JPH09262084A - Dna増幅装置 - Google Patents

Dna増幅装置

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JPH09262084A
JPH09262084A JP7203796A JP7203796A JPH09262084A JP H09262084 A JPH09262084 A JP H09262084A JP 7203796 A JP7203796 A JP 7203796A JP 7203796 A JP7203796 A JP 7203796A JP H09262084 A JPH09262084 A JP H09262084A
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JP
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reaction cell
reaction
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solution
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Withdrawn
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JP7203796A
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English (en)
Inventor
Seiji Kondo
聖二 近藤
Etsuo Shinohara
悦夫 篠原
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Technology Research Association of Medical and Welfare Apparatus
Original Assignee
Technology Research Association of Medical and Welfare Apparatus
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反応溶液の温度を精密に制御してDNA増幅反
応を効率よく行なうことが可能なDNA増幅装置を提供
する。 【解決手段】無機基板上に形成された第1および第2の
2つのプレーナ状反応セル、第1の反応セルに試料溶液
を導入するための試料導入部、第2の反応セルから試料
溶液を排出するための試料排出部、試料導入部と第1の
反応セル、第1の反応セルと第2の反応セル、および第
2の反応セルと試料排出部とを互いに連通する3つの流
路、第1および第2の反応セルの底面にそれぞれ少なく
とも1つずつ設けられた温度測定部、無機基板の第1お
よび第2の反応セルの裏面に設けられた加熱手段、並び
に試料溶液の搬送手段を具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、DNAの増幅反
応を行なって微量のDNAを増幅するための装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、微量のDNAを増幅する手段とし
て、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRと略記する)
が盛んに用いられている。この方法は、例えば特開平 6
-292579 号公報に開示されるように、まず、目的とする
核酸を含有する検体に、目的とするDNAの各々の鎖の
両端部の塩基配列を含む2種類のプライマー、耐熱性D
NA合成酵素および4種類のデオキシリボヌクレオシド
三リン酸(dATP、dCTP、dGTPおよびdTT
P)を加える。次に、系の温度を制御することのみによ
り、DNAを解離させる(変性)工程、解離により生成
した一本鎖DNAとプライマーとを結合させる(アニー
リング)工程、およびプライマーが結合した一本鎖DN
Aを鋳型としてDNA合成酵素により相補鎖を合成する
(伸長)工程の各工程を行ない、これを1回以上繰り返
す。
【0003】このようにPCRは微量のDNAを効率よ
く増幅することが可能であるが、このPCRに加えて、
さらに前処理および後処理を含めて自動化しようとする
試みがなされている。例えば、特開平 6-327476 号公報
に開示される装置では、まず全血を遠心分離し、フェノ
ールおよびクロロホルム溶液で抽出することにより全血
中の核酸成分を精製する(前処理段階)。次いで、精製
した核酸成分をバッファーに溶解し、上述の2種類のプ
ライマー、耐熱性DNA合成酵素および4種類のデオキ
シリボムクレオシド三リン酸を加え、熱サイクルを実施
することにより目的の核酸を増幅する(PCR段階)。
最後に、増幅した核酸が含まれる反応溶液をゲル電気泳
動で処理し、プライマー等の不純物や副生物等を除去し
て目的の核酸を得る(後処理段階)。
【0004】また、PCRを行なうための反応容器自体
についてもいくつかの試みがなされている。例えば、特
開平 7-75544号公報に開示される装置は、2つの恒温槽
を経由する毛管を設け、検体を含む混合液を単にこの毛
管内に流すことにより、DNA合成反応に必要な熱サイ
クルを実現している。この方法では、増幅反応を毛管内
で行なうため、液流の外側と内側との温度勾配が小さく
なり、系内の温度をより迅速に均一化することができる
という利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のDNA増幅
装置においては、反応容器を恒温槽や金属ブロックで取
り巻き、この反応容器自体を加熱および冷却することに
よりDNA増幅反応に必要な熱サイクルを施している。
したがって、これらの装置では反応溶液の温度を直接制
御するのではなく、反応容器を介して間接的に制御して
いる。加えて、これらの装置では、反応溶液が微量であ
ることもあって反応溶液の温度を直接測定することはで
きない。このため、従来のDNA増幅装置は、反応溶液
の温度を精密に制御することができず、信頼性に欠け
る。特開平 7-75544号公報に開示される装置では、毛管
内で反応を行なうことにより、反応溶液中で温度勾配が
形成されることを防いでいる。しかしながら、この装置
でも反応溶液の温度を直接測定することはできず、やは
り温度制御が不正確になる。
【0006】また、上記特開平 6-327476 号公報に開示
される装置は、前処理および後処理を含めて全ての工程
を自動的に行なう全自動化を実現してはいるが、反応容
器の移動や分注操作等は全て機械的に行なっている。こ
のため、装置が大型化し、コストが非常に高くなる。同
様に、特開平 7-75544号公報に開示される装置でも反応
溶液を循環させるために機械式ポンプを用いており、こ
のため装置が大型化しコストが高くなる欠点を有する。
【0007】したがって、この発明は、反応溶液の温度
を精密に制御し、DNA増幅反応を効率よく行なうこと
が可能なDNA増幅装置を提供することを目的とする。
【0008】また、この発明は、機械的な作動部分を減
少し、それにより装置全体を小型化し、かつコストを低
くすることが可能なDNA増幅装置を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明によるDNA増
幅装置は、無機基板上に形成された第1および第2の2
つのプレーナ状反応セル、該第1の反応セルに試料溶液
を導入するための試料導入部、該第2の反応セルから試
料溶液を排出するための試料排出部、該試料導入部と該
第1の反応セル、該第1の反応セルと第2の反応セル、
および該第2の反応セルと該試料排出部とを互いに連通
する3つの流路、該第1および第2の反応セルの底面に
それぞれ少なくとも1つずつ設けられた温度測定部、該
無機基板の該第1および第2の反応セルの裏面に設けら
れた加熱手段、並びに試料溶液の搬送手段を具備するこ
とを特徴とする。
【0010】この装置に用いられる無機基板は特に限定
されるものではなく、例えば、シリコンウェハや他の半
導体基板、ガラス、またはアルミ、ステンレス等の金属
板を用いることができる。しかしながら、温度測定部を
一体に形成できる点や、微細加工の技術が確立されてい
る点からシリコンウェハを用いることが好ましい。
【0011】無機基板上に形成される反応セル、試料導
入部および排出部並びに流路の作製方法は基板の種類に
よって異なり、各々の材質に通常用いられる方法で作製
すればよい。例えば、無機基板としてシリコンウェハを
用いる場合には、半導体製造の分野で通常行なわれる方
法でエッチングすればよい。エッチングは、等方性エッ
チングであっても異方性エッチングであってもよく、ま
たドライエッチングであっても構わない。ただし、エッ
チング後の底面の平滑性の点では、水酸化カリウム、テ
トラメチルアンモニウム(TMA)等を用いる異方性の
ウェットエッチングが好ましい。
【0012】反応セルの底面に設けられる温度測定部
は、反応セルを形成する際に一体的に形成しても、反応
セル形成後に温度測定手段を別途固定してもよい。温度
測定手段としては、pn接合を利用したダイオードタイ
プ、各種サーミスタや熱電対等を利用することができ
る。無機基板がシリコンウェハである場合には、ダイオ
ードタイプの温度測定部を基板上に直接形成することが
可能であり好ましい。
【0013】加熱手段は、試料溶液をDNA増幅反応に
必要な温度に加熱することが可能なものであればどのよ
うなものでもよく、特に限定されるものではないが、D
NA増幅反応では厳密な温度管理が必要であることか
ら、細かな温度制御が可能であるものが好ましい。
【0014】ところで、試料溶液中には溶存空気が存在
するため、加熱処理の際に微小な気泡が生じることがあ
る。空気は断熱性が高いため、気泡が存在するとこの気
泡の周囲で溶液の温度が不均一になり易い。特に、この
発明による装置では反応セルが浅いプレーナ状であり、
容量が少ないことから、温度制御に対する気泡の影響が
大きくなる。PCRによるDNA増幅反応は厳密な温度
管理が必要であり、温度の誤差を 0.1℃以内に収めない
と効率や正確性が低下する。
【0015】また、DNA増幅反応には高温で加熱する
工程があるが、この高温での加熱の際、溶液の膨張によ
って反応セル内部の圧力が上昇する。このとき、溶液中
に気泡が存在すると、気泡の膨張による圧力の上昇は溶
液のそれを上回り、反応セルが破損したり、試料溶液が
漏洩する恐れがある。
【0016】したがって、溶液中の溶存空気は可能な限
り除去しておくことが好ましい。
【0017】液体の流路に発生する気泡の対処法の例と
しては、ベックマン社の電解質分析装置 System
E4A を挙げることができる。この装置の取扱い説
明書には、同装置がデバブラー・フィルター(DEBUBBLE
R FILTER)と称するフィルターを備えていることが記載
されている。一般に、テフロンフィルターのような疎水
性のフィルターは気体は通すが水は通さないことが知ら
れているが、このデバブラー・フィルターはこの性質を
利用したものであり、疎水性のフィルターを保持するホ
ルダーに液体を直接通過させ、液体中の気泡を除去する
ものである。
【0018】しかしながら、この発明によるDNA増幅
装置のような微小な装置に上記デバブラー・フィルター
をそのまま組込むことは事実上不可能である。さらに、
このデバブラー・フィルターに用いられる疎水性のフィ
ルターから微小片を切り出し、基板上の微細な流路に貼
着して気泡除去機能を持たせることも考えられるが、こ
れは技術的に非常に困難である。
【0019】そこで、本発明者は、微小な装置に一体的
に組込むことが可能な気泡除去機構についても鋭意研究
を行ない、上記この発明のDNA増幅装置において第1
の反応セルと第2の反応セルとを連通する流路にガス排
出孔を形成することにより、この課題を解決し得ること
を見出した。
【0020】このガス排出孔の断面形状は特に限定され
るものではなく、例えば矩形でも円でもよい。また、こ
のガス排出孔の径は、最も小さいところで 0.2ないし
1.0μmであることが好ましい。さらに、このガス排出
孔は、少なくともその内周面が疎水性を有していること
が好ましく、さらにその開口部周縁も疎水性を有してい
ることがより好ましい。ガス排出孔の内周面およびその
開口部周縁に疎水性を付与するには、例えば、シラン処
理した皮膜のような疎水性の膜で所定の領域を被覆すれ
ばよい。また、ガス排出孔が形成される基板が単結晶シ
リコン基板である場合には、純粋な単結晶シリコン自体
が疎水性を有しているため、所定の領域で純粋な単結晶
シリコン、すなわちベア単結晶シリコンを露出させれば
よい。なお、ここで言う「ベア単結晶シリコン」とは、
純粋な単結晶シリコンの表面に疎水性を喪失しない程度
の薄い自然酸化膜が形成されていることを排除するもの
ではない。加えて、ガス排出孔の内周面は、前記流路か
ら外部へ向けて開口面積が小さくなるテーパ状の内周面
であることが好ましい。
【0021】この発明の別の面においては、DNA増幅
装置は、無機基板上に形成されたプレーナ状の反応セ
ル、該反応セルに試料溶液を導入するための試料導入
部、該反応セルから試料溶液を排出するための試料排出
部、該試料導入部と該反応セルおよび該反応セルと該試
料排出部とを互いに連通する2つの流路、該反応セルの
底面に設けられた少なくとも1つの温度測定部、該無機
基板の該反応セルの裏面に設けられた加熱手段、該反応
セルの底面に載置された回転子、並びに該回転子の回転
を制御するための制御手段を具備することを特徴とす
る。
【0022】この装置に用いることができる無機基板、
温度測定部および加熱手段、並びに反応セル、試料導入
部および排出部、流路等の形成方法は前述のものと同様
である。
【0023】この装置に用いられる回転子は特に限定さ
れるものではないが、磁性粒子を用いることが好まし
い。例えば、回転羽根を反応セル内に設置しても同様の
効果を得ることはできるが、構造が複雑になってしま
う。この点、磁性粒子であれば、磁気を利用することに
より、モーター等の駆動部分を反応セルから離れた位置
に設けることができ、装置本体の構造を単純にすること
ができる。また、一般に使用される磁気回転子を用いる
ことも考えられるが、浅い反応セル内に収めるにはごく
微小の回転子を開発する必要があり、技術的な困難と共
に高コストが予想される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照して説明する。
【0025】図1はこの発明によるDNA増幅装置の第
1実施形態の上面を示す平面図、図2は図1に示す装置
の下面を示す平面図および図3は図1に示す装置のA−
A線断面図をそれぞれ示す。図に示されるように、この
第1実施形態では、無機基板101 上面に2つのプレーナ
状反応セル102 および103 、並びに試料導入部104 およ
び試料排出部105 が形成されており、試料導入部104 と
反応セル102 とは流路106 で、反応セル102 と103 とは
流路107 で、さらに反応セル103 と試料排出部105 とは
流路108 でそれぞれ連通している。反応セル102 および
103 の底面にはそれぞれ温度測定部109 および110 が設
けられ、無機基板101 の下面の反応セル102 および103
に対応する位置には加熱手段111 および112 がそれぞれ
設けられている。また、無機基板101 の上面には蓋板11
3 が接合され、基板101 の上面に形成された反応セル10
2 および103 、試料導入部104 、試料排出部105 、並び
に流路106 、107 および108 には、この蓋板と各々の底
面および側面とで空間が形成されている。
【0026】無機基板101 の材質としては、シリコンウ
ェハや他の半導体基板、ガラス基板、アルミ、ステンレ
ス等の金属板などを用いることができる。無機基板101
としてシリコンウェハを用いた場合には、温度測定部10
9 および110 を一体に形成することができ好ましい。他
の基板を用いた場合には、基板に反応セルを形成した
後、別途温度測定手段、例えばサーミスタを所定の位置
に固定すればよい。
【0027】以下、無機基板101 としてシリコンウェハ
を例として用いて、この実施形態の作製方法を説明す
る。無機基板101 の上面に設けられる反応セル102 およ
び103、試料導入部104 、試料排出部105 、並びに流路1
06 、107 および108 は、シリコンウェハをエッチング
することにより形成する。エッチングの方法としては、
通常シリコンウェハのエッチングに用いられるいかなる
方法をも用いることができ、例えば等方性エッチング、
異方性エッチングまたはドライエッチングが利用でき
る。ただし、エッチング後の底面の平滑性が良好なこと
を考慮すると、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニ
ウム(TMA)等を用いる異方性のウェットエッチング
が好ましい。すなわち、異方性エッチングを利用するこ
とにより底面の平滑性を高め、試料溶液を流したときに
生じる乱流や、底面への内容物、気泡等の物理吸着を抑
制することができる。反応セル102 および103 の平面形
状は図示するような六角形に限られるものではなく、試
料溶液の移動が容易であれば、任意の形状、例えば四角
形や円であっても構わない。ただし、シリコンウェハの
エッチングを異方性エッチングで行なう場合には、四角
形以上の多角形状であることが好ましい。これは、異方
性エッチングで滑らかな曲線を形成することが困難であ
ることから、試料溶液を移動させる際に反応セル内に溶
液が残留しないようにするためである。
【0028】また、水溶性液体を移動させる場合には、
内壁が親水性であると抵抗が少なくなって流れ易くなる
ので、シリコンウェハに、例えば、熱酸化等の方法で酸
化膜を形成するなどして内壁に親水性となる処理を施し
ておくことが好ましい。
【0029】前述の通り、反応セル102 および103 の底
面に設けられる温度測定部109 および110 は、反応セル
と一体に形成しても、別途測定手段を固定してもよい。
温度測定手段としては、pn接合を利用したダイオード
タイプ、各種サーミスタや熱電対等を利用することがで
きるが、シリコンウェハに直接形成することが可能であ
ることから、ダイオードタイプの測定手段を用いること
が好ましい。図4にダイオードタイプの温度測定部の一
例の断面を示す。この温度測定部は、シリコンウェハに
反応セルを形成した後、反応セルの底面に常法によって
三層の互いに導電型の異なる領域114 、115 および116
からなるpn接合型ダイオードを形成し、さらに外部に
測定信号を取り出すために絶縁層117 および118 並びに
金属配線119 および120 を配すことにより作製すること
ができる。温度測定部は1つの反応セル内に少なくとも
1つなければならず、1つの反応セルに複数の温度測定
部を設けた場合にはより精密な測定が可能となる。
【0030】無機基板101 の上面に接合される蓋板113
は、無機基板であればどのようなものでもよく、例えば
シリコンウェハやガラス基板を用いることができる。特
に、ガラス基板は透明であるため、反応セル内の状態が
視認できる点で好ましい。
【0031】加熱手段111 および112 としては、DNA
増幅反応に必要な熱サイクルを遂行し得るものであれば
どのようなものでもよく、例えば、電熱ヒータ、ペルチ
エ素子、赤外線ランプを用いることができる。図におい
ては、加熱手段111 および112 は、それぞれ、無機基板
101 の裏面の反応セル102 および103 に対応する位置に
固定されているが、この形態に限定されるものではな
く、反応セル内部を均一に加熱することが可能であれ
ば、例えば裏面全体に1つの加熱手段を固定してもよ
い。反応セル内部を均一に加熱するという点から見る
と、加熱手段は平面加熱が可能であるものが好ましい。
【0032】試料導入部104 および試料排出部105 に
は、このDNA増幅装置に増幅反応を行なおうとする試
料溶液を導入し、あるいはDNA増幅反応後の試料溶液
を排出するための手段が接続される。試料溶液の導入ま
たは排出手段、並びにそれらの接続方法は特に限定され
るものではなく、例えば図5に示されるように、蓋板11
3 の試料導入部104 および試料排出部105 に対応する位
置にチューブジョイント(図示せず)を設置し、このチ
ューブジョイントにチューブ122 を接続し、さらにいず
れかのチューブ122 を試料溶液の搬送手段123 に接続す
ればよい。図5に示される構成では、DNA増幅装置へ
の試料溶液の導入、DNA増幅装置からの試料溶液の排
出、および2つの反応セル102 および103 の間での試料
溶液の移動を1つの搬送手段123 によって行なう。搬送
手段123 は試料導入部側および試料排出部側のいずれに
設けてもよい。また、搬送手段は試料溶液の移動が可能
であれば特に限定されるものではなく、例えばペリスタ
ポンプを利用することができる。蓋板113 にチューブジ
ョイントを設置する場合には、試料導入部104 および試
料排出部105 は直径 0.5mm以上の円形であることが好
ましい。
【0033】このDNA増幅装置の寸法は任意であり、
反応セル102 および103 内でDNA増幅反応を行なう試
料溶液の容量によって変化するが、例えば試料溶液の容
量を50μlとすると、図に示す六角形の反応セルの場
合、一辺が 7mm、深さが 0.4mm程度は必要となる。
この場合、深さを 0.4mmに統一すると、試料導入部10
4 と反応セル102 とを連通する流路106 および反応セル
103 と試料排出部105 とを連通する流路108 の幅は 0.1
− 1mm程度、反応セル102 と103 とを連通する流路10
7 の幅は 0.3− 1mm程度とすることが適当であり、こ
のような寸法にすることにより反応セル壁面の表面張力
によって試料溶液が自然に流れ出すことはなくなる。
【0034】次に、この第1実施形態の装置を用いたP
CRによるDNA増幅反応の手順を説明する。
【0035】1)まず、DNA増幅反応を行なうために
必要な材料、すなわち2種類以上のプライマー、耐熱性
DNA合成酵素および4種類のデオキシリボヌクレオシ
ド三リン酸(dATP、dCTP、dGTPおよびdT
TP)並びに検体を含む試料溶液を、搬送手段123 を用
いて試料導入部104 から第1の反応セル102 のみに導入
する。
【0036】2)反応セル102 に導入した試料溶液を、
1秒ないし 1分程度の所定の間隔で、第1の反応セル10
2 と第2の反応セル103 との間で繰返し移動させる。以
下、DNA増幅反応が完了するまで継続的にこの移動を
繰り返す。
【0037】3)反応セル内の試料溶液を、温度測定部
109 および110 で温度を測定しながら、加熱手段111 お
よび112 で90−93℃まで昇温し、この温度を 1秒ないし
1分程度維持する。この際の維持温度の誤差は 0.1℃以
内に抑える。維持温度の設定は使用する酵素の耐熱性に
よって決定する。
【0038】4)反応セル内の試料溶液の温度を37℃ま
で降温し、この温度を 1秒ないし 3分程度維持する。こ
の際、維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑える。
【0039】5)反応セル内の試料溶液の温度を40−65
℃に昇温し、この温度を 1秒ないし3分程度維持する。
この際、維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑える。
【0040】6)上記3)−5)のサイクルを 2−1000
回繰返す。繰返し回数は、試料溶液に含まれるDNAの
濃度と所望する増幅率とに依存する。
【0041】7)所定の回数3)−5)のサイクルを繰
返した後、2つの反応セル間での試料溶液の移動を停止
し、搬送手段123 によって試料排出部105 から試料溶液
を外部に排出する。
【0042】このDNA増幅装置は、非常に浅い反応セ
ル内で試料溶液を平面的に加熱することができる。この
ため、試料溶液中に温度勾配が発生し難くなる。さら
に、前述の通り、このDNA増幅装置ではDNA増幅反
応を行なう間継続的に2つの反応セルの間で試料溶液を
往復移動させる。これにより、試料溶液は常に撹拌され
た状態にあり、試料溶液の温度並びに試料溶液中の成分
がより均一になる。
【0043】加えて、試料溶液を絶えず移動させること
により、試料溶液の加熱、冷却の繰返しによって溶液中
に発生する微小な気泡を大きく纏めることができる。ま
た、2つの反応セルを繋ぐ流路の幅が反応セルの幅より
も小さいことも気泡が大きくなることに貢献する。大き
く纏まった気泡は多数の微小な気泡よりもはるかに容易
に除去することができる。
【0044】さらに、試料溶液をいずれか一方の反応セ
ルに完全に移動させることにより、空になった反応セル
の内面に吸着している気泡も除去することができる。
【0045】このように、このDNA増幅装置を用いる
ことにより、試料溶液中の温度分布が不均一となること
を防止することができ、加えて、この温度分布不均一の
要因の1つである試料溶液の加熱、冷却の繰返しによっ
て発生する微小な気泡を容易に除去することが可能とな
る。したがって、DNA増幅反応の精度を高めることが
できる。
【0046】また、2つの反応セルがそれぞれ加熱手段
と温度測定部とを備えているので、それぞれ個別に内部
温度を制御し、DNA増幅反応の加熱、冷却のサイクル
の繰返しをより効率よく行なうこともできる。例えば、
一方の反応セルに試料溶液を移動して所定の温度に所定
の時間保持する間に、他方の反応セルの内部温度を次の
反応に必要な温度に合わせておくことにより、DNA増
幅反応に要する時間を短縮することができる。その際、
2つの反応セル間の距離が短く、温度制御が困難になる
場合には、2つの反応セルの間に、この2つの反応セル
を繋ぐ流路の邪魔にならない位置、例えば無機基板101
の裏面や蓋板113 内部に溝またはパイプを配し、そこに
冷却水を流して2つの反応セルを断熱することもでき
る。
【0047】次に、この発明によるDNA増幅装置の第
2実施形態を説明する。
【0048】図6は第2実施形態の上面を示す平面図、
図7は図6に示す装置のB−B線断面図である。図に示
されるように、この第2実施形態は上記第1実施形態と
ほぼ同様の構成をとる。すなわち、無機基板101 上面に
2つのプレーナ状反応セル102 および103 、並びに試料
導入部104 および試料排出部105 が形成されており、試
料導入部104 と反応セル102 とは流路106 で、反応セル
102 と103 とは流路107 で、さらに反応セル103 と試料
排出部105 とは流路108 でそれぞれ連通している。反応
セル102 および103 の底面にはそれぞれ温度測定部109
および110 が設けられ、無機基板101 の下面の反応セル
102 および103 に対応する位置には加熱手段111 および
112 がそれぞれ設けられている(図2参照)。また、無
機基板101 の上面には蓋板113 が接合され、基板101 の
上面に形成された反応セル102 および103 、試料導入部
104 、試料排出部105 、並びに流路106 、107 および10
8には、この蓋板と各々の底面および側面とで空間が形
成されている。図に示す第2実施例では、さらに、蓋板
113 の反応セル102 と103 とを繋ぐ流路107 の上面に相
当する部分にガス排出孔201 が形成されている。このガ
ス排出孔201 の平面形状は特に限定されるものではな
く、例えば円形であっても矩形であってもよく、その大
きさは平面形状が円形である場合に、直径 1ないし 100
μm、好ましくは 1ないし30μmである。また、図7に
示されるように、このガス排出孔201 の内周面には、流
路107 側から外部に向けて開口面積が小さくなるように
テーパが付けられている。さらに、この内周面は疎水性
を示す物質で構成されるか、もしくは、例えばシラン処
理により疎水性が付与されている。
【0049】次に、この第2実施形態の装置の作製方法
について説明する。
【0050】この装置は、蓋板113 の流路107 に相当す
る部分にガス排出孔201 が予め形成されていることを除
いて、上記第1実施形態の装置と同様の方法で作製する
ことができる。
【0051】ガス排出孔201 は、蓋板113 を構成する無
機基板をエッチングすることにより形成することができ
る。無機基板のエッチング方法は、基板の種類によって
異なり、常法により行なうことができる。例えば、無機
基板がシリコンウェハである場合には、まず、シリコン
ウェハ上に常法により酸化膜や窒化膜を形成し、通常用
いられるフォトリソグラフィ技術および酸化膜または窒
化膜のエッチング技術を用いてガス排出孔201 のマスク
パターンを形成する。この際、酸化膜のエッチングは、
例えばフッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液を用いる
バッファーエッチによって、また窒化膜のエッチング
は、例えばCF4 を用いるプラズマエッチングもしくは
RIE(Reactive Ion Etching)によって、それぞれ容
易に行なうことができる。
【0052】その後、このマスクパターンを用いてシリ
コンウェハに異方性エッチングを施し、ガス排出孔201
を形成する。異方性エッチングは単結晶シリコンの結晶
面<111>に沿ってエッチングが進行するため、<1
00>面のシリコンウェハを用いることにより、図に示
すようなテーパ状の内周面を有するガス排出孔201 を形
成することができる。異方性エッチングは、例えばマス
クしたシリコンウェハを80℃に加熱した32%KOH溶液
に浸漬することにより行なう。この場合、異方性エッチ
ングは、<100>面に対して54.7°の角度で内部に向
けて進行する。したがって、エッチング深さ(基板の厚
み)を考慮してマスクの大きさを適度に設定することに
より、ガス排出孔201 の開口部の大きさを制御すること
ができる。例えば、10μm角の開口部を形成するには、
エッチング深さをdとして、一辺が( 2d/tan(5
4.7°)+10)μmの長さの角形を抜いたマスクを用い
ればよい。
【0053】ガス排出孔201 を形成した後、マスクパタ
ーンを除去し、シリコンウェハの全面に酸化膜を形成す
る。ただし、マスクパターンを酸化膜で作製した場合に
は、マスクパターンをそのまま酸化膜として用いること
もできる。
【0054】続いて、ガス排出孔201 の内周面を以下に
記す通りにシラン処理して疎水化する。まず、疎水性を
付与しようとする領域、すなわちガス排出孔201 の内周
面以外の領域をフォトリソグラフィ技術によってレジス
トで被覆する。次いで、このシリコンウェハを密封容器
内に密封し、シランカップリング剤、例えばジクロロオ
クチルメチルシランを 2%溶解したトルエンを乾燥窒素
ガスでバブリングして上記密封容器内に導入する。これ
により、レジストで被覆されていない領域に気相反応で
疎水性のシラン処理皮膜が形成される。皮膜が形成され
た後、シリコンウェハからレジストを除去する。
【0055】なお、純粋な単結晶シリコンは疎水性を示
す。したがって、ガス排出孔のマスクパターンを酸化膜
で作製した場合には、ガス排出孔の形成が終了した後内
周面に疎水性を付与する処理を行なうことなく使用する
ことができる。
【0056】また、無機基板がガラス基板である場合に
は、通常エキシマレーザを用いてエッチングが行われ
る。エキシマレーザは紫外線領域の波長を有する強力な
レーザであり、その照射により分子間の結合が切断さ
れ、10μm以下の分解能でエッチングを行なうことがで
きる。ガラスのエッチングには、効率を考慮して、通常
ArFガスレーザ(波長 193nm)が用いられる。
【0057】ガラス基板にガス排出孔を形成するには、
レーザ光を光学系に導き、所望のパターンを有するマス
クを通してガラス基板に照射すればよい。この際の位置
決めは、精密な位置決めステージ上で行なう。ガス排出
孔の開口部の大きさなどは、レーザの出力、照射時間、
ガラス基板の厚み等を考慮して決定することができる。
例えば、ガラス基板にエネルギー密度が 3.1J/cm2
のエキシマパルスレーザを照射すると、 100μm/ 600
shotのエッチングレイトを得ることができる。したがっ
て、厚さ 0.5mmのガラス基板に 100Hzでレーザパル
スを照射すると、30秒で連通孔を形成することができ
る。このようにしてレーザの照射によって形成されたガ
ス排出孔の内周面は、レーザの入射口から出射口に向か
って内径が徐々に小さくなるテーパ状となる。
【0058】ガラス基板にガス排出孔を形成した後、そ
の内周面を以下に記す通りにシラン処理して疎水化す
る。まず、疎水性を付与しようとする領域、すなわちガ
ス排出孔の内周面以外の領域をフォトリソグラフィ技術
によってレジストで被覆する。次いで、このガラス基板
を密封容器内に密封し、シランカップリング剤、例えば
ジクロロオクチルメチルシランを 2%溶解したトルエン
を乾燥窒素ガスでバブリングして上記密封容器内に導入
する。これにより、レジストで被覆されていない領域に
気相反応で疎水性のシラン処理皮膜が形成される。皮膜
が形成された後、ガラス基板からレジストを除去する。
【0059】図においては、流路107 にガス排出孔201
を1つだけ示したが、ガス排出孔201 は1つに限定され
るものではなく、複数個形成してもよい。また、製造方
法も前述したものに限定されるものではなく、当業者に
周知の技術で同等の加工が行なえるものであれば、どの
ような方法でも利用することができる。例えば、シラン
処理方法として気相での反応を説明したが、クロロホル
ム、トルエン等を用いて液相で処理することも可能であ
る。また、シラン処理剤も疎水性の表面処理が可能であ
れば様々なものが使用可能である。例えば、疎水性基と
して1つ以上のアルキル基やフェニル基を有するもの
や、ガラスへの反応基としてクロル基、メトキシ基、エ
トキシ基等を含む試薬を用いることができる。また、シ
ランカップリング剤のSiをTiに換えたチタネートカ
ップリング剤を用いることもできる。さらに、蒸着、ス
パッタリング等によって表面処理を行なうこともでき、
例えば、連通孔の開口部以外をマスクしてパリレン等の
疎水性材料を蒸着してもよいし、テフロン等の疎水性材
料をスパッタリングにより所定の領域に付着させること
も可能である。
【0060】この第2実施形態は、前述の通り、蓋板11
3 にガス排出孔201 が形成されていることを除いて前記
第1実施形態と同じ構成をとる。したがって、この第2
実施形態の装置は、第1実施形態と同様の手順でDNA
増幅反応を行なうことができ、第1実施形態が示す効果
を同様に示す。これに加えて、この第2実施形態には、
ガス排出孔201 が存在することによる効果がある。2つ
の反応セル102 および103 の間で試料溶液を継続的に移
動させ、それにより微小な気泡が大きく纏まることは前
述した通りである。この大きく纏まった気泡は、試料溶
液と共に流路107 を通して2つの反応セルの間を移動す
る。流路107 の上面に設けられたガス排出孔201 の内周
面は疎水性を示すので、親水性の液体は弾かれてしまい
外部に流出することはないが、気泡は疎水性を示すため
内周面に容易に付着し、そのままガス排出孔201 内を通
過して外部に排出される。
【0061】このように、この第2実施形態の装置によ
れば、比較的容易に気泡の除去機構と流路とを一体的に
形成することができ、外部の気泡除去手段と接続する必
要がなくなる。このため、回路全体をよりコンパクトに
することができ、また外部との接続部分を少なくするこ
とができるため構造が簡単になる。さらに、流路の壁面
は主として親水性であるため、水溶性液体を少ない抵抗
で流すことができる。また、蓋板113 がシリコンウェハ
である場合には、ガス排出孔201 を異方性エッチングで
形成することが可能であり、より精密な加工が可能であ
る。さらに、外部の圧力を減じることによりガス排出孔
を介する気泡の除去効率をより向上させることができ
る。加えて、このような場合であっても、外部との接続
部分が少ないために液漏れ等の恐れがなく、装置の安定
性が向上する。
【0062】ガス排出孔の形態は図7に示される形態に
限られるものではなく、例えば図8に示されるように、
ガス排出孔202 の流路107 側の開口部に多孔質層203 が
設けられた形態でもよい。多孔質層203 の形成方法は特
に限定されるものではないが、蓋板113 がシリコンウェ
ハである場合には、以下の手順により比較的容易に形成
することができる。
【0063】まず、蓋板113 となるシリコンウェハに、
通常用いられるフォトリソグラフィ技術および酸化膜ま
たは窒化膜のエッチング技術を用いて多孔質層203 のマ
スクパターンを形成する。この際、酸化膜のエッチング
は、例えばフッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液を用
いるバッファーエッチによって、また窒化膜のエッチン
グは、例えばCF4 を用いるプラズマエッチングもしく
はRIE(Reactive Ion Etching)によって、それぞれ
容易に行なうことができる。マスクパターンが形成され
た後、例えば電流密度15mA/cm2 、温度30℃で、陽
極化成を行なう。これにより、シリコンウェハの表面か
ら内部に向かって多孔質層が形成される。多孔質層の厚
みは特に限定されるものではないが、通常 100μm以下
で十分である。厚みは陽極化成の処理条件や処理時間に
より制御することができる。
【0064】陽極化成終了後、多孔質層203 を形成した
面の裏面にガス排出孔202 のマスクパターンを形成し、
シリコンウェハをエッチングして多孔質層203 を露出さ
せる。この際のエッチングには、図7に示されるガス排
出孔201 と同様に異方性エッチングを利用することがで
きるが、ここではシリコンウェハを貫通する必要はな
く、多孔質層203 が露出する深さまでエッチングすれば
よい。このため、ガス排出孔202 のマスクパターンのサ
イズはガス排出孔201 の場合ほど厳密である必要はな
い。
【0065】ガス排出孔202 を形成した後、マスクパタ
ーンを除去し、多孔質層203 の表面を含めてシリコンウ
ェハの全面に酸化膜を形成する。ただし、マスクパター
ンを酸化膜で作製した場合には、マスクパターンをその
まま酸化膜として用いることもできる。
【0066】続いて、多孔質層203 の流路107 側表面を
以下に記す通りにシラン処理して疎水化する。まず、疎
水性を付与しようとする領域、すなわち多孔質層203 の
流路107 側表面、以外の領域をフォトリソグラフィ技術
によってレジストで被覆する。次いで、このシリコンウ
ェハを密封容器内に密封し、シランカップリング剤、例
えばジクロロオクチルメチルシランを 2%溶解したトル
エンを乾燥窒素ガスでバブリングして上記密封容器内に
導入する。これにより、レジストで被覆されていない領
域に気相反応で疎水性のシラン処理皮膜が形成される。
皮膜が形成された後、シリコンウェハからレジストを除
去する。
【0067】このガス排出孔202 も、前述のガス排出孔
201 と同様の効果を有している。すなわち、親水性の液
体は弾かれてしまって外部に流出することはないが、疎
水性を示す気泡は多孔質層203 の細孔を容易に通過して
外部に排出される。これに加えて、前述の通り、このガ
ス排出孔202 はガス排出孔201 の場合と比較してエッチ
ング深さとマスクパターンのサイズを厳密に規定する必
要がない。そのため、より容易に加工することができ
る。また、ガス排出孔202 の孔内に多孔質層203が設け
られていることにより、ガス排出孔202 は常に多数の微
小孔から構成されているものと見なすことができる。す
なわち、ガス排出孔202 の大きさに関わりなく、常に液
漏れを生じることなく気泡の除去機能を維持することが
可能である。このため、前記ガス排出孔201 よりも開口
部を大きくすることができ、気泡除去効率の増加が期待
できる。
【0068】なお、図8においては、多孔質層203 はガ
ス排出孔202 の流路107 側開口部に設けられているが、
外部側開口部に設けることもできる。この場合には、エ
ッチングにより形成されるガス排出孔202 の内周面が流
路107 側になるので、この内周面にも上述のシラン処理
を施して疎水性を付与することによりガス排出の効果が
向上する。
【0069】次に、この発明によるDNA増幅装置の第
3実施形態について説明する。
【0070】図9は第3実施形態の上面を示す平面図で
ある。図9に示されるように、この第3実施形態は、図
6に示される第2実施形態の構成にさらに2つのガス流
通孔301 および302 を加えたものである。すなわち、こ
の第3実施形態の構成は次の通りである。無機基板101
上面に2つのプレーナ状反応セル102 および103 、並び
に試料導入部104 および試料排出部105 が形成されてお
り、試料導入部104 と反応セル102 とが流路106 で、反
応セル102 と103 とが流路107 で、さらに反応セル103
と試料排出部105 とが流路108 でそれぞれ連通してい
る。反応セル102および103 の底面にはそれぞれ温度測
定部109 および110 が設けられ、無機基板101 の下面の
反応セル102 および103 に対応する位置には加熱手段11
1 および112 がそれぞれ設けられている(図2参照)。
また、無機基板101 の上面には蓋板113 が接合され、基
板101 の上面に形成された反応セル102 および103 、試
料導入部104 、試料排出部105 、並びに流路106 、107
および108 には、この蓋板と各々の底面および側面とで
空間が形成されている。さらに、蓋板113 の反応セル10
2 と103 とを繋ぐ流路107 の上面に相当する部分にはガ
ス排出孔201 が、試料導入部104 と反応セル102 とを繋
ぐ流路106 の上面に相当する部分にはガス排出孔301
が、並びに反応セル103 と試料排出部105 とを繋ぐ流路
108 の上面に相当する部分にはガス排出孔302 が形成さ
れている。
【0071】さらに、この装置は、試料導入部104 と反
応セル102 、並びに反応セル103 と試料排出部105 との
間にそれぞれ弁を設けることもできる(図示せず)。そ
の場合には、ガス排出孔301 および302 は、各々、弁と
反応セルとの間に位置しなければならない。
【0072】ガス排出孔301 および302 は、形態的には
第2実施形態におけるガス排出孔と同じであって、図7
および8に示されるガス排出孔のいずれの形態でもよ
く、その製造方法も前述した通りである。
【0073】前述のように、PCR反応を行なっている
間に、加熱により溶液中に発生した気泡および/または
その溶液自体が膨張して反応セル内の圧力が上昇し、試
料溶液が予期せず他方の反応セルに移動したり、接合部
等が高圧で破損したりすることがある。この第3実施形
態の装置では、反応セル内の圧力が上昇した場合には、
各々の反応セルと試料導入部または試料排出部との間に
形成されたガス排出孔301 または302 から空気が流出し
て反応セル内の圧力を下げ、高圧による試料溶液の移動
や装置の破損を防止する。すなわち、ガス排出孔301 お
よび302 により、反応セル内の圧力を常に一定に保つこ
とが可能となる。
【0074】次に、この発明によるDNA増幅装置の第
4実施形態について説明する。
【0075】図10は第4実施形態の上面を示す平面
図、図11は図10に示される装置の下面を示す平面
図、および図12は図10に示される装置のC−C線断
面図をそれぞれ示す。図に示されるように、この装置で
は、無機基板401 上面にプレーナ状反応セル402 、試料
導入部403 および試料排出部404 が形成されており、試
料導入部403 と反応セル402 とは流路405 で、並びに反
応セル402 と試料排出部404 とは流路406 でそれぞれ連
通している。反応セル402 の底面には温度測定部407 が
設けられ、無機基板401 の下面の反応セル402 に対応す
る位置には加熱手段408 が設けられている。また、反応
セル402 の底面上には磁性粒子409 が載置され、加熱手
段408 の下方にこの磁性粒子409 の運動を磁気により制
御する磁気スターラー410 が設けられている。さらに、
無機基板401 の上面には蓋板411 が接合され、基板401
の上面に形成された反応セル402 、試料導入部403 、試
料排出部404 、並びに流路405 および406 には、この蓋
板411 と各々の底面および側面とで空間が形成されてい
る。なお、図において、磁性粒子409 は多数の粒子の集
合体として表わされている。以下、磁性粒子の流径に関
する記述は磁性粒子の各々について述べ、磁性粒子の動
きに関する記述は磁性粒子の集合体としての動きに言及
するものとする。
【0076】この第4実施形態における無機基板401 、
プレーナ状反応セル402 、試料導入部403 、試料排出部
404 、流路405 および406 、温度測定部407 、加熱手段
408並びに蓋板411 は、上記第1実施例と同じ材料およ
び方法によって作製することができる。
【0077】反応セル402 の底面上に載置される磁性粒
子は市販品をそのまま用いることができるが、その直径
は好ましくは 0.1μmないし 100μm、より好ましくは
1μmないし50μmである。また、磁性粒子の表面を、
例えば親水性ポリマ−等で処理して親水性を付与するこ
とにより、DNA増幅反応時に試料溶液中に含まれる成
分が磁性粒子に付着することを防ぐこともできる。
【0078】磁気スターラー410 は磁気によって反応セ
ル402 内の磁性粒子409 を動かし、その運動を制御する
ものである。磁気スターラー410 は、通常、磁石、モー
ターおよび制御回路から構成され、モーターによって磁
石を回転し、その回転を制御回路で制御する機構を有し
ている。この第4実施形態においては、磁石の回転速度
は 0ないし5000rpm、好ましくは 0ないし2000rpm
の範囲で制御可能であればよい。
【0079】この第4実施形態の装置を用いたPCRに
よるDNA増幅反応の手順は以下の通りである。
【0080】1)まず、DNA増幅反応を行なうために
必要な材料、すなわち2種類以上のプライマー、耐熱性
DNA合成酵素および4種類のデオキシリボヌクレオシ
ド三リン酸(dATP、dCTP、dGTPおよびdT
TP)並びに検体を含む試料溶液を、上記第1実施形態
と同じ搬送手段を用いて試料導入部403 から反応セル40
2 に導入する。
【0081】2)磁気スターラー410 を稼動させ、反応
セル402 内の磁性粒子409 を回転させる。この際の回転
数は、試料溶液の容量と磁性粒子の粒径とによって決定
される。
【0082】3)反応セル内の試料溶液を、温度測定部
407 で温度を測定しながら、加熱手段408 で90−93℃ま
で昇温し、この温度を 1秒ないし 1分程度維持する。こ
の際の維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑える。維持温度
の設定は使用する酵素の耐熱性によって決定する。
【0083】4)反応セル内の試料溶液の温度を37℃ま
で降温し、この温度を 1秒ないし 3分程度維持する。こ
の際、維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑える。
【0084】5)反応セル内の試料溶液の温度を40−65
℃に昇温し、この温度を 1秒ないし3分程度維持する。
この際、維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑える。
【0085】6)上記3)−5)のサイクルを 2−1000
回繰返す。繰返し回数は、試料溶液に含まれるDNAの
濃度と所望する増幅率とに依存する。
【0086】7)所定の回数3)−5)のサイクルを繰
返した後、磁性粒子の回転を停止させ、搬送手段によっ
て試料排出部404 から試料溶液を外部に排出する。この
とき、磁性粒子409 は磁気スターラー410 の磁石の磁性
によって反応セル402 内に固定され、試料溶液と共に排
出されることはない。
【0087】この第4実施形態においては、反応セル内
で磁性粒子が回転することにより、増幅反応を行なって
いる間試料溶液が常に撹拌されている状態にある。この
ため、増幅反応の際の加熱、冷却の繰返しによって試料
溶液中に発生する微小な気泡が大きく纏まり、除去し易
くなる。したがって、溶液中に気泡が存在することによ
って温度が不均一となることを防止することができる。
また、試料溶液を十分に撹拌することができるため、溶
液中の成分分布の不均一も解消することができる。
【0088】次に、この発明によるDNA増幅装置の第
5実施形態について説明する。
【0089】図13は第5実施形態の上面を示す平面
図、図14は図13に示される装置のD−D線断面図で
ある。この第5実施形態は、磁性粒子409 の回転中心に
当る部分の蓋板411 にガス排出孔501 が形成されている
ことを除いて上記第4実施形態と同じ構成をとる。すな
わち、この第5実施形態の構成は以下の通りである。無
機基板401 上面にプレーナ状反応セル402 、試料導入部
403 および試料排出部404 が形成されており、試料導入
部403 と反応セル402 とは流路405 で、並びに反応セル
402 と試料排出部404 とは流路406 でそれぞれ連通して
いる。反応セル402 の底面には温度測定部407 が設けら
れ、無機基板401 の下面の反応セル402 に対応する位置
には加熱手段408 が設けられている。また、反応セル40
2 の底面上には磁性粒子409 が載置され、加熱手段408
の下方にこの磁性粒子409 の運動を磁気により制御する
磁気スターラー410 が設けられている。無機基板401 の
上面には蓋板411 が接合され、基板401 の上面に形成さ
れた反応セル402 、試料導入部403 、試料排出部404 、
並びに流路405 および406 には、この蓋板411 と各々の
底面および側面とで空間が形成されている。また、磁性
粒子409 の回転中心に当る位置の蓋板411 にはガス排出
孔501 が形成されている。
【0090】ガス排出孔501 の内周面には、図14に示
されるように、反応セル402 側から外部に向けて開口面
積が小さくなるようにテーパが付けられている。また、
この内周面は疎水性を示す物質で構成されるか、もしく
は、例えばシラン処理により疎水性が付与されている。
ガス排出孔501 の形態は図14に示される形態に限られ
るものではなく、図15に示されるように反応セル402
側の開口部に多孔質層502 が設けられた形態でもよい。
多孔質層502 は反応セル402 側の開口部ではなく、外部
側の開口部に設けてもよい。ガス排出孔501 は、前記第
2実施形態と同様の方法で作製することができる。
【0091】この第5実施形態は、前述の通り、蓋板41
1 にガス排出孔501 が形成されていることを除いて前記
第4実施形態と同じ構成をとる。したがって、この第5
実施形態の装置は、第4実施形態と同様の手順でDNA
増幅反応を行なうことができ、第4実施形態が示す効果
を同様に示す。これに加えて、この第5実施形態には、
ガス排出孔501 が存在することによる効果がある。DN
A増幅反応を行っている間、磁性粒子409 を回転させる
ことにより試料溶液が撹拌され、溶液中に発生した微小
な気泡が大きく纏められることは既述した通りである。
この大きく纏められた気泡は、磁性粒子409 の回転に伴
って発生する液流にのって磁性粒子409の回転中心に集
まる。磁性粒子409 の回転中心に当る位置の蓋板411 に
はガス排出孔501 が形成されており、前述の通り親水性
の液体は弾くが、疎水性を示す気泡は容易に通過させ
る。このため、回転中心に集まった気泡のみがガス排出
孔501 から外部に排出される。
【0092】このように、この第5実施形態では、増幅
反応の際の加熱、冷却の繰返しによって試料溶液中に発
生する気泡を効率良く外部に排出することができ、試料
溶液中の温度分布が不均一になることを防ぐことができ
る。
【0093】次に、この発明によるDNA増幅装置の第
6実施形態について説明する。
【0094】図16は、第6実施形態の上面を示す平面
図である。図に示されるように、この第6実施形態は、
試料導入部と反応セルおよび反応セルと試料排出部との
間の流路にさらにガス排出孔が形成されていることを除
いて前記第5実施形態と同様の構成をとる。すなわち、
この第6実施形態の構成は以下の通りである。無機基板
401 上面にプレーナ状反応セル402 、試料導入部403 お
よび試料排出部404 が形成されており、試料導入部403
と反応セル402 とは流路405 で、並びに反応セル402 と
試料排出部404 とは流路406 でそれぞれ連通している。
反応セル402 の底面には温度測定部407 が設けられ、無
機基板401 の下面の反応セル402 に対応する位置には加
熱手段408 が設けられている(図14、15参照)。ま
た、反応セル402 の底面上には磁性粒子409 が載置さ
れ、加熱手段408 の下方にこの磁性粒子409 の運動を磁
気により制御する磁気スターラー410 が設けられている
(図14、15参照)。無機基板401 の上面には蓋板41
1 が接合され、基板401 の上面に形成された反応セル40
2 、試料導入部403 、試料排出部404 、並びに流路405
および406 には、この蓋板411 と各々の底面および側面
とで空間が形成されている。また、蓋板411 には、磁性
粒子409 の回転中心に当る位置、反応セル402と試料導
入部403 とを連通する流路405 の上面に相当する部分並
びに反応セル402 と試料排出部404 とを連通する流路40
6 の上面に相当する部分に、それぞれガス排出孔501 、
601 および602 が形成されている。
【0095】さらに、図に示す装置においては、流路40
5 および406 にそれぞれ弁を設けることもできる(図示
せず)が、その場合には、ガス排出孔601 および602 は
それぞれ、反応セル402 と各々の弁との間に位置しなけ
ればならない。
【0096】ガス排出孔601 および602 の形態は、前記
ガス排出孔501 と全く同様であり、図14に示される形
態であっても、あるいは図15に示される形態であって
もよい。また、その作製方法も前記ガス排出孔501 と同
様であり、前記第2実施形態と同様にして作製すること
ができる。
【0097】前述のように、この第6実施形態はさらに
2つのガス排出孔が形成されていることを除いて前記第
5実施形態と同様の構成をとる。したがって、第5実施
形態と同様の作用効果を示す。さらに、この第6実施形
態では、さらに2つのガス排出孔が存在することによる
効果が加わる。
【0098】PCR反応を行なっている間に、加熱によ
り溶液中に発生した気泡および/またはその溶液自体が
膨張して反応セル内の圧力が上昇し、試料溶液が予期せ
ず反応セル外に移動したり、接合部等が高圧で破損した
りすることがあることは既述の通りである。この第6実
施形態では、反応セル内の圧力が上昇した場合には、反
応セルと試料導入部または試料排出部との間に形成され
たガス排出孔601 または602 から空気が流出して反応セ
ル内の圧力を下げ、高圧による試料溶液の移動や装置の
破損を防止する。すなわち、ガス排出孔601 および602
により、反応セル内の圧力を常に一定に保つことが可能
となる。
【0099】次に、この発明によるDNA増幅装置の第
7実施形態について説明する。
【0100】図17は第7実施形態の上面を示す平面
図、図18は図17に示される装置の下面を示す平面
図、図19は図17に示される装置のE−E線断面図お
よび図20は図17に示される装置のF−F線断面図で
ある。図に示されるように、この第7実施形態では、無
機基板701 上面に2つのプレーナ状反応セル702 および
703 、並びに試料導入部704 および試料排出部705 が形
成されており、試料導入部704 と反応セル702 とは流路
706 で、反応セル702 と703 とは流路707 で、さらに反
応セル703 と試料排出部705 とは流路708 でそれぞれ連
通している。反応セル702 および703 の底面にはそれぞ
れ温度測定部709 および710 が設けられ、無機基板701
の下面の反応セル702 および703 に対応する位置には加
熱手段711 および712 がそれぞれ設けられている。ま
た、無機基板701 の上面には蓋板713 が接合され、基板
701 の上面に形成された反応セル702 および703 、試料
導入部704 、試料排出部705 、並びに流路706 、707 お
よび708 には、この蓋板713 と各々の底面および側面と
で空間が形成されている。さらに、反応セル702 の上面
に相当する部分の蓋板713 には少なくとも1つのガス排
出孔714 が形成され、加えて、反応セル702 の裏面に設
けられている加熱手段711 の下方には超音波振動子715
が設けられている。
【0101】この第7実施形態において、無機基板701
、反応セル702 および703 、試料導入部704 、試料排
出部705 、流路706 、707 および708 、温度測定部709
および710 、加熱手段711 および712 、並びに蓋板713
は、前記第1実施形態と同様の材料で、同様の方法によ
り作製することができる。
【0102】ガス排出孔714 の内周面には、図20に示
されるように、反応セル702 側から外部に向けて開口面
積が小さくなるようにテーパが付けられている。また、
この内周面は疎水性を示す物質で構成されるか、もしく
は、例えばシラン処理により疎水性が付与されている。
ガス排出孔714 の形態は図20に示される形態に限られ
るものではなく、図21に示されるように反応セル702
側の開口部に多孔質層716 が設けられた形態でもよい。
また、多孔質層716 は反応セル702 側の開口部ではな
く、外部側の開口部に設けてもよい。ガス排出孔714
は、前記第2実施形態と同様の方法で作製することがで
きる超音波振動子715 は超音波を発生する素子であり、
通常圧電体を利用して高周波電源(図示せず)で制御す
る。高周波電源の出力は、反応セル702 の大きさに依存
して決定される。図においては、超音波振動子715 は加
熱手段711 の下方に設けられているが、このような構成
に限られるものではなく、無機基板701 と加熱手段711
との間であっても、あるいは蓋板713 の上方にあっても
よい。また、必ずしも反応セル702 の下方もしくは上方
に位置する必要もなく、無機基板701に接触して設けら
れていればよく、さらには使用時に反応セル702 に接触
させることができれば、無機基板701 に常設されている
必要もない。
【0103】この第7実施形態を用いたPCRによるD
NA増幅反応の手順は以下の通りである。
【0104】1)まず、DNA増幅反応を行なうために
必要な材料、すなわち2種類以上のプライマー、耐熱性
DNA合成酵素および4種類のデオキシリボヌクレオシ
ド三リン酸(dATP、dCTP、dGTPおよびdT
TP)並びに検体を含む試料溶液を、上記第1実施形態
と同じ搬送手段を用いて試料導入部704 から第1の反応
セル702 に導入する。
【0105】2)超音波振動子715 を作動させ、超音波
を 1秒ないし10分間発振させる。
【0106】3)再び搬送手段を利用して、試料溶液を
第2の反応セル703 に移動させる。 4)第2の反応セル703 内の試料溶液を、温度測定部71
0 で温度を測定しながら、加熱手段712 で90−93℃まで
昇温し、この温度を 1秒ないし 1分程度維持する。この
際の維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑える。維持温度の
設定は使用する酵素の耐熱性によって決定する。
【0107】5)第2の反応セル703 内の試料溶液の温
度を37℃まで降温し、この温度を 1秒ないし 3分程度維
持する。この際、維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑え
る。
【0108】6)第2の反応セル703 内の試料溶液の温
度を40−65℃に昇温し、この温度を1秒ないし 3分程度
維持する。この際、維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑え
る。 7)上記4)−6)のサイクルを 2−1000回繰返す。繰
返し回数は、試料溶液に含まれるDNAの濃度と所望す
る増幅率とに依存する。
【0109】8)所定の回数4)−6)のサイクルを繰
返した後、搬送手段によって試料排出部705 から試料溶
液を外部に排出する。
【0110】この第7実施形態においては、第1の反応
セルに導入した試料溶液に超音波振動を加えた後、第2
の反応セルにおいてDNA増幅反応を行なう。このよう
にDNA増幅反応に先立って試料溶液を超音波によって
前処理することにより、溶液中の溶存空気を気泡として
発生させ、第1の反応セルの上面に形成されたガス排出
孔から排出することができる。このため、DNA増幅反
応の際の加熱、冷却の繰返しによる微小な気泡の発生を
抑制することができ、溶液中の温度が不均一となること
を防ぐことができる。また、試料溶液を超音波によって
前処理する際に加熱手段711 で試料溶液を加熱すること
も可能であり、これにより溶液中の溶存空気をさらに低
減させることができる。
【0111】上記DNA増幅反応の手順の説明において
は、第1の反応セルは試料溶液の超音波による前処理に
用い、DNA増幅反応は第2の反応セルでのみ行なって
いるが、前記第1ないし第3実施形態と同様の手順で反
応を行なうこともできる。すなわち、第1の反応セルと
第2の反応セルとの間で試料溶液を移動させて順次反応
を行なってもよい。この場合には、最初の超音波による
前処理で排出できなかった溶存空気が第2の反応セル内
で気泡として発生したとしても、次の工程で第1の反応
セルの上面に設けられたガス排出孔から速やかに排出す
ることができる。
【0112】なお、この第7実施形態では2つの反応セ
ルが用いられているが、前記第4ないし第6実施形態の
ように反応セル1つであっても同様の効果を期待するこ
とができる。この場合には、例えば前記第4実施形態に
おいて、加熱手段408 の下方に超音波振動子を設置し、
反応セル402 に試料溶液を導入した後、まず超音波振動
子を 1秒ないし10分間作動させて溶液中の溶存空気を除
去し、次いで磁性粒子を回転させて反応を行なえばよ
い。
【0113】また、この第7実施形態の装置の周囲を減
圧状態にすることにより、ガス排出孔714 からの気泡の
排出をより効率よく行なうことができる。ただし、この
場合には、ガス排出孔714 から試料溶液が流出しないよ
うに減圧の程度を調整する必要がある。
【0114】次に、この発明によるDNA増幅装置の第
8実施形態について説明する。
【0115】図22は第8実施形態の上面を示す平面
図、図23は図22に示される装置の下面を示す平面
図、および図24は図22に示される装置のG−G線断
面図である。この第8実施形態は、蓋板に減圧用の管が
接続され、3つの流路のうちの2つに弁が設けられてい
ることを除いて、前記第7実施形態と同様の構成をと
る。すなわち、第8実施形態の構成は以下の通りであ
る。無機基板701 上面に2つのプレーナ状反応セル702
および703 、並びに試料導入部704 および試料排出部70
5 が形成されており、試料導入部704 と反応セル702 と
は流路706 で、反応セル702 と703 とは流路707 で、さ
らに反応セル703 と試料排出部705 とは流路708でそれ
ぞれ連通している。反応セル702 および703 の底面には
それぞれ温度測定部709 および710 が設けられ、無機基
板701 の下面の反応セル702 および703 に対応する位置
には加熱手段711 および712 がそれぞれ設けられてい
る。また、無機基板701 の上面には蓋板713 が接合さ
れ、基板701 の上面に形成された反応セル702 および70
3 、試料導入部704 、試料排出部705 、並びに流路706
、707 および708 には、この蓋板713 と各々の底面お
よび側面とで空間が形成されている。さらに、反応セル
702 の上面に相当する部分の蓋板713 には少なくとも1
つのガス排出孔714 が形成され、加えて、反応セル702
の裏面に設けられている加熱手段711 の下方には超音波
振動子715 が設けられている。これに加えて、ガス排出
孔714 には、ジョイント部801 を介して減圧管802 が接
続されており、さらに流路706 および707 にはそれぞれ
弁803 および804 が設けられている。
【0116】この第8実施形態において、無機基板701
、反応セル702 および703 、試料導入部704 、試料排
出部705 、流路706 、707 および708 、温度測定部709
および710 、加熱手段711 および712 、並びに蓋板713
は、前記第7実施形態と同様に、前記第1実施形態と同
様の材料で、同様の方法により作製することができる。
ガス排出孔714 も前記第7実施形態と同様に前記第1実
施形態と同様の方法で形成することができ、図24に示
されるように、反応セル702 側から外部に向けて開口面
積が小さくなるようにテーパが付けられた形態であって
も、図25に示されるように反応セル702 側の開口部に
多孔質層716 が設けられた形態でもよい。また、多孔質
層716 は反応セル702 側の開口部ではなく、外部側の開
口部に設けてもよい。
【0117】減圧管802 はジョイント部801 を介して蓋
板713 に形成されているガス排出孔714 に接続されてい
る。ここで用いられるジョイント部801 および減圧管80
2 の材質や接続方法は特に限定されるものではなく、ガ
ス排出孔714 と減圧管802 とを気密に接続できるもので
あればどのようなものでもよい。減圧管802 はさらに図
示されないロータリーポンプ等の吸引手段に接続されて
いる。
【0118】流路706 および707 にそれぞれ設けられる
弁803 および804 は、例えば、予め蓋板713 にエッチン
グやドリルなどで貫通孔を形成し、この貫通孔に微小な
弁を固定した後無機基板701 と接合することにより作製
することができる。ここで用いられる微小な弁としては
市販品を用いることができ、例えばレッドウッド・マイ
クロシステムズ社(Redwood microsystems, Inc.)の F
luistor を好適に用いることができる。この Fluistor
は気体用の弁ではあるが、液体用としても利用すること
が可能である。また、弁の固定方法としては、通常陽極
接合による接着法が用いられるが、接着剤や粘着剤を利
用して接着することもできる。
【0119】この第8実施形態を用いたPCRによるD
NA増幅反応の手順は以下の通りである。
【0120】1)まず、弁803 および804 を開放し、D
NA増幅反応を行なうために必要な材料、すなわち2種
類以上のプライマー、耐熱性DNA合成酵素および4種
類のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、d
CTP、dGTPおよびdTTP)並びに検体を含む試
料溶液を、上記第1実施形態と同じ搬送手段を用いて試
料導入部704 から第1の反応セル702 に導入する。
【0121】2)弁803 および804 を閉鎖する。
【0122】3)減圧管802 に接続した吸引手段を作動
させ、第1の反応セル702 内部を減圧する。
【0123】4)超音波振動子715 を作動させ、超音波
を 1秒ないし10分間発振させる。
【0124】5)弁803 および804 を開放する。
【0125】6)再び搬送手段を利用して、試料溶液を
第2の反応セル703 に移動させる。 7)第2の反応セル703 内の試料溶液を、温度測定部71
0 で温度を測定しながら、加熱手段712 で90−93℃まで
昇温し、この温度を 1秒ないし 1分程度維持する。この
際の維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑える。維持温度の
設定は使用する酵素の耐熱性によって決定する。
【0126】8)第2の反応セル703 内の試料溶液の温
度を37℃まで降温し、この温度を 1秒ないし 3分程度維
持する。この際、維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑え
る。
【0127】9)第2の反応セル703 内の試料溶液の温
度を40−65℃に昇温し、この温度を1秒ないし 3分程度
維持する。この際、維持温度の誤差は 0.1℃以内に抑え
る。 10)上記7)−9)のサイクルを 2−1000回繰返す。
繰返し回数は、試料溶液に含まれるDNAの濃度と所望
する増幅率とに依存する。
【0128】11)所定の回数7)−9)のサイクルを
繰返した後、搬送手段によって試料排出部705 から試料
溶液を外部に排出する。
【0129】この第8実施形態においては、前記第7実
施形態と同様に、第1の反応セルに試料溶液を導入した
後、まず超音波によって前処理を施して溶液中の溶存空
気を気泡として発生させる。この際、反応セル内は減圧
に保たれているため、常圧では除去しきれない溶存空気
も気泡として発生する。さらに、発生した気泡は、ガス
排出孔に減圧管を介して接続されているロータリーポン
プ等の吸引手段により強制的に排除される。このよう
に、試料溶液中の溶存空気をより効率的に除去すること
が可能であり、しかも、第1の反応セルは2つの弁を閉
鎖することにより完全に密閉されるため試料溶液がガス
排出孔から流出する恐れも少ない。したがって、第2の
反応セルにおけるDNA増幅反応の際の加熱、冷却の繰
返しによる微小な気泡の発生を抑制し、溶液中の温度が
不均一となることを防ぐことができる。
【0130】なお、上記DNA増幅反応の手順の説明に
おいては、第1の反応セルは試料溶液の超音波による前
処理に用い、DNA増幅反応は第2の反応セルでのみ行
なっているが、前記第7実施形態と同様に、前記第1な
いし第3実施形態と同様の手順で反応を行なうこともで
きる。すなわち、第1の反応セルと第2の反応セルとの
間で試料溶液を移動させて順次反応を行なってもよい。
この場合には、最初の減圧処理および超音波処理で排除
できなかった溶存空気が第2の反応セル内で気泡として
発生したとしても、次の工程で第1の反応セルの上面に
設けられたガス排出孔から強制的に排出することができ
る。
【0131】また、この第8実施形態では2つの反応セ
ルが用いられているが、前記第4ないし第6実施形態の
ように反応セル1つであっても同様の効果を期待するこ
とができることは前記第7実施形態と同じである。
【0132】以上、図面に基づいてこの発明によるDN
A増幅装置の実施形態を説明したが、この発明は上述の
実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨の
範囲内で種々の変形や応用が可能である。ここで、この
発明の要旨をまとめると以下のようになる。
【0133】(1)図1ないし5に対応:無機基板上に
形成された第1および第2の2つのプレーナ状反応セ
ル、該第1の反応セルに試料溶液を導入するための試料
導入部、該第2の反応セルから試料溶液を排出するため
の試料排出部、該試料導入部と該第1の反応セル、該第
1の反応セルと第2の反応セル、および該第2の反応セ
ルと該試料排出部とを互いに連通する3つの流路、該第
1および第2の反応セルの底面にそれぞれ少なくとも1
つずつ設けられた温度測定部、該無機基板の該第1およ
び第2の反応セルの裏面に設けられた加熱手段、並びに
試料溶液の搬送手段を具備するDNA増幅装置。
【0134】この装置では、試料導入部から流路を介し
て第1の反応セルに試料溶液を導入した後、反応セルの
底面に設けられた温度測定部および加熱手段を用いて試
料溶液を所定の温度に加熱してDNA増幅反応を行なう
が、その際、搬送手段を利用して試料溶液を第1の反応
セルと第2の反応セルとの間で交互に移動させる。反応
が終了した後、試料溶液の移動を停止し、第2の反応セ
ルから試料排出部を介して溶液を外部に排出する。
【0135】このように、試料溶液を第1の反応セルと
第2の反応セルとの間で移動させることにより、溶液が
撹拌され、溶液中に発生した微小な気泡を大きく纏める
ことができる。大きく纏まった気泡は、多数の微小な気
泡よりも容易に除去することができる。このため、溶液
中の気泡を効率よく除去することが可能となり、気泡が
存在することによる温度の不均一や装置の破損を防ぐこ
とができる。
【0136】(2)図6ないし8に対応:前記第1の反
応セルと第2の反応セルとを連通する流路にガス排出孔
が形成されている(1)記載のDNA増幅装置。
【0137】この装置では、(1)の装置と同様に、増
幅反応を行なっている間第1の反応セルと第2の反応セ
ルとの間で試料溶液を交互に移動させる。この際、溶液
の移動に伴う撹拌によって大きく纏められた気泡が、2
つの反応セルを連通する流路に形成されたガス排出孔か
ら外部に排出される。
【0138】第1の反応セルと第2の反応セルとの間で
試料溶液を互いに移動させることにより、増幅反応にお
ける加熱、冷却の繰返しによって発生する微小な気泡が
大きく纏められることは上記(1)において説明した通
りである。この大きく纏められた気泡は試料溶液と共に
2つの反応セルの間を移動するが、2つの反応セルを連
通する流路を通過する際に、疎水性を示す気泡のみが流
路に形成されたガス排出孔を通過し、外部に放出され
る。したがって、単に試料溶液を2つの反応セルの間で
移動させるだけで効率的に気泡を除去することが可能で
あり、気泡の存在により溶液の温度が不均一になること
をより効率よく防ぐことができる。
【0139】(3)図10ないし12に対応:無機基板
上に形成されたプレーナ状の反応セル、該反応セルに試
料溶液を導入するための試料導入部、該反応セルから試
料溶液を排出するための試料排出部、該試料導入部と該
反応セルおよび該反応セルと該試料排出部とを互いに連
通する2つの流路、該反応セルの底面に設けられた少な
くとも1つの温度測定部、該無機基板の該反応セルの裏
面に設けられた加熱手段、該反応セルの底面に載置され
た回転子、並びに該回転子の回転を制御するための制御
手段を具備するDNA増幅装置。
【0140】この装置では、磁性粒子等の回転子が反応
セル底面に載置されており、試料溶液を反応セルに導入
した後、増幅反応を行なっている間、磁気スターラー等
の制御装置によって回転子を回転させる。この回転子の
回転に伴って反応セル内の試料溶液も回流し、溶液中に
存在する微小な気泡がその液流にのって回転子の回転中
心に運ばれ、大きく纏められる。
【0141】このように大きく纏められた気泡は容易に
除去することが可能であり、気泡が存在することによっ
て溶液の温度分布が不均一となることを防ぐことができ
る。このため、DNA増幅反応をより正確に、効率よく
行なうことができる。また、増幅反応の間試料溶液が常
に撹拌された状態にあるため、溶液中の成分分布が不均
一となることを防ぐことが可能であり、DNA増幅反応
の精度を高めることができる。さらに、回転子として磁
性粒子を用いた場合には、構造が単純で低コストの装置
を得ることができる。
【0142】また、この発明は、以下の態様をも含むも
のである。
【0143】(4)図7ないし9に対応:試料導入部と
第1の反応セルとを連通する流路および第2の反応セル
と試料排出部とを連通する流路にそれぞれガス排出孔が
形成されている前記(1)または(2)に記載のDNA
増幅装置。
【0144】反応セル内の試料溶液は増幅反応の際の加
熱もしくは冷却により、膨張もしくは収縮する。また、
反応セル内の試料溶液の周囲の空気も同様に膨張もしく
は収縮する。さらに、溶液中に気泡が発生した場合に
は、その気泡も膨張もしくは収縮することになる。この
ように、増幅反応を行なっているときには、反応セル内
の圧力は大きく変化している。したがって、反応セルを
密閉してしまうと、特に内部の圧力が上昇したときに、
セルの接合部等が破損したり、試料溶液が予期せず移動
してしまう恐れがある。これらを防止するには、反応セ
ルを開放し、圧力の変化を調整する必要がある。この装
置では、各々の流路に形成されたガス排出孔が反応セル
内の圧力を調整する役目を果たす。すなわち、反応セル
内の圧力が上昇した場合にはガス排出孔から空気が流出
し、逆に反応セル内の圧力が下降した場合には空気が流
入する。
【0145】上述のように、反応セルを開放することは
重要なことではあるが、外部に対してあまり大きく開放
すると、加熱時に試料溶液中の水分や揮発性の高い成分
が蒸発してしまい成分濃度が変化してしまう。この装置
の各々の流路に形成されるガス排出孔は微小な孔であ
り、蒸発による成分濃度の変化をほとんど引き起こすこ
となく圧力の調整のみを行なうことができる。したがっ
て、反応セル内の圧力上昇によるセルの破損や、試料溶
液の予期せぬ移動を防ぐことができる。
【0146】(5)図13ないし15に対応:前記反応
セルの上面にガス排出孔が形成されている(3)記載の
DNA増幅装置。
【0147】この装置では、前記(3)に記載の装置と
同様に、DNA増幅反応を行なっている間回転子を回転
させて試料溶液を撹拌する。このとき、溶液中に存在す
る微小な気泡が大きく纏められることは前述した通りで
ある。この装置では、反応セル上面にガス排出孔が形成
されており、ここから大きく纏められた気泡を排出する
ことが可能となる。回転子の回転によって纏められた気
泡は回転子の回転中心に集まってくるため、ガス排出孔
は反応セル上面の回転子の回転中心に当たる部分に形成
することが好ましい。
【0148】このように、この装置では試料溶液中に存
在する気泡を効率よく排除することが可能であり、試料
溶液において温度分布が不均一になることを抑制し、D
NA増幅反応をより正確に、効率よく行なうことができ
る。
【0149】(6)図16に対応:試料導入部と反応セ
ルとを連通する流路および反応セルと試料排出部とを連
通する流路にガス排出孔が形成されている(3)または
(5)に記載のDNA増幅装置。
【0150】反応セル内の試料溶液は増幅反応の際の加
熱もしくは冷却により、膨張もしくは収縮する。また、
反応セル内の試料溶液の周囲の空気も同様に膨張もしく
は収縮する。さらに、溶液中に気泡が発生した場合に
は、その気泡も膨張もしくは収縮することになる。この
ように、増幅反応を行なっているときには、反応セル内
の圧力は大きく変化している。したがって、反応セルを
密閉してしまうと、特に内部の圧力が上昇したときに、
セルの接合部等が破損したり、試料溶液が予期せず移動
してしまう恐れがある。これらを防止するには、反応セ
ルを開放し、圧力の変化を調整する必要がある。この装
置では、各々の流路に形成されたガス排出孔が反応セル
内の圧力を調整する役目を果たす。すなわち、反応セル
内の圧力が上昇した場合にはガス排出孔から空気が流出
し、逆に反応セル内の圧力が下降した場合には空気が流
入する。
【0151】上述のように、反応セルを開放することは
重要なことではあるが、外部に対してあまり大きく開放
すると、加熱時に試料溶液中の水分や揮発性の高い成分
が蒸発してしまい成分濃度が変化してしまう。この装置
の各々の流路に形成されるガス排出孔は微小な孔であ
り、蒸発による成分濃度の変化をほとんど引き起こすこ
となく圧力の調整のみを行なうことができる。したがっ
て、反応セル内の圧力上昇によるセルの破損や、試料溶
液の予期せぬ移動を防ぐことができる。
【0152】(7)図17ないし21に対応:反応セル
中の試料溶液に超音波振動を加える超音波振動子をさら
に具備する(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の
DNA増幅装置。
【0153】この装置では、反応セルに試料溶液を導入
した後、DNA増幅反応を行なう前に、超音波振動子を
作動させて試料溶液に超音波を加え、試料溶液中の溶存
空気を気泡にして溶液から追い出す。溶液から追い出さ
れた気泡は、さらに各々の装置に備わる機能を利用して
外部に排出することができる。
【0154】このように、DNA増幅反応を行なう前に
試料溶液中の溶存空気を溶液から追い出すことにより、
増幅反応の際の加熱、冷却の繰返しによる気泡の発生を
抑制することが可能となり、溶液の温度分布が不均一に
なることを防ぐことができる。
【0155】(8)図22ないし25に対応:試料溶液
の超音波による前処理を行なう反応セルに接続する全て
の流路に弁が設けられ、かつ該反応セル内部を減圧する
減圧手段を具備する(7)記載のDNA増幅装置。
【0156】上記(7)の装置では、反応セルに試料溶
液を導入した後、DNA増幅反応を行なう前に、超音波
振動子を作動させて試料溶液に超音波を加え、溶液中の
溶存空気の追い出しを行なうことは既述の通りである。
この装置では、この試料溶液の超音波による前処理の際
に、反応セルに接続する全ての流路に設けられた弁を全
て閉鎖し、さらに減圧手段を用いて反応セル内部を減圧
する。減圧の手段としては、反応セルの上面に形成され
たガス排出孔に直接ポンプ等の吸引手段を接続してもよ
いし、あるいは単に装置周辺を減圧するだけでもよい。
【0157】このように試料溶液の超音波処理に加え
て、反応セル内を減圧することにより、超音波処理だけ
では追い出すことができなかった溶存空気を溶液から追
い出すことができ、DNA増幅反応の際の加熱、冷却の
繰返しによる気泡の発生をさらに抑制することが可能と
なる。したがって、DNA増幅反応時に溶液の温度分布
が不均一となることをより有効に防ぐことができる。
【0158】
【発明の効果】以上のように、この発明によると、反応
溶液の温度を精密に制御し、DNA増幅反応を効率よく
行なうことが可能なDNA増幅装置が提供される。
【0159】また、この発明によると、機械的な作動部
分を減少し、それにより装置全体を小型化し、かつコス
トを低くすることが可能なDNA増幅装置が提供され
る。
【0160】さらに、この発明によると、試料溶液中に
存在する気泡を容易に除去し、気泡が存在することに起
因する試料溶液中の温度分布の不均一を防いでDNA増
幅反応をより正確かつ効率的に行なうことが可能なDN
A増幅装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるDNA増幅装置の第1実施形態
の上面を示す平面図。
【図2】図1に示される実施形態の下面を示す平面図。
【図3】図1に示される実施形態のA−A線断面図。
【図4】pn接合を利用したダイオードタイプの温度測
定部の断面を示す図。
【図5】図1に示される実施形態と試料溶液の導入また
は排出手段との接続の一例を模式的に示す図。
【図6】この発明によるDNA増幅装置の第2実施形態
の上面を示す平面図。
【図7】図6に示される実施形態ののB−B線断面図。
【図8】図6に示される実施形態に形成されるガス排出
孔の変形例の断面を示す図。
【図9】この発明によるDNA増幅装置の第3実施形態
の上面を示す平面図。
【図10】この発明によるDNA増幅装置の第4実施形
態の上面を示す平面図。
【図11】図10に示される実施形態の下面を示す平面
図。
【図12】図10に示される実施形態のC−C線断面
図。
【図13】この発明によるDNA増幅装置の第5実施形
態の上面を示す平面図。
【図14】図13に示される実施形態のD−D線断面
図。
【図15】図13に示される実施形態に形成されるガス
排出孔の変形例の断面を示す図。
【図16】この発明によるDNA増幅装置の第6実施形
態の上面を示す平面図。
【図17】この発明によるDNA増幅装置の第7実施形
態の上面を示す平面図。
【図18】図17に示される実施形態の下面を示す平面
図。
【図19】図17に示される実施形態のE−E線断面
図。
【図20】図17に示される実施形態のF−F線断面
図。
【図21】図17に示される実施形態に形成されるガス
排出孔の変形例の断面を示す図。
【図22】この発明によるDNA増幅装置の第8実施形
態の上面を示す平面図。
【図23】図22に示される実施形態の下面を示す平面
図。
【図24】図22に示される実施形態のG−G線断面
図。
【図25】図22に示される実施形態に形成されるガス
排出孔の変形例の断面を示す図。
【符号の説明】
101 、401 、701 …無機基板、102 、103 、402 、702
、703 …反応セル、104 、403 、704 …試料導入部、1
05 、404 、705 …試料排出部、106 、107 、108 、405
、406 、706 、707 、708 …流路、109 、110 、407
、709 、710 …温度測定部、111 、112 、408 、711
、712 …加熱手段、113 、411 、713 …蓋板、114 、1
15 、116 …ウェル、117 、118 …絶縁層、119 、120
…金属配線、123 …搬送手段、201 、301 、302 、501
、601 、602 、714 …ガス排出孔、202、502 、716 …
多孔質層、409 …回転子、410 …制御手段、715 …超音
波振動子、801 …ジョイント部、802 …減圧管、803 、
804 …弁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機基板上に形成された第1および第2
    の2つのプレーナ状反応セル、該第1の反応セルに試料
    溶液を導入するための試料導入部、該第2の反応セルか
    ら試料溶液を排出するための試料排出部、該試料導入部
    と該第1の反応セル、該第1の反応セルと第2の反応セ
    ル、および該第2の反応セルと該試料排出部とを互いに
    連通する3つの流路、該第1および第2の反応セルの底
    面にそれぞれ少なくとも1つずつ設けられた温度測定
    部、該無機基板の該第1および第2の反応セルの裏面に
    設けられた加熱手段、並びに試料溶液の搬送手段を具備
    するDNA増幅装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の反応セルと第2の反応セルと
    を連通する流路にガス排出孔が形成されている請求項1
    記載のDNA増幅装置。
  3. 【請求項3】 無機基板上に形成されたプレーナ状の反
    応セル、該反応セルに試料溶液を導入するための試料導
    入部、該反応セルから試料溶液を排出するための試料排
    出部、該試料導入部と該反応セルおよび該反応セルと該
    試料排出部とを互いに連通する2つの流路、該反応セル
    の底面に設けられた少なくとも1つの温度測定部、該無
    機基板の該反応セルの裏面に設けられた加熱手段、該反
    応セルの底面に載置された回転子、並びに該回転子の回
    転を制御するための制御手段を具備するDNA増幅装
    置。
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