JP2002102681A - 加熱脱気機構を有する微小ケミカルデバイス - Google Patents

加熱脱気機構を有する微小ケミカルデバイス

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JP2002102681A
JP2002102681A JP2000296509A JP2000296509A JP2002102681A JP 2002102681 A JP2002102681 A JP 2002102681A JP 2000296509 A JP2000296509 A JP 2000296509A JP 2000296509 A JP2000296509 A JP 2000296509A JP 2002102681 A JP2002102681 A JP 2002102681A
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microchemical device
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heating
microchemical
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Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Atsushi Teramae
敦司 寺前
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、分析や反
応に用いる際に、反応部や分析部に於ける流路内で溶液
の溶存空気が析出することなく、且つ反応溶液からの溶
媒の蒸発損失が少ない、再現性に優れた微小ケミカルデ
バイスを提供することにある。 【解決手段】 表面が親水性である毛細管状の流路を有
する微小ケミカルデバイスであって、流路が微小ケミカ
ルデバイスの一部に設けられた60〜115℃に加熱さ
れる加熱脱気部を通っており、該加熱脱気部に於いて、
表面が疎水性であるエア抜き路が流路から分岐されてい
ることを特徴とする加熱脱気機構を有する微小ケミカル
デバイス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材中に微小な流
路を有する微小ケミカルデバイス、例えば、化学、生化
学などの微小反応デバイス(マイクロリアクター)や、
集積型DNA分析デバイス、微小電気泳動デバイス、微
小クロマトグラフィーデバイス、微小膜分離デバイス、
微小抽出デバイスなどの、化学、生化学、物理化学など
の微小分析デバイス等に関する。
【0002】詳しくは、本発明は部材中に微小な毛細管
状の流路を有し、該流路内の溶液の脱気の為に加熱脱気
機構を備えた微小ケミカルデバイスに関し、気泡発生に
よる液切れや、脱気による溶液の蒸発ロスが抑制される
ことによる、反応や分析の再現性に優れる微小ケミカル
デバイス、とりわけ積層された部材で構成され内部に微
小な流路を有する微小ケミカルデバイスに関する。
【0003】本発明の微小ケミカルデバイスは、化学、
生化学、農業、林業、水産業、医療、食品工業、製薬工
業、環境保全、犯罪捜査、スポーツ、その他の広範な分
野において使用され、とりわけ、これらの分野に於いて
遺伝子解析に利用されるピー・シー・アール(PCR:
ポリメラーゼ連鎖反応、以下、PCRと記述する。)デ
バイスとして有用である。
【0004】
【従来の技術】微小ケミカルデバイスとして、シリコ
ン、石英、ガラス、重合体などの基材に、エッチング法
により細い溝を形成して、液体流路や分離用ゲルチャン
ネルとすることが知られており(例えば、アール・エム
・マコーミック等、「アナリティカル・ケミストリ
ー」、第69巻、第2626頁、1997年)、操作中
の液体の蒸発防止などを目的として、ガラス板などのカ
バーを接着やネジ止めなどにより表面に密着させて使用
することが知られている。
【0005】しかしながら、このような微小ケミカルデ
バイスを、室温より高い温度領域を液体が流れる構造に
して使用したり、水溶液と水溶性有機溶媒とを流路途中
で混合したりすると、液体に溶解していた空気が析出し
気泡が生じる場合があり、液体の流速が制御できなくな
り、設定温度帯での滞留時間が変動し、反応効率や再現
性が低下する問題が生じていた。この不具合を避けるた
めに、微小ケミカルデバイスに供給する微少量の溶液を
導入に先だって脱気する方法も採用できるが、溶媒の蒸
発による溶液濃度が変化しがちである上、空気の再溶解
を阻止しつつ微小ケミカルデバイスに導入することはか
なり困難であった。
【0006】このような室温より高い温度に加熱するこ
とを必要とする微小ケミカルデバイスの一例にPCRデ
バイスが挙げられる。PCRは、同じ構造のデオキシリ
ボ核酸(以下、DNAと記述する)の数を増す反応であ
り、具体的には、反応溶液(増幅すべきDNA断片、ポ
リメラーゼ、及び基質を含有する緩衝液溶液)を解離温
度(約95℃)、会合温度(約45℃)、及び伸長温度
(約70℃)を順次経由させるサイクルを繰り返すこと
により、DNAを増幅する生化学反応である。
【0007】PCRは反応溶液を入れた容器(例えば試
験管)を上記の温度サイクルで処理するバッチ式の方法
が一般的であるが、連続反応方式も知られている。例え
ば、「サイエンス」(1998年、第282巻、第48
4頁)には、シリコン、石英、ガラス、ポリマーなどの
基材に、エッチング法により細い溝を形成し、ガラス板
などのカバーをその表面に接着して、毛細管状の流路を
形成した連続反応式PCRデバイスが開示されている。
【0008】このPCRデバイスは、導入口から反応溶
液を導入して流路を流す間に、解離部、会合部、及び伸
長部の温度領域を順次経由するサイクルを約20回繰り
返させるものである。このような微小な連続反応式PC
Rデバイスでは、解離部において、反応溶液に溶解して
いた空気が析出して気泡が生じる場合があり、気泡が発
生すると各温度帯での滞留時間が変動するために、得ら
れるDNAの増幅効率や再現性が低下する問題が生じて
いた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、分析や反応に用いる際に、反応部や分析部
に於ける流路内で溶液の溶存空気が析出することなく、
且つ反応溶液からの溶媒の蒸発損失が少ない、再現性に
優れた微小ケミカルデバイスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、親水性の
微小な毛細管状の流路を有する微小ケミカルデバイス内
に、流路を流れる溶液を高温に、好ましくは沸騰温度又
は沸騰直前の温度に加熱する領域を設け、該領域に於い
て、流路から疎水性のエア抜き路を分岐させることによ
り、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】即ち、本発明は、 (1)表面が親水性である毛細管状の流路を有する微小
ケミカルデバイスであって、流路が微小ケミカルデバイ
スの一部に設けられた60〜115℃に加熱される加熱
脱気部を通っており、該加熱脱気部に於いて、表面が疎
水性であるエア抜き路が流路から分岐されていることを
特徴とする加熱脱気機構を有する微小ケミカルデバイス
と、
【0012】(2)流路が加熱脱気部を通過した後に、
室温より高い温度領域を通過する構造であり、加熱脱気
部の温度が(該温度領域の温度−5℃)以上であること
を特徴とする(1)に記載の微小ケミカルデバイスと、
【0013】(3)毛細管状の流路の(断面の幅×高
さ)が(1μm×1μm)〜(1mm×1mm)の範囲
である(1)又は(2)に記載の微小ケミカルデバイス
と、
【0014】(4)加熱脱気部が、加熱脱気部内の10
μm〜10mmの範囲の流路である(1)、(2)又は
(3)に記載の微小ケミカルデバイスと、
【0015】(5)加熱脱気部が、微小ケミカルデバイ
スに固定された発熱体により加熱されるものである
(1)〜(4)のいずれか1つに記載の微小ケミカルデ
バイスと、
【0016】(6)エア抜き路が、流路からの分岐部分
における流路断面積より小さな断面積を有する毛細管で
あるか、または分岐部分における流路断面積より小さな
細孔断面積を有する疎水性の連通多孔質体で構成されて
いる(1)〜(5)のいずれか1つに記載の微小ケミカ
ルデバイスと、
【0017】(7)微小ケミカルデバイスが、表面に溝
を有する部材(A)と、部材(A)の溝が形成された面
に接着された部材(B)で構成されており、流路が部材
(A)の溝と部材(B)との間に形成されたものであ
る、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の微小ケミカ
ルデバイスと、
【0018】(8)部材(A′)と部材(B)の間に固
体状物質(C)が充填された構造を有し、流路が固体状
物質(C)の欠損部として形成されたものである(1)
〜(6)のいずれか1つに記載の微小ケミカルデバイス
と、
【0019】(9)微小ケミカルデバイスがマイクロリ
アクターである(1)〜(8)のいずれか1に記載の微
小ケミカルデバイスと、
【0020】(10)マイクロリアクターがPCRデバ
イスである(9)に記載の微小ケミカルデバイスとを含
むものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の微小ケミカルデバイスの
外形は特に限定されず、用途目的に応じた形状を採りう
る。例えば、フィルム状(シート状、リボン状などを含
む。以下同様)、板状、塗膜状、棒状、管状、円筒状、
その他複雑な形状の成型物などであり得るが、他の微小
ケミカルデバイスとの一体化しやすさ及び成形しやすさ
の面から、フィルム状又は板状であることが好ましい。
本発明の微小ケミカルデバイスは、さらに他の部材と積
層や接着することもできる。
【0022】本発明の微小ケミカルデバイスは、デバイ
ス内部に毛細管状の流路を有し、溶液が流路を流れる間
に反応や分析などが実施されるように構成されている。
なお、本明に於いては、流路は液体が流れる空洞部分を
意味し、液体移送のためのものであること以外に、反応
場となる流路(反応槽を含む)、バルブ機構部、抽出、
濾過などの物理化学的処理部、分析部、検出部なども含
まれる。
【0023】微小ケミカルデバイスの反応溶液の導入部
は、微小ケミカルデバイス外に開口していても良いし、
直接外部に開口せず、微小ケミカルデバイスに組み込ま
れた他の機構、例えば貯液槽などに連絡していても良
い。流出部もまた、微小ケミカルデバイス外に開口して
いても良いし、直接外部に開口せず、微小ケミカルデバ
イスに組み込まれた他の機構、例えば電気泳動カラムや
廃液吸収部などに連絡していても良い。いずれの場合で
あっても、導入部は比較的低温領域、好ましくは室温領
域に設けられる。
【0024】流路の断面形状は任意であり、矩形(角が
丸められた矩形を含む。以下同様)、スリット状、台
形、半円等であり得る。流路の断面寸法は任意である
が、深さ(即ち、微小ケミカルデバイス表面からの奥行
き方向の寸法)が好ましくは1μm〜3mm、更に好ま
しくは10μm〜1mmである。幅は好ましくは1μm
〜3mm、更に好ましくは10μm〜1mmである。ま
た、断面積は好ましくは1×10-122〜1×10-6
2であり、更に好ましくは1×10-102〜1×10-7
2である。
【0025】この寸法より小さい場合、反応溶液の流通
速度が低下する傾向にあるので好ましくなく、また、こ
の寸法を超えると、微小ケミカルデバイスとしてのメリ
ットが減少する傾向にあるので好ましくない。本発明の
微小ケミカルデバイスの毛細管状の流路の断面寸法は、
例えば反応槽部分など、部分的に上記寸法を越える部分
があっても良いが、エア抜き路が分岐している部分の流
路の寸法はこの範囲であることが好ましい。流路の流れ
方向の長さは任意であり、用途目的により好適な長さを
採り得る。また、流路の流れ方向の形状も任意である。
【0026】本発明の微小ケミカルデバイスの流路は、
その表面が親水性である。表面が親水性であるとは、水
との接触角が90度以下であることを言う。流路表面
は、水との接触角が好ましくは45度以下、さらに好ま
しくは35度以下、最も好ましくは25度以下である。
接触角の下限はゼロであって良い。
【0027】流路の表面の接触角が、流路断面の周の中
で異なる場合、例えば流路の上面、側面、下面で異なる
場合には、流路の断面周長の内の、それぞれの部分の接
触角の余弦(コサイン:cos)の重み付き平均の逆余
弦(アークコサイン:arccos)が上記の範囲にあ
るものとする。好ましくは、上面、側面、下面の全ての
面が上記範囲にあるものである。水との接触角が小さい
ほど、即ち、表面親水性の程度が高いほど、脱気が完全
でなくても気泡が発生しにくくなる上、十分に脱気され
た場合には100℃以上の温度に於いても沸騰が抑制さ
れ、該温度での使用が可能となる。
【0028】なお、本発明の微小ケミカルデバイスにお
ける流路は微小であるため、その表面の水との接触角を
測定することは多くの場合困難である。そのような場合
には、流路の表面を構成する素材や表面処理法で他の形
状(例えば塗膜状やフィルム状)の成形物を作製し、そ
の表面の接触角の測定値で表すこととする。また、本発
明で言う接触角は静止角を言う。
【0029】本発明の微小ケミカルデバイスの部材、例
えば後述の部材(A)、部材(A′)、部材(B)、固
体状物質(C)の素材は、流路やエア抜き路がその形状
を保持できる硬度と強度を有し、流路に流す液体が実質
的に不透過性である素材であれば任意であり、例えば、
有機・無機高分子重合体(以下、単に「重合体」と称す
る)、結晶、ガラス、セラミック、金属、半導体、炭素
等であってよいが、成形しやすさの面から、重合体であ
ることが好ましい。
【0030】本発明の部材に用いられる重合体は、熱可
塑性重合体であっても、熱硬化性重合体であっても良い
が、成形性の良い熱可塑性重合体、あるいは硬化速度の
速いエネルギー線硬化性の重合体が好ましい。エネルギ
ー線硬化性の重合体は、架橋重合体であることが好まし
い。部材は、ポリマーブレンドやポリマーアロイで構成
されていても良いし、積層体であっても良い。
【0031】部材の素材として好ましく使用できる重合
体は、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチ
レン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン/マレ
イン酸共重合体、ポリスチレン/アクリロニトリル共重
合体の如きスチレン系重合体;ポルスルホン、ポリエー
テルスルホンの如きポリスルホン系重合体;ポリメチル
メタクリレート、ポリアクリロニトリルの如きポリ(メ
タ)アクリレート系重合体;ポリマレイミド系重合体;
ポリカーボネート系重合体;
【0032】酢酸セルロース、メチルセルロースの如き
セルロース系重合体;ポリウレタン系重合体;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデンの如き塩素含有重合体;ポリアミド
系重合体;ポリイミド系重合体;ポリエチレン、ポリプ
ロピレンの如きポリオレフィン系重合体;ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリフェニレンスルフィドの如きポリエ
ーテル系又はポリチオエーテル系重合体;ポリエチレン
テレフタレート、ポリアリレートの如きポリエステル系
重合体などが挙げられる。
【0033】また、部材に使用できるエネルギー線硬化
性の重合体は、例えば後述のエネルギー線硬化性組成物
(x)の硬化物が好ましく用いられる。勿論、重合体
は、単独重合体の他、共重合体であっても良い。これら
の中でも、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合
体、ポリカーボネート系重合体、ポリスルホン系重合体
重合体、ポリアリレート系重合体は、安価で成形性がよ
く、耐水性や寸法安定性等の物性に優れるため、本発明
の微小ケミカルデバイスに用いられる部材の素材として
特に好適である。
【0034】本発明の微小ケミカルデバイスの好ましい
第1の形態は、表面に溝を有する部材(A)の溝を有す
る面に、他の部材(B)が接着されており、流路は、部
材(A)と部材(B)の間に(B)形成されている。ま
た、本発明の微小ケミカルデバイスの好ましい第2の形
態は、部材(A′)と部材(B)の間の流路以外の部分
に、固体状物質(C)が充填されて形成されており、流
路は固体状物質(C)の欠損部である空洞として形成さ
れている。
【0035】上記の好ましい第1の形態における流路
は、底面と側面が部材(A)、上面が部材(B)もしく
は部材(B)に塗布された接着剤で構成されている。但
し、部材(A)は複数の素材で構成されていてもよく、
例えば、溝の底と側面が異なる素材で形成されていても
良い。また、上記の好ましい第2の形態における流路
は、部材(B)を上にした時の底面が部材(A′)、側
面が充填された固体状物質(C)、上面が部材(B)で
構成されている。
【0036】但し[部材(A′)と固体状物質(C)]
及び/又は[固体状物質(C)と部材(B)]が、それ
らの全面に塗布された接着剤で接着されている場合に
は、下面及び/又は上面は該接着剤となる。
【0037】本発明の好ましい第1の形態に於いて、溝
はその周辺部より低い、いわゆる溝として形成されてい
ても良いし、部材(A)表面に立つ壁の間として形成さ
れていても良い。溝の寸法・形状は、本発明の微小ケミ
カルデバイスの毛管状の流路と同じにすることが出来
る。溝は場所により断面の寸法・形状が異なっていても
良い。
【0038】部材(A)の表面に溝を設ける方法は任意
であり、例えば、射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプ
リカ法、エネルギー線硬化レプリカ法、切削、フォトリ
ソグラフィー(エネルギー線リソグラフィーを含む。以
下同様)、エッチング法、蒸着法、気相重合法、溝とな
るべき部分を切り抜いたシート状部材と板状部材との接
着などの方法を利用できる。部材(A)は溝の全体又は
一部が表面処理されていても良い。部材(A)には、後
述するエア抜き路の他、溝以外の構造部分、例えば、貯
液槽、反応槽、分析機構などとなる構造を設けることが
できる。
【0039】本発明の好ましい第1の形態に於いて、部
材(B)は表面に溝が形成されている必要が無いこと以
外は、部材(A)と同様である。部材(B)は表面に溝
が形成されている必要は無いが、溝が形成されていても
良い。例えば、部材(B)は、表面に溝が形成された部
材(A)の鏡像体であってもよい。本発明の微小ケミカ
ルデバイスの好ましい第1の形態においては、部材
(B)を上側にしたとき、流路の下面と側面は部材
(A)、上面は部材(B)で構成されている。但し、部
材(B)が、部材(B)の全面に塗布された接着剤で接
着されている場合には、上面は接着剤となる。
【0040】部材(A)の表面に直角な方向から見た溝
の形状は、本微小ケミカルデバイスの流路の形状とする
ことが出来る。溝の断面寸法は概ね流路の断面寸法とな
る。溝の断面形状は任意であり、矩形(角が丸められた
矩形を含む。以下同様)、スリット状、半円等であり得
る。
【0041】本発明の好ましい第1の形態に於いて、部
材(A)に部材(B)を接着する方法は任意である。例
えば、後述のエネルギー線架橋重合性化合物(e)とし
て挙げた化合物を接着剤とし、エネルギー線照射により
接着することも好ましい。
【0042】また、後述するエネルギー線硬化性組成物
(x)の露光に際し、エネルギー線硬化性組成物(x)
が完全に硬化しない程度に半硬化させ、未硬化部分を除
去後、部材(B)と接触させた状態でエネルギー線を照
射して、エネルギー線硬化性組成物(x)を完全硬化さ
せると同時に部材(B)と接着する方法も好ましい。
【0043】本発明の好ましい第2の形態に於いては、
部材(A′)は、その表面に溝や凹部が設けられている
必要が無いこと以外は、本発明の第1の微小ケミカルデ
バイスにおける部材(A)と同様である。また、部材
(B)については、本発明の第1の微小ケミカルデバイ
スにおける部材(B)と同様である。
【0044】本発明の好ましい第2の形態に於ける、微
小ケミカルデバイスの形成方法は任意であるが、例え
ば、 (ア)部材(A)上に、フォトリソグラフィー等の方法
により欠損部を有する固体状物質(C)層を形成し、そ
の上に部材(B)を接着する方法、
【0045】(イ)間隔を置いて設置された部材(A)
と部材(B)の間に、活性エネルギー線で硬化して固体
状物質(C)となる液状組成物を充填してパターニング
露光により硬化させ、非露光部の未硬化組成物を除去し
て空洞とする方法、
【0046】(ウ)間隔を置いて設置された部材(A)
と部材(B)の間に、フッ素系樹脂などで形成された流
路の型材を置いた状態で、液体状の固体状物質(C)前
駆体を充填して硬化させ、その後、型材を除去して空洞
とする方法、又は、
【0047】(エ)部材(A)と部材(B)との間に固
体状物質(C)で形成された欠損部を有するフィルム状
の部材を挟持し接着する方法などにより実施出来る。
【0048】本発明の第2の微小ケミカルデバイスに於
ける固体状物質(C)の充填厚みは流路の高さとするこ
とができ、本PCRデバイスの全体に渡って一定であっ
ても良いし、場所により異なっていても良い。固体状物
質(C)の素材は任意であり製造方法により好適なもの
を使用できるが、活性エネルギー線架橋重合性化合物
(e)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(x)
の硬化物が好適である。
【0049】活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)
としては、1分子中に2個以上の重合性の炭素−炭素二
重結合を有する物が好ましく、末端エチレン基を少なく
とも2個含有する重合性不飽和化合物が好ましく、中で
も、反応性の高い(メタ)アクリロイル基含有化合物
[以下、「(メタ)アクリロイル」は、「メタクリロイ
ル又はアクリロイル」を意味する。(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルなどについても同様である。]や
ビニルエーテル類、また光重合開始剤の不存在下でも硬
化するマレイミド系化合物が好ましい。
【0050】活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)
として使用できる(メタ)アクリル系モノマーとして
は、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ
ポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビ
ス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオ
キシフェニル)プロパン、ヒドロキシジピバリン酸ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロ
ペンタニルジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)
ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビス
アクリルアミドの如き2官能モノマー;
【0051】トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレ
ート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、
カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシ
アヌレートの如き3官能モノマー;ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレートの如き4官能モノマー;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの
如き6官能モノマーなどが挙げられる。
【0052】また、活性エネルギー線架橋重合性化合物
(e)として、重合性オリゴマー(プレポリマーとも呼
ばれる)も用いることもでき、例えば、重量平均分子量
が500〜50000のものが挙げられる。そのような
重合性オリゴマーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)
アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)ア
クリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基
を有するポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0053】これらの化合物は、単独で用いることもで
き、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
また親水性の賦与、粘度の調整、接着性の増強などの目
的で、単官能モノマー、例えば、単官能(メタ)アクリ
ル系モノマーを混合することも可能である。
【0054】マレイミド系の架橋重合性モノマーとして
は、例えば、4,4′−メチレンビス(N−フェニルマ
レイミド)、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−
3−チエニル)マレイミド、1,2−ビスマレイミドエ
タン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、トリエチレン
グリコールビスマレイミド、N,N′−m−フェニレン
ジマレイミド、m−トリレンジマレイミド、N,N′−
1,4−フェニレンジマレイミド、N,N′−ジフェニ
ルメタンジマレイミド、
【0055】N,N′−ジフェニルエーテルジマレイミ
ド、N,N′−ジフェニルスルホンジマレイミド、1,
4−ビス(マレイミドエチル)−1,4−ジアゾニアビ
シクロ−[2,2,2]オクタンジクロリド、4,4′
−イソプロピリデンジフェニル=ジシアナート・N,
N′−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミドの
如き2官能マレイミド;N−(9−アクリジニル)マレ
イミドの如きマレイミド基とマレイミド基以外の重合性
官能基とを有するマレイミドなどが挙げられる。
【0056】マレイミド系の架橋重合性オリゴマーとし
ては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミ
ドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイ
ミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマ
レイミドアルキレートなどが挙げられる。これらのマレ
イミド系のモノマーやオリゴマーは単独で使用すること
もでき、2種類以上を混合して用いることもできる。ま
た、活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)は、複数
種の化合物の混合物であり得る。
【0057】活性エネルギー線硬化性組成物(x)は、
活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)を必須成分と
して含有するが、必要に応じて、その他の成分を混合し
て使用することもできる。その他の成分としては、例え
ば、活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)と共重合
可能な単官能の重合性化合物、光重合開始剤、重合遅延
剤や重合禁止剤、溶剤、増粘剤、改質剤、着色剤等が挙
げられる。
【0058】エネルギー線硬化性組成物(x)に必要に
応じて含有させることの出来る単官能の重合性化合物
は、使用する活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)
と共重合可能なものであれば任意であるが、1分子中に
1個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物
であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基含有化
合物であることが好ましい。単官能の重合性化合物は親
水性又は両親媒性の化合物であることが好ましい。
【0059】親水性の重合性化合物は、分子中に親水基
を有し水と相溶する化合物を言う。このような化合物と
しては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アク
リレート、(N−置換)アクリルアミド、N−ビニルピ
ロリドン、水酸基含有(メタ)アクリレート、4級アン
モニウム基含有(メタ)アクリレート、燐酸基含有(メ
タ)アクリレート、スルホン基含有(メタ)アクリレー
ト等をを挙げることができる。
【0060】両親媒性の重合性化合物は、分子中に親水
基と疎水基を有し、水、疎水性溶媒の両者とそれぞれ相
溶する化合物を言う。このような化合物としては、例え
ば、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8
〜17)(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ
プロピレングリコール(n=8〜17)(メタ)アクリ
レートを挙げることができる。
【0061】エネルギー線硬化性組成物(x)に必要に
応じて含有させることの出来る光重合開始剤は、本発明
で使用する活性エネルギー線に対して活性であり、エネ
ルギー線硬化性組成物(x)を硬化させることが可能な
ものであれば、特に制限はなく、公知慣用の、例えば、
ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重
合開始剤であって良い。
【0062】そのような光重合開始剤としては、例え
ば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,
2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン類;ベンゾフェノン、4、4′−ビスジメチ
ルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサント
ン、2−イソプロピルチオキサントンの如きケトン類;
【0063】ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメ
チルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ンの如きベンジルケタール類;N−アジドスルフォニル
フェニルマレイミドの如きアジドなどが挙げられる。
【0064】また、光重合開始剤として、マレイミド系
化合物の如き重合性光重合開始剤を用いることもでき
る。重合性光重合開始剤は、例えば、エネルギー線架橋
重合性化合物として使用できる化合物として例示した多
官能マレイミドの如き多官能モノマーの他に、エネルギ
ー線硬化性組成物(x)に混合使用できる単官能マレイ
ミド系モノマーとして例示したような単官能モノマーで
あっても良い。
【0065】エネルギー線硬化性組成物(x)に添加す
る光重合開始剤の使用量は、非重合性光重合開始剤の場
合、0.005〜20重量%の範囲が好ましく、0.0
5〜5重量%の範囲が特に好ましい。但し、光重合開始
剤が重合性光重合開始剤の場合にはこの限りではない。
【0066】エネルギー線硬化性組成物(x)に必要に
応じて含有させることができる改質剤としては、例えば
親水化剤が有り、親水化剤としては、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体;ノニオ
ン性、アニオン性、カチオン性などの界面活性剤などを
挙げることができる。
【0067】エネルギー線硬化性組成物(x)に必要に
応じて含有させることができる重合遅延剤や重合禁止剤
としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−フェニ
ルスチレン、p−オクチルスチレン、p−(4−ペンチ
ルシクロヘキシル)スチレン、p−フェニルスチレン、
p−(p−エトキシフェニル)フェニルスチレン、
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、4,
4′−ジビニルビフェニル、2−ビニルナフタレン等の
エネルギー線硬化性化合物としては重合速度の低いビニ
ル系モノマー;tert−ブチルフェノール、ジオクチ
ルフェノールなどのヒンダントフェノール類等が挙げら
れる。
【0068】重合遅延剤や重合禁止剤は、特に細いパタ
ーンを形成する場合に添加することが好ましい。また、
エネルギー線として光線を使用する場合には、パターニ
ング精度を向上させるために、重合遅延剤及び/又は重
合禁止剤と光重合開始剤を併用することが好ましい。
【0069】エネルギー線硬化性組成物(x)に必要に
応じて含有させることができる溶剤としては、エネルギ
ー線硬化性組成物(x)と均一に混合する任意の揮発性
の溶剤が挙げられる。エネルギー線硬化性組成物(x)
に必要に応じて添加することができる増粘剤としては、
例えば、ポリスルホン、ポリビニルピロリドン、ポリヒ
ドロキメチルスチレンの如き線状重合体;クレイの如き
粉末が挙げられる。エネルギー線硬化性組成物(x)に
必要に応じて含有させることができる改質剤としては、
例えば親水性向上剤として作用するシリカゲル、酸化チ
タンの如き無機粉末;セルロースの如き有機粉末が挙げ
られる。
【0070】エネルギー線硬化性組成物(x)に必要に
応じて含有させることができる着色剤としては、着色剤
としての色素や顔料、アントラセンなどの蛍光色素や蛍
光顔料、2−ベンゾトリアゾイル−4−メトキシフェノ
ールなどの紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0071】本発明の微小ケミカルデバイスの流路が、
活性エネルギー線によるパターニング露光と、未照射部
の未硬化エネルギー線硬化性組成物(x)の除去により
作成される場合には、露光後、未照射部の未硬化のエネ
ルギー線硬化性組成物(x)が除去される。この除去方
法は任意であり、例えば気体による吹き飛ばし、吸引、
加圧による押し出し、溶剤洗浄、分解などであり得る。
【0072】本発明の微小ケミカルデバイスは、流路途
中において、60〜115℃に加熱される加熱脱気部を
有し、加熱脱気部内に於いて、流路から、表面が疎水性
のエア抜き路(ベント)が分岐された構造を有する。加
熱脱気部の温度は60〜115℃であり、好ましくは9
0〜110℃、さらに好ましくは95〜105℃であ
る。これより低いと脱気効果が低下し、これより高いと
沸騰による溶媒の損失が増加する。
【0073】加熱脱気部の温度が上記温度範囲内に於い
て比較的低い場合には、溶存気体が気泡として析出しな
い場合もあるが、その場合であっても上記温度範囲であ
れば脱気効果を有する。また、加熱脱気部の温度が10
0℃を越える場合には、脱気すべき液体が沸騰する場合
があるが、加熱脱気部内の流路長を好適な長さとするこ
とで、溶媒の損失を最小限にとどめることが出来る。
【0074】加熱脱気部の寸法は、加熱脱気部内の流路
長が100μm〜10mmとなる寸法であることが好ま
しく、300μm〜3mmとなる寸法であることが更に
好ましい。この範囲未満では脱気効果が低下しがちであ
るし、この範囲より長くても脱気効果は飽和する傾向に
ある上、加熱脱気部の温度が高めの場合に溶媒の損失が
増加する。加熱脱気部の温度が低いほど、また、流路断
面積が大きいほど、また、流路を流れる液体の設定流速
が速いほど、加熱脱気部内の流路長を長くすることが好
ましい。
【0075】加熱脱気部は、デバイス内に温度調節機構
を組み込むことにより当該温度に調節されても良いし、
微小ケミカルデバイス内には温度調節機構を持たず、外
部の機構により当該温度に調節されるものであっても良
い。デバイス内に組み込む温度調節機構としては、例え
ばニクロム線などの金属、炭素、半導体、導電性ポリマ
ー及びこれらの蒸着膜などの電気ヒーター;ペルチエ素
子;変動磁場や電磁気により発熱する素子等の発熱体
や、温調液体流路を挙げることができる。当該温度に調
節する外部の機構は任意であるが、例えば、微小ケミカ
ルデバイスの加熱脱気部の外側をしかるべき温度の固
体、液体、または気体と接触させる方法、加熱脱気部に
赤外線や電磁波などを照射する方法を例示することが出
来る。
【0076】本発明の微小ケミカルデバイスは、微小ケ
ミカルデバイスが室温より高い温度に設定される領域、
特に90℃以上の温度に設定される領域(以下、室温よ
り高い温度に設定される領域を高温部と称する)を有す
る場合や、微小ケミカルデバイスが複数の液体を流路途
中で混合する部分(以下、混合部と称する)を有する場
合に特に有効である。
【0077】これらの場合には、液体導入部から高温部
や混合部に至るまでの部分において加熱脱気部が設けら
れる。加熱脱気部が、液体が通過する最初の高温部や混
合部の後であると、加熱脱気部に至る前の流路中で気泡
が発生する恐れがあるため好ましくない。流路が加熱脱
気部を通過した後に高温部を通過する場合には、加熱脱
気部の温度は、(高温部の温度−5℃)以上であること
が好ましく、高温部の温度以上であることが更に好まし
い。なお、本発明の微小ケミカルデバイスが、60℃以
上の温度に設定される高温部を有する場合には、加熱脱
気部は該高温部と連続していても良い。即ちこのような
場合には、高温部の最初の部分に加熱脱気部が設けられ
る。
【0078】エア抜き路は、加熱脱気部、即ち、流路が
60〜115℃に加熱される領域内にて流路から分岐さ
れる。エア抜き路は、流路が該温度領域内を100μm
〜10mm流れた部分において分岐されることが好まし
い。この範囲未満では脱気効果が低下しがちであるし、
この範囲より長くても脱気効果は飽和する傾向にある
上、加熱脱気部の温度が高めの場合に溶媒の損失が増加
する。加熱脱気部の温度が低いほど、また、流路断面積
が大きいほど、また、流路を流れる液体の設定流速が速
いほど、流路が加熱脱気部に入ってからエア抜き路分岐
点までの距離を長くすることが好ましい。
【0079】エア抜き路が流路から分岐する向きは任意
であり、必ずしも重力方向の上向きに分岐する必要はな
い。部材中に於けるエア抜き路の設け方は任意であり、
例えば、部材(A)及び/又は部材(B)を貫通する構
造であっても、部材(A)と部材(B)との間の流路と
同じ平面内に形成された構造であっても良い。
【0080】エア抜き路の他端は、そこから余剰の気体
が排出されれば任意であり、例えば微小ケミカルデバイ
スの外部に解放されていても良いし、容器などに接続さ
れていても良いし、何らかの気体吸収体部分に接続され
ていても良い。
【0081】エア抜き路は、微小ケミカルデバイスの使
用条件において、流路を流れる液体をエア抜き路を通し
て漏洩させないことが必要である。そのためエア抜き路
はその表面が疎水性であることが必要である。表面が疎
水性であるとは、水との接触角が90度を超えることを
言う。エア抜き路の表面は、水との接触角が高い方が好
ましく、好ましくは100度以上、さらに好ましくは1
05度以上である。接触角の上限は180度であって良
い。
【0082】エア抜き路の表面の接触角が、その断面の
周の中で異なる場合、例えば流路の上面、側面、下面で
異なる場合には、エア抜き路の断面周長内の、それぞれ
の部分の接触角の余弦(cos)の重み付き平均の逆余
弦(arccos)が上記の範囲にあるものとする。好
ましくは、上面、側面、下面の全ての面が上記範囲にあ
るものである。水との接触角が大きいほど、即ち、表面
疎水性の程度が高いほど、流路を流れる液体がエア抜き
路に入り込む危険が少なくなり、エア抜き路の断面積や
多孔質体の細孔断面積の自由度が高くなる。
【0083】なお、本発明の微小ケミカルデバイスにお
けるエア抜き路は微小であるため、その表面の水との接
触角を測定することは多くの場合困難である。そのよう
な場合にはエア抜き路の表面を構成する素材や表面処理
で他の形状(例えば塗膜状やフィルム状)の成形物を作
製し、その表面の接触角の測定値で表すこととする。ま
た、本発明で言う接触角は静止角を言う。疎水性表面を
有するエア抜き路を形成するには、疎水性の素材の使
用、表面処理などの任意の方法を使用できる。
【0084】エア抜き路が毛細管状のエア抜き路である
場合には、流路を流れる液体をエア抜き路を通して漏洩
させにくくするために、エア抜き路の断面積は、エア抜
き路分岐部分における流路断面積より小さいことが好ま
しい。エア抜き路の断面積が小さいほど、液体がエア抜
き路に流入しにくくなり、エア抜き路表面の疎水性の程
度の自由度が高まる。
【0085】エア抜き路は複数であっても良く、また、
表面が疎水性である細孔を有する連通多孔質体(以下、
「連通多孔質体」を単に「多孔質体」と称する場合があ
る)で構成されていることも好ましい。(以下、このよ
うなエア抜き路を「多孔質エア抜き路」と略称する場合
がある)
【0086】エア抜き路が多孔質エア抜き路である場
合、エア抜き路の断面の寸法は多孔質エア抜き路の細孔
の断面寸法に相当する。よって、細孔断面積は、エア抜
き路分岐部分における流路断面積より小さいことが好ま
しい。細孔の孔径は、0.001μm〜5μmであるこ
とが更に好ましく、0.05μm〜1μmであることが
更に好ましい。ここで、多孔質体の細孔の孔径は、同じ
断面積を有する円管の直径を言う。
【0087】また、孔径は、表裏を連通する細孔中の最
大の孔径である。多孔質体の細孔形状や孔径は、例えば
走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、ある程度推定で
きるが、正確な値を決定することは困難である。孔径の
最も好適な判別方法は、水の透過圧力(差)の測定であ
る。本発明の多孔質体は、水の透過圧力(差)が10k
Pa以上のものであることが好ましい。
【0088】エア抜き路が多孔質エア抜き路である場合
には、毛細管状のエア抜き路の中に多孔質体が充填され
た形状に形成することが出来る。この場合、エア抜き路
全体が多孔質体で構成されている必要はなく、流路から
の分岐部分付近のみが多孔質体であってよい。エア抜き
路の一部に多孔質体が充填されている場合、多孔質体は
流路と直接接触する位置に設けられることが好ましい。
【0089】多孔質体と流路の流路長さ方向の接触長は
任意であるが、流路幅と同じ寸法以上であることが好ま
しく、2倍以上であることがさらに好ましく、10倍以
上であることがさらに好ましい。接触長の上限も任意で
あるが、10mm以下であることが好ましい。本発明の
微小ケミカルデバイスに於いては、流路が多孔質エア抜
き路と接触している部分は、流路断面における周の全体
である必要はない。本発明に於いては、加熱脱気部にお
いて析出した気泡は流路断面全体に広がり、液体を遮断
するため、多孔質体は流路断面における周長の一部に接
していれば十分であり、流路断面が矩形である場合には
その一辺に接していることが製造が容易であり好まし
い。
【0090】多孔質体の細孔形状は任意であり、例え
ば、焼結体状(凝集粒子状)、海綿状(3次元網目
状)、濾紙や不織布、織布、束状繊維の間隙、並列に形
成された複数の毛細管やスリット等であり得る。並列に
形成された複数の毛細管やスリットは、概ね平行に形成
された毛細管等の他、相互に交差・連絡した毛細管等で
あってよく、例えば、2次元格子状、X状に交差した複
数の概平行な形状、乱れた2次元格子状、2次元網目状
であり得る。
【0091】疎水性の多孔質体を形成するためには、疎
水性の素材の使用、細孔表面の表面処理等の方法を採用
することができる。多孔質体の素材は、細孔表面の水と
の接触角を90度を超える値にすることが可能なもので
あれば任意であるが、重合体で形成されていることが、
製造が容易であり好ましく、活性エネルギー線架橋重合
性化合物(f)を含有する架橋重合体であることが、製
造が容易で、特に好ましい。
【0092】該架橋重合体は、活性エネルギー線架橋重
合性化合物(f)の単独重合体、又はそれを含有する共
重合体であり得る。活性エネルギー線架橋重合性化合物
(f)は、本発明で用いられる活性エネルギー線架橋重
合性化合物(e)と同様である。エア抜き路を微小ケミ
カルデバイス中に設ける方法は任意であるが、エア抜き
路が多孔質エア抜き路である場合には、活性エネルギー
線を用いたパターニング法により、必要部位に形成する
方法が好ましい。
【0093】活性エネルギー線を用いて、必要部位に多
孔質エア抜き路を形成する方法としては、(i)活性エ
ネルギー線架橋重合性化合物(f)(及び、それと単官
能の重合性化合物と共重合させる場合には、該単官能化
合物も含む。以下同様。)を溶解するが、活性エネルギ
ー線架橋重合性化合物(f)の硬化物(または、それと
単官能の重合性化合物と共重合させる場合には、該共重
合体。以下同様。)を溶解または膨潤させない相分離剤
を含有する組成物(y)を、多孔質エア抜き路を形成す
る部分に充填し、
【0094】(ii)多孔質エア抜き路と成す部分に活性
エネルギー線を照射し、活性エネルギー線架橋重合性化
合物(f)を重合硬化させると同時に相分離剤と相分離
させて、連通多孔質からなるエア抜き路を形成させ、
(iii)未照射部の未硬化の組成物(y)、及び形成さ
れた多孔質体の細孔に充填された相分離剤を除去するこ
とにより製造することが出来る。
【0095】即ち、本発明の好ましい第1の形態の場合
には、例えば、(i′)流路となる溝、及び多孔質エア
抜き路が形成されるべき溝が形成された部材(A)の多
孔質エア抜き路が形成されるべき溝に組成物(y)を充
填し、(ii′)多孔質エア抜き路が形成されるべき部分
に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線架橋
重合性化合物(f)を硬化させると同時に相分離剤と相
分離させて、多孔質体を形成させ、
【0096】(iii′)未照射部の未硬化の組成物
(y)、及び形成された多孔質体の細孔に充填された相
分離剤を溶剤にて洗浄除去し、次いで、(iv′)部材
(B)を溝及び多孔質体が設けられた面に接着すること
により、製造する方法を例示できる。
【0097】また、本発明の好ましい第2の形態の場合
には、例えば、(i")部材(A)と部材(B)との間
に固体状物質(C)が挟持されており、該固定状物質
(C)の欠損部として、流路、及び多孔質エア抜き路形
成部分となる空洞部が形成された部材の空洞部に、組成
物(y)を充填し、
【0098】(ii")該空洞部内の、多孔質エア抜き路
となる部分に活性エネルギー線を照射して、活性エネル
ギー線架橋重合性化合物(f)を硬化させると同時に相
分離剤と相分離させて、多孔質体を形成させ、(iii")
未硬化の組成物(y)、及び形成された多孔質体の細孔
に充填された相分離剤を吸引及び/又は溶剤洗浄にて除
去することにより製造する方法を例示できる。
【0099】相分離剤は、活性エネルギー線架橋重合性
化合物(f)と相溶し、かつこの活性エネルギー線架橋
重合性化合物(f)が活性エネルギー線の照射を受ける
ことにより生成する重合体を溶解又はゲル化させず、し
かも活性エネルギー線に対して不活性なものであれば、
いかなるものでもよい。
【0100】また、「活性エネルギー線に対して不活
性」とは、使用する活性エネルギー線により、重合、分
解、活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)との反応
などを生じてその性質が無視し得ない程度に変化するこ
とがないことを言う。この場合、ごく部分的な架橋、分
解、反応などが生じることは許容される。
【0101】相分離剤と活性エネルギー線架橋重合性化
合物(f)とは、活性エネルギー線照射時において実質
的に相溶している必要がある。相分離状態で活性エネル
ギー線を照射すると、連通多孔質体が形成されない。し
かしながら、完全に相溶している必要はなく、多少の不
溶部分があっても良い。
【0102】相分離剤と活性エネルギー線架橋重合性化
合物(f)との相溶性は、活性エネルギー線架橋重合性
化合物(f)の種類によって異なる。例えば、活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物(f)として、重合性オリゴ
マーである分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する
ポリウレタンを用いる場合には、相分離剤(b)とし
て、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル、ラウリン酸
メチル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、アジピ
ン酸ジイソブチルなどのアルキルエステル類、ジイソブ
チルケトンなどのジアルキルケトン類、アルコール類、
ポリエチレングリコールエステル類、グリセリンのトリ
エステル、アルキルエーテル類、その他の界面活性剤等
を好適に用いることができ、中でもアルキルエステル類
が特に好ましい。
【0103】また、相分離剤は、液状の活性エネルギー
線架橋重合性化合物(f)に溶解し、活性エネルギー線
照射に対し不活性なものであれば、例えば、重合体の如
き固体であってもよい。そのような相分離剤(b)とし
ては、例えば、パラフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル
スルホン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル
酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、
及びこれらの誘導体や共重合体が挙げられる。
【0104】相分離剤として用いられる重合体は複数の
重合体であって、また、重合体溶液であってもよい。更
に、相分離剤は単一組成であってもよいし、混合物であ
ってもよい。混合物の場合には、その混合物が本発明に
用いる活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)と相溶
し、且つ、この活性エネルギー線架橋重合性化合物
(f)が活性エネルギー線の照射を受けることにより生
成する重合体を溶解せず、しかも活性エネルギー線に対
して不活性なものであれば如何なるものでもよく、その
構成成分単独での性状は特に限定されない。
【0105】従って、混合物中の個々の構成成分は、活
性エネルギー線架橋重合性化合物(f)と相溶しないも
のであってもよいし、活性エネルギー線架橋重合性化合
物(f)から生成する重合体を溶解又は膨潤させるもの
であってもよい。
【0106】相分離剤の使用割合は、活性エネルギー線
架橋重合性化合物(f)1重量部に対して、0.1〜5
重量部の範囲が好ましく、0.5〜3重量部の範囲が更
に好ましい。この範囲より低いと多孔質体の空隙率が低
くなり過ぎ、この範囲より高いと空隙率が高くなり過ぎ
て強度が不充分となる傾向にあるので好ましくない。
【0107】組成物(y)には、必要に応じて、その他
の成分を混合して使用することもできる。その他の成分
としては、例えば、活性エネルギー線架橋重合性化合物
(f)と共重合可能な単官能の重合性化合物、光重合開
始剤、重合遅延剤や重合禁止剤、溶剤、増粘剤、改質
剤、着色剤などが挙げられる。
【0108】組成物(y)に必要に応じて含有させるこ
との出来る単官能の重合性化合物は、使用する活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物(e)と共重合可能なもので
あれば任意であるが、1分子中に1個以上の重合性炭素
−炭素不飽和結合を有する化合物であることが好まし
く、(メタ)アクリロイル基含有化合物であることが好
ましい。
【0109】活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)
として、その単独重合体が水との接触角が90度以下の
ものを用いる場合は、単官能の重合性化合物に疎水性の
高い化合物を使用することにより、その共重合体を疎水
性にすることが出来る。疎水性の高い単官能の重合性化
合物としては、長鎖アルキル(メタ)アクリレート、フ
ッ素含有(メタ)アクリレート、珪素含有(メタ)アク
リレートを例示することができる。
【0110】組成物(y)に必要に応じて含有させるこ
との出来る改質剤としては、疎水化剤(撥水剤)が好ま
しく、疎水化剤としては、フッ素含有化合物、シリコン
含有化合物が挙げられる。組成物(y)に必要に応じて
含有させることの出来る光重合開始剤、重合遅延剤や重
合禁止剤、溶剤、増粘剤、着色剤については、本発明で
使用できるエネルギー線硬化性組成物(x)の場合と同
様である。
【0111】活性エネルギー線としては、組成物(y)
を硬化させることが可能なものであれば任意であり、紫
外線、可視光線、赤外線、エックス線、ガンマ線、放射
光などの電磁波;電子線、ベータ線、重粒子線などの粒
子線等が挙げられるが、取り扱い性や硬化速度の面から
紫外線、可視光、電子線が好ましく、紫外線が特に好ま
しい。紫外線はレーザー光であることも好ましい。
【0112】また、硬化速度を速め、硬化を完全に行う
目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で
行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素
気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は
減圧雰囲気が好ましい。
【0113】多孔質エア抜き路となる部分に活性エネル
ギー線を照射する方法は任意であり、例えば、照射不要
部分をフォトマスキングして照射する方法、あるいは活
性エネルギー線のビームを走査する方法等のフォトリソ
グラフィーの手法が利用できる。
【0114】未照射部の未硬化の組成物(y)、及び形
成された多孔質エア抜き路の細孔に充填された相分離剤
の除去方法は、本発明の微小ケミカルデバイスの流路、
減圧離、多孔質エア抜き路が形成される凹部や空洞部
が、活性エネルギー線によるパターニング露光と未照射
部の未硬化のエネルギー線硬化性組成物(x)の除去に
より行われる場合の未硬化のエネルギー線硬化性組成物
(x)の除去方法と同様である。
【0115】本発明の微小ケミカルデバイスがPCRデ
バイスである場合には、流路は、解離部として機能する
高温部(例えば、85〜110℃の温度帯で、図2のα
で例示される)、会合部として機能する低温部(例え
ば、30〜60℃の温度帯で、図2のβで例示され
る)、伸長部として機能する比較的低い温度の高温部
(例えば、65〜85℃の温度帯で、図2のγで例示さ
れる)を経由し、導入部から導入された反応溶液がこの
温度の順序で繰り返す温度履歴を経ながら流れ、流出部
に至る構造を有する。
【0116】PCRデバイスは、流路を流れる反応溶液
が、解離部、会合部、伸長部となる温度帯を好ましくは
5〜40サイクル、さらに好ましくは15〜30サイク
ル通過するように設計される。流路の長さは、PCRが
実現できる長さであれば任意であるが、1〜200cm
であることが好ましい。
【0117】本発明の微小ケミカルデバイスでは、各高
温部は、デバイス内に温度調節機構、例えば電気ヒータ
ーや温調液体流路を組み込むことにより当該温度に調節
されても良いし、微小ケミカルデバイス内には温度調節
機構を持たず、外部の機構により当該温度に調節される
ものであっても良い。当該温度に調節する外部の機構は
任意であるが、例えば、微小ケミカルデバイスの流路部
分の外側をしかるべき温度の固体、液体、または気体と
接触させる方法、流路部分に赤外線や電磁波などを照射
する方法を例示することが出来る。
【0118】本発明の微小ケミカルデバイスは、デバイ
ス内に、流路、温調機構以外の機構、例えば、貯液槽、
電気的あるいは光学的などの検出機構、バルブ駆動用流
体流路、温度検知器などを設けることもできるし、他の
デバイスと一体化することも可能である。
【0119】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定され
るものではない。なお、以下の実施例において、「部」
及び「%」は、特に断りがない限り、各々「重量部」及
び「重量%」を表わす。
【0120】[エネルギー線照射装置]200wメタル
ハライドランプが組み込まれたウシオ電機株式会社製の
マルチライト200型露光装置用光源ユニットを用い
た。紫外線強度は50mw/cm 2である。
【0121】[測定方法]実施例中の測定は次の方法に
より行った。 〔水接触角の測定〕試料を24±2℃、湿度55±5%
に24時間静置した後、協和界面科学製接触角度計CA
−X型を使用し、室温(24±2℃)にて、安定化時間
3分で測定した。
【0122】〔多孔質体の孔径の観察〕PCRデバイス
を破壊して多孔質エア抜き路を取り出し、その断面を日
立製作所製800型の走査型電子顕微鏡(SEM)て観
察した。
【0123】[エネルギー線硬化性組成物(x)の調
製] 〔組成物(x−1)〕活性エネルギー線架橋重合性化合
物(e)として、平均分子量約2000の3官能ウレタ
ンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式
会社製の「ユニディックV−4263」;単独重合体の
水との接触角は72度)を20部、及び1,6−ヘキサ
ンジオールジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の
「ニューフロンティアHDDA」;単独重合体の水との
接触角は84度)を20部、単官能の重合性化合物とし
てノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8)
アクリレート(東亜合成化学株式会社製の「M−11
4」;HLB値=11.25;両親媒性の単量体)を6
0部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシ
ルフェニルケトン(チバガイギー社製の「イルガキュア
184」)を5部、及び重合遅延剤として2,4−ジフ
ェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社
製)0.1部を均一に混合して組成物(x−1)を調製
した。
【0124】[組成物(y)の調製] 〔組成物(y−1)の調製〕活性エネルギー線架橋重合
性化合物(f)としてエチレンオキサイド変性ビスフェ
ノールAジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の
「ニューフロンティアBPE−4」;単独重合体の水と
の接触角は68度)を40部、単官能の重合性化合物と
してテトラフルオロプロピルアクリレート(大阪有機化
学工業株式会社製の「ビスコート4F」)0.1部、相
分離剤(b)としてカプリン酸メチル(関東化学社製)
60部、及び紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシ
クロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の「イ
ルガキュア184」)5部を混合して組成物(y−1)
を調製した。
【0125】[実施例1]本実施例では、表面に溝と凹
部が形成された部材(A)と他の部材(B)との間に流
路及び多孔質エア抜き路が設けられたPCR用微小ケミ
カルデバイスの製造例を示した。
【0126】〔微小ケミカルデバイスの作製〕 〔部材(A)の作製〕ポリスチレン(大日本インキ化学
工業社製の「ディックスチレン XC−520」)製の
5cm×5cm×1mmの板を、シリコンウェハー製の
鋳型と密着させてガラス板に挟み、バネ式クランプで止
めて、120℃の熱風炉中に2時間静置した後、取り出
して自然放冷し、鋳型を剥離して、図1に示された形状
の、幅100μm、深さ80μm、長さ1.5mの流路
となる溝(2)、及び、該溝の95℃設定領域(α)に
入ってから約2mmの位置から分岐した、幅100μ
m、深さ80μのエア抜き路となる溝(3)を有する部
材(A)(1)を得た。
【0127】〔エア抜き路の作製〕部材(A)(1)
の、エア抜き路となる溝(3)に組成物(y−1)を、
表面に盛り上がる程度に注入し(このとき、組成物(y
−1)は流路となる溝(2)にも入り込んだ)、フォト
マスクを用いて、エア抜き路となる溝(3)の流路とな
る溝(2)からの分岐部付近の長さ約0.5mmの部分
(4)のみに紫外線を10秒間照射した後、石油エーテ
ルにて未硬化の組成物(y−1)及び形成された多孔質
体(3′)の細孔に充填された相分離剤を洗浄除去し
て、エア抜き路となる溝(3)の一部(4)を充填する
形状に多孔質体(4)を形成した。
【0128】〔部材(B)の接着〕ポリスチレン(大日
本インキ化学工業社製の「ディックスチレン XC−5
20」)製の5cm×5cm×1mmの板(8)に、1
27μmのバーコーターを用いて、組成物(x−1)を
接着剤として塗布し、上で用いたと同じ紫外線を、フォ
トマスク無しで1秒間照射して塗膜を半硬化させ、その
状態で部材(A)(1)と密着させて、紫外線をさらに
30秒間照射して、両部材を硬化した接着剤層(9)を
介して接着する事により、流路となる溝(2)を流路
(2′)と成し、エア抜き路となる溝(3)をエア抜き
路(3′)と成した。ポリスチレン板(8)と接着剤層
(9)を併せて部材(B)とした。
【0129】〔接続口の形成〕部材(B)の、流路
(2′)の一方の端部(5)に相当する位置に1.6m
mのドリルにて穴を穿ち、その部分に直径1.6mmの
ステンレスパイプを接着して、導入口(10)を形成し
た。同様にして部材(B)の、流路(2′)の他端部
(6)に相当する位置に流出口(11)を形成した。エ
ア抜き路(3′)の端部は微小ケミカルデバイス外へ解
放した。以上の作業により、図2及び図3に示された形
状の20サイクルのPCR用微小ケミカルデバイス(#
1)を得た。
【0130】〔使用試験1−1〕得られた微小ケミカル
デバイス(#1)の導入口(10)から、約5kPa
(ゲージ圧)の圧をかけて蒸留水を流入させたところ、
蒸留水は流路(2′)を流れて流出口(11)より流出
した。このとき、蒸留水はエア抜き路(3′)を通って
漏洩することはなかった。その状態で、図2の仮想線で
囲まれた領域α(加熱脱気部と高温部が同一温度で一体
化された領域)を、95℃に調節された金属に接触さ
せ、接触面の反対側に約1mmの間隙をあけて厚さ3m
mの透明アクリル板を設置し、20分間蒸留水を流し続
けたが、流路(2′)中に気泡が発生することはなかっ
た。
【0131】〔使用試験1−2〕過熱試験 接触させた金属の温度を110℃としたこと以外は使用
試験1−1と同様の試験を行ったが、沸騰による流路
(2′)内の液切れは全く発生しなかった。
【0132】〔確認試験1−1〕エア抜き路の流通試験 微小ケミカルデバイス(#1)に、蒸留水の代わりにエ
タノールを導入し、エア抜き路排出口(12)を減圧し
たところ、エタノールはエア抜き路(3′)の多孔質体
(4)を透過した。このことから、多孔質体(4)は連
通多孔質体であることがわかる。
【0133】〔確認試験1−2〕孔径の観察 これらの試験の終了後に本PCR用微小ケミカルデバイ
スを破壊して多孔質体(4)を取り出し、その断面をS
EMにて観察したところ、この多孔質体は、孔径約0.
5μmの多数の細孔を有する多孔質体であることが確認
された。
【0134】〔確認試験1−3〕流路を構成する素材の
水との接触角 組成物(x−1)を127μmのバーコーターを用いて
ガラス板に塗布し、紫外線を30秒間照射して、流路
(2′)のモデルとしての硬化塗膜を得た。この塗膜
の、水との接触角は22度であった。
【0135】〔確認試験1−4〕エア抜き路を構成する
素材の水との接触角 相分離剤を含有しないこと以外は組成物(y−1)と同
様の組成物を調製し、これを127μmのバーコーター
を用いてガラス板に塗布し、紫外線を30秒間照射して
多孔質エア抜き路(4′)のモデルとしての硬化塗膜を
得た。この塗膜の水との接触角は108度であった。
【0136】[比較例1] 〔微小ケミカルデバイスの作製〕エア抜き路(3′)お
よび多孔質体(4)を設けなかったこと以外は実施例1
と同様にしてPCR用微小ケミカルデバイス(#C1)
を作製した。
【0137】〔使用試験C1−1〕得られた微小ケミカ
ルデバイス(#C1)の導入口(10)から、実施例1
の使用試験1−1と同じ圧をかけて蒸留水を流入させた
ところ、蒸留水は流路(2′)を流れて流出口(11)
より流出した。その状態で、図2の仮想線で示された領
域αを、95℃に調節された金属に接触させたところ、
領域α内に於いて流路中に気泡が発生し、反応溶液が途
切れる現象が生じた。
【0138】〔使用試験C1−2〕過熱試験 接触させた金属の温度が110℃であること以外は使用
試験C1−1と同様の試験を行ったところ、領域α内の
流路(2′)には殆ど液体が存在しない液切れ状態が発
生した。
【0139】[実施例2]本実施例では、部材(A)と
部材(B)との間に固体状物質(C)が充填されてお
り、該固体状物質(C)の欠損部として、流路及びエア
抜き路が設けられたPCR用微小ケミカルデバイスの製
造例を示した。
【0140】〔微小ケミカルデバイスの作製〕 〔部材(A)の作製〕ポリスチレン(大日本インキ化学
工業社製の「ディックスチレン XC−520」)製の
5cm×5cm×1mmの板に、127μmのバーコー
ターを用いて組成物(x−1)を塗布し、100mw/
cm2の紫外線を3秒間照射して、塗膜(12)を半硬
化させ、部材(A)(1)とした。
【0141】〔固体状物質(C)層の形成〕この半硬化
塗膜の上に、127μmのバーコーターを用いて組成物
(x−1)を塗布し、フォトマスクを使用して、図1に
示された、流路となる溝(2)、及びエア抜き路となる
溝(3)以外の部分に、100mw/cm2の紫外線を
3秒間照射して、照射部分の塗膜を半硬化させた後、エ
タノールにて未照射部の未硬化の組成物(x−1)を洗
浄除去し、図1に示された形状の、幅200μm、深さ
97μm、長さ1.5mの流路となる溝(2)、幅20
0μm、深さ97μmのエア抜き路となる溝(3)が樹
脂欠損部として形成された固体状物質(C)層[図4に
示す(13)]を形成した。
【0142】〔部材(B)の接着〕ポリスチレン(大日
本インキ化学工業社製の「ディックスチレン XC−5
20」)製の5cm×5cm×1mmの板(8)を部材
(B)として使用し、これに127μmのバーコーター
を用いて、組成物(x−1)を塗布し、上で用いたと同
じ紫外線をフォトマスク無しで1秒間照射し、塗膜
(9)を半硬化させ、その状態で固体状物質(C)層
(13)と密着させて、紫外線をさらに30秒間照射
し、固体状物質(C)層(13)の上に接着剤層(9)
を介してポリスチレン板(8)を接着した。接着剤層
(9)とポリスチレン板(8)を合わせて部材(B)と
した。
【0143】〔接続口の形成〕部材(B)の流路
(2′)の一方の端部(5)に相当する位置に、1.6
mmのドリルにて穴を穿ち、その部分に直径1.6mm
のステンレスパイプを接着して、導入口(10)を形成
した。同様にして部材(B)の、流路(2′)の他端部
(6)に流出口(11)を形成した。エア抜き路
(3′)の端部は微小ケミカルデバイス外に解放した。
【0144】〔多孔質エア抜き路の作製〕エア抜き路
(3′)の解放した端部から組成物(y−1)を導入
し、エア抜き路(3′)及び流路(2′)に組成物(y
−1)を充填し、部材(A)(1)側から、フォトマス
クを用いて、エア抜き路(3′)の流路(2′)からの
分岐部から2mmまでの範囲(4)に紫外線を10秒間
照射した後、流入口(10)から未硬化の組成物(y−
1)及び相分離した相分離剤を吸引除去し、さらに流路
(2′)、エア抜き路(3′)および多孔質体(4)に
石油エーテルを流通させて洗浄して、エア抜き路
(3′)の流路からの分岐部付近を充填する形状にエア
抜き路(4)を形成し、PCR用微小ケミカルデバイス
(#2)を得た。PCR用微小ケミカルデバイスの立面
図の模式図を図4に示す。
【0145】〔使用試験2−1、2−2〕得られた微小
ケミカルデバイス(#2)を用いて、実施例1の使用試
験1−1及び1−2と同様の使用試験を行い、同様の結
果を得た。
【0146】〔使用試験2−3〕 〔PCR用反応溶液の調製〕鋳型プラスミドDNA:4.0μ
l、ポリメラーゼ[宝酒造株式会社製「TaKaRa Ex Taq T
M」]:2.0μl、緩衝液[宝酒造株式会社製「10X ExTaq
TM Buffer」]:8.0μl、基質 [宝酒造株式会社製「d
NTP Mixture (2.5mM each)」]:6.4μl、プライマー
[宝酒造株式会社製「Fluorescein-Labeled Primer M4
(1pmol/μl)」]:20μl、プライマー[宝酒造株式会社製
「Fluorescein-Labeled Primer RV-M (1pmol/μl)」]:
20μl、及び滅菌蒸留水:19.6μlを混合して、反応溶液
を調製した。
【0147】〔PCR試験〕図2の領域α、領域β、領
域γを各々95℃、75℃、45℃に温調した金属に接
触させ、接触面の反対側に約1mmの間隙をあけて厚さ
3mmの透明アクリル板を設置したこと、蒸留水の代わ
りに反応溶液を滞留時間20分となる流量で40分間流
したこと以外は上記使用試験と同様にしてPCR試験を
行った。
【0148】反応中、気泡の発生は認められなかった。
流出口(11)より流出した反応溶液を採取し、電気泳
動分析にかけたところ、DNAが増幅されていることが
確認された。同じPCR試験を4回繰り返して実施し
た。得られた電気泳動の結果はいずれも同様で、再現性
良い結果が得られた。
【0149】[比較例2] 〔微小ケミカルデバイスの作製〕エア抜き路(3′)及
び多孔質体(4)を設けなかったこと以外は実施例2と
同様にして微小ケミカルデバイス(#C2)を作製し
た。
【0150】〔使用試験〕得られた微小ケミカルデバイ
ス(#C2)を用いて、実施例2の使用試験2−3と同
様のPCR試験を行ったところ、比較例1の使用試験C
1−1と同様の気泡の発生が見られ、得られた反応生成
物の電気泳動分析の結果はいずれも濃度が異なり、その
一部は極めて薄く、再現性を欠く結果であった。
【0151】[実施例3]本実施例では、加熱脱気部の
温度調節装置が組み込まれたPCR用微小ケミカルデバ
イスの製造例を示した。
【0152】〔微小ケミカルデバイスの作製〕実施例2
で作製した微小ケミカルデバイス(#2)と同様にして
全く同じものを作製し、微小ケミカルデバイス(#3)
前駆体とした。この前駆体の、図2に示された領域α、
領域β、領域γに相当する位置の部材(A)側に、それ
ぞれポリイミド封入電気ヒーターを接着し、微小ケミカ
ルデバイス(#3)を作製した。
【0153】〔使用試験〕図2に示された領域α、領域
β、領域γを、温調された金属に接触させる代わりに、
接着された電気ヒーターにより各々95℃、75℃、4
5℃に温調したこと以外は、実施例2の使用試験2−3
と同様のPCR試験を行い、同様の結果を得た。
【0154】
【発明の効果】本発明は、流路内の溶液に溶解している
空気を連続的に除去出来るため、室温を超える高温、特
に90℃以上に加熱する部分においても、液流路内で溶
液から溶存空気が析出することがなく、液切れや反応溶
液の液量変化が少なく、従って、流速や反応率の変動が
少なく再現性に優れた微小ケミカルデバイス、特にマイ
クロリアクター、PCRデバイスを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の微小ケミカルデバイスに使用した表面
に凹部を有する部材(A)を表面に直角な方向から見た
平面図の模式図である。
【図2】実施例の微小ケミカルデバイスを部材(B)の
表面に直角な方向から見た平面図の模式図である。
【図3】実施例1で作製した微小ケミカルデバイスの立
面図の模式図である。
【図4】実施例2で作製した微小ケミカルデバイスの立
面図の模式図である。
【符号の説明】
1 :部材(A) 2 :流路となる溝 2′:流路 3 :エア抜き路となる溝 3′:エア抜き路 4 :多孔質体 5 :流路の一方の端部 6 :流路の他端部 7 :エア抜き路の端 8 :ポリスチレン板 9 :接着剤層 10:導入口 11:流出口 12:接着剤層 13:固体状物質(C)層 α:95℃温調領域[加熱脱気部と高温部(解離部)が
同一温度で一体化された領域] β:75℃温調領域 γ:45℃温調領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 31/20 G01N 35/08 A 4G075 35/08 37/00 101 37/00 101 C12M 1/00 A // C12M 1/00 G01N 27/26 301Z Fターム(参考) 2G042 BD19 CB03 HA02 HA03 2G058 BA08 BB02 4B029 AA23 BB20 CC01 4D011 AA12 AC04 AC10 AD03 AD06 4G057 AD01 AD11 4G075 AA30 AA32 AA42 AA63 BA04 BA05 BD15 CA02 CA05 CA22 CA33 CA34 CA36 CA38 CA39 CA63 DA02 DA18 EA05 EA06 EB50 EE23 EE31 EE40 FA14 FA16 FB12 FC01 FC20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が親水性である毛細管状の流路を有
    する微小ケミカルデバイスであって、流路が微小ケミカ
    ルデバイスの一部に設けられた60〜115℃に加熱さ
    れる加熱脱気部を通っており、該加熱脱気部に於いて、
    表面が疎水性であるエア抜き路が流路から分岐されてい
    ることを特徴とする加熱脱気機構を有する微小ケミカル
    デバイス。
  2. 【請求項2】 流路が加熱脱気部を通過した後に、室温
    より高い温度領域を通過する構造であり、加熱脱気部の
    温度が(該温度領域の温度−5℃)以上であることを特
    徴とする請求項1に記載の微小ケミカルデバイス。
  3. 【請求項3】 毛細管状の流路の(断面の幅×高さ)が
    (1μm×1μm)〜(1mm×1mm)の範囲である
    請求項1又は2に記載の微小ケミカルデバイス。
  4. 【請求項4】 加熱脱気部が、加熱脱気部内の10μm
    〜10mmの範囲の流路である請求項1、2又は3に記
    載の微小ケミカルデバイス。
  5. 【請求項5】 加熱脱気部が、微小ケミカルデバイスに
    固定された発熱体により加熱されるものである請求項1
    〜4のいずれか1つに記載の微小ケミカルデバイス。
  6. 【請求項6】 エア抜き路が、流路からの分岐部分にお
    ける流路断面積より小さな断面積を有する毛細管である
    か、または分岐部分における流路断面積より小さな細孔
    断面積を有する疎水性の連通多孔質体で構成されている
    請求項1〜5のいずれか1つに記載の微小ケミカルデバ
    イス。
  7. 【請求項7】 微小ケミカルデバイスが、表面に溝を有
    する部材(A)と、部材(A)の溝が形成された面に接
    着された部材(B)で構成されており、流路が部材
    (A)の溝と部材(B)との間に形成されたものであ
    る、請求項1〜6のいずれか1つに記載の微小ケミカル
    デバイス。
  8. 【請求項8】 部材(A′)と部材(B)の間に固体状
    物質(C)が充填された構造を有し、流路が固体状物質
    (C)の欠損部として形成されたものである請求項1〜
    6のいずれか1つに記載の微小ケミカルデバイス。
  9. 【請求項9】 微小ケミカルデバイスがマイクロリアク
    ターである請求項1〜8のいずれか1に記載の微小ケミ
    カルデバイス。
  10. 【請求項10】 マイクロリアクターがPCRデバイス
    である請求項9に記載の微小ケミカルデバイス。
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