JP2001070784A - バルブ機構を有する微小ケミカルデバイス - Google Patents

バルブ機構を有する微小ケミカルデバイス

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JP2001070784A
JP2001070784A JP24687299A JP24687299A JP2001070784A JP 2001070784 A JP2001070784 A JP 2001070784A JP 24687299 A JP24687299 A JP 24687299A JP 24687299 A JP24687299 A JP 24687299A JP 2001070784 A JP2001070784 A JP 2001070784A
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gap
mpa
microchemical device
flow path
tensile modulus
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JP24687299A
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English (en)
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Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Atsushi Teramae
敦司 寺前
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Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
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  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Feeding, Discharge, Calcimining, Fusing, And Gas-Generation Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小で構造が単純な、流路の開閉機構や流量
調節機構を備えた微小ケミカルデバイス提供すること。 【解決手段】 少なくともその一方が特定範囲の引張弾
性率を有する軟質素材で構成された特定範囲の厚みの部
材である2つの部材間に、毛細管状の流路と、流路の途
上に特定形状の空隙部を形成し、該空隙部を部材外から
圧迫する機構を備えることにより、流路の開閉や流量調
節を行う。また、該空隙部に相対する部材外表面に凸構
造を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材中又は部材上
に微小な流路、反応槽、電気泳動カラム、膜分離機構な
どの構造が形成された微小ケミカルデバイスであって、
化学、生化学、物理化学用などの微小反応デバイス(マ
イクロ・リアクター);集積型DNA分析デバイス、微
小電気泳動デバイス、微小クロマトグラフィーデバイス
などの微小分析デバイス、質量スペクトルや液体クロマ
トグラフィーなどの分析試料調製用微小デバイスとして
有用な微小ケミカルデバイスに関し、更に詳しくは、2
つの部材間に、流路となる部分を除いて固体状物質が充
填されて形成された毛細管状の流路を有すると共に、も
しくは表面に溝状の流路を有する部材と他の部材が接着
されて形成された毛細管状の流路を有すると共に、流路
の開閉や流体の流量調節機構を有する微小ケミカルデバ
イスに関する。
【0002】
【従来の技術】「サイエンス」(1998年、第282
巻、第484頁)などには、シリコン、石英、ガラス、
有機高分子重合体などの基材に、エッチング法により細
い溝を形成して、液体流路や分離用ゲルチャンネルと
し、必要に応じて、ガラス板などのカバーをその表面に
密着させて使用する微小ケミカルデバイスが開示されて
いる。このようなデバイスに液体を流す場合には、マイ
クロシリンジや微量送液ポンプなどにより圧送すること
により、流量調節を行う方法が採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな微小ケミカルデバイスを多数並列に設置し、同時に
稼働させる場合には、マイクロシリンジや微量送液ポン
プなどの送液手段が多数必要となる不都合があった。ま
た、抽出、透析、膜分離などの用途において、分流後の
各流路の流量を調節することは困難であった。
【0004】本発明が解決しようとする課題は、複数の
微小ケミカルデバイスを並列に設置して同時に稼働させ
る場合や、複数の流路を有するケミカルデバイスを使用
する場合に、全てのデバイスや全ての流路に同一の圧力
で流体を供給することが可能な微小ケミカルデバイスを
提供することにあり、また、流路の開閉や流体の流量調
節機構が組み込まれた微小ケミカルデバイスを提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決する方法について鋭意検討した結果、特定の引張
弾性率と特定の厚みを有する部材間に、流路の途上に特
定形状の空隙部を形成して、その部分を部材外から圧迫
することにより、流路の開閉や流量調節が可能であるこ
と、さらに、該空隙部に相対する部材外表面に凸構造を
設けることにより、流路の開閉や流量調節が容易に行え
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、(I)(イ)部材(A)と部材(B)の間に、流路
となる部分を除いて固体状物質を充填することにより、
もしくは(ロ)表面に溝を有する部材(A)の溝が形成
された面に他の部材(B)を接着することにより、互い
に接着された部材(A)と部材(B)との間に、部材
(A)と部材(B)との接着面に垂直な方向から見て幅
1〜1000μm 、奥行き1〜1000μm の毛細管状
の流路が形成された微小ケミカルデバイスであって、
毛細管状の流路の途上に空隙部を有し、該空隙部の幅が
毛細管状の流路の幅の0.5〜100倍であって、該空
隙部の最大の奥行きと最大の幅との比が1以下であるこ
と(ただし、該空隙部の部材(A)と部材(B)との接
着面と平行な面における流路方向の長さを空隙部の長
さ、該空隙部の該流路方向に対して垂直となる断面にお
ける該接着面に平行な方向の寸法及び垂直な方向の寸法
をそれぞれ空隙部の幅及び奥行きとする。)、部材
(A)及び部材(B)の少なくとも一方が、空隙部に相
対する部分が引張弾性率が1〜700MPaの素材で構
成されており、かつ、そのような引張弾性率を有する素
材で構成された空隙部に相対する部分の厚みの最小値が
10〜3000μm の範囲にあること、及び毛細管状
の流路の途上に設けられた空隙部を、上記で規定され
た引張弾性率と厚みとを有する部分を隔てて圧迫する機
構を有すること、を特徴とする微小ケミカルデバイスを
提供する。
【0007】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(II)部材(B)が、引張弾性率が1〜700MP
aの素材で構成され、かつ、厚みが10〜3000μm
の範囲にあるシート状の部材である上記(I)記載の微
小ケミカルデバイスを提供する。
【0008】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(III) 上記(I)ので規定された空隙部に相対
する部分が、引張弾性率が200MPa以下の素材で形
成された内側部分と、引張弾性率が該内側部分の素材よ
り高く、かつ、700MPa以下である素材で形成され
た外側部分との積層体である上記(I)又は(II)記載
の微小ケミカルデバイスを提供する。
【0009】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(IV)上記(I)ので規定された空隙部に相対す
る部分の表面の空隙部に相対する位置に凸構造が設けら
れた上記(I)、(II)又は(III) に記載の微小ケミ
カルデバイスを提供する。
【0010】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(V)上記(I)ので規定された空隙部に相対す
る部分を含む範囲の外側に、引張弾性率が700MPa
を越え10000MPa以下の範囲にある素材で形成さ
れ、かつ、厚みが0.5〜500μm の範囲にあるシー
ト状部材が積層された上記(I)、(II)、(III) 又
は(IV)に記載の微小ケミカルデバイスを提供する。
【0011】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VI)引張弾性率が700MPaを越え10000
MPa以下の範囲にある素材で形成されたシート状部材
の空隙部に相対する位置に凸構造が設けられた上記
(V)に記載の微小ケミカルデバイスを提供する。
【0012】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VII) 引張弾性率が700MPaを越え1000
0MPa以下の範囲にある素材で形成されたシート状部
材が、その内側と非接着状態で積層しており、空隙部に
相対する位置に設けられた凸構造が、内側に向かって凸
である上記(VI)に記載の微小ケミカルデバイスを提供
する。
【0013】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VIII)空隙部を圧迫する機構がバネ式のクランプ
である上記(I)〜(VII) のいずれかに記載の微小ケ
ミカルデバイスを提供する。
【0014】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(IX)空隙部を圧迫する機構が、部材(A)及び/
又は部材(B)に固定された部材(C)に設けられたネ
ジである上記(I)〜(VII) のいずれかに記載の微小
ケミカルデバイスを提供する。
【0015】さらに、本発明は上記課題を解決するため
に、(X)部材(A)及び部材(B)が有機高分子重合
体で形成されている上記(I)〜(VIII)のいずれかに
記載の微小ケミカルデバイスを提供する。
【0016】さらにまた、本発明は上記課題を解決する
ために、(XI)引張弾性率が1〜700MPaの範囲に
ある素材が、ポリウレタン系重合体、塩化ビニル系重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド系重
合体、ポリエステル系重合体及びポリオレフィン系重合
体なる群から選ばれた重合体である上記(I)〜(X)
のいずれかに記載の微小ケミカルデバイスを提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に成る微小ケミカルデバイ
スにおいては、互いに接着された部材(A)と部材
(B)との間に毛細管状の流路(以下、単に「流路」と
称する。)が形成されている。流路は、例えば、(イ)
部材(A)と部材(B)の間の、流路以外の部分に固体
状物質が充填されて形成されていても良いし、また、例
えば、(ロ)表面に溝を有する部材(A)の溝を有する
面に、他の部材(B)が接着されて形成されていても良
い。上記(イ)における流路は、部材(B)を上にした
時の底面が部材(A)、側面が充填された固体状物質、
上面が部材(B)で構成されており、上記(ロ)におけ
る流路は、底面と側面が部材(A)、上面が部材(B)
もしくは部材(B)に塗布された接着剤で構成されてい
る。なお、上記(イ)において、部材(A)と部材
(B)との間に充填された固体状物質によって部材
(A)と部材(B)は接着されているため、部材(A)
と部材(B)は流路状の空間を有する接着剤で接着され
ているともいえる
【0018】流路は、部材(A)と部材(B)との接着
面に垂直な方向から見て、幅は1μm 以上であり、好ま
しくは10μm 以上であり、また1000μm 以下であ
り、好ましくは500μm 以下である。部材(A)と部
材(B)との接着面に垂直な方向から見た流路の奥行き
は1μm 以上であり、好ましくは10μm 以上であり、
また1000μm 以下であり、好ましくは500μm 以
下である。流路がこれらの寸法より小さい場合には製造
が困難となる。また、流路ががこれらの寸法より大きい
場合には、本発明の効果が小さくなる傾向にあるので好
ましくない。流路の幅/奥行き比は、用途、目的に応じ
て任意に設定できるが、一般には、0.5〜10が好ま
しく、0.7〜5がさらに好ましい。流路の断面形状
は、矩形(角が丸められた矩形を含む。以下同じ)、台
形、円、半円形など任意である。なお、本発明において
は、流路の幅とは、流路断面の最大幅をいう。流路の幅
は一定である必要はない。
【0019】部材(A)と部材(B)との接着面に垂直
な方向から見た流路の形状は、用途目的に応じて直線、
分岐、櫛型、曲線、渦巻き、ジグザグ、その他任意の形
状であってよい。流路は、流路の他、反応場、混合場、
抽出場、分離場、流量測定部、検出部などとしても使用
できるし、流路に接続して流路以外の構造、例えば、貯
液槽、反応槽、膜分離機構、デバイス外へ接続口などが
形成されていても良い。
【0020】流路が部材(A)と部材(B)との間の流
路以外の部分に固体状物質が充填されて形成されている
構造の場合、固体状物質の厚みは必ずしも均一である必
要はないが、均一であることが好ましい。
【0021】流路が、表面に溝を有する部材(A)の溝
を有する面に他の部材(B)を接着して形成される場合
には、溝はその周辺部より低い、いわゆる溝として形成
されていても良いし、部材(A)表面に立つ壁の間とし
て形成されていても良い。部材(A)の表面に溝を設け
る方法は任意であり、例えば、射出成型、溶剤キャスト
法、溶融レプリカ法、切削、エッチング、フォトリソグ
ラフィー(エネルギー線リソグラフィーを含む)、エッ
チング法、蒸着法、気相重合法、溝となるべき部分を切
り抜いたシート状部材と板状部材との接着などの方法を
利用できる。部材(A)は複数の素材で構成されていて
もよく、例えば、溝の底と側面が異なる素材で形成され
ていても良い。部材(A)には、溝以外の構造部分、例
えば、貯液槽、反応槽、分析機構などとなる構造を設け
ることができる。
【0022】部材(A)の形状は、特に限定する必要は
なく、用途目的に応じた形状を採りうる。部材(A)の
形状としては、例えば、シート状(フィルム、リボンな
どを含む。以下同じ)、板状、塗膜状、棒状、チューブ
状、その他複雑な形状の成型物などであり得るが、部材
(B)と接着し易い点から、接着面が平面状の形状であ
ることが好ましく、シート状、板状又は棒状であること
が特に好ましい。部材(A)が表面に溝を有するもので
ある場合には、溝が形成された面が平面状の形状である
ことが好ましい。また、部材(A)は支持体上に形成さ
れたものであってもよい。複数の微小ケミカルデバイス
を1つの部材(A)上に形成することも可能であり、製
造後、これらを切断して複数の微小ケミカルデバイスと
することも可能である。
【0023】部材(B)は、部材(A)と部材(B)と
の間に、流路となる部分を除いて固体状物質を充填する
ことにより、部材(A)と部材(B)と固体状物質でも
って毛細管状の流路を形成することが可能なもの、ある
いは、表面に溝を有する部材(A)の溝が形成された面
に接着し、部材(A)の溝と部材(B)でもって毛細管
状の流路を形成することが可能なものであれば、その形
状、構造、表面状態などは任意である。これらについて
は、部材(A)の場合と同様である。部材(B)は、そ
の表面に溝が形成されている必要はないが、溝や溝以外
の構造が形成されていても良い。例えば、部材(B)
は、表面に溝が形成された部材(A)の鏡像体であって
もよい。エネルギー線硬化性化合物を接着剤として使用
し、溝が形成された部材(A)上に部材(B)を接着す
る場合であって、部材(A)が使用するエネルギー線を
透過させない場合には、部材(B)は使用するエネルギ
ー線を透過させるものである必要がある。
【0024】部材(A)と部材(B)との間の流路以外
の部分に固体状物質を充填することによって形成される
構造の流路を形成する方法は、例えば、部材(A)と部
材(B)の間にエネルギー線硬化性組成物を挟持し、部
材(A)及び/又は部材(B)の外部から、流路となる
部分を除いてエネルギー線を照射し、未硬化のエネルギ
ー線硬化性組成物を除去する方法、流路となるべき部分
を切り抜いた接着性のシート状部材を部材(A)と部材
(B)間に挟んで互いに接着する方法、流路となるべき
部分に、四フッ化エチレン製の棒状物の如き保護物質を
置き、接着剤や溶融樹脂を充填・固化した後、保護物質
を除去する方法、などを採ることができる。本法は工程
数は少ないが、流路径が小さくなると、未硬化のエネル
ギー線硬化性組成物や保護物質の除去が困難となるた
め、比較的寸法の大きな流路を形成する方法として好適
である。
【0025】表面に溝を有する部材(A)と部材(B)
の接着方法は、部材(A)の表面の溝が毛細管状の流路
として形成される方法であれば任意であり、溶剤型接着
剤の使用、無溶剤型接着剤の使用、溶融型接着剤の使
用、部材(A)及び/又は部材(B)表面への溶剤塗
布、熱や超音波による融着等を使用しうるが、無溶剤型
の接着剤の使用が好ましい。無溶剤型接着剤としてエネ
ルギー線硬化性樹脂を用い、エネルギー線照射により硬
化させて接着する方法が、微小なデバイスの精密な接着
が可能であり、生産性も高いことから、好ましい。ま
た、溝に保護材を充填した状態で接着した後、保護材を
除去する方法を採ることも可能である。部材(B)は接
着剤の硬化物そのものであってもよい。
【0026】本発明の微小ケミカルデバイスは、毛細管
状の流路の途上に空隙部を有する。即ち、空隙部は、そ
こが閉ざされると流路が遮断される位置に設けられる。
空隙部の、流路方向に対して垂直となる断面における高
さと幅をそれぞれ空隙部の奥行き及び幅と称し、該空隙
部の部材(A)と部材(B)との接着面と平行な面にお
ける流路方向の長さを空隙部の長さと称することにする
と、空隙部の幅は、毛細管状の流路の幅の0.5倍以
上、好ましくは0.7倍以上であり、100倍以下、好
ましくは10倍以下、さらに好ましくは3倍以下であ
る。幅がこれより狭いと流路の圧力損失が増し、これよ
り広いと、バルブ部の死容積が増すと同時に、バルブの
開閉又は流量調節による液体の移動が大きくなり、好ま
しくない。
【0027】また、該空隙部は、最大の奥行き/最大の
幅の比が1以下である。最大の奥行き/最大の幅の比が
1を超えると、バルブ、即ち、該空隙部を完全に閉状態
とすることが困難となる。空隙部の奥行きは、流路の奥
行きと同じであることが、製造が容易であり好ましい。
空隙部の長さは特に制限する必要はない。従って、空隙
部は、上記寸法を満足すれば毛細管状の流路そのもので
あっても良い。空隙部が長い場合には、後述の圧迫部位
が空隙部の一部であってよい。但し、空隙部の幅が毛細
管状の流路の幅より大なる場合には、空隙部の最大の長
さ/最大の幅の比は0.7以上であることが好ましい。
この場合、空隙部の長さがこれより短いとバルブを完全
に閉状態とすることが困難となる。空隙部は、幅が毛細
管状の流路の幅と同じか、それより広く、かつ、奥行き
が流路と同じか、それより浅いことが好ましい。
【0028】空隙部の形状は、空隙部の寸法が上記の範
囲内であれば任意であり、例えば、部材(A)と部材
(B)の接着面に垂直方向から見た形状が円、楕円、多
角形、矩形等であって良い。これらの中で、円又は矩形
であることが、製造が容易であり全閉が容易であるため
好ましい。また、部材(A)と部材(B)の接着面に平
行方向から見た断面形状は、例えば矩形、円錐又は角
錐、円又は楕円、半円などであって良いが、矩形である
ことが、製造が容易であるため好ましい。
【0029】本発明に成る微小ケミカルデバイスは、部
材(A)、部材(B)の少なくとも一方の、空隙部に相
対する部分が、引張弾性率(引張弾性率が測定困難な素
材については曲げ弾性率で代用する。)が1〜700M
Pa、好ましくは1〜400MPaである素材[以下、
このような素材を「軟質素材(m)」と称する]で構成
されている。この値を超えると流量の調節が困難になっ
たり、バルブ部分でデバイスの破壊が生じがちである。
本発明で言う素材の引張弾性率とは、素材が積層体、複
合体、発泡体などの場合には、その構造での引張弾性率
をいう。適当な引張弾性率の範囲は、空隙部の形状や、
軟質素材(m)で構成された空隙部に相対する部分の厚
さにも依存し、空隙部の奥行きが小であるほど、また空
隙部に相対する部分の厚さが薄いほど比較的高い引張弾
性率の素材を使用することが好ましい。引張弾性率の下
限は、自己保持可能な固体であれば小さくても使用可能
であるが、取扱の容易さの面から1MPa以上であり、
好ましくは3MPa以上、さらに好ましくは10MPa
以上である。引張弾性率が低いほどバルブの全閉が容易
であるが、強度や耐圧性が要求される場合や、軟質素材
(m)で構成された部分の厚さを薄くする場合には、比
較的高い引張弾性率の素材を使用することが好ましい。
【0030】部材(A)及び部材(B)の、空隙部に相
対する部分以外の部分については、他の素材で構成され
ていてもよいし、部材(A)、部材(B)の一方もしく
は両方の全体が軟質素材(m)で構成されていても良
い。部材(A)又は部材(B)の一方の全体が軟質素材
(m)で構成されていることが、製造が容易であり好ま
しい。空隙部が、部材(A)表面の凹部と部材(B)で
形成されている場合には、部材(A)は、少なくとも空
隙部の壁部分が軟質素材(m)で構成されていることが
好ましい。また、部材(A)と部材(B)の間に、流路
となる部分を除いて固体状物質を充填することにより部
材(A)と部材(B)と固体状物質でもって毛細管状の
流路が形成されたものである場合には、空隙部の壁とな
る部分の固体状物質は軟質素材(m)であることが好ま
しい。
【0031】軟質素材(m)は、破断伸び率が、好まし
くは5%以上、さらに好ましくは10%以上のものであ
る。特に、本発明におけるバルブ機構を繰り返し開閉す
る用途に供する場合には、この値を満足することが好ま
しい。但し、本発明のように、厚みの薄い軟質素材
(m)の面を圧迫変形させる使用方法においては、JI
S(例えば、JIS K−7127)による引張試験で
低い値を示す素材であっても破断しにくく、上記試験に
よる破断伸び率以上の歪みを与えても破壊することなく
使用可能である場合が多い。
【0032】部材(A)及び/又は部材(B)の、軟質
素材(m)で構成された空隙部に相対する部分の厚み
は、厚みに変動がある場合にはその最も薄い部分におい
て、10μm 以上であり、好ましくは50μm 以上であ
り、3000μm 以下であり、好ましくは1000μm
以下であり、さらに好ましくは500μm 以下である。
厚みが過小であると、耐圧性が低下したり、後述の圧迫
により該部分の破壊が生じ易くなり、過大であると全閉
が困難となる。但し、厚みの最適値は空隙部の奥行きに
も依存し、空隙部の奥行きが大であるほど厚みも大なる
ことが好ましい。
【0033】軟質素材(m)で構成された空隙部に相対
する部分の厚みの最小値が上記範囲にあれば、それ以外
の部分の形状や寸法は任意であるが、部材(A)及び/
又は部材(B)が軟質素材(m)からなるシート状であ
ることが好ましい。例えば、空隙部が、部材(A)に形
成された凹部と表面が平面である部材(B)とが接着さ
れて形成されている場合であって、部材(B)が軟質素
材(m)で構成されたシート状の部材である場合には、
部材(B)として、その厚みが10〜3000μm の範
囲にある部材を使用する。また、同じく、部材(A)が
軟質素材(m)で構成されたシート状の部材である場合
には、部材(A)として、空隙部を構成する凹部の深さ
を差し引いた厚みが10〜3000μm の範囲となるよ
うな厚みの部材を使用する。
【0034】部材(A)及び部材(B)の両者が軟質素
材(m)で構成されたものである場合には、少なくとも
その一方が、空隙部に相対する部分の厚みの最小値が上
記範囲にあればよい。これらの中で、部材(B)が軟質
素材(m)で構成されたシート状部材であることが、本
発明の効果を発揮し易く、かつ製造が容易であるため好
ましい。
【0035】軟質素材(m)で構成された部分を、引張
弾性率が1〜700MPaであって、かつ、異なる引張
弾性率を有する複数の素材の積層体とすることも好まし
い。この場合、空隙部に接する側を引張弾性率が1〜2
00MPaの素材、その外側を、空隙部に接する側の素
材より高く、700MPa以下の引張弾性率を有する素
材で構成することが好ましく、外側の素材を引張弾性率
が100〜700MPaの範囲にある素材とすることが
さらに好ましい。このような積層構造を採ることによっ
て、バルブの全閉を容易にすると共に、該部分を破壊し
にくくすることが容易となり、さらに、引張弾性率が1
〜10MPaであるような極軟質素材の使用が容易とな
り、破断伸び率が5%未満であるような素材の使用が容
易となり、さらに部材の厚みを薄くすることが可能とな
る。このような積層構造を採る場合には、軟質素材
(m)で構成された空隙部に相対する部分の厚みは、少
なくとも1つの層の厚みが10〜3000μm の範囲に
あればよいが、引張弾性率が1〜700MPaの素材の
層の合計がこの厚み範囲にあることが好ましい。
【0036】軟質素材(m)は、本発明の微小ケミカル
デバイスに使用する液体を透過させないものであれば任
意であるが、有機高分子重合体(以下、単に「重合体」
と称する)であることが好ましい。重合体は、単独重合
体であっても、共重合体であっても良く、また、熱可塑
性重合体であっても、熱硬化性重合体であっても良い。
生産性の面から、重合体は熱可塑性重合体又はエネルギ
ー線硬化性組成物の硬化物であることが好ましい。
【0037】軟質素材(m)として使用できる重合体と
しては、例えば、ポリエチレン、変性ポリオレフィン、
接着性ポリオレフィンの如きポリオレフィン系重合体;
塩化ビニル、塩化ビニリデンの如き塩素含有重合体;酢
酸ビニル系重合体;ポリウレタン系重合体;ポリアミド
系重合体;ポリエステル系重合体;エポキシ樹脂、など
が挙げられる。これらの重合体の中には、単独では規定
の引張弾性率の範囲から外れるものもあるが、可塑剤や
他の重合体などとのブレンドや、共重合体とすることに
より使用することができる。
【0038】軟質素材(m)として使用できる重合体
は、また、エネルギー線硬化性組成物の硬化物であるこ
とも好ましい。エネルギー線硬化性組成物は、必須成分
としてエネルギー線硬化性化合物を含有するものであ
り、エネルギー線硬化性化合物単独でもよく、複数種の
エネルギー線硬化性化合物の混合物でもよい。エネルギ
ー線硬化性組成物は、強度を増すために架橋重合体とな
るものが好ましい。エネルギー線硬化性組成物の硬化物
を架橋重合体とするためには、エネルギー線硬化性組成
物中に、多官能のモノマー及び/又はオリゴマーを含有
させることで実施できる。エネルギー線硬化性組成物
は、引張弾性率の調節や接着性の改良などを目的とし
て、単官能のモノマー及び/又はオリゴマーの混合物と
することが好ましい。
【0039】エネルギー線硬化性組成物を構成するエネ
ルギー線硬化性化合物は、ラジカル重合性、アニオン重
合性、カチオン重合性等任意のものであってよい。エネ
ルギー線硬化性化合物は、重合開始剤の非存在下で重合
するものに限らず、重合開始剤の存在下でのみエネルギ
ー線により重合するものも使用することができる。その
ようなエネルギー線硬化性化合物としては、重合性の炭
素−炭素二重結合を有するものが好ましく、中でも、反
応性の高い(メタ)アクリル系化合物やビニルエーテル
類、また光重合開始剤の不存在下でも硬化するマレイミ
ド系化合物が好ましい。
【0040】エネルギー線硬化性化合物として好ましく
使用することができる架橋重合性の(メタ)アクリル系
モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アク
リロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパ
ン、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ
ポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシ
ジピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビス(ア
クロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、
N−メチレンビスアクリルアミドの如き2官能モノマ
ー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、
トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロ
ラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレ
ートの如き3官能モノマー;ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレートの如き4官能モノマー;ジペン
タエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如き6
官能モノマー、などが挙げられる。
【0041】また、エネルギー線硬化性化合物として、
重合性オリゴマー(プレポリマーとの呼ばれる)を用い
ることもでき、例えば、重量平均分子量が500〜50
000のものが挙げられる。そのような重合性オリゴマ
ーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸
エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エス
テル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステ
ル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウ
レタン樹脂、などが挙げられる。
【0042】マレイミド系の架橋重合性のエネルギー線
硬化性化合物としては、例えば、4,4’−メチレンビ
ス(N−フェニルマレイミド)、2,3−ビス(2,
4,5−トリメチル−3−チエニル)マレイミド、1,
2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘ
キサン、トリエチレングリコールビスマレイミド、N,
N’−m−フェニレンジマレイミド、m−トリレンジマ
レイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミ
ド、N,N’−ジフェニルメタンジマレイミド、N,
N’−ジフェニルエーテルジマレイミド、N,N’−ジ
フェニルスルホンジマレイミド、1,4−ビス(マレイ
ミドエチル)−1,4−ジアゾニアビシクロ−[2,
2,2]オクタンジクロリド、4,4’−イソプロピリ
デンジフェニル=ジシアナート・N,N’−(メチレン
ジ−p−フェニレン)ジマレイミドの如き2官能マレイ
ミド;N−(9−アクリジニル)マレイミドの如きマレ
イミド基とマレイミド基以外の重合性官能基とを有する
マレイミド、などが挙げられる。
【0043】マレイミド系の架橋重合性オリゴマーとし
ては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミ
ドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイ
ミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマ
レイミドアルキレート、などが挙げられる。
【0044】マレイミド系のモノマーやオリゴマーは、
これら同士、及び/又はビニルモノマー、ビニルエーテ
ル類、アクリル系モノマーの如き重合性炭素・炭素二重
結合を有する化合物と共重合させることもできる。
【0045】これらの化合物は、単独で用いることもで
き、2種類以上を混合して用いることもできる。上に例
示した化合物の中に、単独ではその硬化物が指定の引張
弾性率の範囲から外れるものもあるが、他の共重合性化
合物、例えば単官能(メタ)アクリル系モノマーなどの
単官能モノマーや、可塑剤などの非反応性化合物を混合
使用することにより、それらを使用することができる。
【0046】エネルギー線硬化性組成物には、必要に応
じて、光重合開始剤を添加することもできる。光重合開
始剤は、使用するエネルギー線に対して活性であり、エ
ネルギー線硬化性化合物を重合させることが可能なもの
であれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始
剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤であって
良い。光重合開始剤は、マレイミド化合物であって良
い。
【0047】混合使用できる単官能マレイミド系モノマ
ーとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマ
レイミド、の如きN−アルキルマレイミド;N−シクロ
ヘキシルマレイミドの如きN−脂環族マレイミド;N−
ベンジルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−
(アルキルフェニル)マレイミド、N−ジアルコキシフ
ェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイ
ミド、2,3−ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェ
ニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2−エチ
ル−6−メチルフェニル)マレイミドの如きN−(置換
又は非置換フェニル)マレイミド;N−ベンジル−2,
3−ジクロロマレイミド、N−(4’−フルオロフェニ
ル)−2,3−ジクロロマレイミドの如きハロゲンを有
するマレイミド;ヒドロキシフェニルマレイミドの如き
水酸基を有するマレイミド;N−(4−カルボキシ−3
−ヒドロキシフェニル)マレイミドの如きカルボキシ基
を有するマレイミド;N−メトキシフェニルマレイミド
の如きアルコキシ基を有するマレイミド;N−[3−
(ジエチルアミノ)プロピル]マレイミドの如きアミノ
基を有するマレイミド;N−(1−ピレニル)マレイミ
ドの如き多環芳香族マレイミド;N−(ジメチルアミノ
−4−メチル−3−クマリニル)マレイミド、N−(4
−アニリノ−1−ナフチル)マレイミドの如き複素環を
有するマレイミド、などが挙げられる。
【0048】エネルギー線としては、紫外線、可視光
線、赤外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の如き電
離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線
の如き粒子線が挙げられる。
【0049】また、軟質素材(m)は、ポリマーブレン
ドやポリマーアロイであっても良いし、発泡体、積層
体、その他の複合体であっても良い。また、軟質素材
(m)は改質剤、着色剤など、その他の成分を含有して
いても良い。
【0050】軟質素材(m)に含有させることができる
改質剤としては、例えば、シリコンオイルやフッ素置換
炭化水素の如き疎水化剤(撥水剤);アニオン系、カチ
オン系、ノニオン系などの界面活性剤、シリカゲルの如
き無機粉末、ポリビニルピロリドンの如き親水性重合体
などの親水化剤;引張弾性率を調節するための可塑剤な
どが挙げられる。軟質素材(m)に含有させることがで
きる着色剤としては、例えば、任意の染料や顔料、蛍光
性の染料や顔料、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0051】部材(A)及び/又は部材(B)の、軟質
素材(m)で構成された部分を有する部材の表面の、空
隙部に相対する位置に、その周囲より凸である構造を設
けることも好ましい。凸構造の最大高さは、好ましくは
空隙部の奥行きの1倍以上であり、さらに好ましくは
1.5倍以上であり、好ましくは30倍以下であり、さ
らに好ましくは10倍以下である。凸構造の最大幅は、
好ましくは空隙部の最大幅の0.5倍以上であり、さら
に好ましくは1倍以上であり、好ましくは30倍以下で
あり、さらに好ましくは5倍以下である。凸構造の流路
方向の最大長さは、好ましくは空隙部の最大幅の0.5
倍以上であり、さらに好ましくは1倍以上である。凸構
造の流路方向の最大長さの上限は特に限定する必要はな
いが、バルブが開閉を目的としたものである場合には、
空隙部の最大幅の10倍以下であることが、開閉が容易
であり、かつ、開閉に伴なうバルブ部の容量変化が小と
なるので好ましい。バルブが流量調節を目的としたもの
である場合には、空隙部の最大幅の5倍以上とすること
が、調節が容易であり好ましい。凸構造の寸法は、空隙
部を覆う軟質素材(m)の厚みが厚いほど大きくするこ
とが好ましい。
【0052】凸構造の素材は任意であり、例えば、部材
(A)や部材(B)に使用できる素材を使用できる。こ
れらの中で、使用された軟質素材(m)以上の引張弾性
率を有する素材であることが、本発明の効果が発揮され
易いため好ましい。凸構造の製造方法は任意であり、例
えば、部材(A)、部材(B)間に空隙部を形成した後
に、その表面に凸構造の素材を接着、かしめ、他のフィ
ルムによるラミネートなどの方法により固定して形成す
る方法が挙げられる。あるいは、一体成形などによって
あらかじめ凸構造が形成された部材を使用することもで
きる。
【0053】このような凸構造を有する場合、部材
(A)及び/又は部材(B)の軟質素材(m)で構成さ
れた空隙部に相対する部分の最小の厚みは、凸構造が本
発明で使用されている軟質素材(m)と同じ素材で構成
されている場合には、凸構造を含む厚みとし、凸構造が
使用されている軟質素材(m)以外の素材で構成されて
いる場合には、凸構造を除いた厚みとする。凸構造の形
状は任意であり、例えば、円柱、角柱の如き柱状、円
錐、角錐の如き錐形、台形、半球形などでありうるが、
柱状又は半球状が好ましい。このような凸構造を設ける
ことによって、近接した流路の一方のみの開閉や流量
調節が容易となる、空隙部を圧迫する機構の正確な位
置合わせが不要になる、空隙部を圧迫する機構を平面
状とすることができるため、バルブの稼働が容易かつ確
実になる、といった効果が得られる。
【0054】軟質素材(m)で構成された空隙部に相対
する部分の外側に、引張弾性率が700MPaを越え、
10000MPa以下であり、好ましくは5000MP
a以下である素材[以下、このような素材を「中硬質素
材(n)」と称する。]を積層することも好ましい。引
張弾性率が、この値を超えると、全閉が困難となった
り、隣接するバルブ機構の一方のみの開閉が困難とな
る。積層は接着状態でも良いし、非接着状態であっても
良い。軟質素材(m)で構成された部分の表面に凸構造
を有する場合には、中硬質素材(n)層はその外側に接
着又は非接着で積層されていても良い。この層の厚みは
0.5μm 以上、好ましくは5μm 以上であり、500
μm 以下であり、好ましくは100μm 以下、さらに好
ましくは30μm 以下である。中硬質素材(n)層は厚
みが均一なシート状であることが好ましい。該層の厚み
が過小であると、該層の破壊を招き易く、逆に該層の厚
みが過大であると、全閉が困難となったり、隣接するバ
ルブ機構の一方のみの開閉が困難となる。該層を構成す
る素材の引張弾性率が高いほど厚みは薄いことが好まし
い。このような積層構造を設けることによって、引張弾
性率の小さい軟質素材(m)の使用が容易となるためバ
ルブの全閉が容易になり、耐圧性が向上し、該部分の破
壊強度が増し、さらに、部材の厚みを薄くすることが可
能となる。
【0055】中硬質素材(n)層の外側表面の空隙部に
相対する位置に、その周囲より凸である構造を設けるこ
とも好ましい。あるいは、シート状の中硬質素材(n)
層が、その内側と接着せずに積層しており、中硬質素材
(n)層の空隙部に相対する位置に、内側に向かって凸
である構造を設けることも好ましい。凸構造の寸法、形
状、及び凸構造を設けることの効果については、軟質素
材(m)で構成された部分に凸構造を設ける場合と同様
である。
【0056】中硬質素材(n)層に形成された凸構造の
素材は任意であり、例えば、部材(A)や部材(B)に
使用できる素材を使用できる。これらの中で、好ましく
は引張弾性率が700MPaを越えるものである。引張
弾性率の上限については特に限定を設ける必要はない。
凸構造の製造方法については、軟質素材(m)層に設け
られた凸構造の場合と同様である。中硬質素材(n)層
の上に凸構造が形成されている場合には、中硬質素材
(n)層の厚みは凸構造を除いた厚みとする。
【0057】部材(A)又は部材(B)が軟質素材
(m)以外の素材で構成された部分を有するものである
場合には、軟質素材(m)以外の素材は任意であり、例
えば、重合体、ガラス、石英の如き結晶、炭素、セラミ
ック、シリコンの如き半導体、金属などが使用できる
が、これらの中でも、易成形性、高生産性、低価格など
の点から重合体が特に好ましい。
【0058】軟質素材(m)以外の素材として使用する
重合体は、単独重合体であっても、共重合体であっても
良く、また、熱可塑性重合体であっても、熱硬化性重合
体であっても良い。生産性の面から、部材(A)に使用
する重合体は、熱可塑性重合体又はエネルギー線硬化性
組成物の硬化物であることが好ましい。
【0059】部材(A)に使用できる重合体としては、
例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポ
リスチレン/マレイン酸共重合体、ポリスチレン/アク
リロニトリル共重合体の如きスチレン系重合体;ポルス
ルホン、ポリエーテルスルホンの如きポリスルホン系重
合体;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリ
ルの如き(メタ)アクリル系重合体;ポリマレイミド系
重合体;ビスフェノールA系ポリカーボネート、ビスフ
ェノールF系ポリカーボネート、ビスフェノールZ系ポ
リカーボネートの如きポリカーボネート系重合体;ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン
−1の如きポリオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化
ビニリデンの如き塩素含有重合体;酢酸セルロース、メ
チルセルロースの如きセルロース系重合体;ポリウレタ
ン系重合体;ポリアミド系重合体;ポリイミド系重合
体;ポリ−2,6−ジメチルフェニレンオキサイド、ポ
リフェニレンサルファイドの如きポリエーテル系又はポ
リチオエーテル系重合体;ポリエーテルエーテルケトン
の如きポリエーテルケトン系重合体;ポリエチレンテレ
フタレート、ポリアリレートの如きポリエステル系重合
体;エポキシ樹脂;ウレア樹脂;フェノール樹脂、など
が挙げられる。これらの中でも、接着性が良好な点など
から、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、
ポリカーボネート系重合体、ポリスルホン系重合体、ポ
リエステル系重合体が好ましい。
【0060】部材(A)に使用する軟質素材(m)以外
の重合体は、また、エネルギー線硬化性組成物の硬化物
であることも好ましい。エネルギー線硬化性組成物は、
必須成分としてエネルギー線硬化性化合物を含有するも
のであり、エネルギー線硬化性化合物単独でもよく、複
数種のエネルギー線硬化性化合物の混合物でもよい。エ
ネルギー線硬化性組成物は、強度や高度を増すために架
橋重合体となるものが好ましい。エネルギー線硬化性組
成物の硬化物を架橋重合体とするためには、エネルギー
線硬化性組成物は多官能のモノマー及び/又はオリゴマ
ーを含有することが必要であるが、その他に、単官能の
モノマー及び/又はオリゴマーを混合することも可能で
ある。エネルギー線硬化性化合物はエネルギー線重合開
始剤の非存在下で硬化可能なものの他、エネルギー線重
合開始剤の存在下でのみエネルギー線により重合するも
のも使用することができる。エネルギー線硬化性化合物
としては、重合性の炭素−炭素二重結合を有する物が好
ましく、中でも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合
物やビニルエーテル類、また光重合開始剤の不存在下で
も硬化するマレイミド系化合物が好ましい。
【0061】本発明の微小ケミカルデバイスは、毛細管
状の流路の途上に設けられた空隙部を、上記で規定され
た引張弾性率と厚みとを有する部材を隔てて圧迫する機
構を備える。空隙部に相対する部分以外の部分が軟質素
材(m)以外の素材で構成されている場合には、圧迫す
る範囲は、軟質素材(m)で構成された範囲内である。
空隙部に相対する部分を含む広い範囲が軟質素材(m)
で構成されている場合には、圧迫する範囲は空隙部に相
対する部分であって、好ましくは空隙部の最大幅の0.
5倍以上であり、さらに好ましくは1倍以上であり、好
ましくは30倍以下であり、さらに好ましくは5倍以下
である。圧迫部の寸法がこれより小さいと、部材の破壊
が生じがちとなり、これより大きいと、目的とする流路
以外の流路や他の構造との干渉が生じがちとなる。圧迫
する範囲の流路方向の長さは、バルブが開閉を目的とし
たものである場合には、好ましくは空隙部の最大幅の
0.5倍以上であり、さらに好ましくは1倍以上であ
る。この場合、長さの上限は特に限定する必要はない
が、空隙部の最大幅の10倍以下であることが、開閉が
容易であり、かつ開閉によるバルブ部の容量変化が小と
なるため好ましい。バルブが流量調節を目的としたもの
である場合には、好ましくは空隙部の最大幅の0.5倍
以上であり、さらに好ましくは空隙部の最大幅の5倍以
上である。長さの上限は特に限定する必要はなく、流路
自体が空隙部であるような場合には、空隙部全体であっ
てよい。圧迫部の長さを長くする事は、流量調節が容易
となるため好ましい。いずれの場合にも、圧迫する範囲
は、空隙部を覆う軟質素材(m)の厚みが厚いほど大き
くすることが好ましい。また、圧迫機構は、本微少ケミ
カルデバイスに固定されたものであってもよいし、独立
したものであっても良い。
【0062】本発明の微小ケミカルデバイスが、その表
面に凸構造を有するものである場合、あるいは、凸構造
を有するシート状部材がその表面に積層されている場合
には、圧迫する部分の形状や寸法は特に限定されない。
他の凸構造を不必要に圧迫しない限り、部材の広い範
囲、場合によっては部材全体を圧迫しても、凸構造が設
けられた部分のみが変形し、開閉や流量調節が行われ
る。従って、この場合には、圧迫する機構の圧迫部分の
形状は任意の面積を持つ平面状であって良い。
【0063】空隙部を圧迫する機構は任意であり、例え
ば、おもり、バネ式やネジ式のクランプ;本微小ケミカ
ルデバイスに固定されたネジやバネ;モーター、電磁
石、圧空等によるアクチュエーター等であり得る。これ
らの中で、開閉バルブとして使用する場合には、バネ式
クランプが好適であり、流量調節バルブとして使用する
場合には、部材(A)及び/又は部材(B)に固定され
た部材(C)に設けられたネジであること好適である。
部材(C)は、その寸法、形状は任意であり、例えば、
軟質素材(m)で構成された部分を有する部材全体を覆
う構造であっても良いし、圧迫すべき部分のみに固定さ
れたものであっても良い。部材(C)の素材も任意であ
り、例えば、部材(A)や部材(B)に使用可能な、軟
質素材(m)以外の素材が使用できる。本微小ケミカル
デバイスが自動合成装置のような複雑なバルブ切り替え
を行う用途に使用される場合には、圧迫機構はアクチュ
エーターであることが好ましい。
【0064】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲
に限定されるものではない。なお、以下の実施例におい
て、「部」は、特に断りがない限り「重量部」を表わ
す。
【0065】<引張弾性率及び破断伸び率の測定> 〔測定試料〕板状もしくはシート状試料は幅10mm、長
さ100mmの短冊型に切断して試料とした。エネルギー
線硬化性組成物硬化物試料は、ガラス上にエネルギー線
硬化性組成物を塗布し、窒素気流中で、365nmにおけ
る強度50mW/cm2 の紫外線を30秒間照射して硬化さ
せた後、ガラス板から剥離し、幅10mm、長さ100mm
の短冊型に切断して試料とした。
【0066】これらの試料は、23℃、湿度50%の室
内に16時間以上時間静置した後に測定に供した。
【0067】〔測定〕引張試験器として東洋精機製作所
製の「ストログラフV1−C」を用い、24±1℃、湿
度55±5%雰囲気中で、掴み具間距離80mm、引張速
度20mm/分で測定した。
【0068】<エネルギー線硬化性組成物の調製>実施
例で使用するエネルギー線硬化性組成物の調製方法を以
下に示した。
【0069】〔エネルギー線硬化性組成物[e1]の調
製〕 「ユニディックV4263」(大日本インキ化学工業株
式会社製の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー)4
0部、「サートマーC2000」(ソマール社製のω−
テトラデカンジオールジアクリレート及びω−ペンタデ
カンジオールジアクリレートを主成分とするジアクリレ
ート混合物)60部、「イルガキュアー184」(チバ
ガイギー社製の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトンからなる紫外線重合開始剤)5部、及び2,4−
ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学社製
の重合禁止剤)0.1部を混合して、エネルギー線硬化
性組成物[e1]を調製した。
【0070】〔エネルギー線硬化性組成物[e2]の調
製〕 「ユニディックV4263」20部、「サートマーC2
000」80部、「イルガキュアー184」5部、及び
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.1
部を混合して、エネルギー線硬化性組成物[e2]を調
製した。
【0071】〔エネルギー線硬化性組成物[e3]の調
製〕テトラメチレングリコール(平均分子量650)マ
レイミドアセテート(特開平11−124403号公報
の合成例18に記載の方法によって合成した)50部、
及び「サートマーC2000」50部を混合して、エネ
ルギー線硬化性組成物[e3]を調製した。
【0072】〔エネルギー線硬化性組成物[e4]の調
製〕 「ユニディックV4263」100部、「イルガキュア
ー184」5部、及び2,4−ジフェニル−4−メチル
−1−ペンテン0.1部を混合して、エネルギー線硬化
性組成物[e4]を調製した。
【0073】<実施例1> 〔部材(A)の作製〕 「ディックスチレンXC−520」(大日本インキ化学
工業株式会社製のポリスチレン;以下、[p1]とい
う。)からなる2.5cm×5cm×厚さ3mmの平板状の基
材(1)を、電気式熱風トーチで加熱して表面を軟化さ
せ、180℃に熱したガラス製の鋳型(図示せず)に押
しつけて冷却した後、剥離し、基材(1)表面に、幅3
0μm 、深さ30μm 、長さ30mmの溝であって、断面
が概矩形の溝(2)、溝の途上に設けられた直径90μ
m 、深さ30μm の円筒形の凹部(3)を形成し、さら
に、溝(2)の両端部において直径0.5mmのキリ孔を
穿つことにより、流入口(4)と流出口(5)を形成し
て、図1に示した形状の部材(A)(以下、[A1]と
いう。)を作製した。
【0074】〔部材(B)の接着〕ポリプロピレン二軸
延伸フィルム(二村化学社製の「FOR」、厚さ30μ
m;図示せず)のコロナ処理面に、127μm のバーコ
ーターを用いてエネルギー線硬化性組成物[e1]を塗
布し、次いで、窒素雰囲気中で、ウシオ電機株式会社製
のマルチライト200型光源ユニットを用いて50mW/
cm2 の紫外線を1秒間照射して、流動性が喪失したもの
の不完全硬化の状態の塗膜とし、この塗膜面を部材[A
1]の溝が形成された面に貼り合わせた。次に、ポリプ
ロピレン二軸延伸フィルム側から同じ紫外線をさらに3
0秒間照射して塗膜を完全硬化させることによって、軟
質素材(m)であるエネルギー線硬化性組成物[e1]
の硬化物で構成された厚さ64μm のシート状の部材
(B)(以下、[B1]という。)(6)を形成すると
同時に、部材[A1]の表面に接着し、その間に毛細管
状の流路(2)とその途上に形成された空隙部(3)を
形成した。その後、ポリプロピレン二軸延伸フィルムを
剥離することによって、図1に示した形状の微小ケミカ
ルデバイス[D1]を作製した。
【0075】〔部材(B)の引張特性〕別途、エネルギ
ー線硬化性組成物[e1]硬化物フィルムを調製し、そ
の引張特性を測定した結果を表1に示した。表1には、
使用したポリスチレン[p1]の引張特性も示した。表
1から、エネルギー線硬化性組成物[e1]硬化物は、
軟質素材(m)であることがわかる。
【0076】〔圧迫機構の作製〕図2に示したような、
8mm×8mmの平面状の上部挟持部(12)と曲面状の下
部挟持部(13)を有し、上部挟持部(12)の中心に
M2のネジ孔が形成されており、該ネジ孔には先端が半
径0.25mmの半球形に丸められた円錐状に切削された
M2のネジ(14)がねじ込まれて、該挟持部の平面か
ら0.2mmだけ出た位置にロックナット(15)で固定
して突起部を形成したバネ式クランプ(11)を作製し
た。
【0077】〔流路の開閉試験〕流入部(4)からマイ
クロシリンジを用いてメチレンブルー(和光純薬株式会
社製)にて着色した水を毛細管に注入したところ、流出
部(5)から水が流出した。次に、上記で作製したバネ
式クランプを用いて、突起部にて、微小ケミカルデバイ
ス[D1]の空隙部(3)の上を部材(B)側から圧迫
した所、部材(B)は破壊されることなく水の流通が遮
断され、クランプを取り外すと流路は再び流通した。こ
のとき、部材(B)の破壊は認められなかった。この試
験を10回繰り返したが、すべて同様の結果であった。
【0078】<実施例2> 〔部材(A)の作製〕実施例1と全く同様にして作製し
た部材[A1]を使用した。
【0079】〔部材(B)の作製と接着〕実施例1と全
く同様にして、部材[B1]を作製すると同時に部材
[A1]に接着し、ポリプロピレン二軸延伸フィルムを
剥離した。
【0080】〔圧迫機構の作製〕部材[A1]に使用し
たものと同じポリスチレン製の板を用いて部材[A1]
と同寸法の部材[A2]を作製し、空隙部(3)に相当
する位置にネジ穴[M2]を設け、さらに先端が半径
0.25mmの半球形に丸められた円錐状に切削したネジ
を装着したものを部材[C2]とした。該部材[C2]
の周辺部に幅約5mmの範囲にエネルギー線硬化性組成物
[e4]を塗布し、部材[B1]側に重ねて紫外線にて
接着する事により、空隙部に相対する位置に圧迫機構が
固定された微小ケミカルデバイス[D2]を作製した。
【0081】〔流路の開閉試験〕流入部(4)からマイ
クロシリンジを用いて一定圧力でメチレンブルー(和光
純薬株式会社製)にて着色した水を注入したところ、流
出口(5)から水が一定流量で流出した。微小ケミカル
デバイスのネジを徐々に締めることにより部材[B1]
の上から空隙部(3)を圧迫すると、ネジを締める程度
に応じて流量が変化した。
【0082】<実施例3>本実施例では、軟質素材
(m)で構成された空隙部に相対する部分の表面に凸構
造が設けられた微小ケミカルデバイスの例を示す。
【0083】〔部材(A)の作製〕実施例1と全く同様
にして作製した部材[A1]を使用した。
【0084】〔部材(B)の作製と接着〕実施例1と同
様にして部材[B1]を作製し、部材[A1]と接着し
た後、空隙部(3)に相対する位置の部材[B1]表面
にエネルギー線硬化性組成物[e4]の小滴を置き、直
ちに紫外線照射して硬化させて、直径0.6mm、高さ
0.22mmの凸構造を有する微小ケミカルデバイス[D
3]を作製した。
【0085】〔圧迫機構の作製〕ネジ(14)、ロック
ナット(15)及びネジ穴を有せず、上部挟持部(1
2)が平面状であること以外は実施例1と同様の構造の
バネ式クランプを作製した。
【0086】〔流路の開閉試験〕作製したバネ式クラン
プを用い、上部挟持部(12)にて微小ケミカルデバイ
スの凸構造部を含む範囲を圧迫した所、水の流通は遮断
され、クランプを取り外すと、流路は再び流通した。本
実施例においては、実施例1と異なり、突起部の位置合
わせをせずとも確実に流路の開閉が可能であった。
【0087】<実施例4>本実施例では、部材(B)
が、2層から成るフィルム状の部材である微小ケミカル
デバイスの例を示す。
【0088】〔微小ケミカルデバイスの作製〕実施例2
において、エネルギー線硬化性組成物[e1]に代え
て、エネルギー線硬化性組成物[e2]を用い、ポリ
プロピレン二軸延伸シート「FOR」に代えて、軟質素
材(m)である「エラストランF564」(日本エラス
トラン社製のポリウレタン;以下、[m1]という。)
からなる厚み500μm の熱プレスシートを用い、かつ
部材(B)[B4]を形成した後、該シートを剥離す
ることなく、積層・接着された状態で微小ケミカルデバ
イスとした以外は、実施例2と同様にして、部材[B
4]が軟質素材(m)で形成された2層から成るシート
状の部材である微小ケミカルデバイス[D4]を作製し
た。
【0089】なお、使用したポリウレタンシート及びエ
ネルギー線硬化性組成物[e2]からなる硬化物の引張
特性を表1に示した。
【0090】〔流量調節試験〕実施例2と同様の試験を
行なったところ、実施例2と同様の結果を得た。さら
に、部材(B)がエネルギー線硬化性組成物[e2]の
硬化物の1層のみではネジで圧迫された部分に穴が開
き、液体が漏洩する程度に強くネジを閉めても、本実施
例ではそのようなことはなかった。また、部材(B)が
エネルギー線硬化性組成物[e2]の硬化物の1層のみ
ではネジで圧迫された部分に穴が開き、液体が漏洩する
程の回数の開閉を繰り返しても、本実施例ではそのよう
なことはなかった。即ち、部材(B)を異なる引張弾性
率を有する軟質素材(m)の2層構造とすることによ
り、微小ケミカルデバイスの破壊に対する余裕が増加し
たことがわかる。
【0091】<実施例5>本実施例では、軟質素材
(m)で構成された空隙部に相対する部分の表面に中硬
質素材(n)で構成されたフィルムが積層された微小ケ
ミカルデバイスの例を示す。
【0092】〔微小ケミカルデバイスの作製〕実施例2
において、エネルギー線硬化性組成物[e1]に代え
て、エネルギー線硬化性組成物[e2]を用い、ポリ
プロピレン二軸延伸シート「FOR」に代えて、中硬質
素材(n)である厚み40μm のシンジオタクチックポ
リスチレン二軸延伸フィルム(出光石油化学製;以下、
[n1]という。)を用い、かつ部材(B)[B4]
を形成した後、該シートを剥離することなく、積層・接
着された状態で微小ケミカルデバイスとした以外は、実
施例2と同様にして、圧迫機構を有する微小ケミカルデ
バイス[D5]を作製した。
【0093】なお、シンジオタクチックポリスチレン二
軸延伸フィルム[n1]の引張特性を表1に示した。
【0094】〔流路の開閉試験〕実施例4と同様の試験
を行なったところ、実施例4と同様の結果を得た。即
ち、軟質素材(m)で構成された空隙部に相対する部分
の表面に中硬質素材(n)で構成されたフィルムが積層
されたことにより、微小ケミカルデバイスの破壊に対す
る余裕が増加したことがわかる。
【0095】<実施例6>本実施例では、軟質素材
(m)と中硬質素材(n)が積層された表面に凸構造が
設けられた微小ケミカルデバイスの例を示す。
【0096】〔微小ケミカルデバイスの作製〕実施例5
において、シンジオタクチックポリスチレン二軸延伸
フィルム[n1]表面の、空隙部に相対する位置に、直
径約0.5mmのガラスビーズをエポキシ系接着剤を用い
て接着して部材[B6]とし、かつ実施例1で作製し
たバネ式クランプの代わりに実施例3で作製したバネ式
クランプを使用した以外は、実施例5と同様にして微小
ケミカルデバイス[D6]を作製した。
【0097】〔流路の開閉試験〕バネ式クランプにて微
小ケミカルデバイスの凸構造部を圧迫した所、水の流通
は遮断され、クランプを取り外すと、流路は再び流通し
た。但し、実施例1と異なり、突起部の位置合わせをせ
ずとも流路の開閉が確実に実施できた。
【0098】<実施例7>本実施例では、中硬質素材
(n)で構成されたシート状部材に設けられた凸構造
が、内側に向かって凸である微小ケミカルデバイスの例
を示す。
【0099】〔微小ケミカルデバイスの作製〕実施例2
において、エネルギー線硬化性組成物[e1]の代わ
りにエネルギー線硬化性組成物[e2]を用い、部材
[C2]の代わりに、シンジオタクチックポリスチレン
二軸延伸フィルム[n1]の表面に、直径0.5mmのガ
ラスビーズを接着することにより凸構造が形成されたシ
ート状部材を、凸構造が空隙部に相対する位置に成るよ
う、凸構造を(B)側にして積層し、周辺部5mmの範囲
を部材Bに接着した以外は、実施例2と同様にして微小
ケミカルデバイス[D7]を作製した。
【0100】〔流路の開閉試験〕実施例6と同様の流路
開閉試験を行ったところ、実施例6よりも弱い圧迫で、
確実な開閉が可能であった。
【0101】<実施例8>本実施例では、部材(A)
が、溝の壁部が軟質素材(m)、溝の底がそれ以外の素
材で構成されで構成されており、部材(B)が軟質素材
(m)で構成された微小ケミカルデバイスの例を示す。
【0102】〔部材(A)の作製〕基材として、「デル
ペット670N」(旭化成工業社製のアクリル樹脂)か
らなる2.5cm×5cm×厚さ2mmの平板を使用し、これ
に127μm のバーコーターを用いてエネルギー線硬化
性組成物[e1]を塗布し、次いで、窒素雰囲気中でフ
ォトマスクを通して、図1に示した溝(2)及び凹部
(空隙部)(3)となる部分以外の部分に、ウシオ電機
製のマルチライト200型露光装置用光源ユニットを用
いて50mW/cm2 の紫外線を30秒間照射して、エネル
ギー線硬化性組成物[e1]の硬化物とし、アセトンに
て未硬化のエネルギー線硬化性組成物[e1]を除去し
た。次いで、溝(2)の両端部において、アクリル樹脂
板及びエネルギー線硬化性組成物[e1]硬化物に直径
0.5mmのキリ孔を穿って流入口(4)及び流出口
(5)を形成し、底面がアクリル樹脂、壁面がエネルギ
ー線硬化性組成物[e1]硬化物で構成された幅108
μm 、深さ67μm の断面が慨矩形の溝(2)、溝の途
上に設けられた直径200μm 、高さ67μm の円筒形
の凹部(3)、流入口(4)及び流出口(5)を有す
る、溝の底面と側面が異なる素材で構成されていること
以外は、図1と同様の形状の部材[A8]を作製した。
【0103】〔部材(B)の接着〕実施例1において、
部材(A)として部材[A8]を用いた以外は、実施例
1と同様にして、微小ケミカルデバイス[D8]を作製
した。
【0104】〔圧迫機構の作製〕実施例1で作製したバ
ネ式クランプを使用した。
【0105】〔流路の開閉試験〕実施例1と同様の開閉
試験を行った結果、実施例1より確実な全閉が可能であ
ったこと以外は、実施例1と同様の結果を得た。
【0106】<実施例9>本実施例では、溝を有する部
材(A)が軟質素材(m)で、部材(B)がそれ以外の
素材で構成されており、部材(A)側から空隙部を圧迫
する微小ケミカルデバイスの例を示す。
【0107】〔部材(A)の作製〕ポリプロピレン二軸
延伸フィルム(二村化学社製の「FOR」、厚さ30μ
m)のコロナ放電処理面に、127μm のバーコーター
を用いてエネルギー線硬化性組成物[e3]を塗布した
後、ウシオ電機製のマルチライト200型露光装置用光
源ユニットを用いて、50mW/cm2 の紫外線を30秒間
照射して塗膜を硬化させた。次いで、硬化塗膜上に、1
27μm のバーコーターを用いてエネルギー線硬化性組
成物[e3]を塗布し、窒素雰囲気中で、フォトマスク
を通して図1に示した溝(2)及び凹部(3)となる部
分以外の部分に、先ほどと同じ50mW/cm2 の紫外線を
30秒間照射した後、アセトンにて未硬化のエネルギー
線硬化性組成物[e3]を洗浄除去することによって、
底面、壁面共にエネルギー線硬化性組成物[e3]硬化
物で構成された断面が慨矩形の溝(2)及び円筒形の凹
部(3)を有する、流入口(4)と流出口(5)を有し
ないこと以外は図1と同様の形状の部材[A9]を作製
した。溝の寸法は、幅108μm 、深さ75μmであ
り、凹部の寸法は、直径200μm 、高さ75μm であ
った。
【0108】〔部材(B)の作製と接着〕部材[A9]
の溝の両端部に相当する位置に流入口(4)と流出口
(5)となる直径0.5mmの孔が穿たれたアクリル樹脂
(旭化成工業社製の「デルペット670N」;以下[p
2]という。)からなる2.5cm×5cm×厚さ2mmの平
板に50μm のバーコーターを用いてエネルギー線硬化
性組成物[e3]を塗布した後、窒素雰囲気中で、流入
口(4)と流出口(5)となる孔以外の部分に先ほどと
同じ50mW/cm2 の紫外線を2秒間照射して、塗膜を流
動性は喪失したものの不完全硬化の状態とし、孔内の未
硬化樹脂を吸引除去した。不完全硬化の状態の塗膜の面
を部材(A)[A9]の溝が形成された面と貼り合わ
せ、アクリル樹脂板側から同じ50mW/cm2 の紫外線を
さらに30秒間照射して塗膜を完全硬化させることによ
って、部材[B9]を部材[A9]の表面に接着し、そ
の間に毛細管状の流路(2)とその途上に形成された空
隙部(3)を形成した。次に、部材(A)[A9]から
ポリプロピレン二軸延伸シートを剥離して、流入口
(4)と流出口(5)とが部材[B9]側に形成されて
いること以外は、図1に示したものと同様の形状の微小
ケミカルデバイス[D9]を作製した。
【0109】〔圧迫機構の作製〕実施例1で作製したバ
ネ式クランプを使用した。
【0110】〔流路の開閉試験〕バネ式クランプの突起
部を部材(A)側にして、空隙部に相対する位置を圧迫
したこと以外は実施例1と同様の試験を行い、実施例1
と同様の結果を得た
【0111】<実施例10>本実施例では、空隙部の奥
行きが流路の奥行きより浅い構造の微小ケミカルデバイ
スの例を示す。
【0112】〔微小ケミカルデバイスの作製〕ポリスチ
レン[p1]からなる2.5cm×5cm×厚さ3mmの平板
状の基材(21)の溝(23、28)の両端部となる位
置に直径0.5mmのキリ穴を穿って、流入口(25)と
流出口(26)を形成し、該流入口(25)と流出口
(26)の裏側を塗装用マスキングテープで目止めした
状態で、127μm のバーコーターを用いてエネルギー
線硬化性組成物[e4]を塗布した後、ウシオ電機製の
マルチライト200型露光装置用光源ユニットを用い
て、フォトマスクを通して底上げ部(29)となる部分
に50mW/cm2 の紫外線を30秒間照射した。次に、未
硬化部分をアセトンで洗浄除去して、図3に示した幅4
80μm 、長さ10mm、厚さ103μm の底上げ部(2
9)を形成して、部材[A10]とした。
【0113】部材[A10]の流入口(25)と流出口
(26)との裏側を目止めした状態で、底上げ部(2
9)を覆うように基材(21)上にエネルギー線硬化性
組成物[e4]を塗布した後、スペーサーとして、直径
約200μm 、長さ約1.5mmのガラス製ロッド(自
作、図示せず)15個を、溝(23、28)、空隙部
(24)、流入口(25)及び流出口(26)となる部
分を避けて配置した。これに、軟質素材(m)であるポ
リウレタン(日本エラストラン社製の「エラストランF
564」;以下、[m1]という。)の厚み約500μ
m の熱プレスシートからなる部材[B10]を被せた
後、窒素雰囲気中で、フォトマスクを通して図3に示し
た溝(23、28)、空隙部(24)、流入口(25)
及び流出口(26)となる部分以外の部分に、先ほどと
同じ50mW/cm2 の紫外線を照射した。紫外線照射後、
流出口(25)からの吸引と、アセトン洗浄により、未
硬化のエネルギー線硬化性組成物[e4]を除去して、
幅480μm 、深さ、190μm の溝と、幅480μm
、長さ480μm 、深さ87μm の上面から見て矩形
の空隙部(24)とが形成された微小ケミカルデバイス
[D10]を作製した。
【0114】〔圧迫機構の作製〕ネジの先端を半径1mm
の半球形とし、かつ、ネジの突出量を1mmに調節した以
外は、実施例1で作製したものと同様のバネ式クランプ
を作製し、使用した。
【0115】〔流路の開閉試験〕実施例1と同様の試験
を行ない、実施例1と同様の結果を得た
【0116】<実施例11> 〔微小ケミカルデバイスの作製〕ポリウレタン[m1]
の代わりに、ポリウレタン(日本エラストラン「エラ
ストランF580」)[m2]、軟質塩化ビニル(電
気化学工業「Z−4370」)[m3]、エチレン−
酢酸ビニル共重合樹脂(昭和電工「ショウレックスEV
A、BF05−6)[m4]、ポリアミドエラストマ
ー(大日本インキ化学工業「グリラックスA−10
0」)[m5]、ポリエステルエラストマー(大日本
インキ化学工業「グリラックスE−120」)[m
6]、変性ポリオレフィン(日本石油「NポリマーR
4100」)[m7]をそれぞれ使用した以外は、実施
例10と同様にして、微小ケミカルデバイス[D11−
1〜6]を作製した。
【0117】〔流路の開閉試験〕微小ケミカルデバイス
[D11−1〜6]について、それぞれ実施例10で使
用したと同じ圧迫機構を使用して実施例10と同様の試
験を行い、全て実施例10と同様の結果を得た
【0118】
【表1】
【0119】
【発明の効果】本発明の微小ケミカルデバイスは、単純
な構造で流路の開閉や流量調節をすることができる。本
発明の微小ケミカルデバイスは、反応、分析、検査など
の用途に使用するに当たり、デバイス毎に独立した送液
ポンプを必要とせず、共通の圧力で原液を供給できるた
め、多数を同時・並列処理することが容易であり、作業
効率の向上が計れる。また、本発明の微小ケミカルデバ
イスは、混合、反応、抽出、ろ過など、一つのケミカル
デバイスに複数の流体を流す用途においても、原液を共
通の圧力で供給しながら、流路毎の流量を調節すること
ができるため、装置を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した微小ケミカルデバイスの部
材(B)表面に垂直な方向から見た部分断面平面図及び
側面図である。
【符号の説明】
1 部材(A)の基材 2 部材(A)の溝、毛細管状の流路 3 部材(A)の凹部、空隙部 4 部材(A)の流入口 5 部材(A)の流出口 6 部材(B)
【図2】実施例1で作製したバネ式クランプの側面図で
ある。
【符号の説明】
11 バネ式クランプ 12 上側挟持部 13 下側挟持部 14 ネジ 15 ロックナット 16 バネ
【図3】実施例10で作製した微小ケミカルデバイスの
製造途中段階における部材(A)の、部材(A)表面に
垂直な方向から見た平面図(a)、及び、実施例10で
作製した微小ケミカルデバイスの部材(B)表面に垂直
な方向から見た部分断面平面図(b)である。
【符号の説明】
21 部材(A)の基材 22 エネルギー線硬化性組成物の硬化物 23 溝、毛細管状の流路 24 空隙部 25 流入口 26 流出口 27 部材(B) 28 溝、毛細管状の流路 29 底上げ部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)部材(A)と部材(B)の間に、
    流路となる部分を除いて固体状物質を充填することによ
    り、もしくは(ロ)表面に溝を有する部材(A)の溝が
    形成された面に他の部材(B)を接着することにより、
    互いに接着された部材(A)と部材(B)との間に、部
    材(A)と部材(B)との接着面に垂直な方向から見て
    幅1〜1000μm 、奥行き1〜1000μm の毛細管
    状の流路が形成された微小ケミカルデバイスであって、 毛細管状の流路の途上に空隙部を有し、該空隙部の幅
    が毛細管状の流路の幅の0.5〜100倍であって、該
    空隙部の最大の奥行きと最大の幅との比が1以下である
    こと、(ただし、該空隙部の部材(A)と部材(B)と
    の接着面と平行な面における流路方向の長さを空隙部の
    長さ、該空隙部の該流路方向に対して垂直となる断面に
    おける該接着面に平行な方向の寸法及び垂直な方向の寸
    法をそれぞれ空隙部の幅及び奥行きとする。) 部材(A)及び部材(B)の少なくとも一方が、空隙
    部に相対する部分が引張弾性率が1〜700MPaの素
    材で構成されており、かつ、そのような引張弾性率を有
    する素材で構成された空隙部に相対する部分の厚みの最
    小値が10〜3000μm の範囲にあること、及び 毛細管状の流路の途上に設けられた空隙部を、上記
    で規定された引張弾性率と厚みとを有する部分を隔てて
    圧迫する機構を有すること、を特徴とする微小ケミカル
    デバイス。
  2. 【請求項2】 部材(B)が、引張弾性率が1〜700
    MPaの素材で構成され、かつ、厚みが10〜3000
    μm の範囲にあるシート状の部材である請求項1記載の
    微小ケミカルデバイス。
  3. 【請求項3】 請求項1ので規定された空隙部に相対
    する部分が、引張弾性率が200MPa以下の素材で形
    成された内側部分と、引張弾性率が該内側部分の素材よ
    り高く、かつ、700MPa以下である素材で形成され
    た外側部分との積層体である請求項1又は2記載の微小
    ケミカルデバイス。
  4. 【請求項4】 請求項1ので規定された空隙部に相対
    する部分の表面の空隙部に相対する位置に凸構造が設け
    られた請求項1、2又は3に記載の微小ケミカルデバイ
    ス。
  5. 【請求項5】 請求項1ので規定された空隙部に相対
    する部分を含む範囲の外側に、引張弾性率が700MP
    aを越え10000MPa以下の範囲にある素材で形成
    され、かつ、厚みが0.5〜500μm の範囲にあるシ
    ート状部材が積層された請求項1、2、3又は4に記載
    の微小ケミカルデバイス。
  6. 【請求項6】 引張弾性率が700MPaを越え100
    00MPa以下の範囲にある素材で形成されたシート状
    部材の空隙部に相対する位置に凸構造が設けられた請求
    項5に記載の微小ケミカルデバイス。
  7. 【請求項7】 引張弾性率が700MPaを越え100
    00MPa以下の範囲にある素材で形成されたシート状
    部材が、その内側と非接着状態で積層しており、空隙部
    に相対する位置に設けられた凸構造が、内側に向かって
    凸である請求項6に記載の微小ケミカルデバイス。
  8. 【請求項8】 空隙部を圧迫する機構がバネ式のクラン
    プである請求項1〜7のいずれか1項に記載の微小ケミ
    カルデバイス。
  9. 【請求項9】 空隙部を圧迫する機構が、部材(A)及
    び/又は部材(B)に固定された部材(C)に設けられ
    たネジである請求項1〜7のいずれか1項に記載の微小
    ケミカルデバイス。
  10. 【請求項10】 部材(A)及び部材(B)が有機高分
    子重合体で形成されている請求項1〜9のいずれか1項
    に記載の微小ケミカルデバイス。
  11. 【請求項11】 引張弾性率が1〜700MPaの範囲
    にある素材が、ポリウレタン系重合体、塩化ビニル系重
    合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド系
    重合体、ポリエステル系重合体及びポリオレフィン系重
    合体なる群から選ばれた重合体である請求項1〜10の
    いずれか1項に記載の微小ケミカルデバイス。
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