JP6014288B1 - 先端翼付き鋼管杭の回転工法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、先端翼付き鋼管杭の回転工法では、回転埋設中又は埋設後にグラウト噴出孔よりセメントミルク、セメントモルタル、液状樹脂等の固化材、地盤改良材としての可塑状ゲル剤、硬化性流体等を圧入して根固めや周囲地盤を締め固めるとともに地盤改良を行い支持力の向上が図られている。
特許文献1の鋼管杭の埋設方法では、螺旋翼付きの杭を地盤にねじ込み、その後杭のグラウト噴出孔よりセメントミルクを注入して、掘削軟化した土砂とセメントミルクとを杭側面に押圧し圧縮し、無排土で杭をねじ込んで行き、鋼管杭の周辺に杭の外径の2倍強の外径を有する連続螺旋状の周辺支持層を形成し、鋼管杭の所定深さへの貫入後、鋼管杭を回転しながら上下方向に動かして、鋼管杭下部の土砂とセメントミルクを混合し、鋼管杭の下端部に杭の外径の略2倍強の外径とした根固め団魂が形成されて、大きな支持力が得られる。
また、特許文献2のねじ込み式鋼管杭では、鋼管杭打設の打ち止め直前又は打ち止め後に、鋼管杭の先端部又はその近傍から地盤中にセメントミルク、セメントモルタル、液状樹脂等の固化材を注入して翼付き鋼管杭と一体化するものであるが、セメントミルク、セメントモルタルは硬化時に自己収縮するものであり、一方、液状樹脂等の固化材は自己収縮しないものの膨張するものでもない。
また、特許文献3の鋼管杭の施工方法では、螺旋翼付き鋼管杭を地盤中に回転圧入し、その後固化材を加圧注入して周囲地盤を締固め且つ地盤改良を行うものであるが、固化材は膨張するものではない。
また、特許文献4の回転貫入鋼管杭及び根固めされた基礎杭の構築方法では、翼付き鋼管杭を地盤に回転貫入して、杭先端付近或いは螺旋翼に形成された吐出孔からセメントミルク、セメントモルタル、液状樹脂等の硬化性流動物を供給するものであるが、セメントミルク、セメントモルタルは固化時における自己収縮が生じ、一方の樹脂は固化時において自己収縮がないものの膨張するものでもない。
上記特許文献1から4の先端翼付き鋼管杭の回転工法の根固めでは、セメントミルク等を掘削孔内に加圧注入し、そのセメントミルク等が硬化すると自己収縮してしまい、根固め部と周面地盤及び翼付き鋼管杭の密着力が低下して弱体化して、鋼管杭の外周面と掘削孔の内壁面との間に緩みや隙間が生じていた。
この緩みや隙間は、翼付き鋼管杭の先端側での先端支持力の低下、翼付き鋼管杭の外周面での周面摩擦力の低下及び引抜抵抗力の低下にも繋がっていた。
このように、翼付き鋼管杭の回転杭工法の根固めにおいては、周辺地盤との緩みや隙間により鋼管杭全体の機能低下を招いていた。
すなわち、本発明では、掘削孔の拘束下の圧力下において、発泡剤を添加したセメント流動物を注入し、先端翼で掘削土壌と攪拌混合したソイルセメントを造成し、ソイルセメントを発泡膨張させて、膨張して硬化するソイルセメントが深度に応じて逆テーパー形状の膨張率及び膨張圧力を生起しながら体積が増大し、逆テーパー形状の先端翼付き鋼管杭を築造することができる。
いわゆる、膨張して硬化する根固め部のソイルセメントは、造成高さの範囲において、逆テーパー形状の膨張圧力を生起して逆テーパー形状に形成される。この逆テーパー形状の膨張杭は、膨張圧力で掘削孔壁を押圧するので掘削孔の周面地盤の緩みを圧密して強化する。逆テーパー形状の膨張杭は載荷重の沈下に対して圧密し強化した周面地盤を押し広げようとするので、周面地盤は載荷重の杭の沈下による押し広げに対抗する抵抗力を発現し沈下を抑制する効果がある。
また、硬化した逆テーパー形状の膨張硬化杭は、造成高さの範囲において、断面視くさび型に形成されるので、引抜きに対して抵抗力が大きく向上する効果がある。
また、根固め部において膨張して硬化する逆テーパー形状のソイルセメントは、掘削孔の孔壁地盤(内壁面)と先端翼付き鋼管杭に膨張圧力を同時にかけるが、孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭に拘束されて反作用の反力を同時に受けるので、根固め部のソイルセメントと孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭とは強固な膨張圧力の密着力で強固に一体化することができる。
このように、膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を注入し、ソイルセメントを造成する工法により、膨張して硬化するソイルセメントが逆テーパー形状の膨張率及び膨張圧力を生起することにより、本工法は先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を向上する効果がある。
発泡剤は、掘削土壌の性質に応じて最適な種類を選択して添加することで、確実にガスを発泡させて必要な膨張率を得ることができる。
また、例えば発泡剤を2種類選択することによりソイルセメント中において気泡の大きさが異なる2種類のガスを発生して、大小の泡による膨張ソイルセメントを造成することができる。
発泡剤を添加したソイルセメントの膨張は、緩い地盤や掘削孔の孔壁地盤の緩みを膨張圧力で押圧し地盤を圧密し強化する。
且つ、ソイルセメントの膨張圧力による反作用の反力の膨張圧力で根固め部のソイルセメントと孔壁地盤とは強固な圧密力の密着力で周面摩擦力を向上させる。
また、発泡剤は、セメント組成物をソイルセメント全般にわたるち密で均一に拡散させ、ソイルセメントの膨張圧力を均一に生起させ、先端翼付き鋼管杭とソイルセメントとの付着力を向上させる。
また、発泡剤を添加したソイルセメントは、大きく発泡膨張するため、従来技術に比べて圧密力の密着力で付着力を増大させる効果を有する。
本発明の造成するソイルセメントの膨張率は1%から8%の範囲であるので、造成したソイルセメントは掘削孔の孔壁地盤を膨張圧力で押圧し孔壁地盤を圧密し強化し、膨張圧力の作用・反作用によりソイルセメントと孔壁地盤とは強固に一体化する。
発泡剤を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%未満の場合には、掘削土壌と攪拌混合して造成するソイルセメントの膨張率が1%未満となり、掘削孔内で膨張して硬化したソイルセメントは、掘削孔の孔壁地盤や先端翼付き鋼管杭との密着力が弱くなる。
発泡剤を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が16%より大きい場合には、掘削土壌と攪拌混合して造成するソイルセメントの膨張率が8%より大きくなり、掘削孔内で膨張して硬化したソイルセメントは、掘削孔の孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭との密着力が良いものの圧縮強度が低下してしまう。
セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率は、セメント質量に対してアルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加する相関関係があるので、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することが可能である。セメントミルク又はモルタル又はコンクリートに大きな膨張率が必要であれば、セメント質量に対してアルミニウム粉末の添加量を予測的に多くすることで、所定の膨張率を生起するができる。
また、掘削孔の拘束下における圧力下において、掘削深度に対するアルミニウム粉末の添加量を設定することで掘削土壌と攪拌混合による膨張するソイルセメントが常圧(大気圧)の膨張率を生起することができるので、掘削する深度を130mまでとする、アルミニウム粉末の添加量は膨張して硬化するソイルセメントの膨張圧力で孔壁地盤と強固に一体化する効果ある。
アルミニウム粉末を添加したセメントミルクの膨張率が、セメント質量に対しアルミニウム粉末の添加量が0.002%未満の場合又はモルタルの膨張率がセメント質量に対して0.007%未満の場合又はコンクリートの膨張率がセメント質量に対して0.008%未満の場合では、セメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が3%未満となり、造成するソイルセメントの膨張率が1%未満となるので、膨張して硬化するソイルセメントが掘削孔の孔壁地盤に充分な膨張圧力を与えることができない。
また、セメントミルクの膨張率がセメント質量に対しアルミニウム粉末の添加率が0.6%を越える場合又はモルタルの膨張率がセメント質量に対して1.2%を超える場合又はコンクリートの膨張率がセメント質量に対して4%を超える場合では、セメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が16%より大きくなり、造成するソイルセメントの膨張率は8%より大きくなるので、掘削孔の孔壁地盤との密着力が高まるものの、一方で強度低下が大きくなってしまう、そこで強度を上げるためにはセメント量を多くする必要があり、材料コストが上昇して経済性が悪くなる。
このようにして、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率を設定することで掘削土壌と攪拌混合して造成するソイルセメントの膨張率を1%から8%に生起させることができ、膨張して硬化するソイルセメントは所定の大きさの膨張圧力をかけるので、孔壁地盤とは強固な圧密力の密着力で一体化する効果がある。
またはモルタルの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から1.2%とする。
またはコンクリートの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.008%から4%とする。
この発明の実施例を図面に基づき詳説する。工法の説明の前に先端翼付き鋼管杭並び土中貫入装置について説明する。
下記工程のセメント流動物はモルタルを用いて説明するが、その他、セメント流動物としてセメントミルク又はコンクリートを用いた場合の説明については同様な工法であるので重複説明を省略する。また、下記工法においては、発泡剤をアルミニウム粉末とした場合について説明する。
射方向に複数個の扇形の分割片11,11,11より構成されており、それぞれの分割片11は組立分解自在に構成されている。
しかも、各分割片11が中心の挿貫孔10に向かって縮径方向に摺動した場合は挿貫孔10の鋼管杭周面20(図1参照)を密着緊締することができ、その後の先端翼付き鋼管杭Pの回転掘削作業の作動形態となる。
なお、ジャッキライナーは、3分割したものであるが、図9、図10のジャッキライナーは、分割線を省略している。3分割式のジャッキライナーの他に2分割から10分割程度のものがあり、これらのように複数分割したジャッキライナーに適用してもよい。
その後、先端翼付き鋼管杭Pの先端部を掘削孔41の先端部(基部)付近まで回転貫入して先端翼付き鋼管杭の打ち止めとする。
連結管は、逆止弁機構を有しており供給管から供給されるモルタル(セメント流動物)をグラウト噴出口23へ流入させるときのみ解放状態となるように構成されている。同様に先端翼31付きの鋼管杭についても供給管Zを連結管に連通連結してグラウト噴出口23からモルタルを供給するようにしている。
さらに、水素ガスの浮遊力を利用してセメントの拡散を促し、ソイルセメント44に充分な発泡機能を生起して、ソイルセメント44の組成物全般にわたるち密で均一な膨張硬化を発揮することができる。
なお、セメント流動物としては、上述したモルタルからセメントミルク又はコンクリートに変えた場合についても同様の作用効果が生じる。
且つ、掘削孔の孔壁地盤に膨張圧力をかけたまま硬化するのでこれらを一体化することができ、先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を高めた根固め部46のソイルセメント44を備えた先端翼付き鋼管杭Pを築造することができる。
この膨張する逆テーパー形状は、掘削孔壁を膨張圧力で押圧するので、掘削による掘削孔の周面地盤の緩みを圧密し強化する。
また、載荷重による杭の沈下は、逆テーパー形状の膨張圧力で孔壁地盤を押圧し圧密した周面地盤を押し広げようとするので、逆テーパー形状の周面地盤は沈下による押し広げに対抗して反力の抵抗力を発現し杭の沈下を抑制する。
また、膨張した逆テーパー形状は、くさび型を形成しているので引抜きに対する抵抗力が大きく向上する。
膨張して硬化するソイルセメント44の根固め部46は、逆テーパー形状の膨張圧力で孔壁地盤を押圧するので、掘削による掘削孔の周面地盤の緩みを圧密しながら強化するが、緩みの少ない硬い地盤に膨張が拘束され、充分に膨らまず、不十分な逆テーパー形状の膨張を形成するので、孔壁地盤からは反作用の反力を受けて膨張圧力と反力とでソイルセメント44と周面地盤とは強固な圧密力の密着力で一体化する。
ば、岩の地層)場合は、膨張して硬化するソイルセメント44の根固め部46が、逆テーパー形状の膨張圧力を生起する。
膨張して硬化するソイルセメント44の根固め部46は、逆テーパー形状の膨張圧力で孔壁地盤を押圧するが、掘削による掘削孔の周面地盤が非常に硬く地盤の緩みがないため、膨張して硬化するソイルセメント44は、掘削孔で逆テーパー形状の膨張圧力を生起するが、ソイルセメント44の根固め部46は膨らまず逆テーパー形状の膨張圧力を生起したままとなる。
これにより、孔壁地盤は全膨張圧力を受けて反作用の反力の全膨張圧力を生起するので、ソイルセメント44の根固め部46と周面地盤とは、より強固な圧密力の密着力で一体化する。
螺旋翼付き鋼管杭の構造では、杭本体の先端部外周に杭本体の外径の略1.5倍から2倍強の外径を有する翼巾の螺旋翼を一巻きにわたり突設しており、攪拌混合のために螺旋翼を回転作動した場合には、螺旋翼が1方向に突設されているため反復攪拌混合しても、ねじ込み回転貫入しても掘削孔中の掘削土砂とモルタルやセメントミルクやコンクリート(セメント流動物)と十分な攪拌混合が期待できない。さらに、掘削地盤が粘土性である場合においては、攪拌混合が不均一になることが多々ある。
上述したX状の先端翼付き鋼管杭の構造では、逆方向に傾斜する2枚の鋼板翼の羽根刃は互いに反対方向から掘削回転貫入し、半回転ごとに互いに掘削土砂を互いに逆方向で攪拌しながらねじ込み回転貫入することができる。そのために掘削土砂は細かく粉砕されて、流動化され、さらに上下反復回転攪拌の正転及び逆転で混合することで均一な攪拌混合体が生成される。
この攪拌混合体中に発泡剤のアルミニウム粉末を添加したモルタル又はセメントミルクコンクリート(セメント流動物)を注入充填しながら攪拌混合し、膨張するソイルセメントを造成することができる。このようなソイルセメントを造成することで、ソイルセメント44と先端翼付き鋼管杭Pとの付着力を高めて掘削孔の孔壁地盤に膨張圧力をかけたままこれらを一体化する等の上記効果を有する。
発泡剤のアルミニウム粉末の添加量を多くすると、造成するソイルセメントはソイルセメント中でのガスの発生量が多くなり、ソイルセメント中に微空隙を多数気孔状に散在することで膨張して硬化したソイルセメントは強度の低下を発生する。
よって、アルミニウム粉末の添加量は強度の低下を加味した添加量とする。
上記実施例では発泡剤としてアルミニウム粉末のみを用いたが、他の膨張作用を有する発泡剤として、セメント組成物中における化学反応によりガスを発泡する少なくとも、亜鉛等の両性金属の粉末、炭素物質、過酸化物質、スルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体から選択した1種又は2種以上であってもよい。
セメント流動物の膨張率が3%から16%を生成するには、セメントミルクの場合にはアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.02%の添加量、モルタルの場合には0.007%から0.04%の添加量、コンクリートの場合には0.008%から1.4%の添加量である。
よって、掘削孔にかかる水圧は掘削の深度が深いほど高水圧下となる。
また、水深が深くなるほど比例して圧力が強くなるので、水素ガスの体積が小さくなり、ソイルセメントの膨張が逆テーパー形状の膨張率を生起して、逆テーパー形状の膨張圧力を生起する。すなわち、高水圧下では常圧と同じ膨張率は期待できない。
よって、水深20m下では3気圧で3倍、水深50m下では6気圧で6倍、水深100m下では11気圧で11倍、水深130mでは14気圧で14倍にする。
また、発泡剤を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリートを注入し、掘削土壌と攪拌混合してソイルセメントを造成しているので、ソイルセメントの密度を2.0(比重)とすると、掘削深度にかかる圧力は水圧力の2倍となるので、ソイルセメントの密度2.0を用いてアルミニウム粉末の添加量を算出する。
さらに、掘削孔内のソイルセメントの密度を2.0(比重)とすると、それぞれ2倍して、掘削深度10mで常圧の2倍(2気圧)×2(ソイルセメントの比重2.0)=4倍、掘削深度50mで常圧の6倍×2=12倍、掘削深度100mで常圧の11倍×2=22倍、掘削深度130mで常圧の14倍×2=28倍となる。
この膨張率1%から8%のソイルセメントは、掘削による掘削孔壁の周面地盤の緩みを膨張圧力で押圧し締め固めて強化する。
また、孔壁地盤にはソイルセメントの膨張圧力がかかり孔壁地盤からは反作用の圧力がソイルセメントにかかるので、膨張して硬化した根固め部のソイルセメントは孔壁地盤と強固な圧密力で一体化することができる。
また、根固め部のソイルセメントと先端翼付き鋼管杭は、ソイルセメントの膨張圧力と先端翼付き鋼管杭からの反力で強固な圧密力の付着力で一体化するので、ソイルセメントと先端翼付き鋼管杭のズレを防止することができる。
細骨材として砂を用いたが例えば、砂の代わりにアルミニウムを含有する溶融スラグや金属製造起源スラグ(鉄鋼スラグ、非鉄金属スラグ)等を使用してもよい。
(1)流動性が良好となり、経時に伴う流動性の低下が少ない。
(2)材料分離が少ない。
(3)適度の凝結遅延性を得ることができる。
(4)適度の膨張性をもち、粗骨材との良好な付着性を得ることができる。
(5)拘束内(掘削孔内)での硬化後、所要の強度、耐久性、水密性を得ることができる。
また、セメント組成物中における化学反応によりガス発泡物質としては、過炭酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過マンガン酸塩、過酸化水素等の過酸化物質や炭素物質等である。
これらの膨張作用を有する発泡剤を用いることで、セメント組成物中における化学反応により窒素ガス或いは酸素ガス等を発泡する際にガスの浮遊力を利用してセメントの拡散を促し、ソイルセメントに充分な発泡機能を生起して、ソイルセメントの組成物全般にわたるち密な膨張硬化を発揮することができる。
また、発泡剤は単独の材料で十分な発泡・膨張効果を有するが、複数の発泡剤を併用して使用してもよい。
上記変形例では、土中貫入装置としては全周回転ジャッキで説明したが、他にキャタピラ式回転圧入機や三点式杭打機などの回転圧入機で実施可能である。
[配合例A]
図12は、セメントミルクとしてのセメントペースト(水、普通ポルトランドセメント、高性能AE減水剤標準形)にアルミニウム粉末の量を変えて添加した場合の膨張率を示すグラフである。セメントペーストとアルミニウム粉末の配合例は表1の通りとなる。
・アルミニウム粉末(セルメックP)の添加量は表2に示す。
セメントミルクの膨張率は、セメント質量に対してアルミニウム粉末添加量の増加に応じて略直線的に増加する相関関係があることから、表2のアルミニウム粉末添加量が0g/m3、50g/m3、100g/m3の場合のそれぞれの膨張率は、0%、5%、8%である。アルミニウム粉末添加量150g/m3の膨張率は予測的な近似直線から12%となる。アルミニウム粉末添加量200g/m3の膨張率は予測的な近似直線から16%となる。
注入するセメントミルクの膨張率の範囲を3%から16%に設定すると、膨張率3%の場合は、表2及び図12よりアルミニウム粉末の添加量30g/m3、(0.465g)と推定でき、膨張率16%の場合は、図12及び表2からアルミニウム粉末の添加量200g/m3、(3.1g)と推定することができる。
アルミニウム粉末の添加量0.465gは、セメント質量25kgに対して0.00186%の添加率となる。また、アルミニウム粉末の添加量3.1gは、セメント質量25kgに対して0.0124%の添加率となる。
従って、発泡剤を添加したセメントミルクの膨張率3%から16%が生起できるアルミニウム粉末の添加率は、セメント質量に対して0.00186%から0.0124%の範囲の添加率となる。セメントミルクのアルミニウム粉末の添加率は、同じ添加率でも温度が低くなるほど反応速度が遅くなり、膨張率が小さくなる特性があるのでセメント質量に対して0.002%から0.02%の範囲で管理する。
セメントミルクのアルミニウム粉末添加率が0.002%未満の場合では、アルミニウム粉末を添加したセメントミルクの膨張率が3%未満となる。このような3%未満の膨張率のセメントミルクを掘削孔内に注入し、先端翼付き鋼管杭で掘削土壌と攪拌混合して造成したソイルセメントは膨張率が1%未満と小さくなってしまい、ソイルセメントが掘削孔壁面に膨張圧力を充分に与えることができなくなる。
セメントミルクのアルミニウム粉末添加率が0.02%を超える場合では、アルミニウム粉末を添加したセメントミルクの膨張率が16%より大きくなる。このような16%より大きい膨張率のセメントミルクを掘削孔内に注入し、先端翼付き鋼管杭で掘削土壌と攪拌混合して造成したソイルセメントは膨張率が8%より大きくなってしまい、ソイルセメントが掘削孔壁面に大きな膨張圧力を与える反面で、ソイルセメントの圧縮強度が大きく低下してしまうことがある。
配合例Bは、発泡剤のアルミニウム粉末とモルタル(セメント+細骨材:砂 等)と配合した例である。表3は配合材料を示すものである。表4は配合材料の配合量を示したものである。表5は表4のとおり発泡剤のアルミニウム粉末入りモルタルを配合してその膨張率を示すものである。
モルタルの膨張率は、セメント質量に対してアルミニウム粉末添加量の増加に応じて略直線的に増加する相関関係がある。
表4より、アルミニウム粉末添加量が0g/m3、20g/m3、40g/m3の場合のそれぞれの膨張率は、0%、1.09%、2.53%であり、予測的な近似直線を描くことで、アルミニウム粉末添加量が230g/m3の場合は、膨張率16.3%を示す。予測的な近似直線から膨張率3%の場合のセメント質量681kg/m3に対するアルミニウム粉末添加量は47g/m3となり、添加率は0.0069%となる。
予測的な近似直線から膨張率16%の場合のセメント質量681kg/m3に対するアルミニウム粉末添加量は226g/m3となり、添加率は0.0332%となる。
注入するモルタルの膨張率の範囲を3%から16%に設定すると、膨張率3%ではセメント質量に対してアルミニウム粉末添加率0.0069%であり、膨張率16%ではセメント質量に対してアルミニウム粉末添加率0.0332%と予測できる。
したがって、発泡剤を添加したモルタルの膨張率3%から16%を得るために必要なアルミニウム粉末の添加率は、セメント質量に対して0.0069%から0.0332%となる。よって、モルタルのアルミニウム粉末の添加率は、上述したセメントミルクと同様に同じ添加率でも温度が低くなるほど反応速度が遅くなり、膨張率が小さくなる特性があるのでセメント質量に対して0.007%から0.04%の範囲として管理する。
ここでモルタルのアルミニウム粉末の添加率が0.007%未満の場合は、アルミニウム粉末を添加したモルタルの膨張率が3%未満となりうるので、膨張率3%未満のモルタルを掘削孔内に注入し、掘削土壌と攪拌混合すると、造成したソイルセメントの膨張率が1%未満と小さくなり、掘削孔壁面に膨張圧力を充分に与えることができなくなる。
モルタルのアルミニウム粉末の添加率が0.04%より大きい場合は、アルミニウム粉末を添加したモルタルの膨張率が16%より大きくなるので、膨張率16%より大きいモルタルを掘削孔内に注入し、掘削土壌と攪拌混合すると、造成したソイルセメントの膨張率が8%より大きくなり、掘削孔壁面に大きな膨張圧力を与えるが、ソイルセメントの圧縮強度が大きく低下してしまうことがある。
この膨張率1%から8%からなるソイルセメント硬化体は、ソイルセメントが周面地盤と先端翼付き鋼管杭の基部周面に膨張圧力をかけて、ソイルセメントと掘削孔壁面や先端翼付き鋼管杭の基部面との間の緩みや隙間を膨張圧力で生起させたソイルセメントで埋め、余力の膨張圧力をかけたまま硬化するので、先端翼付き鋼管杭の周面摩擦力を向上させて、杭の先端支持力や引抜き抵抗力を増大させる効果がある。
図48は、流動化土(掘削土壌)とセメントミルク又はモルタル又はコンクリートとを攪拌混合したイメージ図である。セメントミルク又はモルタル又はコンクリート注入による根固め部の攪拌混合によるソイルセメントのイメージであり、先端部土質が砂・砂礫の場合である(図中において、実際には混合攪拌されているが、注入比率を表示する)。
注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率を3%から16%の範囲に設定しているので、最小の3%の膨張率で注入すると、注入率100%で造成するソイルセメントの膨張率は1.5%になることから、1.5%(膨張率)÷1.5(安全率)=1%となる。 注入率が150%で造成するソイルセメントの膨張率は2.01%になることから、2.01%÷1.5=1.34%となる。
注入率200%で造成するソイルセメントの膨張率は2.25%になることから、2.25%÷1.5=1.5%となる。
よって、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が最小の3%で、注入率100%から200%で造成するソイルセメントの膨張率が1%から1.5%となることから、造成するソイルセメントの最小膨張率を1%とする。
注入率100%で造成するソイルセメントの膨張率は8%になることから、8%÷1.5=5.33%となる。
注入率150%で造成するソイルセメントの膨張率は10.72%になることから、10.72%÷1.5=7.15%となる。
注入率200%で造成するソイルセメントの膨張率は12%になることから、12%÷1.5=8%となる。
よって、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が最大の16%で、注入率100%から200%で造成するソイルセメントの膨張率が5.33%から8%となることから、造成するソイルセメントの最大膨張率を8%とする。
ここで、普通ポルトランドセメントを用いた膨張性コンクリート(スランプ配合)において、表6(使用材料表)、表7(コンクリート配合表)、表8(コンクリート試験結果)の基づき、コンクリートの膨張性と拘束なしの場合と拘束下の場合において圧縮強度の実証試験を行った。図14は、アルミニウム粉末添加率と膨張量の推移を示すグラフであり、図15は、拘束なしの場合と拘束下の場合における横軸にアルミニウム添加量と縦軸に強度との関係を示すグラフである。
セメント質量344kgに対して、アルミニウム粉末の添加量0g、20g、40gの場合のセメント比は0%、0.0058%、0.0116%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた各膨張率は、−0.38%、0.26%、1.58%となる。なお、水セメント比は45%である。
図45中の配合例Cに示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率はアルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合には、予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、アルミニウム粉末を添加率0.025%で添加した場合には、コンクリートの膨張率が予測的な近似直線から約4.5%と予測できる。添加率0.030%で膨張率5.6%である。よって、コンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量で適宜調整することができる。
図15のグラフについて考察すると、拘束なしにおいては、アルミニウム粉末の添加率が多くなると強度低下は略直線的に低下し、発泡剤のアルミニウム粉末の添加率が0.0058%の場合は低減強度率89.76%となり、アルミニウム粉末の添加率が0.0116%の場合は低減強度率74.9%となり、予測的に添加率0.025%の場合は低減強度率45.36%と添加率0.030%で低減強度率33.78%と予測することができる。
拘束下においては、アルミニウム粉末の添加率が0.0058%の場合は低減強度率94%となり、アルミニウム粉末の添加率が0.0116%の場合は低減強度率94.98%となり、予測的に添加率0.025%の場合は低減強度率89.18%と添加率0.030%で低減強度率86.87%と予測することができる。
このグラフから拘束下においては圧縮強度が大きく低下しないことが明らかである。
・供試体の拘束がない場合の強度低下は、膨張率1.5%程度で25%低下した。
・供試体を拘束することで強度低下を抑えることが出来る。
根固め部のソイルセメントでは、発泡剤のアルミニウム粉末を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)を掘削孔内に注入して、或いは注入しながら、砂層、砂礫層、礫層を先端翼付き鋼管杭の先端翼で攪拌混合しながら上下方向に反復作動するので、均一に造成するソイルセメントはモルタル及びコンクリートに近いセメント組成物となる。その後、硬化して根固め部となる。
よって、本工法では、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)の膨張率が3%から16%となるように発泡剤のアルミニウム粉末を添加することで造成するソイルセメントの膨張率と圧縮強度を適宜調整することができる。
以下において膨張性コンクリートの各種実証試験を行い、発泡剤のアルミニウム粉末を添加した膨張性コンクリートの実証試験について詳説する。実証試験を行うにあたり、5種類の配合例を作製し、各配合例を順次説明したのち考察している。
図16は配合例1に使用する材料を表わした一覧であり、図17は配合例1の使用材料の配合量を表わし、図18は配合例1におけるAL(アルミニウム粉末)添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図19は配合例1の膨張率と経
過時間との関係を示すグラフであり、図20は配合例1におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
図18に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント質量比)セメント量500kgに対してアルミニウム粉末を15g、30g、45gはセメント比、それぞれ0.003%、0.006%、0.009%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、0.2%、1.0%、2.5%となる。なお、水セメント比は35%である。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.0104%から約0.0437%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末の添加量を適宜調整することでコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
図21は配合例2に使用する材料を表わした一覧であり、図22は配合例2の使用材料の配合量を表わし、図23は配合例2におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図24は配合例2におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
なお、水セメント比は43%である。
また、この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率−0.3%であるので、アルミニウム粉末の添加率
0.030%においては実質膨張率は(0.3+6.28=)6.58%である。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.0163%から約0.0703%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末の添加量を適宜調整することコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
図25は配合例3に使用する材料を表わした一覧であり、図26は配合例3の使用材料の配合量を表わし、図27はコンクリートのフレッシュ試験の結果を表わした一覧であり、図28は配合例3におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図29はAL添加量と膨張率測定結果を表わした一覧であり、図30は配合例3の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図31は配合例3におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
図28に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント質量比)セメント量500kgに対してアルミニウム粉末を20g、40g、60gはセメント比、それぞれ0.004%、0.008%、0.012%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、0.94%、3.28%、4.67%となる。なお、水セメント比は34%である。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.008%から約0.0358%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末添加量を適宜調整することでコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
図32は配合例4および5に使用する材料を表わした一覧であり、図33は(a)配合条件・試験、(b)使用ミキサ・練り混ぜ方法を表わした一覧であり、図34は配合例4の使用材料の配合量を表わした一覧であり、図35は配合例4におけるAL添加量を変化させた時のコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図36は配合例4の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図37は配合例4におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
また、この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率−0.89%であるので、アルミニウム粉末の添加率は0.030%においては実質膨張率が(0.89+2.37=)3.26%である。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.0347%から約0.1331%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することでコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
図38は配合例5の使用材料の配合量を表わした一覧であり、図39は配合例5におけるAL添加量を変化させた時のコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図40は配合例5の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図41は配合例5におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、−0.55%、0.47%、0.90%、1.25%となる。なお、水セメント比は45.9%である。
また、この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率−0.55%であるので、アルミニウム粉末の添加率0.030%においては実質膨張率は(0.55+4.99=)5.54%である。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.0203%から約0.0834%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することでコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
上述した配合例1から5の実証試験から、発泡剤のアルミニウム粉末の添加率に基づいた膨張するコンクリートの膨張率は事前に予測することが可能となり、当然にコンクリートの膨張率はアルミニウム粉末の添加量で適宜調整することができる。
従って、配合例1から5より、初期膨張率0%にする水セメント比は、コンクリート初期膨張率(アルミニウム粉末の添加率0%のとき)と水セメント比との関係から推測する
ことができる。
これにより、配合例C、1から5については水セメント比を39.5%以下となる配合としたのちに、発泡剤のアルミニウム粉末を添加することにより、初期膨張率0%を基準としたコンクリートの設定膨張率を確実に生成することができる。
図42は配合例4および配合例5の使用材料の配合量(ALなし)を表わした一覧であり、図43は、配合例4および配合例5においてのコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図44は配合例4および配合例5においての経過時間あたりのブリーディング量(cm3)を表わすグラフである。
図46は、配合例C、3,4,5におけるアルミニウム粉末の添加率とコンクリート圧縮強度との関係を表わしたグラフである。
図46に示すように、配合例3,5,4は発泡剤のアルミニウム粉末の添加率が増加するにつれて、圧縮強度の低減が略直線的に推移する。アルミニウム粉末添加率が0.008%の場合において、配合例3の低減強度率は92.02%となり、配合例5の低減強度率は93.29%となり、配合例4の低減強度率は93.60%となる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.008%の場合では、低減強度率を最大約92%程度と予測することができる。
先ず、配合例Cの拘束ありの場合において、アルミニウム粉末添加率が0%の場合では、コンクリート強度51.8N/mm2となる。アルミニウム粉末添加率が0.0058%の場合では、コンクリート強度48.7N/mm2で強度低減率94.01%となる。
アルミニウム粉末添加率が0.0116%の場合では、コンクリート強度49.2N/mm2で強度低減率94.98%となる。
予測的にアルミニウム粉末の添加率が、0.025%の場合では、コンクリート強度46.2N/mm2で強度低減率89.18%と推定でき、予測的にアルミニウム粉末の添加率が、0.030%の場合では、コンクリート強度45.0N/mm2で強度低減率86.87%と推定できる。
先端翼付き鋼管杭の回転工法の先端翼径の根固め部のソイルセメントを発泡膨張させ、その根固め部となるソイルセメントの体積を拡大させる。
例えば、膨張率12%のセメントミルクを掘削孔に注入して先端翼で掘削土壌と攪拌混合した場合において、注入率100%でセメントミルクを注入して造成したソイルセメントの膨張率は6%となる。安全率「1.5」とするとソイルセメントの膨張率は4%となる。
先端翼付き鋼管杭の先端翼径の根固め部のソイルセメントを発泡膨張させて、膨張して硬化するソイルセメントが逆テーパー形状の膨張率を生起し、逆テーパー形状の膨張圧力を生起する先端翼付き鋼管杭の回転工法で実施の予測をする。
配合例Bにおいての膨張性モルタルの予測膨張率5.4%(セメント量681kg/m3×アルミニウム粉末添加率0.0116%≒79g/m3となり、図13より膨張率5.4%を拾い出す)の数値を用いて、先端翼付き鋼管杭の回転工法の根固めを実施する。
よって、造成する根固め部となるソイルセメント高さ10mの範囲のモルタル含有率は75%となり、膨張率は75%の生起となる。
また、掘削による地盤の緩みを膨張するソイルセメントの膨張圧力で、緩んだ地盤を押圧して締め固めるのでソイルセメントの根固め部と周面地盤とは強固に一体化し周面摩擦力が向上する。
また、根固め部の杭の高さ10mで、上端で7mm膨張した逆テーパー形状(くさび型)であるので、周面地盤と強固に一体化したくさび型の杭は引抜き抵抗力を大きく向上する。
よって、逆テーパー形状の膨張圧力を生起して不十分な逆テーパー形状の膨張を形成し先端支持力や周面摩擦力及び引抜き抵抗力が向上する。
このソイルセメントの全膨張圧力と孔壁地盤からの反作用の反力は、膨張して硬化したソイルセメントと先端翼付き鋼管杭と孔壁地盤とをより強固に一体化させる。
根固め部となるソイルセメントの強度は良好である。
具体的に、杭基礎は、既製杭のプレボーリング根固め工法や中堀根固め工法、鋼管ソイルセメント杭工法、ATTコラム工法、大口径杭RSプラス工法等が挙げられる。
既製杭は、鋼杭や既製コンクリート杭である。具体的には、鋼杭とは鋼管杭、H型杭、構真柱杭、鋼管や異形棒鋼等の補強材である。既製コンクリート杭は、PHC杭、ST杭、節杭、SC杭、PRC杭、SL杭等であり、その他、既製コンクリート杭以外の上記既製杭であってもよい。
また、地盤改良は、原位置土と改良液(セメント流動物)を混合攪拌する機械攪拌工法、高圧噴射攪拌工法、高圧噴射併用機械攪拌工法等により改良体を築造する工法であって、構造物の基礎として基礎杭や壁杭及び地中連続壁等と同じように支持力や摩擦力及び引抜抵抗力の機能を持つ地盤改良杭(例えば、円柱形状、矩形状、格子形状等)や地盤補強土工等で実施できる。
また、掘削した掘削孔にトレミー管や注入管を用いて、発泡剤を添加したセメント流動物を直接打設又は注入し基礎杭や基礎体を築造する工法で実施できる。
具体的に、場所打ちコンクリート杭、地中連続壁基礎、ケーソン基礎、鋼管矢板基礎、グランドアンカー工、地山補強土工、グラウト工等である。
また、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の基礎工法の形態で本発明を実施することが可能である。
B 掘削土
K ジャッキライナー
P 先端翼付き鋼管杭
41 掘削孔
43 モルタル
44 ソイルセメント
46 根固め部
Claims (6)
- 地中内に先端翼付き鋼管杭をねじ込みつつ掘削孔を形成し、そのまま埋設する先端翼付き鋼管杭の回転工法であって、
掘削孔の基部に先端翼付き鋼管杭をねじ込むと共に予め膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を注入する工程と、
掘削土壌と攪拌混合することによりソイルセメントを造成する工程と、
掘削孔中の先端翼付き鋼管杭の基部周辺に造成したソイルセメントを膨張させ、ソイルセメントが逆テーパー形状の膨張圧力を生起する工程を少なくとも有する
先端翼付き鋼管杭の回転工法。 - 膨張作用を有する発泡剤としては、セメント組成物中における化学反応によりガスを発泡する少なくともアルミニウム粉末、亜鉛等の両性金属の粉末、炭素物質、過酸化物質、スルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体から選択した1種又は2種以上である
請求項1に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。 - セメント流動物としては、セメントで構成する少なくとも、セメントミルク、モルタル、コンクリートの何れかであり、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%から16%となるように前記発泡剤を添加した
請求項1又は2に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。 - セメントミルクの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.6%とする、
またはモルタルの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から1.2%とする、
またはコンクリートの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.008%から4%とする、
請求項3に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。 - 膨張するソイルセメントには繊維物質を含有する
請求項1から4の何れか1項に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。 - 先端翼付き鋼管杭には、杭本体の外周に平鋼材又は丸鋼材又は異形鋼材からなる突起を形成した突起付き鋼管やリブ付き鋼管や縞鋼板付き鋼管を含む
請求項1から5の何れか1項に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。
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