担体封入チップ、担体処理装置、および担体処理方法
技術分野
[0001] 本発明は、担体封入チップ、担体処理装置および担体処理方法に関するものであ る。
背景技術
[0002] 従来、カラムと呼ばれる上下円板の中央部に液体の取り入れ、取り出し口のついた 円筒状の容器に、ゲルと呼ばれる粒子径 10〜数百ミクロンの粒子状充填剤を入れ、 そこに上下の液体取出口、取入口のいずれかの方向力 液体をポンプ等により流す 時の溶質分子遂げるとの間の相互作用を利用して物質の分離'精製を行う液体クロ マトグラフィ一の原理を用いた液体クロマトグラフがあった。現在、液体クロマトグラフ ィー用のゲルには、その表面構造に様々のものが市販されている。ゲル表面にィォ ン交換基がつけられたものは、イオン交換ゲルとしての機能をもち、溶質分子のィォ ン荷との相互作用を利用したイオン交換クロマトグラフィーによる物質の分離が可能 である。
[0003] ところで、これらのクロマトグラフィー分離システムは、このカラムに液体を流すため のポンプと、それらの液体を入れるための容器、流路を適宜切り換えるためのバルブ 、およびカラムから出てくる目的物などを検出するための吸光度、 pH、電気伝導度な どの測定機器とを組み合わせた複雑な構成のシステムとして運用されていた。
[0004] 通常、クロマトグラフィーでの物質分離は、何ステップかのカラムを組み合わせて必 要な精製純度を達成する手法をとる。イオン交換クロマトグラフィー→疎水性クロマト グラフィー→ゲル濾過クロマトグラフィー等 2、 3のクロマトグラフィーを組み合わせる場 合が多い。しかし、実際に研究 ·開発用途で物質の探索研究等を行う場合は、 1また は 2ステップのクロマトグラフィーで十分な場合も多い。但し、クロマトグラフィーを 1ス テツプだけ行う場合でも、液クロマトグラフィー ·システムとしては、ポンプ、流路切換シ ステム。カラム、クロマトグラフィー展開用溶液の容器、検出システム等が組み入れら れた大掛力りなシステムになってしまうおそれがあるという問題点があった。
[0005] また、このような大掛力りなシステムであっても処理できる検体は、 1つずっということ になる。このように従来の液体クロマトグラフィーでは、処理の効率が低いという問題 点もあった。また、流れの向きが一方通行に限られるという問題点を有していた。
[0006] 非特許文献 1 :「液体クロマトグラフィ Q&A」(技報堂出版 2000年 6月、松下至著) 非特許文献 2 :「液体クロマトグラフィーの実際」(三共出版 1976年、江頭暁著) 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] そこで、本発明の第 1の目的は、従来の液クロマトグラフ又はフィルタの分離性能を より高めることができる担体封入チップ、担体処理装置、および担体処理方法を提供 することを目的としてなされたものである。
[0008] 第 2の目的は、従来の液クロマトグラフまたはフィルタを用いた処理に対して、その 分離'精製をより効率的かつ迅速に行うことができる担体封入チップ、担体処理装置
、および担体処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
[0009] 第 3の目的は、従来の液クロマトグラフまたはフィルタの処理に比較して、より簡単な 構造で、その分離性能を実現することができる担体封入チップ、担体処理装置、およ び担体処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
[0010] 第 4の目的は、液クロマトグラフまたはフィルタを用いた一貫した処理について自動 化を容易にする担体封入チップ、担体処理装置、および担体処理方法を提供するこ とを目的としてなされたものである。
課題を解決するための手段
[0011] 第 1の発明は、気体の吸引吐出が行われるノズルまたはノズルに装着される部材に 装着可能な装着用開口部、および前記気体の吸引吐出によって流体の流入および 流出が可能な口部を有するチップ状容器と、前記チップ状容器内に封入され、前記 流体中の生体物質を吸着もしくは捕獲させ、または該生体物質と反応もしくは結合す ることが可能な担体とを有する担体封入チップである。
[0012] ここで、「担体」としては、流体中の生体物質を吸着、反応、結合、固定又は捕獲可 能な不溶性の固体であって、その形状は、例えば、粒子状、ブロック状、薄膜状、薄 板状、膜状、板状または不定形状であり、該担体は、必ずしも 1の固体からなる場合
に限られず、複数の固体力もなる場合であっても良い。さらに、担体のサイズは、各 種のサイズをもち、前記口部を通過可能な場合と通過不能な場合がある。担体の材 料としては、ゴム、シリコーン、セルロース、ナイロン等の繊維物質ゃ榭脂、非磁性粒 子、磁性粒子等の金属等で形成された、ゲル、多孔質体、貫通性多孔質、含水性の ものがある。該担体には、生体物質の吸着、反応結合、固定又は捕獲のための官能 基等の化学物質又は生体物質が設けられている。該担体の表面に設けられているも のとしては、例えば、抗原、抗体、酵素、基質、レセプター、 His-tag等のァフィ二ティ リガンドゃ、ァフィ-ティタグ等の物質等がある。そのような担体の例が、充填剤ゃフィ ルタである。薄膜状担体としては、例えば、タンパク質の限外濾過を行う限外濾過膜 等がある。
[0013] 「充填剤」とは、液クロマトグラフィーの原理に基づいて、いわゆる移動相としての所 定流体に含有される対象生体物質の吸着を図るために選択される所定の容器内に 充填される不溶性固定相である。ここで、充填剤は、例えば、所定の担体の表面に前 述した物質有しまたは結合したものである。
「生体物質」、には、例えば、核酸等の遺伝物質、タンパク、糖、糖鎖、ペプチド、色 素等の生体高分子または低分子を含む。また、生体物質として、細胞、ウィルス、ブラ スミド等を含む。該生体物質は、リガンドとして該生体物質に結合性を有する受容体 としての生体物質の結合を検出し、捕獲し、分離し、抽出する検出用物質として用い ることもできる。受容体としては、前記核酸等の遺伝物質、タンパク、糖鎖、ペプチド 等に各々結合性を有する核酸等の遺伝物質、タンパク、糖鎖、ペプチド等の生体物 質が該当する。また、「フィルタ」とは、所定のポア径を設定することによってまたは吸 着することによって、物質の分離に用いるための部材である。
[0014] ここで、「貫通性多孔質ブロック」とは、例えば、 3次元ネットワーク状の骨格とその空 隙 (流路、マイクロポア、スルーポアともいう)がー体となった構造をもったものであり、 骨格サイズと流路サイズを独立して決定可能であり、粒子状充填剤に比較して、大き な流路サイズとすることによって低圧での吸引吐出が可能となる。但し、空隙率を増 カロさせるとその吸着容量や表面積は小さくなる(BIO INDUSTRY,第 21卷, No. 11, 2004) .
[0015] 「該生体物質を吸着もしくは捕獲させ、または該生体物質と反応もしくは結合する」 は、例えば、共有結合、化学吸着による場合の他、物理吸着または電気的相互作用 もしくは所定ポア径による捕獲による場合、または、前記担体に、所定の化学物質が 化学的、物理的吸着、該担体に固定して設けられている結合物質との特異的反応、 その他の方法で反応もしくは結合する。また、該担体を、多孔質性部材、凹凸性部材 、繊維質性部材で形成することによって、生体物質を含む各種物質との反応能力や 結合能力を高めるようにしても良い。生体物質との間の反応または結合のために、相 補的な生体物質を担体に固定しておくためには、前記担体には、官能基を発現また は生成するようにする。そのためには、例えば、「ポリアミド系高分子」からなる、絹等、 ナイロン(3—ナイロン、 6—ナイロン、 6, 6—ナイロン、 6, 10—ナイロン、 7—ナイロン 、 12—ナイロン等)、 PPTA (ポリパラフエ-レンテレフタルアミド)等の全芳香族ポリア ミド、や、ヘテロ環含有芳香族ポリマー等が有するペプチド結合を加水分解すること で、生体物質の固定に用いる官能基を発現または生成させる。生体物質と結合可能 な官能基には、例えば、カルボキシル基- COOH、アミノ基 -NH、またはその誘導基
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がある。ここで、生体物質の固定に適した多孔の径は、例えば、数マイクロメートル以 下である。
[0016] 「ノズルに装着される部材」には、例えば、チップまたはアダプタ等がある。「チップ」 とは、太径管及び該太径管と連通し前記太径管よりも細く形成された細径管を有し、 太径管には、ノズルに装着され又は装着可能な装着用開口部を有し、細径管には、 気体の吸引吐出によって流体の流入および流出が可能な口部を有するものである。
[0017] 「チップ状容器」とは、前記吸引吐出に用いられる部材に装着され又は装着可能な 装着用開口部および口部を有し、担体を収容可能な容器である。チップ状容器は、 太管および細管を有するのが好ましいが、太径管および細径管のような典型的なチ ップ形状をもつ場合に限られない。この場合、細管の先端に口部が、太管の上側に 装着用開口部が設けられるのが好ましい。例えば、太管は太径管の代わりに、四角 柱の形状をもつ物であっても良ぐ細管は細径管の代わりに角筒状の管であっても良 い。さらに、前記担体は、例えば、前記太管に相当する部分または太管と細管との間 の移行部に相当する部分に収容される。前記チップ状容器の容積は、例えば、数
リットル力も数 100 リットル程度以上の流体を扱うことが可能であるのが好ましい。ま た、チップ状容器には、担体を封入して収容する部分とともに、前記口部から導入さ れた流体を貯留する貯留管が設けられても良い。該貯留管としては、前記細管よりも または前記太管よりもさらに太く形成されるのが好ましい。細管は、前記前記太管ま たは貯留管と一体に設ける場合と、着脱可能に設ける場合がある。また、太管自体に ついて、または太管と貯留管との間も一体に設ける場合と、着脱自在に設ける場合が ある。
[0018] チップ状容器の材料は、光学的観測を可能にするために透光性の素材が好ま 、 。チップ状容器の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、 アクリル等の榭脂、ガラス、金属、金属化合物等がある。サイズは、例えば、細管にお いて数 リットル力も数 100 リットルの液体を収容可能な大きさである。
[0019] 第 2の発明は、前記チップ状容器は、前記担体が収容される担体収容管、前記担 体収容管と連通し該担体収容管の下側に設けられ、前記担体収容管より細く形成さ れた流管を有し、前記装着用開口部は前記担体収容管の上側に設けられ、前記口 部は前記流管の先端に設けられた担体封入チップである。
[0020] なお、前記担体収容管の上側には、該担体収容管と連通し前記口部から流入した 流体を貯留可能な貯留管を設け、前記装着用開口部は該貯留管の上側に設けるよ うにしても良い。これによつて、流体を担体収容管よりも上側に導入することができる ので、前記流路ゃ担体収容管の容量以上の大量の流体を前記担体と接触させること ができる。その際、貯留部は、前記担体収容管よりも太く形成するのが好ましい。する と、前記担体収容管と貯留管との間の段差や傾斜面、または Ζおよび、該担体収容 管と流路との間の段差や傾斜面を利用して、前記担体通過阻止部材または担体を 係止させて確実に保持することができる。
[0021] 第 3の発明は、前記チップ状容器内に流入した流体と接触可能となるように、前記 担体を該チップ状容器内に封入する封入部を該チップ状容器に設けた担体封入チ ップである。
[0022] 「封入部」の例としては、前記担体を通さな!/、が流体を通す貫通性多孔質部材、メ ッシュ状部材等の貫通孔部材等を前記チップ状容器とは別体に設けたもの、前記チ
ップ状容器そのもの、例えば該チップ状容器の壁を変形または加工して設けたもの、 または、別体の部材とチップ状容器の壁等に力卩ェを施したものとを組み合わせたもの がある。その他、チップ状容器と別体に設けたものであるが、可動なものとして、充填 剤自体は前記口部を通過可能であるが、それ自身口部を通過不能なもので、前記 担体と連結したものであっても良い。なお、チップ状容器そのものを用いたものとして は、前記チップ状容器を絞るように細めるために、管の中央方向に突出する突起部 等を設けたものがある。さら〖こは、チップ状容器と別体またはチップ状容器を加工し て設けて、担体内における流体の円滑な通過を補助するためにチップ状容器との密 着を避けるように担体を封入するためのスぺーサ用部材がある。「封入」とは、前記口 部および前記装着用開口部力 担体が流体の流れによって排出されな 、状態を 、 い、前記チップ状容器に担体を取り付ける場合、または、チップ状容器内の一部領 域内に閉じ込める場合がある。
[0023] 前記封入部のうち、前記「貫通性多孔質部材」としては、何らかの物質を吸着等に より捕獲するフィルタである必要はない。しかし、該封入部材がフィルタ、メンブレン等 の薄膜状フィルタである場合には、口部や装着用開口部からの前記担体の流出を防 止するのみならず、所定の物質を捕獲することができる。なお、封入部をチップ状容 器とは別体に設けた場合には、流体の流れ方向が薄い薄板状もしくは薄膜状に形成 した部材を用い、または充填剤が流出しな 、条件でポア径の大き 、貫通性部材を用 いる。また、封入部としてチップ状容器を加工して設けた場合には、充填剤が流出し ない条件で開口部分を大きくすることによって、吸引吐出に必要な圧力を低減するこ とがでさる。
[0024] 第 4の発明は、前記封入部は、流入した流体と接触可能となるように前記チップ状 容器の前記口部と前記装着用開口部との間を仕切るようにチップ状容器とは別体に 設けられた 1または 2以上の担体通過阻止部材を有する担体封入チップである。
[0025] ここで、「担体通過阻止部材」としては、前記チップ状容器とは別体の部材によって 形成したものである。該チップ状容器の壁等、該チップ状容器の壁等を加工したもの との双方を組み合わせて用いたものであっても良い。前記担体通過阻止部材は、例 えば、貫通孔を有し、または、チップ状容器の内壁面との間に隙間を形成すること〖こ
よって流体が通過可能である力 その貫通孔または隙間の大きさは担体が通過でき ない大きさまたは形をもつものである。例えば、車輪状、十字状、一文字状、放射状、 網状、もしくは環状に細管を仕切るように設けた部材、または貫通性多孔質部材であ る。
[0026] チップ状容器そのものを用いたものとしては、前記チップ状容器を絞るように細める ために、管の中央方向に突出する突起部を設けたものがある。また、封入部は、前記 担体と連結して 、るものがある。
[0027] 前記担体通過阻止部材の個数は、前記担体が、前記口部からの流出および前記 装着用開口部からの流出の双方を防止するためには、該担体を口部側と、前記装着 用開口部側の双方から挟むようにして少なくとも 2箇所に設けるのが好ま 、。
[0028] ここで、貫通性多孔質部材を用いることによって、ポア径よりも大きいサイズをもつ 種々の担体について共通に確実に封入することができる。
[0029] なお、別体に設けた前記担体通過阻止部材を着脱自在に設けることによって、前 記担体の封入および抜出を容易に行うことができる。
[0030] 前述した貯留管を前記担体収容管よりも太く形成した場合には、前記担体通過阻 止部材を、前記貯留管と前記担体収容管との間の傾斜面又は段差を用いて係止さ せて保持することによって、担体が貯留管に進入することを防止しかつ確実に該担 体通過阻止部材を設けることができる。
[0031] 第 5の発明は、前記封入部は、前記装着用開口部と前記口部との間でチップ状容 器の内壁面を仕切るように、該内壁面に、内側方向に突出する突出部、口部に向か つて先細りの傾斜面または口部に向かって内側方向に突設する段差を設けた担体 封入チップである。
[0032] これによつて、前記チップ状容器を加工、変形することによって封入部を設けている ので、担体を確実にチップ状容器に取り付けまたは封入することができる。ここで、「 突出部」、「段差」は、内壁から内側方向に一様な高さで、または前記口部に向かつ て一様な厚さで突出もしくは突設するように形成する場合のみならず、高さに高低差 または厚さに差を設けて形成するようにしても良 、。前記「突出部」または「段差」の内 側方向への突出もしくは突設の高さが一様で大きい場合には封入部としてスぺーサ
用部材を挟んで前記担体を支持させるのが好ましい。これによつて、担体全体に対 する流体の通過を円滑に行うことができる。
[0033] 第 6の発明は、前記担体は、複数の粒子状担体からなる充填剤である担体封入チ ップである。ここで、該粒子状担体の大きさは、前記口部を通過可能な大きさであり、 前記封入部によって、チップ状容器内に封入可能である。
[0034] 第 7の発明は、前記担体は、貫通性多孔質のブロック状充填剤またはブロック状フ ィルタである担体封入チップである。ここで、「ブロック状」には、円柱状、角柱状、球 状等を含む。
[0035] 第 8の発明は、前記突出部、傾斜面または段差は、前記担体または前記担体通過 阻止部材を前記チップ状容器に係止して保持している担体封入チップである。
[0036] 第 9の発明は、前記チップ状容器の壁の全体または一部は、所定電気抵抗をもつ 導電性部材で形成された充填剤封入チップである。
[0037] ここで、導電性部材を前記チップ状容器に設けることによって、該導電性部材に外 部に設けた電源回路に接続された端子を接触させて、所定抵抗値をもつ該導電性 部材に電流を流して発熱を行わしめることができる。該電流値については、後述する 制御部によって、処理内容に基づいて制御されることになる。
[0038] ここで、「所定電気抵抗」としては、所定の電流を前記導電性部材内を流すことによ つて、該導電性部材が目的に応じた温度を達成するのに必要な発熱を行うことがで きる値である。例えば、表面抵抗値でいうと、単位面積あたり例えば、数百 Ω力も数 Ω程度、また、誘導加熱を可能とする抵抗値は、例えば、数 Ω cm以上である。導電 性薄膜としては、例えば、所定電気抵抗をもつ 1種類の物質からなる場合、または、 異なる抵抗値をもつ 2種類以上の物質が接合、溶着、蒸着、溶融、溶接、接着、付着 、貼着しているような場合がある。前者の場合には、電磁気的信号としての電流値の 大きさに温度が依存し、後者の場合には電流値のみならず、ペルティエ効果により、 電流の向きにも温度が依存し加熱のみならず冷却も可能となる。
[0039] 「導電性部材」としては、例えば、金属、金属酸化物等の金属化合物、合金、半導 体、半金属、導電性榭脂等の導電性物質、これらの導電性物質と非導電性物質、例 えばセラミックス、ガラス、合成樹脂等とを組み合わせたもの、または、導電性物質同
士を組み合わせたものであっても良い。例えば、アルミニウム、酸ィ匕アルミニウム、酸 ィ匕スズ、鉄、鉄合金、ニクロム合金、 2種類の異なる導電性物質で形成した部材を接 着、溶接、接合することによって結合した場合がある。これらの部材に電流を流すこと によって、または鉄、鉄合金の場合には、時間的に変動する磁場を印加することによ つて、これらの部材を誘導加熱することができる。 2種類の導電性物質を接合した場 合には、電流の方向によって加熱および冷却を行うことができる。
[0040] 導電性部材の形状としては、線状、薄膜状、箔状、膜状、薄板状、板状、細長形状 、層状等がある。導電性部材の補強のために該導電性部材を非導電性部材に接着 、溶着、蒸着した物であっても良い。該導電性部材は、「電磁気的信号」(電気的信 号または磁気的信号)によって所定温度に制御される。該電磁気的信号には、熱や 冷気をカ卩えることによる熱力学的信号は除かれる。
[0041] なお、前記壁は、その内壁面が前記チップ状容器内に面し、その外壁面が該チッ プ状容器外にあって、その内外壁面間が一体的に形成されたチップ状容器である。 すなわち、チップ状容器の内壁面と外壁面とで挟まれた壁の部分は、例えば、金属、 榭脂等またはこれらを結合した固体の状態で分割自在ではな!/、ように壁として形成さ れている。したがって、壁全体または壁の一部として形成された導電性部材としては 、壁から分離自在な導電性部材を有する場合、例えば、単に壁に接触しているだけ に過ぎな、、導電性部材や、壁に螺子等によって着脱自在に取り付けられた導電性部 材、壁に溶接等で取り付けた別部材に対して着脱自在に取付けた導電性部材、壁 から完全に離れて 、る導電性部材は分割可能であるので除外される。そのために、 チップ状容器の壁が、チップ状容器の壁として要求される厚さ程度になるように導電 性部材を設けるようにすれば、チップ状容器のサイズや装置全体の規模を抑制し、 加熱手段の存在を意識することなく取り扱うことができる。
[0042] 第 10の発明は、前記担体が封入されたチップ状容器の内、流体を収容可能な空 間の容積は数マイクロリットル力 数百マイクロリットル程度である担体封入チップで ある。
[0043] ここで、「流体を収容可能な空間」とは、概ね、チップ状容器のうち流体が収容され る部分の内壁と、封入された担体の表面との間にできる空間をいう。
[0044] 該容積をこのように限定することによって、微小量の液体、すなわち、数マイクロリツ トルカゝら数百マイクロリットルの体積の液体をチップ状容器に吸引したとしても、該液 体を前記担体の表面に一様に、または均一に接触させることができる。この微小量は 、通常生体化学、特に DNAの分野において、生体から容易に抽出されて取り扱わ れる物質の量である。
[0045] 第 11の発明は、前記チップ状容器は、太管、太管より細く形成された細管、および 太管と細管との間の移行部からなり、前記装着用開口部は、前記太管に形成され、 前記口部は前記細管の先端に形成され、前記封入部は、前記移行部の段差または 傾斜面を利用して、前記担体または担体通過阻止部材を前記チップ状容器に設け た担体封入チップである。
[0046] ここで、前記太管または移行部は、前記担体収容管に相当し、前記細管は前記流 路に相当する。さらに、貯留管として、前記太管よりもさらに太い最太管を設けるよう にして、該太管と最太管との間の段差または傾斜面を利用して、そこに前記担体通 過阻止部材を係止させて保持させるようにしても良い。
[0047] 第 12の発明は、前記封入部として、前記装着用開口部と前記口部との間で前記チ ップ状容器の内壁面を仕切るように、該内壁面に、内側方向に突出する突出部、口 部に向力つて先細りの傾斜面または口部に向力つて内側方向に突設する段差を前 記装着用開口部と前記口部を結ぶ方向に沿って相互に離間して少なくとも 2箇所に 設け、これらの突出部、傾斜面または段差の内の少なくとも 1を用いて前記担体を前 記チップ状容器に封入する担体封入チップである。
[0048] ここで、担体としては、例えば、膜状もしくは薄板状フィルタ、粒子状フィルタ、また はブロック状フィルタである。例えば、担体が膜状もしくは薄板状フィルタの場合には 、前記突出部等を用いた上、さらに、他の別体に設けた封入部を用いれば、一層確 実に封入しまたは、流体との接触を確実にすることができる。例えば、第 1の他の封 入部として、前記フィルタの封入に用いるチップ状容器の段差等の上側に、例えば、 前記チップ状容器の内壁面に接するようにして前記チップ状容器の中央を囲むよう に設けられた周縁部および該周縁部から中央に向力つて突出する部材を有する全 体として薄板状に形成したスぺーサ用部材を設けた上に前記膜状フィルタを載置し (
必要に応じて網状部材を下側に置いて補助する)、第 2の封入部として、前記膜状フ ィルタの上側に、前記チップ状容器の内壁にその側面が接し、かつ前記チップ状容 器の軸線を囲むように嵌合して取り付けた筒状のスリーブを用いて上下力 前記薄 膜状フィルタを挟むようにして前記突出部等の上側に取り付けることによって行う。な お、前記膜状フィルタまたは薄板状フィルタは、例えば、タンパク質を吸着可能な限 外濾過膜である。また、例えば、多数の粒子状担体を、前記突出部等を利用して封 入するには、相互に離間した前記突出部等を 2つ利用して、各々に粒子状担体を阻 止するような封入部またはフィルタ (例えば、精密ろ過膜)を取り付け、その 2つの突 出部等の間に前記粒子状担体を封入して保持する。担体を確実に封入することによ つて、流体の吐出のみならず吸引によって流体と担体とを接触させることができる。
[0049] 第 13の発明は、気体の吸引吐出を行う 1または複数連のノズルを有するノズルへッ ドと、該ノズルを介して気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構と、前記ノズルまたはノズ ルに装着される部材に装着されまたは装着可能であって、流体中の生体物質の吸 着もしくは捕獲、または該生体物質との反応もしくは結合が可能な担体を封入した 1 または 2以上の担体封入チップと、種々の液体を収容しまたは収容可能な液収容部 群を設けたステージと、前記ノズルヘッドを前記液収容部群に相対的に移動させる 移動手段と、前記ノズルの吸引吐出の量、スピード、回数、時間または位置を、前記 ノズル、ノズルに装着される部材もしくは担体封入チップの構造、流体中に存在する 生体物質の種類、濃度、流体の量、該流体の収容位置を含む座標位置からなる物 質条件、および、処理内容に基づいて制御する制御部とを有する液体クロマトグラフ ィー分離装置である。
[0050] ここで、「処理内容」とは、例えば、反応、洗浄、移送、分注、分離、抽出、加熱、冷 却、清澄、測定、混合、乖離、溶出、攪拌等、またはこれらの一連の処理を、処理目 的に応じて、所定順序または所定時間スケジュールに従って、重複を含みながら組 み合わせたものである。「時間」には、吸引吐出の持続時間またはタイミングを含む。 持続時間またはタイミングを設定することによって、間欠的、連続的または断続的な 吸引吐出の設定を可能にする。
[0051] 「反応」処理の場合には、例えば、前記物質条件に応じて、該当する試薬が収容さ
れて 、る容器位置にぉ 、て、前記条件で定まる前記吸引吐出を所定のスピードで、 前記細管の担体封入領域の容積の例えば、 80パーセントの液量で吸引吐出を繰り 返す制御がされる。その吸引吐出の回数についても前記物質条件に応じて定めた 制御を行う。「洗浄」処理の場合には、例えば、前記物質条件に応じて、洗浄液が収 容されて!/、る容器位置にぉ 、て、前記吸引吐出を該処理に応じて定まる所定のスピ ードで、吸引吐出を所定回数繰り返すという制御がされる。同様にして、前記処理に 応じた吸引吐出の制御がなされる。「スピード」としては、例えば、扱う物質が DNAの 場合にはそのサイズ力 タンパク質に比べて小さいので、 DNA同士の遭遇性を高め るためには、スピードを上げる必要がある。また、スピードは、処理の内容によって相 違し、洗浄や攪拌の場合は、反応処理を行う場合に比べればその吸引吐出のスピー ドは小さいことになる。また、例えば、担体が吸着型分離膜に対しては、毎時 10〜50 cm程度の線流速 (体積流速を断面積で割った値)で吸引するのが適当である。また 、担体が限外濾過膜の場合には、一方通行であるので、吐出によってまたは加圧に よって流体を通過させる制御が必要である。一方、担体が充填剤の場合には、チップ により試料液の吸引をおこなうことで、充填剤を浮き上がらせて、試料中に含まれる 対象物質と分離剤の適度な接触条件を生み出すことができる。また、従来のクロマト グラフィ一での分離の場合には、吸着容量、いわゆるダイナミックキャパシティは、流 速に反比例し、吸着速度は低下する力 吸引吐出速度を制御することによって、バッ チ吸着に近い吸着容量を実現できる。
[0052] 「チップの構造」には、チップの形状を含み、「担体封入チップの構造」には、該チッ プ状容器の形状、封入された担体の位置、収容された担体の形状、種類、性質、ま たは封入部の形状等も含む。「生体物質の種類」に応じて吸引吐出の動作を定める とは、例えば、 DNA等の遺伝物質のように、タンパク質のサイズよりも一般に小さい 場合には、扱う液量は小さぐまた、スピードは速い方が扱いやすいことになる。これ は、サイズが小さければ小さいほど、一般に遭遇性が低くなるからである。
[0053] 第 14の発明は、前記担体が封入されたチップ状容器の内、流体を収容可能な空 間の容積力 数マイクロリットル力 数百マイクロリットル程度である担体処理装置で ある。
[0054] したがって、前記担体封入チップ外に設けた前記液収容部は、前記数マイクロリット ルカ 数百マイクロリットルの液体を、前記細管の口部を通して前記細管内に吸引可 能となるように収容可能でなければならな 、。
[0055] 第 15の発明は、前記担体封入チップの前記チップ状容器の外側に、外部からの信 号によって温度を昇降させる温度昇降体を接近し、または接近可能に設けた担体処 理装置である。
[0056] ここで、「温度昇降体」とは、外部からの信号に応じてその温度を上昇させまたは下 降することが可能な部材をいう。「信号」とは、前記温度昇降体が導電性部材の場合 には、電磁気的信号、すなわち電気または磁気による信号である。温度昇降体によ る温度を検知して、該温度に基づいて信号を発生することも可能である。
[0057] なお、前記温度昇降体は、前記担体封入チップに対して相対的に移動可能に設け るのが好ましい。また、この場合には、前記制御部は、吸引吐出の制御の他、温度の 制御をも処理内容に基づいて制御することになる。
[0058] 第 16の発明は、前記ノズルヘッドは、列方向に配列された複数連の一括ノズルお よび 1の個別ノズルが列方向に沿って配列され、前記吸引吐出機構は、前記ノズル ヘッドの一括ノズルおよび個別ノズルに対して一斉に気体の吸引吐出を行 、、前記 移動手段は、前記ノズルヘッドを前記液収容部群に対して相対的に前記行方向に 沿って移動させるノズルヘッド移動手段、ならびに、前記一括ノズルの移動経路上で あって、前記列方向に沿う列搬送経路および、前記個別ノズルの移動経路上であつ て、前記行方向に沿う行搬送経路を含む搬送経路を有し、前記一括ノズル力ゝら脱着 したチップ状容器または前記一括ノズルヘッドから吐出された液体を各々収容可能 な搬送収容部を前記搬送経路に沿って搬送する行列経路搬送手段を有する担体処 理装置である。
[0059] ここで、前記「列方向」と「行方向」とは必ずしも X方向(横方向)および Y方向(縦方 向)のような直交する必要はなぐ斜交する場合であっても良い。前記一括ノズルへッ ドと個別ノズルヘッドとは、独立に移動可能であっても良い。また、前記行列経路搬 送手段は、前記ノズルヘッドの移動経路上にある行搬送経路および列搬送経路を有 すれば、例えば、四角形状または多角形状等の閉じた搬送経路を有する場合であつ
ても、開いた搬送経路を有する場合であっても良い。
[0060] ここで、「搬送収容部」は、前記搬送手段にお!、てチップまたは液体を収容する部 分であって、少なくとも一括ノズルヘッドのノズル数と同一数の搬送収容部を有するこ とが好ましい。
[0061] 第 17の発明は、前記行列経路搬送手段の前記搬送経路に沿った所定位置に、脱 着した前記チップ状容器又は前記チューブ内の光を受光する受光手段を設けた担 体処理装置である。
[0062] 第 18の発明は、気体の吸引吐出を行う 1または複数連のノズルまたは該ノズルに 装着された部材に装着可能な装着用開口部および気体の吸引吐出によって流体の 流出入が可能な口部を有するチップ状容器内に、流体中の生体物質の吸着もしくは 捕獲、または該生体物質との反応もしくは結合が可能な担体を封入し、該容器の装 着用開口部にお 、て前記吸引吐出機構に用いられる部材に装着する封入工程と、 前記チップ状容器を装着し吸引吐出機構に用いられる部材を、所定の液収容部に 移動し、前記吸引吐出の量、スピード、回数、時間および位置力もなる吸引吐出の動 作を、前記ノズル、該ノズルに装着された部材もしくは担体封入チップの構造、流体 中に存在する生体物質の種類、濃度、液体の量、該液体の収容位置を含む座標位 置からなる物質条件、および、処理内容に基づいて制御することによって前記充填 剤と液収容部に収容されて!ヽる液体とを接触させて反応させる反応工程と、を有する 担体処理方法である。
[0063] 第 19の発明は、前記反応工程は、前記チップ力もの光を受光する測定工程を有す る担体処理方法である。
[0064] 第 20の発明は、前記反応工程は、前記担体封入チップの先端から液体を前記担 体封入チップ内に吸引することによって行なう担体処理方法である。
発明の効果
[0065] 第 1の発明によると、担体を、詳細な制御ができる気体の吸引吐出が行われるノズ ルまたはノズルに装着される部材、例えば、チップへの装着用開口部および口部を 有するチップ状容器内に封入し、処理目的、該チップ状容器および担体に対する吸 引吐出に関する最適な条件を設定することができる。また、流体の流れが一方通孔
ではなぐ双方向を可能としている。したがって、担体に関して、分離、抽出、精製性 能、処理効率を高めることができる。
[0066] さらに、担体をチップ状容器に封入した状態で、外部にある任意の流体を選択して 吸引することで前記担体と流体との接触を可能としている。したがって、担体の処理 を該担体封入チップと外部にある容器との間の相対移動と吸引吐出との制御に置き 換えるによって、処理を自動化、汎用化、多様ィ匕することができる。
[0067] 担体を封入した担体封入チップと、ノズルを有する吸引吐出機構とを用いることで、 装置の規模を抑制することができる。
[0068] また、本発明によれば、充填剤等の担体をチップ状容器内に封入したまま、流体を 吸引吐出することと、該チップ状容器を移動することだけで、液クロマトグラフィーの 処理、例えば、反応、洗浄、温度制御、分離、攪拌、分注、清澄、単離、溶出、抽出 を行うことができるので、処理を効率的、迅速かつ容易に行うことができる。
[0069] また、本発明によれば、処理目的に応じた流体のスピード、扱うべき流体の量に適 したチップ状容器を選択することによって、種々の処理に対応させることができるので 、汎用性、多様性がある。
[0070] さらに、本発明によれば、ノズルまたはノズルに装着したチップ等に装着したチップ 状容器に担体が封入された担体封入チップを用いることによって、ノズル等に対して 、担体封入チップまたは他の分注チップを脱着装着することによって、同一のノズル を用いて、担体処理を行うことができる。したがって、種々の処理を効率的かつ迅速 に行うことができる。
[0071] 第 2の発明によると、前記チップ状容器を、前記担体収容管と該担体収容管よりも 細く形成した流路とを有するように設けている。したがって、種々の容器または種々の 液量に対応することができるので汎用性がある。また、該担体収容管と流路との間の 移行部を利用して、担体や担体通過阻止部材を係止して確実に保持することができ る。
[0072] 第 3の発明によると、前記封入部によって担体をチップ状容器に封入することにして V、るので、種々の担体に応じた封入部を用いることで種々の担体を用いることができ 、汎用性、多様性がある。
[0073] 第 4の発明によれば、担体通過阻止部材を前記チップ状容器と別体に設けて!/、る 。したがって、該担体通過阻止部材をチップ状容器に取り付けることによって、前記 担体を容易に封入することができる。また、該担体通過阻止部材を着脱自在に取り 付けるようにすれば、チップ状部材を再使用し、または担体に吸着した物質を直接に 抽出または回収することが可能となる。
[0074] 第 5の発明によれば、前記封入部として、前記チップ状容器の壁面を突出させた突 出部、傾斜面または段差を設けている。したがって、部品点数を減らして製造費用を 削減するとともに、確実に前記担体を封入することができる。
[0075] 第 6の発明によれば、担体として複数の粒子状担体からなる充填剤を用いて!/、る。
したがって、前記口部を通して該担体を担体封入チップに導入することができるので 、扱いやすい。
[0076] 第 7の発明によれば、担体として、貫通性多孔質性のブロック状充填剤またはプロ ック状フィルタを用いている。したがって、該ブロック状充填剤またはブロック状フィル タのサイズを適当に定めることによって、前記チップ状容器の口部力もの流出を防ぐ ことができるので、流出を防止するための封入部を必要とせず、チップ状容器または その内部の構造を簡単ィ匕することができる。
[0077] また、ブロック状充填剤は、粒子状充填剤と異なり、流体の吸引吐出によって、液中 に分散されまたは液中を動き回ることはなぐ構造が不変である。そのために、再現 性の良い分離を達成することができる。
[0078] ブロック状充填剤またはブロック状フィルタのポア径と吸引吐出の速度等を変更す ることによって、多様な処理を可能とする。
[0079] 第 8の発明によれば、担体又は担体通過阻止材が、前記突出部、傾斜面または段 差によって保持されている。したがって、担体がチップ状容器によって保持されること になり、封入を確実に行うことができる。
[0080] 第 9の発明によれば、前記チップ状容器の壁の全体または一部に形成した導電性 部材に電流を流すことによって、該導電性部材を発熱させて、前記チップ状容器に 収容された担体および液体を加熱または冷却させることによって、反応の温度制御を 行うことができる。
[0081] したがって、チップ状容器の壁の外側にヒータ等の加熱手段を設ける場合に比較し て、チップ状容器内と直接接触しているので、壁による熱の反射を防ぎ、チップ状容 器内に対して熱をより一層効率的に伝達することができ、熱効率が高ぐ正確な温度 制御を行うことができる。
[0082] さらに、チップ状容器の壁を導電性部材で形成しているので、熱効率が高ぐ金属 ブロック等の必要以上に大きな加熱手段をチップ状容器の外側に設ける必要がなく
、外部には、その駆動装置を設けるだけで足りている。したがって、外部の構造が単 純化され、全体の装置規模を縮小することができる。
[0083] 予め各チップ状容器に最適な温度昇降体を設けることができるので、外部に、種々 の条件を満足する加熱手段を設ける必要がなぐ汎用性、多様性がある。
[0084] 直接導電性部材がチップ状容器内と接触して!/、るので、高!、精度かつ忠実な応答 性をもって、該液体の温度制御を行うことができる。
[0085] 該チップ状容器および導電性部材に対して前記液体に対する加熱または冷却の 信号を与えて力 液温が均等な温度分布になるまでの時間を短縮ィ匕して、迅速にか つ効率的に処理を行うことができる。
[0086] 第 10の発明または第 14の発明によれば、前記チップ状容器の内、封入された担 体の表面と該容器の内壁面との間にできる空間の容積を、処理に用いる液体の量( 微小量)に押えることにより、該細管内に吸引された液体と前記担体の表面全体との 間の接触を可能にして、微小量の液体に対して、信頼性の高い取り扱いを可能にす る。
[0087] 第 11の発明によれば、チップ状容器の細管力 太管への移行部の段差、傾斜面を 利用して、前記担体又は担体通過阻止部材を前記チップ状容器に保持するようにし ている。したがって、チップ状容器を特に加工することなぐ容易にかつ確実に担体 を係止して保持することができる。
[0088] 第 12の発明によれば、前記装着用開口部と口部とを結ぶ流体の移動経路に沿つ て少なくとも 2つの離間した所定の突出部等を設けることによって、種々の形状の担 体を容易に封入することができるので、取り扱いやすぐかつ多様性、汎用性がある。 特に、膜状フィルタもしくは薄板状フィルタであっても確実に封入かつ取り付けて円
滑に流体を通過させることができるので、限外濾過膜のような、ポア径の小さいフィル タであっても、気体の吸引吐出によって容易に流体を通過させることができる。
[0089] 第 13の発明または第 18の発明によれば、前記チップ状容器内に担体が封入され た担体封入チップをノズル又はノズルに装着したチップ等の吸引吐出機構に用いら れる部材に装着し、該ノズルに対する吸引吐出の量、スピード、回数または位置を、 そのチップ状容器の構造等に基づ 、て制御する。
[0090] したがって、本発明によれば、所定の構造をもった担体封入チップを用いるとともに 、吸引吐出についてきめ細かな制御を行うことによって、該チップ内に封入した担体 と、所定の生体物質を含有する溶液との間の反応、攪拌、洗浄等の処理を容易に、 一貫して、かつ高い信頼性をもって、迅速かつ効率的に行うことができる。また、本発 明によれば、制御の内容を変えることによって、種々の処理に対応することができる ので、汎用性、多様性がある。
[0091] 第 15の発明または第 19の発明によれば、前記担体封入チップの前記チップ状容 器の外側力 温度昇抗体を接近させることで温度制御を行っている。したがって、該 チップ内に担体を封入した状態で、温度制御を行うことを可能にするので、封入、反 応、分離までの種々の処理を一貫して行うことができる。また、前記担体を封入した 状態で温度制御を行うので、処理が効率的、かつ迅速である。
[0092] 第 16の発明によれば、複数連のノズルが設けられたノズルヘッドであって、一斉に 吸引吐出および移動が行われる装置を用いながら、その複数連のノズルの内の一部 を一括ノズルとし、その一部を個別ノズルとして交互に排他的に用いる。すなわち、 使用中のノズルには、チップまたはチップ状容器が装着され、使用していないノズル には、チップまたはチップ状容器を装着しないで用いる。したがって、使用中のノズ ルも、使用していないノズルも双方とも一斉に気体の吸引吐出が行われる力 それに よって、使用していないノズルによる対応する容器への働きかけはない。したがって、 一括して吸引吐出を行う複数連のノズルを有する装置を用いながら、各ノズルの移動 経路上にある容器に対し個別に吸引吐出を行うことができる。多様な処理が行われる
[0093] また、本発明によれば、前記一括ノズルおよび個別ノズルの移動経路上に、前記列
搬送経路および行搬送経路を設けた搬送経路をもつ行列経路搬送手段を設けてい る。したがって、該搬送手段によって、一括ノズルおよび個別ノズルのいずれによつ ても処理可能なので、多数のノズルや吸引吐出機構を行列状に配置することなぐ少 数のノズルを用いた簡単でコンパクトな構造で、多様で複雑な処理を可能とする。
[0094] また、多数の処理対象について吸引吐出処理を行う際に、共通する処理事項につ いては、一括ノズルを用いて一括して処理を行い、個別に処理を行う必要がある処 理事項については、個別ノズルを用いて個別に処理することによって、効率的で迅 速に、多様な処理を行うことができる。
[0095] 特に、個別に測定を行う場合にその測定の直前に必要な試薬を加える場合や、個 別に行われる処理の直前に、所定温度に保持する必要のある試薬を加えるような場 合に適する。
[0096] 第 17の発明または第 19の発明によれば、前記行列経路搬送手段の前記搬送経 路上の少なくとも 1箇所において、受光手段を設けることによって、複数連のノズル等 で処理した各ノズル等に対応する処理を、光を受光することで、その反応の様子を観 測することで、反応結果を確実に知ることができることになる。また、少数の受光手段 を用いて順次測定を行うことができる。したがって、装置を簡単ィ匕することができる。 特に、前記受光手段による受光の直前でのみ必要となる試薬を、個別ノズルヘッドに よって、受光の直前に順次投入することができるので、効率的で信頼性の高い受光 を行うことができる。第 20の発明によれば、担体封入チップをノズルから脱着すること なぐノズルに装着したままで液体をチップ内に吸引し、同時に担体と接触させること ができるので効率的な処理ができる。
図面の簡単な説明
[0097] [図 1]本発明の第 1の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 2]本発明の第 2の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 3]本発明の第 3の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 4]本発明の第 4の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 5]本発明の第 5の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 6]本発明の第 6の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 7]本発明の第 7の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 8]本発明の第 8の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 9]本発明の第 9の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 10]本発明の第 10の実施の形態に係る担体封入チップを示す図である。
[図 11]本発明の第 11の実施の形態に係る担体処理装置を示す図である。
[図 12]本発明の第 11の実施の形態に係る担体封入チップ処理装置を示す図である
[図 13]本発明の第 12の実施の形態に係る担体処理流れ図である。
[図 14]本発明の第 13の実施の形態に係る担体処理流れ図である。
発明を実施するための最良の形態
[0098] 本発明は、充填剤等の担体をチップ状容器内に封入することによって、吸引吐出 機能を用いて、いわゆる移動相として所定の流体等を該チップ状容器に対して、所 定の量、速度、時間、回数等を設定した条件の下で高い精度での吸引または吐出を 行うことによって、より一層効率的、迅速かつ信頼性のある分離、精製を可能にするも のである。
[0099] 続いて、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。各実施の形態 の説明は、特に指定のない限り、本発明を制限するものと解釈してはならない。
[0100] 図 1は、本発明の第 1の実施の形態に係る担体封入チップ 11の断面図を示すもの である。該担体封入チップ 11は、担体として粒子状充填剤 18がチップ状容器 12内 に封入されている。該チップ状容器 12は、該粒子状充填剤 18を収容する担体収容 管としての略円筒状の太径管 13と、該太径管 13と連通し該太径管 13および装着さ れるべきノズル(図示せず)または前記太径管 13よりも細く形成された略円筒状の細 径管 15と、前記太径管 13と前記細径管 15との間に形成された略漏斗状の移行部 1 7とを有するものである。
[0101] 前記太径管 13の上側は、気体の吸引吐出が行われる図示しないノズル又はノズル に装着されたチップに装着されるべき円筒状の装着用開口部 14が設けられて 、る。 前記細径管 15の先端には、前記ノズルによる気体の吸引吐出によって流体の流出 入が可能な口部 16が設けられている。該担体収容管である太径管 13には、前記粒
子状充填剤 18が収容されている。該粒子状充填剤 18の各粒子径は、例えば、数 m程度、約 5 mまたは約 2 m、 3 mである。該粒子状充填剤 18が収容されてい る部分の下側および上側には、前記封入部の担体通過阻止部材として、前記粒子 径よりも小さい網目をもつ網状薄板 19, 21が該粒子状充填剤 18を挟むようにして設 けられている。下側に設けた前記網状薄板 19は前記移行部 17に嵌合する略円錐台 状の薄板保持部 20によって該チップ状容器 12に取り付けられている。該薄板保持 部 20は、前記移行部 17に嵌合する略漏斗状の嵌合管 20bと、該嵌合管 20bの中心 軸方向に沿って該嵌合管 20bから下側に突出して形成され、吐出する流体を中心軸 に沿って導くための心棒 24と、該心棒 24に向かって放射状に伸びる複数の板状のリ ブ 20aを有する。
[0102] さらに、前記粒子状充填剤 20の上側に設けられた前記網状薄板 21は、その上側 には、半径方向に弾性的に付勢された C状のスぺーサ 23を設け、その上側に設けた エアフィルタ 22との間の間隔を一定に保つようにしている。
[0103] 図 2は、本発明の第 2の実施の形態に係る担体封入チップ 25を示すものである。該 担体封入チップ 25は、担体としての粒子状充填剤 32がチップ状容器 26に封入した ものである。該チップ状容器 26は、該粒子状充填剤 32を収容する担体収容管として の略円筒状に形成された太径管 27と、該太径管 27と連通し該太径管 27および装着 されるべきノズル(図示せず)よりも細く形成された略円筒状の細径管 29と、前記太径 管 27と細径管 29との間に設けられた略漏斗状の移行部 31とを有するものである。
[0104] 前記太径管 27の上側は、気体の吸引吐出が行われる図示しな 、ノズルまたはノズ ルに装着されたチップに装着されるべき円筒状の装着用開口部 28が設けられて 、る 。前記細径管 29の先端には、前記ノズルによる気体の吸引吐出によって流体の流出 入が可能な口部 30が設けられている。該担体収容管に相当する太径管 27には、前 記粒子状充填剤 32が収容されている。該粒子状充填剤 32の各粒子径は、第 1の実 施の形態に係る粒子状充填剤 18と同様に、各粒子径は、例えば、数; z m程度、約 5 μ mまたは約 2 m、 3 mである。該粒子状充填剤 32が収容されて 、る部分の下 側には、前記封入部の担体通過阻止部材として、前記粒子径よりも小さい網目をも つ網状薄板 35が設けられている。該網状薄板 35は、前記移行部 31に支持されるよ
うに、かつ前記装着用開口部 28および口部 30の間を仕切るようにして設けられてい る。前記網状薄板 35の下側には、複数枚の板状のリブ 33が、前記移行部 31の内壁 と接触するように設けられている。また、前記太径管 27の上部には、気体の通過可能 なエアフィルタ 34が前記装着用開口部 28および口部 30の間を仕切るようにして設 けられている。
[0105] 図 3は、本発明の第 3の実施の形態に係る担体封入チップ 36を示すものである。該 担体封入チップ 36は、担体としての粒子状充填剤 44をチップ状容器 37内に封入し たものである。該チップ状容器 37は、該粒子状充填剤 44が収容される担体収容管と しての略円筒状の太径管 40と、該太径管 40の上側で連通する最太径管 38と、前記 太径管 40の下側で連通する細径管 41と、前記太径管 40と前記最太径管 38との間 に形成された段差 38aと、前記太径管 40と前記細径管 41との間に形成された略漏 斗状の移行部 43とを有するものである。ここで、前記最太径管 38は、前記貯留管に 相当するもので、導入した流体を一時貯留させるために用いられる。
[0106] 前記最太径管 38の上側は、図示しないノズルまたはノズルに装着されたチップに 装着可能な円筒状の装着用開口部 39が設けられている。前記細径管 41の先端に は、前記ノズルによる気体の吸引吐出によって流体の流出入が可能な口部 42が設 けられている。該担体収容管である前記太径管 40には、前記粒子状充填剤 44が収 容されている。該粒子状充填剤 44の各粒子径は、第 1の実施の形態または第 2の実 施の形態に係る粒子状充填剤 18、 32と同様である。
[0107] 該粒子状充填剤 44が収容されている部分の下側には、前記封入部の担体通過阻 止部材として、前記粒子径よりも小さい網目をもつ網状薄板 45が設けられている。該 網状薄板 45は、前記移行部 43に支持されるように、かつ前記装着用開口部 39およ び口部 42の間を仕切るようにして設けられている。前記網状薄板 45の下側には、複 数枚の板状のリブ 48が、前記移行部 43の内壁と接触するように設けられている。ま た、該太径管 40と前記最太径管 38との間の前記段差 38aには、前記封入部の担体 通過阻止部材として、前記粒子径よりも小さい網目をもつ網状薄板 46が、前記装着 用開口部 39と前記口部 42との間を仕切るように前記最太径管 38に設けられて 、る 。また、該最太径管 38の上部には、気体の通過可能なエアフィルタ 47が前記装着
用開口部 39と前記口部 42との間を仕切るように最太径管 38に設けられて 、る。本 実施の形態によれば、前記最太径管 38を設けることによって、前記粒子状充填剤 4 4と、前記太径管 40または前記細径管 41の容量を越える大容量の流体とを接触させ ることがでさる。
[0108] また、図 3 (b)に示すように、前記チップ状容器 37の太径管 40の外側壁には、導電 性薄膜 40aで被覆されて ヽる。該導電性薄膜 40aに電極を接触させて電流を流す個 によって温度制御を行うことができる。
[0109] 図 4は、本発明の第 4の実施の形態に係る担体封入チップ 51を示すものである。該 担体封入チップ 51は、担体としての粒子状充填剤 58をチップ状容器 52内に封入し たものである。該チップ状容器 52は、該粒子状充填剤 58が収容される担体収容管と しての太径管 55と、該太径管 55の上側で連通する最太径管 53と、前記太径管 55 の下側で連通する細径管 56と、前記太径管 55と前記最太径管 53との間に形成され た段差 53aと、前記太径管 55と前記細径管 56との間に形成された略漏斗状の移行 部 55aとを有するものである。なお、該最太径管 53は、後述する口部 57から導入し た流体を一時貯留させるために用いられる。
[0110] 前記最太径管 53の上側は、気体の吸引吐出が行われる吸引吐出機構に用いられ る部材、例えば、図示しないノズルまたはノズルに装着されたチップに装着可能な円 筒状の装着用開口部 54が設けられている。前記細径管 56の先端には、前記ノズル による気体の吸引吐出によって流体の流出入が可能な口部 57が設けられて 、る。該 担体収容管である前記太径管 55には、前記粒子状充填剤 58が収容されている。該 粒子状充填剤 58の各粒子径は、第 1、第 2または第 3の実施の形態に係る粒子状充 填剤 18、 32、 44と同様である。該粒子状充填剤 58がほぼ該太径管 55内を満たすよ うに収容されている部分の下側には、前記封入部の担体通過阻止部材として、前記 粒子径よりも小さい孔をもつ貫通性多孔質薄板 59が設けられている。
[0111] 該貫通性多孔質薄板 59は、前記移行部 55aに支持されるように、且つ前記装着用 開口部 54および口部 57との間を仕切るようにして設けられている。前記貫通性多孔 質薄板 59の下側には、複数枚の板状のリブ 60が、前記移行部 55aの内壁と接触す るように設けられている。また、前記太径管 55と前記最太径管 53との間の前記段差 5
3aには、前記封入部の担体通過阻止部材として、前記粒子径よりも小さい孔をもつ 貫通性多孔質薄板 61が、前記装着用開口部 54と前記口部 57とを仕切るように最太 径管 53に設けられている。また、最太径管 53の上部には、気体の通過可能なエアフ ィルタ 62が、前記装着用開口部 54と前記口部 57との間を仕切るように前記最太径 管 53に設けられている。これによつて、前記粒子状充填剤 58と、前記太径管 55また は前記細径管 56の容量を越える大容量の流体を接触させることができる。
[0112] 図 5は、本発明の第 5の実施の形態に係る担体封入チップ 63を示すものである。該 担体封入チップ 63は、担体としての略円筒状の貫通性多孔質のブロック状充填剤 6 9が、チップ状容器 64内に封入されたものである。該チップ状容器 64は、該ブロック 状充填剤 69を収容する担体収容管としての略円筒状の太径管 66と、該太径管 66と 連通し該太径管 66および装着されるべきノズル(図示せず)または該太径管 66よりも 細く形成された略円筒状の細径管 67と、前記太径管 66と細径管 67との間に設けら れた略漏斗状の移行部 66aとを有するものである。
[0113] 前記太径管 66の上側は、図示しないノズルまたはノズルに装着されたチップに装 着可能な円筒状の装着用開口部 65が設けられている。前記細径管 67の先端には、 前記ノズルによる気体の吸引吐出によって流体の流出入が可能な口部 68が設けら れている。該担体収容管である前記太径管 66には、前記ブロック状充填剤 69が収 容されている。該ブロック状充填剤 69の大きさは、前記細径管 67を通過しない大きさ に形成される。
[0114] ここで、貫通性多孔質のブロック状充填剤 69は、 3次元ネットワーク状の骨格とその 空隙が一体となった構造をもつものであって、骨格サイズと流路サイズを独立して決 定可能なものである。粒子充填剤に比較して、大きな流路サイズとすることによって低 圧での吸引吐出が可能となる。
[0115] さらに、前記太径管 66の上部には、気体の通過可能なエアフィルタ 70が、前記装 着用開口部 65および前記口部 68との間を仕切るようにして設けられている。なお、 本例では、封入部を設けな力つた力 例えば、前記ブロック状充填剤 69を上下から 挟むようにして前記太径管 66内に取り付けるための 2枚の網状薄板を設けるようにし ても良い。
[0116] 図 6には、第 6の実施の形態に係る担体封入チップ 71を示す。該担体封入チップ 7 1は、担体としての略円錐台状の貫通性多孔質のブロック状フィルタ 82をチップ状容 器 92内に封入したものである。該チップ状容器 72は、前記貯留管に相当する略円 筒状の太径管 76と、該太径管 76と連通し該太径管 76および装着されるべきノズル( 図示せず)よりも細く形成された略円筒状の細径管 77と、前記ブロック状フィルタ 82 を収容する担体収容管としての、前記太径管 76と該細径管 77との間に設けられた 略漏斗状の移行部 79とを有するものである。
[0117] 前記太径管 76の上側は、図示しないノズルまたはノズルに装着されたチップに装 着可能な円筒状の装着用開口部 73が設けられている。前記細径管 77の先端には、 前記ノズルによる気体の吸引吐出によって流体の流出入が可能な口部 78が設けら れている。前記貯留管に相当する前記太径管 76の上部には、気体の通過可能な前 記エアフィルタ 80が設けられて!/、る。
[0118] 前記担体収容管としての移行部 79には、前記ブロック状フィルタ 82が嵌合するよう に設けられている。該ブロック状フィルタ 82は、太径管 76と嵌合する円柱状の太径 嵌合部 82aと、移行部 79に嵌合する円錐台状の移行部嵌合部 82bと、細径管 77と 嵌合する円柱状の細径嵌合部 82cとからなって 、る。該ブロック状フィルタ 82の上側 には、半径方向に弹性的に付勢された C状のリング 81によって押えられて 、る。
[0119] ここで、封入部は、略漏斗状の移行部 79および担体通過阻止部材としてのリング 8 1が相当する。
[0120] 図 7に基づいて、第 7の実施の形態に係る担体封入チップ 83を示す。該担体封入 チップ 83は、担体としての薄膜状フィルタ 84を前述した第 1の実施の形態に係るチッ プ状容器 12に封入したものである。図 1と同一の符号は、図 1で説明したものと同一 のものを表す。該チップ状容器 12は、前記貯留管に相当する略円筒状の太径管 13 と、該太径管 13と連通し該太径管 13および装着されるべきノズル(図示せず)よりも 細く形成された略円筒状の細径管 15と、前記薄膜状フィルタ 84を収容する担体収 容管としての、前記太径管 13と該細径管 15との間に設けられた略漏斗状の移行部 1 7とを有するものである。
[0121] 前記太径管 13の上側は、図示しないノズルまたはノズルに装着されたチップに装
着可能な円筒状の装着用開口部 14が設けられている。前記細径管 15の先端には、 前記ノズルによる気体の吸引吐出によって流体の流出入が可能な口部 16が設けら れている。前記貯留管に相当する前記太径管 13の上部には、気体の通過可能なェ ァフィルタ 22が設けられて!/、る。
[0122] 前記担体収容管としての移行部 17には、前記薄膜状フィルタ 84が前記装着用開 口部 14と前記口部 16との間を仕切るように設けられ、該薄膜状フィルタ 84の下側に は、前記移行部 17に嵌合する略円錐台状の薄板保持部 20によって該チップ状容器 12に取り付けられている。該薄板保持部 20は、前述した通りなので説明を省略する
[0123] さらに、前記薄膜状フィルタ 84の上側には、該薄膜状フィルタ 84を押えるための、 半径方向に弾性的に付勢された C状のリング 85が設けられている。
[0124] 図 8には、第 8の実施の形態に係る担体封入チップ 86を示す。図 8 (a)およびその AA線の断面図を示す図 8 (b)に示すように、該担体封入チップ 86は、担体としての 円筒状の貫通性多孔質のブロック状フィルタ 95をチップ状容器 87内に封入したもの である。該チップ状容器 87は、前記貯留管に相当する略円筒状の最太径管 88と、 該最太径管 88と連通し該最太径管 88よりも細く形成され、前記ブロック状フィルタ 95 と略同じ大きさおよび形状をもって略ぴったりと収容する前記担体収容管に相当する 太径管 90と、該太径管 90よりさらに細く形成された略円筒状の細径管 91と、前記最 太径管 88と前記太径管 90との間に設けられた段差と、前記細径管 91と前記太径管 90との間に設けられた移行部としての段差 93とを有するものである。
[0125] 前記最太径管 88の上側には、気体の吸引吐出が行われる図示しないノズルまた はノズルに装着されたチップに装着可能な円筒状の装着用開口部 89が設けられて いる。前記細径管 91の先端には、前記ノズルによる気体の吸引吐出によって流体の 流出入が可能な口部 92が設けられて 、る。
[0126] 図 8 (b)の B部分を拡大して図 8 (c)に示すように、前記ブロック状フィルタ 95の下側 には、前記ブロック状フィルタ 95を封入して固定するための部材としての貫通性多孔 薄板 96が設けられている。該薄板 96の下側には、薄板状のリブ 96aが設けられ、該 薄板 96の孔の目詰まりを防止するとともに、前記段差 93に係止して保持されている。
さらに、該ブロック状フィルタ 95の上側には、前記最太径管 88と前記太径管 90との 間の段差 94に係止されて貫通性多孔薄板 97が設けられて、前記ブロック状フィルタ 95を前記太径管 90に固定かつ封入している。また、該太径管 90の外側壁には、導 電性薄膜 90aで被覆されて ヽる。該導電性薄膜 90aに電極を接触させて電流を流す ことによって温度制御を行うことができる。
[0127] 図 9には、第 9の実施の形態に係る担体封入チップ 98を示す。該担体封入チップ 9 8は、担体としての薄膜状フィルタ 106をチップ状容器 99内に封入したものである。 該チップ状容器 99は、前記貯留管に相当し相互に着脱自在に設けられた下側太径 管 100および上側太径管 102と、該太径管 100、 102よりも細く形成されるとともに、 前記下側太径管 100に対して着脱自在に設けられた細径管 103と、前記下側太径 管 100に設けた移行部としての段差 105とを有するものである。
[0128] また、前記上側太径管 102には、図 9 (c) (d)に示すように、気体の吸引吐出が行 われるノズル 107または該ノズル 107に装着されたクロスコンタミネーシヨン防止用の キャップ状のアダプタ 108に装着可能な装着用開口部 101が設けられている。また、 前記細径管 103の先端には、前記ノズル 107による気体の吸引吐出によって流体の 流出入が可能な口部 104が軸方向に対して傾斜する傾斜面をもつように形成されて いる。
[0129] 図 9 (b)には、前記担体封入チップ 98の分解斜視図を示すものである。該担体封 入チップ 98の前記上側太径管 102には、上側太径管 102の本体やや細く形成され て、前記下側太径管 100内に嵌合して装着される嵌合管 102aを有する。該嵌合管 1 02aの先端と前記太径管 100に設けられた段差 105の内底部分との間には隙間が あり、その隙間には、次の部材が挟み込まれる。すなわち、前担体としてのメンブラン 、薄膜状フィルタ 106を上側から弹性的に付勢するゴム製の Oリング 106a、前記担 体としての所定サイズ網目をもつ薄膜状フィルタ 106、該網目よりもやや大き ヽサイズ の網目をもつ網状薄板 106bであって、主として該薄膜状フィルタ 106を弛みなく支 えるために用いるものと、該網状薄板 106bの下側に設けられ、該網状薄板 106bより もさらに大きなサイズの網目を有し前記薄膜状フィルタ 106の目詰まりを防止するた めの網状薄板 106cとを有する。これらの薄膜状フィルタ 106、網状薄板 106b、 106
cは、前記装着用開口部 101と前記口部 104の間を仕切るように設けられている。こ こで、前記薄膜状フィルタ 106は、例えば、限外濾過膜であり、前記網状薄板 106b は例えば、ステンレス製で、網目の径が 50 m程度のものであり、前記網状薄板 10 6cは、例えば、ステンレス製で、網目の密度が 40mZsである。
[0130] 図 9 (c) (d)には、前記装着用開口部 101に、管状の前記アダプタ 108を介してノズ ル 107を装着した斜視図およびその断面図を示す。前記ノズル 107は前記アダプタ 108内に嵌合して装着される。該アダプタ 108内には、気体が通過可能なエアフィル タ 108aが設けられ、前記ノズル 107の先端は、該エアフィルタ 108aの上端または該 エアフィルタ 108aを取り付ける網状薄板に接近または接触した状態で装着される。 前記ノズル 107の先端近傍には、 Oリング 107aが設けられ、気体の漏れを防止して いる。
[0131] 前記アダプタ 108は前記装着用開口部 101の上部の開口近傍に設けたゴム製 Oリ ング 102bによって弾性的に付勢されて前記装着用開口部 101に嵌合装着される。
[0132] 図 10には、第 10の実施の形態に係る担体封入チップ 110を示す。図 10 (a)に示 すように、該担体封入チップ 110は、担体としての膜状フィルタ、薄板状フィルタまた は薄膜状フィルタ 118 (例えば、限外濾過膜)をチップ状容器 112内に封入したもの である。該チップ状容器 112は、太径管 113と、該太径管 113の上側で連通する最 太径管 117と、前記太径管 113の下側で連通する細径管 115とを有する。
[0133] 前記太径管 113には、前記細径管 115との間に形成された段差 113aと、前記薄 膜状フィルタ 118が前記段差 113aに支持されて収容される下側の円筒領域 113bと 、粒子状担体が収容可能な (この例では収容して 、な 、)上側に設けた下方にやや 先細りに形成された傾斜円筒領域 113cとを有する。
[0134] 前記最太径管 117には、前記太径管 113との間に形成された段差 117aと、薄膜 状フィルタが前記段差 117aに支持されて収容可能な (この例では収容して 、な!/、) 下側の円筒領域 117bと、上側に設けた下方向にやや先細りの傾斜円筒領域 117c とを有する。該傾斜円筒領域 117cの上側は、図示しないノズルに装着可能な装着 用開口部 114が設けられて 、る。
[0135] 図 10 (c)は、図 10 (a)の AA線視断面図を示すものである。図 10 (c)に示すように
、前記傾斜円筒領域 117cの中央あたりには、前記突出部としての環状突起 117eが その内壁面に沿って軸方向に垂直な方向に沿って設けられて 、る(図 10 (d)参照)。 その環状突起 117eのすぐ上には円筒領域 117dがあり、空気を通過可能なエアフィ ルタ 117fが前記環状突起 117eに支持されて設けられている。なお、符号 114aは、 前記最太径管 117の上側の外側面にその軸方向に沿って設けられて 、る複数の突 条である。
[0136] 前記細径管 115の先端には、前記ノズルによる気体の吸引吐出によって流体の流 出入が可能な口部 116が設けられている。したがって、第 10の実施の形態に係る担 体封入チップ 111のチップ状容器には、該装着用開口部 114と前記口部 116との間 で内壁面を仕切るように設けられ、口部に向かって内側方向に突設する段差 113a, 117aおよび内側方向に突出する前記突出部としての環状突起 117eの 3つが前記 装着用開口部 114と前記口部 116を結ぶ方向に相互に離間して設けられて 、ること になる。
[0137] さらに、図 10 (b)に示すように、本実施の形態にあっては、前記段差 113aにおいて は、その内底面側部分 119において、前記円筒領域 113bの内壁面に接しかつ該円 筒領域 113bの軸線を囲むように設けられた周縁部 119b、および、該周縁部 119b 力 軸線に向かって半径方向に突出する 3本の突起 119aが設けられており、段差の 厚さが一様ではない。なお、前記内底面側部分 119は、薄板状のスぺーサ用部材と して前記チップ状容器と別体に設けるようにしても良い。これによつて、前記薄膜状フ ィルタ 118の利用有効面積を増大させることができる。
[0138] 該内底面側部分 119の上側に接して前記担体としての薄膜状フィルタ 118が前記 装着用開口部 114および口部 116の間を仕切るようにして設けられている。なお、該 薄膜状フィルタ 118の剛性が小さい場合には、前記内底面側部分 119の上に支持 用の網状部材 (第 1の他の封入部)を載置した上で前記薄膜状フィルタ 118を設ける ようにする。
[0139] さらに、その上側には、前記第 2の他の封入部としての担体通過阻止部材としての 円筒状のスリーブ 129が、前記薄膜状フィルタ 118の周縁部分、従って前記周縁部 1 19bを押圧するようにして設けられている。なお、該薄膜状フィルタ 118の周縁部分
に Oリングを置 、た上で該スリーブ 129を設けるようにしても良 ヽ。前記最太径部 117 の下端にある前記段差 117aを利用しても、膜状フィルタを前述したような封止部を用
Vヽて挟むようにして支持可能である。
[0140] 該最太径管 117の内、前記環状突起 117eの下側および前記円筒領域 117bおよ び傾斜円筒領域 113cは貯留管に相当し、前記円筒領域 113bは担体収容管に相 当する。しかし、傾斜円筒領域 113cに担体を収容した場合には、該傾斜円筒領域 1
13cは担体収容管に相当する。
[0141] 続いて、本発明の第 11の実施の形態に係る担体処理装置 10の全体を表す平面 模式図である。
[0142] 該担体処理装置 10は、気体の吸引吐出機構を有し、例えば、前記担体封入チッ プ 36をノズルに装着して、該チップ 36に対して吸引吐出処理を行う複数連のノズル を有する担体封入チップ処理装置 180と、種々の検体や試薬等を含有する溶液を 前記担体封入チップ 36内に吸引しまたは吐出することによって、封入された前記担 体に対する予め準備された溶液の吸引、吐出、外部容器への分注、攪拌、洗浄、抽 出、移送、反応等を行うための担体処理領域 181と、前記担体封入チップ処理装置 180が有する 1の個別用ノズルを用いて前記担体封入チップ 36内に主として測定用 等の処理直前に必要となる試薬を分注するための試薬分注領域 182と、前記担体 封入チップ 36内に封入された担体を含む物質について測定を実行するために光情 報を得る測定領域 183とを有する。
[0143] 図 11、図 12に示す前記担体封入チップ処理装置 180は、列方向(図面内の縦方 向)に配列された複数(この例では 9連)のノズル 107を有するノズルヘッド 184を有し 、該ノズルヘッド 184に対しては、一斉に吸引吐出が行われる。なお、 9連のノズル 1 07の内、端の 1のノズル 107は、個別ノズルであって、その位置(図 11の符号 212b の位置)に示すよう〖こ、 8連のノズル 107、すなわち、一括ノズルの位置(符号 212aの 位置)からやや離れて設けられて!/ヽる。
[0144] 図 12に示すように、前記吸引吐出機構においては、前記各ノズル 107のやや上部 に設けた太径部 216と、該各ノズル 107と連結したシリンダ 215内でプランジャ 215a を摺動するためのロッド 212とを有する。さらに、 9本の前記ロッド 212は、一斉に上下
運動可能な駆動板 223の縁に設けた各々 9個の各切欠き部に該ロッド 212の径より も大きな径をもって半径方向に突出している 8連の端部 212aおよび 1の端部 212bを 掛けるようにして取り付けられている。なお、前記ノズルヘッド 184は、行方向(図面上 横方向または左右方向)に移動することになる。
[0145] また、図 12に示すように、該駆動板 223は、ボール螺子 214と螺合するナット部 21 3と連結している。前記各ロッド 212は、前記シリンダ 215に設けられたばねによって 常時下方向に付勢されている。そのため、前記各ロッド 212は、上方向に動く場合に は前記各ナット部 213によって上げられるが、下方向に下がる場合には、該各ナット 部 213によるのではなぐ前記ばね力によって下がる。該各ボール螺子 214は、断面 コの字状の支持部材 211に設けられたモータ 210によって回転駆動され、これによつ て、前記駆動板 223および 9本の前記ロッド 212が一斉に上下動する。
[0146] なお、 9連のノズル 107のうち、前記個別ノズルは、前記ノズルヘッド 184に設けら れているので、他の 8連の一括ノズルとともに一斉に吸引吐出が行われ、また、昇降 機構につ 、ても、行方向の水平移動(図 11の左右方向)につ 、ても一斉に行われる 。しかし、該個別ノズルは、前記試薬分注領域 182において、前記担体封入チップ 3 6内に測定用の試薬を分注するために用いられる。該個別ノズルを用いる場合には、 他の一括ノズルからは担体封入チップが除去された状態になっている。また、一括ノ ズルを用いる場合には、該個別ノズルにはチップ等は装着されて ヽな 、状態にある。
[0147] 図 12において、筐体 187内〖こはボール螺子 219、該ボール螺子 219に螺合する ナット部 220および該ナット部 220に取り付けられた前記支持部材 211を一端に有す る支持体 221を有する。また、該筐体 187上には、前記ボール螺子 219を回転駆動 するモータ 188が設けられている。これらの部品によって構成された上下動機構によ つて、前記ノズル 107が一斉に上下動可能である。
[0148] 筐体 187の下方には、温度昇降手段 171が設けられている。該温度昇降手段 171 は、 9連のノズルに装着された 9本の前記チップに接近しまたは接触可能となるような 高さおよび幅を持つように列方向に沿って形成され、内部にヒータを有する加熱板 1 73と、該加熱板 173に取り付けられ、前記各チップを両側力も各々挟むように突出し て設けられた内部にヒータを有する 10枚の加熱壁 172とを有し、これらの加熱板 173
は、温度制御の対象となるチップの形状に合わせた形状をもつように形成するのが 好ましい。ここで、前記加熱板 173および加熱壁 172は前記温度昇降体に相当する
[0149] 該温度昇降手段 171は、前記ノズルヘッド 184の前記ノズル 107に装着された前 記チップに接近または接触して、該チップを加熱することを可能にするためのモータ 174、該モータ 174によって回転駆動されるボール螺子 176a、および該ボール螺子 176aに羅合するナット部 175、該ナット部 175に連結して図上左右方向に移動可能 であって、前記加熱壁 172および加熱板 173とも連結する移動用ロッド 176bを有す る。
[0150] 前記温度昇降手段 171の下側には、櫛歯状の爪 222aおよび 9個の磁石 222bと、 図上左右方向に移動させて、前記ノズル 107に装着された前記チップ 36を除去し、 または磁場を及ぼすことを可能にするためのモータ 189、該モータ 189によって左右 方向に移動可能な移動用支持板 190および該移動用支持板 190に取付けられた移 動用ロッド 191a, 191bを有する。
[0151] なお、該担体封入チップ処理装置 180は、上側から吊り下げられるように設けられ、 前記処理装置 10の全域および他の必要領域を覆うように、図示しない直動機構を利 用した X軸 (行方向)移動機構によって移動可能に設けられて 、る。
[0152] また、図 11に戻り、前記担体処理領域 181においては、対象物質を含有する溶液 を収容する 8連の対象物質収容ゥ ル 192aを有するカートリッジ容器 192と、ゥエル 列 196、 197を収容するとともに、生成物を収容するゥエル列 199を有する 5列 X 8行 のゥエルを有するマトリクス状容器 195と、該処理を実行するために必要な各種試薬 や物質または処理結果物を収容するためのプレパック可能なゥエル 200aを有する 8 個のカートリッジ容器 200とを有する。該カートリッジ容器 200のうち、符号 200bは、 ヒートブロックが設けられたインキュベータ用ゥエルである。
[0153] さらに、前記対象物質収容ゥ ル 192aには各々その対象物質に関する情報を示 すバーコード 192bが付されている。該バーコード 192bは、バーコード 192bを読み 取るバーコード読取部 193が走査するように移動して読み取る。符号 193aは該バー コード読取部 193を駆動する移動機構である。
[0154] 8連の前記カートリッジ容器 200の周囲を囲むようにして、前記担体封入チップ処理 装置 180の前記 8連の一括ノズル 107の移動経路上において 8連のノズルの配列方 向に平行な列方向(図面上の縦方向、 Y方向)に沿った列搬送経路 203a, 203cお よび、前記個別ノズル 107の移動経路上の行方向(横方向、 X方向)に沿った行搬送 経路 203bをもつ四角形状の搬送経路に沿って移動可能なコンペィヤー 203が設け られている。該コンペィヤー 203は、前記行列経路搬送手段に相当し、該コンペィャ 一 203は、前記ノズル間の間隔に一致するように全部で 32個のチップ収容部または チューブ 202が、該コンペィヤー 203とともに移動可能に連結されている。したがって 、図 11に示すような位置において、前記担体封入チップ処理装置 180の 8連のノズ ルによって、列搬送経路 203a, 203cに配列された 2列のチューブ 202群に対して液 体の吸引吐出が可能である。また、前記処理装置 10の前記一括ノズル 107の前記 8 連のノズル群とは離れて設けた前記個別ノズル 107によって、前記行列経路搬送手 段として四角形状に配列された搬送経路の内、下辺の行搬送経路 203b、すなわち 前記試薬分注領域 182内にある選択したチップ収容部またはチューブ 202に対して 、 目的に応じた試薬、例えばィ匕学発光における基質液等を分注することができる。
[0155] さらに、前記測定領域 183内であって、前記行列経路搬送手段の四角形状の搬送 経路の内に測定ポイント 204を設け、該測定ポイント 204において、トリガー光源 205 より、励起光を前記担体封入チップ内に励起光を照射して、発生した光を受光部 20 6において受光して測定を行うようにする。これによつて、各チップごとに処理目的に 応じた処理を行うことができる。
[0156] なお、図示していないが、これらの担体処理装置 10を制御するために、使用者から の指示やデータを入力するための入力装置、各種演算等の処理を行う CPU、表示 装置、各種メモリ、伝達手段等を有する情報処理装置が、前記担体封入チップ処理 装置 180の吸引吐出機構や、移動機構、行列経路搬送手段、測定領域 183内の装 置等に指示を行いまたこれらの装置力もの信号を受ける。該情報処理装置には、前 記ノズルの吸引もしくは吐出の量、スピード、回数、時間または位置を、前記ノズル、 ノズルに装着される部材もしくは担体封入チップの構造、流体中に存在する物質の 種類、濃度、流体の量、流体もしくは担体の温度または該流体の収容位置を含む座
標位置からなる物質条件、および、処理内容に基づいて制御する制御部が設けられ ている。
[0157] 続いて、図 13に基づいて、第 12の実施の形態に係る前記担体封入チップ 36を用 V、た処理にっ 、て説明する。ここでは、プロテイン Aを用いてマウス IgG (抗体)の分 離精製を例にとって説明する。
[0158] ステップ S1において、前記担体封入チップ 36内に、前記担体として、粒子状充填 剤 44、具体的には、ァフィ二ティリガンド (抗体、抗原、色素、酵素等)ここでは、黄色 ブドウ球菌の細胞壁に存在するタンパク質で、各種動物宿主由来の IgGに対して特 性を示す物を用いる。該プロテイン Aを架橋ァガロース基材のクロマトゲルに固定し たものを用いる。該プロテイン Aが表面に固定されたクロマトゲルを封入し、前記ノズ ルヘッド 184のノズル 107に装着する。
[0159] 該担体封入チップ 36を該ノズルヘッド 184と共に、行方向に移動させ、精製対象 物 120、例えば、マウス IgGが含まれる培養上清の試料溶液を含有する容器にまで 移動させる。ステップ S2からステップ S4において、前記容器に収容された該試料溶 液を前記ノズル 107を介して吸引吐出を繰り返すことによって該試料と前記クロマトゲ ルとを混合攪拌する。この場合、プロテイン Aリガンドは IgGに対する結合定数が小さ いので、例えば、スピードは、毎時 1000cmの高速で流れた場合でも高い吸着能力 を有する。分注チップで稼動させる場合、毎時 300cmから 500cmの線流速での運 用が可能である。これによつて、前記精製対象物 120であるマウス IgGをクロマトゲル の粒子状充填剤 44の表面のァフィ-ティリガンドと結合または吸着させる。この工程 には約 5分かける。
[0160] 次に、ステップ S5において、前記ノズルヘッド 184を移動させて、洗浄液として適当 な溶媒を収容する容器にまで移動させる。洗浄液該当する担体として、吸引吐出を 行うことで洗浄する。洗浄液は、試料希釈液としても用いるバッファ液、 20mMのリン 酸ナトリウム PH7. 0を用いて行う。少なくとも、該洗浄液を 2回換えて洗浄を繰り返す 。是によって前記チップ内に残っていた試料溶液である培養上清を除去する。ここで 、前記担体封入チップ 36内に導入されるバッファ液の量は、前記担体封入チップ 36 内に封入されている担体の量の 3倍になるように制御する。この際、前記チップ内の
吸光度を前記測定領域 183においてモニターしながら、吸光度がある値以下になる まで、洗浄液の吸引吐出を繰り返すようにしても良い。その場合には、図 11に示すよ うに、該チップ 36を前記行列経路搬送手段としてのコンペィヤー 203に載置して搬 送しながら、測定ポイント 204において測定を繰り返しながら吸引吐出を行う。
[0161] ステップ S6において、前記クロマトゲルの表面に吸着している目的対象物を選択 的にゲル力 溶出させる溶媒を収容して 、る容器にまで、前記担体封入チップ 36を 移動させ、吸引吐出を繰り返す。該溶出液としては、例えば、 0. 1Mクェン酸 NaO H, pH3. 0を用いる。なお、その他、グリシンバッファ、酢酸バッファを用いても良い。 その際、 pH早く 2. 5から 4の範囲である。該工程は約 5分間力かる。
[0162] ステップ S7において、 目的対象物であるマウス IgGを溶液中に溶出させて、所定の 容器内に吐出する。溶出は、吸光度 (A280)のピークとして観測される。この IgGの 溶出ピーク部分が目的の精製抗体 (IgG)であるので、 A280の立ち上がりに注意し てこのピーク部分を分画回収する。溶出操作終了後、酸性バッファ液で溶出された I gG溶液の pHを中性に戻すために、 1M Tris—HCl (pH8)を適量添加する。
[0163] さらに、溶出された IgGを含む溶液には、まだ溶出液成分や高濃度の Trisが含ま れているので、適当なバッファ、例えば、 PBSを用いて限外濾過を行って溶液を置換 する必要がある。そのために、例えば、図 9に示した担体封入チップ 98に薄膜状担 体として限外濾過膜を用 Vヽたものを用意して、例えば図 11のチップ収容列 179に配 列させておく。
[0164] そして、前記ノズルヘッド 184に前記担体封入チップ 36を除去し、新たに分注チッ プを装着し、前記溶出された IgGを含む溶液を適当な分注チップに吸引させ、例え ば、前記チップ収容列 179にまで前記ノズルヘッド 184によって移動して、該担体封 入チップ 98の装着用開口部 101から前記溶液を吐出して収容する。次に、該ノズル 107から前記分注チップを除去し、前記アダプタ 108を介して前記担体封入チップ 9 8の装着用開口部 101において、装着し、前記吸引吐出機構を用いて前記溶液を加 圧して前記限外濾過膜を通過させる処理を行う。
[0165] 以上の処理は、 1のノズルを担体封入チップ 36を用いた場合について説明した力 複数連のノズルを用いることで複数の処理を同時に行うことができる。したがって、本
実施の形態に係る処理によれば、従来の液クロマトグラフ等に比較して、小規模の装 置で、同時に多数の検体を扱うことができるので効率が高い。
[0166] 続いて、図 14に基づいて、第 13の実施の形態に係る目的とするタンパク質を合成 して生成する処理について説明する。ステップ S 11において、反応溶液を混合して 生成する。そのために、前記担体処理装置 10の前記担体封入チップ処理装置 180 のノズルヘッド 184に、 8本の分注チップ 121を装着し、該ノズルヘッド 184を移動す ることによって、前記担体処理領域 181内に設けたゥヱル 192内に、 8連のカートリツ ジ容器 200のゥエルに収容された各試薬等、すなわち、 目的とするタンパク質として、 DNFR (ジヒドロ養蚕還元酵素)を合成するためのテンプレート DNAを含有するポジ ティブコントロール(DHFR)用液を 0. 5 μ g含有する 2. 5 μリットルと、 Puresystem Sol. A (登録商標)を 25 μリットルと、 Puresystem Sol. B (登録商標)を 10 μリツ トルと無核酸分解酵素水(Nuclease Free water)を 12. 5 リットルを吸引して、 所定の混合して計 50 μリットルとするように制御しながら分注する。
[0167] ここで、 Puresystemの各溶液には、転写、翻訳およびエネルギー再生に必要なタ ンパク質因子を全て別々に調製、生成後、再構成したものが含まれている。すなわち 、開始因子、伸長因子、終結因子、リボソームリサイクリング因子、 20種類のアミノ酸 に対応するアミノアシル tRNA合成酵素等である。また、リボソームタンパク質以外の 構成タンパク質はすべて His— tagを N末端もしくは C末端に付加した状態で調整さ れている。
[0168] その場合、前記ゥエル 192は、冷却した状態、例えば、氷を近接させた状態で行う。
これによつて、前記ゥエル 192内〖こは、図 14に示すように、テンプレート DNA122、リ ポソーム 123、および His-tag付因子等 124を含有する反応溶液が得られる。該反 応溶液を、吸引して前記ノズルヘッド 184を 37°Cの恒温状態にあるゥエル 196にまで 移動して、前記反応溶液を吐出して該ゥエル 196内に収容し、 1時間、 目的とするタ ンパク質の合成反応を起こさせる。
[0169] ステップ S12において、前記ゥエル 196から前記反応溶液を吸引して、前記ノズル ヘッド 184を移動させて、再び前記ゥエル 192内に吐出し、再び氷に接近させた状態 で冷却させる。その状態で、金属ァフィ二ティ榭脂によって被覆された磁性粒子 125
を収容するゥエル 200から該磁性粒子 125を懸濁する溶液 10 リットルを吸引して、 前記ゥエル 192内に吐出し、混合攪拌させる。そのために、所定のスピード (例えば、 数 10 リットル Zsec)で吸引吐出を約 10分間繰り返す。
[0170] ステップ S13において、前記ゥヱルを冷却した状態で、前記ノズルヘッド 184に装 着した分注チップ 121に対して、前記担体封入チップ処理装置 180の磁石 222bを 分注チップ 121の外側から接近させて、磁場を及ぼした状態で、所定スピード (例え ば、数10 リットル736じ)で、吸引吐出を行うことで前記磁性粒子 125を前記分注 チップの内壁に吸着させて分離する (BZF分離)。
[0171] すると、該磁性粒子 125には、前記 His— tag因子が結合されているので、該磁性 粒子を除去することによって、 目的の合成タンパク質以外のタンパク質を除去するこ とがでさる。
[0172] ステップ S14で、前記ゥエル 192から前記分注チップ 121によって、上清を 1. 5mリ ットル吸引し、ノズルヘッド 184をゥヱル列 199にまで移動させて吐出させ、該ゥエル 列 199に無核酸分解酵素水 50 リットルをカ卩えて計 100 リットルとする。
[0173] ステップ S15において、該溶液を前記分注チップ 121に吸引して、前記チップ収容 列 179に収容されている前記担体封入チップ 98の前記装着用開口部 101に吐出す る。これによつて、該反応溶液は、該担体封入チップ 98の太径管内に収容される。な お、該担体封入チップ 98の担体としては限外濾過膜が封入されて ヽる。
[0174] ステップ S16において、該ノズルヘッド 184の各ノズル 107から前記分注チップ 121 を櫛歯状の前記爪 222aを用いてこそぎ落とした後、所定アダプタ 108を介して各ノ ズル 107に前記担体封入チップ 98の前記装着用開口部 101に挿入して該担体封 入チップ 98を前記ノズル 107に装着させる。次に、該担体封入チップ 98を装着した 状態で、前記ノズルヘッド 184を図 11上右側のゥエル列 199にまで移動し、該担体 封入チップ 98の細径管 103を該ゥエル列 199に挿入した状態で、該担体封入チップ 処理装置 180の吸引吐出機構によって、気体を吐出させることで前記太径管 100内 に収容された反応溶液の上側から加圧して前記限外濾過膜である薄膜状フィルタ 1 06を通過させる。これによつて、前記ゥエル列 199内には、リボソームが除去された 目的とする合成タンパク質 126を含有する溶液を得ることができる。本実施の形態に
係る処理によれば、従来の液クロマトグラフ等に比較して、小規模の装置で、同時に 多数の検体を扱うことができるので、効率が高い。
[0175] なお、以上の手 j噴は、一例を示した物であり、例えば、ステップ S 12およびステップ S13による磁性粒子 125を用いて His-tag因子の除去の手順は、ステップ S14から ステップ S16までのリボソーム除去の手順の後に行うようにしても良い。
[0176] 以上説明した各実施の形態は、本発明をより良く理解させる為に具体的に説明し たものであって、別形態を制限するものではない。したがって、発明の主旨を変更し ない範囲で変更可能である。例えば、前記実施の形態では、主としてタンパク質の場 合のみについて説明したが、 DNA物質、 RNA、糖鎖等であっても良い。また、粒子 状担体としては、球形の粒子状担体の場合のみについて説明した力 この場合に限 られず、円柱状、直方体状であっても良い。また、不定形担体にも適用できる。また、 以上の説明で用いた数値、回数、形状、個数、量等についてもこれらの場合に限定 されるものではない。
[0177] また、以上の各構成要素、各担体封入チップ、担体、チップ状容器、封入部、ノズ ル等、加熱手段等または各装置は、適当に変形しながら任意に組み合わせることが できる。さら〖こ、リガンドとしても DNAに限られず、オリゴヌクレオチド、 RNA等の遺伝 物質、免疫物質、タンパク質、糖鎖、さらにフェロモン、ァロモン、ミトコンドリア、ウィル ス、プラスミド等をも含む。
[0178] また、前述した試薬や物質は例を示すものであって、他の試薬や物質を使用するこ とも可能である。また、 DNA等を捕獲した担体を前記細管等力も取り出して、保存、 他の処理の対象とすることができる。さらに、前記突出部、傾斜面および段差は、チッ プ状容器内に 1、 2、または 3箇所設ける場合について説明したが、これらの場合に 限られることなぐ 4箇所以上設けるようにしても良い。
産業上の利用可能性
[0179] 本発明は、担体封入チップ、担体処理装置、担体処理方法に関する。本発明は、 遺伝子、免疫系、アミノ酸、蛋白質、糖等の生体高分子、生体低分子の扱いが要求 される分野、例えば、工業分野、食品、農産、水産加工等の農業分野、製薬分野、 衛生、保健、免疫、疾病、遺伝等の医療分野、化学もしくは生物学等の理学の分野
等、あらゆる分野に関係するものである。本発明は、特に、多数の試薬や物質を用い た一連の処理を所定の順序に連続的に実行する場合に有効な方法である。
符号の説明
10 担体処理装置
11、 25、 36、 51、 63、 71、 83、 86、 98、 111 担体封入チップ
18、 32、 44、 58 粒子状充填剤(担体)
69 ブロック状充填剤 (担体)
82、 95 ブロック状フィルタ(担体)
84、 106、 118 薄膜状フィルタ(担体)