明 細 書
エレベータ装置
技術分野
[0001] この発明は、力ごの走行速度が過速度に達した力どうかが監視されているに関する ものである。
背景技術
[0002] 従来のエレベータ装置にお!、ては、かごの走行速度が過速度に達して ヽな 、かが 調速機で監視される。調速機では、かごの走行速度パターンの情報やかご呼び登録 情報から、異常と判断すべき過速度が設定され、実際のかごの走行速度と設定され た過速度とが比較される (例えば、特許文献 1参照)。
[0003] 特許文献 1 :特開 2003— 10468号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] しかし、従来のエレベータ装置では、調速機は、力ごの走行速度パターンの情報や かご呼び登録情報を制御盤から得て 、るため、制御盤の異常によってかごが暴走し た場合、制御盤力 の情報も異常となる可能性があり、調速機での過速度の検出が できなくなったり、不要に制動装置を作動させたりする可能性があった。
[0005] この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、力ごの走行速 度が過速度に達したことをより正確に検出することができるエレベータ装置を得ること を目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] この発明によるエレベータ装置は、昇降路内を昇降されるかご、かごの運行を制御 する運行制御部、かご位置及びカゝご速度を検出するとともに、かご位置に応じて設定 した過速度とかご速度とを比較し、力ご速度が過速度に達するとかごを停止させるた めの制動指令信号を発生する過速度監視部、過速度監視部からの制動指令信号に 応じて力ごを制動するブレーキ部を備え、過速度監視部は、運行制御部から独立し て過速度を設定するとともに、カゝごが終端階付近に位置するとき、カゝごの走行方向に
応じて異なる過速度を設定する。
図面の簡単な説明
[0007] [図 1]この発明の実施の形態 1によるエレベータ装置を示す構成図である。
[図 2]図 1の要部を示すブロック図である。
[図 3]図 1の力ごが上部終端階から下部終端階まで正常に走行するときの走行速度 ノターンと第 1及び第 2過速度とを示すグラフである。
[図 4]この発明の実施の形態 2によるエレベータ装置を示す構成図である。
[図 5]図 4の要部を示すブロック図である。
[図 6]図 4の力ごが上部終端階から下部終端階まで正常に走行するときの走行速度 ノターンと第 1及び第 2過速度とを示すグラフである。
[図 7]この発明の実施の形態 3によるエレベータ装置を示す構成図である。
[図 8]図 7の力ごが上部終端階から下部終端階まで正常に走行するときの走行速度 ノターンと第 1及び第 2過速度とを示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
[0008] 以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態 1.
図 1はこの発明の実施の形態 1によるエレベータ装置を示す構成図である。図にお いて、かご 1及び釣合おもり 2は、主ロープ 3により昇降路内に吊り下げられている。ま た、力ご 1及び釣合おもり 2は、駆動装置 (卷上機) 4の駆動力により昇降路内を昇降 される。
[0009] 駆動装置 4は、主ロープ 3が巻き掛けられた駆動シーブ 5、駆動シーブ 5を回転させ るモータ部 6、及び駆動シーブ 5の回転を制動することによりかご 1の走行を制動する ブレーキ部 7を有している。ブレーキ部 9としては、例えば電磁ブレーキ装置が用いら れている。電磁ブレーキ装置においては、制動ばねのばね力によりブレーキシュ一 が制動面に押し付けられて駆動シーブ 5の回転が制動されるとともに、電磁マグネッ トを励磁することによりブレーキシュ一が制動面から開離され、制動が解除される。
[0010] 駆動装置 4は、運行制御部 8により制御される。即ち、かご 1の運行は、運行制御部 8により制御される。また、運行制御部 8は、演算処理部(CPU)、記憶部 (ROM、 R
AM及びノヽードディスク等)及び信号入出力部を持ったコンピュータ(図示せず)を有 している。
[0011] 昇降路内には、力ご 1の昇降を案内する一対のかごガイドレール 9と、釣合おもり 2 の昇降を案内する一対の釣合おもりガイドレール(図示せず)とが設置されている。か ご 1の下部には、かごガイドレール 9に係合してかご 1を非常停止させる非常止め装 置 10が搭載されている。非常止め装置 10は、機械的な操作により動作してかごガイ ドレール 9に押し付けられる制動片 (楔部材)を有して 、る。
[0012] 昇降路内の下部には、かご 1及び釣合おもり 2の昇降路底部への衝突の衝撃を緩 和するかご緩衝器 11及び釣合おもり緩衝器 12が設置されて ヽる。これらの緩衝器 1 1, 12としては、例えば油入式又はばね式バッファが用いられている。
[0013] 昇降路の上部には、かご 1の走行速度を機械的に監視する調速機 (機械式調速機 ) 13が設置されている。調速機 13は、かご 1の走行速度が第 2過速度 (Trip速度)に 達したことを検出する。調速機 13には、上部プーリ 14が設けられている。上部プーリ 14には、検出ロープ 15が巻き掛けられている。検出ロープ 15の両端部は、非常止 め装置 10の操作機構に接続されている。検出ロープ 15の下端部は、昇降路の下部 に配置された下部プーリ 16に巻き掛けられて 、る。
[0014] 力ご 1が昇降されると、検出ロープ 15が循環され、かご 1の走行速度に応じた回転 速度で上部プーリ 14が回転される。力ご 1の走行速度が第 2過速度に達したことが調 速機 13により検出されると、調速機 13のロープキャッチにより検出ロープ 15が把持さ れ、検出ロープ 15の循環が停止される。これに連動して、非常止め装置 10が制動動 作する。
[0015] 調速機 13には、上部プーリ 14の回転に応じた検出信号を発生する回転検出器 17 が装着されている。回転検出器 17としては、例えば 2系統の検出信号を同時に出力 するデュアルセンスタイプのエンコーダが用いられて 、る。
[0016] 昇降路の上部終端階付近には、かご 1の終端階走行を検出する上部終端階スイツ チ 18が設けられている。昇降路の下部終端階付近には、カゝご 1の終端階走行を検出 する下部終端階スィッチ 19が設けられている。力ご 1には、終端階スィッチ 18, 19を 操作し開閉させるカム 20が取り付けられている。
[0017] 回転検出器 17及び終端階スィッチ 18, 19からの情報は、力ご 1の走行速度が第 1 過速度に達したかどうかを監視する過速度監視部 21に入力される。過速度監視部 2 1は、運行制御部 8の情報を利用せず、運行制御部 8から独立して、第 1過速度を設 定するとともにかご 1の走行速度が第 1過速度に達したことを検出する。また、過速度 監視部 21は、運行制御部 8とは別のコンピュータにより構成されている。さらに、過速 度監視部 21及び回転検出器 17の電源供給は、運行制御部 8の電源供給とは別に なっている。
[0018] 第 1過速度は、調速機 13で設定されている第 2過速度よりも低い速度に設定されて いる。過速度監視部 21は、かご 1の走行速度を監視し、かご 1の速度が第 1過速度に 達したら、制動指令信号をブレーキ部 7に出力して、駆動シーブ 5の回転を制動させ 、力ご 1を非常停止させる。
[0019] 図 2は図 1の要部を示すブロック図である。図において、過速度監視部 21は、かご 位置検出部 22、走行方向検出部 23、力ご速度検出部 24、過速度設定部 25、比較 判断部 26及び制動指令部 27を有して ヽる。
[0020] かご位置検出部 22は、回転検出器 17及び終端階スィッチ 18, 19からの情報に基 づいて、かご 1の位置を検出する。また、力ご速度検出部 24は、上部プーリ 14と検出 ロープ 15との間の滑り等による回転検出器 17の検出誤差を、終端階スィッチ 18, 19 力 の信号により補正する。
[0021] 走行方向検出部 23は、回転検出器 17からの情報に基づいて、かご 1の走行方向 を検出する。また、走行方向検出部 23においては、例えばかご 1内の乗客の暴れ等 によりかご 1に加わる外乱力で走行方向が微小に変化するのに対して、信号処理に ヒステリシス要素を設けることにより、走行方向の検出結果が不要に反転しないように する。即ち、走行方向検出部 23は、走行方向の微小変化を無視する。
[0022] 力ご速度検出部 24は、回転検出器 17からの情報に基づいて、力ご 1の走行速度を 検出する。具体的には、力ご速度検出部 24は、回転検出器 17からの情報を上部プ ーリ 14の回転量の時間的変化の情報に変換して、かご 1の走行速度を検出する。
[0023] 過速度設定部 25は、かご位置検出部 22からのかご位置情報、及び走行方向検出 部 23からの走行方向情報に基づいて、第 1過速度を設定する。比較判断部 26は、
過速度設定部 25で設定された第 1過速度とかご速度検出部 24で検出された力ご速 度とを比較し、異常の有無、即ち力ご速度が第 1過速度に達した力どうかを判断する 。比較判断部 26により異常が検出されると、制動指令部 27は、制動指令信号を発生 してブレーキ部 7に出力する。
[0024] ここで、図 2の過速度監視部 21内に示されたブロックは、機能を示すブロックであり 、これらの機能は過速度監視部 21を構成するコンピュータにより実現される。即ち、 過速度監視部 21のコンピュータは、演算処理部(CPU)、記憶部 (ROM、 RAM及 びノヽードディスク等)及び信号入出力部を有している。記憶部には、かご位置検出部 22、走行方向検出部 23、力ご速度検出部 24、過速度設定部 25、比較判断部 26及 び制動指令部 27の機能を実現するためのプログラムが格納されて 、る。演算処理部 は、プログラムに基づいて、かご位置検出部 22、走行方向検出部 23、かご速度検出 部 24、過速度設定部 25、比較判断部 26及び制動指令部 27の機能に関する演算 処理を実行する。
[0025] 次に、第 1過速度の具体的な設定方法について説明する。図 3は図 1のかご 1が上 部終端階から下部終端階まで正常に走行するときの走行速度パターンと第 1及び第 2過速度とを示すグラフである。図において、かご 1が上部終端階から下部終端階ま で走行するときの走行速度パターンの最大値は、最高速度パターン 31 (実線 ABCD E)となる。また、第 1過速度は、第 1過速度パターン 32 (1点鎖線 UK)のように設定さ れる。さらに、第 2過速度は、第 2過速度パターン 33 (2点鎖線 LM)のように設定され る。
[0026] 最高速度パターン 31は、走行開始後の加速カーブが上部終端階付近で想定され る加速度の最大値となるとともに、停止前の減速カーブが下部終端階付近で想定さ れる減速度の最大値となるように求められて 、る。
[0027] 但し、下部終端階へ向けて走行 (下降)する場合は、かご緩衝器 11へのかご 1の衝 突速度 V (V =K)を小さくできるように、下部終端階付近での減速度の大きさ(曲線
1 1
DE上の各点における傾き:例えば 0. 6mZs2)を、上部終端階付近での加速度の大 きさ(曲線 ABC上の各点における傾き: 0. 9mZs2)よりも小さくしてもよい。また、一 定速度走行領域 (直線 CD)における速度は、その領域で想定される最大値 V (例え
ば 1. 5mZs)で求められている。さらに、最高速度パターン 31では、下部終端階スィ ツチ 19の位置力も減速が開始される。このような最高速度パターン 31は、運行制御 部 8からの情報によらず、過速度監視部 21内で独自に求められる。
[0028] また、図 3において、短距離速度パターン 34 (破線 ABFG)は、最大加速度で加速 し、最高速度まで達する前に減速する速度パターンである。この短距離速度パター ン 34は、比較的近い階床まで走行する場合に走行時間が短くなるとされている。一 方、長距離速度パターン 35 (破線 HDE)は、短距離速度パターン 34に比べて低い 加速度で加速し、最高速度まで達した後、短距離速度パターン 34よりも低い減速度 で減速する速度パターンである。この長距離速度パターン 35は、比較的遠い階床ま で走行する場合に走行時間が短くなるとされている。
[0029] 運行制御部 8では、かご負荷や走行距離に応じて可変最高速度 ·可変加減速度で 力ご 1の走行を制御する。最高速度パターン 31は、このような種々想定される速度パ ターンの最大値である。従って、かご 1の走行速度は、通常は最高速度パターン 31 を超えることはない。
[0030] かご位置が上部終端階力 下部終端階スィッチ位置までの間であるときの第 1過速 度は、最高速度パターン 31の中での最高速度 (一定速度走行領域での走行速度) に対して所定のマージンをとつて設定される(例えば最高速度の 1. 3倍程度)。また、 かご位置が下部終端階スィッチ位置カゝら下部終端階までの間であるときの第 1過速 度は、最高速度パターン 31に対して所定のマージンをとつて設定される(例えば走 行速度の 1. 3倍程度)。
[0031] 例えば、第 1過速度パターン 32は、力ご 1が減速を開始して下階終端階に停止す るまでの減速距離を x、減速開始速度を V (mZs)、かご緩衝器 11へのかご 1の衝突
2
速度を V (mZs)とすると、式(1)で算出できる減速度 γ (mZs2)力も決めることがで
1 1
きる。
y = (V 2- (1. 3V ) 2) / (2x) · ' · (1)
1 1 2
また、式(1)において、終端階力もかご緩衝器 11のかご衝突面までの距離 Δ χを減 速距離 Xに加えてもよい。さらに、制動装置の動作遅れを見込んで、衝突速度 Vにマ
1 一ジン(— Δ V )を加えてもょ 、。即ち、式(2)により、より精度の高!、第 1過速度バタ
ーン 32を設定することができる。
y = ( (V - AV ) 2- (1. 3V ) 2) / (2 (x+ A x) )
2 1 1 2 …(2)
[0032] 過速度監視部 21の記憶部 (メモリ)には、上記のような最高速度パターン 31と第 1 過速度パターン 32とが記憶される。
[0033] 以上は、かご 1が下降している場合である力 かご 1が上昇している場合も、第 1過 速度は同様に設定される。即ち、かご 1が上部終端階スィッチ位置から上部終端階ま での間の領域、及び下部終端階スィッチ位置から下部終端階までの領域に位置す るときには、過速度設定部 25は、走行方向検出部 23での検出結果に応じて第 1過 速度を設定する。
[0034] 即ち、力ご 1が下部終端階スィッチ位置力も下部終端階へ向かって走行していると きには、上記のような第 1過速度パターン 32に従って第 1過速度が設定される。逆に 、カゝご 1が下部終端階側カゝら下部終端階スィッチ位置へ向カゝつて走行しているときに は、第 1過速度は、最高速度パターン 31の中での最高速度に対して所定のマージン をとつて設定される。
[0035] また、かご 1が上部終端階スィッチ位置から上部終端階へ向力 て走行していると きには、上昇運転における最高速度パターンに対して、所定のマージンをとつて設定 される。また、カゝご 1が上部終端階側カゝら上部終端階スィッチ位置へ向かって走行し ているときには、第 1過速度は、上昇運転における最高速度パターンの中での最高 速度に対して所定のマージンをとつて設定される。
[0036] なお、調速機 13で設定される第 2過速度パターン 33は、第 1過速度の最大値との 間に所定のマージンをとつて設定される(例えば第 1過速度の最大値の 1. 1倍程度) 。さらに、第 2過速度は、かご位置によらず一定の速度 (V )である。
3
[0037] このようなエレベータ装置では、過速度監視部 21が運行制御部 8から独立して過 速度を設定するので、運行制御部 8の状態によらず、かご 1の走行速度が過速度に 達したことをより正確に検出することができる。
[0038] また、カゝご 1が終端階付近に位置する場合に、かご 1の走行方向に応じて第 1過速 度を変えることができる。従って、力ご 1が終端階力も走行を開始する場合に、加速度 を高くしてかご 1を走行させることができ、運行効率を向上させることができる。また、
カゝご 1が終端階スィッチ位置から終端階までの領域を終端階へ向かって走行してい る場合には、所定の減速度を持った第 1過速度パターンに基づ 、て第 1過速度を設 定するので、力ご速度の異常をより早期に検出することができる。
[0039] さらに、かご位置検出部 22は、終端階スィッチ 18, 19からの情報によりかご位置の 検出誤差を補正するので、かご位置の検出精度を向上させ、力ご制動動作をより正 確に行わせることができる。
[0040] さらにまた、過速度監視部 21は、力ご 1の走行方向を検出するための信号処理にヒ ステリシス要素を設けることにより、かご 1の走行方向の微小変化を無視するようにし たので、外乱による走行方向の変化を取り除き、より正確に走行方向を判断すること ができる。
[0041] また、釣合おもり緩衝器 12への釣合おもり 2の衝突許容速度を第 1過速度(図 3の V
)として、釣合おもり緩衝器 12及び頂部隙間寸法 (最上階位置での力ご 1 (かご上機
1
器も含む)の頂部から昇降路頂部までの距離)を選定することにより、釣合おもり緩衝 器 12を小型化することができる。このとき、力ご緩衝器 11及びピット深さ寸法は、かご 緩衝器 11へのかご 1の衝突許容速度を第 2過速度(図 3の V )として選定すればよい
3
[0042] 実施の形態 2.
次に、図 4はこの発明の実施の形態 2によるエレベータ装置を示す構成図である。 図において、力ご 1には、過速度監視部 21からの非常止め作動指令信号を受けて 制動動作する非常止め装置 41が搭載されている。非常止め装置 41は、非常止め作 動指令信号の入力により動作してかごガイドレール 9に押し付けられる制動片 (楔部 材)を有している。
[0043] 過速度監視部 21には、第 1及び第 2過速度が設定されており、かご速度が第 1過 速度に達するとブレーキ部 7に制動指令信号を出力し、力ご速度が第 2過速度に達 すると非常止め装置 41に非常止め作動指令信号を出力する。検出ロープ 15は、非 常止め装置 41ではなぐかご 1に接続されている。
[0044] 図 5は図 4の要部を示すブロック図である。過速度設定部 25は、かご位置検出部 2 2からのかご位置情報、及び走行方向検出部 23からの走行方向情報に基づいて、
第 1過速度及び第 2過速度を設定する。比較判断部 26は、過速度設定部 25で設定 された第 1過速度及び第 2過速度とかご速度検出部 24で検出された力ご速度とを比 較し、異常の有無、即ち力ご速度が第 1過速度及び第 2過速度に達したかどうかを判 断する。
[0045] かご速度が第 1過速度に達すると、制動指令部 27は、制動指令信号を発生してブ レーキ部 7に出力する。力ご速度が第 2過速度に達すると、制動指令部 27は、非常 止め作動指令信号を発生して非常止め装置 41に出力する。
[0046] 次に、第 2過速度の設定方法について説明する。なお、第 1過速度の設定方法は、 実施の形態 1と同様である。図 6は図 4のかご 1が上部終端階から下部終端階まで正 常に走行するときの走行速度パターンと第 1及び第 2過速度とを示すグラフである。 第 2過速度は、第 2過速度パターン 36 (2点鎖線 LMN)のように設定される。第 2過 速度パターン 36は、第 1過速度パターン 32に対して所定のマージンをとつて設定さ れる (例えば第 1過速度の 1. 1倍程度)。
[0047] このとき、第 1過速度は下部終端階へ向けて所定の減速度で低下するので、第 2過 速度も下部終端階へ向けて低下することになる。従って、第 2過速度で設定されるか ご 1のかご緩衝器 11への衝突許容速度は、 V (Vく V )となる。
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[0048] 過速度監視部 21の記憶部 (メモリ)には、上記のような最高速度パターン 31、第 1 過速度パターン 32及び第 2過速度パターン 36が記憶される。
[0049] このようなエレベータ装置では、力ご 1が終端階付近に位置する場合に、第 2過速 度が低く設定されるので、力ご速度の異常をより早期に検出することができる。
[0050] また、かご緩衝器 11への力ご 1の衝突許容速度と、釣合おもり緩衝器 12への釣合 おもり 2の衝突許容速度とを第 2過速度(図 6の V )として、かご緩衝器 11、ピット深さ
4
寸法、釣合おもり緩衝器 12、及び頂部隙間寸法を選定することにより、カゝご緩衝器 1 1及び釣合おもり緩衝器 12を小型化することができる。また、エレベータ装置の設置 スペースを小さくできるとともに、従来と同じスペースでかご 1の最高速度や加減速度 を高くすることができる。
[0051] 実施の形態 3.
次に、図 7はこの発明の実施の形態 3によるエレベータ装置を示す構成図である。
図において、調速機 13には、過速度検出器 (過速度検出スィッチ) 42が設けられて いる。過速度検出器 42は、力ご速度が予め設定された第 1過速度に達すると機械的 に操作されて制動指令信号を出力する。
[0052] 過速度検出器 42及び過速度監視部 21からの制動指令信号は、オア回路 43を通 してブレーキ部 7に出力される。即ち、過速度検出器 42及び過速度監視部 21の少 なくともいずれか一方力 制動指令信号が出力されると、その制動指令信号がブレ ーキ部 7に入力される。他の構成は、実施の形態 1と同様である。
[0053] 図 8は図 7の力ご 1が上部終端階力 下部終端階まで正常に走行するときの走行速 度パターンと第 1及び第 2過速度とを示すグラフである。過速度検出器 42での第 1過 速度の設定は、通常の調速機と同様に、昇降行程の全体で一定である(1点鎖線 ϋ ο)。
[0054] このようなエレベータ装置では、過速度監視部 21だけでなぐ調速機 13 (過速度検 出器 42)によっても第 1過速度が監視されているため、過速度監視部 21の電源が遮 断された場合でも、より正確に制動動作を行うことができる。
[0055] なお、上記の例では、かご負荷や走行距離に応じて可変最高速度 ·可変加減速度 でかご 1の走行を制御する運行制御部 8を示した力 最高速度や加減速度を変化さ せな 、エレベータ装置にもこの発明は適用できる。
また、上記の例では、駆動シーブ 5の回転を制動するブレーキ部 7を示した力 ブレ ーキ部はこれに限定されるものではなぐ例えばかごに搭載されているかごブレーキ や主ロープを把持するロープブレーキ等であってもよ 、。