JPH10117764A - Dna増幅装置 - Google Patents

Dna増幅装置

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JPH10117764A
JPH10117764A JP27457696A JP27457696A JPH10117764A JP H10117764 A JPH10117764 A JP H10117764A JP 27457696 A JP27457696 A JP 27457696A JP 27457696 A JP27457696 A JP 27457696A JP H10117764 A JPH10117764 A JP H10117764A
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JP
Japan
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dna amplification
temperature
sample
substrate
heating element
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Pending
Application number
JP27457696A
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English (en)
Inventor
Seiji Kondo
聖二 近藤
Etsuo Shinohara
悦夫 篠原
Nobuyoshi Tajima
信芳 田島
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Technology Research Association of Medical and Welfare Apparatus
Original Assignee
Technology Research Association of Medical and Welfare Apparatus
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】正確な温度測定と迅速な昇温、降温が行え、且
つ高速、高精度、高増幅率のPCR反応が行えるDNA
増幅装置を提供すること。 【解決手段】本発明のDNA増幅装置は、第一の基板1
03と、該第一の基板上に設けられ中間層102と、該
中間層上に設けられた第二の基板101とを具備し、中
間層に反応セル104を設け、第一の基板内に加熱体1
05及び温度検出部106が埋設される。また、中間層
には反応セルに連通した試料導入用流路117と試料排
出用流路118が形成され、第二の基板には、試料導入
部112と試料排出部111が形成される。本発明のD
NA増幅装置は、加熱体及び温度検出部を反応セルに隣
接した第一の基板内に形成したため正確な温度測定と迅
速な昇温、降温が行え、高速且つ高精度、高増幅率のP
CR反応が行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNAの増幅反応
を行って微量のDNAを増幅するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Cha
in Reaction 以下、PCRと略記する。)は、例えば、
特開平6−292579に示されているように、様々な
種類の核酸の混合物中から特定の核酸配列を増幅する方
法である。混合物中に2種類以上のプライマーと熱安定
性酵素及び4種類のデオキシリボヌクレオシド三リン酸
(dATP,dCTP,dGTP,dTTP)をいれ、
核酸を分離させる工程と、前記プライマーを結合させる
工程と、熱安定性酵素によってプライマーが結合した核
酸を鋳型としてハイブリダイゼーションさせる工程を少
なくとも1回以上繰り返すことによって、特定の核酸配
列を増幅させることができる。
【0003】更にPCRを前処理及び後処理を含め、自
動化した研究も行われている。例えば、特開平6−32
7476に示されているように、全血液を遠心分離し、
フェノール、クロロホルム溶液で抽出することで、全血
液中の核酸成分を精製する(前処理段階)。
【0004】次に、精製した核酸成分をバッファーに溶
解し、2種類のプライマー、熱安定性酵素、及び4種類
のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP,dC
TP,dGTP,dTTP)を入れ、熱サイクルを行う
ことで、目的の核酸配列を増幅する(PCR段階)。
【0005】最後に増幅した目的の核酸が含まれる反応
溶液をゲル電気泳動によって、プライマーなどの不純物
や、副生成物を除去する(後処理段階)。
【0006】また、PCRを行うための反応容器につい
てもいくつかの提案がなされている。例えば、特開平7
−75544に示されているように、DNA増幅反応に
必要な熱サイクルを実現するため、反応を毛管内で行
い、毛管を2つの恒温槽に通すことにより熱サイクルを
実現している。
【0007】このような手段により、反応容器を昇温、
降温させるときの温度勾配が短くなる利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開平6−29
2579は、DNA増幅反応に用いられる反応容器を昇
温または降温させることによって、熱サイクルを行って
いる。しかし、反応溶液の温度を直接測定して制御して
いないために反応溶液の温度制御が不正確になってしま
う問題があった。また、PCR反応を的確に行うには、
温度制御に加え、昇温及び降温を迅速且つ正確に行う必
要がある。反応セル内の試料溶液を迅速に昇温するため
には加熱体の加熱能力を高めるとともに試料溶液にでき
るだけ近づけることが必要となるが、試料溶液に加熱体
が直接接触してしまうと、特に加熱体が通電加熱を行う
場合、漏電や短絡を恐れがある。また、反対に試料溶液
を迅速に降温させるためには反応セル自体の熱容量を小
さくし、熱伝導率の高い材質で形成させることが必要と
なる。
【0009】従って、本発明は、正確な温度測定と迅速
な昇温、降温が行え、これによって高速であり、高精
度、高増幅率のPCR反応を行うことができるDNA増
幅装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、二枚の
基板と、該二枚の基板の間に挟まれた中間層と、前記中
間層に設けられた反応セルと、前記基板の一方に埋設さ
れた加熱体と、前記基板の一方に埋設された温度検出部
と、試料導入部及び試料導入流路と、試料排出部及び試
料排出流路とを具備したことを特徴とするDNA増幅装
置が提供される。
【0011】また、本発明では、上記のDNA増幅装置
において、前記加熱体及び温度検出部が埋設された基板
が有機薄膜層より成ることを特徴とするDNA増幅装置
が提供される。
【0012】更に、本発明では、上記のDNA増幅装置
において、前記有機薄膜層が非水溶性であり、且つ10
0℃までの耐熱性と電気絶縁性を有するDNA装置が提
供される。
【0013】以下に本発明のDNA増幅装置について説
明する。
【0014】本発明のDNA増幅装置は、二枚の基板を
具備する。該基板は、一方に加熱体及び温度検出部のよ
うな部材が含まれる。従って、これらの部材が埋設され
る該基板は、耐熱性でありかつ電気絶縁性であることが
必要である。
【0015】本発明においては、加熱体及び温度検出部
を埋設した基板(第一の基板)は、耐熱性を有し、かつ
電気絶縁性を有するものであれば特に限定されない。例
えば、耐熱性に優れた有機薄膜層を使用することができ
る。
【0016】有機薄膜層は耐熱性がよく、強度の強い材
質が好ましい。耐熱性に関しては、100℃程度までの
耐熱性を有することが好ましい。具体的には、ポリイミ
ド、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂
等のようなものを使用することができるが、本発明では
耐熱性及び強度の観点からポリイミドが最も適してい
る。
【0017】本発明のDNA増幅装置は、中間層を具備
する。中間層には、シリコン単結晶板(シリコンウェ
ハ)、石英、パイレックス等の非晶質基板、アルミニウ
ム、ステンレス等の金属基板、フッ素樹脂、ポリプロピ
レン等の有機基板を使用することができるが、後述する
作製方法の容易さと熱伝導率の高さからシリコン単結晶
板(シリコンウェハ)が最も優れている。
【0018】本発明のDNA増幅装置は、上記中間層の
前記第一の基板が設けられた側に対向する側に更に基板
(第二の基板)が設けられている。第二の基板として用
いることが可能な材質には、石英、パイレックス等のガ
ラス基板、シリコンウェハ、アルミニウム、ステンレス
等の金属基板、フッ素樹脂、ポリプロピレン等の有機基
板がある。これらのうち第二の基板としては、反応セル
内の視認性の観点から石英、パイレックス等のガラス基
板が優れている。また、熱伝導率の高さからはシリコン
ウェハが優れている。
【0019】本発明のDNA増幅装置は、加熱体を具備
する。該加熱体は、効率よく反応セルを加熱できる部材
であればよく、ある程度抵抗率の高い金属が適してい
る。具体的には、ニッケルクロム、チタン等の金属があ
る。
【0020】本発明では、加熱体は反応セル内の試料溶
液を効率よく加熱できる形状であれば特に限定されな
い。例えば、反応セルの全体を加熱できるように蛇行形
状の加熱体とすることができる。また、加熱体は1つで
ある必要はなく、2つ以上の加熱体を備えておき、反応
セルの中心部と周辺部という様に各部を別々に加熱でき
るようにしてもよい。
【0021】本発明のDNA増幅装置は、温度検出部を
具備する。該温度検出部は抵抗率の温度依存性が高く、
また0℃〜100℃の温度範囲において抵抗率が直線状
に変化する金属が好ましく、例えば白金、チタン等を好
適に使用することができる。
【0022】本発明では、温度検出部は反応セル内の温
度を効率よく検出できる形状であれば特に限定されな
い。例えば、U字形状とすることができる。また、温度
検出部は1つである必要はなく、2つ以上の温度検出部
を備えておき、反応セルの中心部と周辺部という様に各
部の温度を別々に測定できるようにしてもよい。
【0023】本発明では試料導入部及び試料排出部を具
備する。該試料導入部及び試料排出部はDNA等の試料
の非特異的吸着の少ない材料、柔軟性の高い材料から選
択することが好ましい。本発明においては、DNA等の
非特異的吸着が少ないことからテフロンチューブ、ポリ
プロピレンチューブ等が適しているが、柔軟性の高さの
観点からはシリコンゴムチューブも優れている。
【0024】加えて、本発明のDNA増幅装置には、上
記加熱体及び温度検出部を外部と接続するための配線及
び外部接続端子も具備する。該配線及び外部接続端子部
には抵抗が小さい金属が好ましく、アルミニウムが好ま
しい。ただし、アルミニウムで作製した外部接続端子部
はハンダが付きにくいのでアルミニウムの上に銅やニッ
ケル等の金属膜を形成しておくことが好ましい。
【0025】DNA増幅装置の形状は加工のしやすさか
ら正方形又は長方形の形状が好ましい。しかし、本発明
においてはこれに限定されず、例えば菱形、六角形若し
くは八角形等の多角形、円形、楕円形状が可能である。
長方形状の場合、反応セル大きさは、1辺が2〜50m
m、厚さが0.1〜0.6mmであることが適当である
が、厚さは薄い方が加熱体からの伝熱効率が高くなるの
で好ましい。反応セルの大きさは、上記範囲内で目的の
試料溶液量と考え合わせ適宜選択する。試料導入用流路
及び試料排出用流路は長辺が1〜50mm、短辺が0.1
〜10mmが適当であるが、反応セルの形状や、試料導入
部及び試料排出部に接合させるジョイント等の形状に合
わせて変更させる必要がある。例えば、反応セルが、一
辺10mmの正方形、厚さ0.5mmであり、試料導入用流
路及び試料排出用流路の長辺が10mm、短辺が3mmであ
る場合、セルの容量は50μlとなる。
【0026】本発明のDNA増幅装置は、正確な温度測
定と迅速な昇温、降温が行え、しかも高速、高精度、高
増幅率のPCR反応を行うことができる装置である。
【0027】本明細書中及び図面中において、同一の符
号は同一の部材を表すことを原則とする。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に本発明のDNA増幅装置を
実施の形態に沿って詳細に説明する。
【0029】以下に示す実施の形態では、上記第一の基
板として最も適している有機薄膜層を例に取り説明し
た。これは説明の便宜のためであり、本発明はこれに限
定されるものではない。上述のように第一の基板は、耐
熱性を有し、かつ電気絶縁性を有するものであれば特に
限定されない。また、特に示さない限り、基板とは、二
枚の基板のうち加熱体、温度検出部を設けていない基板
(第二の基板)を意味するものとする。
【0030】第一の実施の形態 本発明のDNA増幅装置の第一の実施の形態を図1から
図7を参照して説明する。
【0031】まず、図1及び図2を参照して本発明の第
一のDNA増幅装置を説明する。図1の(A)は、本発
明のDNA増幅装置の概略平面図であり、(B)は該概
略図のa−a断面図の概略である。また、図2(A)
は、上記図1の基板(101)を取り除いた状態を表す
概略平面図であり、図2(B)及び(C)は図2(A)
のb−b及びc−cでの断面図の概略である。
【0032】第一の実施の形態のDNA増幅装置は、有
機薄膜層103と、該有機薄膜層(103)上に設けら
れ中間層102と、該中間層(102)上に設けられた
基板101とを具備し、前記中間層(102)にPCR
反応を行う反応セル104を設け、前記有機薄膜層(1
03)内に加熱体105及び温度検出部106が埋設さ
れていることを特徴とする。また、該DNA増幅装置の
反応セル側壁部、即ち、中間層には反応セルに連通して
試料溶液を導入する試料導入用流路117と試料溶液を
排出する試料排出用流路118が形成されている。ま
た、前記基板には、試料導入部112及び試料排出部1
11が形成されている。試料導入部(112)及び試料
排出部(111)はそれぞれ試料導入用流路(117)
及び試料排出流路(118)と液体が流通するように設
けられる。更に、有機薄膜層内には、加熱体(105)
に連結されている配線部115、116及び外部接続端
子部107、108が設けられている。また、有機薄膜
層内には、温度検出部(106)と連結されている配線
部113、114及び外部接続端子部109、110が
形成されている。
【0033】上記構成から明らかなように、本実施の形
態は、加熱体及び温度検出部を埋設した基板に有機薄膜
層を使用するものである。しかし、本発明は、上述のよ
うに、耐熱性を有し、絶縁性を有する基板であれば有機
薄膜層以外の基板を使用することが可能である。
【0034】本実施の形態のDNA増幅装置は、後述す
るDNA増幅システム(図4)に組み込まれる。
【0035】本発明のDNA増幅装置の各部材の材質等
について以下に説明する。
【0036】有機薄膜層は耐熱性がよく、強度の強い材
質が好ましい。耐熱性に関しては、100℃程度までの
耐熱性を有することが好ましい。具体的には、ポリイミ
ド、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂
等のようなものを使用することができるが、本発明では
耐熱性及び強度の観点からポリイミドが最も適してい
る。
【0037】中間層は、シリコン単結晶板(シリコンウ
ェハ)、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、石
英、パイレックス等の非晶質基板、フッ素樹脂、ポリプ
ロピレン等の有機基板のようなものを使用することがで
きるが、後述する作製方法の容易さと熱伝導率の高さか
らシリコン単結晶板(シリコンウェハ)が最も優れてい
る。
【0038】また、基板には反応セル内の視認性の観点
から石英、パイレックス等のガラス基板が優れている
が、熱伝導率の高さからはシリコンウェハが優れてい
る。これらの材料には劣るが、アルミニウム、ステンレ
ス等の金属基板、フッ素樹脂、ポリプロピレン等の有機
基板を用いることも可能である。
【0039】加熱体は、効率よく反応セルを加熱できる
部材であればよく、ある程度抵抗率の高い金属が適して
いる。具体的には、ニッケルクロム、チタン等の金属が
ある。
【0040】本実施の形態では、加熱体は反応セル内の
試料溶液を効率よく加熱できる形状であれば特に限定さ
れない。例えば、図2に示したような形状とすることが
できる。また、加熱体は1つである必要はなく、2つ以
上の加熱体を備えておき、反応セルの中心部と周辺部と
いう様に各部を別々に加熱できるようにしてもよい。
【0041】温度検出部は抵抗率の温度依存性が高く、
また0℃〜100℃の温度範囲において抵抗率が直線状
に変化する金属が好ましく、例えば白金、チタン等を好
適に使用することができる。
【0042】本実施の形態では、温度検出部は反応セル
内の温度を効率よく検出できる形状であれば特に限定さ
れない。例えば、図2に示すような形状であればよい。
また、温度検出部は1つである必要はなく、2つ以上の
温度検出部を備えておき、反応セルの中心部と周辺部と
いう様に各部の温度を別々に測定できるようにしてもよ
い。
【0043】配線及び外部接続端子部には抵抗が小さい
金属が好ましく、アルミニウムが好ましい。ただし、ア
ルミニウムで作製した外部接続端子部はハンダが付きに
くいのでアルミニウムの上に銅やニッケル等の金属膜を
形成しておくことが好ましい。
【0044】試料導入部及び試料排出部はDNA等の試
料の非特異的吸着の少ない材料、柔軟性の高い材料から
選択することが好ましい。本発明においては、DNA等
の非特異的吸着が少ないことからテフロンチューブ、ポ
リプロピレンチューブ等が適しているが、柔軟性の高さ
の観点からはシリコンゴムチューブも優れている。
【0045】DNA増幅装置の形状は加工のしやすさか
ら正方形又は長方形の形状が好ましい。反応セルは、図
1(A)においては長方形状を示したが、本発明におい
てはこれに限定されず、後述するように、例えば菱形形
状であってもよい。これら以外でも、例えば六角形、八
角形等の多角形、円形、楕円形状等が可能である。長方
形状の場合、反応セル大きさは、1辺が2〜50mm、厚
さが0.1〜0.6mmであることが適当であるが、厚さ
は薄い方が加熱体からの伝熱効率が高くなるので好まし
い。反応セルの大きさは、上記範囲内で目的の試料溶液
量と考え合わせ適宜選択する。試料導入用流路及び試料
排出用流路は長辺が1〜50mm、短辺が0.1〜10mm
が適当であるが、反応セルの形状や、試料導入部及び試
料排出部に接合させるジョイント等の形状に合わせて変
更させる必要がある。具体的には、反応セルが、一辺1
0mmの正方形、厚さ0.5mmであり、試料導入用流路及
び試料排出用流路の長辺が10mm、短辺が3mmであるも
のを挙げることができる。このような場合、反応セルの
容量は50μlとなる。
【0046】DNA増幅装置の作製方法の一例を図3に
沿って説明する。操作手順の概略を以下に示す。以下の
例では、有機薄膜層にポリイミドを使用した例を示す。
なお、図3は、本実施例に従ったDNA増幅装置の製造
方法の一例であり、本発明に従ったDNA増幅装置の製
造方法を限定するものではない。
【0047】a)シリコンウェハ(301)を用意す
る。
【0048】b)シリコンウェハの両面に窒化シリコン
膜(302、303)を成膜する。
【0049】c)シリコンウェハの一方の主面の窒化シ
リコン膜(302)を反応セルの形状にエッチングし、
シリコンウェハの一方の主面(304)を露出させる。
【0050】d)窒化シリコン膜(303)上にポリイ
ミド膜(305)を形成する。
【0051】e)ポリイミド膜(305)の上に加熱体
(105)、温度検出部(106)となるチタン膜を形
成し、所定の形状に加工する。
【0052】f)加熱体、温度検出部を覆うようにポリ
イミド膜(306)を成膜する。
【0053】g)ポリイミド膜(306)を加熱体、温
度検出部の一部が露出するように加工する。
【0054】h)加熱体と温度検出部とが電気的に独立
して配線されるようにアルミニウム膜(308、30
9)を形成し、配線部(113、114、115、11
6)を形成する。
【0055】i)アルミニウム膜を覆うようにポリイミ
ド膜(310)を形成する。
【0056】j)アルミニウム膜の一部が露出するよう
にポリイミド膜(310)を加工する。さらに露出した
アルミニウム膜部分に無電解メッキ等の方法によりニッ
ケル膜(311、312)を形成させる。
【0057】k)工程c)で露出させたシリコンウェハ
の主面(304)側からシリコンウェハを異方性エッチ
ングし、構造体(313)を得る。
【0058】l)試料導入部及び試料排出部を形成させ
た基板(314)を接着剤によって接合する。
【0059】以下に上記作製例を順を追って更に詳細に
説明する。
【0060】(工程a) 所定の厚さのシリコンウェハ
(301)を用意する。シリコンウェハの厚さは、反応
セルの容量によって決定する。本発明の場合、後述する
ようにシリコンウェハを異方性エッチングすることによ
り反応セルを形成するが、この時、シリコンウェハを、
反応セルの形状にエッチングにより厚さ方向に全て浸食
させればシリコンウェハの厚みがそのまま反応セルの厚
さとなる。そのため、例えば厚さ300μm の反応セル
を作製したいときには300μm の厚みのシリコンウェ
ハを用意すればよい。異方性エッチングを途中で停止
し、浸食の程度を調節し、反応セルの厚さを調節するこ
ともできるが、加熱体(105)及び温度検出部(10
6)が反応セル中の試料溶液から離れてしまい、正確な
温度制御が難しくなるため好ましくない。また、シリコ
ンウェハ(301)は、フォトリソグラフィ等の加工を
行うため、両主面とも研磨されているシリコンウェハを
用意する。
【0061】(工程b) 次に、上記のシリコンウェハ
(301)の両主面に窒化シリコン膜(302、30
3)を形成する。シリコンウェハへの窒化シリコン膜の
形成はLPCVD(Low Pressure Chemical Vaper Depo
dition)等の装置によって100〜10,000オング
ストロームの膜厚に成膜する。これ以上に薄いと後のプ
ロセスで行う異方性エッチングのエッチング液でシリコ
ンウェハが侵されてしまう恐れがあり、これ以上厚く成
膜しても、成膜時間が長くなるのみで効率が悪くなる。
【0062】(工程c) 次に、シリコンウェハの両主
面に設けた窒化シリコン膜の一方(302)を反応セル
の形状にエッチングする。該窒化シリコン膜のエッチン
グはレジスト膜をフォトリソグラフィで反応セルの形状
に現像、定着させた後、RIE(Reactive Ion Ecthin
g)等の装置によって行う。
【0063】(工程d) 次に、エッチングされていな
い窒化シリコン膜(303)上に、ポリイミド膜(30
5)を形成する。ポリイミドの成膜は、ポリイミドの前
駆体であるポリアミック酸の溶液をシリコンウェハ上に
スピンコート等によって成膜した後、ポリアミック酸を
熱重合によってポリイミドに変化させる。この方法はポ
リイミド膜の平滑性や成膜の容易さから優れた方法であ
る。また、本作製例では、ポリイミド膜は3層形成させ
ているが1層分の厚みは1〜30μm が適当である。こ
れ以上薄くすると強度不足になり、これ以上厚くすると
スピンコートなどの塗布方法が困難となるからである。
また、ポリイミドはシリコンに比べ熱伝導率が非常に小
さいので膜厚をあまり厚くするとDNA増幅反応時の冷
却速度が遅くなる恐れがある。
【0064】(工程e) 次に、加熱体(105)及び
温度検出部(106)を設ける。本作製例では加熱体及
び温度検出部にはチタン膜を用いている。チタンは、加
熱体として電気抵抗率が47μΩ・cm(300K)と比
較的高いこと、温度検出部として温度係数が3.0(0
〜20℃)であり、同じ材料で加熱体と温度検出部の両
方に求められる特性を満たしていることからこの金属を
選択した。これにより、加熱体と温度検出部とを別々の
材料で形成させる時に比べて作製プロセスが大幅に短縮
される利点がある。加熱体及び温度検出部に求められる
特性を、それぞれにおいて考慮すれば、加熱体及び温度
検出部のそれぞれに更に適した材料を選択することも可
能である。
【0065】工程dで作成したポリイミド膜(305)
上にチタン膜を形成する。チタン膜の形成は、スパッタ
法を用いて行えばよい。次に、得られたチタン膜をエッ
チングし、所望の加熱体及び温度検出部の形状に加工す
る。チタン膜のエッチングは、レジストを成膜した後、
フォトリソグラフィを行い、更に現像、定着を行った
後、フッ酸と硝酸の混合液でエッチングを行う。
【0066】チタン膜の膜厚は要求される抵抗値によっ
て決定される。抵抗値はチタン膜の抵抗率×長さ÷断面
積で決まるため、チタン膜の形状によって調整する必要
がある。本作製例では500〜10,000オングスト
ロームの値が良好な範囲である。
【0067】(工程f及びg) 次に、上記加熱体及び
温度検出部を覆うようにポリイミド膜(309)を形成
し、該加熱体及び温度検出部の一部が露出するようにエ
ッチングして、加熱体及び温度検出部の一部が露出した
ポリイミド膜(307)を形成する。このようなポリイ
ミド膜は、ポリアミック酸を塗布した状態で熱重合を開
始する温度よりも少し低い温度で前処理をした後、レジ
ストを成膜し、これを常法に従い露光、現像し、次い
で、ポリアミック酸を溶解する溶液でエッチングし、レ
ジストを除去してから熱重合を開始する温度よりも高い
温度で熱処理し、ポリアミック酸をポリアミドに重合す
ることにより形成される。
【0068】(工程h) 次に、加熱体及び温度検出部
が独立して配線されるように配線部(113、114、
115、116)を形成する。配線部の部材としては、
上記のようにアルミニウムが好適である。まずアルミニ
ウム薄膜(308、309)を形成し、これをエッチン
グ処理して配線部を形成する。アルミニウムを用いて配
線する場合、膜厚は500〜50,000オングストロ
ームが良い。これ以上薄いと抵抗率が高くなり、また、
断線の可能性も高まる。これ以上厚くしても抵抗値は十
分小さいので、作製時間が長くなるのみで不利である。
アルミニウムのエッチングはリン酸水溶液で行う。手順
はチタンのエッチングと同様である。
【0069】(工程i及びj) 次に、配線部を覆うポ
リイミド膜(310)を形成し、エッチングして開口部
を設け、アルミニウム薄膜の一部が露出したポリイミド
膜を形成する。該ポリイミド膜の形成は上記工程f及び
gで説明したとおりである。次に、該開口部にニッケル
膜(311、312)を形成する。ニッケル膜は、無電
解メッキ等の通常の方法で行うことができる。
【0070】(工程k) 次に、反応セルを形成させ
る。反応セル部分の形成はシリコンウェハの異方性エッ
チングにより行う。シリコンウェハの異方性エッチング
は水酸化カリウム水溶液、テトラメチルアンモニウムジ
ハイドライド溶液等によって行うことができる。しか
し、水酸化カリウム水溶液でエッチングした場合、加工
精度や速度の面では良好であるが、カリウムイオンが残
存する危険性があるため、テトラメチルアンモニウムジ
ハイドライド溶液を使用する方が好ましい。本発明にお
いては、シリコンウェハに隣接して設けられた窒化シリ
コン膜(302、303)は、エッチング速度がシリコ
ンに比べて極めて遅いので、窒化シリコン膜が完全に露
出するまでエッチングを行うことができる。しかしなが
ら、前述したように窒化シリコン膜が完全に露出するま
でエッチングを行わなくても良い。また、異方性エッチ
ングのマスクとなる窒化シリコン膜のエッチングを作製
プロセス初期の段階(工程c)で行うのは窒化シリコン
膜のエッチング加工をしているときに反対側のポリイミ
ド膜を傷つけないためである。
【0071】(工程l) 次に、試料導入部及び試料排
出部を設けた基板を工程a〜kにより作成した構造体
(313)に、シリコンウェハを介して有機薄膜層に対
向する面に接合する。本工程では接着剤を使用すること
ができる。しかしながら、接着剤がDNA等の非特異的
吸着を起こす恐れがある場合には、接着する基板に低融
点ガラスを蒸着またはスパッタで成膜しておき、この基
板と構造体を熱融着しても良い。また、この他には陽極
接合をすることも考えられる。
【0072】次に、本発明のDNA増幅装置を備えたD
NA増幅システムについて説明する。
【0073】図4は、本発明に従ったDNA増幅システ
ムの一例である。
【0074】DNA増幅システム400は、本実施の態
様のDNA増幅装置404、PCR反応を行う試料をス
トックするための導入試料溶液容器401、反応セルで
PCR増幅反応が行われた試料溶液をストックするため
の排出試料容器408、温度検出装置410、加熱体検
出装置409、制御装置411、試料導入管402、試
料排出管407、ポンプ406及びバルブ403、40
5を具備する。
【0075】本発明のDNA増幅装置(404)には、
該DNA増幅装置に設けられた試料導入部(112)に
試料導入管(402)の一端が連結されている。また、
この管の他端は導入試料溶液容器(401)に連結され
ており、DNA増幅が行われる反応溶液が反応セルに流
通できるようになっている。導入試料溶液容器(40
1)は試料導入管(402)に脱着自在に取り付けられ
るようになっている。この試料導入管(402)の途中
には流路切り替えバルブ(403)が設けられている。
該バルブを用いて、所定量の試料を導入した後にDNA
増幅装置の反応セルと該バルブ間を開放にする。これに
より、DNA増幅反応中に加熱体によって、試料導入用
流路及び試料排出用流路、試料導入管、及び試料排出管
が不均一に加熱され、試料導入側と試料排出側とで内部
圧が異なってしまった場合においても、反応セル内の試
料溶液が内部圧力の不均一によって移動してしまうこと
を防ぐことができる。また、DNA増幅装置(404)
に設けられた試料排出部(111)には試料排出管(4
07)の一端が連結されている。また、この管の他端に
は排出試料容器(408)が連結されており、PCR反
応が行われた反応溶液が該排出試料容器に流通できるよ
うになっている。排出試料容器(408)は、試料排出
管(407)に脱着自在に取り付けられるようになって
いる。この試料排出管(407)には流路切り替えバル
ブ(405)が設けられている。このバルブにより、所
定量の試料を導入した後にDNA増幅装置の反応セルと
該バルブ間を開放にする。これは、上述のように不均一
な加熱による反応容器内の試料溶液の移動を防止するた
めである。更に、試料排出管(407)には試料溶液を
導入又は排出するためのポンプ406が設けられてい
る。上記の各容器、各管は、試料溶液内の反応試薬が付
着沈積しないような部材であることが好ましい。具体的
には、容器は、ガラス、ポリプロピレン、テフロン樹脂
等が好ましく、管は、テフロン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、シリコン樹脂等が好ましい。
【0076】DNA増幅装置(404)に埋設された加
熱体(105)に配線を通して連結されている外部接続
端子部(107、108)には加熱体検出装置(40
9)が連結されており、また、DNA増幅装置(40
4)に埋設された温度検出部(106)に配線を通して
連結されている外部接続端子部(109、110)には
温度検出装置(410)が連結されている。
【0077】更に本発明のDNA増幅システム(40
0)には、制御装置(411)、例えばマイクロコンピ
ュータ等が設けられており、前記加熱体検出装置(40
9)、温度検出装置(410)、流路切り替えバルブ
(403、405)、ポンプ(406)をこの制御装置
により個別に制御できるようになっている。
【0078】次に本発明の上記DNA増幅システムを用
いた場合のDNA増幅反応の手順を順を追って説明す
る。
【0079】1)DNA増幅反応を行うために必要な材
料と試薬を含む試料溶液を導入試料溶液容器(401)
に入れる。
【0080】2)流路切り替えバルブ(403、40
5)をそれぞれ試料導入管(402)と試料排出管(4
07)が反応セルを介して流通するように切り替え、ポ
ンプ(406)によって導入試料溶液容器内の試料溶液
をDNA増幅装置(404)に導入する。本発明のDN
A増幅装置は薄いため、反応セルに試料溶液を導入する
際、表面張力により気泡等の混入が起こりにくい。
【0081】3)DNA増幅装置の反応セル内に試料を
導入し終わった後、流路切り替えバルブ(403、40
5)を切り替え、反応セルを介して両バルブ間を開放に
する。これは、上述のように不均一な加熱による反応容
器内の試料溶液の移動を防止するためである。従って、
PCR反応時には、両バルブ(403、405)は開放
にしておく必要がある。両バルブを開放にしておいて
も、本発明のDNA増幅装置は試料導入部及び試料排出
部が共に細く、長いため試料溶液の蒸発は最小限に抑え
ることができる。
【0082】4)加熱体(105)に電圧を印加して加
熱体を発熱させる。加熱体への電圧の印加は加熱体検出
装置(409)を通して行う。
【0083】5)温度検出部(106)の抵抗値を温度
検出装置(410)を通して測定し、制御装置(41
1)で温度に変換し、90〜93℃になるまで加熱体へ
電圧の印加を行う。
【0084】6)温度が90〜93℃になったところ
で、制御装置により加熱体検出装置を介して電圧の印加
を調整し、1秒〜1分程度温度をこの温度に一定に保持
する。
【0085】7)加熱体への電圧の印加を中止し、反応
セルの温度を測定しながら温度を低下させる。
【0086】8)50〜55℃まで温度が低下したとこ
ろで加熱体への電圧の印加を再開し、1秒〜1分程度温
度をこの温度に一定に保持する。
【0087】9)加熱体への電圧の印加を調整し、温度
を65〜70℃に加熱する。
【0088】10)1秒〜3分程度温度をこの温度に一
定に保持する。
【0089】11)5〜10)を2〜1000回繰り返
す。
【0090】12)温度を室温まで下げ、流路切り替え
バルブ(405)を切り替え、試料排出管を介して反応
セルと排出試料容器が連通するように切り替える。
【0091】13)ポンプによって反応セル内の試料溶
液を排出試料容器に移す。
【0092】上記手順はPCR法を利用したDNA増幅
反応の一般的な手順を示している。従って、設定温度、
設定時間及び繰り返し回数は、上記範囲内で増幅したい
DNAの塩基配列及び塩基数、プライマーの塩基配列及
び塩基数、耐熱性酵素の活性範囲によって適宜選択する
必要がある。
【0093】本発明の実施の形態では、加熱体及び温度
検出部を有機薄膜層内に形成させ、この有機薄膜層が反
応セルに隣接して形成されていることに特徴がある。
【0094】反応セルに隣接した有機薄膜層内に加熱体
及び温度検出部を形成させることで、加熱体と反応セル
内の試料溶液が離れていることにより加熱効率が悪い
点、温度検出部を反応セル内に作製するときに作製プロ
セスが困難になる点、及び加熱体及び温度検出部がそれ
ぞれ短絡するという問題が解決できる。即ち、本発明の
DNA増幅装置を作製する場合、ポリイミド等の有機薄
膜を用いることで、スピンコート法等の膜厚の制御が可
能な方法を用いることができ、且つ平坦で薄い膜を容易
に作ることができる。更に、本発明の有機薄膜の原料と
してはポリイミドが最適であるが、これは、約350℃
までの耐熱性を有しているので、金属薄膜の成膜プロセ
スをポリイミド膜上で行うことができる。また、最終工
程の接合にも350℃までの温度を加えることができる
ため、熱融着や陽極接合の方法を利用でき、作製プロセ
スが容易となり、且つ製造工程も短縮することがきる。
従って、本発明のDNA増幅装置は、大量生産が可能で
あり、低コスト化も期待できる。更にポリイミド膜は高
強度であるため反応セルの一側面に設けることによっ
て、反応セルの基板としても十分利用でき、しかも絶縁
性能にも優れているため、膜内に様々な配線や電気部品
を配置できるという利点も有している。
【0095】また、有機薄膜層は1〜50μm と非常に
薄い膜であるため、熱伝導率の低さも問題になることは
なく、加熱体で発生した熱は高効率及び高速で反応セル
内の試料溶液に伝達され、加熱体への電圧印加を中止す
れば、試料溶液は高効率及び高速で放熱される。また、
温度測定においても反応セル内の試料溶液と温度検出部
との間は1〜30μm 程度のポリイミド薄膜で隔たって
いるだけであり、試料溶液の温度を正確に測定できる。
即ち、反応セル内の試料溶液の加熱冷却が高速になり、
これにより、DNA増幅反応に要する時間が短縮でき
る。また、正確な温度制御が可能となることで増幅率を
向上でき、且つ目的と異なったDNA断片を増幅すると
いう増幅ミスを抑制することができる。
【0096】上記実施の形態は、種々の変更が可能であ
る。以下にこれらの変形例について説明する。
【0097】なお、図5、図6、図7は図1及び図2で
説明したDNA製造装置の変形例である。
【0098】図5は、加熱体(105)の形状を変形し
たものである。図5に示すような形状にすることによ
り、加熱体で発生した熱が反応セル(104)内により
均一に伝えることができる。均一に加熱できることでD
NA増幅反応時の増幅ミスをより抑制できる。
【0099】図6は温度検出部(106)の形状を変形
したものである。図6に示すような形状にすることによ
り、反応セル内の温度をより広範囲で測定できる。図6
に示す実施の形態では温度検出部は1つであるが、2つ
以上の温度検出部を備えておき、反応セルの中心部と周
辺部という様に各部の温度を別々に測定できるようにし
てもよい。この例のように温度検出部を変更することに
より、より正確な温度測定ができるようになる。
【0100】図7は、反応セル(104)の形状を変形
した例である。図7に示すような菱形形状にすることに
より、試料導入用流路(117)から反応セル内に導入
される試料溶液の流れがスムースになるために反応セル
の周辺への気泡の付着をより抑制することができる。こ
れにより、反応セル内の温度分布の均一性が向上し、D
NA増幅反応の精度が向上する。また、反応セルの加熱
冷却時の気泡の膨張収縮により反応セルに圧力がかか
り、反応セルが破損する恐れもなくなる。
【0101】更に、上記実施の形態及び変形例におい
て、第一の基板は、耐熱性を有し、かつ電気絶縁性を有
するものを用いることができる。
【0102】第二の実施の形態 図8を参照して本実施の形態を説明する。図8(A)は
本実施の形態のDNA増幅装置の概略平面図であり、図
8(B)は図8(A)の反対の面から見た該約平面図で
あり、図8(C)は図8(A)のa−a断面図である。
本実施の形態は、第一の実施の形態の基板(101)を
有機薄膜層(801)に変え、加熱体(105)と温度
検出部(106)とをそれぞれ別の有機薄膜層に設けた
ことを特徴とする。即ち、図8(A)、図8(B)及び
図8(C)に示したように、本実施の形態は、図1及び
図2の基板(101)を有機薄膜層(801)とし、図
1及び図2において有機薄膜層(103)内に形成した
加熱体(105)及び温度検出部(106)をそれぞれ
別の有機薄膜層内に分離させて形成したことを特徴とし
ている。これにより、基板を使う場合よりも反応セルが
有機薄膜層で形成されている部分が多くなるため、より
反応セル内の試料溶液の放熱特性が向上する。従って、
DNA増幅反応の冷却時の速度がより速くなり、DNA
増幅反応に要する時間をより短縮できる。また、加熱体
と温度検出部の電気的な短絡が生じないためにより形状
に自由度を持たせることができる。
【0103】本例のDNA増幅装置の作製方法は、上記
工程eを、加熱体を形成させる過程(工程e’)と、温
度検出部を形成させる過程(工程e”)に分け、上記製
造方法の工程a)からk)までのプロセスを工程e’を
含むプロセスと工程e”を含むプロセスでおこない、構
造体(313)を2つ作製し、工程lにおいて有機薄膜
層が外側となるようにお互いを対向させて接合する。
【0104】本実施の形態においては、DNA増幅装置
の形状、大きさ、材質等は第一の実施の形態と同様であ
る。
【0105】また、本実施の形態は、第一の実施の形態
と同様の変更が可能である。
【0106】第三の実施の形態 図9を参照して本発明の第三の実施の形態を説明する。
図9(A)は本実施の形態のDNA増幅装置の概略平面
図であり、図9(B)は図9(A)のa−a断面図であ
る。
【0107】本実施の形態は反応セル(104)の側壁
部(901)、有機薄膜層(103)及び基板(10
1)に無機酸化膜(902、903、904)が形成さ
れていることを特徴とする。
【0108】本実施の形態は、第一の実施の形態で説明
したDNA増幅装置と形状、材質は同様であるが、無機
酸化膜が形成される点が異なる。
【0109】無機酸化物としてはシリコン酸化物を使用
することが作製プロセスが容易であり、効果が高いため
に適している。本実施の形態の作製方法は第一の実施の
形態において述べた方法と類似するが、作製プロセスの
途中にシリコン酸化膜を成膜する工程が必要となる。具
体的には、第3図を参照して説明した上記作製方法にお
いて、工程kの異方性エッチングの後にシリコン酸化膜
をスパッタ、陽極酸化等によって成膜し、これと接合さ
せる基板にもあらかじめシリコン酸化膜を成膜する。こ
のような方法によって反応セルの側壁部、有機薄膜層及
び基板にシリコン酸化膜を形成させる。
【0110】シリコン酸化膜の膜厚は50〜10,00
0オングストロームが適している。これ以上薄い膜厚で
はシリコン酸化膜にピンホール等の欠陥が多く生じるよ
うになり、これ以上厚くすると、シリコン酸化膜の熱伝
導率が低いためにDNA増幅反応時の冷却速度が低下し
てしまう。
【0111】また、図4に示したDNA増幅システムが
そのまま利用することができるため、DNA増幅反応も
第一の実施の形態と同様の手順で行うことができる。
【0112】DNA増幅反応にはDNA断片、耐熱性酵
素、プライマー、塩基、マグネシウムイオン等の試薬の
他に試料の調製方法によっては蛋白質等も混入する可能
性がある。蛋白質やDNA断片、耐熱性酵素は特に疎水
結合によって容器の内壁に非特異的に吸着することが知
られている。非特異的吸着が起こると試料成分の減少、
混合比の変化、細管の詰まり等の不具合が生じるため
に、非特異的吸着を抑制することは大変重要である。
【0113】非特異的吸着を抑制する方法として容器内
壁の表面を親水化する方法が採られている。本実施の形
態においてもシリコン酸化膜を反応セルの側壁部、有機
薄膜層及び基板に成膜することで、表面を親水化してい
る。加えて、本実施の形態の作製プロセスは、第一の実
施の形態で説明した作製プロセスを改良することで達成
されるために作製コストの上昇を抑えることができる。
【0114】非特異的吸着の他の抑制方法としては、種
々の親水性ポリマーで反応セルの側壁部、有機薄膜層及
び基板に膜を形成することも効果がある。本実施の形態
はシリコン酸化膜をスパッタ等の方法により成膜してい
るので、耐久性が高いという利点がある。また、シリコ
ン酸化膜はシランカップリング剤、チタンカップリング
剤等で容易に表面を修飾できるために、親水性ポリマー
を共有結合によって強固に成膜することも可能である。
【0115】また、本実施の形態は、第一の実施の形態
と同様の変更が可能である。
【0116】第四の実施の形態 図10から図13を参照して本発明の実施の形態を説明
する。まず、図10に示したDNA増幅装置について説
明する。図10(A)は本実施の形態のDNA増幅装置
の概略平面図であり、図10(B)及び図10(C)
は、それぞれ図10(A)のa−a及びb−bでの断面
図を表す。なお、本実施の形態を示す図(図10、図1
2及び図13)には反応セル内の構造を明示するために
基板を省略した。
【0117】図10(B)及び(C)に示されるよう
に、本実施の形態は有機薄膜層(103)内において加
熱体(105)と温度検出部(106)が異なる平面内
に形成されていることが特徴である。
【0118】本発明の実施の形態は加熱体と温度検出部
が有機薄膜層内において異なる面内に形成されている多
層構造になっていることに特徴がある。
【0119】有機薄膜層内にで加熱体及び温度検出部を
異なる平面内に形成させることにより、加熱体と温度測
定部の形状が自由に設計できる利点がある。DNA増幅
反応ではセル内の温度制御を±0.1〜0.5℃の精度
で行う必要があり、また、反応セル内を均一な温度分布
にする必要もある。反応セル内の温度分布が不均一であ
れば、温度が局所的に耐熱性酵素の不活化温度を超えて
しまう場合もあり、不活化温度を超えたところでの耐熱
性酵素の失活が起こるので、DNA増幅反応の増幅率が
低下する。また、プライマーとの結合反応時の温度が局
所的に高い場合、その場所ではプライマーとDNA断片
との結合が生じなくなり、やはりDNA増幅率の低下に
つながる。逆に、プライマーとの結合反応時の温度が局
所的に低い場合、その場所ではプライマーとDNA断片
との結合にミスマッチを起こす確率が高くなり、DNA
増幅反応の精度が低下する。本発明の実施の形態は加熱
体と温度検出部の形状をそれぞれ独立に自由に設計する
ことができるため、加熱体の形状を適宜選択することに
より反応セルを均一に加熱することが可能となる。ま
た、温度検出部も反応セル内の試料溶液の温度を正確に
測定できる形状に作製することが容易であるため、正確
な温度測定が可能である。また、反応セルに近い側に温
度検出部を形成することで、より正確な温度測定が可能
となる。
【0120】本実施の形態のDNA増幅装置の作製方法
の一例を図11に沿って説明する。ここでは、有機薄膜
層にはポリイミド膜を使用した例を示す。なお、図11
は、本実施例に従ったDNA増幅装置の製造方法の一例
であり、本発明に従ったDNA増幅装置の製造方法を限
定するものではない。
【0121】a)シリコンウェハ(1101)を用意す
る。
【0122】b)シリコンウェハの両面に窒化シリコン
膜(1102、1103)を成膜する。
【0123】c)シリコンウェハの片面の窒化シリコン
膜(1102)を反応セルの形状にエッチングし、シリ
コンウェハの一方の主面(1104)を露出させる。
【0124】d)窒化シリコン膜(1103)上にポリ
イミド膜(1105)を形成する。
【0125】e)該ポリイミド膜の上に温度検出部(1
06)となるチタン膜を形成し、所定の形状に加工す
る。
【0126】f)温度検出部を覆うようにポリイミド膜
(1106)を成膜する。
【0127】g)ポリイミド膜(1106)を温度検出
部の一部が露出するように加工する。
【0128】h)加熱体(106)及び温度検出部との
接触部となるチタン膜(1108)を形成し、所定の形
状に加工する。
【0129】i)加熱体及び温度検出部との接触部を覆
うようにポリイミド膜(1109)を成膜する。
【0130】j)該ポリイミド膜(1109)を加熱体
及び温度検出部との接触部の一部が露出するように加工
する。
【0131】k)加熱体と温度検出部との接触部が電気
的に独立して配線されるようにアルミニウム膜(111
0、1111)を形成し、配線部を形成する。
【0132】m)該アルミニウム膜(1110、111
1)を覆うようにポリイミド膜(1112)を製膜し、
アルミニウム膜の一部が露出するようにポリイミド膜を
加工する。更に、露出したアルミ膜部分に、無電解メッ
キ等の方法によりニッケル膜(1113、1114)を
形成させる。
【0133】n)工程c)で露出させたシリコンウェハ
の主面(1104)側からシリコンウェハを異方性エッ
チングし、構造体(1115)を形成する。
【0134】o)該構造体と試料導入部及び試料排出部
を形成させた基板(1116)とを接着剤によって接合
する。
【0135】上記に示した本実施の形態の作製方法は、
図3を参照して説明した第一の実施の形態のDNA増幅
装置の作製方法を変形したものである。上述のように、
第一の実施の形態と異なるのは、工程eから工程jにお
いて、加熱体と温度検出部を別々の工程で形成し、有機
薄膜層内で異なった平面に配置することにある。この他
の点、例えばDNA増幅装置の形状、材質等は第一の実
施の形態と同様である。また、本実施の形態は図4に示
したDNA増幅システムをそのまま利用できるため、第
一の実施の形態と同様の手順でDNA増幅反応を行うこ
とができる。
【0136】次に、本実施の形態の変形例を説明する。
以下の変形例では、DNA増幅装置のセルの形状、材質
等は上述の通りである。
【0137】まず、図12を参照して本実施の形態の第
一の変形例を説明する。図12(A)は本変形例に従っ
たDNA増幅装置の概略平面図であり、図12(B)及
び図12(C)は、それぞれ図12(A)のa−a及び
b−b断面図である。本変形例は、反応セル内の温度分
布をより均一にできるように加熱体及び温度検出部の形
状を変化させたものである。
【0138】本実施の形態は加熱体(105)が反応セ
ル(104)の底面全体を覆う形状をしている。このた
め、反応セルへの伝熱にむらがなく、均一な加熱ができ
る。これにより、DNA増幅反応時の局所的な温度の不
均一によるDNA増幅率の低下や、精度の低下を抑制す
ることができる。
【0139】次に、図13(A)及び図13(B)を参
照して、本実施例の第二の変形例を説明する。本変形例
は、図10で説明したDNA増幅装置の変形例である。
本変形例においては、加熱体(105)の形状は図5の
加熱体(105)と同じ形状である。更に、本変形例で
は、温度検出部(106)の形状を加熱体(105)の
形状と同様の形状としていることを特徴とする。このよ
うに、加熱体と温度検出部の形状を同じにすることによ
って、加熱体と温度検出部を重なり合わせることができ
る。本変形例において、温度検出部の形状を変更し、加
熱体と同じ形状としたことで、反応セル内の試料溶液の
温度がより正確に測定できる。従って、DNA増幅率の
低下や精度の低下を抑制することができる。
【0140】また、上記変形例においては、加熱体及び
温度検出部の形状は、上記第一の変形例及び第二の変形
例で説明した形状以外であってもよい。加熱体と温度検
出部を別の平面内に形成することができるので、この利
点を生かした温度分布の均一化と温度測定精度の向上が
期待できる形状であればよい。
【0141】第五の実施の形態 図14を参照して本実施の形態を説明する。図14
(A)は、本実施の形態に従ったDNA増幅装置の概略
平面図であり、図14(B)は図14(A)のa−a断
面図である。
【0142】図14(A)に示されるように、反応セル
の形状、加熱体及び温度検出部、並びに加熱体及び温度
検出部の形状及び材質は、第一の実施の形態と同様であ
る。
【0143】図14(B)に示されるように、本実施の
形態では、第一の実施の形態の中間層(102)に、加
熱体及び温度検出部を埋設した有機薄膜層(1401)
を形成したことを特徴としている。該有機薄膜層は、図
14(A)に示したように、反応セル全体に形成するの
ではなく、開口部(1402)を設け、試料溶液が反応
セル全体に行き渡るようにしておく。なお、本実施の形
態を示す図14には反応セル内の構造を明示するために
基板を図示していない。本実施の形態を実施するにあた
っては、上記第一の実施例と同様に基板を接合させた後
に使用する必要がある。
【0144】本発明の実施の形態は加熱体及び温度検出
部を埋設させた有機薄膜層をDNA増幅装置の中間層内
に設けたことを特徴とする。このような構造にすること
により、加熱体によって発生した熱は反応セル外に漏れ
ることなく全てが反応セル内の試料溶液に伝熱される。
また、温度検出部も反応セル内に設けられることになる
ので、試料溶液の温度を正確に測定することができる。
従って、加熱効率及び温度測定精度に優れた、DNA増
幅率の向上及び精度の向上が図れるDNA増幅装置を提
供することが可能となる。
【0145】本実施の形態のDNA増幅装置の作製方法
は、図3で説明した上記のDNA増幅装置の作製方法を
応用すればよい。例えば、図3の工程a〜kまでを行
い、構造体(中間層上部(1403))を形成してお
く。この時、有機薄膜層(1401)の加熱体及び温度
検出部が形成されている部分を除いて、有機薄膜層を除
去する。このとき、除去する部分は試料溶液の出入りを
考慮して、2カ所以上にすることが好ましい。また、加
熱体と温度検出部が埋設されている除去されずに残る有
機薄膜層部分が不安定にならないように注意する必要が
ある。このようにして、図14(A)に示したように、
反応液体が流通しうる開口部(1402)を設けること
ができる。有機薄膜層の除去は、ナイフなどできる採る
方法を用いてもよいし、レーザー加工等を用いることも
できる。レーザー加工法を用いれば切断面がきれいにな
るので好ましい。
【0146】次に、新たにシリコンウェハ基板を用意
し、図3の工程a〜cを行い、異方性エッチングにて所
定形状(図14(B)の中間層下部(1404))に加
工した基板を先に作製した構造体の有機薄膜層側に接着
する。次いで、工程lと同様の手順で基板を接着する。
【0147】本実施の形態は、上記第二の実施の形態か
ら第四の実施の形態と同様の構造を有するDNA製造装
置に変形することが可能であり、また第一及び第四の実
施の形態で説明した変形例と同様の変形を施すこともで
きる。これらの変形においても、DNA増幅装置の形
状、大きさ等、発熱体、温度検出部等の形状、材質は先
に説明したとおりであり、DNA作製方法においても、
上記の作製例と同様に変形すればよい。
【0148】第六の実施の形態 図15を参照して本実施の形態を説明する。図15
(A)は、本実施の形態に従ったDNA増幅装置の概略
平面図であり、図15(B)は図15(A)のa−a断
面図である。図15(C)は図15(B)の基板を取り
外した状態の図である。
【0149】本実施の形態のDNA増幅装置は、基板
(1501)に放熱のためのフィン(1502)を形成
させたこと、及び中間層に放熱のための溝(図示せず)
を設けたことを特徴とする。
【0150】本発明の実施の形態では、第一の実施の形
態の基板(101)に放熱のためのフィンを形成する。
フィンは、放熱の効率を上げるために設けるものであ
り、基板の表面積を大きくするように成形することが必
要である。例えば、基板上に2つ以上の溝を形成させ、
フィンを作製すればよい。具体的には、図15(A)に
示すような形状のフィンを設けた基板(1501)を用
いればよい。このような基板を取り付けることによっ
て、DNA増幅反応時の冷却効率を高めることができ
る。
【0151】また、本実施の態様では、反応セルを設け
る中間層にも放熱のための溝を設ける。
【0152】このように、本実施の態様のDNA増幅装
置では、フィン及び溝を設けたことにより、冷却速度が
速くなり、DNA増幅反応に要する時間が短縮される利
点がある。また、さらに冷却効率を上げたい場合には反
応セルの周囲にファンを付けるか冷却水を流すようにす
ることで対応できる。
【0153】本実施の形態は作製方法は図3又は図11
で説明したDNA増幅装置の作製方法を応用すればよ
い。例えば、図3の工程a〜kを行い、次いで基板(3
14)に、例えばシリコンウェハを用いる場合は、異方
性エッチング等で溝を形成させ、フィンを造形し、更に
工程lで先に得られた構造体(313)とフィンを形成
した基板を接合すればよい。特に、図15に示したよう
な形状の基板(1501)に加工する場合は、等方性ま
たは異方性エッチングが適している。その他の基板を用
いる場合は機械加工等の方法を用いても良い。
【0154】中間層に設ける溝は、前記製造方法の中間
層を加工する工程で設ければよい。例えば、図3の工程
c)で反応セルに相当する部分を加工するときに、該加
工方法と同様の手段を用いて溝を設ければよい。
【0155】本実施の形態は、上記第二の実施例から第
四の実施例と同様の構造を有するDNA製造装置に変形
することが可能であり、また第一及び第四の実施の形態
で説明した変形例と同様の変形を施すこともできる。こ
れらの変形においても、DNA増幅装置の形状、大きさ
等、発熱体、温度検出部等の形状、材質は先に説明した
とおりであり、DNA作製方法においても、上記の作製
例と同様に変形すればよい。
【0156】第七の実施の形態 図6を参照して本実施の形態を説明する。図16(A)
は本実施の形態に従ったDNA増幅装置の概略平面図で
あり、図16(B)は図16(A)のa−a断面図であ
る。
【0157】この発明の実施の形態では、図16(A)
及び図16(B)に示されるように、試料排出流路(1
18)に、試料溶液に接するように2つ以上の電極(1
611、1612)を形成させたことを特徴とする。
【0158】電極は僅かの間隔を開けて近接して設け
る。該電極は、外部接続端子部1613、1614によ
り制御装置等に接続され、印加される。この電極を設け
る以外、本実施の形態に従ったDNA増幅装置の他の構
成は、上記第一の実施の形態と同様である。
【0159】本実施の形態のDNA増幅装置では、前記
の近接して設けた電極間に電圧を印加しておく。試料溶
液が導入されない状態では、電極(1611、161
2)間に隙間があいているため通電せず、両電極間に電
流は流れない。しかし、試料溶液が導入され両電極(1
611、1612)と接触すると、該電極間に電流が流
れる。この電流を検出することで電極に試料溶液が接触
したことを知ることができ、試料溶液が試料排出管まで
満たされたことを知ることができる。従って、試料溶液
の導入を開始した後、この電流を検出した時点で試料溶
液の導入を止めれば、自動で反応セル内へ試料溶液を導
入することができる。このように、本実施の形態のDN
A増幅装置は、PCR反応を容易に自動化できる増幅装
置である。
【0160】次に、本実施の形態に従ったDNA増幅装
置の作製方法を図17を参照して説明する。ここでは、
有機薄膜層としてポリイミド膜を使用した例を示す。な
お、図17は、本実施例に従ったDNA増幅装置の製造
方法の一例であり、本実施例に従ったDNA増幅装置の
製造方法を限定するものではない。
【0161】本発明に従ったDNA増幅装置は以下の手
順に従って製造することができる。
【0162】a)シリコンウェハ(1701)を用意す
る。
【0163】b)シリコンウェハの両面に窒化シリコン
膜(1702、1703)を成膜する。
【0164】c)シリコンウェハの片面の窒化シリコン
膜(1702)を反応セルの形状にエッチングし、シリ
コンウェハの主面(1704)を露出させる。
【0165】d)反対側の面の窒化シリコン膜(170
3)上にポリイミド膜(1705)を形成する。
【0166】e)電極(1611、1612)の形状に
ポリイミド膜をエッチングにより加工する。
【0167】f)電極となるチタン膜(1706)を成
膜し、電極の形状に加工する。
【0168】g)工程d)で成膜したポリイミド膜の上
に加熱体(105)と温度検出部(106)に相当する
チタン膜を形成し、所定の形状に加工する。
【0169】h)加熱体、温度検出部及び電極を覆うよ
うにポリイミド膜(1707)を成膜する。
【0170】i)該ポリイミド膜(1707)を加熱
体、温度検出部及び電極(1611、1612)の一部
が露出するように加工する。
【0171】j)加熱体、温度検出部及び電極が電気的
に独立して配線されるようにアルミニウム膜(170
7、1708、1709))を形成し、配線部を形成す
る。
【0172】k)アルミニウム膜を覆うようにポリイミ
ド膜(1710)を形成する。
【0173】l)アルミニウム膜の一部が露出するよう
にポリイミド膜を加工する。更に、露出したアルミニウ
ム膜部分に、無電解メッキ等の方法によりニッケル膜
(1711、1712、1713)を形成させる。
【0174】m)工程c)で露出させたシリコンウェハ
の主面(1704)側からシリコンウェハを異方性エッ
チングする。
【0175】n)窒化シリコン膜を除去し、構造体(1
714)を形成する。
【0176】o)試料導入部及び試料排出部を形成させ
た基板(1715)を構造体(1714)に接着剤によ
って接合する。
【0177】上記作製方法は、図3を参照して説明した
第一の実施の形態のDNA増幅装置の作製方法を変形し
たものである。従って、DNA増幅装置の形状、材質等
は第一の実施の形態と同様である。
【0178】本実施の形態では、試料溶液の流通を検出
するための電極(1611、1612)を試料排出流路
(118)内の試料溶液に直接接するように形成させる
ために最初に成膜するポリイミド膜(1705)をエッ
チング加工する。次いで、この加工部分に電極となるチ
タン膜を成膜する。ここで、チタン膜を用いるのは、工
程gにおいて加熱体及び温度検出部を形成するチタン膜
のエッチング及び加工と同条件で加工が行えるためであ
る。これにより、効率よく加工を行うことができる。し
かしながら、本発明においては、チタン膜のみに限定さ
れるものではなく、電極材料としてはアルミニウム、
銅、ニッケル等の導電性材料を好適に使用できる。この
ような材料を用いる場合でも上記作製プロセスを適宜修
正することにより本実施の形態のDNA増幅装置を作製
することができる。例えば、スパッタ法を用いて加工を
行うことができる。
【0179】上記作製方法では、工程nにおいて窒化シ
リコン膜を除去して電極を試料溶液に直接接するように
露出させる。窒化シリコン膜を除去する方法としてはR
IEによるドライプロセス又は熱リン酸によるウェット
プロセスがある。本実施の形態ではどちらの方法を用い
てもよい。
【0180】工程o)において接着を行うには、上記第
一の実施の形態で説明したように、接着剤の他に低融点
ガラスを用いて熱融着又は陽極接合を使用することも可
能である。接着剤及び低融点ガラスを用いる場合、異方
性エッチングした側には接着剤及び低融点ガラスが電極
上にも成膜されてしまうので、このような成膜が起こら
ないように適切な処置をする必要がある。具体的には、
アルミニウム等の金属マスクを用いて、電極上に接着
剤、低融点ガラスを形成しないようにすることで、電極
が被覆されることを防ぐことができる。
【0181】次に、本実施の形態に従ったDNA増幅装
置を組み込んだDNA増幅システム、並びにこれを用い
てDNA増幅反応を行う手順を説明する。
【0182】図18は、本実施の形態に従ったDNA増
幅システムの一例である。
【0183】DNA増幅システム1800は、本実施の
態様のDNA増幅装置1801、PCR反応を行う試料
をストックするための導入試料溶液容器1808、反応
セルでPCR増幅反応が行われた試料溶液をストックす
るための排出試料容器1809、温度検出装置181
1、加熱体検出装置1812、制御装置1810、試料
導入管1802、試料排出管1813、ポンプ1805
及びバルブ1803、1804を具備する。また、DN
A増幅装置は、図16で示したものである。更に、本実
施の形態のDNA増幅システムには、試料溶液の流量を
測定するためのセンサー1806、1807も具備す
る。
【0184】本発明のDNA増幅装置(1801)に
は、該DNA増幅装置に設けられた試料導入部に、試料
導入管(1802)の一端が連結されている。また、こ
の管の他端は導入試料溶液容器(1808)に連結され
ており、DNA増幅が行われる反応溶液が反応セルに流
通できるようになっている。導入試料溶液容器(180
8)は、試料導入管(1802)に脱着自在に取り付け
ることができる。この試料導入管(1802)の途中に
は流路切り替えバルブ(1803)が設けられている。
また、DNA増幅装置(1801)と流路切り替えバル
ブ(1803)の間の導入試料管には流量を測定するた
めの2つのセンサー(1806、1807)が設けられ
る。該センサーは、光カプラー、一対の電極による電気
的検出法等を使用することができるが、光カプラーを用
いることが好ましい。試料導入管(1802)に設けた
該センサーは一定の間隔で固定しておき、試料溶液が試
料導入管を通るときの試料液先端の光透過率を検出す
る。2つのセンサーを試料溶液先端が通過する時間差と
試料導入管の内径から試料溶液の導入速度を割り出すこ
とで、DNA増幅装置内の反応セルの容量に合わせた正
確な量の試料を試料導入管内に導入することができる。
即ち、DNA増幅装置内の反応セルの容量はあらかじめ
分かっているので、試料溶液の導入速度と導入管の断面
積から反応セルの容量分だけ試料溶液を導入管内に導入
したところで流路切り替えバルブ(1803)を切り替
えて開放し、DNA増幅装置内に試料溶液を導入する。
DNA増幅装置(1801)に設けられた試料排出部に
は試料排出管(1813)の一端が連結されている。ま
た、この管の他端には排出試料容器(1809)が連結
されており、PCR反応が行われた反応溶液が排出試料
容器(1809)に流通できるようになっている。排出
試料容器(1809)は、試料排出管(1813)に脱
着自在に取り付けることができる。この試料排出管には
流路切り替えバルブ(1804)が設けられている。更
に、試料排出管(1813)には試料溶液を導入又は排
出するためのポンプ1805が設けられている。上記の
各容器、各管は、試料溶液内の反応試薬が付着沈積しな
いような部材であることが好ましい。具体的には、容器
はガラス、ポリプロピレン、テフロン樹脂等が好まし
く、管はテフロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコン
樹脂等が好ましい。
【0185】DNA増幅装置(1801)に埋設された
加熱体に配線を通して連結されている外部接続端子部に
は加熱体検出装置(1811)が連結されており、ま
た、DNA増幅装置(1801)に埋設された温度検出
部に配線を通して連結されている外部接続端子部には温
度検出装置(1812)が連結されている。
【0186】更に本発明のDNA増幅システム(180
0)には、制御装置(1810)、例えばマイクロコン
ピュータ等が設けられており、前記加熱体検出装置(1
811)、温度検出装置(1812)、流路切り替えバ
ルブ(1803、1804)、ポンプ(1805)、を
この制御装置により個別に制御できるようになってい
る。また、制御装置(1810)は、前記の試料溶液の
通過を検出するための電極(1611、1612)及び
センサー(1806、1807)からのシグナルを検出
できるようになっている。
【0187】次に本発明の上記DNA増幅システムを用
いた場合のDNA増幅反応の手順を順を追って説明す
る。
【0188】1)DNA増幅反応を行うために必要な材
料と試薬を含む試料溶液を導入試料溶液容器(180
8)に入れる。
【0189】2)流路切り替えバルブ(1803、18
04)を切り替え、試料導入管(1802)と試料排出
管(1813)が反応セルを介して流通するようにし、
ポンプ(1805)によって導入試料溶液容器の試料溶
液をDNA増幅装置(1801)に導入する。本発明の
DNA増幅装置は薄いため、反応セルに試料溶液を導入
する際、表面張力により気泡等の混入が起こりにくい。
【0190】3)センサー(1806、1807)によ
って、試料導入管を通る試料溶液の移動速度を算出す
る。
【0191】4)DNA増幅装置の反応セルの容量と同
じ量の試料溶液が流路切り替えバルブ(1803)を通
ったところで、流路切り替えバルブ(1803)を開放
する。
【0192】5)ポンプ(1805)で試料溶液をDN
A増幅装置内に導入する。
【0193】6)DNA増幅装置内の試料排出用流路に
設けた電極(1611、1612)間にあらかじめ電圧
を印加しておき、試料溶液が電極の位置まで導入された
ことが検出されたらポンプを停止すると共に、流路切り
替えバルブ(1804)を開放する。このように切り替
えバルブ(1803、1804)を開放にすることによ
り、第一の実施の形態で説明したように不均一な加熱に
よる反応容器内の試料溶液の移動を防止することができ
る。
【0194】7)加熱体(105)に電圧を印加して加
熱体を発熱させる。加熱体への電圧の印加は加熱体検出
装置(1812)を通して行う。
【0195】8)温度検出部(106)の抵抗値を温度
検出装置(1811)を通して測定し、制御装置(18
10)で温度に変換し、90〜93℃になるまで加熱体
への電圧の印加を行う。
【0196】9)温度が90〜93℃になったところ
で、制御装置により加熱体検出装置を介して電圧の印加
を調整し、1秒〜1分程度温度をこの温度に一定に保持
する。
【0197】10)加熱体への電圧の印加を中止し、反
応セルの温度を測定しながら温度を低下させる。
【0198】11)50〜55℃まで温度が低下したと
ころで加熱体への電圧の印加を再開し、1秒〜1分程度
温度をこの温度に一定に保持する。
【0199】12)加熱体への電圧の印加を調整し、温
度を65〜70℃に加熱する。
【0200】13)1秒〜3分程度温度をこの温度に一
定に保持する。
【0201】14)7〜13)を2〜1000回繰り返
す。
【0202】15)温度を室温まで下げ、流路切り替え
バルブ(1804)を試料排出管を介して反応セルと排
出試料容器(1809)が連通するように切り替える。
【0203】16)ポンプによって反応セル内の試料溶
液を排出試料容器(1809)に移す。
【0204】上記手順はPCR法を利用したDNA増幅
反応の一般的な手順を示している。従って、設定温度、
設定時間及び繰り返し回数は、上記範囲内で増幅したい
DNAの塩基配列及び塩基数、プライマーの塩基配列及
び塩基数、耐熱性酵素の活性範囲によって適宜選択する
必要がある。
【0205】本実施の形態では、上述のように、DNA
増幅装置内の試料排出用流路に試料溶液に直接接するよ
うに2つの電極を形成したことを特徴としており、更に
DNA増幅システムでは2つのセンサーを試料導入管に
設けている。
【0206】電極間は僅かの間隔を開けて近接している
ので、あらかじめ電極間に電圧を印加しておいても試料
溶液が電極と接触しない限りは電極間は通電せず、電流
は流れない。しかし、試料溶液が電極と接触すると、電
極間に電流が流れる。この電流を検出することで電極に
試料溶液が接触したことを検出することができ、試料溶
液が試料排出管に達したことを検知することができる。
また、試料導入管に設けたセンサーは一定の間隔で固定
しておく。このセンサーにより、試料溶液が試料導入管
を通るときの試料液の光透過率の変化を検出する。導入
された試料溶液の先端が2つのセンサーを通過するとき
の時間差と試料導入管の内径から試料溶液の導入速度を
割り出すことができる。この導入速度を基にして、DN
A増幅装置内の反応セルへ導入される試料溶液の正確な
容量を算出することができる。即ち、DNA増幅装置内
の反応セルの容量はあらかじめ分かっているので、試料
溶液の導入速度と導入管の断面積から反応セルの容量分
だけ試料溶液を導入管内に導入したところで流路切り替
えバルブ(1803)を切り替えて開放し、DNA増幅
装置内に試料溶液を導入する。反応セルの容量と同容量
の試料溶液を反応セル内に導入して反応セルが試料溶液
で満たされ他後に、試料排出用流路に試料溶液が流出す
る。この時、試料溶液が電極に接触し、試料溶液が試料
流出路に達したことが検出される。この時に、ポンプの
吸引を止めれば、試料溶液が反応セル内に留まり、試料
溶液の導入が完了する。これらのセンサーからの透過率
の変化、電流の検出、ポンプでの吸引の開始と停止等
は、全て制御装置により行うことができるので、反応セ
ル内への試料溶液の導入を自動化することができる。
【0207】本発明は、上記特許請求の範囲に記載した
発明以外の発明も包含する。以下にこれらの発明につい
て記載する。以下では、上記特許請求の範囲の請求項1
から3の発明との関連を明確にするため、上記請求項に
記載の発明と供にその他の発明を記載する。なお、請求
項1から3はそれぞれ下記の(1)から(3)に相当す
る。
【0208】(1)二枚の基板と、該二枚の基板の間に
挟まれた中間層と、前記中間層に設けられた反応セル
と、前記基板の一方に埋設された加熱体と、前記基板の
一方に埋設された温度検出部と、試料導入部及び試料導
入流路と、試料排出部及び試料排出流路とを具備したこ
とを特徴とするDNA増幅装置。
【0209】(2)上記(1)に記載のDNA増幅装置
であって、前記加熱体及び温度検出部が埋設された基板
が有機薄膜層より成ることを特徴とするDNA増幅装
置。
【0210】(3)上記(2)に記載のDNA増幅装置
において、前記有機薄膜層が非水溶性であり、且つ10
0℃までの耐熱性と電気絶縁性を有することを特徴とす
るDNA装置。
【0211】(4)上記(2)に記載のDNA増幅装置
において、前記有機薄膜層がポリイミド薄膜より成るこ
とを特徴とするDNA増幅装置。
【0212】(5) 上記(1)記載のDNA増幅装置
において、前記加熱体及び温度検出部が埋設されていな
い方の前記基板がガラスまたはシリコン単結晶基板から
なることを特徴とするDNA増幅装置。
【0213】(6) 上記(5)記載のDNA増幅装置
において、前記基板が非水溶性であり、且つ100℃ま
での耐熱性を有することを特徴とするDNA増幅装置。
【0214】上記(1)から(6)の発明に対する実施
の形態は、第一の実施の形態(図1から図7)が対応す
る。これらの発明については、第一の実施の形態で説明
した変形例に相当する変更が可能である。
【0215】(作用・効果)本発明のDNA増幅装置で
は、加熱体と温度検出部を埋設した基板(第一の基板)
に有機薄膜層を使用することが好ましい。以下では、最
も好適な例である、第一の基板に有機薄膜層を使用した
例に従って説明するが、第一の基板は、耐熱性であり、
かつ電気絶縁性である基板でれば何れの材料を用いても
よい。
【0216】本発明のDNA増幅装置は、有機薄膜層
(103)と、該有機薄膜層(103)上に設けられ中
間層(102)と、該中間層(102)上に設けられた
基板(101)とを具備し、前記中間層(102)にP
CR反応を行う反応セル(104)を設け、前記有機薄
膜層(103)内に加熱体(105)及び温度検出部
(106)が埋設されていることを特徴とする。また、
該DNA増幅装置の反応セル側壁部、即ち、中間層には
反応セルに連通して試料溶液を導入する試料導入用流路
(117)と試料溶液を排出する試料排出用流路(11
8)が形成されている。また、前記基板には、試料導入
部(112)及び試料排出部(111)が形成されてい
る。更に、有機薄膜層内には、加熱体(105)に連結
されている配線部(115、116)及び外部接続端子
部(107、108)が設けられている。また、有機薄
膜層内には、温度検出部(106)と連結されている配
線部(113、114)及び外部接続端子部(109、
110)が形成されている。
【0217】本実施の形態のDNA増幅装置は、DNA
増幅システム(図4)に組み込まれる。
【0218】DNA増幅システムは以下のように操作さ
れる。導入試料溶液容器(401)に入れた試料溶液を
ポンプ(406)を用いて試料導入管(402)と流路
切り替えバルブ(403)を通してDNA増幅装置(4
04)に導入する。DNA増幅装置内に導入された試料
溶液は加熱体検出装置(409)と温度検出装置(41
0)及びこれを制御する制御装置(411)によってP
CR反応にかけられる。PCR反応が完了した試料溶液
は流路切り替えバルブ(405)とポンプ(406)を
経由して試料排出管(407)を通して排出試料容器
(408)に排出される。
【0219】より詳細には、試料導入用流路(117)
を通して送られてきた試料溶液が反応セル(104)に
満たされ、温度検出部(106)で試料溶液の温度を測
定しながら加熱体(105)によって試料溶液を所定の
温度まで加熱する。加熱体に印加する電圧を制御するこ
とで試料溶液を所定の温度に一定時間保持した後、冷却
する。冷却するには加熱体への電圧の印加を停止し、試
料溶液を自然放熱すればよい。冷却温度をモニターし、
所定の温度まで冷却されたときに加熱体に再び電圧を印
加し、所定温度で一定時間温度を保持した後、再び加熱
を始める。以上のような操作を繰り返すことで反応セル
内の試料溶液にPCR反応に必要な熱サイクルを加える
ことができる。PCR反応が完了した後、試料溶液は試
料排出用流路を通って排出される。以上のPCR反応に
必要な熱サイクルの制御に必要な加熱体と温度検出部の
外部との接続は、該加熱体と温度検出部が別々の配線
(113、114、115、116)により接続された
外部接続端子部(107、108、109、110)に
より行われる。即ち、外部接続端子部から図4に示した
加熱体検出装置(409)及び温度検出装置(410)
に接続される。加熱体検出装置と温度検出装置は更に制
御装置(411)に接続され、試料溶液の温度制御を行
う。図4では、加熱体検出装置、温度検出装置及び制御
装置は独立した形態で示してあるが、これらは、その機
能が備わっていれば一体化されていても良く、更に半導
体プロセスによって反応セルを形成している中間層(1
02)上に組み込まれていても良い。
【0220】DNA増幅装置の試料導入部及び試料排出
部は、図示していないジョイント部材によって図4の試
料導入管及び試料排出管に接続されている。
【0221】本発明のDNA増幅装置及びDNA増幅シ
ステムは有機薄膜層(202)内に加熱体及び温度検出
部が形成されているために加熱体及び温度検出部が反応
セル内の試料溶液に近接して配置することが可能になっ
ている。これにより、加熱体によって発生した熱はほと
んど遅延無く試料溶液に伝熱される。従って、試料溶液
を効率よく加熱することができ、昇温速度を大幅に上げ
ることができるようになる。PCR反応においては、昇
温及び降温時の温度変化は反応に関与する過程ではない
ためにPCR反応を迅速に行うためには昇温及び降温の
速度は速い方が有利となる。本発明のDNA増幅装置に
おいては、有機薄膜層が十分に薄いため有機薄膜の熱容
量が非常に小さく、放熱も高い効率で行うことができ
る。また、温度検出部も試料溶液に近接して配置されて
いるので、試料容器内の試料の温度を正確に測定するこ
とができる。このため、PCR反応のプロトコルで決め
られている各反応温度を正確に再現する事が可能にな
り、耐熱性酵素の失活とプライマーの結合精度を向上さ
せることができる。この事はDNA増幅反応の高精度化
と高増幅率の実現につながる。
【0222】このように本発明によれば、正確な温度測
定と迅速な昇温過程、高効率な放熱による迅速な降温過
程が同時に実現できるため、非常に高速なPCR反応を
高精度及び高増幅率で実現できる。
【0223】(7) 第一の有機薄膜層と、該第一の有
機薄膜層上に設けられた中間層と、該中間層の前記第一
の有機薄膜層と反対の面上に設けられた第二の有機薄膜
層と、前記中間層に設けられた反応セルと、前記第一又
は第二の有機薄膜層の何れかにに埋設された加熱体と、
該加熱体が設けれた有機薄膜層とは別の有機薄膜層に埋
設された温度検出部と、試料導入部及び試料導入流路
と、試料排出部及び試料排出流路とを具備したことを特
徴とするDNA増幅装置。
【0224】本発明の実施の形態は、第二の実施の形態
(図8)が対応する。
【0225】本実施の形態は、第一の実施の形態の基板
(第二の基板)(101)を有機薄膜層に変え、加熱体
と温度検出部とをそれぞれ別の有機薄膜層に設けたこと
を特徴とする。即ち、図8(A)、図8(B)及び図8
(C)に示したように、本実施の形態は、図1及び図2
の基板(101)を有機薄膜層(809)とし、図1及
び図2において有機薄膜層(103)内に形成した加熱
体(105)及び温度検出部(106)をそれぞれ別の
有機薄膜層内に分離させて形成したことを特徴としてい
る。これにより、基板(101)を使う場合よりも反応
セルが有機薄膜層で形成されている部分が多くなるた
め、より反応セル内の試料溶液の放熱性が向上する。従
って、DNA増幅反応の冷却時の速度がより速くなり、
DNA増幅反応に要する時間をより短縮できる。また、
加熱体と温度検出部の電気的な短絡が生じないためによ
り形状に自由度を持たせることができる。
【0226】本例のDNA増幅装置の作製方法は、上記
工程eを、加熱体を形成させる過程(工程e’)と、温
度検出部を形成させる過程(工程e”)に分け、上記製
造方法の工程a)からk)までのプロセスを工程e’を
含むプロセスと工程e”を含むプロセスでおこない、構
造体を2つ作製し、工程lにおいてお互いを対向させて
接合する。
【0227】(8) 上記(1)記載のDNA増幅装置
において、中間層に設けられた反応セルの短面、並びに
反応セルの主面を形成する加熱体及び温度検出基を埋設
した基板及びこれらが埋設されていない基板に無機酸化
薄膜が形成されていることを特徴とするDNA増幅装
置。
【0228】(9) 上記(8)記載のDNA増幅装置
において、無機酸化膜がシリコン酸化膜からなることを
特徴とするDNA増幅装置。
【0229】(作用・効果)これらの発明に関する実施
の形態は、第三の実施の形態(図9)が対応する。この
実施の形態は、上記(1)で説明した実施の形態を改良
したものである。無機酸化薄膜には、石英、無アルカリ
ガラス、パイレックス、青板ガラス等のシリコン酸化物
や、酸化チタンなどが含まれる。
【0230】本発明におけるDNA増幅装置は、上記
(1)において説明したDNA増幅装置と同様の作用を
有している。しかし、反応セルの短面(801)、加熱
体及び温度検出部を埋設した基板(第一の基板)(10
3)及びこれらが埋設されてない基板(第二の基板)
(101)の反応セル側に無機酸化薄膜が形成されてい
るために、反応セルの内壁は親水性となっている。この
ために内壁の極表面には水分子の層が形成され、試料溶
液中のDNA、耐熱性酵素、蛋白質などが吸着しにくく
なる。従って、PCR反応において試料溶液中の成分の
吸着による損失が無く、高効率で反応を行うことができ
る。
【0231】反応セルの内壁表面に水分子の層を形成す
る方法としては、上記の方法の他に水溶性高分子や親水
基を置換基として有するカップリング剤を用いる方法が
ある。この方法でも同様の効果が得られるので、これら
の材料を内壁の表面に形成させても良い。
【0232】なお、第一の基板内に形成される加熱体
(105)及び温度検出部(106)及び反応セルの形
状及び設置位置は上記(1)で説明した実施の形態と同
様である。
【0233】(10) 上記(1)記載のDNA増幅装
置において、加熱体と温度検出部が前記これらが設けら
れている基板内で異なった平面に形成されていることを
特徴とするDNA増幅装置。
【0234】この発明に関する実施の形態は第四の実施
の形態(図10から図13)が対応する。なお、本実施
の形態を示す図には反応セル内の構造を明示するため、
加熱体と温度検出部が前記これらが設けられていない基
板(第二の基板)を図示していない。本実施の形態を実
施するにあたっては上記(1)で説明した第一の実施の
形態と同様に第二の基板を接合させた後に使用する必要
がある。
【0235】(作用・効果)本発明におけるDNA増幅
装置は上記(1)で説明したDNA増幅装置と同様の作
用を有している。しかし、加熱体と温度検出部が設けら
れている基板(第一の基板)内の加熱体及び温度検出部
が異なった面に設置されているため、図10から図13
に示すように、加熱体及び温度検出部の形状の重なりを
気にすることなく自由に設計できる利点を有している。
更に図12のように加熱体を面状にした場合であって
も、温度検出部はヒーターの上部に形成できるため、反
応セル全体を加熱しながら温度制御を行うこともでき
る。また、図13のように温度検出部の形状を加熱体の
形状と同様にすることによって、反応セル内の温度をよ
り正確に測定できるようになる。本発明においては、加
熱体及び温度検出部の形状は図10から図13に示した
形状以外の形状であってもよい。
【0236】(10) 第一基板と、該第一基板上に設
けられた第二基板と、該第二基板内において該第二基板
の主面に平行な面に設けられた有機薄膜層と、前記第二
基板に設けられた反応セルと、前記有機薄膜層内に埋設
された加熱体と、前記有機薄膜層内に埋設された温度検
出部と、試料導入部及び試料導入流路と、試料排出部及
び試料排出流路とを具備したことを特徴とするDNA増
幅装置。
【0237】この発明に対する実施の形態は第五の実施
の形態(図14)が対応する。この実施の形態において
第一基板は、上記第一の実施の形態で説明した基板に相
当し、第二基板は中間層に相当する。なお、本実施の形
態を示す図14には反応セル内の構造を明示するために
第一基板を図示していない。本実施の形態を実施するに
あたっては、上記第一の実施例と同様に第一基板を接合
させた後に使用する必要がある。
【0238】(作用・効果)本発明におけるDNA増幅
装置は、上記(1)で説明したDNA増幅装置と同様の
作用を有している。しかし、本発明のDNA増幅装置は
反応セル(104)が形成されている第二基板(10
2)内に有機薄膜層(1401)を含んでいる。この、
DNA増幅装置は、上記第一の実施の形態の構造体の有
機薄膜層側に、異方性エッチングで反応セル(140
3)を設けた基板を取り付けることにより製作すること
ができる。また、上下の反応セルで試料溶液が分離しな
いように有機薄膜層には一部に開口部が設けられてお
り、反応セルの上下で試料溶液が分離しないようになっ
ている。
【0239】このように反応セル内に有機薄膜層を設け
ることにより、有機薄膜層内に設けている加熱体から発
生する熱量のほぼ全てが反応セル内の試料溶液に伝わる
ため非常に高効率で加熱ができる。また、同じく有機薄
膜層内に設けている温度検出部も試料溶液中の温度をよ
り正確に測定できるようになる。
【0240】本実施の形態の有機薄膜層の形状は、有機
薄膜層の上下で試料溶液が分離されなければ他の形状で
あってもよく、有機薄膜層内の加熱体及び温度検出部は
上記(1)から(4)で説明した実施の形態のような形
状でも、また別の形状でもよい。
【0241】(11) 上記(1)記載のDNA増幅装
置において、前記加熱体及び温度検出部が埋設されてい
ない基板上及び/又は中間層に2つ以上の溝を形成させ
たことを特徴とするDNA増幅装置。
【0242】この発明に対する実施の形態は第六の実施
の形態(図15)が対応する。なお、本実施の形態を示
す図15(C)には反応セル内の構造を明示するために
加熱体及び温度検出部が埋設されていない基板(第二の
基板)を図示していない。本実施の形態を実施するにあ
たっては、上記第一の実施例と同様に第二の基板を接合
させた後に使用する必要がある。
【0243】(作用・効果)本発明のDNA増幅装置
は、上記(1)で説明したDNA増幅反応装置と同様の
作用を有している。しかし、反応セルの周辺に溝を形成
させている(図示せず)ことから反応セル内の試料溶液
の冷却時の降温速度を早めることができる。更に図15
(B)に示すように第二の基板にも溝を形成することで
冷却速度は更に上昇する。溝の形状は図15に示した形
状に限られるものではない。図示していないが、外部か
ら冷却用に空気の流れを生じさせる事や、冷却水を反応
セルの周囲に循環させることにより冷却効率を高めるこ
とができる。
【0244】加熱速度だけでなく、冷却速度をも上昇さ
せることでPCR反応をより速く行うことが可能にな
る。
【0245】(12) 上記(1)記載のDNA増幅装
置において、試料排出用流路部に試料溶液に接するよう
に2つ以上の電極を形成したことを特徴とするDNA増
幅装置。
【0246】この発明に対する実施の形態は、第七の実
施の形態(図16)に対応する。なお、本実施の形態を
示す図16には反応セル内の構造を明示するために加熱
体及び温度検出部を埋設していない基板(第二の基板)
を図示していない。本実施の形態を実施するにあたって
は、上記第一の実施例と同様に第二の基板を接合させた
後に使用する必要がある。
【0247】(作用・効果)本発明のDNA増幅装置
は、試料排出用流路に2つの電極を試料溶液に直接接す
るように設けてある。この電極には配線(1613、1
614)が接続しており、2つの電極間に電圧が印加さ
れる。電極間の電流値をモニターすることで、試料排出
用流路内に入る試料溶液を検出する。即ち、反応セル内
に試料溶液を導入する際、試料導入用流路を通って反応
セル内に入ってきた試料溶液は、試料排出用流路まで充
填されたときにこの電極に接触し、電極間に電流が流れ
るようになる。これを検出することで試料溶液が反応セ
ル内に充填されたことを検出できる。
【0248】次に、図18に本発明のDNA増幅装置
(1801)を組み込んだDNA増幅システムを示す。
図18に示すDNA増幅装置は、第一の実施の形態で説
明したDNA増幅システムを改良したものである。ま
た、本発明のDNA増幅装置(1801)に設けられた
電極からの配線は、制御装置(1810)に接続されて
おり、試料導入管(1802)の途中に決まった間隔を
おいて設けてあるセンサー(1806、1807)も制
御装置に接続されている。その他の構成は図4と同様で
ある。
【0249】本DNA増幅システムは以下のように操作
される。導入試料溶液容器(1808)に入れた試料溶
液を、ポンプ(1805)を用いて試料導入管(180
2)と流路切り替えバルブ(1806)及びセンサー
(1806、1807)を通してDNA増幅装置(18
01)に導入する。この時、試料導入管内を通る試料溶
液の先端部をセンサーで検出する。一定間隔で設けられ
た2つのセンサーの間を通る試料溶液の通過時間から試
料溶液の導入速度を算出する。DNA増幅装置内の反応
セルの容量はあらかじめ分かっているので、試料溶液の
導入速度と導入管の断面積から反応セルの容量分だけ試
料溶液を導入管内に導入したところで流路切り替えバル
ブ(1803)を切り替えて開放し、DNA増幅装置内
に試料溶液を導入する。次いで、試料排出用流路に設け
た2つの電極によって試料溶液が試料排出用流路内に導
かれたことを検出し、ポンプを停止させる。これによ
り、試料溶液は反応セル内に充填される。次いで、反応
セル内に充填された試料溶液は加熱体検出装置(181
2)と温度検出装置(1811)及びこれを制御する装
置(1810)によってPCR反応を行う。PCR反応
を完了した試料溶液は、流路切り替えバルブ(180
4)とポンプ(1805)を経由して試料排出管(18
13)を介して排出試料容器(1809)に排出され
る。このように本DNA増幅システムを用いることで、
試料溶液のDNA増幅装置内への導入、DNA増幅反
応、試料排出を全自動で行うことができる。
【0250】
【発明の効果】本発明に従った上記DNA増幅装置は、
加熱体及び温度検出部を有機薄膜層内に形成させ、この
有機薄膜層が反応セルに隣接して形成されているため正
確な温度測定と迅速な昇温、降温が行え、これによって
高速であり、高精度、高増幅率のPCR反応を行うこと
ができる。
【0251】また、本発明のDNA増幅装置は薄膜であ
るが、一連の容易に操作することができる本発明の製造
方法を用いて、精密且つ簡便に作製することができる。
【0252】更に、本発明に従った上記DNA増幅装置
を用いれば、正確な温度測定と迅速な昇温、降温が行
え、これによって高速であり、高精度、高増幅率のPC
R反応を行うことができるDNA増幅システムを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のDNA増幅装置の一態様を表
す概略図である。図1(A)は概略平面図であり、図1
(B)は図1(A)のa−a断面図の概略である。
【図2】図2は、図1のDNA増幅装置の基板を取り外
した場合の図面である。
【図3】図3は、図1に示したDNA増幅装置の製造工
程を表した概略図である。
【図4】図4は、本発明のDNA増幅装置を組み込んだ
DNA増幅システムを表す概略図である。
【図5】図5は、本発明のDNA増幅装置の一態様を表
す概略図である。
【図6】図6は、本発明のDNA増幅装置の一態様を表
す概略図である。
【図7】図7は、本発明のDNA増幅装置の一態様を表
す概略図である。
【図8】図8は、本発明のDNA増幅装置の一態様を表
す概略図である。図8(A)は概略平面図であり、図8
(B)は図8(A)の反対の側から見たDNA増幅装置
の概略平面図であり、図8(C)は図8(A)のa−a
断面図の概略である。
【図9】図9は、本発明のDNA増幅装置の一態様を表
す概略図である。図9(A)は概略平面図であり、図9
(B)は図9(A)のa−a断面図の概略である。
【図10】図10は、本発明のDNA増幅装置の一態様
を表す概略図である。図10(A)は概略平面図であ
り、図10(B)は図1(A)のa−a断面図の概略で
あり、図10(C)は図10(A)のb−b断面図の概
略である。
【図11】図11は、図10に示したDNA増幅装置の
製造工程を表した概略図である。
【図12】図12は、本発明のDNA増幅装置の一態様
を表す概略図である。図12(A)は概略平面図であ
り、図12(B)は図12(A)のa−a断面図の概略
であり、図12(C)は図12(A)のb−b断面図の
概略である。
【図13】図13は、本発明のDNA増幅装置の一態様
を表す概略図である。図13(A)は概略平面図であ
り、図13(B)は図13(A)のa−a断面図の概略
である。
【図14】図14は、本発明のDNA増幅装置の一態様
を表す概略図である。図14(A)は概略平面図であ
り、図14(B)は図14(A)のa−a断面図の概略
である。
【図15】図15は、本発明のDNA増幅装置の一態様
を表す概略図である。図15(A)は概略平面図であ
り、図15(B)は図15(A)のa−a断面図の概略
であり、図15(C)は図15(B)の基板を取り外し
た場合の概略図である。
【図16】図16は、本発明のDNA増幅装置の一態様
を表す概略図である。図16(A)は概略平面図であ
り、図16(B)は図16(A)のa−a断面図の概略
である。
【図17】図17は、図16に示したDNA増幅装置の
製造工程を表した概略図である。
【図18】図18は、図16に示した本発明のDNA増
幅装置を組み込んだDNA増幅システムを表す概略図で
ある。
【符号の説明】
101、314、1116、1501、1715…基
板、 102…中間層、 103、801、1401…有機薄膜層、 104…反応セル、 105…加熱体、 106…温度検出部、 107、108、109、110、1613、1614
…外部接続端子部、 111…試料排出部、 112…試料導入部、 113、114、115、116…配線部、 117…試料導入用流路、 118…試料排出用流路、 301、1101、1701…シリコンウェハ、 302、303、1102、1103、1702、17
03…窒化シリコン膜、 304、1104、1704…シリコンウェハの主面、 305、306、307、310、1105、110
6、1107、1109、1112、1705、170
7、1710…ポリイミド膜、 308、309、1110、1111、1707、17
08、1709…アルミニウム膜、 311、312、1113、1114、1711、17
12、1713…ニッケル又は銅薄膜、 313、1115、1714…構造体、 400、1850…DNA増幅システム、 401、1808…導入試料溶液容器、 402、1802…試料導入管、 403、405、1803、1804…バルブ、 404、1801…DNA増幅装置、 406、1805…ポンプ、 407、1813…試料排出管、 408、1809…排出試料容器、 409、1812…加熱体検出装置、 410、1811…温度検出装置、 411、1810…制御装置、 901…反応セル側壁部、 902、903、904…無機酸化膜、 1108、1706…チタン膜、 1402…開口部 1403…中間層上部、 1404…中間層下部、 1502…フィン、 1611、1612…電極、 1806、1807…センサー。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二枚の基板と、該二枚の基板の間に挟ま
    れた中間層と、前記中間層に設けられた反応セルと、前
    記基板の一方に埋設された加熱体と、前記基板の一方に
    埋設された温度検出部と、試料導入部及び試料導入流路
    と、試料排出部及び試料排出流路とを具備したことを特
    徴とするDNA増幅装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のDNA増幅装置であっ
    て、前記加熱体及び温度検出部が埋設された基板が有機
    薄膜層より成ることを特徴とするDNA増幅装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のDNA増幅装置におい
    て、前記有機薄膜層が非水溶性であり、且つ100℃ま
    での耐熱性と電気絶縁性を有することを特徴とするDN
    A装置。
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