JP3600502B2 - 可塑状グラウト注入工法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、構造物と地盤(人工地盤も含む)の境界の空洞(トンネルなどの裏込めも含む)、地盤内の大間隙、構造物内の空間(以下これらを空洞という)に充填する非流動性の可塑状グラウトを注入する工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、大きな空洞に充填するグラウトとして、一液性のグラウト(モルタル等)が用いられている。
【0003】
しかしこの一液性のグラウトは、ポンプである程度の距離を圧送するため、流動性の良いことが必須条件となり、比較的小さな隙間に充填できる性質を持ち合わせているが、次のような問題点があった。
1)ポンプで圧送時に材料分離やブリージングが発生する。
2)注入時にグラウトが地下水に接すると希釈され、その結果、さらに材料分離、固結強度の不均一、注入されたグラウトの減少(歩溜の低下)が起こる。
3)注入されたグラウトは、流動性が良いため、水の流れと同じように不必要な遠方まで逸走し、本来の目的である注入改良範囲(注入口周辺)の空洞(特にトンネルの天端付近の空洞)に充分に充填されない。すなわち、限定範囲に確実に充填する限定注入ができない。
【0004】
これらの問題点を解決する方策として従来、セメント懸濁液等の流動性の良い一液性のグラウト(A液)と、同じく流動性の良い水ガラス等の可塑剤(B液)とを、別々に圧送し注入口付近でA,B両液を合流混合して、非流動性の可塑状グラウトに変質させる二液性注入工法が開発され、現在、空洞充填注入の主流となっている。
【0005】
この可塑状グラウトは、以前の一液性グラウトに比べて次のような優れた性質が得られるようになった。
1)流動性の良いA、B液を用いるため長距離圧送が可能となり、またA液(モルタル等)に多少のブリージング(通常2〜5%以下)の発生や材料分離があってもB液を混合させて可塑状に変質させるため、ブリージングや材料分離は全く起こらない。
2)可塑状グラウトが地下水に接しても、希釈されることなく、また材料分離、固結強度の不均一、注入量の減少(歩溜の低下)が起こらない。
3)注入された可塑状グラウトは、後から注入されたグラウトによって初めて先方に移動するため、注入口周辺の空洞に限定注入が可能となる。
【0006】
このような性質を持つ可塑状グラウトを用いることによって、非常に効果的な充填注入として使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の可塑状グラウトは、限定注入が可能であるという特徴がある反面、可塑状という特異な性質を持つグラウトであるため、実際の現場では次のような問題がある。
【0008】
すなわち、大きさが大小複雑多岐にわたって存在した空洞に注入した場合、空洞のおおまかなところには充填できるが、空洞のすみずみ(空洞の隅や小さな空洞)には充填し得ないという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、空洞に注入充填する可塑状グラウトの注入工法であって、硬化発現材を主成分とした流動性の懸濁液をA液とし、モンモリロナイト粘土鉱物(以下ベントナイトという)とアルミニウム粉末を主成分とした流動性の粘性液をB液とし、一次充填としてそれぞれ別々のポンプで圧送し、注入口付近で前記A液とB液を合流混合することにより、非流動性の可塑状に変質させたグラウトを空洞のおおまかなところに充填した後、二次充填として一次充填された可塑状グラウトの発泡圧による膨張によって一次充填で充填できなかった空洞のすみずみまで充填させるようにした二液性の膨張性可塑状グラウトの注入工法を提案するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
硬化発現材を主成分とした流動性の懸濁液をA液とし、モンモリロナイト粘土鉱物とアルミニウム粉末を主成分とした流動性の粘性液をB液とし、一次充填として、それぞれ別々のポンプで圧送し、注入口付近で前記A液とB液を合流混合することにより、非流動性の可塑状に変質させたグラウトを空洞のおおまかなところに充填した後、二次充填として一次充填された可塑状グラウトの発泡圧による膨張によって一次充填で充填できなかった空洞のすみずみまで充填させる。
【0011】
【実施例】
本発明者らは鋭意研究の結果、一次充填(注入)として硬化発現材を主成分とした懸濁液(A液)にアルミニウム粉末とベントナイトを主成分とした粘性液(B液)をそれぞれ別々のポンプで圧送し、注入口付近でA液とB液を合流混合することにより、非流動性の可塑状に変質させたグラウトを空洞のおおまかなところに充填した後、二次充填として一次充填された可塑状グラウトの発泡圧による膨張によって、一次充填できなかった空洞のすみずみまで充填させることができることを突き止め、非流動の膨張性可塑状グラウトとして完成したものである。
【0012】
すなわち、硬化発現材を主成分とし、あるいはこれに種々の骨材や添加剤を加えた流動性のA液に、ベントナイトとアルミニウム粉末を主成分とした流動性の粘性液を加えることにより、第一の反応として、ベントナイトの粘性液は、硬化発現材から溶解したアルカリ性のカルシウムイオン(陽イオン)などの電解質イオンが、ベントナイト粒子(陰に帯電)表面に吸着されて電気化学的作用(荷電置換)により、一種のゲル化反応を起こして急激(瞬時に近い短時分)に粘性が増大し、流動性を失って非流動性の可塑状グラウトに変質し、ブリージング、材料分離及び水の希釈を防止すると共に、不必要に遠方まで逸走することを防止し、一次充填として目的の空洞のおおまかなところに充填する。
【0013】
その結果この非流動性の可塑状グラウトは、限定注入としても非常に有効である。
【0014】
次に第二の反応として、一次充填で空洞のおおまかなところしか充填(注入)できなかったグラウトは、注入B液中のアルミニウム粉末がA液の硬化発現材中のアルカリ成分(主にカルシウムイオン)と発泡反応(水素ガスを発生)を起こして、グラウトは膨張して、空洞のすみずみまで充填させることができる。
【0015】
本発明のA液は、硬化発現材懸濁液のみ、あるいはこれに骨材や添加剤などを加えた懸濁液をいう。
【0016】
本発明に用いる硬化発現材とは、水に加えると硬化発現する物質で、セメント、セメントスラグ、スラグ一石灰を挙げることができる。
【0017】
また、本発明のA液に加えることがある骨材(又は増量材)として、砂、フライアッシュ、石灰、一次鉱物微粉末(岩石、石英、石灰石、ドロマイトなど)、粘土鉱物(ベントナイト、陶土等)などをあげることができ、またこれらの骨材の一種又は二種以上を組み合わせることができる。
【0018】
さらに、従来のグラウトに添加している分散剤、遅延剤、高分子吸水剤、増粘剤、早期強度発現材等を目的に合わせて添加することができる。
【0019】
本発明のB液とは、アルミニウム粉末とモンモリロナイト粘土鉱物(代表的なものとしてベントナイト)を主成分とした流動性の粘性液をいう。
【0020】
また、アルミニウム粉末は、鱗片で水面拡散面積8,000cm2/g程度のものが好ましい。
【0021】
本発明の可塑状グラウトに加えるアルミニウム粉末量は、可塑状グラウトの強さ、硬化発現材の種類や量、温度、密閉状態などにより異なるが、グラウトの膨張率5〜40%では硬化発現材の約0.01〜0.10%の範囲である。
【0022】
本発明の発泡剤であるアルミニウム粉末を用いたコンクリートは、プレパクトコンクリートと称し、昭和40年代頃アメリカで開発(特許)され、日本においても以前は多く使われていた。
【0023】
このプレパクトコンクリートは主に、水中コンクリートとして用いられたもので、水中に設置した型枠内に粗骨材(川砂や砕石)を投入し、アルミニウム粉末、セメント、フライアッシュ、砂、減水剤、水等を練り混ぜた一液性のモルタルを粗骨材中に注入して作ったコンクリートのことである。
【0024】
この原理は、モルタル中のアルミニウム粉末が、セメントのアルカリと反応して発泡(水素ガスの発生による)することによりモルタルが膨張する性質を利用したものである。
【0025】
このアルミニウム粉末を混入したグラウト(モルタル等)の施工に際しては、
(1)空洞に充填注入を行うまでは、グラウトの膨張を起こさせないこと。
(2)セメント(グラウト)が硬化する前に膨張を終わらせること。
が、良い品質のグラウトを作るための絶対的条件である。
【0026】
しかしながら、刊行物「プレパクトコンクリート工法(昭和48年6月初版、発行者 山海堂)」に記載の実施例では、モルタルを調合してから1時間後の膨張率は3時間後(膨張ほぼ完了)の約80〜90%に達している。
【0027】
このうち、モルタルの注入時間(モルタルを調合してから注入が終了するまでに要する時間)を考慮した場合、上記( 1 )の条件を完全に満足させることはできない問題がある。
【0028】
一方、本発明の充填注入、例えば既設トンネルの補修工事では通常、プラントはトンネル入り口付近に設置し、注入箇所はトンネルの長さにもよるが、入口から100〜500m程度、長いときは1,000mを越える場合もある。
【0029】
また、注入に先立ち、注入孔を設置し、グラウトの注入は一箇所ずつ行い、順次移動して施工する。
【0030】
また、空洞注入は、事前に空洞の有無や大きさを正確に確認することができないため、注入孔一箇所当たりの注入量(注入時間)が大きく異なり、あらかじめ決められた注入作業時間での施工は、非常に難しいのが現状である。
【0031】
したがって、プラントでグラウトを配合(通常1バッチ当たり500リットル程度)してから、注入管(2インチ又は1インチ)を通じて注入するまでに要する時間は、早い時(施工条件が良く順調の場合)でも10〜30分程度かかり、グラウトの圧送距離が長く、一箇所当たりの注入量が少なく、あるいは作業上のトラブルが起きた場合などは、1時間を超えることも度々起こるのが現状である。
【0032】
このような施工条件下では、プラントでアルミニウム粉末を混入したグラウト(一液性グラウト)は、注入する時点で既に大部分の膨張を終えており、本発明の目的である前述の( 1 )の条件、すなわち「空洞に充填注入を行うまでは、グラウトの膨張を起こさせないこと」を満足させることは全く不可能である。
【0033】
このように、アルミニウム粉末を混入したグラウトを一液性で注入した場合、従来のエアグラウト(グラウトの調合時に起泡剤を混入して事前に気泡を作ったグラウト)と性能的に何ら変わらないグラウトとなり、本発明では一液性での施工は全く不適である。
【0034】
そこで本発明者等は種々の実験の結果、アルミニウム粉末をセメントなどの硬化発現材の懸濁液(A液)に混入せず、B液側の可塑剤に混入した二液性注入工法(A、B液を注入口の直前に合流混合させる工法)を用いることにより、注入後に発泡させることができることを究明できた。
【0035】
この硬化発現材を主成分とした懸濁液(A液)に加えて非流動性の可塑状に変質できる実用的な可塑剤としては、本発明者等が発明した水ガラス(特許第1427758号)、アルミニウム塩溶液(特許第1862820号)、モンモリロナイト粘土鉱物(特願平9−291612号)とが有る。
【0036】
このうち、水ガラス、アルミニウム塩溶液共に液状であるためアルミニウム粉末(微粉末のアルミ鱗片で水面拡張面積8000cm2/g)は、液中に安定した状態で均一に分散することができず、また施工時に注入機器(ミキサー,注入ポンプ、注入ホースなど)に付着することから、現場での使用は不適である。
【0037】
これに対して、ベントナイトは粘着性のコロイド粒子であるため、アルミニウム粉末と混合すると、アルミニウム粉末はベントナイトコロイド粒子表面に付着し、安定した状態で均一に分散できることが確認できた。
【0038】
また、このベントナイト液は、PH9前後の非常に弱いアルカリ成分をもっているが、アルミニウム粉末と混合しても1日程度ではほとんど反応(膨張現象)が起こらないので実用的には全く問題がないことがわかった。
【0039】
したがって、本発明のアルミニウム粉末を混入しても安定な可塑剤は、ベントナイトのみであることが究明できた。
【0040】
すなわち、アルミニウム粉末とベントナイト粘性液(B液)に強アルカリ性の硬化発現材懸濁液(A液)を加えることにより、初めて発泡反応(膨張現象)を起こすことになる。
【0041】
これより、実際の現場では、A液とB液を注入口で合流混合して空洞に充した後に、初めて膨張し、一次充填の注入で充填できなかった空洞のすみずみまで充填することができる可塑状グラウトを究明できた。
【0042】
なお、本発明でいう可塑状グラウトとは、非流動体でそれ自身流動性はないが、物理的作用(例えば加圧、あるいは加重など)を与えると容易に流動化する性質をいう。
【0043】
以上のように本発明の施工方法は、二液性で行うことを原則とする。
【0044】
空洞の注入では、目的の箇所に設けた注入口の手前まで別々に圧送してきた流動性のA液とB液を合流混合し、可塑状グラウトに変質させた状態で空洞内に注入する方法が一般には採られる。
【0045】
地盤内の空洞や大きな隙間の注入では、目的の箇所までボーリングなどで穿孔し、注入管を設けて注入する。
【0046】
以下、本発明につき実験例を挙げてさらに詳しく説明する。
【0047】
以下の実験に用いた材料は、A液の硬化発現材として、セメント(普通ポルトランドセメント)、スラグ系セメントとして高炉セメント(B種)、B液としてベントナイトはスーパークレー(アメリカ産)、アルミニウム粉末として東洋アルミニウム株 式会社製の製品名P0900を用いた。
【0048】
本発明の膨張性可塑状グラウトの性質を確認するために、表1の配合を用いて実験を行った。
【0049】
【表1】
註)Al(アルミニウム粉末)%は、対硬化発現材。
【0050】
「実験−1」 A、B液および可塑状グラウト(A+B液)のブリージング、フロー値、固結強度の測定を行い表2の結果を得た。
【0051】
【表2】
註)ブリージング、フロー値は比較例−1と実施例−1はほとんど同じである(Al粉末がごく微量で影響を与えない)。
【0052】
フロー値は、円筒フローコン測定(アクリル板に内径80mm、高さ80mmの円筒を置き、この中にグラウトを満たした後、円筒を静かに持ち上げ、その時のグラウトの広がり、即ち直径を測定し、cmの単位をもって表した)で行った。
【0053】
なお、可塑状グラウト(A+B液)の判定は、フロー値が約13cm(下部の広がり)を基準とし、13cm以下を可塑状グラウトとした。
【0054】
ブリージングは500mlメスシリンダーで静置し3時間後に測定し、単位として%で表した。
【0055】
上記表1の配合による、表2の実験結果からA液のブリージング(6.5%、5.3%)があり、流動性(フロー値でA液51.0cm、42.5cmおよびB液25.3cm、29.2cm)のA液とB液を混合すると、ほとんど瞬時に非流動性の可塑状グラウト(フロー値で8.6cm、10.8cm)に変質し、ブリージングは全くないことが確認できた。
【0056】
なお、アルミニウム粉末を加えた実施例と無添加の比較例とを比べると、ブリージング、フロー値共にほとんど同じであり、ベントナイトにアルミニウム粉末を加えても全く影響ないことが確認できた。
【0057】
「実験−2」 本発明の実施例−1および実施例−2の配合にアルミニウム粉末を加えた場合のアルミニウム粉末の添加量と膨張率の関係を、図1および図2に示す。
【0058】
図1および図2の結果より、アルミニウム粉末量と膨張率の関係は、硬化発現材が普通セメントである実施例−1と高炉B種セメントである実施例−2を比較してみると、グラウトの膨張率は大差なく70〜100分程で大部分発泡を終えていることがわかる。
【0059】
これに対してA液とB液を混合初期の発泡は、実施例−1では約15〜25分で最終膨張率の約半分であるのに対して、実施例−2では約30〜35分で約半分と発泡が遅いことがわかった。
【0060】
この理由は、実施例−2(高炉B種)に比べて実施例−1(普通セメント)の方がアルカリ成分(セメント量)が多いため、アルミニウム粉末との反応が大となるためである。
【0061】
なお、ここに実施例として示してはいないが、種々の実験結果よりアルミニウム粉末の膨張度合いは、硬化発現材の種類や量(絶対アルカリ量)、液温、可塑状グラウトの強さ、膨張時の周辺の環境(密閉、開放状態など)により影響されることも判明した。
【0062】
このため、本発明の可塑状グラウトの膨張率は5〜40%を目標としているため、アルミニウム粉末の添加量は硬化発現材の約0.01〜0.1%の範囲である。
【0063】
なお、膨張率の測定は直径5cm長さ50cmのビニール袋(土木学会仕様)で可塑状グラウトを調合した後、500ccメスシリンダーに絞り出し、上部は開放した状態にして可塑状グラウトの底からの高さを経時的に測定して膨張率を算出した。
【0064】
以上の実験結果より、従来技術のグラウトを一度に調合した場合、約10分から発泡を始め、約15〜35分経過後で約半分の膨張を終えているため、従来の一液性では本発明の第一の条件である「空洞に充填注入を行うまではグラウトの膨張を起こさせない」ことを満足することはできないのがわかる。
【0065】
これに対して本発明では、硬化発現材を主成分とした流動性の懸濁液をA液とし、モンモリロナイト粘土鉱物とアルミニウム粉末を主成分とした流動性の粘性液をB液とし、このA液及びB液をそれぞれ別々のポンプで圧送し、注入口付近で合流混合して空洞に充填注入するため、グラウトの膨張はほとんど注入後に起こるので前述の条件を満足することになる。
【0066】
また、本発明の可塑状グラウトの膨張はほぼ90〜100分で終えているので、硬化発現材の硬化発現(約2時間以降)は膨張が終わった後に起こることも確認できた。
【0067】
「実験−3」 本発明の膨張性グラウトが空洞にどのように充填するかを確認するために室内空洞実験装置を用いて行った。
【0068】
実験装置は図3に示すように、縦45cm、横25cm、高さは一番高いところが2cm厚さからなる長方形の容器(底および側面は鉄製、上面は透明アクリル板の蓋状として取り外しができるようになっている)で、その縦方向の前後に注入口と吐出口を設けたものを製作使用した。
【0069】
この容器内には、注入口から吐出口にかけて図3の点線矢印に沿ってクランク型に屈曲した横断面が幅5cm、高さ2cmのグラウト易流動空間部(グラウトを流れ易くした空間部)を設け、このグラウト易流動空間部を介して容器の前後に区分けされた空洞Aおよび空洞Bを形成し、図3および図4に示すように空洞Aはその横幅a−a’方向に沿って、また空洞Bは縦幅b−b’に沿って、それぞれ高さが2cmから0cmに斜めに漸減する縦断面楔状に形成した。
【0070】
グラウト易流動空間と空洞Aおよび空洞Bは相互の境界部には仕切などなく、互いに連通している。
【0071】
注入に際しては、別に設けた圧力容器内に実施例2(アルミニウム粉末0.05%)の配合の可塑状グラウトを詰め、コンプレッサ(グラウト圧0.1kgf/cm2)により毎分200mlの吐出量で図3に示す空洞実験装置の注入口から注入し、大筋でグラウト易流動空間を通って吐出口からグラウトが吐出するまで連続注入した。
【0072】
注入直後の注入状況を見てみると、図5に示すように空洞Aおよび空洞Bの狭小な楔状先端部分にグラウトが充填されなかった未充填空隙が生じ、その大きさ(厚さ)は、空洞Aで最大0.3cm、空洞Bで最大0.4cmであった。
【0073】
この空洞Aと空洞Bの未充填空隙の大きさや厚さの違いは、グラウト易流動空間内のグラウトの流動方向(図3の矢印で示すようにほぼクランク状に蛇行する)に対する空洞の配置状態(楔状をなす方向)の違いによるものと推定される。
【0074】
注入後、時間の経過と共に空洞部分はグラウトの膨張により埋められていき、1時間後には図6に示すように完全に空洞は充填された。
【0075】
【発明の効果】
以上の通りこの発明によれば、従来の二液性の可塑状グラウト注入が空洞のおおまかのところしか充填できなかったのを、アルミニウム粉末とモンモリロナイト粘土鉱物液(B液)を注入口から手前で硬化発現材懸濁液(B液)と合流混合させて注入(一次充填)で充填した後、可塑状グラウトの発泡圧による膨張によって、空洞のすみずみまで充填(二次充填)させることができるというすぐれた効果を有する膨張性可塑状グラウトが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例−1におけるアルミニウム粉末の添加量とグラウトの膨張率との関係を示す線図である。
【図2】本発明の実施例−2におけるアルミニウム粉末の添加量とグラウトの膨張率との関係を示す線図である。
【図3】この発明に用いた実験装置の概要を示す斜視図である。
【図4】この発明に用いた実験装置の概要を示す要部の縦断面図である
【図5】この発明の実験装置によりグラウトを充填した直後のグラウトの充填状態を示す平面図である。
【図6】この発明の実験装置によりグラウトを充填して1時間経過した後のグラウトの充填状態を示す平面図である。
Claims (1)
- 構造物と地盤(人工地盤も含む)の境界の空洞(トンネルなどの裏込めも含む)、地盤内の大間隙および構造物内の空間からなる空洞に可塑状グラウトを注入充填する注入工法において、硬化発現材を主成分とした流動性の懸濁液をA液とし、モンモリロナイト粘土鉱物とアルミニウム粉末を主成分とした流動性の粘性液をB液とし、一次充填として前記A液及びB液をそれぞれ別々のポンプで圧送し、注入口付近で前記A液とB液を合流混合することにより、非流動性の可塑状に変質させたグラウトを前記空洞のおおまかなところに充填した後、二次充填として前記一次充填された可塑状グラウトの発泡圧による膨張によって一次充填で充填できなかった前記空洞のすみずみまで充填させることを特徴とした二液性の膨張性可塑状グラウト注入工法。
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