JP6014288B1 - 先端翼付き鋼管杭の回転工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】翼付き鋼管杭では、セメントミルク等を掘削孔内に加圧注入し、そのセメントミルク等が硬化すると自己収縮してしまい地盤及び翼付き鋼管杭の密着力が弱くなり、鋼管杭の外周面と掘削孔の内壁面との間に緩みや隙間が生じていた。【解決手段】掘削孔の基部に先端翼付き鋼管杭をねじ込むと共に予め膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を注入する工程と、掘削土壌と攪拌混合することによりソイルセメントを造成する工程と、掘削孔中の先端翼付き鋼管杭の基部周辺に造成したソイルセメントを膨張させ、ソイルセメントが逆テーパー形状の膨張圧力を生起する工程を少なくとも有する先端翼付き鋼管杭の回転工法。【選択図】図11D

Description

本発明は、先端翼付き鋼管杭の回転工法に関するものである。
近年、建造物の基礎工法において、ねじ込み式の回転貫入による先端に翼を形成した鋼管杭が開発されその多くが実用化されている。これらの代表的な羽根又は翼付きの鋼管杭では、鋼管の先端部に一巻きにわたり突設した螺旋羽根(螺旋翼)或いは2枚の半円鋼板同士を逆に傾斜させX字形状とした翼状羽根を形成しており、地面を掘削の際は鋼管を回転させて先端羽根又は翼を地面にねじ込み貫入させることで、先端羽根又は翼による貫入方向の推進力が得られるものである。このような回転貫入型の鋼管杭は、低騒音低振動で施工が可能であると共に無排土による地盤締め効果が得られ先端翼による支持力増大が見込まれることから、先端翼付き鋼管杭の回転工法として広く普及している。
また、先端翼付き鋼管杭の回転工法では、回転埋設中又は埋設後にグラウト噴出孔よりセメントミルク、セメントモルタル、液状樹脂等の固化材、地盤改良材としての可塑状ゲル剤、硬化性流体等を圧入して根固めや周囲地盤を締め固めるとともに地盤改良を行い支持力の向上が図られている。
また、以下の先行特許文献においては、先端翼付き鋼管杭の回転工法による根固めが開示されている。
特許文献1の鋼管杭の埋設方法では、螺旋翼付きの杭を地盤にねじ込み、その後杭のグラウト噴出孔よりセメントミルクを注入して、掘削軟化した土砂とセメントミルクとを杭側面に押圧し圧縮し、無排土で杭をねじ込んで行き、鋼管杭の周辺に杭の外径の2倍強の外径を有する連続螺旋状の周辺支持層を形成し、鋼管杭の所定深さへの貫入後、鋼管杭を回転しながら上下方向に動かして、鋼管杭下部の土砂とセメントミルクを混合し、鋼管杭の下端部に杭の外径の略2倍強の外径とした根固め団魂が形成されて、大きな支持力が得られる。
特許文献2のねじ込み式鋼管杭は、ドーナツ状の鋼板を複数に分割し、分割した平板状の鋼製板を鋼管の先端近傍の外周に取り付けて構成しており、翼付き鋼管杭打設の打ち止め直前又は打ち止め後に、鋼管杭の先端部又はその近傍から地盤中に固化材を注入して翼付き鋼管杭と一体化する工法が開示されている。
特許文献3の鋼管杭の施工方法では、先端に螺旋翼を設けた鋼管杭を地盤中に回転圧入し、その後固化材を加圧注入して周囲地盤を締め固めると共に地盤改良を行う工法が開示されている。
特許文献4の回転貫入鋼管杭及び根固めされた基礎杭の構築方法では、杭先端の外周に螺旋翼を設けた翼付き鋼管杭とこの鋼管杭を地盤に回転貫入して、杭先端付近或いは螺旋翼に形成された吐出孔から硬化性流動物を供給する方法が開示されている。
特公平4−58850号公報 特開平11−36295号公報 特開2007−255108号公報 特開2013−57194号公報
特許文献1の先端翼付き鋼管杭の回転工法の根固めでは、セメントミルクを注入して土砂の根固め団魂を形成しており、セメントミルクの硬化時に自己収縮が生じる。
また、特許文献2のねじ込み式鋼管杭では、鋼管杭打設の打ち止め直前又は打ち止め後に、鋼管杭の先端部又はその近傍から地盤中にセメントミルク、セメントモルタル、液状樹脂等の固化材を注入して翼付き鋼管杭と一体化するものであるが、セメントミルク、セメントモルタルは硬化時に自己収縮するものであり、一方、液状樹脂等の固化材は自己収縮しないものの膨張するものでもない。
また、特許文献3の鋼管杭の施工方法では、螺旋翼付き鋼管杭を地盤中に回転圧入し、その後固化材を加圧注入して周囲地盤を締固め且つ地盤改良を行うものであるが、固化材は膨張するものではない。
また、特許文献4の回転貫入鋼管杭及び根固めされた基礎杭の構築方法では、翼付き鋼管杭を地盤に回転貫入して、杭先端付近或いは螺旋翼に形成された吐出孔からセメントミルク、セメントモルタル、液状樹脂等の硬化性流動物を供給するものであるが、セメントミルク、セメントモルタルは固化時における自己収縮が生じ、一方の樹脂は固化時において自己収縮がないものの膨張するものでもない。
上記特許文献1から4の先端翼付き鋼管杭の回転工法の根固めでは、セメントミルク等を掘削孔内に加圧注入し、そのセメントミルク等が硬化すると自己収縮してしまい、根固め部と周面地盤及び翼付き鋼管杭の密着力が低下して弱体化して、鋼管杭の外周面と掘削孔の内壁面との間に緩みや隙間が生じていた。
この緩みや隙間は、翼付き鋼管杭の先端側での先端支持力の低下、翼付き鋼管杭の外周面での周面摩擦力の低下及び引抜抵抗力の低下にも繋がっていた。
このように、翼付き鋼管杭の回転杭工法の根固めにおいては、周辺地盤との緩みや隙間により鋼管杭全体の機能低下を招いていた。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、大きな膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を掘削孔中に注入して、従来工法より大きな膨張性によりソイルセメントと周面地盤及び先端翼付き鋼管杭とを強固に一体化させ、先端翼付き鋼管杭の先端支持力や周面摩擦力及び引抜き抵抗力の増大を図った先端翼付き鋼管杭の回転工法を提供する。
請求項1に記載の発明は、地中内に先端翼付き鋼管杭をねじ込みつつ掘削孔を形成し、そのまま埋設する先端翼付き鋼管杭の回転工法であって、掘削孔の基部に先端翼付き鋼管杭をねじ込むと共に予め膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を注入する工程と、掘削土壌と攪拌混合することによりソイルセメントを造成する工程と、掘削孔中の先端翼付き鋼管杭の基部周辺に造成したソイルセメントを膨張させ、ソイルセメントが逆テーパー形状の膨張圧力を生起する工程を少なくとも有する。
請求項2に記載の発明は、膨張作用を有する発泡剤としては、セメント組成物中における化学反応によりガスを発泡する少なくともアルミニウム粉末、亜鉛等の両性金属の粉末、炭素物質、過酸化物質、スルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体から選択した1種又は2種以上である。
請求項3に記載の発明は、セメント流動物としては、セメントで構成する少なくとも、セメントミルク、モルタル、コンクリートの何れかであり、セメントミルク又は、モルタル、又はコンクリートの膨張率が3%から16%となるように前記発泡剤を添加した。
請求項4に記載の発明は、セメントミルクの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.6%とする、またはモルタルの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から1.2%とする、またはコンクリートの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.008%から4%とする。
請求項5に記載の発明は、膨張するソイルセメントには繊維物質を含有する。
請求項6に記載の発明は、先端翼付き鋼管杭には、杭本体の外周に平鋼材又は丸鋼材又は異形鋼材からなる突起を形成した突起付き鋼管やリブ付き鋼管や縞鋼板付き鋼管を含む。
請求項1に記載の発明によれば、地中内に先端翼付き鋼管杭をねじ込みつつ掘削孔を形成し、そのまま埋設する先端翼付き鋼管杭の回転工法であって、掘削孔の基部に先端翼付き鋼管杭をねじ込むと共に予め膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を注入する工程と、掘削土壌と攪拌混合することによりソイルセメントを造成する工程と、掘削孔中の先端翼付き鋼管杭の基部周辺に造成したソイルセメントを膨張させ、ソイルセメントが逆テーパー形状の膨張圧力を生起する工程を少なくとも有するので、掘削孔中の翼付き鋼管杭の基部周辺に造成したソイルセメントを膨張させ硬化することにより、従来技術の根固め部のソイルセメントと比べて発泡剤は大きな膨張率を生起するため、先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力がより向上した先端翼付き鋼管杭の埋め込みを行うことができる。
本発明は、掘削孔の圧力下で発泡剤を用いることで、膨張して硬化するソイルセメントが逆テーパー形状の膨張率を生起して逆テーパー形状の膨張圧力を生起する。
すなわち、本発明では、掘削孔の拘束下の圧力下において、発泡剤を添加したセメント流動物を注入し、先端翼で掘削土壌と攪拌混合したソイルセメントを造成し、ソイルセメントを発泡膨張させて、膨張して硬化するソイルセメントが深度に応じて逆テーパー形状の膨張率及び膨張圧力を生起しながら体積が増大し、逆テーパー形状の先端翼付き鋼管杭を築造することができる。
いわゆる、膨張して硬化する根固め部のソイルセメントは、造成高さの範囲において、逆テーパー形状の膨張圧力を生起して逆テーパー形状に形成される。この逆テーパー形状の膨張杭は、膨張圧力で掘削孔壁を押圧するので掘削孔の周面地盤の緩みを圧密して強化する。逆テーパー形状の膨張杭は載荷重の沈下に対して圧密し強化した周面地盤を押し広げようとするので、周面地盤は載荷重の杭の沈下による押し広げに対抗する抵抗力を発現し沈下を抑制する効果がある。
また、硬化した逆テーパー形状の膨張硬化杭は、造成高さの範囲において、断面視くさび型に形成されるので、引抜きに対して抵抗力が大きく向上する効果がある。
また、根固め部において膨張して硬化する逆テーパー形状のソイルセメントは、掘削孔の孔壁地盤(内壁面)と先端翼付き鋼管杭に膨張圧力を同時にかけるが、孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭に拘束されて反作用の反力を同時に受けるので、根固め部のソイルセメントと孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭とは強固な膨張圧力の密着力で強固に一体化することができる。
このように、膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を注入し、ソイルセメントを造成する工法により、膨張して硬化するソイルセメントが逆テーパー形状の膨張率及び膨張圧力を生起することにより、本工法は先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を向上する効果がある。
請求項2に記載の発明によれば、膨張作用を有する発泡剤としては、セメント組成物中における化学反応によりガスを発泡する少なくともアルミニウム粉末、亜鉛等の両性金属の粉末、炭素物質、過酸化物質、スルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体から選択した1種又は2種以上を添加しているので、発泡剤は、セメント組成物中における化学反応によりガスを発泡する際に、ガスの浮遊力を利用してセメントの拡散を促し、ソイルセメントの発泡膨張の機能を充分に生起させて、膨張するソイルセメント全般にわたるち密で均一な膨張を発揮させることができる。
発泡剤は、掘削土壌の性質に応じて最適な種類を選択して添加することで、確実にガスを発泡させて必要な膨張率を得ることができる。
また、例えば発泡剤を2種類選択することによりソイルセメント中において気泡の大きさが異なる2種類のガスを発生して、大小の泡による膨張ソイルセメントを造成することができる。
発泡剤を添加したソイルセメントの膨張は、緩い地盤や掘削孔の孔壁地盤の緩みを膨張圧力で押圧し地盤を圧密し強化する。
且つ、ソイルセメントの膨張圧力による反作用の反力の膨張圧力で根固め部のソイルセメントと孔壁地盤とは強固な圧密力の密着力で周面摩擦力を向上させる。
また、発泡剤は、セメント組成物をソイルセメント全般にわたるち密で均一に拡散させ、ソイルセメントの膨張圧力を均一に生起させ、先端翼付き鋼管杭とソイルセメントとの付着力を向上させる。
また、発泡剤を添加したソイルセメントは、大きく発泡膨張するため、従来技術に比べて圧密力の密着力で付着力を増大させる効果を有する。
請求項3に記載の発明によれば、セメント流動物としては、セメントで構成する少なくとも、セメントミルク、モルタル、コンクリートの何れかであり、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%から16%となるように前記発泡剤を添加したので、膨張率1%から8%のソイルセメントを造成することができる。
本発明の造成するソイルセメントの膨張率は1%から8%の範囲であるので、造成したソイルセメントは掘削孔の孔壁地盤を膨張圧力で押圧し孔壁地盤を圧密し強化し、膨張圧力の作用・反作用によりソイルセメントと孔壁地盤とは強固に一体化する。
発泡剤を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%未満の場合には、掘削土壌と攪拌混合して造成するソイルセメントの膨張率が1%未満となり、掘削孔内で膨張して硬化したソイルセメントは、掘削孔の孔壁地盤や先端翼付き鋼管杭との密着力が弱くなる。
発泡剤を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が16%より大きい場合には、掘削土壌と攪拌混合して造成するソイルセメントの膨張率が8%より大きくなり、掘削孔内で膨張して硬化したソイルセメントは、掘削孔の孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭との密着力が良いものの圧縮強度が低下してしまう。
請求項4に記載の発明によれば、セメントミルクの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.6%とする、またはモルタルの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から1.2%とする、またはコンクリートの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.008%から4%とするので、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率を3%から16%に生起することができる。
セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率は、セメント質量に対してアルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加する相関関係があるので、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することが可能である。セメントミルク又はモルタル又はコンクリートに大きな膨張率が必要であれば、セメント質量に対してアルミニウム粉末の添加量を予測的に多くすることで、所定の膨張率を生起するができる。
また、掘削孔の拘束下における圧力下において、掘削深度に対するアルミニウム粉末の添加量を設定することで掘削土壌と攪拌混合による膨張するソイルセメントが常圧(大気圧)の膨張率を生起することができるので、掘削する深度を130mまでとする、アルミニウム粉末の添加量は膨張して硬化するソイルセメントの膨張圧力で孔壁地盤と強固に一体化する効果ある。
アルミニウム粉末を添加したセメントミルクの膨張率が、セメント質量に対しアルミニウム粉末の添加量が0.002%未満の場合又はモルタルの膨張率がセメント質量に対して0.007%未満の場合又はコンクリートの膨張率がセメント質量に対して0.008%未満の場合では、セメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が3%未満となり、造成するソイルセメントの膨張率が1%未満となるので、膨張して硬化するソイルセメントが掘削孔の孔壁地盤に充分な膨張圧力を与えることができない。
また、セメントミルクの膨張率がセメント質量に対しアルミニウム粉末の添加率が0.6%を越える場合又はモルタルの膨張率がセメント質量に対して1.2%を超える場合又はコンクリートの膨張率がセメント質量に対して4%を超える場合では、セメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が16%より大きくなり、造成するソイルセメントの膨張率は8%より大きくなるので、掘削孔の孔壁地盤との密着力が高まるものの、一方で強度低下が大きくなってしまう、そこで強度を上げるためにはセメント量を多くする必要があり、材料コストが上昇して経済性が悪くなる。
このようにして、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率を設定することで掘削土壌と攪拌混合して造成するソイルセメントの膨張率を1%から8%に生起させることができ、膨張して硬化するソイルセメントは所定の大きさの膨張圧力をかけるので、孔壁地盤とは強固な圧密力の密着力で一体化する効果がある。
請求項5に記載の発明によれば、膨張するソイルセメントには繊維物質を含有するので、膨張して硬化したソイルセメントはひび割れ抵抗性や靱性及び強度が向上する効果がある。
請求項6に記載の発明によれば、先端翼付き鋼管杭には、杭本体の外周に平鋼材又は丸鋼材又は異形鋼材からなる突起を形成した突起付き鋼管やリブ付き鋼管や縞鋼板付き鋼管を含むので、膨張して硬化したソイルセメントと先端翼付き鋼管杭とは、膨張圧力による圧密力で互いをより強固な付着力で一体化するのでズレを防止する効果がある。
本発明の先端翼付き鋼管杭の土中貫入装置の全体側面図 本発明装置に設けられたジャッキライナーの平面図 本発明装置に用いる先端翼を有する鋼管杭の側面図 本発明装置に用いる先端翼を有する鋼管杭の平面図 図4におけるI−I線の断面説明図 他の実施例の先端翼を有する鋼管杭の側面図 他の実施例の先端翼を有する鋼管杭の平面図 図7におけるII−II線の断面説明図 本発明装置に用いるジャッキライナーに先端翼を螺入する前の状態の斜視図 ジャッキライナーに他の実施例の先端翼を螺入する前の状態の斜視図 先端翼付き鋼管杭の回転杭工法を示す工程図である。 先端翼付き鋼管杭の回転杭工法を示す工程図である。 先端翼付き鋼管杭の回転杭工法を示す工程図である。 先端翼付き鋼管杭の回転杭工法を示す工程図である。 発泡剤とセメントミルクとの関係を表わすグラフである。 発泡剤とモルタルとの関係を表わすグラフである。 膨張量の推移を示すグラフである。 拘束なしの場合と拘束下の場合におけるアルミニウム添加量と強度との関係を示すグラフである。 配合例1に使用する材料を表わした一覧である。 配合例1の使用材料の配合量を表わす表である。 配合例1におけるAL(アルミニウム粉末)添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧である。 配合例1の膨張率と経過時間との関係を示すグラフである。 配合例1におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである 配合例2に使用する材料を表わした一覧である。 配合例2の使用材料の配合量を表わす表である。 配合例2におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧である。 配合例2におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである 配合例3に使用する材料を表わした一覧である。 配合例3の使用材料の配合量を表わす表である。 コンクリートのフレッシュ試験の結果を表わした一覧である。 配合例3におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧である。 AL添加量と膨張率測定結果を表わした一覧である。 配合例3の膨張率と経過時間との関係を示すグラフである。 配合例3におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである 配合例4および5に使用する材料を表わした一覧である。 (a)配合条件・試験、(b)使用ミキサ・練り混ぜ方法を表わした一覧である。 配合例4の使用材料の配合量を表わす表である。 配合例4におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧である。 配合例4の膨張率と経過時間との関係を示すグラフである。 配合例4におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである 配合例5の使用材料の配合量を表わした一覧である。 配合例5におけるAL添加量を変化させた時のコンクリート試験結果を表わした一覧である。 配合例5の膨張率と経過時間との関係を示すグラフである。 配合例5におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。 配合例4および配合例5の使用材料の配合量(ALなし)を表わした一覧である。 配合例4および配合例5においてのコンクリート試験結果を表わした一覧である。 配合例4および配合例5においての経過時間あたりのブリーディング量(cm3)を表わすグラフである。 配合例A,B,C,1から5におけるアルミニウム粉末の添加率と膨張率との関係を表わしたグラフである。 配合例C,3,4,5におけるアルミニウム粉末の添加率とコンクリート圧縮強度との関係を表わしたグラフである。 配合例C,1から5におけるアルミニウム粉末の添加率0%の初期膨張率と水セメント比との関係を表わしたグラフである。 流動化土とセメントミルク又はモルタルとを攪拌混合したイメージ図である。
本先端翼付き鋼管杭の回転工法は、地中内に先端翼付き鋼管杭をねじ込みつつ掘削孔を形成し、そのまま埋設する先端翼付き鋼管杭の回転工法であって、掘削孔の基部に先端翼付き鋼管杭をねじ込むと共に予め膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を注入する工程と、掘削土壌と攪拌混合することによりソイルセメントを造成する工程と、掘削孔中の先端翼付き鋼管杭の基部周辺に造成したソイルセメントを膨張させ、ソイルセメントが逆テーパー形状の膨張圧力を生起する工程を少なくとも有する。
膨張作用を有する発泡剤としては、セメント組成物中における化学反応によりガスを発泡する少なくともアルミニウム粉末、亜鉛等の両性金属の粉末、炭素物質、過酸化物質、スルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体から選択した1種又は2種以上である。
セメント流動物としては、セメントで構成する少なくとも、セメントミルク、モルタル、コンクリートの何れかであり、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%から16%となるように前記発泡剤を添加している。
セメントミルクの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.6%とする。
またはモルタルの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から1.2%とする。
またはコンクリートの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.008%から4%とする。
膨張するソイルセメントには繊維物質を含有する。
先端翼付き鋼管杭には、杭本体の外周に平鋼材又は丸鋼材又は異形鋼材からなる突起を形成した突起付き鋼管やリブ付き鋼管や縞鋼板付き鋼管を含む。
[先端翼付き鋼管杭の回転工法]
この発明の実施例を図面に基づき詳説する。工法の説明の前に先端翼付き鋼管杭並び土中貫入装置について説明する。
下記工程のセメント流動物はモルタルを用いて説明するが、その他、セメント流動物としてセメントミルク又はコンクリートを用いた場合の説明については同様な工法であるので重複説明を省略する。また、下記工法においては、発泡剤をアルミニウム粉末とした場合について説明する。
図1に示すように、先端翼付き鋼管杭Pの土中貫入装置となる全周回転ジャッキKは、使用する際に、掘削位置、すなわち、先端翼付き鋼管杭Pをセットする位置に設置される。なお、全周回転ジャッキの他の方法としては、キャタピラ式回転圧入機や三点式杭打機等がある。
全周回転ジャッキKは、内部に緊締弛緩作動部Sを設けており、その中心位置には鋼管杭Pをセットすることができるように構成されている(具体的な構造は省略)。
緊締弛緩作動部Sの内方には矩形または円形のジャッキライナーJが分割自在に配設されている。すなわち、図2に示すように、ジャッキライナーJは中心に先端翼付き鋼管杭Pを挿貫することのできる挿貫孔10が設けられており、その挿貫孔10を中心にして放
射方向に複数個の扇形の分割片11,11,11より構成されており、それぞれの分割片11は組立分解自在に構成されている。
ジャッキライナーJの挿貫孔10は組立て時には先端翼付き鋼管杭Pの径よりわずかに縮径としており、また各分割片11は中心の挿貫孔10に向かって縮径可能に外内方へ摺動自在に構成されている。
しかも、各分割片11が中心の挿貫孔10に向かって縮径方向に摺動した場合は挿貫孔10の鋼管杭周面20(図1参照)を密着緊締することができ、その後の先端翼付き鋼管杭Pの回転掘削作業の作動形態となる。
ジャッキライナーJの挿貫孔10の内周面には図9、図10に示すように、螺旋条溝12,12’,13を刻設し、上表面には螺旋条溝12,12’,13の螺入始端口14,14’,15を開口している。
ジャッキライナーJの挿貫孔10に挿貫される先端翼付き鋼管杭Pは、図3、図6に示すように実施例として二種類の構造の先端翼21,31を有し、この先端翼21,31の回転により土中に鋼管挿貫用の掘削孔を掘削しながら基礎杭を築造していくものであり、具体的に以下の形状構造を有している。
すなわち、一種類の先端翼21の構造は図3から図5に示すように、二枚の半円形状平刃22,22における対向縁部22a,22aを突き合わせてそれぞれ逆傾斜状に組み合わせて側面視X状に構成した先端翼21である。しかも、交差した二枚の半円形状平刃22,22の交差角度は14.4度の場合と7.2度の場合がある。なお、半円形状平刃22,22のうち先端部分の先端縁が直線縁刃22b,22b(図9参照)を形成する。図3中の符号h1は二枚の半円形状平刃を側面視X状に組み合わせて、その平刃同士が最も離れた間隔を表わしたものである。
もう一種類の先端翼31の構造は図6から図8に示すように二枚の半環状の平刃32,32における環状の対向縁部32a,32aを突き合わせ、環状先端部分は上下左右に一定の空間を保持して対向させ、それぞれの平刃32,32を逆傾斜状に組み合わせて側面視V状に構成した先端翼31である。なお、半環状平刃32,32のうち環状先端部分の先端縁が先端縁刃32b,32b(図10参照)を形成する。しかも、交差した二枚の半環状の平刃32,32のV状の交差角度は14.4度としている。
かかる二枚の平刃22,32からなる各形態の先端翼21,31がジャッキライナーJ,J’の挿貫孔10内周面の螺旋条溝12,12’,13に螺入して進行するように構成した。
すなわち、図9、図10に示すように、挿貫孔10の内周面に刻設した螺旋条溝12,12’,13はX状またはV状に組み合わされた二枚の半円平刃22,32の突き合わせ部分の対向縁部22a,32aが螺入進行できるように構成されており、全高より少なくとも幅広に形成し、螺入始端口14,14’,15はX状またはV状の二枚の半円形状平刃22,22や半環状平刃32,32の回転方向において直線端縁刃22b,22bや先端縁刃32b,32bがジャッキライナー表面において螺入可能な位置に構成した。図中符号23,33は、掘削孔内にモルタル又はセメントミルク又はコンクリート(セメント流動物)を注入するためのグラウト噴出口である。なお、グラウト噴出口23,33は、複数設けるようにしてもよい。
なお、ジャッキライナーは、3分割したものであるが、図9、図10のジャッキライナーは、分割線を省略している。3分割式のジャッキライナーの他に2分割から10分割程度のものがあり、これらのように複数分割したジャッキライナーに適用してもよい。
上述したX状またはV状の先端翼を備えた鋼管杭並び先端に螺旋状の羽根を備えた鋼管杭Pを地上面Aに設置して、掘削を行う。以下において先端翼付き鋼管杭Pの工法を詳細に説明する。一例としてはX状の先端翼21を用いて説明する。
図11A及び図11Bに示すように、ジャッキライナーKが先端翼付き鋼管杭Pを地上面にねじ込み及び回転貫入する位置に設置され、先端翼付き鋼管杭Pを地上面からねじ込み及び回転貫入しながら地中Aを掘り下げて掘削孔41が掘削される。掘削孔41内には、掘削した際に攪拌され泥土化して流動化した掘削土Bが残ったままとなっている。
図11Cに示すように、掘削孔41を所定の深度まで掘削したのち、掘削孔41の先端部に膨張作用を有する発泡剤としての所定のアルミニウム粉末を添加したモルタル43を供給管Zを介して先端翼付き鋼管杭Pのグラウト噴出口23から注入(注入とは低圧・高圧噴射や噴出又は吐出等の加圧注入を含む)充填しつつ、さらに、図11Dに示すように、先端翼21を上下方向に反復回転しながら移動して掘削土壌と攪拌混合させてソイルセメント44を造成する。
その後、先端翼付き鋼管杭Pの先端部を掘削孔41の先端部(基部)付近まで回転貫入して先端翼付き鋼管杭の打ち止めとする。
なお、供給管Zはモルタルを供給するためのものであり、掘削孔41が所定の深度まで掘削する前に、鋼管杭Pの中空空間に供給管Zを差し入れて、グラウト噴出口23に連通連結した連結管を介して連通連結させておく。
連結管は、逆止弁機構を有しており供給管から供給されるモルタル(セメント流動物)をグラウト噴出口23へ流入させるときのみ解放状態となるように構成されている。同様に先端翼31付きの鋼管杭についても供給管Zを連結管に連通連結してグラウト噴出口23からモルタルを供給するようにしている。
掘削孔41の先端部に膨張作用を有する発泡剤としての所定のアルミニウム粉末を添加したモルタル43を注入したが、先端部の他の掘削孔の中途部にアルミニウム粉末を添加したモルタル43を注入してもよいし、さらに、掘削孔の中途部の複数箇所或いは全域に注入するようにしてもよい。
なお、先端翼付き鋼管杭Pの先端の先端翼21は、掘削孔41の先端部に着底してもよいし、離間するようにしてもよい。
掘削孔41内においては、先端翼21による掘削攪拌土壌と発泡剤のアルミニウム粉末を添加したモルタル43とは攪拌混合してソイルセメント44となり、このソイルセメント44中に混和した反応開始時間を適宜調整した発泡剤のアルミニウム粉末とモルタル43とが反応し、水素ガスを発泡してソイルセメント44の体積が発泡膨張して増大する。
さらに、水素ガスの浮遊力を利用してセメントの拡散を促し、ソイルセメント44に充分な発泡機能を生起して、ソイルセメント44の組成物全般にわたるち密で均一な膨張硬化を発揮することができる。
更に、硬化前のソイルセメント44はセメントのブリージング作用によるセメント素材の沈下収縮作用を緩和させると共に、ソイルセメント体の砂・礫の骨材下面に隙間が生じるのを防ぎ、膨張圧によって砂・礫と注入モルタルとの付着力を高める。且つセメントの自己収縮による掘削孔内壁面の近傍に形成されがちな緩みや隙間を防ぎ、膨張圧力によって先端翼付き鋼管杭Pとソイルセメント44との付着力を高め、さらに、ソイルセメント44が膨張圧力をかけたまま周辺地盤と強固に一体化する効果がある。
なお、セメント流動物としては、上述したモルタルからセメントミルク又はコンクリートに変えた場合についても同様の作用効果が生じる。
また、図11Dに示すように、発泡剤の水素ガス発泡によりソイルセメントの体積が発泡剤の働きで膨張して増大することで、掘削孔41の内壁面にはソイルセメント44の膨張圧力P1が加わり、掘削孔41の内壁面すなわち孔壁地盤から反力P2がソイルセメント44にかかり、且つ、先端翼付き鋼管杭Pにはソイルセメント44の膨張圧力P1が加わり、先端翼付き鋼管杭Pからの反力P3がソイルセメント44にかかる。符号P4は、掘削土Bからの反力である。
これにより、掘削孔41の内壁面とソイルセメント44との境の緩みや隙間が膨張するソイルセメント44で密に埋められ、先端翼付き鋼管杭Pの外周面とソイルセメント44との境の緩みや隙間が膨張するソイルセメント44で密に埋められ、ソイルセメント44と先端翼付き鋼管杭Pとの付着力が高まる。
且つ、掘削孔の孔壁地盤に膨張圧力をかけたまま硬化するのでこれらを一体化することができ、先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を高めた根固め部46のソイルセメント44を備えた先端翼付き鋼管杭Pを築造することができる。
また、ソイルセメント44は、逆テーパー形状の膨張率を生起し逆テーパー形状の膨張圧力を生起する。すなわち、根固め部を形成する高さ範囲において、膨張して硬化するソイルセメント44が逆テーパー形状の膨張圧力を生起する。
この逆テーパー形状は、水圧下で発泡剤を用いることで、アルミニウム粉末はセメントと化学反応して水素ガス(気泡)を発泡するので、水素ガスは水深が深いほどガスの体積が小さくなる(ボイルの法則)ことから、ソイルセメントの膨張率は深度が深くなるほど比例して逆テーパー形状に小さくなるので、ソイルセメントの膨張圧力も深度が深くなるほど比例して逆テーパー形状に小さくなる。
掘削孔の地盤が普通又は緩い場合は、膨張して硬化するソイルセメント44の根固め部46が、逆テーパー形状の膨張圧力を生起して逆テーパー形状の膨張を形成する。
この膨張する逆テーパー形状は、掘削孔壁を膨張圧力で押圧するので、掘削による掘削孔の周面地盤の緩みを圧密し強化する。
また、載荷重による杭の沈下は、逆テーパー形状の膨張圧力で孔壁地盤を押圧し圧密した周面地盤を押し広げようとするので、逆テーパー形状の周面地盤は沈下による押し広げに対抗して反力の抵抗力を発現し杭の沈下を抑制する。
また、膨張した逆テーパー形状は、くさび型を形成しているので引抜きに対する抵抗力が大きく向上する。
掘削孔の地盤が硬い場合は、膨張して硬化するソイルセメント44の根固め部46が、逆テーパー形状の膨張を生起するが不十分な逆テーパー形状の膨張を形成する。
膨張して硬化するソイルセメント44の根固め部46は、逆テーパー形状の膨張圧力で孔壁地盤を押圧するので、掘削による掘削孔の周面地盤の緩みを圧密しながら強化するが、緩みの少ない硬い地盤に膨張が拘束され、充分に膨らまず、不十分な逆テーパー形状の膨張を形成するので、孔壁地盤からは反作用の反力を受けて膨張圧力と反力とでソイルセメント44と周面地盤とは強固な圧密力の密着力で一体化する。
掘削孔壁が非常に硬い(例え
ば、岩の地層)場合は、膨張して硬化するソイルセメント44の根固め部46が、逆テーパー形状の膨張圧力を生起する。
膨張して硬化するソイルセメント44の根固め部46は、逆テーパー形状の膨張圧力で孔壁地盤を押圧するが、掘削による掘削孔の周面地盤が非常に硬く地盤の緩みがないため、膨張して硬化するソイルセメント44は、掘削孔で逆テーパー形状の膨張圧力を生起するが、ソイルセメント44の根固め部46は膨らまず逆テーパー形状の膨張圧力を生起したままとなる。
これにより、孔壁地盤は全膨張圧力を受けて反作用の反力の全膨張圧力を生起するので、ソイルセメント44の根固め部46と周面地盤とは、より強固な圧密力の密着力で一体化する。
また、膨張して硬化したソイルセメント44は、掘削孔41の孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭に膨張圧力を同時にかけるので、孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭に拘束されて同時に反作用の反力を受けることで、ソイルセメント44と孔壁地盤と先端翼付き鋼管杭とはより強固な膨張圧力の圧密力の密着力で一体化することができる。
また、ソイルセメントに繊維物質を含有させることで、膨張して硬化したソイルセメント44の根固め部はひび割れ抵抗性や靱性及び強度が向上する。
また、先端翼付きの鋼管杭Pの外周面には、ソイルセメント44の付着向上およびズレ防止のために平鋼材又は丸鋼材又は異形鋼材からなる突起を形成した突起付き鋼管杭やリブ付き鋼管杭や縞鋼板付き鋼管杭を含むので、膨張して硬化したソイルセメント44の根固め部と先端翼付き鋼管杭との付着力を高めるとともにソイルセメント44とのズレの防止でより強固に一体化する。
なお、先端翼について螺旋翼付き鋼管杭と上述したX状の先端翼付き鋼管杭とを比較した場合には、X状の先端翼付き鋼管杭の方が品質のばらつきが少ない。X状の先端翼付き鋼管杭は掘削孔内で発泡剤入りのモルタル(セメント流動物)と流動化した掘削土壌を攪拌混合しながら上下反復の正転、反転作動することにより、より均一なソイルセメントを造成することができる。また、杭の先端は閉塞されていた方がよい。
螺旋翼付き鋼管杭の構造では、杭本体の先端部外周に杭本体の外径の略1.5倍から2倍強の外径を有する翼巾の螺旋翼を一巻きにわたり突設しており、攪拌混合のために螺旋翼を回転作動した場合には、螺旋翼が1方向に突設されているため反復攪拌混合しても、ねじ込み回転貫入しても掘削孔中の掘削土砂とモルタルやセメントミルクやコンクリート(セメント流動物)と十分な攪拌混合が期待できない。さらに、掘削地盤が粘土性である場合においては、攪拌混合が不均一になることが多々ある。
上述したX状の先端翼付き鋼管杭の構造では、逆方向に傾斜する2枚の鋼板翼の羽根刃は互いに反対方向から掘削回転貫入し、半回転ごとに互いに掘削土砂を互いに逆方向で攪拌しながらねじ込み回転貫入することができる。そのために掘削土砂は細かく粉砕されて、流動化され、さらに上下反復回転攪拌の正転及び逆転で混合することで均一な攪拌混合体が生成される。
この攪拌混合体中に発泡剤のアルミニウム粉末を添加したモルタル又はセメントミルクコンクリート(セメント流動物)を注入充填しながら攪拌混合し、膨張するソイルセメントを造成することができる。このようなソイルセメントを造成することで、ソイルセメント44と先端翼付き鋼管杭Pとの付着力を高めて掘削孔の孔壁地盤に膨張圧力をかけたままこれらを一体化する等の上記効果を有する。
本発明は、発泡剤を用いることで、発泡剤の発泡するガス(気泡)の発泡量で膨張率を適宜調整し逆テーパー形状の膨張率を生起させて、逆テーパー形状の膨張圧力を生起させようとするものである。
発泡剤のアルミニウム粉末の添加量を多くすると、造成するソイルセメントはソイルセメント中でのガスの発生量が多くなり、ソイルセメント中に微空隙を多数気孔状に散在することで膨張して硬化したソイルセメントは強度の低下を発生する。
よって、アルミニウム粉末の添加量は強度の低下を加味した添加量とする。
上記実施例では発泡剤としてアルミニウム粉末のみを用いたが、他の膨張作用を有する発泡剤として、セメント組成物中における化学反応によりガスを発泡する少なくとも、亜鉛等の両性金属の粉末、炭素物質、過酸化物質、スルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体から選択した1種又は2種以上であってもよい。
本発明は、セメント流動物のセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%から16%となるように発泡剤のアルミニウム粉末の添加量を設定する。
実証試験の結果では、常圧(大気圧)で、膨張作用を有する発泡剤のアルミニウム粉末(フローリック社製 セルメックP)において、セメント流動物のセメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量の増加するにつれて略直線的に増加する相関関係がある。
セメント流動物の膨張率が3%から16%を生成するには、セメントミルクの場合にはアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.02%の添加量、モルタルの場合には0.007%から0.04%の添加量、コンクリートの場合には0.008%から1.4%の添加量である。
また、発泡剤のアルミニウム粉末を添加したセメントミルクやモルタルやコンクリートの強度は、発泡剤のアルミニウム粉末の使用量の増加によって圧縮強度が低下する、一方、膨張率と圧縮強度の相関関係は、膨張率の増加により圧縮強度は略直線的に低下するので、強度低下は予測可能である。また、発泡剤のアルミニウム粉末を添加したセメントミルクやモルタルやコンクリートと掘削土壌(砂層、砂礫層、礫層等)と攪拌混合したソイルセメントを発泡膨張させて硬化したソイルセメントの強度は、一般のコンクリートと同様に結合材水比(セメント/水)によって強度予測が可能である。
上記の通りセメント質量に対してアルミニウム粉末の添加量を設定することで、掘削土壌と攪拌混合による造成するソイルセメントは膨張率を1%から8%で生起することができるので、掘削孔の孔壁地盤にソイルセメントの膨張する圧力をかけたまま掘削孔の孔壁地盤と強固に一体化することができる。
上述した通り、先端翼付き鋼管杭の回転工法は、地中内に先端翼付き鋼管杭をねじ込みつつ掘削孔を形成し、予め膨張作用を有する発泡剤のアルミニウム粉末を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリートを注入し、基部周辺の掘削土壌と攪拌混合し造成したソイルセメントを発泡膨張させて硬化させる工法である。
しかし、地中内の掘削においては、先端翼をねじ込みつつ先端翼で攪拌しながら地下水のある地層を掘進するので、攪拌土壌と地下水は攪拌混合され、掘削土壌は泥土化して流動化するので、掘削孔内は泥土化された流動化土と地下水で飽和状態である。
よって、掘削孔にかかる水圧は掘削の深度が深いほど高水圧下となる。
水圧下において、一定の温度の下では気体の体積が圧力に反比例する(ボイルの法則)ので、発泡剤のアルミニウム粉末を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)を注入し掘削土壌と攪拌混合したソイルセメントは、アルミニウム粉末がセメントと化学反応して水素ガス(気泡)を発泡し、ソイルセメントの体積を膨張させるが、水素ガスの体積は水深の深度が深くなるにつれて小さくなり、膨張は常圧(大気圧)での膨張率を生起することはできない。
また、水深が深くなるほど比例して圧力が強くなるので、水素ガスの体積が小さくなり、ソイルセメントの膨張が逆テーパー形状の膨張率を生起して、逆テーパー形状の膨張圧力を生起する。すなわち、高水圧下では常圧と同じ膨張率は期待できない。
先端翼付き鋼管杭の回転工法では、掘削深度が最大80m程度としているので、将来的に最大掘削深度を130mとしてアルミニウム粉末の添加量を定める。
したがって、アルミニウム粉末を添加したセメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が深い深度においても常圧の膨張率3%から16%を生起できるように、最大掘削深度を130mまでとした場合のアルミニウム粉末の添加量を設定する。
掘削の深度の水圧は、水深10mでの水圧は水の圧力1気圧+水面を押す大気圧1気圧=2気圧であり、水深20m下では3気圧、水深50m下では6気圧、水深100m下では11気圧、水深130mでは14気圧である。
高水圧下で常圧(大気圧)の膨張率を生起させるには、水深10mでは水圧が2気圧で大気圧の2倍であることから、大気圧におけるアルミニウム粉末の添加量の2倍にすることで常圧の膨張率を生起することができる。
よって、水深20m下では3気圧で3倍、水深50m下では6気圧で6倍、水深100m下では11気圧で11倍、水深130mでは14気圧で14倍にする。
また、掘削孔は、地下水で満たされた状態であり先端翼で掘削攪拌混合した掘削土壌が、地下水による泥土化された流動化土と地下水で飽和状態となっているので、流動化土の密度を1.8(比重)とすると、掘削深度にかかる圧力は水圧力の1.8倍となる。
また、発泡剤を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリートを注入し、掘削土壌と攪拌混合してソイルセメントを造成しているので、ソイルセメントの密度を2.0(比重)とすると、掘削深度にかかる圧力は水圧力の2倍となるので、ソイルセメントの密度2.0を用いてアルミニウム粉末の添加量を算出する。
すなわち、掘削深度による高水圧下のアルミニウム粉末量は、掘削孔の掘削深度10mの水圧下で常圧の2倍、掘削深度50mの水圧下で常圧の6倍、掘削深度100mの水圧下で常圧の約11倍、掘削深度130mの水圧下で常圧の14倍にする。
さらに、掘削孔内のソイルセメントの密度を2.0(比重)とすると、それぞれ2倍して、掘削深度10mで常圧の2倍(2気圧)×2(ソイルセメントの比重2.0)=4倍、掘削深度50mで常圧の6倍×2=12倍、掘削深度100mで常圧の11倍×2=22倍、掘削深度130mで常圧の14倍×2=28倍となる。
よって、セメントミルクの膨張率が3%から16%を生起するには、アルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.02%であるから、掘削深度を130mとすると、セメント質量に対して、0.056%(=0.002%×28倍)から0.56%(=0.02%×28倍)となるので、アルミニウム粉末の添加量の上限値をセメント質量に対して0.6%とする。
よって、掘削孔の掘削深度が130mまでの場合には、セメントミルクの膨張率が3%から16%となるように、前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.6%とする。
また、モルタルの膨張率が3%から16%を生起するには、アルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から0.04%であるから、掘削深度130mとすると、セメント質量に対して0.196%(=0.007×28倍)から1.12%(=0.04×28倍)となるので、アルミニウム粉末の添加量をセメント質量に対する上限値を1.2%とする。
よって、掘削孔の掘削深度を130mまでの場合には、モルタルの膨張率が3%から16%となるように、前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から1.2%とする。
また、コンクリートの膨張率が3%から16%を生起するには、アルミニウム粉末の添加量がセメント量に対して0.008%から0.14%であるから、掘削深度130mとすると、セメント質量に対して0.224%(=0.008%×28倍)から3.92%(=0.14%×28倍)となるので、アルミニウム粉末の添加量をセメント質量に対する上限値を4%とする。
よって、掘削孔の掘削深度を130mまでの場合には、コンクリとの膨張が3%から16%となるように、前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.008%から4%とする。
このようにして、掘削深度によるアルミニウム粉末の添加量を設定することでセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%から16%で生起でき、造成するソイルセメントの膨張率を1%から8%で生起することができる。
この膨張率1%から8%のソイルセメントは、掘削による掘削孔壁の周面地盤の緩みを膨張圧力で押圧し締め固めて強化する。
また、孔壁地盤にはソイルセメントの膨張圧力がかかり孔壁地盤からは反作用の圧力がソイルセメントにかかるので、膨張して硬化した根固め部のソイルセメントは孔壁地盤と強固な圧密力で一体化することができる。
また、根固め部のソイルセメントと先端翼付き鋼管杭は、ソイルセメントの膨張圧力と先端翼付き鋼管杭からの反力で強固な圧密力の付着力で一体化するので、ソイルセメントと先端翼付き鋼管杭のズレを防止することができる。
アルミニウム粉末を添加したセメントミルクの膨張率がセメント質量に対してアルミニウム粉末の添加量が0.002%未満の場合、又はモルタルの膨張率がセメント質量に対して0.007%未満の場合、又はコンクリートの膨張率がセメント質量に対して0.008%未満の場合では、セメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が3%未満となり、造成するソイルセメントの膨張率が1%未満となるので、膨張するソイルセメントが掘削孔の壁面に膨張圧力を充分に与えることができない。
また、セメントミルクの膨張率がセメント質量に対して0.6%を超える場合、又はモルタルの膨張率がセメント質量に対して1.2%を超える場合、又はコンクリートの膨張率が1.4%を超える場合では、セメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が16%より大きくなり、造成するソイルセメントの膨張率は8%より大きくなるので、掘削孔壁との密着力は高まるものの一方で強度の低下が大きくなってしまい、強度を上げるためにセメント量を多くする必要があり、材料コストが上昇して経済性が悪くなる。
発泡剤のアルミニウム粉末は、うろこ状で純度99%以上、粉末度180メッシュ以上でステアリン酸により被覆されたものが好ましく、通常JISK5906(塗料用アルミニウム粉末)第2種標準ふるい88μ残分2%以下に適合するもので、セメントとの化学反応時間を適宜調整したものが好ましい。
セメント流動物としては、セメントで構成する少なくとも、セメントミルク、モルタル、コンクリートであって、セメントミルクは、セメントと水と発泡剤のアルミニウム粉末から構成される。モルタルは、セメントと水と発泡剤のアルミニウム粉末と細骨材としての砂から構成される。コンクリートは、セメントと水と粗骨材と発泡剤のアルミニウム粉末から構成される。
さらに、必要に応じて、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカ微粉末、ベントナイト、膨張材、混和剤、繊維物質、金属製の針金、水ガラス、可塑性ゲル材等を混入するようにしてもよい。
なお、繊維物質としては、例えば、スチールファイバー、ビニオンファイバー、炭素繊維、ワラストナイト繊維等であり、繊維物質を使用するとソイルセメントのひび割れ抵抗性や靱性及び強度を向上させることができる。
細骨材として砂を用いたが例えば、砂の代わりにアルミニウムを含有する溶融スラグや金属製造起源スラグ(鉄鋼スラグ、非鉄金属スラグ)等を使用してもよい。
セメントは、普通ポルトランドセメントや高炉セメント等であり、特に限定されるものではない。
フライアッシュは、シリカやアルミナを主成分で構成され、火力発電所で石炭を燃焼する際に生成される副産物の灰である。また、フライアッシュは混和材やフライアッシュセメントとして用いられる。良質なフライアッシュを使用した場合には、単位水量の低減、ワーカビリティーの改善、水和発熱量の低下、長期強度及び耐久性の増進、水密性の改善、化学抵抗性の改善、化学抵抗性の向上などの効果が得られる。
混和剤は、減水剤、高性能減水剤、凝結遅延剤、膨張剤、保水剤、増粘剤等である。混和剤をモルタル又はセメントミルク又はコンクリート(セメント流動物)に添加することで、次のような効果を得ることができる。
(1)流動性が良好となり、経時に伴う流動性の低下が少ない。
(2)材料分離が少ない。
(3)適度の凝結遅延性を得ることができる。
(4)適度の膨張性をもち、粗骨材との良好な付着性を得ることができる。
(5)拘束内(掘削孔内)での硬化後、所要の強度、耐久性、水密性を得ることができる。
発泡剤のアルミニウム粉末は、膨張材とともに使用することもできる。膨張材は、硬化後のセメント組成物(ソイルセメント)の水和や乾燥による収縮を補償する(収縮をゼロとする)作用を有するため、すなわち、アルミニウム粉末によってセメント組成物が硬化するまでの初期収縮を補償する以上の体積増大を図り、膨張材によって硬化後のセメント組成物の収縮を補償することにより、セメント組成物の収縮を使用期間全体にわたって保障することが可能となる。
膨張材としては、特に限定されないが、セメント、水とともに水和し、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)を生成して膨張するカルシウム・サルフォ・アルミネート鉱物を含むもの、及び水酸化カルシウム(Ca(OH))を生成して膨張する石灰を含むものを使用する。
上述した本工法において、発泡剤としてアルミニウム粉末を一例として説明したが、その他に発泡剤としてセメント組成物中における化学反応により窒素ガスを発泡する化合物として、スルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体等を例示でき、具体的にはp−トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド等である。
また、セメント組成物中における化学反応によりガス発泡物質としては、過炭酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過マンガン酸塩、過酸化水素等の過酸化物質や炭素物質等である。
これらの膨張作用を有する発泡剤を用いることで、セメント組成物中における化学反応により窒素ガス或いは酸素ガス等を発泡する際にガスの浮遊力を利用してセメントの拡散を促し、ソイルセメントに充分な発泡機能を生起して、ソイルセメントの組成物全般にわたるち密な膨張硬化を発揮することができる。
また、発泡剤は単独の材料で十分な発泡・膨張効果を有するが、複数の発泡剤を併用して使用してもよい。
また、先端翼付き鋼管杭としては、本発明の実施形態以外の多種の先端翼の形態があるが、発泡剤を添加したセメント流動物を注入し、ソイルセメントを造成する回転工法の根固めとして、他の翼付き鋼管杭の回転工法にも実施できる。
上記変形例では、土中貫入装置としては全周回転ジャッキで説明したが、他にキャタピラ式回転圧入機や三点式杭打機などの回転圧入機で実施可能である。
以下、配合の一例を示しながら、膨張率と発泡剤のアルミニウム粉末の添加量について説明する。
[配合例A]
図12は、セメントミルクとしてのセメントペースト(水、普通ポルトランドセメント、高性能AE減水剤標準形)にアルミニウム粉末の量を変えて添加した場合の膨張率を示すグラフである。セメントペーストとアルミニウム粉末の配合例は表1の通りとなる。
Figure 0006014288
J14ロート流下時間 25秒
・アルミニウム粉末(セルメックP)の添加量は表2に示す。
Figure 0006014288
膨張率試験は、土木学会規準(JSCE−F 522)プレバックドコンクリートの注入モルタルの膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)によって測定した。
すなわち、図12に示すグラフは、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量とセメントミルクの膨張率との関係を示すものである。発泡剤のアルミニウム粉末の添加量0g/m、50g/m、100g/m、150g/m、200g/mによるセメントミルクの膨張率を示した。アルミニウム粉末の添加量100g/mから200g/mの範囲における膨張率は、点線で示す予測的な近似直線から得ることができる。
セメントミルクの膨張率は、セメント質量に対してアルミニウム粉末添加量の増加に応じて略直線的に増加する相関関係があることから、表2のアルミニウム粉末添加量が0g/m、50g/m、100g/mの場合のそれぞれの膨張率は、0%、5%、8%である。アルミニウム粉末添加量150g/mの膨張率は予測的な近似直線から12%となる。アルミニウム粉末添加量200g/mの膨張率は予測的な近似直線から16%となる。
注入するセメントミルクの膨張率の範囲を3%から16%に設定すると、膨張率3%の場合は、表2及び図12よりアルミニウム粉末の添加量30g/m、(0.465g)と推定でき、膨張率16%の場合は、図12及び表2からアルミニウム粉末の添加量200g/m、(3.1g)と推定することができる。
アルミニウム粉末の添加量0.465gは、セメント質量25kgに対して0.00186%の添加率となる。また、アルミニウム粉末の添加量3.1gは、セメント質量25kgに対して0.0124%の添加率となる。
従って、発泡剤を添加したセメントミルクの膨張率3%から16%が生起できるアルミニウム粉末の添加率は、セメント質量に対して0.00186%から0.0124%の範囲の添加率となる。セメントミルクのアルミニウム粉末の添加率は、同じ添加率でも温度が低くなるほど反応速度が遅くなり、膨張率が小さくなる特性があるのでセメント質量に対して0.002%から0.02%の範囲で管理する。
セメントミルクのアルミニウム粉末添加率が0.002%未満の場合では、アルミニウム粉末を添加したセメントミルクの膨張率が3%未満となる。このような3%未満の膨張率のセメントミルクを掘削孔内に注入し、先端翼付き鋼管杭で掘削土壌と攪拌混合して造成したソイルセメントは膨張率が1%未満と小さくなってしまい、ソイルセメントが掘削孔壁面に膨張圧力を充分に与えることができなくなる。
セメントミルクのアルミニウム粉末添加率が0.02%を超える場合では、アルミニウム粉末を添加したセメントミルクの膨張率が16%より大きくなる。このような16%より大きい膨張率のセメントミルクを掘削孔内に注入し、先端翼付き鋼管杭で掘削土壌と攪拌混合して造成したソイルセメントは膨張率が8%より大きくなってしまい、ソイルセメントが掘削孔壁面に大きな膨張圧力を与える反面で、ソイルセメントの圧縮強度が大きく低下してしまうことがある。
[配合例B]
配合例Bは、発泡剤のアルミニウム粉末とモルタル(セメント+細骨材:砂 等)と配合した例である。表3は配合材料を示すものである。表4は配合材料の配合量を示したものである。表5は表4のとおり発泡剤のアルミニウム粉末入りモルタルを配合してその膨張率を示すものである。
Figure 0006014288
Figure 0006014288
Figure 0006014288
膨張率試験は、土木学会規準(JSCE−F 522)プレバックドコンクリートの注入モルタルブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)によって測定した。
すなわち、図13に示すグラフは、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量とモルタルの膨張率との関係を示すものである。
モルタルの膨張率は、セメント質量に対してアルミニウム粉末添加量の増加に応じて略直線的に増加する相関関係がある。
表4より、アルミニウム粉末添加量が0g/m、20g/m、40g/mの場合のそれぞれの膨張率は、0%、1.09%、2.53%であり、予測的な近似直線を描くことで、アルミニウム粉末添加量が230g/mの場合は、膨張率16.3%を示す。予測的な近似直線から膨張率3%の場合のセメント質量681kg/mに対するアルミニウム粉末添加量は47g/mとなり、添加率は0.0069%となる。
予測的な近似直線から膨張率16%の場合のセメント質量681kg/mに対するアルミニウム粉末添加量は226g/mとなり、添加率は0.0332%となる。
注入するモルタルの膨張率の範囲を3%から16%に設定すると、膨張率3%ではセメント質量に対してアルミニウム粉末添加率0.0069%であり、膨張率16%ではセメント質量に対してアルミニウム粉末添加率0.0332%と予測できる。
したがって、発泡剤を添加したモルタルの膨張率3%から16%を得るために必要なアルミニウム粉末の添加率は、セメント質量に対して0.0069%から0.0332%となる。よって、モルタルのアルミニウム粉末の添加率は、上述したセメントミルクと同様に同じ添加率でも温度が低くなるほど反応速度が遅くなり、膨張率が小さくなる特性があるのでセメント質量に対して0.007%から0.04%の範囲として管理する。
ここでモルタルのアルミニウム粉末の添加率が0.007%未満の場合は、アルミニウム粉末を添加したモルタルの膨張率が3%未満となりうるので、膨張率3%未満のモルタルを掘削孔内に注入し、掘削土壌と攪拌混合すると、造成したソイルセメントの膨張率が1%未満と小さくなり、掘削孔壁面に膨張圧力を充分に与えることができなくなる。
モルタルのアルミニウム粉末の添加率が0.04%より大きい場合は、アルミニウム粉末を添加したモルタルの膨張率が16%より大きくなるので、膨張率16%より大きいモルタルを掘削孔内に注入し、掘削土壌と攪拌混合すると、造成したソイルセメントの膨張率が8%より大きくなり、掘削孔壁面に大きな膨張圧力を与えるが、ソイルセメントの圧縮強度が大きく低下してしまうことがある。
すなわち、膨張率3%から16%の範囲のセメントミルク又はモルタルを掘削孔中に注入して、または注入しながら先端翼付き鋼管杭で掘削孔中の根固め部となる砂層や砂礫層或いは礫層等の支持層となる掘削土壌と攪拌混合して、造成するソイルセメントの膨張率1%から8%となるようにしている。
この膨張率1%から8%からなるソイルセメント硬化体は、ソイルセメントが周面地盤と先端翼付き鋼管杭の基部周面に膨張圧力をかけて、ソイルセメントと掘削孔壁面や先端翼付き鋼管杭の基部面との間の緩みや隙間を膨張圧力で生起させたソイルセメントで埋め、余力の膨張圧力をかけたまま硬化するので、先端翼付き鋼管杭の周面摩擦力を向上させて、杭の先端支持力や引抜き抵抗力を増大させる効果がある。
注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)で掘削土壌と攪拌混合するソイルセメントを説明する。
図48は、流動化土(掘削土壌)とセメントミルク又はモルタル又はコンクリートとを攪拌混合したイメージ図である。セメントミルク又はモルタル又はコンクリート注入による根固め部の攪拌混合によるソイルセメントのイメージであり、先端部土質が砂・砂礫の場合である(図中において、実際には混合攪拌されているが、注入比率を表示する)。
例えば、図48(b)に示すように、膨張作用を有する発泡剤のアルミニウム粉末を添加した注入(低圧・高圧噴射や噴出又は吐出等の加圧注入及び打設注入を含む)するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入量は、先端翼付鋼管杭の先端翼で攪拌流動化した根固め部の流動化土の容積1.0の根固め部の高さ1.0に、同じ容積のセメントミルク又はモルタル又はコンクリート容積1.0を注入率100%で注入する。次に、根固め部の高さ1.0の範囲で混合攪拌して造成したソイルセメントは、掘削孔壁面に拘束され掘削された掘削孔の上方へ盛り上がり、ソイルセメントは容積2.0、高さ2.0を形成する。根固め部の容積2.0、高さ2.0のソイルセメント中のセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの含有率は50%となる。
また、図48(c)に示すように、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入率150%の場合には、先ず、根固め部の容積1.0とした根固め部の高さ1.0の範囲の流動化土に対して、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入率100%の高さ1.0を注入する。次に、根固め部の高さ1.0の範囲で混合攪拌すれば、ソイルセメントは容積2.0、高さ2.0を形成する。根固め部となる容積1.0、高さ1.0のソイルセメント中のセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの含有率は50%なる。
続いて残りの50%の0.5の容積のセメントミルク又はモルタル又はコンクリートを、先に造成したソイルセメントの容積2.0、高さ2.0の根固め部となる杭先端部の容積1.0、高さ1.0の範囲で、注入し混合攪拌してソイルセメントを造成する。150%注入したソイルセメントが造成され、ソイルセメントの容積1.5、高さ1.5でソイルセメントの含有率は67%が造成形成される。
このようにして、造成するソイルセメントの容積2.5、高さ2.5が形成され、杭先端部の根固め部となる容積1.0、高さ1.0のソイルセメントの範囲は容積1.5、高さ1.5で形成され、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの含有率は67%になる。
また、図48(d)に示すように、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入率200%の場合には、注入率150%の場合と同様に、先ず、根固め部の容積1.0とした根固め部の高さ1.0の範囲で、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入率100%の高さ1.0を注入する。次に、混合攪拌してソイルセメントの容積2.0、高さ2.0を造成する。根固め部となる容積1.0、高さ1.0のソイルセメント中のセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの含有率は50%になる。
続いて残りの100%の1.0の容積のセメントミルク又はモルタル又はコンクリートを、先に造成したソイルセメントの容積2.0、高さ2.0の根固め部となる杭先端部の容積1.0、高さ1.0の範囲で、注入し混合攪拌してソイルセメント造成形成する。200%注入したソイルセメントが造成され、ソイルセメントの容積2.0、高さ2.0でソイルセメントの含有率は75%になる。
このようにして、造成するソイルセメントの容積3.0、高さ3.0が形成され、杭先端部の根固め部となる容積1.0、高さ1.0のソイルセメントの範囲は容積2.0、高さ2.0で形成され、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの含有率は75%になる。
発泡剤のアルミニウム粉末を添加するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率は、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加することから、膨張率は予測可能であるので、発泡剤のアルミニウム粉末を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリートを掘削土壌と混合攪拌すると、造成するソイルセメントの膨張率も同じように略直線的に増加することになる。
このことから、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%の場合には、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入率が100%でセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの含有率及びアルミニウム粉末の含有率が50%になることから、根固め部となるソイルセメントの膨張率は前記含有率50%から算出して、3×0.5=1.5%となる。
また、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入率が150%でセメントミルク又はモルタルの含有率及びアルミニウム粉末の含有率が67%になることから、根固め部となるソイルセメントの膨張率は前記含有率67%から算出して、3×0.67=2.01%となる。
また、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入率が200%でセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの含有率及びアルミニウム粉末の含有率が75%になることから、根固め部となるソイルセメントの膨張率は前記含有率75%から算出して、3×0.75=2.25%となる。
同様に、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が16%の場合には、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの注入率が100%でセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの含有率及びアルミニウム粉末の含有率が50%になることから、根固め部となるソイルセメントの膨張率は前記含有率50%から算出して、16×0.5=8%となる。
また、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率16%で注入率が150%で根固め部となるソイルセメントの膨張率は含有率67%から算出して、16×0.67=10.72%となる。
また、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率16%で注入率が200%で根固め部となるソイルセメントの膨張率は含有率75%から算出して、16×0.75=12%となる。
さらに、現場施工を考えた場合、造成するソイルセメントの膨張率の安全率を「1.5」とする。
注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率を3%から16%の範囲に設定しているので、最小の3%の膨張率で注入すると、注入率100%で造成するソイルセメントの膨張率は1.5%になることから、1.5%(膨張率)÷1.5(安全率)=1%となる。 注入率が150%で造成するソイルセメントの膨張率は2.01%になることから、2.01%÷1.5=1.34%となる。
注入率200%で造成するソイルセメントの膨張率は2.25%になることから、2.25%÷1.5=1.5%となる。
よって、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が最小の3%で、注入率100%から200%で造成するソイルセメントの膨張率が1%から1.5%となることから、造成するソイルセメントの最小膨張率を1%とする。
注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率を最大の16%で注入すると、
注入率100%で造成するソイルセメントの膨張率は8%になることから、8%÷1.5=5.33%となる。
注入率150%で造成するソイルセメントの膨張率は10.72%になることから、10.72%÷1.5=7.15%となる。
注入率200%で造成するソイルセメントの膨張率は12%になることから、12%÷1.5=8%となる。
よって、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が最大の16%で、注入率100%から200%で造成するソイルセメントの膨張率が5.33%から8%となることから、造成するソイルセメントの最大膨張率を8%とする。
従って、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%から16%の範囲で、造成するソイルセメントの膨張率が1%から8%の範囲で膨張形成するようにしている。
発泡剤のアルミニウム粉末を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)の膨張率は、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加することから、膨張率の予測や制御が可能であり、一方で膨張率が大きくなると硬化したセメント組成物(ソイルセメント)の圧縮強度が低下することとなるが、拘束下(掘削孔の壁)であれば、圧縮強度は大きく低下することはない。したがって、その強度低下についても予測や制御自体可能となる。
[配合例C]
ここで、普通ポルトランドセメントを用いた膨張性コンクリート(スランプ配合)において、表6(使用材料表)、表7(コンクリート配合表)、表8(コンクリート試験結果)の基づき、コンクリートの膨張性と拘束なしの場合と拘束下の場合において圧縮強度の実証試験を行った。図14は、アルミニウム粉末添加率と膨張量の推移を示すグラフであり、図15は、拘束なしの場合と拘束下の場合における横軸にアルミニウム添加量と縦軸に強度との関係を示すグラフである。
セメント質量344kgに対して、アルミニウム粉末の添加量0g、20g、40gの場合のセメント比は0%、0.0058%、0.0116%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた各膨張率は、−0.38%、0.26%、1.58%となる。なお、水セメント比は45%である。
図45中の配合例Cに示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率はアルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合には、予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、アルミニウム粉末を添加率0.025%で添加した場合には、コンクリートの膨張率が予測的な近似直線から約4.5%と予測できる。添加率0.030%で膨張率5.6%である。よって、コンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量で適宜調整することができる。
図15のグラフについて考察すると、拘束なしにおいては、アルミニウム粉末の添加率が多くなると強度低下は略直線的に低下し、発泡剤のアルミニウム粉末の添加率が0.0058%の場合は低減強度率89.76%となり、アルミニウム粉末の添加率が0.0116%の場合は低減強度率74.9%となり、予測的に添加率0.025%の場合は低減強度率45.36%と添加率0.030%で低減強度率33.78%と予測することができる。
拘束下においては、アルミニウム粉末の添加率が0.0058%の場合は低減強度率94%となり、アルミニウム粉末の添加率が0.0116%の場合は低減強度率94.98%となり、予測的に添加率0.025%の場合は低減強度率89.18%と添加率0.030%で低減強度率86.87%と予測することができる。
このグラフから拘束下においては圧縮強度が大きく低下しないことが明らかである。
Figure 0006014288
Figure 0006014288
Figure 0006014288
・膨張は2時間程度で開始し、4から5時間程度で終了した(図14参照)。
・供試体の拘束がない場合の強度低下は、膨張率1.5%程度で25%低下した。
・供試体を拘束することで強度低下を抑えることが出来る。
また、より精査を高めるために、アルミニウム粉末の添加量による膨張性コンクリートの膨張率と強度の推移についても実証試験を行った。
根固め部のソイルセメントでは、発泡剤のアルミニウム粉末を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)を掘削孔内に注入して、或いは注入しながら、砂層、砂礫層、礫層を先端翼付き鋼管杭の先端翼で攪拌混合しながら上下方向に反復作動するので、均一に造成するソイルセメントはモルタル及びコンクリートに近いセメント組成物となる。その後、硬化して根固め部となる。
したがって、発泡剤のアルミニウム粉末添加のソイルセメント強度はセメント水比(C/W)に依存しているので、強度はセメント含有率や単位セメント量が多くなると、造成するソイルセメントの強度は上昇するが、逆にソイルセメントの膨張率が大きくなると強度低下が起こる。
よって、本工法では、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)の膨張率が3%から16%となるように発泡剤のアルミニウム粉末を添加することで造成するソイルセメントの膨張率と圧縮強度を適宜調整することができる。
また、上述した実施例において発泡剤のアルミニウム粉末を添加したモルタルを一例として説明したが、モルタルに変えてセメントミルク、コンクリートにアルミニウム粉末を添加したものであってもよい。
[膨張するコンクリートの実証試験]
以下において膨張性コンクリートの各種実証試験を行い、発泡剤のアルミニウム粉末を添加した膨張性コンクリートの実証試験について詳説する。実証試験を行うにあたり、5種類の配合例を作製し、各配合例を順次説明したのち考察している。
[配合例1]
図16は配合例1に使用する材料を表わした一覧であり、図17は配合例1の使用材料の配合量を表わし、図18は配合例1におけるAL(アルミニウム粉末)添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図19は配合例1の膨張率と経
過時間との関係を示すグラフであり、図20は配合例1におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例1では、普通ポルトランドセメントを用いた膨張性高流動コンクリートである。
図18に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント質量比)セメント量500kgに対してアルミニウム粉末を15g、30g、45gはセメント比、それぞれ0.003%、0.006%、0.009%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、0.2%、1.0%、2.5%となる。なお、水セメント比は35%である。
図20に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.078X−1.0733又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図45の配合例1に示すように、回帰式より、アルミニウム粉末の添加率0.012%でコンクリートの膨張率は約3.6%となり、アルミニウム粉末の添加率0.015%でコンクリートの膨張率は約4.77%となり、アルミニウム粉末の添加率0.020%でコンクリートの膨張率は約6.72%となり、アルミニウム粉末の添加率0.025%でコンクリートの膨張率は約8.67%となり、添加率0.030%で膨張率10.62%と算出でき、コンクリートの膨張率3%のアルミニウム粉末の添加率は約0.0104%で、膨張率16%のアルミニウム粉末の添加率は約0.0437%と算出できる。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.0104%から約0.0437%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末の添加量を適宜調整することでコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
[配合例2]
図21は配合例2に使用する材料を表わした一覧であり、図22は配合例2の使用材料の配合量を表わし、図23は配合例2におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図24は配合例2におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例2では、高炉セメントB種を用いた膨張性高流動コンクリートである。図23に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント質量比)セメント量407kgに対してアルミニウム粉末を0g、25g、37.5g、50gはセメント比、それぞれ0%、0.006%、0.009%、0.012%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、−0.3%、0.5%、1.35%、1.98%となる。
なお、水セメント比は43%である。
図24に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.0592X−0.9433又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図45の配合例2に示すように、回帰式より、アルミニウム粉末の添加率0.015%でコンクリートの膨張率は約2.67%となり、アルミニウム粉末の添加率0.020%でコンクリートの膨張率は約3.87%となり、アルミニウム粉末の添加率0.025%でコンクリートの膨張率は約5.08%となり、添加率0.030%で膨張率6.28%と算出でき、コンクリートの膨張率3%のアルミニウム粉末の添加率は約0.0163%で、膨張率16%のアルミニウム粉末の添加率は約0.0703%と算出できる。
また、この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率−0.3%であるので、アルミニウム粉末の添加率
0.030%においては実質膨張率は(0.3+6.28=)6.58%である。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.0163%から約0.0703%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末の添加量を適宜調整することコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
[配合例3]
図25は配合例3に使用する材料を表わした一覧であり、図26は配合例3の使用材料の配合量を表わし、図27はコンクリートのフレッシュ試験の結果を表わした一覧であり、図28は配合例3におけるAL添加量を変化させた時のフレッシュ試験と膨張率を表わした一覧であり、図29はAL添加量と膨張率測定結果を表わした一覧であり、図30は配合例3の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図31は配合例3におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例3では、低熱ポルトランドセメントを用いた膨張性高流動コンクリートである。
図28に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント質量比)セメント量500kgに対してアルミニウム粉末を20g、40g、60gはセメント比、それぞれ0.004%、0.008%、0.012%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、0.94%、3.28%、4.67%となる。なお、水セメント比は34%である。
図31に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.0935X−0.78又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図45の配合例3に示すように、回帰式より、アルミニウム粉末の添加率0.015%でコンクリートの膨張率は約6.23%となり、アルミニウム粉末の添加率0.020%でコンクリートの膨張率は約8.57%となり、アルミニウム粉末の添加率0.025%でコンクリートの膨張率は約10.9%と算出でき、コンクリートの膨張率3%のアルミニウム粉末の添加率は約0.008%となり、膨張率16%のアルミニウム粉末の添加率は約0.0358%と算出できる。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.008%から約0.0358%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末添加量を適宜調整することでコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
[配合例4]
図32は配合例4および5に使用する材料を表わした一覧であり、図33は(a)配合条件・試験、(b)使用ミキサ・練り混ぜ方法を表わした一覧であり、図34は配合例4の使用材料の配合量を表わした一覧であり、図35は配合例4におけるAL添加量を変化させた時のコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図36は配合例4の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図37は配合例4におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例4では、普通ポルトランドセメントを用いた膨張性コンクリート(スランプ配合18cm)である。図35に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント質量比)セメント量370kgに対してアルミニウム粉末を0g、30g、37g、44gはセメント比、それぞれ0%、0.008%、0.010%、0.012%と算出される。また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、−0.89%、−0.52%、−0.26%、−0.02%となる。なお、水セメント比は50%である。
図37に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.0357X−1.5881又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図45の配合例4に示すように、回帰式より、アルミニウム粉末の添加率0.015%でコンクリートの膨張率は約0.39%となり、アルミニウム粉末の添加率0.020%でコンクリートの膨張率は約1.05%となり、アルミニウム粉末の添加率0.025%でコンクリートの膨張率は約1.71%となり、添加率0.030%で膨張率2.37%と算出でき、コンクリートの膨張率3%のアルミニウム粉末の添加率は約0.0347%で、膨張率16%のアルミニウム粉末の添加率は0.1331%と算出できる。
また、この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率−0.89%であるので、アルミニウム粉末の添加率は0.030%においては実質膨張率が(0.89+2.37=)3.26%である。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.0347%から約0.1331%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することでコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
[配合例5]
図38は配合例5の使用材料の配合量を表わした一覧であり、図39は配合例5におけるAL添加量を変化させた時のコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図40は配合例5の膨張率と経過時間との関係を示すグラフであり、図41は配合例5におけるAL添加量と膨張率の回帰式を示すグラフである。
配合例5では、普通ポルトランドセメントを用いた膨張性コンクリート(スランプ配合18cm)である。図39に示すように発泡剤のアルミニウム粉末の添加率(セメント質量比)セメント量370kgに対してアルミニウム粉末を0g、30g、37g、44gはセメント比、それぞれ0%、0.008%、0.010%、0.012%と算出される。
また、アルミニウム粉末の添加量に応じた膨張率は、−0.55%、0.47%、0.90%、1.25%となる。なお、水セメント比は45.9%である。
図41に示すように、アルミニウム粉末を添加したコンクリートの膨張率は、アルミニウム粉末の添加量に応じて略直線的に増加するため、所定の膨張率を得たい場合にはアルミニウム粉末添加量と膨張率との回帰式 y=0.0557X−1.1881又は予測的に近似直線を描いてアルミニウム粉末の添加量を算出することができる。
従って、図45の配合例5に示すように、回帰式より、アルミニウム粉末の添加率0.015%でコンクリートの膨張率は約1.9%で、アルミニウム粉末の添加率0.020%でコンクリートの膨張率は約2.93%となり、アルミニウム粉末の添加率0.025%でコンクリートの膨張率は約3.96%となり、添加率0.030%で膨張率は約4.99%と算出でき、コンクリートの膨張率3%のアルミニウム粉末の添加率は0.0203%で、膨張率16%のアルミニウム粉末の添加率は0.0834%と算出できる。
また、この膨張率は、アルミニウム粉末の添加率0%でコンクリートの膨張率−0.55%であるので、アルミニウム粉末の添加率0.030%においては実質膨張率は(0.55+4.99=)5.54%である。
よって、発泡剤を添加したコンクリートの膨張率3%から16%を生起する発泡剤のアルミニウム粉末の添加量は、セメント質量に対して約0.0203%から約0.0834%であるので、アルミニウム粉末の添加量からコンクリートの膨張率を算出でき、アルミニウム粉末添加量で適宜調整することでコンクリートの膨張率を設定することが可能である。
[配合例C、1から5のまとめ]
上述した配合例1から5の実証試験から、発泡剤のアルミニウム粉末の添加率に基づいた膨張するコンクリートの膨張率は事前に予測することが可能となり、当然にコンクリートの膨張率はアルミニウム粉末の添加量で適宜調整することができる。
また、配合例1および配合例3においては発泡剤のアルミニウム粉末の添加率0%の場合に図19および図30に示すように初期膨張率0%である。図17に示すように配合例1の水セメント比は35%であり、図26に示すように配合例3の水セメント比は34%である。
従って、配合例1から5より、初期膨張率0%にする水セメント比は、コンクリート初期膨張率(アルミニウム粉末の添加率0%のとき)と水セメント比との関係から推測する
ことができる。
ここで、アルミニウム粉末添加率0%の初期膨張率と水セメント比との関係を図47のグラフとして示した。図47中のNO1は配合例1の膨張率0%と水セメント比35%との関係を示しており、NO2は配合例2の膨張率−0.3%と水セメント比43%との関係を示しており、NO3は配合例3の膨張率0%と水セメント比34%との関係を示しており、NO4は配合例4の膨張率−0.89%と水セメント比50%との関係を示しており、NO5は配合例5の膨張率−0.55%と水セメント比45.9%との関係を示している。
図47に示すように、配合例C,2,4,5の水セメント比の初期膨張率の各プロットを直線で結び、さらに点線で描いた近似直線を膨張率0%まで結ぶことで、コンクリート初期膨張率(アルミニウム粉末の添加率0%のとき)が水セメント比39.5%程度であると予測的に読み取ることができる。
これにより、配合例C、1から5については水セメント比を39.5%以下となる配合としたのちに、発泡剤のアルミニウム粉末を添加することにより、初期膨張率0%を基準としたコンクリートの設定膨張率を確実に生成することができる。
また、配合例4および5についてブリーディング試験を実施した。
図42は配合例4および配合例5の使用材料の配合量(ALなし)を表わした一覧であり、図43は、配合例4および配合例5においてのコンクリート試験結果を表わした一覧であり、図44は配合例4および配合例5においての経過時間あたりのブリーディング量(cm3)を表わすグラフである。
図42中のNO1は混和剤SV10Lを用いた配合例4であり、NO2は混和剤SF500Sを用いた配合例5である。すなわち、図43に示すように、NO1の配合例4は、混和剤SV10L(AE減水剤標準形)C×1.0%のときブリーディング率3.57%となり、NO2の配合例5は、混和剤SF500S(高性能AE減水剤)C×0.8%のときブリーディング率1.24%となる。
一方、混和剤のAE減水剤を用いたコンクリート配合に発泡剤のアルミニウム粉末(セルメックP)を添加した場合には元の沈降量が大きいために膨張によってその沈降量をキャンセルするが、最終的にコンクリートが膨張した量は小さくなる。
他方、混和剤の高性能AE減水剤を用いたコンクリート配合に発泡剤のアルミニウム粉末(セルメックP)を添加した場合には単位水量を低減することができるので、沈降量が小さくなり、最終的にコンクリートを所定の量だけ膨張させることができる。
図43および図44に示すように、コンクリートのブリーディング量が多くなるとコンクリートの沈降量が大きくなる。したがって、コンクリートの沈降量が大きくなると発泡剤のアルミニウム粉末(セルメックP)による膨張量は小さくなる。
かかることからコンクリートのブリーディング率が0%になるように、混和剤の高性能AE減水剤等の添加量を適宜決定して使用することで初期膨張率0からの膨張率を生成することが可能となる。
従って、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量によるコンクリートの膨張は、コンクリート配合を水セメント比からとブリーディングを抑える初期膨張率を0%配合して、設定膨張率に必要なアルミニウム粉末の量を適宜決定することが好ましい。
また、コンクリートの膨張率を上げるには、単位セメント量を多くして、かつ、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量を多くすることで、大きな膨張率を得ることが出来る。
[ALの添加量に応じたコンクリート圧縮強度実証試験]
図46は、配合例C、3,4,5におけるアルミニウム粉末の添加率とコンクリート圧縮強度との関係を表わしたグラフである。
図46に示すように、配合例3,5,4は発泡剤のアルミニウム粉末の添加率が増加するにつれて、圧縮強度の低減が略直線的に推移する。アルミニウム粉末添加率が0.008%の場合において、配合例3の低減強度率は92.02%となり、配合例5の低減強度率は93.29%となり、配合例4の低減強度率は93.60%となる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.008%の場合では、低減強度率を最大約92%程度と予測することができる。
また、アルミニウム粉末添加率が0.012%の場合において、配合例3の低減強度率は80.67%となり、配合例5の低減強度率は84.91%となり、配合例4の低減強度率は88.24%となる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.012%の場合では、低減強度率を最大約80%程度と予測して、発泡剤のアルミニウム粉末の添加量の配合計画を事前に行うことができる。
また、圧縮強度の低減が略直線的に推移することから予測的にアルミニウム粉末添加率が0.015%の場合において、配合例3の低減強度率は79.36%と、配合例5の低減強度率は81.19%と、配合例4の低減強度率は85.15%と推定できる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.015%の場合では、低減強度率を最大約79%程度と予測することができる。
また、予測的にアルミニウム粉末添加率が0.020%の場合において、配合例3の低減強度率は68.40%と、配合例5の低減強度率は75.04%と、配合例4の低減強度率は80.41%と推定できる。よって、アルミニウム粉末添加率が0.020%の場合では、低減強度率を最大約68%程度と予測することができる。
また、図46の配合例3,4,5に示すように、アルミニウム粉末の添加率が0.025%の場合においては、配合例3の低減強度率は60.58%と、配合例5の低減強度率は68.9%と、配合例4の低減強度率は75.25%と推定できる。
また、予測的にアルミニウム粉末添加量が0.030%の場合において、配合例3,5,4のコンクリート圧縮強度と低減強度率は、次のように推定できる。
すなわち、配合例3の強度は、34.8N/mmとなり、配合例3の低減強度率は、53.37%となる。また、配合例5の強度は、34.0N/mmとなり、配合例5の低減強度率は、63.31%となる。配合例4の強度は、33.8N/mmとなり、配合例4の低減強度率は、69.69%となる。
従って、アルミニウム粉末の添加率が0.025%の場合では、低減強度率を最大約60%程度と近似直線から予測できる。
また、アルミニウム粉末の添加率が0.030%の場合では、低減強度率を最大約53%程度と近似直線から予測できる。
このことから、アルミニウム粉末添加率が0.008%の場合で低減強度率が最大92%程度、0.012%の場合で低減強度率が最大80%程度、0.015%の場合で低減強度率が最大79%程度、0.020%の場合で低減強度率が最大68%程度、0.025%の場合で低減強度率が最大60%程度、0.030%の場合で低減強度率が最大値53%程度となり、アルミニウム粉末の添加率が0.005%ずつ増加すると、コンクリート強度は逆に約7%から11%の範囲で略直線的に低下することが推定できる。
よって、アルミニウム粉末添加量とセメント量とは、相関関係にあることから、アルミニウム粉末添加量によるコンクリート圧縮強度は、予測できるので、セメント組成物のソイルセメントの圧縮強度も同様に予測できる。
配合例Cの拘束ありと拘束なし(自由膨張)の実証試験について説明する。
先ず、配合例Cの拘束ありの場合において、アルミニウム粉末添加率が0%の場合では、コンクリート強度51.8N/mmとなる。アルミニウム粉末添加率が0.0058%の場合では、コンクリート強度48.7N/mmで強度低減率94.01%となる。
アルミニウム粉末添加率が0.0116%の場合では、コンクリート強度49.2N/mmで強度低減率94.98%となる。
予測的にアルミニウム粉末の添加率が、0.025%の場合では、コンクリート強度46.2N/mmで強度低減率89.18%と推定でき、予測的にアルミニウム粉末の添加率が、0.030%の場合では、コンクリート強度45.0N/mmで強度低減率86.87%と推定できる。
この強度関係から、アルミニウム粉末添加率が0.0058%より、添加量の多い0.0116%のコンクリート強度が僅かであるが増加していることから、ガス発生によるコンクリートの膨張が型枠の存在によって抑制される結果、骨材とセメントとの付着が改善されて、それに伴って強度も僅かながら増加するものと考えられる。
しかし、予測的にアルミニウム粉末添加率0.025%の場合では強度低減率89.18%と推定でき、アルミニウム粉末添加率0.030%で強度低減率86.87%と推定できる。この強度の低減が、横ばいとなっている結果からも他の配合例3、4、5より拘束ありの状態が非常によく拘束状態を形成できているものと考えられる。
このことは、本発明の先端翼付き鋼管杭の回転工法では、膨張するソイルセメントを拘束下の状態(掘削孔内)におくことで、ソイルセメントの強度低下は少なくとも横ばい状態とすることができ、すなわち、根固め部のソイルセメントは、膨張による強度低下を少なくすることができる。
逆に、配合例Cの拘束なしの場合においては、アルミニウム粉末の添加量が増加するとコンクリート強度は大きく低下してしまう。
配合例Cの拘束なしの強度低下は略直線的な関係を示しており、アルミニウム粉末の添加率が0.0058%の場合では強度低減率が89.76%となる。アルミニウム粉末の添加率が0.0116%の場合では強度低減率が74.9%となる。予測的にアルミニウム粉末の添加率が0.025%の場合では強度低減率が45.36%と推定できる。予測的にアルミニウム粉末の添加率が0.030%の場合では強度低減率が33.78%と推定でき、強度は17.5N/mmと大きく低下すると推定できる。
さらに、アルミニウム粉末の添加率が0.030%の場合において、配合例Cの拘束なしを配合例Cの拘束ありと比較する。この配合例Cの拘束なしの強度低減率33.78%は配合例Cの拘束ありの強度低減率86.87%の(33.78÷86.87×100=)約1/2.5であり、配合例4の強度低減率69.69%の(33.78÷69.69×100=)約1/2となる。よって、拘束なしと拘束ありとは大きな圧縮強度差が出るが、根固め部のソイルセメントは掘削孔壁面により確実に拘束されるため、配合例Cの拘束ありと同じように良好な拘束状態を形成できるので、膨張による強度低下が少なくソイルセメントを生成することができる。
結果的に、発泡剤のアルミニウム粉末添加率を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)の実証試験より、アルミニウム粉末添加率とセメントミルク又はモルタルの膨張率とコンクリートの膨張率及びコンクリート圧縮強度との関係において、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%から16%となるように発泡剤のアルミニウム粉末の添加量が大気圧(常圧)で、セメントミルクの場合ではセメント質量に対して0.002%から0.02%の範囲であり、モルタルの場合ではにおいては発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から0.04%の範囲であることが好ましい。
また、コンクリートの場合では、コンクリートの膨張率が3%から16%を生起するアルミニウム粉末の添加率は、配合例1から5において、添加率が少なくて膨張率が大きい配合例3はセメント質量に対して約0.008%から約0.0358%であり、添加率が大きくて膨張率が小さい配合例4でセメント質量に対して約0.0347%から約0.1331%であることから、アルミニウム粉末の添加率の最小と最大の範囲がセメント質量に対して約0.008%から約0.1331%であるが、アルミニウム粉末の添加率は同じ添加率でも温度が低くなるほど反応速度が遅くなり膨張率が小さくなる特性があるので、常圧(大気圧)でコンクリートの場合ではセメント質量に対して0.008%から0.14%の範囲とすることが好ましい。
また、アルミニウム粉末の添加率がセメントミルクの場合で、0.002%未満、モルタルの場合で0.007%未満、コンクリートの場合で0.008%未満の場合では、注入するセメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が3%未満となり、造成するソイルセメントの膨張率が1%未満となるので、膨張して硬化したソイルセメントが掘削孔の孔壁地盤に充分な膨張圧力を与えることができない。
また、アルミニウム粉末の添加率がセメントミルクの場合で0.02%より大きく、モルタルの場合で0.04%より大きく、コンクリートの場合で0.14%より大きい場合では、注入するセメントミルク、モルタル、コンクリートの膨張率が16%より大きくなり、造成するソイルセメントの膨張率が8%より大きくなるので、膨張して硬化したソイルセメントは掘削孔の孔壁地盤との密着力が高まるものの、ソイルセメントの強度は低下が大きくなり、強度を上げるためにはセメント量を多くする必要があるので材料コストが上昇して経済性が悪くなる。
よって、アルミニウム粉末の添加量の範囲を定めることにより、セメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)の膨張率が3%から16%の範囲に生成することができ、これらのセメント流動物を掘削孔に注入して掘削土壌と攪拌混合してソイルセメントを造成することで、膨張して硬化するソイルセメントは逆テーパー形状の膨張率の1%から8%を生起し逆テーパー形状の膨張圧力を生起することができる。
[先端翼付き鋼管杭の回転工法の例1]
先端翼付き鋼管杭の回転工法の先端翼径の根固め部のソイルセメントを発泡膨張させ、その根固め部となるソイルセメントの体積を拡大させる。
例えば、根固め部径φ1000mmを10mm膨張してφ1010mmにする膨張率は、2.01%になる。根固め部径φ1200mmを10mm膨張してφ1210mmにする膨張率は、1.67%になる。根固め部径φ1500mmを10mm膨張してφ1510mmにする膨張率は、1.33%になる。根固め部径φ2400mmを10mm膨張してφ2410mmにする膨張率は、0.84%になる。
例えば、根固め部径φ1000mmを20mm膨張してφ1020mmにする膨張率は、4.04%になる。根固め部径φ1200mmを20mm膨張してφ1220mmにする膨張率は、3.36%になる。根固め部径φ1500mmを20mm膨張してφ1520mmにする膨張率は、2.63%になる。根固め部径φ2400mmを20mm膨張してφ2420mmにする膨張率は、1.67%になる。
例えば、根固め部径φ1000mmを30mm膨張してφ1030mmにする膨張率は、6.09%になる。根固め部径φ1200mmを30mm膨張してφ1230mmにする膨張率は、5.06%になる。根固め部径φ1500mmを30mm膨張してφ1530mmにする膨張率は、4.04%になる。根固め部径φ2400mmを30mm膨張してφ2430mmにする膨張率は、2.52%になる。
このように杭体の先端翼径の根固め部径を10mmから30mm膨張することができる膨張率0.84%から6.09%は、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)の膨張率を3%から16%の範囲としている。
例えば、膨張率12%のセメントミルクを掘削孔に注入して先端翼で掘削土壌と攪拌混合した場合において、注入率100%でセメントミルクを注入して造成したソイルセメントの膨張率は6%となる。安全率「1.5」とするとソイルセメントの膨張率は4%となる。
また、注入率150%でセメントミルクを注入して造成したソイルセメントの膨張率は8.04%となる。安全率「1.5」とするとソイルセメントの膨張率は5.36%となる。
また、注入率200%でセメントミルクを注入して造成したソイルセメントの膨張率は9%となる。安全率「1.5」とするとソイルセメントの膨張率は6%となる。
したがって、根固め部径を10mmから20mm大きく膨張したソイルセメントは、このようにして実施可能である。根固め部径を30mm大きく膨張したソイルセメントの膨張率6.09%の場合は、セメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)の膨張率を13%で実施可能である。
また、根固め部のソイルセメントの圧縮強度は、注入するセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)の強度で決まるので、セメント量を適宜調整することで所定の強度設定を行うことが可能である。
このように先端翼径の根固め部径を10mmから30mm大きく膨張させることは可能であり、より大きな膨張率とすることも可能である。大きな膨張率は、掘削中に緩んだ地盤をソイルセメントの膨張圧力で解消し、膨張圧力を掘削孔壁にかけたままとすることができ、掘削孔壁地盤より反作用の反力を生起する状態となり、この状態のまま、ソイルセメントが硬化するので、ソイルセメントと周辺地盤と先端翼付き鋼管杭とは強固に一体化する。本工法によれば、先端翼付き鋼管杭の先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を大きく向上することができる。
上述した根固め部のソイルセメント体の膨張量は、10mmから30mmであるが、好適には外周に10mm以上の膨張部分をもつ根固め部径20mm以上に膨張させることが好ましい。
[先端翼付き鋼管杭の回転工法の例2]
先端翼付き鋼管杭の先端翼径の根固め部のソイルセメントを発泡膨張させて、膨張して硬化するソイルセメントが逆テーパー形状の膨張率を生起し、逆テーパー形状の膨張圧力を生起する先端翼付き鋼管杭の回転工法で実施の予測をする。
配合例Bにおいての膨張性モルタルの予測膨張率5.4%(セメント量681kg/m3×アルミニウム粉末添加率0.0116%≒79g/m3となり、図13より膨張率5.4%を拾い出す)の数値を用いて、先端翼付き鋼管杭の回転工法の根固めを実施する。
例えば、鋼管径φ800mm、先端翼径φ1600mm、根固め部径φ1600mm、根固め部の長さ10m、掘削深さGL−20m、杭の長さ20mで実施する。
先ず、鋼管先端翼φ1600mmで掘削深さGL−20mを掘削し、掘削先端部GL−15mからGL−20mの深さの5mの範囲に、セメントとの化学反応時間を適宜調整したアルミニウム粉末を添加した膨張性モルタルを注入しながら、鋼管先端翼で掘削土壌と攪拌混合して根固め部となるソイルセメントを造成する。
すなわち、注入率200%で膨張性モルタルを掘削深さGL−15mからGL−20mの深さの5mの範囲に注入し、モルタルと掘削土壌を攪拌混合し、モルタル含有率が75%となる根固め部となるソイルセメントの長さ(高さ)10mを造成する(図48(d)参照)。
よって、造成する根固め部となるソイルセメント高さ10mの範囲のモルタル含有率は75%となり、膨張率は75%の生起となる。
アルミニウム粉末の添加量は、掘削深さと根固め部となるソイルセメントの高さから掘削深さGL−10m(造成する根固め部となるソイルセメントの長さ10m)の深さをもとに定める。
掘削孔内は地下水と泥土化された流動化土で飽和状態となっているので、掘削深さGL−10mの根固め部となるソイルセメントの膨張率が5.4%となるようにアルミニウム粉末の添加量を定める。
アルミニウム粉末の添加量は、掘削深さGL−10mの水圧下おいて、常圧と同じ膨張率を得るには常圧の2倍(2気圧=深さ10m)のアルミニウム粉末の添加量と掘削孔内の泥土の圧力を加味する必要がある。
常圧下において5.4%の膨張率のアルミニウム粉末の添加率はセメント質量に対して0.0116%であるから、0.0116%×2倍(2気圧)=0.0232%となり、さらに、泥土の比重を1.8とする1.8を乗じて、0.0232%×1.8≒0.04176%となる添加量を添加する。
よって、GL−10mの深さの根固め部となるソイルセメントの膨張率は、5.4%(常圧の膨張率)×75%(モルタル含有率)÷1.5(安全率)=2.7%となる。
この2.7%の膨張率の大きさは、掘削深さGL−10mで根固め部となるソイルセメントの径はφ1600mmを約φ1621mmの大きさに膨らます膨張圧力となる。
また、注入する膨張性モルタルで造成する根固め部となるソイルセメントの膨張は、掘削深さGL−10m(2気圧)で2.7%の膨張率を生起するようにしているので、杭先端部のGL−20mで生成する根固め部となるソイルセメントの膨張率は、ボイルの法則(温度が一定であるとき、気体の圧力と体積は反比例する)から、2.7%×2(2気圧)=5.4%となり、5.4%÷3(3気圧)=1.8%である。
この1.8%の膨張率の大きさは、掘削深さGL−20mで根固め部となるソイルセメントの径はφ1600mmを約φ1614mmの大きさに膨らます膨張圧力となる。
よって、掘削孔の地盤が普通または緩い場合では、根固め部のソイルセメントφ1600mmの径がGL−10mの深さでφ1621mm、GL−20mの深さの杭の先端部ではφ1614mmの膨張を生起し、高さ10mで上部がφ1621mmで下部(杭先端部)がφ1614mmで差分7mmの逆テーパー形状の膨張を形成した先端翼付き鋼管杭である。
逆テーパー形状に膨張を形成した先端翼付き鋼管杭は、載荷重による鋼管杭の沈下で逆テーパー形状の側壁地盤を押し広げようとするので、側壁地盤は沈下に対する抵抗力を発現して、沈下を抑制するので先端支持力が向上する。
また、掘削による地盤の緩みを膨張するソイルセメントの膨張圧力で、緩んだ地盤を押圧して締め固めるのでソイルセメントの根固め部と周面地盤とは強固に一体化し周面摩擦力が向上する。
また、根固め部の杭の高さ10mで、上端で7mm膨張した逆テーパー形状(くさび型)であるので、周面地盤と強固に一体化したくさび型の杭は引抜き抵抗力を大きく向上する。
掘削孔の孔壁地盤が硬い場合では、ソイルセメントφ1600mmは掘削孔内で膨張するが、地盤が硬いために掘削孔壁に拘束されて膨張は十分に膨らまず、膨張して硬化したソイルセメントは、逆テーパー形状の膨張圧力を生起したままの不十分な膨張を形成するので、膨張が拘束された余力のソイルセメントの膨張圧力は、掘削孔壁を押圧して反作用の反力を受けることにより、このソイルセメントの膨張圧力と掘削地盤からの反作用の反力は、膨張して硬化したソイルセメントの根固め部と孔壁地盤とを強固に一体化させる効果がある。
よって、逆テーパー形状の膨張圧力を生起して不十分な逆テーパー形状の膨張を形成し先端支持力や周面摩擦力及び引抜き抵抗力が向上する。
掘削孔の孔壁地盤が非常に硬い(例えば、岩の地層)場合では、ソイルセメントφ1600mmは掘削孔内で膨張しようとするが、地盤が非常に硬いために膨張は掘削孔壁に拘束されて膨らまずに逆テーパー形状の膨張圧力で生起しているので、掘削孔壁で拘束されたソイルセメントは逆テーパー形状の全膨張圧力で、孔壁地盤を押圧して反作用の全膨張圧力の反力を受ける。
このソイルセメントの全膨張圧力と孔壁地盤からの反作用の反力は、膨張して硬化したソイルセメントと先端翼付き鋼管杭と孔壁地盤とをより強固に一体化させる。
根固め部となるソイルセメントはセメント組成物であるから、一般コンクリートの強度同様に根固め部となるソイルセメントの強度はセメント水比(C/W)で決まると考えられる。
配合例Bの膨張性モルタル(単位セメント量681kg/m、W/C=45%)を200%注入すれば、生成する根固め部となるソイルセメントのセメント含有率は、681kg/m(単位セメント量)×75%(セメント含有率)÷1.5(安全率)=340.5kg/mとなる。
よって、生成する根固め部となるソイルセメントは、セメント量340.5kg/mで膨張率5.4%の膨張するソイルセメントを形成するので、このソイルセメントの強度は配合例Cの膨張性コンクリートのセメント量344kg/m3に近い配合であるから配合例Cの膨張性コンクリートの強度の関係に近いものと推測する。
また、注入するモルタルの水セメント比は45%であるので、泥土化された掘削土壌と攪拌混合して根固め部となるソイルセメントを生成するので、このソイルセメントの水セメント比は高くなり強度低下が起きる。モルタル含有率と同じように推測すると、根固め部となるソイルセメントの強度は配合例Cの膨張性コンクリート強度の50%と推測する。
よって、配合例Cのアルミニウム粉末の添加率0.0116%での膨張性コンクリート強度は、拘束有りで49.2N/mmであるから、49.2N/mm2×50%=24.6N/mmと予測できる。根固め部となるソイルセメントの強度は良好である。
次に、注入する膨張性モルタルの膨張率を12%で実施の予測をする。
配合例Bの膨張性モルタルの予測膨張率12%(セメント量681kg/m×アルミニウム粉末の添加率0.025%≒170g/mとなり、図13より膨張率12%を拾い出す)を200%で注入する。
鋼管径φ800mm、先端翼径φ1600mm、根固め部径φ1600mm、根固め部の長さ10m、掘削深さGL−20m、杭の長さ20mで実施する。
掘削先端部GL−15mからGL−20mの深さの5mの範囲に、膨張性モルタルを200%で注入すると、根固め部となるセメント含有率75%のソイルセメントの高さは10mの高さを造成する。また、根固め部となるソイルセメントの膨張率は75%となる。
アルミニウム粉末の添加量は根固め部となるソイルセメントの高さが10mとなるGL−10mの深さの水圧下において、アルミニウム粉末の添加量を定める。掘削深さ10mにおいて、常圧と同じ膨張率を得るには常圧の2倍(2気圧=深さ10m)の添加量に掘削孔内の泥土の圧力を加味する。
常圧下において12%の膨張率のアルミニウム粉末の添加率はセメント質量に対して0.025%であるから、0.025%×2倍(2気圧)=0.05%となり、0.05%×1.8(泥土比重)=0.09%となる添加量を添加する。
GL−10mの深さでの根固め部となるソイルセメントの膨張率は、12%(常圧の膨張率)×75%(モルタル含有率)÷1.5(安全率)=6%となる。
この6%の膨張率の大きさは、掘削深さGL−10mでの根固め部となるソイルセメントの径はφ1600mmを約1647mmの大きさに膨らます膨張圧力となる。
また、注入する膨張性モルタルで造成する根固め部となるソイルセメントの膨張は、掘削深さ10m(2気圧)で6%の膨張率を生起するようにしているので、杭先端部GL−20mで生成する根固め部となるソイルセメントの膨張率は、ボイルの法則から6%×2(2気圧)=12%となり、12%÷3(3気圧=深さ20m)=4%である。
この4%の膨張率は掘削深さ20mにおいて、根固め部となるソイルセメントの径はφ1600mmをφ1631mmの大きさに膨らます膨張圧力となる。
よって、φ1600mmの径がGL−10mの深さでφ1647mm、GL−20mの深さの杭先端でφ1631mmの膨張を生起し、高さ10mの上部がφ1647mmで下部(杭先端部)がφ1631mmで、16mmの逆テーパー形状の膨張圧力を生成して、逆テーパー形状に膨張を形成した、または不十分な逆テーパー形状の膨張を形成した、或いは逆テーパー形状の膨張圧力を生起した先端翼付き鋼管杭である。
また、根固め部となるソイルセメントの強度は、前記と同様に配合例Cの膨張性コンクリートの拘束ありのコンクリート強度から、アルミニウム粉末の添加率0.025%の予測値46.2N/mm2であるから、46.2N/mm2×50%=23.1N/mm2と予測できる。
根固め部となるソイルセメントの強度は良好である。
したがって、注入する膨張性モルタルの膨張率を5.4%から12%と大きくして、造成する根固め部となるソイルセメントの膨張率を2.7%から6%に生起するようにすれば、根固め部となるソイルセメント長さ(高さ)10mで逆テーパーを7mmから16mmに大きくすることで、逆テーパーは杭の沈下に対する抵抗力をより大きく向上させ、杭の沈下を抑える効果がある。
このように、造成する根固め部となるソイルセメントの膨張率を大きくすることで、杭先端支持力や周面摩擦力及び引抜き抵抗力を向上させることができる。また、根固め部の膨張率を大きくすることで逆テーパーが大きくなり、逆テーパー形状の高さを長くすることで押し広げる効果を高めることができ、杭の先端支持力や周面摩擦力及び引抜抵抗力を向上させる効果がある。
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の膨張作用を有する発泡剤を添加したセメントミルク又はモルタル又はコンクリート(セメント流動物)を注入(低圧、高圧噴射や噴出又は吐出等の加圧注入を含む)し、又は注入しながら掘削土壌と攪拌混合したソイルセメントを造成する工法により下記の杭基礎や地盤改良を実施できる。
具体的に、杭基礎は、既製杭のプレボーリング根固め工法や中堀根固め工法、鋼管ソイルセメント杭工法、ATTコラム工法、大口径杭RSプラス工法等が挙げられる。
既製杭は、鋼杭や既製コンクリート杭である。具体的には、鋼杭とは鋼管杭、H型杭、構真柱杭、鋼管や異形棒鋼等の補強材である。既製コンクリート杭は、PHC杭、ST杭、節杭、SC杭、PRC杭、SL杭等であり、その他、既製コンクリート杭以外の上記既製杭であってもよい。
また、地盤改良は、原位置土と改良液(セメント流動物)を混合攪拌する機械攪拌工法、高圧噴射攪拌工法、高圧噴射併用機械攪拌工法等により改良体を築造する工法であって、構造物の基礎として基礎杭や壁杭及び地中連続壁等と同じように支持力や摩擦力及び引抜抵抗力の機能を持つ地盤改良杭(例えば、円柱形状、矩形状、格子形状等)や地盤補強土工等で実施できる。
また、掘削した掘削孔にトレミー管や注入管を用いて、発泡剤を添加したセメント流動物を直接打設又は注入し基礎杭や基礎体を築造する工法で実施できる。
具体的に、場所打ちコンクリート杭、地中連続壁基礎、ケーソン基礎、鋼管矢板基礎、グランドアンカー工、地山補強土工、グラウト工等である。
また、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の基礎工法の形態で本発明を実施することが可能である。
A 地中
B 掘削土
K ジャッキライナー
P 先端翼付き鋼管杭
41 掘削孔
43 モルタル
44 ソイルセメント
46 根固め部

Claims (6)

  1. 地中内に先端翼付き鋼管杭をねじ込みつつ掘削孔を形成し、そのまま埋設する先端翼付き鋼管杭の回転工法であって、
    掘削孔の基部に先端翼付き鋼管杭をねじ込むと共に予め膨張作用を有する発泡剤を添加したセメント流動物を注入する工程と、
    掘削土壌と攪拌混合することによりソイルセメントを造成する工程と、
    掘削孔中の先端翼付き鋼管杭の基部周辺に造成したソイルセメントを膨張させ、ソイルセメントが逆テーパー形状の膨張圧力を生起する工程を少なくとも有する
    先端翼付き鋼管杭の回転工法。
  2. 膨張作用を有する発泡剤としては、セメント組成物中における化学反応によりガスを発泡する少なくともアルミニウム粉末、亜鉛等の両性金属の粉末、炭素物質、過酸化物質、スルホニルヒドラジド化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体から選択した1種又は2種以上である
    請求項1に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。
  3. セメント流動物としては、セメントで構成する少なくとも、セメントミルク、モルタル、コンクリートの何れかであり、セメントミルク又はモルタル又はコンクリートの膨張率が3%から16%となるように前記発泡剤を添加した
    請求項1又は2に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。
  4. セメントミルクの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.002%から0.6%とする、
    またはモルタルの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.007%から1.2%とする、
    またはコンクリートの膨張率が3%から16%となるように、掘削孔の掘削深度を130mまでとする前記発泡剤としてのアルミニウム粉末の添加量がセメント質量に対して0.008%から4%とする、
    請求項3に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。
  5. 膨張するソイルセメントには繊維物質を含有する
    請求項1から4の何れか1項に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。
  6. 先端翼付き鋼管杭には、杭本体の外周に平鋼材又は丸鋼材又は異形鋼材からなる突起を形成した突起付き鋼管やリブ付き鋼管や縞鋼板付き鋼管を含む
    請求項1から5の何れか1項に記載の先端翼付き鋼管杭の回転工法。
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