭の杭先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を大きく向上できる効果がある。
アルミニウム粉末の添加率が0.004%未満の場合では、コンクリート圧縮強度の低下は抑えられる反面、膨張率が低いため掘削孔の壁面への膨張圧力を充分に与えることができない。アルミニウム粉末の添加率が0.025%を超えた場合では、強度低下が大きくなり、強度を上げるためにセメント量を多くする必要があり、材料コストが上昇して経済性が悪くなる。
[膨張場所打ちコンクリート杭の例]
場所打ちコンクリート杭を実際に膨張させ、すなわち、その杭の体積を拡大させるとする。例えば、杭径φ1200mmを10mm膨張してφ1210mmにする膨張率は、1.67%になる。杭径φ1500mmを10mm膨張してφ1510mmにする膨張率は、1.33%になる。杭径φ2000mmを10mm膨張してφ2010mmにする膨張率は、1.00%になる。
杭径φ1200mmを20mm膨張してφ1220mmにする膨張率は、3.36%になる。杭径φ1500mmを20mm膨張してφ1520mmにする膨張率は、2.63%になる。杭径φ2000mmを20mm膨張してφ2020mmにする膨張率は、2.01%になる。
杭径φ1200mmを30mm膨張してφ1230mmにする膨張率は、5.06%になる。杭径φ1500mmを30mm膨張してφ1530mmにする膨張率は、4.04%になる。杭径φ2000mmを30mm膨張してφ2030mmにする膨張率は、3.02%になる。
杭径φ1200mmを40mm膨張してφ1240mmにする膨張率は、6.77%になる。杭径φ1500mmを40mm膨張してφ1540mmにする膨張率は、5.04%になる。杭径φ2000mmを40mm膨張してφ2040mmにする膨張率は、4.04%になる。
杭径φ1200mmを50mm膨張してφ1250mmにする膨張率は、8.50%になる。杭径φ1500mmを50mm膨張してφ1550mmにする膨張率は、6.77%になる。杭径φ2000mmを50mm膨張してφ2050mmにする膨張率は、5.06%になる。
このように杭体の杭径を10mm〜50mm膨張することができる膨張率1.00%〜8.50%は、配合例3より、アルミニウム粉末添加率0.004%で0.94%の膨張率であり、添加率0.012%で膨張率4.67%である。予測的に添加率0.020%で膨張率8.57%と推量される。この数値は、アルミニウム粉末の添加率0.004%と0.012%で膨張率0.94%と4.67%は実測値(供試体3つの平均値)、添加率0.020%で膨張率8.57%は回帰式からの予測値であり予測可能である。以上のことから、発泡剤のアルミニウム粉末は予測的には大きな膨張量を発現することができる。
また、場所打ちコンクリート杭工法による掘削孔の地盤の緩みは、片側5mm程度と推定すると杭直径では10mm増となり、この10mmの膨張量を発現すると緩んだ地盤はコンクリート杭体の外壁面と掘削孔の内壁面との隙間が埋められ地盤の緩みが解消される。さらに10mm以上の膨張量は膨張圧力を生起して掘削孔壁に圧力をかけた状態となり、掘削孔壁地盤からは反作用の反力が生起する状態となる。この状態のまま、コンクリートが硬化することで、コンクリート杭と周辺地中地盤とは強固に一体化する。場所打ちコンクリート杭の杭先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を大きく向上できる効果がある。
上述した杭径においては杭コンクリート体の膨張量は、約20mm以上が好ましく、40mm〜50mmの膨張量を生起することが好適である。
また、掘削孔に打設される膨張するコンクリートは、掘削孔中にトレミー工法で膨張するコンクリ―トを直接打設するので、型枠かわりの掘削孔壁による拘束を受けるので、試験練と同等の拘束膨張率と強度を発現することができる。
この膨張するコンクリートの40mm〜50mmを膨張する膨張率は、掘削孔壁の緩みを膨張圧力で埋め、余力の膨張圧力は掘削孔壁に圧力をかけたままで掘削孔壁の地盤からの反力の圧力を受けて、場所打ちコンクリート杭と周面地盤は、強固に一体化した状態となり、杭先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力の性能を大きく向上されることができる。
また、膨張後のコンクリート強度も実際には、コンクリートは40mm〜50mmは膨らまないので大きく低下することなく予測可能である。
また、コンクリートに膨張材が混入すれば、コンクリートの硬化後のコンクリート収縮補償(収縮ゼロ)以上とすれば、鉄筋カゴによるケミカルプレストレスが発現することになり、杭の性能をより向上することができる。
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
10 場所打ちコンクリート杭
11 掘削孔
12 膨張するコンクリート
13 鉄筋カゴ
14 先端拡幅部
15 中途拡幅部
16 安定液
17 トレミー管
18 通常のコンクリート
19 気泡
20 既製杭
21 合成杭
A 地中
B 上部斜面部
C 下部立ち上り部
G 外壁面
N 内壁面
S 先端部
T 中途部

Claims (4)

  1. 地中内に形成した掘削孔にコンクリートを打設して場所打ちコンクリート杭を形成する場所打ちコンクリート杭工法であって、
    張作用を有する発泡剤を添加した膨張するコンクリートを掘削孔に打設し、これを硬化することにより場所打ちコンクリート杭を形成し
    前記発泡剤のアルミニウム粉末の添加量はセメントに対して質量パーセントで0.004%〜0.025%である
    ことを特徴とする場所打ちコンクリート杭工法。
  2. 掘削孔の先端部又は掘削孔の中途部に形成した拡幅部に、前記発泡剤を添加した膨張するコンクリートを打設することを特徴とする請求項1に記載の場所打ちコンクリート杭工法。
  3. 場所打ちコンクリート杭の少なくとも一部に、前記発泡剤を添加した膨張するコンクリートを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の場所打ちコンクリート杭工法。
  4. 膨張するコンクリートには繊維物質を含有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の場所打ちコンクリート杭工法
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