JP2002018271A - 微小ケミカルデバイス - Google Patents

微小ケミカルデバイス

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JP2002018271A JP2000203651A JP2000203651A JP2002018271A JP 2002018271 A JP2002018271 A JP 2002018271A JP 2000203651 A JP2000203651 A JP 2000203651A JP 2000203651 A JP2000203651 A JP 2000203651A JP 2002018271 A JP2002018271 A JP 2002018271A
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microchemical
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Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Atsushi Teramae
敦司 寺前
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、分析や反
応に用いる際に、液流路内で溶液の溶存空気が析出する
ことなく、且つ反応溶液の液量変化の少ない、再現性に
優れた微小ケミカルデバイスを提供することにある。 【解決手段】 部材中に微小な流路を有し、水不透過性
で且つ気体透過性の脱気隔壁によって流路から分岐され
た減圧路を有する微小ケミカルデバイス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材中に微小な流
路を有する微小ケミカルデバイス、例えば、化学、生化
学などの微小反応デバイス(マイクロリアクター)や、
集積型DNA分析デバイス、微小電気泳動デバイス、微
小クロマトグラフィーデバイス、微小膜分離デバイス、
微小抽出デバイスなどの、化学、生化学、物理化学など
の微小分析デバイス等に関する。
【0002】詳しくは、本発明は部材中に微小な流路を
有し、該流路内の溶液の脱気の為に水不透過性で且つ気
体透過性の脱気隔壁によって流路から分岐された減圧路
を有する微小ケミカルデバイスに関し、気泡発生による
液切れや、脱気による溶液の蒸発ロスが抑制された、再
現性に優れる微小ケミカルデバイス、とりわけ積層され
た部材で構成され内部に微小な流路を有する微小ケミカ
ルデバイスに関する。
【0003】本発明の微小ケミカルデバイスは、化学、
生化学、農業、林業、水産業、医療、食品工業、製薬工
業、環境保全、犯罪捜査、スポーツ、その他の広範な分
野において使用され、とりわけ、これらの分野に於いて
遺伝子解析に利用されるピー・シー・アール(PCR:
ポリメラーゼ連鎖反応、以下、PCRと記述する。)デ
バイスとして有用である。
【0004】
【従来の技術】微小ケミカルデバイスとして、シリコ
ン、石英、ガラス、重合体などの基材に、エッチング法
により細い溝を形成して、液体流路や分離用ゲルチャン
ネルとすることが知られており(例えば、アール・エム
・マコーミック等、「アナリティカル・ケミストリ
ー」、第69巻、第2626頁、1997年)、操作中
の液体の蒸発防止などを目的として、ガラス板などのカ
バーをネジ止めなどにより表面に密着させて使用するこ
とが知られている。
【0005】しかしながら、このような微小ケミカルデ
バイスを、特に、室温より高い温度領域を液が流れる構
造にして使用すると、反応溶液に溶解していた空気が析
出し気泡が生じる場合があり、反応溶液の流速が制御で
きなくなり、各反応温度帯での滞留時間が変動し、反応
効率や再現性が低下する問題が生じていた。そして、こ
のような微小ケミカルデバイスに供給する微少量の溶液
を脱気し、空気の再溶解を阻止しつつ微小ケミカルデバ
イスに導入することはかなり困難であった。
【0006】このような微小ケミカルデバイスの一例に
PCRデバイスが挙げられる。PCRは、同じ構造のデ
オキシリボ核酸(DNA、以下、DNAと記述する)の
数を増す反応であり、具体的には、反応溶液(増幅すべ
きDNA断片、ポリメラーゼ、及び基質を含有する緩衝
液溶液)を解離温度(約95℃)、会合温度(約45
℃)、及び伸長温度(約70℃)を順次経由させるサイ
クルを繰り返すことにより、DNAを増幅する生化学反
応である。
【0007】PCRは反応溶液を入れた容器(例えば試
験管)を上記の温度サイクルで処理するバッチ式の方法
が一般的であるが、連続反応方式も知られている。例え
ば、「サイエンス」(1998年、第282巻、第48
4頁)には、シリコン、石英、ガラス、ポリマーなどの
基材に、エッチング法により細い溝を形成し、ガラス板
などのカバーをその表面に接着して、毛細管状の流路を
形成した連続反応式PCRデバイスが開示されている。
【0008】このPCRデバイスは、導入口から反応溶
液を導入して流路を流す間に、解離部、会合部、及び伸
長部の温度領域を順次経由するサイクルを約20回繰り
返させるものである。このような微小な連続反応式PC
Rデバイスでは、解離部において、反応溶液に溶解して
いた空気が析出して気泡が生じる場合があり、気泡が発
生すると各温度帯での滞留時間が変動するために、得ら
れるDNAの増幅効率や再現性が低下する問題が生じて
いた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、分析や反応に用いる際に、液流路内で溶液
の溶存空気が析出することなく、且つ反応溶液の液量変
化の少ない、再現性に優れた微小ケミカルデバイスを提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微小な流
路を有する微小ケミカルデバイス内に流路内の溶液の脱
気隔壁を組み込むことにより、上記課題を解決できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、(1)部材中に微小な流
路を有し、水不透過性で且つ気体透過性の脱気隔壁によ
って流路から分岐された減圧路を有する微小ケミカルデ
バイスと、
【0012】(2)流路が、少なくともその1つが室温
より高い温度である異なる温度で設定された複数の領域
を通して流れることを特徴とする(1)に記載の微小ケ
ミカルデバイスと、
【0013】(3)異なる温度で設定された複数の領域
の中の低い温度領域において、流路から減圧路が分岐さ
れていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の微
小ケミカルデバイスと、
【0014】(4)流路の(断面の幅×高さ)が(1μ
m×1μm)〜(1mm×1mm)の範囲にある毛細管
状流路であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれ
か1つに記載の微小ケミカルデバイスと、
【0015】(5)脱気隔壁の酸素透過速度が8×10
-13[m3・m-2・s-1・Pa-1]以上であることを特徴
とする(1)〜(4)のいずか1つに記載の微小ケミカ
ルデバイスと、
【0016】(6)脱気隔壁が疎水性の連通多孔質体で
構成されていることを特徴とする(5)に記載の微小ケ
ミカルデバイスと、
【0017】(7)微小ケミカルデバイスが、表面に溝
を有する部材(A)と、部材(A)の溝が形成された面
に接着された部材(B)で構成されており、流路が部材
(A)の溝と部材(B)とで形成されたものである、
(1)〜(6)のいずれか1つに記載の微小ケミカルデ
バイスと、
【0018】(8)脱気隔壁が、部材(A)の溝と同じ
面に形成された凹部と部材(B)とで形成された空洞部
内に設けられたものであることを特徴とする(7)に記
載の微小ケミカルデバイスと、
【0019】(9)部材(A)と部材(B)の間に固体
状物質(C)が充填された構造を有し、流路が固体状物
質(C)の欠損部として形成されたものである(7)に
記載の微小ケミカルデバイスと、
【0020】(10)脱気隔壁が、部材(A)と部材
(B)の間に充填された固体状物質(C)の欠損部とし
て形成された空洞部内に設けられたものであることを特
徴とする(7)に記載の微小ケミカルデバイスと、
【0021】(11)減圧状態を保持できる減圧室が減
圧路に設けられている(1)〜(10)のいずれか1に
記載の微小ケミカルデバイスと、
【0022】(12)微小ケミカルデバイスがマイクロ
リアクターである(1)〜(11)のいずれか1に記載
の微小ケミカルデバイスと、及び、
【0023】(13)マイクロリアクターがPCRデバ
イスである(12)に記載の微小ケミカルデバイスとを
含むものである。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の微小ケミカルデバイスの
外形は特に限定されず、用途目的に応じた形状を採りう
る。例えば、フィルム状(シート状、リボン状などを含
む。以下同様)、板状、塗膜状、棒状、管状、円筒状、
その他複雑な形状の成型物などであり得るが、他の微小
ケミカルデバイスとの一体化しやすさ及び成形しやすさ
の面から、フィルム状又は板状であることが好ましい。
本発明の微小ケミカルデバイスは、さらに他の部材と積
層や接着することもできる。
【0025】本発明の微小ケミカルデバイスは、デバイ
ス内部に毛細管状の流路を有し、溶液が流路を流れる間
に反応や分析などが実施されるように構成されている。
なお、本明細書に於いては、流路は液体が流れる空洞部
分を意味し、反応場となる流路(反応槽を含む)、バル
ブ機構部、抽出などの物理化学的処理部、分析部、検出
部なども含まれる。
【0026】そして流路は、好ましくは、異なる温度に
設定された複数の温度領域を通して流れるべく構成され
ており、好該複数の温度領域の少なくとも1つは室温よ
り高い温度である。その場合に本発明の効果が特に発揮
される。複数の温度領域の1つは室温であってよい。こ
こで言う室温とは、本発明の微小ケミカルデバイス稼働
時の周囲温度を言う。
【0027】例えば、本発明の微小ケミカルデバイスが
PCRデバイスである場合には、流路は、解離部として
機能する高温領域(例えば、85〜110℃の温度帯
で、図2のαで例示される)、会合部として機能する低
温領域(例えば、30〜60℃の温度帯で、図2のβで
例示される)、伸長部として機能する中温領域(例え
ば、65〜85℃の温度帯で、図2のγで例示される)
を経由し、導入部から導入された反応溶液がこの温度の
順序で繰り返す温度履歴を経ながら流れ、流出部に至る
構造を有する。
【0028】PCRデバイスは、流路を流れる反応溶液
が、解離部、会合部、伸長部となる温度帯を好ましくは
5〜40サイクル、さらに好ましくは15〜30サイク
ル通過するように設計される。流路の長さは、PCRが
実現できる長さであれば任意であるが、1〜200cm
であることが好ましい。
【0029】本発明の微小ケミカルデバイスでは、各温
度領域は、デバイス内に温度調節機構、例えば電気ヒー
ターや温調液体流路を組み込むことにより当該温度に調
節されても良いし、微小ケミカルデバイス内には温度調
節機構を持たず、外部の機構により当該温度に調節され
るものであっても良い。当該温度に調節する外部の機構
は任意であるが、例えば、微小ケミカルデバイスの流路
部分の外側をしかるべき温度の固体、液体、または気体
と接触させる方法、流路部分に赤外線や電磁波などを照
射する方法を例示することが出来る。室温とする温度領
域は、温度調節機構を必要としない。
【0030】微小ケミカルデバイスの反応溶液の導入部
は、微小ケミカルデバイス外に開口していても良いし、
直接外部に開口せず、微小ケミカルデバイスに組み込ま
れた他の機構、例えば濾過機構などに連絡していても良
い。流出部もまた、微小ケミカルデバイス外に開口して
いても良いし、直接外部に開口せず、微小ケミカルデバ
イスに組み込まれた他の機構、例えば電気泳動カラムな
どに連絡していても良い。いずれの場合であっても、導
入部は比較的低温領域、好ましくは室温領域、に設けら
れる。
【0031】本発明の微小ケミカルデバイスの毛細管状
の流路の断面寸法は任意であるが、深さが好ましくは1
μm〜3mm、更に好ましくは10μm〜1mmであ
る。幅は好ましくは1μm〜3mm、更に好ましくは1
0μm〜1mmである。また、断面積は好ましくは1×
10-122〜1×10-62であり、更に好ましくは1
×10-102〜1×10-72である。
【0032】この寸法より小さい場合、反応溶液の流通
速度が低下する傾向にあるので好ましくなく、また、こ
の寸法を超えると、脱気効率が低下する傾向にあるので
好ましくない。本発明の微小ケミカルデバイスの毛細管
状の流路の断面寸法は、例えば反応槽部分など、部分的
に上記寸法を越える部分があっても良いが、減圧路が分
岐している部分、即ち、脱気隔壁と接触している部分の
流路の寸法はこの範囲であることが好ましい。
【0033】本発明の微小ケミカルデバイスの流路は、
水との接触角が好ましくは35度以下、さらに好ましく
は25度以下である。接触角の下限はゼロであって良
い。流路の表面の接触角が、流路断面の周の中で異なる
場合、例えばその上面、側面、下面で異なる場合には、
流路の断面周長の内の、それぞれの接触角を有する部分
の重み付き平均とする。好ましくは、上面、側面、下面
の全ての面が上記範囲にあるものである。水との接触角
が小さいほど、即ち、表面親水性の程度が高いほど、生
化学物質の吸着性が低くなる上、脱気が完全でなくても
気泡が発生しにくくなる。水との接触角が35度を超え
るとその効果に劣ったものとなる。
【0034】なお、本発明の微小ケミカルデバイスにお
ける流路は微小であるため、その表面の水との接触角を
測定することは多くの場合困難である。そのような場合
には、流路の表面を構成する素材で他の形状(例えば塗
膜状やフィルム状)の成形物を作製し、その表面の接触
角の測定値で表すこととする。
【0035】本発明の微小ケミカルデバイス、特にPC
Rデバイスは、好ましくは、直接または間接的に接着さ
れた2つの部材、即ち部材(A)と部材(B)との間に
毛細管状の流路が形成されたものである。接着は、部材
(A)と部材(B)が直接または間接的に接着されたも
のであってよい。
【0036】部材(A)の素材は、流路や減圧路がその
形状を保持できる硬度と強度を有し、使用する液体や気
体が実質的に不透過性である素材であれば任意であり、
例えば、有機高分子重合体(以下、単に「重合体」と称
する)、ガラス、セラミック、金属、半導体等であって
よいが、成形しやすさの面から、重合体であることが好
ましい。
【0037】部材(A)に用いられる重合体は、熱可塑
性重合体であっても、熱硬化性重合体であっても良い
が、成形性の良い熱可塑性重合体、あるいは硬化速度の
速いエネルギー線硬化性の重合体が好ましい。エネルギ
ー線硬化性の重合体は、架橋重合体であることが好まし
い。部材(A)は、ポリマーブレンドやポリマーアロイ
で構成されていても良いし、積層体であっても良い。
【0038】部材(A)の素材として好ましく使用でき
る重合体は、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポ
リスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン
/マレイン酸共重合体、ポリスチレン/アクリロニトリ
ル共重合体の如きスチレン系重合体;ポルスルホン、ポ
リエーテルスルホンの如きポリスルホン系重合体;ポリ
メチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルの如きポ
リ(メタ)アクリレート系重合体;ポリマレイミド系重
合体;ポリカーボネート系重合体;
【0039】酢酸セルロース、メチルセルロースの如き
セルロース系重合体;ポリウレタン系重合体;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデンの如き塩素含有重合体;ポリアミド
系重合体;ポリイミド系重合体;ポリエチレン、ポリプ
ロピレンの如きポリオレフィン系重合体;ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリフェニレンスルフィドの如きポリエ
ーテル系又はポリチオエーテル系重合体;ポリエチレン
テレフタレート、ポリアリレートの如きポリエステル系
重合体などが挙げられる。
【0040】また、部材(A)に使用できるエネルギー
線硬化性の重合体は、(メタ)アクリロイル基を有する
エネルギー線硬化性化合物の硬化物や、マレイミド基を
有するエネルギー線硬化性化合物の硬化物が好ましい。
勿論、重合体は、単独重合体の他、共重合体であっても
良い。これらの中でも、スチレン系重合体、(メタ)ア
クリル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリスル
ホン系重合体重合体は、安価で成形性がよく、耐水性や
寸法安定性等の物性に優れるため、本発明のPCRデバ
イスに用いられる部材(A)の素材として特に好適であ
る。
【0041】本発明の好ましい第1の形態に使用される
部材(A)は、その表面に流路となるべき溝が設けられ
ている。溝の寸法・形状は、本発明の微小ケミカルデバ
イスの毛管状の流路と同じにすることが出来る。溝は場
所により断面の寸法・形状が異なっていても良い。
【0042】部材(A)の表面に溝を設ける方法は任意
であり、例えば、射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプ
リカ法、エネルギー線硬化レプリカ法、切削、フォトリ
ソグラフィー(エネルギー線リソグラフィーを含む。以
下同様)、エッチング法、蒸着法、気相重合法、溝とな
るべき部分を切り抜いたシート状部材と板状部材との接
着などの方法を利用できる。部材(A)は溝の全体又は
一部が表面処理されていても良い。部材(A)には、後
述する減圧路の他、溝以外の構造部分、例えば、貯液
槽、反応槽、分析機構などとなる構造を設けることがで
きる。
【0043】部材(B)は、流路や減圧路がその形状を
保持できる硬度と強度を有し、使用する液体や気体が実
質的に不透過性であって、基材上に溝が形成された面に
接着し、溝と部材(B)でもって空洞を形成可能なもの
であれば、その形状、素材、構造、表面状態などは任意
である。これらについては、本発明に於ける部材(A)
と同様である。部材(B)は表面に溝が形成されている
必要は無いが、溝が形成されていても良い。例えば、部
材(B)は、表面に溝が形成された部材(A)の鏡像体
であってもよい。
【0044】本発明の微小ケミカルデバイスの好ましい
第1の形態は、表面に溝が形成された部材(A)の、溝
が形成された面に他の部材(B)が液密に接着され、部
材(A)の溝と部材(B)でもって毛細管状の流路が形
成されたものである。部材(B)を上側にしたとき、流
路の下面と側面は部材(A)、上面は部材(B)で構成
されている。但し、部材(B)が、部材(B)の全面に
塗布された接着剤で接着されている場合には、上面は接
着剤となる。
【0045】部材(A)の表面に直角な方向から見た溝
の形状は、本微小ケミカルデバイスの流路の形状とする
ことが出来る。溝の断面寸法は概ね流路の断面寸法とな
る。溝の断面形状は任意であり、矩形(角が丸められた
矩形を含む。以下同様)、半円等であり得る。
【0046】本発明の好ましい第1の形態に於いて、部
材(A)に部材(B)を接着する方法は任意である。例
えば、後述のエネルギー線架橋重合性化合物(e)とし
て挙げた化合物を接着剤とし、エネルギー線照射により
接着することも好ましい。また、後述する組成物(x)
の露光に際し、組成物(x)が完全に硬化しない程度に
半硬化させ、未硬化部分を除去後、部材(B)と接触さ
せた.状態でエネルギー線を照射して、組成物(x)を
完全硬化させると同時に部材(B)と接着する方法も好
ましい。
【0047】本発明の微小ケミカルデバイスの好ましい
第2の形態は、部材(A)と部材(B)の間に、毛細管
状の流路となる部分を除いて固体状物質(C)が充填さ
れて互いに接着されており、固体状物質(C)の欠損部
として、部材(A)と部材(B)との間に毛細管状の流
路が形成されたものである。
【0048】この場合は、部材(B)を上側にしたと
き、流路の下面が部材(A)、側面は固体状物質
(C)、上面は部材(B)で構成されたものとなる。但
し[部材(A)と固体状物質(C)]及び/又は[固体
状物質(C)と部材(B)]が、それらの全面に塗布さ
れた接着剤で接着されている場合には、下面及び/又は
上面は該接着剤となる。
【0049】本発明の好ましい第2の形態に於いては、
部材(A)は、その表面に溝や凹部が設けられている必
要が無いこと以外は、本発明の第1の微小ケミカルデバ
イスの場合と同様である。
【0050】本発明の好ましい第2の形態に於ける、微
小ケミカルデバイスの形成方法は任意であるが、例え
ば、(ア)部材(A)上に、フォトリソグラフィー等の
方法により欠損部を有する固体状物質(C)層を形成
し、その上に部材(B)を接着する方法、
【0051】(イ)間隔を置いて設置された部材(A)
と部材(B)の間に、活性エネルギー線で硬化して固体
状物質(C)となる液状組成物を充填してパターニング
露光により硬化させ、非露光部の未硬化組成物を除去し
て空洞とする方法、
【0052】(ウ)間隔を置いて設置された部材(A)
と部材(B)の間に、フッ素系樹脂などで形成された流
路の型材を置いた状態で、液体状の固体状物質(C)前
駆体を充填して硬化させ、その後、型材を除去して空洞
とする方法、
【0053】(エ)部材(A)と部材(B)との間に固
体状物質(C)で形成された、欠損部を有するフィルム
状の部材を挟持し接着する方法などにより実施出来る。
【0054】本発明の第2の微小ケミカルデバイスに於
ける固体状物質(C)の充填厚みは流路の高さとするこ
とができ、本PCRデバイスの全体に渡って一定であっ
ても良いし、場所により異なっていても良い。
【0055】固体状物質(C)の素材は任意であり、製
造方法により好適なものを使用できるが、活性エネルギ
ー線架橋重合性化合物(e)を含有する活性エネルギー
線硬化性の組成物(x)[以下、「活性エネルギー線架
橋重合性化合物(e)を含有する活性エネルギー線硬化
性の組成物(x)」を単に「組成物(x)」と略称す
る]の硬化物が好適である。
【0056】活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)
としては、1分子中に2個以上の重合性の炭素−炭素二
重結合を有する物が好ましく、末端エチレン基を少なく
とも2個含有する重合性不飽和化合物が好ましく、中で
も、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物[以下、
「(メタ)アクリル」は、「メタクリルまたはアクリ
ル」を意味する。(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リロイルなどについても同様である。]やビニルエーテ
ル類、また光重合開始剤の不存在下でも硬化するマレイ
ミド系化合物が好ましい。
【0057】活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)
として使用できる(メタ)アクリル系モノマーとして
は、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ
ポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビ
ス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオ
キシフェニル)プロパン、ヒドロキシジピバリン酸ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロ
ペンタニルジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)
ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビス
アクリルアミドの如き2官能モノマー;
【0058】トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレ
ート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、
カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシ
アヌレートの如き3官能モノマー;ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレートの如き4官能モノマー;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの
如き6官能モノマーなどが挙げられる。
【0059】また、活性エネルギー線架橋重合性化合物
(e)として、重合性オリゴマー(プレポリマーとの呼
ばれる)も用いることもでき、例えば、重量平均分子量
が500〜50000のものが挙げられる。そのような
重合性オリゴマーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)
アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)ア
クリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基
を有するポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0060】これらの化合物は、単独で用いることもで
き、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
また粘度の調整や接着性を増すなどの目的で、単官能モ
ノマー、例えば、単官能(メタ)アクリル系モノマーを
混合することも可能である。
【0061】マレイミド系の架橋重合性モノマーとして
は、例えば、4,4′−メチレンビス(N−フェニルマ
レイミド)、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−
3−チエニル)マレイミド、1,2−ビスマレイミドエ
タン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、トリエチレン
グリコールビスマレイミド、N,N′−m−フェニレン
ジマレイミド、m−トリレンジマレイミド、N,N′−
1,4−フェニレンジマレイミド、N,N′−ジフェニ
ルメタンジマレイミド、
【0062】N,N′−ジフェニルエーテルジマレイミ
ド、N,N′−ジフェニルスルホンジマレイミド、1,
4−ビス(マレイミドエチル)−1,4−ジアゾニアビ
シクロ−[2,2,2]オクタンジクロリド、4,4′
−イソプロピリデンジフェニル=ジシアナート・N,
N′−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミドの
如き2官能マレイミド;N−(9−アクリジニル)マレ
イミドの如きマレイミド基とマレイミド基以外の重合性
官能基とを有するマレイミドなどが挙げられる。
【0063】マレイミド系の架橋重合性オリゴマーとし
ては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミ
ドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイ
ミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマ
レイミドアルキレートなどが挙げられる。
【0064】これらのマレイミド系のモノマーやオリゴ
マーは単独で使用することもでき、2種類以上を混合し
て用いることもでき、また、例えば、ビニルモノマー、
ビニルエーテル類、アクリル系モノマーの如き重合性炭
素−炭素二重結合を有する化合物と併用して共重合させ
ることもできる。活性エネルギー線架橋重合性化合物
(e)は、複数種の化合物の混合物であり得る。
【0065】活性エネルギー線硬化性の組成物(x)に
は、必要に応じて、その他の成分を混合して使用するこ
ともできる。その他の成分としては、例えば、活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物(e)と共重合可能な単官能
の重合性化合物、光重合開始剤、重合遅延剤や重合禁止
剤、溶剤、増粘剤、改質剤、着色剤等が挙げられる。
【0066】組成物(x)に必要に応じて含有させるこ
との出来る単官能の重合性化合物は、使用する活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物(e)と共重合可能なもので
あれば任意であるが、1分子中に1個以上の重合性炭素
−炭素不飽和結合を有する化合物であることが好まし
い。単官能の重合性化合物は両親媒性の化合物であるこ
とが好ましい。
【0067】両親媒性の化合物とは、分子中に親水基と
疎水基を有し、水、疎水性溶媒の両者とそれぞれ相溶す
る化合物を言う。このような化合物としては、例えば、
ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8〜1
7)(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロ
ピレングリコール(n=8〜17)(メタ)アクリレー
トを挙げることができる。
【0068】組成物(x)に必要に応じて含有させるこ
との出来る光重合開始剤は、本発明で使用する活性エネ
ルギー線に対して活性であり、組成物(x)を硬化させ
ることが可能なものであれば、特に制限はなく、例え
ば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオ
ン重合開始剤であって良い。
【0069】そのような光重合開始剤としては、例え
ば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,
2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン類;ベンゾフェノン、4、4′−ビスジメチ
ルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサント
ン、2−イソプロピルチオキサントンの如きケトン類;
【0070】ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメ
チルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ンの如きベンジルケタール類;N−アジドスルフォニル
フェニルマレイミドの如きアジドなどが挙げられる。
【0071】また、光重合開始剤として、マレイミド系
化合物の如き重合性光重合開始剤を用いることもでき
る。重合性光重合開始剤は、例えば、エネルギー線架橋
重合性化合物として使用できる化合物として例示した多
官能マレイミドの如き多官能モノマーの他に、組成物
(x)に混合使用できる単官能マレイミド系モノマーと
して例示したような単官能モノマーであっても良い。
【0072】組成物(x)に添加する光重合開始剤の使
用量は、非重合性光重合開始剤の場合、0.005〜2
0重量%の範囲が好ましく、0.05〜5重量%の範囲
が特に好ましい。但し、光重合開始剤が重合性光重合開
始剤の場合にはこの限りではない。
【0073】組成物(x)に必要に応じて含有させるこ
とができる重合遅延剤や重合禁止剤としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、α−フェニルスチレン、p−
オクチルスチレン、p−(4−ペンチルシクロヘキシ
ル)スチレン、p−フェニルスチレン、 p−(p−エ
トキシフェニル)フェニルスチレン、2,4−ジフェニ
ル−4−メチル−1−ペンテン、4,4′−ジビニルビ
フェニル、2−ビニルナフタレン等のエネルギー線硬化
性化合物としては重合速度の低いビニル系モノマー;t
ert−ブチルフェノールなどのヒンダントフェノール
類等が挙げられる。
【0074】重合遅延剤や重合禁止剤は、特に細いパタ
ーンを形成する場合に添加することが好ましい。また、
エネルギー線として光線を使用する場合には、パターニ
ング精度を向上させるために、重合遅延剤及び/又は重
合禁止剤と光重合開始剤を併用することが好ましい。
【0075】組成物(x)に必要に応じて含有させるこ
とができる溶剤としては、組成物(x)と均一に混合す
る任意の揮発性の溶剤が挙げられる。組成物(x)に必
要に応じて添加することができる増粘剤としては、例え
ば、ポリスルホン、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロ
キメチルスチレンの如き線状重合体;クレイの如き粉末
が挙げられる。組成物(x)に必要に応じて含有させる
ことができる改質剤としては、例えば親水性向上剤とし
て作用するシリカゲル、酸化チタンの如き無機粉末;セ
ルロースの如き有機粉末が挙げられる。
【0076】組成物(x)に必要に応じて含有させるこ
とができる着色剤としては、着色剤としての色素や顔
料、アントラセンなどの蛍光色素や蛍光顔料、2−ベン
ゾトリアゾイル−4−メトキシフェノールなどの紫外線
吸収剤などが挙げられる。
【0077】本発明の微小ケミカルデバイスの流路、減
圧路、及び脱気隔壁が入る凹部や空洞部が、活性エネル
ギー線によるパターニング露光と、未照射部の未硬化組
成物(x)の除去により作成される場合には、露光後、
未照射部の未硬化の組成物(x)が除去される。この除
去方法は任意であり、例えば気体による吹き飛ばし、吸
引、加圧による押し出し、溶剤洗浄、分解などであり得
る。
【0078】本発明の微小ケミカルデバイスは、溶液導
入部から、一般的に高温部である反応部(PCRデバイ
スでは解離部)に至るまでの流路の比較的低温部におい
て、毛細管状の減圧路が分岐されている。比較的低温部
とは、本微小ケミカルデバイス内における高温部(解離
部)でない部分を言い、好ましくは室温部分である。
【0079】減圧路の分岐点が高温部であると、特に脱
気隔壁が疎水性の連通多孔質体で形成されている場合
に、溶剤である水の蒸気圧が高い部分で減圧することに
よる溶剤の蒸発ロスなどの不都合が生じるし、減圧路の
分岐点が、溶液が通過する最初の高温部の後であると、
減圧路の分岐点に至る前の高温部における気泡の発生が
生じる。
【0080】本発明の微小ケミカルデバイスは、高温部
に至る手前の比較的低温部の流路から脱気隔壁によっ
て、流路から分岐された脱気用の減圧路を有する。本発
明の微小ケミカルデバイスは該減圧路を利用して流路内
の溶液を脱気し反応液中に気泡が発生することを防止し
て液切れを抑制すると共に、反応液の水蒸発ロスを抑え
ることにより、反応又は分析の再現性を向上させる利点
を有する。
【0081】減圧路の表面の水との接触角は任意であ
り、減圧路の断面寸法も任意であるが、流路と同程度の
断面寸法であることが好ましい。減圧路は減圧可能な任
意の構造を有する。例えば、減圧路は微小ケミカルデバ
イスの外部に連絡する減圧口を有し、減圧口には真空ポ
ンプ、アスピレータ、エジェクタ、減圧された容器その
他の減圧手段を接続することが出来る。
【0082】また例えば、本微小ケミカルデバイスと一
体化された減圧室(本発明においては、「減圧室」には
「減圧容器」を含むものとする)に接続された構造も好
ましい。ここで言う減圧室とは、真空ポンプなどによっ
て一旦減圧にすることにより、減圧状態を保持出来る空
間または容器のことである。
【0083】本発明の微小ケミカルデバイスは極めて微
小な寸法に形成可能であるため、小容量の減圧室を使用
して、微小ケミカルデバイスに直接、真空ポンプを接続
することなく、反応溶液の脱気を実施できる。減圧室の
容積は任意であるが、好ましくは1×10-15〜1×1
-33であり、更に好ましくは1×10-9〜1×10
-53である。流路の断面積が小さいほど、また、流路
の長さが短いほど、減圧室の容積を小さくすることが出
来る。
【0084】減圧路の形状や構造も任意であるが、部
材(A)または部材(B)を貫通する構造であること、
本発明の好ましい第1の形態に於いては、部材(A)
の流路となる溝が形成された同じ面に減圧路となる溝を
形成することにより、部材(A)の溝と部材(B)との
間に形成された構造であること、又は、本発明の好ま
しい第2の形態に於いては、固体状物質(C)の欠損部
として、流路と同じ平面内に形成された構造であるこ
と、が製造が容易であり好ましい。
【0085】また本発明の好ましい第1の形態に於い
て、脱気隔壁が部材(A)と部材(B)の間に気密に挟
持された状態に形成される場合や、好ましい第2の形
態に於いて、脱気隔壁が固体状物質(C)と部材(B)
との間に気密に挟持された状態に形成される場合には、
部材(B)に形成された溝状であることが好ましい。
【0086】前記のように、本発明の微小ケミカルデバ
イスにおける脱気隔壁は、流路から減圧路が分岐する位
置に設けられており、脱気隔壁の一方の面が流路に面し
ており、他方の面が減圧路に面している。しかしなが
ら、減圧路内に多くの溶液が滞留しない範囲で、やや減
圧路側に入った位置に脱気隔壁を設けることは差し支え
ない。
【0087】脱気隔壁の形状や構造は任意であるが、特
に脱気隔壁が連通多孔質体で形成されたものである場合
には、部材(B)の、部材(A)または固体状物質
(C)との接触面に設けられた凹部内に形成されている
こと、本発明の好ましい第1の形態に於いては、部材
(A)の流路となる溝が形成された同じ面に形成された
凹部内に設けられることにより、部材(A)の溝と部材
(B)との間に形成されること、又は本発明の好まし
い第2の形態に於いては、固体状物質(C)の欠損部と
して形成された空洞内に設けられること、が製造が容易
であり好ましい。
【0088】また、特に脱気隔壁が連通細孔を有しない
ものである場合には、本発明の好ましい第1の形態に
於いては、部材(A)と部材(B)の間に、流路となる
溝に接して気密に挟持された状態に形成されること、
好ましい第2の形態に於いては、固体状物質(C)と部
材(B)との間に、流路となる空洞部に接して気密に挟
持された状態に形成されることも好ましい。
【0089】脱気隔壁は気体透過性である。即ち、反応
液に溶解している気体を脱気隔壁を通して除去すること
が出来る。脱気隔壁の流路との、流路長さ方向の接触長
は任意であるが、流路幅の2倍以上であることが好まし
く、10倍以上であることがさらに好ましい。接触長の
上限も任意であるが、微小ケミカルデバイスの全流路長
の1/2以下であることが好ましい。脱気隔壁の酸素透
過速度が低いほど、接触長を大きくすることが好まし
い。
【0090】本発明の微小ケミカルデバイスは、好まし
くは、脱気隔壁と接触している流路部分において、流路
断面の周の一部分が脱気隔壁と接触している。さらに、
脱気隔壁と接触している流路周長は、脱気隔壁との接触
部以外の流路部分の流路周長より小さい。即ち、脱気隔
膜との接触部分で流路表面積を広げる必要がない。この
ような構造とすることで、微小スケールの脱気機構とし
て十分な性能を持たせながら容易に製造することが出来
る。この部分において、既知の大スケールの隔膜脱気装
置と異なる。
【0091】脱気隔壁が気体透過性であるとは、脱気隔
壁の酸素透過速度が8×10-13[m3・m-2・s-1・P
-1]以上であることを言う。また酸素透過速度とは、
単位面積(m2)当たり、単位時間(s)当たり、及び
単位圧力差(Pa)当たりの透過酸素体積[m3(0
℃、100kPa)]を言う。測定温度は25℃とす
る。酸素透過速度は8×10-12[m3・m-2・s-1・P
-1]以上であることが好ましく、8×10-11[m3
-2・s-1・Pa-1]以上であることが更に好ましい。
【0092】酸素透過速度の上限は、自ずと限界はあろ
うが、高いことそれ自体による不都合は無いため、限定
する必要はない。酸素透過係数の小さい素材を用いる場
合には、厚みを薄くしたり、不均質膜や複合膜とするこ
とで、上記の酸素透過速度定数とすることが出来る。本
発明に用いることの出来る脱気隔壁の酸素透過速度定数
は、通常のスケールの脱気モジュールに使用される脱気
膜に比べて小さな値で脱気が可能である。
【0093】脱気隔壁が連通多孔質体で構成されている
場合は、酸素透過速度は、好ましくは8×10-10[m3
・m-2・s-1・Pa-1]〜8×10-6[m3・m-2・s
-1・Pa-1]である。この場合には、酸素透過速度定数
が過大であると、水不透過の耐圧性が低下しがちであ
る。
【0094】気体透過性の隔壁び使用できる素材として
は、隔壁が非多孔質体である場合には、酸素透過係数が
8×10-18[m3・m・m-2・s-1・Pa-1]以上であ
る素材、例えば、シリコン樹脂、ポリアセチレン系樹
脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ−4−メチ
ル−1−ペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、を挙げ
ることができる。気体透過性の隔壁は、その他に疎水性
の連通多孔質体を用いることが出来る。脱気隔壁が疎水
性の連通多孔質体である場合には、多孔質体自体の酸素
透過速度定数が上記の範囲にあることが必要であって、
多孔質体を構成する素材の酸素透過係数は任意である。
【0095】脱気隔壁は、微小ケミカルデバイスの使用
条件において、溶液を透過させないことが必要である。
そのため、該隔壁は水不透過性、即ち、液体状態の水を
透過させないものである。液体状態の水を透過させない
ためには、該隔壁は表裏を連通する細孔を有しないもの
であるか、疎水性の細孔表面を有する連通多孔質体であ
る必要がある。表裏を連通する細孔を有しないものとし
ては、例えば、シリコンゴム、ポリアセチレン、ポリイ
ミド、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどの任意の気
体透過性の素材で構成されたフィルム、不均質膜、複合
膜、独立気泡膜等であり得る。
【0096】本発明の微小ケミカルデバイスにおいて
は、脱気隔膜が水不透過性であっても、素性機の透過が
過大であれば、反応溶液の減少や濃度変化などの重大な
不都合をもたらす場合がある。そのため、脱気隔膜は水
蒸気透過速度定数の小さいものであることが好ましい
が、脱気の際の減圧度を制御することにより、流路内溶
液の水の蒸発を最小限にとどめることも出来る。
【0097】例えば、脱気隔壁として、表裏を連通する
細孔を有しないものを使用する場合には真空度を高く
(圧力を低く)することが可能であり、場合によって
は、水の蒸気圧より低い圧力で運転することも可能であ
る。しかしながら、隔壁に多孔質膜を使用する場合に
は、反応溶液の水が蒸発し易いため、減圧路の圧力は、
10〜50kPaとすることが好ましい。なお、本発明
の脱気隔壁は、流路内の溶液にとっては圧力隔壁として
作用するため、減圧路を減圧しても反応溶液の液体圧力
には影響しない。
【0098】脱気隔壁は、疎水性の素材で形成された連
通多孔質体、即ち、多数の細孔が脱気隔壁の一方の面か
ら他の面に連通した多孔質体で構成されていることが、
製造が容易であり、微小な寸法の脱気隔壁で機能を発揮
できるため好ましい。(以下、「疎水性の連通多孔質
体」を単に「多孔質体」と略称する場合がある。また、
「疎水性の連通多孔質体で構成された脱気隔壁」を単に
「多孔質脱気隔壁」と略称する場合がある。)
【0099】多孔質体の細孔形状は任意であり、例え
ば、焼結体状(凝集粒子状)、海綿状(3次元網目
状)、濾紙や不織布、織布、束状繊維の間隙、並列に形
成された複数の毛細管やスリット等であり得る。並列に
形成された複数の毛細管やスリット(以下、この「凹部
や毛細管やスリット」を「毛細管等」と称する場合があ
る。)は、概ね平行に形成された毛細管等の他、相互に
交差・連絡した毛細管等であってよく、例えば、2次元
格子状、X状に交差した複数の概平行な形状、乱れた2
次元格子状、2次元網目状であり得る。
【0100】細孔の孔径は、多孔質体の疎水性の程度と
関連するが、減圧により反応溶液が多孔質体を透過しな
い程度の孔径であれば任意である。多孔質体の疎水性の
程度、即ち、細孔表面の疎水性の程度が高いほど、孔径
は大きくても良い。多孔質部の細孔の孔径や毛細管等の
径は、好ましくは孔径が0.001μm〜2μm、更に
好ましくは0.05μm〜0.7μmである。
【0101】多孔質体の細孔の孔径は、同じ断面積を有
する円管の直径を言う。ここで言う孔径は、表裏を連通
する細孔中の最大の孔径である。多孔質体の細孔形状や
孔径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、
ある程度推定できるが、正確な値を決定することは困難
である。孔径の最も好適な判別方法は、水の透過圧力
(差)の測定である。本発明の多孔質体は、水の透過圧
力(差)が30kPa以上のものであることが好まし
い。
【0102】疎水性の素材で形成された連通多孔質体と
は、多孔質体を構成する素材の、水との接触角が概ね9
0度以上である連通多孔質体を言う。PCR反応溶液は
塩を含有する緩衝液であるため、通常、この反応溶液と
の接触角は水との接触角より大である。従って、水との
接触角が90度より若干低くても使用可能な場合もある
が、安定性の面から、90度以上であることが好まし
い。疎水性の多孔質体を形成することは、疎水性の素材
を使用する、細孔表面を表面処理する、等の方法により
実施できる。
【0103】多孔質体の素材は、水との接触角が概ね9
0度以上であれば任意であるが、重合体で形成されてい
ることが、製造が容易であり好ましく、活性エネルギー
線架橋重合性化合物(f)を含有する架橋重合体である
ことが、製造が容易であり、特に好ましい。該架橋重合
体は、活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)の単独
重合体又はそれを含有する共重合体であり得る。活性エ
ネルギー線架橋重合性化合物(f)は、本発明で用いら
れる活性エネルギー線架橋重合性化合物(e)と同様で
ある。
【0104】脱気隔壁を微小ケミカルデバイス中に設け
る方法は任意であるが、脱気隔壁が多孔質脱気隔壁であ
る場合には、活性エネルギー線を用いたパターニング法
により、必要部位に形成する方法が好ましい。活性エネ
ルギー線を用いて、必要部位に多孔質脱気隔壁を形成す
る方法としては、
【0105】(i)活性エネルギー線架橋重合性化合物
(f)(及び、それと単官能の重合性化合物と共重合さ
せる場合には、該単官能化合物も。以下同様。)を溶解
するが、活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)の硬
化物(または、それと単官能の重合性化合物と共重合さ
せる場合には、該共重合体。以下同様。)を溶解または
膨潤させない相分離剤を含有する組成物(y)を、多孔
質脱気隔壁を形成する部分に充填し、
【0106】(ii)多孔質脱気隔壁と成す部分に活性エ
ネルギー線を照射し、活性エネルギー線架橋重合性化合
物(f)を重合硬化させると同時に相分離剤と相分離さ
せて、連通多孔質からなる隔壁を形成させ、(iii)未
照射部の未硬化の組成物(y)、及び形成された多孔質
脱気隔壁の細孔に充填された相分離剤を除去することに
より製造することが出来る。
【0107】即ち、本発明の好ましい第1の形態の場合
には、例えば、(i′)流路となる溝、減圧路となる
溝、及び多孔質脱気隔壁が形成される凹部が形成された
部材(A)の凹部に組成物(y)を充填し、(ii′)該
凹部内の、流路と減圧路に分割する隔壁となる部分に活
性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線架橋重合
性化合物(f)を硬化させると同時に相分離剤と相分離
させて、連通多孔質からなる隔壁を形成させ、
【0108】(iii′)未照射部の未硬化の組成物
(y)、及び形成された多孔質脱気隔壁の細孔に充填さ
れた相分離剤を溶剤にて洗浄除去し、次いで、(i
v′)部材(B)を溝及び隔壁が設けられた面に接着す
ることにより、製造する方法を例示できる。
【0109】また、本発明の好ましい第2の形態の場合
には、例えば、(i")部材(A)と部材(B)との間
に固体状物質(C)が挟持されており、該固定状物質
(C)の欠損部として、流路、減圧路、及び多孔質脱気
隔壁形成部分となる空洞部が形成された部材の空洞部
に、組成物(y)を充填し、
【0110】(ii")該空洞部内の、流路と減圧路を分
割する隔壁となる部分に活性エネルギー線を照射して、
活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)を硬化させる
と同時に相分離剤と相分離させて、連通多孔質からなる
隔壁を形成させ、(iii")未硬化の組成物(y)、及び
形成された多孔質脱気隔壁の細孔に充填された相分離剤
を吸引及び/又は溶剤洗浄にて除去することにより、製
造する方法を例示できる。
【0111】相分離剤は、活性エネルギー線架橋重合性
化合物(f)と相溶し、かつこの活性エネルギー線架橋
重合性化合物(f)が活性エネルギー線の照射を受ける
ことにより生成する重合体を溶解又はゲル化させず、し
かも活性エネルギー線に対して不活性なものであれば、
いかなるものでもよい。また、「活性エネルギー線に対
して不活性」とは、使用する活性エネルギー線により、
重合、分解、活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)
との反応などを生じてその性質が無視し得ない程度に変
化することがないことを言う。この場合、ごく部分的な
架橋、分解、反応などが生じることは許容される。
【0112】相分離剤と活性エネルギー線架橋重合性化
合物(f)とは、活性エネルギー線照射時において実質
的に相溶している必要がある。相分離状態で活性エネル
ギー線を照射すると、連通多孔質脱気隔壁が形成されな
い。しかしながら、完全に相溶している必要はなく、多
少の不溶部分があっても良い。
【0113】相分離剤と活性エネルギー線架橋重合性化
合物(f)との相溶性は、活性エネルギー線架橋重合性
化合物(f)の種類によって異なる。例えば、活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物(f)として、重合性オリゴ
マーである分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する
ポリウレタンを用いる場合には、相分離剤(b)とし
て、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル、ラウリン酸
メチル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、アジピ
ン酸ジイソブチルなどのアルキルエステル類、
【0114】ジイソブチルケトンなどのジアルキルケト
ン類、アルコール類、ポリエチレングリコールエステル
類、グリセリンのトリエステル、アルキルエーテル類、
その他の界面活性剤等を好適に用いることができ、中で
もアルキルエステル類が特に好ましい。
【0115】また、相分離剤は、液状の活性エネルギー
線架橋重合性化合物(f)に溶解し、活性エネルギー線
照射に対し不活性なものであれば、例えば、重合体の如
き固体であってもよい。そのような相分離剤(b)とし
ては、例えば、パラフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル
スルホン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル
酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、
及びこれらの誘導体や共重合体が挙げられる。
【0116】相分離剤として用いられる重合体は複数の
重合体であって、また、重合体溶液であってもよい。更
に、相分離剤は単一組成であってもよいし、混合物であ
ってもよい。混合物の場合には、その混合物が本発明に
用いる活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)と相溶
し、且つ、この活性エネルギー線架橋重合性化合物
(f)が活性エネルギー線の照射を受けることにより生
成する重合体を溶解せず、しかも活性エネルギー線に対
して不活性なものであれば如何なるものでもよく、その
構成成分単独での性状は特に限定されない。
【0117】従って、混合物中の個々の構成成分は、活
性エネルギー線架橋重合性化合物(f)と相溶しないも
のであってもよいし、活性エネルギー線架橋重合性化合
物(f)から生成する重合体を溶解又は膨潤させるもの
であってもよい。
【0118】相分離剤の使用割合は、活性エネルギー線
架橋重合性化合物(f)1重量部に対して、0.1〜5
重量部の範囲が好ましく、0.5〜3重量部の範囲が更
に好ましい。この範囲より低いと多孔質体の空隙率が低
くなり過ぎ、この範囲より高いと空隙率が高くなり過ぎ
て強度が不充分となる傾向にあるので好ましくない。
【0119】組成物(y)には、必要に応じて、その他
の成分を混合して使用することもできる。その他の成分
としては、例えば、活性エネルギー線架橋重合性化合物
(f)と共重合可能な単官能の重合性化合物、光重合開
始剤、重合遅延剤や重合禁止剤、溶剤、増粘剤、改質
剤、着色剤などが挙げられる。
【0120】組成物(y)に必要に応じて含有させるこ
との出来る単官能の重合性化合物は、使用する活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物(e)と共重合可能なもので
あれば任意であるが、1分子中に1個以上の重合性炭素
−炭素不飽和結合を有する化合物であることが好まし
い。
【0121】活性エネルギー線架橋重合性化合物(f)
として、その単独重合体が水との接触角が90度に満た
ないものを用いる場合は、単官能の重合性化合物に疎水
性の高い化合物を使用することにより、その共重合体を
疎水性にすることが出来る。疎水性の高い単官能の重合
性化合物としては、長鎖アルキル(メタ)アクリレー
ト、フッ素含有(メタ)アクリレート、珪素含有(メ
タ)アクリレートを例示することができる。
【0122】組成物(y)に必要に応じて含有させるこ
との出来る光重合開始剤、重合遅延剤や重合禁止剤、溶
剤、増粘剤、改質剤、着色剤については、本発明で使用
できる組成物(x)の場合と同様である。
【0123】活性エネルギー線としては、組成物(y)
を硬化させることが可能なものであれば任意であり、紫
外線、可視光線、赤外線、エックス線、ガンマ線、放射
光などの電磁波;電子線、ベータ線、重粒子線などの粒
子線等が挙げられるが、取り扱い性や硬化速度の面から
紫外線、可視光、電子線が好ましく、紫外線が特に好ま
しい。紫外線はレーザー光であることも好ましい。
【0124】また、硬化速度を速め、硬化を完全に行う
目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で
行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素
気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は
減圧雰囲気が好ましい。
【0125】多孔質脱気隔壁となる部分に活性エネルギ
ー線を照射する方法は任意であり、例えば、照射不要部
分をフォトマスキングして照射する方法、あるいは活性
エネルギー線のビームを走査する方法等のフォトリソグ
ラフィーの手法が利用できる。活性エネルギー線は、部
材(A)の表面に直角な方向から照射することが好まし
いが、必ずしも正確に直角である必要はない。また、部
材(A)側から部材(A)を通して照射することもでき
る。
【0126】未照射部の未硬化の組成物(y)、及び形
成された多孔質脱気隔壁の細孔に充填された相分離剤の
除去方法は、本発明の微小ケミカルデバイスの流路、減
圧離、多孔質脱気隔壁が形成される凹部や空洞部が、活
性エネルギー線によるパターニング露光と、未照射部の
未硬化の組成物(x)の除去により行われる場合の、未
硬化の組成物(x)の除去方法と同様である。
【0127】本発明の微小ケミカルデバイスは、デバイ
ス内に、流路、温調機構、減圧室以外の機構、例えば、
貯液槽、電気的あるいは光学的などの検出機構、バルブ
駆動用流体流路、などを設けることもできるし、他のデ
バイスと一体化することも可能である。
【0128】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定され
るものではない。なお、以下の実施例において、「部」
及び「%」は、特に断りがない限り、各々「重量部」及
び「重量%」を表わす。
【0129】[エネルギー線照射装置]200wメタル
ハライドランプが組み込まれた、ウシオ電機株式会社製
のマルチライト200型露光装置用光源ユニットを用い
た。紫外線強度は100mw/cm2である。
【0130】[測定方法]実施例中の測定は次の方法に
より行った。 〔水接触角の測定〕試料を25℃、湿度60%に24時
間静置した後、協和界面科学製接触角度計CA−X型を
使用し、室温(24±2℃)にて、安定化時間3分で測
定した。
【0131】〔多孔質体の孔径の観察〕PCRデバイス
を破壊して多孔質脱気隔壁を取り出し、その断面を日立
製作所製800型の走査型電子顕微鏡(SEM)て観察
した。
【0132】[組成物(x)の調製] 〔組成物(x−1)〕活性エネルギー線架橋重合性化合
物(e)として、平均分子量約2000の3官能ウレタ
ンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式
会社製の「ユニディックV−4263」;単独重合体の
水との接触角は72度)を20部、及び1,6−ヘキサ
ンジオールジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の
「ニューフロンティアHDDA」;単独重合体の水との
接触角は84度)を20部、
【0133】単官能の重合性化合物としてノニルフェノ
キシポリエチレングリコール(n=8)アクリレート
(東亜合成化学株式会社製の「M−114」;HLB値
=11.25;水、シクロヘキサン/トルエン混合溶媒
の両者に可溶)を60部、光重合開始剤として1−ヒド
ロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社
製の「イルガキュア184」)を5部、及び重合遅延剤
として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン
(関東化学株式会社製)0.1部を均一に混合して組成
物(x−1)を調製した。
【0134】[組成物(y)の調製] 〔組成物(y−1)の調製〕活性エネルギー線架橋重合
性化合物(f)としてエチレンオキサイド変性ビスフェ
ノールAジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の
「ニューフロンティアBPE−4」;単独重合体の水と
の接触角は68度)を40部、単官能の重合性化合物と
してテトラフルオロプロピルアクリレート(大阪有機化
学工業株式会社製の「ビスコート4F」)0.1部、相
分離剤(b)としてカプリン酸メチル(関東化学社製)
60部、及び紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシ
クロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の「イ
ルガキュア184」)を5部を混合して組成物(y−
1)を調製した。
【0135】[実施例1]本実施例では、表面に溝と凹
部が形成された部材(A)と他の部材(B)との間に流
路、減圧路、及び多孔質脱気隔壁が設けられたPCR用
微小ケミカルデバイスの製造例を示した。
【0136】〔微小ケミカルデバイスの作製〕 〔部材(A)の作製〕ポリスチレン(大日本インキ化学
工業社製の「ディックスチレン XC−520」)製の
5cm×5cm×3mmの板を、シリコンウェハー製の
鋳型と密着させてガラス板に挟み、バネ式クランプで止
めて、120℃の熱風炉中に2時間静置した後、取り出
して自然放冷し、鋳型を剥離して、図1に示された形状
の、幅100μm、深さ80μm、長さ1.5mの流路
となる溝(2)、幅100μm、深さ80μ、長さ5m
mの減圧路となる溝(3)、及び幅3mm、長さ1m
m、深さ80μの凹部(4)を有する部材(A)(1)
を得た。
【0137】〔脱気隔壁の作製〕部材(A)(1)の、
凹部(4)、及びその付近の減圧路となる溝(3)、及
び流路となる溝(2)に組成物(y−1)を、表面に盛
り上がる程度に注入し、フォトマスクを用いて、凹部
(4)部分のみに紫外線を10秒間照射した後、石油エ
ーテルにて未硬化の組成物(y−1)及び形成された脱
気隔壁(4′)の細孔に充填された相分離剤を洗浄除去
して、凹部(4)全体を充填する形状に脱気隔壁
(4′)を形成した。
【0138】〔部材(B)の接着〕ポリスチレン(大日
本インキ化学工業社製の「ディックスチレン XC−5
20」)製の5cm×5cm×3mmの板(8)に、1
27μmのバーコーターを用いて、組成物(x−1)を
接着剤として塗布し、上で用いたと同じ紫外線を、フォ
トマスク無しで1秒間照射して塗膜を半硬化させ、その
状態で部材(A)と密着させて、紫外線をさらに30秒
間照射して、両部材を硬化した接着剤層(9)を介して
接着した。ポリスチレン板(8)と接着剤層(9)を併
せて部材(B)とした。
【0139】〔接続口の形成〕部材(B)の、導入部
(5)に相当する位置に1.6mmのドリルにて穴を穿
ち、その部分に直径1.6mmのステンレスパイプを接
着して、導入口(10)を形成した。同様にして部材
(B)の、流出部(6)に相当する位置に流出口(1
1)を形成した。さらに、減圧路の端(7)にも同様に
して、減圧口(12)を形成し、図2及び図3に示され
た形状の20サイクルのPCR用微小ケミカルデバイス
(#1)を得た。
【0140】〔試験〕 (使用試験)得られた微小ケミカルデバイス(#1)の
導入口(10)から、約10kPa(ゲージ圧)の圧を
かけて蒸留水を流入させたところ、蒸留水は流路
(2′)を流れて流出口(11)より流出した。その状
態のまま、減圧口(12)に真空ポンプを接続して、圧
力約20kPa(即ち、隔壁両側の圧力差は約90kP
a)に減圧したが、蒸留水は脱気隔壁(4′)を透過す
ることはなかった。さらに、その状態で、図2の仮想線
で囲まれた領域αを、95℃に調節された金属に接触さ
せ、接触面の反対側に約1mmの間隙をあけて厚さ3m
mの透明アクリル板を設置したが、流路(2′)中に気
泡が発生することはなかった。
【0141】〔確認試験〕 〔T−1〕脱気隔壁の流通試験 微小ケミカルデバイス(#1)に、蒸留水の代わりにエ
タノールを導入し、減圧口(12)を同様にして減圧し
たところ、エタノールは脱気隔壁(4′)を透過した。
このことから、脱気隔壁(4′)は連通多孔質体で形成
されていることがわかる。
【0142】〔T−2〕脱気隔壁の酸素透過速度 流出口(11)を閉じ、減圧口(12)にゲージ圧10
0kPaの酸素ガスを接続し、導入口(10)から流出
する酸素ガス(大気圧)の流量を測定して算出した多孔
質隔膜の酸素透過速度は、1.6×10-8[m3・m-2
・s-1・Pa-1]であった。
【0143】〔T−3〕孔径の観察 これらの試験の終了後に本PCR用微小ケミカルデバイ
スを破壊して脱気隔壁(4′)を取り出し、その断面を
SEMにて観察したところ、この脱気隔壁は、孔径約
0.5μmの多数の細孔を有する多孔質体であることが
確認された。
【0144】〔T−4〕流路を構成する素材の水との接
触角 組成物(x−1)を127μmのバーコーターを用いて
ガラス板に塗布し、紫外線を30秒間照射して硬化塗膜
を得た。この塗膜の、水との接触角は22度であった。
【0145】〔T−5〕脱気隔壁を構成する素材の水と
の接触角 相分離剤を含有しないこと以外は組成物(y−1)と同
様の組成物を調製し、これを127μmのバーコーター
を用いてガラス板に塗布し、紫外線を30秒間照射して
硬化塗膜を得た。この塗膜の水との接触角は108度で
あった。
【0146】[比較例1] 〔微小ケミカルデバイスの作製〕減圧路(3′)、空洞
部(4′)、及び脱気隔壁(4′)を設けなかったこと
以外は実施例1と同様にしてPCR用微小ケミカルデバ
イス(#C1)を作製した。
【0147】〔使用試験〕得られた微小ケミカルデバイ
ス(#C1)の導入口(10)から、実施例1と同じ圧
をかけて蒸留水を流入させたところ、蒸留水は流路
(2′)を流れて流出口(11)より流出した。その状
態で、図2の仮想線で示された領域αを、95℃に調節
された金属に接触させたところ、流路中に気泡が発生
し、反応溶液が途切れる現象が生じた。
【0148】[実施例2]本実施例では、部材(A)と
部材(B)との間に固体状物質(C)が充填されてお
り、該固体状物質(C)の欠損部として、流路、減圧
路、及び多孔質脱気隔壁が設けられたPCR用微小ケミ
カルデバイスの製造例を示した。
【0149】〔微小ケミカルデバイスの作製〕 〔部材(A)の作製〕ポリスチレン(大日本インキ化学
工業社製の「ディックスチレン XC−520」)製の
5cm×5cm×3mmの板に、127μmのバーコー
ターを用いて組成物(x−1)を塗布し、100mw/
cm2の紫外線を3秒間照射して、塗膜(13)を半硬
化させ、部材(A)(1)とした。
【0150】〔固体状物質(C)層の形成〕この半硬化
塗膜の上に、127μmのバーコーターを用いて組成物
(x−1)を塗布し、フォトマスクを使用して、図1に
示された、流路となる溝(2)、減圧路となる溝
(3)、及び凹部(4)以外の部分に、100mw/c
2の紫外線を3秒間照射して、照射部分の塗膜を半硬
化させた後、エタノールにて未照射部の未硬化の組成物
(x−1)を洗浄除去し、図1に示された形状の、幅2
00μm、深さ97μm、長さ1.5mの流路となる溝
(2)、幅200μm、深さ97μm、長さ5mmの減
圧路となる溝(3)、及び幅3mm、長さ1mm、深さ
97μmの凹部(4)が樹脂欠損部として形成された固
体状物質(C)層[図4に示す(14)]を形成した。
【0151】〔部材(B)の接着〕ポリスチレン(大日
本インキ化学工業社製の「ディックスチレン XC−5
20」)製の5cm×5cm×3mmの板(8)を部材
(B)として使用し、これに127μmのバーコーター
を用いて、組成物(x−1)を塗布し、上で用いたと同
じ紫外線をフォトマスク無しで1秒間照射し、塗膜
(9)を半硬化させ、その状態で固体状物質(C)層
(14)と密着させて、紫外線をさらに30秒間照射
し、固体状物質(C)層(14)の上に接着剤層(9)
を介して部材(B)(8)を接着した。
【0152】〔接続口の形成〕部材(B)(8)の、導
入部(5)に相当する位置に、1.6mmのドリルにて
穴を穿ち、その部分に直径1.6mmのステンレスパイ
プを接着して、導入口(10)を形成した。同様にして
部材(B)(8)の、流路の流出部(6)に流出口(1
1)を形成した。さらに、減圧路の端(7)にも同様に
して、減圧口(12)を形成した。
【0153】〔脱気隔壁の作製〕導入口(10)から組
成物(y−1)を導入し、流路(2′)、減圧路
(3′)、及び脱気隔壁が設けられる空洞部(4′)に
組成物(y−1)を充填し、部材(A)(1)側から、
フォトマスクを用いて、空洞部(4′)に紫外線を10
秒間照射した後、流入口(10)から未硬化の組成物
(y−1)及び相分離した相分離剤を吸引除去し、さら
に流路(2′)と脱気隔壁(4′)に石油エーテルを流
通させて洗浄して、空洞部(4′)全体を充填する形状
に脱気隔壁(4′)を形成し、PCR用微小ケミカルデ
バイス(#2)を得た。PCR用微小ケミカルデバイス
の立面図の模式図を図4に示す。
【0154】〔試験〕 〔使用試験〕得られた微小ケミカルデバイス(#2)を
用いて、実施例1と同様の使用試験を行い、同様の結果
を得た。
【0155】〔PCR用反応溶液の調製〕鋳型プラスミ
ドDNA:4.0μl、ポリメラーゼ[宝酒造株式会社製「TaK
aRa Ex Taq TM」]:2.0μl、緩衝液[宝酒造株式会社
製「10X ExTaq TM Buffer」]:8.0μl、基質 [宝酒造
株式会社製「dNTP Mixture (2.5mM each)」]:6.4μ
l、プライマー[宝酒造株式会社製「Fluorescein-Labele
d Primer M4 (1pmol/μl)」]:20μl、プライマー[宝酒
造株式会社製「Fluorescein-Labeled Primer RV-M (1pm
ol/μl)」]:20μl、及び滅菌蒸留水:19.6μlを混合し
て、反応溶液を調製した。
【0156】〔PCR試験〕図2の領域α、領域β、領
域γを各々95℃、45℃、75℃に温調した金属に接
触させ、接触面の反対側に約1mmの間隙をあけて厚さ
3mmの透明アクリル板を設置したこと、蒸留水の代わ
りに反応溶液を滞留時間20分となる流量で40分間流
したこと以外は上記使用試験と同様にしてPCR試験を
行った。反応中、気泡の発生は認められなかった。流出
口(11)より流出した反応溶液を採取し、電気泳動分
析にかけたところ、DNAが増幅されていることが確認
された。同じPCR試験を4回繰り返して実施した。得
られた電気泳動の結果はいずれも同様で、再現性良い結
果が得られた。
【0157】[比較例2] 〔微小ケミカルデバイスの作製〕減圧路(2′)、空洞
部(4′)、及び脱気隔壁(4′)を設けなかったこと
以外は実施例2と同様にして微小ケミカルデバイス(#
C2)を作製した。
【0158】〔使用試験〕得られた微小ケミカルデバイ
ス(#C2)を用いて、実施例2と同様のPCR試験を
行ったところ、比較例1の水試験の場合と同様の気泡の
発生が見られ、得られた反応生成物の電気泳動分析の結
果はいずれも濃度が異なり、その一部は極めて薄く、再
現性を欠く結果であった。
【0159】[実施例3] 〔微小ケミカルデバイスの作製〕実施例2と同様にし
て、開閉バルブ(図示せず)を介して減圧手段との接続
部(図示せず)を有する内径10mm、長さ50mmの
シリンダー状の減圧室(図示せず)が、減圧口(12)
に接続されて部材(B)表面に接着されて設けられてい
ること以外は、実施例2と同様のPCR用微小ケミカル
デバイス(#3)を作製した。
【0160】〔PCR試験〕得られた微小ケミカルデバ
イス(#3)を用いたこと、減圧室(図示せず)をシリ
ンジにて約30kPaに減圧してバルブ(図示せず)を
閉じ、減圧用シリンジを切り離した状態で試験を行った
こと以外は実施例2と同様にPCR試験を4回行った。
得られた電気泳動結果は実施例2と同様であり、優れた
再現性を有していた。
【0161】
【発明の効果】本発明は、流路内の溶液に溶解している
空気を連続的に除去出来るため、室温を超える高温、特
に90℃以上に加熱する反応部においても、液流路内で
溶液から溶存空気が析出することがなく、液切れや反応
溶液の液量変化が少なく、従って、流速や反応率の変動
が少なく再現性に優れた微小ケミカルデバイス、特にマ
イクロリアクター、PCRデバイスを提供することがで
きる。
【0162】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のPCR用微小ケミカルデバイスに使用
した表面に凹部を有する部材(A)を表面に直角な方向
から見た平面図の模式図である。
【図2】実施例のPCR用微小ケミカルデバイスに使用
した部材(B)を表面に直角な方向から見た平面図の模
式図である。
【図3】実施例1で作製したPCR用微小ケミカルデバ
イスの立面図の模式図である。
【図4】実施例2で作製したPCR用微小ケミカルデバ
イスの立面図の模式図である。
【符号の説明】
1 :部材(A) 2 :流路となる溝 2′:流路 3 :減圧路となる溝 3′:減圧路 4 :脱気隔壁形成部となる凹部 4′:空洞、及びそこに設けられた脱気隔壁 5 :導入部 6 :流出部 7 :減圧路の端 8 :ポリスチレン板 9 :接着剤層 10:導入口 11:流出口 12:減圧口 13:接着剤層 14:固体状物質(C)層 α:95℃温調領域 β:45℃温調領域 γ:75℃温調領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 14/00 B01J 14/00 D 4G075 C12M 1/00 C12M 1/00 A G01N 27/447 G01N 35/02 A 35/02 37/00 101 37/00 101 C12Q 1/68 A // C12Q 1/68 G01N 35/08 A G01N 35/08 27/26 301C Fターム(参考) 2G058 BA08 BB02 BB09 BB17 BB18 BB19 EB19 4B029 AA07 AA23 CC03 CC11 FA12 4B063 QQ42 QR32 QR55 QR62 QS32 4D006 GA02 GA25 GA41 HA41 JA02Z KA12 KA31 KB30 KE06Q MA03 MA06 MA22 MA40 MB03 MB06 MB10 MC22 MC24X MC28 MC37 MC42 MC53 MC58 MC65 NA42 NA54 PA05 PB02 PB12 PB62 PC38 PC67 PC80 4D011 AA08 AA16 AC01 4G075 AA32 AA61 AA63 AA65 BC06 BD01 CA65 DA02 DA18 EA06 EE21 FA14 FB12 FC02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部材中に微小な流路を有し、水不透過性
    で且つ気体透過性の脱気隔壁によって流路から分岐され
    た減圧路を有する微小ケミカルデバイス。
  2. 【請求項2】 流路が、少なくともその1つが室温より
    高い温度である異なる温度で設定された複数の領域を通
    して流れることを特徴とする請求項1に記載の微小ケミ
    カルデバイス。
  3. 【請求項3】 異なる温度で設定された複数の領域の中
    の低い温度領域において、流路から減圧路が分岐されて
    いることを特徴とする請求項1又は2に記載の微小ケミ
    カルデバイス。
  4. 【請求項4】 流路の(断面の幅×高さ)が(1μm×
    1μm)〜(1mm×1mm)の範囲にある毛細管状流
    路であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つ
    に記載の微小ケミカルデバイス。
  5. 【請求項5】 脱気隔壁の酸素透過速度が8×10-13
    [m3・m-2・s-1・Pa-1]以上であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずか1つに記載の微小ケミカルデ
    バイス。
  6. 【請求項6】 脱気隔壁が疎水性の連通多孔質体で構成
    されていることを特徴とする請求項5に記載の微小ケミ
    カルデバイス。
  7. 【請求項7】 微小ケミカルデバイスが、表面に溝を有
    する部材(A)と、部材(A)の溝が形成された面に接
    着された部材(B)で構成されており、流路が部材
    (A)の溝と部材(B)とで形成されたものである、請
    求項1〜6のいずれか1つに記載の微小ケミカルデバイ
    ス。
  8. 【請求項8】 脱気隔壁が、部材(A)の溝と同じ面に
    形成された凹部と部材(B)とで形成された空洞部内に
    設けられたものであることを特徴とする請求項7に記載
    の微小ケミカルデバイス。
  9. 【請求項9】 部材(A)と部材(B)の間に固体状物
    質(C)が充填された構造を有し、流路が固体状物質
    (C)の欠損部として形成されたものである請求項7に
    記載の微小ケミカルデバイス。
  10. 【請求項10】 脱気隔壁が、部材(A)と部材(B)
    の間に充填された固体状物質(C)の欠損部として形成
    された空洞部内に設けられたものであることを特徴とす
    る請求項7に記載の微小ケミカルデバイス。
  11. 【請求項11】 減圧状態を保持できる減圧室が減圧路
    に設けられている請求項1〜10のいずれか1に記載の
    微小ケミカルデバイス。
  12. 【請求項12】 微小ケミカルデバイスがマイクロリア
    クターである請求項1〜11のいずれか1に記載の微小
    ケミカルデバイス。
  13. 【請求項13】 マイクロリアクターがPCRデバイス
    である請求項12に記載の微小ケミカルデバイス。
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